JP2500064Y2 - 開閉装置 - Google Patents

開閉装置

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JP2500064Y2
JP2500064Y2 JP1991065253U JP6525391U JP2500064Y2 JP 2500064 Y2 JP2500064 Y2 JP 2500064Y2 JP 1991065253 U JP1991065253 U JP 1991065253U JP 6525391 U JP6525391 U JP 6525391U JP 2500064 Y2 JP2500064 Y2 JP 2500064Y2
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茂寿 桑原
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、本体に対し回動して
開閉する蓋を備えた開閉装置に関し、特に電子オルガン
や電子ピアノ等の電子鍵盤楽器をはじめ、開閉蓋を有す
る家具等に適した開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、電子オルガン等の鍵盤を有する
電子楽器には、一般に不使用時にその鍵盤部を覆って保
護する鍵盤蓋が設けられている。その鍵盤蓋としては、
楽器本体の前後方向にスライド自在に配設されて、開蓋
時に楽器本体内に収納されるスライド式の蓋体と、上下
方向に回動自在に配設されて、開蓋時に楽器本体上に立
設される回動式の蓋体の2種類がある。
【0003】しかるに、前者のスライド式の蓋体は、多
数個の蓋構成部材を一連に屈曲自在に連結してよろい戸
状に形成されるので、構造が複雑で部品点数が多いため
製造コストが高くつくという問題がある。これに対して
後者の回動式の蓋体は、一枚の板状の蓋体でよいので安
価に製造でき、開蓋時に楽器本体上に立設されるので、
楽器本体内に収納スペースを確保する必要がないという
利点を有する。
【0004】しかし、二段鍵盤の電子楽器のように鍵盤
蓋の奥行寸法が大きくなってその重量が増すと、開閉操
作がしにくくなるばかりか、開閉時に鍵盤蓋が重心の移
動によって急激に落下して閉じ、手を挾んだりする恐れ
があった。そこで、例えば実公昭62−46219号公
報に見られるように、鍵盤蓋を閉じる際に、その回動の
後半で自重による回動力をスプリングを利用した制動機
構によって受けて緩衝するようにしたものがある。
【0005】また、鍵盤蓋の奥行寸法が大きい場合には
その面積も大きくなるため、開蓋時にそれが楽器本体上
に立設された際に演奏者に圧迫感を与える。そこで、例
えば特開昭63−11995号公報に見られるように、
鍵盤蓋の回動支点を蓋体の後端から前方及び下面の下方
に一定距離れた位置に設け、開蓋時に鍵盤蓋の後端部が
楽器本体内に収納されるようにすると共に、鍵盤蓋の回
動支点の前後における重量バランスによって比較的軽く
開閉操作でき、急激に閉じて指を挾んだりすることもな
いようにしたものも開発されている。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、本体に
上述の鍵盤蓋のような大型の蓋を設ける場合には、安全
対策として必ず蓋の自重による回動力をダンプ(制動)
するダンパ機構が必要になる。そのダンパ機構として、
従来は次のようなものが採用されていた。
【0007】(a) 蓋の回動中心にネジリコイルバネ,ト
ーションバー等のバネを装着し、蓋を閉じる角度によっ
てバネによるダンプ効果が発生するようにしたもの。 (b) 蓋の回動中心に摩擦力によってダンプ効果を発生す
る部材を装着したもの。 (c) 特殊なシリンダを使用し、蓋を閉じる時にそのシリ
ンダ内の空気が洩れる抵抗によってダンプ効果を発生さ
せるようにしたもの。
【0008】ところが、これらにはそれぞれ次のような
問題があった。 (a) バネにダンパとして充分なバネ定数を与えてやる
と、蓋が閉じた時に蓋の自重による回動力とバネによる
ダンプ力とがバランスして、蓋が浮いてしまい、閉蓋感
触及び安定性がなくなる。 (b) 蓋を閉じる時はよいが、蓋を開ける時には自重によ
る回動力と摩擦力とに抗して蓋を開く方向に回動させな
ければならないため重くなる。 (c) 機構上シリンダに充分なストロークを持たせること
ができないため、ダンパとして充分な効果を発生させる
ことができない。
【0009】この考案はこのような点に鑑みてなされた
ものであり、上述のような回動式の蓋を備えた開閉装置
において、閉蓋時あるいは開蓋時の安全性を確保するだ
けでなく、軽く開閉できてしかもその閉じ終りあるいは
開き終りの感触と安定性が得られるようにすることを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この考案は上記の目的を
達成するため、本体に回動自在に軸支され、その回動に
より本体を開閉する蓋を備えた開閉装置において、上記
蓋の軸支部付近からアーム部材を延設し、該アーム部材
の上記軸支部から離れた位置で弾性ねじれ変形するバネ
部材を支持すると共にその一端部を係止し、その他端部
を延設した延設部を該バネ部材を付勢する上記本体側の
係合部材に係合位置を可変し得るように係合させ、上記
蓋の自重により閉じる方向への回動力を上記バネ部材の
付勢力によってダンプさせるようにし、上記蓋及びアー
ム部材の回動に伴って、上記バネ部材のねじれ角と、上
記延設部と係合部材との係合位置との両方が変化するこ
とにより、バネ部材によるダンプ効果が変化し、上記蓋
閉じ終わりに近い位置で本体に対向しながら閉じる時
に、上記ダンプ効果が小さくなるように上記バネ部材と
係合部材とを配設したものである。そして、上記係合部
材を上記蓋の全回動範囲のうちの少なくとも一部の回動
範囲で上記蓋の回動に伴って変位する部材に設けるよう
にしてもよい。
【0011】また、本体に回動自在に軸支され、その回
動により本体を開閉し、開蓋時に後方へ斜めに傾斜して
止まる蓋を備えた開閉装置において、上記本体側の蓋の
軸支部から離れた位置に弾性ねじれ変形するバネ部材を
支持すると共にその一端部を係止し、その他端部を延設
した延設部を該バネ部材を付勢する係合部材に係合位置
を可変し得るように係合させ、その係合部材を上記蓋の
少なくとも後方へ傾斜する回動範囲でその蓋と共に回動
するアーム部材に設け、上記蓋が後方へ傾斜したとき、
該蓋の自重により開く方向への回動力を上記バネ部材の
付勢力によってダンプさせるようにし、上記蓋及びアー
ム部材の回動に伴って、上記バネ部材のねじれ角と、上
記延設部と係合部材との係合位置との両方が変化するこ
とにより、上記バネ部材によるダンプ効果が変化し、上
記蓋が開き終わりに近い位置本体の蓋当接部に当接す
る直前に、上記ダンプ効果が小さくなるように上記バネ
部材と係合部材とを配設したものも提供する。
【0012】
【作用】この考案による蓋を備えた開閉装置は上記の構
成により、蓋の自重により閉じる方向又は開く方向への
回動力を弾性ねじれ変形するバネ部材のねじれ変形によ
る付勢力によってダンプさせるので、蓋の開閉時にその
自重による回動力とそれに抗するバネ部材の付勢力とが
バランスし、ほぼ一様な軽い操作力で安全且つスムーズ
に蓋を開閉することができる。また、蓋の回動に伴っ
て、バネ部材のねじれ角と、そのバネ部材の延設部とそ
の係合部との係合位置との両方が変化して、それによっ
てバネ部材による上記ダンプ効果が変化し、蓋の閉じ終
り又は開き終りの直前でそのダンプ効果が小さくなるた
、蓋が自重による閉じ方向あるいは開き方向の回動力
を増し、完全に閉じあるいは開き終って本体の蓋当接部
に当接するので、閉蓋あるいは開蓋終期の感触と安定性
が得られる。
【0013】
【実施例】以下、この考案の実施例を図面によって具体
的に説明する。図1はこの考案の基本的実施例を示す要
部斜視図であり、1は図示しない本体に対し回動する
蓋、2はその蓋1の後端部付近の両側部に固設されたア
ーム部材で、それぞれ平行な2枚のアーム片2a,2b
からなり、蓋回動中心3を図示しない本体側の支持部材
に軸支される。
【0014】このアーム部材2の自由端部側のアーム片
2a,2b間に弾性ねじれ変形するバネ部材としてネジ
リコイルバネ5を嵌装した軸4を固着し、そのネジリコ
イルバネ5の一端5aをアーム片2bに係着し、他端の
直線状延設部5bを、本体側に回転自在に軸支された
合部材であるプーリ6の溝に係合させて、蓋1の回動に
よって矢示A方向に移動自在に支持させている。
【0015】このように、ネジリコイルバネ5を蓋1の
回動中心3から距離Lだけ離れた位置に取付けることに
より、回転モーメントの腕の長さを大きくすることがで
きるので、小さなバネで大きなダンプ効果が得られる。
さらに、この実施例にあっては、ネジリコイルバネ5を
蓋1である回動部材に取り付け、そのネジリコイルバネ
5の付勢端部を延設部5bの所定位置に設けることによ
り、さらに距離Laを腕の長さに加えられるようにして
いるので、回転モーメントの腕の長さをより大きくする
ことができ、より小さなバネで大きなダンプ効果が得ら
れるように構成している。
【0016】それによって、蓋1を矢示B方向に閉じる
際に、その自重による矢示B方向の回動力とそれに抗し
て蓋1に作用するネジリコイルバネ5によるダンプ力と
が略バランスして、全行程においてほぼ一様な軽い操作
力で、安全に且つスムーズに蓋1を開閉することができ
る。
【0017】その際、ネジリコイルバネ5によるダンプ
効果は、その両端5a,5bのねじれ角が大きくなる程
増加し、蓋1の回動範囲の大部分では、その開度の減少
に伴なってねじれ角が増加してダンプ効果が増加し、自
重による閉じ方向の回動力の増加を相殺するようになる
が、蓋1の回動に伴なってネジリコイルバネ5が移動す
るため、その中心から直線状延設部5bとプーリ6との
係合点までの距離dも変化する。
【0018】この距離d増加に反比例して、ネジリコ
イルバネ5によって蓋1を押し上げる力(ダンプ効果)
が強まるため、アーム部材2の形状とプーリ6の配置位
置を調整することによって、蓋1が閉じ終わりに近い位
置で本体の上面に対向しながら閉じる時に、それ以外の
回動領域に比してダンプ効果を弱めるかまたは変化率
(この場合増加率)が小さくなるようにすることができ
る。
【0019】そのようにすることによって、蓋1が閉じ
終る直前で、ネジリコイルバネ5によるダンプ効果の減
少と自重による閉じ方向の回動力の微少増加とにより、
完全に閉じ終って本体の蓋当接部に当接するので、蓋1
が確実に閉じられると共に閉蓋感と安定性が得られる。
【0020】なお、軸部の摩擦力による補助的なダンパ
効果を併用してもよい。また、一般には蓋1が開蓋時に
後方へ斜めに傾斜して止まるような構造になるので、そ
の開蓋位置付近でのダンパ効果を得るためにも、これと
同様なネジリコイルバネをその両端の係止方向を逆にし
て設ければよい。
【0021】次に、この考案の具体的実施例を図面の図
2以降を参照して説明する。図2乃至図9は、この考案
を適用した電子鍵盤楽器の内部をその鍵盤蓋開閉機構の
説明に必要な部分以外は省略し、鍵盤蓋のみ断面にして
示す側面図である。そして、各図は鍵盤蓋が全閉状態
(図2)から全開状態(図9)まで開度が順次増加する
8段階のそれぞれ異なる状態を示す。
【0022】この電子鍵盤楽器は、楽器本体10に対し
て鍵盤蓋11が開閉自在に支持され、不使用時にはこの
鍵盤蓋11を閉じることにより、図示は省略している
が、楽器本体10内の上下二段の鍵盤及び操作パネル部
を覆って保護するようになっている。そして、この楽器
本体10内の両側部に、図示の鍵盤蓋開閉機構が設けら
れている。
【0023】鍵盤蓋11は、前半部を構成する透明樹脂
(例えばアクリル)製の第1蓋部材11aと、後半部を
構成する金属(例えばアルミニウム)製の第2蓋部材1
1bとからなり、両部材の嵌合部は下面側からネジ止め
等によって固着されている。そして、第1蓋部材11a
の前端縁部には、樹脂製の指かけ部材11c及びクツシ
ョン材11dが装着されている。
【0024】また、第2蓋部材11bの後端部付近に
は、第1アーム部材13がその前端の係止部13aを係
合させて固定され、側板12に軸15によって回動可能
に軸支された第2アーム部材14の腕部14aを軸16
によって第1アーム部材13に対して相対回動可能に軸
支している。
【0025】第1アーム部材13の後端部に形成された
後方膨出部に、軸18によってローラ17を回転自在に
軸支し、前方膨出部には軸19を固設して、そこに第1
のネジリコイルバネ(以下「第1バネ」という)20
嵌装している。そして、その第1バネ20の一端延設部
20aを第1アーム部材13に引っ掛けて係止させ、他
端の直線状延設部20bを、第2アーム部材14の腕部
14aと反対側の膨出部に回転自在に軸支された係合部
材である第1プーリ21の溝に係合させている。
【0026】側板12には、それ自体かあるいは別に固
設したカイド部材に、小円弧状の第1ガイド面22aと
大円弧状の第2ガイド面22bとを連続して形成したガ
イド溝を設け、そこに第1アーム部材13に軸支された
ローラ17を挿入して、上記第1,第2ガイド面22
a,22bに転接させるようにしている。その第1ガイ
ド面22aは、第2アーム部材14が図2〜図4に示す
上限位置に係止されている時の軸16を中心とする円弧
状をなし、第2ガイド面22bはその上半部は第2アー
ム部材14を軸支する固定の軸15を中心とする円弧状
をなし、下半部は次第に大径の円弧状になるように形成
されている。
【0027】さらに、側板12に取付けたブラケット2
3に軸24を固設して、そこに第2ネジリコイルバネ
(以下「第2バネ」という)25を嵌装し、その一端延
設部25aはブラケット23に引っ掛けて係止し、他端
の直線状延設部25bを第2アーム部材14中間の膨出
部に回転自在に軸支された係合部材である第2プーリ2
6の溝に係合させている。なお、27は第2アーム部材
14の切欠き部14bに嵌入されるガイドコロ、28は
第2アーム部材14の上昇限を規制するストッパ、29
は鍵盤蓋11が図9に示す全開時に当接するクッション
材からなる蓋当接部材であり、これらはいずれも側板1
2の内側に取付けられている。
【0028】この実施例においては、第1バネ20が主
として鍵盤蓋11が閉蓋付近で自重によって閉じる方向
に回動するのをダンプするための付勢力を発生するバネ
部材であり、第2バネ25が主として鍵盤蓋11が開蓋
付近で自重によって開く方向に回動するのをダンプする
ための付勢力を発生するバネ部材である。
【0029】鍵盤蓋11が図2に示す全閉状態では、ロ
ーラ17が第1ガイド面22aの上部に転接しており、
この状態から指かけ部材11cに指をかけて鍵盤蓋11
を上方へ持ち上げて開くと、図3に示す略水平な状態か
ら図4に示すやや上向きに開いた状態までは、第2アー
ム部材14がストッパ28に当接した上昇限位置に止ま
っており、鍵盤蓋11は軸16を回動中心として開く方
向に回動し、ローラ17は第1ガイド面22a上を転動
しながら下降する。
【0030】その際、鍵盤蓋11の自重による閉じ方向
への回動力を相殺するように、第1バネ20によって開
蓋方向に回転モーメントが作用するので、鍵盤蓋11を
比較的軽く開くことができる。この点について詳細に説
明すると、まず第1バネ20の両端延設部20aと20
bのなすねじれ角をα(図2の実線のとおり)とし、自
然体ではこの第1バネ20の一端の延設部20aと他端
の延設部20bを図2に仮想線で示し、両延設部20a
と20bとの交角を初期ねじれ角α0=36°とする
と、この第1バネ20の実質的ねじれ角(実効ねじれ
角)αc は、αc=α−α0 となる。
【0031】ここで、第1プーリ21と第1バネ20の
延設部20bとの係合点で第1プーリ21が第1バネ2
0により生じた実効ねじれ角αc にて第1バネ20を押
す力F2と、この力F2の方向線に対して鍵盤蓋11の
回動中心であるA点を通って直交する直線との交点Xと
A点との距離L2(腕の長さ)とで定義される回転モー
メントが、回動中心A点に対し開蓋方向に作用するの
で、結果として鍵盤蓋11を自重より軽い力で開くこと
ができる。
【0032】図5に示す状態からローラ17が第2ガイ
ド面に転接するようになり、第2アーム部材14が軸1
5を中心に図で右旋回動し、第2バネ25の開角β(初
期ねじれ角β0=95°で、βc=β−95°が実質的な
ねじれ角;実効ねじれ角となる)を小さくするように第
2プーリ26が移動し、第2バネ25の中心から力F5
(第2バネ25がプーリ26に作用する力)の方向線に
直交する直線を引いた場合の交点と第2バネ25の中心
との距離Lbも変化するため、前記力F5と距離Lbと
に応じた回転モーメントが、鍵盤蓋11の開き方向の回
動力に抗する方向に作用する。
【0033】この第2バネ25による付勢力が、図8に
示すように鍵盤蓋11が垂直状態を越えて開く方向に回
動する際に、自重によって開く方向に作用する回動力に
対するダンプ効果をなし、鍵盤蓋11が急速に全開方向
へ回動するのを制動する。鍵盤蓋11を図9に示す全開
状態から閉じる場合にも、第1,第2バネ20,25に
よるダンプ作用が同様に発生し、軽くしかも確実に閉じ
ることができる。
【0034】図2乃至図9の各状態において、図中に示
した各距離L1〜L5及び下記の各力F1〜F5,回転
モーメントT1〜T5,Tの具体的数値例を、図10乃
至図17に示す。なお、図2と図10,図3と図11,
図4と図12,図5と図13,図6と図14,図7と図
15,図8と図16,図9と図17が各々対応してい
る。 これらの図中のL1〜L5,La,Lb,F1〜
F5,T1〜T5,T,α,βの各意味を以下に説明す
る。
【0035】ここで、T1〜T5はA点又はB点におけ
る第1アーム部材13(鍵盤蓋11と一体であるので実
質的に鍵盤蓋11と同じ)又は第2アーム部材14に作
用する回転モーメントであって、各図の状態にあっては
手又は指等で鍵盤蓋11を支えていない状態をベクトル
解析している。詳細は後述するが、一例を挙げると図8
(図16)の状態で第2アーム部材14が時計方向に回
動しようとする力Tは、180.63(Kg・mm)であっ
て最大となっている。
【0036】F1;鍵盤蓋11の自重の2分の1:2K
g(全重量を4Kgとして、その両側に同様な機構が設
けられるので、片側ではその1/2の2Kgとする。)
以下、各力F1〜F5はベクトルである。 L1;鍵盤蓋11の前後方向の重心点と軸16の中心点
(A点)との水平方向の距離(mm)。
【0037】T1;鍵盤蓋11の自重によるA点まわり
の回転モーメントであって、時計まわりをプラスとする
(Kg・mm)。以下、各種回転モーメントの方向は全
て時計まわりをプラスとする。 F2;第1バネ20の延設部20bが第1プーリ21と
の係合点から受ける反力(第1バネ20の戻り力によ
り、結果として常に鍵盤蓋11を押し上げる力として作
用する)(Kg)。
【0038】L2;第1バネ20によるA点まわりの回
転モーメントを出すための腕の長さ(mm)。 T2;第1バネ20によるA点まわりの回転モーメント
(kg・mm)。 F3;ローラ17がガイド面22a,22bから受ける
力(kg)。 L3;A点とローラ17がガイド面22a,22bから
受けるベクトル(F3)とを直交させた場合の交点とA
点との距離(mm)。
【0039】T3;鍵盤蓋11を開けつつある時に、手
または指が受ける回転モーメント(kg・mm)。 F4;A点におけるF1とF2とF3との合力。 L4;B点からF4の方向線に直交する直線を引いた場
合の交点とB点との距離(mm)。 T4;F4とL4とによるB点まわりの第2アーム部材
14に作用する回転モーメント(Kg・mm)。
【0040】F5;第2バネ25がプーリ26に作用す
る力 L5;B点からF5の方向線に直交する直線を引いた場
合の交点とB点との距離(mm)。 T5;F5とL5とによるB点まわりの第2アーム部材
14に作用する回転モーメント(Kg・mm)。
【0041】La;第1バネ20の中心からF2の方向
線に直交する直線を引いた場合の交点とバネ20の中心
との距離(mm)。 Lb;第2バネ25の中心からF5の方向線に直交する
直線を引いた場合の交点とバネ25の中心との距離(m
m)。 T;第2アーム部材14に作用するB点まわりの総合的
な回転モーメント(Kg・mm)。
【0042】ここで、第1バネ20のバネ定数を0.6k
gmm/deg,初期ねじれ角α0をα0=36°、第2バネ2
5のバネ定数を1.54kgmm/deg,初期ねじれ角β0をβ
0=95°とすると、次の数1に示す各関係式が成り立
つ。
【0043】
【数1】 T1=F1×L1 F2=0.6(α−36)/La T2=F2×L2 T1+T2+T3=0 T3=−(T1+T2) F3=−(T1+T2)/L3 T4=L4×F4 F5=1.54×(β−95)/Lb T5=−F5×L5 T=T4+T5
【0044】 但し、α;第1バネ20のねじれ角(開角)(度) αc=α−36;第1バネ20の実効ねじれ角(度) β;第2バネ25のねじれ角(開角)(度) βc=β−95;第2バネ25の実効ねじれ角(度)
【0045】なお、図10乃至図17には、La,Lb
及びα,βの値が記載されていないが、下記のとおりで
ある。但し、図2乃至図4(図10乃至図12)の状態
では、第2アーム部材14がストッパ28に当接してい
て動かないようになっているので、B点まわりのトルク
は考慮する必要がないから、Lb及びβの値は不要であ
る。
【0046】 図2の状態では、La=22.7(mm) α=218° 図3の状態では、La=18.1(mm) α=179° 図4の状態では、La=30.3(mm) α=113° 図5の状態では、La=42.9(mm) α=86° Lb=46.8(mm) β=82.5° L3=52.7(mm) L5=20.4(mm)
【0047】 図6の状態では、La=41.1(mm) α=89.7° Lb=31.1(mm) β=62.4° L3=54.36(mm) L5=37.1(mm) 図7の状態では、La=34.55(mm) α=102.5° Lb=26.01(mm) β=29.0° L3=53.74(mm) L5=25.98(mm)
【0048】 図8の状態では、La=26.16(mm) α=125.7° Lb=37.32(mm) β=16.7° L3=51.19(mm) L5=3.86(mm) 図9の状態では、La=21.0(mm) α=150° Lb=47.0(mm) β=17.0° L3=52.0(mm) L5=6.0(mm)
【0049】ここで、鍵盤蓋11が全閉状態(図2)か
ら全開状態(図9)に至る途中の代表的な例として図5
の開度60°の状態を図18を用いてベクトル解析す
る。図18は、図5の状態で作用する各力がどの部分で
どの方向にどのように作用するかを示したものである。
各記号の意味は前記のとおりである。具体的な力の作用
点にかかる力をA点まわりに集めると図示のとおりで、
F4は、F4=F1+F2+F3 である。
【0050】第2アーム部材14がF4によるB点まわ
りに受ける力T4は、T4=F4×L4 となる。同様
にB点まわりに受ける力はもう一つ存在し、それはT5
である。T5は第2バネ25によるものであって、T5
=F5×L5 である。このT4とT5との和がTであ
って、第2アーム部材14がバネ,蓋自重,ローラが受
ける反力等から受ける総合的回動モーメントであり、第
2アーム部材14を時計回りに回そうとする力として働
く。
【0051】逆に、この回動モーメントTに見合うよう
に反対方向(反時計方向)に第2アーム部材14を支え
ると、この位置で鍵盤蓋11は静止する。同様に図2〜
図4及び図6〜図9についても、上記の考え方を押し進
めることによって各図の状態における回転モーメントを
ベクトル解析することができる。そして、図10乃至図
17から明らかなように、この実施例によれば、鍵盤蓋
11の開閉時にその自重による回動力とそれに抗する第
バネ20又は第2バネ25による付勢力(ダンプ力)と
がバランスし、全行程において軽い操作力で安全に且つ
スムーズに開閉することができる。
【0052】また、鍵盤蓋11の閉じ終り又は開き終り
の直前でそのダンプ効果が弱まり、蓋が自重による閉じ
方向あるいは開き方向の回動力が増して、閉蓋あるいは
開蓋終期の感触と安定性が得られる。なお、この考案は
鍵盤蓋の開閉装置に限らず、電子楽器の操作パルネ部を
開閉するカバーのような蓋の開閉装置にも、あるいは家
具等の蓋の開閉装置にも同様に適用できる。また、上記
実施例ではダンプ効果を発生させる弾性体としてネジリ
コイルバネを使用したが、板バネやトーションバー等を
使用することもできる。
【0053】
【考案の効果】以上説明してきたように、この考案によ
れば、回動式の蓋を備えた電子楽器や家具等において、
閉蓋時あるいは開蓋時の安全性を確保でき、蓋を軽く開
閉できて且つその閉じ終りあるいは開き終りの感触と安
定性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の基本的実施例を示す要部斜視図であ
る。
【図2】この考案の具体的実施例の鍵盤蓋が全閉の状態
を鍵盤蓋開閉機構の説明に必要な部分以外は省略し、鍵
盤蓋のみ断面にして示す側面図である。
【図3】同じくその鍵盤蓋が開き初め状態を示す側面図
である。
【図4】同じくその鍵盤蓋の開度が35°の状態を示す
側面図である。
【図5】同じくその鍵盤蓋の開度が60°の状態を示す
側面図である。
【図6】同じくその鍵盤蓋の開度が85°の状態を示す
側面図である。
【図7】同じくその鍵盤蓋の開度が105°の状態を示
す側面図である。
【図8】同じくその鍵盤蓋の開度が125°の状態を示
す側面図である。
【図9】同じくその鍵盤蓋が全開の状態を示す側面図で
ある。
【図10】図2の状態における各数値例を示す説明図で
ある。
【図11】図3の状態における各数値例を示す説明図で
ある。
【図12】図4の状態における各数値例を示す説明図で
ある。
【図13】図5の状態における各数値例を示す説明図で
ある。
【図14】図6の状態における各数値例を示す説明図で
ある。
【図15】図7の状態における各数値例を示す説明図で
ある。
【図16】図8の状態における各数値例を示す説明図で
ある。
【図17】図9の状態における各数値例を示す説明図で
ある。
【図18】図5の状態で作用する各力がどの部分でどの
方向にどのように作用するかを示す説明図である。
【符号の説明】
1…蓋、2…アーム部材、3…回動中心、5…ネジリコ
イルバネ、6…プーリ、10…楽器本体、11…鍵盤
蓋、12…側板、13…第1アーム部材、14…第2ア
ーム部材、15,16…回動支点となる軸、17…ロー
ラ、20…第1ネジリコイルバネ(第1バネ)、21…
第1プーリ、22…ガイド溝、22a…第1ガイド面、
22b…第2ガイド面、23…ブラケット、25…第2
ネジリコイルバネ(第2バネ)、26…第2プーリ、2
7…ガイドコロ、28…ストッパ、29…蓋当接部材

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本体(10)に回動自在に軸支され、そ
    の回動により前記本体を開閉する蓋(1,11)を備え
    た開閉装置において、前記蓋の軸支部付近からアーム部材(2,13)を延設
    し、該アーム部材の前記軸支部(3,16)から離れた
    位置で弾性ねじれ変形するバネ部材(5,20)を支持
    すると共にその一端部(5a,20a)を係止し、その
    他端部を延設した延設部(5b,20b)を該バネ部材
    を付勢する前記本体側の係合部材(6,21)に係合位
    置を可変し得るように係合させ、 前記蓋の自重により閉じる方向への回動力を前記バネ部
    材(5,20)の付勢力によってダンプさせるように
    し、 前記蓋及びアーム部材の回動に伴って、前記バネ部材の
    ねじれ角と、前記延設部と前記係合部材との係合位置と
    の両方が変化することにより、前記バネ部材によるダン
    プ効果が変化し、前記蓋が 閉じ終わりに近い位置で前記
    本体に対向しながら閉じる時に、前記ダンプ効果が小さ
    くなるように前記バネ部材と前記係合部材とを配設した
    ことを特徴とする開閉装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の開閉装置において、前記
    係合部材(21)を前記蓋(11)の全回動範囲のうち
    の少なくとも一部の回動範囲で前記蓋の回動に伴って変
    位する部材(14)に設けたことを特徴とする開閉装
    置。
  3. 【請求項3】 本体(10)に回動自在に軸支され、そ
    の回動により前記本体を開閉し、開蓋時に後方へ斜めに
    傾斜して止まる(11)を備えた開閉装置において、前記本体側の前記蓋の軸支部(15)から離れた位置に
    弾性ねじれ変形するバネ部材(25)を支持すると共に
    その一端部(25a)を係止し、その他端部を延設した
    延設部(25b)を該バネ部材を付勢する係合部材(2
    6)に係合位置を可変し得るように係合させ、該係合部
    材を前記蓋の少なくとも後方へ傾斜する回動範囲で該蓋
    と共に回動するアーム部材(14)に設け、 前記蓋が後方へ傾斜したとき、該蓋の自重により開く方
    向への回動力を前記バネ部材(25)の付勢力によって
    ダンプさせるようにし、 前記蓋及びアーム部材の回動に伴って、前記バネ部材の
    ねじれ角と、前記延設 部と前記係合部材との係合位置と
    の両方が変化することにより、前記バネ部材によるダン
    プ効果が変化し、前記蓋が開き終わりに近い位置で前記
    本体の蓋当接部に当接する直前に、前記ダンプ効果が小
    さくなるように前記バネ部材と前記係合部材とを配設し
    ことを特徴とする開閉装置。
JP1991065253U 1990-11-30 1991-08-19 開閉装置 Expired - Lifetime JP2500064Y2 (ja)

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JPH0342988Y2 (ja) * 1986-07-23 1991-09-09

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