JP2503619Y2

JP2503619Y2 - 油回転真空ポンプ

Info

Publication number: JP2503619Y2
Application number: JP1987084541U
Authority: JP
Inventors: 輝坂崎; 正昭松野
Original assignee: Shimadzu Corp
Current assignee: Shimadzu Corp
Priority date: 1987-05-30
Filing date: 1987-05-30
Publication date: 1996-07-03
Anticipated expiration: 2002-05-30
Also published as: JPS63193788U

Description

【考案の詳細な説明】［産業上の利用分野］本考案は、油送りポンプからポンプ室への油の供給を
改良工夫した油回転真空ポンプに関するものである。

［従来の技術］油回転真空ポンプは、一般に、ポンプ本体のフレーム
（固定子）にベーン付き回転子を偏心位置に収容して構
成されるが、その固定子と回転子の間の空間をベーンで
区画して形成されるポンプ室には、作動中、潤滑及びシ
ール等の各効果により真空ポンプとしての必要な機能を
維持するため、油を少量ずつ供給するようにしている。
このためこの種のポンプでは、ポンプ本体を囲む油槽ケ
ースの内部に所定量の油を貯溜しておくとともに、この
油槽ケース内の油をポンプ本体のポンプ室に連続的に圧
送するための油送りポンプ（強制潤滑ポンプ）を装備し
ている例が多い。

［考案が解決しようとする問題点］ところで、油送りポンプによりポンプ本体のポンプ室
に油を送り込む場合、そのポンプ室に必要な油量は必ず
しも一定でなく、その作動時期等の条件に応じて流量を
可変することが必要となる。具体的には、ポンプ室内の
圧力が低い領域にある場合には比較的少ない給油量で済
む一方、ポンプ室の圧力が高い領域にある運転状態で
は、潤滑を促進するために給油量を多くする必要があ
る。

しかるに、既往の油回転真空ポンプにおいては油送り
ポンプから圧送される油をポンプ室に導く油通路にその
流量を絞るための固定オリフィスを設けているにすぎな
いので、前述のような適切な給油量の調節ができない上
に、ポンプを運転停止した際、真空のままのポンプ室に
油槽ケース内から油送りポンプの油通路を通して大量の
油が侵入し、後の運転開始時のポンプ作動に支障を来た
す問題を抱えるものとなっている。

本考案は、上述した問題点を克服解消し、ポンプ運転
停止時の油の逆流を確実に防止すると同時に、油送りポ
ンプからポンプ室への油供給量をその吐出量によらず一
定に保ち、必要に応じ給油量を適宜に可変できるように
した油回転真空ポンプを提供しようとするものである。

［問題点を解決するための手段］本考案は、このような目的を達成するために、ポンプ
本体を囲む油槽ケースに貯溜した油を該ポンプ本体のポ
ンプ室に圧送する油送りポンプを備えた油回転真空ポン
プにおいて、前記油送りポンプから前記ポンプ本体のポ
ンプ室に油を送り込む油通路に、ポンプ停止時での油の
侵入を阻止する弁機構を設けるとともに、弁が一定量以
上の開動作を行ったとき前記油槽に油をリリーフさせる
リリーフ路を、該弁機構の内部であって弁室底部から適
当な高さ位置に設けたことを特徴とする。

［作用］このような構成の油回転真空ポンプであると、ポンプ
停止時にはその油通路に介設した弁機構が作動してポン
プ室内に油が侵入するのを確実に阻止する。そして、弁
機構の内部の適当な位置で該弁機構から油をリリーフさ
せるリリーフ路を連接したことに伴い、油送りポンプか
らの給油量を一部リリーフ路から戻り油としてリリーフ
しながらポンプ室への給油量を調整することができる。
しかも、油送りポンプからの圧力や油量がある適正な値
にある間はリリーフ路が弁機構によって閉止されるた
め、供給油のロスが生じることがなく、ポンプ効率が高
い値に維持されるものとなる。そして更に、リリーフ路
に可変オリフィスを設けてその戻し油量を調整すれば、
ポンプ室への給油量を自在に可変することができる。

［実施例］以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明する。

第１図は、本考案に係る２連形の油回転真空ポンプを
示すもので、ベースボディ１に、第１段のポンプ本体Ｉ
と、これより容積の小さな第２段のポンプ本体IIとを直
列二段に連接して構成されている。ここに各段のポンプ
本体Ｉ、IIは、その固定子S₁、S₂を形成する各ポンプフ
レームに、軸心から二枚のベーンを逆向きで凸没自在に
突出する回転子R₁、R₂をその偏心位置で摺接させてな
り、これら回転子R₁、R₂の駆動回転下にベーンで仕切ら
れたポンプ室の容積を増減させて周知のポンプ機能を営
ませるようにしたものである。そして、図示しないポン
プの吸気口から吸気し、これを第１段のポンプ本体Ｉで
圧縮した後、さらに第２段のポンプ本体IIで圧縮してか
ら排気する。

この２連形の油回転真空ポンプにおいて、その第１段
のポンプ本体Ｉを、図示しない吸気系路を含めて、これ
をベースホディ１の内部に設けるようにしている。すな
わち、ベースホディ１を第１段ポンプ本体Ｉのポンプフ
レームに兼用し、その内部に形成した固定子S₁の空間に
前記ベーン付き回転子R₁を配置している。そして、この
第１段ポンプ本体Ｉを内有するベースホディ１の前方開
口端を前壁２で閉塞するとともに、この前壁２を貫通し
て第１段ポンプ本体Ｉに連結される駆動軸３を挿通し、
さらにこの駆動軸３の導入端3aにクラッチ機構４を設け
て図外のモータと断接切換自在に連結している。なお、
ベースホディ１の前端面には前カバー５を蓋着し、また
駆動軸３の導入端3aにはファン６を設けて、前カバー５
内でベースホディ１の前壁を直接空冷するようにしてい
る。

一方、前記モータと反対側に延出される駆動軸３のま
わりには、まず固定子S₁の後方開口端を閉塞する中間壁
７を連接している。この中間壁７には、その内部に第１
段ポンプ本体Ｉで圧縮した排気を第２段ポンプ本体IIに
導通する排気連絡通路８が設けられる。そして、この中
間壁７を介してベースホディ１の後端側に、駆動軸３に
より第１段ポンプ本体Ｉと同期して回転駆動される第２
段ポンプ本体IIを連接している。この第２段ポンプ本体
IIはその固定子S₂の両側の開口端のうち、前方を前記中
間壁７で閉塞している一方、後方はその端面に後壁９を
連接して閉塞している。そして、この後壁９に前記駆動
軸３の延出端3bを貫通させ、その後端軸まわりに、該後
壁９と更にその後端面に接合される端板10との間の空間
で油送りポンプIIIを設置するようにしている。この油
送りポンプIIIは、端板（油送りポンプ後壁）10に開通
させた吸込口11から汲取った油を、第２段ポンプ本体II
から第１段ポンプ本体Ｉの各ポンプ室内に順次供給する
役目を担うものであり、その構成および付属機構は後述
の通りである。

以上のようにして、ベースホディ１の反モータ側端面
に、中間壁７、第２段ポンプ本体II、後壁９および端板
10を接合して組立てるとともに、その組立完了後ベース
ホディ１の後端面にこれら組立要素を包囲する油槽ケー
ス12を連着し、該油槽ケース12及びベースホディ１の内
部に形成した空間に所定量の油Ｏ（その油面が前記吸込
口11の上方に位置される）を注入して貯溜される。

その他図において、13は第１段ポンプ本体Ｉに設けた
中間排気口であり、被排気系の圧力が高い場合などに付
帯のリリーフ弁機構14を開放して、第１段ポンプ本体Ｉ
からベースホディ１の内部に形成した排気空間15に直接
排気を放出させる。また、16は第２段ポンプ本体IIに設
けた排気口で、排気弁機構17を備えて第１、第２段ポン
プ本体Ｉ、IIで圧縮した排気を一定の排気圧で間欠的に
放出させる。更に18は油槽ケース12の後部上方に設けた
ポンプの排気口であり、この油槽ケース12の空間とベー
スホディ１の前記排気空間15とに介設された仕切隔板19
および該油槽ケース12内で前記排気口16の上方に配設し
た山形の仕切板20とにより案内される第１、第２段ポン
プ本体Ｉ、IIからの排気が油滴を分離した後、ここから
外部に放出される。

しかして、前記油送りポンプIIIを第２図について詳
述すると、油送りポンプIIIは前記後壁（油送りポンプ
前、外壁）９の後端央部に、その固定子S₃の空間を凹設
し、この固定子S₃内に駆動軸延出端3bにおける後端近傍
で同軸上に固定された回転子R₃を配置してなるもので、
この場合、回転子R₃から放射状に適数枚のベーンを凸没
自在に突設するベーン形ポンプを構成してなるものであ
る。この油送りポンプIIIは、それ自身比較的吐出量の
少ないポンプ容積の小さなもので足り、駆動軸３に入力
されるモータ動力を一部利用して駆動される。そして、
この油送りポンプIIIの前記吸込口11は、その後端面を
閉塞している前記端板（油送りポンプ後壁）10を貫通し
て、該端板10の後表面に凹設され、油面下に位置する吸
込ポート21に開口されている。そして、吸込ポート21に
は、その周囲の端板隆起部10aに外周を固定したフィル
ター22を張設してあり、油槽ケース12内で貯溜されてい
る油を油面下の適当な位置から該フィルター22を介し濾
過して吸込ポート21内に吸引するようにしている。

他方、油送りポンプIIIの吐出口23には、油槽ケース1
2内から汲取った油を先ず第２ポンプ本体IIのポンプ室
に送り込むための油通路24、25が開通される（第２段ポ
ンプ本体IIのポンプ室から第１段ポンプ本体Ｉのポンプ
室に油を導く通路は便宜上図示省略している）。そし
て、前記後壁（油送りポンプ前、外壁を兼ねる）９の内
部に形成されるこれら油通路24、25の途中には、油送り
ポンプIIIからの油の供給量を調整する流量調整弁と油
逆流防止機構の役目を果す弁機構26を設置している。

この弁機構26は、後壁９の上部に、その底部外周で前
記油通路24が開通されその底部中心で前記油通路25が開
通される弁室27を凹設し、この弁室27に前記油通路25を
塞ぐ突起28aを先端に有する弁体28を嵌合するととも
に、この弁体28と上方の支持板29との間に支持ガイド30
のまわりにスプリング31を介装し、弁体28に一定の開放
作動圧を設定するようにしたものである。すなわち、こ
の弁機構26によると、その油通路24の上流側に一定のポ
ンプ圧力を発生しない場合は油の流通を阻止し、一定圧
力以上が負荷される場合はその圧力に応じて弁体28が押
し上げられ、油通路24と25とが連通する。そして、ポン
プの運転停止時には、油槽ケース12内からその下流側へ
の油の侵入を阻止する役目を果す。

また、かかる弁機構26を設けた油通路24、25には、弁
室27内の圧力を一定に保ち油送りポンプIIIからポンプ
室に供給される油量を調節するためのリリーフ路32を設
けるようにしている。このリリーフ路32は、第３図に示
すように、可変オリフィスを構成している弁機構26の内
部で、底部から適当な高さ位置にある弁室内周と、油面
上方に位置する油槽ケース12内とを結び後壁９及び端板
10に貫通して構成したもので、油送りポンプIIIの吐出
圧が増大して弁体28が押し上げられると、弁室27内と連
通してポンプ室へ供給される油量の一部を該弁室27内か
ら油槽ケース12に戻す役目を果す。そして、このリリー
フ路32の途中に、後壁９の上端から挿着され調整ネジ35
で螺進退可能なスクリュー34の先端34aを突没させて、
ここに戻り油量を適宜に調整し得る可変オリフィス33を
構成するようにしている。なお、36はスクリュー34を位
置決めするロックナットを示す。

以上に説明した２連形の油回転真空ポンプであると、
その油送りポンプIIIをその反モータ側の駆動軸延出端3
bに設置するようにしているので組立が簡単に行なえ、
また油送りポンプIIIで第２段ポンプ本体II側からポン
プ室に供給される油は、その吸込ポート21に設けたフィ
ルター22を介して油槽ケース12の油面下より汲取られる
ものであるため、油面に浮く汚染油や混入異物を吸込む
ことがないという利点を具備する上に、以下のような本
考案による特有の作用、効果を有するものとなる。

すなわち、先ず真空ポンプの運転停止時には、その弁
機構26が働いて油送りポンプIIIの油通路24、25を遮断
し、ポンプ室内に該油通路24、25を通して油槽ケース12
内の貯溜油が侵入して来る不具合を有効に阻止する。

そして、油送りポンプIIIの油通路24、25に逆流防止
機能を営む弁機構26を設けるとともに、この弁機構26の
内部から可変オリフィス33の介在するリリーフ路32を連
接するようにしたものであると、次のような作用、効果
が発揮される。これを第４図で従来例及び比較例と対比
して説明する。

まず（ａ）に示す従来例は、油送りポンプIIIの油通
路24、25に固定オリフィス37を介設しただけのものであ
るが、かかる既往の潤滑油供給方式では、ポンプ運転停
止時において前記の油逆流防止機能が得られない上に、
ポンプ室への供給油量が油送りポンプIIIの容量に対応
した一定量となるため、低圧域（例えば10^-4〜10^-1Tor
r）ではポンプ室への給油量を少なく、反対に高圧域
（例えば１〜数十Torr）では給油量を大きくするといっ
た適切な給油量の調整ができない不具合がある。また、
ポンプ室への油の供給量が油送りポンプIIIの吐出量に
支配され、それが適切でない場合はポンプ室に油が供給
されなかったり、逆に吐出圧が高くなり過ぎてポンプ室
への給油量が過剰になったりする危険性がある。そのた
め、使用条件に応じて油送りポンプIIIの容量を変更し
なければならない不都合も生じる。

また、（ｂ）に示す比較例の場合は、油通路24、25に
介設した弁機構26によって油の逆流防止機能が発揮され
るものの、（ａ）と同様の問題が残る。すなわち、弁機
構26だけでは、やはりポンプ室への油の供給量が油送り
ポンプIIIの吐出量に支配され、それが適切でない場合
は弁体28が開かなかったり、逆に吐出圧が高くなり過ぎ
てポンプ室への給油量が過剰になったりすることがあ
る。

これに対して（ｃ）に示す本考案の実施例の場合に
は、油送りポンプIIIに充分な吐出量や吐出圧を有する
ものを用いれば、弁室27内の圧力が上昇すると弁体28が
持ち上げられてリリーフ路32が開放し、油槽ケース12内
に油が戻されて弁室27内の圧力が一定に収束するため、
ポンプ室には弁機構26を介してその内圧との差圧と、オ
リフィス口径等によって定まる一定の油量が供給される
ことになる。すなわち、弁機構26がリリーフ機構として
も機能するものとなる。

そして、給油量を可変する必要がある場合は、リリー
フ路32に介設した可変オリフィス33の絞りを調節し戻り
油量を可変するだけでよく、油送りポンプIII自体の容
量を変えることなく、ポンプ室への給油量を広い範囲に
亙り自在に調整することができる。

なお、以上に詳述した実施例では２連形の油回転真空
ポンプに適用した場合を示すが、本考案は単連形のもの
についても同様に適用できることは勿論である。また油
送りポンプとしては、実施例のベーン形ポンプに限ら
ず、その他例えば歯車ポンプのような形式のものであっ
てもよい。更に油送りポンプの設置場所は、図示例に限
らず、モータ側であってもよい。そして、リリーフ路32
には戻り油量を調節するために可変オリフィス33を介在
するのが好適となるが、このオリフィス33を設けない実
施態様を採ることも妨げない。

［考案の効果］本考案は、以上に述べたように、油送りポンプからポ
ンプ本体のポンプ室への油供給機構を改良工夫したこと
により、ポンプ運転停止時でのポンプ室への油の逆流を
確実に防止できる上に、油送りポンプからポンプ室への
給油量を一定にし、更に必要に応じ給油量を可変するこ
とも容易になし得るものである。しかも、本考案は、油
送りポンプからの圧力や油量がある適正な値にある間は
油がリリーフしないように構成されるため、供給油のロ
スを極力抑え、ポンプ効率を高い値に維持することがで
きるという効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す２連形の油回転真空ポ
ンプの縦断面図であり、第２図はその要部の詳細拡大図
である。第３図は第１図及び第２図の部分拡大図であ
る。第４図は油送りポンプからポンプ室に潤滑油を導く
回路図を示し、（ａ）は従来例を、（ｂ）は比較例を、
（ｃ）は本考案の実施例に相当している。Ｉ……第１段ポンプ本体、II……第２段ポンプ本体 III……油送りポンプ、１……ベースボディ３……駆動軸、3b……駆動軸延出端 11……吸込口、12……油槽ケース 21……吸込ポート、22……フィルター 23……吐出口、24、25……油通路 26……弁機構、27……弁室 28……弁体、32……リリーフ路 33……可変オリフィス、Ｏ……油

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ポンプ本体を囲む油槽ケースに貯溜した油
を該ポンプ本体のポンプ室に圧送する油送りポンプを備
えた油回転真空ポンプにおいて、前記油送りポンプから
前記ポンプ本体のポンプ室に油を送り込む油通路に、ポ
ンプ停止時での油の侵入を阻止する弁機構を設けるとと
もに、弁が一定量以上の開動作を行ったとき前記油槽に
油をリリーフさせるリリーフ路を、該弁機構の内部であ
って弁室底部から適当な高さ位置に設けたことを特徴と
する油回転真空ポンプ。