JP2024520061A - プロテイノパチーの治療および/または予防のための組成物および方法 - Google Patents

プロテイノパチーの治療および/または予防のための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

プロテイノパチー、例えばアルツハイマー病に関与するタンパク質の非凝集性タンパク質類似体を提供する。タンパク質は、βシート凝集ドメインを有し、非凝集性タンパク質類似体は、βシート凝集ドメインにβシート不安定化修飾を有するが、野生型タンパク質機能を実質的に保持する。βシート不安定化修飾は、天然に存在するアミノ酸から天然に存在しないアミノ酸への置換であり得る。非凝集性タンパク質類似体を使用してプロテイノパチーを治療する方法、および非凝集性タンパク質類似体を設計する方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月26日に出願された米国仮特許出願第63/193258号に対する優先権および利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に援用される。
技術分野
幾つかの態様は、プロテイノパチーにおけるタンパク質の凝集を予防するための組成物に関する。幾つかの態様は、in vivoでの上記タンパク質の凝集を制限および/または阻止しつつ、タンパク質本来の機能を満たすための組成物に関する。幾つかの態様は、プロテイノパチーの治療および/または予防に有用な組成物および/または方法に関する。
背景
アミロイドは、ある種のタンパク質が天然の折り畳み構造からクロスβ構造へ移行する際に形成される線維状タンパク質凝集体である。この構造では、2枚のβシートが逆向きに積層する形態でタンパク質分子が配置され、βシート間の水分子は排除されて、概ね疎水性の側鎖が互いに噛み合い乾燥した立体ジッパーを形成する。この伸長クロスβ構造は、基本的なアミロイド線維サブユニットであるプロトフィラメントを構成する。クロスβの構築は、1つの折り畳み分子または2つの個別分子によって生じ、βシートは、平行、逆平行、対面、または表裏の配向で積層する可能性がある。
一度形成されたプロトフィラメントは、数種の異なる方法で会合して、種々の障害に関連した異なる超構造多形を生成することができ、こうした構造として、数の異なった水平積層プロトフィラメントを有する平坦な線維構造が挙げられる。こうした平坦な線維構造が、単一または複数の絡み合ったプロトフィラメントからなるアミロイド結晶または種々のねじれたリボン構造に進化することがあり、これがさらにナノチューブへと進化することがある。
アミロイド関連の疾患またはアミロイドパチーであると判明した障害が多数あり、これらはより一般的にはプロテイノパチーと呼ばれることがあり、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、レビー小体病、ピック病、プリオンを原因とする伝染性海綿状脳症(TSE)、例えばクロイツフェルト・ヤコブ病またはクールー病、ハンチントン病、II型糖尿病、甲状腺髄様癌、肺胞タンパク症および心房性アミロイドーシス(カルシトニン、サーファクタントプロテインC、および心房性ナトリウム利尿因子のアミロイド蓄積に起因するもの)、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症候群、多系統萎縮症、脳鉄蓄積を伴う神経変性I型(ハラーホルデン・スパッツ病)、軽度認知障害(MCI)、脳アミロイド血管症(CAA)などがこれに含まれる。プロテイノパチーの例としては、タウオパチー、シヌクレイノパチー、プリオノパチー、TDP-43などが挙げられる。タウオパチーの例としては、ピック病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、嗜銀顆粒性疾患、グリア細胞球状封入体タウオパチー、加齢関連タウアストログリオパチー、慢性外傷性脳症、原発性加齢性タウオパチー(PART)(または原線維変化優位型認知症)、グアム複合型パーキンソン認知症、脳炎後パーキンソン症候群、グアドループ非定型パーキンソン症候群、石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症、染色体タウオパチー連鎖パーキンソン症候群などが挙げられる。シヌクレイノパチーの例としては、認知症を伴うパーキンソン病、純粋自律神経機能不全症(PAF)、多系統萎縮症(MSA)などが挙げられる。プリオノパチーの例としては、致死性家族性不眠症(FFI)、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病(GSS)などが挙げられる。TDP-43の例としては、TDP43封入体を伴う前頭側頭葉変性症(FTLD)、運動ニューロン疾患を伴うFTLD(FTLD-MND)、海馬硬化症、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症、17番染色体3R、4R、または3R+4Rタウオパチー連鎖パーキンソン症候群などが挙げられる。
プロテイノパチーに関与することが公知である例示的なタンパク質としては、アミロイドβタンパク質(アルツハイマー病)、α-シヌクレイン(パーキンソン病)、膵島アミロイドポリペプチド(IAPP、II型糖尿病)、タウ(パーキンソン症候群およびピック病を伴う前頭葉側頭葉型認知症に関与する微小管結合タンパク質)、p53(多数の癌に関与する腫瘍抑制転写因子)、ハンチントン病のハンチンチンタンパク質、クロイツフェルト・ヤコブ病のプリオンタンパク質などが挙げられる。例示的なプロテイノパチーおよび当該プロテイノパチーに関与するまたは関係することが公知であるタンパク質を以下の表1に列挙する。
Figure 2024520061000001
Figure 2024520061000002
Figure 2024520061000003
Figure 2024520061000004
アミロイドβペプチドは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のタンパク質分解により誘導される39~43アミノ酸のペプチドである。アミロイド前駆体タンパク質(APP)がβ-セクレターゼによって切断されて99残基の膜貫通断片C99が生成され、その後さらにC99がγ-セクレターゼによって切断されてアミロイドβペプチドが生成される。アミロイドβタンパク質の主な循環形態はAβ-40であるが、Aβ-42およびAβ-43もアミロイドβプラークに存在する。アミロイドβタンパク質の機能は十分に解明されていないが、正常なシナプス可塑性および記憶に関する役割を担うと思われる。α-7ニコチン性アセチルコリン受容体シグナル伝達を介した記憶およびシナプス可塑性に関するAβペプチドの役割を実証する文献群が増えている。
例示的なプロテイノパチーとしてアルツハイマー病について考察すると、多種多様な型および原因のアルツハイマー病が存在する。アルツハイマー病には、家族性アルツハイマー病(常染色体顕性アルツハイマー病とも称する)、散発性アルツハイマー病、または若年性散発性アルツハイマー病を含め、あらゆる原因に起因するまたはあらゆる他の型のアルツハイマー病を含み得る。軽度認知障害は、それ自体が病態であるだけでなく、アルツハイマー病の初期段階とみなされる場合もある。したがって、軽度認知障害の出現は、アルツハイマー病に典型的な重度の認知障害への進行を回避する治療法を開始する必要性を示す徴候となる場合がある。換言すれば、軽度認知障害を有する対象は、アルツハイマー病のリスクが高くなる。
家族性アルツハイマー病症例の一部は、プレセニリン1(PSEN1)、プレセニリン2(PSEN2)、またはアミロイドβタンパク質前駆体(APP)遺伝子における特異性遺伝的欠陥によって引き起こされる。PSEN1は、γ-セクレターゼの触媒サブユニットとして機能する一方、PSEN2の変異は、γ-セクレターゼ活性を増加させる場合がある。PSEN1、PSEN2、またはAPPの変異が引き起こすものを含め、種々の型の家族性アルツハイマー病における可溶性のAβ42のレベルが、疾患発症の何年も前から低下し始めることが、多数の研究によって認められている。したがって、Aβ42の可溶性レベルの低下はアルツハイマー病に関連しており、アルツハイマー病が発症するずっと以前に起こる。
家族性アルツハイマー病の一部は、Aβ-42ペプチド、特にペプチドの残基19~24の変異によって引き起こされる。さらに、Aβ42ペプチドの残基10~15のYEVHHQドメインもペプチド本来の機能にとって重要であると考えられている。
可溶性のAβ42ペプチドの減少は、アルツハイマー病に加えて、他の障害でも特定されており、こうした障害には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、および神経変性認知症がある。例えば、その全体が参照により本明細書に援用されるMllenhauer et al., J. Neurochem. (2016) 139 (Suppl. 1), 290-317を参照のこと。
α-シヌクレインは、脳内に豊富にあるタンパク質であり、主としてシナプス前末端のニューロン先端に存在する。α-シヌクレインの機能は十分に解明されていないが、シナプス小胞の再利用に関する役割を担うと考えられており、ドーパミンの放出の調節にも役立つ場合がある。パーキンソン病またはレビー小体型認知症の患者は概して、脳内にα-シヌクレインの凝集体であるレビー小体が発生する。
プリオンタンパク質は、クロイツフェルト・ヤコブ病に関与している細胞の糖タンパク質である。本来の構造である可溶性プリオンタンパク質は、ミエリンの維持および細胞増殖過程に関与すると考えられている。
従来の知見によると、プロテイノパチーを原因とする病状の多くは、関与するタンパク質が凝集する際の有毒な機能獲得によって引き起こされることが示唆されている。従来の治療法のほとんどは、(例えば、タンパク質の発現を低下させることによって、または凝集したタンパク質を細胞から除去することを目的とした免疫療法などの技術によって)タンパク質の凝集を最小限に抑えること、または凝集したタンパク質を除去することを目的とする。しかしながら、そのような治療法が特に奏功しているわけではなく、場合によっては、(例えば、関連タンパク質をノックアウトまたはノックダウンすることによって)プロテイノパチーに関与するタンパク質の発現を停止させると、実際には、関連タンパク質およびその凝集体が存在しない場合でも疾患の表現型が生じる可能性がある。さらに、例えば、アルツハイマー病では、プラーク量と疾患重度との間に必ずしも相関性があるわけではないことが示されている。
プロテイノパチーを原因とする病状は、実際には、当該疾患において、特に疾患の初期段階で凝集体となる天然タンパク質の機能喪失によって引き起こされる場合があるという証拠が新たに発見されている。アミロイド形成タンパク質の大半は、本来の折り畳まれた状態で種々の機能を実行することが公知であるか、または推測されている。当該タンパク質がクロスβ構造に変性して線維を形成すると、タンパク質本来の機能が失われる場合がある。そのようなタンパク質の機能喪失は、疾患過程の少なくとも一部で細胞に悪影響を及ぼし得る。
プロテイノパチーに対する治療法の改善は、一般から要望されている。天然タンパク質の機能喪失に対処できる、プロテイノパチーを伴う障害の治療薬の改善が要望されている。
関連技術分野の前述の例およびそれに関連する限定は、例示を意図しており、排他的ではない。関連技術分野の他の限定は、明細書を解釈し、図面を検討すれば当業者には明らかになると考えられる。
概要
以下の実施形態およびその態様をシステム、ツール、および方法と関連して記載および例示するが、これらは例示的および例証的であることを意図しており、範囲を限定するものではない。種々の実施形態において、上述の課題のうちの1つ以上を軽減または解消するが、他の実施形態はそれ以外の改善を目的としている。
幾つかの態様は、Aβ42ペプチドの非凝集性ペプチド類似体を提供する。Aβ42ペプチドは、配列番号1の1~28位に対応するN末端ドメイン、および配列番号1の29~42位に対応するβシート凝集ドメインを有する。非凝集性ペプチド類似体は、βシート凝集ドメインにβシート不安定化修飾を有し、非凝集性であることを除いてAβ42ペプチド本来の機能を実質的に保持する。幾つかの態様では、非凝集性ペプチド類似体は、アルツハイマー病または軽度認知障害または可溶性のAβ42ペプチドのレベル低下に関連する別の障害の治療および/または予防に使用するためのものである。幾つかの態様では、本明細書に開示される非凝集性ペプチド類似体を使用して、対象がアルツハイマー病または可溶性のAβ42ペプチドのレベル低下に関連する別の障害の治療および/または予防の候補となるかどうかを決定するために対象をスクリーニングする方法が提供される。対象の脳脊髄液試料中のAβ42の濃度を測定し、脳脊髄液試料中のAβ42の測定濃度が約500pM未満、好ましくは約400pM未満、好ましくは約300pM未満、より好ましくは200pM未満である場合、対象は、本明細書に記載の非凝集性ペプチド類似体の投与による治療および/または予防の候補であると同定される。幾つかの態様では、方法はさらに、非凝集性ペプチド類似体を対象に投与することを含む。
図面を参照し、以下の詳細な説明を検討することによって、上記の例示的な態様および実施形態に加え、更なる態様および実施形態が明らかになると考えられる。
図面に参照される図には、例示的実施形態が示されている。本明細書に開示される実施形態および図は、限定的なものではなく例示的なものとみなされることを意図する。
アミロイドβタンパク質のβシート凝集ドメインにβシート不安定化変異を有する例示的な改変型タンパク質を示す、パネル1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、および1.6を有する図である。表内の空白の影付き区画の存在は、欠失変異を示す。 プロテイノパチーに関与するタンパク質の非凝集性類似体を設計する方法の例示的な実施形態を示す図である。 プロテイノパチーに関与するタンパク質の非凝集性類似体である改変型タンパク質の例示的な実施形態を示す図である。 アルツハイマー病動物モデル5XFADにおける表現型の回復を示す図であり、改変型ペプチドの静脈内投与が、5週間投与した場合に野生型の行動を回復したことを実証している。 追加実験から得た並列結果を示す図である。 追加実験から得た並列結果を示す図である。 ビヒクル処置した(左側)5XFADマウスと、Aβ42の非凝集性類似体である改変型ペプチドにより5週間処置した5XFADマウスとを比較した、皮質における相対的なプラーク量を示す図である。 マウスの海馬における対応するプラーク蓄積レベルを示す図である。 チオフラビン-T動態アッセイを使用して測定される、Aβ42ペプチドおよびその2つの非凝集性類似体の凝集傾向を示す図である。 Aβ42ペプチド、およびその天然に存在しないアミノ酸置換を組み込んだ2つの追加の例示的な非凝集性類似体の凝集傾向を示す図である。 スウェーデン変異をもつアミロイド前駆体タンパク質遺伝子を発現するSH-SY5Y神経細胞株に関するアッセイの結果を示す図である。未処理細胞と比較した細胞増殖を示す。 スウェーデン変異をもつアミロイド前駆体タンパク質遺伝子を発現するSH-SY5Y神経細胞株に関するアッセイの結果を示す図である。野生型細胞と比較した細胞増殖を示す。 比較をより明確に示せるように、未処理細胞に対する細胞増殖を示す追加の類似実験からのデータを、y軸を短くしてプロットした図である。 比較をより明確に示せるように、未処理細胞に対する細胞増殖を示す追加の類似実験からのデータを、y軸を短くしてプロットした図である。 10μMのγ-セクレターゼ阻害剤で処理したSH-SY5Y神経細胞に関するアッセイの結果を示す図である。 健常な個人(認知機能正常、すなわちCN)と、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病(AD)を有する個人とで可溶性のAβ42のレベルに差異が認められることを示す図である。 健常な個人(認知機能正常、すなわちCN)と、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病(AD)を有する個人とで可溶性のAβ42のレベルに差異が認められることを示す図である。 ベースラインのCSF Aβ42レベルによるCDR非進行の補正予測を示す図である。 図11A~図11Dは、非凝集性ペプチド類似体の例について、投与前対照および投与後対照の反応と比較した、大脳皮質ニューロンにおけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の亢進率を示す図である。 図12A~図12Dは、非凝集性ペプチド類似体の追加例について、投与前対照および投与後対照の反応と比較した、大脳皮質ニューロンにおけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の亢進率を示す図である。 非凝集性ペプチド類似体の追加例について、投与前対照および投与後対照の反応と比較した、大脳皮質ニューロンにおけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の亢進率を示す図である。 Aβ42について、投与前対照および投与後対照の反応と比較した、大脳皮質ニューロンにおけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の亢進率を示す図である。 図15A~図15Dは、対照スクランブルペプチドについて、投与前対照および投与後対照の反応と比較した、大脳皮質ニューロンにおけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の亢進率を示す図である。 RT88が、pM濃度で下流のERK1/2リン酸化を誘導することを示す図である。 Aβ42の例示的な非凝集性ペプチド類似体が、N末端ドメインを介してα7ニコチン性アセチルコリン受容体に結合することを示すドッキングシミュレーションを示す図である。 分子間βシート形成のモデルを示す図であり、35位のメチオニンが占める位置を丸で囲んでいる。
説明
より完全な理解を当業者に提供するために、以下の説明を通じて具体的な詳細を記載する。ただし、本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の要素については詳細に提示または説明されていない場合がある。したがって、説明および図面は、限定的ではなく例示的な意図であるとみなされるべきである。
本発明者らはこの度、プロテイノパチーに関与するペプチド/タンパク質の有益な野生型機能を提供するが、クロスβシート構造の形成を回避するまたは最小限に抑えるように改変された改変型ペプチド/タンパク質の投与が、プロテイノパチーの治療および/または予防となり得ることを明らかにした。理論に束縛されるものではないが、当該タンパク質の投与は、タンパク質の凝集にさらに寄与することなく、天然タンパク質と同等または同様の機能を提供し、プロテイノパチーが引き起こすと考えられる当該タンパク質の機能喪失に対処すると考えられる。
本明細書で使用される場合、「改変型ペプチド」という用語は、「改変型タンパク質」と同義に使用でき、ペプチドおよびタンパク質のいずれもペプチド結合によって結合されたアミノ酸から構成され、タンパク質はペプチドよりも長鎖のアミノ酸であることは当業者に理解されている。場合によってはプロテイノパチーに関与するタンパク質がペプチドである場合もあるため、プロテイノパチーに関与するタンパク質への言及には、プロテイノパチーに関与するペプチドも包含する。
本明細書で使用される場合、ペプチドのアミノ酸配列は、その配列内の各アミノ酸残基位置の付番を含めて、例えばAβ42ペプチド(配列番号1)の1~42位のように示される。当業者には認識されているであろうが、対応するペプチド類似体に関して、1つ以上のアミノ酸残基が欠失すると、ペプチド位置の概念上の付番が変化することになる。例えば、特定のペプチド類似体において、Aβ42ペプチドの最初の残基が欠失すると、その特定の類似体は残基1~41のみを有することになる。本明細書で使用される場合、ペプチド配列内のアミノ酸位置の付番を指すときの「対応する」という用語は、本明細書で提供されるペプチドのコンセンサス配列の付番を指し、同様に、2つのペプチド配列をアライメントさせたときの参照配列に対するアミノ酸残基の対応する付番を指す。したがって、上述のAβ42ペプチドの最初の残基が欠失した特定の類似体は、本明細書に記載のAβ42ペプチドの場合、残基2~42に対応するアミノ酸残基を含有することになる。
本明細書で使用される場合、「βシート凝集ドメイン」という用語は、プロテイノパチーに関与するタンパク質のクロスβ構造の形成に関与するペプチドまたはタンパク質のドメインを指す。健常な対象では、βシート凝集ドメインは、βシート構造の形成または凝集を伴わない場合があるが、プロテイノパチーに罹患しているか、または発症している個人では、βシート凝集ドメインの集合的な分子内および分子間の相互作用により、タンパク質またはペプチドのアミロイド沈着の形成に寄与するクロスβシートの形成が生じる。Aβ42ペプチドの場合、βシート凝集ドメインは、配列番号1の残基29~42に対応する位置に位置する。
「治療する」、「治療すること」、および「治療」という用語は、目的とする臨床結果を得るためのアプローチを指す。目的とする臨床結果には、疾患の少なくとも1つの症状の軽減または緩和を含み得るが、これらに限定されない。例えば、治療とは、疾患の少なくとも1つの症状の減退、疾患の程度の減退、疾患状態の安定化、疾患の瀰漫の予防、疾患進行の遅延もしくは減速、疾患の一時的緩和、疾患再発の減退、疾患の寛解、有病での生存期間の延長、または疾患の完全な根絶であり得る。「予防」という用語には、初期から末期までの疾患の発症または進行を防ぐためのアプローチを含む。本文脈における「予防」という用語は、予防しようとする病態を発症する可能性をある程度低減する予防措置を指し、これには、完全な予防はもとより、病態発症の可能性の軽微な低減、十分な低減、または大幅な低減を含む。好ましくは、可能性低減の程度は、少なくとも軽微な低減である。
本明細書で使用される場合、プロテイノパチーという用語は、タンパク質またはペプチドが凝集して、タンパク質またはペプチドの線維性凝集体の形成を促進するクロスβシート構造になることによって引き起こされる疾患または障害を指す際に使用される。プロテイノパチーの例としては、アミロイドパチー、シヌクレイノパチー、タウオパチーなどが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「天然に存在するアミノ酸残基」という用語には、タンパク質またはペプチド内の特定の位置に通常存在する野生型アミノ酸残基だけでなく、特定の障害において、またはその特定の位置のアミノ酸配列の差異の原因となる遺伝子変異を有する個別対象において、その特定の位置に生じ得る変異型アミノ酸も含む。「アミノ酸類似体」は、合成して生成されたか、翻訳後修飾を介してin vivoで生成されたかを問わず、天然に存在するアミノ酸残基いずれかの天然に存在しない類似体である。天然に存在しないアミノ酸類似体は、アミノ酸を含む類似体であってもよい。あるいは、アミノ酸類似体は、アミノ酸部分を欠失するものであってもよい。すなわち、天然に存在しない類似体は、改変型ペプチドが非凝集性であることを除いて、本来の機能を維持する限り、改変型ペプチドに組み込むことができる任意の化学部分を含んでもよい。
本明細書で使用される場合、アミノ酸残基は、以下の通りの一文字略号で表される:アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リシン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、バリン(V)。さらに指定しない限り、本明細書でのアミノ酸残基への言及はすべて、真核生物が通常産生するL-アミノ酸を指す。幾つかの代替的実施形態では、対応するL-アミノ酸の一部または全部に代わり、例えば、βシート凝集ドメイン内にかつ/またはβシート不安定化変異として、対応するD-アミノ酸を使用することができる。代替的実施形態では、他の天然に存在しないアミノ酸またはアミノ酸類似体を使用することもでき、これには例えば、アミノ酸のN-アルキル類似体を含む。D-アミノ酸または他の天然に存在しないアミノ酸残基を含有するペプチドは、例えば、血清タンパク質の結合および/またはin vivoで遭遇するプロテアーゼに対する安定性の増強の結果、天然に存在するアミノ酸のみを含有するペプチドよりもin vivoでの半減期が長くなる場合がある。
本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」という用語は、当該アミノ酸置換が起こる場所に関係なく(すなわち、当該置換が本明細書に記載のβシート凝集ドメイン内にあるか、当該ドメイン外にあるかに関係なく)、参照分子に対する1つ以上のアミノ酸残基の1つ以上の保存的置換によって、アミノ酸配列が参照配列とは異なることを意味する。「保存的」とみなされるアミノ酸置換には、
・A、V、L、もしくはIのいずれか1つ、もしくはそれらと実質的に類似するアミノ酸類似体の入れ替え;
・S、C、U、T、もしくはMのいずれか1つ、もしくはそれらと実質的に類似するアミノ酸類似体の入れ替え;
・F、Y、もしくはWのいずれか1つ、もしくはそれらと実質的に類似するアミノ酸類似体の入れ替え;
・DもしくはEのいずれか1つ、もしくはそれらと実質的に類似するアミノ酸類似体の入れ替え;
・NもしくはQのいずれか1つ、もしくはそれらと実質的に類似するアミノ酸類似体の入れ替え;および/または
・H、K、もしくはRのいずれか1つ、もしくはそれらと実質的に類似するアミノ酸類似体の入れ替え
のいずれかを含む。
幾つかの実施形態では、プロテイノパチー用治療薬および/または予防薬として使用できる、プロテイノパチーに関与するタンパク質の非凝集性類似体である改変型タンパク質を提供する。幾つかの実施形態では、改変型タンパク質は、βシート凝集ドメインに1つ以上のβシート不安定化修飾を含む。βシート不安定化修飾は、βシート構造の形成を妨害および/または破壊することで、プロテイノパチーに寄与し得るクロスβシート構造の形成を妨害または阻止する修飾である。例えば、幾つかの実施形態では、βシート不安定化修飾は、プロテイノパチーに寄与し得る積層βシート構造および/またはクロスβシート構造を形成するために重要である1つ以上の水素結合を破壊することができる。幾つかの実施形態では、βシート不安定化修飾は、βシート凝集ドメインの構造を変化させて(例えば、ペプチド骨格を変形するかつ/または他の残基との相互作用を引き起こすことによる)、プロテイノパチーに寄与し得る積層βシート構造および/またはクロスβシート構造の形成を妨害する。幾つかの実施形態では、βシート不安定化修飾は、タンパク質本来の機能を妨害しないか、または最小限にしか妨害しないため、改変型タンパク質はタンパク質の野生型活性を保持または実質的に保持する。
幾つかの実施形態では、プロテイノパチーに関与するタンパク質の改変型非凝集性類似体は、チオフラビン-Tアッセイにおいて、βシート不安定化修飾により、凝集の定常状態レベルが野生型タンパク質と比較して、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、または少なくとも4分の1に低下する場合に非凝集性であるとみなされる。幾つかの実施形態では、改変型非凝集性類似体は、Aβ42ペプチドの類似体であり、チオフラビン-Tアッセイにおいて、凝集の定常状態レベルが配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型Aβ42と比較して、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、または少なくとも4分の1に低下する。
βシート不安定化修飾の例としては、以下が挙げられる:
・βシート凝集ドメイン内の天然に存在するアミノ酸を荷電性アミノ酸または親水性アミノ酸に置換する(例えば、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、またはC);
・βシート凝集ドメイン内の天然に存在するアミノ酸をプロリン(P)残基に置換する;
・βシート凝集ドメイン内の天然に存在するアミノ酸をグリシン(G)残基に置換する;
・βシート凝集ドメイン内の天然に存在するアミノ酸を、βシート形成を妨害するアミノ酸類似体に置換する。βシート形成を妨害する上記アミノ酸類似体の例としては、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、セレノシステイン、ピログルタミン酸、カルボキシグルタミン酸、オクテニルアラニン、ピロリシン、パルミトイルアスパラギン酸、D-プロリンを含むD-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、ホモアミノ酸、β-ホモアミノ酸、α-メチルアミノ酸、N-メチルアミノ酸、N-エチルアミノ酸、N-アルキル化アミノ酸誘導体、ピルビン酸誘導体、分岐鎖アミノ酸誘導体、ニトロアミノ酸誘導体、ハロゲン化アミノ酸誘導体、環置換アミノ酸誘導体、芳香族アミノ酸誘導体、直鎖コアアミノ酸、ペプトイド誘導体、ヒドロキシル化アミノ酸誘導体、環状アミノ酸、二環式アミノ酸、3-アミノ-3-アリール-プロピオン酸、3-アミノ-4-アリール-酪酸、芳香族スペーサーをもつアミノ酸、脂環式アミノ酸、α-フェニルグリシン誘導体などが挙げられる;
・βシート凝集ドメイン内の1つ以上の天然に存在するアミノ酸残基を欠失する。場合により、βシート凝集ドメイン全部を上限とする欠失を含む;かつ/または
・βシート凝集ドメイン内に1つ以上のアミノ酸残基を挿入する。例えば、βシート凝集ドメイン内に1個、2個、3個、4個、または5個のアミノ酸残基を挿入する。幾つかの実施形態では、挿入されたアミノ酸残基のうちの1つ以上はプロリン(P)残基である。幾つかの実施形態では、挿入されたアミノ酸残基のうちの1つ以上はグリシン(G)残基である。幾つかの実施形態では、挿入されたアミノ酸残基のうちの1つ以上は、荷電性および/または親水性アミノ酸(例えば、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、またはC)である。幾つかの実施形態では、挿入されたアミノ酸残基のうちの1つ以上は、上記のようなβシート形成を妨害するアミノ酸類似体であり、βシート形成を妨害する上記アミノ酸類似体の例としては、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、セレノシステイン、ピログルタミン酸、カルボキシグルタミン酸、オクテニルアラニン、ピロリシン、パルミトイルアスパラギン酸、D-プロリンを含むD-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、ホモアミノ酸、β-ホモアミノ酸、α-メチルアミノ酸、N-メチルアミノ酸、N-エチルアミノ酸、N-アルキル化アミノ酸誘導体(好ましくは、アルキル部分に1個、2個、または3個の炭素を有する)、ピルビン酸誘導体、分岐鎖アミノ酸誘導体、ニトロアミノ酸誘導体、ハロゲン化アミノ酸誘導体、環置換アミノ酸誘導体、芳香族アミノ酸誘導体、直鎖コアアミノ酸、ペプトイド誘導体、ヒドロキシル化アミノ酸誘導体、環状アミノ酸、二環式アミノ酸、3-アミノ-3-アリール-プロピオン酸、3-アミノ-4-アリール-酪酸、芳香族スペーサーをもつアミノ酸、脂環式アミノ酸、α-フェニルグリシン誘導体などが挙げられる。
理論に束縛されるものではないが、プロテイノパチーに関与するタンパク質のβシート凝集ドメイン内での当該アミノ酸残基の置換、または少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失もしくは挿入により、クロスβシート構造の効果的な形成を妨害することで、タンパク質の凝集を制限または阻止しつつ、タンパク質を可溶性のままにし、野生型機能を実行できるようになると考えられる。したがって、改変型タンパク質を使用すると、プロテイノパチーに関与するタンパク質の凝集を悪化または増加させずに、プロテイノパチーに関連し得る機能喪失欠陥を回復することができる。幾つかの実施形態では、これを達成するために、βシート凝集ドメイン内に1つ以上のβシート不安定化修飾を組み込む改変型タンパク質は、その本来の機能を完全にまたは実質的に保持している。例えば、改変型タンパク質は、天然の可溶性タンパク質の少なくとも50%のレベル(例えば、天然の可溶性物質の少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のレベル)でそれ本来の機能を実行することができる。
幾つかの実施形態では、非凝集性ペプチド類似体はAβ42の類似体であり、Aβ42本来の機能は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7nAChR)介在性Ca2+流入を増強または誘導することである。典型的には、α7nAChR介在性Ca2+流入は、アゴニスト(例えば、PNU282987などの小分子アゴニスト)を使用して誘発できるが、本明細書に記載のAβ42ペプチドの非凝集性ペプチド類似体のような増強分子の存在下でこの流入が増加する。本明細書に記載のペプチドは、それ自体で流入を誘導することもできる。幾つかの実施形態では、α7nAChR介在性Ca2+流入の増強とは、ペプチド存在下でのα7nAChR介在性Ca2+流入が、投与前対照のCa2+流入レベルの少なくとも130%、少なくとも150%、または少なくとも170%であることを意味する。幾つかの当該実施形態では、非凝集性ペプチド類似体は、天然の可溶性のAβ42ペプチドの少なくとも50%のレベル(例えば、天然の可溶性のAβ42ペプチドの少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のレベル)でα7nAChR介在性Ca2+流入を増強するという本来の機能を実行することができる。幾つかの実施形態では、Aβ42の非凝集性類似体は、大脳皮質ニューロン中に3000pM以下、例えば300pM以下、例えば30pM以下、例えば3pM以下の濃度で存在する場合に、α7nAChR介在性Ca2+流入を増強することができる。幾つかの実施形態では、Aβ42の非凝集性類似体は、N2a細胞およびSH-SY5Y細胞などの神経細胞株に3000pM以下、例えば300pM以下、例えば30pM以下、例えば3pM以下の濃度で存在する場合に、α7nAChR介在性Ca2+流入を増強することができる。幾つかの実施形態では、Aβ42の非凝集性ペプチド類似体は、例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型Aβ42ペプチドよりも大幅にα7nAChR介在性Ca2+流入を増強することができる。α7nAChR介在性Ca2+流入はまた、ERK1/2リン酸化、細胞増殖、または神経発生などの下流事象を測定することにより間接的に検出または定量することもできる。ERK1/2リン酸化は、α7nAChR介在性Ca2+流入の数分以内に起こり、ELISAを使用して測定することができる。本来の機能を検出または定量するさらに別の代替方法は、γ-セクレターゼ阻害剤を使用して、Aβ42の薬理学的枯渇後の神経細胞のレスキューを評価することである。本来の機能を検出または定量するなおも別の代替方法は、非機能性の変異型アミロイド前駆体タンパク質(APP)を発現する神経細胞の増殖を評価することである。
幾つかの実施形態では、βシート凝集ドメイン以外のタンパク質の部分が、タンパク質本来の機能にとって重要な場合がある。例えば、Aβ42ペプチドの場合、理論に束縛されるものではないが、ペプチドの残基10~15のYEVHHQドメインおよびペプチドの19~24位の残基がタンパク質本来の機能、例えば、α7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7nAChR)への適切な結合にとって重要であると考えられる。したがって、幾つかの実施形態では、βシート凝集ドメインのN末端に位置するAβ42の部分、すなわちペプチドの1~28位は、ペプチド本来の機能にとって重要であると考えられる。この説明では、Aβ42ペプチドの1~28位にあるまたは対応するこれらの残基を「N末端ドメイン」と称する。
非凝集性ペプチド類似体のN末端ドメインは、6個以下(好ましくは5個、より好ましくは4個、さらに好ましくは3個、さらにいっそう好ましくは2個、なおいっそう好ましくは1個、最も好ましくは0個)の欠失、挿入、および/または置換、好ましくは保存的置換により、配列番号1の残基1~28とは異なるアミノ酸配列を含み得る。幾つかの実施形態では、Aβ42の非凝集性類似体である改変型ペプチドは、N末端ドメインの野生型アミノ酸配列を保持するか、またはN末端ドメイン内に保存的アミノ酸置換のみを含有する。幾つかの実施形態では、Aβ42の非凝集性類似体であるペプチドは、0個、または最大1個、最大2個、最大3個、最大4個、最大5個、最大6個、最大7個、最大8個、または最大9個の保存的アミノ酸置換をN末端ドメインに有する。非凝集性類似体のβシート凝集ドメインは、6個以下(好ましくは5個、より好ましくは4個、さらに好ましくは3個、さらにいっそう好ましくは2個、なおいっそう好ましくは1個、最も好ましくは0個)の欠失、挿入、および/または置換、好ましくは保存的置換により、配列番号1の29~42位の残基に対応する位置とは異なるアミノ酸配列を含み得る。好ましくは、定義される非凝集性ペプチド類似体は、βシート不安定化修飾に加えて、βシート凝集ドメイン内に配列番号1に対する最大3個(好ましくは2個、より好ましくは1個)の保存的アミノ酸置換を含む。
幾つかの実施形態では、プロテイノパチーである疾患または障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病またはレビー小体型認知症、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ダウン症候群、脳鉄蓄積を伴う神経変性I型(ハラーホルデン・スパッツ病)、クールー病またはその他の伝染性海綿状脳症(TSE)、軽度認知障害(MCI)、脳アミロイド血管症(CAA)、脳血管性認知症、異常なアミロイド沈着を特徴とする任意の神経変性疾患、表1に列挙するその他の任意の疾患または障害などである。
幾つかの実施形態では、改変型タンパク質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アミロイドβタンパク質(Aβ-39、Aβ-40、Aβ-42、またはAβ-43アイソフォームを含む)、α-シヌクレイン、プリオンタンパク質、ハンチンチンタンパク質、p53、表1に列挙する任意のタンパク質またはペプチドなどを含むがこれらに限定されない、プロテイノパチーに関与するタンパク質の非凝集性類似体である。
幾つかの実施形態では、改変型ペプチドをコードする核酸を提供する。核酸は、例えば、細胞機構によって転写および/または翻訳されると、目的とする改変型タンパク質をin vivoで産生できるDNAまたはRNA(mRNAなど)であり得る。あらゆる好適な遺伝子工学の方法(例えば、体内から得た細胞を後に体内へ再導入するトランスフェクション、CRISPR-Cas遺伝子編集、標的細胞への好適な発現ベクターの導入など)および/または核酸送達システム(例えば、脂質ナノ粒子、これはCRISPR-Cas遺伝子編集システム、mRNA、または発現ベクターを標的細胞に送達するために使用できる)を使用して、改変型タンパク質をコードする核酸を目的とする標的細胞に供給することができる。目的とする細胞に目的とするタンパク質を発現させるための現在公知の方法または今後開発される方法であればどれでも種々の実施形態に使用して、目的とする非凝集性改変型ペプチドを細胞に発現させることができる。改変型ペプチドが天然に存在しないアミノ酸類似体を組み込んでいる実施形態を含め、幾つかの実施形態では、改変型ペプチドは化学的に合成される。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の非凝集性類似体である改変型ペプチド、または当該ペプチドをコードする核酸を含む治療組成物は、直接投与、遺伝子工学技術、脂質ナノ粒子送達などを含むリポソーム介在送達など、現在公知であるかまたは今後開発されるあらゆる好適な方法で投与される。直接投与の方式には、皮下、静脈内、脳室内、脳内、くも膜下腔内、腹腔内、筋肉内、もしくは静脈内への注射、注入、または局所、経鼻、経口(舌下または頬側を含む)、経直腸、経眼、もしくは経耳、またはポンプ注入もしくは対象の脳への直接注射を含む他の送達形態を含み得る。リポソーム介在送達の方式には、改変型ペプチドもしくは細胞で発現させる改変型ペプチドをコードする核酸(例えば、mRNA)の直接送達、または細胞のゲノムにDNAを組み込み、細胞による改変型タンパク質の発現を促進する好適なメカニズム(例えば、CRISPR-Cas遺伝子編集システム)もしくは目的とするペプチドの発現モジュールとしてDNAベクターを使用する他の任意のメカニズムを伴った改変型ペプチドをコードするDNAの直接送達を含み得る。
幾つかの実施形態では、投与されるまたは発現させる改変型ペプチドの量は、治療される病態および投与方式に応じて当業者が決定することができる。幾つかの実施形態では、改変型ペプチドの投与間隔は、治療される病態および投与方式に応じて当業者が決定することができる。改変型ペプチドがAβ42の非凝集性類似体である幾つかの実施形態では、投与されるまたは発現させる改変型ペプチドの量は、対象の脳脊髄液中の改変型ペプチドの濃度が200~600pg/mL(その間の任意の値または部分範囲を含む)、例えば、250、300、350、400、450、500、または550pg/mLであれば十分である。対象の脳脊髄液中のAβ42および/または改変型ペプチドの濃度は、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法またはイムノアッセイ、好ましくはELISAイムノアッセイ(例えば、Elecsys, AlzBio3)を使用して測定することができる。改変型ペプチドの正確な目標濃度は、測定方法、具体的な改変型ペプチドおよび具体的な条件に応じて異なる場合があるが、健常対照と比較した、罹患した個人またはリスクのある個人からの試料に関する日常的な実験によって確定することができる(実施例4を参照)。
幾つかの実施形態では、対象が、プロテイノパチーに関与するタンパク質の非凝集性類似体である改変型ペプチドを使用したプロテイノパチーの治療および/または予防の候補であるかどうかを決定するために対象をスクリーニングする方法を提供する。幾つかの実施形態では、プロテイノパチーがアルツハイマー病であり、かつプロテイノパチーに関与するタンパク質がAβ42ペプチドであるか、またはプロテイノパチーが、可溶性のAβ42ペプチドレベルの低下に関連する別の疾患もしくは障害である。幾つかの実施形態では、対象が、アルツハイマー病の治療および/または予防の候補であるかどうかを決定するために対象をスクリーニングする方法は、対象の脳脊髄液中のAβ42の濃度を決定することを伴う。脳脊髄液中のAβ42の測定濃度が、約500pM未満、約400pM未満、約300pM未満、または約200pM未満(これには例えば、約175、約150、約125、または約100pM未満を含む)であれば、対象は、本明細書に記載のAβ42ペプチドの非凝集性類似体の投与によるアルツハイマー病の治療および/または予防の候補であると同定される。幾つかの当該実施形態では、対象の脳脊髄液中のAβ42の濃度は、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法またはイムノアッセイ(例えば、Elecsys, AlzBio3)を使用して測定することができる。
幾つかの実施形態では、対象は、PSEN1、PSEN2、またはAβPPでの変異が引き起こす家族性アルツハイマー病を含む家族性アルツハイマー病を有する。理論に束縛されるものではないが、家族性アルツハイマー病に関連する変異は、可溶性のAβ42ペプチドのレベルを低減する、かつ/またはペプチドの正常機能を妨げる可能性があると考えられる。そのため、本明細書に記載のAβ42の非凝集性類似体である改変型ペプチドの投与によって対象での機能的Aβ42ペプチドのレベルを補充することは、当該対象にとって特に有益であり得る。
幾つかの実施形態では、対象は哺乳動物対象である。幾つかの実施形態では、対象はヒト対象である。
アルツハイマー病およびその他の障害に関与するアミロイドβペプチドの例を具体的に参照すると、ヒトAβ-42の野生型配列を配列番号1に規定しており、これを図1に示す。Aβ-42のβシート凝集ドメインは、そのカルボキシ末端残基29~42であると考えられる。したがって、幾つかの実施形態では、改変型ペプチドは、その29~42位の1つ以上にβシート不安定化修飾を有するアミロイドβペプチドの形態である。βシート不安定化修飾は、29~42位(その間の任意の位置、例えば、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、または42位を含む)にある1つ以上のアミノ酸を、P、G、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、Cなどの、βシート形成を妨害するアミノ酸、またはβシートの形成を妨害するアミノ酸類似体に置換することであり得る。こうしたアミノ酸類似体としては、例えば、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、セレノシステイン、ピログルタミン酸、カルボキシグルタミン酸、オクテニルアラニン、ピロリシン、パルミトイルアスパラギン酸、D-プロリンを含むD-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、ホモアミノ酸、β-ホモアミノ酸、α-メチルアミノ酸、N-メチルアミノ酸、N-エチルアミノ酸、N-アルキル化アミノ酸誘導体(好ましくは、アルキル部分に1個、2個、または3個の炭素を有する)、ピルビン酸誘導体、分岐鎖アミノ酸誘導体、ニトロアミノ酸誘導体、ハロゲン化アミノ酸誘導体、環置換アミノ酸誘導体、芳香族アミノ酸誘導体、直鎖コアアミノ酸、ペプトイド誘導体、ヒドロキシル化アミノ酸誘導体、環状アミノ酸、二環式アミノ酸、3-アミノ-3-アリール-プロピオン酸、3-アミノ-4-アリール-酪酸、芳香族スペーサーをもつアミノ酸、脂環式アミノ酸、α-フェニルグリシン誘導体などが挙げられる。βシート不安定化修飾は、その位置での天然に存在するアミノ酸残基の欠失、またはその位置での1~5個のアミノ酸残基の挿入(場合により、挿入されたアミノ酸残基の少なくとも1つがP、G、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、もしくはC、または上記に示すβシート形成を妨害するアミノ酸類似体)であり得る。βシート不安定化修飾を有するタンパク質の例は、図1に示す配列番号2~193、もしくは配列番号194~207、もしくは配列番号712~742(ここでのXは、βシート不安定化修飾の位置を示す)、またはそれらの任意の組み合わせのアミノ酸配列を含む。更なる例としては、配列番号2~207のいずれかに対して、少なくとも90%同一である(これには、配列番号2~207のいずれかに対して、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%同一であることを含む)任意の配列が挙げられる。幾つかの実施形態では、改変型タンパク質は、配列番号3、配列番号5、または配列番号15の配列を有するペプチドを含まない。図1に例示される好ましい実施形態では、配列番号187の36位のXはオクテニルアラニンを表し、配列番号188の35位のXはD-プロリンを表し、配列番号189の35位のXはピログルタミン酸を表し、配列番号190の35位のXはN-メチルメチオニンを表し、配列番号191の35位のXはカルボキシグルタミン酸を表し、配列番号192の35位のXはピロリシンを表し、配列番号193の1位のXはパルミトイルアスパラギン酸を表す。配列番号190または192に従うペプチド類似体が最も好ましい。
幾つかの実施形態では、改変型ペプチドは、Aβ-42について記載された前述の配列のいずれかを有するAβ-43であり、ペプチドのカルボキシ末端に追加のT残基が与えられてAβ-43アイソフォームとなる。
幾つかの実施形態では、改変型ペプチドは、Aβ-42について記載された前述の配列のいずれかを有するAβ-40であり、2つのカルボキシ末端アミノ酸が除去されてAβ-40アイソフォームとなる。
幾つかの実施形態では、改変型ペプチドは、Aβ-42について記載された前述の配列のいずれかを有するAβ-39であり、3つのカルボキシ末端アミノ酸が除去されてAβ-39アイソフォームとなる。
パーキンソン病に関与するα-シヌクレインタンパク質の例を具体的に参照すると、ヒトα-シヌクレインの野生型配列を配列番号208に規定している。α-シヌクレインのβシート凝集ドメインは、その残基61~95であると考えられる。したがって、幾つかの実施形態では、改変型タンパク質は、その61~95位の1つ以上にβシート不安定化修飾を有するα-シヌクレインの形態である。幾つかの実施形態では、βシート不安定化修飾は、61~95位(その間の任意の位置、例えば、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、または95位を含む)にある1つ以上のアミノ酸を、上記のようなβシート形成を妨害するアミノ酸またはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体に置換することであるか、その位置での天然に存在するアミノ酸残基の欠失、またはその位置での1~5個のアミノ酸残基の挿入(場合により、挿入されたアミノ酸残基の少なくとも1つがP、G、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、もしくはC、またはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体)によるものであり、例えば、配列番号209~663のいずれかの配列、または配列番号664~698のいずれかの配列(ここでのXは、βシート不安定化修飾の位置を示す)、またはそれらの任意の組み合わせ、またはそれらに対して少なくとも90%同一である(これには、それらに対して少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%同一であることを含む)任意の配列を有するタンパク質が挙げられる。
クロイツフェルト・ヤコブ病に関与するプリオンタンパク質の例を具体的に参照すると、ヒトプリオンタンパク質の野生型配列を配列番号699に規定している。ヒトプリオンタンパク質のβシート凝集ドメインは、その残基109~121であると考えられる。したがって、幾つかの実施形態では、改変型タンパク質は、その109~121位の1つ以上にβシート不安定化修飾を有するプリオンタンパク質の形態である。幾つかの実施形態では、βシート不安定化修飾は、その109~121位(その間の任意の位置、例えば、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、または121位を含む)にある1つ以上のアミノ酸を、上記のようなβシート形成を妨害するアミノ酸またはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体に置換することであるか、その位置での天然に存在するアミノ酸残基の欠失、またはその位置での1~5個のアミノ酸残基の挿入(場合により、挿入されたアミノ酸残基の少なくとも1つがP、G、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、もしくはC、またはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体)によるものであり、例えば、配列番号700~710のいずれか1つのアミノ酸配列、またはそれらの任意の組み合わせ、またはそれらに対して少なくとも90%同一である(これには、それらに対して少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%同一であることを含む)任意の配列を有するタンパク質が挙げられる(ここでのXは、βシート不安定化修飾の位置を示す)。
図2と関連して、幾つかの実施形態では、プロテイノパチーに関与するタンパク質の非凝集性類似体を設計する方法100が記載されている。102でプロテイノパチーに関与する標的タンパク質を選択する。例えば、プロテイノパチーがアルツハイマー病である場合、公開済みの科学文献に基づいたプロテイノパチーに関与する標的タンパク質(またはペプチド)としてアミロイドβが選択されることになる。プロテイノパチーがパーキンソン病である場合、公開済みの科学文献に基づいたプロテイノパチーに関与する標的タンパク質としてα-シヌクレインが選択されることになる。プロテイノパチーがクロイツフェルト・ヤコブ病である場合、公開済みの科学文献に基づいたプロテイノパチーに関与する標的タンパク質としてプリオンタンパク質が選択されることになる。プロテイノパチーに関与するタンパク質が不明である他の実施形態では、適切な実験を実施して、プロテイノパチーの凝集タンパク質の特性を特定し、以降のステップに備え、関連するタンパク質を選択することになる。
104では、選択されたタンパク質のβシート凝集ドメインを同定する。例えば、構造生物学分析(例えば、X線結晶構造解析またはその他の分析)または当該分析の文献レビューを実施して、選択されたタンパク質のアミロイド構造を評価し、凝集に関与するドメインを同定することができる。
106で、選択されたタンパク質によってクロスβシート構造の形成を阻止できる1つ以上のβシート不安定化修飾を同定する。βシート不安定化修飾は、幾つかの実施形態では、βシート凝集ドメイン内の特定の天然に存在するアミノ酸残基を修飾するかつ/または欠失させることにより生じる。例えば、欠失させる、またはG、P、K、R、H、E、D、S、T、N、QもしくはC、もしくは上記のβシート形成を破壊するアミノ酸類似体などで置換するβシート凝集ドメイン内の1つ以上の天然に存在するアミノ酸残基を選択することができる。
方法100を適用することにより、βシート不安定化修飾を同定した後、in vivo投与に適した構築物(例えば、改変型ペプチドまたは当該ペプチドをコードする核酸)を作製し、上記のプロテイノパチーを罹患しているか、または発症するリスクのある対象に投与することができる。
図3は、プロテイノパチーに関与するタンパク質の非凝集性類似体である改変型タンパク質200の例示的な実施形態を示す。改変型タンパク質200は、N末端202、C末端204、およびβシート凝集ドメイン206を有する。βシート凝集ドメイン206内でのβシート不安定化修飾によりペプチド配列に改変を加えると、改変型タンパク質200は、プロテイノパチーに関与するタンパク質の非凝集性類似体になる。
アルツハイマー病の治療に有用な改変型ペプチドを具体的に参照すると、幾つかの実施形態では、Aβ42の29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、または42位にある1つ以上のアミノ酸を、βシート形成を破壊する天然に存在しないアミノ酸に置換する。幾つかの実施形態では、βシート形成を破壊する天然に存在しないアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸のN-アルキル類似体、例えば、天然に存在するアミノ酸のN-メチル類似体またはN-エチル類似体である。理論に束縛されるものではないが、βシート凝集ドメイン内の天然に存在するアミノ酸のN-アルキル類似体の置換は、凝集ペプチド間の分子間水素結合の形成を破壊すると同時に、アミノ酸側鎖を保存し、それによってペプチドの正常機能を維持することができると考えられる。
幾つかの具体的な実施形態では、βシート形成を破壊する天然に存在しないアミノ酸の以下の置換のうちの1つ以上がAβ42ペプチドに生じ、改変型の非凝集性ペプチド類似体が得られる。G29が、N-メチルグリシンもしくはN-エチルグリシンである、A30が、N-メチルアラニンもしくはN-エチルアラニンである、I31が、N-メチルイソロイシンもしくはN-エチルイソロイシンである、I32が、N-メチルイソロイシンもしくはN-エチルイソロイシンである、G33が、N-メチルグリシンもしくはN-エチルグリシンである、L34が、N-メチルロイシンもしくはN-エチルロイシンである、M35が、N-メチルメチオニンもしくはN-エチルメチオニンである、V36が、N-メチルバリンもしくはN-エチルバリンである、G37が、N-メチルグリシンもしくはN-エチルグリシンである、G38が、N-メチルグリシンもしくはN-エチルグリシンである、V39が、N-メチルバリンもしくはN-エチルバリンである、V40が、N-メチルバリンもしくはN-エチルバリンである、I41が、N-メチルイソロイシンもしくはN-エチルイソロイシンである、かつ/またはA42が、N-メチルアラニンもしくはN-エチルアラニンである。幾つかの実施形態では、非凝集性ペプチド類似体は、Aβ42の野生型機能を維持または実質的に維持する。
幾つかの具体的な実施形態では、Aβ42ペプチドの改変型の非凝集性類似体における天然に存在しないアミノ酸の置換は、35位および36位の一方または両方に行われる。理論に束縛されるものではないが、M35は、Aβ42のクロスβアミロイド構造において重要な位置にあるため、この残基と隣接する残基とは、分子間水素結合を効果的に破壊し、それによってペプチドの凝集傾向を低下させるのに役立つ天然に存在しないアミノ酸による修飾に特に望ましい標的部位であり得ると考えられる。幾つかの実施形態では、Aβ42ペプチドの改変型の非凝集性類似体は、天然に存在しないアミノ酸N-メチルメチオニンまたはN-エチルメチオニンにM35が置換されている。幾つかの実施形態では、Aβ42ペプチドの改変型の非凝集性類似体は、天然に存在しないアミノ酸N-メチルバリンまたはN-エチルバリンにV36が置換されている。
実施例
以下の実施例に関連して具体的な実施形態をさらに説明するが、こうした実施例は、例示であることを意図するものであり、本質的に限定的ではない。
マウス試験の方法
雌の野生型マウスおよび5xFADトランスジェニックマウス(Jackson laboratories)をマウス行動実験に使用した。マウスは、湿度、温度、および光を制御した条件下で個別に飼育し、食物および水は自由に摂取できるようにした。GraphPad QuickCalcs(GraphPad Software, San Diego, CA, USA)を使用して処置群にランダム割り付けを実施し、データ解析はすべて実験群に対して盲検化して実施した。動物実験はすべて、Council of Europe Legislation and Regulation for Animal Protectionに従い、National Animal Experiment Board of Finlandによって承認されている。動物への危害および苦痛を最小限に抑えるように最善を尽くした。1か月齢から3か月齢まで、週1回のビヒクルまたはペプチド調製物の静脈内注射によりマウスを処置した。行動試験:5xFADマウスは、3か月齢で開始する営巣試験に欠陥を有する。簡潔には、柔らかい床敷材料とプラスチック製シェルターチューブをケージの一端に移動し、柔らかいティッシュペーパー(17cm×17cm)をケージの他端に配置する。24時間後、ケージの写真を撮影し、設定尺度に従ってポイントを付与する。ティッシュペーパーがそのままの場合は0点とし、動物がティッシュを巣に取り込むと5点を与える。屠殺および試料処理:屠殺時には、250mg/kgのアバチン(登録商標)(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)を使用してマウスを麻酔し、2500IU/Lのヘパリン(Heparin LEO 5000 IU/ml, Leo Pharma A/S, Ballerup, Denmark)を含有する生理食塩水で経心腔的灌流を行った。抗凝固剤として3.8%クエン酸ナトリウムの1:10希釈液を使用して、屠殺時に終末血液試料を採取した(約300μlの血液)。血液試料を最初は1500gで6分間遠心分離した後、上清を新しいチューブに移し、さらに12000gで3分間遠心分離した。得られた血漿を2つのアリコートに分けて、-80℃で保管し、以降の分析に使用した。脳を摘出して正中矢状で左半球と右半球に切断した。左半球を4%パラホルムアルデヒド(PFA、Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)中で20時間、後固定し、PB中30%スクロースで2日間凍結保護し、液体窒素で凍結した。右半球の皮質および海馬は新鮮凍結した。
免疫組織化学染色:脳を4%パラホルムアルデヒド(PFA、Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)中で20時間、後固定した後、30%スクロースで48時間凍結保護した。脳を液体窒素で凍結し、クライオスタット(Leica Microsystems、Wetzlar, Germany)を用いて20μm厚の切片に冠状切開し、不凍液に回収した。WO2、GFAP、およびIba1の免疫組織化学染色を、6枚の連続切片に対して400μm間隔で実施した。脳切片を一次抗体(Iba-1の1:250希釈、Wako Chemicals, Tokyo, Japan)とともに室温で一晩インキュベートした。PBS中の0.05%Tween(登録商標)20(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)で3回洗浄した後、二次抗体を切片にのせた。蛍光Alexa 488または568結合二次抗体(1:200希釈、Abcam, Cambridge, UK)を免疫活性の視覚化に使用した。免疫活性を定量するために、解析ソフトウェア(Soft Imaging System)を実行する近接デジタルカメラ(Color View 12またはF-View、Soft imaging system, Muenster, Germany)搭載のAX70顕微鏡(Olympus corporation, Tokyo, Japan)で倍率4倍または10倍を用いて海馬領域を撮像した。ImagePro Plusソフトウェア(Media Cybernetics Inc., Rockville, MD, USA)を使用して所定の範囲で免疫活性の定量を実施し、相対的な免疫活性領域として表した。解析はすべて試験群に対して盲検化して実施する。
THT法。ThT(Sigma-Aldrich)をMQ水にて4mMに調製した。(生理食塩水中)500μg/mlペプチド50μLを250μLの2.4mM ThT溶液(水溶液)とともにインキュベートした。ThTの蛍光は、黒色透明底96ウェルプレート(Corning, USA)中にて、SpectraMax i3マイクロプレートリーダー(Molecular Devices, USA)上で12~24時間にわたり10~15分間隔で(定期的に底から振盪しながら)、励起波長440nmおよび発光波長480nmで測定した。GraphPad Prismソフトウェアを使用して曲線をフィッティングした。
in vitro法。WT SH-SY5Y神経芽腫細胞株およびスウェーデン変異をもつアミロイド前駆体タンパク質を安定発現するSH-SY5Y細胞(APP-SH-SY5Y)を、5%FBS(ウシ胎仔血清、ThermoFisher, USA)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(ThermoFisher, USA)を添加した増殖培地ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中にて37℃および5%COで増殖させた。処理前日に、FBS非含有のDMEM培地を入れた96ウェル細胞培養プレートに細胞を播種した。処理当日、WT SH-SY5Yを、10μMのγ-セクレターゼ阻害剤(アルデヒド2-ナフトイル-VF-CHO)に加えて種々の濃度のペプチドで48時間処理した。APP-SH-SY5Yはペプチドのみで72時間処理した。次に、製造業者のプロトコールに従ってWST-1アッセイ(Sigma-Aldrich)を使用して細胞増殖を測定した。
臨床方法。正常認知に必要とされるAβ42の最小要件レベルを見出すために、本発明者らは、55歳~90歳までの参加者2700名以上を研究したAlzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)のデータを検討した(Weiner et al., Alzheimers Dement. 2013 Sep;9(5):e111-94)。本発明者らは、陽電子放出断層撮影検査に基づいて全員がアミロイド斑陽性であったADNI参加者の試料内での脳脊髄液(CSF)Aβ42のレベルを検討した。本発明者らは、正常認知(CN)を有するアミロイド陽性個人は平均CSF Aβ42レベルが900pg/mlであり、これは軽度認知障害(MCI)およびアルツハイマー病(AD)をもつ個人のCSF Aβ42レベルよりも有意に高いことを見出した(アスタリスクは有意差を表す、**はP<0.01および***はP<0.001)。本発明者らは、活性型Aβ42類似体を使用した対象の脳脊髄液中Aβ42濃度が900pg/mlまたは同等に達することが、補充療法の合理的な治療目標であると結論を下した。
実施例1-補充療法のin vivo実証
図4A、図4B、および図4Cに示す結果は、βシート凝集ドメインの残基41および42の欠失によるβシート不安定化修飾のある配列番号3を有する改変型Aβ42(Aβ40)を使用した補充療法が、確立されたAD動物モデル(5XFADマウス)において表現型の回復に至ることを実証している。
簡潔には、配列番号3(Aβ-40)の配列を有するペプチドを5mg/kg/日の用量で5週間、マウスに静脈内投与した。
図4Aに示す結果からわかるように、野生型マウスが約5/5の行動スコアを示したのに対し、未処置の5XFADマウスは4/5の平均行動スコアを示した。βシート凝集ドメインの残基41および42の欠失によるAβ-42の非凝集性類似体である改変型ペプチドAβ-40を5週間投与すると、マウスの行動スコアが約5/5に回復した(右端)。対照としてスクランブルペプチド(配列番号711の配列を有する)を投与した野生型マウスおよびスクランブルペプチドを投与した5XFADマウスの並列結果と併せ、非凝集性ペプチドRT3(配列番号3(Aβ-40)の配列を有する)およびRT88(配列番号88の配列を有する)の投与によって実証された表現型レスキューをそれぞれ図4Bおよび図4Cに示す。
図5Aからわかるように、Aβ42の非凝集性類似体である改変型ペプチド(配列番号3)で処置した5XFADマウスは、ビヒクル処置動物と比較して、皮質におけるプラーク量の低減も示した。図5Bは同様に、処置動物の海馬において対応するプラーク蓄積レベルが減少することを示す。
実施例2-Aβ42類似体の凝集傾向の評価
35位のメチオニン(M)の代わりにプロリン(P)置換を有する配列番号88、野生型Aβ42(配列番号1)、Aβ42のβシート凝集ドメインの最後の2つのC末端残基を欠失するAβ40(配列番号3)、35位の天然に存在するメチオニンが天然に存在しないアミノ酸N-メチルメチオニンに置換されている配列番号190、および35位の天然に存在するメチオニンが天然に存在しないアミノ酸ピロリシンに置換されている配列番号192という5つの異なった配列を有するペプチドに対してチオフラビン-T動態試験を実施した。図6Aに示すように、配列番号88を有するペプチドは、配列番号3を有するペプチドよりも凝集傾向が低く、配列番号3を有するペプチドは、配列番号1を有する野生型Aβ42よりも凝集傾向が低い。図6Bに示すように、配列番号190および配列番号192を有するペプチドも、野生型Aβ42(配列番号1)よりも凝集傾向が低かった。
実施例3-SH-SY5Y神経細胞株における細胞増殖の評価
Aβ42の非凝集性類似体が、変異型アミロイド前駆体タンパク質(APP)を発現する神経細胞の増殖を増強し、γ-セクレターゼ阻害剤を使用したAβ42の薬理学的枯渇後に神経細胞をレスキューできることを実証する実験を実施した。
図7Aは、スウェーデン変異をもつアミロイド前駆体タンパク質遺伝子を発現するSH-SY5Y神経細胞株(APP-SH-SY5Y)に関するアッセイでの未処理細胞に対する細胞増殖率を示す。濃度の異なるAβ42もしくはその非凝集性類似体またはスクランブル対照ペプチド(YHAGVDKEVVFDEGAGAEHGLAQKIVRGFGVSDVSMIHINLF、配列番号711)で細胞を無血清条件で72時間処理した後、WST-1アッセイを使用して細胞増殖を測定した。結果は4連での2回の実験の平均を表し、アスタリスクは有意差を表す(未処理APP-SH-SY5Y細胞との比較における有意差をダネットの多重比較検定による一元配置分散分析を使用して評価した。*はP<0.05、**はP<0.01、および***はP<0.001、ns:有意性なしによって示される)。0001ペプチドは、配列番号1を有する野生型Aβ42である。0003ペプチドは、配列番号3を有するAβ40ペプチドである。0088ペプチドは、配列番号88(M35P修飾)を有するAβ42類似体であり、0100ペプチドは、配列番号100(V36P)を有するAβ42類似体である。
図7Bは、スウェーデン変異をもつアミロイド前駆体タンパク質遺伝子を発現するSH-SY5Y神経細胞株(APP-SH-SY5Y)に関するアッセイでの野生型細胞に対する細胞増殖率を示す。濃度の異なるAβ42もしくはその非凝集性類似体または配列番号711を有するスクランブル対照ペプチドで細胞を無血清条件で72時間処理した後、WST-1アッセイを使用して細胞増殖を測定した。結果は4連での2回の実験の平均を表し、アスタリスクは有意差を表す(未処理の野生型SH-SY5Y細胞との比較における有意差をダネットの多重比較検定による一元配置分散分析を使用して評価した。*はP<0.05、**はP<0.01、および***はP<0.001、ns:有意性なしによって示される)。0001ペプチドは、配列番号1を有する野生型Aβ42である。0003ペプチドは、配列番号3を有するAβ40ペプチドである。0088ペプチドは、配列番号88(M35P修飾)を有するAβ42類似体であり、0100ペプチドは、配列番号100(V36P)を有するAβ42類似体である。
図7Cおよび図7Dは、比較をより明確に示せるように、未処理細胞に対する細胞増殖を示す追加の類似実験からのデータを、y軸を短くしてプロットした。
図8は、10μMのγ-セクレターゼ阻害剤(アルデヒド2-ナフトイル-VF-CHO)で処理したSH-SY5Y神経細胞を、さらに、濃度の異なるAβ42もしくはその非凝集性類似体またはスクランブル対照ペプチド(上記の配列)により無血清条件で48時間処理した後、WST-1アッセイを使用して細胞増殖を測定した。結果は4連処理の平均を表し、アスタリスクはγ-セクレターゼ阻害剤で処理した細胞と比較した有意差を表す。有意差はダネットの多重比較検定による一元配置分散分析を使用して評価し、*はP<0.05、**はP<0.01、かつ***はP<0.001、ns:有意性なしによって示される。
実施例4-認知機能に対する可溶性のAβ42の重要性の決定
図9Aおよび図9Bは、脳脊髄液中の可溶性のAβ42ペプチドレベルの低下が、プラーク量が増加している患者全体においても、認知機能の低下と相関することを示す(図9B)。本試験では、Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)によって提供されたデータに従い、脳脊髄液(CSF)中のAβ42レベルをELISAイムノアッセイ(Elecsys)を使用して測定した。図9Aには、各診断カテゴリーの全対象にわたる可溶性のAβ42を示し、一方の図9Bには、CL3分位群にわたる各診断カテゴリーでの可溶性のAβ42レベルを示す。この場合の、CL3分位群は、アミロイドーシスのPETスキャンを標準取込値比(SUVR)で定量し、皮質灰白質全体でのSUVRを定量し、これを小脳全体で標準化して、SUVRの3分位に分割することにより決定した。SUVRレベルは、ADNIが提供する各トレーサー固有の計算式を使用して、センチロイド(CL)に変換した。可溶性のAβ42のレベルの低下は軽度認知障害と関連し、さらにレベルが低下するとアルツハイマー病の存在と関連していた。参照により全体が本明細書に援用される、EClinical Medicine (2021) Vol. 38 100988も参照のこと。このように可溶性のAβ42のレベルの低下は、認知機能のレベルの低下と関連している。
図10は、Dominantly Inherited Alzheimer Network(DIAN)コホート試験に参加する変異保有者間の後向き縦断試験でのPiB-PET陽性コホート(すなわち、アミロイド斑を発現する患者)における、臨床認知症評価尺度(CDR)による非進行者と進行者との脳脊髄液Aβ42レベルの比較を示す。本試験では、Fujirebio, Malvern, PA製のAlzBio3アッセイを使用して、CSFのAβ42レベルを評価した。CDR非進行者の方が、CDR進行者(218.73±17.22)と比較して、CSF中のAβ42値が高かった(297.73±13.66)。コホート全体:CDR非進行者(380.83±14.5)対CDR進行者(313.35±26.46)。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。CDRの進行は、試験の経過観察期間までのCDRの任意の増加であると定義した。ピッツバーグコンパウンドB PET(PiB-PET)の標準取込(SUVR)が1.42以上である場合に、患者をアミロイドPiB-PET陽性と定義した。アッセイが異なれば、CSF中の可溶性のAβ42レベルの絶対値も異なる可能性があるが、可溶性のAβ42レベルの低下と予後の悪化とが関連するという全体的な傾向は一貫している。
種々の実施形態における補充療法は、非凝集性類似体を使用して、可溶性機能性タンパク質のレベルをこのレベルまで回復させることを目的とする。
実施例5-大脳皮質ニューロンにおけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体に対する非凝集性ペプチド類似体の効果
α7アゴニストPNU282987(1μM)とポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)であるα7 PAMのPNU120596(10μM)とを併用してPC駆動で急速投与した培養WTマウス大脳皮質ニューロンの生細胞カルシウムイメージングを実施した。この併用により、α7nAChRの全活性範囲が解明される。α7介在性効果の特異性をα7nAChR遮断物質MLAおよびα-BungTXにより検証した。以下で考察するように、Aβ42の非凝集性類似体による処置は、α7nAChR介在性Ca+2流入を増強することが判明した。これは、pM濃度のAβ42の非凝集性類似体の同時投与が、α7受容体を活性化するPAM PNU120596の能力を促進/亢進/増強することを示しており、Aβ42の非凝集性類似体が、受容体活性の正のモジュレーターとして機能することを示唆している。各図の中央のバー(PNU4)は、投与前(PNU3)と投与後(PNU5)のベースラインシグナルと比較した、非凝集性ペプチド類似体が介在するCa+2流入の増強率を表す。
図11A~図11Dは、指定濃度の配列番号88のアミノ酸配列を有する非凝集性ペプチド類似体の例について、投与前対照および投与後対照の反応と比較した、大脳皮質ニューロンにおけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の亢進率を示す。図12A~図12Dおよび図13は、指定濃度のそれぞれ配列番号3および配列番号190のアミノ酸配列を有する非凝集性ペプチド類似体の追加例について、投与前対照および投与後対照の反応と比較した、大脳皮質ニューロンにおけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の亢進率を示す。図14は、配列番号1を有するAβ42について、投与前対照および投与後対照の反応と比較した、大脳皮質ニューロンにおけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の亢進率を示し、図15A~図15Dは、配列番号711のアミノ酸配列を有する対照スクランブルペプチドについて、投与前対照および投与後対照の反応と比較した、大脳皮質ニューロンにおけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の亢進率を示す。
こうした結果は、pM濃度の非凝集性類似体の同時投与が、α7受容体を活性化するPAM PNU120596の能力を促進することを示しており、理論に束縛されるものではないが、この類似体が、受容体活性の正のモジュレーターとして機能することを示唆している。
図16は、配列番号88または配列番号190のアミノ酸配列を有する非凝集性ペプチド類似体が、pM濃度のペプチドで5分間処理した後のSHSY-5Y細胞において下流ERK1/2リン酸化を誘導することを示す。ERKのリン酸化は、細胞増殖、神経発生、およびシナプス可塑性にとって重要であり、α7受容体を介したカルシウム流入の下流にある。図16に示すデータを得るために、SH-SY5Y細胞を30pMのペプチドで5分間処理した後、溶解させ、市販のELISAキットによってERKリン酸化を定量した。図16に示す結果は、試験されたAβ42の非凝集性類似体が、α7結合およびCa+2流入が介在する神経原性シグナル伝達経路を活性化することを実証している。図16ではAβ42を対照として使用しなかったが、非凝集性ペプチド類似体に対するAβ42の活性を比較する並列実験は、非凝集性ペプチド類似体側でより高い活性を示した。
実施例6-構造試験
図17は、配列番号88のアミノ酸配列を有するペプチドが、ペプチド類似体のN末端ドメインを介してα7ニコチン性アセチルコリン受容体に結合することを示すドッキングシミュレーションの結果を示す。ペプチドは図の右側に見られ、ペプチドのN末端部分が、α7受容体の細胞外ドメイン内に形成された結合ポケット内に収容されている。理論に束縛されるものではないが、α7受容体への結合がペプチド類似体のN末端ドメインを介して起こるのに対し、C末端ドメインはβシート凝集ドメインであるという事実は、ペプチドのC末端部分での修飾が、Aβ42ペプチドの正常な生物学的機能を妨害しにくいことを裏付けていると考えられる。
図18は、アルツハイマー病においてアミロイド沈着を形成するプロトフィラメントを形成すると考えられるAβ42ペプチドの逆向きに積層するβシートの構造図を示す。クロスβアミロイド構造を安定化するこの残基の位置を示すために、逆向きに積層するβシートのそれぞれにおいてメチオニン35が占める位置を丸で囲み、矢印で示す。
前述の実施例は、Aβ42の非凝集性類似体の投与を利用すると、アルツハイマー病の容認済み動物モデルにおいて疾患の症状を改善できることを実証している。こうした結果に基づいて、種々のプロテイノパチーに関与する他のタンパク質の非凝集性類似体の使用法を、当該プロテイノパチーの治療および/または予防に使用できることは十分に予測することができる。
幾つかの例示的な態様および実施形態を上記で考察してきたが、当業者であれば、それらの特定の変形、置換、追加、およびそのサブコンビネーションを認識されるであろう。したがって、以下に添付する特許請求の範囲および以降に導入する請求項は、本明細書全体の最も広義の解釈と一致する限りにおいて、当該変形、置換、追加、およびサブコンビネーションをすべて包含するものと解釈される。
参考文献
以下の参考文献は、本明細書に記載の主題に関して有益となる可能性のあるものである。以下の参考文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
・Kanaan and Manfredsson, Journal of Parkinson’s Disease 2:249-267 (2012).
・Malmberg et al., Frontiers in Neuroscience, 14:256 (2020).
・Wood et al., Biochemistry, 34(3):724-30 (1995).
・Chiti and Dobson, Annu. Rev. Biochem. 86:26-68 (2017).
・Mori et al.による米国特許出願公開第2008/0063636号明細書
・Arancio et al.による米国特許出願公開第2010/0081613号明細書
・Soto-Jaraによる米国特許第6689753号明細書
・Kapurniotu et al.による米国特許第7342091号明細書
・Frangione et al.による国際公開第03/045128号
・Gaeta et al.による米国特許第5686411号明細書
以下の態様に関連して特定の実施形態をさらに定義するが、こうした態様は、例示であり、範囲を限定しない。
A.プロテイノパチーに関与するタンパク質の非凝集性タンパク質類似体であって、前記タンパク質が、βシート凝集ドメインを有し、前記非凝集性タンパク質類似体が、βシート凝集ドメインにβシート不安定化変異を含み、タンパク質の野生型機能を実質的に保持する、非凝集性タンパク質類似体。
B.βシート凝集ドメインに2つ以上のβシート不安定化変異を含む、態様Aに定義される非凝集性タンパク質類似体。
C.前記βシート不安定化変異が、プロテイノパチーに関与するタンパク質の天然に存在するアミノ酸残基の、荷電性または極性アミノ酸残基、グリシン残基、プロリン残基、またはアミノ酸のβシート不安定化類似体による置換を含む、態様AまたはBに定義される非凝集性タンパク質類似体。
D.荷電性もしくは極性アミノ酸残基またはその類似体が、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、またはβシート凝集ドメイン内のβシート形成を妨害するアミノ酸類似体を含み、βシート形成を妨害する前記アミノ酸類似体が、場合により、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、セレノシステイン、ピログルタミン酸、カルボキシグルタミン酸、オクテニルアラニン、ピロリシン、パルミトイルアスパラギン酸、D-プロリンを含むD-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、ホモアミノ酸、β-ホモアミノ酸、α-メチルアミノ酸、N-メチルアミノ酸、N-エチルアミノ酸、N-アルキル化アミノ酸誘導体(好ましくは、アルキル部分に1個、2個、または3個の炭素を有する)、ピルビン酸誘導体、分岐鎖アミノ酸誘導体、ニトロアミノ酸誘導体、ハロゲン化アミノ酸誘導体、環置換アミノ酸誘導体、芳香族アミノ酸誘導体、直鎖コアアミノ酸、ペプトイド誘導体、ヒドロキシル化アミノ酸誘導体、環状アミノ酸、二環式アミノ酸、3-アミノ-3-アリール-プロピオン酸、3-アミノ-4-アリール-酪酸、芳香族スペーサーをもつアミノ酸、脂環式アミノ酸、またはα-フェニルグリシン誘導体である、態様Cに定義される非凝集性タンパク質類似体。
E.前記βシート不安定化変異が、場合により、βシート凝集ドメインの天然に存在するアミノ酸残基すべてを上限とする欠失を含めた、プロテイノパチーに関与するタンパク質の1つ以上の天然に存在するアミノ酸残基の欠失を含む、態様AからDまでのいずれか1つに定義される非凝集性タンパク質類似体。
F.前記βシート不安定化変異が、1~5個のアミノ酸残基の挿入を含む、態様AからEまでのいずれか1つに定義される非凝集性タンパク質類似体。
G.挿入されたアミノ酸残基の少なくとも1つが、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、P、もしくはG、またはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体を含む、態様Fに定義される非凝集性タンパク質類似体。
H.プロテイノパチーに関与する前記タンパク質が、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アミロイドβタンパク質(Aβ-39、Aβ-40、Aβ-42、またはAβ-43アイソフォームを含む)、α-シヌクレイン、プリオンタンパク質、ハンチンチンタンパク質、p53、または表1に列挙されるタンパク質もしくはペプチドのいずれかを含む、態様AからGまでのいずれか1つに定義される非凝集性タンパク質類似体。
I.プロテイノパチーに関与するタンパク質がアミロイドβを含み、場合により、
βシート凝集ドメインが、アミロイドβの29~42位を含む;
βシート不安定化変異が、天然に存在するアミノ酸残基の欠失、もしくは次のアミノ酸残基:G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、もしくはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体のうち1つへの置換を含む;
βシート不安定化変異が、天然に存在するアミノ酸残基に隣接する1~5個のアミノ酸残基の挿入を含み、場合により、挿入されたアミノ酸残基の少なくとも1つが、G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、もしくはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体を含む;
非凝集性タンパク質類似体が、配列番号2~193のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有するタンパク質を含む;かつ/または
非凝集性タンパク質類似体が、配列番号194~207もしくは配列番号712~742のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、
Xが、欠失、1~5個のアミノ酸残基、場合により、G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、もしくはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体の挿入、もしくは天然に存在するアミノ酸残基から次のアミノ酸残基:G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、もしくはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体のうち1つへの置換を示す、
態様AからHまでのいずれか1つに定義される非凝集性タンパク質類似体。
J.プロテイノパチーに関与するタンパク質がα-シヌクレインを含み、場合により、
βシート凝集ドメインが、α-シヌクレインの61~95位を含む;
βシート不安定化変異が、天然に存在するアミノ酸残基の欠失、または次のアミノ酸残基:G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、もしくはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体のうち1つへの置換を含む;
βシート不安定化変異が、天然に存在するアミノ酸残基に隣接する1~5個のアミノ酸残基の挿入を含み、場合により、挿入されたアミノ酸残基の少なくとも1つが、G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、またはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体を含む;
非凝集性タンパク質類似体が、配列番号209~698のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、
Xが、欠失、1~5個のアミノ酸残基、場合により、G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、もしくはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体の挿入、または天然に存在するアミノ酸残基から次のアミノ酸残基:G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、もしくはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体のうち1つへの置換を示す、
態様AからIまでのいずれか1つに定義される非凝集性タンパク質類似体。
K.プロテイノパチーに関与するタンパク質がプリオンタンパク質を含み、場合により、
βシート凝集ドメインが、プリオンタンパク質の109~121位を含む;
βシート不安定化変異が、天然に存在するアミノ酸残基の欠失、もしくは次のアミノ酸残基:G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、もしくはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体のうち1つへの置換を含む;
βシート不安定化変異が、天然に存在するアミノ酸残基に隣接する1~5個のアミノ酸残基の挿入を含み、場合により、挿入されたアミノ酸残基の少なくとも1つが、G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、もしくはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体を含む;かつ/または
非凝集性タンパク質類似体が、配列番号700~710のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、
Xが、欠失、1~5個のアミノ酸残基、場合により、G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、もしくはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体の挿入、もしくは天然に存在するアミノ酸残基から次のアミノ酸残基:G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、C、もしくはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体のうち1つへの置換を示す、
態様AからJまでのいずれか1つに定義される非凝集性タンパク質類似体。
L.態様AからKまでのいずれか1つに定義される非凝集性タンパク質類似体をコードする核酸。
M.mRNAを含む、態様Lに定義される核酸。
N.態様LおよびMのいずれか1つに定義される核酸を含むリポソームベースの粒子であって、標的細胞に核酸を送達して非凝集性タンパク質類似体の発現を引き起こすように設計されているリポソームベースの粒子。
O.プロテイノパチーを有する対象または発症するリスクのある対象に、態様AからNまでのいずれか1つに定義されるペプチドまたは核酸を投与することを含む、プロテイノパチーの治療および/または予防のための方法。
P.前記プロテイノパチーが、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病またはレビー小体型認知症、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ダウン症候群、脳鉄蓄積を伴う神経変性I型(ハラーホルデン・スパッツ病)、クールー病またはその他の伝染性海綿状脳症(TSE)、軽度認知障害(MCI)、脳アミロイド血管症(CAA)、脳血管性認知症、または異常なアミロイド沈着を特徴とする任意の神経変性疾患、または表1に列挙する任意の疾患もしくは障害を含む、態様Oに定義される方法。
Q.投与が、静脈内、脳室内、脳内、くも膜下腔内、腹腔内、筋肉内、もしくは静脈内への注射、注入、または局所、経鼻、経口(舌下または頬側を含む)、経直腸、経眼、もしくは経耳の送達によるもの;リポソームを介在した送達、例えば、態様AからKまでのいずれか1つに定義される非凝集性タンパク質類似体の直接送達、態様AからKまでのいずれか1つに定義される非凝集性タンパク質類似体をコードするmRNAの直接送達、または細胞のゲノムにDNAを組み込み、細胞による非凝集性タンパク質類似体の発現を促進する好適なメカニズム(例えば、CRISPR-Cas遺伝子編集システム)を伴った、態様AからKまでのいずれか1つに定義される非凝集性タンパク質類似体をコードするDNAの送達によるものである、態様OまたはPに定義される方法。
R.以下:
プロテイノパチーに関与するタンパク質を選択するステップ;
プロテイノパチーに関与するタンパク質のβシート凝集ドメインを同定するステップ;
βシート凝集ドメイン内の1つ以上のβシート不安定化変異を同定するステップ
を含む、プロテイノパチーに関与するタンパク質の非凝集性類似体を設計する方法。
S.プロテイノパチーに関与するタンパク質のβシート凝集ドメインを同定するステップが、構造生物学試験を実施することを含む、態様Rに定義される方法。
T.βシート凝集ドメイン内の1つ以上のβシート不安定化変異を同定するステップが、
βシート凝集ドメインから天然に存在するアミノ酸残基を欠失させるステップ;および/または
βシート凝集ドメイン内の天然に存在するアミノ酸残基を、クロスβシート構造の形成を損なうアミノ酸残基に置換するステップ
の1つ以上を含む、態様RまたはSに定義される方法。
U.βシート凝集ドメイン内の天然に存在するアミノ酸残基を、クロスβシート構造の形成を損なうアミノ酸残基に置換するステップが、天然に存在するアミノ酸残基から、G、P、K、R、H、E、D、S、T、N、Q、もしくはCのうちの1つ、またはβシート形成を妨害するアミノ酸類似体への置換を含む、態様Tに定義される方法。
V.βシート形成を妨害する前記アミノ酸類似体が、場合により、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、セレノシステイン、ピログルタミン酸、カルボキシグルタミン酸、オクテニルアラニン、ピロリシン、パルミトイルアスパラギン酸、D-プロリンを含むD-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、ホモアミノ酸、β-ホモアミノ酸、α-メチルアミノ酸、N-メチルアミノ酸、N-エチルアミノ酸、N-アルキル化アミノ酸誘導体(好ましくは、アルキル部分に1個、2個、または3個の炭素を有する)、ピルビン酸誘導体、分岐鎖アミノ酸誘導体、ニトロアミノ酸誘導体、ハロゲン化アミノ酸誘導体、環置換アミノ酸誘導体、芳香族アミノ酸誘導体、直鎖コアアミノ酸、ペプトイド誘導体、ヒドロキシル化アミノ酸誘導体、環状アミノ酸、二環式アミノ酸、3-アミノ-3-アリール-プロピオン酸、3-アミノ-4-アリール-酪酸、芳香族スペーサーをもつアミノ酸、脂環式アミノ酸、またはα-フェニルグリシン誘導体である、態様AからUまでのいずれか1つに定義される非凝集性タンパク質類似体または方法。

Claims (38)

  1. Aβ42ペプチドの非凝集性ペプチド類似体であって、前記Aβ42ペプチドが、配列番号1の1~28位に対応するN末端ドメイン、および配列番号1の29~42位に対応するβシート凝集ドメインを有し、
    前記非凝集性ペプチド類似体が、前記βシート凝集ドメインにβシート不安定化修飾を含み、
    前記非凝集性ペプチド類似体が、非凝集性であることを除いて、前記Aβ42ペプチド本来の機能を実質的に保持する、
    非凝集性ペプチド類似体。
  2. 保持されるペプチドの前記本来の機能が、α7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7nAChR)介在性Ca2+流入を増強または誘導する能力を含む、請求項1記載の非凝集性ペプチド類似体。
  3. 保持されるペプチドの前記本来の機能が、大脳皮質ニューロン中に3000pM以下、好ましくは300pM以下、より好ましくは30pM以下、最も好ましくは3pM以下の濃度でα7nAChR介在性Ca2+流入を増強または誘導する能力である、請求項1または2記載の非凝集性ペプチド類似体。
  4. 前記ペプチド類似体が、天然の可溶性の前記Aβ42ペプチドのレベルの少なくとも90%でAβ42の保持される前記本来の機能を実行できる、請求項1から3までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  5. 前記類似体に対するチオフラビン-Tアッセイにおいて、前記βシート不安定化修飾により、凝集の定常状態レベルが、(配列番号1のアミノ酸配列を有する)野生型Aβ42と比較して、少なくとも2分の1(好ましくは少なくとも3分の1、最も好ましくは少なくとも4分の1)に低下する、請求項1から4までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  6. 前記類似体の前記N末端ドメインが、3個以下(好ましくは2個、より好ましくは1個、最も好ましくは0個)の欠失、挿入、および/または置換、好ましくは保存的置換により、配列番号1の残基1~28とは異なるアミノ酸配列を含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  7. 配列番号1に対する最大3個(好ましくは2個、より好ましくは1個)の保存的アミノ酸置換を前記N末端ドメインに含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  8. 前記類似体の前記βシート凝集ドメインが、5個以下(好ましくは3個、より好ましくは1個、最も好ましくは0個)の欠失、挿入、および/または置換、好ましくは保存的置換により、配列番号1の残基29~42とは異なるアミノ酸配列を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  9. 前記βシート不安定化修飾に加えて、配列番号1に対する最大3個(好ましくは2個、より好ましくは1個)の保存的アミノ酸置換を前記βシート凝集ドメイン内に含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  10. 前記βシート不安定化修飾が、前記ペプチドの天然に存在するアミノ酸残基の、アミノ酸類似体による置換を含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  11. 前記βシート不安定化修飾が、配列番号1に対して、個別の3箇所に最大3個の天然に存在するアミノ酸残基の、アミノ酸類似体による置換を含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  12. 前記アミノ酸類似体が、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、セレノシステイン、ピログルタミン酸、カルボキシグルタミン酸、オクテニルアラニン、ピロリシン、パルミトイルアスパラギン酸、D-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、ホモアミノ酸、β-ホモアミノ酸、α-メチルアミノ酸、N-アルキル化アミノ酸誘導体、ピルビン酸誘導体、分岐鎖アミノ酸誘導体、ニトロアミノ酸誘導体、ハロゲン化アミノ酸誘導体、環置換アミノ酸誘導体、芳香族アミノ酸誘導体、直鎖コアアミノ酸、ペプトイド誘導体、ヒドロキシル化アミノ酸誘導体、環状アミノ酸、二環式アミノ酸、3-アミノ-3-アリール-プロピオン酸、3-アミノ-4-アリール-酪酸、芳香族スペーサーをもつアミノ酸、脂環式アミノ酸、α-フェニルグリシン誘導体のうちの1つである、請求項1から11までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  13. 前記アミノ酸類似体が、N-アルキル化アミノ酸誘導体(N-メチル、N-エチル、N-プロピル)、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、直鎖コアアミノ酸、または環状アミノ酸のうちの1つである、請求項1から12までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  14. 前記アミノ酸類似体が、好ましくはアルキル部分に1~3個の炭素を有するN-アルキル化アミノ酸類似体を含む、請求項1から13までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  15. 前記アミノ酸類似体が、前記ペプチドの天然に存在するアミノ酸残基のN-メチルまたはN-エチル類似体を含む、請求項1から14までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  16. 配列番号2~193のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有するペプチドを含む、請求項1記載の非凝集性ペプチド類似体。
  17. 前記非凝集性ペプチド類似体が、配列番号194~207または配列番号712~742のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有するペプチドを含み、Xが、天然に存在しないアミノ酸による置換である、請求項1記載の非凝集性ペプチド類似体。
  18. 前記βシート不安定化修飾が、好ましくはアミノ酸類似体による、M35の置換を含む、請求項1から17までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  19. 前記βシート不安定化修飾が、好ましくはアミノ酸類似体による、V36の置換を含む、請求項1から18までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  20. 前記βシート不安定化修飾が、プロリン、N-メチルメチオニン、またはピロリシン、好ましくはN-メチルメチオニンへのM35の置換を含む、請求項1から19までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  21. 前記βシート不安定化修飾が、プロリン、N-メチルバリン、またはピロリシン、好ましくはピロリシンへのV36の置換を含む、請求項1から20までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  22. 前記βシート不安定化修飾が、
    メチルグリシンもしくはN-エチルグリシンによるG29の置換;
    N-メチルアラニンもしくはN-エチルアラニンによるA30の置換;
    N-メチルイソロイシンもしくはN-エチルイソロイシンによるI31の置換;
    N-メチルイソロイシンもしくはN-エチルイソロイシンによるI32の置換;
    N-メチルグリシンもしくはN-エチルグリシンによるG33の置換;
    N-メチルロイシンもしくはN-エチルロイシンによるL34の置換;
    N-メチルメチオニンもしくはN-エチルメチオニンによるM35の置換;
    N-メチルバリンもしくはN-エチルバリンによるV36の置換;
    N-メチルグリシンもしくはN-エチルグリシンによるG37の置換;
    N-メチルグリシンもしくはN-エチルグリシンによるG38の置換;
    N-メチルバリンもしくはN-エチルバリンによるV39の置換;
    N-メチルバリンもしくはN-エチルバリンによるV40の置換;
    N-メチルイソロイシンもしくはN-エチルイソロイシンによるI41の置換;および/または
    N-メチルアラニンもしくはN-エチルアラニンによるA42の置換
    のうちの1つ以上を含む、請求項1から21までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  23. 前記βシート不安定化修飾が、N-メチルメチオニンまたはN-エチルメチオニンによるM35の置換を含む、請求項1から22までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  24. 前記βシート不安定化修飾が、N-メチルバリンまたはN-エチルバリンによるV36の置換である、請求項1から23までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  25. 前記N末端ドメインおよび前記βシート凝集ドメインの一方または両方に最大3個の保存的アミノ酸置換をもつ、配列番号3、配列番号88、配列番号100、配列番号190、または配列番号192のうち1つのアミノ酸配列を有する、請求項1から24までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  26. 配列番号88、配列番号100、配列番号190、または配列番号192のうち1つのアミノ酸配列を有する、請求項1から25までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  27. 治療に使用するための、請求項1から26までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  28. アルツハイマー病または軽度認知障害の治療および/または予防に使用するための、請求項1から27までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  29. 常染色体顕性アルツハイマー病、散発性アルツハイマー病、または若年性散発性アルツハイマー病の治療および/または予防に使用するための、請求項1から28までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  30. 常染色体顕性アルツハイマー病の治療および/または予防に使用するための、請求項1から29までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  31. PSEN1、PSEN2、またはAPPの変異が引き起こす常染色体顕性アルツハイマー病の治療および/または予防に使用するための、請求項1から30までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  32. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、レビー小体型認知症、または多系統萎縮症の治療および/または予防に使用するための、請求項1から31までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  33. 前記ペプチド類似体が、約500pM未満、好ましくは約400pM未満、好ましくは約300pM未満、より好ましくは200pM未満の脳脊髄液中のAβ42レベルを有する対象に投与される、請求項27から32までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  34. 前記ペプチドが、皮下、静脈内、脳室内、脳内、くも膜下腔内、腹腔内、または筋肉内への注射もしくは注入、または局所、経鼻、経口(舌下または頬側を含む)、経直腸、経眼、もしくは経耳の送達により投与される、請求項27から33までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体。
  35. 請求項1から26までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体を、アルツハイマー病を有する対象または発症するリスクのある対象に投与することを含む、アルツハイマー病の治療および/または予防のための方法。
  36. 請求項1から26までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体を対象に投与することを含む、前記対象における筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、レビー小体型認知症、または多系統萎縮症の治療および/または予防のための方法。
  37. 請求項1から34までのいずれか1項記載の非凝集性ペプチド類似体を使用して、対象がアルツハイマー病または可溶性のAβ42ペプチドのレベル低下に関連する別の障害の治療および/または予防の候補となるかどうかを決定するために、前記対象をスクリーニングする方法であって、
    前記対象の脳脊髄液試料中のAβ42の濃度を測定すること、および
    前記脳脊髄液試料中のAβ42の測定濃度が、約500pM未満、好ましくは約400pM未満、好ましくは約300pM未満、より好ましくは200pM未満である場合、前記対象を、請求項1から34までのいずれか1項記載のペプチドの投与によるアルツハイマー病の治療および/または予防の候補であると同定すること
    を含み、
    さらに場合により、前記非凝集性ペプチド類似体を前記対象に投与することを含む、
    方法。
  38. 前記脳脊髄液試料中のAβ42の前記濃度が、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法またはイムノアッセイ(例えば、Elecsys, AlzBio3)を使用して測定される、請求項37記載の方法。
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