JP2501326B2 - 紫外線放射及び青色光阻子光学透明体 - Google Patents

紫外線放射及び青色光阻子光学透明体

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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、サングラスレンズの全般的分野に関し、さ
らに詳細には水平に偏光された光を阻止する偏光子と青
色光及び紫外線放射を阻止する敏感なカットオンフィル
タ(sharp cut−on filter)とを組み合わせたレンズに
関するものである。
(背景技術) 周知のように、光の形で放射されたエネルギーはある
種の光化学反応を誘発又は/及び助長する能力があり、
かつそれぞれの光化学反応は種々の波長をもった光線
(または光子)の作用によって誘発される。ある波長の
光、特に青色及び紫外線領域の光は、目に対して有害で
あることが知られている。
染色レンズは、処方付きまたは処方無しのサングラス
と共に用いると、2つの機能の1つ、すなわち第1の機
能である有害光及び放射を選択的に又は全体的に減少さ
せるという機能を果たすように基本的には企図されてい
る。この目的のために染色されたレンズは、保護レンズ
として知られている。保護レンズは有害な波長を反射又
はより一般的には吸収によって阻止する。第2の機能
は、美容的な要求をみたしファッション色調と呼ばれる
レンズによって果たされる。上記両方の要求をみたす組
み合わせ染料もまた利用できる。
現在の技術において、青色及び紫外線波長を阻止する
保護レンズは存在し、かつ水平に偏光された入射光を阻
止する個別の偏光レンズは存在する。しかし、偏光レン
ズと青色及び紫外線阻止レンズとの組み合わせは、1986
年にレチニチス ピグメントサ インターナショナル
(Retinis Pigmentosa Inter−national)によって発行
されたレンズのリスト及び広告印刷物の調査によって確
認したところによると、現在でも使用されていない。こ
のような組み合わせレンズが使用されていないのは、一
部は、目の網膜に対する青色光の有害性についてサング
ラス会社が行った研究が少ないこと、及び温度に敏感な
偏光フィルムを染料と組み合わせるときに遭遇する技術
的問題に帰因する。この問題は、本発明によって、偏光
フィルムがその有用性と構造上の完全性を保持する温度
において、要求される青色光阻止性を与えることができ
る染料の選択によって解決された。
先行技術を調査しても、本発明の請求の範囲について
直接に記載した特許は何ら見つからなかった。しかし、
次の米国及びその他の国の特許は関連があると考えられ
る。
シャイ−フシェン ウーの特許は、プラスチック偏光
フィルムのような薄くて繊細な有機若しくは無機の表面
フィルムを支持するガラス又はプラスチックの基盤要素
からなる透明な光学的に曇りのない物品を開示してい
る。同フィルムはプラスチックの保護コーティングによ
って、湿気、引つ掻き及び摩耗という損傷作用から保護
されている。保護コーティングの硬度は、過度な柔軟性
又は脆弱性を避けるように調整されているので、比較的
柔軟なフィルムに対し良好な引き掻き抵抗が得られる。
クルマイヒの西ドイツ公開公報(German Offenlegung
s−schrift)は、赤色/緑色盲(red/green color blin
dness)を修正する光学フィルタを開示している。同フ
ィルタは、可視スペクトルの青色から緑色の領域におい
てスペクトル曲線は非常に低い値において一定の割合で
進むが、緑色から赤色の領域において高い値に急勾配で
増大するように設計されている。同フィルタは、スペク
トル曲線が青色から緑色の領域において0.01%以下の透
過率(permeability)と赤色領域において約100%に増
大するような透過率(transmission)とを有すれば特に
有利である。
フランセルからの特許は、ガラスのようなガラス質基
層を流体コーティング合成物によってコーティングする
方法を開示する。同コーティングは、曇りのない及び/
又は透明なガラス基層にコハク色又はより濃いガラスの
もつ光透過特性を与える。この擬コハク色ガラスによっ
て、別個のコハク色ガラス、バッチ溶解及び補助の製造
機器並びに関連した設備を備える必要性が無くなる。
ラィリーの特許は、ガラス及び他の通常透明又は半透
明の材料に保護及び/又は装飾用コーティングとして施
されるフィルムを形成する吸収性液体コーティング合成
物を開示している。同フィルムは約490ナノメータ(n
m)以下の紫外、紫色及び青色光の実質的にすべての波
長並びに630〜750nmの波長の実質的な量を吸収する性質
を有している。同フィルムは490nm以上の選択された波
長を透過する。
(発明の開示) 紫外線放射と青色光を阻止する偏光レンズは、主とし
て、水平に偏光した光を阻止し、300〜549nmの選択され
た波長を選択的に阻止し、かつ625nm以上の波長の30〜4
0%を通過させるためにサングラス用として設計されて
いる。この選択的阻止は、450,500,515,530又は550nmに
おいてカットオンするように選択された鋭敏なカットオ
ンフィルタによって調節される。大気は300nmよりも短
い波長を阻止する。したがって、安全のためには300nm
よりも長い波長のみを阻止することが必要である。
サングラスは普通は明るい状態又は暗い状態に対応し
て作られており、1又は2個のサングラスを一方は曇り
日に、他方は陽光のさんさんと注ぐ日に対して備えるの
が習慣となっている。本発明のレンズは、暗い雨降りの
日からきらきらした砂漠の太陽にいたる広い領域の照明
状態にわたって有用であることがわかった。このような
広い領域の照明状態における予期しない有用性は、青色
光による刺激の除去と関連して、視野の局部的領域にお
ける強度な刺激の減少に起因する精神生理学的(又は光
一神経学的)効果によってもたらされると考えられる。
本発明のレンズの重要で予期されなかった他の利点
は、強い光のものでも目に不快感を与えることなく得ら
れる視力の強い改善できる。換言すれば、使用者は同時
にこの非常にはっきりした視力によって不快感なく非常
にはっきり物が見えるということである。この現象も、
青色光及び視野中の局部的領域へ反射された強いグリン
ト(glint)の除去に対する光−神経学的又は精神生理
学的反応の結果であるとの仮設が立てられている。
これらのグリント及び青色光の除去は、網膜の働きを
変えるために共働的に作用するように思われ、結果とし
て視覚感度を高め使用者に鎮静効果(calming effect)
を誘発する。偏光子の包含は実質的な鎮静効果を高め
る。視野の高強度領域の除去は光に対する神経反応に影
響を与え、かくして青色光阻止単独による鎮静効果を増
大するとの假説もまた立てられている。
感覚系統の一般的な特性は、情報入力(information
input)に対する系統の感受性は、それに与えられた刺
激の強度によって影響されるということである。目の場
合には、損傷は主として短波長放射に対する強烈な露出
によって引き起こされる。散漫に照らされた領域とその
領域中で太陽の鏡面反射が存在する視野の場合には、網
膜はその鏡面部分の寄与による損傷に対して最も敏感で
ある。
目は光の入力の関数として網膜の感度を変え、かつ瞳
孔の直径を変えることによって、広い範囲の照明状態に
わたり見ることができる。これらの因子の設定は、部分
的には、網膜の安全に対する必要性とよく見えるための
必要性との間のバランスに基づく。上記鏡面線源は、網
膜の損傷原因として桁違いに影響をもつので、鏡面線源
は網膜に感度設定を供給することにおいて桁違いに影響
をもつと仮定するのが合理的である。単純な明るさに対
しては網膜中の受容器細胞の敏感度(gain)設定に含ま
れていることが知られているので、この効果に対する細
胞部位は神経節細胞受容域中心にあるリッコ野(Ricc
o′s area)であろう。したがって、鏡面線源の波長
(又は青色度)及び鏡面線源の強度は、網膜の情報処理
の制御のもとにはいり、かつ見かけの結果は「青色−グ
リント網膜反応」(“blue−glint retinal respons
e")と呼ばれる。この効果は本発明の実施以前には知ら
れていなかった。
目における情報処理は脳における多くの神経学的反応
に関与している。特に、目は睡眠及び機敏性に適当した
神経内分泌水準を設定する情報を提供する。また、光の
水準とスペクトル成分が気分と性ホルモン水準に影響を
与える季節的行動のパターンに関与しているということ
も示唆されている。青色−グリント情報処理反応は、青
色高強度光を感度反応刺激に桁違いに影響を与えるよう
にさせるので、青色光レンズ単独の場合よりも鎮静効果
にずっと大きな影響を与えるであろう。青色光グリント
除去の効果は、網膜に限らず、脳に対する精神物理学効
果をももつであろう。脳は青色−グリント網膜反応の結
果として影響を受け、これによって気分に影響を与え、
かつ鎮静効果をもたらすであろう。
この青色グリント現象は、網膜に対する高強度青色光
の特有な損傷効果に応じて発展したのであろう。網膜の
放射損傷についての学説として、毎日の損傷の累積と損
傷された分子と組織又は細胞を取除き置換することによ
り損傷を回復する再生メカニズムという概念を含むもの
がある。そのうえ、再生過程の副産物(タンパク質中に
おけるアミノ酸連鎖欠陥(amino acid sequencing defe
ct)及びリポフスチン(lipofuscin)のような他の等級
のつけられない分子残査(ungradable molecular debri
s)の形成)が累積して細胞機能を損なう結果ともな
る。この説によれば、網膜細胞はしだいに損傷を累積
し、有害な化学的又は放射露出によって損傷速度が高く
なると損傷の累積もまた高くなる。
網膜における再生過程からの分子残渣のこの一般的な
増加に加えて、昼間光露出によって生じ、夜のうちに除
去し置換される損傷の短時間累積も存在する。しかし、
再生メカニズムは有限の回復速度を有するもので、もし
光露出がある点を超えると夜間における再生過程は朝ま
でに網膜をもとの状態近くまでもどすには不十分なもの
となる。この種の損傷は上記の累積的損傷累積と似てお
り、これに寄与するものであるが、累進的損傷累積に加
えられ短期的に目の機能に影響を与える。この例は、救
助員の実験における夜視力低下についてみられた回復活
動である。夜視力低下いき値(night vision degradati
on threshold)を超える損傷に対して、実験は矢視力は
夜のうちに徐々に改善されるであろうが、敏感度(gai
n)は前夜の視力の水準以下にとどまるであろうという
ことを開示した。しかし、昼間に適当な保護が加えられ
るならば、細胞の再生過程が追いつくので、目の夜視力
は数週間後に正常にもどるであろう。
露出時間が長い場合には、再生メカニズムに用いられ
る時間はより重要となる。日光性網膜炎に対しては、時
間のスケールは短い。障害を引き起こすための損傷速度
は非常に速くて、連続露出により短時間に盲目となるで
あろう。これとは対照的に、夜視力低下はより少ない照
射(irradiation)を必要とし、日光性網膜炎より損傷
速度は低く、目の回復メカニズムの効力によって日ごと
のベースで影響を受ける。
全体としての損傷速度が、全体としての再生速度に等
しい場合には、いき値は損傷がだんだん累積する以上に
達し視力の累進的喪失となる。この損傷いき値は、この
開示中で論じられる標準を設立するために用いられ、本
発明によるレンズ設計に対しての根拠である。
網膜の機能損傷は、露出の特別の時間的スケールに対
する損傷に対してのいき値と関連している。網膜障害に
対するいき値は、夜視力損害に対するよりも高いイラジ
アンス(irradiance)においてであり、又は長い時間的
スケールに対する。
研究者によって定量的に証明されたこの低度のイラジ
アンス、長期間損傷は、所与の波長に対して、露出時間
が長ければ小さなイラジアンスが損傷を引き起こし、所
与のイラジアンスに対しては、露出時間が長ければ長い
波長が損傷を生ずることを示している。長い時間的スケ
ールと低度のイラジアンスに外挿すると、再生メカニズ
ムの効率は、放射のような損傷力に対する露出の結果生
ずる機能損傷に対するいき値を決定するためにより重要
となるであろう。損傷メカニズムは短時間スケールに対
しても長時間スケールと同じであるということは証明さ
れていないが、長期損傷に対しては障害の部位は網膜色
素上皮から受容器層(receptor layer)に移ることが示
唆されている。しかし、放射によって誘発された損傷
は、損傷された再生メカニズムの形成によるという基本
的アイデアは、似たように、もし、青色光害スペクトル
(blue light hazard spectrum)に同定されなければ、
アクションスペクトラム(action spectrum)ととも
に、この場合にもなお適用される。このことは、生涯の
ような長期のスケールに対して、再生メカニズムは盲目
又は目の健康の長期の予後の重要な決定要素であること
を示唆する。
高エネルギー可視(青色及び紫色)及び紫外(UV)光
子による損傷は、細胞物質(cellular materials)が光
子によって突き当てられたときに作られる活性分子の形
成による。回復メカニズムは高度活性分子を細胞物質と
反応させることなしに、輸送しより低活性の形態に変換
させることを含む。損傷した分子を除去するライソソマ
ル(lysosomal)酵素系統はいき値以下(sub−threshol
d)の損傷程度を処理することができる。しかし、いき
値を超えると、活性分子が細胞物質及び酵素と反応する
ので、損傷した分子が累積し細胞の機能を損傷させる結
果となる。この「いき値依存の」(threshold dependen
t)損傷は、再生過程と関連するリポフスチンの「正常
な」(normal)累積を超えるものであろう。したがっ
て、網膜に対する長期損傷を制限するためにいき値以下
にとどまることが得策である。
つぎに、このいき値に関するイラジアンスは、サング
ラスレンズの安全性とこれに関連した快適性を決定する
唯一の最も重要な因子である。以下の数学的解析は、あ
る照明状態において、偏光子無しのフィルタは計算され
たいき値以下にとどまるには不十分であることを示し
た。したがって、網膜上のグリント像の領域において
は、局部的なスケールの(of a local scale)組識はい
き値に最も近接し、かつこれを超えそうである。従来の
サングラスにとってグリントをいき値以下の水準にまで
減少させるためには、レンズを視力のためにはほとんど
役に立たなくなるほど濃くしなければならないであろ
う。網膜の損傷は小さな空間的スケールでおこり、かく
してグリントのいき値交差効果(threshold crossing e
ffect)はある状態のもとでは、青色光阻止レンズを用
いた照射における目の唯一の重要な損傷である。
また、グリント中の光子の強度は、グリントの近くの
網膜の加熱によって光化学的損傷の一因となる。視野に
おける光の高強度のグリントは、網膜の局部的領域を、
焦点が合ったグリントの領域の外側よりも毎秒当たりず
っと多くの光子に露出させる。比較的無害の(600nmよ
りも長い)波長さえも、ある環境のもとでは、その領域
の網膜の熱的加熱により損傷を引き起こすことがある。
熱的加熱は網膜細胞中の受容器セグメント(receptor s
egment)の光化学的劣化を強め、これにより眼の杆状体
と円錐体の損傷を助長する。加熱された領域を除くこと
によって、網膜に侵入する青色光はより有害でないもの
となる。グリントのこの他の影響は、損傷のいき値をし
て所与の網膜細胞を通過させ、光化学的損傷がグリント
像のその局部において起ることである。グリントが無け
れば、青色光子はいき値損傷水準以下であり不可逆的な
損傷は起こらないであろう。グリントの除去は、加熱と
それらの領域における青色光による損傷に対するいき値
の通過を除去する。損傷のこの熱化学的相乗作用はこの
解析においては定量的に考慮されていない。
グリントの除去は、同程度の網膜の安全を達成するた
めに必要とされる。より極端な青色光阻止に頼ることな
しに、サングラスの安全性を実質的に改善する。研究者
や青色光阻止眼鏡製造会社によって、多くの人々が青色
光阻止レンズによって方向感覚を失い、吐き気まで起こ
していることが見出された。この影響は非常に強くて、
多くの会社は医学的マーケットのみを考え、米国におけ
るサングラス使用者の大部分を無視することになった。
また、青色光露出は、動物実験において他の波長の光
と異なり、チロキシンの水準に影響を与えることが示さ
れたが、この効果は人間にも起こりうるであろう。さら
に、他の動物実験においては、青色光は他の波長の光よ
りも松果腺からのメラトニンの放出をよく阻止すること
が示された。かくして、青色光阻止眼鏡を使用すると、
松果体からのメラトニンの放出を増す結果となる。この
メラトニン増加から派生する結果は、メラトニンが他の
ホルモン系統に影響を与え、これが順に代謝や性ホルモ
ンに影響を与えることが示されているので、さらに広く
及ぶであろう。躁うつ病患者のメラトニン水準は光の水
準に対して過感作(hyper−sensitive)であることが知
られている。これに加えて、人々のなかには、冬の暗い
短い日の間「冬季うつ病」(winter depression)にか
かる人がいるが、これは高強度多青色光(blue−rich)
蛍光線に露出することによって軽くなった。メラトニン
はまた強い光照明のもとで、網膜の変性(degeneratio
n)を増すことが知られている。
研究者は一般的に、人間は遺伝学的に森林遮蔽環境
(forest cover environment)に適応させられており、
したがって普通は青色光露出は少なく、メラトニンは多
くなっているであろうということに同意している。した
がって、本発明のレンズを使用すると、メラトニン水準
をより高く、歴史的により正常で、より健康な水準にも
どすであろう。青色光阻止はある程度まで動物の内分泌
系統を変えるが、これを好い方に変え、同系統をより健
康的な、自然な、釣合いのとれた状態にもどす。
このために、青色光阻止は望ましいものであるが、網
膜がよく保護されている限り、必ずしも過度にすべきで
はない。青色光阻止の網膜に対する有益性は非常によく
立証されているので、ある程度の青色光阻止は望まし
い。理想的な状況はグリントが除かれる所にあり、これ
によって照明は比較的に均一となる。これらの状態のも
とで、すべての網膜細胞をいき値以下に保ちながら、最
少の青色光が阻止される。
したがって、300〜450nmを選択的に阻止し、450〜550
nmの敏感なカットオンフィルタと偏光子を備えたレンズ
の領域が、各個が広い範囲の環境条件のもとで、十分な
保護をするために適切な量の短波長を阻止するように選
択された。
(本発明のレンズの評価を示す解析) 解析は、目と光源との間に光学フィルタを介在させた
種々の環境のもとで目に到達する有害光の強度を、絶対
的な見地から計算するために行われた。この解析は、種
々の有害な戸外光の条件のともで、光の強度を減少する
偏光子の効果を考える。害は、日光性網膜炎と夜盲症に
対する既知の露出水準と比較したが、結果としてサング
ラスの性能の絶対的標準となった。ある環境のもとで
は、本発明のレンズのみが十分に標準を満足させた。
網膜に到達する高水準の青色光(400〜500nm領域)は
視力と目の健康に有害であることが示された。現実かつ
適切な状態のもとにおける害を決定するために、実際の
光環境状態のモデルが作られた。この環境中で、有害な
青色光源の2つの広いカテゴリーは「グリント」と「広
がった線源」(extended source)であると考えられ
た。
「グリント」は本質的に太陽の鏡面反射からなる。こ
の線源は反射の本質によってある程度の偏光性を有して
いる。また、グリントは小さい角度の目の視野に対する
ものである。「広がった線源」は雪、雲、又は空の青色
光のような高反射性の表面からの散漫反射を含む。これ
らの線源は目の視野において広い角度に対するものであ
って、網膜の広い領域を本質的に均一な水準の照明に露
出させる。
(鏡面反射線源に対する害値(hazard value)の計算) グリントは観察者の目で見た太陽の反射像である。入
者面(入射及び反射光線によって決定される)は、この
解析において研究されるすべての反射に対して鉛直であ
る。これは最も普通に遭遇する太陽の反射は水平又はほ
とんど水平な表面から反射されるからである。この像の
寸法は次式によって与えられる。
[1]yi=(ysol/ssol)×(r/2) ここに: yi=太陽の像の直径 ysol=太陽の直径 ssol=太陽の距離 r=反射面の曲率半径(r>0==>凸面反射体) 太陽の像が凸面反射体の背後に位置する距離は次式に
よって与えられる。
[2]si=−1/(2/r+1/ssol) ここに: si=太陽の像が凸面反射体の背後に位置する距離 ssol=太陽の距離 r=反射面の曲率半径(r>0==>凸面反射体) 太陽の像の全体のラジアンス(radiance)は次式によ
って与えられる。
[3]Li=R×Lsol×Tatomosphere ここに: Li=太陽の像のラジアンス R=反射面の総合反射率(combined reflectance) Tatomosphere=地球大気の透過率(transmittance) Lsol=地球大気上から見た太陽のラジアンス 上記解析は偏光効果を考慮していない。偏光効果を考
えると、入射面によって決定される偏光の2つの軸に対
して異なった反射係数を用いなければならない。太陽の
像から発する光は水平に偏光された光と鉛直に偏光され
た光との両者から成る。われわれは鉛直な入射面を仮定
しており、かつ太陽光はランダムに偏光されるので、鉛
直に偏光された光と水平に偏光された光のラジアンスは
次式によって与えられる。
[4a]Lihorizontal=Liperp=(Lsol/2) ×Tatomosphere×Rperp [4b]Livertical=Liperp=(Lsol/2) ×Tatomosphere×Rpara [4c]Lihorizontal=Livertical=Li [4d](Rperp+Rpara)/2=R ここに: Livertical=太陽の像から放射する鉛直に偏光された光
のラジアンス W/(cm2×sr(ステラジアン)) Lihorizontal=太陽の像から放射する水平に偏光された
光のラジアンス W/(cm2×sr) Rperp=入射面に垂直に偏光された光(水平に偏光され
た光)に対する反射係数 Rpara=入射面に平行に偏光された光(鉛直に偏光され
た光)に対する反射係数 2という因子が入っているのは、入射太陽光の半分が
水平に偏光され、半分が鉛直に偏光されるからである。
誘電物質(ガラス又は水のような)からの光の反射に
対する反射係数は次式によって与えられる。
[5a]Rperp=[sin(qi−qt)/sin(qi+qt)] [5b]Rpara=[tan(qi−qt)/tan(qi+qt)] [5e]qt=(ni/nt)×qi ここに: qi=面の垂線に対して測定された入射角 qt=誘電媒体への光の透過角 ni=入射媒体(空気)の屈折率 nt=透過媒体(ガラス、水など)の屈折率 Rpara=入射面に平行に偏光された光(鉛直に偏光され
た光)の反射係数 Rpara=(入射面に平行に偏光された反射光の強度)/
(入射面に平行に偏光された入射光の強度) Rperp=入射面に垂直に偏光された光(水平に偏光され
た光)の反射係数 Rperp=(入射面に垂直に偏光された反射光の強度)/
(入射面に垂直に偏光された入射光の強度) 観察者の目で見た太陽の像によって張られた角度は次
式によって与えられる。
[6]ae=Atan(yi/(se+si)) ここに: ae=観察者の目で見た太陽の像によって張られた角度 yi=太陽の像の直径 se=観察者の目と反射表面との間の距離 si=像が反射表面の背後にある距離 太陽の像による角膜イラジアンスは次式によって与え
られる。
[7]E=pi×Li×(sin(qe)) ここに: E=太陽の像による角膜イラジアンス Li=太陽の像のラジアンス qe=ae/2=観察者の目で見た太陽の像によって張られ
た角度の半分 偏光された光の2つの軸に対する異なった反射係数
は、偏光の各軸に対するラジアンスとイラジアンスとを
別個にすることになる。水平及び鉛直に偏光された光に
対するイラジアンスは次式によって与えられる。
[8a]Ehorizontal=pi×Lihorizontal×(sin(qe))
[8b]Evertical=pi×Livertical×(sin(qe)) ここに: Ehorizontal=太陽の像による水平に偏光された光の角
膜イラジアンス Evertical=太陽の像による鉛直に偏光された光の角膜
イラジアンス 上記の反射係数は、入射面に対して垂直に偏光された
光は、より強く反射されることを示す。したがって、偏
光サングラスレンズは入射面に対して垂直に偏光された
光を阻止するように適応させられている。用いられる偏
光子は入射面に対して垂直に偏光された光を実質的には
すべて阻止するように一般に並べられているので、グリ
ントの像からの光の偏光子を通ったあとの全角膜イラジ
アンスは次式によって与えられる。
[9]Ep=Evertical=pi×Livertical×(sin(q
e)) =pi×(Lsol/2×Tatomospherer ×Rpara×(sin(qe)) 有害水準の青色光への露出に関する標準は、害にウエ
イトを置いた(hazard−weighted)(以下害加重とい
う)イラジアンス又は害加重ラジアンスということばで
表されている。この害作用は、ある波長の光が他の波長
よりも網膜により大きく損傷を与えるという事実と結び
ついている。一般的に、光の波長が短ければ短いほどよ
り損傷を与える。これは化学線損傷メカニズムの光化学
特性による。しかし、紫外(UV)波長の光は目の角膜、
レンズ、眼房液及びガラス体によって大部分は吸収され
るので、短波長のUV光の非常に少量が角膜に到達するに
すぎない。これら2つの作用が結合して、スペクトルの
青色領域において約450nmにピークがある網膜損傷作用
を生ずる。害加重ラジアンス及びイラジアンスの計算式
は以下によって与えられる。
広がった線源に対して: 1400nm [10]Lb=ΣLsourec(l)×BLH(l)×Δ1 400nm t>10000秒に対し ここに: Lb=害加重ラジアンス W/(cm2×sr) Lsource(l)=波長の関数としての線源のスペクトル
ラジアンス W/cm2×sr×nm) BLH(l)=波長の関数としての青色光害作用 Δl=測定が行われかつ計算がされた波長の間隔。この
研究においてはスペクトルデータは5nmの間隔でとっ
た。
そして、11ミリラド(millirad)(約0.62度)以下を
張る点線源に対しては: 1400nm [11]Eb=ΣEsource(l)×BLH(l)×Δl 400nm t>10000秒に対し ここに: Eb=害加重イラジアンス W/cm2 Esource(l)=波長の関数としての線源のスペクトル
イラジアンス W/(cm2×nm) BLH(l)=波長の関数としての青色光害作用 Δl=測定が行われかつ計算がされた波長の間隔。この
研究においてはスペクトルデータは5nmの間隔でとっ
た。
この分野の研究者によって2つのタイプの有害線源に
対して与えられた標準は下記のとおりである。
[12]Lb<=0.01W/(cm2×sr) t>=104秒に対し [13]Eb<=1μW(マイクロワット)/cm2 t>=10
4秒に対し 有害線源の害加重イラジアンスとラジアンスに対する
スペクトル選択フィルタの効果を計算するには、選択さ
れたフィルタを通して見た線源のスペクトルが下記のよ
うに計算されなければならない。
[14]Lfilteredsource(l)=Tfilter×L
source(l) [15]Efilteredsource(l)=Tfilter×E
source(l) フィルタを通して見たときの線源の青色光害は、式
[10]中のLsource(l)の代わりにL
filteredsource(l)を挿入することにより、また式
[11]中のEsource(l)の代わりにE
filteredsource(l)を挿入することによって計算する
ことができる。
最後に、スペクトル選択フィルタと適当に適応させた
偏光子との組み合わせを通して見たグリントの青色光害
は、式[14]の中のLsourceの代わりにLiverticalを置
換し、式[15]中のEsourceの代わりにEiverticalを置
換し、かつ式[10]及び[11]中の結果としての線源ラ
ジアンス及びイラジアンスをそれぞれ挿入することによ
って計算を進めて計算される。
この解析において、これらの広がった線源は無視でき
る程度の偏光性を有することが仮定されている。青色の
天空光(skylight)は太陽の位置と反対の方向にある程
度水平に偏光されているが、広がった線源の多くは評価
できるほどに偏光していない。
広がった線源の光学的害に対して重要な量はラジアン
スLdである。青空のような広がった線源に対しては、ラ
ジアンスは直接に測定され、かつ式[11]によって述べ
た手順によって加重することによって、青色光害加重ラ
ジアンスが求められる。太陽によって照らされた、新
雪、乾いた白砂、又は雲のデッキ(cloud deck)の頂上
のような本質的に白色のランバート散乱(white lamber
tian scatter)である広がった線源に対しては、ラジア
ンスは次式によって与えられる。
[16]Ld=Rd×Lsol×(sin(qsol)) 太陽によって照らされた広がった線源の青色光害加重
ラジアンスは次式によって与えられる。
[17]Ldb=Rd×Lsolb×(sin(qsol)) ここに: Ldb=太陽によって照らされた広がった散乱線源の青色
光害加重ラジアンス Rd=散乱表面の散漫反射係数 qsol=太陽によって張られた角度の半分 Lsolb=下記によって計算される太陽の青色光害加重ラ
ジアンス: 1400nm [18]Lsolb=ΣLsol(l)×BLH(l)×Δl 400nm t>10000秒に対し ここに: Lsolb=太陽の害加重ラジアンス W/(cm2×sr) Lsol(l)=波長の関数としての太陽のスペクトルラジ
アンス W/(cm2×sr×nm) BLH(l)=波長の関数としての青色光害作用 Δl=測定が行われかつ計算がされた波長の間隔。この
研究においてはスペクトルデータは5nmの間隔でとっ
た。
(効果に基づいた標準) ある波長の光への露出の組織学的機能的効果を記述し
たいくつかの研究報告が提供されている。これらの報告
の1つは、35〜50%を透過する従来のサングラスでは約
1日以上続いて保護することは不可能であるが、10〜12
%を透過するサングラスはより長期にわたり夜視力を保
護するのには十分であることを見出した。短波長可視光
は観察された夜視力の低下において影響力のあるスペク
トルの部分であることも示されている。この前提から、
また上記の独創的な計算を用いることによって、被験体
が露出されている害加重ラジアンスを計算し、かつ夜視
力保護に対しいき値を決定することができる。夜視力低
下に対するいき値は約0.2mW/(cm2xsr)であるようであ
る。日光性網膜炎に対するいき値は10mW(cm2xsr)であ
る。
ある網膜イラジアンス研究は、広がった線源への露出
についてのものであり、また他の研究は鏡面線源への露
出についてのものであった。鏡面線源の像は完全には焦
点が合っておらず、目の運動によって網膜を横切って動
くので、結果としてイラジアンスが1つの場合に焦点が
合っている場合に予期されるよりも広い領域に影響を与
え、かつイラジアンスの影響も小さい。1μW/cm2の点
線源は、影響を与える領域としては、10mW/cm2xsrの広
がった線源と同じ網膜イラジアンスを生じる。結果とし
ての損傷いき値は次の表に示されている。
上記表に基づく標準は現在サングラス産業には用いら
れておらず、本発明者らの創作による新機軸である。こ
の標準は目保護要因(Eye Protection Factor)(EPF)
と呼ばれる。EPF標準は、標準条件に対して上記いき値
に関する有害放射をサングラスがいかによく阻止するか
に基づいており、結果として日焼け止めローション(su
ntan lotion)について示された太陽保護要因(Sun Pro
tection Factor)(SPF)とある意味で同様に消費者が
用いることができる格付け用数字である。
上記開示にかんがみ、本発明の第1の目的は、組み合
わせ染料と偏光子を用いるレンズを作り、もって紫外線
放射、青色光及び水平偏光された光を実質的に阻止する
レンズを製造するために、サングラスレンズの設計及び
製造方法を開示することである。この結果は次に示すレ
ンズである。すなわち、 *損傷又は不快感なく長時間にわたり使用が可能であ
り、 *視力を改善し、 *長期の目の損傷に対して保護し、 *夜視力を維持し、 *眼病に対し危険を少なくし、 *結果として、目の組織及びタックス再生過程(taxes
regenerative process)の老化を招く放射の攻撃を少な
くする。
上記第1の目的に加えて、本発明は次のようなレンズ
を得ることも目的とする。
*所有するのに、価格的に効果がありかつ安全であり、 *製造するのに、価格的にに効果がありかつ安全であ
り、 *取り扱い使用するのに、機械的に容易であり、 *種々のサングラスレンズに適応でき、 *種々の視覚環境に適応でき、 *サングラスよりほかの用途に用いることができる。
本発明のこれら及び他の目的と利点は、添付図面を参
照し、次の本発明の詳細な説明及び請求の範囲から明ら
かになるであろう。
(図面の簡単な説明) 第1図は本発明による5本のスペクトル曲線及び各曲
線の阻止帯、過渡帯、及び透過帯内における位置を示す
グラフである。
第2図は紫外線ホールを除去する染料の組み合わせの
透過スペクトルを示すグラフである。
第3図は種々の組み合わせ染料、所望の特定のカット
オン波長を与えるために必要とする時間と温度、及び各
レンズの推奨用途を示す表である。
第4図は偏光子の機械喪失(failure)曲線及び偏光
子が組み合わせホットディップ染料(combination hot
−dip dye)によって安全に処理できる好ましい範囲を
示すグラフである。
第5図はレンズを染色するために用いられる2つの製
造工程を示す概略図である。
第6図はプラスチックレンズの表面に吸収された染料
と、2つの半割れの鋳造又は事前成型プラスチックレン
ズの間に積層された偏光フィルムとを示すレンズの断面
図である。
第7図はプラスチックレンズ本体中の染料と、2つの
半割れの鋳造又は事前成型プラスチックレンズの間に積
層された偏光フィルムとを示すレンズの断面図である。
第8図は積層された偏光フィルムとコーティング中又
はレンズの内側若しくは外側に接着された積層フィルム
中に存在する染料とを有するレンズの断面図である。
(発明を実施するための最良の形態) 本発明の紫外線放射及び青色光阻止偏光レンズ12を実
施するための最良の形態は、まず第1の1対のサングラ
スに取り付けるために設計された好ましい形態によって
示されている。レンズ12は、水平に偏光された光を実質
的に阻止し、電磁スペクトルにおける300〜549nm間にあ
る波長を選択的に阻止し、かつ同スペクトルの可視部分
における625nmより長い波長の30〜40%を透過すること
を許す。選択的阻止は、450,500,515,530,又は550nmの
いずれかにおいてカットオンするために選択された鋭敏
なカットフィルタによって調節される。より短い波長の
大気による吸収のために、300nmより長い波長のみ阻止
される必要がある。
以下の開示中のレンズ12は、種々の術語と関係してい
る。本発明の理解を容易にするために、これらの術語を
最初に定義する。
*電磁スペクトル 本発明の目的に対しては、同スペク
トルは300nmの下限と780nmの上限を有する。さらに、ス
ペクトルの可視部分は400〜780nm間にあると定義される *透過率(Transmission) レンズを通過した光のパー
セント *阻止率(Blocking) 透過率の反対語で、レンズの表
面若しくは表面のコーティングにより反射されるか、又
はレンズの染料若しくはプラスチックにより吸収された
光のパーセント *実質的に阻止すること(Substantially blocking) 波長に関して用いられる場合には、ことごとくの波長
において入射放射の99%以上を阻止するか、又は入射放
射の1%以下を透過することと定義される。偏光に関し
て用いられる場合には、ことごとくの波長において水平
に偏光された入射放射の80%又はそれ以上を阻止するこ
とと定義される。
*敏感なカットオン(Sharp cut−on) 本発明の目的
に対しては、敏感なカットオンは染料又はフィルタに関
し、増加する波長変化の各1nmに対し透過率において0.5
%以上で上昇するカットオン勾配を有することと定義さ
れる。
カットオン勾配は、実質的な阻止領域と実質的な透過
領域の間の過渡を示すカットオン染料の透過スペクトル
の部分である。
*組み合わせ染料(Combination dye) 本発明の目的
に対しては、組み合わせ染料は、その紫外線透過ホール
が実質的に重ならない2つの染料の混合物から作られる
ものと定義される。
本発明の好ましい態様は、第1〜8図に示されるとお
り、次の7個の主要素からなる。すなわち、(偏光子)
プラスチックレンズ12、敏感なカットオンフィルタ14、
水平に偏光するフィルム16、組み合わせ染料18、分散さ
れたオレンジ色3敏感カットオン染料20、分散された赤
色2敏感カットオン染料22、及び分散された黄色23敏感
カットオン染料24である。
本発明において用いられるレンズ12は、主として透過
レンズよりもむしろ阻止レンズであって、光学プラスチ
ック又は光学ガラスから鋳造される。好ましい態様にお
いては、レンズはCR−39ポリマーのようなジアリル グ
リコール カーボネート モノマー(diallyl glycol c
arbonate monomer)から作られた光学硬樹脂プラスチッ
クから鋳造される。CR−39は、主要な事務所をアメリカ
合衆国に有するピッツパーグ プレート ガラス カン
パニー(Pittsburg Plate Glass Company)の登録商標
である。CR−39ポリマーは、管理された条件のもとにお
いて、後述するように、必要とされる波長を阻止する選
択された分散された染料によってレンズが容易に染色さ
れるという性質を有する。
太陽光は主として、可視光並びに紫外線及び赤外線と
して知られた不可視放射からなる。輝く光、特に太陽光
にある時間露出される人はたいてい400〜780nm範囲にあ
る波長を阻止するサングラスを用いるとより快適であ
る。この範囲において阻止する従来のサングラスレンズ
は、目に不快感を与える過度のまぶしさを減少させる
が、必然的に低透過性であるために視力を妨げる。
本発明のレンズ12の阻止特性は、水平偏光フィルム16
と組み合わせて用いられる敏感なカットオンフィルタ14
によって達成される。フィルタ14の機能は、本発明のス
ペクトル曲線を開示する第1図を参照することによって
よく理解される。
同スペクトル曲線は、阻止帯、過渡帯、及び透過帯に
分けられている。曲線は450,500,515,530,及び550nmに
おける敏感なカットオンフィルタを有する一族のサング
ラスレンズの透過スペクトルを明示している。
もし、450nmにおけるカットオンを有するフィルタ14
が選択されると、阻止帯及び透過帯は一族の他のメンバ
ーにも共通している。この場合には、300〜449nm間の波
長は過渡帯に至るまでに実質的に阻止され、同過渡帯に
おいて敏感なカットオンフィルタ14は450nmにおいてカ
ットオンし、透過帯に至るまで急勾配で上昇し、同透過
帯においては625nmよりも長い波長の30〜40%が透過さ
れる。
もし、450nmにおけるカットオン以外のカットオンフ
ィルタが選択されると、阻止帯の範囲は増加する(水平
に移動する)。例えば、500nmカットオンフィルタが選
択されると、300〜499nm間の波長は過渡帯に至るまで及
び同帯中で阻止され、同過渡帯中で敏感なカットオンフ
ィルタ14は500nmにおいてカットオンするであろう。同
様に、最長の550nmにおけるカットオンは、カットオン
フィルタが550nmにおいてカットオンする前に、300〜54
9nm間の波長を阻止するであろう。好ましい態様のすべ
ての場合において、透過帯は、625nm以上において、赤
外線領域に及ぶことごとくの波長において30〜40%の完
全に開かれた(fully open)透過を残す。好ましい態様
においては、625nmより長い波長の30〜40%が透過され
る。しかし、625nm点を超える透過帯の透過率は、組み
合わせ染料18と偏光フィルム16を適当に選択することに
よって、10〜90%間のどの範囲にでも増加することがで
きる。
本発明の主要な新規性は、紫外線放射、青色光及び水
平に偏光された光を阻止するために敏感なカットオンフ
ィルタ14を偏光子16と組み合わせる手段によるレンズ12
の能力にある。鎮静効果は、青色光阻止レンズだけを用
いることによって達せられるが、偏光子16の包含によっ
て鎮静効果を実質的に増し、かつ視覚的不快感なしに視
力を改善する。これに加えて、本発明のレンズにおいて
は、必要以上に人体のホルモンのバランスに影響を与え
ることなく、特定の安全度が得られる。これらの驚くべ
きかつ予期しない結果は、組み合わせが実施に移され、
効果が直接に経験された後に仮定によって説明されてき
た。ある効果の完全な説明は、人間の脳及び人間の目の
光との相互作用のいっそう進んだ理解に待たなければな
らない。これとは対照的に、紫外線放射の除去及び青色
光含有量の減少による視力及び目の保護における限られ
た改善についてはこの分野における研究者によってよく
認識されている。
結果として成功したが、本発明のレンズ12を実施する
方法は、最初は自明ではなかった、UV及び青色光阻止偏
光サングラスの経済的な生産は、現在製造されているプ
ラスチックレンズ偏光子が、一般的に2層のCR−39ポリ
マーレンズの間に積層された1枚の熱に敏感な偏光フィ
ルムからなるという事実によって妨げられた。偏光子
は、フィルムを引き伸ばし、レンズを通過した光が偏光
されるように、フィルム分子を一列に並ばせることによ
って形成される。このフィルムが鋳造されたCR−39ポリ
マー中に積層されると、普通に美容用色合い(cosmetic
tint)を有するホットディップ染色レンズ(hot−dip
dye lense)に用いられる温度には耐えることができ
る。これらの色合いは、通常はパステルカラーの非常に
薄い色度であって、レンズに装飾的個性的特徴を加える
ものである。完全な目の保護及び最大の視力を得るため
に本発明が要求する水準にまでレンズを染色するための
要求は、レンズ12の偏光作用を破壊するようなホットデ
ィップ染色容器中の時間と温度とを必要とした。また、
CR−39プラスチックレンズのホットディップ染色に適当
した分散された敏感なカットオン染料で商業的に入手で
きるものは、顕著なUV放射透過性を有していることが技
術上知られている。このUV透過性は、「UVホール」(UV
hole)と呼ばれることもある。第2図に示すように、
本発明で用いられた曲線A及びBのカットオン染料は、
それぞれUVホールをもっている。もし、染色時間を延長
することによってレンズ12が十分に濃くなるようにする
と、UVホールは1%以下にまで緩和されるであろう。し
かし、あいにく、このUV減少のために必要とする時間
は、偏光フィルム16が染料中で熱せられ、かつ染色化学
薬品に露出される時間のために、偏光子の機能をだめに
してしまうであろう。
レンズ12が染料中にあるべき最少の時間は、UVホール
をふさぐためにどのくらい長くかかるかによって決定さ
れる。第2図曲線Cで示すように、組み合わせ染料18を
用いることによって、UVホールを除去するために必要と
する時間と温度は、第4図で示すように減少し、偏光フ
ィルム16を製造工程に耐え抜かせることができる。
ホットディップ染色方法は、オプサルミック(opthal
mic)レンズを染色するために最も普通に用いられる方
法であって、最善の態様の方法の基礎である。用いられ
る染料は分散された染料であり、すなわち表面活性を有
する被膜に包まれた油に可溶な染料の微粒子(molecul
e)である。染料は98±1℃の温度において水中に分散
される。包まれた染料の微粒子がプラスチックの表面に
接触すると、表面活性被膜は破れて、油に可溶な染料の
微粒子はプラスチックの表面に拡散する。沸騰水分散中
における染料濃度の増加は、染色速度を著しく増加せ
ず、分散が壊れる危険性が顕著に増す。多くの染料微粒
子が互いに衝突すると、表面活性被膜は壊れ、集まって
表面活性被膜を失った染料微粒子のグリース状の塊とな
る。この塊がレンズ表面にくっついてレンズ上に目に見
える点を形成することになる。もし、特定の敏感なカッ
トオンの分散された染料が十分に高い温度において十分
に長い時間プラスチックに拡散させられると、UVホール
は許容できる水準に減少し、適当な目の保護と必要とす
るカットオンが達成されるであろう。
オプサルミックレンズ染色産業にとって知られていな
いことは、ある染料は他の染料と互いに僅かに異なった
波長においてUVホールをもつという事実である。それぞ
れの染料におけるこのUVホールの食い違い(off−set)
は、本発明の方法部分を誘導した発見である。
本発明は、熱に敏感な偏光子の敏感なカットオン染色
を技術的かつ経済的に容易にする。第3図の最善の態様
を示す表において、分散された黄色23染料24と分散され
たオレンジ色3染料20との組み合わせでは、短い方の波
長(薄いオレンジ色)において敏感なカットオンフィル
タの望まれた結果が、また分散されたオレンジ色3染料
20の分散された赤色2染料22との組み合わせでは、長い
方の波長(濃いオレンジ色)における敏感なカットオン
フィルタがそれぞれ得られることを認めることができ
る。染料濃度は、グリース状の塊を生ぜず、かつ熱に敏
感な偏光レンズが破壊されないように十分に早く染色で
きるような染料の組み合わせが得られるように実験によ
って決定された。第3図の最善の態様を示す表は、所望
の特定のカットオン波長を得るための染料の組み合わせ
18、所要時間と温度を提供する。同表にはまた、UV及び
青色光阻止偏光レンズ12の推奨される用途も含んでい
る。好ましい方法とは考えられないが、時間が7〜10日
の場合には、37±1℃の温度において組み合わせ染料を
レンズに施用することもできる。
レンズ12に組み合わせた偏光子16は、水平に偏光され
た光を阻止する偏光スクリーンを加える。前記したよう
に、用いられるフィルムは化学的及び温度的損傷に対し
て敏感である。したがって、ある時間、熱と化学薬品
(染料のような)に露出された偏光フィルムは、その機
能を失い偏光された光を阻止しなくなる。典型的な偏光
子16の機能喪失曲線が第4図曲線Aに示されている。曲
線Aより上の範囲は偏光子機能能喪失領域に相当し、他
方曲線Aより下は安全領域である。したがって、偏光レ
ンズを安全に染色するためには、要求されている光学的
濃度が、第4図の偏光子機能喪失曲線Aより下に位置す
る範囲Bで示された囲まれた範囲内において達成される
ように染料を選択しなければならない。換言すれば、第
3図に示された染色時間と温度は、範囲Bで示された安
全領域内にはいるように選択しなければならない。曲線
Aの下向き屈折は低温で染料中にある時間が長びくと起
こる偏光レンズの化学的劣化による。
曲線Aができるだけ高い位置にある偏光子の材料に対
する研究が行われた。そのようなレンズの1つの、所要
の時間と温度において薄い層に剥離せず、かつ機能を喪
失しない耐熱偏光子は「インボイス中で10−324とされ
ているR−プラノ スモーク カラー」(R−plano sm
oke color as in invoice 10−324)であることを知っ
たが、これは日本のアルファ カンパニー リミッティ
ド(Alpha Company Ltd.)で作られている。調査した多
数の材料のうちで、ワシントン州シアトルのポーラーラ
イト カンパニー(Polarlite Co.)で製造されている
特殊耐熱レンズ(exceptinally heat resistant lens)
も、時には、より長時間より高温で単一染料(オレンジ
色又は黄色)によって染色できることが見出された。し
かし、耐熱レンズは高価であるので、1つの染料の施用
は最善の態様であるとは考えられず、可能性のある他の
方法によってレンズ12を作る。
偏光レンズを作る他の方法は次の工程を含む。
*前もって染色されたUV及び青色光阻止レンズブランク
の上又は間にフィルムを積層する、 *偏光子を埋め込んだレンズをソルベント ダイ(solv
ent dye)中で染色し、及び/又は偏光フィルムの周り
に成型する前にモノマー中に染料を混合する。
ある状況のもとでは、これらの技術は望ましいが、小
規模作業に対しては、その複雑さ、工具設備費及び最少
製造量がこれらを経済的に実行不可能にする。
中間規模の生産に対しては、第3図に示した最善の態
様の時間、温度及び染料濃度を用い、かつ第5図断面図
Aに構成的に示したように、レンズを染色することがで
きる。この小規模な方法においては、レンズ12はワイヤ
ーホルダー52により支え、98±1℃で作業する水に分散
された染料の組み合わせ18の小型容器中に配置される。
水蒸気の気泡54がポットの底から上昇して、レンズ12と
接触している染料を撹拌する。温度計56が時々染料温度
の測定に使用され、所要のスペクトル特性を得るために
必要とする時間を予告する。ポットは電気的に加熱され
る。
大規模生産に対しては、第3図に示した最善の態様の
時間、温度及び染料濃度を用い、かつ第5図断面Bに構
成的に示したように、レンズを染色することができる。
この大規模な方法においては、レンズ12はプラスチック
の棚型ホルダー58により支え、98±1℃で作業する水に
分散された染料の組み合わせ18を入れた大型容器50中に
配置される。水蒸気の気泡54が容器の底から上昇して、
レンズ12と接触している染料を撹拌する。大型容器は普
通は天然ガス焔により加熱される。
レンズは染色後、オプサルミック産業で周知の標準工
業縁取り機械によって縁が取られる。ついで、レンズは
第3図の最善の態様を示す表に記載された種々の仕事や
リクエーションに適した金属又はプラスチックのフレー
ムに取り付けられる。完成したサングラスは出荷前に、
所要のカットオンフィルタとしての要求と所要の偏光性
能を満足させていることを保証するためにスペクトル標
準と比較される。サングラスは不完全でないか、フレー
ムに正しく組み付けられているかどうかを検査される。
染色位置を種々に組み合わせた偏光フィルタ16が第6
〜第8図に断面で示されている。
第6図において、染料はプラスチックレンズ12の表面
に吸収されており、偏光フィルム16は鋳造又は前もって
成型されたプラスチック製の2個の半割れレンズの間に
積層されている。この場合の染料は、ホットディップ分
散染色方法又はコールドディップ ソルベント染色方法
(cold−dip solvent dye process)によって、レンズ
表面に吸収される。
第7図において、染料はプラスチックが鋳造される前
に、鋳造され又は前もって成型されるべきプラスチック
レンズ中に混合される。ついで、2つの半割れは、偏光
フィルムの両側にそれぞれ積層される。
第8図において、偏光フィルム16は積層され、染料は
プラスチック若しくはガラスレンズ12の内側若しくは外
側に対するコーティング又は同レンズの内側若しくは外
側に接着された染色可能な積層フィルム中に存在する。
もし、プラスチック又はガラスレンズが光互変性(phot
ochromic)であり、染色可能なフィルムがレンズの内側
(凹面)にあるとすると、染料はUVが目に入る前に、光
互変性物質を活性化するために必要なUVを阻止するであ
ろう。
偏光子16の付いたレンズ12と青色光を実質的に吸収す
る組み合わせ染料18とを有するという相乗効果は、結果
として網膜に対して完全な保護を与えるレンズに帰着す
る。理想的な状況は、損傷−回復いき値以下にとどま
り、本発明の開示の項において論じたように、網膜を通
過する光のグリントによる網膜の熱的加熱を除去するこ
とによって青色光阻止に対する要求を最少にするという
ことである。本発明によるレンズ12は、青色光及びUV波
長における光の水平に偏光されたグリントを阻止するこ
とによってこの保護を達成するものである。
レンズ12用として使用できる組み合わせ染料18は、電
磁スペクトルにおける300〜549nm間にあるすべての波長
を実質的に阻止するように選択できる。このスペクトル
の範囲内において選択される特定のカットオン波長は、
レンズの究極の用途並びに時間、温度及び組み合わせ染
料を作るために用いる成分染料に依存する。
レンズ12を作るには、そのなかに偏光フィルム16を埋
め込まれた光学プラスチックレンズを調達する。もし、
450nmにおけるカットオン波長が所望されると、組み合
わせ染料18がホットディップ組み合わせ分散染色方法に
よってレンズ12に施される。この方法は、本質的には、
約1対1の濃度比における分散された黄色23染料24と分
散されたオレンジ色3染料20との混合物を有する容器50
中にレンズを浸漬することからなる。レンズ12は容器中
に98±1℃の温度において2.5分間存置される。
もし、500nmにおけるカット波長が所望されると、レ
ンズ12は、約1対1の濃度比における分散された黄色23
染料24と分散されたオレンジ色3染料20との混合物を有
する容器50中に98±1℃の温度において5.0分間浸漬さ
れる。
515nmにおけるカットオン波長に対しては、レンズ12
は、約1対1の濃度比における分散された黄色23染料24
と分散されたオレンジ色3染料20との混合物を有する容
器50中に98±1℃の温度において12.0分間浸漬される。
530nmにおけるカットオン波長に対しては、レンズ12
は、約1対1の濃度比における分散された赤色2染料22
と分散されたオレンジ色3染料20との混合物を有する容
器56中に98±1℃の温度において4.5分間浸漬される。
550nmにおけるカットオン波長に対しては、レンズ12
は、約1対1の濃度比における分散された赤色2染料22
と分散されたオレンジ色3染料20との混合物を有する容
器50中に98±1℃の温度において12.0分間浸漬される。
レンズ12を調製する最善の態様は、前記ホットディッ
プ組み合わせ分散染色方法である。組み合わせ染料18又
は個別の染料を施すために用いることができる他の方法
には、積層フィルム(laminate film)方法、ソルベン
ト ダイド コーティング(solvent dyed coating)方
法、コールドディップ ソルベントダイ(cold−dip so
lvent−dye)方法、及びプレソルベントダイド モール
デッドプラスチック(pre−solvent−dyed molded−pla
stic)方法が含まれる。追加された方法は技術上周知で
あるので、記載を省略する。
組み合わせ染料18を用いる方法は、前記のすべての敏
感なカットオンフィルタ14に対して用いることができ
る。450〜530nm間においてカットオンするフィルタに対
しては、単一のオレンジ色又は赤色ホットディップ染料
を特別の耐熱偏光レンズとともに用いることができる。
この代用方法においては、もし450nmにおけるカット
オンが所望ならば、レンズ12は、黄色23染料24を有する
容器50中に98±1℃の温度において16分間浸漬される。
500nmにおけるカットオンに対しては、レンズ12は、
オレンジ色3染料20を有する容器50中に98±1℃の温度
において5分間浸漬される。
515nmにおけるカットオンに対しては、レンズ12は、
オレンジ色3染料20を有する容器50中に98±1℃の温度
において12分間浸漬される。
530nmにおけるカットオンに対しては、レンズ12は、
オレンジ色3染料20を有する容器50中に98±1℃の温度
において18分間浸漬される。
550nmにおけるカットオンに対しては、レンズ12は、
赤色2染料22を有する容器50中に98±1℃の温度におい
て18分間浸漬される。
好ましい方法において用いられる標準温度98±1℃
は、37±1℃に変えることができる。レンズ12がこの低
温度に浸漬されるときには、所要時間は約7〜10日間で
ある。
レンズ12とともに用いるために選択された組み合わせ
染料18は、その究極の用途に依存する。根拠があると考
えられるすべての問題は、敏感なカットオンフィルタ14
を組み込んだ偏光レンズを用いることによって解決され
た。典型的な問題となる5つの状況が考慮された。すな
わち、人命救助員、ボートに乗る人、釣り師、ドライバ
ー、及びパイロットがこれであって、他の数値的、技術
的な記載とともに議論を参照して害加重イラジアンスが
本発明の開示の項において推論され記載されている。こ
れらのレンズのスペクトルが第1図に示されている。
人命救助員は対する典型的な状況は次のとおりであ
る。すなわち、時刻は正午であり、太陽は天頂にある。
人命救助員は3mの曲率半径をもつ波がある水面から8m離
れている。害加重イラジアンスは3.27μW/cm2であっ
て、これは日光性網膜炎及び夜視力喪失のそれぞれに対
するいき値よりもずっと高い。500カットオンフィルタ
を用いると、イラジアンスは0.036μW/cm2に低下する
が、これは日光性網膜炎に対するいき値よりも低く、夜
視力低下に対するいき値よりも高い。これに偏光子を加
えると、害加重イラジアンスは0.004μW/cm2まで減少
し、これは夜視力喪失のいき値以下である。
ボートに乗る人に対する典型的な状況は次のとおりで
ある。すなわち、時刻は正午であり、太陽は天頂にあ
る。ボートに乗る人は、3mの曲率半径をもつ波がある水
面から4.5m離れている。害加重イラジアンスは8.20μW/
cm2であって、これは日光性網膜炎及び夜視力喪失のそ
れぞれに対するいき値よりもずっと高い。515カットオ
ンフィルタを用いると、イラジアンスは0.063μW/cm2
低下するが、これは日光性網膜炎に対するいき値よりも
低く、夜視力喪失に対するいき値よりも高い。これに偏
光子を加えると、害加重イラジアンスは0.007μW/cm2
で減少し、これは夜視力喪失のいき値以下である。
ドライバーに対する典型的な状況は次のとおりであ
る。すなわち、時刻は正午であり、太陽は天頂にある。
ドライバーは、前方にある自動車のガラス窓から5m離れ
ている。ガラス窓は4mの曲率半径をもつ。害加重イラジ
アンスは39.60μW/cm2であって、これは日光性網膜炎及
び夜視力喪失のそれぞれに対するいき値よりもずっと高
い。530カットオンフィルタを用いると、イラジアンス
は0.24μW/cm2に低下するが、これは日光性網膜炎に対
するいき値よりも僅かに高く、夜視力喪失に対するいき
値よりもずっと高い。これに偏光子を加えると、害加重
イラジアンスは0.002μW/cm2まで減少し、これは夜視力
喪失のいき値以下である。
釣り師に対する典型的な状況は、次のとおりである。
すなわち、時刻は正午であり、太陽は天頂にある。釣り
師は、6mの曲率半径をもつ低い波のある水面から6m離れ
ている。害加重イラジアンスは8.20μW/cm2であって、
これは日光性網膜炎及び夜視力喪失のそれぞれに対する
いき値よりもずっと高い。550カットオンフィタを用い
ると、イラジアンスは0.045μW/cm2に低下し、これは日
光性網膜炎に対するいき値以下であるが、夜視力喪失に
対するいき値よりも高い。これに偏光子を加えると、害
加重イラジアンスは0.005μW/cm2まで減少し、これは夜
視力喪失のいき値以下である。
最も保護力の強いフィルタは550カットオンである。5
50カットオンは限界として選択されたが、これは交通信
号についての安全に対して必要とされる赤−緑−黄の色
の識別を妨げない最大のカットオンであるからである。
この交通信号の認識は実験的に定められた。このレンズ
は、網膜に病気がある、すなわち色素性網膜炎、年齢に
関係した黄斑変性(macular degeneration)等のような
最大の保護を必要とする人々に対しての1つの選択であ
る。
警官に対する典型的な状況は次のとおりである。すな
わち、時刻は正午であり、太陽は天頂にある。ドライバ
ーは、前方にある自動車のガラス窓から5m離れている。
ガラス窓は4mの曲率半径をもつ。害加重イラジアンスは
39.60μW/cm2であって、これは日光性網膜炎及び夜視力
喪失のそれぞれに対するいき値よりもずっと高い。450
カットオンフィルタを用いると、イラジアンスはいくら
か低下するが、警官が車の色を正確に確認しなければな
らないという色の真実性に対する要求のために、警官は
夜視力喪失及び日光性網膜炎のそれぞれに対するいき値
以上にある。しかし、彼は偏光青色阻止レンズを使用し
ないよりはまだずっと安全である。
パイロットに対する典型的な状況は次のとおりであ
る。すなわち、時刻は正午であり、太陽は天頂にある。
パイロットは、クラウドカバー(cloud cover)から極
めて変わりやすい距離にあって、一面の曇りから急にき
らきらした太陽に変わることがある。偏光の状態も太陽
の方向や雲の状態によって劇的に変化する。このため、
パイロットが露出される害を予告することは困難であ
る。しかし、パイロットは、高度が原因となってずっと
強度の全青色光及びUVに露出されていることは知られて
いる。(大気はUV及び青色光をある程度吸収するので、
高高度のところにいる人は海面近くにいる人よりも大き
な危険にさらされている。)パイロットは損傷を軽くす
るために515〜550のどのカットオンレンズを用いてもよ
い。広い範囲の光の状態にわたって用いることができる
という本発明の未解明の効果は、パイロットに対しても
用いられるであろう。
本発明は全く詳細に記載され、かつ添付図面に絵で示
されているが、本発明の精神と範囲から離れることな
く、本発明に対して多くの変化と変形を施すことができ
るので、そのような細部に制限されるべきではない。例
えば、本発明のレンズ12は、自動車や飛行機の風防ガラ
ス、特殊用途の窓、飛行、スキー、溶接用保護眼鏡やま
びさし(visor)、さらには顕微鏡、望遠鏡、又はオプ
サルモスコープ(opthalmosecope)に適用される。した
がって、請求の範囲の文言の範囲内にあるすべての変形
と形態を網羅すべく記載されている。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−156005(JP,A) 特公 昭51−29954(JP,B2)

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】偏光物質を有する実質的に透明な積層板
    と、該積層板に組み合わされて約300ナノメータ〜約450
    ナノメータ間の偏光されない光の波長を実質的に遮断す
    る敏感なカットオンフィルタを備えていて、前記フィル
    タが少なくとも1つの染料により構成されて450〜550ナ
    ノメータ間の鋭いカットオン波長にて青色光の透過を鋭
    くカットオンするのに適用され、かつ同フィルタがカッ
    トオン波長より大きく650ナノメータ以下の波長におけ
    る傾斜部分が波長変化を増大させる1ナノメータ毎の光
    透過において0.5パーセント以上の変化で上昇するスペ
    クトル透過曲線によって特性を与えられてなる光学透明
    体。
  2. 【請求項2】前記敏感なカットオンフィルタが625ナノ
    メータ以上の偏光された光の波長の20パーセント以上を
    透過させる第1項に記載の光学透明体。
  3. 【請求項3】前記敏感なカットオンフィルタが625ナノ
    メータ以上の偏光された光の波長の20パーセント以上40
    パーセント以下を透過させる第2項に記載の光学透明
    体。
  4. 【請求項4】前記偏光物質が光の波長を実質的に水平に
    偏光させる第1項に記載の光学透明体。
  5. 【請求項5】前記少なくとも1つの染料が紫外線透過ホ
    ールが実質的に重ならない2つの染料の混合物からなる
    組み合わせ染料である第1項に記載の光学透明体。
  6. 【請求項6】前記カットオンフィルタが分散された黄色
    染料23と分散されたオレンジ色染料3の組み合わせ染料
    により構成された第5項に記載の光学透明体。
  7. 【請求項7】前記カットオンフィルタが分散されたオレ
    ンジ染料3と分散された赤色染料2の組み合わせ染料に
    より構成された第5項に記載の光学透明体。
  8. 【請求項8】前記積層板が内部に染料を含んでなること
    により、前記積層板と前記フィルタが一体構造をなす第
    1項に記載の光学透明体。
  9. 【請求項9】前記積層板が複数の層を有し、その複数の
    層の少なくとも1つに前記フィルタが組み合わされてな
    る第1項に記載の光学透明体。
  10. 【請求項10】前記積層板が二層の光学プラスチックを
    有していて、前記偏光物質が前記二層のプラスチック間
    に設けた偏光フィルムである第9項に記載の光学透明
    体。
  11. 【請求項11】前記プラスチックがジアリル・グリコー
    ル・カーボネートにより構成されている第10項に記載の
    光学透明体。
  12. 【請求項12】前記カットオンフィルタが625ナノメー
    タ以上の光の波長の10〜90パーセントを透過させる第1
    項に記載の光学透明体。
  13. 【請求項13】前記二層のプラスチックの表面に前記カ
    ットオンフィルタを構成する前記組み合わせ染料が吸収
    されてなる第10項に記載の光学透明体。
  14. 【請求項14】前記二層のプラスチック中に前記カット
    オンフィルタを構成する組み合わせ染料が混入されてな
    る第10項に記載の光学透明体。
  15. 【請求項15】前記二層のプラスチックの内側又は外側
    に設けたコーティング又は同プラスチックの内側又は外
    側に接着した染色可能な積層フィルム中に前記カットオ
    ンフィルタを構成する組み合わせ染料を存在させてなる
    第10項に記載の光学透明体。
  16. 【請求項16】前記光学透明体が人間の目に有害な選択
    された波長の太陽光の入射を遮断し選択された波長の可
    視太陽光を目に透過させるのに適用されるサングラス用
    レンズをなす第1項に記載の光学透明体。
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