JP2502344B2 - 複合酸化物超電導体薄膜の作製方法 - Google Patents

複合酸化物超電導体薄膜の作製方法

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    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は複合酸化物超電導体薄膜の製造方法に関する
ものである。より詳細には、高い超電導臨界温度を有し
且つ均一な組成を有する複合酸化物超電導体薄膜の作製
方法に関するものである。
従来の技術 電子の相転移であるといわれる超電導現象は、特定の
条件下で導体の電気抵抗が零の状態となり完全な反磁性
を示す現象である。
超電導現象の代表的な応用分野であるエレクトロニク
スの分野では、各種の超電導素子が提案され、また開発
されている。代表的なものとしては、超電導材料どうし
を弱く接合した場合に、印加電流によって量子効果が巨
視的に現れるジョセフソン効果を利用した素子が挙げら
れる。また。トンネル接合型ジョセフソン素子は、超電
導材料のエネルギーギャップが小さいことから、極めて
高速な低電力消費のスイッチング素子として機体されて
いる。さらに、電磁波や磁場に対するジョセフソン効果
が正確な量子現象として現れることから、ジョセフソン
素子を磁場、マイクロ波、放射線等の超高感度センサと
して利用することも期待されている。超高速電子計算機
では、単位面積当たりの消費電力が冷却能力の限界に達
してきているため、超電導素子の開発が要望されてお
り、さらに、電子回路の集積度が高くなるにつれて、電
流ロスの無い超電導材料を配線材料として用いることが
要望されている。
しかし、様々な努力にもかかわらず、超電導材料の超
電導臨界温度Tcは長期間に亘ってNb3Geの23Kを越えるこ
とができなかった。
ところが、1986年に、ベドノーツおよびミューラー達
によって高いTcをもつ複合酸化物系の超電導材料が発見
されるにいたって、高温超電導の可能性が大きく開けて
きた(Bednorz,Muller,“Z.Phys.B64(1986)189")。
これまでにも、複合酸化物系のセラミック材料が超電
導特性を示すということ自体は既に公知であり、例え
ば、米国特許第3,932,315号には、Ba−Pb−Bi系の複合
酸化物が超電導特性を示すということが記載されてお
り、また、特開昭60−173,885号公報にはBa−Bi系の複
合酸化物が超電導特性を示すということが記載されてい
る。しかし、これまでに知らされていた複合酸化物のTc
は10K以下であり、超電導現象を起こさせるには液体ヘ
リウム(沸点4.2K)を用いる以外なかった。
ベドノーツおよびミューラー達によって発見された酸
化物超電導体は(La,Ba)2CuO4で、この酸化物超電導体
は、K2NiF4型酸化物と呼ばれるもので、従来から知られ
ていたペロブスカイト型超電導酸化物と結晶構造が似て
いるが、そのTcは従来の超電導材料に比べて飛躍的に高
い約30Kという値である。
更に、1987年2月になって、チュー達によって90Kク
ラスの臨界温度を示すBa−Y系の複合酸化物が発見され
た。このYBCOと称されるBa−Y系の複合酸化物はY1Ba2C
u3O7-xで表される複合酸化物である。
続いて発見されたBi−Sr−Ca−Cu系およびTl−Ba−Ca
−Cu系複合酸化物は、Tcが100K以上であるばかりでな
く、化学的にも安定しており、YBCO等のような超電導特
性の経時的劣化が少ない。
これらの新しい複合酸化物系超電導材料の発見によっ
て高温超電導体実現の可能性が俄かに高まっている。
これら複合酸化物超電導体の超電導特性には、結晶中
の酸素欠陥が大きな役割を果たしている。すなわち、結
晶中の酸素欠陥が適正でないと、Tcは低く、また、オン
セット温度と抵抗が完全に0となる温度との差も大きく
なる。
従来、上記複合酸化物超電導体薄膜を作製する際に
は、焼結等で生成した酸化物を蒸着源としたスパッタリ
ング法のような物理蒸着により成膜した後、酸素雰囲気
中で熱処理を行うか、酸素プラズマに曝す等の処理を行
っていた。
発明が解決しようとする課題 上記の複合酸化物超電導体材料は、特に、薄膜化する
と、その超電導特性が悪化し易いという欠点がある。こ
れは、薄膜化する際に複合酸化物超電導体結晶中の酸素
欠陥が不適当になるためと考えられる。
しかし、この点は複合酸化物超電導体材料を実際にデ
バイスとして使用する上で大きな問題となっていた。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解
決し、高い臨界温度Tcを有する均一な組成やよび組織を
有する複合酸化物超電導材料の薄膜を作製する方法を提
供することにある。
課題を解決するための手段 本発明に従うと、複合酸化物系超電導体薄膜を物理蒸
着法で作製する方法において、蒸発粒子が堆積する基板
に酸素イオンビームをビーム強度を時間的に変化させな
がら照射して上記物理蒸着を行うことを特徴とする複合
酸化物超電導体薄膜の作製方法が提供される。
酸素イオンビームはイオン化されたOまたはO2によっ
て構成される。
本発明方法を用いて成膜できる超電導薄膜としては、
例えば、 一般式:(α1−xβ)γ (ただし、αは周期律表IIa族元素から選択された1種
の元素であり、βは周期律表IIIa族から選択された少な
くとも1種の元素であり、γは周期律表Ib、IIb、III
b、IVa、VIIIa族元素から選択された少なくとも1種の
元素であり、xは0.1≦x≦0.9であり、yおよびzは
(α1−xβ)を1とした場合に0.4≦y≦3.0、1≦
z≦5となる数である) で表される組成の擬似ペロブスカイト型の結晶構造を持
つ複合酸化物超電導体が好ましい。
上記周期律表IIa族元素αとしては、Ba、Sr、Ca等が
好ましく、特に、Ba、Srが好ましい。また上記周期律表
IIIa族元素βはとしてはYおよびランタノイド元素が好
ましく、特に、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、
TmおよびYbが好ましい。この元素βとしては2種類以上
の元素を用いることができ、上記範囲の中から選択した
1種類の元素の10〜80%を上記範囲の中から選択した他
の種類の元素で置換することもできる。前記元素γは一
般にCuであるが、その一部を周期律表Ib、IIb、IIIb、I
VaおよびVIIIa族から選択される他の元素、例えば、T
i、V等で置換することもできる。
さらに具体的には、一般式: (La1-xαx)2CuO4 Ln1Ba2Cu3O7-x (ここで、αはBaまたはSrを表し、LnはY、La、Nd、S
m、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、TmおよびYbよりなる群の中か
ら選択される元素を表し、xは0<x<1を満たす数を
表す) で表される複合酸化物が好ましく、具体的には、 (La1-xBax)2CuO4 (La1-xSrx)2CuO4 Y1Ba2Cu3O7-x、La1Ba2Cu3O7-x、 Nd1Sr2Cu3O7-x、Sm1Ba2Cu3O7-x、 Eu1Ba2Cu3O7-x、Gd1Ba2Cu3O7-x、 Dy1Ba2Cu3O7-x、Ho1Ba2Cu3O7-x、 Er1Ba2Cu3O7-x、Tm1Ba2Cu3O7-x Yb1Ba2Cu3O7-x (ただしxは0<x<1を満たす数である)で表され
る複合酸化物超電導体が好ましい。
本発明方法によって成膜することができる他の複合酸
化物としてはさらに下記一般式: D4(E1-x,Cax)mCunOp+r (ここで、DはBiまたはTlであり、EはDがBiのとき
はSrであり、DがTlのときはBaであり、mは6≦m≦10
を満たし、nは4≦n≦8を満たし、p=(6+m+
n)であり、xは0<x<1を満たし、rは−2≦r≦
2を満たす数を表す) で表される化合物の混合相または単相がある。具体的に
は、例えば、 Bi4Sr4Ca4Cu6O20+r Bi2Sr2Ca2Cu3O10+rまたは、 Tl2Ba2Ca2Cu3O10+r Tl4Ba4Ca4Cu6O20+r (ただし、rは−2≦r≦2をを満たす数) で示される複合酸化物を主とした混合相と考えられる超
電導体および上記いずれかの式で表される単相の薄膜を
成膜することができる。
上記物理蒸着は公知の任意の手段、スパッタリング、
イオンプレーティング、蒸着、分子線エピタキシー等を
用いて行うことができる。
蒸発源は、上記の複合酸化物超電導体の構成金属・遷
移金属元素の単体を組み合わせた複数の蒸発源とする
か、その化合物、特に酸化物にするか、これら両者を組
み合わせて用いることができる。
複数の蒸発源を用いる場合には、上記複合酸化物中の
原子比および蒸着率、例えば、スパッタレート等の物理
蒸着ファクターに応じて複合酸化物超電導体の構成金属
・遷移金属元素の単体の蒸発量をコントロールすること
ができる。
化合物の蒸発源を用いる場合には、上記の複合酸化物
超電導体の構成金属・遷移金属元素の酸化物または炭酸
塩の混合粉末を250〜1200℃で仮焼結したもの、あるい
はこれを700〜1500℃の範囲の温度で本焼結した焼結体
を蒸発源とすることができる。この焼結体の蒸着源は、
焼結体粉末でも、焼結体ブロックでもよい。ここで、仮
焼結とは粉末材料を仮焼きして複合酸化物とする処理を
いう。
具体的には、複数の蒸着源を使用して物理蒸着を行う
場合には。例えば、BaとYとCuの単体金属またはそれら
の各酸化物を蒸着源とすることができる。さらには、Ba
1-xYxOz(ただし、xおよびzは上記定義の数である)
およびCuの酸化物の2つの蒸着源を使用して本発明の方
法を実施してもよい。
本発明の方法で使用する蒸着源のII族元素とIII族元
素との原子比は、それらの組合せに応じて以下の範囲の
中から選択するのが好ましい。
Y/(Y+Ba)系:0.06〜0.94、好ましくは0.1〜0.4 Ba/(La+Ba)系:0.04〜0.96、好ましくは、0.08〜0.45 Sr/(La+Sr)系:0.01〜0.95、好ましくは、0.05〜0.
1。
なお、上記蒸着源の複合酸化物超電導体の成分元素の
原子比は目標とする薄膜の複合酸化物超電導体の成分元
素の原子比に従って決定される。例えば、蒸着源のBa、
YおよびCuの原子比は、形成される薄膜のBa、Yおよび
Cuの原子比を基準として、Ba、YおよびCuの蒸着効率、
反応率等に応じて調整して決定する。
本発明の特徴は蒸着時に酸素のイオンビームを基板に
向け照射することにある。
この酸素のイオンビームは公知の任意のイオン発生器
を用いて発生させることができる。具体的には差動排気
可能なイオン源があることが好ましく、冷陰極型である
ことが好ましい。イオン源内には1.7×10-5〜8.3×10-3
Torrの範囲のO2ガスを流すことが好ましく、イオン源の
放電電圧としては0.5〜10kVの範囲が好ましい。また、
イオン源の加速電圧は50V〜40kVの範囲が好ましい。
さらに本発明の好ましい態様に従うと、蒸着雰囲気
は、O2を含み、O2分圧は1.0×10-8〜1.0×10-2Torrの範
囲内であることが好ましい。
さらに本発明の好ましい態様に従うと、蒸着時には、
ヒータにより基板を230〜1410℃の範囲の温度に加熱す
る。基板は、MgO単結晶またはSrTiO3単結晶が好ましい
が、ガラス、石英、Si、ステンレス鋼またはセラミック
スも用いることができる。
作用 本発明は、複合酸化物を蒸着源とし、酸素イオンビー
ムを照射しながら物理蒸着を行って複合酸化物超電導体
の薄膜を形成することを特徴としており、上記酸素イオ
ンビームの照射は、好ましくは、ビーム強度を変化させ
ながら行う。
本発明の方法で形成される薄膜は、 一般式:(α1−xβ)γ (但し、α、β、γは、上記定義の元素であり、xはα
+βに対するβの原子比で、0.1≦x≦0.9であり、yお
よびzは(α1−xβ)を1とした場合に0.4≦y≦
3.0、1≦z≦5となる原子比である) 示される組成で一般的に表され、例えば Y1Ba2Cu3O7-x (ただしxは0<x<1を満たす数である) を主体とする混合相と考えられる。
本発明で蒸着源として使用する酸化物は、例えば、上
記のようにαとしてBa、βとしてY、γとしてCuを選択
した場合は、Ba、YおよびCuの酸化物または炭酸塩の粉
末を焼結した作製した焼結材である。蒸着源は、仮焼結
したのみのものでも、あるいは本焼結したものでもよ
い。また焼結体を粉砕した粉末でも焼結体ブロックでも
よい。焼結体粉末の場合は粒径0.01〜1mmの範囲の粉末
を用いるのが好ましい。蒸着源を粉末とした場合は、成
膜速度が速くなる利点がある。
さらに本発明の態様に従うと、蒸着源の原子比Y/(Y
+Ba)が0.06〜0.94であることが好ましく、0.1〜0.4で
あることがさらに好ましく、Ba/(La+Ba)が0.04〜0.9
6であることが好ましく、さらに0.08〜0.45であること
がさらに好ましく、Sr/(La+Sr)が0.01〜0.95の範囲
であることが好ましく、0.05〜0.1であることがさらに
好ましい。蒸着源の原子比が上記の範囲からはずれた場
合にはいずれも、蒸着膜の組成または結晶構造が所望の
擬似ペロブスカイト型とは異なってしまい、超電導臨界
温度が所望の値とならない。
また、例えば、αとしてBa、βとしてY、γとしてCu
を選択した場合、Ba、YおよびCuの蒸着効率、反応率等
を考慮して蒸着源のBa、YおよびCuの原子比を薄膜のB
a、YおよびCuの原子比を基準として決定するのが好ま
しい。これは、本発明の薄膜の構成成分であるBa、Yお
よびCuの酸化物の融点、蒸気圧等がそれぞれ相違し、こ
のため蒸着効率、反応率等が相違するためである。すな
わち、蒸着源の元素比を適当に選択しないと薄膜が所望
の元素比にならない。また、スパッタリングの場合、蒸
着源の原子比は各金属酸化物のスパッタリング係数およ
び基板上における蒸気圧等から計算して決定できる。
本発明の好ましい態様に従うと、蒸着時にOまたはO2
イオンビームをビーム強度を変化させながら基板に照射
する。すなわち、酸化物超電導体の超電導特性には結晶
中の酸素欠損が大きく影響する。しかしながら酸素欠損
を制御する技術は確立されておらず、このため酸化物超
電導体の超電導特性は不安定なものとなっている。本発
明の方法では、この問題を解決するためビーム強度を変
化させながら酸素イオンビーム照射を成膜中に行うこと
により蒸着膜に酸素濃度勾配を与える。この酸素イオン
ビーム照射により、蒸着膜中に必ず酸素濃度が適正とな
っている部分が生成し、その部分は、優れた超電導特性
を持つ、超電導体においては、一部でも優れた超電導特
性を持つ超電導体は全体でも超電導特性が優れているこ
とになる。
本発明で用いるイオンビームはO2イオンビームのみで
あることが好ましく、このためにイオン源は冷陰極型で
あることが好ましい。また、イオン源には、1.7×10-5
〜8.3×10-3Torrの範囲のO2ガスを流すのが好ましい。
すなわち、O2ガスの流量が1.7×10-5Torr以下ではO2
オンビームが不足し、8.3×10-3Torr以上では逆に過剰
となり、目的とする薄膜の改質効果が見られないためで
ある。このイオン源の圧力はチャンバー内と圧力が異な
るため、イオン源は差動排気が可能でなければならな
い。
イオン源の放電電圧は0.5〜10kVの範囲が好ましい。
すなわち、放電電圧が0.5kV未満だと、十分なイオンが
発生せず、10kVを越えるととイオンの励起状態が不安定
となる。また、イオンの加速電圧は50V〜40kVの範囲が
好ましい。すなわち、加速電圧が50V未満であると薄膜
内に十分な量の酸素が取り込まれず、40kVを越えると装
置の価格が高価になり、コストを上昇させてしまう。
本発明の物理蒸着とは、好ましくは低圧ガス中蒸発法
であり、蒸着雰囲気は、O2を含み、O2分圧は1.0×10-8
〜1.0×10-2Torrの範囲内であることが好ましい。すな
わち、O2分圧が1.0×10-8Torr未満のときは、蒸着膜の
結晶性が悪く、ペロブスカイト型酸化物または擬似ペロ
ブスカイト型酸化物が得られ難く、O2分圧が高くなるほ
ど結晶性がよくなるが、1.0×10-2Torrを超えると、堆
積速度が著しく低下する。
本発明の好ましい態様に従うと、基板としてMgO単結
晶またはSrTiO3単結晶基板を(001)面または(110)面
を成膜面として用いるのが好ましい。これは、本発明の
方法で使用する複合酸化物超電導体が、その超電導臨界
電流密度に結晶異方性を有するためで、上記の基板の成
膜面を用いることにより、電流の流れ易い方向を薄膜の
水平方向または深さ方向にすることが可能である。
さらに本発明の好ましい態様に従うと、基板をヒータ
で230〜1410℃に加熱する。この基板の加熱により薄膜
は焼結と同様な作用をうけ、適当なペロブスカイト型酸
化物または擬似ペロブスカイト型酸化物となる。しかし
ながら、基板温度が高すぎると蒸着膜の組成の制御が困
難となり、目的とするペロブスカイト型酸化物または擬
似ペロブスカイト型酸化物が得られない。
次に本発明の方法を実施するために用いる装置につい
て説明る。第1図は、本発明の超電導酸化物薄膜の作製
に用いた蒸着装置の概略図である。
第1図に示す装置は、チャンバ1と、チャンバ1内に
配置された蒸着源2およびこの蒸着源を誘導加熱するた
めの電子銃3と、蒸着源2に対向して設けられ、表面上
に薄膜が形成されることになる基板5とから主に構成さ
れている。チャンバ1は排気孔8を介して真空ポンプ
(不図示)に接続され、内部を真空にすることができ
る。
チャンバ1には差動排気可能なイオン源10が基板5に
向いて取りつけられ、イオン源10は、O2ガスを取り込む
導入孔9、排気孔8、冷陰極型イオン発生電極11、イオ
ン引き出し電極12および冷陰極型イオン発生電極11に電
力を供給する高周波電源13からなる。
基板5には加熱用ヒーター6が取りつけられ、基板温
度が調整可能である。さらに、チャンバ1には、雰囲気
ガスの導入孔9が取りつけられている。
以下に、第1図の装置を使用して本発明の方法を実現
する手順を説明する。
チャンバ1内に蒸着源2および基板5を取りつける。
チャンバ1内を真空に排気した後、O2ガスを所定の圧力
まで導入する。イオン源10内にもO2ガスを所定の圧力ま
で導入する。ヒーター6で基板5を加熱し、基板温度が
適当になったら、電子銃3を起動し、高周波電力をイオ
ン発生電極11に加え、蒸着を開始する。蒸着中に、チャ
ンバ1内のO2ガスの分圧が変化しないよう供給量、排気
量を調節する。また、O2イオンビームは、イオン発生電
極11に与える電圧およびイオン引き出し電極12の電圧で
調節する。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明の技
術的範囲はこれらの実施例に何等制限されるものではな
いことは勿論である。
なお、以下の実施例は上記第1図に示した蒸着装置を
用いて行われた。
尚、比較のために、それぞれの実施例について他の条
件を同一とし、酸素イオンビーム照射を行った場合と行
わない場合の2通りで薄膜を形成した。各実施例の成膜
条件も併せて表に記す。
実施例1 チャンバ1内に基板5、蒸着源2を取りつけた後、2
×10-10Torrまで排気し、5.0×10-6TorrのO2ガスを導入
した。イオン源10をやはり3×10-8Torrまで排気して5
×10-4TorrのO2ガスを導入した。基板温度を600℃に
し、蒸着を開始した。電子銃により蒸着源を加熱し、イ
オン源には最初1.1kVの放電電圧と、1.0kVの加速電圧を
加えた。
蒸着源2としてはYBa2Cu3O7焼結体ブロックを用い
た。この焼結体ブロックはY2O3とBaCO3の粉末をY/Baの
原子比が1:2となるように混合した混合粉末に、さらにC
uO粉末をY/Ba/Cuの原子比が1:2:3となる量よりも10重量
%過剰に混合し、得られた混合粉末を950℃で焼結する
ことによって得られる。
基板5としては、MgO単結晶を用い、(001)面を成膜
面とした。
成膜速度は、約0.50Å/秒で膜厚が1μmになるまで
イオン源の放電電圧を0.8から1.3kVまで、また加速電圧
を0.5から2kVまで連続的に変化させ、酸素イオンビーム
の強度を変化させながら成膜した。
得られた薄膜の抵抗を測定するために、基板5上に形
成された薄膜の両端部分に真空蒸着で一対の電極を形成
した。
臨界温度Tc並びにTciの測定は、クライオスタット中
で液体ヘリウムに浸して一旦8Kまで冷却し、試料が超電
導を示すことを確認した後ヒータによって徐々に昇温
し、試料が超電導を失い始め、電気抵抗を示し始める温
度(Tci)と、試料の超電導が消失して常態と同じ電気
抵抗を示す温度(Tc)とを測定した。
主の成膜条件とTc、Tciを併せて、第1表に示す。
実施例2 蒸着源2としてLaBa2Cu3O7焼結体ブロックを用いた。
この焼結体ブロックは、La2O3とBaCO3の粉末をLa/Baの
原子比が1:2となるように混合し、得られた混合粉末に
さらにCuO粉末をLa/Ba/Cuの原子比が1:2:3となる量より
も10重量%過剰に混合し、この混合粉末を970℃で焼結
して得た。
基板5にはMgO単結晶を用い(001)面を成膜面とし
た。
成膜の手順およびTc、Tciの測定方法は、実施例1と
同様に行った。主の成膜条件とTc、Tciを併せて、第1
表に示す。
実施例3 蒸着源2としてBi4Sr4Ca4Cu6O20+r(−2≦r≦2)
の焼結ブロックを用いた。
この焼結ブロックは、Bi2O3、SrCO3、CaOおよびCuOの
各粉末を、Bi/Sr/Ca/Cuの原子比が焼成後の組成: Bi4Sr4Ca4Cu6O20+r(−2≦r≦2) のBi/Sr/Ca/Cuの原子比と同じになるように混合し、得
られた混合粉末を820℃で焼結して得た。
基板5としては、SrTiO3単結晶を用い、(110)面を
成膜面とした。
成膜の手順およびTc、Tciの測定方法は、実施例1と
同様に行った。主な成膜条件とTc、Tciを併せて、第1
表に示す。
実施例4 蒸着源2としてTl4Ba4Ca4Cu6O20+r(−2≦r≦2)の
焼結ブロックを用いた。
この焼結体ブロックは、Tl2O3、BaCO3、CaOおよびCuO
粉末をTl/Ba/Ca/Cuの原子比が焼成後の組成: Tl4Ba4Ca4Cu6O20+r(−2≦r≦2) のTl/Ba/Ca/Cuの原子比と同じになるように混合し、得
られた混合粉末を910℃で焼結して得た。
基板5にはSrTiO3単結晶を用い、(110)面を成膜面
とした。
成膜の手順およびTc、Tciの測定方法は、実施例1と
同様に行った。主の成膜条件とTc、Tciを併せて、第1
表に示す。
これらの実施例の結果、O2イオンビーム照射により薄
膜の結晶構造、酸素濃度を適正に制御し、優れた特性を
持つ、酸化物超電導薄膜が形成できることが証明され
た。
発明の効果 以上説明したように、本発明により、従来の超電導体
よりも安定した超電導特性と高いTcをもつ超電導酸化物
を薄膜化することが可能となる。従って、本発明を、超
電導体を薄膜素子として応用する分野、例えばジョセフ
ソン素子と呼ばれるマティソー(Matisoo)のスイッチ
ング素子やアナッカー(Anacker)のメモリー素子、さ
らには超電導量子干渉計(SQUID)などに利用すると効
果的である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法を実施するのに用いる蒸着装置の
一例の概略図である。 (主な参照番号) 1……チャンバ、2……蒸着源、3……電子銃、5……
基板、6……ヒーター、8……排気孔、10……イオン
源、12……イオン引き出し電極、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 13/00 565 H01B 13/00 565D H01L 39/24 H01L 39/24 B (72)発明者 矢津 修示 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 上代 哲司 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 昭63−224112(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複合酸化物系超電導体薄膜を物理蒸着法で
    作製する方法において、蒸発粒子が堆積する基板に酸素
    イオンビームをビーム強度を時間的に変化させながら照
    射して上記物理蒸着を行うことを特徴とする複合酸化物
    超電導体薄膜の作製方法。
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