JP2502561Y2 - 線材巻取装置 - Google Patents

線材巻取装置

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JP2502561Y2
JP2502561Y2 JP6599193U JP6599193U JP2502561Y2 JP 2502561 Y2 JP2502561 Y2 JP 2502561Y2 JP 6599193 U JP6599193 U JP 6599193U JP 6599193 U JP6599193 U JP 6599193U JP 2502561 Y2 JP2502561 Y2 JP 2502561Y2
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良輝 中島
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株式会社マルサン機械
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、伸線機等において所
定長さの線束を得るために線材を巻取切断する線材巻取
装置に関し、特に巻き取る線材の始端の飛び跳ねの防止
に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような線材巻取装置は、線材
を巻き取るための巻取ドラムと、この巻取ドラムに所定
長さの線束を得るために、巻取ドラム上で巻き付けられ
た線材を貯線する貯線アームと、この貯線アームを巻取
ドラム上で昇降させるための昇降機構と、貯線アーム上
で貯線された線束を下側へ落下させるために、貯線アー
ムを巻取ドラムに対して出没自在に切替える切替え機構
と、貯線アーム上の線束を所定長さに切断する切断機構
と、巻取ドラムから落下した線束を受けるための線束受
け台とを備えている。
【0003】上記の如く構成された線材巻取装置におい
ては、伸線された、あるいは所定の線材供給台より巻取
ドラムに供給された線材を、押えローラによりドラムの
周壁に押えながら巻取り、コイル状に巻き取られた線材
を貯線アームで受け、巻取ドラムの巻取部から貯線部へ
の落下位置を一定にするため、貯線アームを徐々に下降
させながら、所定長さの線束になるまで貯線する。貯線
アーム上で所定長さの線束が得られたならば、その終端
を切断機構により切断し、この貯線された線材を線束受
け台に落下させ、結束処理を行って所定長さの線束を得
るようにしている。
【0004】この一連の線材処理において、巻取ドラム
への巻取時に、巻取ドラムの回転遠心力及び線材の復元
力により、始端が巻取ドラムから外方向へ飛び出し、所
望径の線束が得られないおそれがあるので、従来の線材
巻取装置においては、線材の始端が貯線部で最も内側に
位置するように、線材を巻取ドラムに巻き取る前に、ベ
ンディング機構により、線材の切断部に相当する部分に
予め輪癖を付けていた(実開平1−36308号公報参
照)。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】ところで、上記公報記
載の線材巻取装置においては、線材の始端が貯線部で最
も内側に位置するように、線材の切断部に輪癖をつける
場合には、ベンディング機構が必要となるばかりか、こ
れを作動させるタイミング制御も必要となり、その機構
が複雑になり、線材巻取装置が高価となるという難点が
ある。また、線材のベンド角の設定も所望の線束径によ
り変更しなければならず、その操作が非常に煩雑となる
という難点がある。
【0006】しかも、線材の始端及び終端は、輪癖が付
けられているので、この線材巻取装置により得られた線
束を使用するときには、その線束の始端及び終端も使用
に供するには矯正しなければならず、その煩雑さのた
め、いきおい線材の始端及び終端は切断して、これらを
使用していないのが現状であり、そのため、線材の切断
部に輪癖を付けない機構の出現が望まれるている。
【0007】さらに、従来の線材巻取装置では、貯線ア
ームを巻取ドラムに対して出没自在に切替えるため、複
数の貯線アームを巻取ドラムの周囲に間隔をおいて配置
しているので、線材の始端が貯線アーム間から下側へ垂
れ下がり、線材の切断部に輪癖を付けない場合、その始
端が外方向への飛び出すおそれがある。そのため、線材
の始端に輪癖を付けない場合、始端が貯線アーム間から
下側へ飛び出さない工夫も望まれているところである。
【0008】そこで、この考案の目的とするところは、
従来のベンディング機構に代わる簡単な構成の追加によ
り、線材の切断部に輪癖を付けないで、線材の始端の飛
び出しを防止し得る線材巻取装置を提供するところにあ
る。さらに、この考案の目的とするところは、線材の始
端に輪癖を付けない場合でも、線材の始端が貯線アーム
間から下側へ突出するのを防止することができる線材巻
取装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請
求項1記載の考案に係る線材巻取装置は、線材を巻き取
るための巻取ドラムと、この巻取ドラムに所定長さの線
束を得るために、巻取ドラムの外周部に水平方向で互い
に所定間隔をおいて配置された複数の貯線アームと、こ
の貯線アームを巻取ドラム上で昇降させるための昇降機
構と、貯線アーム上に貯線された線束を下側へ落下させ
るために、貯線アームを巻取ドラムに対して出没自在に
切替える切替え機構と、貯線アーム上の線束を所定長さ
に切断する切断機構と、巻取ドラムから落下した線束を
受けるための線束受け台とを備えており、更に巻取ドラ
ムの外周部に配置され貯線アームに係合して巻取ドラム
上を昇降する線材飛出し防止筒と、この防止筒を貯線ア
ームの巻取ドラムへの没入姿勢で保持するための筒受け
とを設けたことを特徴としている。
【0010】この最適な実施態様としては、防止筒の下
端面に貯線アームの外端部を係脱自在に係合するための
切込み孔を形成し、貯線アームの外端部を貯線面よりも
下側に位置させるべく略L字形に折曲形成するか(請求
項2)、または切込み孔を上下方向に長く形成すること
により(請求項3)、貯線アームの貯線面よりも下側に
防止筒の下端内周面を配置した構成も採用可能である。
【0011】
【作用】上記のように、伸線された、あるいは所定の線
束供給台より巻取ドラムに供給された線材を、押えロー
ラにより巻取ドラムの周壁に押えながら巻取り、このコ
イル状に巻き取られた線材を貯線アームで受け、巻取ド
ラムの巻取部から貯線部への落下位置を一定にするた
め、昇降機構で貯線アームを徐々に下降させながら、所
定長さの線束になるまで貯線する。貯線アーム上で所定
長さの線束が得られたならば、その終端を切断機構によ
り切断し、この貯線された線材を線束受け台に落下さ
せ、結束処理を行って所定の線束を得る。
【0012】この一連の線材処理において、線材の巻取
ドラムへの巻取時に、線材の始端は、飛出し防止筒の内
周壁に当たり、巻取ドラムの回転遠心力および線材の復
元力により、線材が外方向へ飛出そうとするのを防止す
る。しかも、線材がコイル状に複数回巻き取られたなら
ば、線材の始端は上層に積み重ねられた後続の線材の自
重により上方から押えられ、外方向への飛出しが抑えら
れる。
【0013】また、上記最適な実施態様の如く、複数の
貯線アームは、巻取ドラムの外周部に間隔をおいて配置
されているので、貯線アーム間に線材の始端が垂れ下が
り、防止筒から飛出すおそれがあるが、貯線アームの防
止筒の下端面と係合する外端部を貯線面よりも下側に位
置させるか、または、防止筒の切込み孔を上下方向に長
く形成しているので、防止筒の下端内周面で線材の始端
が垂れ下がって防止筒から飛出すのを抑えることができ
る。
【0014】
【実施例】以下、添附図面に示した実施例について説明
する。図1ないし図10は、この考案に係る線材巻取装
置の一実施例を示すもので、図1は巻取装置の全体を示
す正面断面図、図2は巻取ドラムと飛び出し防止筒の概
略斜視図、図3は飛出し防止筒の斜視図、図4は貯線ア
ームの出没姿勢の切替え機構を示す斜視図、図5は同じ
く貯線アームと巻取ドラムとの底面図、図6は切断機構
の斜視図、図7は線材の巻取り初期の状態を示す概略正
面図、図8は線材貯線アームの貯線姿勢を示す概略正面
図、図9はキャリアへの受渡し直前の状態を示す概略正
面図、図10はキャリアに受渡された線束を受け台に落
下させる状態を示す正面図である。
【0015】図示の如く、この考案に係る線材巻取装置
1は、図示しない伸線機や線材供給台からダンサローラ
2,3,4及びガイドローラ5を介して供給された線材
Aを巻取るための巻取ドラム6と、この巻取ドラム6を
回転駆動する回転駆動機構7と、所定長さの線束を得る
ために、巻取ドラム6上でコイル状に巻き取られた線材
Aを貯線する貯線アーム8と、この貯線アーム8を巻取
ドラム6上で昇降させるための昇降機構9と、貯線アー
ム8上で貯線された線束を下側へ落下させるために、貯
線アーム8を巻取ドラム6に対して出没自在に切替える
切替え機構10と、貯線アーム8上の線束を所定長さに
切断する切断機構11と、巻取ドラム6から落下した線
束を受けるための線束受け台12と、巻取ドラム6の外
周部に配置され貯線アーム8に係合して巻取ドラム6上
を昇降する線材飛出し防止筒13と、この防止筒13を
貯線アーム8の巻取ドラム6への没入姿勢で保持するた
めの筒受け14とを備えている。
【0016】巻取ドラム6は、図2の如く、円筒状に形
成されたものであり、上部の巻取部15と下部の貯線部
16とから構成され、上部の巻取部15には、その中央
部に線材を巻取ドラム6に導くための上下一対のフラン
ジ17,18が形成され、その下側にフランジ17,1
8間に導かれた線材Aをガイドローラ5を介してフラン
ジ18の下側巻取部15に再び導くように構成されてい
る。この巻取部15には、フランジ18の下側で線材A
を押さえる押えローラ20が配置されている。また、巻
取ドラム6の周囲には、押えローラ20の下流側に一対
のリングガイド21,22が配置されている。このリン
グガイド21,22は、押えローラ20よりも巻取ドラ
ム6の回転方向下流側で切断機構11よりも上流側で装
置本体1aに固定されている。
【0017】巻取ドラム6の貯線部16は、巻取部15
よりも小径に形成されており、その周面には、4本の貯
線アーム8を昇降自在に案内する案内溝23が巻取部1
5の下端部まで形成されている。
【0018】この巻取ドラム6の回転駆動機構7は、図
1の如く、装置本体1aに固定の外筒25に回転自在に
支持され巻取ドラム6の上端部を内嵌固定する中筒26
と、装置本体1aに固定されたサーボモータ27と、こ
のサーボモータ27のモータ軸及び中筒26の上端に夫
々嵌合固定されたプーリ28,29と、両プーリ28,
29に掛け渡されたエンドレスベルト30とを備えてい
る。サーボモータ27は、伸線機等からの線材供給速度
に応じて巻取ドラム6を回転駆動するためのものであ
る。
【0019】また、押えローラ20は、図2の如く、装
置本体1aに縦軸31を介して揺動自在に支持された押
えレバー32の先端に回転自在に設けられ、その駆動力
は、押えローラ20のローラ軸の延長上に固定され巻取
ドラム6の周面に当接する従動ローラ33から得られる
ものである。また、押えローラ20を巻取ドラム6の周
面に対して接触離間自在に揺動させるエアシリンダ35
が、押えレバー32の基端部に連結されている。
【0020】次に、貯線アーム8について説明すると、
貯線アーム8は、図4の如く、巻取ドラム6の貯線部1
5に形成された4本の貯線アーム案内溝23に沿って案
内されるものであり、この貯線アーム8を昇降させる昇
降機構9は、図1の如く、貯線部15の内周面に沿って
摺動自在に昇降する昇降体37と、この昇降体37の下
面に固定された貯線アーム支持用のL字形のブラケット
38と、昇降体37の中央部に回転自在に嵌合された連
結軸39と、この連結軸39の上端に連結された主軸4
0と、この主軸40を上下動自在でかつ回転不能に内嵌
し装置本体1aに固定された内筒41と、この内筒41
に回転自在に内嵌されかつ前記主軸40の上端ねじ部4
2を螺合する伝達プーリ43と、この伝達プーリ43を
駆動プーリ44及びベルト45を介して回転駆動する交
流モータ46とを備えている。
【0021】貯線アーム8は、図4の如く、略へ字形に
形成されるとともに、その中央部が前記ブラケット38
に軸48を介して回転自在に支持され、その外端部50
が上端貯線面51よりも下側に位置させるべく略L字形
に折曲形成されている。また、貯線アーム8の内端部に
は、案内溝23の側壁に形成された案内壁54を転動す
る案内ローラ55が軸支されている。
【0022】この貯線アーム8の切替え機構10は、図
4の如く、巻取ドラム6の下端部において、案内壁54
の一部に形成された切欠56と、前記案内ローラ55と
により構成されている。なお、貯線アーム8は、その軸
48より外端部50が内端部57よりも重く、即ち、貯
線アーム8の自由状態で、外端部50が下方へ揺動する
ように回転モーメントが設定されている。従って、案内
ローラ55が切欠56に位置したとき、図9及び図10
の如く、外端部50が下方へ揺動して巻取ドラム6の周
面から案内溝23内へ没入するように構成されている。
【0023】次に、切断機構11について説明すると、
この切断機構11は、図6の如く、巻取ドラム6の巻取
部15の外周部に配置された切刃部60と、この切刃部
60を巻取ドラム6に対して接触離間自在に駆動するエ
アシリンダ61と、切刃部60に対向して巻取ドラム6
の周面に形成された嵌合孔62と、この嵌合孔62の底
面に形成され切刃部60の切刃63のみを嵌合する切刃
孔64と、切刃部60の外周部に突出された位置決めピ
ン65と、この位置決めピン65を嵌合するように嵌合
孔62の周囲に形成された位置決め孔66とを備え、前
記切刃孔64の孔壁で線材Aを切断し、かつ後述の如く
線材Aが受け台12に受け渡されるまで、嵌合孔62に
止まり線材Aの切断部60を保持するように構成されて
いる。
【0024】前記線束受け台12は、図1の如く、複数
本のパイプ材を折曲形成することにより、正面視ハット
状に形成されており、その底面12aで線束を受けるよ
うに構成され、その中央ボス部67が受け台転倒用の支
持軸68に嵌合されている。この支持軸68は、線束受
け位置と結束転倒位置との間で移動する台車69上のブ
ラケット70に横軸71周りに回動自在に支持されてお
り、台車69上の転倒シリンダ72により、起立姿勢と
転倒姿勢とに切替え自在とされている。なお、台車69
は移動シリンダ73により駆動される。
【0025】次に、この考案の特徴である線材飛出し防
止筒13について説明する。この防止筒13は、図1及
び図3の如く、巻取ドラム6よりも大径に形成され、巻
取ドラム6に遊嵌状態で嵌合されたものであり、その上
端部に筒受け14の中央穴壁に係合するために外側へ突
出する外フランジ74が形成されている。また、防止筒
13の下端面には、貯線アーム8の外端部50を嵌合す
るための複数の切込み孔75が貯線アームに対応して形
成されている。従って、貯線アーム8の外端部50を上
端貯線面51よりも下側に位置させるべく略L字形に折
曲形成しているので、図7の如く、貯線アーム8の上端
貯線面51が防止筒13の上下方向でほぼ中央部に配置
されることになり、防止筒13の上部内周面77が線材
Aの始端飛出し防止機能と貯線機能を兼ね備え、下部内
周面78が垂れ下がった線材Aの始端飛出し防止機能を
有することになる。
【0026】この防止筒13は、上記の如く貯線アーム
8に係合しているのみであり、そのため、貯線アーム8
の巻取ドラム6への没入姿勢で落下してしまうので、貯
線アーム8の没入姿勢で防止筒13を保持するための筒
受け14が設けられている。この筒受け14は、図1及
び図2の如く、巻取ドラム6の下端部において、巻取ド
ラム6を遊嵌する中央穴79を有し、装置本体1aに固
定されている。
【0027】また、巻取ドラム6の下端部と受け台12
の底面との間には、相当落下高さがあるため、巻取ドラ
ム6上の線束を受け台12まで搬送するキャリア80が
設けられている。このキャリア80は、受け台12を回
避可能な穴部を有し、昇降シリンダ81(図1参照)に
より昇降可能とされている。
【0028】なお、図1において、符号84は、巻取ド
ラム6の回転ロック用シリンダ、85はダンサローラ
2,3,4とガイドローラ5との間に介在された線材保
持用のエアシリンダである。
【0029】次に、上記の如く構成された線材巻取装置
1の動作を説明する。線材Aの始端A1は、予め、線材
供給台あるいは伸線機からダンサローラ2,3,4を通
して巻取ドラム6の上部に導き、さらに、ガイドローラ
5から押えローラ20と巻取ドラム6との間を通して、
リングガイド21,22のガイド孔に通しておく。この
状態で、貯線アーム8を上昇位置にセットしておく。こ
の状態を図7に示す。そして、伸線機等の供給速度に応
じて巻取ドラム6を回転すると、この巻取ドラム6の回
転に伴って、ドラム周面と押えローラ20とで挟持され
た線材がガイド孔を通して送り出されてくる。この送り
出されてくる線材Aの始端は、貯線アーム8上に載置さ
れるが、このとき、巻取ドラム6の外周部に防止筒13
があるため、始端が防止筒13の内周壁77,78に当
たり、巻取ドラムの回転による遠心力等で外方向へ飛出
すのを防止することができる。
【0030】また、貯線アーム8が複数本巻取ドラムの
周面に配されているだけであるため、線材の巻き始め
に、線材Aの始端A1が貯線アーム8の間から下方へ垂
れ下がる可能性があるが、貯線アーム8の貯線面51が
防止筒13のほぼ中央位置にあるため、線材Aの始端A
1が垂れ下がっても防止筒13の下端内周面78で始端
A1の飛出しを抑えることができる。
【0031】さらに、巻取ドラム6が回転して線材Aが
コイル状に巻かれていくと、コイル状の線材Aが防止筒
13内に積み重ねられていくことになり、複数巻きの線
束による自重により、始端A1が上方から押えられ、始
端A1の飛出しをさらに防止することができる。
【0032】このコイル状の線材Aの巻取が順次進行す
ると、リングガイド21,22から下方の貯線部16に
ある線束の最上端までの高さが小さくなるので、これを
一定にして所望のコイル径の線束を得るため、線束の積
み重ね状態を光センサ等で検知し、貯線アーム8を徐々
に下降させるように昇降機構9を制御する。
【0033】この貯線アーム8の下降制御は、光センサ
からの信号に基づいて、昇降用の交流モータ46を駆動
し、プーリ43,44を回転させ、伝達プーリ43の中
心部に螺合するねじ部42を有する主軸40を下降させ
る。主軸40の下降により、その下端に連結された昇降
体37が下降し、これにブラケット38を介して支持さ
れた貯線アーム8が下降することになる。
【0034】この貯線アーム8の下降により、所定長さ
の線材Aが貯線部16に貯線されたならば、巻取ドラム
6の回転駆動を停止し、切断機構11の切刃部60を巻
取ドラム6の周面にある嵌合孔62に嵌合し、線材Aを
切断するとともに、嵌合孔62に嵌合したまま切刃部6
0を保持する。
【0035】そして、更に昇降機構9を駆動して、貯線
アーム8を下降し、その内端のローラ55が案内溝23
の案内壁54を転動し、図7の状態から図8に示すよう
に、巻取ドラム6の下端部にある切欠56にまで達する
と、図9の如く、案内ローラ55が切欠56内に入り、
貯線アーム8は、その外端部50が重いため、軸48を
中心に下方への揺動し、図10の如く、貯線アーム8の
外端部50が完全に案内溝23の内部に没入した状態に
なる。従って、この状態で貯線部16の線束Aを巻取ド
ラム6から落下させてキャリア80に載置することがで
きる。
【0036】線束Aをキャリア80に載置したならば、
線束の終端を切断機構11で保持したまま、キャリア8
0を受け台12の底面12aまで昇降シリンダ81によ
り下降させ、線束を受け台12の底面12aで受ける。
このとき、同時に切断機構11を巻取ドラム6から離間
させ、線束の終端を受け台12まで落下させる。その
後、キャリア80を受け台12の底面よりも下側まで下
降すれば、キャリア80から受け台12に線束が受け渡
される。そして、受け台12を移動シリンダ73で転倒
位置まで移動させ、転倒シリンダ72で受け台12を転
倒させて結束処理を行い、受け台12から取り外す。
【0037】その後、受け台12を起立姿勢に切り替え
るとともに元の線束受け位置に復帰させ、これと同時に
昇降機構9を駆動すれば、貯線アーム8の案内ローラ5
5が切欠56の孔壁を伝って案内壁54に至り、貯線ア
ーム8は貯線姿勢に復帰する。更に、昇降機構9を作動
させて昇降体37を上昇すれば、貯線アーム8が筒受け
14上に保持された防止筒13の切込み孔75に係合
し、貯線アーム8の上昇とともに防止筒13も上昇位置
に復帰する。
【0038】一方、切断機構11で切断された線材Aの
始端は、押えローラ20およびリングガイド21,22
で巻取ドラム6の巻取部15の周面に沿って停止した状
態にあるため、防止筒13及び貯線アーム8を上昇位置
に復帰させれば、線材の始端が防止筒13の内部に位置
することになる。従って、防止筒13及び貯線アーム8
を上昇位置に復帰させた後、再び、巻取ドラム6を回転
させれば、線材Aの巻取運転を再開させることができ、
以後の動作においても線材Aの始端が巻取ドラム6の回
転遠心力によって外方向へ飛出すのを防止することがで
きる。
【0039】なお、上記の実施例では、貯線アーム8の
上端貯線面51を防止筒13の上下方向でほぼ中央部に
配置するために、貯線アーム8の外端部50を上端貯線
面51よりも下側に位置させるべく略L字形に折曲形成
したが、防止筒13の切込み孔75を上下方向に長く形
成して、貯線アーム8との係合時に上端貯線面50が防
止筒13のほぼ中央に位置するようにしてもよい。ま
た、飛出し防止筒13は、上記実施例のごとき構造のも
のに限らず、編み状に編成したものや、円周方向に多数
の防止杆を配列したものであってもよい。即ち、防止筒
13は、その周壁に孔または空隙が存在する部材で構成
されていても、線材の始端の飛出しを防止できるもので
あればよい。
【0040】更に、上記実施例においては、所定の長さ
を周長の判ったローラ等を通してその回転数から長さを
測定したりしているが、線材の長さの代わりに、モータ
27から検知された回転数に基いて、所定の巻き数にな
ったときに線材を切断するように構成してもよい。
【0041】
【考案の効果】以上詳述したところから明らかな通り、
請求項1記載の考案に係る線材巻取装置によると、線材
の始端の飛出しを防止する防止筒を設けたから、簡単な
構造の部材で、線材の始端が巻取ドラムの回転遠心力に
より外方向へ飛出すのを防止することができる。
【0042】また、貯線アームと防止筒の係合関係を、
請求項2の如く貯線アームの外端部を上端貯線面よりも
下側に位置させるべく略L字形に折曲形成するか、また
は、請求項3の如く防止筒の切込み孔を上下方向に長く
形成するように構成すれば、貯線アームが間隔をおいて
配置されていても、防止筒の下端内周面が飛出し防止壁
として機能するため、有効に線材の始端の飛出しを防止
することができるといった優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案に係るに線材巻取装置の一実施例を示
す正面断面図
【図2】巻取ドラムと飛出し防止筒の概略斜視図
【図3】飛出し防止筒の斜視図
【図4】貯線アームの切替え機構を示す斜視図
【図5】貯線アーム及び巻取ドラムの底面図
【図6】切断機構の斜視図
【図7】線材の巻取り初期の状態を示す概略正面図
【図8】線材貯線アームの貯線姿勢を示す概略正面図
【図9】キャリアへの受渡し直前の状態を示す概略正面
【図10】キャリアに受渡された線束を受け台に落下さ
せる状態を示す正面図
【符号の説明】
1 線材巻取装置 5 ガイドローラ 6 巻取ドラム 7 回転駆動機構 8 貯線アーム 9 昇降機構 10 切替え機構 11 切断機構 12 受け台 13 飛出し防止筒 14 筒受け 50 外端部 51 貯線面 75 切込み孔 78 下端内周面 80 キャリア

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線材を巻き取るための巻取ドラムと、こ
    の巻取ドラムに所定長さの線束を得るために、巻取ドラ
    ムの外周部に水平方向で互いに所定間隔をおいて配置さ
    れた複数の貯線アームと、この貯線アームを巻取ドラム
    上で昇降させるための昇降機構と、貯線アーム上に貯線
    された線束を下側へ落下させるために、貯線アームを巻
    取ドラムに対して出没自在に切替える切替え機構と、貯
    線アーム上の線束を所定長さに切断する切断機構と、巻
    取ドラムから落下した線束を受けるための線束受け台と
    を備えた線材巻取装置において、 巻取ドラムの外周部に配置され貯線アームに係合して巻
    取ドラム上を昇降する線材飛出し防止筒と、この防止筒
    を貯線アームの巻取ドラムへの没入姿勢で保持するため
    の筒受けとを設けたことを特徴とする線材巻取装置。
  2. 【請求項2】 前記防止筒の下端面に貯線アームの外端
    部を係脱自在に係合するための切込み孔を形成し、前記
    貯線アームの外端部を貯線面よりも下側に位置させるべ
    く略L字形に折曲形成することにより、貯線アームの貯
    線面よりも下側に防止筒の下端内周面を配置したことを
    特徴とする請求項1記載の線材巻取装置。
  3. 【請求項3】 前記防止筒の下端面に貯線アームの外端
    部を係脱自在に係合するための切込み孔を形成し、この
    切込み孔を上下方向に長く形成することにより、貯線ア
    ームの貯線面よりも下側に防止筒の下端内周面を配置し
    たことを特徴とする請求項1記載の線材巻取装置。
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