JP2501121B2 - タスク管理方式 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、１つのタスクが複数のサブシステムを構成
し、さらにそれらのサブシステムが複雑に組み合わされ
て１つのシステムを構成し、かつそれらの機能が、よく
変更されるような組込型マイクロコンピュータシステム
のタスク管理方式に関する。

ここで組込型というのは、エアコンとか炊飯器など様
々な製品に組込んで用いられるもの、という意味であ
る。

〔従来の技術〕

かかる従来の組込み型マイクロコンピュータシステム
では、プログラムはリードオンリーメモリ（ROM）に格
納されることが多く、１度システムを作り上げるとその
後の変更は行わないことを前提としてシステムを構成し
ていた。

しかしながら、近年はこのようなマイクロコンピュー
タシステムに対する要求も、それを組込む製品と共に多
様化しており、後からの機能の変更やオプションとして
の機能追加の要求が多くなってきている。

これに対して、複数のタスクから構成される機能を１
つのサブシステムとして、これらのサブシステムのタス
ク群を管理するための管理タスクを設ける。そしてそれ
ぞれのサブシステムを管理する各管理タスクの間での通
信を行うための要求通信手段と状態通信手段を設ける。
そして各サブシステム間での通信はその管理タスクを通
して管理タスク間での通信を行うことにより、サブシス
テムのモジュールとしての独立性を高める方式が提案さ
れ特願昭63−281301号として特許出願されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながらこの方式では、サブシステム間にまたが
るような変更では、それぞれのタスクを管理している管
理タスクも同時に修正しなければならず、修正作業が複
雑になり、どの部分を修正すればよいのかを検討するの
に非常に多くの時間がかかってしまう欠点があった。ま
た修正の影響が予想外の部分で発生し、このため組込型
マイクロコンピュータの品質を維持するのを困難になる
場合があった。

本発明の目的は、後からの機能変更や追加のための修
正が簡単かつ容易に行え、しかもそれによる品質低下の
起きることの少ない組込型マイクロコンピュータを実現
するのに役立つタスク管理方式を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的達成のため、本発明では、複数の処理タスク
によってシステムを構成すると共に、該システムの状態
を記憶する状態情報記憶手段を有して成るマイクロコン
ピュータ制御システムにおいて、各処理タスクに、まと
まった機能を実現するプログラム単位としてのモジュー
ルを所要数だけ持たせると共に、その各モジュールに対
して実行を開始させる実行計画手段としてのスケジュー
ラを持たせた。

〔作用〕

スケジューラは、前記状態情報記憶手段を参照して自
処理タスク内のどの処理モジュールが実行可能であるか
を検索（判断）し、実行可能なモジュールに対して実行
を開始させる。各モジュールは該スケジューラからの実
行開始要求によって予め該モジュールに記述されている
プログラムの処理を開始して終了したら、その結果とし
て生じるシステムの新しい状態を前記状態情報記憶手段
に書き込み、状態情報を更新する。スケジューラは更新
された状態情報をもとにして再び実行可能なモジュール
を検索する。

このように各タスク内に、処理モジュールとスケジュ
ーラを持たせ、スケジューラによって各タスク内でのモ
ジュールの処理動作実行、モジュールの管理を行わせる
ことによって、マイクロコンピュータ制御システムの機
能を追加、変更によって生じるプログラムの変更を或る
タスクの中で吸収させ、他タスクへの波及を無くし、当
該タスクの交換だけで済むようにする。

〔実施例〕

第１図は本発明の一実施例としてのタスク管理方式を
示すブロック図である。同図において１（1a,1b）はタ
スク、２（2a,2b）はスケジューラ、３（3a,3b）はモジ
ュール、４は状態情報記憶手段、５は記憶手段である。

本実施例は、自動販売機における制御システムを例に
とり説明する。自動販売機は以下の３つのサブシステム
から構成されている。

お金の投入や釣り銭の払い出し、などを行う金銭処
理サブシステム、 商品を選択し、その商品を搬出する販売処理サブシ
ステム、 サービスマンが行う各種の操作（商品価格の設定、
売上額、売上数の集計数）を行うための設定処理サブシ
ステム。

本実施例のタスク構成を第２図に示す。金銭管理タス
ク21には、お金が投入されたかどうかを調べる投入金額
検出モジュール、投入された金額を計算する投入金額計
算モジュール、釣り銭を計算する釣り銭計算モジュー
ル、釣り銭を返却する返金処理モジュールが含まれる。
販売制御タスク22には、投入された金額で販売可能な商
品を検索する販売可能商品設定モジュール、販売する商
品を決めるために押されたボタンを検知するボタン押下
検出モジュール、商品を搬出するための商品搬出モジュ
ール、商品の販売の終了処理を行う販売終了モジュール
が含まれる。そして設定処理タスク23には、サービスマ
ンが操作するキーボードの使用を検出するキーボード操
作検出モジュール、キーボードから入力されたデータを
処理（商品価格の設定など）するキーボード処理モジュ
ール、キーボード操作の終了を行うキーボード終了処理
モジュールが含まれる。

ここでまず自動販売機の動作について簡単に説明す
る。第３図は自動販売機における制御システムの構成図
である。同図において、31は主制御装置、32はコインメ
カニズム、33は機器制御装置、34はキーボード制御装
置、である。それぞれ機能別にマイクロコンピュータと
メモリーと入出力装置を持つ制御装置からなるマルチプ
ロセッサシステムであり、それぞれの制御装置（31〜3
4）は通信回線で結ばれている。

一般に、自動販売機にお金（カードも含む）が投入さ
れると、コインメカニズム（C/M）で検出し、その後商
品の販売が終了あるいは返金レバーが押され、お金が返
却されるまで、サービスマンがキーボードの操作を行え
ないようにし、その後どの商品を販売するかを決定し、
（自動販売機前面のどのボタンが押されたかを調べるな
ど）その決定にもとづき商品を搬出する。それと同時に
釣り銭を計算しコインメカニズム（C/M）より払い出
す。この一連の動作が終了するとサービスマンがキーボ
ードを操作することが可能なようにして待機状態に戻
る。

第４図は、上述の如き自動販売機の動作状態を表わす
状態情報記憶手段４の記憶内容を示しており、本実施例
では、図示の如く、待機に始まってキーボード操作終了
に終わる７つの状態を持っている。そして第１図に見ら
れる各タスク内のモジュールは、状態情報記憶手段４に
記憶されている状態情報によって自モジュールに記述さ
れているプログラムを実行するかどうかがあらかじめ決
められており、各モジュールの実行開始の制御はスケジ
ューラが行う。

第５図は各モジュールの実行開始条件と、そのモジュ
ールが実行を終了するときに設定する状態情報を示して
いる。投入金額検出モジュールは、待機中の時に実行を
開始し、お金が投入されたことを検出したら待機中をリ
セットし、入金中をセットすることを示している。また
返金処理モジュールは、販売中がセットされたときに実
行を開始し、処理が終了したときに返金終了をセットす
ることを示している。投入金額計算，釣り銭計算，販売
可能商品設定の各モジュールは、入金中がセットされて
いる間繰り返し実行されることを示す。

第６図に金銭管理タスクの処理フローチャートを示
す。他タスクも同様の構造であるので、以下金銭管理タ
スクの例で説明する。

ステップ61は他のタスクが動作するために必要な待ち
時間を示している。ステップ62は状態情報記憶手段４を
検索し、実行可能なモジュールを調べる処理である。た
とえば、状態情報の待機中がセットされていれば、投入
金額検出モジュールが実行可能であることを示してい
る。また状態情報の入金中がセットされていれば、投入
金額計算モジュール，釣り銭計算モジュールの２つが実
行可能であることを調べ、同時に両モジュールを実行す
ることはできないので、この中から１つを先ず選ぶ。こ
の選択方法はいろいろな方法があるが、本実施例では、
両モジュールを交互に実行させるように選択するものと
する。これはスケジューラ内に両者の実行を示すフラグ
を持ち、実行要求を出した方のフラグをセットし、他方
をリセットする。このフラグを判定調べることにより交
互に実行要求を出す。ステップ63ではステップ62で選ば
れたモジュールの実行を開始させる。

ステップ64,65は投入金額検出モジュール、ステップ6
6は投入金額計算モジュール、ステップ67は釣り銭計算
モジュール、ステップ68,69は返金処理モジュールを示
している。ここでステップ65は、ステップ64でお金が投
入されたことを検出した場合に、状態情報の待機中をリ
セットし入金中をセットする。またステップ69は、ステ
ップ68の返金処理が終了した時、状態情報の返金終了を
セットする。

ここで上述の説明を第１図に当てはめると、金銭管理
タスクが例えば1aに当たり、投入金額検出モジュール、
投入金額計算モジュール、釣り銭計算モジュール、返金
処理モジュールが3aに当たり、スケジューラが2aに当た
り、状態情報記憶手段が４に当たるものであることは、
述べるまでもないであろう。

〔発明の効果〕

本発明によれば、複数のタスクから構成される制御シ
ステムにおいて、制御システムの現在の状態を記憶して
おく状態情報記憶手段と、各タスク内に配置されたスケ
ジューラ（状態情報記憶手段を参照しタスク内の実行可
能なモジュールを実行させる）によってモジュールの実
行を制御するようにしたのでモジュールが実行可能であ
るかどうかの判断は状態情報のみで行われ、他タスクと
の干渉を考える必要がなく、システム設計が簡単になる
という効果が得られる。

またモジュールの追加，削除などシステムの変更を行
う場合、タスク，モジュール間の起動タイミングは、状
態情報とスケジューラのみで決定し、プログラム構造に
依存しないので、変更による影響は、状態情報とスケジ
ューラを参照することにより一元的に調べることができ
るという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例のシステム構成を示すブロッ
ク図、第２図はタスクの構成例を示す説明図、第３図は
自動販売機のハードウエア構成例を示すブロック図、第
４図は状態情報記憶手段の記憶内容の一例を示す説明
図、第５図はタスク内各モジュールとその実行開始条件
及び操作する状態情報との関係説明図、第６図は本発明
に従って動作する金銭管理タスクの処理フローを示すチ
ャート、である。 符号の説明 １（1a,1b）…タスク、２（2a,2b）…スケジューラ、３
（3a,3b）…モジュール、４…状態情報記憶手段、５…
データ、31…主制御装置、32…コインメカニズム、33…
機器制御装置、34…キーボード制御装置、21…金銭管理
タスク、22…販売制御タスク、23…設定処理タスク

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の処理タスクによってシステムを構成
   すると共に、該システムの状態を記憶する状態情報記憶
   手段を有して成るマイクロコンピュータ制御システムに
   おいて、 各処理タスクに、前記状態情報記憶手段を参照して自処
   理タスク内のどの処理モジュールが実行可能であるかを
   判断し、実行可能なモジュールに対して実行を開始させ
   る実行計画手段と、該実行計画手段からの実行開始要求
   によって予め定められた処理の実行を開始して終了した
   ら、その結果として生じるシステムの新しい状態を前記
   状態情報記憶手段に書き込む前記処理モジュールと、を
   持たせて成ることを特徴とするタスク管理方式。