JP2502603Y2 - 型鋼等の歪矯正機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案の装置は、各種型鋼に発
生する曲がりや捻じれなどの歪を機械的に矯正除去する
ことを目的とした、主として型鋼等の歪矯正機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】アングル、チャンネル、その他、各種断
面形状を有する型鋼あるいは棒鋼等を使用して建築用の
鉄骨、重量機械のフレームやベッド等の基材を製造する
場合、予め個々の鋼材が有する歪を完全に除去しておく
ことが製品の工作、並びに精度維持の上で最も重要な作
業であるとされている。しかし現実に個々の型鋼に発生
する曲がりや捻じれ歪を除去する作業は、型鋼の歪部分
の近傍をバイスで挟定した上、適宜な手段によって矯正
箇所を灼熱して殴打したり、一般のプレス機械を利用し
て局部的に歪を矯正するか、又は適当な治具を利用して
捻転し、その歪を除去する方法が知られていた。

【０００３】他方、従来一部で金属形材の歪を機械的に
矯正する金属形材歪取り機も開発されていた。例えば特
開昭５７−１５２１号公報や特開昭５８−１１０１３２
号公報などに掲載されているのが、それである。 而し
て、上記従来の金属形材歪取り機は、いづれも中央部又
はその両側部に設置された支持チャックのいづれかが、
ガイドレール上を左右動可能にしたことを構造的特徴と
したものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】上述した従来の歪除去
は、その殆どが手作業で行う姑息な手段によるものであ
ったから、多大な労力と熟練を要する上、時間当たりの
処理能力が著しく低いものとなっていただけでなく、い
づれの方法にしても歪の除去精度は極めて低いという致
命的な課題が見られたのである。

【０００５】他方、前述した構造の金属形材歪取り機に
あっても、支持チャック移動用のガイドレールと車輪の
嵌合間隙から生ずる可動チャックのジョーの下降時にお
ける形材の沈降や、それによる固定チャックとの間の位
置の片寄り等は避けられない上、特に可動チャックに使
用される油圧プランジャシリンダの形材保持力にも自ら
限界があって、大型の形材の歪取りには適しないという
課題を有するものであった。

【０００６】さらに、上記従来の歪取り機の構造では、
いづれも一端の支持チャック側から形材を長手方向に差
し込んでゼットしなければならないから、形材の装脱に
多数の労力を要しただけでなく、その矯正は作業員の視
感に頼らざる得ず、高い矯正精度は望むべくもなかった
のである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このような実情に鑑んで
考案された本案歪矯正機は、一定の長さを有するフレー
ム上に水平に設けられた定盤に対して垂直に昇降自在な
複数個のプランジャープレスを各等間隔で設置すると共
に、該定盤の一側に接してそれ自体が上記プランジャー
プレスと同様に昇降自在であり、且つ一定量前後に回動
可能な可動プランジャープレスを設置して、上記定盤側
のプランジャープレスで型鋼の曲がり等を矯正する一
方、捻じれ歪の矯正には、型鋼を定盤上に押圧固定して
可動プランジャープレスとの関係で鋼材を捻転するとい
う手段を用いたものである。

【０００８】

【作用】叙上の構成を有する本案装置は、水平に保たれ
た定盤とプランジャープレスによって型鋼の反りや曲が
りを矯正し、また鋼材の捻じれ歪の除去には任意なプラ
ンジャープレスの１又は複数を利用して型鋼を定盤に固
定した状態で可動プランジャープレスを必要量、前後に
回転させることで、鋼材の大・小及び形状を問わずすべ
ての歪を機械的に、しかも高精度に矯正可能であるとい
う格別の作用を有する。

【０００９】

【実施例】以下、本案の構成を一つの実施例に基づいて
更に詳述すると、図において１は横長に設置されたフレ
ーム、２はフレーム上に水平に固定された定盤、３は定
盤の背面に垂直に取付られた背盤、４は上記定盤２上の
１〜複数箇所に略等間隔で設けられ、定盤面に対して垂
直に昇降可能なプランジャープレスである。

【００１０】又５は上記定盤２および背盤３を含むフレ
ーム１の一側に隣接して前後に回転可能に設けられた可
動プランジャープレスであって、その一側の回転機構部
６を介して前後に約４０゜回動可能に支承されており、
該可動プランジャープレスの中立時には前記フレーム上
の定盤２および背盤３と同一平面を形成する定盤２’お
よび背盤３’を備えてなるものである。

【００１１】尚、図中４’・５’は各プランジャープレ
スのガイド板、（Ｒ）は定盤２の前面に突出し、定盤２
面まで昇降し得るようにフレーム１に枢着された少なく
とも２本のリフターを示し、該リフターは型鋼を低位置
から定盤２面に昂揚する機能を有する。

【００１２】而して上記各プランジャープレス４・５
は、油圧シリンダー（Ｃ）の下端をプランジャープレス
の下半部に、また油圧シリンダー（Ｃ）のピストンロッ
ド（Ｐ）の先端を定盤２・２’の下面にそれぞれ固定す
ることで、各定盤面に対して垂直に昇降可能としたもの
であり、また可動プランジャープレス５の回転機構部６
は図３及び図４に例示したようなものである。

【００１３】即ち、上記回転機構部６の構成は、前記フ
レーム１の一側に固設された回転板６ａが円形のガイド
板６ｂに支持されてベアリング等（図示せず）を介して
一定角度回転自在であり、且つ前記可動プランジャープ
レスのガイド板５’と一体に結合されている。一方、上
記回転板６ａに一端を枢着したアーム７ａの他端を下端
が固定されたアーム７ｂに連結し、アーム７ａの略中間
点にシリンダー８のピストンロッド８’の先端を枢着す
ることにより、上記回転板６ａとの間でクランクレバー
機構を構成したものである。また図３中、６ｃは必要に
応じて上記ガイド板６ｂに刻設された目盛りで、可動プ
ランジャープレスの回度を表示するものであり、更に各
図中（ｃ）は各油圧シリンダー（Ｃ）のホース取付口を
示す。但し、ホースは図示を省略するが、上記各作動部
はフレーム中央の操作盤９のレバー９’又はボタン９”
の操作により集中的に制御されるものとする。

【００１４】次に、本案歪矯正機の作動要領について述
べると、任意な型鋼（この場合、型鋼の種類および長さ
には関係ない）の歪矯正箇所を視覚によって定め、それ
が曲がりや反りであるときは、該部を定盤上の主プラン
ジャープレス４下に位置させて該プレスを下降させ、曲
がり歪や反りを除去すればよいものであり、また捻じれ
歪であれば、型鋼の一端側を可動プランジャープレス５
に跨って両定盤上に載置し、上記定盤上の任意のプラン
ジャープレス４と可動プランジャープレス５の双方を下
降させて型鋼を固定した後、可動プランジャープレスを
所望の回転角度だけ前後に回動させることにより、鋼材
のメタルファイバを切断することによって歪を確実に除
去し得るものである。

【００１５】

【考案の効果】叙上の構成に係る本案型鋼等の歪矯正機
は、フレームの全長に亘って水平な定盤と垂直な背板を
設けたことによって、鋼材を矯正機の前面からセットす
ること ができるので、その装脱が極めて簡単・容易に行
える他、歪の矯正度が隙間ゲージ等を使用して客観的に
測定が可能となり、従来の視感によるものに比べ、その
精度が著しく高く得られるという格別の効果を有するも
のである。更に本案では各プランジャープレスを固定的
に設置したことと、その駆動シリンダーをフレームの下
方に配設したことで鋼材の保持力を高めることが可能と
なり、これによって、従来の歪取り機に比べて、数倍大
型の鋼材の歪みや捻れを精度高く矯正可能となし得たも
のである。

【００１６】以上述べたとおり本案歪矯正機によれば、
あらゆる種類の型鋼の種々な歪を全て機械的に矯正でき
るものであるから、単位鋼材に対する労力、所要時間が
大幅に軽減される上、従来の矯正手段と比較して作業者
の安全性はもとより、その矯正精度が著しく高められる
結果、型鋼を使用する各種製品の工作の容易性と製品精
度の向上が期待できるという顕著な効果が得られるもの
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案歪矯正機の正面図

【図２】図１におけるＸ−Ｘ線断面図

【図３】図２におけるＹ−Ｙ線断面図

【図４】可動プランジャープレスの回転機構の一例を示
す説明図である。

【符号の説明】

１ フレーム ２・２’ 定盤 ３・３’ 背盤 ４ プランジャープレス ５ 可動プランジャープレス ４’・５’ ガイド板 ６ 回転機構部 ６ａ 回転板 ６ｂ ガイド板 ７ａ・７ｂ アーム ８・８’ 回転機構部のピストンとロッド ９ 操作盤

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フレーム上に水平に定盤を設置し、該定盤
   の奥縁に接して直角に起立する背盤を設け、上記定盤面
   に対して、垂直に昇降自在な複数組のプランジャープレ
   スを設置する一方、上記定盤と連通する定盤を有し、そ
   れ自体が上記プランジャープレスと同様に昇降自在であ
   り、且つ一定量前後に回動可能なプランジャープレスを
   隣設し、各プランジャープレスの作動を操作盤のハンド
   ルによって行うようにしたことを特徴とする型鋼等の歪
   矯正機。