JP2501674Y2 - アンチスキッド型ブレ―キ装置 - Google Patents

アンチスキッド型ブレ―キ装置

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JP2501674Y2
JP2501674Y2 JP7480789U JP7480789U JP2501674Y2 JP 2501674 Y2 JP2501674 Y2 JP 2501674Y2 JP 7480789 U JP7480789 U JP 7480789U JP 7480789 U JP7480789 U JP 7480789U JP 2501674 Y2 JP2501674 Y2 JP 2501674Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、前輪のホイールシリンダの液圧(以下、前
輪液圧という)と後輪のホイールシリンダの液圧(以
下、後輪液圧という)との比率をプロポーショニングバ
ルブにより制御するとともに、前輪液圧と後輪液圧とを
前後輪のホイールシリンダに共通の液圧制御装置を介し
てアンチスキッド制御する形式のアンチスキッド型ブレ
ーキ装置に関するものであり、特に、アンチスキッド制
御時における制動距離の延びを抑制する技術に関するも
のである。
〔従来の技術〕
上記形式のアンチスキッド型ブレーキ装置は一般に、
(a)液圧源から延び出た液圧源側通路が前輪側分岐通
路と後輪側分岐通路とに分岐するとともに、各分岐通路
の先端が車両の前輪および後輪のブレーキをそれぞれ作
動させる2個のホイールシリンダの各々に接続された液
通路と、(b)液圧源側通路に設けられ、2個のホイー
ルシリンダの液圧を制御する液圧制御装置(例えば電磁
制御弁)と、(c)後輪側分岐通路に設けられ、液圧源
の液圧が予め定められた折れ点液圧を超えれば一定の比
率で減圧して後輪のホイールシリンダに伝達する減圧作
動を行うプロポーショニングバルブと、(d)液圧制御
装置を制御する制御手段とを含むように構成される。
液圧源としては、例えばマスタシリンダのように、ブ
レーキペダル等のブレーキ操作部材の操作に応じた高さ
の液圧を発生させるものが好適である。制御手段は、車
両の制動時に前輪がロック傾向を示せば、少なくとも減
圧モードと増圧モードとを含む複数のモードにより液圧
制御装置を介して少なくとも前輪のスリップ率が適正範
囲となる高さに液圧源側通路の液圧を前記するアンチス
キッド制御を行うものである。
プロポーショニングバルブは入口液室と出口液室とが
それぞれ液圧源側と後輪のホイールシリンダ側とに連通
する状態で設けられ、(a)入口液圧と出口液室とを互
に連通,遮断するとともに、入口液室の液圧(以下、入
口液圧という)が折れ点液圧に超えれば段付きピストン
と共同して出口液室の液圧(以下、出口液圧という)を
入口液圧に対して一定の比率で減圧する減圧作動を行う
開閉弁と、(b)その減圧作動中に入口液室の降圧によ
り入口液室と出口液室との液圧差が開弁圧に達すれば開
いて出口液室の降圧を許容する逆止弁とを備えたもので
あって、入口液圧が折れ点液圧に達しない領域では、開
閉弁が開いて出口液圧を入口液圧と等しい高さに高める
が、入口液圧が折れ点液圧を超えた領域では、開閉弁と
段付きピストンとが減圧作動を為して、出口液圧を入口
液圧に対して一定の比率、すなわち段付きピストンの入
口液圧を受ける受圧面と出口液圧を受ける受圧面との面
積比で減圧するものである。
このプロポーショニングバルブは、前輪と後輪とが同
時にロックする際の前輪液圧と後輪液圧との配分(以
下、理想液圧配分という)を表す曲線を折れ線によって
近似させた制御特性であって、出口液圧を入口液圧に対
して、すなわち、前輪液圧を後輪液圧に対して、万一ロ
ック状態に陥る場合には後輪が前輪よりやや遅く陥る高
さに制御する特性を有するものとされる。
特開昭60-85052号公報には上記形式のアンチスキッド
型ブレーキ装置のうち、4輪自動車用の一態様が記載さ
れている。これは、アンチスキッド制御が可能なX配管
式ブレーキ装置であって、左前輪のホイールシリンダと
右後輪のホイールシリンダ、および右前輪のホイールシ
リンダと左後輪のホイールシリンダがそれぞれ一ブレー
キ系統に属するとともに、各ブレーキ系統毎に前記プロ
ポーショニングバルブと液圧制御装置とが1個ずつ設け
られたものである。このブレーキ装置においては、左右
前輪の回転速度がそれぞれ2個の前輪用回転センサによ
り検出され、左右後輪の回転速度がそれぞれ2個の後輪
用回転センサにより検出されるとともに、前記制御手段
が、4個の回転センサの検出結果に基づいて各ブレーキ
系統毎に、そのブレーキ系統に属する前輪と後輪とのい
ずれかがロック傾向を示したか否かを判定し、そうであ
ればそのブレーキ系統に対応する液圧制御装置をアンチ
スキッド制御するものとされている。
このいわゆる4センサ2チャンネル式アンチスキッド
型ブレーキ装置においては、車輪の接する路面が摩擦係
数の一様な一様μ路であれば、車輪がロック傾向を示す
場合には前輪が後輪より先にロック傾向を示すように実
際の液圧配分(以下、実液圧配分という)が設定される
のが普通である。実液圧配分が理想液圧配分より後輪液
圧が不足する傾向を示すものとされるのである。したが
って、一様μ路では、前輪がロック傾向を示すことに起
因してアンチスキッド制御が開始されるから、制御手段
の、各ブレーキ系統に属する前輪と後輪とのいずれかが
ロック傾向を示したか否かの判定は、すなわち前輪がロ
ック傾向を示したか否かの判定であることになる。
〔考案が解決しようとする課題〕
前記形式のアンチスキッド型ブレーキ装置に用いられ
るプロポーショニングバルブは普通、(a)段付きピス
トンに固定的に保持された弁子と、(b)バルブ本体に
固定的に保持されるとともに、上記弁子が着座する弁座
が形成されたゴム等の弾性材製弁座部材と、(c)その
弁座部材は一体的に形成され、弁座部材の弾性を利用し
て開閉する逆止弁部とを含むものとされる。弁座は入口
液室と出口液圧とを仕切る位置に配置される。弁子と弁
座部材の弁座を形成する部分とが開閉弁として機能し、
逆止弁部が逆止弁として機能するようにされるのであ
る。
このプロポーショニングバルブにおいては従来、段付
きピストンが弁子が弁座に着座する着座位置、すなわち
開閉弁が閉じた位置から前進すなわち出口液室の容積が
増大する向きに移動することが許容されていた。そのた
め、減圧作動中に入口液圧が低下した場合には、段付き
ピストンが着座位置から弁子で弁座部材を弾性的に変形
させつつ前進し、段付きピストンの減圧作用によって出
口液圧が低下する。
また、アスファルト路等の高μ路でブレーキ操作が行
われる際には、アンチスキッド制御が開始される前にプ
ロポーショニングバルブの減圧作動が開始される。した
がって、前輪がロック傾向を示してアンチスキッド制御
が開始されれば、プロポーショニングバルブの減圧作動
中にアンチスキッド制御の減圧モードが実行されること
となり、入口液圧が低下するのに伴って出口液圧が低下
する。高μ路でアンチスキッド制御が開始された場合に
は、後輪がロック傾向を示していないにもかかわらず、
ただでさえ低目に抑えられていた後輪液圧がさらに低下
させられるのであり、後輪の制動力が不足し、その結
果、制動距離が延びるという問題があった。
本考案は、プロポーショニングバルブの減圧作動中に
アンチスキッド制御が開始された場合に、後輪液圧が低
下することを防止することにより、上記の問題を解決す
ることを課題として為されたものである。
〔課題を解決するための手段〕
そして、本考案の要旨は、前述の液圧源,液圧制御装
置,プロポーショニングバルブおよび制御手段を含むア
ンチスキッド型ブレーキ装置において、プロポーショニ
ングバルブに、少なくとも前記減圧作動中にアンチスキ
ッド制御が開始された場合に、前記段付きピストンが前
記開閉弁が閉じた位置から前記出口液室の容積が増大す
る向きに移動することを禁止する移動禁止手段を設けた
ことにある。
なお、移動禁止手段の一態様は、段付きピストンが開
閉弁が閉じた位置にある状態で段付きピストンに係合
し、段付きピストンがその閉位置から前進すなわち出口
液室の容積が増大する向きに移動することを禁止するス
トッパである。このストッパは段付きピストンに係合す
る作用位置と係合しない非作用位置とに移動可能であっ
て、常には非作用位置にあるがアンチスキッド制御時に
は作用位置に移動するものとすることができる。
移動禁止手段の別の態様は、減圧作業中にアンチスキ
ッド制御が開始された場合に作動し、プロポーショニン
グバルブの入口液室からブレーキ液が液圧源側に流出す
ることを禁止する遮断弁である。入口液室の容積が減少
することを禁止することにより段付きピストンの前進を
禁止するのである。
開閉弁の弁座と逆止弁とは前記弾性材製弁座部材に一
体に設けることができるが、それら開閉弁と逆止弁とを
別個に設けることもできる。例えば、開閉弁の弁座をバ
ルブ本体に固定的に設けるとともに、逆止弁を、(a)
ボール,ポペット等の弁子と、(b)バルブ本体に固定
的に設けられる弁座と、(c)一端がバルブ本体に固定
的に保持されるとともに、他端が弁子に係合させられ
て、弁子を弁座に着座する向きに付勢するスプリングと
を含むものとするのである。
この開閉弁と逆止弁とを別個に設ける態様では、開閉
弁の弁子と弁座とを共に鋼等の硬い金属製とすることが
望ましい。そのようにすれば、弁子が弁座に着座した後
は、段付きピストンがその着座位置から前進することが
弁座により禁止されることとなり、弁座にストッパを兼
ねさせることができるのである。
〔作用〕
本考案に係るアンチスキッド型ブレーキ装置において
は、少なくともプロポーショニングバルブの減圧作動中
にアンチスキッド制御が開始された場合に、そのアンチ
スキッド制御の減圧モードが実行されて液圧源側通路お
よび前輪側分岐通路の液圧が低下させられても段付きピ
ストンは開閉弁が閉じた位置から前進すること、すなわ
ち段付きピストンが減圧作用を為すことが禁止される。
そのため、減圧モードが実行されても逆止弁が開かない
限り出口液圧がその減圧モード開始時の高さで一定に保
たれる。
〔考案の効果〕
このように、本考案に従えば、アンチスキッド制御時
における後輪液圧ひいては後輪制動力が従来より増加す
る。その上、後輪制動力の増加に伴う車体の減速度の増
加により、後輪側から前輪側への荷重移動が増加し、前
輪荷重が増加して、前輪液圧をアンチスキッド制御によ
り従来より高く制御することができ、車両全体としての
制動力が増加してアンチスキッド制御時における制動距
離が短縮される効果が得られる。
また、前述の、開閉弁の弁座がストッパを兼ねる態様
では、移動禁止手段の追加に伴う部品点数の増加および
装置コストの上昇を回避することができるという効果が
得られる。
また、前述の、逆止弁が弁子と弁座とスプリングとを
含む態様では、スプリングの付勢力によって開弁圧が決
まるため、開弁圧を比較的自由にかつ高精度で設定で
き、プロポーショニングバルブの制御精度ひいてはアン
チスキッド制御精度が向上する効果が得られる。
〔実施例〕
以下、本考案の一実施例である4輪乗車用4センサ2
チャンネル式アンチスキッド型ブレーキ装置を図面に基
づいて詳細に説明する。
第2図において10はブレーキ操作部材としてのブレー
キペダルであり、このブレーキペダル10は液圧源として
のマスタシリンダ12を作動させる。マスタシリンダ12は
互に独立した2個の加圧室14,16を備えており、ブレー
キペダル10の踏込み操作に応じて加圧室14,16に同じ高
さの液圧を発生させる。一方の加圧室14に発生した液圧
は、左前輪18および右後輪20にそれぞれ設けられたブレ
ーキのフロントホイールシリンダ22およびリヤホイール
シリンダ24に供給される。他方の加圧室16に発生した液
圧は、右前輪26および左後輪28にそれぞれ設けられたブ
レーキのフロントホイールシリンダ30およびリヤホイー
ルシリンダ32に供給される。
加圧室14とフロントホイールシリンダ22とリヤホイー
ルシリンダ24とを接続する主液通路34が設けられてい
る。主液通路34は加圧室14から延び出て二股に分岐する
とともに、分岐した各端部がフロントホイールシリンダ
22とリヤホイールシリンダ24とに至るものであって、分
岐点Sを境にマスタシリンダ側通路36,フロントホイー
ルシリンダ側通路38およびリヤホイールシリンダ側通路
40とされている。
マスタシリンダ側通路36の途中には電磁制御弁42が設
けられている。また、リヤホイールシリンダ側通路40の
途中には制御特性不変型プロポーショニングバルブ50
(以下、単にPV50という。図においても同じ)が設けら
れている。
PV50は第1図に示す有底円筒状ハウジング60を備えて
おり、そのハウジング60内に有底円筒状ブロック62と円
柱状ブロック64とが同軸的に、かつ、ハウジング60の底
部側から開口側に向かって順に液密に嵌合されている。
ブロック62はハウジング60の底部に向かって開口する姿
勢で配設されている。ブロック62は底部の中心部を貫通
する貫通穴66と、底部の前端面(図において左側の端
面)から前方に延び出た突起68とを備えている。一方、
ブロック64はそれの中心部を同軸的に貫通するシリンダ
ボア70を備えている。それらブロック62,64はハウジン
グ60の開口部に螺合された閉塞部材72によってハウジン
グ60からの離脱が阻止されている。また、ブロック62と
64との間には図示しない相対回転阻止部材が配設され
て、両者の相対回転が阻止されるようになっている。
ハウジング60内には前後に小径部74と大径部76とを備
えた段付きピストン78が配設されている。小径部74が上
記シリンダボア70に液密かつ摺動可能に嵌合されている
のである。段付きピストン78は上記貫通穴66を貫通して
大径部76がブロック62の底部よりハウジング60の底部側
に位置するようにされている。段付きピストン78がシリ
ンダボア70に嵌合されることにより、ハウジング60内の
空間が段付きピストン78の前方の大気圧室80と、ブロッ
ク64の後方の液圧室82とに仕切られている。また、大径
部76とブロック62の底部との間に段付きピストン78を後
退方向すなわち図において右方へ付勢する付勢手段とし
てのスプリング84が配設されている。
段付きピストン78の外周面の、小径部74と大径部76と
の間の部分には、前方に進むにつれて外径が小さくなる
テーパ面86が形成されている。このテーパ面86は上記貫
通穴66の後側の円周縁88に着座可能とされており、それ
らテーパ面86と円周縁88とが開閉弁90を構成している。
テーパ面86が円周縁88に着座した状態では段付きピスト
ン78はその着座位置から前進することを禁止される。す
なわち、本実施例においては、ブロック62の円周縁88を
形成する部分が移動禁止手段としてのストッパとしても
機能しているのである。
開閉弁90により上記液圧室82が前後に入口液室92と出
口液室94とに仕切られる。入口液室92は入口ポート96を
経てマスタシリンダ12に連通する一方、出口液室94は半
径方向連通穴100および環状溝102を経て出口ポート104
に連通し、その出口ポート104を経てリヤホイールシリ
ンダ24に連通する。
ブロック62と64との間に逆止弁110が配設されてい
る。逆止弁110は弁子としてのボール112と、そのボール
112が着座するためにブロック62の底部に前向きの状態
で形成された弁座114と、一端がブロック64に保持され
るとともに他端がボール112に係合し、ボール112を弁座
114に着座する方向に付勢するスプリング118とを含んで
いる。弁座114には一端が出口液室94に連通した軸方向
穴122の他端が開口させられている。逆止弁110は出口液
室94から入口液室92に向かう向きのブレーキ液の流れは
許容するがその逆向きの流れは阻止するようにされてい
るのである。また、逆止弁110の開弁圧は通常の設定値
(例えば1kg/cm2以下)、すなわちボール112が勝手に弁
座114から離間しないようにするのに必要な高さより高
く設定されている。開弁圧の設定の仕方については後に
詳述する。
以上のように構成されたPV50においては、常には段付
きピストン78が図示の原位置である後退端位置にあっ
て、開閉弁90が開いているが、入口液圧が上昇して段付
きピストン78がスプリング84の付勢力に抗して前進すれ
ば、テーパ面86が円周縁88に着座して開閉弁90が閉じ
る。このときの入口液圧の高さが折れ点液圧PCであ
る。折れ点液圧Pcは次式で表される。
C=S2/F ただし、 S2:段付きピストン78の小径部74の断面積 F:スプリング84の付勢力 したがって、以後、入口液圧が高められれば、第3図
に示すように、開閉弁90と段付きピストン78との共同作
用により出口液圧が入口液圧に対して一定の比率γで減
圧される。スプリング84の付勢力の増加分を無視すれ
ば、比率γは次式で表される。
γ=(S1−S2)/S1 ただし、S1は、円周縁88の外径を直径とする円の面
積であって、小径部74の断面積S2より大きい。
PV50の減圧作動中に入口液圧が低下した場合には、出
口液圧と入口液圧との差が逆止弁110の開弁圧に達しな
い限り、逆止弁110は開かない。そのため、入口液圧の
低下に伴って段付きピストン78を前進させる力が増加す
るのであるが、テーパ面86と円周縁88との当接によって
段付きピストン78が着座位置から前進することを禁止さ
れるため、段付きピストン78は減圧作用を為し得ず、そ
の結果、同図に示すように、出口液圧が入口液圧の低下
開始時の高さで一定に保たれることとなる。
入口液圧がさらに低下し、出口液圧と入口液圧との差
が逆止弁110の開弁圧に達すれば、逆止弁110が開いた出
口液室94内のブレーキ液が入口液室92に流入することが
許容されるため、同図に示すように、出口液圧が入口液
圧との差が開弁圧と等しく保たれつつ低下することとな
る。
入口液圧がさらに低下し、入口液圧が、段付きピスト
ン78をスプリング118の付勢力に打ち勝って着座位置に
停止させるのに必要な高さより低くなれば、段付きピス
トン78が後退し、テーパ面86が円周縁88から離間して開
閉弁90が開き、出口液圧が入口液圧と等しくなるまで急
速に低下し、それ以後は入口液圧と共に低下することと
なる。段付きピストン78が後退し始めるときの入口液圧
Rは次式で表される。
R=F/S2−PV・S1/S2 =PC−PV・S1/S2 ただし、PVは逆止弁110の開弁圧である。
以上説明したPV50の制御特性は、乗用車に運転者した
乗っていない空車時における前輪制動力と後輪制動力と
の理想制動力配分を表す曲線を1つの折れ点を有する折
れ線で近似させた特性とされている。一様μ路でロック
状態に陥る場合には右後輪20が左前輪18よりややに遅く
陥るようにされているのである。
前記マスタシリンダ側通路36には第2図に示す電磁制
御弁42をバイパスする戻り通路142が接続されている。
この戻り通路142には、ホイールシリンダ側からマスタ
シリンダ側へのブレーキ液の流れは許容するが逆向きの
流れは阻止する逆止弁144が設けられ、ブレーキ解除時
にブレーキ液がマスタシリンダ12に遅れなく戻るように
されている。
電磁制御弁42にはリザーバ通路148を経てリザーバ150
が接続されている。電磁制御弁42は3位置の方向切換弁
であり、フロントホイールシリンダ22およびリヤホイー
ルシリンダ24を加圧室14に連通させ、それらホイールシ
リンダ22,24の液圧を増大させる増圧状態と、リザーバ1
50に連通させ、液圧を減少させる減圧状態と、いずれに
も連通させず、液圧を保持する保圧状態とに切換え可能
である。ホイールシリンダ22,24がリザーバ150に連通さ
せられた状態では、ホイールシリンダ22,24から排出さ
れたブレーキ液はリザーバ150に貯えられる。そして、
このリザーバ150に貯えられたブレーキ液はモータ152に
よって駆動されるポンプ154により汲み上げられ、逆止
弁156を備えたポンプ通路157を経てマスタシリンダ12に
供給されるようになっている。
以上、左前輪−右後輪系統について説明したが、右前
輪−左後輪系統も同様に、主液通路158,マスタシリンダ
側通路160,フロントホイールシリンダ側通路162,リヤホ
イールシリンダ側通路164,電磁制御弁166,PV168,戻り通
路170,逆止弁172,リザーバ通路174,リザーバ176,ポンプ
178,逆止弁180,ポンプ通路182を備えている。
さらに、左右前輪18,26,左右後輪28,20の回転速度が
それぞれ回転センサ184,186,188,190によって検出さ
れ、その検出信号がコンピュータを主体とするアンチス
キッド制御ユニット200に供給されるようになってい
る。ユニット200は、4個の回転センサ184〜190からの
信号に基づいて各車輪の速度,加速度,スリップ率等を
演算するとともに、それら各車輪の速度,加速度,スリ
ップ率等に基づいて電磁制御弁42,166のソレノイドを制
御することにより電磁制御弁42,166を増圧,減圧,保圧
の適宜の状態に切り換えるアンチスキッド制御を行う。
左前輪−右後輪系統について代表的に説明すれば、電
磁制御弁42は通常は第2図に示される増圧状態にある
が、ブレーキペダル10の踏力が路面の摩擦係数との関係
において大きく、いずれか一方の車輪のスリップ率が適
正範囲を超えて増大した場合には、ユニット200は、左
前輪18と右後輪20とのうち先にロック傾向を示した車輪
のスリップ率等に基づいて電磁制御弁42のソレノイドを
制御することにより、保圧モード,急減圧モードおよび
緩増圧モードを順に行う単位制御を複数回繰り返す。保
圧モードおよび急減圧モードはそれぞれ電磁制御弁42を
保圧状態および減圧状態に継続的に切り換えることによ
り実現される一方、緩増圧モードは電磁制御弁42を増圧
状態と保圧状態とに一定時間ずつ交互に切り換えること
により実現される。ユニット200はまた、ホイールシリ
ンダ22,24からリザーバ150に排出されたブレーキ液をマ
スタシリンダ12に還流させるべくモータ152を駆動する
ことによりポンプ154を駆動する機能を有する。
次に、アンチスキッド制御時におけるPV50,168の作動
の様子を詳細に説明するが、左前輪−右後輪系統につい
てのみ説明し、右前輪−左後輪系統については説明を省
略する。
一様μ路で車輪がロック傾向を示す場合には左前輪18
が右後輪20により先にロック傾向を示す。したがって、
この場合には、左前輪18に着目してアンチスキッド制御
が行われることとなる。
このとき、現在の路面が低μ路である場合には、フロ
ントホイールシリンダ22の液圧、すなわち前輪液圧が折
れ点液圧に達しない領域でアンチスキッド制御が開始さ
れる。そのため、前輪液圧が増減させられれば、それに
伴ってリヤホイールシリンダ24の液圧、すなわち後輪液
圧が前輪液圧と等圧に保たれつつ増減させられる。
これに対して、現在の路面が高μ路または中μ路(摩
擦係数が例えば0.2〜1の間にある路面であって、以
下、高中μ路と総称する)である場合には、前輪液圧が
折れ点液圧を超えた領域でアンチスキッド制御が開始さ
れる。PV50の減圧作動中にアンチスキッド制御が開始さ
れることとなるのである。逆止弁110の開弁圧は、高μ
路でアンチスキッド制御が行われる場合には逆止弁110
が開かない高さ(例えば3〜5kg/cm2)とされている。
高μ路でのアンチスキッド制御時には、入口液圧の変動
域が第4図に示す出口液圧の不変域内に存在するように
されているのである。したがって、高μ路でアンチスキ
ッド制御が開始されて減圧作動中に前輪液圧すなわち入
口液圧が低下させられても、逆止弁110は開かず、段付
きピストン78が着座位置に停止し続けるために後輪液圧
は低下せず、第4図に二点鎖線で示すように、後輪液圧
はアンチスキッド制御中その開始時の高さで一定に保た
れる。その結果、従来のようにアンチスキッド制御中に
後輪液圧が低下せず、後輪液圧すなわち後輪制動力を十
分な高さに維持できることとなって、制動距離が短縮さ
れる。
また、逆止弁110の開弁圧は、アンチスキッド制御中
に路面が高μ路から中μ路に変化するなど、路面の摩擦
係数が相当低下した場合には、逆止弁110が開くことが
保証されるように設定されている。路面の摩擦係数の低
下とは無関係に後輪液圧がアンチスキッド制御開始時の
高さで一定に保たれると、路面の摩擦係数が相当低下し
た場合に後輪液圧が路面の摩擦係数との関係において高
過ぎることとなって、後輪がロックする可能性があるか
らである。したがって、アンチスキッド制御中に高μ路
から中μ路に移行すれば、中μ路に移行した後のアンチ
スキッド制御においては後輪液圧が第4図に一点鎖線で
示すように制御される。すなわち、移行後における初回
の急減圧モードの実行時に逆止弁110が開いて後輪液圧
が低下した後、その急減圧モードに続く緩増圧モードの
実行により前輪液圧が上昇すれば、後輪液圧も上昇する
のである。緩増圧開始時における前輪液圧は折れ点液圧
を超えているから、後輪液圧は開閉弁90の減圧作用を受
けつつその緩増圧モードの直ぐ後に行われる急減圧モー
ドの実行開始後は、その実行開始時の高さでほぼ一定に
保たれる。このように、後輪液圧が高μ路におけるより
中μ路における方が低くなって、後輪がロックする事態
の発生が回避される。
なお、以上の事情から開弁圧をあまり高く設定できな
いため、中μ路でアンチスキッド制御が開始された場合
には逆止弁110が開く可能性がある。第3図に示す後輪
液圧の不変域の広さは後輪液圧の高さに比例して短くな
るため、高μ路でのアンチスキッド制御であると中μ路
でのアンチスキッド制御であるとを問わず、アンチスキ
ッド制御時における前輪液圧の変動域の広さがほぼ等し
い場合には、中μ路でのアンチスキッド制御時に前輪液
圧が後輪液圧の不変域を逸脱する可能性があるからであ
る。しかし、この場合でも逆止弁110が従来より長い時
間閉じた状態に保たれ、その結果、後輪液圧も従来より
長い時間一定に保たれることとなるから、制御距離短縮
効果が得られる。
以上の説明から明らかなように、本実施例において
は、電磁制御弁42,166が液圧制御装置を構成し、回転セ
ンサ184〜190,アンチスキッド制御ユニット200が制御手
段を構成している。
なお、上記実施例においては乗用車用アンチスキッド
型ブレーキ装置に本考案を適用した場合について説明し
たが、例えばトラック等、乗用車以外の車両用アンチス
キッド型ブレーキ装置にも本考案を適用することができ
る。
また、上記実施例においては制御特性不変型のPV50,1
68に本考案を適用した場合について説明したが、車両重
量によって制御特性が変わるロードセンシング型PVにも
本考案を適用することができる。
その他、いちいち例示することはしないが、当業者の
知識に基づいて種々の変形,改良を施した態様で本考案
を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の一実施例である乗用車用アンチスキッ
ド型ブレーキ装置に用いられたプロポーショニングバル
ブを示す正面断面図、第2図はそのブレーキ装置の系統
図、第3図は上記プロポーショニングバルブにおける入
口液圧と出口液圧との変化の一例を示すグラフ、第4図
は上記ブレーキ装置におけるアンチスキッド制御時の前
輪液圧および後輪液圧の変化の一例を示すグラフであ
る。 18:左前輪、20:右後輪 22,30:フロントホイールシリンダ 24,32:リヤホイールシリンダ 26:右前輪、28:左後輪 34,158:主液通路 42,166:電磁制御弁 50,168:プロポーショニングバルブ 184,186,188,190:回転センサ 200:アンチスキッド制御ユニット

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】液圧源から延び出た液圧源側通路が前輪側
    分岐通路と後輪側分岐通路とに分岐するとともに、各分
    岐通路の先端が前輪および後輪のブレーキをそれぞれ作
    動させる2個のホイールシリンダの各々に接続された液
    通路と、 前記液圧源側通路に設けられ、前記2個のホイールシリ
    ンダの液圧を制御する液圧制御装置と、 前記後輪側分岐通路に入口液室と出口液室とがそれぞれ
    前記液圧源側と前記後輪のホイールシリンダ側とに連通
    する状態で設けられ、入口液室と出口液室とを互に連
    通,遮断するとともに、入口液室の液圧が予め定められ
    た折れ点液圧を超えれば段付きピストンと共同して出口
    液室の液圧を入口液室の液圧に対して一定の比率で減圧
    する減圧作動を行う開閉弁と、その減圧作動中に入口液
    室の降圧により入口液室と出口液室との液圧差が開弁圧
    に達すれば開いて出口液室の降圧を許容する逆止弁とを
    備えたプロポーショニングバルブと、 車両の制動時に前記前輪がロック傾向を示せば、少なく
    とも減圧モードと増圧モードとを含む複数のモードによ
    り前記液圧制御装置を介して少なくとも前輪のスリップ
    率が適正範囲となる高さに前記液圧源側通路の液圧を制
    御するアンチスキッド制御を行う制御手段と を含むブレーキ装置において、 前記プロポーショニングバルブに、少なくとも前記減圧
    作動中に前記アンチスキッド制御が開始された場合に、
    前記段付きピストンが前記開閉弁が閉じた位置から前記
    出口液室の容積が増大する向きに移動することを禁止す
    る移動禁止手段を設けたことを特徴とするアンチスキッ
    ド型ブレーキ装置。
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