JP2502601B2 - 放射性配位レニウム薬剤の単離および精製方法 - Google Patents

放射性配位レニウム薬剤の単離および精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 放射性組成物および複合体は、その診断および治療的
応用が著しく増大してきた。診断の目的には、放射性複
合体が、生態臓器、骨格等の像を陰画および陽画の両画
像を与えるために用いられている。99m−Tc−ジホスホ
ネートの放射性薬剤は、骨への転移癌を含む骨損傷の像
を造影するために、ときに用いられてきた。造影剤には
通常低エネルギーのγ線を放射する同位元素が使用され
るが、これらは診断時には有用であつても、治療効果は
ほとんど示さない。
β線放射同位元素はある種の癌の治療に用いられてき
たが、診断造影には有用ではない。これらのβ線放出放
射性薬剤が有用であるためには、癌の病変部に局在し、
生体内に広く分布してしまわないことが必要である。た
とえば、骨を標的とする治療用放射性薬剤が転移性骨癌
の病変部に集中しないと、有効な治療ができないかまた
は健康な組織および臓器にも障害を与えるような高用量
が必要になる。
治療剤としては様々な医薬品がこれまで提案されてい
る。たとえばJournal of Nuclear Medicine,19巻、1
号、98頁、1978年には、32P標識ジホスホネートを前立
腺癌からの骨への転移癌を有する患者の治療に使用する
ことが提案されている。ジホスホネートは骨に好んで局
在し、また転移癌組織もしくはその周辺にとくに選択的
に集まることが知られているので有用である。さらに、
Mathieuら(International Journal of Applied Radiat
ion and Isotopes、30巻、725〜720頁、1979年)は、ラ
ツトモデルにおける取り込みを明らかにし、骨新生物の
治療へのレニウム−186標識ジホスホネートHEDP(HEDP
=1−ヒドロキシエチリデンホスホネート)の利用を示
唆している。類似のジホスホネート複合体がInternatio
nal Journal of Applied Radiation and Isotopes,33
巻、99〜103頁、1982年にも開示されている。
これらの文献に開示されたレニウム複合体は、しかし
ながら、レニウム複合体、非複合過レニウム酸塩、二酸
化レニウムおよび他の多くの未確認物質からなる不純な
混合物であつて、放射性医薬品としての臨床的価値は乏
しい。これらの混合物の活性成分が単離できていないこ
とから、これらの混合物の一部が実際に転移組織もしく
はその周辺に好んで集まり、照射療法が行われるかどう
かを評価することは困難であつた。
その後の研究で、高速液体クロマトグラフイー(HPL
C)を用い、186Re−ジホスホネート混合物をその成分複
合体に単離できることが明らかにされた。さらに、HPLC
単離186Re−ジホスホネート複合体が骨の病変部に集ま
ることも示された(たとえば、Nuklearmadizin,23:81〜
82、1984参照)。
この学問的研究は、HPLC単離レニウムジホスホネート
複合体が実際、骨の病変部に集まることを証明した点で
は興味深いが、広く使用できる実際の治療方法を提供す
るという点では問題がある。放射線医薬品を扱う通常の
薬局には、高速液体クロマトグラフイーのような複雑な
動作を定常的に実施する能力はないからである。
これらの研究から、単離レニウム複合体は転移癌骨組
織に集まるが、配位レニウ反応混合物の製造中に生成す
る不純物が非精製反応混合物の有効な利用を妨げること
が明らかにされた。配位レニウム複合体の単離法として
知られている既知の分離法は、放射性医薬品調剤薬局で
定常的に利用するには複雑すぎるのである。
発明の要約 本発明は、まず、非複合過レニウム酸塩、未反応リガ
ンド、二酸化レニウムならびにその他の未確認不純物を
通常含有する配位レニウムの非精製混合物を生成させる
ことにより、無菌の、パイロジエンを含まない放射性医
薬品の製造を実現するものである。この不純混合物をつ
いで、低圧もしくは重力展開カラム中イオン交換樹脂の
ような適当な分離メジウムに吸着させる。不純物の第一
の部分は、適当な溶出液、たとえばイオン交換クロマト
グラフイーにおいては低イオンモル濃度を有する水溶液
で溶出される。第二の部分は、適当な溶出液、たとえば
イオン交換クロマトグラフイーにおいては高イオン濃度
を有する水溶液で溶出される。不純物の第三の部分は溶
出されないでクロマトグラフイー樹脂上に残る。有用な
放射性薬剤は、一般に、第二の分画から集められる。こ
の放射性薬剤は、カラム上の放射性同位元素の放射能の
とくに20〜85%を含む分画であり、30〜70%を含む分画
であることがもつとも有用である。この放射能における
非配置過レニウム酸塩の含量は10%未満、二酸化レニウ
ムの含量は1%未満である。
好ましい態様における本発明の医薬品は、多座配性リ
ン含有リガンドが放射性核種に配位して生成した骨に集
中的に局在する薬剤である。好ましい放射性核種は188R
eあるいは186Reである。本発明およびその利点を、以下
の記述により、さらに詳細に説明する。
詳述な記述 本発明によれば、複合レニウムを含有する薬剤は、複
合レニウムのほかに二酸化レニウム、非配位過レニウム
酸塩、過剰のリガンドおよび多くの複雑な未確認化合物
を含む粗混合物から得られる。
放射性過レニウム酸塩は各種の方法で形成される。レ
ニウム−186は、レニウム金属(レニウム−185)を強力
な中性子照射を行うことによって形成される。通常、10
14/cm・sの中性子束の照射でレニウム−186が生成す
る。これは本技術分野においてよく知られたとおりであ
る。
レニウム−186金属は、過酸化水素、硝酸等のような
強力な酸化剤で酸化される。この場合、過レニウム酸塩
(ReO4 -)の溶液が生成する。この溶液をついで、必要
に応じて、アンモニアのような強塩基または塩酸もしく
は硫酸のような強酸で中和する。生成した溶液中には過
レニウム−186酸塩とともに、レニウム金属の酸化を副
生物および中和によつて生成した塩を含有する。
過レニウム−188酸塩の粗水溶液も、レニウム出発原
料としてレニウム−185の代わりにレニウム−187を用い
るほかは同様にして生成させることができる。さらに好
ましくは、タングステン−188/レニウム−188発生器を
たとえば食塩溶液で単に溶出することにより過レニウム
−188酸塩の粗水溶液が生成する。
得られた過レニウム塩酸は、そのまま、またはさらに
精製して使用することができる。過レニウム塩酸の精製
には、放射性核種の租水溶液を親油性対立陽イオンで処
理する。親油性用イオンは少なくともわずかに水に溶解
し、過レニウム塩酸と一緒に溶液になるものでなければ
ならない。このような例としては、テトラエチルアンモ
ニウム、テトラエチルアルソニウム、テトエチルホスホ
ニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラブチルホス
ホニウム、テトラブチルアルソニウム、テトラプロピル
アンモニウム、テトラプロピルアルソニウム、テトラプ
ロピルホスホニウム、テトラフエニルアルソニウム、テ
トラフエニルホスホニウム、テトラシクロヘキシルホス
ホニウム、テトラシクロヘキシルアルソニウム、トリメ
チルアンモニウム、ジブチルジエチルアンモニウム、ト
リブチルエチルアンモニウム、トリエチルスルホニウム
等を挙げることができる。これらは一般にハライドとく
にクロライドのような塩である。
会合した過レニウム酸塩は、放射性過レニウム塩を含
有する水性粗混合物に単に親油性対立イオンを加えるこ
とにより形成される。親油性対立イオンと会合した過レ
ニウム酸塩は、ついで選択吸収によつて水性混合物から
分離される。さらに詳しくは、溶液を逆相分離メジウム
に加え、水性成分は水で除去する。放射性過レニウム酸
塩はついでエタノール中に分離できる。この方法はDeut
schらによ“″Method of Isolating Redioactive Perrh
enate or Pertechnetate from an Aqueous Solution"と
題する特許出願第802,779号(1985年11月27日出願)に
開示されているので参照されたい。
レニウム−186放射性薬剤はかなりの量のキヤリヤ−
レニウムを含有している。したがつて、レニウム−186
放射性薬剤の製造時に存在するレニウムの総濃度は10-3
Mのオーダーである。レニウム−188の生成にW−188/Re
−188発生器を用いる場合は、レニウム−188放射性薬剤
の製造時に存在するレニウムの総濃度は10-8〜10-6Mの
オーダーにある。
得られた過レニウム酸塩を次に、骨に集中するリガン
ドに配位する。骨に集中するリガンドには一、二および
多座配位リガンドが包含される。この種のリガンドとし
てはとくにポリおよびピロホスフエート、ホスホネー
ト、ホスホナイトおよびイミドジホスフエートを挙げる
ことができる。好ましいリガンドは、 一般式 で示されるジホスホネートおよびその医薬的に許容され
る塩である。
特異的なリガンドとしては、R1はR2が以下の基である
ジホスホネートを挙げることができる。
また、式 (式中Rは一般にNH2またはC1〜C10アルキルであり、
R′およびR″は一般にHまたはC1〜C10アルキルであ
る)示されるモノホスホネートおよびその医薬的に許容
される塩も適当である。類縁のアルソネートリガンドも
適している。
これらのリガンドと会合する対立イオンは、一般的に
は、Na+のようなアルカリ金属ならびに医薬的に許容さ
れる他の任意の対立イオンである。これはもちろんよく
知られているところであつて、本発明の一部を構成する
ものではない。
骨に集まるリガンドについては、Radiopharmaceutica
ls:Progress and Clinical Perspectives,第2巻、128
〜140頁、1986年に記載されている。
次に、放射性過レニウム酸塩を還元し、選ばれたリガ
ンドと配位させる。たとえば、過レニウム酸塩の水溶液
を、リガンドおよび還元剤、さらに所望により緩衝剤お
よび/またはアスコルビン酸、ゲンチシン酸もしくはp
−アミノ安息香酸のような抗酸化剤と合する。複合体形
成反応は、選ばれたリガンドの存在下、過レニウム酸塩
を同時に還元することにより行われる。適当な還元剤と
しては塩化第一錫、水素化ホウ素ナトリウム、亜ジチオ
ン酸ナトリウム、金属錫およびホルマミジンスルフイン
酸を挙げることができる。形成した複合体は還元剤およ
びリガンドを包含した名称、たとえば186Re(Sn)HED
P、186Re(Na-BH4)MDP等のように呼ばれる。
放射性造影剤の製造については、186Re(Sn)HEDPの
例により以下に詳細に説明する。
例1 186Re(Sn)HEDPの製造には、186−過レニウム酸塩▲
186ReO- 4▼)をHEDPリガンドの存在下に第一錫イオン
によつて還元する。代表的なプレパレーシヨンはRe(75
〜100mCi 186Reとともに)0.5mg、SnCl2・2H2O 25〜30m
g、中性pHにおける第一錫塩の沈殿を防止するNa2H2HEDP
75mgおよび抗酸化剤としてアスコルビン酸10mgを含有
する。この混合物のpHはHEDPの場合3.0〜3.5が適当であ
るが、この値は他のリカンドでは異なつてくる。これら
の試薬は、本技術分野における標準的方法に従い、無菌
の、凍結乾燥キツトとすることができる。過レニウム酸
塩の水溶液を、錫−HEDP混合物と合し、加熱するかまた
は放置して数時間インキユベートする。186 Re(Sn)HEDPの場合は、通常、反応混合物を90〜100
℃に10分間加熱する。
複合体形状の程度を調べるには、ペーパークロマトグ
ラフイー法を使用できる。長さ10cm、幅約1.5cmのWhatm
an3mm濾紙片を使用する。濾紙片の1.5cm、3.0cmおよび
7.0cmのところに鉛筆で横線を引く。こ濾紙片2枚の1.5
cmのマークのところに、186Re(Sn)HEDPプレパレーシ
ヨンの小滴(1〜5μ)をスポツトする。一方の濾紙
片をアセトンで、他方は0.15M NaClで溶出する。溶媒が
濾紙片の頂部に達したとき、濾紙片を取り、乾燥し、3c
mおよび7cmのマークで切断する。2枚の濾紙片の各断片
についてNaIウエル検出器中でカウントする。複合体の
収率は、このカウントから次式によつて求める。
複合体収率(%) =100−▲%ReO- 4▼−%ReO2 (>90%であるべきである) インキユベーシヨン後、186Re(Sn)HEDPを成分に含
む複合体混合物を、適当な分離メジウムを使用して、低
圧または重力展開クロマトグラフイー操作によつて精製
する。
低圧の語は著しい高圧、一般に500〜4,000psiで操作
されるHPLCと区別する意味である。低圧は一般に40psi
未満の圧力を意味し、単に重力展開カラムが好ましい。
この種の低圧カラムHPLCに比べ効率が低いと考えられる
が、安価であり、また使用および無菌でパイロジエンを
含まない状態の維持が容易である。したがつて低圧カラ
ムで有効であれば臨床的に有用であり、HPLCは一般には
臨床的に有用ではない。
適当な分離メジウムとしては、イオン交換樹脂、イオ
ン交換膜、サイズ排除メジウム、アルミナもしくはシリ
カのような金属酸化物逆相基質等を挙げることができ
る。とくに有用な分離メジウムには、Cellex DEAE,Cell
ex QAE,Sephadex QAE,IsoRx20,Sephadex DEAE,Dowex AG
−1−MP,Dowex AG−1およびQMA等、Waters Assoc.Se
p.Pak Cartridgeとして市販されているものが包含され
る。
分離メジウムは、製造業者の指針に従い、通常、滅菌
水中に24時間保存したのち滅菌水で洗浄して調製する。
調製されたメジウムを次に、本技術分野の熟練者にはよ
く知られた技術を用いてカラムの充填に使用する。この
カラムは、輸送および放射性薬剤の製造に適当な無菌の
パイロジエンを含まない様式に調製できる(第1図)。
調製されたカラム粗186Re(Sn)HEDP混合物をロード
する。Cellex DEAEのようなイオン交換メジウムを使用
する場合はロード前に、粗混合物がイオン交換メジウム
に吸着されるように十分低いイオン強度を達成するため
に3×10-3Mアスコルビン酸溶液で希釈する。ロードし
たイオン交換カラムをまず、低イオン強度水溶液で溶出
する。この水溶液のイオン強度は(1〜10)×10-3モル
のオーダーとすることが好ましい。186Re(Sn)HEDPの
場合は、この溶液は(1〜5)×10-3Mアスコルビン酸
とする。この最初の溶出液は、不純物の除去にはカラム
容量の約3倍を通過させなければならない。
イオン交換カラムは次に高イオン強度の水溶液で溶出
する。この高イオン強度溶液は、たとえば生理食塩水、
0.10〜0.15Mリン酸ナトリウム、0.15M酢酸ナトリウム等
のような医薬的に許容される溶液であることが好まし
い。一般に、高イオン強度溶液のイオン濃度は0.10〜約
0.30モルの範囲とすべきである。溶出した組成物を安定
化するために、この溶液には、抗酸化剤としてアスコル
ビン酸、溶出生成物の安定化の補助にリガンドを少量添
加することが好ましい。溶出後のpHは医薬的に許容され
る薬剤を提供するようにまた別の反応が起こることを防
止するように保持されなければならない。pHは4〜9の
範囲とすることができるが、5〜8に維持することがも
つとも有用である。正確な値は使用したリガンドおよび
クロマトグラフイー条件によつて決定される。186Re(S
n)HEDPの場合、適当な溶出液は、0.01M Na2HEDPおよび
3×10-3Mアスコルビン酸を含有するpH5.0の0.9%NaCl
である。
一般には総レニウム放射能の25〜85%、好ましくは30
〜70%がカラムから溶出する。この放射能を別個のフラ
クシヨンに集め、もつとも高い放射比活性と化学的純度
を示すフラクシヨンを放射性薬剤として使用する。一般
に、最終の放射性薬剤は約10〜30mCi/mlの放射比活性を
有し、総容量は5〜10mlである。この放射性薬剤を次に
0.22ミクロンの滅菌濾斗、好ましくはテフロンのような
不活性材料製のもの、たとえばMillipore Corp.製の0.2
2ミクロンMillex FGまたはFluoroporeを通して濾過す
る。▲%ReO- 4▼および%ReO2を定量する適当な品質管
理処理を行つたのち、望ましいフラクシヨンを治療すべ
き患者に直接注射する。
本発明の利用法を、さらに以下の186Re(Sn)DMADの
製造に関する詳細な記述により説明する。
例2 水2mlを含有する血清バイアル中に、アスコルビン酸1
0mg、SnCl2・2H2O 25mgおよびDMAD75mgを溶解する。pH
は1〜2の範囲である(これらの試薬は本技術分野にお
ける標準方法により、無菌の凍結乾燥されたキツトとす
ることができる)。この試薬溶液に▲186ReO- 4▼を加
え、生成した混合物を90〜100℃に10分間加熱する。こ
の反応混合物について▲ReO- 4▼およびReO2を定量す
る。希釈した反応混合物をCellex DEAEカラムに添加
し、ついで3×10-3Mアルコルビン酸(pH2.2)3カラム
容量と流して不純物を除去する。次に所望の放射性薬剤
を0.01M DMADおよ3×10-3Mアルコルビン酸を含有するp
H2.2の0.9%NaClで溶出する。この溶液に滅菌NaOH溶液
を加えてpHを5〜7とし、上述したと同様にして0.22ミ
クロン濾斗を通して濾過する。
得られた放射性薬剤の品質を明らかにするため、第1
図には例1によつて得られた放射性薬剤をラツトに注射
した場合に認められる像を示す。第2図には、本発明の
方法によつて精製しておらず、Mathieuの文献“Prepara
tion of Rhenium−186 Labelled HEDP and It's Possib
le Use in the Treatment of Osseus Neoplasms"に記載
されたとほぼ同一の方法で製造された放射性薬剤を用い
た場合に得られる像を示す。
以上述べたように、本発明の方法によれば、放射性薬
剤がきわめて迅速かつ容易に得られ、また、高速液体ク
ロマトグラフイーまたはその他の高度な難しい分離技術
によつて得られる放射性薬剤と実質的に等しい成績を達
成することができる。本発明の方法は、放射性薬剤調剤
室において使用するのにとくに適していて、有用な分離
を行うのに高度な技術的能力を要しない。
本発明は、放射性薬剤調剤室において使用するための
キツトの製造にとくに適している。このキツトには、還
元剤たとえば塩化第一錫25mg、リガンドたとえばHEDP 7
5mgおよび抗酸化剤の凍結乾燥混合物のバイアル11を包
含させることが好ましい。さらにこのキツトには、分離
カラム12、収集容器13、第一の溶出液14を含有する第二
のバイアル、および第二の溶出液15を含有する第三のバ
イアルを包含すべきである。分離カラムを分離メジウム
によつて充填し、そのまま使用できるように無菌のパイ
ロジエンを含まない包装を行うこともできる。
第1図に示すように、カラムに栓をし縁曲げ加工した
金属でシールして、滅菌状態に保持する。同様にバイア
ル11も栓をし、シールする。無水エタノール1ml中レニ
ウム−186(通常、75〜100mCiの過レニウム酸塩−186を
含有するレニウム0.5mg)が上述の精製操作で得られ
る。塩化第一錫とリガンドを含むバイアル11は滅菌水2m
lで再生する。レニウム−186をバイアル11中に注入し、
得られた混合物を90〜100℃の油浴中で約10〜15分間加
熱するか、または室温に数時間放置する。この選択はリ
ガンドおよび反応pHによる。次にこの反応混合物を滅菌
分離カラム12の頂部に添加する。カラム12はたとえばCe
llex DEAEが充填されていて、三方バルブ17に接続でき
る出口16が設けられている。カラムの大きさは通常、1.
5cm I.D.×2.0cmである。
第一の位置で三方バルブ17は不要の物質を側口18を通
して排出させる。第二の位置では、物質を底部口19を通
して収集容器13に排出させる。第二の排出用開口19は皮
下用注射針21に連結させるのが好ましく、これにより所
望のフラクシヨンを直接、好ましくは真空バイアルとし
て収集容器13に集める。このバイアル13にはまた、収集
した放射性薬剤を安定化するために金属錫の小片を含有
させることもできる。
一般には3×10-3Mアスコルビン酸の第一の滅菌溶出
液約10mlをカラムに流し、排出口から排出させる。次に
第二の溶出液第10mlをバイアル15から取り、カラムの頂
部に添加する。第二の溶出液は3×10-3Mアスコルビン
酸と1×10-3Mリガンドを配合した生理食塩水とするこ
とが好ましい。この第二の溶出液約1mlを排出口を通し
て排出させ、次に、収集口を通して3〜5mlを真空バイ
アル中に捕集する。この物質を濾過すれば、直接、診断
および治療のために患者に注射することができる。キツ
トには、適当な濾斗、好ましくは0.22ミクロンのテフロ
ン濾斗を包含させることもできる。
このキツトの利点は、簡単なことと有効なことであ
る。精巧な装置を用いないで、放射性薬剤調剤室で簡単
に製造できる。精巧な分離装置によらないでも、さらに
調製、精製を必要としないで使用できる有効な放射性薬
剤が得られる。
本発明をさらに明瞭にするため、以下の臨床例におい
て、本発明の放射性薬剤と99mTc(Sn)MDPを骨へ転移癌
を有する患者の造影に使用し、比較する。99mTc(Sn)M
DPは診療所において使用されている標準的な診断用骨造
影剤である。
臨床例 前立腺癌を有し、それが骨に広がつている男性患者、
71歳に、99mTc(Sn)MDP24mCiを注射した。血管内に注
射して3時間後に、患者の骨の転位癌病変部をγ−カメ
ラを用いて造影した。得られた像を第5図に示す。
4日後、同一の患者に、例1に記載した方法によつて
製造した186Re(Sn)HEDP化合物4.9mCiを注射した。3
時間後に、再びγ−カメラを用いて患者を造影した。得
られた像を第4図に示す。血中および尿中クリアランス
186Re(Sn)HEDPの注射後72時間にわたつて調べたと
ころ、血中からのクリアランスはきわめて速やかで(3
時間後の残留量は6%未満)、22時間後までに尿中に57
%が排泄された。この試験において、注射後の血圧また
は心拍数の異常な上昇または変化は認められず、また患
者の血球数もしくは血液生化学検査にも変化はみられな
かつた。図から明らかなように、186Re(Sn)HEDPで得
られた像は、γ線放出99mTc MDPを用いて得られた像と
実質的に同一である。これは、Re複合体がβ放出体でも
あり、したがつてγ−カメラによつて得られた診断的情
報と直接関連する治療的可能性を示すので、きわめて重
要である。すなわち、得られた像は適用した照射用量の
正確な指示を与える。一般に、診断的応用に際しては15
〜20mCiまでの186Re(Sn)HEDPが使用できる。
治療的使用に際しては、骨髄の不可逆的破壊を防止す
るために、骨髄に与えられる用量が100rad未満になるよ
うにする。しかしながら、重症例においては、骨髄をあ
る程度犠牲にしても、転位癌病変部の治療のためにさら
に大用量を使用することができる。一般には骨髄照射が
100rad未満になるような投与量が好ましい。患者によつ
てはもつと大量の放射能投与を要し、186Re(Sn)HEDP
数百mCiまでの静脈内注射が行われる。患者の血球数が
適切であれば、数カ月後にこの治療を反復することもで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に使用するキツトの分解図である。第2
〜5図は生物の形態を示す写真である。第2図は本発明
の放射性薬剤で得られたラツトの造影像である。第3図
は非精製放射性薬剤で得られたラツトの造影像である。
第4図は本発明の放射性薬剤を用いて得られたヒト頭蓋
骨前頂部の像である。第5図は標準的骨造影剤である
99mTc(Sn)MDPを用いて得られたヒト頭蓋骨前頂部の像
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 カレン エフ.リブソン アメリカ合衆国オハイオ州シンシナテ ィ,シャラン レーン 6638 (72)発明者 アラン ケットリング アメリカ合衆国ミズーリ州アッシュラン ド バス ストリート,ピー,オー.ボ ックス 258 (56)参考文献 米国特許4414145(US,A) 欧州特許出願公開183555(EP,A)

Claims (31)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リガンドと複合体を形成した放射性過レニ
    ウム酸塩、ReO2および過剰のリガンドの水性複合混合物
    から無菌の、パイロジエンを含まない放射性薬剤を製造
    するにあたり、上記混合物を分離メジウムに加え、上記
    混合物の望ましくない第一部分を溶出液で低圧において
    溶出して不純物を除去し、ついで上記混合物の所望の第
    二部分を医薬的に許容される溶出液で溶出して上記カラ
    ム上のReの放射能の約20〜85%を有しさらに非配位過レ
    ニウム酸塩含量10%未満、ReO2含量1%未満の上記第二
    部分の分画を集めることを特徴とする方法
  2. 【請求項2】分離メジウムはイオン交換メジウムであ
    り、第一の溶出液のイオン強度は約1×10-3M未満、医
    薬的に許容される溶出液のイオン強度は少なくとも約0.
    1Mである特許請求の範囲第1項に記載の方法
  3. 【請求項3】医薬的に許容される溶出液は食塩水、リン
    酸ナトリウム水溶液および酢酸ナトリウム水溶液よりな
    る群から選ばれる特許請求の範囲第2項に記載の方法
  4. 【請求項4】医薬的に許容される溶出液にはさらに抗酸
    化剤を含有させる特許請求の範囲第3項に記載の方法
  5. 【請求項5】抗酸化剤はアスコルビン酸、ゲンチシン酸
    およびp−アミノ安息香酸よりなる群から選ばれる特許
    請求の範囲第4項に記載の方法
  6. 【請求項6】ReはRe188である特許請求の範囲第1項に
    記載の方法
  7. 【請求項7】ReはRe186である特許請求の範囲第1項に
    記載の方法
  8. 【請求項8】医薬的に許容される溶出液にはさらに遊離
    リガンドを含有させる特許請求の範囲第3項に記載の方
  9. 【請求項9】リガンドはポリホスフェート、ピロホスフ
    ェート、ホスホネート、ジホスホネート、イミドジホス
    フェート、ポリホスホネートおよびアルソネートよりな
    る群から選ばれるリガンドの1種である特許請求の範囲
    第1項に記載の方法
  10. 【請求項10】特許請求の範囲第1項に記載の方法によ
    って単離された第二の分画からなる放射性薬剤
  11. 【請求項11】特許請求の範囲第2項に記載の方法によ
    って単離された第二の分画からなる特許請求の範囲第10
    項の放射性薬剤
  12. 【請求項12】特許請求の範囲第3項に記載の方法によ
    って単離された第二の分画からなる特許請求の範囲第10
    項の放射性薬剤
  13. 【請求項13】特許請求の範囲第4項に記載の方法によ
    って単離された第二の分画からなる特許請求の範囲第10
    項の放射性薬剤
  14. 【請求項14】特許請求の範囲第5項に記載の方法によ
    って単離された第二の分画からなる特許請求の範囲第10
    項の放射性薬剤
  15. 【請求項15】特許請求の範囲第6項に記載の方法によ
    って単離された第二の分画からなる特許請求の範囲第10
    項の放射性薬剤
  16. 【請求項16】特許請求の範囲第7項に記載の方法によ
    って単離された第二の分画からなる特許請求の範囲第10
    項の放射性薬剤
  17. 【請求項17】特許請求の範囲第8項に記載の方法によ
    って単離された第二の分画からなる特許請求の範囲第10
    項の放射性薬剤
  18. 【請求項18】特許請求の範囲第9項に記載の方法によ
    って単離された第二の分画からなる特許請求の範囲第10
    項の放射性薬剤
  19. 【請求項19】放射性過レニウム酸塩からパイロジエン
    を含まない放射性薬剤を形成させ単離するためのキット
    において、リガンドと上記過レニウム酸塩を還元し上記
    リガンドのReへの配位を行うのに有効な還元剤を含有す
    る第一のバイアル;カラムおよび分離メジウム;上記カ
    ラムに上記メジウムを充填し、リガンド複合放射性過レ
    ニウム酸塩、ReO2およびリガンドからなる溶液を上記カ
    ラムに添加した場合、上記カラムから不純物を選択的に
    除去できる第一の溶出液を含有する第二のバイアル;放
    射性レニウム複合体を上記カラムから選択的に除去で
    き、医薬的に許容される第二の溶出液を含有する第三の
    バイアルからなるキット
  20. 【請求項20】メジウムはカラム中に充填されている特
    許請求の範囲第19項に記載のキット
  21. 【請求項21】メジウムはイオン交換樹脂からなる特許
    請求の範囲第19項に記載のキット
  22. 【請求項22】第一の溶出液は低イオン濃度の水溶液か
    らなり、医薬的に許容される溶出液は高イオン濃度の水
    溶液からなる特許請求の範囲第21項に記載のキット
  23. 【請求項23】リガンドおよび還元剤は凍結乾燥されて
    いる特許請求の範囲第19項に記載のキット
  24. 【請求項24】第二のバイアルはさらに抗酸化剤を含有
    する特許請求の範囲第22項に記載のキット
  25. 【請求項25】抗酸化剤はアスコルビン酸、ゲンチシン
    酸およびp−アミノ安息香酸よりなる群から選ばれる特
    許請求の範囲第24項に記載のキット
  26. 【請求項26】第三のバイアルはさらに遊離リガンドを
    含有する特許請求の範囲第19項に記載のキット
  27. 【請求項27】リガンドは主としてポリホスフェート、
    ピロホスフェート、ホスホネート、ジホスホネート、ポ
    リホスホネート、イミドジホスフェートおよびアルソネ
    ートよりなる群から選ばれる特許請求の範囲第19項に記
    載のキット
  28. 【請求項28】カラムにはさらに第一の排出口と第二の
    排出口を有する三方バルブに接続した出口を設けた特許
    請求の範囲第19項に記載のキット
  29. 【請求項29】さらに第二の排出口に固定するように適
    用されたシリンジ針を設け、キットはさらに真空密栓バ
    イアルを包含する特許請求の範囲第28項に記載のキット
  30. 【請求項30】さらに真空収集バイアルを包含する特許
    請求の範囲第19項に記載のキット
  31. 【請求項31】収集バイアルには金属錫の小片を含有さ
    せた特許請求の範囲第30項に記載のキット
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