JP2501489B2 - 鋼管の超音波探傷方法及びその装置 - Google Patents
鋼管の超音波探傷方法及びその装置Info
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- JP2501489B2 JP2501489B2 JP3056900A JP5690091A JP2501489B2 JP 2501489 B2 JP2501489 B2 JP 2501489B2 JP 3056900 A JP3056900 A JP 3056900A JP 5690091 A JP5690091 A JP 5690091A JP 2501489 B2 JP2501489 B2 JP 2501489B2
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- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内周面に互いに平行する
複数の螺旋状溝が形成された鋼管の欠陥を超音波探触子
でもって検出する鋼管の超音波探傷方法及びその装置に
関する。
複数の螺旋状溝が形成された鋼管の欠陥を超音波探触子
でもって検出する鋼管の超音波探傷方法及びその装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】例えばボイラー設備の配管に使用される
鋼管のなかには、鋼管内に蒸気や水,加圧水等の流体が
通流する場合に、熱伝達効率を向上させたり、または流
体の乱流を防止する目的のために、内周面に複数の螺旋
状溝が形成されたものがある。なお、このように内周面
に螺旋状溝が形成された鋼管をライフル・チューブと呼
ぶこともある。
鋼管のなかには、鋼管内に蒸気や水,加圧水等の流体が
通流する場合に、熱伝達効率を向上させたり、または流
体の乱流を防止する目的のために、内周面に複数の螺旋
状溝が形成されたものがある。なお、このように内周面
に螺旋状溝が形成された鋼管をライフル・チューブと呼
ぶこともある。
【0003】図9(a)はこのような鋼管の構成を示す
外観図であり、図9(b)は図9(a)の鋼管1を軸方
向に切断して示す軸方向断面図であり、図9(c)は図
9(a)の鋼管1を直径方向に切断して示す径方向断面
図である。図示するように、この鋼管1の内周面2に互
いに平行する複数の螺旋状態溝3が形成されている。螺
旋状態溝3は台形状の断面形状を有している。そして、
互いに隣接する螺旋状態溝3どうしで、軸心方向に突出
する山部3aと外周面4方向に向く谷部3bとを構成し
ている。したがって、鋼管1の厚みtは山部3aで厚く
(t=tT )、谷部3bで薄い(t=tB )。
外観図であり、図9(b)は図9(a)の鋼管1を軸方
向に切断して示す軸方向断面図であり、図9(c)は図
9(a)の鋼管1を直径方向に切断して示す径方向断面
図である。図示するように、この鋼管1の内周面2に互
いに平行する複数の螺旋状態溝3が形成されている。螺
旋状態溝3は台形状の断面形状を有している。そして、
互いに隣接する螺旋状態溝3どうしで、軸心方向に突出
する山部3aと外周面4方向に向く谷部3bとを構成し
ている。したがって、鋼管1の厚みtは山部3aで厚く
(t=tT )、谷部3bで薄い(t=tB )。
【0004】このような鋼管1の表面および内部に存在
する欠陥を超音波を用いて検出する超音波探傷法におい
ては、図10に示すように、被探傷体としての鋼管1の
外周面4の1箇所に例えば斜角探触子または垂直探触子
からなる超音波探触子5を配設する。そして、図示しな
い探傷器から信号線を介してこの超音波探触子5内の振
動子5aにパスル信号を印加して、この振動子5aから
鋼管1へ超音波を送信させる。振動子5aから出力され
た超音波は外周面4から鋼管1内へ入力して、鋼管1内
を伝播して、内周面2で大きく反射される。したがっ
て、振動子5aには外周面4で反射された表面反射波と
内周面で反射された底面反射波とが受信される。
する欠陥を超音波を用いて検出する超音波探傷法におい
ては、図10に示すように、被探傷体としての鋼管1の
外周面4の1箇所に例えば斜角探触子または垂直探触子
からなる超音波探触子5を配設する。そして、図示しな
い探傷器から信号線を介してこの超音波探触子5内の振
動子5aにパスル信号を印加して、この振動子5aから
鋼管1へ超音波を送信させる。振動子5aから出力され
た超音波は外周面4から鋼管1内へ入力して、鋼管1内
を伝播して、内周面2で大きく反射される。したがっ
て、振動子5aには外周面4で反射された表面反射波と
内周面で反射された底面反射波とが受信される。
【0005】また、鋼管1の内部および各表面4,2に
欠陥が存在すると、その欠陥にて反射された欠陥反射波
が振動子5bに受信される。よって、この振動子5aで
受信された超音波の受信信号を例えばCRT表示装置等
に表示させると、欠陥に起因する欠陥反射波が現われる
ので、欠陥の発生位置と概略の欠陥規模を把握できる。
欠陥が存在すると、その欠陥にて反射された欠陥反射波
が振動子5bに受信される。よって、この振動子5aで
受信された超音波の受信信号を例えばCRT表示装置等
に表示させると、欠陥に起因する欠陥反射波が現われる
ので、欠陥の発生位置と概略の欠陥規模を把握できる。
【0006】また、上述したような螺旋状溝3が形成さ
れた鋼管1における欠陥は内周面2と外周面4において
軸方向に多発するので、一般に内外面の軸方向傷を対象
に探傷を行う。すなわち、超音波探触子5にて受信され
る超音波の受信感度を、内周面2近傍の欠陥も外周面近
傍の欠陥も高いS/Nでもって検出できるように調整す
る。
れた鋼管1における欠陥は内周面2と外周面4において
軸方向に多発するので、一般に内外面の軸方向傷を対象
に探傷を行う。すなわち、超音波探触子5にて受信され
る超音波の受信感度を、内周面2近傍の欠陥も外周面近
傍の欠陥も高いS/Nでもって検出できるように調整す
る。
【0007】そして、実際の鋼管1に対して超音波探傷
を実行するまえに、図11に示すように、基準となる人
工欠陥A〜Dを刻設した対比試験片6を用いて探傷器に
おいて検出される欠陥反射波の感度調整を行う。なお、
人工欠陥A,B,C,Dは、それぞれ螺旋状溝3の山部
3aの外周面4,内周面2,谷部3bの外周面4,内周
面2にそれぞれ形成された同一規模(5%t=深さ0.2m
m )の人工欠陥である。そして、この対比試験片6の各
人工欠陥A〜Dを静止状態で最良のS/Nが得られるよ
うに、偏心等の手段を用いて最適の屈折角に調整する。
また、この対比試験片6に用いた鋼管1は50.8mmの外径
と5.6 mmの厚みを有する。
を実行するまえに、図11に示すように、基準となる人
工欠陥A〜Dを刻設した対比試験片6を用いて探傷器に
おいて検出される欠陥反射波の感度調整を行う。なお、
人工欠陥A,B,C,Dは、それぞれ螺旋状溝3の山部
3aの外周面4,内周面2,谷部3bの外周面4,内周
面2にそれぞれ形成された同一規模(5%t=深さ0.2m
m )の人工欠陥である。そして、この対比試験片6の各
人工欠陥A〜Dを静止状態で最良のS/Nが得られるよ
うに、偏心等の手段を用いて最適の屈折角に調整する。
また、この対比試験片6に用いた鋼管1は50.8mmの外径
と5.6 mmの厚みを有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、内周面
2に螺旋状溝3が形成されており、鋼管1の厚みtが山
部3aと谷部3bとで大きく異なるので、外周面4から
入射された超音波が山部3aの内面にて反射されて振動
子5aに戻る経路と、谷部3bの内面にて反射されて振
動子5aに戻る経路とが大きく異なることになる。ま
た、山部3aと谷部3bとの境目の壁にて反射されて戻
る経路もある。したがって、超音波探触子5から出力さ
れて再度超音波探触子5へ戻る経路が内周面2に形成さ
れた螺旋状溝3に大きく影響され、一義的に定まらな
い。その結果、欠陥反射波と他の種々の散乱反射波に起
因する雑音との比で示されるS/Nが大幅に低下する。
2に螺旋状溝3が形成されており、鋼管1の厚みtが山
部3aと谷部3bとで大きく異なるので、外周面4から
入射された超音波が山部3aの内面にて反射されて振動
子5aに戻る経路と、谷部3bの内面にて反射されて振
動子5aに戻る経路とが大きく異なることになる。ま
た、山部3aと谷部3bとの境目の壁にて反射されて戻
る経路もある。したがって、超音波探触子5から出力さ
れて再度超音波探触子5へ戻る経路が内周面2に形成さ
れた螺旋状溝3に大きく影響され、一義的に定まらな
い。その結果、欠陥反射波と他の種々の散乱反射波に起
因する雑音との比で示されるS/Nが大幅に低下する。
【0009】よって、CRT表示装置に表示される反射
波(エコー)の高さが一定しなかったり、消滅したり、
また、現れる位置が絶えず変化する。したがって、CR
T表示装置に表示される反射波がどの位置の欠陥に起因
するものであるか、さらに、その反射波が欠陥に起因す
るものであるのか、内周面2からの反射波であるのかの
判断が難しい等の問題が生じる。
波(エコー)の高さが一定しなかったり、消滅したり、
また、現れる位置が絶えず変化する。したがって、CR
T表示装置に表示される反射波がどの位置の欠陥に起因
するものであるか、さらに、その反射波が欠陥に起因す
るものであるのか、内周面2からの反射波であるのかの
判断が難しい等の問題が生じる。
【0010】さらに、使用する超音波探触子が図10に
示した通常の垂直探触子または通常に斜角探触子である
ので、振動子5aから出力される超音波が広く広がっ
て、山部3aや谷部3bに当たって散乱し、S/Nをさ
らに低下させる問題もある。
示した通常の垂直探触子または通常に斜角探触子である
ので、振動子5aから出力される超音波が広く広がっ
て、山部3aや谷部3bに当たって散乱し、S/Nをさ
らに低下させる問題もある。
【0011】なお、このような不都合を解消するため
に、鋼管1の内周面2に螺旋状溝3を形成するまえの鋼
管そのものの状態で高い検出感度でもって超音波探傷を
行い、次に、螺旋状溝3を形成したあとの完成された状
態の鋼管を検出感度を低下させて探傷する2段階探傷法
が考えられる。
に、鋼管1の内周面2に螺旋状溝3を形成するまえの鋼
管そのものの状態で高い検出感度でもって超音波探傷を
行い、次に、螺旋状溝3を形成したあとの完成された状
態の鋼管を検出感度を低下させて探傷する2段階探傷法
が考えられる。
【0012】また、螺旋状溝3が形成された最終状態
で、厚みtが厚い(t=tT )山部3aに対応した検出
感度で超音波探傷を実行する1段階探傷法も考えられ
る。この場合、谷部3bの欠陥に対する検出感度は最適
検出感度より低くなる。
で、厚みtが厚い(t=tT )山部3aに対応した検出
感度で超音波探傷を実行する1段階探傷法も考えられ
る。この場合、谷部3bの欠陥に対する検出感度は最適
検出感度より低くなる。
【0013】さらに、螺旋状溝3が形成された最終状態
で、山部3aの外周面と内周面とをそれぞれ専用の超音
波探触子で探傷し、さらに、谷部3bの外周面と内周面
とをそれぞれ専用の超音波探触子で探傷する手法も考え
られる。この場合、山部3aの外周面と内周面を探傷す
る各超音波探触子の検出感度は山部3aの厚みtT に対
応した検出感度に設定し、谷部3bの外周面と内周面を
探傷する各超音波探触子の検出感度は谷部3bの厚みt
B に対応した検出感度、すなわち山部3aの検出感度よ
り低く設定する。
で、山部3aの外周面と内周面とをそれぞれ専用の超音
波探触子で探傷し、さらに、谷部3bの外周面と内周面
とをそれぞれ専用の超音波探触子で探傷する手法も考え
られる。この場合、山部3aの外周面と内周面を探傷す
る各超音波探触子の検出感度は山部3aの厚みtT に対
応した検出感度に設定し、谷部3bの外周面と内周面を
探傷する各超音波探触子の検出感度は谷部3bの厚みt
B に対応した検出感度、すなわち山部3aの検出感度よ
り低く設定する。
【0014】しかしながら、上述した各探傷法もまだ次
のような問題があった。すなわち、2段階探傷法におい
ては、螺旋状溝3を形成する過程で山部3aに相当する
位置に欠陥(傷)が発生する懸念がある。また、2段階
探傷は工程が増大するので、設備や探傷作業能率が低下
する。
のような問題があった。すなわち、2段階探傷法におい
ては、螺旋状溝3を形成する過程で山部3aに相当する
位置に欠陥(傷)が発生する懸念がある。また、2段階
探傷は工程が増大するので、設備や探傷作業能率が低下
する。
【0015】また、上述した各探傷法においては、各超
音波探触子の検出感度を鋼管1を静的状態で各厚み
tT ,tB に対応した最適値に設定している。しかし、
実際においては、鋼管1と各超音波探触子との相対位置
を移動させながら探傷作業を実行する。したがって、鋼
管1の内周面2から見た超音波探触子5の軌跡は図12
の矢印で示すように、螺旋状溝3の山部3aと谷部3b
とを横切る。したがって、各超音波探触子は厚みtが大
きく変動する鋼管1を探傷することになるので、前述し
た問題は何等解消しないことになる。
音波探触子の検出感度を鋼管1を静的状態で各厚み
tT ,tB に対応した最適値に設定している。しかし、
実際においては、鋼管1と各超音波探触子との相対位置
を移動させながら探傷作業を実行する。したがって、鋼
管1の内周面2から見た超音波探触子5の軌跡は図12
の矢印で示すように、螺旋状溝3の山部3aと谷部3b
とを横切る。したがって、各超音波探触子は厚みtが大
きく変動する鋼管1を探傷することになるので、前述し
た問題は何等解消しないことになる。
【0016】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、鋼管の外周面に配設された超音波探触子の
焦点が内周面の螺旋状溝に沿って移動するように鋼管と
超音波探触子との相対位置を移動させることによって、
螺旋状溝の山部及び谷部を常時最良の検出感度で探傷で
き、また、厚み変化に起因する雑音成分を極力低減し、
S/Nを向上させると共に、探傷性能を大幅に向上でき
る鋼管の超音波探傷方法及びその装置を提供することを
目的とする。
ものであり、鋼管の外周面に配設された超音波探触子の
焦点が内周面の螺旋状溝に沿って移動するように鋼管と
超音波探触子との相対位置を移動させることによって、
螺旋状溝の山部及び谷部を常時最良の検出感度で探傷で
き、また、厚み変化に起因する雑音成分を極力低減し、
S/Nを向上させると共に、探傷性能を大幅に向上でき
る鋼管の超音波探傷方法及びその装置を提供することを
目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解消するため
に本発明は、内周面に互いに平行する複数の螺旋状溝が
形成された鋼管の外周面に超音波探触子を対向させて、
この超音波探触子から鋼管に対して超音波の送受信を行
うことによって、鋼管の表面および内部に存在する欠陥
を検出する鋼管の超音波探傷方法において、
に本発明は、内周面に互いに平行する複数の螺旋状溝が
形成された鋼管の外周面に超音波探触子を対向させて、
この超音波探触子から鋼管に対して超音波の送受信を行
うことによって、鋼管の表面および内部に存在する欠陥
を検出する鋼管の超音波探傷方法において、
【0018】超音波探触子の焦点が螺旋状溝の山部又は
谷部に沿って移動するように、超音波探触子と鋼管との
位置関係を相対的に変化させることによって、超音波探
触子でもって連続して欠陥検出を行うようにしている。
谷部に沿って移動するように、超音波探触子と鋼管との
位置関係を相対的に変化させることによって、超音波探
触子でもって連続して欠陥検出を行うようにしている。
【0019】また、別の発明の鋼管の超音波探傷方法に
よれは、上記各手段に加えて、全ての螺旋状溝の山部及
び谷部に沿って焦点が移動するように、鋼管の外周方向
に沿って少なくとも螺旋状溝数の2倍以上の超音波探触
子を配設するようにしている。
よれは、上記各手段に加えて、全ての螺旋状溝の山部及
び谷部に沿って焦点が移動するように、鋼管の外周方向
に沿って少なくとも螺旋状溝数の2倍以上の超音波探触
子を配設するようにしている。
【0020】さらに、別の発明における鋼管の超音波探
傷装置においては、鋼管における外周面の外周方向に沿
って配設された少なくとも螺旋状溝数の2倍以上の超音
波探触子と、この各超音波探触子の焦点が螺旋状溝の山
部及び谷部に位置するように各超音波探触子を支持する
超音波探触子支持機構と、この超音波探触子支持機構に
よって支持された各超音波探触子の焦点が各螺旋状溝の
山部又は谷部に沿って移動するように、超音波探触子と
前記鋼管との位置関係を相対的に変化させる移動制御機
構と、各超音波探触子から出力された超音波の受信信号
から欠陥の発生位置および欠陥規模を検出する信号処理
部とを備えている。
傷装置においては、鋼管における外周面の外周方向に沿
って配設された少なくとも螺旋状溝数の2倍以上の超音
波探触子と、この各超音波探触子の焦点が螺旋状溝の山
部及び谷部に位置するように各超音波探触子を支持する
超音波探触子支持機構と、この超音波探触子支持機構に
よって支持された各超音波探触子の焦点が各螺旋状溝の
山部又は谷部に沿って移動するように、超音波探触子と
前記鋼管との位置関係を相対的に変化させる移動制御機
構と、各超音波探触子から出力された超音波の受信信号
から欠陥の発生位置および欠陥規模を検出する信号処理
部とを備えている。
【0021】さらに別の発明においては、移動制御機構
を、超音波探触子支持機構によって支持された各超音波
探触子の焦点が各螺旋状溝の山部又は谷部に沿って移動
するように、鋼管を軸心回りに回転させなが軸方向に移
動させる鋼管移動制御装置でもって構成している。
を、超音波探触子支持機構によって支持された各超音波
探触子の焦点が各螺旋状溝の山部又は谷部に沿って移動
するように、鋼管を軸心回りに回転させなが軸方向に移
動させる鋼管移動制御装置でもって構成している。
【0022】
【作用】このように構成された鋼管の超音波探傷方法及
びその装置によれば、この鋼管の外周面に配設された超
音波探触子は焦点を有する超音波探触子で形成されてい
る。そして、各超音波探触子から出力される超音波は鋼
管の内周面に形成された螺旋状溝の山部又は谷部近傍で
焦点を結ぶ。すなわち、静止状態において、山部又は谷
部に存在する欠陥が最良の状態で検出するように検出感
度調整が行われる。
びその装置によれば、この鋼管の外周面に配設された超
音波探触子は焦点を有する超音波探触子で形成されてい
る。そして、各超音波探触子から出力される超音波は鋼
管の内周面に形成された螺旋状溝の山部又は谷部近傍で
焦点を結ぶ。すなわち、静止状態において、山部又は谷
部に存在する欠陥が最良の状態で検出するように検出感
度調整が行われる。
【0023】そして、超音波探触子の焦点が螺旋状溝の
山部又は谷部に沿って移動するように、鋼管と超音波探
触子の位置関係が相対的に変化する。例えば、鋼管を軸
心回りに回転させながら軸方向に移動させるている。し
たがって、たとえ鋼管を移動させたとしても、超音波の
焦点は一旦設定された螺旋状溝の山部又は谷部を外れる
ことはない。よって、鋼管を移動することによって超音
波探触子から出力されて再度この超音波探触子へ受信さ
れる超音波の経路が変化することはない。その結果、欠
陥に起因する欠陥反射波のS/Nが低下することはな
い。
山部又は谷部に沿って移動するように、鋼管と超音波探
触子の位置関係が相対的に変化する。例えば、鋼管を軸
心回りに回転させながら軸方向に移動させるている。し
たがって、たとえ鋼管を移動させたとしても、超音波の
焦点は一旦設定された螺旋状溝の山部又は谷部を外れる
ことはない。よって、鋼管を移動することによって超音
波探触子から出力されて再度この超音波探触子へ受信さ
れる超音波の経路が変化することはない。その結果、欠
陥に起因する欠陥反射波のS/Nが低下することはな
い。
【0024】また、別の発明においては、超音波探触子
が鋼管の外周方向に沿って螺旋状溝の形成数の2倍以上
の数の超音波探触子が鋼管の全周に亘って配設されてい
る。したがって、各螺旋状溝の山部及び谷部に亘って均
等にその山部又は谷部に対してそれぞれ焦点が設定され
ている。よって、例えば、鋼管を回転させながら移動さ
せると、全ての螺旋状溝の各山部及び谷部が同時に探傷
される。よって、探傷作業能率が大幅に向上する。さら
に、信号処理部において各超音波探触子から出力された
超音波の受信信号から欠陥の発生位置および欠陥規模を
検出している。
が鋼管の外周方向に沿って螺旋状溝の形成数の2倍以上
の数の超音波探触子が鋼管の全周に亘って配設されてい
る。したがって、各螺旋状溝の山部及び谷部に亘って均
等にその山部又は谷部に対してそれぞれ焦点が設定され
ている。よって、例えば、鋼管を回転させながら移動さ
せると、全ての螺旋状溝の各山部及び谷部が同時に探傷
される。よって、探傷作業能率が大幅に向上する。さら
に、信号処理部において各超音波探触子から出力された
超音波の受信信号から欠陥の発生位置および欠陥規模を
検出している。
【0025】また、別の発明の鋼管の超音波探傷装置に
おいては、超音波探触子支持機構で各超音波探触子を鋼
管の外周面の周方向に配設し、鋼管支持移動装置でもっ
て鋼管を軸心回りに回転させなが軸方向に移動させてい
る。
おいては、超音波探触子支持機構で各超音波探触子を鋼
管の外周面の周方向に配設し、鋼管支持移動装置でもっ
て鋼管を軸心回りに回転させなが軸方向に移動させてい
る。
【0026】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面を用いて説明す
る。図1は実施例の鋼管の超音波探傷方法を適用した超
音波探傷装置全体を示すシステム構成図である。
る。図1は実施例の鋼管の超音波探傷方法を適用した超
音波探傷装置全体を示すシステム構成図である。
【0027】検査ライン10に沿って被検体としての鋼
管1を搭載した試験用搬送台車11が移動制御される。
鋼管1は両側に配設された複数の回転ローラ12により
一定速度で軸心回り回転させられる。また、検査ライン
10上には試験用搬送台車11の移動位置を検出するた
めの位置センサ13が設けられている。さらに、検査ラ
イン10の上方位置には超音波探触子支持機構14が例
えば建屋に天井固定された支持移動機構に移動自在に設
けられている。この超音波探触子支持機構14の下面に
は多数の超音波探触子15a,15bが鋼管1の外周面
4に対向するように取付けられている。
管1を搭載した試験用搬送台車11が移動制御される。
鋼管1は両側に配設された複数の回転ローラ12により
一定速度で軸心回り回転させられる。また、検査ライン
10上には試験用搬送台車11の移動位置を検出するた
めの位置センサ13が設けられている。さらに、検査ラ
イン10の上方位置には超音波探触子支持機構14が例
えば建屋に天井固定された支持移動機構に移動自在に設
けられている。この超音波探触子支持機構14の下面に
は多数の超音波探触子15a,15bが鋼管1の外周面
4に対向するように取付けられている。
【0028】なお、位置センサ13側の先頭位置のチャ
ンネルAおよびチャンルBの各超音波探触子15a,1
5bは鋼管1の移動速度および回転速度を制御するため
のセンサである。
ンネルAおよびチャンルBの各超音波探触子15a,1
5bは鋼管1の移動速度および回転速度を制御するため
のセンサである。
【0029】検査ライン10に平行に校正ライン16が
配設されており、この校正ライン16上に人工欠陥が形
成された校正用鋼管17を搭載した校正用搬送台車18
が移動制御される。そして、前記超音波探触子支持機構
14は前述した支持移動機構によって、検査ライン10
上および校正ライン16上を図中矢印で示すように任意
に移動可能である。
配設されており、この校正ライン16上に人工欠陥が形
成された校正用鋼管17を搭載した校正用搬送台車18
が移動制御される。そして、前記超音波探触子支持機構
14は前述した支持移動機構によって、検査ライン10
上および校正ライン16上を図中矢印で示すように任意
に移動可能である。
【0030】校正ライン16の近傍位置に超音波探傷装
置全体の動作を制御する監視制御装置19が配設されて
いる。この監視制御装置19内には、超音波探触子15
a,15bによって欠陥や厚みを検出する信号処理部と
しての探傷器20,探傷結果を表示する表示器21,鋼
管1,17を移動制御する鋼管移動制御装置22,探傷
結果を印字出力するプリンタ23,探傷結果を記憶する
記憶部24,各部の動作を制御するコンピュータ25等
が収納されている。
置全体の動作を制御する監視制御装置19が配設されて
いる。この監視制御装置19内には、超音波探触子15
a,15bによって欠陥や厚みを検出する信号処理部と
しての探傷器20,探傷結果を表示する表示器21,鋼
管1,17を移動制御する鋼管移動制御装置22,探傷
結果を印字出力するプリンタ23,探傷結果を記憶する
記憶部24,各部の動作を制御するコンピュータ25等
が収納されている。
【0031】図2は超音波探触子支持機構14の正面図
である。図示するように、鋼管1が超音波探触子支持機
構14の下方位置に移動すると、各超音波波探触子15
a,15bがそれぞれのマニプレータ26の動作によっ
て、鋼管1の外周面4に水を介して当接するように位置
制御される。そして、各マニプレータ26は、図3に示
すように、各超音波探触子15a,15bを、鋼管1の
内周面2に形成された螺旋溝3の山部3aに対向するチ
ャンネルAの山部超音波探触子列と、螺旋溝3の谷部3
bに対向するチャンネルBの山部超音波探触子列に分け
て配列する。
である。図示するように、鋼管1が超音波探触子支持機
構14の下方位置に移動すると、各超音波波探触子15
a,15bがそれぞれのマニプレータ26の動作によっ
て、鋼管1の外周面4に水を介して当接するように位置
制御される。そして、各マニプレータ26は、図3に示
すように、各超音波探触子15a,15bを、鋼管1の
内周面2に形成された螺旋溝3の山部3aに対向するチ
ャンネルAの山部超音波探触子列と、螺旋溝3の谷部3
bに対向するチャンネルBの山部超音波探触子列に分け
て配列する。
【0032】次に、鋼管移動制御装置22の動作を図4
〜図6を用いて説明する。前述したように、先頭位置の
チャンネルBの超音波探触子15bは内周面2の谷部3
bに対向するので、図5(a)に示すように、探傷器2
0で得られる表面および谷部3bの底面での各エコー
T,B1 との間の時間tbは谷部3b部分における厚み
に対応する。また、チャンネルAの超音波探触子15a
は内周面2の山部3aに対向するので、図5(b)に示
すように、探傷器20で得られる表面および山部3aの
底面での各エコーT,B2 との間の時間taは山部3a
部分における厚みに対応する。
〜図6を用いて説明する。前述したように、先頭位置の
チャンネルBの超音波探触子15bは内周面2の谷部3
bに対向するので、図5(a)に示すように、探傷器2
0で得られる表面および谷部3bの底面での各エコー
T,B1 との間の時間tbは谷部3b部分における厚み
に対応する。また、チャンネルAの超音波探触子15a
は内周面2の山部3aに対向するので、図5(b)に示
すように、探傷器20で得られる表面および山部3aの
底面での各エコーT,B2 との間の時間taは山部3a
部分における厚みに対応する。
【0033】しかし、図4に示すように、チャンネルA
の超音波探触子15aが山部3aと谷部3bとの間に位
置すると、図5(b)に示すように、山部3aのエコー
B2の他に谷部3bに対応するエコーB1 が現れる。
の超音波探触子15aが山部3aと谷部3bとの間に位
置すると、図5(b)に示すように、山部3aのエコー
B2の他に谷部3bに対応するエコーB1 が現れる。
【0034】このとき、探触子15bには肉厚測定に対
応する図5(a)の波形が得られる。また、探触子15
aには、谷部3bからのエコー高さB1 (ゲート1)と
山部3aからのエコー高さB2 (ゲート2)が検出され
た図5(b)の波形が得られる。この状態で、探触子1
5bに表れる各エコー高さB1 ,B2 を比較して、B1
>B2 の差が1/2以上開いた時に回転速度を上昇させ
る方向へ、一方、B1<B2 の差が1/2以上開いた時
に回転速度を下げる方向に、鋼管1を搭載した試験用搬
送台車11の移動速度、および鋼管1を回転させる回転
ローラ12の回転速度を制御すればよい。図6は、各チ
ャンネルA,Bの超音波探触子15a,15bでもって
鋼管1の厚みtを計測して、鋼管1の回転速度と移動速
度を制御するための制御ブロック図である。
応する図5(a)の波形が得られる。また、探触子15
aには、谷部3bからのエコー高さB1 (ゲート1)と
山部3aからのエコー高さB2 (ゲート2)が検出され
た図5(b)の波形が得られる。この状態で、探触子1
5bに表れる各エコー高さB1 ,B2 を比較して、B1
>B2 の差が1/2以上開いた時に回転速度を上昇させ
る方向へ、一方、B1<B2 の差が1/2以上開いた時
に回転速度を下げる方向に、鋼管1を搭載した試験用搬
送台車11の移動速度、および鋼管1を回転させる回転
ローラ12の回転速度を制御すればよい。図6は、各チ
ャンネルA,Bの超音波探触子15a,15bでもって
鋼管1の厚みtを計測して、鋼管1の回転速度と移動速
度を制御するための制御ブロック図である。
【0035】このように構成された鋼管移動速度制御装
置22の制御によって、各チャンネルA,Bの各超音波
探触子15a,15bは鋼管1の外周面4における指定
された山部3aまたは谷部3bの対向面を忠実に倣って
いく。
置22の制御によって、各チャンネルA,Bの各超音波
探触子15a,15bは鋼管1の外周面4における指定
された山部3aまたは谷部3bの対向面を忠実に倣って
いく。
【0036】鋼管1の内周面2には、例えば互いに平行
する8本の螺旋状溝3が形成されている。互いに隣接す
る螺旋状溝3の山部3aの厚みtT は谷部3bの厚みt
B より大きい。そして、図3に示すように、外周面4に
おける8本の螺旋状溝3の各山部3aおよび各谷部3b
に対向する位置にそれぞれ超音波探触子15a,15b
がこの外周面4に対向する姿勢で配設されている。そし
て、各超音波探触子15a,15bはそれぞれ専用の信
号線を介して監視制御装置19内の探傷器20に接続さ
れている。
する8本の螺旋状溝3が形成されている。互いに隣接す
る螺旋状溝3の山部3aの厚みtT は谷部3bの厚みt
B より大きい。そして、図3に示すように、外周面4に
おける8本の螺旋状溝3の各山部3aおよび各谷部3b
に対向する位置にそれぞれ超音波探触子15a,15b
がこの外周面4に対向する姿勢で配設されている。そし
て、各超音波探触子15a,15bはそれぞれ専用の信
号線を介して監視制御装置19内の探傷器20に接続さ
れている。
【0037】各超音波探触子15a,15bは、例え
ば、焦点型探触子で構成されており、その焦点近傍が最
も感度よく、かつ超音波ビームを絞ることができ、ビー
ム拡散が小さいことから、高いS/Nでもって欠陥を検
出できる。また、焦点位置は組込まれた各振動子の音響
レンズの曲率を調整することによって容易にその位置を
変更できる。そして、各山部3aに対応する各超音波探
触子15aの焦点は山部3aの内面近傍に位置するよう
に調整されており、各谷部3bに対応する各超音波探触
子15bの焦点は谷部3bの内面近傍に位置するように
調整されている。
ば、焦点型探触子で構成されており、その焦点近傍が最
も感度よく、かつ超音波ビームを絞ることができ、ビー
ム拡散が小さいことから、高いS/Nでもって欠陥を検
出できる。また、焦点位置は組込まれた各振動子の音響
レンズの曲率を調整することによって容易にその位置を
変更できる。そして、各山部3aに対応する各超音波探
触子15aの焦点は山部3aの内面近傍に位置するよう
に調整されており、各谷部3bに対応する各超音波探触
子15bの焦点は谷部3bの内面近傍に位置するように
調整されている。
【0038】また、この焦点を有する超音波探触子15
a,15bにおいては、振動子で感度良く受信する超音
波の範囲が比較的狭いので、比較的狭い範囲における超
音波探傷を行うことができる。すなわち、隣接する他の
超音波探触子から出力された超音波に起因する散乱超音
波が入射されるのが抑制される。
a,15bにおいては、振動子で感度良く受信する超音
波の範囲が比較的狭いので、比較的狭い範囲における超
音波探傷を行うことができる。すなわち、隣接する他の
超音波探触子から出力された超音波に起因する散乱超音
波が入射されるのが抑制される。
【0039】これら16個の各超音波探触子15a,1
5bは前述したように、超音波探触子支持機構14の各
マニプレータ26によってそれぞれ独立して支持されて
いる。また、各超音波探触子15a,15bは直接鋼管
1の外相面4に接触するのではなく、図示しない給水設
備によって、超音波探触子15a,15bと外周面4と
の間に水が供給されている。すなわち、各超音波探触子
15a,15bは水を介して外周面4に配設されている
ので、超音波が円滑に鋼管内に入出力される。一般にこ
の測定法は水侵法と呼ばれている。
5bは前述したように、超音波探触子支持機構14の各
マニプレータ26によってそれぞれ独立して支持されて
いる。また、各超音波探触子15a,15bは直接鋼管
1の外相面4に接触するのではなく、図示しない給水設
備によって、超音波探触子15a,15bと外周面4と
の間に水が供給されている。すなわち、各超音波探触子
15a,15bは水を介して外周面4に配設されている
ので、超音波が円滑に鋼管内に入出力される。一般にこ
の測定法は水侵法と呼ばれている。
【0040】前記探傷器20は、内部に各超音波探触子
15a,15bへ一定間隔でパルス信号を送出する送信
回路と、各超音波探触子15a,15bから出力された
超音波の受信信号を受信する複数の受信回路と、この各
受信回路で受信した反射波を表示するCRT表示装置と
が組込まれている。この探傷器20内には、各受信回路
で受信した欠陥に起因する反射波を記録するデータ記録
装置も組込まれている。なお、各超音波探触子15a,
15bの検出感度は各受信回路の増幅度調整によって行
う。具体的には、図1に示すように人工欠陥を有する校
正用鋼管17を用いる。
15a,15bへ一定間隔でパルス信号を送出する送信
回路と、各超音波探触子15a,15bから出力された
超音波の受信信号を受信する複数の受信回路と、この各
受信回路で受信した反射波を表示するCRT表示装置と
が組込まれている。この探傷器20内には、各受信回路
で受信した欠陥に起因する反射波を記録するデータ記録
装置も組込まれている。なお、各超音波探触子15a,
15bの検出感度は各受信回路の増幅度調整によって行
う。具体的には、図1に示すように人工欠陥を有する校
正用鋼管17を用いる。
【0041】次に、このように構成された鋼管の超音波
探傷装置の検出感度と雑音レベルとの関係を、図7に示
す0.2mm の基準傷深さ(欠陥規模)の人工欠陥を有した
校正用鋼管17と、傷深さ(欠陥規模)が前記基準より
小さい0.1 mmと、基準より大きい、0.3mm,0.4mm,0.5mm
との合計5種類の校正用鋼管17を用いて測定した。な
お、測定に使用した超音波探触子15a,15bは、発
振周波数が5MHzで、振動子の直径が8mmで、焦点距離
が30mmの特性を有する。
探傷装置の検出感度と雑音レベルとの関係を、図7に示
す0.2mm の基準傷深さ(欠陥規模)の人工欠陥を有した
校正用鋼管17と、傷深さ(欠陥規模)が前記基準より
小さい0.1 mmと、基準より大きい、0.3mm,0.4mm,0.5mm
との合計5種類の校正用鋼管17を用いて測定した。な
お、測定に使用した超音波探触子15a,15bは、発
振周波数が5MHzで、振動子の直径が8mmで、焦点距離
が30mmの特性を有する。
【0042】測定結果を図8(a)(b)に示す。この
測定結果でも明らかなように、0.2mm の基準欠陥におい
ては、図8(a)に示すように外周面4に存在する傷
A,Cを検出する場合の雑音レベルは46dBであり、
図8(b)に示すように内周面2に存在する傷B,Dを
検出する場合の雑音レベルは43dBである。そして、
得られた検出感度と雑音レベルとの比で示されるS/N
は、外面傷A,Cに対して約20dBを確保でき、ま
た、内面傷B,Dに対して約19dBを確保できた。な
お、欠陥規模(傷深さ)が増大すると欠陥の検出感度が
増大し、S/Nも向上することは言うまでもない。
測定結果でも明らかなように、0.2mm の基準欠陥におい
ては、図8(a)に示すように外周面4に存在する傷
A,Cを検出する場合の雑音レベルは46dBであり、
図8(b)に示すように内周面2に存在する傷B,Dを
検出する場合の雑音レベルは43dBである。そして、
得られた検出感度と雑音レベルとの比で示されるS/N
は、外面傷A,Cに対して約20dBを確保でき、ま
た、内面傷B,Dに対して約19dBを確保できた。な
お、欠陥規模(傷深さ)が増大すると欠陥の検出感度が
増大し、S/Nも向上することは言うまでもない。
【0043】発明者は上述した効果を確認するために、
同一の5個の校正用鋼管17を用いて、この校正用鋼管
17を従来の回転させない手法で測定を行った。そし
て、その測定結果を図8(c)(d)に示す。なお、こ
の測定に用いた超音波探触子は、発振周波数が5MHz
で、振動子の形状が6×12の矩形状を有し、屈折角度
は40度に設定されている斜角探触子を用いた。したがっ
て、当然この超音波探触子は焦点を有していない。そし
て、振動子と鋼管1の外周面4との間にアクリル樹脂を
介在させて直接接触法で測定した。
同一の5個の校正用鋼管17を用いて、この校正用鋼管
17を従来の回転させない手法で測定を行った。そし
て、その測定結果を図8(c)(d)に示す。なお、こ
の測定に用いた超音波探触子は、発振周波数が5MHz
で、振動子の形状が6×12の矩形状を有し、屈折角度
は40度に設定されている斜角探触子を用いた。したがっ
て、当然この超音波探触子は焦点を有していない。そし
て、振動子と鋼管1の外周面4との間にアクリル樹脂を
介在させて直接接触法で測定した。
【0044】図8(c)に示すように、外周面4に存在
する傷A,Cを検出する場合の雑音レベルは47dBで
あり、図8(d)に示すように内周面2に存在する傷
B,Dを検出する場合の雑音レベルは47dBである。
しかし、振動子には山部3aや谷部3bや山部3aと谷
部3bとの境界面で反射された複数種類の超音波が入射
されるので、欠陥の検出感度が大幅に低下する。その結
果、得られた検出感度と雑音レベルとの比で示されるS
/Nは、外面傷A,Cに対して約8dBであり、内面傷
B,Dに対して約1.5dBである。ちなみに、探傷可
能なS/Nの最低限界は約3(=10dB)と言われて
おり、外面傷はかろうじて探傷できるが、内面傷はまっ
たく探傷できない。したがって、図8(a)(b)に示
した実施例装置のS/Nが従来手法に比較して大幅に向
上したことがより明確になった。
する傷A,Cを検出する場合の雑音レベルは47dBで
あり、図8(d)に示すように内周面2に存在する傷
B,Dを検出する場合の雑音レベルは47dBである。
しかし、振動子には山部3aや谷部3bや山部3aと谷
部3bとの境界面で反射された複数種類の超音波が入射
されるので、欠陥の検出感度が大幅に低下する。その結
果、得られた検出感度と雑音レベルとの比で示されるS
/Nは、外面傷A,Cに対して約8dBであり、内面傷
B,Dに対して約1.5dBである。ちなみに、探傷可
能なS/Nの最低限界は約3(=10dB)と言われて
おり、外面傷はかろうじて探傷できるが、内面傷はまっ
たく探傷できない。したがって、図8(a)(b)に示
した実施例装置のS/Nが従来手法に比較して大幅に向
上したことがより明確になった。
【0045】このように、各超音波探触子15a,15
bから得られる欠陥に起因する反射波のS/Nが大幅に
向上するので、螺旋状溝3の山部3aまたは谷部3bに
存在する微細な欠陥も精度良く検出できる。
bから得られる欠陥に起因する反射波のS/Nが大幅に
向上するので、螺旋状溝3の山部3aまたは谷部3bに
存在する微細な欠陥も精度良く検出できる。
【0046】さらに、鋼管1の外周面4の外周方向に沿
って螺旋状溝3の各山部3a毎及び各谷部3b毎にそれ
ぞれこの各山部3a,各谷部3bに沿って焦点が移動す
る専用の超音波探触子15a,15bを配設しているの
で、各探触子から出力される超音波が隣の山部3a又は
谷部3bを横切ることはない。よって、探傷している超
音波の経路長が変化することはないので、反射波が探傷
器20内のCRT表示装置の表示画面上で移動すること
なく、あたかも停止しているように表示される。したが
って、観測者にとっても非常に監視しやすい画面とな
り、観測者の精神的負担を軽減できる。
って螺旋状溝3の各山部3a毎及び各谷部3b毎にそれ
ぞれこの各山部3a,各谷部3bに沿って焦点が移動す
る専用の超音波探触子15a,15bを配設しているの
で、各探触子から出力される超音波が隣の山部3a又は
谷部3bを横切ることはない。よって、探傷している超
音波の経路長が変化することはないので、反射波が探傷
器20内のCRT表示装置の表示画面上で移動すること
なく、あたかも停止しているように表示される。したが
って、観測者にとっても非常に監視しやすい画面とな
り、観測者の精神的負担を軽減できる。
【0047】また、各超音波探触子15a,15bとし
て細い帯状の音場が得られる焦点型の探触子を採用し、
さらに、山部3aと谷部3bとをそれぞれ専用の探触子
15a,15bを割当て、それぞれ焦点を絞って内周面
2の各所を探傷している。したがった、山部3aや谷部
3bに当たる超音波の散乱を防止するとともに、欠陥に
起因する反射波のS/Nをより一層向上できる。
て細い帯状の音場が得られる焦点型の探触子を採用し、
さらに、山部3aと谷部3bとをそれぞれ専用の探触子
15a,15bを割当て、それぞれ焦点を絞って内周面
2の各所を探傷している。したがった、山部3aや谷部
3bに当たる超音波の散乱を防止するとともに、欠陥に
起因する反射波のS/Nをより一層向上できる。
【0048】また、山部3aと谷部3bとをそれぞれ専
用の超音波探触子15a,15bで測定しているので、
CRT表示装置に表示された欠陥反射波(エコー)が山
部3aの外面か内面か、また谷部3bの外面か内面かを
簡単に識別できる。
用の超音波探触子15a,15bで測定しているので、
CRT表示装置に表示された欠陥反射波(エコー)が山
部3aの外面か内面か、また谷部3bの外面か内面かを
簡単に識別できる。
【0049】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。実施例においては、各山部3aおよび
各谷部3bと1対1で各超音波探触子を配設したが、山
部3aおよび谷部3bの幅が広い場合は、1つの山部3
aまたは谷部3bに2個以上の超音波探触子15a,1
5bを配設してもよい。
るものではない。実施例においては、各山部3aおよび
各谷部3bと1対1で各超音波探触子を配設したが、山
部3aおよび谷部3bの幅が広い場合は、1つの山部3
aまたは谷部3bに2個以上の超音波探触子15a,1
5bを配設してもよい。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明の鋼管の超音
波探傷方法及びその装置によれば、内周面に螺旋状溝を
有する鋼管の外周面に配設された超音波探触子の焦点が
螺旋状溝に沿って移動するように超音波探触子と鋼管と
の位置関係を相対的に変化させている。したがって、螺
旋状溝の山部及び谷部はそれぞれ専用の超音波探触子
で、しかも常時最良の検出感度で探傷される。その結
果、厚み変化に起因する雑音成分を極力低減し、S/N
を向上させると共に、探傷性能を大幅に向上できる。
波探傷方法及びその装置によれば、内周面に螺旋状溝を
有する鋼管の外周面に配設された超音波探触子の焦点が
螺旋状溝に沿って移動するように超音波探触子と鋼管と
の位置関係を相対的に変化させている。したがって、螺
旋状溝の山部及び谷部はそれぞれ専用の超音波探触子
で、しかも常時最良の検出感度で探傷される。その結
果、厚み変化に起因する雑音成分を極力低減し、S/N
を向上させると共に、探傷性能を大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係わる鋼管の超音波探傷
装置全体を示すシステム構成図、
装置全体を示すシステム構成図、
【図2】 同実施例装置の超音波探触子支持機構を示す
側面図、
側面図、
【図3】 同実施例装置の要部を取出して示す断面模式
図、
図、
【図4】 同実施例装置における各超音波探触子の取付
位置を示す図、
位置を示す図、
【図5】 同実施例装置における各超音波探触子にて得
られたエコー波形図、
られたエコー波形図、
【図6】 同実施例装置の鋼管移動制御装置を示すブロ
ック図、
ック図、
【図7】 同実施例装置に用いる校正用鋼管の断面図、
【図8】 同実施例装置の検出感度特性と従来手法にお
ける検出感度特性とを示す図、
ける検出感度特性とを示す図、
【図9】 螺旋状溝を有した鋼管の構成を示す図、
【図10】 従来の超音波探傷方法を示す図、
【図11】 従来手法に用いる対比試験片を示す図、
【図12】 従来手法における超音波探触子の移動方向
を示す図。
を示す図。
1…鋼管、2…内周面、3…螺旋状溝、3a…山部、3
b…谷部、4…外周面、10…検査ライン、11…試験
用搬送台車、12…回転ローラ、14…超音波探触子支
持機構、15a,15b…超音波探触子、19…監視制
御装置、20…探傷器、25…コンピュータ。
b…谷部、4…外周面、10…検査ライン、11…試験
用搬送台車、12…回転ローラ、14…超音波探触子支
持機構、15a,15b…超音波探触子、19…監視制
御装置、20…探傷器、25…コンピュータ。
Claims (4)
- 【請求項1】 内周面に互いに平行する複数の螺旋状溝
が形成された鋼管の外周面に超音波探触子を対向させ
て、この超音波探触子から前記鋼管に対して超音波の送
受信を行うことによって、前記鋼管の表面および内部に
存在する欠陥を検出する鋼管の超音波探傷方法におい
て、前記超音波探触子の焦点が前記螺旋状溝の山部又は
谷部に沿って螺旋状に移動するように、前記超音波探触
子と前記鋼管との位置関係を相対的に変化させることに
よって、前記超音波探触子でもって連続して欠陥検出を
行うことを特徴とする鋼管の超音波探傷方法。 - 【請求項2】 全ての螺旋状溝の山部及び谷部に沿って
焦点が移動するように、鋼管の外周方向に沿って少なく
とも前記螺旋状溝数の2倍以上の超音波探触子を配設す
ることを特徴とする請求項1記載の鋼管の超音波探傷方
法。 - 【請求項3】 内周面に互いに平行する複数の螺旋状溝
が形成された鋼管の外周面からこの鋼管に対して超音波
の送受信を行うことによって、前記鋼管の表面および内
部に存在する欠陥を検出する鋼管の超音波探傷装置にお
いて、前記鋼管における外周面の外周方向に沿って配設
された少なくとも前記螺旋状溝数の2倍以上の超音波探
触子と、この各超音波探触子の焦点が前記螺旋状溝の山
部及び谷部に位置するように前記各超音波探触子を支持
する超音波探触子支持機構と、この超音波探触子支持機
構によって支持された各超音波探触子の焦点が前記各螺
旋状溝の山部又は谷部に沿って移動するように、前記超
音波探触子と前記鋼管との位置関係を相対的に変化させ
る移動制御機構と、前記各超音波探触子から出力された
超音波の受信信号から前記欠陥の発生位置および欠陥規
模を検出する信号処理部とを備えたことを特徴とする鋼
管の超音波探傷装置。 - 【請求項4】 前記移動制御機構は、超音波探触子支持
機構によって支持された各超音波探触子の焦点が各螺旋
状溝の山部又は谷部に沿って移動するように、前記鋼管
を軸心回りに回転させなが軸方向に移動させる鋼管移動
制御装置であることを特徴とする請求項3記載の鋼管の
超音波探傷装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3056900A JP2501489B2 (ja) | 1991-03-20 | 1991-03-20 | 鋼管の超音波探傷方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP3056900A JP2501489B2 (ja) | 1991-03-20 | 1991-03-20 | 鋼管の超音波探傷方法及びその装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH04291149A JPH04291149A (ja) | 1992-10-15 |
JP2501489B2 true JP2501489B2 (ja) | 1996-05-29 |
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ID=13040331
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JP3056900A Expired - Fee Related JP2501489B2 (ja) | 1991-03-20 | 1991-03-20 | 鋼管の超音波探傷方法及びその装置 |
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CN113466116B (zh) * | 2021-06-25 | 2023-01-31 | 中核四达建设监理有限公司 | 一种用于检测碳钢防腐性能的装置 |
JP7112605B1 (ja) * | 2022-01-17 | 2022-08-03 | 三菱重工パワーインダストリー株式会社 | 超音波検査装置及び超音波検査システム |
-
1991
- 1991-03-20 JP JP3056900A patent/JP2501489B2/ja not_active Expired - Fee Related
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