JP2024521298A - 無機粒子を含む水分散液 - Google Patents

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Abstract

本発明による水分散液に含まれた無機粒子は、結晶質と無定形の素粒子との凝集で構成され、球状であり、滑らかな表面を有する。無機粒子の球状外観、低い結晶度及び狭い粒度分布は、CMP工程でスクラッチ欠陥を減らすのにさらに有利である。また、無機物粒子表面の素粒子がさらに多い活性部位を提供して研磨率に優れているので、次世代CMP研磨材として有利である。また、本発明による水分散液は、アミノ酸をさらに含み、アミノ酸が酸化ケイ素ウェーハ表面に吸着されて、酸化ケイ素ウェーハと無機粒子との間の電気的な引力を強化させることにより、研磨率をさらに向上させる効果がある。

Description

本発明は、半導体素子の製造などに使われる研磨用スラリーとして適したセリア系粒子の水分散液に係り、特に、基板上に形成された被研磨膜を化学機械的研磨(化学的機械的研磨:CMP)で平坦化するのに適したセリア系微粒子の水分散液に関する。
半導体基板、配線基板などの半導体素子などは、高密度化・微細化することにより、高性能化を実現している。この半導体製造工程では、いわゆる化学的機械的研磨(CMP)が適用されており、具体的には、浅いトレンチ素子分離、層間絶縁膜の平坦化、コンタクトプラグやCuダマシン配線の形成などに必須的な技術になっている。
一般的に、CMP用研磨スラリーは、研磨用粒子とケミカル成分とで構成されて、ケミカル成分は、対象被膜を酸化や腐蝕させることにより、研磨を促進させる役割を担当する。一方、研磨用粒子は、機械的作用によって研磨する役割を有し、コロイダルシリカやフュームドシリカ、セリア(CeO)粒子が研磨用粒子として使われる。特に、セリア粒子は、酸化ケイ素膜に対して特異的に高い研磨速度を示すために、浅いトレンチ素子分離工程での研磨に適用されている。
浅いトレンチ素子分離工程では、酸化ケイ素膜の研磨だけではなく、窒化ケイ素膜の研磨も行われる。素子分離を容易にするためには、酸化ケイ素膜の研磨速度が速く、窒化ケイ素膜の研磨速度が低いことが望ましいために、研磨速度比(選択比)も重要である。
一方、無機粒子は、多様な分野で原料ないし最終製品として使われており、特に、化学触媒、バイオ、半導体工程、強化ガラス加工などの広い範囲で活用されている。
このような無機粒子を合成する工程は、非常に多様であり、合成方法は、製造接近方式によって原子を組み立てて行く方式(bottom up)と、大きな塊のサイズを減らして行く方式(top down)と、に分けられ、合成原理によって、物理的、機械的、化学的方法に分けられる。化学的方法のうち、液相での化学反応を用いる液相反応法は、セラミック原料粉末の合成法として最も幅広く用いられている方法である。液相化学反応を利用した粉末製造工程の種類としては、ゾル-ゲル法(sol-gel method)、熱分解法(pyrolysis method)、錯体重合法(polymerized complex method)、沈澱法(precipitation method)、水熱合成法(hydrothermal method)などが知られている。
一般的に、無機粒子は、合成される過程で原子固有の組み立て特性によって粒子が成長し、それにより、無機粒子の最終形状が結晶される。すなわち、無機粒子の形状ということは、無機粒子の固有性質であるために、同じ成分の無機粒子を他の形状に製造するということは非常に難しい。
例えば、セリア(CeO)結晶は、角状の六角構造のフローライト(fluorite)粒子状を有している。セリア粒子を半導体製造工程のうち、CMP工程に使われるスラリーに研磨粒子として使用する場合、セリア粒子の角状の構造によってスクラッチ(scratch)不良欠陥が発生している。したがって、それを解決するために、セリア粒子を球状に製造することができる方法が研究されている。しかし、角状のフローライト構造のセリアの形状を球状に変えながら、サイズが均一であり、よく分散されるセリア粒子を合成することは非常に難しい。
また、無機粒子の形状の変化によって粒子の比表面積に差が生じ、それにより、粒子表面での化学反応程度も変わりうる。例えば、無機粒子を触媒として使用する場合、粒子の比表面積は、触媒活性部位と直接的な関連があり、同一体積で比べて、比表面積が大きな粒子は反応性に優れている。
無機粒子のさらに他の争点の1つは、分散安定性である。ナノサイズの無機粒子(以下、「ナノ粒子」とも称する)は、一般的に水溶液上で熱力学的に不安定であり、高い非表面的によって安定して分散されない難点がある。したがって、保管過程で粒子の凝集が起こり、それによって、形状や性質が変化する問題がある。したがって、ナノ粒子の分散性を向上させるための方法が要求される。
これにより、ナノ粒子の分散性を向上させるために、ナノ粒子の表面電荷を制御する技術が必要である。特に、例えば、半導体CMP工程でスラリー内研磨粒子として使われるセリアまたはシリカナノ粒子の水溶液上での分散は非常に重要である。したがって、スラリー水溶液のpHを調節して研磨粒子と膜質との間にさらに強い引力を発生させる環境を提供することにより、研磨工程の効率を向上させようとする試みがある。
本発明が解決しようとする課題は、角状ではない球状の形状を有しながら、水分散性に優れて、特に、シリコン膜に対する研磨能力に優れ、同時にスクラッチ損傷が低い無機粒子を含む水分散液を提供することにある。
本発明は、前述した技術的課題を解決するために、複数個の素粒子が凝集して形成された無機粒子を含む水分散液であって、前記素粒子は、結晶性相と無定形相とが混在しており、結晶化度が90%以下である水分散液を提供する。
一具体例によれば、前記水分散液は、アミノ酸をさらに含みうる。
一具体例によれば、水分散液の総重量を基準に、前記アミノ酸の含量は、0.01~5重量%であり、前記無機粒子の含量は、0.01~5重量%である。
一具体例によれば、前記無機粒子とアミノ酸との重量比は、100:50~200である。
一具体例によれば、前記アミノ酸は、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファンのうちから選択される1つ以上である。
一具体例によれば、前記素粒子は、粒径が1~50nmである。
一具体例によれば、前記無機粒子の密度が3.0~5.0g/mlであり、平均粒径が30~1000nmであり、粒径の標準偏差が20以下である。
一具体例によれば、前記無機粒子は、等電点がpH5~7であり、水分散液のpHは、3~7である。
一具体例によれば、前記無機粒子は、pH4の水分散液の状態で+30~+50mVまたは-30~-50mVのゼータ電位を有しうる。
一具体例によれば、前記無機粒子は、Ga、Sn、As、Sb、Ce、Si、Al、Co、Fe、Li、Mn、Ba、Ti、Sr、V、Zn、La、Hf、Ni、及びZrからなる群から選択される1つ以上の元素の酸化物からなる。
一具体例によれば、前記無機粒子は、CeO粒子であり、Ce3+/Ce4+イオン比が5~60である。
一具体例によれば、前記水分散液は、CMP用スラリーとして使われる。
一具体例によれば、前記無機粒子は、(a)水または水と相溶性を有する溶媒と水との混合溶媒に自己集合性界面活性剤を溶解させる段階;(b)前記(a)段階を実施する前、後、または同時に、無機物前駆体を前記溶媒に溶解または分散させて無機物前駆体溶液を製造する段階;及び(c)前記無機物前駆体と前記界面活性剤との自己集合反応を介して界面活性剤が形成するシェルの中で結晶性相と無定形相とが混在する素粒子を形成し、複数個の素粒子が凝集して無機粒子を形成する段階;を含む方法によって製造されたものである。
一具体例によれば、前記水分散液に含まれた無機粒子は、前記段階(c)で得た無機粒子を酸と塩基とで処理する段階をさらに含んで表面電荷が制御されたものである。
一具体例によれば、前記自己集合性界面活性剤は、前記無機物前駆体とイオン結合することができる電荷を有する陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択される1つ以上であって、縮合反応ないし架橋反応が可能な官能基を保有するものである。
一具体例によれば、前記縮合反応ないし架橋反応が可能な官能基は、アミド基、ニトロ基、アルデヒド基、及びカルボニル基からなる群から選択される1つ以上である。
一具体例によれば、前記自己集合性界面活性剤が、下記化学式1の高分子である。
化学式1:
Figure 2024521298000002
前記化学式1において、R及びRは、独立して水素原子、C~C10アルキル基またはアルコキシ基であり、Rは、下記化学式2の置換基であり、nは、2以上の数である。
化学式2:
Figure 2024521298000003
化学式2において、R及びRは、独立して水素原子、C~C10アルキル基またはアルコキシ基であり、Rは、C~C10アルキレン基または単一共有結合であり、は、連結部品を示す。
また、本発明の他の側面によれば、結晶性相と無定形相とが混在する複数個の素粒子が凝集して形成された無機粒子であって、下記(i)ないし(v)のうち1つ以上を満足する無機粒子が提供される。
(i)前記素粒子は、結晶化度が90%以下であるもの;
(ii)前記無機粒子のアスペクト比(短径/長径)が、0.8以上であるもの;
(iii)前記素粒子の粒径が、20nm以下であるもの;
(iv)前記無機粒子粒径の標準偏差が、20nm以下であるもの;
(v)前記無機粒子は、CeO粒子であり、Ce3+/Ce4+イオン比が、40以上であるもの。
本発明による分散液は、結晶性相と無定形相とが混在しており、結晶化度が90%以下である複数個の素粒子が凝集して形成された無機粒子を使用するが、前記無機粒子は、前記素粒子が表面突起を形成している形状を有し、これにより、大きな比表面積を有することができ、pH調節による表面電荷の制御が容易である。その結果、シリコン膜との接触面積が増大し、研磨速度も向上するだけではなく、スクラッチ損傷が低くて、CMP研磨スラリーに含まれる研磨粒子として使用する時に、研磨効率に優れている。そして、本発明による水分散液は、アミノ酸をさらに含ませてCMP研磨スラリーとして使用すれば、アミノ酸が酸化ケイ素ウェーハ表面に吸着されて、酸化ケイ素ウェーハと無機粒子との間の電気的な引力を強化させることにより、研磨率をさらに向上させうる。
本発明による無機粒子の形状を概略的に示した図面である。 製造例1及び参照例1によるCeO粒子に対する走査電子顕微鏡(scanning electron microscope)イメージと高解像度透過電子顕微鏡(HR-TEM)イメージである。 参照例2による試料の走査電子顕微鏡イメージである。 製造例1及び参照例1のCeO粒子に対する粒度分布を分析したヒストグラムである。 製造例1及び参照例1のCeO粒子に対するXRD分析結果である。 製造例1及び参照例1によるCeO粒子のHR-TEMイメージと選択領域電子回折(SAED)パターンとを示す図面である。 製造例1及び参照例1によるCeO粒子のX線光電子分光分析(XPS)結果である。 製造例1及び参照例1によるCeO粒子の水分散液に対するゼータ電位の測定結果である。 製造例1及び参照例1によるCeO粒子のスラリーを使用してシリコン膜の研磨率(Removal rate)を比較した結果である。 製造例1によるCeO粒子(A)と参照例1による粒子(B)とをそれぞれ用いてCMP testを進行した後のウェーハ表面に対する原子間力顕微鏡(atomic force microscope)イメージである。 製造例1によるCeO粒子(A)と参照例1による粒子(B)とをそれぞれ用いてCMP testを進行した後のウェーハ表面に対する原子間力顕微鏡(atomic force microscope)イメージである。
以下、本発明を多様な具現例を参照してより詳細に説明する。
しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の技術思想及び範囲に含まれる変形物、均等物または代替物をいずれも含むものと理解しなければならない。
第1、第2、A、Bなどの用語は、多様な構成要素の説明に使われるが、前記構成要素が、前記用語によって限定されるものではなく、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。
「及び/または」という用語は、複数の記載の項目のうち、何れか1つまたはこれらを含む組み合わせを含む。
ある構成要素が、他の構成要素に「連結されて」、または「接続されて」いるという記載は、その他の構成要素に直接に連結または接続されていても、または中間に他の構成要素が存在していても良いということを理解しなければならない。
単数の表現は、取り立てて明示しない限り、複数の表現を含む。
「備える」、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、数値、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在するということを称するものであり、言及されていない他の特徴、数値、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在、または付加可能性を排除しない。
本発明によれば、自己集合性界面活性剤を水系溶媒中で無機物前駆体と反応させることにより、無機物固有の原子組み立て特性による粒子形状ではない他の形状を有する無機粒子の合成が可能である。例えば、固有の原子組み立て構造によれば、角状のフローライト六角構造で形成されるしかないセリア(CeO)無機粒子を突起を有する球状の粒子に製造可能である。
本発明によれば、結晶性相と無定形相とが混在しており、結晶化度が90%以下である複数個の素粒子が凝集して無機粒子を形成している。前記結晶化度は、素粒子の結晶化度でもあるが、素粒子が凝集してナノクラスターの形態で無機粒子を形成しているために、無機粒子の結晶化度とも言及される。前記結晶化度はまた、全体相中での結晶性相の比率を意味する。すなわち、結晶化度が90%以下であるということは、結晶性相が90%以下であり、無定形相が10%以上を占めているということを意味する。前記素粒子または無機粒子の結晶化度は、90%以下、85%以下、80%以下または75%以下であり、50%以上、60%以上、65%以上または70%以上である。
結晶性相と無定形相とが一定の比率で混在しているために、CMP工程の研磨スラリーとして使用する場合、基板のスクラッチ、ディッシングなどの欠陥発生を最小化することができる。
図1は、本発明による無機粒子の構造を概略的に図示する。すなわち、本発明による無機粒子は、非常に小さな素粒子の集合体からなっており、素粒子は、結晶性相と無定形相とが混在しており、表面突起を形成しているために、非常に独特な表面を有する。
図1のように、無機粒子及び素粒子は、いずれも実質的に球状である。ここで、球状とは、短径/長径の比で表現されるアスペクト比が0.8以上、0.9以上または0.95以上であり、その逆数が1.2以下、1.1以下または1.05以下であることを意味する。したがって、本発明による無機粒子を称する時、以下、「球状突起無機粒子」または「球状突起粒子」とも称する。
無機粒子が、その表面に球状突起を有することにより、同一質量基準において粒子の比表面積を増加させる効果がある。球状突起を形成する素粒子の直径は、無機粒子直径の2~25%である。素粒子の粒径は、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下、8nm以下、6nm以下または5nm以下であり、1nm以上、2nm以上、3nm以上、または4nm以上である。素粒子の粒径は、20nmであることが望ましい。
本発明による水分散液に使われる球状突起無機粒子は、30~1000nmの粒度分布を有し、均一なサイズに形成される。球状突起無機粒子のサイズは、数平均粒径を基準として、望ましくは、50nm以上、100nm以上、110nm以上または120nm以上、そして、800nm以下、500nm以下、300nm以下、200nm以下または150nm以下である。無機粒子粒径の標準偏差は、20nm以下、18nm以下、16nm以下、14nm以下、12nm以下または11nm以下である。
図1は、本発明の製造例1によって製造されたセリア粒子の構造を概略的に図示するが、CeO単位体(サイズ0.54nm)が集まって素粒子(粒径4.4nm)を形成し、素粒子が集まってセリア粒子(粒径108nm)を形成することを示す。
本発明による水分散液に使われる球状突起無機粒子は、自己集合性界面活性剤と無機物前駆体とを自己集合反応させて製造可能であり、その結果、本発明による無機粒子は、その密度が3.0~5.0g/mlである。密度は、TAP密度測定法(ASTM B527)で測定することができる。無機粒子の密度は、3.2g/ml以上、3.3g/ml以上、3.4g/ml以上または3.5g/ml以上であり、4.5g/ml以下または4.0g/ml以下である。
一具体例によれば、前記1次粒子及び2次粒子は、それぞれ独立してGa、Sn、As、Sb、Ce、Si、Al、Co、Fe、Li、Mn、Ba、Ti、Sr、V、Zn、La、Hf、Ni、及びZrからなる群から選択される1つ以上の元素の酸化物からなるものである。望ましい実施例によれば、セリウム(Ce)、シリコン(Si)及びアルミニウム(Al)から選択される1つ以上の酸化物である。望ましい実施例によれば、無機粒子は、セリア(CeO)からなりうる。
一具体例によれば、前記球状突起無機粒子は、水分散液の状態で表面電荷が+30mV以上、または-30mV以下を少なくとも一回有することができ、特に、pH4条件で+30~+50mVまたは-30~-50mVの絶対値が高い表面電荷(ゼータ電位)を示す。ここで、「表面電荷」という用語は、「ゼータ電位」と同等の意味として使われる。
また、前記無機粒子の等電点は、pH5~7である。望ましくは、等電点がpH5.5以上6.5以下である。水系で等電点が低いほど粒子表面に-OH基が多く存在することを意味するが、これは、直ちに粒子表面の活性部位が多いということを意味するので、CMP工程で研磨性能を向上させる点において有利である。
本発明による無機粒子を半導体CMP工程でのスラリー内研磨粒子として使用すれば、角状の角のない球状でありながら、無定形相を含んでいるために、スクラッチ不良欠陥を補完することができ、粒子表面にある多様な突起によって比表面積が増加して、研磨しようとする膜質と接触する確率が高くなるだけではなく、粒子の表面性質の変化によって研磨速度を向上させうる。例えば、本発明で提示した方法で製造される球状突起セリア粒子の場合、粒子表面での元素欠陥によって、既存の六角フローライトセリア粒子に比べてCe(III)が多くなって、研磨速度を向上させうる。
本発明によって製造されたセリア粒子は、Ce3+/Ce4+イオン比が5~60である。Ce3+/Ce4+イオン比が高いほど研磨速度が向上するが、本発明によれば、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、42以上、44以上または46以上のイオン比が得られ、40以上であることが望ましい。前記イオン比は、60以下、55以下または50以下である。
また、本発明で提示したpH調節を介する無機粒子の表面電荷の制御方法を活用すれば、球状突起無機粒子の表面電荷をより容易に制御することができ、それを活用してCMP工程で研磨粒子と膜質との間に最適相互作用を発揮することができる水溶液のpH環境を造成することにより、さらに効率的かつ安定した研磨が可能である。
以下、液相合成法を用いて球状突起無機粒子を製造する方法についてより具体的に説明する。
液相合成法を利用した球状突起無機粒子の製造方法
本発明による球状突起無機粒子は、下記の段階を含む方法で製造可能である。
(a)溶媒に自己集合性界面活性剤を溶解させる段階;(b)前記(a)段階を実施する前、後、または同時に、無機物前駆体を前記溶媒に溶解または分散させて無機物前駆体溶液を製造する段階;及び(c)前記無機物前駆体と前記界面活性剤との自己集合反応を介して界面活性剤が形成するシェルの中で結晶性相と無定形相とが混在された素粒子を形成し、複数個の素粒子が凝集して無機粒子を形成する段階。
本発明で提示する液相合成法を利用した球状突起無機粒子の製造過程で段階(c)の粒子形成過程は、(i)自己集合性界面活性剤と共に無機物前駆体が還元されながら、素粒子が形成される段階;及び(ii)自己集合性界面活性剤の自己集合反応が進行すると共に、複数の素粒子が凝集されながら、表面に突起を有する球状無機粒子に成長する段階;を含む。無機粒子形成と表面突起形成との2つの段階は、たとえ区分して説明したとしても、反応が連続して起こるので、1つの合成段階によって球状突起無機粒子が形成されるとも解釈される。
無機物前駆体
まず、製造しようとする無機物の前駆体溶液を製造する。無機物前駆体と自己集合性界面活性剤、溶媒とを混合して製造し、この際、溶媒に界面活性剤を先に溶解させた後に無機物前駆体を入れても、溶媒に無機物前駆体を先に溶解した後、界面活性剤を入れて混合しても、または、溶媒に無機物前駆体と自己集合性界面活性剤とを同時に添加して混合しても良い。この過程で無機物前駆体と界面活性剤との間に弱い結合がなされる。
ここで、無機物前駆体としては、Ga、Sn、As、Sb、Ce、Si、Al、Co、Fe、Li、Mn、Ba、Ti、Sr、V、Zn、La、Hf、Ni、及びZrからなる群から選択される1つ以上の元素を含み、酸化物を形成することができる物質である。本発明で使用する無機物前駆体は、水溶液の状態で電荷を帯びている界面活性剤とイオン結合することができる化合物の形態であることが望ましい。例えば、硝酸塩、臭化物、炭酸塩、塩化物、フッ化物、水酸化物、ヨウ化物、シュウ酸塩または硫酸塩であり、これらは、水化物または無水物の形態である。
さらに具体例を挙げれば、Ammonium cerium(IV)nitrate、Cerium(III)bromide anhydrous、Cerium(III)carbonate hydrate、Cerium(III)chloride anhydrous、Cerium(III)chloride heptahydrate、Cerium(III)fluoride anhydrous、Cerium(IV)fluoride、Cerium(IV)hydroxide、Cerium(III)iodide anhydrous、Cerium(III)nitrate hexahydrate、Cerium(III)oxalate hydrate、Cerium(III)sulfate、Cerium(III)sulfate hydrate、Cerium(III)sulfate octahydrate、Cerium(IV)sulfate hydrateのようにセリウムが含まれた塩が使われる。
他の例としては、tetraethyl orthosilicate(TEOS)、diethoxydimethylsilane(DEMS)及びvinyltriethoxysilane(VTES)のようなシリコン前駆体、Ti(OR)の構造を有するチタン前駆体、Zr(OR)構造を有するジルコニウム前駆体、Al(OR)構造を有するアルミニウム前駆体などが使われる。ここで、Rは、水やアルコールと水和ないしアルコール化される官能基を意味し、例えば、メチル基、エチル基のような低級アルキル基である。それ以外にも、Ga、Sn、As、Sb、Mn、またはVの酸化物を形成することができる前駆体を使用することも可能である。
自己集合性界面活性剤
自己集合を形成する界面活性剤としては、陰イオン性、陽イオン性及び両性界面活性剤のいずれも使用可能であり、無機物前駆体と結合することができ、溶媒に溶けながら、(+)または(-)、あるいは2種の電荷をいずれも有しながら、架橋反応によって粒子形成反応を誘導することができる官能基を保有したものである。このような官能基としては、アミド基、ニトロ基、アルデヒド基、カルボニル基などを例として挙げられる。
本発明によれば、合成反応に使用する自己集合性界面活性剤の種類によって表面電荷が異なる粒子を製造することができる。すなわち、製造しようとする無機粒子の表面電荷によって自己集合性界面活性剤を選択的に使用することができる。例えば、(-)電荷を帯びる球状突起無機粒子を製造しようとする場合、陽イオン性界面活性剤を使用することができる。陽イオン性界面活性剤の(+)電荷を帯びる部分で無機物前駆体のイオンと結合して素粒子が作られ、反応が進行することによって自己集合のシェルが形成されながら、その中で無機粒子は、表面に突起がある球状の形状に成長する。同様の原理によって、逆に(+)電荷を有する球状突起無機粒子を製造しようとする場合、陰イオン性界面活性剤を使用することができる。このように、目標とする表面電荷を有する無機粒子を製造するためには、特定のイオン性を帯びる界面活性剤のシェルが必要であり、使用する自己集合性界面活性剤の種類によって、表面電荷が異なる粒子の製造が可能である。
また、必要に応じて合成過程で一種またはそれ以上の界面活性剤を混合して使用可能である。自己集合性物質のうち、界面活性剤は溶媒に溶けながら、互いに架橋(crosslinking)を形成することができ、一定温度と一定時間以上で反応が進行することによって自己集合する。この際、その界面活性剤と結合されていた素粒子の間の間隔が近くなって凝集しながら、粒子は成長するが、自己集合した界面活性剤のシェルに取り囲まれて成長しながら、中実球状粒子に無機粒子が形成され、同時に表面に多様な突起を含む形状に育つ。突起は、球状粒子の表面で同時に成長しても良く、独自的に成長した突起が球状粒子の表面に表われながら、突起を形成しても良い。
陰イオン性界面活性剤としては、Alkylbenzene sulfonates、Alkyl sulfates、Alkyl ether sulfates、Soapsなどが使われる。
陽イオン性界面活性剤としては、alkyl quaternary nitrogen化合物、Esterquatsのようなquaternary ammonium化合物などが使われる。
また、陽イオン性のquaternary ammonium ion基と陰イオン性のcarboxylate(-COO)sulfate(-SO 2-)またはsulfonate(-SO )基とをいずれも含む両性界面活性剤が使われる。
それだけではなく、Picolinic acid、(carboxymethyl)dimethyl-3-[(1-oxododecyl)amino]propylammonium hydroxide、lauryl betaine、betaine citrate、sodium lauroamphoacetate、sodium hydroxymethylglycinate、(carboxymethyl)dimethyloleylammonium hydroxide、cocamidopropyl betaine、(carboxylate methyl)dimethyl(octadecyl)ammonium、PEO-PPO block copolymer、anionic siloxanes及びdendrimers、poly(sodium 10-undecylenate)、poly(sodium 10-undecenylsulfate)、poly(sodium undeconylvalinate)、polyvinylpyrrolidone、polyvinylalcohol、2-acrylamide-2-methyl-1-propanesulfonic acid、alkyl methacrylamide、alkyl acrylate、poly(allylamine)-supported phases、poly(ethyleneimine)、poly(N-isopropylacrylamide)、n-hydroxysuccinimideなどが使われる。
望ましくは、前記自己集合性界面活性剤が、下記化学式1の高分子である。また、下記化学式1の高分子は、分子内(+)と(-)との性質をいずれも有する両性界面活性剤であると言える。
化学式1:
Figure 2024521298000004
前記化学式1において、R及びRは、独立して水素原子、C~C10アルキル基またはアルコキシ基であり、nは、2以上の数であり、Rは、下記化学式2の構造を有する置換基である。
化学式2:
Figure 2024521298000005
化学式2において、R及びRは、独立して水素原子、C~C10アルキル基またはアルコキシ基であり、Rは、C~C10アルキレン基または単一共有結合であり、は、連結部品を示す。
前記化学式1の高分子は、分子量が500以上100,000g/mol以下であることが望ましい。ここで、分子量は、重量平均分子量であり、重量平均分子量とは、GPC法によって測定したポリスチレン換算分子量を意味する。前記分子量は、1000以上、5000以上、10,000以上、20,000以上または30,000以上であり、95,000以下、90,000以下、85,000以下、80,000以下、70,000以下、60,000以下、50,000以下または40,000以下である。
自己集合性界面活性剤の使用量は、無機物前駆体100重量部当たり30~150重量部である。界面活性剤の使用量は、無機物前駆体100重量部当たり40重量部以上、50重量部以上、60重量部以上、70重量部以上、80重量部以上または90重量部以上であり、140重量部以下、130重量部以下、120重量部以下または110重量部以下である。
溶媒
球状突起無機粒子の合成反応に使われる溶媒は、水または水と相溶性を有する溶媒と水との混合溶媒である。
一具体例によれば、前記水と相溶性を有する溶媒は、アルコール、クロロホルム、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、及びブチルグリコールのうちから選択される1つ以上である。
水と相溶性を有する溶媒を水と混合して使用する場合、水:相溶性溶媒の混合体積比は、100:50~200、または100:60~150、または100:70~120である。
水や水と相溶性を有する溶媒と水との混合物を溶媒として使用して、無機物前駆体及び/または自己集合性界面活性剤を添加して溶解させる時には、撹拌機を使用することが良く、完全に溶解させた後に反応を進行させることが良い。そうでない場合、均一なモルフォロジー(morphology)の粒子の形成の妨害になるためである。
球状突起無機粒子の合成反応
球状突起無機粒子の合成段階では、前記製造された無機物前駆体溶液が反応器に流入し、自己集合性界面活性剤との合成反応が進行する。球状突起無機粒子の合成は、1~24時間60~250℃の温度範囲でなされる。望ましくは、2時間以上、3時間以上、または4時間以上、そして、20時間以下、10時間以下、または8時間以下の間、70℃以上、80℃以上または90℃以上、そして、220℃以下、200℃以下、180℃以下、または160℃以下の範囲で進行しうる。
自己集合性界面活性剤は、溶媒に溶けた後、一定温度と時間とで反応が進行することによって、無機物前駆体のイオンと結合する。ここで、自己集合とは、界面活性剤の(+)性質を有する部分と(-)性質を有する部分とが結合しながら、自発的に組織的な構造や形態を形成することを意味する。例えば、界面活性剤が分子構造内にアミド基を有するならば、窒素原子部分は(+)の性質を酸素原子部分は(-)の性質を有して、自らネットワーク構造を形成しうる。それと同時に、このような自己集合性物質と共に溶媒に溶けていた素粒子の間の間隔が近くなって凝集しながら、粒子は成長する(ナノクラスター形成)。この過程で粒子が界面活性剤のシェルで取り囲まれて成長するために、球状粒子に作られ、粒子表面には突起が形成される。この際、突起は、球状粒子の表面で同時に成長しても良く、独自的に成長した突起が球状粒子の表面に表われながら、突起を形成しても良い。
球状突起無機粒子の表面電荷の制御方法
本発明によれば、前記合成反応で得た無機粒子を酸及び/または塩基で処理して無機粒子の表面電荷を制御することができる。
本発明で提示する球状突起無機粒子の表面電荷の制御方法は、基本的に粒子が含まれている水分散液のpHを制御するものである。例えば、水分散液内に正電荷を帯びる粒子がある場合、酸性物質を添加するほど粒子はさらに強い正電荷を帯び、逆に、塩基性物質を添加するほど粒子の表面電荷は次第に弱い正電荷を帯びてきて、中性を帯びる点まで到達する。それよりもさらに過度に塩基を継続的に添加すれば、負電荷を帯びる。このような原理を用いて水溶液内のpHを調節することにより、無機粒子の表面電荷を制御することができる。
水溶液のpHを下げるための酸性pH調節剤としては、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸などの酸性物質を1つまたはそれ以上混合して使用することができ、逆に、pHを高めるための塩基性pH調節剤としては、水酸化ナトリウム、アンモニア水などの塩基性物質を1つまたはそれ以上混合して使用することができる。この際、pHを調節すると共に、撹拌機を用いて水溶液の内部を均一に混合して初めて、正確なpH測定がなされうる。
本発明による球状突起無機粒子は、表面電荷において、+30mV以上、または-30mV以下を少なくとも一回有する無機粒子であって、水溶液内で安定した状態で存在して表面特性をさらに効果的に発現することができる表面電荷の調節方法を含む。このように製造された粒子は、ガラス、シリコンのような多様な媒質との結合力に優れており、研磨粒子として使用が可能である。
特に、本発明による無機粒子は、pH4の水分散液の状態で表面電荷が+30~+50mVまたは-30~-50mVである。すなわち、与えられたpH条件で絶対値が高いゼータ電位を有するために、研磨率がさらに向上する。ここで、「表面電荷」という用語は、「ゼータ電位」と同等な意味として使われる。
本発明によれば、前述した無機粒子が水に分散されており、アミノ酸を添加剤として含む水分散液が提供される。
金属酸化物系の無機粒子は、金属元素が酸化ケイ素平面と結合し、研磨が進行する。例えば、セリア粒子は、SiO平面とCe-O-Si結合を介して研磨が進行するが、アミノ酸は、SiOウェーハとセリア粒子との間の電気的な引力を強化させて研磨率を上昇させることができる。すなわち、アミノ酸は、セリアと直接的な反応なしにSiO表面と吸着することにより、研磨率を上昇させる効果がある。
アミノ酸の具体例としては、グリジン、α-アラニン、β-アラニン、N-メチルグリジン、N,N-ジメチルグリジン、2-アミノ酪酸、ノルバリン、バリン、ロイシン、ノルロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、サルコシン、オルニチン、リジン、タウリン、セリン、トレオニン、ホモセリン、チロシン、ビシン、トリシン、3,5-ジヨード-チロシン、β-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-アラニン、チロキシン、4-ヒドロキシ-プロリン、システイン、メチオニン、エチオニン、ラチオニン、シスタチオニン、シスチン、システイン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、S-(カルボキシメチル)-システイン、4-アミノ酪酸、アスパラギン、グルタミン、アザセリン、アルギニン、カナバニン、シトルリン、δ-ヒドロキシ-リジン、クレアチン、ヒスチジン、1-メチル-ヒスチジン、3-メチル-ヒスチジン、トリプトファンなどが挙げられる。
これらの中でも、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファンのように芳香族アミノ酸がセリア粒子との直接的な反応なしに酸化ケイ素ウェーハ表面に吸着する傾向が大きいために、さらに望ましい。
また、前記アミノ酸の含量は、水分散液の総重量を基準に0.01~5重量%である。アミノ酸含量が0.01重量%未満であれば、SiO表面と吸着することにより、研磨率を上昇させる効果が微小であり、5重量%を超過すれば、むしろSiO表面に厚いパッシベーション層(passivation layer)が形成されて望ましくない。アミノ酸の含量は、分散液の総重量を基準に、例えば、0.05重量%以上、0.06重量%以上、0.07重量%以上、0.08重量%以上、そして、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下である。
また、前記無機粒子の含量は、水分散液の総重量を基準に0.01~5重量%である。望ましくは、0.05重量%以上、0.06重量%以上、0.07重量%以上、0.08重量%以上、そして、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下である。0.01重量%未満であれば、SiOウェーハ表面に対する研磨効果が微小であり、5重量%を超過すれば、過度の無機粒子の存在によって研磨作用が阻害されて望ましくない。
また、無機粒子に比べて、アミノ酸の重量比を調節して最適の研磨効率を有する水分散液を製造することができる。例えば、無機粒子100重量部に対して、アミノ酸50~200重量部使用することができる。望ましくは、無機粒子100重量部に対して、60重量部以上、70重量部以上、80重量部以上または90重量部以上、180重量部以下、160重量部以下、140重量部以下または120重量部以下である。アミノ酸含量が前記範囲に及ばなければ、アミノ酸添加による研磨効率向上の効果が微小であり、前記範囲を超過すれば、SiO表面に厚いアミノ酸パッシベーション層が形成されて望ましくない。
また、本発明者らの研究によれば、本発明による無機粒子を含有する水分散液は、アミノ酸添加後、水分散液のpHを3~7の範囲に調節した時、研磨率がさらに上昇しうるということを見つけた。水分散液のpHは、3以上、3.5以上、4以上または4.2以上、4.4以上、そして、7以下、6.5以下、6以下、5.5以下、5以下、または4.9以下である。
水分散液のpHを所望の値に調整するために、pH調整剤を使用することができる。使用するpH調整剤は、酸及びアルカリのうち如何なるものでもよく、また、無機及び有機の化合物のうち如何なるものでも良い。また、pH調整剤は、単独、または2種以上組み合わせて使用することができる。また、前述した各種の添加剤として、pH調整機能を有するもの(例えば、各種の酸など)を使用する場合には、当該添加剤をpH調整剤の少なくとも一部として用いても良い。
また、本発明による水分散液は、その用途によって多様な添加剤をさらに含みうる。例えば、研磨スラリーとして使われる場合には、研磨速度をさらに向上させうる各種の添加剤、すなわち、有機酸、ニトリル化合物及びその他のキレート剤などを含みうる。
有機酸の具体例としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マイレン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。有機酸の代わりに、または、有機酸と組み合わせて、有機酸のアルカリ金属塩などの塩を使用することもできる。
ニトリル化合物の具体例としては、例えば、アセトニトリル、アミノアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリルなどが挙げられる。
キレート剤の具体例としては、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N-トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン-N,N,N’,N’-テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2-ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N-(2-カルボン酸エチル)-L-アスパラギン酸、β-アラニンジ酢酸、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、N,N’-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N’-ジ酢酸、1,2-ジヒドロキシベンゼン-4,6-ジスルホン酸などが挙げられる。
また、本発明による水分散液は、酸化剤を含んでいる。使用可能な酸化剤は、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸カリウム、硝酸、硝酸鉄、過塩素酸、次亜塩素酸、フェリシアン化カリウム、過硫酸アンモニウム、オゾン水などが挙げられる。これらの酸化剤は、単独、または2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明に他の水分散液は、必要に応じて、水、砥粒、金属防蝕剤、研磨促進剤、界面活性剤、オキソ酸、防腐剤、カビ防止剤、還元剤、水溶性高分子、難溶性の有機物を溶解するための有機溶媒などの他の成分をさらに含みうる。
以下の実施例によって、本発明の構成及び作用をさらに詳しく説明する。但し、これは、本発明の望ましい例示で提示されたものであり、如何なる意味でも、これにより、本発明が制限されると解釈されることはできない。また、本技術分野で熟練した者であれば、十分に技術的に類推することができる内容は、その説明を省略する。
球状突起セリア粒子の製造
<製造例1>
エチレングリコール(99%)と水とを体積比100:100に混合した溶媒160mlに、自己集合性界面活性剤としてPoly(N-isopropylacrylamide)(アルドリッチ社、Mw:30,000)を2g入れ、マグネチック撹拌機で撹拌した。完全に溶解されたことを確認した後にセリウム前駆体としてアルドリッチ社(Aldrich社)のCerium nitrate hexahydrate(Ce(NO・6HO)2gを入れ、溶解させてセリウム前駆体溶液を製造した。
そのセリウム前駆体溶液を温度が保持される液相反応器に入れ、90~140℃の温度範囲で約165分間合成反応を進行した。反応終了後、得られたセリア粒子溶液を遠心分離機を用いて4000rpmで1時間30分間遠心分離し、沈殿物を分離した後、水(HO)で洗浄する過程を3回繰り返し、結果物であるセリア粒子を得た(以下、「BOC100」とも称する)。
<製造例2>
水180mlにCerium chloride 2.4gを溶解させた水溶液に製造例1で使用したものとは分子量が異なるPoly(N-isopropylacrylamide)(アルドリッチ社、Mw:85,000)を2.4g添加して70~90℃で6時間撹拌して反応させた。以後、前記の製造例1と同じ方法で分離及び洗浄して球状突起を有するセリア粒子を得た。
<参照例1>
フローライト六角構造のCeO粒子(製造社:Solvay、製品名:HC60)を準備した。
<参照例2>
水160mlにセリウム前駆体としてアルドリッチ社のCerium nitrate hexahydrate(Ce(NO・6HO)8gを入れ、溶解させてセリウム前駆体溶液を作り、マグネチック撹拌機で撹拌した。完全に溶解されたことを確認した後にSodium hydroxide(NaOH)4gを入れて、塩基状態の溶液で製造した。約1時間撹拌して沈澱法で合成されたCeO粒子を準備した。
モルフォロジー及び構造分析
製造例1及び製造例2と参照例1とのセリア粒子に対するモルフォロジー及び構造を走査電子顕微鏡(FE-SEM、JEOL JSM 7401F)、高解像度透過電子顕微鏡(HR-TEM、JEM-2100F)、X線回折分析器(Rigaku SmartLab SE X-ray diffractometer with Cu Kα radiation)及びX線光電子分光分析器(XPS、Thermo ESCALAB 250)を使用して分析した。
図2のA及び図2のBは、製造例1で製造したセリア粒子(BOC100)の形状を示すSEMイメージとTEMイメージとである。製造例1のセリア粒子がラウンドしており、柔らかい表面を有した球状であるということを示す。
一方、図2のD及び図2のEによれば、参照例1のセリア粒子(HC60)は、鋭く角状のエッジと結晶格子面を保有したフローライト結晶の特徴的な形状を示す。
図3は、参照例2によって、沈澱法によって製造された粒子のSEMイメージである。粒子の形状が不規則であり、凝集していることを確認することができる。
また、図4は、製造例1及び参照例1のセリア粒子の粒度分布を示すヒストグラムである。製造例1のセリア粒子(BOC100)は、平均粒径は108nmであり、標準偏差10.3であるが、参照例1のセリア粒子(HC60)は、平均粒径が117nmであり、標準偏差は22.5である。製造例1のセリア粒子(BOC100)の標準偏差が参照例1のセリア粒子(HC60)よりも遥かに小さいという事実から製造例1のセリア粒子が単分散性を示すということを確認することができる。
球状を有し、単分散性を有する本発明によるセリア粒子は、鋭く角状のエッジがなく丸くて緩やかな表面を有しているために、CMP工程で欠陥、スクラッチまたはディッシングフロー(dishing flaws)の減少側面でより望ましい。
図1に示したように、製造例1によるセリア粒子は、非常に小さな微細ナノ粒子(粒径が約4.4nm)からなっているために、非常に独特な表面を有する。すなわち、本発明による水分散液に使われた無機粒子は、ナノ粒子または単位体の集合体として形成されるが、製造例1の場合には、CeO原子(0.54nm)が集まってナノ粒子(4.4nm)を形成し、ナノ粒子が集まって無機粒子(108nm)を形成すると言える。
図5は、製造例1と参照例1とのセリア粒子に対するXRD分析結果である。2つの粒子はいずれもフローライト結晶の特徴的なピークに該当する(111)、(200)、(220)、(311)、(222)、(400)、(331)及び(420)格子面に相応する28.55°、33.08°、47.47°、56.33°、59.08°、69.4°、76.7°及び79.07°でピークを有する。しかし、製造例1のセリア粒子(BOC100)のピークが遥かに広いことから参照例1のHC60粒子よりも結晶化度が低いということが分かる。
また、結晶サイズの比較のために、(111)ピークを基準に結晶サイズを算出した。full-width-of-half-maximum(FWHM)を使用するScherrer equationによって平均結晶サイズ(Lc)を算出した(Monshi,A.,M.R.Foroughi,and M.R.Monshi,Modified Scherrer Equation to Estimate More Accurately Nano-Crystallite Size Using XRD.World Journal of Nano Science and Engineering,2012.02(03):p.154-160)。
Figure 2024521298000006
前記式において、λは、X線波長(nm)、βは、FWHM(ラジアン)、Kは、結晶形状と関連した定数(0.9)である。
粒子の結晶化度は、Ruland-Vonk法を使用してXRDピークの下の面積で算出した(Iulianelli,G.C.V.,et al.,Influence of TiO2 nanoparticle on the thermal,morphological and molecular characteristics of PHB matrix,Polymer Testing,2018.65:p.156-162)。
Figure 2024521298000007
前記式において、Icは、結晶性ピークの下の面積の合計であり、Iaは、無定形ハロ面積の合計である。
表1に整理されたように、製造例1のセリア粒子の結晶サイズ(Lc)は、4.4nmであり、結晶化度Xcは、70.5%である。図1の概略図でナノ粒子サイズ4.4nmは、このようなXRD分析結果に基づいたものである。
Figure 2024521298000008
一方、参照例1の粒子は、結晶サイズ(Lc)が45.5nmであり、結晶化度(Xc)は、95.8%である。すなわち、本発明による製造例1の粒子の結晶サイズが参照例1の粒子に比べて遥かに小さく、結晶化度が遥かに低い。これにより、本発明による粒子は、無定形セリアを相当量含有しているということが分かる。無定形相は、結晶性相に比べて遥かにソフトであり、したがって、CMP工程でスクラッチやディッシング欠陥を緩和させるのに望ましい。
図6のBと図6のCは、製造例1による粒子のHR-TEMイメージと選択領域電子回折(SAED)パターンとを示す。製造例1の粒子は、d-spacingが3.10Åであり、これは、セリアの(111)格子面に相当する。図6のCで相の境界を描いて得られた相のサイズは、2~5nmの範囲である。これは、図1に記載の結晶サイズ4.4nmに相当する。拡散されたSAEDパターンを図6のDに示したが、製造例1の粒子が結晶性相及び無定形相の混合物であるということを示す(スポットとリングとで表現)。
図6のEないし図6のGは、参照例1の粒子が境界線によって取り囲まれた一方向の(111)格子面で表示される大きな結晶性相を有するということを示す。これは、参照例1の粒子がほとんど1つまたは2つの単一結晶性相からなっているということを示し、これは、結晶サイズ45.5nmと結晶化度95.8%とによって裏付けられる。
図7は、X線光電子分光分析(XPS)を実施して製造例1と参照例1との粒子に対してCe 3dとO 1sとに対する元素分析を実施した結果をそれぞれAとBグラフで示した。図7のAは、Ce 3dピークがCe 3d5/2とC3 3d3/2とにスプリットされたことを示す。v、v、v、v及びvは、Ce 3d5/2に属し、u、u、u、u及びuは、Ce 3d3/2に属す(Thromat,N.,M.gautier-Soyer,andg.Bordier,Formation of the CeY2O3 interface:an in situ XPS study,Surface science,1996.345(3):p.290-302)。v、v、u及びuピークは、Ce3+イオンの特性を、v、v、v、u、u及びuピークは、Ce4+イオンの特性を示す(Zhang,C.and J.Lin,Visible-light induced oxo-bridged Zr IV-O-Ce III redox centre in tetragonal ZrO 2-CeO 2 solid solution for degradation of organic pollutants,Physical Chemistry Chemical Physics,2011.13(9):p.3896-3905)。
Ce3+とCe4+との濃度は、下記のように求めた。
[Ce3+]=v+v+u+u
[Ce4+]=v+v+v+u+u+u
表2は、XPSピーク割り当ての具体的な情報を示す。
Figure 2024521298000009
前記結果によれば、製造例1の粒子が有するCe3+計算濃度は、32.6%であって、参照例1の粒子の28.3%よりも高い。また、Ce3+/Ce4+の比率は、製造例1の粒子が48.4であり、参照例1の粒子は、39.5であって、製造例1の粒子に含有されたCe3+の濃度がさらに高いということが分かる。
水系で、セリア粒子表面に存在するCe3+イオンは、HOの解離を促進してCeO表面に水酸基(OHgroup)を形成する。粒子表面の水酸基は、活性点として作用するだけではなく、他の物質の物理的吸着を助けるが、特に、CMP工程では、Ce-O-Si結合を形成する。
製造例1及び参照例1の粒子に対して水酸基の濃度をO 1s XPS分析法で測定した(図7のB参照)。528.83eVのピークは、格子酸素イオンO2-、530.33eVのピークは、表面水酸イオンOHに対するものである(表2参照)(Van den Brand,J.,et al.,Correlation between hydroxyl fraction and O/Al atomic ratio as determined from XPS spectra of aluminum oxide layers.Surface and Interface Analysis:An International Journal devoted to the development and application of techniques for the analysis of surfaces,interfaces and thin films,2004.36(1):p.81-88)。
製造例1の粒子は、表面に69.4%のOHを有するが、これは、参照例1の粒子が有する47.3%のOHよりも遥かに多量である。また、製造例1の粒子は、表面に30.6%のO2-を有するが、これは、参照例1の粒子が52.7%のO2-を有するものに比べて遥かに低い濃度である。このような結果は、製造例1の粒子が参照例1の粒子よりも遥かに高い濃度のCe3+イオンを表面に有するものと相応する。したがって、表面のOH濃度は、Ce3+が存在する量に比例すると言える。結果的として、参照例1の粒子よりも多いCe-OH活性部位を有する製造例1の粒子がCMP工程でSiO基板とCeO粒子との間のCe-O-Si結合形成を促進させることができる。
密度
製造例1及び製造例2と参照例1及び参照例2とによるCeO無機粒子の密度をTAP密度測定法(ASTM B527)で測定した。
Figure 2024521298000010
ゼータ電位の測定
ゼータ電位は、Malvern社のzeta potential analyzer(Nano ZS)を用いて測定した。
図8は、製造例1による球状突起CeO粒子分散液のpHを硝酸溶液(酸性pH調節剤)とアンモニア水(塩基性pH調節剤)とを用いてpH2~10に調節した後、ゼータ電位(Zeta potential)を測定した結果である。
図5に示されたように、製造例1及び参照例1のスラリーは、pH2で約60mVの高い正電荷を帯びていて、pHが上がるほど次第に弱い正電荷を示す。CMP工程条件に該当するpH4~4.5で2種のスラリーは、いずれもゼータ電位が>30mVであって、静電気的反発力によって安定した分散状態を保持した。一方、シリカ粒子は、pH2~10の広い範囲、特に、pH4付近では、ゼータ電位が負数であるために、シリカ基板とセリア粒子との互いに反対となる電荷による静電気的引力が発生する。脱イオン水内で製造例1の粒子の等電点(IEP)は、概略的にpH6付近であるが、参照例1の粒子は、pH9付近である。これは、製造例1の粒子は、XPS分析のように、OH濃度が高いためであると判断される。
研磨性能のテスト
脱イオン水に製造例1及び参照例1のセリア粒子を他の添加剤なしに、それぞれ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0及び3重量%の濃度で分散させたスラリーを製造した。
CMP testは、スラリー流量(Flow rate):150ml/min、固定ヘッド圧力(fixed head pressure):4psiの条件でGnP POLI-400Lを使用して1分間進行した。ベアウェーハ(bare wafer)上のSiO初期厚さは、30,000Åであり、屈折計(ST4000-DLX)を使用して研磨率(RR)を測定した(図9参照)。
参照例1の粒子を含むスラリーは、一般的に0.3重量%の濃度である時、最も高い研磨性能を示すと知られている。したがって、粒子の濃度が0.3重量%である時、RRを比較した結果、製造例1は、RR=3546Å/minであり、参照例1は、RR=2197Å/minに測定された。
また、参照例1の粒子は、濃度が2重量%に増加するまでRRが次第に増加しながら、3重量%では減少した。一方、製造例1の粒子は、その濃度が増加するにつれてRRが増加し、3重量%で8904Å/minのRRを達成した。これは、参照例1の粒子が2重量%で達成したRRである3823Å/minの233%に至る高い値である。これにより、参照例1の粒子は、約2重量%で飽和されるが、製造例1の粒子は、3重量%までも飽和されないということが分かる。このような結果は、粒子表面に存在するCe3+イオンとOHイオンとの濃度が高いためであると判断される。
図10A及び図10Bは、製造例1及び参照例1の粒子を脱イオン水に0.3重量%分散させたスラリーを利用したCMP test後のウェーハ表面を原子間力顕微鏡で観察した形状である。参照例1の粒子を含むスラリーで進行したCMP testでは、ウェーハ表面に深く、大きなスクラッチ欠陥が発生し(図10B)、工程後に多量の粒子が表面上に残存することにより確認することができる。一方、製造例1の粒子を含むスラリーとしては、CMP工程を経てもウェーハ表面にスクラッチ欠陥が生じず、残存するセリア粒子の量も、顕著に少ないことを確認することができる(図10A)。
以上の結果によれば、本発明による方法で製造された無機粒子は、サイズが均一であり、pHによって表面電荷が効率的に制御されるということが分かる。また、スラリー形態でCMP testを進行した結果、商用化されているフローライト六角構造のセリア粒子を使用したスラリーよりも優れた研磨性能を示し、同時にウェーハ表面におけるスクラッチ欠陥が遥かに減少したことを確認することができる。
アミノ酸添加水分散液の製造
実施例1
常温の脱イオン水に製造例1のセリア粒子0.1重量%(脱イオン水重量基準)を分散させた後、硝酸を添加してpHを4、4.2、4.4、4.6及び4.8にそれぞれ調節した水分散液を製造した。
実施例2
常温の脱イオン水に製造例1のセリア粒子0.1重量%を分散させた後、チロシンを1000ppm(0.1重量%)(脱イオン水重量基準)添加した。水分散液に硝酸を添加してpHを4、4.2、4.4、4.6、4.8及び5にそれぞれ調節した水分散液を製造した。
実施例1及び実施例2の水分散液を使用した研磨性能の測定結果は、表4と同じである。
Figure 2024521298000011
前記結果から、実施例2による水分散液の研磨率は、実施例1に比べて高くなり、pHの影響を受けることが分かる。また、pH4.6である時、最も優れた性能を示すことが分かる。
実施例3
表4の結果から、pH4.6である時、研磨率が最も優れているということを確認したので、pH4.6に固定し、アミノ酸添加量を0、600、800及び1000ppmに変化させた水分散液を製造して研磨性能をテストした。
Figure 2024521298000012
表5の結果によれば、チロシンを添加しなかった時と比べて研磨率が向上したということが分かる。特に、添加量が約0.1重量%(1000ppm)である時、最高の研磨率を示した。本発明の望ましい実施例による水分散液は、本発明の特有の無機粒子と共にアミノ酸を含むが、それをCMP研磨スラリーとして使用すれば、アミノ酸が酸化ケイ素ウェーハ表面に吸着されて、酸化ケイ素ウェーハと無機粒子との間の電気的な引力を強化させることにより、研磨率をさらに向上させる効果がある。
以上、本発明の実施例を中心に説明したが、当業者のレベルで多様な変更や変形を加えることができる。このような変更と変形は、本発明が提供する技術思想の範囲を外れない限り、本発明に属するものと言える。したがって、本発明の権利範囲は、特許請求の範囲によって判断されなければならない。

Claims (18)

  1. 複数個の素粒子が凝集して形成された無機粒子を含む水分散液であって、前記素粒子は、結晶性相と無定形相とが混在しており、結晶化度が90%以下である、水分散液。
  2. アミノ酸をさらに含む、請求項1に記載の水分散液。
  3. 水分散液の総重量を基準に、前記アミノ酸の含量は、0.01~5重量%であり、前記無機粒子の含量は、0.01~5重量%である、請求項2に記載の水分散液。
  4. 前記無機粒子とアミノ酸との重量比が、100:50~200である、請求項2に記載の水分散液。
  5. 前記アミノ酸が、チロシン、フェニルアラニン及びトリプトファンのうちから選択される1つ以上である、請求項2に記載の水分散液。
  6. 前記素粒子は、粒径が1~50nmである、請求項1に記載の水分散液。
  7. 前記無機粒子は、密度が3.0~5.0g/mlであり、平均粒径が30~1000nmであり、粒径の標準偏差が20以下である、請求項1に記載の水分散液。
  8. 前記無機粒子は、等電点がpH5~7であり、水分散液のpHは、3~7である、請求項1に記載の水分散液。
  9. 前記無機粒子は、pH4の水分散液の状態で表面電荷が+30~+50mVまたは-30~-50mVのゼータ電位を有する、請求項1に記載の水分散液。
  10. 前記無機粒子は、Ga、Sn、As、Sb、Ce、Si、Al、Co、Fe、Li、Mn、Ba、Ti、Sr、V、Zn、La、Hf、Ni、及びZrからなる群から選択される1つ以上の元素の酸化物からなる、請求項1に記載の水分散液。
  11. 前記無機粒子は、CeO粒子であり、Ce3+/Ce4+イオン比が5~60である、請求項1に記載の水分散液。
  12. 前記水分散液は、CMP用スラリーである、請求項1に記載の水分散液。
  13. 前記無機粒子は、
    (a)自己集合性界面活性剤を水または水と相溶性を有する溶媒と水との混合溶媒に溶解させる段階と、
    (b)前記(a)段階を実施する前、後、または同時に、無機物前駆体を前記溶媒に溶解または分散させて無機物前駆体溶液を製造する段階と、
    (c)前記無機物前駆体と前記界面活性剤との自己集合反応を介して界面活性剤が形成するシェルの中で結晶性相と無定形相とが混在する素粒子を形成し、複数個の素粒子が凝集して無機粒子を形成する段階と、を含む方法によって製造される、請求項1に記載の水分散液。
  14. 水分散液に含まれた無機粒子は、
    前記(c)段階で得た無機粒子を酸と塩基とで処理する段階をさらに含んで表面電荷が制御された無機粒子である、請求項13に記載の水分散液。
  15. 前記自己集合性界面活性剤は、前記無機物前駆体と結合することができる電荷を有する陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択される1つ以上であって、縮合反応ないし架橋反応が可能な官能基を保有する、請求項13に記載の水分散液。
  16. 前記縮合反応ないし架橋反応が可能な官能基は、アミド基、ニトロ基、アルデヒド基、及びカルボニル基からなる群から選択される1つ以上である、請求項13に記載の水分散液。
  17. 前記自己集合性界面活性剤が、下記化学式1の構造を有する、請求項13に記載の水分散液:
    化学式1:
    Figure 2024521298000013
    前記化学式1において、R及びRは、独立して水素原子、C~C10アルキル基またはアルコキシ基であり、Rは、下記化学式2の置換基であり、nは、2以上の数である:
    化学式2:
    Figure 2024521298000014
    化学式2において、R及びRは、独立して水素原子、C~C10アルキル基またはアルコキシ基であり、Rは、C~C10アルキレン基または単一共有結合であり、は、連結部品を示す。
  18. 結晶性相と無定形相とが混在している複数個の素粒子が凝集して形成された無機粒子であって、下記(i)ないし(v)のうち1つ以上を満足する無機粒子:
    (i)前記素粒子は、結晶化度が90%以下であるもの;
    (ii)前記無機粒子のアスペクト比(短径/長径)が、0.8以上であるもの;
    (iii)前記素粒子の粒径が、20nm以下であるもの;
    (iv)前記無機粒子粒径の標準偏差が、20nm以下であるもの;
    (v)前記無機粒子は、CeO粒子であり、Ce3+/Ce4+イオン比が、40以上であるもの。
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