JP2503596Y2

JP2503596Y2 - 焼成炉

Info

Publication number: JP2503596Y2
Application number: JP9463690U
Authority: JP
Inventors: 晶鈴木
Original assignee: 石川島播磨重工業株式会社
Priority date: 1990-09-07
Filing date: 1990-09-07
Publication date: 1996-07-03
Anticipated expiration: 2005-09-07
Also published as: JPH0453197U

Description

【考案の詳細な説明】［産業上の利用分野］本考案は、金属、セラミックス、カーボン、複合材な
どの被処理物を焼成処理する焼成炉に関するものであ
る。

［従来の技術］従来より、被処理物を不活性ガス雰囲気下で焼成する
ための炉として用いられているものの１つに、耐熱金属
などからなる円筒状のマッフルを備えてなる焼成炉があ
る。

この焼成炉は、概略、真空排気装置が接続された炉容
器内に、内臓する加熱ヒータからの輻射熱を隠蔽する円
筒形状の断熱壁と、この断熱壁の内部に設けられて、被
処理物を収容してこれに焼成処理を施す円筒形状のマッ
フルとを具備し、マッフルと炉容器外を連結するべく設
けられて、被処理物から発生した不純物ガスを外部へ排
気するための排気管を備えてなる構成を有している。

そして、前記炉容器、断熱壁およびマッフルの端部に
は、それぞれを閉蓋するための炉蓋、断熱蓋およびマッ
フル蓋が設けられている。

マッフル蓋および断熱蓋は、それぞれマッフルおよび
断熱壁の外径とほぼ等しい外径の円板形状を有し、それ
ぞれの内面外縁部をマッフルおよび断熱壁の端面に密着
して突き合わせた状態で閉蓋されるようになっている。

これらのマッフル蓋および断熱蓋の開閉動作は、両者
の間を連結しかつ炉容器外に延びて取り付けられ、炉容
器外に配置された駆動装置に接続されたシリンダ等の蓋
開閉機構によって、一体的に行なわれるようになってい
る。

このような焼成炉によれば、炉蓋、断熱蓋およびマッ
フル蓋を開状態としてマッフルに被処理物を収容した
後、炉容器内を一旦真空状態とした後に不活性ガスに置
換し、この不活性ガス雰囲気下で、加熱ヒータにより所
定条件で加熱する。加熱により被処理物から発生したワ
ックスベーパあるいは不純物ガス等は、排気管を通して
外部へ排気する。被処理物の焼成処理が終了した後に
は、蓋開閉機構によって、炉蓋、断熱蓋およびマッフル
蓋を開状態として不活性ガスを断熱壁内およびマッフル
内に導入し、被処理物を強制的に冷却する。

［考案が解決しようとする課題］ところが、従来の焼成炉にあっては、前述したよう
に、マッフル蓋および断熱蓋がそれぞれマッフルおよび
断熱壁に密接して装着され、しかも蓋開閉機構によって
両者の開閉動作が一体的に行なわれることで、マッフル
内の被処理物を加熱して焼成処理を施した際にマッフル
の長さ方向に生じた熱膨張を吸収することができない。
そこで、マッフルに熱変位が生じた場合には、これに伴
って断熱蓋が開蓋し、そのシール状態を維持できなくな
るという問題があった。

また、前記のようにマッフルとマッフル蓋とが密着状
態にシールされることから、このシール面でのクリアラ
ンスが完全にゼロとなり、マッフル内の被処理物を加圧
雰囲気下で焼成処理するために雰囲気ガスを給排気する
際には、マッフル内外の差圧が非常に大きくなってしま
うことが多々あった。この場合には、マッフル内外の差
圧が起因して、マッフルが破壊するなどの事故例もあ
り、作業性、安全性の観点から大きな不満があった。

本考案は、このような事情に鑑みてなされたものであ
って、加熱時のマッフルの長さ方向の熱膨張を吸収し
て、常にマッフル蓋および断熱蓋の両方の同時シールを
可能とするともに、マッフル内外に所望に応じた適度な
差圧を設けることのできるような焼成炉を提供すること
を目的としている。

［課題を解決するための手段］本考案は、断熱蓋によって閉蓋される断熱壁と、該断
熱壁内に設けられて被処理物を収容してこれを焼成処理
し、マッフル蓋によって閉蓋されるマッフルとを、炉容
器内に具備してなる焼成炉であって、前記マッフル蓋と断熱蓋の間に、両者間距離を伸縮可
能な弾性部材を介在させ、かつ、前記マッフルとマッフ
ル蓋との当接面には、マッフル内外を連通するガス通気
孔を設けてなることを解決手段とした。

［作用］本考案の焼成炉によれば、マッフル蓋を断熱蓋の間
に、両者間距離を伸縮可能な弾性部材が介在しているの
で、加熱時にマッフルに長さ方向の熱膨張が発生する
と、この熱膨張を弾性部材が吸収する。なすわち、熱膨
張によってマッフルが長さ方向に熱変位を起こした場
合、これに伴って弾性部材が、マッフルの熱変位量に相
当する量の伸縮を起こす。よって、断熱蓋は断熱壁に対
して開蓋せず、マッフル蓋と断熱蓋の両方のシールを保
持することができる。

また、焼成処理時のガスタイト性、ガス透過性能、マ
ッフル内外の均圧性能などの諸条件を考慮して、予め適
当なガス通気孔を、マッフルとマッフル蓋の当接面に設
けておくことで、常にマッフル内外の差圧を適度に保
ち、最適条件のシール状態を保持した状態で、被処理物
の焼成処理を行うことができる。

［実施例］以下、実施例を示して、図面に基づき、本考案を説明
する。

第１図ないし第３図は、本考案の焼成炉の一実施例を
示すものであり、符号１が炉容器である。

炉容器１は、横置き型の略円筒形状を有しており、外
部に配置された真空排気装置（図示略）に連結配置され
ている。そして、この炉容器１の両端開口部は、炉蓋2,
2によって閉蓋されるように構成されている。また、炉
容器１には、この炉容器１内と炉容器１外とを連通する
給排気管３が設けられている。この給排気管３は、炉容
器１外に配置された雰囲気ガス給排気装置（図示せず）
に接続されており、炉容器１内への雰囲気ガスの供給お
よび排気等を行っている。

この炉容器１の内部には、断熱壁４がアングル（図示
略）等によって中空支持されており、その内部には、こ
の炉容器１内面に沿って加熱ヒータ５が配設されてい
る。断熱壁４は、加熱ヒータ５からの輻射を遮蔽する断
熱材、例えばグラファイトなどから形成されてなる略円
筒形状のもので、その両端は開放されている。この開放
された両端には、この両端面に突き合わせるようにして
略円板形状の断熱蓋6,6が設けられており、この断熱蓋
6,6によって断熱壁４は閉蓋される構成とされている。

この断熱壁４の内部には、被処理物を収容してこれに
焼成処理を施すためのマッフル７が、左右両側のマッフ
ルサポート8,9により中空支持されている。一方のマッ
フルサポート８は、マッフル７外面と断熱壁４内面とを
連結するべく固定されており、他方のマッフルサポート
９は、マッフル７の動きを可能となるべく、断熱壁４の
内面に対してスライド可能に設けられている。このよう
にマッフル７の動きが許容されたことにより、マッフル
７に熱が加えられた際の熱膨張を吸収して、断熱壁４と
の間に無理な力がかかることを防止している。

また、マッフル７には、マッフル７内部と炉容器１外
部とを連結して、マッフル７内において発生した被処理
物からの不純物ガスやワックスベーパ等を炉容器１外へ
排気するための排気管10が、断熱壁４および炉容器１の
壁面を貫通して設けられている。

マッフル７は、グラファイト、アルミナ、窒化ケイ
素、炭化ケイ素、ジルコニア、ステンレス鋼、耐熱合
金、鋼あるいは非鉄金属などにより略円筒形状に形成さ
れてなるものであり、その両端は開放されている。

この開放された両端部の端面には、マッフル７を閉蓋
するマッフル蓋12が設けられている。マッフル蓋12は、
前記マッフル７と同様の材質、例えばグラファイトや金
属などから形成されたもので、マッフルの外径とほぼ等
しい外径を有する略円板形状を有しており、その内面外
縁部をマッフルの端面に突き合わせた状態に装着されて
いる。

マッフル７とマッフル蓋12の当接面（シール面）に
は、第２図および第３図に示したように、マッフル７内
外を連通するガス通気孔13が設けられている。ガス通気
孔13は、マッフル７内の被処理物の焼成処理時のガスタ
イト性能、ガス透過性能、マッフル内外の均圧性能など
を考慮して、予め、適当な孔径および孔数などを設定
し、この設定に基づいて設けられている。

また、マッフル蓋12と前記断熱蓋６の間には、両者間
距離を伸縮自在とされた弾性部材15が介在せしめられて
いる。本実施例では、この弾性部材15として前記マッフ
ル蓋12とほぼ同径の円板状に形成されたクッション材15
aが用いられ、その両面をそれぞれマッフル蓋12の外面
および断熱蓋６の内面に当接させた状態に設けられてい
る。このクッション材15aには、例えばグラファイトを
フェルト状に織ったものなどが用いられるが、その厚み
方向に伸縮可能な構成のものであれば、これ以外の材質
からなるものであってもよい。

また、マッフル蓋12には、その外面の中心から前記弾
性部材15、断熱蓋６および炉蓋２の中心を貫通して炉容
器１外へ延び、炉容器１外に配置された駆動装置（図示
略）に接続されたシリンダ等の蓋開閉機構23が設けられ
ている。そして、この蓋開閉機構23をマッフル７の長手
方向に動かすことによって、マッフル蓋12および断熱蓋
６を、それぞれ一体に開閉することができるようになっ
ている。

次に、本実施例の焼成炉の作用について説明する。

蓋開閉機構23により、炉蓋２、断熱蓋６およびマッフ
ル蓋12を開け、マッフル７内に被処理物を収容した後、
蓋開閉機構23によりこれらの蓋2,6,12を閉める。

排気管10から炉容器１内を一旦真空とした後、給排気
管３から、不活性ガス等の雰囲気ガスを給気して置換す
る。

次いで、加熱ヒータ５に通電してマッフル７を加熱
し、被処理物を不活性ガス中で焼成処理する。

焼成処理が終了した後、所定の手順にしたがって被処
理物を冷却する。

このように、本実施例の焼成炉によれば、マッフル蓋
12と断熱蓋６の間に、弾性部材15として両者間距離を伸
縮可能とされたクッション材15aが介在しているので、
加熱時にマッフル７に長さ方向の熱膨張が発生すると、
クッション材15aがこの熱膨張を吸収するべく作用す
る。すなわち、熱膨張によってマッフル７が長さ方向に
熱変位を起こすと、これに伴ってクッション材15aが、
マッフル７の熱変位量に相当する量の伸縮をその厚み方
向に起こすのである。よって、熱変位はすべてこのクッ
ション材15aによって吸収され、断熱蓋６は変位を起こ
すことがないのである。したがって、マッフル蓋12と断
熱蓋６のシートが常に同時に確保される。

また、このような弾性部材15が設けられたことで、マ
ッフル７へのマッフル蓋12の装着時、両者の長さ方向の
組立寸法の調整を非常にラフに行うことができ操作性が
良い。

また、焼成処理時のガスタイト性、ガス透過性能、マ
ッフル内外の均圧性能などの諸条件を考慮して、予め適
当な条件（孔径、孔数など）のガス通気孔13を、マッフ
ル７とマッフル蓋12の当接面（シール面）に設けておく
ことで、常にマッフル７内外の差圧を適度に保ち、最適
条件のシール状態を保持した状態で、被処理物の焼成処
理を行うことができる。したがって、マッフル７内外の
差圧などによってマッフル７が破壊するなどの問題を解
消することができる。

なお、本考案の焼成炉は、前記実施例に限られず、各
部材の形状や寸法、材質等の具体的構成は、実施に当た
り適宜変更可能とされるものである。

たとえば、前記実施例では、マッフル蓋12と断熱蓋６
の間に介在する弾性部材15としてクッション材15aを用
いた例を示したが、この弾性部材15には、例えば、第４
図に示すようなバネ機構15bを用いることもできる。

この例にあっては、マッフル蓋12の外面で、マッフル
蓋12の中心に対して対称となる位置に、少なくとも２本
の摺動棒16,16が取り付けられている。この摺動棒16
は、断熱蓋６に設けられその厚み方向に貫通する貫通孔
17内を通って、断熱蓋６の外面に突出するべく設けられ
ており、貫通孔17内を摺動可能とされている。

断熱蓋６の外面より突出した摺動棒16の先端は、それ
ぞれ、断熱蓋６の外面に設けられた押圧力付与部18に連
結されている。押圧力付与部18は、断熱蓋６の外面に固
定され、摺動棒16の先端を収納する箱部19と、該箱部19
内でかつ断熱蓋６の外面において摺動棒16の先端に該摺
動棒16と直交して取り付けられた円板状の押さえ板20
と、この押さえ板20と箱部19との間に取り付けられ、押
さえ板20を炉容器１内部の方向に付勢するバネ21とを有
して構成されている。

この例の焼成炉によれば、弾性部材15としてこのよう
なバネ機構15bを有しているので、加熱処理時に、マッ
フル７が熱膨張を起こしてその長さ方向に熱変位を起こ
した場合、この熱変位に伴って、その熱変位量に等しい
量だけ、前記摺動棒16,16が断熱蓋６の貫通孔17,17内を
外方へ摺動する。すると、摺動棒16,16の動きに伴って
押さえ板20,20が断熱蓋６の外面より離れ、バネ21,21が
伸縮する。この状態において、バネ21,21は押さえ板20,
20および摺動棒16,16を炉容器１内部の方向に付勢する
ので、マッフル蓋12はマッフル７の端面に密接状態に装
着される。また、断熱蓋６は、マッフル７の熱変位にか
かわらず、断熱壁４の端面に密接状態に装着されてい
る。よって、マッフル７および断熱壁４はともに、常に
シール状態が保たれるのである。

さらに、マッフル７へのマッフル蓋12の装着時、両者
の長さ方向の組立寸法の調整を非常にラフに行うことが
できる点、また、焼成処理時のガスタイト性、ガス透過
性能、マッフル内外の均圧性能などの諸条件に応じて、
マッフル７内外の差圧を適度に保ち、最適条件のシール
状態を保持した状態で被処理物の焼成処理を行うことが
できる点などは、前記実施例と同様である。

［考案の効果］以上説明したように、本考案の焼成炉によれば、マッ
フル蓋と断熱蓋の間に、両者間距離を伸縮可能な弾性部
材が介在しているので、加熱時にマッフルに長さ方向の
熱膨張が発生すると、この熱膨張を弾性部材が吸収す
る。すなわち、熱膨張によってマッフルが長さ方向に熱
変位を起こした場合、これに伴って弾性部材が、マッフ
ルの熱変位量に相当する量の伸縮を起こす。よって、断
熱蓋は断熱壁に対して開蓋せず、マッフル蓋と断熱蓋の
両方のシールを保つことができる。

また、このような弾性部材が設けられたことで、マッ
フルへのマッフル蓋の装着時、両者の長さ方向の組立寸
法の調整をラフに行うことができて操作性が良い。

また、焼成処理時のガスタイト性、ガス透過性能、マ
ッフル内外の均圧性能などの諸条件を考慮して、予め適
当なガス通気孔を、マッフルとマッフル蓋の当接面に設
けておくことで、常にマッフル内外の差圧を適度に保
ち、最適条件のシール状態を保持した状態で、被処理物
の焼成処理を行うことができる。したがって、マッフル
内外の差圧が原因でマッフルが破壊するなどの不都合を
解消することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は、本考案の焼成炉の一実施例を示
すもので、第１図は全体の構成を示す断面図、第２図お
よび第３図は要部を拡大して示すそれぞれ断面図および
平面図であり、第４図は他の実施例の焼成炉の要部を拡
大して示す断面図である。１……炉容器、４……断熱壁、６……断熱蓋、７……マ
ッフル、12……マッフル蓋、13……ガス通気孔、15……
弾性部材、15a……クッション材、15b……バネ機構。

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】断熱蓋（６）によって閉蓋される断熱壁
（４）と、該断熱壁内に設けられて被処理物を収容して
これを焼成処理し、マッフル蓋（12）によって閉蓋され
るマッフル（７）とを、炉容器（１）内に具備してなる
焼成炉であって、前記マッフル蓋と断熱蓋の間に、両者間距離を伸縮可能
な弾性部材（15）を介在させ、かつ、前記マッフルとマ
ッフル蓋との当接面には、マッフル内外を連通するガス
通気孔（13）が設けられてなることを特徴とする焼成
炉。