JP2024525897A - 変形性関節症の治療におけるnlrp3阻害剤の投与計画 - Google Patents

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ガトリック,エヴァ
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ノバルティス アーゲー
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本開示は、薬学の分野、特に変形性関節症の治療において使用するためのNLRP3阻害剤に関する。本開示はまた、変形性関節症の治療において使用するための、NLRP3阻害剤、又はNLRP3阻害剤及び少なくとも1つのさらなる治療薬を含む医薬組み合わせ;NLRP3阻害剤又は組み合わせを投与することを含む、変形性関節症を治療するための方法;並びに変形性関節症を治療するための薬剤の製造におけるNLRP3阻害剤又は組み合わせの使用に関する。

Description

本開示は、薬学の分野、特に変形性関節症の治療において使用するためのNLRP3阻害剤に関する。本開示はまた、変形性関節症の治療において使用するための、NLRP3阻害剤、又はNLRP3阻害剤及び少なくとも1つのさらなる治療薬を含む医薬組み合わせ;NLRP3阻害剤又は組み合わせを投与することを含む、変形性関節症を治療するための方法;並びに変形性関節症を治療するための薬剤の製造におけるNLRP3阻害剤又は組み合わせの使用に関する。
変形性関節症(OA)は、世界中で最も一般的な関節障害であり、若年死亡率のリスク増加に関連している、治療法が未知の重篤な慢性進行性関節疾患である(Osteoarthritis Research Society International 2016,Paper submitted to U.S.Food and Drug Administration;01 December;Kluzek et al 2015,Ann Rheum Dis.75(10):1749-56)。
臨床的に、OAは、関節痛、腫脹及びこわばりを伴い、活動制限、睡眠中断、疲労、抑うつ、不安、そして究極的には非依存性の欠如及び生活の質の低下を引き起こし得る(Osteoarthritis Research Society International 2016)。
診療ガイドライン(Bannuru et al 2019,Cartilage;27:1578-1589;Kolasinski et al 2020,Arthritis and Rheumatology;72:220-33)によると、OAの非外科的治療は、薬理学的様式及び非薬理学的様式(患者教育、理学療法士への照会、運動、体重減少、歩行支援、膝装具、及びフットウェアなど)の両方を含む。OAに対する全ての現在利用可能な薬理学的治療法は、疼痛を一過性に低減することによって症候性軽減を提供するが、OAの進行に伴う構造的損傷を遅延させることは示されていない。加えて、これらの治療法の長期的使用は、落下に関連した骨折、オピオイドを摂取している患者における薬物依存及び/又は乱用、心血管リスク、及び非ステロイド性抗炎症薬を摂取しているOA患者における上部消化管出血を含む、重篤な有害作用に関連し得る(Fernandes et al,2013,Ann Rheum Dis.72(7):1125-35;McAlindon et al,2014,Osteoarthritis Cartilage;22(3):363-88;Nissen et al,2016,NEJM 375:2519-29;Chan et al 2017,Lancet 389:2375-82;Soloman et al 2017,Am.J.Med.;130:1415-22;Kolasinski et al 2020)。
総膝置換術(TKR)は、症候性の薬理学的治療法の適切な試みが失敗する場合に考慮される(Bannuru et al 2019;Kolasinski et al 2020)。しかし、全ての患者がその結果に満足する、又は関節置換術から利益を得るわけではない。長寿が増加し、(たとえ若年であっても)OAの有病率が上昇すると、増え続ける関節置換術は、公衆衛生負担のますますの増加を引き起こす(Losina and Katz et al 2012,Arthritis Rheum.64(2):339-41)。
インターロイキン-1β(IL-1β)などの炎症促進性サイトカインは、OAに関与する関節組織の代謝障害及び異化亢進の決定的なメディエーターであり(Fraenkel et al 1998,J Rheumatol.,1820-6)、抗炎症療法をOAに対抗するための魅力的な方法にする。これらの炎症性メディエーターは、同化事象、すなわち、軟骨細胞による軟骨マトリックス産生並びに軟骨細胞及び滑膜細胞による分解酵素(MMPs,ADAMTS)の産生の下方制御を誘導し、軟骨マトリックスの分解及び減少を引き起こす(van den Bosch 2019,Clin Exp Immunol.153-166)。
IL-1β及びIL-18の産生を通じて、NLRP3インフラマソームが多くの慢性炎症性疾患に伴う炎症の主要なドライバーとして関与している。機構的に、NLRP3は、多様な範囲の危険信号を検知し、炎症性応答を駆動するインフラマソームタンパク質複合体を形成することによって応答する。NLRP3阻害剤は、インビトロで及び機構的マウスモデルにおいてインビボで、多種多様なNLRP3依存性の危険信号に応答して、IL-1β分泌、IL-18分泌及びパイロトーシス細胞死を遮断することが示されている。
OAの疾患進行を、構造的悪化を阻害し、症状を改善することによって遅らせるか又は停止させることができる疾患修飾変形性関節症薬(DMOAD)についてのアンメットニーズが存在する。多くの推定上の薬剤が調査されているが、DMOADとしての臨床使用に向けて承認されている医薬品は存在しない(Tonge et al 2014,Osteoarthritis Cartilage.;22(5):609-21;Karsdal et al 2016,Osteoarthritis and Cartilage,24:2013-21;Oo et al 2018,Expert Opin Emerg Drugs Dec;23(4):331-347;Alcaraz et al 2019,Biochem Pharmacol.165:4-16)。
NLRP3のインフラマソーム応答を阻止又は低減することで、OAにおけるアンメットメディカルニーズに対処するために使用可能なNLRP3阻害剤が本明細書に提供される。例えば、本明細書で開示されるNLRP3阻害剤をOA薬として開発し、症候性OAを有する成人において、疾患の炎症局面に対処し、末期OAへの進行を遅延させる/予防することによって、疼痛を低減し、関節障害を遅らせ、機能を改善することができる。
一態様では、本発明は、OA、例えば、膝のOA、手のOA、臀部のOA、脊髄のOA、足及び足首のOAを、治療有効量のNLRP3阻害剤、特に化合物I又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することによって治療するための方法に関する。OA、例えば、膝のOA、手のOA、臀部のOA、脊髄のOA、足及び足首のOAの治療における使用のための、NLRP3阻害剤、特に化合物I又はその薬学的に許容される塩も本明細書に記載される。
さらに、本明細書に記載のとおり、OAの治療におけるそれらの方法又はNLRP3阻害剤、特に化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用のための具体的な投与計画が本明細書に提供される。
加えて、a)化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びb)少なくとも1つのさらなる治療薬を、任意選択的に薬学的に許容される担体の存在下で含む医薬組み合わせが、OAの治療及びそれらを含む医薬組成物又はキットにおいて、本明細書に記載される。
特定の実施形態では、化合物Iは、化合物IAである。
さらに、記載された方法及び使用の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明白となろう。
実施例1において詳述されるとおりの治療プロトコルの図式的概観。 実施例2において詳述されるとおりのファーストインヒューマン(FIH)試験の試験設計の図式的概観。
定義:
本文書をより容易に理解することができるように、最初に特定の用語が定義される。本文書全体を通じて、さらなる定義が記載される。
本明細書中で参照される全ての特許、公開された特許出願、出版物、参考文献及び他の資料は、記載目的のため、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用する場合、説明及び特許請求の範囲の両方における冠詞「a」、「an」、及び「the」は、本明細書中で別段の指示がない限り、又は文脈上明らかに矛盾がない限り、単数及び複数の両方を包含するように解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having))」、「含む(including)」、及び「含む(containing)」は、特に断りのない限り、オープンターム(すなわち、「限定はされないが~を含む」を意味する)として解釈されるべきである。加えて、ある実施形態において「含む(comprising)」又は別のオープンエンドな用語を使用する場合は常に、「から本質的になる」という中間的用語又は「からなる」という閉じた用語を用いて、同じ実施形態をより狭く主張することができると理解されるべきである。
「又は」という用語は、文脈上明らかにそれ以外を示すことがない限り、「及び/又は」という用語を意味するように本明細書で用いられ、またそれと互換可能に用いられる。
参照数値及びその文法的等価物に関連した「約」又は「およそ」という用語は、本明細書で使用する場合、数値自体及びその数値から±20%(好ましくは±15%、より好ましくは±10%、さらにより好ましくは±5%)の値の範囲を含み得る。例えば、「約10」という量は、10及び8~12又は9~11の任意の量を含む。例えば、参照数値に関連した「約」という用語は、その値から±10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%の値の範囲も含み得る。いくつかの場合、全体を通じて記載される数値は、たとえ「約」という用語に具体的に言及しない場合であっても「約」その数値であり得る。
本明細書で使用する場合、「ベースライン」という用語は、治療前、例えば、化合物の投与前、例えば、記載された方法及び使用に従う、化合物I、若しくはその薬学的に許容される塩の、任意選択的には少なくとも1つのさらなる治療薬と組み合わせた投与前に認められる、対象の状態又は病態、例えば疾患の程度、又は患者の状態に関連する1つ以上のパラメータを指す。
本明細書で使用する場合、化合物、例えば、任意選択的には少なくとも1つのさらなる治療薬と組み合わせた化合物Iに関連する「投与する」という用語は、その化合物の任意の送達経路による送達を指すように用いられる。こうした送達は、例えば、静脈内投与又は経口投与であってもよい。こうした送達はまた、例えば、皮下投与であってもよい。
本明細書で使用する場合、「実質的に」という用語は、「完全に」を除外せず、例えば、Yから「実質的に遊離された」組成物は、Yから完全に遊離され得る。必要な場合、「実質的に」という用語は、定義から省略されてもよい。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、活性成分の生物学的活性の有効性に実質的には干渉しない非毒性材料を意味する。
本明細書で使用する場合、「患者」という用語は、「対象」という用語と互換可能に用いられ、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳類及び非哺乳類、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物、方法、及び使用は、ヒト患者又は対象に関連する。
本明細書で使用する場合、対象が治療「を必要とする」のは、こうした対象が、目的の病態(すなわち、疾患、障害、又は症候群)を患い、生物学的に、医学的に、又は生活の質においてこうした治療から利益を得ると思われる場合である。
「治療」、「治療する(treating)」又は「治療する(treat)」という用語は、望まれない生理学的変化若しくは障害(例えば、膝のOAのようなOA)の進行、重症度及び/若しくは持続期間の低下若しくは寛解、又は1つ以上の治療薬の投与に起因する障害の1つ以上の症状(好ましくは、1つ以上の識別可能な症状)の寛解についての治療的尺度と本明細書で定義される。他の実施形態では、「治療」、「治療する(treating)」又は「治療する(treat)」という用語は、物理的、例えば、識別可能な症状の低下若しくは安定化、生理的、例えば、物理パラメータの低下若しくは安定化、又は両方のいずれかによる、障害、例えばOAの進行の低下又は安定化を指す。本発明の目的として、有利な又は所望される臨床結果は、限定はされないが、検出可能又は検出不能のいずれであっても、症状の軽減、疾患の程度の減少、疾患の安定化(すなわち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延又は緩徐化、病態の寛解又は緩和、及び回復(部分又は全体のいずれか)を含む。
例えば、「膝のOA、手のOA、臀部のOA、脊髄のOA、足及び足首のOAなどのOAの治療」は、OAに関連する症状又は病理学的特徴の少なくとも1つを寛解、軽減又は調節する;例えば、疼痛を低減し、関節障害を遅らせ、機能を改善することを指し得る;例えば、OAに関連する症状又は病理学的特徴の進行を遅らせ、それらの少なくとも1つを低減又は停止させることを指し得る。それは、記載された症状の1つ以上を予防する又は遅延させる、例えば、疾患、病態、障害、徴候若しくは症候群の進行を遅らせ、停止させ、又はそれから回復させ、臨床成績を改善することも指し得る。
また、「治療する」は、疾患、病態、障害、徴候若しくは症候群の進行を遅らせる、停止させる、又はそれから回復させ、臨床成績を改善する、例えば、以下のような疾患に関連する臨床徴候及び症状の5ポイントスケールで大きい数から小さい数に移ることを指し得る:
本明細書で使用する場合、「賦形剤」又は「薬学的に許容される賦形剤」は、薬学的に許容される材料、組成物、又は媒体、例えば、液体若しくは固体充填剤、希釈剤、担体、溶媒、又はカプセル化材料を意味する。一実施形態では、各成分は、医薬製剤の他の成分に適合し、またヒト及び動物の組織又は臓器との接触状態での使用に適し、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー応答、免疫原性、又は他の問題若しくは複雑な要素を伴わず、合理的なリスク・ベネフィット比に見合うという意味で「薬学的に許容される」。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st ed.;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients,6th ed.;Rowe et al.,Eds.;The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2009;Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd ed.;Ash and Ash Eds.;Gower Publishing Company:2007;Pharmaceutical Preformulation and Formulation,2nd ed.;Gibson Ed.;CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2009を参照されたい。
本明細書で使用する場合、「NLRP3阻害剤」という用語は、NLRP3がIL-1β及び/又はIL-18の産生を誘導する能力を、NLRP3に直接的に結合する、又はNLRP3を不活性化し、不安定化し、その分布を変更する、又はその他によって阻害する化合物である。典型的に、NLRP3阻害剤は、本明細書で定義される2%ウシ胎仔血清を含むhTHP-1アッセイにおいて、IL-1β分泌で<1μMのIC50を有する。
好ましくは、NLRP3阻害剤は、化合物I、化合物IA、若しくは化合物IBの化合物、又はその薬学的に許容される塩である。より好ましくは、NLRP3阻害剤は、化合物IA、又はその薬学的に許容される塩である。
本明細書で使用する場合、「式Iの化合物」又は「化合物I」は、互換可能に用いられ、以下に示される構造を有する化合物を意味し、当該技術分野で公知であり、全体が参照により組み込まれる国際公開第2019/023147号パンフレットに記載の手順を用いて合成することができる。

化合物I、化合物IA(すなわち、(R)-N’-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-5-スルホニミダミド(sulfonimidamide))又は化合物IB(すなわち、(S)-N’-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-5-スルホニミダミド)は、結晶又は非結晶形態で、溶媒和化合物、例えば、水和物、又は非溶媒和形態として使用することができる。
互変異性体:
本明細書で開示される化合物の範囲は、化合物の互変異性形態を含む。したがって、例として、部分

を含むものとして表される化合物は、部分

を含む互変異性形態を含むことも意図される。
立体異性体:
本明細書に記載される化学式の非限定的な例示化合物は、不斉硫黄原子を含む。本開示は、立体異性体混合物の例(例えば、鏡像異性体のラセミ混合物)を提供する。本開示はまた、前記立体異性体混合物の個別成分を分離する(例えば、ラセミ混合物の鏡像異性体を分離する)ための方法を記載及び例示する。例えば、化合物Iは、化合物IA及び化合物IBの非ラセミ混合物、化合物IA及び化合物IBのラセミ混合物;鏡像異性的に純粋な形態の化合物IA;又は鏡像異性的に純粋な形態の化合物IBのそれぞれを表す。本明細書で使用する場合、「化合物I」は、化合物IA又は化合物IBのいずれかの鏡像体過剰率を含むことも意図される。例えば、化合物IAは、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99.5%の鏡像体過剰率で存在し得る。或いは、化合物IBは、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99.5%の鏡像体過剰率で存在し得る。
本明細書中で所与される任意の化学式は、化合物の非標識形態及び同位体標識形態を表すことも意図される。同位体標識化合物は、1つ以上の原子が選択された原子質量又は質量数を有する原子で置換される以外は、本明細書中で所与される化学式によって表される構造を有する。本開示の化合物中に組み込むことができる同位体は、例えば、水素、炭素、窒素、及び酸素の同位体、例えば、H、11C、13C、14C、及び15Nを含む。したがって、本発明の方法が、例えば、H及び14Cなどの放射性同位元素を含む上記同位体、又はH及び13Cなどの非放射性同位元素を内在させるもの、のいずれかの1つ以上を組み込む化合物を含み得るか又は含んでもよいことは理解されるべきである。こうした同位体標識化合物は、代謝試験(14Cを用いる)、反応動力学試験(例えば、H又はHを用いる)、検出若しくはイメージング技術、例えば、陽電子放射断層撮影(PET)若しくは単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)であって、薬物若しくは基質組織分布アッセイを含む場合において、又は患者の放射性治療において有用である。同位体標識化合物は、一般に、当業者に公知の従来技術によって、例えば、以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用し、調製することができる。
本発明は、本明細書に提供される本発明に従って有用な化合物の全ての薬学的に許容される塩を含む実施形態を包含する。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が既存の酸又は塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾される、開示化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例として、限定はされないが、アミンなどの塩基性残基のミネラル又は有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ又は有機塩などが挙げられる。薬学的に許容される塩は、例えば、非毒性の無機酸又は有機酸から形成された親化合物の従来の非毒性塩を含む。薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性又は酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、こうした塩は、これら化合物の遊離酸又は塩基形態を、水中若しくは有機溶媒中、又は2つの混合物中の化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製することができ;一般に、非水性培地様エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルが好ましい。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)に見出される(これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、好ましい薬学的に許容される塩として、限定はされないが、アミンなどの塩基性残基のミネラル又は有機酸塩が挙げられ、例えば、塩は、塩酸塩であり得る。
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書で使用する場合、健全な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織との接触状態における使用に適し、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー応答、又は他の問題若しくは複雑な要素を伴わず、合理的なリスク・ベネフィット比に見合う、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。
別段の指示がない限り、本明細書で使用する場合、NLRP3阻害剤、例えば、化合物I、又はその薬学的に許容される塩の「用量」又は量は、化合物の遊離塩基又は遊離酸形態の量を指す。NLRP3阻害剤の塩形態の場合、実際の量は、使用される塩形態に基づいて調節されることになる。
「有効量」は、有利な又は所望の結果をもたらすのに十分な量を指す。例えば、治療量は、所望の治療効果を達成する量である。この量は、疾患、病態、障害、若しくは症候群又は関連症状の発症を予防するのに必要な量である予防有効量と同じ又は異なる可能性がある。有効量は、1以上の投与、適用又は用量において投与することができる。治療化合物の「治療有効量」(すなわち、有効用量)は、選択される治療化合物に依存する。組成物は、1日に1回以上~1週に1回以上で投与することができ、例えば、本明細書に記載のとおり、頻度がより少ない投与も含む。当業者は、限定はされないが、疾患、病態、障害、又は症候群の重症度、以前の治療、対象の一般健康及び/又は年齢、並びに他の併発する疾患、病態、障害、又は症候群を含む特定の要素が、対象を有効に治療するために要求される用量及びタイミングに影響し得ることを理解するであろう。さらに、治療有効量の本明細書に記載の治療化合物による対象の治療は、単一の治療又は一連の治療を含み得る。
本明細書で使用する場合、本明細書に記載の化合物の「治療有効量」という用語は、対象の生物学的又は医学的応答を誘発する、例えば、症状を寛解させる、病態を軽減する、疾患進行を遅らせるか若しくは遅延させる、又は疾患、病態、障害、徴候若しくは症候群を予防する化合物の量を指す。非限定的な一実施形態では、「治療有効量」という用語は、対象に投与されるとき、OAに関連する症状又は病理学的特徴の少なくとも1つを少なくとも部分的に寛解、軽減又は調節する;例えば、疼痛を低減し、関節障害を遅らせ、機能を改善する(例えば、OAに関連する症状又は病理学的特徴の進行を遅らせ、それらの少なくとも1つを低減若しくは停止させることを指し得る)のに有効である、本明細書に記載の化合物の量を指す。それはまた、記載した症状の1つ以上を予防する又は遅延させる、例えば、疾患、病態、障害、徴候若しくは症候群の進行を遅らせ、停止させ、又は回復させ、臨床成績を改善することも指し得る。
本明細書で定義する場合、「組み合わせ」は、1つの単位剤形(例えば、カプセル、錠剤、サシェ又はバイアル)における固定的組み合わせ、自由な(すなわち、非固定的)組み合わせ、又は組み合わせ投与のためのパーツのキットのいずれかを指し、それは、化合物I、又はその薬学的に許容される塩、及び1つ以上の追加治療薬が、独立して同時に又は別々に時間間隔以内に投与され得る場合であり、特にこれらの時間間隔が、組み合わせパートナーが協同的、例えば相乗効果を示すことを可能にする場合である。
「同時投与」又は「組み合わせ投与」などの用語は、本明細書で使用する場合、追加治療薬のそれを必要とする単一対象(例えば、対象)への投与を包含することを意味し、追加治療薬は、化合物I及び追加治療薬が必ずしも同じ投与経路により、且つ/又は同時に投与されないような治療計画を含むことが意図される。ここで説明された組み合わせの成分のそれぞれは、同時に又は逐次的に、また任意の順序で投与することができる。同時投与は、同時、逐次、重複、間隔、及び/又は連続投与並びにそれらの任意の組み合わせを含む。
「医薬組み合わせ」という用語は、本明細書で使用する場合、2つ以上の活性成分の組み合わせ(例えば、混合)から得られる医薬組成物を意味し、活性成分の固定的及び自由な組み合わせの両方を含む。
「固定的組み合わせ」という用語は、活性成分が単一実体又は用量の形態で同時に対象に投与されることを意味する。
「自由な組み合わせ」(非固定的組み合わせ)という用語は、本明細書で定義される活性成分が、別の実体として、同時的、並行的又は逐次的のいずれかで、特定の時間制限がなく、あらゆる順序で対象に投与されることを意味し、こうした投与は、治療的に有効なレベルの化合物を対象の身体に提供する。特に、a)化合物I及びb)少なくとも1つの追加治療薬を含む組み合わせに関しては、(例えば、本明細書中の実施形態のいずれか又は特許請求の範囲のいずれかにおいて)本明細書で使用する場合、「非固定的組み合わせ」を指し、独立して同時に又は別々に、時間間隔内に投与することができる。
「同時投与」は、本明細書で定義される活性成分が同じ日に投与されることを意味する。活性成分は、同時に(固定的又は自由な組み合わせの場合)、又は一度に1つ(自由な組み合わせの場合)投与することができる。
「逐次投与」という用語は、連続的同時投与の2日以上の期間中に、本明細書で定義される活性成分の1つのみが任意の所与の日に投与されることを意味し得る。
「重複投与」は、連続的同時投与の2日以上の期間中に、少なくとも1日の同時投与と、少なくとも1日の本明細書で定義される活性成分の1つのみが投与される場合とがあることを意味する。
「連続投与」は、無効日を全く伴わない同時投与の期間を意味する。連続投与は、上記のように、同時、逐次、又は重複であってもよい。
「用量」という用語は、1回で投与される薬剤の特定量を指す。用量は、例えば、製品パッケージ上又は製品情報パンフレット中に表すことができる。
本明細書で使用する場合、「NLRP3」という用語は、限定はされないが、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、センス及びアンチセンスポリヌクレオチド鎖、相補的配列、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、相同性及び/又はオルソロガスNLRP3分子、アイソフォーム、前駆体、突然変異体、バリアント、誘導体、スプライスバリアント、対立遺伝子、異種、及びその活性断片を含むことを意味する。
「投与するための手段」という語句は、限定はされないが、ドロッパー、プレフィルドシリンジ、バイアル及びシリンジ、ペン型注射器、自動注入装置、点滴静注バッグ、ポンプなどを含む、薬剤を患者に全身的に投与するための任意の利用可能な道具を示すために使用される。こうした製品を用いて、患者が薬剤を自己投与する(すなわち、彼ら自身が代わりに薬剤を投与する)ことができ、介護者が薬剤を患者に投与することができ、又は医師若しくは他の医療従事者が薬剤を投与することができる。
治療の方法
本発明は、変形性関節症を治療する方法であって、NLRP3阻害剤を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、変形性関節症は、膝、手、臀部、又は脊椎の変形性関節症である。
本明細書に記載の投与計画に1つに従うNLRP3阻害剤化合物による治療は、変形性関節症の進行を遅らせるか又は停止させ、変形性関節症に関連する症状をプラセボによる治療と比較して低減又は除去することが予想される。1つの非限定例では、治療は、膝損傷及び変形性関節症転帰スコア(KOOS)又はウエスタンオンタリオ大学・マクマスター大学変形性関節症指数(WOMAC)スコアによって評価する場合、ベースラインからの変化に基づき、疼痛を低減し得る。別の実施形態では、治療は、変形性関節症に伴うこわばりを低減し得る。別の実施形態では、治療は、ダイナミック造影(DCE)-MRIによるKtransから測定された滑膜炎の活動性レベルにおけるベースラインからの変化によって判定する場合、変形性関節症に冒された関節の炎症レベルの低下をもたらし得る。別の非限定例では、ここで説明された投与計画の1つに従う治療は、冒された関節における機能を改善又は維持(例えば、さらなる低下を阻止)し得る。別の非限定例では、ここで説明された投与計画の1つに従う治療は、変形性関節症で冒された関節の生存を延長させ、且つ/又は対象の生活の質を向上させることができる。さらに別の非限定例では、本発明の投与計画に従う治療は、関節置換術の必要性を妨げ、又は遅延させることができる。下記の投与計画に従う治療は、対象がもはや治療的利益を享受しないような時期まで継続することができる。
NLRP3阻害剤は、任意の公知の投与方法に従って投与することができる。特定の好ましい実施形態では、NLRP3阻害剤は、経口投与を介して、例えば錠剤として投与される。他の考えられる投与経路は、例えば、皮内、筋肉内、静脈内、及び関節内を含む。NLRP3阻害剤は、限定はされないが、プレフィルドシリンジ、バイアル及びシリンジ、ペン型注射器、自動注入装置、点滴静注バッグ、ポンプ、パッチポンプなどを含む、患者に治療薬を投与するための任意の公知の手段に従って投与することもできる。こうした製品とともに、患者が薬剤を自己投与する(すなわち、彼ら自身が代わりに薬剤を投与する)ことができ、又は医師が薬剤を投与することができる。
用量及び投与計画
本発明の治療方法は、NLRP3阻害剤を投与計画に従って投与することを含む。実施形態1において、投与計画は、NLRP3阻害剤を単回用量又は分割用量における約10mg~約100mgの全日用量で対象に投与することを含む。実施形態2において、投与計画は、NLRP3阻害剤を単回用量又は分割用量における約20mg~約50mgの全日用量で対象に投与することを含む。実施形態3において、投与計画は、NLRP3阻害剤を単回用量又は分割用量における約20mgの全日用量で対象に投与することを含む。実施形態4において、投与計画は、NLRP3阻害剤を単回用量又は分割用量における約50mgの全日用量で対象に投与することを含む。実施形態5において、投与計画は、NLRP3阻害剤を約10mgで1日2回対象に投与することを含む。実施形態6において、投与計画は、NLRP3阻害剤を約25mgで1日2回対象に投与することを含む。実施形態7において、投与計画は、NLRP3阻害剤を約10mgで約14連続日にわたって1日2回対象に投与することを含む。実施形態8において、投与計画は、NLRP3阻害剤を約25mgで約70連続日にわたって1日2回対象に投与することを含む。別の実施形態9において、投与は、食品を消費中又は消費後に対象に投与される。実施形態10において、2つの後続用量の投与間の時間間隔は、約10~14時間である。好ましい実施形態11において、治療方法は、膝変形性関節症の治療に関する。別の好ましい実施形態12において、治療方法における対象は、ヒト対象である。別の実施形態13において、NLRP3阻害剤の投与は、ベースラインからの変化に基づくKOOSスコアによって判定する場合、変形性関節症に冒された関節における疼痛を低減する。別の実施形態14において、NLRP3阻害剤の投与は、ダイナミック造影(DCE)-MRIによるKtransから測定された滑膜炎の活動性レベルにおけるベースラインからの変化によって判定する場合、変形性関節症に冒された関節の炎症レベルを低減する。別の実施形態15において、血清高感度C反応性タンパク質のレベルは、対象において、ベースラインからの変化によって判定する場合、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%低下する。別の実施形態16において、IL-1β又はIL-18のレベルは、対象において、ベースラインからの変化によって判定する場合、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%低下する。別の実施形態17において、対象は、皮疹を全く示さない。別の実施形態18において、NLRP3阻害剤は、対象に経口的に投与される。別の実施形態19において、NLRP3阻害剤は、錠剤製剤中に含まれる。別の実施形態20において、少なくとも1つのさらなる治療薬が投与される。別の実施形態21において、NLRP3阻害剤は、化合物I、又はその薬学的に許容される塩である:
別の実施形態22において、NLRP3阻害剤は、化合物IA、又はその薬学的に許容される塩である。別の実施形態23において、化合物IAは、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の鏡像体過剰率を有する。別の実施形態24において、NLRP3阻害剤は、化合物IB、又はその薬学的に許容される塩である。別の実施形態25において、化合物IBは、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の鏡像体過剰率を有する。
当業者によって理解されるように、本発明の上記実施形態は、互いに組み合わせることができる。
本発明のさらなる実施形態(実施形態26.1~26.30):
26.1 NLRP3阻害剤は、単回用量又は分割用量における約10mg~約100mgの全日用量で対象に投与される、変形性関節症の治療において使用するためのNLRP3阻害剤又は変形性関節症の治療のための薬剤の製造におけるNLRP3阻害剤の使用
26.2 単回用量又は分割用量における約20mg~約50mgの全日用量で対象に投与される、実施形態26.1に従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.3 単回用量又は分割用量における約20mgの全日用量で対象に投与される、実施形態26.1又は26.2に従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.4 単回用量又は分割用量における約50mgの全日用量で対象に投与される、実施形態26.1~26.3のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.5 約10mgの用量で1日2回対象に投与される、実施形態26.1~26.4のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.6 約10mgの用量で約14連続日にわたって1日2回対象に投与される、実施形態26.1~26.5のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.7 約25mgの用量で1日2回対象に投与される、実施形態26.1~26.6のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.8 約25mgの用量で約70連続日にわたって1日2回ヒト対象に投与される、実施形態26.1~26.7のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.9 食品を消費中又は消費後に対象に投与される、実施形態26.1~26.8のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.10 対象へのNLRP3阻害剤の2つの後続用量の投与間に約10~14時間の時間間隔がある、実施形態26.1~26.9のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.11 前記変形性関節症は、膝変形性関節症である、実施形態26.1~26.10のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.12 NLRP3阻害剤の投与は、ベースラインからの変化に基づくKOOSスコアによって判定する場合、変形性関節症に冒された関節における疼痛を低減する、実施形態26.1~26.11のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.13 NLRP3阻害剤の投与は、ダイナミック造影(DCE)-MRIによるKtransから測定された滑膜炎の活動性レベルにおけるベースラインからの変化によって判定する場合、変形性関節症に冒された関節の炎症レベルを低減する、実施形態26.1~26.12のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.14 血清高感度C反応性タンパク質のレベルは、対象において、ベースラインからの変化によって判定する場合、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%低下する、実施形態26.1~26.13のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.15 IL-1β又はIL-18のレベルは、対象において、ベースラインからの変化によって判定する場合、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%低下する、実施形態26.1~26.14のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.16 対象は、皮疹を全く示さない、実施形態26.1~26.15のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.17 対象に経口的に投与される、実施形態26.1~26.16のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.18 錠剤製剤中に含まれる、実施形態26.1~26.17のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.19 少なくとも1つのさらなる治療薬を投与することを含む、実施形態26.1~26.18のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.20 化合物I、又はその薬学的に許容される塩:

である、実施形態26.1~26.19のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.21 化合物IA、又はその薬学的に許容される塩である、実施形態26.20に従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.22 化合物IAは、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の鏡像体過剰率を有する、実施形態26.21に従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.23 化合物IB、又はその薬学的に許容される塩である、実施形態26.20に従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.24 化合物IBは、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の鏡像体過剰率を有する、実施形態26.23に従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.25 対象は、ヒト対象である、実施形態26.1~26.24のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤
26.26 実施形態26.1~26.25のいずれか1つに従う使用のための、実施形態26.20~26.24のNLRP3阻害剤を含む医薬組成物
本明細書に記載の方法及び使用の様々な実施形態は、本文書中の以下及び他の箇所に含まれる。各実施形態において特定される特徴を他の具体的特徴と組み合わせることで、さらなる実施形態を提供できることは理解されるであろう。
本明細書において、以下の実施形態が、化合物Iに限定されない、任意のNLRP3阻害剤の使用に関することが教示される。好ましくは、以下の実施形態の化合物Iは、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の鏡像体過剰率での化合物IA(すなわち、R鏡像異性体)である。好ましくは、化合物IAは、少なくとも90%の鏡像体過剰率の場合である。より好ましくは、化合物IAは、少なくとも95%の鏡像体過剰率の場合である。
いくつかの実施形態では、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に提供される。特定の実施形態では、医薬組成物は、錠剤である。さらに特定の実施形態では、医薬組成物は、全体又は粉砕錠剤として投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、各単位用量で、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、又は約100mgを含む。
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおける使用のための、化合物I、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物が本明細書に提供される。
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、化合物I、又はその薬学的に許容される塩は、それを必要とする対象に経口的に投与される。いくつかの実施形態では、化合物I、又はその薬学的に許容される塩は、全体又は細分化された、すなわち、投与前に粉砕された状態のいずれかで投与される錠剤の形態である。特定の実施形態では、例えば患者が嚥下できない場合、化合物Iは、経鼻胃管を介して投与することができる。
化合物Iの合成
化合物I、IA及びIBは、国際公開第2019/023147号パンフレット、例えば、4、5及び6において定義された、並びに以下に詳述されるとおりの合成に従って合成された。しかし、化合物は、様々な方法で収集し、異なる反応順序及び/又は異なる試薬を可能にするモジュラー様式での関連する反応手順を用いて最終的分子を構築することができる。
反応の進行は、TLC又はLC-MSによって監視されることが多かった。生成物の同一性は、LC-MSによって確認されることが多かった。LC-MSは、以下の方法を用いて記録された:
方法A:Shim-pack XR-ODS、C18、3×50mm、2.5umのカラム、1.0uLの注射、1.5mL/分の流速、90~900amuのスキャン範囲、190~400nmのUV範囲、ACN(0.05%TFA)及び水(0.05%TFA)による5~100%(1.1分)、100%(0.6分)の勾配、2分間の全実行時間
最終標的は、分取HPLCによって精製された。分取HPLCは、以下の方法を用いて実施された:
方法B:分取HPLC:カラム、XBridge Shield RP18 OBD(19×250mm、10um);移動相、水(10mmol/LのNH4HCO3)及びACN、UV検出254/210nm
NMRは、BRUKER NMR 300.03MHz、DUL-C-H、ULTRASHIELDTM300、AVANCE II 300B-ACSTM120又はBRUKER NMR 400.13MHz、BBFO、ULTRASHIELDTM400、AVANCE III 400、B-ACSTM120又はBRUKER AC250 NMR装置で記録され、TMSをppm(百万分率)単位で測定された参照とした。
化合物I:

化合物I:N’-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イルカルバモイル)-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-5-スルホニミダミド
ステップ1:N-(tert-ブチルジメチルシリル)-N’-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イルカルバモイル)-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-5-スルホニミダミド:
50mLの丸底フラスコに、THF(10mL)中のN’-(tert-ブチルジメチルシリル)-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-5-スルホニミダミド(中間体I)(336mg、1.0mmol)の溶液を入れた。この溶液に、NaH(60%wt、80mg、2.0mmol)を0℃で少しずつ添加した。溶液を0℃で15分間撹拌し、これに続き、THF(5mL)中の4-イソシアナト-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(209mg、1.1mmol)の溶液をRTで撹拌しながら液滴添加した。得られた溶液をRTで12時間撹拌した。次に、反応を、10mLのNH4Cl(飽和)の添加によってクエンチした。得られた溶液を、3×10mLのDCMにより抽出し、組み合わせた有機層を真空下で濃縮した。これにより、535mg(粗製)の表題化合物が褐色オイルとして得られた。MS-ESI:535.0(M+1).
ステップ2:N’-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イルカルバモイル)-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-5-スルホニミダミド:
50mLの丸底フラスコに、N-(tert-ブチルジメチルシリル)-N’-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イルカルバモイル)-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-5-スルホニミダミド(535mg、粗製、1.0mmol)の溶液を入れた。この溶液に、HF/Py(70%wt、143mg、5.0mmol)を0℃で液滴添加した。溶液をRTで4時間撹拌した。次に、反応を、10mLの水の添加によってクエンチした。得られた溶液を、3×10mLの酢酸エチルにより抽出し、組み合わせた有機層を真空下で濃縮した。粗生成物を、ACN/水による方法Bを用いて、分取HPLCによって精製した(10分以内に20%~60%)。これにより、189mg(45%、2ステップ)の化合物Iが白色固体として得られた。
化合物I:MS-ESI:421.0(M+1).1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 8.46(br s,1H),8.04(s,1H),7.80(br s,2H),6.86(s,1H)6.28(s,1H),2.88-2.71(m,4H),2.71-2.56(m,4H),2.02-1.80(m,4H),1.49(s,6H).
化合物IA及び化合物IB:

化合物IA及びIB:(R)及び(S)-N’-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イルカルバモイル)-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-5-スルホニミダミド:
ステップ3:キラル分離
前ステップに記載のとおりに得られた化合物Iの生成物(189mg)を、キラル分取HPLCにより以下の条件を用いて分離した:カラム、CHIRAL Cellulose-SB、225cm、5um;移動相、Hex(0.1%DEA)及びEtOH(16分にわたり20%EtOHを保持);流速、20mL/分;検出器、UV254/220nm。これにより、70mgの化合物IB(フロントピーク、99%ee)が白色固体として得られ、65mgの化合物IA(第2のピーク、97.5%ee)が白色固体として得られた。
化合物IB:MS-ESI:421.0(M+1).1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 8.43(br s,1H),8.05(s,1H),7.83(br s,2H),6.87(s,1H)6.29(s,1H),2.82-2.71(m,4H),2.71-2.56(m,4H),2.02-1.80(m,4H),1.50(s,6H).
化合物IA:MS-ESI:421.0(M+1).1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 8.41(br s,1H),8.05(s,1H),7.83(s,2H),6.87(s,1H)6.27(s,1H),2.82-2.71(m,4H),2.71-2.56(m,4H),2.02-1.80(m,4H),1.50(s,6H).
スキーム1の中間体Iが、国際公開第2019/023147号パンフレットに記載された合成に従って、また以下のスキーム2に提示されるとおりに合成された。
中間体I:

N’-(tert-ブチルジメチルシリル)-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-5-スルホニミダミド:
ステップ1:2-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)チアゾール:
500mLの丸底フラスコに、トルエン(300mL)中の1-(チアゾール-2-イル)エタノン(20g、157.0mmol)及びエタン-1,2-ジオール(19.5g、314mmol)の溶液を入れた。溶液に、TsOH(2.7g、15.7mmol)を添加した。得られた溶液を一晩還流させ、還流中、水を溶液から分離した。得られた溶液を200mLの水で希釈し、2×100mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を組み合わせ、無水NaSO上で乾燥させ、次に真空下で濃縮した。これにより、26.6g(99%)の表題化合物が淡黄色オイルとして得られた。MS-ESI:172.0(M+1).
ステップ2:2-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)チアゾール-5-スルホンアミド:
窒素でパージし、窒素下で維持した500mLの3首丸底フラスコに、THF(200mL)中の2-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)チアゾール(14g、81.6mmol)の溶液を入れた。これに続き、n-BuLi(THF中、2.5M、35.2mL、88.0mmol)を-78℃で攪拌しながら液滴添加した。得られた溶液を-78℃で0.5時間撹拌し、次にSOを上記反応混合物に導入した。反応をRTまで徐々に加温し、次にNCS(12.8g、95.86mmol)を添加した。得られた溶液をRTで1時間撹拌した。固体を濾過した。得られた濾液を真空下で濃縮し、次にDCM(160mL)で希釈した。それに、DCM(300mL)中のアンモニアの飽和溶液を添加した。得られた溶液をRTで3時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。残留物を、シリカゲルカラムに適用し、酢酸エチル/石油エーテルの勾配(1:20~1:5)で溶出させた。これにより、12.5g(61%)の表題化合物が黄色固体として得られた。MS-ESI:251.0(M+1).
ステップ3:2-アセチルチアゾール-5-スルホンアミド:
250mLの丸底フラスコに、THF(125mL)中の2-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)チアゾール-5-スルホンアミド(12.5g、50.0mmol)の溶液を入れた。それに、aq.HCl(4N、50.0mL)を添加した。得られた溶液を70℃で6時間撹拌した。得られた溶液を100mLの水で希釈し、2×200mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を組み合わせ、無水NaSO上で乾燥させ、次に真空下で濃縮した。残留物を、シリカゲルカラムに適用し、酢酸エチル/石油エーテルの勾配(1:2~1:1)で溶出させた。これにより、9.3g(90%)の表題化合物が黄色固体として得られた。MS-ESI:207.0(M+1).
ステップ4~6では、化合物Zをスキーム3で示した化合物Yに変換するための特異的な手順と同じ手順を用いて、化合物I-dから中間体Iが得られた。MS-ESI:336.1(M+1).
化合物Y:

N’-(tert-ブチルジメチルシリル)-5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-2-スルホニミダミド:
ステップ1:2-メルカプトチアゾール-5-カルボン酸メチル:
2Lの丸底フラスコに、2-ブロモチアゾール-5-カルボン酸メチル(100g、450mmol)、EtOH(1000mL)、ナトリウムヒドロゲンスルフィド(50g、890mmol)を入れた。得られた溶液を80℃で2時間撹拌し、次に水/氷槽で0℃まで冷却した。溶液のpH値を、塩化水素(1N)で3に調整した。固体を濾過によって収集した。これにより、63.2g(80%)の表題化合物が淡黄色固体として得られた。MS-ESI:176.0(M+1).
ステップ2:2-(クロロスルホニル)チアゾール-5-カルボン酸メチル:
1Lの丸底フラスコに、2-メルカプトチアゾール-5-カルボン酸メチル(30g、170mmol)及び酢酸(300mL)を入れた。これに続き、次亜塩素酸ナトリウム(300mL、8%~10%wt.)を0℃で少しずつ添加した。得られた溶液をRTで2時間撹拌し、次に500mLの水で希釈した。溶液を3×300mLのDCMで抽出し、組み合わせた有機層を2×300mLの鹹水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。DCM中の黄色溶液としての粗生成物を次のステップで使用した。
ステップ3:2-スルファモイルチアゾール-5-カルボン酸メチル:
2Lの丸底フラスコに、DCM(900mL)中の粗溶液として、2-(クロロスルホニル)チアゾール-5-カルボン酸メチルを入れた。溶液に、NH3(g)を0℃未満で20分間導入した。得られた溶液をRTで1時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。残留物を、シリカゲルカラムに適用し、酢酸エチル/石油エーテル(1:5~1:3)で溶出させた。これにより、23g(75%、2ステップ)の表題化合物が白色固体として得られた。MS-ESI:223.0(M+1).
ステップ4:5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-2-スルホンアミド:
窒素でパージし、窒素下で維持した500mLの丸底フラスコに、THF(150mL)中の2-スルファモイルチアゾール-5-カルボン酸メチル(15g、67.5mmol)の溶液を入れた。これに続き、MeMgBr/THF(3M、90mL)を0℃で攪拌しながら液滴添加した。得られた溶液をRTで14時間撹拌し、次に100mLのNHCl(飽和)の添加によってクエンチした。得られた溶液を3×150mLのDCMで抽出した。有機層を組み合わせ、無水NaSO上で乾燥させ、次に真空下で濃縮した。残留物を、シリカゲルカラムに適用し、酢酸エチル/石油エーテル(1:5~1:3)で溶出させた。これにより、11.5g(78%)の表題化合物が白色固体として得られた。MS-ESI:223.0(M+1),221.0(M-1)(それぞれ、正及び負イオンモード)。
ステップ5:N-(tert-ブチルジメチルシリル)-5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-2-スルホンアミド:
窒素でパージし、窒素下で維持した250mLの3首丸底フラスコに、THF(100mL)中の5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-2-スルホンアミド(5g、22.5mmol)の溶液を入れた。次に、それに、NaH(60%wt、1.8g、45.0mmol)を氷/水槽に少しずつ添加した。水/氷槽内で20分間撹拌後、これに続き、THF(10mL)中のTBSCl(4.1g、27.2mmol)の溶液を0℃で撹拌しながら液滴添加した。得られた溶液をRTで4時間撹拌した。反応を飽和NHCl(100mL)でクエンチした。得られた溶液を3×100mLの酢酸エチルで抽出し、組み合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗固体を酢酸エチル/ヘキサン(1:5)(2×100mL)で洗浄した。これにより、6.81g(90%)の表題化合物が黄色固体として得られた。MS-ESI:337.1(M+1),335.1(M-1)(それぞれ、正及び負イオンモード)。
ステップ6:N’-(tert-ブチルジメチルシリル)-5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-2-スルホニミダミド:
窒素でパージし、窒素下で維持した100mLの3首丸底フラスコに、CHCl(100mL)中のPPhCl(3g、9.0mmol)の溶液を入れた。これに続き、DIEA(1.54g、11.9mmol)をRTで撹拌しながら液滴添加した。得られた溶液をRTで10分間撹拌した。これに続き、CHCl(30mL)中のN-(tert-ブチルジメチルシリル)-5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チアゾール-2-スルホンアミド(2.0g、5.9mmol)の溶液を、氷/水槽に撹拌しながら液滴添加した。得られた溶液を氷/水槽内で30分間撹拌した。それに、NH(g)を0℃未満で15分間導入した。得られた溶液をRTで20分間撹拌した。固体を濾過し、濾液を濃縮し、残留物を300mLの酢酸エチルに溶解した。溶液を鹹水(2×100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗固体をCHCl(100mL)で洗浄した。次に、濾液を真空下で濃縮し、残留物を、シリカゲルカラムにより酢酸エチル/石油エーテル(1:10~1:3)でさらに精製した。元の洗浄された固体及びシリカゲル精製からの固体を組み合わせた。これにより、1.2g(60%)の表題化合物が白色固体として得られた。MS-ESI:336.1(M+1).1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ 7.66(s,1H),7.12(s,2H),5.78(s,1H),1.51(s,6H),0.86(s,9H),0.02(s,3H),0.01(s,3H).
以下の略称は、指定された意味を有する:
ACN=アセトニトリル
BTC=クロロギ酸トリクロロメチル
Boc=t-ブチルオキシカルボニル
Davephos=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル
DCM=ジクロロメタン
DEA=ジエチルアミン
DMF=N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
DIEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DPPA=ジフェニルリン酸アジド
dppf=1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EtOH=エタノール
HATU=1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート
Hex=ヘキサン
HPLC=高性能液体クロマトグラフィー
LC-MS=液体クロマトグラフィー-質量分析
LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
M=モル/L
Me=メチル
MeOH=メタノール
MSA=メタンスルホン酸
NBS=N-ブロモサクシンイミド
NCS=N-クロロサクシンイミド
NMR=核磁気共鳴
Pd(dppf)Cl=ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム
Ph=フェニル
PPhCl=ジクロロトリフェニルホスホラン
Py=ピリジン
RT=室温
Rt=保持時間
Rf=遅延因子
Sat.=飽和
TBAF=テトラブチルアンモニウムフルオリド
TBS=tert-ブチルジメチルシリル
TBSCl=tert-ブチルジメチルシリル塩化物
TBDPSCl=tert-ブチルジフェニルシリル塩化物
TEA=トリエチルアミン
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
TsOH=4-メチルベンゼンスルホン酸
UV=紫外線
b.i.d.=1日2回
WCC=白血球数
EP=エンドポイント
y=年
y/n=有/無
以下の実施例は、本明細書に記載の方法及び使用を例示する。しかし、それらは、記載される方法及び使用の範囲を限定することが決して意図されない。実施形態の他の変形は、当業者に容易に理解されるであろうし、添付の特許請求の範囲によって包含される。
実施例1:化合物IAを用いる臨床試験
この試験に登録した参加者における化合物IAの開始用量は、忍容性を評価するため、総治療期間が12週になるように、10mgで2週間にわたる1日2回(b.i.d.)、その後、25mgで10週間にわたるb.i.d.に至る単一ステップの用量漸増として設定する。初期投与レベルは、主にファーストインヒューマン(FIH)試験からのデータに対して選択し(実施例2)、30、100、及び200mgの化合物IAを1日1回投与した一部の参加者において、皮疹が認められている。皮疹の機序はいまだ未知であるが、b.i.d.投与の場合、リスクを潜在的に軽減できることから、探索中である。化合物IAの忍容性を評価することに加えて、より低い10mgの用量でb.i.d.の2週の導入期間は、末梢PDマーカー阻害の範囲についての情報も得られるであろう。
無作為化、2アーム、プラセボ対照の参加者及び治験責任医師盲検第2相試験では、症候性膝変形性関節症を有する患者における化合物IAの有効性、安全性及び忍容性を調査する。図1は、化合物IA(すなわち、化合物IのR鏡像異性体)による治療プロトコルの図式的概観である。臨床試験の第1アームでは、10mgの化合物IAを、13連続日にわたり1日2回、そして10mgを14日目の午前中に経口投与する、すなわち、第1アームの総用量は270mgである。試験の第2アームは、第1アーム直後に開始し:25mgを14日目の夜間に投与し、次に25mgを69日にわたり1日2回、そして84日目の午前中に投与する、すなわち、第2アームの総用量は3500mgである。
この第2相試験では、症候性膝OAを有する参加者における化合物IAの安全性及び忍容性を評価するべきであり、膝痛の低減における化合物IAの有効性は、KOOS(膝損傷及び変形性関節症転帰スコア)によって明示されるように判定するべきである。
主要目的におけるエンドポイント(EP)は、12週目の膝損傷及び変形性関節症転帰スコア(KOOS)疼痛サブスケールにおけるベースラインからの変化である。
試験の二次目的は、次のとおりである:
-化合物IAの安全性及び忍容性を評価するため;
-化合物IAの炎症性関節構造の特徴に対する有効性を評価するため;
-化合物IAの全身性炎症状態に対する効果を評価するため;
-血漿中の化合物IAの薬物動態を評価するため;
-化合物IAの、参加者の膝症状及び関連問題の経時的報告の改善における有効性を評価するため;
-化合物IAの、参加者の膝症状の報告の改善における有効性を評価するため
二次目的におけるエンドポイント(EP)は、次のとおりである:
安全性エンドポイント(バイタルサイン、ECGパラメータ、安全性実験室評価及び有害事象を含む);
12週目のDCE-MRIによるKtransから測定された滑膜炎の活動性レベルにおけるベースラインからの変化;
2、4、8及び12週目の血清高感度C反応性タンパク質レベル及び絶対好中球数におけるベースラインからの変化;
様々な時点(2週目及び12週目)で化合物IAの濃度を定量し、(限定はされないが、Cmax、AUClast、AUC0-12h、及びCtroughを含む)血漿中のPKパラメータを導くための血漿サンプル中の変化;
2、4、8及び12週目のKOOSサブスケール(他の症状、日常生活における機能、スポーツ及びレクリエーションにおける機能、膝関連の生活の質)におけるベースラインからの変化;
ベースラインから2、4、8及び12週目にかけての疼痛についての数値評価尺度(NRS)の変化
試験設計:
この試験では、無作為化、2治療アーム、並行群、参加者及び治験責任医師盲検のプラセボ対照設計を用いて、治療の12週後の、約108名の症候性の炎症性膝OAを有する参加者における経口化合物IAの安全性及び忍容性を評価し、化合物IAの有効性を、KOOS(膝損傷及び変形性関節症転帰スコア)による膝痛の低減によって明示されるように判定する。
試験は、適格性を評価し、参加者から非許可の薬物を低減させるために用いられる最大45日のスクリーニング期間からなる。1日目の訪問時、適格な参加者を治療アームの1つに無作為化する。適格な参加者は、治療期間に入り、そこでは、彼らが10mgで1日2回の化合物IA又はプラセボを経口的に14連続日かけて摂取する場合の2週の滴定期間から始まり、彼らが25mgで1日2回の化合物IA又はプラセボを経口的に摂取する場合の10週の治療期間が後続することになる。試験訪問の終了は、最終投与の15日後に行い、試験後の安全接触は、最終投与の30日後に行うことになる。スクリーニングから試験の終了に至る全試験時間は、最大19週であると予想される。
主要目的に対処するための評価は、治療期間の終了時(12週目)に実施する。
試験は3つの期間を含む:
-スクリーニング期間:スクリーニング期間は、2回の訪問、スクリーニング訪問及びベースライン訪問からなる
-治療期間:治療期間は、5回の訪問からなる
-フォローアップ期間:患者は、試験訪問の終了時、最終投与の約15日後にフォローアップとなる。さらに、安全性フォローアップコールは、最終投与の約30日後に実施する
治療期間:
治療期間は、5回の訪問からなる:
-治療開始訪問(1日目):全ての組み入れ基準を満たし、除外基準を満たさない参加者を登録し、全日用量が20mg(10mgのb.i.d.)の化合物IA又はマッチングプラセボ錠剤の14連続日にわたる1日2回の摂取を開始する(14日目に最終投与、午前投与)。初回投与として、化合物IAの10mg又はプラセボのいずれかを投与し、参加者に対して試験治療薬を調剤し、自宅での継続治療に備える。参加者は、彼らの利便的及びロジスティックな側面のため、参加者及び治験責任医師の裁量で、予定訪問の前日晩に居住してもよい
-参加者は、評価スケジュールの概要に従い、14日目に評価する。治療が治験責任医師の判断及び指針に基づいて忍容性が良かったという条件で、彼らは、全日用量が50mg(25mgのb.i.d.)の化合物IA又はマッチングプラセボ錠剤(b.i.d.)の、14日目に開始し(夜間投与のみ)10週にわたる摂取を開始する。最終投与は、84日目に実施する(午前投与のみ)
-参加者は、28日目、56日目、及び84日目に評価を得る。現場スタッフは、2か月毎の訪問の間に少なくとも1回電話連絡し、参加者に彼らの試験治療薬の摂取を想起させる
フォローアップ期間:
参加者は、試験訪問の終了時、最終投与の約15日後(99日目)、試験評価の終了としてのフォローアップとなる。安全性フォローアップコールは、最終投与の約30日後(114日目)に実施し、任意の潜在的な安全性事象を記録する
組み入れ基準:
この試験への組み入れに適格な参加者は、以下の基準の全てを満たさなければならない:
1.任意の評価を実施する前に書面のインフォームドコンセントを入手しなければならない
2.治験責任医師と十分な意思疎通ができ、試験の要件を理解でき、それに従うことができる
3.インフォームドコンセントの署名日に、男性及び女性参加者>=50歳及び<=80歳
4.参加者は、スクリーニング時、試験に参加するため、少なくとも50kgの体重がなければならず、18~35kg/mの範囲内の肥満度指数(BMI)を有しなければならない。BMI=体重(kg)/[身長(m)]2
5.スクリーニング時、高感度C反応性タンパク質(hsCRP)>=1.8mg/L
6.スクリーニング前の最終3か月以内の大半の日にわたり、標的膝における疼痛(数値評価尺度[NRS]5~9、包括)を伴う症候性OA。スクリーニング時、患者には、疼痛及び鎮痛薬の使用を記録するための日誌が与えられる。参加者は、ベースライン前の7日中少なくとも5日において日誌の内容に従い、スクリーニング及びベースライン時に、PRO報告のNRS疼痛≧5~≦9を有しなければならない
7.疼痛の主因としては、スクリーニング時の広範囲疼痛指数(WPI)スコア<=4に基づくと、標的膝におけるOAに起因する
8.スクリーニング及びベースライン時のインデックス膝におけるKOOS疼痛サブスケールスコア<=60
9.放射線疾患:スクリーニング時、X線によって確認された、OARSIアトラスに従う、標的膝におけるK&Lグレードが2又は3の膝変形性関節症
10.11の部位からの滑膜炎検出のための全膝の造影MRI(CE-MRI)に基づき、中等度(スコア9~12)又は重度(スコア>=13)のいずれかと定義される、スクリーニング時の活動性滑膜炎症 Guermazi et al 2011
11.スクリーニング時の標準のアメリカリウマチ学会(American College of Rheumatology)(ACR)の臨床及びX線撮影基準による主要な脛骨大腿骨膝OAの診断
12.標的膝における局所疼痛をコントロールするための鎮痛療法の現在使用:
・低用量オピオイドを含有する組み合わせ薬剤を含む、パラセタモール/アセトアミノフェンを摂取する患者は、添付文書/医師の指示に従い、この使用を継続することができる
・NSAID及び選択的シクロオキシゲナーゼ2阻害剤を含むが、局所NSAID又はステロイドを含まない、任意の他の鎮痛薬を摂取する患者は、膝痛を含む任意の疼痛徴候に対して、スクリーニング時、添付文書/医師の指示に従い、低用量オピオイドを含有する組み合わせ薬剤を含む、パラセタモール/アセトアミノフェンに進んで切り替えなければならない。NSAIDは、専らレスキュー薬として許容されるが、任意のPRO評価前の48時間以内又は5半減期以内のいずれか長い方で使用されてはならない
・グルコサミン又はコンドロイチンを摂取する患者は、これらをスクリーニングから進んで中断しなければならない
主要な除外基準:
以下の基準のいずれかを満たす参加者は、本試験への組み入れに適格でない
1.スクリーニング時、総WBC数<3,000/μL、絶対末梢血好中球数(ANC)<1,000/μL、ヘモグロビン<8.5g/dL(85g/L)又は血小板数<100,000/μL
2.炎症性関節炎を伴う公知の自己免疫疾患(限定はされないが、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデスを含む)、結晶性関節炎(痛風、偽痛風関連関節炎)、活動性急性若しくは慢性の膝関節の感染若しくは既往感染、膝に関わるライム病、反応性関節炎、全身性軟骨障害、中等度から重度の線維筋痛症(広範囲疼痛指数、WPI,>19中4)、又は公知の全身性結合組織疾患

4.代謝性又は遺伝に基づく、関節症に関連する異常
5.参加者は、スクリーニング時の病歴及び治験責任医師による身体検査に基づき、不安定な標的膝関節、膝ハードウェア又は靱帯の不十分な再構築を有する
6.参加者は、スクリーニング時の治験責任医師の検査によると、インデックス膝に症候性の限局性膝蓋大腿疼痛を有する
7.スクリーニング前4週以内の、膝のOAに対する電気療法、鍼治療、及び/又はカイロプラクティック治療の使用
8.皮膚若しくは膝の感染又は免疫系を損ない得る感染、例えば、HIV又は慢性B型若しくはC型肝炎感染を含む、任意の公知の活動性感染。COVID-19に特異的なもの:COVID-19に対するPCR又は抗原検査が初回投与前1週以内に完了することは高度に推奨される。検査を実施する場合、試験への登録前に陰性の検査結果が求められる。追加検査は、治験責任医師の裁量で行うことができる。COVID-19検査は、鼻又は咽頭スワブを介して完了する必要がある。検査を実施しない場合、治験責任医師は、ソースの文書化において、検査すること、及び検査しないことの理論的根拠に関しての参加者との彼らの考察を文書化しなければならない。この要件は、現場が位置する国によりパンデミックの終結が宣言される場合には無視し、パンデミックが再発する場合には再開することができる
9.限定はされないが、治験責任医師による判断として、参加者の安全性又は試験手順とのコンプライアンスを脅かし得る、躁病、双極性障害、精神障害、統合失調症、又は分裂情動性障害、抑うつ又は不安の病歴を含む、診断されたあらゆる精神医学的状態
10.スクリーニングの5年以内のリンパ増殖性疾患若しくは任意の公知の悪性腫瘍の病歴又は任意の臓器系の悪性腫瘍の病歴(治療されており、スクリーニング前3か月以内に再発の証拠が認められない基底細胞がん若しくは日光角化症、又は除去されている子宮頸部の原位置癌若しくは非侵襲性悪性結腸ポリープを除く)
11.最近(スクリーニング前1年以内に)移植された、又は試験期間以内に(いずれかの側に)予見された、症候性臀部OA又は臀部人工器官
12.臨床又はイメージング評価に基づく、軟骨下脆弱性骨折、骨折(スクリーニング前6か月未満以内の急性又は亜急性)又は骨挫傷、骨壊死、骨軟骨病変、悪性骨髄浸潤、固形腫瘍、50%を超えるメニスカスの突出及び/又は軟化した半月板及び/又は膝蓋大腿異形成を含む、膝を冒している他の病理
13.病歴及び/又は治験責任医師による身体検査に基づく、不安定な標的膝関節(限定はされないが、外傷後又は先天性の弛緩症を含む)又は靱帯の不十分な再構築
14.禁止薬物の使用:膝への任意の局所i.a.治療、例えば限定はされないが、1日目前12週以内の関節内補充療法及びコルチコステロイド;1日目前4週以内の経口コルチコステロイド>5mg/日による長期治療(>14日);1日目前2週以内の経口グルコサミン、コンドロイチン硫酸塩、又は軟骨修復に対して潜在的活性を有する任意の機能性食品;PRO評価から、48時間又は5半減期以内のいずれか長い方での全身性非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)又は選択的シクロオキシゲナーゼ2阻害剤;任意の他の免疫調節薬、又はスクリーニングの28日若しくは5半減期以内(地方条例によって要求される場合にはいずれか長い方)で、若しくは予想されるPD効果がベースラインまで回復するまで、中断若しくは異なる薬への切替えができない治療
15.スクリーニング時、X線を用いて測定された、標的膝における7.5度を超える重度のアライメント不良(内反又は外反のいずれか)
16.MRIを受けることができないか若しくは進んで受けようとしない、又はMRIに対する禁忌(例えば、金属インプラント、金属異物、ペースメーカー、除細動器)を有する参加者、又はガドリニウムベースの薬剤の使用に対し、例えば、ガドリニウムベースの造影剤に対して以前の重篤なアレルギー性/アナフィラキシー様反応を有する患者;重篤な腎疾患(スクリーニング時及びベースライン時、CKD-EPI式[https://www.kidney.org/professionals/KDOQI/gfr_calculator]を用いて計算されたeGFR<60mL/分又は尿ディップスティック検査で>=2+のタンパク質)、又は腎機能の急性増悪を有する患者
17.患者の判断による、スクリーニング前の最終3か月以内の大半の日にわたる、対側膝における中等度~重度疼痛
18.いずれかの膝における膝置換の病歴、又は予定された膝置換(部分的又は全体的)。骨軟骨移植術、マイクロフラクチャー術、ひざ関節半月板切除術>50%又は骨切除術を含む、標的膝における任意の他の以前の外科的処置。スクリーニング前6か月以内の、又は試験中に予定された、標的膝の関節鏡検査又は洗浄
19.治験薬の投与中及び停止後15日間、高度に有効な避妊方法を用いない限り、生理学的に妊娠する能力のある全ての女性と定義される、出産能力のある女性
20.妊娠中又は保育中(授乳中)の女性
21.以下のような試験に参加している参加者における、有意な安全性リスクを示すECG異常の病歴又は現診断:
-ペースメーカーを用いない、随伴性の臨床的に有意な心不整脈、例えば、持続的な心室頻脈、及び臨床的に有意な2度又は3度AVブロック
-家族性QT延長症候群の病歴又は多形性心室頻拍の既知の家族歴
22.予想される初回投与前12か月以内の薬物乱用若しくは不健康なアルコール使用の病歴、又はスクリーニング訪問時に実施される実験室アッセイによって示されるような乱用の証拠
23.試験治療薬若しくは賦形剤のいずれか又は類似の化学クラスの薬剤に対する過敏症の病歴
24.登録の5半減期以内、又は予想された薬力学的効果がベースラインに回復するまでのいずれか長い方での他の治験薬の使用
25.一次膝変形性関節症に加えて、脊椎/手/肩/臀部/足/他の一次変形性関節症が認められる場合、それはスクリーニング前の少なくとも3か月にわたり認められている必要があり、治験責任医師の判断による診断及び症状が文書化される必要がある
26.以下の疾患の潜在的な標的関節における病歴又は任意の証拠を伴う二次変形性関節症:化膿性関節炎、炎症性関節疾患、痛風、偽痛風の再発性エピソード、骨のパジェット病、関節骨折、オクロノーシス、先端巨大症、血色素症、ウイルソン病、一次性骨軟骨腫症、遺伝性障害、コラーゲン遺伝子突然変異
27.参加者は、シトクロムCYP2C9酵素の強力な又は中等度の誘導因子及び/又はCYP2C9の強力な阻害剤及び/又はCYP3Aの強力な誘導因子であることが知られる併用薬を摂取し、治療では、1日目前の5半減期又は1週以内(いずれか長い方)及び試験期間にわたり、中断又は異なる薬への切替えができない
28.限定はされないが、SGOT(AST)、SGPT(ALT)、アルカリホスファターゼ、血清ビリルビン、アルブミン及びプロトロンビン時間を含む、異常な肝機能検査値(以下に定義されるとおり)によって示されるような臨床的に有意な肝疾患又は肝傷害の病歴。治験責任医師は、以下の基準によって指導される必要がある:
-任意の単一パラメータが2×正常上限(ULN)を超えてはならない
29.CYP2C93対立遺伝子のホモ接合性担体と定義される、CYP2C9 3/3遺伝子型を有する参加者
30.膝関節以外における一次変形性関節症の症状の発症、又は診断<スクリーニング前3か月
31.1日目(すなわち、化合物IAの初回投与)の4週以内の生ワクチン
32.腎結石症を含む腎疾患の既知の病歴
有効性評価:
このセクションにおいて説明された有効性評価は、両方の治療アームにおける全ての参加者において評価する。疼痛(一次エンドポイント)は、患者報告転帰(PRO)によって評価する。薬力学的サンプルを収集する。
滑膜炎(二次エンドポイント)、関節軟骨の体積/厚さ及び浸出液体積(探索的エンドポイント)は、MRIから評価する。
薬力学的(PD)サンプルは、プラセボ群を含む、全ての参加者において、全ての用量レベルで取得し、評価する。
患者報告転帰(PRO):
参加者には、他の臨床的評価が行われる前の予定訪問時に完了されるべきPRO尺度が設けられる。質問票は、参加者に最も馴染みのある言語で完成させる必要がある。参加者には、PRO尺度を完了するのに十分な空間及び時間が与えられる必要がある。PRO尺度のありとあらゆる部分を完成させることに対する参加者の拒否は、症例報告/記録形式(CRF)において文書化する必要がある。試験スタッフは、集められたPRO尺度を完成について点検し、参加者に尋ねることで、あらゆる欠けている回答を完成させる必要がある。参加者によって記載されたあらゆる求められていないコメントを含む、完成されたPROは、任意の臨床試験が実施される前、潜在的なAE又はSAEを含み得る回答について、治験責任医師によってレビュー及び評価がなされなければならない。AE又はSAEが確認される場合、試験の治験責任医師は、完成された質問票中に報告された回答を変更するように参加者を促すべきでない。
膝損傷及び変形性関節症転帰スコア(KOOS):
膝関連疼痛は、規則的間隔で集められた膝損傷及び変形性関節症転帰スコア(KOOS)尺度を用いて、一次エンドポイントとして評価される(Roos EM,Davis AM(2012)Recommendations for publication of cross-cultural validation studies of patient-reported outcomes(PROs)in Osteoarthritis and Cartilage.Osteoarthritis Cartilage.p.4-5.)。KOOSは、5つのサブスケール:疼痛、他の症状、日常生活の活動性(ADL)、スポーツ及びレクリエーションの機能(Sport/Rec)、及び膝関連の生活の質(QoL)に大別された42項目を含む。各サブスケールは、0~100のスケールで別々にスコア化され、より高い数は、より良好な状態を示す(Collins NJ,Misra D,Felson DT,et al(2011)Measures of knee function:International Knee Documentation Committee(IKDC)Subjective Knee Evaluation Form,Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score(KOOS),Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score Physical Function Short Form(KOOS-PS),Knee Outcome Survey Activities of Daily Living Scale(KOS-ADL),Lysholm Knee Scoring Scale,Oxford Knee Score(OKS),Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC),Activity Rating Scale(ARS),and Tegner Activity Score(TAS).Arthritis Care Res(Hoboken).p.S208-28)。PRO KOOSスコアは、OA臨床試験において伝統的に使用されているWOMACスコアの拡大バージョンである(KOOS User Guide 2003)。KOOSは、WOMAC OAインデックスLK3.0をその完全なオリジナルの形式において含み、WOMACスコアは、計算可能である。したがって、KOOSスコアは、スポーツ及びレクリエーションの機能、並びに膝関連の生活の質も含むことから、より包括的な評価を提供する。KOOSは、参加者が完成させるのに約10分を必要とする。
数値評価尺度(NRS):
24時間のリコール期間を伴い、臨床試験において疼痛を評価するために伝統的に使用された、疼痛についての数値評価尺度(NRS)(Hawker GA,Mian S,Kendzerska T,et al(2011)Measures of adult pain:Visual Analog Scale for Pain(VAS Pain),Numeric Rating Scale for Pain(NRS Pain),McGill Pain Questionnaire(MPQ),Short-Form McGill Pain Questionnaire(SF-MPQ),Chronic Pain Grade Scale(CPGS),Short Form-36 Bodily Pain Scale(SF-36 BPS),and Measure of Intermittent and Constant Osteoarthritis Pain(ICOAP).Arthritis Care Res(Hoboken).p.S240-52)を規則的間隔で評価し、試験全体を通じて、適格性を確認し、疼痛状態を評価する。
広範囲疼痛指数(WPI):
広範囲疼痛指数(WPI)をスクリーニング時に限って評価し、標的膝以外の領域に起因する実質的な疼痛、線維筋痛症、又は疼痛評価に干渉し得る他の未診断疾患を有する参加者を除外する。
疼痛日誌:
さらに、疼痛日誌は、スクリーニングから始まり、12週試験中の毎日、参加者によって完成され、各訪問時、CRFに送られる。この日誌を用いて、基本的な疼痛薬、レスキュー薬及び疼痛レベルを毎日記録する。参加者は、時期を選んでもよいが、自らの疼痛強度を毎日ほぼ同じ時点で評価する必要がある。日誌中のNRS疼痛評価及び試験訪問中に実施したNRS疼痛評価は、CRFにおいて別々に文書化する必要がある。スクリーニングから84日目にかけての各試験訪問時、参加者には、次の予定された訪問まで、少なくともその期間をカバーする新しい疼痛日誌を提供しなければならない。疼痛薬の処方又は使用は、セクション6.2.1に従い、併用薬としてやはり文書化する必要がある。
膝MRI:
標的膝からMRIを取得し、活動性滑膜炎を有する参加者を選択し、膝を介して軟骨及び他の構造を可視化する。イメージングプロトコルを開発し、治療中、滑膜炎、浸出液体積、並びにインデックス領域(すなわち、KL2-3を有するOA参加者において最も多くの軟骨損傷が生じる領域)内の軟骨の体積及び厚さにおける変化を定量する。インデックス領域は、膝における大腿内側前方(FMA)、中央(FMC)及び後方(FMP)の軟骨サブ領域の統合と定義される。この手法は、膝炎症の低減における化合物IAの有効性及びこの応答が疼痛の低減と相関するか否かを実証することになる。それを用いて、インデックス領域内の軟骨の体積及び厚さの変化を定量することもできる。さらに、動的造影(DCE)MRI手法を使用した滑膜炎の活動性レベルの評価は、膝炎症の低減における化合物IAの有効性及びこの応答が疼痛の低減と相関するか否かを実証することになる。
治療期間の安全性は、ラット及びカニクイザルにおける13週GLP毒物学試験によって支持される。参加者において食物が25mgでb.i.d.投与された、予想される平均定常状態の1日あたりの全身薬物曝露は、遊離AUC(14倍)又はCmax(17倍(全体)及び34倍(遊離))に対してさらにより大きい安全性マージンを有するラットにおいて、平均NOAEL血漿AUCより約7倍低い状態を維持することになる。さらに、予想される平均定常状態の薬物曝露(全体及び非結合)は、サルにおいて、150mg/kg/日のNOAEL用量(最高試験用量)で記録された曝露より少なくとも49倍低い状態を維持することになる。
13週GLP毒物学試験に基づいて25mgでb.i.d.投与された化合物IAについての安全性マージン:
薬物-薬物相互作用の課題:
チトクロムP450(CYP)基質/修飾因子及び化合物IAの薬物-薬物相互作用臨床試験についての評価及び推奨は、インビトロ/前臨床データ及び生理学ベースのPKシミュレーションに基づく。化合物IAは、主に、主要な寄与酵素としてCYP2C9(68%)及びCYP3A4(29%)による肝CYP媒介性代謝を介して除去されることが予想される。CYP2C9代謝群の少ない参加者は、この試験から除外されることになる。
治療期間及び十分な安全性マージンを考慮すると、化合物IAの投与は、たとえ化合物IAへの曝露が増加した条件下であっても安全と考えられる。
禁止薬物及び植物療法:
-抗拒絶/免疫調節療法(例えば、アナキンラ、カナキヌマブ又は他の治験薬IL-1/NLRP3の結合又は阻害療法)
-生ワクチン
-カルバマゼピン、エンザルタミド、ルマカフトール、フェノバルビタール、フェニトイン、リファブチン、ミトタン及びセントジョーンズワート(St.John’s wort)(セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum))を含む、CYP2C9の強力な又は中等度の誘導因子又はCYP3Aの強力な誘導因子
-ミコナゾール、ベルベリン(植物製剤)、スルファフェナゾール、フルコナゾール、レスベラトロール(植物製剤)を含む、CYP2C9の強力な阻害剤
-他の治験薬
注意して使用すべき薬剤:
-CYP3Aによって代謝される薬剤:インビトロ代謝試験によると、化合物IAがアイソザイムCYP3Aによって代謝された薬剤基質の代謝を誘導する可能性を有し得ることが示された。したがって、治験責任医師は、彼らの判断で、CYP3A4/5によって代謝されることが知られる併用薬を投与することができる。こうした薬物療法を受ける患者は、用量滴定又は併用薬の増加を必要とし得る。特に、化合物IAを、CYP3Aの感受性基質であり、且つ/又は狭い治療指数を有する薬剤と同時投与する場合には、注意が必要である
-強力な又は中等度のCYP3Aの阻害剤である薬剤:化合物IAがCYP3Aの基質としてインビトロで同定されたため、抗ウイルス薬(例えば、リトナビル)、抗真菌薬(例えば、イトラコナゾール、ケトコナゾール)及び抗生物質(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン)などの強力なCYP3A阻害剤と同時投与する場合の化合物IAの全身曝露の増加は、除外することはできない。治験責任医師は、彼らの判断で、公知のCYP3Aの阻害剤を同時投与することができるが、それらの持続時間はできるだけ短く保持される必要があり、患者は厳密に監視しなければならない
実施例2:臨床ファーストインヒューマン(FIH)試験:
試験設計
4つのパートから構成された試験設計:単回漸増投与(SAD;パートA)、錠剤製剤の相対的バイオアベイラビリティ(パートB)、複数回漸増投与(MAD;パートC)、並びに相対的バイオアベイラビリティ及び食物効果(パートD)(図2;RF=参照製剤(結晶懸濁液);T2=試験製剤2(結晶錠剤);T3=試験製剤3(噴霧乾燥分散懸濁液);T4=試験製剤4(カプセル化結晶錠剤))。パートA及びパートCの各群において、8名の対象は、3:1の比で無作為化され、化合物IA(6名の対象)又はマッチングプラセボ(2名の対象)を摂取した。
パートAの場合、8名の適格対象の8つのコホートを登録した。各対象は、単回経口用量の化合物IA(3、10、30、100、300mgの結晶懸濁液及び100、300、600mgの噴霧乾燥分散液(SDD)を絶食条件下で摂取した。これがFIH試験であったことから、まず2名のセンチネル対象に投与し、少なくとも24時間前、コホートの残りに投与し、最大安全性を保証した。パートAからのデータが結晶及びSDD製剤の適切な比較を提示したことから、パートBをスキップした。
パートCの場合、適格対象を6つの異なるコホートに登録した。各対象は、1日1回(QD)の複数回用量の化合物IA(14日間の10、30mgの結晶懸濁液及び100、200mgのSDD)を絶食条件下で、及び(13日間の25、50mgのカプセル化結晶錠剤及び14日目の単回用量又はプラセボ)を給食条件下で摂取した。対象には、パートCにおいて、パートAにおける先行群からの利用可能な安全性、忍容性及びPKデータのレビューに従って投与した。
パートDは、対象6名の1群からなる、非盲検、無作為化、3期間クロスオーバー設計を有した。化合物IAの結晶錠剤製剤のPKを、給食及び絶食条件の間で、また化合物IAの結晶懸濁液の絶食条件下でのPKと比較した。対象は、化合物IAの3回投与を受け、各投与間に7~14日の休薬期間を設けた(投与1:絶食条件下で100mgの経口懸濁剤;投与2:絶食条件下で100mgの経口錠剤;投与3:絶食条件下で100mgの経口錠剤)。これらの投与に基づき、対象を、ウィリアムズ設計を用いて調製した、6つの治療シークエンスの1つ(1シークエンスあたり1名の対象)に無作為に割り当てた。
対象
適格対象は、肥満度指数(BMI)が≧18.5及び≦30.0kg/mである、18~64歳の健常な男性及び女性であった。2つ以上のパート又は群に参加した対象はいなかった。任意の試験手順前に、書面のインフォームドコンセントが得られた。パートDに参加する対象は、指定の時間枠内に、全体的に高脂肪の朝食を進んで消費し、消費することができる必要があった。対象は、主要な精神障害の病歴、知的障害の診断、臨床的に有意なバイタルサインの異常、及び(初回)薬剤投与前90日以内からフォローアップを通じてのタバコ製品の使用を有した場合、除外された。
盲検
パートA及びCでは、ラベルに基づいて区別することができない積極的治療及びプラセボ治療は、見かけ上同一であり、味及び臭いが類似した。盲検を維持するため、同数の錠剤又は懸濁剤を、それぞれのコホート内の各対象に投与した。治験責任医師及び対象は、試験の関連パート全体を通じて盲検状態を維持し、盲検は、全体を通じて中断されないままであった。スポンサー(IFM Management,Inc.)は、全ての試験データへのアクセスが非盲検化され、試験に関して下す決定を支持するための無作為化コードのコピーが提供された。パートDは、非盲検であり、化合物IAのみを、ウィリアムズ設計に従い、対象における6つの治療シークエンスの1つ(1シークエンスあたり1名の対象)に投与した。
目的
試験の主要目的は、試験の全パートにおいて、健常対象における化合物IAのSAD及びMAD経口投与の安全性及び忍容性を評価することであった。主要な二次目的は、化合物IAの単回及び複数回投与後のPK特性を特徴づけ、化合物IAのPK特性に対する食物の効果を評価することであった。
評価
試験の全パートにおける安全性評価は、国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(バージョン22.1)を用いて報告する有害事象(AE)、臨床検査(生化学、血液学、及び尿検査)、バイタルサイン、心電図(ECG)、身体検査及び皮膚生検(適用可能な場合)を含んだ。
単回投与パートでは、1日目の投与に対する以下の時点:予備投与時と投与後0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、12、24、36、及び48時間、並びにフォローアップ訪問時に化合物IAの濃度を測定するため、血液サンプルを収集した。複数回投与パートでは、1日目及び14日目の投与に対する予備投与時と投与後0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、及び12時間;2、4、7、9、及び11日目に対する:予備投与時;14日目の最終投与後:投与後24及び36時間(15日目)、及び48時間(16日目);並びにフォローアップ訪問時にサンプルを収集した。以下のPKパラメータは、血漿中の非コンパートメント分析の最大濃度(Cmax);最大濃度までの時間(tmax);投与後24時間の濃度(C24h)(パートAのみ);遅延時間:最初の定量化可能な濃度までの観測時間(tlag);最終の定量化可能な濃度の時間(tlast);0時間~最終の定量化可能な濃度までの濃度時間曲線下面積(AUC0-last);0時間~無限大までの血漿濃度時間曲線下面積(AUC0-inf);投与後0時間~24時間の血漿濃度時間曲線下面積(AUC0-24);終末相速度定数(Kel);終末相半減期(t1/2);見かけ上の全身クリアランス(CL/F);及び終末相での見かけ上の分布容積(V/F);そしてさらにパートCに限り:投与後0時間~12時間の投与間隔にわたる血漿濃度時間曲線下面積(AUC0-tau);定常状態での見かけ上のクリアランス(CLss/F);AUC0-tauに基づく蓄積比(Rac、AUC);及びCmaxに基づく蓄積比(Rac、Cmax)を用いて評価した。
NLRP3阻害に対するPD応答を判定するため、全血サンプルを収集し、探索的なPD分析を行った(パートA及びパートCの群1~3)。NLRP3インフラマソームをリポ多糖(LPS)で活性化することによる生体外刺激を対照条件と比較して評価し、その後、炎症マーカーIL-1βの血球放出について分析した。
統計分析
全てのデータを、記述統計学を用いて要約し、表形式及び/又はグラフ形式でリスト化及び要約した。全ての関連PKパラメータについての記述統計学は、n、加算平均、標準偏差(SD)、変動係数(CV%)、最小値、中央値、最大値、幾何平均、及び幾何CV%を含んだ。tmaxの場合、中央値、最小値、及び最大値のみを提示する。PKパラメータは、ソフトウェアPhoenix Version 8.1を用いる非コンパートメント法を用いて計算した。定量化の下限(LLOQ)未満の濃度は、濃度データに限られる要約統計量における0として処理した。AUCの計算のため、線形台形法を用いた。t1/2を決定するための終末血漿除去相の回帰分析は、Cmax後に少なくとも3つのデータ点を含んだ。調節済みrが0.80未満である場合のパラメータは、フラグ付けたが、記述統計学に含めた。%AUCextraが20%を超える場合のAUC0-inf、%AUCextra、CL/F、及びVZ/Fパラメータは、記述統計学から除いた。
パートAでは、用量比例性を、対数変換した用量レベルに対する対数(log)変換したCmax、AUC0-last、及びAUC0-infに関する回帰指数モデルを用いて探索した。切片及び勾配についての点推定値及び勾配についての対応する90%信頼区間(CI)を計算した。パートCの場合、用量比例性を探索しなかった。パートDでは、試験製剤(結晶錠剤、SDD及び結晶錠剤)対参照製剤(結晶懸濁液)の相対的バイオアベイラビリティ、及び食物の効果を、PKデータに対する分散分析(ANOVA)モデルを用いて探索した。
以下の処理においては、最小2乗幾何平均比を90%CIと一緒に提示した:絶食時の100mgの化合物IA錠剤が絶食時の100mgの化合物IA懸濁液を上回り、給食時の100mgの化合物IA錠剤が絶食時の100mgの化合物IA錠剤を上回った。
個別IL-1β濃度対時間の組み合わせた個別及び平均プロットを処理毎に提示する。全血中の補正された、刺激された生体外リポ多糖(LPS)の負荷に対する化合物IAの効果のモデリングは、LPS負荷の結果間の関係の、条件付き加重残差モデリングによる評価を含んだ。
結果
対象の特性及び人口統計
全体で122名の対象を試験に登録した。122名の全対象を安全性及びPD分析セットに含め、積極的治療(化合物IA)を受ける94名の全対象をPK分析セットに含めた。全体で、18~64歳であり、18.9~29.4kg/mのBMIを有する、58名(48%)の男性対象及び64名(52%)の女性対象が試験に参加した。対象の大半である105名(86%)(パートA、n=57;パートC、n=42及びパートD、n=6)は、白人であった。
登録した対象の内、107名(88%)の対象がプロトコルに従って試験を完了し、15名(12%)の対象が試験を早期に中断した。これらの早期の中断は、試験のパートAにおける64名中1名(2%)の対象、パートCにおける52名中13名(25%)の対象、及びパートDにおける6名中1名(17%)の対象を含んだ。試験中断の理由は、12名(10%)の対象における有害作用(AE)による中止を含み、1名(1%)の対象はそれぞれ、同意の撤回、フォローアップの失敗、又はCOVID-19パンデミックに起因する試験の一時的保留(訪問の阻止;化合物IAの安全性とは無関係)のいずれかによって試験を中断した。4名の中断した対象者全員をパートCに代替させた。
安全性
単回及び複数回用量の化合物IAは、一般に十分な忍容性があった。試験中、死亡又は重篤有害事象(SAE)は報告されなかった。全体で87名/122名の対象(71%);化合物IAアームにおける66名/94名の対象(70%)、及びプラセボアームにおける21名/28名(75%)の対象が、治療下で発現した有害事象(TEAE)を報告した。84名(69%)の対象によって報告されたTEAEの大半が軽度の強度であった一方で、15名の対象(12%)が中等度のTEAEを報告した。対象の>20%における頻繁に報告されたシステム器官クラスAEは、神経系障害(34%)、一般的障害及び投与部位状態(29%)、及び胃腸障害(27%)であった。
集合的に、化合物IAを摂取した21名/94名(22%)及びプラセボを摂取した3名/28名(11%)の対象を含む、24名/122名の対象(20%)によって報告された46の関連TEAEは、試験薬に関連すると考えられた。12名/122名(10%)の対象の場合、斑状丘疹状皮疹及び/又はそう痒の20のTEAEは、特に興味深い有害事象と考えられた。12名の全対象が、化合物IAを、単回用量(100mg[n=1]又は600mg[n=1])、又は複数回用量(30mg QD[n=2]、100mg QD[n=3]、200mg QD[n=2]、又は50mg BID[n=3])のいずれかとして摂取した。これらのTEAEは、軽度~中等度の強度であり、一般に化合物IAによる治療開始後1~17日以内に開始され、発症後1~18日以内に解消され;全ての症例において併用療法を用いなかった。10名の対象においては、これらのTEAEは治療中断をもたらした。他の2名の対象は、試験薬と無関係のTEAEが理由で、早期に中断した。
好中球数及び白血球数における穏やかな減少は、非臨床的に有意と考えられ、時折記録され、それは、NLRP3下流のIL-1βシグナル伝達の阻害に起因する化合物IAのPD効果に一致する可能性があった。1名の対象が、試験薬に関連すると考えられない2度房室ブロックを有した。バイタルサイン、12リードECG、24時間ホルターモニタリング、又は身体検査についての他の臨床的に重要な所見は、報告されなかった。
薬物動態
単回用量の化合物IAへの曝露は、化合物IAを結晶懸濁液(3~300mg)として投与した時、用量比例未満の様式で増加したが、SDD懸濁液(100~600mg)として投与した時、用量比例的に増加した。化合物IAの2週にわたる30~200mgの用量範囲でのQD投与後、定常状態への到達において、約1.1~1.3倍の限られた薬剤蓄積のみが認められた。これは、QD及びBID用量レベルを通じての9.83~16.2時間の範囲の平均t1/2に一致する。定常状態で、化合物IAは、非常に低いCLss/F(約0.83~1.11L/時間)及びVss/F(約12.6~23.3L)とともに、化合物IAのQD及びBID用量レベルを通じての低い~中等度の対象間可変性を示した。定常状態での腎クリアランスは、総経口クリアランスと比較して比較的低く(約0.008L/時間)、それ故、ヒトにおける重要なクリアランス経路である可能性は低かった。
給食条件下の結晶懸濁液としての100mgの化合物IAの単回用量の投与は、絶食条件と比較して、化合物IAのCmaxの2.05倍及びAUC0-lastの1.49倍の増加をもたらした。結晶錠剤(絶食条件下、100mgの化合物IA)の場合、化合物IAの中央値tmaxは、2~5時間遅延し、Cmaxは、78%低下し、t1/2は、結晶錠剤と懸濁液との間で同等であった。カプセル化結晶錠剤(給食条件下、25mg及び50mgでbid)は、それぞれ0.75時間及び0.25時間の中央値遅延時間、並びに1日目での4時間の中央値tmaxによって特徴づけられた。化合物IAの平均t1/2は、錠剤(18.6時間)製剤と懸濁液(17.7時間)製剤との間で同等であった。
薬力学
IL-1βの濃度における用量依存的低下(平均最下点濃度がベースライン値の約5%~20%の場合)が、化合物IAの単回及び複数回経口用量の増加とともに認められた。化合物IAの最大用量レベルで、単回(3日目又は最大6時間、最低≦10mgの用量レベルの場合)及び複数回(15日目)経口用量の化合物IAにおける投与後1時間から最終サンプリング時点まで、IL-1βの阻害が認められた。
ヒル係数を用いて試験した、分画の最大刺激効果(Emax)モデルに基づき、観測されたIL-1βの刺激効果の加算平均(±SD)は、1820(±102)ng/Lであり、IL-1βのEmaxは、-0.985(±0.00277)であった。(LPS)負荷における生体外刺激IL-1β放出の90%を阻害する化合物IAの中央値効力(IC90)は、3.18μMの濃度であった(90%CI:2.84;3.54)。推定される最大治療効果に対する有効濃度及び生体外刺激IL-1β放出に起因する化合物IAの100%阻害に対する阻害濃度は、EC50:0.141μM(90%CI:0.114,0.171)、EC90:2.57μM(90%CI:2.24,2.94)、及びIC50:0.146μM(90%CI:0.118,0.179)であった。
考察
単回及び複数回用量の化合物IA又はプラセボは、一般に十分な忍容性があった。試験中、死亡又は重篤有害事象(SAE)は報告されなかった。皮疹及び/又はそう痒のようなTEAEは、試験薬に関連すると考えられた。対象によって報告されたTEAEの大半は、重症度が軽度(69%)及び中等度(12%)であった。斑状丘疹状皮疹及び/又はそう痒性皮疹が、最高複数回用量レベルの化合物IAで最も頻繁に報告され、化合物IAへの曝露との関係が示唆された。
絶食条件下での化合物IAの単回経口投与後、化合物IAは、用量レベルを通じて0.76~3.00時間の範囲の中央値tmaxで迅速に吸収された。しかし、より高い用量範囲30~600mgの場合、中央値tmaxはやや遅延し(1.5~3.0時間)、より遅い吸収がより低い用量と比較されることが示された(それぞれ、3mg及び10mg:0.76時間及び1.00時間)。薬物曝露の増加は、結晶懸濁液(特に、100及び300mg)の場合に用量比例未満であった一方で、SDD懸濁液(100~600mg)の場合に曝露における用量比例増加が認められ、用量≧100mgでの結晶材料の溶解度制限吸収が示された。
化合物IAの複数回用量及び製剤では、2週後に用量比例的な薬物曝露からの偏差がないことが示され、複数回投与PKが線形であり、溶解度によって制限されないことが示された。1日目の化合物IAの経口投与後、給食条件下のカプセル化結晶錠剤の場合に、吸収におけるわずかな遅延が認められた。このより緩徐な吸収は、tmaxに対する明らかな食物の効果が認められなかった場合のバイオアベイラビリティ結果と一致した。これらの知見は、遅延吸収時間がカプセル化に起因したことを示唆する。腎クリアランスは、約0.004L/時間(1日目)又は0.008L/時間(14日目)であり、経口用量の0.8%未満に近似することが判定された。これは、親薬剤の尿への直接的な分泌が、ヒトにおけるこの薬剤の主要な除去経路であることが予想されないことを示す。
100mgの結晶錠剤としての化合物IAは、Cmax及びAUCが、給食状態(高脂肪の高カロリー食)において、絶食状態に対して、それぞれ2.05倍及び1.49倍増加し、正の食物効果を示した。100mgの結晶錠剤における中央値Tmaxは5時間であった一方で、懸濁液の場合、より短いTmax値(0.76~3.0時間)が報告された。化合物IAは、ヒト肝血流の≦2%に関連する、非常に低い経口クリアランス(約1.0L/時間のCLss/F)、及び約12.6~23.3Lの低い分布容積(Vss/F)を有する。給食時の結晶錠剤について判定する場合、約10時間の有効半減期に一致する定常状態に達する過程で、1日1回投与後に約1.2倍のわずかな薬剤蓄積が認められ、1日2回投与後に2倍が認められた。
非臨床試験では、化合物IAが広範囲のNLRP3依存性アクチベーターを用いてIL-1βの放出を遮断することが示唆されている。これは、化合物IAと構造的に類似するジアリールスルホニル尿素化合物の場合に認められている[15]。この試験では、IL-1βの濃度の用量依存的低下が、化合物IAの単回及び複数回経口用量の増加とともに認められた。IL-1βの産生は、他のインフラマソーム又はインフラマソーム非依存性経路によって媒介され得るが;それ故、IL-1βを対象とする阻害剤は、意図していない免疫抑制効果をもたらし得る。したがって、専らNLRP3インフラマソームを特異的に標的にする薬理学的阻害剤であれば、NLRP3関連疾患の治療のためのより優れた選択肢であり得る。安全性検査所見は、27名の対象における好中球数及び白血球数の穏やかな非臨床的に有意な減少であった。これは、抗IL-1βモノクローナル抗体カナキヌマブの公知の効果と同様、NLRP3下流のシグナル伝達の阻害からもたらされる化合物IAのPD効果に一致し得る。
異質性CYP2C9遺伝子型を有する対象のAUCは、正常なCYP2C9活性を有する対象において認められたAUCより高かった。これらの結果は、化合物IAのクリアランスが、特定の遺伝子変異体によって引き起こされるCYP2C9活性の低下によって影響を受けることを示唆する。
要するに、単回及び複数回経口用量の化合物IAは、健常対象において、最大で14日間、十分な忍容性があり、安全性又は忍容性への懸念は生じなかった。化合物IAのPK特性は、1日2回の投与計画に適合する。安全性及び忍容性、PK、及びPDの結果は、化合物IAが、さらなる臨床評価を保証する、有効な経口ファーストインクラスの自然免疫モジュレーターである可能性を有することを示唆する。
実施例3:
以下の手順は、本明細書で開示した場合に従う、NLRP3阻害剤の活性の試験に適する。
手順1:グラミシジンで刺激されたPMA分化THP-1細胞におけるIL-1β産生
THP-1細胞は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)から購入し、供給業者からの使用説明書に従って継代した。細胞を、完全RPMI1640(10%の熱不活化FBS、ペニシリン(100単位/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)を含有する)中で培養し、実験セットアップ前、対数期に維持した。実験前、化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、30mMストックを作製した。最初に化合物ストックを、3、0.34、0.042及び0.0083mMの中間濃度になるようにDMSOで予備希釈し、その後、Echo550液体ハンドラーを使用し、空の384ウェルアッセイプレートにスポットし、所望の最終濃度(例えば、100、33、11、3.7、1.2、0.41、0.14、0.046、0.015、0.0051、0.0017μM)を達成した。DMSOをプレートに戻し充填し、0.37%の最終DMSOアッセイ濃度を達成した。次に、プレートを密封し、必要になるまで室温で貯蔵した。
THP-1細胞をPMA(ホルボール12-ミリスチン酸13-酢酸)(20ng/ml)で16~18時間かけて処理した。実験日に培地を除去し、接着細胞を5分かけてトリプシンで剥離した。次に、細胞を収集し、完全RPMI1640で洗浄し、遠沈し、RPMI1640(2%の熱不活化FBS、ペニシリン(100単位/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)を含有する)に再懸濁した。細胞を、スポットされた化合物を含有する384ウェルアッセイプレートに、50,000細胞/ウェルの密度で蒔いた(最終アッセイ体積は50μl)。細胞を化合物とともに1時間インキュベートし、次にグラミシジン(5μM)(Enzo)で2時間刺激した。次に、プレートを340gで5分間遠心分離した。細胞不含上清(40μL)を、96チャネルPlateMaster(Gilson)を用いて収集し、IL-1βの産生を、HTRF(cisbio)によって評価した。プレートを4℃で18時間インキュベートし、SpectraMax i3x分光光度計(Molecular Devices、ソフトウェアSoftMax6)のプリセットのHTRFプログラムを用いて読み取った(620nmでドナー放射、668nmでアクセプター放射)。媒体のみの制御及びCRID3の用量滴定(100~0.0017μM)を、各実験と同時に実行した。データを、媒体処置サンプル(0%阻害に等しい)及び100μMのCRID3(100%阻害に等しい)に対して正規化した。化合物は、PMA分化THP-1細胞におけるIL-1β産生の濃度依存性阻害を示した。
手順2:グラミシジンで刺激されたPMA分化THP-1細胞におけるIL-1β産生
THP-1細胞は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)から購入し、供給業者からの使用説明書に従って継代した。実験前、細胞を、完全RPMI1640(10%の熱不活化FBS、ペニシリン(100単位/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)を含有する)中で培養し、実験セットアップ前、対数期に維持した。実験前、THP-1をPMA(ホルボール12-ミリスチン酸13-酢酸)(20ng/ml)で16~18時間かけて処理した。化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、30mMストックを作製した。実験日に培地を除去し、接着細胞を5分かけてトリプシンで剥離した。次に、細胞を収集し、完全RPMI1640で洗浄し、遠沈し、RPMI1640(2%の熱不活化FBS、ペニシリン(100単位/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)を含有する)に再懸濁した。細胞を、384ウェルプレートに50,000細胞/ウェルの密度で蒔いた(最終アッセイ体積は50μl)。最初に化合物をアッセイ培地に溶解し、500μMの5×最高濃度を得た。次に、10段階希釈(1:3)を、1.67%のDMSOを含有するアッセイ培地で行った。5×化合物溶液を培地に添加し、所望の最終濃度(例えば、100、33、11、3.7、1.2、0.41、0.14、0.046、0.015、0.0051、0.0017μM)を達成した。最終DMSO濃度は、0.37%であった。細胞を化合物とともに1時間インキュベートし、次にグラミシジン(5μM)(Enzo)で2時間刺激した。次に、プレートを340gで5分間遠心分離した。細胞不含上清(40μL)を、96チャネルPlateMaster(Gilson)を用いて収集し、IL-1βの産生を、HTRF(cisbio)によって評価した。媒体のみの制御及びCRID3の用量滴定(100~0.0017μM)を、各実験と同時に実行した。データを、媒体処置サンプル(0%阻害に等しい)及び100μMのCRID3(100%阻害に等しい)に対して正規化した。化合物は、PMA分化THP-1細胞におけるIL-1β産生の濃度依存性阻害を示した。
手順3:
1.実験手順:
1.1 細胞培養
1)37℃、5%COで10%FBSを含有する完全RPMI-1640培地中でTHP-1細胞を培養する
2)1mlあたり3×10個の細胞を接種することにより、3日毎に細胞を継代する
1.2 化合物調製
TECAN EVOシステムを用いて、384ウェルLDVマイクロプレート内でDMSOによる化合物の3倍段階希釈物を調製し、10の濃度を用いて化合物ソースプレートを作製する。最高濃度は30mMである
1.3 細胞調製
1)THP-1細胞を350gで5分間遠心分離する
2)細胞を完全RMPI-1640培地に再懸濁し、細胞を計数する
3)細胞をT225フラスコに播種し(約2.5×10個/フラスコ)、細胞を20ng/mlのPMAで処置する(最終DMSO濃度<1%)
4)一晩インキュベートする
1.4 THP-1刺激
1)接着THP-1細胞をPBSで洗浄し、T225フラスコにおいて4mlのトリプシンで細胞を剥離させる
2)細胞を350gで5分間遠心分離し、2%FBSを含有するRMPI-1640培地に細胞を再懸濁し、細胞をトリパンブルーで計数する
3)50nl/ウェルの試験化合物の段階希釈物をEchoによる384ウェルプレートに移す;高度な制御及びCRID3(MCC950)の第1点において、165nlを映し、次に戻し充填し、DMSO濃度を作成することは、全てのウェル内で一貫しており、プレートレイアウトは以下のとおりである
4)384ウェルプレート内の2%FBS/ウェルを有する40ulのRPMI-1640に50kの細胞を播種する
5)37℃、5%COで1時間インキュベートする
6)5×グラミシジンを調製し、10μl/ウェルを添加し(最終濃度は5μMである)、37℃、5%COで2時間インキュベートする
7)350gで1分間遠心分離する
apricotにより16μlの上清をピペッティングし、白色384 proxiplateに移す。HC:100μMのCRID3(MCC950)+5μMのグラミシジン LC:5μMのグラミシジン
1.5 IL-1βの検出
1)5×希釈剤#5をボルテックスしながらホモジナイズし、体積1の保存液を体積4の蒸留水に加える
2)抗IL1β-クリプテート抗体及び抗IL1β XL抗体の20×保存液を解凍する。これら2種の抗体を検出緩衝液#3で1倍に希釈する
3)2つの既製の抗体溶液を使用直前に予備混合する
4)予備混合した抗IL1β抗体使用液4ulを全てのウェルに分注する
5)プレートを密封し、4℃で一晩インキュベートする
6)細胞板をEnVisonを用いて読み取り、読み取り対試験化合物濃度をプロットし、IC50を計算する
2.データ分析:
1.化合物のIC50は、以下の式を用いて計算できる
IC50の式
%阻害=100-100×[HCave-読み取り/(HCave-LCave)]
2.正規化データを、XLfitを用いて用量応答様式で適合させ、化合物濃度を計算する
下表は、2%ウシ胎仔血清を含むhTHP-1アッセイにおける化合物の生物学的活性を示す:<0.008μM=「++++++」;≧0.008及び<0.04μM=「+++++」;≧0.04及び<0.2μM=「++++」;≧0.2及び<1μM=「+++」;≧1及び<5μM=「++」;≧5及び<30μM=「+」
本明細書中に引用される全ての出版物及び特許文書は、こうしたそれぞれの出版物及び文書が参照により本明細書に組み込まれることが具体的且つ個別に示されたように、参照により本明細書に組み込まれる。本発明及びその実施形態は、詳細に説明されている。しかし、本発明の範囲は、本明細書中に記載される任意のプロセス、製造、組成物、化合物、手段、方法、及び/又はステップの特定の実施形態に限定されることが意図されない。開示された材料には、本発明の精神及び/又は本質的特徴から逸脱することなく、様々な修飾、置換、及びバリエーションを設けることができる。したがって、当業者は、本発明から、本明細書に記載の実施形態と実質的に同じ機能を果たすか、又は実質的に同じ結果を達成する、後の修飾、置換、及び/又はバリエーションが、本発明のこうした関連する実施形態に従って利用可能であることを容易に理解するであろう。したがって、以下の請求項は、それらの範囲内で、本明細書で開示されるプロセス、製造、組成物、化合物、手段、方法、及び/又はステップに対する修飾、置換、及びバリエーションを包含することが意図される。請求項は、その効果に対する記載がない限り、記載される順序又は要素に対して限定されるものとして通読される必要がある。形態及び詳細における様々な変更を、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく設けることができることは理解されるべきである。

Claims (20)

  1. NLRP3阻害剤は、単回用量又は分割用量において約10mg~約100mgの全日用量で対象に投与される、変形性関節症の治療において使用するための前記NLRP3阻害剤又は変形性関節症の治療のための薬剤の製造における前記NLRP3阻害剤の使用。
  2. 単回用量又は分割用量において約20mg~約50mgの全日用量で対象に投与される、実施形態1に従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  3. 単回用量又は分割用量において約20mgの全日用量で対象に投与される、実施形態1又は2に従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  4. 単回用量又は分割用量における約50mgの全日用量で対象に投与される、実施形態1~3のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  5. 対象に約10mgの用量で1日2回投与される、実施形態1~4のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  6. 対象に約10mgの用量で約14連続日にわたり1日2回投与される、実施形態1~5のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  7. 対象に約25mgの用量で1日2回投与される、実施形態1~6のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  8. ヒト対象に約25mgの用量で約70連続日にわたり1日2回投与される、実施形態1~7のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  9. 食品を消費中又は消費後に対象に投与される、実施形態1~8のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  10. 対象への前記NLRP3阻害剤の2つの後続用量の投与間に約10~14時間の時間間隔がある、実施形態1~9のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  11. 前記変形性関節症は、膝変形性関節症である、実施形態1~10のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  12. 前記NLRP3阻害剤の投与は、ベースラインからの変化に基づくKOOSスコアによって判定する場合、前記変形性関節症に冒された関節における疼痛を低減する、実施形態1~11のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  13. 前記NLRP3阻害剤の投与は、ダイナミック造影(DCE)-MRIによるKtransから測定された滑膜炎の活動性レベルにおけるベースラインからの変化によって判定する場合、前記変形性関節症に冒された関節の炎症レベルを低減する、実施形態1~12のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  14. 血清高感度C反応性タンパク質のレベルは、対象において、ベースラインからの変化によって判定する場合、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%低下する、実施形態1~13のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  15. IL-1β又はIL-18のレベルは、対象において、ベースラインからの変化によって判定する場合、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%低下する、実施形態1~14のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  16. 前記対象は、皮疹を全く示さない、実施形態1~15のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  17. 前記対象に経口的に投与される、実施形態1~16のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  18. 錠剤製剤中に含まれる、実施形態1~17のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  19. 少なくとも1つのさらなる治療薬を投与することを含む、実施形態1~18のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
  20. 化合物I、又はその薬学的に許容される塩:

    である、実施形態1~19のいずれか1つに従う使用のためのNLRP3阻害剤。
JP2024503567A 2021-07-23 2022-07-20 変形性関節症の治療におけるnlrp3阻害剤の投与計画 Pending JP2024525897A (ja)

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