JP2024518125A - 組織再生の促進に有用なhmgb1関連ポリペプチド、それを含む組成物及びその使用 - Google Patents

組織再生の促進に有用なhmgb1関連ポリペプチド、それを含む組成物及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、以下の式:H2N-A-X-B-A-X-B-HOOCで表されるHMBG1に基づくポリペプチド、当該ポリペプチドを含む組成物、当該ポリペプチドを使用する治療方法に関する。

Description

この出願は、米国仮出願第63/190,429号(出願日:2021年5月19日)の利益を主張し、その内容は参照によりこの明細書に組み込まれる。
この出願全体で、さまざまな刊行物を参照しており、各参考文献はその全体が参照により本出願に組み込まれる。
配列表の参照
この出願は、本出願の一部として提出した、ファイル名「220519_91203-B-PCT_Sequence_Listing_AWG.txt」で、サイズが78KBで、IBM-PC機形式で2022年5月18日に作成され、MS-Windows(登録商標)とのオペレーティングシステム適合性を有するテキストファイル中の各ヌクレオチド配列も、参照により組み込む。
技術分野
この発明は、有害な炎症を誘発することなく組織再生を促進するHMGB1関連ポリペプチド、及び、組織損傷を伴う急性又は慢性の状態の治療を必要とする対象に前記ポリペプチドを投与することによって、前記状態を治療する方法に関する。
常在性幹細胞及び前駆細胞は、恒常性の維持及び損傷後の多くの組織の修復において、重要な役割を果たす[1]。しかし、成体のほとんどの組織は、瘢痕化によって治癒する。骨髄移植の成功[2]に続き、固形臓器(solid organ)の再生を促進するための外因性の幹細胞療法に多くの関心が向けられた。しかし、成功は眼[3]及び皮膚[4]などの一部の臓器に限定された。組織が損傷した後の炎症は、幹細胞の生着にはつながらず、その後の瘢痕化は、幹細胞ニッチを破壊する[5]。したがって、内因性の修復機序を刺激することによる組織再生の促進に焦点がシフトした[6]。治療薬開発の成功は、これらの経路を促進する可溶性の媒介因子の特定に依存する[7]。我々は、骨、血液及び骨格筋を含む複数の組織における修復の重要な媒介因子として、高移動度群ボックス1(HMGB1)を、以前に特定した[8]。
HMGB1は、アラーミンのプロトタイプで[9, 10]、生理学的条件において、転写で重要な役割を果たす[11, 12]。それは、細胞損傷時に、損傷を受けて壊死した細胞から、細胞外及び血液中に受動的に放出され、内因性の幹細胞と前駆細胞を、GとGとの間の中間状態[13]であるGAlertに移行させる[8]。適切な活性化因子にさらされると、細胞はGAlertからGに急速に移行でき、組織を修復する。必要とされない場合、GAlertにある幹細胞は、およそ3週間後にGに戻り[13]、その結果、それらが疲弊しないことを確実にし、ニッチは枯渇されない。
HMBG1は、2つのL字型ボックスドメインA及びBを有し、それぞれが、可動性の領域によって接続された3つのα-ヘリックス(I~III)を含む(図1A)。タンパク質のC末端は、本質的に秩序がなく、酸性テールを構成するカルボン酸残基(Glu/Asp)を高い比率で含む。HMGB1システイン残基(ボックスAではCys22、Cys44、ボックスBではCys105)の酸化状態は、HMGB1の細胞外での活性の重要な決定因子で、放出の機序に依存する。in vivoでは、3つの異なる酸化還元形態が報告されている[14]。損傷又は細胞壊死の後に核から受動的に放出されるHMGB1は、完全還元型(FR-HMGB1)である。それはCXCL12に結合し、ヘテロ複合体が細胞表面受容体CXCR4を介してシグナル伝達して、幹細胞及び前駆細胞をGAlertに移行させる[8]。局所的な炎症における部分的酸化により、Cys22とCys44が結合したジスルフィドHMGB1(DS-HMGB1)が形成される[15, 16]。これは、アセチル化及びN-グリコシル化の後に免疫細胞によって能動的に分泌される形態でもある[17, 18]。DS-HMGB1によるTLR-4シグナル伝達は、TNFを含むいくつかの炎症促進性サイトカインを産生する[19]が、TLR-2シグナル伝達は、血栓症や再灌流傷害、自己免疫疾患を含む複数のプロセスにおいて有害であることが示されている[20, 21]。RAGEを介したDS-HMGB1シグナル伝達は、血小板の活性化と好中球によるNET形成において重要な役割を果たし、血栓形成を促進する[20, 22 - 24]。3つ全ての受容体を介する細胞内シグナル伝達が収束して、MyD88に依存する様式で[26, 27]NF-κβ活性[25]を誘導する。細胞外の活性酸素種の作用による3つのシステイン残基全ての酸化により、生物学的に不活性なスルホニル-HMGB1(SO)が得られる[14, 19]。
DS-HMGB1のボックスAにおけるジスルフィド架橋(Cys22-Cys44)は、TLR4シグナル伝達に必須であり(図1B及び図1C)、TLR4との結合を開始させるが、解離速度も比較的早い。次いで、MD-2は、親和性は低いものの非常に遅い解離速度でボックスBに結合し、相互作用を安定化させる[28];ボックスBにおけるPhe-Cys-Ser-Glu(FCSE、104-107)ペプチドは、この相互作用に必須である[29]。DS-HMGB1がTLR4を介してシグナル伝達する能力は、22位、44位及び105位のシステインをセリンに置換し、3S-HMGB1として記載の操作された形態とすることで抑制された[14]。Tirone Mらは、3S-HMGB1が、FR-HMGB1と比較して、再生特性が増強されていると主張していた[30]が、我々は、骨、血液及び骨格筋の損傷では、FR-HMGB1と同等であることを見いだした。興味深いことに、心筋梗塞後に局所的に投与した場合、3S-HMGB1は有害であると報告されていたが、FR-HMGB1は梗塞を小さくし、4週間の評価で、心機能を増強した[31]。TLR2又はRAGEシグナル伝達に対する3S置換の作用について、公開されているデータは存在しない。
TLR2と相互作用する部位は明確ではないが、グリチルリチンがこの相互作用を阻害することは知られている[21]。少なくとも一方、又は可能性としては両方のHMGボックスドメインと、酸性テールが関与していることが示唆されている[11]。酸性テールは結合を負に調整し、HMGB1の酸性テールをボックスドメインから転置してTLR2を介したシグナル伝達を可能にするためには、共リガンドが必要であることが報告されている[32, 33]。しかし、いくつかの刊行物は、HMGB1単独でのTLR2に依存する炎症促進性シグナル伝達を報告している[34, 35]。TLR2シグナル伝達におけるHMGB1の酸化還元状態の役割は、ジスルフィド形態[36]及び完全還元型[32]の両者が、TLR2によってシグナル伝達することが提示されているため、不明瞭なままである。RAGE相互作用は、主として、HMGボックスB(残基149-182)内のペプチドにマッピングされており[37](図1B及び図1C)、この配列に由来するペプチドは、HMGB1-RAGEシグナル伝達を効果的に阻害できる[38]。より最近では、第2のRAGE結合部位がHMGボックスAで特定されており[39]、カスパーゼ11によるタンパク質分解後にのみ活性があることが示されている[39]。しかし、RAGEシグナル伝達に対するそれぞれの部位の相対的な寄与は、不明である。結合部位は現在不明であるにもかかわらず、RAGEが媒介する血栓形成促進性シグナル伝達が、HMGB1のジスルフィド形態を必要とすることも認識されており、ボックスAが関与していることが示される[36]。HMGB1の酸性テールは、RAGE結合ペプチド内の残基と結合するため、TLR2と類似の様式でRAGEシグナル伝達を負に調節する可能性がある[11, 40, 41]。
FR-HMGB1の再生活性を医療に移行することの成功は、CXCL12結合及びCXCR4を介したシグナル伝達を維持しながら、全ての有害な炎症促進性シグナル伝達の可能性を排除することに依存する。この明細書では、CXCL12、TLR4、TLR2及びRAGEとの結合に重要なHMGB1の残基を特定し、再生活性を維持しながら、RAGE結合並びにTLR2及びTLR4シグナル伝達を排除する、HMGB1バリアントについて説明する。この度のデータに基づいて、これらの特性を有する他のHMGB1コンストラクトを説明する。
本発明は、以下の式:
N-A-X-B-A-X-B-HOOC
(式中、
Aは連続するアミノ酸であり、その配列は、
(1) 4アミノ酸の配列であり、
(a) 野生型ヒトHMGB1(配列番号1)のアミノ酸90~93の配列と同一である、又は、
(b) 前記(a)の配列とは1以上のアミノ酸で異なる;
かつ、
(2) 1~6の連続するアミノ酸をそのアミノ末端側に有し、その配列は、
(a) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸90より前の対応する1~6アミノ酸の配列と同一である、又は、
(b) 前記(a)の配列とは1以上のアミノ酸で異なる;
かつ、
(3) 場合によっては、アミノ末端はメチオニンである、
各Aは、同一であっても、異なっていてもよい;
Xは連続するアミノ酸であり、その配列は、野生型ヒトHMGB1のアミノ酸94~162の配列と同一である;
Bは連続するアミノ酸であり、その配列は、
(1) 5若しくは6アミノ酸の配列であり、
(a) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸163~168の配列と同一である;
(b) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸163~167の配列と同一である;
(c) 前記(a)の配列において、アミノ酸163、167若しくは168のいずれか1つが他のアミノ酸に変更されている;
(d) 前記(b)の配列において、アミノ酸163若しくは167のいずれか1つが他のアミノ酸に変更されている;
(e) 前記(a)若しくは(b)の配列において、アミノ酸164がリシンからアルギニンに変更されている;
(f) 前記(a)若しくは(b)の配列において、アミノ酸165がグリシンから、アラニン、セリン若しくはスレオニンに変更されている;
(g) 前記(a)若しくは(b)の配列において、アミノ酸166がリシンからアルギニンに変更されている;
(h) 前記(a)若しくは(b)の配列が、(e)及び(f)、(e)及び(g)、(f)及び(g)若しくは(e)、(f)及び(g)の組合せである;
(i) 前記(a)、(b)若しくは(c)の配列が、(e)、(f)及び(g)の1以上の変更の組合せである;又は、
(j) 前記(d)の配列が、(e)、(f)及び(g)の1以上の変更の組合せである;
かつ、
(2) 1~6の連続するアミノ酸をそのカルボキシ末端側に有し、その配列は、
(a) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸168より後の対応する1~6アミノ酸の配列と同一である、
(b) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸167より後の対応する1~6アミノ酸の配列と同一である、
(c) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸168より後の対応する1~6アミノ酸の配列とは1以上の位置で異なる、又は、
(d) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸167より後の対応する1~6アミノ酸の配列とは1以上の位置で異なる、
各Bは、同一であっても、異なっていてもよい;
-は、AとX、XとB、BとA、AとX及びXとBの間のペプチド結合を表す;
ここで、2つのXの間のB-Aのアミノ酸の数は少なくとも12でなければならず;かつ、ポリペプチドのカルボキシ末端のBでは、(2)の1~6の連続するアミノ酸は存在しなくてもよい)
で表されるポリペプチドを提供する。
本発明は、この発明のポリペプチドと担体を含む組成物、及び、修復をCXCR4+細胞に依存する組織又は細胞の再生を促進することで緩和される状態に苦しむ対象又は前記状態を発症する危険性がある対象を処置する方法であって、前記組織又は細胞の再生を促進し、治療効果又は予防効果を得るのに有効な量のこの発明のポリペプチド又は組成物を対象に投与することを含む方法も提供する。
図1A~1Cは、HMGB1の構造と免疫原性活性の判明している位置の概略を示す。図1Aは、各ボックスドメインのαヘリックスを示したHMGB1(PDB 2YRQ、立体構造異性体1)の構造である。 図1Bは、LPS、TLR-4又はRAGEとの公知の相互作用に応じてPyMolで着色した図1Aの構造を示す。TLR-2との結合に関与する領域は現在不明である。転写調節及び殺細菌活性に関与する酸性テールは示していない。各ボックスドメインのαヘリックスを示したHMGB1の構造を明示し、元の色を以下に示す-ピンク:グリチルリチン結合に関与する残基、赤:ボックスA又はボックスBに隣接するN末端側の可動性領域、オレンジ:システイン残基、白色:HMGボックス間のリンカー領域、明るい緑と黄:RAGE結合領域(黄色の酸性テール内に延在するため、図1Aでは不完全)。 図1Cは、文献に記載されている、HMGB1のDAMPシグナル伝達を調節することが知られている領域の概略図である。ジスルフィド結合も記載。 図2A~2Fは、CXCL12との結合に重要な、各HMGボックスドメインに保存された残基を示す。図2Aは、1μMのCXCL12-His6と共にインキュベートし、抗His5-HRP抗体で検出した、HMGB1の15量体のペプチドアレイ(11×10)である。スポットの強度は、ペプチドと結合したCXCL12の量に対応し、最初と最後の2つのスポットは、10-His陽性対照である。 図2Bは、10-His対照に対して正規化した図2Aのスポット強度の定量(2回の実験)を示す。図2Cのアラニンスキャニング実験に使用したペプチドを図に示した。酸性テール内のペプチドは、その高い負電荷のために、CXCL12などのカチオン性分子に非特異的に結合することから、含めなかった。図中のペプチドは、左から右へ、配列番号8~104で表される。 図2Cは、図2A及び図2Bで特定したドメインのアラニン点変異誘発のペプチドアレイを示す。それぞれの列における最初のスポットは陽性対照に対応し、2番目のスポットは未改変のペプチドに対応する。示したペプチドは、上から下へ、配列番号105~111で表される。 図2Dは、未改変のペプチドに対して正規化した図2Cのペプチド(配列番号105~111)のアレイの強度の定量化を示す。アラニン残基と比較してCXCL12結合が増加した残基(Ala->Ala、同義変異、灰色)は、元の図において赤で示し、バーの上に星印を付した。 図2Eは、CXCL12に結合するビオチン化HMGB1コンストラクト[全長FR 1~214(丸)、3S 1~214(四角)、最小ボックスA 8~78(上向き三角)及びボックスB 94~162(下向き三角)、拡張型ボックスA 1~88(菱形)及びボックスB 89~174(星)]のミカエリス・メンテン飽和フィッティングを示す。 図2Fは、図2Eから得た動態パラメーターの概要を示す。両者のフィッティングで得た親和性定数(Kd)は、同じ関係性に従い、HMGB1 94~162では大幅に減少した;フィッティングしたデータから一元配置ブラウン-フォーサイスANOVAで分析。AICが複数の定数を有するモデルを支持する場合、Kd値を事後二元配置ANOVAで比較し、一対比較(カラム因子)で有意差が見られなかったことから、両者の値を平均化した。加工前のインターフェログラムを図12に示す。Req:平衡状態での応答、kOff:解離定数(s-1)、kOn:結合定数((μM×s)-1)、AIC:Aikaikeの情報基準による統計的比較(補正済み)。 図3は、ペプチドアレイで分析したHMGB1とDAMP受容体の結合を示す。TLR-2(「A」、元の色はオレンジ)、TLR-4(「B」、元の色は赤)又はRAGE(「C」、元の色は緑)をベイトしたHMGB1の15量体ペプチドを用いるCelluSpot(登録商標)アレイの強度デンシトグラムである。強度を0(空スポット)~100(対照の最高値)で正規化し、各標的について2つの膜全体で平均した。HMGB1の概略図をペプチド配列の左側に示す。HMGB1内のTLR-2(A)結合ペプチドは、ボックスAとボックスBで同様の位置を占め、酸性テールの直前に別の結合領域がある。CXCL12とは異なり、TLR-4(B)及びRAGE(C)の結合パターンは2つのボックス間で異なっており、TLR-4結合ペプチドは、主にボックスAとリンカーに集中し、RAGE結合ペプチド配列は、ボックスBのC末端と酸性テールのN末端よりも前にある可動性領域に集中する。 図4は、ボックスAのDAMP受容体結合ペプチドと、そのCys22-Cys44の酸化状態に依存する立体配置の変化を示す。公開されているHMGB1(PDB 2YRQ)のPymol NMR構造に重ね合わせた、図3の結合ペプチドの表面を示す。A 上の列:TLR-2、B 中央の列:TLR-4、C 下の列:RAGE。元の色は以下のとおり、シアン:システイン残基;ピンク(Aのみ):TLR-2結合部位に含まれるグリシルリジン結合残基;黒(Cのみ):HMGB1が誘導するRAGE媒介性免疫寛容が報告されているカスパーゼ-1部位。HMGB1の残基164よりもC末端側に結合するペプチドは、利用できるタンパク質構造には存在しないので、いずれの図にも示していない。3つ全ての場合において、ボックスA内のペプチドの位置は、酸化の影響を受ける。 図5A~5Bは、CXCL12結合に関与する残基のNMR検証を示す。図5Aは、CXCL12(0.42、0.84及び1.42モル当量)で滴定した後の、最終濃度点の後に測定したCXCL12を含まない並列対照(CSPドリフト対照)を含む複数のHSQCスペクトルにわたって計算した、ヘリックスのみのビオチン化ボックスB(94~162、HMGB1A-c028)又は完全なボックスB(89~174、HMGB1A-c038)の累積CSPを示す。バーの網掛けによる暗さの強度は相対的なCSPを示す。各HMGB1コンストラクトの配列には残基番号を重ね、空の(番号のない)カラムは、並列3D H-15N HSQC/NOE/TOCSY実験でマッピングできなかった残基を表す。各HMGボックスに対応する残基の配列は、元の色で以下のように示す:水色はCXCL12結合に関与することが文献に報告されている残基(具体的には、K95、A100、I112、G114、L119、A136及びY154);赤はペプチドアレイで弱く関与する残基(具体的には、D90、P91、N92、R96、S99、F101、F104、C105、S106、E107、Y108、R109、K113、G118、S120、K151、E152、K153、E155、Y161、R162、G165、K166、P167及びD168);紫は公開されている文献及びペプチドアレイの両者で関与する残基(具体的には、F102、L103、E115及びD157);灰色はペプチドアレイで評価できなかったCXCL12結合ペプチド(下線)内のアラニン残基(A93、A159及びA160)。図に示した配列は、配列番号5として表される。 図5Bは、図5Aの累積ピーク高さの変化;NMR変化のヒートマップを示す。元の色で赤は、全ての残基の1標準誤差を上回るI/I0変化を示し、元の色で青は、-1標準誤差を上回る減少を示す。これらのバーもラベル付けされている。図に示した配列は、配列番号5として表される。 図6A~6Cは、RAGE、TLR-2及びTLR-4シグナル伝達を除去するdBB12Lコンストラクトの設計を示す。図6Aは、ボックスA+リンカー(1~88)(配列番号3)とボックスB+リンカー(89~174)(配列番号4)の配列のアライメントで、番号はNMR構造による残基のナンバリングに対応する(N末端メチオニンを除く)。垂直方向の線は、厳密に保存されている位置を示し、二重の点は、類似のアミノ酸を示す。下線:第1のペプチドアレイから得たCXCL12に結合するペプチド領域。元の色で赤:NMRで検証できず、アラニンスキャンでCXCL12結合に関与するとしてフラグ付けされた残基(具体的には、ボックスAで、D4、P8、M12、C22、R69、Y70、T76及びP80;ボックスBで、P91、G118及びP167)。元の色でオレンジ:アラニンスキャンでフラグ付けされ、CSP又はNMRによるピーク体積変化のいずれかを示す残基(具体的には、ボックスAで、K6、R9、G10、K11、S13、S14、H26、K28、K29、H30、K64、D66、E73、K75、Y77及びI78;ボックスBで、D90、R96、S99、F101、F102、L103、F104、S106、R109、K113、K151、E152、I158、Y161、R162、G165、K166及びD168)。元の色でシアン:NMRにおいてもペプチドアレイ実験においてもフラグ付けされなかったが、NMR文献[46]でCXCL12結合に寄与するとされている残基(具体的には、ボックスAで、F37、S38、K49、K56;ボックスBで、A100、G114、L119、A136、Y154)。元の色で紫:ペプチドアレイ実験でフラグ付けされ、公開されたデータ又は我々のNMRデータによって確認された残基(具体的には、ボックスAで、V19及びR23;ボックスBでE115及びD157)。緑:CXCL12に直接的に結合する可能性があるか、近傍の残基への結合によって影響を受ける可能性があるか、NMR実験でのみフラグ付けされた残基(具体的には、ボックスAで、A33、K42、K43、S45、T50、S52、K58、D61及びA68;ボックスBで、H116、G122、D123、V124、K126、K127、A147、A148、A159、A163及びK164)。元の色でピンク:NMR実験及び公開されているデータの両者でフラグ付けされた残基(具体的には、ボックスAでA16、ボックスBでK95及びI112)。 図6Bは、図6Aに示したように残基を着色したFR-HMGB1 1~166(2YRQ)の構造を示す。着色した残基全ての側鎖を示す。破線の円は、各HMGボックスにおけるグリチルリチン結合領域を示す。右図は、CXCL12結合残基のPymolによる表示;ボックスAが還元されると、NMR及びペプチドアレイでフラグが付された残基は、各HMGBボックスの凹面に同様の結合ポケットを形成する。 図6Cは、dBB12Lコンストラクト設計の概要を示す。開始コドンMet1は、切断されたペプチドでは部分的に失われているため、この明細書ではMet0とナンバリングする。したがって、HMGB1 Met1-Gly2・・・Glu215は、Met0-Gly1・・・Glu214となる。FR-HMGB1(上部、配列番号1)及びdBB12Lコンストラクト(下部、配列番号2)のドメインの構成と配列を示す。dBB12Lコンストラクトは、以下のように設計した:1.酸性テール及びRAGE結合ドメインの一部(175~214)が欠失する;2.残基1~88(ボックスA)を、残基90~175で置換し、2つのHMGボックスBドメインが生じる;かつ、3.ボックスBのC末端側の残基163~174を、天然のHMGB1におけるボックスAに対してC末端側にある天然の可動性リンカー(79~88)と置換する。CXCL12結合ペプチドを、元の色で赤の文字で示し、上にアスタリスクも付ける。ボックスBの繰り返し単位は、図では黒色の縦破線で区切っている。ボックスAのDAMP受容体結合ペプチドを破線で示し、ボックスBのものは実線で示す。DBB12LではTLR-2及びRAGEペプチドが短縮されており、置換のために、全てのボックスAペプチドはコンストラクト中にはない。 図7A~7Dは、dBB12Lが、FR-HMGB1 1~214/1~164と類似の安定性及び表面電荷を有することを示す。図7Aは、さまざまな緩衝液中の、全長FR-HMGB1、1~164 FR-HMGB1及びdBB12Lについて計算したTm50(℃単位)を、全てのコンストラクトのグローバルデータセット内の最高値(元の色で緑)及び最低値(元の色で赤)のヒートマップとして示す。N/A:曲線がフィッティングできない。pH及びNaCl濃度の効果を下の表にまとめた(FR-HMGB1:丸、dBB12L:四角、1~164 FR-HMGB1:三角)。 図7Bは、50mM又は0.2M酢酸アンモニウム(pH6.5)のHMGB1コンストラクトのネイティブESI/MSを示す。3つ全てのHMGB1コンストラクトのネイティブM/Zプロファイルは類似しており、dBB12Lでは、2つのHMGボックスが互いに離れて、還元型HMGB1コンストラクトに酷似している。実線:コンパクト型モノマー。破線:拡張型モノマー(HMGボックスが互いに遠位にある)。酸性テールの除去(青の曲線のFR-HMGB1 1~164と赤の曲線のFR-HMGB1とを比較)とイオン強度の上昇(50mM又は200mMの酢酸アンモニウムでの同じコンストラクトのスペクトルの比較)は、高いM/Z状態(部分的なアンフォールディング)を増加させる。 図7Cは、図7Dで得た、フォールディングされたHMGB1モノマー、拡張型及びコンパクト型モノマー状態、並びにフォールディングされていないモノマーの溶媒接触可能表面積(SASA)の平均の計算値を示す。 図7Dは、0.2M酢酸アンモニウム(pH6.5)中、室温で180日間(D0~D180)保管した後の、HMGB1コンストラクトの変性ESI/MSデコンボリューション、SDS-PAGE及びSECプロファイルを示す。 図8A~8Fは、dBB12LがRAGEに対する結合を減少させ、TLR2又はTLR4を介してシグナル伝達しないことを示す。図8Aは、dBB12Lコンストラクトが酸化状態に関係なくRAGEと結合しないことを示す、ハイブリッドELISA(1濃度につきn=4、グローバルなフィッティング)でのミカエリス・メンテン飽和フィッティングである。DS-HMGB1は、FR-HMGB1と比較してRAGEと強力に結合する。データは、DS-HMGB1対照に対して正規化。 図8Bは、バイオレイヤー干渉法(0~25μMのHMGB1、図14に示した6回の実験)でのミカエリス・メンテン飽和フィッティングである。結合速度及び解離速度は、加工前のインターフェログラムのデータのみから計算。 図8Cは、図8A及び図8Bにおける動態パラメーターと色の凡例(ジスルフィド形態は破線)の要約である。無効なフィッティングは、R<0.6(結合不良)を表す。ELISAは定常状態の条件である。各動態パラメーターについて、元の色で緑は、最も高い親和性、最も速い結合(kon)又は最も遅い解離(kOff)のコンストラクトを示す;中間点を黄で、最低を赤色で示す。 図8Dは、DS-HMGB1が、ヒトTLR2及びCD14を発現するレポーターHEK-Dual細胞で、NF-κβ活性を促進したことを示す。dBB12L及びFR-HMGB1は、NF-κβシグナル伝達を促進しなかった。データを、対照(培地単独)と比較した平均±標準誤差の倍率変化として示す。 図8Eは、DS-HMGB1が、マウスTLR4、MD-2及びCD14を発現するレポーターHEK-Dual細胞で、NF-κβ活性を促進したことを示す。dBB12L及びFR-HMGB1は、NF-κβシグナル伝達を促進しなかった。データを、対照(培地単独)と比較した平均±標準誤差の倍率変化として示す。 図8Fは、ジスルフィドHMGB1(DS-HMGB1)が単球においてTNF産生を増加させたことを示し、準最適量のLTAの存在で更に増強されたが、LPSでは増強されなかった。FR-HMGB1及びdBB12Lは、LPS又はLTAと共に事前に24時間インキュベートした場合であっても、TNFの発現を促進しなかった。これらのコンストラクトと共に事前にインキュベートしたLPSに対する応答も有意に減少した。ドナー3人、それぞれ3回の実験。 図9は、FR-HMGB1の再生活性に対するリンカーの修飾の効果を示す。アライメントにおけるdBB12L配列は、配列番号2で示す配列の残基75~91である。アライメントにおけるFR-HMGB1配列(「FR」)は、配列番号1で示す配列の残基79~93である。アライメントにおける「Sub(79-83)」、「Sub(84-88)」及び「Sub(89-93)」の配列は、配列番号175で示す配列である。 図10A~10Jは、最適用量でのdBB-HMGB1及びFR-HMGB1の再生作用が、活性化損傷のものと同一であることを示す。図10Aは、損傷後又はHMGB1がGAlertを誘導した後の、筋肉幹細胞において差次的に発現する遺伝子を倍率変化で示すボルケーノプロットである。積分は、反対側の下肢の損傷又は静脈内(iv)HMGB1によって誘導されるGAlertにあるコア遺伝子の上方制御(示した括弧内の元の色で褐色の点)及び下方制御(示した括弧内の元の色で青色の点)の保存を示す。 図10Bは、筋肉幹細胞におけるGAlert誘導中の差次的に発現する遺伝子の遺伝子オントロジータームのネットワークマップを示す。 図10Cは、再生を線維の断面積によって定量した、BaCl骨格筋損傷モデルにおけるFR-HMGB1の用量応答を示す。最適用量は0.75mg/kg(28.75nmol/kg)で、これを後続のアッセイで使用した。値は、ホルム-シダック補正を用いたネステッドANOVAにおける平均±標準誤差として示す。 図10Dは、FR-HMGB1(最適用量)を、BaClの注入後のさまざまな時点で動物に投薬して、損傷後のFR-HMGB1での処置が有効である間隔を評価した結果を示す。値は、ホルム-シダック補正を用いたネステッドANOVAにおける平均±標準誤差として示す。 図10Eは、二相指数関数的減衰曲線に対して非線形最小二乗法でフィッティングした、0.75mg/mlのFR-HMGB1を投与した後の血液中のHMGB1の薬物動態を示す。 図10Fは、カプラン-マイヤーの生存率プロットを示す。MI後5週目で、FR-HMGB1は83%、PBSは52%であった。 図10Gは、連続MRIスキャンから計算した経時的な駆出率を示す。破線は、正常/偽手術マウスにおける駆出率である。四角:FR-HMGB1;丸:PBS対照。 図10Hは、連続MRIスキャンから計算した経時的な梗塞サイズを示す。四角:FR-HMGB1;丸:PBS対照。 図10Iは、MIの1週間後及び5週間後における心臓周期の拡張終期及び収縮終期の代表的な心房中央の短軸シネMRI画像を示す。心室内の血液は明るく見える。FR-HMGB1群は、心機能の保存及び心臓壁厚さの維持(ラベルのない短い矢印)を示し、収縮期に右左心室の分離(RV、LVとラベルした矢印)が確認できる。対照的に、PBS群では、左室の大幅な拡張(LVとラベルした矢印)があり、拡張期と収縮期との間の収縮は非常に限定されている。1群当たり10匹。全てのMRIスキャンは、盲検観測者が評価。 図10Jは、BaClにより筋肉が損傷を受けた動物を、PBS(元の色で黒、左のバー)、28.75nM/kgのFR-HMGB1A-c001(元の色で赤、中央のバー)、又はdBB12L(元の色で緑、右のバー)で処置した後の、それぞれの日数の時点での平均筋肉断面積を示す。1群、各日数につき5匹、ネステッドANOVA(ホルム-シダック事後補正)。それぞれの時点における代表的な画像を図15に示す。 図11A~11Bは、HMGB1と相互作用するCXCL12ペプチドのペプチドアレイの結果を示す。図11Aは、全長CXCL12のペプチドアレイを示す。「+」の位置は、陽性対照10-Hisペプチドに対応し、残りのペプチドは、2つの連続する残基をC末端の方にシフトさせたCXCL12の15量体を含む。膜を、1μMのHMGB1(FR又は3S)-His6(1~214)、ボックスA-His6(8~78)及びボックスB-His6(94~162)に、24時間曝露した。結合したタンパク質を、抗His-HRPコンジュゲートの化学発光で検出した。全長HMGB1と相互作用するCXCL12のペプチドは、ボックスA又はボックスBのいずれか単独とは相互作用できず、各ボックスドメインのN末端側のセグメント(特に、ボックスAではD4/ボックスBではD90)の必要性を確認し;CXCL12ペプチドに関与するスポットの強度も、ボックスドメイン単独への結合の場合にはFL-HMGB1と比較して著しく減少する。3Sへの結合は、FRに対する結合よりも強いと考えられ;これは、アッセイ中のタンパク質の酸化に起因する可能性が高いが、使用したタンパク質の低い濃度がESI/TOF MSに不適切であることに起因して、定量しなかった。しかし、BLIデータは、3SからのCXCL12の解離速度がFR-HMGB1よりも低いことを示唆している。 図11Bは、HMGB1に結合する領域を強調表示したCXCL12二量体(PDB 2J7Z)を示す。元の色で赤:共通した結合領域。元の色で青:共通しない結合領域。 図12は、固定化したHMGB1コンストラクトに結合するCXCL12のBLIのインターフェログラムを示す。ビオチン化HMGB1コンストラクトを、ストレプトアビジンをコーティングしたOctetバイオセンサーに固定し、漸増濃度のCXCL12に浸漬した。各インターフェログラム内のそれぞれの線は、特に説明しない限り、上から下にキーと同じ順序である。インターフェログラムは、CXCL12の濃度に応じて色付けしている(凡例は右上)。3つの複製物の各セット(サイクル)は、コンストラクトに応じて色付けしたオーバーレイによって囲まれている。1行目:FR FL-HMGB1(図では「センサー情報:c011」と表示)、2行目:3S-FL HMGB1(図では「センサー情報:c022」と表示)、3行目:FR-HMGB1ボックスA 8~78(図では「センサー情報:c027」と表示)、4行目:FR-HMGB1ボックスB 94~162(図では「センサー情報:c028」と表示)、5行目:FR-HMGB1ボックスA 1~88(図では「センサー情報:c037」と表示)、6行目:FR-HMGB1ボックスB 90~162(図では「センサー情報:c038」と表示)。 図13A~13Dは、CXCL12結合に関与する残基のNMRによる検証を示す。図13Aは、1:2モル当量のCXCL12を一工程で添加した際のHMGB1 3S 1~184(HMGB1A-c007)の累積CSP(HMGボックス対CXCL12が1:1)を示す。ボックスA及びボックスBの残基は、中央値CSPを計算する目的で、別の分子と考えている。棒グラフ中のバーの暗さは、高い相対CSPを示す。各HMGB1コンストラクトの配列に、残基番号を重ね合わせてあり、空のカラム(番号なし)は、並列した3D H-15N HSQC/NOE/TOCSY実験でマッピングできなかった残基を示す。各ボックスに対応する残基の配列は、各条件の中央にあり、元々次のように色付けされている。水色は文献でCXCL12結合に関与することが報告されている残基(具体的には、ボックスBでは、K95、A100、I112、G114、L119、A136及びY154;ボックスAでは、A16、F40、S41、K49及びK56);赤はペプチドアレイで弱く関与する残基(具体的には、ボックスBでは、D90、P91、N92、R96、S99、F101、F104、C105、S106、E107、Y108、R109、K113、G118、S120、K151、E152、K153、E155、Y161、R162、G165、K166、P167及びD168;ボックスAでは、D4、K6、K7、P8、R9、G10、K11、M12、S14、F17、F18、T21、E24、E25、H26、K27、K28、K29、H30、D32、S34、V35、N36、K64、D66、R69、Y70、E71、R72、E73、M74、K75、T76、Y77、H78及びP80);紫は公開されている文献及びペプチドアレイの両者で関与する残基(具体的には、ボックスBでは、F102、L103、E115及びD157;ボックスAでは、S13、Y15、V19及びR23)。示した配列は、配列番号6及び7として表される。 図13Bは、図13Aに示した、10mM HEPES、150mM NaCl(pH7.5)緩衝液中の15N HSQC-HQMCピークスペクトルを示す。タンパク質濃度をスペクトルオーバーレイで示す。 図13Cは、HMGB1A 94~162(2日間の実験)の、10mM HEPES、150mM NaCl(pH7.5)緩衝液中の15N HSQC-HQMCピークスペクトルを示す。タンパク質濃度をスペクトルオーバーレイで示す。 図13Dは、HMGB1A 89~174(6日間の実験、4日目以降に軽微な分解が生じた)の、10mM HEPES、150mM NaCl(pH7.5)緩衝液中の15N HSQC-HQMCピークスペクトルを示す。タンパク質濃度をスペクトルオーバーレイで示す。 図14は、固定化したFc-RAGEに結合するHMGB1コンストラクトのBLIにおけるインターフェログラムを示す。RAGE-FcをAHCセンサーの表面に固定化し、漸増濃度でさまざまなHMGB1コンストラクトに浸漬した。2回の実験を、さまざまな濃度で行った;左側の3つのグラフの列は、0~22.22μMの10段階のHMGB1で、右側は、0~25μMの9段階のもの。いずれも、濃度(上部に示す)で色分けしている。色はコンストラクト濃度を示す。グラフ中の上部から下部への線は、ほとんどの場合、最高濃度から最低濃度に対応する。それぞれのグラフは、単一のセンサー(複製物)に対応する。黒の長方形で囲んだインターフェログラムは、品質不良(例.ドリフト)に起因して排除したデータを有していた。 図15は、図10に示した、PBS対照(黒)と比較した、FR-HMGB1(赤)又はdBB12L(緑)に応答して再生する筋肉の組織学的画像を示す。 図16は、プラスミドベクターマップを示す。特徴及び制限部位を有するベクターマップ。TEV:タバコエッチ病ウイルスプロテアーゼ認識部位。6-His:10/6-ヒスチジン残基親和性エピトープ。FLAG:FLAG親和性エピトープ。StrepTag:ストレプトアクチンXT親和性エピトープ。SacB:レバンスクラーゼ前駆体(スクロースの存在下での陰性選択)。pLIC:コロニースクリーニングで使用するシーケンシングプライマーのアニーリング部位。全てのプラスミドは、カナマイシン耐性を含む(50μg/mL)。 図17は、3S-HMGB1を生成する方法を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、以下の式:
N-A-X-B-A-X-B-HOOC
(式中、
Aは連続するアミノ酸であり、その配列は、
(1) 4アミノ酸の配列であり、
(a) 野生型ヒトHMGB1(配列番号1)のアミノ酸90~93の配列と同一である、又は、
(b) 前記(a)の配列とは1以上のアミノ酸で異なる;
かつ、
(2) 1~6の連続するアミノ酸をそのアミノ末端側に有し、その配列は、
(a) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸90より前の対応する1~6アミノ酸の配列と同一である、又は、
(b) 前記(a)の配列とは1以上のアミノ酸で異なる;
かつ、
(3) 場合によっては、アミノ末端はメチオニンである、
各Aは、同一であっても、異なっていてもよい;
Xは連続するアミノ酸であり、その配列は、野生型ヒトHMGB1のアミノ酸94~162の配列と同一である;
Bは連続するアミノ酸であり、その配列は、
(1) 5若しくは6アミノ酸の配列であり、
(a) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸163~168の配列と同一である;
(b) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸163~167の配列と同一である;
(c) 前記(a)の配列において、アミノ酸163、167若しくは168のいずれか1つが他のアミノ酸に変更されている;
(d) 前記(b)の配列において、アミノ酸163若しくは167のいずれか1つが他のアミノ酸に変更されている;
(e) 前記(a)若しくは(b)の配列において、アミノ酸164がリシンからアルギニンに変更されている;
(f) 前記(a)若しくは(b)の配列において、アミノ酸165がグリシンから、アラニン、セリン若しくはスレオニンに変更されている;
(g) 前記(a)若しくは(b)の配列において、アミノ酸166がリシンからアルギニンに変更されている;
(h) 前記(a)若しくは(b)の配列が、(e)及び(f)、(e)及び(g)、(f)及び(g)若しくは(e)、(f)及び(g)の組合せである;
(i) 前記(a)、(b)若しくは(c)の配列が、(e)、(f)及び(g)の1以上の変更の組合せである;又は、
(j) 前記(d)の配列が、(e)、(f)及び(g)の1以上の変更の組合せである;
かつ、
(2) 1~6の連続するアミノ酸をそのカルボキシ末端側に有し、その配列は、
(a) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸168より後の対応する1~6アミノ酸の配列と同一である、
(b) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸167より後の対応する1~6アミノ酸の配列と同一である、
(c) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸168より後の対応する1~6アミノ酸の配列とは1以上の位置で異なる、又は、
(d) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸167より後の対応する1~6アミノ酸の配列とは1以上の位置で異なる、
各Bは、同一であっても、異なっていてもよい;
-は、AとX、XとB、BとA、AとX及びXとBの間のペプチド結合を表す;
ここで、2つのXの間のB-Aのアミノ酸の数は少なくとも12でなければならず;かつ、ポリペプチドのカルボキシ末端のBでは、(2)の1~6の連続するアミノ酸は存在しなくてもよい)
で表されるポリペプチドを提供する。
いくつかの態様では、ポリペプチドのアミノ末端にはメチオニンが存在する。
別の態様では、Aは、野生型HMGB1(配列番号1)のアミノ酸89に対応するアミノ酸をそのアミノ末端側に有する。
いくつかの態様では、Bの(2)では、Bは、そのカルボキシ末端側に野生型ヒトHMGB1のアミノ酸169~174に対応する6アミノ酸を有する。
いくつかの態様では、2つのXの間のB-Aのアミノ酸の数は少なくとも13である。そのような態様では、2つのXの間のB-Aのアミノ酸の数は、最大で22、より好ましくは、最大で21、20、19、18、17、16、15又は14である。
別の態様では、2つのXの間のB-Aのアミノ酸の数は12~22である。
更に別の態様では、2つのXの間のB-Aのアミノ酸の数は13~22である。いくつかの態様では、2つのXの間のB-Aのアミノ酸の数は、13~21、より好ましくは13~20、より好ましくは13~19、より好ましくは13~18、より好ましくは13~17、より好ましくは13~16、より好ましくは13~15、より好ましくは13~14である。
いくつかの態様では、Bのいずれか一方又は両方の(2)(c)又は(2)(d)の配列は、1以上の位置が、天然のHMG1の当該位置に存在するアミノ酸残基に換えて、グリシン、セリン、プロリン、アルギニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はヒスチジンが存在する。
いくつかの態様では、Bのいずれか一方又は両方の(2)(c)又は(2)(d)の配列は、GSGSG(配列番号175)であるか、GSGSG(配列番号175)を含む。
別の態様では、GSGSG(配列番号175)は、2つのXの間の配列Bと配列Aとの間に存在する。
更に別の態様では、グリシン残基とセリン残基の順序又は数は、配列番号175で示すペプチド配列内で変更されている。限定するものではない例として、(2)(c)又は(2)(d)の配列は、GSSSG(配列番号176)、GSSGS(配列番号177)又はGGSGG(配列番号178)のいずれかであるか、これらを含んでいてもよい。
いくつかの態様では、Bのいずれか一方又は両方の(2)(c)又は(2)(d)のアミノ酸配列は、はっきりとした二次構造を欠くか、又は、ターン若しくはランダムコイルの二次構造を有する。
いくつかの態様では、Aのいずれか一方又は両方は、5の連続するアミノ酸である。
いくつかの態様では、5の連続するアミノ酸は、野生型ヒトHMGB1のアミノ酸89~93の配列と同一の配列である。
いくつかの態様では、
a) Xの間のAが5の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも7の連続するアミノ酸である;
b) Xの間のAが6の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも6の連続するアミノ酸である;
c) Xの間のAが7の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも6の連続するアミノ酸である;
d) Xの間のAが8の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも6の連続するアミノ酸である;
e) Xの間のAが9の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも6の連続するアミノ酸である;又は
f) Xの間のAが10の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも6の連続するアミノ酸である。
いくつかの態様では、
a) Xの間のBが6の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも6の連続するアミノ酸である;
b) Xの間のBが7の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも5の連続するアミノ酸である;
c) Xの間のBが8の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも5の連続するアミノ酸である;
d) Xの間のBが9の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも5の連続するアミノ酸である;
e) Xの間のBは10の連続するアミノ酸であり、Xの間のAは少なくとも5の連続するアミノ酸である;
f) Xの間のBが11の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも5の連続するアミノ酸である;又は
g) Xの間のBが12の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも5の連続するアミノ酸である。
本発明は、この発明のポリペプチド及び担体を含む組成物も提供する。
いくつかの態様では、ポリペプチドは治療上又は予防上有効な量で存在し、担体は薬学的に許容される担体である。
本発明は、修復をCXCR4+細胞に依存する組織又は細胞の再生を促進することで緩和される状態に苦しむ対象又は前記状態を発症する危険性がある対象を処置する方法であって、前記組織又は細胞の再生を促進する量のこの発明のポリペプチド又は組成物を対象に投与することを含み、すなわち、必要とする対象におけるこの発明の医薬組成物の治療又は予防有効用量を達成する方法も提供する。
いくつかの態様では、状態は急性損傷である。
現在の好ましい態様では、急性損傷から5時間以内、好ましくは4時間以内、より好ましくは3時間以内、更により好ましくは2時間以内、最も好ましくは1時間以内にポリペプチドを投与する。
いくつかの態様では、状態は慢性の状態である。
いくつかの態様では、ポリペプチドを、毎日、毎週、毎月又は毎年、繰り返して投与する。
いくつかの態様では、急性損傷は心筋梗塞である。いくつかの態様では、組織は、心臓の組織又は心筋である。
いくつかの態様では、急性損傷は、脳卒中、脊髄の損傷又は末梢神経の損傷である。
現在の好ましい態様では、ポリペプチドを心筋梗塞後5時間以内に投与する。いくつかの態様では、心筋梗塞から5時間以内、好ましくは4時間以内、より好ましくは3時間以内、更により好ましくは2時間以内、最も好ましくは1時間以内にポリペプチドを投与する。
現在の好ましい態様では、ポリペプチドを、脳卒中、脊髄の損傷又は末梢神経の損傷後5時間以内に投与する。いくつかの態様では、脳卒中、脊髄の損傷又は末梢神経の損傷から5時間以内、好ましくは4時間以内、より好ましくは3時間以内、更により好ましくは2時間以内、最も好ましくは1時間以内にポリペプチドを投与する。
いくつかの態様では、急性損傷は、骨折、関節置換又は骨癒合である。いくつかの態様では、組織は骨である。
いくつかの態様では、急性損傷は、骨格筋損傷、関節損傷又は靭帯損傷である。
いくつかの態様では、状態は肝臓の損傷に関係する。いくつかの態様では、組織は肝組織である。
いくつかの態様では、慢性の状態は、非アルコール性脂肪性肝疾患、肝硬変又は感染性肝炎である。
いくつかの態様では、慢性の状態は、脳又は中枢神経系の他の部分の損傷に関係する。
いくつかの態様では、慢性の状態は、パーキンソン病、認知症、多発性硬化症、運動ニューロン疾患又は末梢神経損傷である。
いくつかの態様では、慢性の状態は慢性の関節損傷に関係する。
いくつかの態様では、慢性の関節損傷は、炎症性関節炎又は変形性関節症である。
いくつかの態様では、状態は肺の損傷に関係する。
いくつかの態様では、急性損傷は、肺のウイルス感染、肺の細菌感染、肺の真菌感染又は肺の機械的損傷である。
いくつかの態様では、肺のウイルス感染は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染である。
いくつかの態様では、機械的損傷は人工呼吸器による損傷である。
いくつかの態様では、慢性の状態は、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患又は気腫である。
いくつかの態様では、状態は腸に関係する。
いくつかの態様では、急性損傷は腸の術中損傷である。
いくつかの態様では、慢性損傷は、炎症性腸疾患、クローン病又は潰瘍性大腸炎である。
いくつかの態様では、状態は皮膚の損傷に関係する。
いくつかの態様では、急性損傷は、熱傷又は皮膚の術中損傷である。
いくつかの態様では、慢性の状態は、皮膚潰瘍、糖尿病性潰瘍、静脈潰瘍、動脈潰瘍又は褥瘡性潰瘍である。
いくつかの態様では、状態は膵臓に関係し、細胞は膵島細胞である。
いくつかの態様では、状態は糖尿病である。
いくつかの態様では、状態は化学療法後の好中球減少症で、組織は骨髄である。
いくつかの態様では、急性損傷は化学療法で、必要に応じて、化学療法を実施する前又は実施後5時間以内にポリペプチドを投与する。
いくつかの態様では、ポリペプチドを急性損傷の前に投与する。
いくつかの態様では、ポリペプチドを急性損傷の後に投与する。
いくつかの態様では、状態は腎不全で、組織は腎臓組織である。
いくつかの態様では、慢性の状態は慢性腎不全を引き起こす疾患である。
いくつかの態様では、急性損傷は待機手術で、手術の前、手術中又は手術後5時間以内に、ポリペプチドを投与する。
いくつかの態様では、急性損傷はスポーツ又は戦闘による損傷である。
いくつかの態様では、慢性の状態は慢性的な骨格筋の状態である。
いくつかの態様では、慢性的な骨格筋の状態は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、筋肉減少症又は廃用症候群などの筋ジストロフィーである。
用語
本発明の理解を促進するために、別途明細書で明示的に説明する場合を除き、以下の各用語は、以下に説明する意味を有する。
この明細書では、「操作された」とは、天然に存在する化合物を変更に基づいて製造した非天然の化合物を意味する。操作されたポリペプチドには、天然に存在するポリペプチドのアミノ酸に対応するアミノ酸、及び天然に存在するポリペプチドのアミノ酸とは同一性又は位置が異なるアミノ酸が含まれてもよい。そのような操作されたポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドの「アナログ」又は「誘導体」ともいう。
この明細書では、「幹細胞」は、造血幹細胞を含むがこれには限定されない、体内で多数の異なる細胞型に発達する可能性がある、未分化の細胞を意味する。
この明細書では、「有効量」という用語は、所望の結果を達成できる、例えば状態又はそれに関連する1以上の症状(例.急性又は慢性の組織の損傷)を緩和できる、本発明のポリペプチドの量を意味する。本発明に従って投与される化合物の具体的な量は、当然ながら、状態を治療又は予防する特定の方法、例えば、投与経路、対象の生理学的状態及び治療する状態の重症度、によって決まる。例えば、対象に投与される操作されたHMGB1ポリペプチドは、好ましくは、治療又は予防有効量の操作されたHMGB1ポリペプチドを含む組成物の形態である。
「薬学的に許容される」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題若しくは合併症を伴わず、妥当なリスク/ベネフィット比に見合った、ヒト及び動物に使用するのに好適な化合物、材料、組成物又は剤形を指す。この明細書では、「薬学的に許容される担体」という語句は、薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクル、例えば、液体若しくは固体のフィラー、希釈剤、賦形剤又は溶媒封入材料を意味する。特定の薬学的に許容される担体の選択は、十分に当業者の知識の範囲内である。したがって、利用できるさまざまな好適な担体があり、医薬組成物において日常的に使用されている。
この明細書では、「1つの」という用語は、列挙した成分の「1つ以上」を指すことを理解されたい。
この明細書では、提示する全ての数値範囲は、両端の点と、文脈と一致して、範囲の両端の点の間に含まれる全ての数字を明示的に含めることを意図している。
更に限定するものではない詳細を、以下の「実験の詳細」の項に記載しているが、これは本発明の理解を助けるために記載するもので、開示する本発明の範囲を限定することを決して意図するものではなく、またそのように解釈されるべきではない。
実験の詳細
結果
CXCL12結合に関与するHMGB1内のアミノ酸及びモチーフの特定
炎症促進性シグナル伝達を排除するために、変異又は欠失可能なFR-HMGB1の残基を検討する前に、CXCL12との結合に関与するアミノ酸及びモチーフをマッピングすることが不可欠である。ペプチドSPOTアレイを使用し[42]、標的タンパク質(HMGB1)のうちの1つの配列をカバーする重複ペプチドのCXCL12に結合する能力について、免疫ブロッティングで評価した。2つの主要な結合部位を特定した(図2A及び図2B)。第1のものは、各HMGボックスの、α-ヘリックスIとヘリックスIIの一部を包含し(ボックスAのペプチド1~3、ボックスBのペプチド5~6)、グリチルリチン結合部位と重複していた[43]。第2の領域(ボックスAのペプチド4及びボックスBのペプチド7)は、α-ヘリックスIIIのC末端側の半分に位置していた。それぞれのHMGボックスにおいて、第1のCXCL12結合ペプチド(ヘリックスI及びII)は、スポットの強度がはるかに大きく、CXCL12に対する高い親和性の可能性を示した。
次に、CXCL12相互作用に直接的に寄与するアミノ酸を特定するために、CXCL12結合ペプチド内のそれぞれのアミノ酸をアラニンに置換した第2のペプチドアレイを作り出した。これにより、いくつかの残基の重要な役割が確認された(図2C及び図2D)。CXCL12は、HMGボックスのヘリックスセグメントと相互作用することのみを示す公開されているデータ[44 - 46]とは対照的に、それぞれのボックスの可動性N末端の隣接領域の一部(D-4-P-X-X-1、下付きの数字は、各HMGボックス中の最初の残基に対する相対的な位置(ボックスAではPro9、ボックスBではPro94)を示す)及びC末端の残基(ボックスAではIle78~Pro80、ボックスBではAla163~Asp168)も、関与することが判明した(図2E)。これは、CXCL12ペプチドをHMGB1への結合についてプローブした逆ペプチドアレイ(図11)で確認された。全長FR及び3S-HMGB1は、CXCL12のβシート全体をカバーする配列を含むペプチドに結合し、一方、隣接する可動性領域を含まないHMGB1ボックスコンストラクト単独((8~78ボックスA)又は(94~162ボックスB))[47]が、βシートのN末端鎖をカバーするペプチドとのみ相互作用した。
これらの可動性領域の役割を更に確認するために、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して、CXCL12と異なる境界を有するHMGB1コンストラクトの結合を評価した。隣接領域を有するHMGボックス全体を含む完全なHMGボックスコンストラクト(ボックスAではHMGB1の1~88、ボックスBではHMGB1の89~174)[48]、及び、コアHMGボックスのみを有し、可動性の隣接残基を有さないヘリックスのみのHMGボックスコンストラクト(HMGB1の9-78、HMGB1の94-162)のいずれかを作り出した。これらを、完全長HMGB1コンストラクト(1-214)である、FR-HMGB1及び非酸化(3S)-HMGB1と比較した。なお、後者は野生型タンパク質のCXCL12結合特性を有する[14]。予測したように、ヘリックスのみのコンストラクトは、その大きな解離速度に起因して、インタクトな隣接領域を有する完全なHMGボックスコンストラクトと比較して、CXCL12との親和性及び結合能が低かった。これとは対照的に、CXCL12の、完全長のFR-HMGB1、完全長の3S-HMGB1及び完全HMGボックスコンストラクトに対する親和性は互いに同等で、ヘリックスのみのコンストラクトに対する親和性よりも高かった(図2E及び図2F)。
TLR-2、TLR-4及びRAGE結合に関与するHMGB1中のアミノ酸及びモチーフの特定
次に、炎症促進性受容体(TLR-2、TLR-4及びRAGE)に対してHMGB1ペプチドアレイをプローブした。非特異的結合を説明するために、ベイトしていないアレイの正規化したシグナルをベイトしたアレイから減算した。TLR-2は、HMGB1のボックスA及びボックスB中のペプチド(HMGボックス(図1B)中のグリチルリチン結合部位と一致[49])に結合することが判明した(図3、セクションA)。さらに、TLR-2は、2つのボックスの間のリンカー領域、HMGB1の酸性テールに直接隣接するペプチド、及び各HMGボックスのC末端領域にも結合し、CXCL12に結合する残基を超えて拡がった。興味深いことに、ボックスA内のTLR-2に対する結合界面は、酸化の際にねじれて[50]異なる3D立体配置をとるαヘリックス(図4、セクションA)内にある。
TLR-4に結合するペプチド(図3、セクションB)は、ボックスAが酸化された場合にのみ連続する結合ポケット(図4、セクションA)をボックスA内に形成する。これには、脱脂されたLPS結合セグメントとボックスA内の脂質A結合領域に隣接する領域を含む[51]。
RAGEについてのスポットアレイデータ(図3、セクションC)は、RAGE活性を調節することが以前に示されたペプチドの役割[39, 52](図4、セクションC)、すなわち、149-182位の間のRage拮抗ペプチド(RAP)、及びボックスAのヘリックス2におけるカスパーゼ-1活性化部位の役割を確認した。しかし、活性がHMGB1のカスパーゼ-1切断後にのみ見られた以前の研究[39]とは対照的に、全長のボックスAでは、ボックスA部位が溶媒にアクセス可能であることと、その位置が酸化によるボックスA中のヘリックス2の屈曲の影響を受けることを観察した。
まとめると、これらのデータは、3つの炎症促進性受容体とHMGB1の結合では、各HMGボックス中の異なる領域が関与し、ボックスAの空間配置は酸化に依存していることを示す。加えて、ボックス間のリンカーの配列及び酸性テールのN末端側の配列の親和性は、3つ全ての炎症促進性受容体で高い。したがって、これらの配列の置換又は欠失は、これら全ての炎症促進性受容体との結合を効果的に減少させる。
CXCL12は、ペプチドアレイ及びNMRが示すように、各HMGボックスの下側の凹部ポケットに結合する(578)
次に、NMRを使用して、構造上の観点から、CXCL12の結合に関与するHMGB1内のアミノ酸残基を確認した。FR-HMGB1 94~162及び89~174、並びに3S HMGB1 1~184を使用して、隣接領域がある又はないHMGボックスを表した。750MHzにおいて3Dスペクトルの完全なセット(15N HSQC-TOCSY/NOESY及び関連する15N HSQCスペクトル)を取得するのに必要とされる時間は、後者の酸化をもたらすので、天然の全長FR-HMGB1の代わり非酸化性3S-HMGB1を使用した。
HMGB1ボックスB 94~162のCXCL12滴定(図5A)は、ペプチドアレイにおいて特定されたC末端及びN末端の結合領域において、複数の残基の、累積化学シフト摂動(CSP)又はピーク高さ(I/I)の変化をもたらした。隣接領域を含むボックスBのコンストラクトについては、中央値CSP及び平均体積変化の両者が有意に高く、これらの隣接領域におけるいくつかの残基(D90、G165、K166)は、CXCL12結合に関与することが確認された。ヘリックスのみ(94~162)のコンストラクトにおいてCXCL12結合の影響を受けず、ペプチドアレイにおいてCXCL12結合に関与しているとして特定された、例えば、Y154、D157及びI158といった残基は、完全HMGボックスコンストラクト(89-174)で有意なCSPを示し、隣接領域が存在する場合に、結合が改善されたことを示した。加えて、隣接領域を有するコンストラクトにおいて、ペプチドアレイでは特定されていなかった残基(A147、M131、A169、K172、G173)でCSP変化を観察した。これまでに特定されていなかったが、ペプチドアレイにおいて可能性として重要であるとしてフラグが付された他の残基は、CXCL12の添加時にCSP変化又は体積変化を示さなかった(C105、E107、Y108)。したがって、これらの群の残基は、CXCL12にとって重要ではないとして再分類された。驚くべきことに、公開されているデータ[53]とは対照的に、ボックスBコンストラクトの残基A100、I112、L119及びA136は、有意なCSP変化をもたらすことができなかったが、これらのうちのいくつかに非常に近い残基(S99、K113)は、影響を受けた。
3S-HMGB1 1~184でNMR実験を繰り返した場合、CXCL12添加時のCSPの変化は、低いシグナル対ノイズ比のために、ほとんどの残基で検出の閾値を下回った。しかし、いくつかの残基に対し、CSP変化の中央値を超える結合を依然として観察できた。HMGボックスBに対応する残基は、ボックスAにおけるものと比較して、CSP変化が全体的に弱かった。これは、ボックスBの大きな結合速度及び解離速度と一致する流動性の高い平衡を表す可能性がある(図2F)。これにより、ペプチドアレイで特定されたボックスAの残基H30、D32又はS34等を、偽陽性として示すことも可能となった(図11)。ボックスB 89~174のK89は、CSPが高かったが、これは、N末端から3番目の残基(TEV切断後の残りのN末端残基、Ser-Met)である。3S HMGB1 1~184を用いた実験では、可動性リンカーの中央部にある場合、CSPは増加しなかった。したがって、ボックスB単独におけるこの残基に関連する変化は、N末端の位置に関連する可能性があり、高い立体構造的可動性を許容する可能性がある。
CXCL12結合を保持し、同時に炎症促進性シグナル伝達を排除する、二重のボックスB HMGB1コンストラクトの設計
ペプチドアレイ、アラニン置換及びNMRのデータを組み合わせて、HMGB1のNMR構造にマッピングし(図6A及び図6B、PDB 2YRQ)、CXCL12との結合に関与する残基を特定した。それらは、各HMGボックスの下側に凹状のポケットを形成することが判明した。これらの2つのポケットには、HMGB1-CXCL12結合を阻害するグリチルリチンの結合部位も含まれる[43]。驚くべきことに、各HMGボックス内のCXCL12と相互作用するペプチドの分布が、2つのHMGボックスで類似しており、ほぼ同じ結合ポケットを形成する(図6B)。さらに、HMGボックスAとボックスBは、1つのCXCL12モノマーと同等の親和性で結合でき、CXCL12モノマーの結合は2つのボックスのドメイン間の協力を必要としない。これとは対照的に、炎症促進性受容体との結合には、2つのボックスのドメイン間の協力を必要とする。そこで、我々は、ボックスAを別のボックスBに置換した(すなわち、1~88を89~174で置き換えた)操作されたHMGB1コンストラクトは、2つのCXCL12モノマーに効果的に結合してCXCR4膜二量体を提示するが、TLR2、TLR4又はRAGEを介してシグナル伝達できないという仮説を立てた。ボックスB(175-184)におけるRAGE結合配列を欠失させることで、RAGEに結合する傾向を更に減少させた。ボックスAの配列をボックスBと置きかえることは、LPSグリカン結合ペプチドを、LPS脂質A結合ペプチドと置きかえることでもある[51]。したがって、この操作されたコンストラクトdBB12L(図6C)は、天然のHMGB1タンパク質の以下のセグメントから構成されていた:可動性N末端側領域(HMGB1 89~93に由来)、第1のボックスB(HMGB1 94~162に由来)、天然のボックスBのC末端側の12個の残基のリンカー(HMGB1 163~174に由来)、及び第2のボックスB(HMGB1 94~162に由来)。このdBB12Lにおける12残基のリンカーは、天然のHMGB1のリンカーにおける10個のアミノ酸と類似し、CXCL12との結合でCSPが変化した残基172及び173を含む。
示差走査蛍光分析(DSF)及び溶媒接触可能表面積(SASA)測定を行い、ネイティブ質量分析法(ネイティブESI/MS)及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、さまざまな緩衝液の条件で、dBB12L及び野生型HMGB1の熱安定性を比較した。dBB12Lは、2つのHMGボックスドメインを含み、C末端側酸性テールを含まない、FR-HMGB1 1~164との安定性及び表面荷電プロファイルが同様であった。さまざまな緩衝液中での熱安定性の傾向は、全てのコンストラクトで同様で(図7A)、等電点(dBB12L又は1-164のテールなしコンストラクトについては9.9、FL-HMGB1については6)付近のpHの緩衝液ではTm50が低下した。全てのコンストラクトは、PBS、精製緩衝液及び生理食塩水溶液において、同等に安定で、Tm50は約50℃であった。しかし、FR-HMGB1/FR-HMGB1 1~164では、dBB12Lと比較して、最適なイオン強度とpHが異なることが観察された。ネイティブESI/MSにおいて、3つ全てのHMGB1コンストラクトは、同様の荷電状態分布を有し、主要な種としてのコンパクト型モノマー、及びより高いSASAの拡張型モノマーの立体構造を有していた(図7B及び図7C)。拡張型モノマーは、テールのないコンストラクトにおいて、又はより高いイオン強度で一般的であった。ネイティブESI/MSで観察された平均モノマーSASA値(図7C)は、SEC又は公開されているNMR構造(PDB 2YRQ、HMGB1 1~164)に由来するものと一致した。コンパクト型FL-HMGB1モノマーのSASAは、水中でのFL-HMGB1の計算モデルと一致した[46]。最大180日間の保管は、SECプロファイル(常に等しいRVで単分散)、分解又は凝集に影響を及ぼさなかった(図7D)。まとめると、これらのデータは、dBB12Lが臨床的に関連する溶液中で天然のFR-HMGB1と折り畳み及び安定性が同様であることを示す。
dBB12Lコンストラクトは、RAGEに対する親和性が大幅に低減し、TLR2又はTLR4を介してシグナル伝達できない
次いで、dBB12Lが、TLR2、TLR4シグナル伝達、及びRAGE結合を減少させ、HMGB1が媒介する再生を維持するかどうかを評価した。RAGEのシグナル伝達アッセイが確立していないため、リアルタイム動態(BLI)及びエンドポイントアッセイ(ELISA)を使用して、HMGB1とRAGEの結合を評価した。ELISAによる親和性の測定(図8A)では、平衡状態で、3S-、FR-及びDS-HMGB1は同じ量のRAGEに結合し、DS-HMGB1及び3S-HMGB1の親和性は、FR-HMGB1よりも有意に高いことが示された。対照的に、dBB12LはRAGEに結合しなかった。別の3つのHMGB1コンストラクト:インタクトなRAGE結合ペプチド及び酸化型ボックスAを有するが、酸性テールを有さず、したがって、RAGE結合の全ての必要条件を有する、DS-HMGB1 1~184;RAGE結合ペプチドの大半を欠失しているが、酸化型ボックスAを保持する、DS-HMGB1 1~164;及びDS-ボックスA単独、を試験した。DS-HMGB1 1~184はRAGEに結合したが、全長DS-HMGB1と比較して能力及び親和性が低減していたことが判明した。DS-HMGB1 1~164のRAGE結合能は、全長DS-HMGB1と比較して、大幅に減少したが、依然としてdBB12Lより高く、一方でDSボックスA 1~88(隣接領域を有する完全HMGボックスコンストラクト)は、RAGEと結合できなかった。
BLIを使用した動態分析は、2つの例外を除き、ELISAの結果と一致した(図8B)。BLI(図8C)では、DS-HMGB1 1~184は、DS-HMGB1よりも親和性が低かったELISAと比較して、解離速度がわずかに速かったにもかかわらず、他の全てのコンストラクトよりもRAGE結合親和性がはるかに高かった。3S-HMGB1は、DS-又はFR-HMGB1と同等の量のRAGEに結合し、親和性はFR-HMGB1に類似したが、全体的な動態速度ははるかに遅く、一方でELISAでは、親和性及び結合能力はDS-HMGB1と同等であった。両者のアッセイにおける、FRと比較したRAGEに対するDS-HMGB1の高い親和性は、より速い結合速度(kon)に起因し、一方で解離速度(koff)は、これらの2つの酸化還元形態でほぼ同一であった。対照的に、結合速度がDS-HMGB1に近いdBB12Lは、非常に速い解離速度のため、結合が非常に不安定であった。DS-HMGB1 1~164も、dBB12L-HMGB1よりも結合親和性が高いにもかかわらず、全長DS-HMGB1よりも親和性が全体的に低く、RAGE結合平衡が速かった。dBB12Lでは、ボックスBで置換することによる、ボックスBの最後の10個の残基(175~184)とボックスAにおけるジスルフィド架橋の欠失により、RAGEとの結合が不安定となった。
HMGB1は、TLR2、TLR4及びRAGEに結合し、全ての受容体からのシグナル伝達は、NF-κβ経路に収束する[25]。その結果、下流の炎症促進性サイトカイン産生がそれぞれの受容体によるとすることは困難である。したがって、最初に、TLR2又はTLR4のいずれか、及び両者の共受容体が発現するように操作したNF-κβレポーター細胞系を使用して、TLR特異的シグナル伝達を評価した。ジスルフィドHMGB1は、TLR2(図8D)及びTLR4(図8E)を介してNF-kBシグナル伝達を促進した。対照的に、dBB12Lは、いずれの細胞型においてもシグナル伝達できなかった。次に、初代ヒト単球に対するさまざまなHMGB1コンストラクトの作用を確認した。DS-HMGB1は、リポテイコ酸(LTA)などのTLR2リガンドと相乗作用して炎症促進性シグナル伝達を促進することが報告されている[32]。我々は、DS-HMGB1が、LTAと相乗作用して、LTA又はDS-HMGB1単独よりも高いTNF産生を促進したことを確認した。対照的に、dBB12L又はFR-HMGB1は、この相乗作用を示さず、培地のみの場合よりも高いTNF分泌を誘起できなかった(図8F)。DS-HMGB1とTLR4リガンドであるLPSを用いた相乗応答については、説明されていない。LPSを組み合わせた場合、DS-HMGB1は、初代ヒト単球によるTNFの発現を、LPS単独の場合と同程度に促進した。対照的に、FR-HMGB1又はdBB12Lは、単独で、TNF産生を促進しなかった。しかし、LPSと組み合わせた場合、FR-HMGB1又はdBB12Lは、LPS単独と比較して、TNFの発現を低減させた。
まとめると、これらのデータは、dBB12Lが、同種リガンドの存在下であっても、TLR2又はTLR4を介してシグナル伝達せず、RAGEに対する親和性を大幅に低下させ、LPSを介した炎症促進性シグナル伝達を減少させることを示す。
dBB12Lコンストラクトは、FR-HMGB1に匹敵する再生促進活性を示す
遠位損傷は、幹細胞をGAlertに移行させることが、以前に示されている[13]。したがって、最初に、骨格筋幹細胞の、FR-HMGB1又は対側肢の損傷に対するトランスクリプトーム応答を比較した。FR-HMGB1又は遠位損傷によって上方制御及び下方制御される遺伝子は、非常に類似しており(図10A)、上方制御される主要な経路は、ミトコンドリア代謝、酸化的リン酸化及び細胞周期を含む、GAlertと関連するものであった(図10B)[8, 13]。興味深いことに、CXCR4は最も高度に上方制御された遺伝子の1つであった。
次に、骨格筋損傷の検証済みのモデルマウス[8, 13]を使用して、FR-HMGB1のin vivoでの最適な治療用量を求めた。最大の応答が0.75mg/kg(29nmol/kg)で得られ、これより高い用量では再生活性が更に改善しなかったことが判明した(図7C)。損傷後にin vivo投与する最適な時期も評価した。FR-HMGB1は、損傷の最大で5時間後までに注入した場合、修復を促進するのに有効であることが判明した(図10D)。次に、静脈投与後の血液中のFR-HMGB1の半減期を調べた。初期の急速なクリアランス(t1/2約11分)、続く緩徐なクリアランス(t1/2約120分)が判明した(図10E)。これは、ヒトにおける25分という半減期と一致し[54]、このタンパク質は、ハプトグロビンに結合することによってクリアランスされる[55, 56]。
FR-HMGB1は、損傷後に幹細胞及び前駆細胞のGAlertへの移行を促進することで、骨格筋、骨及び血液の再生を加速させることを、我々は以前に示している[8]。哺乳動物の心臓の前駆細胞集団は少数で[57]、損傷後の新しい心筋細胞の大半は既存の心筋細胞に由来する[58]。再生を常在性幹細胞及び前駆細胞に依存しない組織に対するFR-HMGB1の有効性を確認するために、FR-HMGB1の投与が、心臓再生に効果があるかどうかを評価した。心筋梗塞時における静脈内注入により、生存率が向上し(PBS対照の52%と比較して、FR-HMGB1で治療したマウスでは83%)(図10F)、5週間の連続的MRIスキャンによる評価で、梗塞サイズが約60%低減し(図7H)、全体的な左室駆出率が16%改善した(図7G)ことが判明した。
次に、in vivoでの骨格筋再生の促進におけるdBB12Lの有効性を、FR-HMGB1と比較して評価した。最適用量(29nM/kg)のFR-HMGB1又はdBB12Lを注入したマウスは、中心核を有する再生筋線維の平均断面積の増加で判定した場合に、損傷後に同様に再生の加速を示した(図10J)[8, 13]。これは、FR-HMGB1について以前に述べられた[8]ように、14日目に最も顕著であった。
最後に、再生プロセスにおけるHMGボックス間の可動性領域の役割を評価した。第一に、野生型ヒトFR-HMGB1のこのリンカー領域における変化がタンパク質の安定性に影響を及ぼすか否かを試験した。リンカーのアミノ酸残基数を13以下に減少させることによって、Tm50が減少することが判明し、このことは、リンカーの長さがタンパク質の折り畳みと安定性において重要な役割を果たすことを示す。さらに、リンカー領域の最初の2つのプロリンの欠失により、発現が完全に抑止された。このことは、リンカーの長さがタンパク質の折り畳みと安定性も支配する可能性が高いことを示す。次いで、さまざまなリンカーを有するコンストラクトのin vivo再生活性を試験した(図)。リンカー全体の欠失(Δ79~88)により再生活性が喪失し、最初の4つのリンカー残基(Δ79~82)の欠失では、再生活性がいくらか喪失することが判明した。中央領域の欠失(Δ84~88)により組織再生は完全に喪失したが、驚くべきことに、残基84~88を一般的な可動性アミノ酸残基の配列で置換すると、再生活性が完全に回復した。第2のボックスBドメインの前のDPNAペプチドの置換も、再生活性に悪影響を及ぼした。
考察
HMGB1を組織修復治療薬として使用するためには、改変が必要である
固体臓器の修復を促進するための外因性幹細胞を投与する治療法は、当初の見込みを達成できておらず[6, 59]、死滅した細胞も、免疫応答を引き起こす効果がある[60]。別の、可能性としてより効果的なアプローチは、常在性幹細胞及び前駆細胞を含む内因性の再生修復プロセスを標的とすることである[61, 62]。プロスタグランジンデヒドロゲナーゼの阻害は有望なアプローチである[7]が、臨床に移行するまでには時間がかかった[63]。成長因子の投与も行われたが[64, 65]、in vivoでのタンパク質分解によって制限される[66]。現時点では、複数の組織の再生を促進し、修復を加速させる治療薬は承認されていない。
我々は、常在性幹細胞及び前駆細胞が、組織損傷時に放出される適切な活性化因子に容易に反応して修復できる場合、FR-HMGB1の外因性投与が、これらの細胞をGAlertに移行させることで、骨、骨格筋及び血液の再生を加速させるのに有効であることを以前に示している[8]。一方、損傷部位における局所的なFR-HMGB1からDS-HMGB1への変換を裏付けるin vivoの証拠が蓄積されている[18, 19]。したがって、有害な炎症促進性シグナル伝達の可能性により、天然のFR-HMGB1を治療薬として使用することはできない。DS-HMGB1は、TLR4[29, 35]、TLR2[32, 33, 35]又はRAGE[37, 67]を介してシグナル伝達することでNF-κβに集中し[25, 68]、炎症促進性サイトカインの相乗的発現をもたらす[69, 70]。したがって、治療薬としてのHMGB1の開発は、3つ全ての受容体を介したシグナル伝達を排除するように分子を操作することに大きく依存する。
ボックスA及びボックスBは独立してCXCL12に結合する
FR-HMGB1の再生活性は、CXCL12とのヘテロ複合体の形成及びCXCR4を介したシグナル伝達に大きく依存する。CXCL12がHMGボックスに結合することは知られているが[44, 71]、関与する構造モチーフは不明である[53, 72]。このシグナル伝達が、走化性を促進するCXCL12モノマーのホモ二量体に関与するかについても不明である[73 - 75]。フォワードペプチドアレイ(図2A及び図2B)及びリバースペプチドアレイ(図11)、アラニン置換アレイ(図2C及び図2D)、並びにNMR実験(図5A及び図5B)のデータを組み合わせることで、HMGB1-CXCL12相互作用に関与する残基が特定できた[76]。我々は、ボックスA及びボックスBの下側の凹状ポケットを占める、CXCL12に結合するHMGB1ペプチドの共通パターンを特定した。BLIを使用して(図2E及び図2F)、CXCL12結合におけるBLIによる隣接する可動性領域の役割を同定した。さらに、CXCL12二量体化を防止するために[77]、BLI及びNMR実験でHEPES緩衝液を使用したので、各ボックスが、ボックスドメイン間の連携を必要とせずにCXCL12モノマーに結合でき、CXCL12の二量体化が複合体形成の必要条件ではないと、我々は結論付けた。
再生促進特性を完全に保持しながら、TLR-2若しくはTLR-4を介してシグナル伝達せず、又はRAGEと結合しない、操作されたdBB12Lコンストラクトの設計
我々は、TLR-2結合に関与するHMGB1中の領域のHMGボックスにおいて同様の反映が認められた(図3セクションA及び図4セクションA)が、HMGB1のジスルフィド形態は、TLR-2を介してシグナル伝達する能力が高いことを見いだした(図8D及び図8F)。このことは、CXCL12(還元された分子中の2つの同じHMGボックス)とは異なり、TLR-2シグナル伝達には、2つの異なるHMGボックス(還元型立体構造と酸化型立体構造)が必要であることを示す。TLR-4は、酸化型HMGB1ボックスAに優先的に結合することが長い間知られていた。我々は、LPS結合セグメント(1~15、80~96)と重複し、ボックスAが酸化された場合にのみ連続するHMGB1上のTLR-4に対する明確な結合ポケットを特定した。酸性テール及びボックスAの酸化がRAGE結合を増強する前に、RAGEとの結合は、ボックスA及びBに加え、インタクトな配列を必要とする。興味深いことに、全ての場合において、HMGB1のリンカー領域は、炎症促進性受容体との結合に関与しているようである。
この詳細な理解により、CXCL12結合を維持しながら、TLR4、TLR2及びRAGEを介した炎症促進性シグナル伝達を排除するコンストラクトの設計が可能となった。このコンストラクトは、野生型HMGB1(dBB12L)と同様の長さのリンカーによって分離されたタンデムの2つのHMGボックスBドメインからなった。dBB12L中にボックスAが存在しないことで、酸化が妨げられ、したがって、TLR-2(ヘリックス3の回転)、RAGE(ヘリックス2の屈曲)及びTLR-4(連続結合表面)で観察される結合界面の再配列が妨げられ、一方で、2つのボックスBドメインを介した2つのCXCL12モノマーとの結合を可能となる。我々は、dBB12Lは、1~164 FR-HMGB1又は全長FR-HMGB1と同様に安定で、長期間の保管時に凝集も分解もないことを見いだした。
DS-HMGB1は、単独で結合でき、TLR4/MD-2を介してシグナル伝達できる[28]が、LPSに結合し、TLR4/MD-2への伝達及び認識を促進するLPS結合タンパク質(LBP)と置換することによって、LPSを介したシグナル伝達を促進できる[51]。本発明のdBB12LコンストラクトにおけるボックスAの欠失は、TLR4を介したシグナル伝達を効果的に排除した。興味深いことに、我々は、FR-HMGB1及びdBB12LがLPSに応答して、単球でTNF発現を減少させることを観察した。培地の血清に存在する[78]残留LPSを効果的に置換できるDS-HMGB1[51]とは異なり、これは、これらのタンパク質がLPSに結合するが、酸化型ボックスAの欠如に起因して、LPSをTLR4/MD2に伝達できないことに起因する可能性がある。
HMGB1がそれ自体でTLR2シグナル伝達を誘導できるのか[34, 35]、それとも、活性を誘導するために共リガンドを必要とするか、また、この応答がタンパク質の酸化還元状態に依存するかどうかについて[32, 33]、論議がある。入手できるデータ[32, 33]は、HMGB1は単独でTLR-2を介してシグナル伝達できるが、高い応答を誘導するためには共リガンドが必要であることを示唆する。我々は、DS-HMGB1が、単独でTLR2を介してシグナル伝達でき、その作用が血清含有培地中のLTAの存在で増強されることを見いだした。しかし、LTAと相乗作用しないFR-HMGB1又はdBB12Lに対する応答はなかった。これは、TLR4と同様に、TLR2が媒介する応答にはジスルフィド架橋を有する酸化型ボックスAが必要であること、及びTLR2共リガンドが、可能性として酸性テールを転置させてTLR2相互作用を促進することにより、DS-HMGB1と相乗作用することを示唆する。
HMGB1内のRAGE結合ペプチド(残基149~182)は、以前に説明されている[37]。同様のモチーフはS100タンパク質のような他のRAGEリガンドにも存在し、これらの配列と相同なペプチドは、HMGB1が媒介するRAGEシグナル伝達の有効なアンタゴニストである[38, 52]。HMGB1の酸性テールは、RAGE結合ペプチドと残基が共通しており[40]、TLR2結合におけるその役割と類似して、RAGE相互作用の調節因子として提案されている。しかし、HMGB1のジスルフィド形態のみが、RAGEを介した血栓形成促進活性に関連付けられている[36]。我々は、活性化にカスパーゼ-1プロセシングが必要と考えられていたボックスAのRAGE結合ペプチド[39]が、溶液中では、インタクトなHMGB1内で露出され、ジスルフィドが酸化されてその立体構造を変化させることを観察した。我々は、dBB12Lを含め、完全なRAGE結合ペプチド149-182が欠如しているコンストラクトは、ELISAアッセイにおいて、RAGEに結合できないことを見いだした。DS-HMGB1とは対照的に、また興味深いことには、3S-HMGB1も、FR-HMGB1よりも良好にRAGEに結合できた。我々のBLIのデータは、RAGEに対する親和性は、FR-HMGB1及びDS-HMGB1と比較してdBB12Lでは低いことを示した。dBB12Lは、おそらく、このコンストラクトにおける2つの部分的なRAGE結合ドメインの存在のために、結合速度がFR-HMGB1の3倍で、解離速度は5倍であった。ELISAのデータは、平衡時の結合状態を表し、会合速度と解離速度のバランスを反映する。例えば、BLIではFR-HMGB1と同様のRAGEに対する親和性を有する3S-HMGB1は、その解離速度がFR-HMGB1又はDS-HMGB1よりもはるかに遅いことに起因して、ELISAでは、DS-HMGB1と同様に、はるかに高い見かけの親和性を示す。このRAGE結合の増加は、心筋梗塞のモデルマウスで見られる対照と比較した線維症の増加を部分的に説明できるが、一方で、FR-HMGB1は、再生を促進させ、機能を向上させた[31]。HMGB1とRAGEの結合には2つの異なる結合部位が必要である可能性が高く、そのうちの1つは酸化状態に応じて変化することを、他の研究者もSPRを使用して示している[20]。我々は、BLIを使用したDS-HMGB1のRAGEに対する親和性(K=0.2~1.3μM)が、3S-HMGB1に対する高い親和性も報告する、SPRを使用して以前に報告されたもの(0.1[79]~0.65μM[36])に類似することを見いだした。BLIデータは、酸性テールの消失が、結合速度の大幅な増加により、HMGB1のRAGEに対する親和性を増加させ、一方で、RAGE結合ペプチドの短縮又はボックスAの還元は、解離速度を大幅に増加させたことを示す。興味深いことに、酸化型ボックスA単独ではRAGEに結合できず、このことは、相互作用が、RAGE結合ペプチドによって完全に安定化されていることを示唆し、酸性テールは、RAGE結合ペプチド内の残基との競合により、この結合を負に制御する[40]。dBB12LにおけるボックスAの不在とRAGE結合ペプチドの短縮は、RAGE親和性を大幅に低減させる。
骨格筋幹細胞においてFR-HMGB1によって誘導されるトランスクリプトームの変化は、遠位損傷によって誘導されるものに非常に類似しており、HMBG1によるCXCR4発現の上方制御は、その作用を増強させる可能性がある。損傷から5時間以内にFR-HMGB1を投与した場合にのみ有効であることを示す我々のデータは、それが幹細胞をGAlertに移行させることによって作用することと一致する。これよりも後の時点で、幹細胞は、完全に活性化されている[80]。我々は、dBB12Lが、FR-HMGB1と同等にin vivoにおける再生活性を保持していることを確認した。重要なことに、我々は、心筋梗塞の際に静脈に投与したFR-HMGB1が、生存率を改善し、梗塞サイズを減らし、左室駆出率を改善したことを見いだした。これらのデータに基づいて、我々は、dBB12Lの投与が、修復を幹細胞に依存する組織(例.骨、骨格筋、血液)、及び、再生を心筋細胞のような成熟細胞集団に主に依存する組織の再生も促進すると予測する。我々は、dBB12Lは、損傷後5時間以内に投与した場合に有効である可能性が高いと予測する。米国では、MI後に入院するまでの中央値が3時間である[81]ことから、この点は重要である。米国では、毎年約80万人が心筋梗塞を患い[81]、約20%が心不全となる。米国における心不全の医療費は、2012年には300億ドルを超え、2030年までに700億ドルに増加する見込みであるにもかかわらず、5年生存率は約60%にすぎず、ほとんどのがんよりも悪い[81]。我々のデータに基づき、発症から5時間以内のdBB12Lの投与が、心筋梗塞の患者の生存率を高め、梗塞サイズの低減と駆出率の維持により、心不全の発生率及び重症度を低減させると予測する。梗塞の4時間後に梗塞周囲領域の心筋にFR-HMGB1を直接注入することが、心臓修復を促進するのに有効であることを、マウス[31, 82, 83]及びヒツジ[84]モデルで示す研究がある。静脈内投与は、臨床用途に容易に適用可能であるため、その有効性を示す我々のデータは重要である。
さまざまなリンカーの長さとリンカーの置換を有するコンストラクトを使用する我々のデータに基づいて、類似の活性プロファイルを有するdBB12Lに対する別のコンストラクトも設計できる。これらは、以下の変形が含まれる可能性がある。
1) 本発明の二重のボックスBコンストラクト中の第2のBボックスのC末端の169~174位に相当する残基(すなわち、配列番号2で示す配列の残基167~172である「AAKKGV」)は、以下の3) で説明するように、完全に欠失されるか、置換される。我々は、二重のボックスBコンストラクト中の第1のBボックスドメインのC末端の等価な残基を置換することが、TLR-2への結合の可能性の排除に更に役立つと想定している。
2) 本発明の現在のdBB12Lコンストラクトは、第1のボックスBドメインのC末端における天然のHMGB1配列の163~174位に対応する12アミノ酸残基を有する。CXCL12結合に重要であることが見いだされた第2のBボックスのN末端における追加の5アミノ酸により、ボックス間の全リンカー長は17アミノ酸となる。リンカー長が13アミノ酸残基未満のコンストラクトは、再生活性と熱安定性が低く、分子の折り畳みが不安定である。したがって、最適なリンカー長は13~20アミノ酸であると予測される。リンカーが短いコンストラクトの再生活性の喪失は、2つのCXCL12モノマーをCXCR4二量体に提示する適切な立体構造となることができないことに関連する可能性がある。
3) リンカーの欠失は、欠失の位置に応じて再生効果が変化する:残基79~82(ボックスBの最初を含む11残基)の欠失で、分子の再生効果が減少し、残基84~88の欠失で、再生活性は完全に失われた。ボックスAのC末端に続くボックス間リンカーにおけるアミノ酸84~88の一般的な可動性アミノ酸の配列(GSGSG(配列番号175))による置換が、in vivoにおける再生活性に悪い影響を及ぼさないことも見いだした。我々のペプチドアレイ又はNMRでは、この領域はCXCL12結合に関与していなかった。したがって、本発明の次世代分子では、この領域は、以下の改変を有する13~17残基のリンカーで置換できる。
a) 野生型ヒトHMGB1の168~174位に相当する残基(リンカー中の最後の7残基)のいずれか又は全ての、以下のいずれかによる置換。この領域が、非特異的な二次構造、コイル-ターン構造又はαヘリックスコンフォメーションのいずれか(最初の2つが好ましい)を採用できるようなアミノ酸のランダムな配列。アミノ酸の置換(例.Lys<->Arg、脂肪族から脂肪族への置換)。Gly-Serのような可動性のアミノ酸配列[85]、又はProのようなターン誘導残基。溶解性を改善する荷電残基。
b) 163~167位に相当するいずれか、若しくは全ての残基の、a)の選択肢のいずれかによる置換、又は個々の残基の点欠失。しかし、野生型HMGB1のこの領域に相当する残基の置換又は欠失により再生活性が低下したので、K164、G165又はK166の置換はCXCL12結合能に影響を及ぼす可能性があると予測される。したがって、これらは、化学的により類似する残基で置換する必要があると考えられる。
c) D-P-X-Xモチーフを含む、ボックスBの直前の5アミノ酸中のいずれか、又は全ての残基の置換。これにより、いくらかの再生活性が失われたが、この領域は、第3のαヘリックスに対して平行に位置するので、HMGボックスの可動性の延長としてのみ必要とされる可能性がある。
上記のアミノ酸配列は、CXCL12の、リンカーの変更を含む改変したHMGボックスドメインへの結合能を保存することを最優先の目的として、炎症促進性活性を(例えば、RAGE、LPS、及び他のDAMP/PAMPに対する親和性を更に低下させるために、特定のエピトープを除去することによって)低下させること、タンパク質の安定性と折り畳みを改善すること、又は化学的官能化(例.クリックケミストリー又は非天然アミノ酸)を導入することを意図して設計される。HMGボックスのコアドメインの大幅な改変も可能であるが、HMGボックスドメイン、したがってCXCL12結合のポケットの構造を破壊する可能性が高い。
我々のデータは、CXCL12との結合に関与するペプチドはボックスA及びボックスBに反映されているが、各ボックス及び隣接ドメインは、TLR-2、TLR-4又はRAGEとの結合に関与することから、これは炎症促進性受容体には当てはまらないことを示している。dBB12LにおけるボックスA及びそのC末端リンカーの欠失は、3つ全ての炎症促進性受容体を介するシグナル伝達が存在しないことを説明する。TLR-2及びRAGEの結合とシグナル伝達は、C末端の酸性テールの前の結合配列の切断、及び酸化型ボックスA中の結合領域がボックスB中の等価物に置換されるという事実によって更に損なわれる。ボックスBの表面の配置は、酸化されるとボックスAとは異なるので、TLR4、TLR-2又はRAGEに効果的に結合できない。重要なことに、二重のボックスBコンストラクトは、FR-HMGB1と同等の再生活性を維持する。まとめると、これらのデータは、これまでに説明した二重のボックスBコンストラクトが臨床治療剤として開発できることを示す。
結論として、CXCL12結合に重要なHMGB1の部位をマッピングし、TLR2又はTLR4を介してシグナル伝達せず、RAGEと効果的に結合できないコンストラクト(dBB12L)を設計した。FR-HMGB1は、その半減期が短いにもかかわらず、遠位損傷と類似する様式で、幹細胞をGAlertに移行させ、損傷後5時間以内に投与した場合に有効である。さらに、dBB12Lは、in vivoにおいて、FR-HMGB1と同程度の有効性で組織再生を促進する。したがって、dBB12Lは、臨床移行が可能である。
要約
還元型高移動度群ボックス1(HMGB1)タンパク質は、CXCリガンド12(CXCL12)に結合し、CXC受容体4(CXCR4)を介してシグナル伝達し、幹細胞及び前駆細胞をGAlertに移行させることにより、組織再生を促進し、修復を加速させる。しかし、FR-HMGB1のジスルフィド形態(DS-HMGB1)への局所的な変換は、Toll様受容体2及び4並びに終末糖化産物受容体(RAGE)を介したシグナル伝達により、有害な炎症をもたらす可能性がある。したがって、HMGB1の臨床適用を検討する場合、分子を操作して、これらの有害となる可能性のある炎症促進性作用を排除することが重要である。
我々は、ペプチドアレイ、バイオレイヤー干渉法及び核磁気共鳴の組合せを使用して、HMGB1-CXCL12ヘテロ複合体の形成に関与する残基を特定した。さらに、我々は、ペプチドアレイを使用して、TLR-2、RAGE、TLR-4の結合に必要なペプチド配列を明示した。これらのデータに基づいて、我々は、2つのHMG Bボックスをタンデムで含むコンストラクト(dBB12L)を設計した。これは、再生能力、安定性及び立体構造が野生型の完全還元型HMGB1と同様で、それらの共リガンドの存在下であっても、TLR-2又はTLR-4を介してシグナル伝達せず、RAGE結合が大幅に減少している。我々は、同様の属性を有する他の一連の二重のボックスB構造についても説明する。
特許及び文献の包括的な考察により、TLR4のシグナル伝達を防止するためのシステインのセリンによる置換を記載する米国特許出願公開第2015/0203551号が特定された;しかし、このコンストラクトは、MI後に心臓線維症を過剰に引き起こすことが示されている[14]。さらに、このコンストラクトは、RAGEの解離がFR-HMGB1と比較して遅く、図8Bに示すように、平衡後にRAGEが長く結合したままとなり、したがって、これらの置換は、本発明のコンストラクトでは回避した。米国特許出願公開第2009/0069227号(A9)は、幹細胞の遊走と増殖を促進するHMGB1コンストラクトは、アミノ酸1~187(本願では0~186、0位はN末端のMet)を含む必要があることを明記しており、米国特許第9,623,078号は、心臓再生のためのアミノ酸1~44(本願では0~43)に限定するペプチドを言及している。米国特許出願公開第2009/0202500号は、組織修復方法を開示しているが、全長(1~215)野生型HMGB1(本願では0~214)にしか言及していない。この明細書で提示するdBB12Lコンストラクトは、RAGE結合もTLR4/2シグナル伝達もなく、アミノ酸長が117で、これまでに記載されていないアミノ酸置換を含む。したがって、この明細書で提示するコンストラクトは、先行技術の範囲に含まれない。
臨床応用
本発明は、内因性の再生プロセスを利用して組織修復を増強させるポリペプチド及び方法を提供する。このポリペプチドは、2つのCXCL12分子とヘテロ複合体を形成し、それが、CXCR4、おそらくは細胞表面上の2つの隣接するCXCR4受容体を介してシグナル伝達することによって組織再生を促進する、完全還元型の野生型HMGB1と同様に機能する。
我々のデータは、本発明のポリペプチド(dBB12L)が、類似の様式で作用することを示す。したがって、dBB12Lが、修復に関してCXCR4+細胞に依存する組織の再生を促進することが期待される。そのような組織としては、修復が主として幹細胞及び前駆細胞に依存する組織、例えば、骨格筋及び造血系、並びに修復が大部分を既存の成熟細胞、例えば、成体哺乳動物の心臓における心筋細胞に依存する組織が挙げられる。
臨床適応の可能性:
心筋梗塞後の心臓
この適応症は臨床試験に適している。世界的に見て、虚血性心疾患は、1億5300万人が罹患しており[101]、2017年には1億500万を上回る障害調整年齢が失われている[102]。毎年、英国では20.5万人[103]及び米国では80.5万人が、心筋梗塞(MI)に罹患し、そのうち38%が、ST上昇型MI(STEMI)を経験している[101]。MI後に、個体のうちのおよそ30~40%が、心不全を発症し、世界中で3800万人が罹患している。2012年の米国における心不全の医療費が300億ドルを上回り、2030年までに700億ドルに増加する見込みであるにもかかわらず、5年生存率は約60%にすぎず、これは、ほとんどのがんよりも悪い[101]。主要な標的集団は、MI後の患者、特に、心不全を発症する危険性にある患者である[104]。心臓損傷を制限し、MI後の再生を促進し、心不全の発症を予防する新規な治療薬は、罹患率及び死亡率を劇的に低減させ、医療費の負担を著しく低減させる。確実に心筋細胞壊死をもたらす確立されている[105 - 108]恒久的な結紮マウスMIモデル[109]を使用した決定的なデータは、損傷時のFR-HMGB1の単回静脈内投薬が、生存率を増強(PBSプラセボで治療した群における52%と比較して、FR-HMGB1で治療した動物では83%)させ、対照と比較して絶対心臓駆出率を約16%改善し、5週間のPBS対照との比較において梗塞サイズが約60%低減することを示す(図10F)。
骨格損傷モデルにおけるFR-HMGB1の最適な用量は、0.75mg/kg(図10C)であり、非常に短い半減期にも関わらず(図10E)、損傷の最大5時間後に静脈内投与された場合であっても有効である[109](図10D)。心筋梗塞後、虚血心筋の再灌流は、可能な限り早く達成されるべきである。例えば、STEMI後の患者は、経皮的介入を受けるべきである。データは、可能な限り早く、かつ最大で損傷後5時間以内でのHMGB1の投与が、損傷した心筋を保存し、再生を促進することを示す。
天然のFR-HMGB1は、MI後に機能的回復を促進するが(図10F~10I)、ジスルフィド形態への局所的な変換により、血栓形成、並びにRAGE、TLR2及びTLR4を介した伝達が促進される[110]。他者により報告されているコンストラクト、例えば、RAGE結合を保持する3S-HMGB1(図8B)は、MI後の過剰な線維症及び機能障害をもたらす[111]。FR-HMGB1もまた、DS-HMGB1よりも程度は低いがRAGEに結合し、したがって、臨床使用に好適ではない。TLR2を介したHMGB1のシグナル伝達は、心筋梗塞後の虚血再灌流傷害[112]及び血栓症[110]において重要な役割を果たす。ヒトのアテローム性動脈硬化症におけるTLR2の重要な役割を、我々は示した[113]。TLR4シグナル伝達もまた、心筋再灌流傷害において重要である[114]。心筋梗塞後の損傷した心臓の虚血性及び炎症した微小循環における酸化還元条件は、FR-HMGB1のジスルフィド形態(DS-HMGB1)への変換を促進させ、この形態は、血栓症の中心的な媒介因子である[110]。MI後に心臓再生を促進するための承認された治療法は存在しない。造血幹細胞の再生作用を示すと主張している報告は否定されており[115]、死滅した細胞も、免疫応答を引き起こす効果がある[116]。多能性幹細胞を含む他の細胞型を用いたとしても、不整脈、免疫抑制、拡張可能性、バッチ変動性、送達、長期実現性、及び有効性を含む相当な課題が残っている[115, 117]。細胞に基づく治療法の大規模な臨床研究は、機能の有意な改善を示さず、不整脈が患者において報告されている[118 - 120]。
成体の心臓には多くの幹細胞集団が存在しないこと[121]と、心外膜前駆細胞の数が少ないこと[122]は、損傷後の新しい心筋細胞の大半が既存の心筋細胞に由来すると理解でき、内因性経路の操作による再生の促進に焦点をシフトさせた[121]。これには、複数の転写因子のアデノウイルス形質導入[105,108]、発生経路、例えば、Hippo[106]若しくはMeis1[123]の操作、成長因子、例えば、ニューレグリン[124]、IGF/HGF[125]、若しくはFSTL1[126]の付加、又はmiRNAによる操作[127]が含まれる。これらのアプローチは、重大な欠点を有する:アデノウイルス形質導入及び成長因子(IFGF1/HGF)は、心臓内注入又は局所パッチによる適用を必要とし(FSTL1)、発生経路の操作は、発癌の危険性があり[128]、ブタにおけるmiRNA199-aのウイルス形質導入は、致命的な不整脈をもたらした[127]。免疫細胞のクリアランスを促進することによる心臓再生の刺激という代わりの戦略は、VEGF-Cの反復注入を必要とする[129]。MAP4K4の阻害は、心筋の生存を促進し、梗塞サイズを制限するが、再生作用はなかった[130]。現時点では、これらの戦略はいずれも、臨床試験には進んでいない。
本発明は、心筋細胞の生存及び複数の組織の再生を促進するために内因性プロセスを標的とする固有の解決策を提供する。それは、抗線維性CAR-T細胞[131]を含む細胞療法に関連する多数の障害、例えば、法外な費用[132, 133]を打開する。FR-HMGB1は細胞表面受容体CXCR4を介して作用するため、例えば、転写因子又はmiRNAのアデノウイルス形質導入による、細胞内プロセスを標的とすることに関連するオフターゲット効果を有するとは予測されない。HMGB1阻害は、虚血再灌流傷害後の梗塞サイズを増加させ[134]、一方でFR-HMGB1の局所的な上方調節[135, 136)又は心筋内注入は、マウス[111, 137, 138]及びヒツジ[139]の両者で有効であることが示されているが、我々のデータは、静脈内投与が有効で、全ての標的細胞に到達する可能性がより高いことを示している。有害な炎症促進性シグナル伝達を回避する本発明の操作された二重のボックスBコンストラクトは安全である。
ミラノのグループは、TLR4シグナル伝達を無効にするために3つのシステインがセリンと置きかえられたHMGB1アナログ(3S-HMGB1)を記載している[140]。彼らは、3S-HMGB1が、組織再生の促進においてFR-HMGB1よりも優れていると主張しているが[141]、我々は、これが当てはまることを見いだしていない[142]。重要なことに、3S-HMGB1は、マウスMIモデルにおいて線維症を促進させ、心機能の悪化を伴い、一方で、FR-HMGB1は、組織再生を促進させ、左室駆出率を改善した[111]。我々は、3S-HMGB1が、DS-HMGB1又はFR-HMGB1よりも長くRAGEに結合したままとなることを見いだした(図7A)。したがって、FR-HMGB1、3S-HMGB1及びDS-HMGB1は、平衡時に同等の量のRAGEに結合するが、時間の経過により、3S-HMGB1が結合するRAGEのレベルは、炎症促進性ジスルフィドHMGB1(DS-HMGB1)に匹敵し、FR-HMGB1よりも高くなる。本発明の二重のボックスBコンストラクトは、望ましくない炎症促進性シグナル伝達を排除しながら、FR-HMGB1と同等の再生活性を保持する。
他の応用:
骨折
骨折は、損傷後に生じる。しかし、最も一般的な骨格の「損傷」の1つは、関節置換術又は関節形成術である。我々は、dBB12を使用して、骨折又は関節形成術後の治癒を促進し、それによって、合併症の可能性、例えば、コンポーネントの緩みの危険性を低減できることを提案する。
脳及び神経系
dBB12Lは、卒中後の患者の予後を改善するために使用してもよい。他の適応症としては、パーキンソン病及び認知症が挙げられる。

dBB12Lは、肺の損傷後、例えば、新型コロナウイルス感染後又は特発性肺線維症を有する患者において、予後を改善することが企図される。
肝臓
米国の人口のうちの30%が、非アルコール性肝疾患に罹患していると推定される。これらのうちの60%は、非アルコール性脂肪性肝炎を発症し、それらのうちの20%は、肝硬変を発症する。これらの状態による肝臓損傷を制限し、予防する方法が開発されている。我々は、dBB12Lを、これらの方法と組み合わせて使用して、肝臓再生を促進することを提案する。

dBB12Lは、炎症を制御するための治療と組み合わせて、例えば、外科手術後又は炎症性腸疾患(例.潰瘍性大腸炎)の患者の、腸の治癒を促進するために使用してもよい。
腎臓
dBB12Lは、腎臓の再生を促進し、それによって、可能性としては透析又は腎臓移植の必要性を回避するために使用してもよい。
皮膚
dBB12Lは、例えば、外科手術後、熱傷、又は潰瘍(例.糖尿病性潰瘍)の患者の創傷治癒の促進に使用してもよい。
膵臓
dBB12Lは、1型糖尿病を有する患者において、膵島細胞の再生を促進することによって、予後を改善するために使用してもよい。
骨髄
dBB12Lは、例えば、化学療法後に、造血系の再生を促進し、それによって、重度の生命を脅かす危険性にある好中球減少症を予防してもよい。
我々は、これまでに、FR-HMGB1が、損傷の最大2週間前に投与された場合でさえも有効であることを示している[142]。dBB12Lは、FR-HMGB1と同等に有効であるため(図10J)、このポリペプチドを、予防的に、例えば、戦闘によって、若しくはスポーツによる損傷のために、又は待機的手術若しくは化学療法の前に、使用してもよい。
材料及び方法
大腸菌株
Mach-1 T1R細胞(Invitrogen、抗生物質耐性も誘導もなし)、BL21(DE3)-R3-pRARE2(社内BL21誘導体、クロラムフェニコール耐性36μg/mL、T7-ポリメラーゼlac誘導[86])、及びBL21(DE3)-R3-pRARE2-BirA(上記BL21(DE3)-R3-pRARE2のin vivoビオチン化誘導体、スペクチノマイシン耐性を更に有する、50μg/mL)を、社内で調製した化学的に適合性のあるストックから得た。
細菌培養培地
SOC:20g/Lのトリプトン、5g/Lの酵母抽出物、0.5g/LのNaCl、0.1862g/LのKClをオートクレーブし、4.132g/LのMgCl及び20mMのグルコースを補充。
LB(Luria Bertani):10g/Lのトリプトン、5g/Lの酵母抽出物、10g/LのNaCl、pH7.2、オートクレーブ滅菌。2w/v%の寒天粉末を添加して、LB寒天プレートを調製した。
TB(Terrific Broth):12g/Lのトリプトン、24g/Lの酵母抽出物、4g/Lのグリセリン、12.5g/LのKHPO、2.35g/LのKHPO、オートクレーブ滅菌。
TB補充物質:1.6w/v%のグリセリン、1%のグルコース、25mMの(NHSO、10mMのMgSO、10×微量金属、0.22μMで滅菌ろ過。
微量金属溶液:50mMのFeCl(13.5g/L)、20mMのCaCl(2.94g/L)、10mMのMnCl(1.96g/L)、10mMのZnSO(2.88g/L)、2mMのCoCl(0.48g/L)、2mMのCuCl(0.34g/L)、及び2mMのNiCl(0.48g/L)、0.1M HCl中、0.22μMで滅菌ろ過。
M9最少培地:16g/LのNaHPO、4g/LのKHPO、1g/LのNaCl、pH7.2~7.3、及び2.5g/LのFeSO、0.25mg/LのZnCl、0.05mg/LのCuSO、0.25g/LのEDTA、1mMのMgSOをオートクレーブし、4g/Lのグルコース、1g/LのU-99% 15NHCl(Cambridge Isotopes)、0.3mMのCaCl、1.5mg/LのD-ビオチン、及び1.5mg/Lのチアミン-HCLを、滅菌ろ過したストックから補充。
プラスミド
プラスミドは、SGCライブラリーから得た[86]。全てのプラスミドは、TEV-切断部位を有する6×Hisタグを含み、pNIC-Bio3及びpDsbC-HT-CBioは、C末端ビオチン化エピトープ(終止コドンで除去できる)も有する。プラスミドDNAを、制限酵素消化:pNIC-CTHFについてはBfuA1(3時間、60℃)、又はBsaI(2時間、37℃)によって線形化した。切断したベクターDNAを、PureLink PCRキットで精製し、製造業者のプロトコールに従って0.25mMのdGTP(pNIC-CTHF)又はdCTPの存在下において、T4 DNAポリメラーゼ(NEB M0203)で処理した。
クローニング
哺乳動物遺伝子コレクションから入手したHMGB1コンストラクト(Mach1細胞)を、PCRで増幅した:95℃/10分、[95℃/30秒、52℃/1分、68℃/0.5~1.5分]を25回、68℃/10分のプログラムを使用。反応は、25μLの最終体積で、5μLのヘラクレスII緩衝液、1μMのそれぞれのプライマー、6μg/mLのプラスミド鋳型、1μMのdNTP混合物、及び1単位のヘラクレスIIポリメラーゼ(Agilent 600679、緩衝液及び100μMのdNTPストックと供給)からなっていた。PCR産物を、更に使用する前に精製した(PureLinkキット、ThermoFisher K310001)。
増幅させたコーディング配列(アレル)を、ライゲーション非依存性クローニング(LIC)によって目的のベクターにクローニングした。インサートを、ベクターに使用したものと同種のヌクレオチド(10μLの反応体積)の存在下において、T4 DNAポリメラーゼで処理し、2μLを、1μLの処理済みベクターと混合し、30分間アニーリングした。40μLの氷冷Mach-1細胞(保管のため)又は20μLのBL21(DE3)-R3-pRARE2/BL21(DE3)-R3-pRARE2-BirA細胞(発現のため)を添加し、42℃で45秒間、熱ショックを与えた後、氷中で冷却した。5%スクロース及び抗生物質を有する選択培地に播種する前に、37℃で2時間、SOC培地において回収を行った。24時間後に陽性クローンを採取し、製造業者のプロトコールに従って正しい分子量のバンドに特異的なシーケンシングプライマー対を用いて、MyTaqポリメラーゼでスクリーニングした。陽性形質転換体を、抗生物質を有する1mLの2× LB(2倍濃度のLB)において一晩増殖させ、-80℃において12v/v%グリセリン中でストックした。
3S-HMGB1変異体配列を類似の方法で生成した。PCRを別個に行って、S23-S45及びS106フラグメントを生成し、これらを、PCRによってアニーリングし、5μLのそれぞれの精製されたPCR産物を、この反応におけるプライマー及び鋳型の代替物として用いた。この方法を図17にまとめる。
CXCL12コンストラクトを、成熟タンパク質のN末端側のインフレームSUMOプロテアーゼ部位を用いてクローニングして、pDsbC-HT-CBioベクター(DsbC-SUMO-CXCL12)におけるN末端融合タンパク質の周辺質分泌を可能にし、その活性に影響を及ぼし得るタンパク質へのN末端残基の付加を回避しながら[87, 88]、DsbC融合タンパク質系を介してフォールディングされた酸化型CXCL12を得た[89]。各コンストラクション、境界、発現株及び塩基対/アミノ酸配列に使用するプライマー及びベクターの詳細な表は、Supplemental Methodsの項に示した。全ての変異体を、シーケンシングによって検証した(SourceBioscience)。HMGB1-dBBの配列は、大腸菌BL21-DE3ゲノム(アセンブリASM956v1)に従って、ボックスB 89~174の配列をコドン最適化し、天然のHMGB1ボックスB配列の後に配置することによってin silicoで設計し、Twist Bioscience(San Francisco, USA)でin vitroで合成し、pNIC-CTHFにクローニングした
組換えタンパク質の発現
新しい寒天プレートストリークから増殖させたHMGB1発現株の形質転換体の一晩培養物20mLを、補充物質を有する1LのTB(又はM9)培地に播種し、0.45RCF回転振盪で37℃において最大OD2.0(M9培地についてはOD0.6)まで増殖させた。15N標識したHMGB1の産生に使用した予備培養物は、まず、1000RCFで5分間回転沈降させ、M9培地で洗浄した。これを、標的ODに達するまで増殖させ、18℃に冷却した後、0.5mM又は0.25mMのIPTG(それぞれ、HMGB1及びCXCL12タンパク質について)を添加し、16時間増殖させた後、4000RCFで採取した。ビオチン化タンパク質については、PBS中の10mMのD-ビオチンを添加した後、誘導し、更に1時間後に細胞採取した。
組換えHMGB1の精製
誘導したHMGB1発現細胞のペレットを、1:1000のプロテアーゼ阻害剤(Calbiochem Set III, Merck 539134)、3μg/mLのベンゾナーゼ-MBP、1mMのMgSO、0.5mg/Lのリゾチーム(Sigma L6876)及び0.5v/v%のTriton(登録商標)X100を補充した1MのNaCl、5%のグリセリン、50mMのHEPES pH7.5、10mMのイミダゾール(緩衝液A)中に、14g/Lで再懸濁させた後、-80℃で凍結し、この時点以降、全ての工程は4℃で行った。解凍したペレットを、6780RCFで45分間回転沈降させ、上清を、事前平衡処理したニッケル-His GraviTrap(GE Healthcare)の1mLのカラムにロードした。滴下後に、カラムを、10CVの1M NaCl、50mM HEPES pH7.5、並びに1.5CVの0.4M NaCl、20mM HEPES pH7.5、1mM MgSO、及び3μg/mLベンゾナーゼ-MBP溶液で洗浄して、残りのDNAを30分間消化させた。混入物を、30mMのイミダゾールを補充した15CVの0.5M NaCl、5%グリセリン、50mM HEPES pH7.5(緩衝液B)で洗浄した後、2.5mLの緩衝液B+500mMイミダゾールを用いてPD-10カラム(GE Healthcare、緩衝液B+20mMイミダゾールにおいて平衡処理)に直接溶出した。タンパク質を、3.5mLの緩衝液B+20mMイミダゾールを用いてカラムから溶出させた後、1:20ODのTEV-GSTプロテアーゼを用い、16時間かけてタグを除去した。
カラム(緩衝液B+20mMイミダゾールにおいて平衡処理)にタンパク質溶液を再循環させることによって、除去した。ビオチン化タンパク質については、ストレプトアビジン-XT樹脂を代わりに使用してビオチン化分子のみを選択し、樹脂と30分間インキュベーションした後、試料を滴下させ、30CVの緩衝液A及び1CVの緩衝液B+100mM D-ビオチンで洗浄し、3CVの同じ緩衝液における2時間インキュベーションによって、溶出させた。タンパク質を、生物物理学的研究用には10mM HEPES pH7.5+150mM NaCl、細胞及び動物の研究用には細胞培養グレードのPBSで、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(Superdex S75 10/300-流速0.35mL/分、16/600-流速1.2mL/分)によって更に精製した。組換えタンパク質は、還元型HMGB1タンパク質の場合には1mMのTCEPを添加して、保管のために瞬間凍結させた。
組換えCXCL12の精製
DsbC-SUMO-CXCL12を発現する細胞の外膜を、浸透圧ショックによって溶解させた[90]。ペレットを、1Mスクロース、0.2M Tris-HCl pH8.0、1mM EDTA、1mg/mLリゾチーム、2×cOmpleteプロテアーゼ阻害剤セット(COEDTAF-RO, Roche)、50mMイミダゾール、及び3μg/mLベンゾナーゼ中に、40g/Lで再懸濁させた。これを、室温で45分間撹拌した後、4体積の氷冷18.2mΩ水を添加し、更に10分間混合した後、1mM MgSOを添加した。これを、16000RCF、4℃で1時間遠心分離し、上清を、10mL/分で、Aekta Xpress FPLCシステムのNi-NTA Superflowカラム(Qiagen, 30761)にロードし、細胞6Lごとに1つのカラムを使用した。タンパク質を、緩衝液Bにおいてイミダゾール勾配(10CVにわたって10~25mM、及び8CVにわたって25~500mM)によって溶出させ、1:10のODのUlp-1プロテアーゼを添加した後、100体積の0.2M NaCl、20mM HEPES pH8.0(緩衝液Ac)中で一晩透析した。翌日、タンパク質を、CaptoSカラム(CaptoS ImpAct, GE 17-3717-47)に2.3mL/分でロードし、20mM HEPES pH8.0中0.2~1.5M NaCl勾配で溶出して、切断されたCXCL12をDsbC及びUlp-1から分離した。タンパク質を、HMGB1と同じ様式でSECによって更に精製し、保管のために瞬間凍結させた。
内毒素の除去
内毒素は、全ての事例において、Triton(登録商標)Tx-114を用いた相分離によって、サイズ排除クロマトグラフィーの前に除去した[91]。2v/v%のTX-114を組換えタンパク質溶液に添加し、4℃で2000RCFにおいて回転振盪させながら20分間ホモジナイズし、37℃で5分間分離した後、界面活性剤相を25℃で8000RCFにおいて10分間ペレット化した。上清を、5w/v%のSM-2バイオビーズ(BioRad, 152-8920)と混合し、2%のTX-114で2時間清浄し、30CVのメタノール、30CVの内毒素を含まない18.2mΩ水、及び30CVの内毒素を含まないPBSで再生させた。これを、室温で4時間インキュベートして、残りのTriton(登録商標)及びPEGを吸着させた後[92]、滅菌したSEC系に注入し(12時間かけて0.5M NaOHと接触させ、続いて6時間かけて0.2M酢酸/20%エタノールと接触させ、細胞培養グレードのPBS中で平衡処理)、ポリマー混入物を完全に除去しながら、サイズ排除を行った。Triton(登録商標)及びPEGが存在しないことを、ESI/QTOF-MS質量分析法において、これらの荷電状態種が存在しないことで検証した[93]。組換えタンパク質のLPS含量を、LAL法(GenScript ToxinSensor L000350)によって評価した。試料は、含有するLPSがタンパク質1mg当たり4EU未満である場合に、細胞及び動物への使用が承認された。
酵素産生
TEV-GSTプロテアーゼ(GST融合タンパク質)、ベンゾナーゼ-MBP及びUlp-1プロテアーゼを、SGCコレクションに保管中の形質転換体から産生させた[86];全ては、200μg/mLのアンピシリン耐性を有していた。TEV及びUlp-1を、HMGB1で説明したプロトコールに従い、IMAC工程で1回だけ精製し、ベンゾナーゼ-MBPは、CXCL12と同様に取得した外膜の溶解物から精製し、製造業者のプロトコールに従ってアミロース樹脂(NEB, E0821)を使用して単離した。いずれの事例においても、得られたタンパク質を、50mMのHEPES(pH7.5)、0.3MのNaCl、10%グリセリン中で10mg/mLまで濃縮した。GST-TEVプロテアーゼ及びUlp-1を、液体窒素で瞬間凍結させ、精製中に0.5mM TCEPを補充し、ベンゾナーゼ-MBPには、50%グリセリン及び2mM MgClを補充し、-20℃で保管した。
ペプチドアレイ
アラニンスキャン並びに最初のHMGB1及びCXCL12アレイでは、元の膜で特定されたペプチドの膜、完全なHMGB1配列の膜、又はCXCL12(Uniprot P48061、分泌シグナルを除く)を有する膜を、公開されたプロトコールに従い、必要に応じて、SGCのSarah Picaud博士が印刷した。膜を、20~25℃で、95%及び70%エタノールにより再水和し、PBST(PBS 1×、0.05% Tween(登録商標)20 3×)で平衡処理し、10% BSA/PBSTで8時間ブロッキングした。1μMのパートナーHisタグ付きタンパク質コンストラクトを添加し(PBS中)、4℃で24時間結合させた。過剰なBSA及びタンパク質を、PBSTで3回の洗浄によって除去し、全ての洗浄は、別途説明しない限り1分間行った。結合したタンパク質を検出するために、膜を、1:3000希釈のQiagen抗ペンタHis HRPコンジュゲート(Qiagen 34460)で処理し、過剰な抗体を、PBST中で20分間3回洗浄することによって除去した。
TLR-2、TLR-4及びRAGEペプチドアレイでは、CelluSpotアレイを代わりに使用した(IntaVis[94])。膜を、上記のように、CXCL12又はIgGのCHドメイン(530-TR、9149-TR又は1145-RG、BioTechne)と融合した3つのレセプターのいずれかでベイトし、次いで、抗CXCL12抗体(PA5-17238、Invitrogen)でプローブした。次いで、Fc融合タンパク質又は抗CXCL12による結合IgGを、0.25μg/mLの抗ヒトIgGのCH2ドメイン抗体(NBP2-68464、HRPにカスタム結合)で検出した。ヒトIgGのCH2ドメインをカバーする一連のペプチド(Uniprot P01857、111~223)を対照として使用した:最高強度スポットを100%シグナル閾値として使用。
全ての場合で、結合した抗体は化学発光(Pierce ECL substrate - 32109)により行った:基質溶液で膜を覆い、2枚の透明なプラスチックシートの間に置いた後、LAS-4000カメラを用い2分間隔で増分画像化した。各膜のペプチドの強度(100%~0%)をImageJで測定し、対照及びブランクスポットに対して正規化した。アラニンへの変異が、配列中のアラニン位置について観察されたものよりも強度が大きく変化した残基を、CXCL12結合への重要な寄与因子とみなした。
バイオレイヤーインターフェロメトリー(BLI)
事前水和させたストレプトアビジンOctetバイオセンサー(ForteBio 18-5019)を、10mM HEPES、pH7.5、150mM NaCl(基礎緩衝液-BB)に0.5mM TCEPを加えたものにおけるビオチン化HMGB1タンパク質の4μM溶液でコーティングした(60秒のベースライン、60秒の結合)。非特異的結合を、動態アッセイの前に、BB+1%BSA+0.05%Tween(登録商標)20(動態緩衝液、KB)中で3分間インキュベートすることによって最小化させた。CXCL12との相互作用を、KB中の漸増CXCL12濃度(1:2希釈で0~150μM)の溶液において、センサーの段階浸漬を行うことによって測定した(60秒のベースライン、500秒の結合、420秒の解離、BB+0.5mM TCEPにおいて180秒の還元)。OctetRed 384機器をこれらの実験に使用した。動態データは、DataAnalysis 9.0(ForteBio)を使用して抽出した。平衡時の応答REqを、ミカエリス・メンテン飽和プロットにおいて濃度に対してプロットして、kD/Bmax(rEqに対する濃度の飽和プロット)を計算した。動態速度(結合速度kon及び解離速度koff)を、インターフェログラムにおける全ての結合及び解離工程から得られるそれぞれのパラメーターの直接測定から導出し、全ての測定で水平線(平均)にフィッティングした。それぞれの複数回のデータを同じ様式でプールして、全体の平均を計算した。HMGB1へのRAGE結合動態を測定するために、PBS+0.1%BSA+0.02%Tween(登録商標)20中の15μg/mLのRAGE-Fcを、抗IgGバイオセンサー(AHC, 18-5060)の表面に30秒間固定化し、連続濃度のそれぞれのHMGB1コンストラクト中に浸漬し(60秒のベースライン、200秒の結合/解離)、同じ様式でフィッティングして動態パラメーターを導出した。
核磁気共鳴(NMR)
10mM HEPES、150mM NaCl(pH7.5)(BLI実験と同一の緩衝液及びイオン強度)中の15N標識した組換えHMGB1コンストラクトに、5v/v%のDOを補充し、ガラス製パスツールピペットで5mm Shigeimiチューブにピペッティングし、パラフィンで封止した。最終体積は、330μLを上回った。CXCL12を、同じ緩衝液に添加し、参照物の改変を回避するように最終体積を調整した。シグナルのロッキング、チューブのシミング、及び核の調整を、Bruker TopSpinソフトウェアによって手動で行った。水のシグナルは、Hスペクトルをパワーレベル1(P1)=推定パルスキャリブレーション(pulsecal)で取得することによって抑制した。単一のピークが観察された場合、初期の4倍のP1値をベースラインとして使用し、Hスペクトルに対称ピークが観察できるまで調整した。NMR実験を、これらのキャリブレーション工程の後に行い、H-NMR、15N-HSQC、15N-NOESY-HSQC、15N-TOCSY-HSQCピークを、15N-HSQCスペクトルにおいて、HMGB1 1~184(BMRB 15418)の公開されているNMR表に基づいて割り当て、それぞれのコンストラクトについての我々独自のNOESY/TOCSYデータを分析した。CXCL12結合を測定するために、特定されたピークの化学シフト位置及び体積を、CCPNMR 3.0 Analyzeの化学シフト追跡モジュールによって、異なるモル当量のCXCL12(これらは、関連する画像に列挙されている)で追跡した。ピーク強度の変化については、それぞれのセットにおける中央値強度変化をベースラインと考えた。完全な化学シフトの表及び実験のパラメーターは、この節の最後に示す。
質量分析法
MS/MS及びトリプシン消化によるタンパク質の特定のために、SDS-PAGEゲルから得られたバンドを切り取り、SGCオープンアクセスのMSプラットフォームに提出し、Rod Chalk博士、Tiago Moreira博士及びOktawia Borkowskaが公開しているように分析した[93, 95]。タンパク質の同一性に注釈を付けるためのデータ分析(ペプチドマッピング)を、MASCOT検索エンジンを用いて、Uniprot(参照タンパク質配列)及びSGC(コンストラクト配列)データベースに対して行った。ネイティブESI/MS実験を、360μL/時で揮発性緩衝液(50又は200mM酢酸アンモニウム、pH6.5)においてESI/QTOF(Agilent Q-TOF 6545)に手作業で注入することによって行った。全イオンクロマトグラムにおいて安定なイオン流が観察された後に、シグナルを、少なくとも10カウント(30秒)取得した。変性実験については、説明しているように、0.2%ギ酸中に、試料を1mg/mLに希釈し、HPLC(Agilent 1100 HPLC)によって注入し、ギ酸/メタノールの移動相中に溶出させた[93]。荷電状態のそれぞれの連続的な分布を異なる立体構造と考え、荷電状態(Z)を、
式 mW=(mW/Z-プロトン質量)×Z
に割り当てた。表面積を、文献中に提案されている式から導出し[96, 97]、これにより、ネイティブMSについては、
式 ln(SASA)=ln(M/Z)×0.6897-4.063
及び変性試料については、
式 ln(SASA)=ln(M/Z)×0.9024-5.9013
を得た。少なくとも3回の独立した注入を、全てのMS試料で行った。これらの実験における全ての溶液は、HPLC水(電気化学グレード)及び溶媒を用いて調製した。
SEC表面積定量
SECクロマトグラムを表面積と相関させるために、公知の構造を有する標準セット(BioRad 1511901)を、この実験で使用したSuperdex 75pg、10/300カラムに流した。これらに含まれるタンパク質のSASA及びGEにより供給されたキャリブレーション曲線標準物は、公開されているPDB構造(BSA、3V03;卵白アルブミン、1JTI;ミオグロビン、2V1I;RNAseA、1A5P;アプロチニン、1NAG;ビタミンB12、3BUL)から導出し、非線形最小二乗フィッティングによって保持体積と相関させた(SASA=331.2×RV-1.19e4×RV+1.08e5)。HMGB1試料間で比較した全ての実験は、ネイティブMSと同じ緩衝液(200mM酢酸アンモニウム、pH6.5)において行い、注入は、シグナルの飽和を回避するために1mg/mLで行い、全ての試料は、0.4mL/分で溶出させた。
RAGE結合ELISAアッセイ
384ウェルのタンパク質結合ELISAプレート(Santa Cruz Biotechnology, sc-206072)を、それぞれ4つの複製物で、4℃において24時間、FL/DS HMGB1全長対照及びブランクを含め、PBS中40nMのHMGB1コンストラクトの溶液50μL(FR-HMGB1コンストラクトについては+0.5mM TCEP)でコーティングした。非特異的結合を、20~25℃で2時間、PBS中10%のBSAと共にインキュベートすることによって、遮断した。各濃度のRAGE-Fcキメラタンパク質(BioTechne, 1145-RG、1:4希釈で0~640nM)を、10%BSA/PBS中に添加し、4℃で2時間結合させた。結合したFCキメラを、20~25℃で2時間、1%BSA/PBS中に1:10000で希釈した抗ヒトIgG HRP(Agilent Dako P021402-2)と共にインキュベートすることによって検出した。これら3つの工程それぞれの間に、プレートを100μLのPBSTで3回洗浄した。
結合した抗体を検出するために、25μLのTMB基質(ThermoFisher N301)をそれぞれのウェルに添加し、FL-DS-HMGB1対照が明確な濃度依存性色勾配を発生するまで暗所で顕色させた後、25μLの0.5M HSOで反応を停止させた。OD450を、読み取り値(FluoStar OMEGA, BMG Labtech)としてorgan測定し、2× RAGE-Fc濃度(キメラは、RAGE二量体であるため)に対する飽和フィッティングとしてプロットした。
TLR4及びTLR2に媒介されるNF-κBシグナル伝達レポーターアッセイ
ヒトTLR2及びCD14、又はマウスTLR4、MD-2及びCD14を発現するHEK-Dual細胞(Invivogen)を、標準的な組織培養条件(37℃、5%CO)において、10%FBS(Gibco)、1% L-グルタミン(Gibco)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco)を補充したDMEM(Gibco)中で維持した。FR-HMGB1、DS-HMGB1及びdBB12Lが、TLR4及びTLR2シグナル伝達の活性化を誘導するかどうかを判定するために、104のTLR4及びTLR2 HEK二重細胞を、96ウェルプレートのウェルに播種(3回の実験)し、TLR2については10μg/mLのl HMGB1及び(X濃度)FSL-1、TLR4については10ng/mLのLPSで刺激した。刺激から24時間後に、誘導された分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)のレベルを測定して、NF-κβ活性を判定した。
単球総NF-κB分泌アッセイ
ヒト単球(StemCell Technologies)を、標準的な組織培養条件(37℃、5%CO)において、10%FBS(Gibco)を補充したDMEM(Gibco)中で維持した。FR-HMGB1、DS-HMGB1及びdBB12Lが、炎症促進性サイトカイン産生を誘導するかどうかを判定するために、10個のヒト単球を96ウェルプレートのウェルに播種し(3回の実験)、10μg/mLのHMGB1と、50ng/mLのLPS又は10ng/mLのLTAで刺激した。刺激から24時間後に、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(Abcam)によって、TNFのレベルを判定した。
トランスクリプトーム分析
マウスを、50μLのPBSビヒクル中の30μgのFR-HMGB1、又はPBSのみの対照の静脈内注入で、全身処理した。損傷細胞は、以下に説明するように、BaCl損傷マウスに由来する。Alert細胞は、BaCl損傷マウスの損傷を受けていない反対側に由来する。マウス筋肉幹細胞(mMuSC)を、これまでに報告されているプロトコールに従って特定し、新たに単離した。大腿部の筋肉を切り刻み、コラゲナーゼ800U/ml(Worthington-Biochem)及びジスパーゼ1U/mL(Gibco)で酵素消化することで、筋肉細胞懸濁液を調製した。その後、全ての懸濁液を、70μm及び40μmのフィルタ(Greiner Bio-One)を通過させて、それぞれの抗体で染色した。mMuSC、CD31CD45Sca-1VCAM1を、BD FACSAria IIIを使用して蛍光活性化細胞分取(FACS)によって単離した。新しくFACSにより単離したmMuSCから抽出したRNAを、Lexogen 3'キットライブラリープレップを使用してRNA-seq分析に送り、HiSeq400(Illumina)を使用してシーケンシングした。FASTQファイルを、FASTQCを使用して評価し、続いて、kallisto v0.42.4を用いてTPM値を生成した。TPM値を合計して、tximportを使用して遺伝子レベルの発現値を取得し、差次的発現分析を、DeSEQ2で行った。Rパッケージ「clusterProfiler」[98]を使用して、ベンジャミニ-ホッホベルグ多重検定調整及び偽発見率のカットオフ0.1を用い、差次的に発現される遺伝子のGO濃縮を行った。Rパッケージの「ggplot2」及び「igraph」を使用して視覚化した。
in vivoマウス筋肉損傷モデル
11~12週齢の雌のC57BL/6近交系マウスをCharles River UKから購入し、Kennedy InstituteのBiological Safety Unit(BSU)に収容した。順化期間は1~2週間であった。生きている動物に対して実施する全てのプロトコールは、英国内務省(PPL 30/3330及びPPL P12F5C2AF)と地元の動物施設が指名した者によって承認され、ASPA規制下の適切なプロジェクト及び個人のライセンスの下で登録されている。全ての消耗品は外科用に認定されており、組換えタンパク質はエンドドキシンを含まなかった。手術は、殺処分施設とは別の清潔な環境で行った。全ての動物を、術後6時間、そして、その後3日間毎日モニタリングした;次いで、モニタリングをNVS/NACWOに移管した。
以前に記載した[8, 13]ように手術を行った。動物を、エアロゾル化した2%イソフルランで麻酔して鎮痛し、加温パッドに移し、右後肢をポビドンヨードで消毒し、静脈注射を行う場合には尾を70%エタノールで消毒した。50μLの1.2%BaCl(Sigma)を、前脛骨(TA)筋の長さ方向に沿って注射し、細胞死を誘導した。マウスを安楽死させ、特定の時間に下肢を切除し、4%パラホルムアルデヒド(Santa Cruz Biotechnology)中で24時間固定した。TA筋を切開し、更に24時間固定した後、パラフィンに包埋し、切片化した。切片(5μm)をヘマトキシリン及びエオシンで染色し、中心核を有する線維を特定し、10倍の接眼レンズ/40倍の対物レンズを使用してOlympus BX51で画像化した。1マウスにつき少なくとも4枚の画像から得た繊維の断面積(CSA)を、ImageJ2ソフトウェア(NIH)のFIJIディストリビューションを使用して手動で測定した。データをマウスごとにグループ分けした。マウスにHMGB1コンストラクト(46nM/kg、PBSに懸濁)又はPBSビヒクル対照を、損傷時、又は損傷後のHMGB1コンストラクトの最適な時点に、筋肉内又は静脈内に注射した。
in vivoマウス心臓損傷モデル
体重25~30gで10~14週齢のC57BL/6雌マウスを手術した。全てのマウスに、手術直前にFR-HMGB1(46nM/kg、PBSに懸濁)又はビヒクル対照のいずれかを静脈内注射した。ブプレノルフィン(塩酸ブプレノルフィン;Vetergesic)を、手術の20分前に腹腔内注射によって0.015mg/ml溶液として送達して、鎮痛した。マウスを2.5%イソフルランで麻酔し、気管内チューブにより外部と換気した。心臓損傷は、開胸術による左前下行冠動脈(LAD)の恒久的な結紮により誘発した。実験者は、その後の心臓シネMRI及び分析のために処理群に対して盲検とした。マウスを制御された環境に収容し、維持した。全ての外科手技及び薬理学的手順は、英国のAnimals (Scientific Procedures) Act 1986に従って行った。
心臓シネMRI及び分析
心臓シネ(cine)MRIを、LAD結紮後にVarian DDRシステムを使用して7Tで行った。簡単に説明すると、マウスをO中の2%イソフルランで麻酔し、恒温制御を備えた特注の動物取り扱いシステムに仰向けに置いた。前向きにゲーティングしたプロトン心臓画像を、機能的定量化のための2つ及び4つの心房の長軸図及び短軸スタックを得るために(128×128の行列、25.6mm FOV、0.2mmの平面分解脳)パーシャルフーリエ加速スポイルド勾配エコーシネ手順(TR 5.9ミリ秒、TE 2.2ミリ秒、30kHzバンド幅、30°FA、約20~30フレームを4ミリ秒の標識後遅延でR波にゲーティング;20%の部分的取得;4つの平均)によって、72mmのボリューム送信/4チャネル表面受信コイル(Rapid Biomedical GmbH)で取得した。未取得のパーシャルフーリエデータは、単純なデカルト座標のDFTの前に、凸集合への投影方法によって再構築した。ImageJ(NIH)を用いて盲検画像解析を行った。左室質量、体積及び駆出率を以前に記載された[1]ように計算した。拡張期に測定した、全てのスライスの薄くなった無動領域の心内膜と心外膜の周囲長の平均から、相対梗塞サイズを計算し、全心筋表面の割合として表した[99]。
統計学的分析
全ての計算は、GraphPad Prism(v. 8.41)を用いて行った。動態実験(BLI/RAGE ELISA)では、非線形最小二乗により全てのフィッティングを行った。RAGE ELISAについては、RAGEの各濃度が残りのウェルから独立していたので、全てのデータを1つの動態適合とみなした;しかし、BLIでは、各センサーは、計算の目的のために独立した適合と見なした。パラメーター間の比較は、AUC法で行った。マウス筋肉損傷モデルのデータを、ネステッドANOVAとして分析し、ここで、各カラムは、所与の動物についての全ての筋肉CSA値を含み、各群は、生物学的変動を治療効果から分離するために、全ての動物を含む。等分散仮定がいずれの場合にも満たされなかった場合、クラスカル-ワリス検定でデータを分析した;ネステッドANOVAについては、各動物からの同数のデータをランダムに選択して、ゆがみを回避する。不等分散プロット及びQ/Qプロットが等しい分散仮定を裏付けた場合[100]、他のデータを一元配置ANOVAで分析した;これらは、スピアマンの検定によっても検証した。多変量実験(例.心臓実験)のために、二元配置ANOVAを同じ仮定で使用した(この事例では、不等分散性を乱すデータセットはなかった)。ホルム-シダック補正(ANOVAファミリー検定)又はダンズ法(クラスカル・ワリス)によって、事後検定での比較を重み付けした。各事例で選択した試験は、それぞれの図の凡例の下に記載している。有意性の凡例:n.s;有意差なし、;p<0.033、**;p<0.002、***;p<0.0002、****;p<0.0001。
NMR化学シフトの表
0、0.42、0.82及び1.42モル当量のCXCL12A-c021で滴定したHMGB1-c028(94~162、ビオチン化)、図5A及び5B
タンパク質の量の制限のため、順次、HMGB1試料にCXCL12を添加して滴定を行い、試料を希釈した。CCPNMRの化学シフト追跡モジュールでの計算はピークに依存しないので、これによって結果は変化しない。中央値の変化は容積の比較で示される。
3D実験(第1日)
3D特性のためこれらのスペクトルは示していないが、必要であれば、データは利用できる。試料はベースライン1のものである。
0、0.42、0.82及び1.42モル当量のCXCL12A-c021で滴定したHMGB1-c038(89~174、ビオチン化)、図5A及び5B
タンパク質の量の制限のため、順次、HMGB1試料にCXCL12を添加して滴定を行い、試料を希釈した。CCPNMRの化学シフト追跡モジュールでの計算はピークに依存しないので、これによって結果は変化しない。中央値の変化は容積の比較で示される。
3D実験(第1日~第5日)
3D特性のためこれらのスペクトルは示していないが、必要であれば、データは利用できる。試料はベースライン1のものである。
10mM HEPES pH7.5、150mM NaCl中の、モル比1:2のHMGB1A-c007(3S、1~184)とCXCL12(1:1 モル比 CXCL12/HMGボックス)、図13A~13D
3D実験(第1日)
3D特性のためこれらのスペクトルは示していないが、必要であれば、データは利用できる。試料はベースライン1のものである。
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141. M. Tirone, N. L. Tran, C. Ceriotti, A. Gorzanelli, M. Canepari, R. Bottinelli, A. Raucci, S. Di Maggio, C. Santiago, M. Mellado, M. Saclier, S. Francois, G. Careccia, M. He, F. De Marchis, V. Conti, S. Ben Larbi, S. Cuvellier, M. Casalgrandi, A. Preti, B. Chazaud, Y. Al-Abed, G. Messina, G. Sitia, S. Brunelli, M. E. Bianchi, E. Venereau, High mobility group box 1 orchestrates tissue regeneration via CXCR4. J Exp Med 215, 303-318 (2018).
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Claims (58)

  1. 以下の式:
    N-A-X-B-A-X-B-HOOC
    (式中、
    Aは連続するアミノ酸であり、その配列は、
    (1) 4アミノ酸の配列であり、
    (a) 野生型ヒトHMGB1(配列番号1)のアミノ酸90~93の配列と同一である、又は、
    (b) 前記(a)の配列とは1以上のアミノ酸で異なる;
    かつ、
    (2) 1~6の連続するアミノ酸をそのアミノ末端側に有し、その配列は、
    (a) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸90より前の対応する1~6アミノ酸の配列と同一である、又は、
    (b) 前記(a)の配列とは1以上のアミノ酸で異なる;
    かつ、
    (3) 場合によっては、アミノ末端はメチオニンである、
    各Aは、同一であっても、異なっていてもよい;
    Xは連続するアミノ酸であり、その配列は、野生型ヒトHMGB1のアミノ酸94~162の配列と同一である;
    Bは連続するアミノ酸であり、その配列は、
    (1) 5若しくは6アミノ酸の配列であり、
    (a) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸163~168の配列と同一である;
    (b) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸163~167の配列と同一である;
    (c) 前記(a)の配列において、アミノ酸163、167若しくは168のいずれか1つが他のアミノ酸に変更されている;
    (d) 前記(b)の配列において、アミノ酸163若しくは167のいずれか1つが他のアミノ酸に変更されている;
    (e) 前記(a)若しくは(b)の配列において、アミノ酸164がリシンからアルギニンに変更されている;
    (f) 前記(a)若しくは(b)の配列において、アミノ酸165がグリシンから、アラニン、セリン若しくはスレオニンに変更されている;
    (g) 前記(a)若しくは(b)の配列において、アミノ酸166がリシンからアルギニンに変更されている;
    (h) 前記(a)若しくは(b)の配列が、(e)及び(f)、(e)及び(g)、(f)及び(g)若しくは(e)、(f)及び(g)の組合せである;
    (i) 前記(a)、(b)若しくは(c)の配列が、(e)、(f)及び(g)の1以上の変更の組合せである;又は、
    (j) 前記(d)の配列が、(e)、(f)及び(g)の1以上の変更の組合せである;
    かつ、
    (2) 1~6の連続するアミノ酸をそのカルボキシ末端側に有し、その配列は、
    (a) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸168より後の対応する1~6アミノ酸の配列と同一である、
    (b) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸167より後の対応する1~6アミノ酸の配列と同一である、
    (c) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸168より後の対応する1~6アミノ酸の配列とは1以上の位置で異なる、又は、
    (d) 野生型ヒトHMGB1のアミノ酸167より後の対応する1~6アミノ酸の配列とは1以上の位置で異なる、
    各Bは、同一であっても、異なっていてもよい;
    -は、AとX、XとB、BとA、AとX及びXとBの間のペプチド結合を表す;
    ここで、2つのXの間のB-Aのアミノ酸の数は少なくとも12でなければならず;かつ、ポリペプチドのカルボキシ末端のBでは、(2)の1~6の連続するアミノ酸は存在しなくてもよい)
    で表されるポリペプチド。
  2. アミノ末端がメチオニンである、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記Aの(2)(a)は、野生型ヒトHMGB1のアミノ酸89に対応する1アミノ酸である、請求項2に記載のポリペプチド。
  4. 前記Bの(2)では、Bは、そのカルボキシ末端側に野生型ヒトHMGB1のアミノ酸169~174に対応する6アミノ酸を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  5. 前記2つのXの間のB-Aのアミノ酸の数は少なくとも13である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  6. 前記2つのXの間のB-Aのアミノ酸の数は12~22である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  7. 前記2つのXの間のB-Aのアミノ酸の数は13~22である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  8. Bのいずれか一方又は両方の(2)(c)又は(2)(d)の配列は、グリシン、セリン、プロリン、アルギニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はヒスチジンの存在によって1以上の位置で異なる、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  9. Bのいずれか一方又は両方の(2)(c)又は(2)(d)の配列は、GSGSG(配列番号175)であるか、GSGSG(配列番号175)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  10. 前記GSGSG(配列番号175)は、2つのXの間のBとAとの間に存在する、請求項9に記載のポリペプチド。
  11. グリシン残基とセリン残基の順序又は数は、配列番号175で示すペプチド配列内で変更されている、請求項9に記載のポリペプチド。
  12. Bのいずれか一方又は両方の(2)(c)又は(2)(d)のアミノ酸配列は、はっきりとした二次構造を欠くか、ターン又はランダムコイルの二次構造を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  13. Aのいずれか一方又は両方は、5の連続するアミノ酸である、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  14. 前記5の連続するアミノ酸は、野生型ヒトHMGB1のアミノ酸89~93の配列と同一の配列である、請求項13に記載のポリペプチド。
  15. (a) Xの間のAが5の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも7の連続するアミノ酸である;
    (b) Xの間のAが6の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも6の連続するアミノ酸である;
    (c) Xの間のAが7の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも6の連続するアミノ酸である;
    (d) Xの間のAが8の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも6の連続するアミノ酸である;
    (e) Xの間のAが9の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも6の連続するアミノ酸である;又は
    (f) Xの間のAが10の連続するアミノ酸であり、Xの間のBが少なくとも6の連続するアミノ酸である、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  16. (a) Xの間のBが6の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも6の連続するアミノ酸である;
    (b) Xの間のBが7の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも5の連続するアミノ酸である;
    (c) Xの間のBが8の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも5の連続するアミノ酸である;
    (d) Xの間のBが9の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも5の連続するアミノ酸である;
    (e) Xの間のBは10の連続するアミノ酸であり、Xの間のAは少なくとも5の連続するアミノ酸である;
    (f) Xの間のBが11の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも5の連続するアミノ酸である;又は
    (g) Xの間のBが12の連続するアミノ酸であり、Xの間のAが少なくとも5の連続するアミノ酸である、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  17. 請求項1~16のいずれか一項に記載のポリペプチド及び担体を含む組成物。
  18. 前記ポリペプチドは治療上又は予防上有効な量で存在し、前記担体は薬学的に許容される担体である、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 修復をCXCR4+細胞に依存する組織又は細胞の再生を促進することで緩和される状態に苦しむ対象又は前記状態を発症する危険性がある対象を処置する方法であって、前記組織若しくは細胞の再生を促進するのに有効な量の請求項1~16のいずれか一項に記載のポリペプチド又は治療用量若しくは予防用量の請求項18に記載の医薬組成物を、前記対象に投与することを含む方法。
  20. 前記状態が急性損傷である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記ポリペプチドを前記急性損傷後5時間以内に投与する、請求項20に記載の方法。
  22. 前記状態が慢性の状態である、請求項19に記載の方法。
  23. 前記ポリペプチドを、毎日、毎週、毎月又は毎年、繰り返して投与する、請求項22に記載の方法。
  24. 前記急性損傷が心筋梗塞である、請求項20に記載の方法。
  25. 前記急性損傷が、脳卒中、脊髄の損傷又は末梢神経の損傷である、請求項20に記載の方法。
  26. 前記ポリペプチドを前記心筋梗塞後5時間以内に投与する、請求項24に記載の方法。
  27. 前記ポリペプチドを、前記脳卒中、脊髄の損傷又は末梢神経の損傷後5時間以内に投与する、請求項25に記載の方法。
  28. 前記急性損傷が、骨折、関節置換又は骨癒合である、請求項20に記載の方法。
  29. 前記急性損傷が、骨格筋損傷、関節損傷又は靭帯損傷である、請求項20に記載の方法。
  30. 前記状態が肝臓の損傷に関係する、請求項19に記載の方法。
  31. 前記慢性の状態が、非アルコール性脂肪性肝疾患、肝硬変又は感染性肝炎である、請求項22に記載の方法。
  32. 前記慢性の状態が、脳又は中枢神経系の他の部分の損傷に関係する、請求項22に記載の方法。
  33. 前記慢性の状態が、パーキンソン病、認知症、多発性硬化症、運動ニューロン疾患又は末梢神経損傷である、請求項22に記載の方法。
  34. 前記慢性の状態が慢性の関節損傷に関係する、請求項22に記載の方法。
  35. 前記慢性の関節損傷が、炎症性関節炎又は変形性関節症である、請求項34に記載の方法。
  36. 前記状態が肺の損傷に関係する、請求項19に記載の方法。
  37. 前記急性損傷が、肺のウイルス感染、肺の細菌感染、肺の真菌感染又は肺の機械的損傷である、請求項20に記載の方法。
  38. 前記肺のウイルス感染が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記機械的損傷が人工呼吸器による損傷である、請求項37に記載の方法。
  40. 前記慢性の状態が、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患又は気腫である、請求項22に記載の方法。
  41. 前記状態が腸に関係する、請求項19に記載の方法。
  42. 前記急性損傷が腸の術中損傷である、請求項20に記載の方法。
  43. 前記慢性損傷は、炎症性腸疾患、クローン病又は潰瘍性大腸炎である、請求項22に記載の方法。
  44. 前記状態が皮膚の損傷に関係する、請求項19に記載の方法。
  45. 前記急性損傷が、熱傷又は皮膚の術中損傷である、請求項20に記載の方法。
  46. 前記慢性の状態が、皮膚潰瘍、糖尿病性潰瘍、静脈潰瘍、動脈潰瘍又は褥瘡性潰瘍である、請求項22に記載の方法。
  47. 前記状態が膵臓に関係し、前記細胞が膵島細胞である、請求項19に記載の方法。
  48. 前記状態が糖尿病である、請求項47に記載の方法。
  49. 前記状態が化学療法後の好中球減少症で、前記組織が骨髄である、請求項19に記載の方法。
  50. 前記急性損傷が化学療法で、必要に応じて、前記化学療法を実施する前又は実施後5時間以内に前記ポリペプチドを投与する、請求項20に記載の方法。
  51. 前記ポリペプチドを前記急性損傷の前に投与する、請求項50に記載の方法。
  52. 前記ポリペプチドを前記急性損傷の後に投与する、請求項50に記載の方法。
  53. 前記状態が腎不全で、前記組織が腎臓組織である、請求項19に記載の方法。
  54. 前記慢性の状態が慢性腎不全を引き起こす疾患である、請求項22に記載の方法。
  55. 前記急性損傷が待機手術で、前記手術の前、前記手術中又は前記手術後5時間以内に、前記ポリペプチドを投与する、請求項20に記載の方法。
  56. 前記急性損傷が、スポーツ又は戦闘による損傷である、請求項20に記載の方法。
  57. 前記慢性の状態が慢性的な骨格筋の状態である、請求項22に記載の方法。
  58. 前記慢性的な骨格筋の状態が、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、筋肉減少症又は廃用症候群などの筋ジストロフィーである、請求項57に記載の方法。
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