JP2024522902A - 二重特異性抗体を分離する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、二重特異性抗体又は二重特異性抗体断片を分離する方法に関する。本方法は、a)二重特異性抗体又は二重特異性抗体断片を含むフィードを準備する工程と;b)フィードを、支持体にカップリングされた親和性リガンドを有する分離基材と接触させる工程と;c)任意選択で、分離樹脂を洗浄液で洗浄する工程と; d)溶出緩衝液を分離樹脂にアプライして、親和性リガンドに結合している抗体又は抗体断片を溶出する工程とを含み、工程d)において、pH勾配が溶出緩衝液に対して適用され、前記pH勾配は、約6~約2である。

Description

本発明は、生物工学の分野並びに抗体及び抗体断片を分離する、特に二重特異性抗体と二重特異性抗体断片の分離の新規の方法に関する。
免疫グロブリンは、世界中で製造又は開発のいずれかで最も一般的な生物薬剤産物を表す。抗体に対する商業的需要、それ故治療市場の価値の高さにより、製薬会社は、関連費用を抑制しながらそれぞれのモノクローナル抗体(mAb)製造工程の生産性を最大化することに重点を置くようになった。
親和性クロマトグラフィーは、モノクローナル又はポリクローナル抗体等の免疫グロブリン分子の精製に重要な工程の1つとして、ほとんどの場合使用される。親和性試薬の特に興味深いクラスは、免疫グロブリン分子の不変部分に対して特異的結合能力があるタンパク質であり、そのような相互作用は、抗体の抗原結合特異性から独立している。そのような試薬は、血清若しくは血漿調製物又は細胞培養由来フィードストック等があるがこれに限定されない異なる試料からの免疫グロブリンの親和性クロマトグラフィー回収に広く使用されうる。そのようなタンパク質の例は、異なる種由来のIgG免疫グロブリンのFc及びFab部分に結合する能力があるドメインを含有するブドウ球菌プロテインAである。これらドメインは、E、D、A、B及びCドメインと一般に示される。
ブドウ球菌プロテインA(SpA)に基づく試薬は、その高い親和性及び選択性のため、生物工学の分野、例えば抗体の捕捉及び精製並びに検出又は定量化のための親和性クロマトグラフィーにおける広範な使用を見出してきた。現時点で、SpAに基づく親和性媒体は、おそらく、産業的細胞培養上清を含めた異なる試料からのモノクローナル抗体及びその断片の単離用として最も広く使用されている親和性クロマトグラフィー樹脂である。従って、プロテインAリガンドを含む様々な基材は、例えば、天然のプロテインAの形態で市販されており[例えばProtein A Sepharose(商標)、Cytiva、ウプサラ、スウェーデン]、更に組換えプロテインA[例えばrProtein A Sepharose(商標)、Cytiva]から構成される。より具体的には、市販の組換えプロテインA製品において実行される遺伝子操作は、支持体へのその配向的結合を容易にし、リガンドの生産性を増大させることが意図される。
モノクローナル抗体(mAb)は、単一特異性抗体であり、1つの型の抗原を結合することを意味する。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞により産生され、1つのハイブリドーマ細胞株によって産生される全てのmAbは、同一である。
二重特異性抗体(bsAb)は、生物工学内のツールとしてより大規模に使用される操作された抗体である。それらは、治療的潜在性も有しており、多数の臨床試験が進行中である。二重特異性抗体は、異なる2つの抗原結合部位を含む抗体であり、例えば同じ抗原又は異なる抗原上の2つのエピトープを結合することができる。それ故、二重特異性抗体は、異なる2つの抗原に潜在的に結合することができる。特異性が定義された二重特異性抗体は人工的分子であり、それ自体は天然には見られない。二重特異性抗体の範囲は、U. Brinkmannらにより詳細に更に記述される(Brinkmann. U.、Kontermann, R.E.、MAb、2017年2月~3月; 9(2):182~212頁)。
米国特許出願公開第2006/0194950号 米国特許第6602990号 米国特許第7396467号
Brinkmann. U.、Kontermann, R.E.、MAb、2017年2月~3月; 9(2):182~212頁 Goodら(1966年) Biochemistry 5:467頁 Good及びIzawa (1972年) Methods Enzymol. 24:62頁
二重特異性IgG分子の生成は、軽鎖と重鎖の対合、結果的にその中の可変ドメイン(VL; VH)が、無差別になりうるので困難である。異なる2本の軽鎖と異なる2本の重鎖の対合は、特定の非対称の組合せは通常1つしか求められないので、多数の誤対合をもたらす可能性があり、達成される組合せの多くは、例えば単一特異性ホモ二量体等、非機能的又は望ましくない分子になる。従って、単一特異性抗体から二重特異性抗体を分離し、正しくマッチした二重特異性抗体からミスマッチ二重特異性抗体を分離するための改良されたツール及び方法の必要性が増大している。従って、本発明者らの目的は、二重特異性抗体の分離を可能にする改善された方法を見出すことであった。
可変重鎖クラス3(VH3)は、他の重鎖サブクラスよりも発現及び安定性を改善することが実証されているので、生物工学において一層開発されてきた可変重(VH)鎖のサブクラスである。
上述の目的を解決するために、本発明者らは、VH3鎖の存在に基づいて単一特異性抗体又はミスマッチ抗体から二重特異性抗体を分離することを可能にする方法を開発した。モノクローナル抗体は、同一のVH鎖を2本有する。二重特異性抗体は、異なる2本のVH鎖を含むように設計されうる。分離のこの方法は、VH3相互作用が維持されている任意の市販のプロテインAリガンドを使用して実行されうる。プロテインAリガンドクロマトグラフィー基材から二重特異性抗体を溶出する場合、分離はpH勾配を使用して実行される。
従って、上の目的は、二重特異性抗体又は二重特異性抗体断片を分離する方法であって、前記方法が:
a)二重特異性抗体又は二重特異性抗体断片を含むフィードを準備する工程と;
b)フィードを、支持体にカップリングされた親和性リガンドを有する分離基材と接触させる工程と;
c)任意選択で、分離樹脂を洗浄液で洗浄する工程と;
d)溶出緩衝液を分離樹脂にアプライして、親和性リガンドに結合している抗体又は抗体断片を溶出する工程と
を含む、方法によって達成される。
工程d)において、pH勾配が溶出緩衝液に対して適用される。前記pH勾配は、約6~約2である。
pH勾配は、約5.5から、又は約5.2から、又は約5.0から、約2.0まで又は約2.5まででありうる。
親和性リガンドは、プロテインAリガンドでありうる。プロテインAリガンドは、Zドメイン、Aドメイン、Bドメイン、Cドメイン、Dドメイン及びEドメインを含む群から選択される天然の又は突然変異したドメインを含むことができる。好ましくは、プロテインAリガンドは、天然の若しくは突然変異したZドメイン又は天然の若しくは突然変異したCドメインを含むことができる。
支持体は、架橋されたアガロースビーズを含むことができる。別法として、支持体は、断面直径200~800nm、200~400nm又は300~400nm等、10~1000nmの繊維を含むことができる。
上の方法に使用されるフィードは、清澄化された細胞培養上清でありうる。
抗体断片は、一方のVH鎖がVH3である異なる2本のVH鎖を含む任意の抗体断片でありうる。抗体断片は、ダイアボディ、scFv-Fc、scFv-CH、Fab-scFv-Fc又はscFv-ジッパーから選択されうる。
抗体は、一方のVH鎖がVH3である異なる2本のVH鎖を含む任意の抗体でありうる。
IgG等の抗体の概略図である。 Cytiva製の市販品MabSelect(商標)SuReを使用した、VH3領域を1つ持つ抗体とVH3領域を2つ持つ抗体との分離の欠如を示すクロマトグラムである。 Cytiva製の市販品MabSelect(商標)PrismAを使用した、VH3領域を1つ持つ抗体とVH3領域を2つ持つ抗体との分離を示すクロマトグラムである。 JSR製の市販品Amsphere(商標)A3を使用した、VH3領域を1つ持つ抗体とVH3領域を2つ持つ抗体との分離を示すクロマトグラムである。 Purolite製の市販品Praesto(登録商標)Jetted A50を使用した、VH3領域を1つ持つ抗体とVH3領域を2つ持つ抗体との分離を示すクロマトグラムである。
定義
用語「抗体」及び「免疫グロブリン」は、本明細書において互換的に使用されえ、2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖からなる基本的な4ポリペプチド鎖構造を有する抗原結合タンパク質のことを指し、前記鎖は、鎖間ジスルフィド結合により安定化されている。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてHCVR又はVHと略記される)及び重鎖定常領域(CH)から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLから構成される。用語は、抗体の断片、抗体又は抗体断片を含む融合タンパク質及び抗体又は抗体断片を含むコンジュゲートも含むと理解されるべきである。
用語「断片」は、無傷の又は完全な抗体若しくは抗体鎖より少ないアミノ酸残基を含む抗体若しくは抗体鎖の一部若しくは部分のことを指す。断片は、無傷の若しくは完全な抗体若しくは抗体鎖の化学又は酵素的処置によって入手することができる。断片は、組換え手段により入手することもできる。典型的な断片には、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fab及び/又はFv断片がある。用語「抗原結合性断片」とは、抗原を結合する、又は特定の抗原結合について抗原結合性断片が得られた無傷の抗体と競合する免疫グロブリン若しくは抗体のポリペプチド断片のことを指す。
用語「Fc結合ポリペプチド」、「Fc結合剤」及び「Fc結合タンパク質」は、抗体のFc領域である結晶性部分に結合する能力があるポリペプチド、分子又はタンパク質をそれぞれ意味し、例えばプロテインA及びプロテインG、若しくは前記結合特性を維持したその任意の断片若しくは融合タンパク質があるが、これに限定されない。
用語「Fc領域」とは、lgG抗体のC末端領域、特に前記IgG抗体の重鎖のC末端領域のことを指す。
用語「Fv断片」とは、断片可変領域のことを指し、2つの可変ドメイン、VH及びVLのみを含有する。VH及びVLは、非共有結合相互作用によりFv断片中に一緒に保持される。用語「Fab断片」とは、断片抗原結合領域のことを指し、重鎖と軽鎖両方の定常ドメインと可変ドメインの両方を含む。用語「F(ab)断片」とは、抗原結合部位を1つ有する断片のことを指す。用語「(Fab’)2断片」とは、ジスルフィド結合によって連結された2つの抗原結合領域を有する二価の断片のことを指す。F(ab’)2断片の還元により、2つの一価のFab’断片が生成され、そのFab’断片は、他の分子へのコンジュゲーションに有用な遊離スルフヒドリル基を有する。
重鎖上の「可変」ドメインは、「重鎖可変領域」、「重鎖可変ドメイン」、「VH」領域、「VH」ドメイン又は「VH」鎖として互換的に称される場合がある。
用語「ドメイン」及び「領域」は、本開示において互換的に使用される。
本明細書では用語「フィード」とは、同様に存在する他の物質から精製されようとする標的物質を少なくとも1つ含有する液体のことを指す。フィードは、例えば、水性溶液、有機溶媒系又は水性/有機溶媒混合物若しくは溶液であることができる。供給源液は、多くの生体分子(タンパク質、抗体、ホルモン及びウイルス等)、小分子(塩、糖、脂質、等など)、更に粒状物体を含有するしばしば複雑な混合物又は溶液である。生物起源の典型的な供給源液は、水性溶液又は懸濁液として始まりうるが、溶媒沈殿、抽出、等などの初期の分離工程に使用される有機溶媒を含有することもできる。本発明の様々な実施形態による精製に適する有益な生体物質を含有しうるフィードの例には、バイオリアクタの培養上清、均質化細胞懸濁液、血漿、血漿画分及び乳汁があるが、これに限定されない。
本明細書では、用語「固体支持体」とは、精製の間に標的物質と相互作用する又はFe結合剤が接着できる非水性基材のことを指す。適切な固相材料には、ガラス、シリカ(例えば、シリカゲル)、アガロース及びセルロース等の多糖(例えば、多糖基材)、ポリアクリルアミド、メチルメタクリラート並びにポリスチレンジビニルベンゼンコポリマー等の有機ポリマーがあるが、これに限定されない。固相は、多孔又は無孔性の特質のものでありえ、圧縮性又は非圧縮性でありうる。様々な実施形態において、固相は、ポリマー性基材又はアガロース粒子若しくはビーズである。好ましい固体支持体材料は、ポンピング及びクロスフロー濾過、並びに利用される液体の温度、pH及び他の態様を含めた精製工程に利用される条件に対して物理及び化学的に回復力があることになる。
「親和性リガンド」とは、供給源液の成分の結合部位との特異的相互作用により成分に選択又は優先的に結合する部分のことを指す。本発明において、親和性リガンドは、樹脂等の固相に一般に固定化される。本発明の工程に有用なクロマトグラフィー樹脂を得るために樹脂支持体に結合させうる親和性リガンドの例には、タンパク質Fc領域に選択的に結合するプロテインA、プロテインG及びその類似体があるが、これに限定されない。固体支持体材料に親和性リガンドを結合させる方法は、精製技術者に周知である。
「緩衝液」は、溶液中に存在することにより、pHに単位変化を起こすのに添加しなければならない酸又はアルカリの量を増大させる物質である。緩衝溶液は、その酸-塩基共役成分の作用によりpHの変化に抵抗する。生物学的試薬とともに使用するための緩衝溶液は、溶液のpHが生理的範囲内にあるように一定濃度の水素イオンを維持する能力が一般にある。用語「生理的pH」とは、哺乳動物の血液のpH(即ち、7.38又は約7.4)のことを指す。従って、生理的pH範囲は、約7.2~7.6である。従来の緩衝成分には、有機並びに無機塩、酸及び塩基があるが、これに限定されない。生体分子(例えば、タンパク質分子)の精製に使用する典型的な緩衝液には、双性イオン又は「グッド」バッファーがある。例えば、Goodら(1966年) Biochemistry 5:467頁及びGood及びIzawa (1972年) Methods Enzymol. 24:62頁を参照のこと。
本明細書において「平衡緩衝液」は、標的タンパク質を含有する供給源液をロードするために結合試薬、固相、又は両方を調製するのに使用される緩衝液である。平衡緩衝液は、好ましくは等張性であり、pH約6~約8を一般に有する。「ローディング緩衝液」は、結合領域含有タンパク質及び不純物を含有する供給源液を結合剤が固定化される固相上へロードするのに使用される緩衝液である。多くの場合、平衡及びローディング緩衝液は同一である。「溶出緩衝液」は、固定化した結合剤から結合領域含有タンパク質を溶出するのに使用される。好ましくは、溶出緩衝液は低pHを有し、それによりFc結合剤と対象となるタンパク質の間の相互作用を破壊する。好ましくは、低pH溶出緩衝液は、pH約2~約5の範囲、最も好ましくは約3~約4の範囲を有する。この範囲内にpHを制御することになる緩衝液の例には、グリシン、リン酸、酢酸、クエン酸及びアンモニウム緩衝液、並びにこれらの組合せがある。好ましいそのような緩衝液は、クエン酸及び酢酸緩衝液、最も好ましくはクエン酸ナトリウム又は酢酸ナトリウム緩衝液である。対象となるタンパク質を溶出するための高pH緩衝液(例えば9又はより高いpHを有する)又はMgCl(2mM)等の化合物若しくは組成物を含む緩衝液を含めた他の溶出緩衝液が考えられる。
本明細書では「洗浄液」又は「洗浄緩衝液」は全て、標的物質を結合しているクロマトグラフィー樹脂から不純物を取り除くために使用される液体のことを本明細書において指す。2種以上の洗浄液が連続して利用されえ、例えば、連続した洗浄液は、クロマトグラフィー樹脂と非特異的に会合する様々な型の不純物を解離し、除去するように設計された、pH、伝導率、溶媒濃度、等などの様々な特性を有する。
「溶出液」又は「溶出緩衝液」とは、1つ又は複数の洗浄液で洗浄した後に、クロマトグラフィー樹脂から標的物質を解離させるために使用される液体のことを本明細書において指す。溶出液は、標的物質を不可逆的に変性させることなくそれを分離するように作用する。典型的な溶出液は、クロマトグラフィー技術者に周知であり、より高濃度の塩、遊離親和性リガンド若しくは類似体、又はクロマトグラフィー樹脂からの標的物質の解離を促進する他の物質を有することができる。「溶出条件」とは、標的物質を結合しているクロマトグラフィー樹脂を溶出液又は溶出緩衝液と接触させて解離を生じる工程等、クロマトグラフィー樹脂から標的物質を解離させる、標的物質が結合しているクロマトグラフィー樹脂に与えられる工程条件のことを指す。
本明細書では、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」「含有する(containing)」、「有する(having)」等は、米国特許法に帰する意味を有することができ、「含む(includes)」、「含む(including)」等を意味することができ;「本質的になる(consisting essentially of)」又は「本質的になる(consists essentially)」は、同様に米国特許法に帰する意味を有し、用語は無制限であり、列挙されるものの基本的又は新規の特徴が、列挙されるより多くのものの存在によって変更されない限り、列挙されるものより多くの存在を考慮するが、先行技術の実施形態を除外する。
ヒトにより産生される最も一般的な抗体は、免疫グロブリンG(IgG)である。IgGは、4本の異なるポリペプチド鎖、2本の同一の重鎖(HC)及び2本の同一の軽鎖(LC)からなる。図1は、IgGを模式的に図示し、以下の説明で参照される。HCは両方とも、VH 2と示される1つの可変ドメイン並びにCH1 3、CH2 4及びCH3 5と示される3つの定常ドメインからそれぞれなる。重鎖のC末端は、CH3ドメイン5の末端である。重鎖は、2本の鎖間の共有結合に関与するヒンジ領域で一緒に保持される。2本の軽鎖は、ジスルフィド結合によって重鎖に共有結合している。これら軽鎖は、VL 6と示される1つの可変ドメイン及びCL 7と示される1つの定常ドメインからなる。軽鎖は、VH及びCH1と一緒に単一の抗原を結合することができる抗原結合断片(Fab)を形成する。モノクローナル抗体は、通常2つの同一のHC及びLCを有する。特に、モノクローナル抗体は、単一特異性なので、同一のVHドメイン2を通常2つ有する。二重特異性抗体は、異なる2種の可変領域(Fv) 8、9を有し、従って2つの異なるVHドメイン2を含むことができ、図1において2種のVHドメイン2について異なるパターンで例示される。
2本の重鎖が共有結合で連結されている抗体の部分は、結晶化部位(Fc)と呼ばれ、従って両方の重鎖のCH3 5及びCH2 4ドメインからなる。Fcは様々なFc受容体(FcR)に結合することができ、それにより免疫系内のエフェクター機能に関与又は仲介している。全ての抗体がFc領域を有するわけではなく、例えば、IgMはFc領域を欠いている。
プロテインAリガンドは、免疫グロブリンのFc領域に選択的に結合し、従って非常に効率的な捕捉工程が可能になる。天然のプロテインAは、免疫グロブリンのVH3領域にも結合するので、なお有用でありうる。しかしながら、天然のプロテインAは、バイオ処理に使用されるアルカリ性浄化条件下で安定ではなく、アルカリ安定化プロテインAバリアントの一部は、VH3相互作用を阻害する突然変異を有する、例えば米国特許出願公開第2006/0194950号を参照のこと。この文献は、市販品MabSelect(商標)SuReに使用されるZドメインを生じるプロテインA Fc結合Bドメイン中のG29A突然変異によるVH3相互作用の阻害について検討している。
本発明者らは、VH3相互作用が維持されている任意の市販のプロテインAリガンドを使用して、VH3鎖に基づいて単一特異性抗体又はミスマッチ抗体から二重特異性抗体を分離することを可能にする方法を開発した。別の言葉では、本明細書に開示される方法に使用される親和性リガンドは、VH3結合プロテインAリガンドである。前記VH3結合プロテインAリガンドを含むプロテインAリガンドクロマトグラフィー樹脂から抗体を溶出する場合、分離はpH勾配を使用して実行される。
本発明による二重特異性抗体又は二重特異性抗体断片を分離する方法は:
a)二重特異性抗体又は二重特異性抗体断片を含むフィードを準備する工程と;
b)フィードを、固体支持体にカップリングされた親和性リガンドを有する分離基材と接触させる工程と;
c)任意選択で、分離樹脂を洗浄液で洗浄する工程と;
d)溶出緩衝液を分離樹脂にアプライして、親和性リガンドに結合している抗体又は抗体断片を溶出する工程とを含む。
工程d)において、pH勾配が溶出緩衝液に対して適用され、前記pH勾配は、約6~約2である。例2~例4及び図3~図5で分かるように、本方法は、VH3鎖を1本含む抗体とVH3鎖を2本含む抗体の分離を可能にする。
一実施形態によれば、pH勾配は、約5.5から約2.0まで、又は約2.5までである。別の実施形態において、pH勾配は、約5.2から約2.0まで、又は約2.5までである。更に別の実施形態において、pH勾配は、約5.0から約2.0まで、又は約2.5までである。
本方法のpH範囲において、親和性リガンドに対する抗体のどんなFc結合も、より高いpHでFc結合が消滅するので、最初に遊離されることになる。pHを低下させることによりFc結合が中和された場合、VH相互作用は、なお活性であり、分離基材内にmAbを保持することになる。Fc結合の親和性は、VH結合よりなお強くなりうるが、本方法において選択した条件、特にpHに関しては、VH相互作用は、より低いpHにとどまることになる。結果として、少なくとも1つのVH3領域を持たないどんな抗体も、分離のためのpH勾配範囲に達する前に溶出されることになる。それ故、本分離の方法は、一方のHC又は両方のHC上にFc結合ノックアウトを持つ抗体に使用される場合もある。
実施例に示すように、本方法は、親和性リガンド上でFc結合がなお存在し(例2~4)、既存のVH相互作用があるリガンドでよく機能する。VH3相互作用が阻害されたリガンドの場合、分離は観察されなかった(参照例1)。
本発明の方法の優位性の1つは、既に市販されている親和性リガンドが使用されうることである。本発明者らは、通常無視される既に存在するVH3結合を使用し、このVH3結合に基づく分離方法を開発した。
本方法による分離に適した抗体は、それが1つ又は2つの結合VH3鎖を有するという意味で二重特異的である抗体である。従ってそれは、VH3鎖を2本持つ抗体からのVH3鎖を1本しか持たない抗体の分離に関しうる。VH3鎖を欠く抗体も、溶出工程において前述の2つのバージョンから分離されることになるので、分離されうる。
本方法による分離は、指定されたpH勾配溶出においてVH3鎖を1本有する抗体が、VH3鎖を2本有する抗体の前に溶出することになる。おそらくVH3鎖のない抗体は、Fc部分を介して親和性リガンドを結合し、その結果Fc結合が消滅すると溶出することになるので、VH3鎖を1本持つ抗体の前に溶出することになる。
本発明の方法に使用される親和性リガンドは、好ましくはプロテインAリガンドである。プロテインAリガンドは、Zドメイン、Aドメイン、Bドメイン、Cドメイン、Dドメイン及びEドメインを含む群から選択される天然の又は突然変異したドメインを含むことができる。好ましい一実施形態において、リガンドは、天然の又は突然変異したZドメインを含む。別の好ましい実施形態において、リガンドは、天然の又は突然変異したCドメインを含む。本方法に使用されうる親和性リガンドを含む分離基材は、MabSelect(商標)(Cytiva)、MabSelect(商標) Xtra(Cytiva)、ProSep(商標) A(Merck Millipore)、ProSep(商標)Ultra Plus(Merck Millipore)、AbSolute(商標)、CaptivA(商標)(Repligen)、PriMab(商標)(Repligen)及びProtein A Diamond(Bestchrom)、MabSelect(商標) PrismA(Cytiva)、Eshmuno(商標) A(Merck Millipore)、Toyopearl(商標) AF rProtein A(Tosoh)、Amsphere(商標) A3(JSR)及びPraesto(登録商標) Jetted A50(Purolite)からなる群から選択されうる。
分離基材の固体支持体は、多孔性支持体でありうる。分離基材の多孔性支持体は、任意の適切な周知の種類でありうる。従来通りの親和性分離基材は、多くの場合有機性のものであり、使用される水性媒体へ親水性表面を露出している、即ちその外部、存在する場合には、内部表面にヒドロキシ(-OH)、カルボキシ(COOH)、カルボキサミド(-CONH、場合によりN置換形態)、アミノ(-NH、場合により置換形態)、オリゴ又はポリエチレンオキシ基を露出しているポリマーに基づく。
特定の実施形態において、支持体は、多糖等のポリヒドロキシポリマーを含む。多糖の例には、例えばデキストラン、デンプン、セルロース、プルラン、寒天、アガロース、等がある。多糖は、本質的に親水性であり、非特異的相互作用の程度が低く、反応性(活性化可能な)ヒドロキシ基の含有量が高く、バイオ処理に使用されるアルカリ性浄化溶液に対して一般に安定である。
一部の実施形態において、支持体は、寒天又はアガロースを含む。支持体は、Sepharose(商標) FF(Cytiva)の名称で販売されている架橋されたアガロースビーズ等、市販の製品でありうる。大規模な分離に特に有利な実施形態において、支持体は、米国特許第6602990号又は第7396467号に記述される方法を使用して剛性を増大させるように構成され、それ故、基材を高流速に一層適するようにする。
特定の実施形態において、ポリマー、多糖又はアガロース支持体等の支持体は、架橋される。架橋は、支持体の剛性に有益であり、化学的安定性を改善する。好ましい実施形態において、支持体は、架橋されたアガロースビーズを含む。
分離基材の固体支持体は、対流に基づくクロマトグラフィー基材でありうる。前記対流に基づくクロマトグラフィー基材は、繊維性の基質でありうる。前記繊維性基質は、電気スピンされたポリマー繊維又はセルロース繊維、任意選択で不織繊維に基づきうる。従って繊維性基質は、繊維性不織布ポリマー基材でありうる。繊維は、好ましくは架橋される。前記繊維性基質に含まれる繊維は、200~800nm、200~400nm又は300~400nm等10~1000nmの断面直径を有する。そのような繊維性基質は、Cytiva製HiTrap Fibroユニットに見られうる。
分離基材に適用されるフィードは、細胞培養上清でありうる。細胞培養上清は細胞を含有してもよく、又は細胞が除去されてもよく、及び/若しくは清澄化されてもよい。
フィードに含まれる抗体は、一方のVH鎖がVH3である異なる2本のVH鎖を含む任意の抗体である。Knob-into-hole(Kih)は、二重特異性である抗体を作製するためによく検証されている一技術である。本方法に適切な二重特異性抗体は、いわゆる共通軽鎖抗体でありうる。共通軽鎖抗体は、同一の軽鎖を2本有し、従って二重特異性は、異なるVH鎖のみに関係する。適切な二重特異性抗体は、異なるVH鎖に加えて異なる軽鎖を有してもよい。最近では、VH鎖を4本含む、テトラVH IgGも操作された。これら四価のIgGも、本方法で分離されうる。デュオボディは、異なる2本のVH鎖を含むFc修飾されたIgGの別の例である。
一方がVH3鎖であるVH鎖を2本含む抗体断片も、本方法により分離されうる。結果として、フィードに含まれる抗体断片は、一方のVH鎖がVH3である異なる2本のVH鎖を含む任意の抗体断片でありうる。前記抗体断片は、ダイアボディ、scFv-Fc、scFv-CH、Fab-scFv-Fc又はscFv-ジッパーから選択されうる。1本鎖可変断片(scFv)は、約10~25アミノ酸の短いリンカーペプチドで接続された免疫グロブリンの重鎖(VH)及び軽鎖(VL)可変領域の融合タンパク質である。このタンパク質は、定常領域を除去し、リンカーを導入したにもかかわらず、元の免疫グロブリンの特異性を保持している。ダイアボディは、リンカーペプチドで接続された2本のscFvであり、そのリンカーペプチドは2つの可変領域を互いに折り畳むには短すぎ(約5アミノ酸)、scFvを二量体化させる。ダイアボディは、対応するscFvより最大40倍低い解離定数を有することが示され、そのことは、標的に対して非常に高い親和性を有することを意味する。2本のscFvがより長いリンカーで接続されて、scFv二量体を形成することもありうる。それらは、例えばscFv-Fc若しくはscFv-CH、又はscFv-ジッパーでありうる。
上の二重特異性抗体断片及び二重特異性抗体のリストは、単なる例であり、網羅的でない。当業者は、VH鎖を少なくとも2本含む任意の抗体断片であって、一方のVH鎖がVH3鎖である抗体断片が、本発明による方法に適用可能であると理解することになる。
本発明の方法は、以下の非限定的な例において例示される。これら例から、特許請求の範囲に記載の方法により、親和性リガンド及び分離基材の範囲にわたって、単一特異性抗体から二重特異性抗体を分離することが可能になることは明らかである。それ故、本発明の方法の概念上の原則が、様々な親和性リガンド及び分離基材に適用可能であることが証明される。
2つのmAbを、本実験に使用した。Hemlibra(登録商標)(抗体エミシズマブ、Roche製)は、HCヘテロ二量体であり、一方のHCがVH3領域を有し、一方のHCがVH1領域を有する。ハーセプチン(登録商標)(抗体トラスツズマブ、Roche製)は、各HC上に1つずつ2つのVH3ドメインを含むホモ二量体である。以下の例において、2つのmAbを、各例で指定する分離基材を含むクロマトグラフィーカラムに適用する前に混合した。
(例1)(参照)
本実験は、Cytiva製MabSelect(商標) SuRe分離基材を使用して、上述の抗体混合物で実行された。
実行条件:
試料:ハーセプチン(登録商標)及びヘムライブラ(登録商標)、濃度PBS中にそれぞれ1.2及び0.6mg/mL
カラム: Tricorn 5/100、Bh=10cm、Vt=2mL
樹脂: MabSelect(商標) SuRe
緩衝液A1: PBS
緩衝液A2: 50mMクエン酸ナトリウムpH=6.5
緩衝液A3: 25mM NaOH
緩衝液B1: 50mMクエン酸ナトリウムpH=2.5
システム: AKTA(商標) pure
流速: 0.5mL/分
平衡化: 2CV緩衝液A1
試料アプライ: 200μL
洗浄1: 2CV緩衝液A1
洗浄2: 3CV緩衝液A2
溶出: 10CVの30から100%緩衝液B1
結果を、図2に示す。2つのmAb間に分離は観察されない。これは、MabSelect(商標) SuReが、前述のようにVH3相互作用が阻害されており、リガンドに対してFc結合のみ利用可能であるという事実のためである。結果として、樹脂への結合が抗体のFc領域に基づくので、VH3鎖の数が異なる、単一特異性抗体からの二重特異性抗体の分離は得られない。
(例2)
本実験は、PrismA分離基材を使用して、上記と同じ抗体の混合物で実施された。
実行条件:
試料:ハーセプチン(登録商標)とヘムライブラ(登録商標)の混合物、濃度PBS中にそれぞれ1.2及び0.6mg/mL
カラム: Tricorn 5/100、Bh=10cm、Vt=2mL
樹脂: Mabselect(商標) PrismA
緩衝液A1: PBS
緩衝液A2: 50mMクエン酸ナトリウムpH=6.5
緩衝液A3: 25mM NaOH
緩衝液B1: 50mMクエン酸ナトリウムpH=2.5
システム: AKTA(商標) pure
流速: 0.5mL/分
平衡化: 2CV緩衝液A1
試料アプライ: 200μL
洗浄1: 2CV緩衝液A1
洗浄2: 3CV緩衝液A2
溶出: 10CVの30から100%緩衝液B1
結果を、図3に示す。pH勾配5.2~2.5において、2つのmAb間の分離が観察される。26mLあたりの第1の溶出ピークは、ヘムライブラ(登録商標)に対応し、27mLあたりの第2の溶出ピークは、ハーセプチン(登録商標)に対応する。
従って、VH3相互作用が、VH1及びVH3を含有する重鎖の分離に関与するようである。
(例3)
本実験は、JSR製Amsphere(商標) A3分離基材を使用して、上記と同じ抗体の混合物で実施された。
実行条件:
試料:ハーセプチン(登録商標)とヘムライブラ(登録商標)の混合物、濃度PBS中にそれぞれ1.2及び0.6mg/mL
カラム: Tricorn 5/100、Bh=10cm、Vt=2mL
樹脂: JSR Amsphere(商標) A3
緩衝液A1: PBS
緩衝液A2: 25mMクエン酸ナトリウムpH=5.5
緩衝液A3:100mM NaOH
緩衝液B1: 44mMクエン酸ナトリウムpH=2.5
システム: AKTA(商標) pure
流速: 0.5mL/分
平衡化: 2CV緩衝液A1
試料アプライ: 100μL
洗浄1: 2CV緩衝液A1
洗浄2: 3CV緩衝液A2
溶出: 10CVの0から100%緩衝液B1
結果を、図4に示す。pH勾配5.2~2.5において、2つのmAb間の分離が観察される。37mLあたりの第1の溶出ピークは、ヘムライブラ(登録商標)に対応し、40mLあたりの第2の溶出ピークは、ハーセプチンに対応する。
また、VH3相互作用が、VH1及びVH3を含有する重鎖の分離に関与するようである。
(例4)
本実験は、Purolite製Praesto(登録商標) Jetted A50分離基材を使用して、上記と同じ抗体の混合物で実施された。
実行条件:
試料:ハーセプチン(登録商標)とヘムライブラ(登録商標)の混合物、濃度PBS中にそれぞれ1.2及び0.6mg/mL
カラム: Tricorn 5/100、Bh=10cm、Vt=2mL
樹脂: Purolite Praesto(登録商標) Jetted A50
緩衝液A1: PBS
緩衝液A2: 25mMクエン酸ナトリウムpH=5.5
緩衝液A3:100mM NaOH
緩衝液B1: 44mMクエン酸ナトリウムpH=2.5
システム: AKTA(商標) pure
流速: 0.5mL/分
平衡化: 2CV緩衝液A1
試料アプライ: 100μL
洗浄1: 2CV緩衝液A1
洗浄2: 3CV緩衝液A2
溶出: 10CVの0から100%緩衝液B1
結果を、図5に示す。pH勾配5.2~2.5において、2つのmAb間の分離が観察される。37mLあたりの第1の溶出ピークは、ヘムライブラ(登録商標)に対応し、40mLあたりの第2の溶出ピークは、ハーセプチン(登録商標)に対応する。
再び、VH3相互作用が、VH1及びVH3を含有する重鎖の分離に関与するようである。
本明細書は、例を使用して、最良の様式を含めて本発明を開示しており、更に任意の当業者が、任意のデバイス又はシステムを製作及び使用し、組み込まれた任意の方法を実行することを含めて、本発明を実施することを可能にする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲により定義され、当業技術者が思いつく他の例を含むことができる。そのような他の例は、それが特許請求の範囲の文字通りの文言と異ならない構造的要素を有する場合、又はそれが特許請求の範囲の文字通りの文言と実質的差異がない同等の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。本文に記載の任意の特許又は特許出願は、あたかも個々に組み込まれるかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
2 VH
3 CH1
4 CH2
5 CH3
6 VL
7 CL
8 可変領域(Fv)
9 可変領域(Fv)

Claims (11)

  1. 二重特異性抗体又は二重特異性抗体断片を分離する方法であって、前記方法が:
    a)二重特異性抗体又は二重特異性抗体断片を含むフィードを準備する工程と;
    b)前記フィードを、支持体にカップリングされた親和性リガンドを有する分離基材と接触させる工程と;
    c)任意選択で、分離樹脂を洗浄液で洗浄する工程と;
    d)溶出緩衝液を前記分離樹脂にアプライして、前記親和性リガンドに結合している抗体又は抗体断片を溶出する工程と
    を含み、
    工程d)において、pH勾配が前記溶出緩衝液に対して適用され、前記pH勾配が、約6~約2である、方法。
  2. 前記pH勾配が、約5.5から、又は約5.2から、又は約5.0から、約2.0まで又は約2.5までである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記親和性リガンドが、プロテインAリガンドである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記プロテインAリガンドが、Zドメイン、Aドメイン、Bドメイン、Cドメイン、Dドメイン及びEドメインを含む群から選択される天然の又は突然変異したドメインを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記プロテインAリガンドが、天然の若しくは突然変異したZドメイン又は天然の若しくは突然変異したCドメインを含む、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記支持体が、架橋されたアガロースビーズを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記支持体が、断面直径200~800nm、200~400nm又は300~400nm等、10~1000nmの繊維を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記フィードが、清澄化された細胞培養上清である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記抗体断片が、一方のVH鎖がVH3である異なる2本のVH鎖を含む任意の抗体断片である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記抗体断片が、ダイアボディ、scFv-Fc、scFv-CH、Fab-scFv-Fc又はscFv-ジッパーから選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記抗体が、一方のVH鎖がVH3である異なる2本のVH鎖を含む任意の抗体である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
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