JP2024517234A - 非典型溶血性尿毒症症候群の処置のためのイプタコパン - Google Patents

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Abstract

本明細書中に記載されるのは、B因子阻害剤LNP023(イプタコパン)又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩により、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を処置する方法である。

Description

本開示は、B因子阻害剤LNP023(イプタコパン)又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩により、補体駆動疾患、特に非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を処置する方法に関する。
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は、微小血管障害性溶血性貧血、血小板減少症、及び急性腎障害の三つ組によって特徴付けられる血栓性微小血管障害(TMA)の極めて希少且つ重度の形態である(Nester and Thomas(2012)Atypical hemolytic uremic syndrome:what is it,how is it diagnosed,and how is it treated? American Society of Hematology;617-25)。これは、補体系の副経路(AP)の無制御活性化に起因し、これが、主に腎臓内の血管内皮細胞上の膜攻撃複合体(MAC、C5b-9)の形成及び蓄積の原因となって、最終的に腎臓内皮細胞障害及び局所的微小血管性血栓症を引き起こす(Nester and Thomas(2012))。
aHUS患者の主な罹患器官は腎臓であり、そこで微小血管性血栓症は、急性腎臓障害が挙げられる腎臓機能不全症の原因となる。さらに、aHUS患者は、とりわけ、溶血性貧血(ヘモグロビン<10g/dL)、血小板減少症(血小板<150×10/L)、血清乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の上昇、血清ハプトグロビンレベルの顕著な低下、及び腎機能障害(血清クレアチニン>年齢に対する正常上限(ULN))(TMAの他の形態を患う患者においても見られる提示)を呈する(Zhang K,et al.(2017)Atypical Hemolytic Uremic Syndrome:A Brief Review.Hematol Rep;9:7053;Raina R,et al.(2019)Atypical Hemolytic-Uremic Syndrome:An Update on Pathophysiology,Diagnosis,and Treatment.Ther Apher Dial;23(1):4-21)。
aHUSは、提示時に多くの成人及び小児が血液透析又は腹膜透析を必要とする急性疾患である(Fremeaux-Bacchi V,et al.(2013)Genetics and outcome of atypical hemolytic uremic syndrome:a nationwide French series comparing children and adults.Clin J Am Soc Nephrol;8:554-62)。ほとんどの患者は、疲労感、蒼白、息切れ、及び尿排出量の引下げ(浮腫はあってもなくてもよい)が挙げられる非特異性臨床症状を呈する(Fakhouri F,et al.(2017)Haemolytic uraemic syndrome.Lancet;390:681-96)。この種々の臨床提示は、aHUSについての診断バイオマーカーの不在と組み合わせて、aHUSを診断する際の困難の原因となる。したがって、aHUSの診断は、他の形態のTMA(Loirat C,et al.(2016)An international consensus approach to the management of atypical hemolytic uremic syndrome in children.Pediatr Nephrol;31:15-39)、顕著な血栓性血小板減少紫斑病(TTP)、及び滋賀毒素産生大腸菌(Escherichia coli)(STEC)に起因する溶血性尿毒症症候群(HUS)を除外することを頼りにする臨床診断のままである。一旦TMAの疑惑が確立されると、更なる試験を行って、TTP(とりわけ成人における、「トロンボスポンジン1型モチーフ、メンバー13を有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ」(ADAMTS13)の試験による)、STX-HUS(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースの検出、糞便培養、及び血液血清学アッセイによる)、及び他の形態の二次HUS(全身性エリテマトーデス(SLE)、又はカルシニュリン阻害剤が挙げられる薬物誘導HUSが挙げられる悪性腫瘍又は自己免疫疾患等の合併疾患に起因する)を除外する。加えて、非常に若い患者において、連鎖球菌感染症についての評価が推奨される。
aHUS患者は、歴史的に、およそ36~48%の小児及び64~67%の成人が、発症の3~5年後までに末期の腎疾患(腎不全)又は死に至るという非常に悪い予測があった(Noris M,et al.(2010)Relative role of genetic complement abnormalities in sporadic and familial aHUS and their impact on clinical phenotype.Clin J Am Soc Nephrol;5:1844-59)。また、aHUSの予測は、基礎をなす遺伝的又は後天性(自己抗体)異常に依存する。例えば、FH、FI、及び抗FH抗体内に変異を有する患者は、MCP変異を有する患者と比較して、転帰がより悪い(Fremeaux-Bacchi,et al.2013;Schaefer F,et al.(2018)Clinical and genetic predictors of atypical hemolytic uremic syndrome phenotype and outcome.Kidney Int;94:408-18)。aHUS患者のための現在の標準治療(SoC)として、C5の、C5aへの切断、及びC5b-9の形成を阻害して、終末補体活性化を妨げるヒト化モノクローナル抗体エクリズマブ又はラブリズマブが挙げられる。エクリズマブによる処理は、腎機能が長期に維持され、且つTMA事象率が低いaHUS患者についての予測を実質的に向上させた(Menne J,et al.(2019)Outcomes in patients with atypical hemolytic uremic syndrome treated with eculizumab in a long-term observational study.BMC Nephrol;20:125)。しかしながら、抗C5抗体療法による処置は、全ての国々において利用可能なわけではなく、利用可能な場合、静注(i.v.)をそれぞれ2週(エクリズマブ)毎又は8週(ラブリズマブ)毎に必要とするので、厳守に影響を及ぼし得る負担を患者に示す(Wijnsma KL,et al.(2019)Eculizumab in atypical hemolytic uremic syndrome:strategies toward restrictive use.Pediatr Nephrol;34:2261-77;Lee H,Kang E,Kang HG,et al.(2020)Consensus regarding diagnosis and management of atypical hemolytic uremic syndrome.Korean J Intern Med;35(1):25-40)。
抗C5抗体処置が利用可能でない国々において、血漿交換及び血漿注入(PE/PI)が、aHUS処置の基礎のままである(Loirat C,et al.(2010)Plasmatherapy in atypical hemolytic uremic syndrome.Semin Thromb Hemost;36(6):673-81)。しかしながら、その有効性は、研究でこれまで評価されていない(Nester CM,et al.(2015)Atypical aHUS:State of the art.Mol Immunol;67:31-42)。PE/PIは、非機能タンパク質の置換及び補体FH抗体の除去を通して機能する(Kavanagh D,et al.(2013)Atypical hemolytic uremic syndrome.Semin Nephrol;33(6):508-30)。しかしながら、PE/PIは、aHUSの基礎をなす病態生理学に対処せず、当該患者についての長期予測に及ぼす効果が制限されている(Raina,et al.2019)。さらに、PE/PIは、多くの課題、例えば、輸注反応に主に関連する悪影響、アクセス部位感染、及び治療が継続する患者への負担をもたらす(Nester and Thomas 2012)。FH、FI、FB、及びC3が肝臓内で合成されるので、肝臓移植が、一部の患者にとって、正常なタンパク質の源を提供するための代替オプションのままである(Nester and Thomas 2012)。腎不全に至った患者は、腎移植又は肝腎同時移植を必要とする。aHUS患者は、腎移植後に移植片喪失と関連する疾患再発率が高く、転帰は、FH及びFI変異を有する患者において、より悪い(Saland JM,et al.(2009)Liver-kidney transplantation to cure atypical hemolytic uremic syndrome.J Am Soc Nephrol;20:940-9)。
LNP023(イプタコパン)は、新規の、経口投与される、低分子量の、ファースト・イン・クラスの、FB(Bbドメイン)に結合してC3-(すなわちC3bBb)及びC5(C3bBbC3b)コンバターゼを阻害することによってMACの形成をブロックする選択的プロテアーゼ阻害剤である。加えて、イプタコパンは、増幅期をブロックして、補体活性化プロセスを停止させる。多数のインビトロ及びインビボ非臨床機械学的研究において、イプタコパンは、APの阻害を実証している(Schubart A,et al.(2019)Small-molecule factor B inhibitor for the treatment of complement-mediated diseases.Proc Natl Acad Sci USA;116(16):7926-31)。aHUSの処置(エクリズマブ及びラブリズマブ)のための承認された終末補体阻害剤療法によって支持される、aHUS病態生理学の範囲内で十分に特徴付けられているAP調節不全に基づいて、イプタコパン等のAP経路阻害剤が、aHUS患者において治療的利益を提供する可能性が高い。
本開示は、LNP023(イプタコパン)又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩により、補体駆動疾患、特に非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を処置する方法に関する。さらに、本開示は、aHUS患者における、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の安全性及び有効性を判定するための第3相臨床研究に関する。一実施形態において、患者は、抗C5抗体療法が挙げられる補体阻害剤療法の処置未経験である。一実施形態において、aHUSの処置に関して規定される補体阻害剤療法、免疫抑制療法、又は他の治療法により、患者は以前に処置されたか、又は現在処置されている。イプタコパンは、補体経路のB因子阻害剤のクラスに属し、活性化の最初の機構に拘わらず、C3活性化に起因する補体系の増幅を阻害又は抑制することによって作用する。
また、本開示は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩に関連する医薬組成物、使用、キットその他に関する。
イプタコパンは、4-((2S,4S)-(4-エトキシ-1-((5-メトキシ-7-メチル-1H-インドール-4-イル)メチル)ピペリジン-2-イル))安息香酸と化学的に称され、以下の化学構造によって表され得る:
Figure 2024517234000001
イプタコパン塩酸塩は、4-((2S,4S)-(4-エトキシ-1-((5-メトキシ-7-メチル-1H-インドール-4-イル)メチル)ピペリジン-2-イル))安息香酸塩酸塩と化学的に称され、以下の化学構造によって表され得る:
Figure 2024517234000002
イプタコパン、イプタコパン塩酸塩、及び調製方法は、米国特許第9,682,968号明細書及び米国特許第10,093,663号明細書(実施例26a、26c、及び26d参照)に開示されており、これらの出願は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
この第3相研究についての調査研究薬物として用いられるイプタコパン塩酸塩の形態は、以下の式に示す一水和物(形態H)である:
Figure 2024517234000003

(2S,4S)-2-(4-カルボキシフェニル)-4-エトキシ-1-[(5-メトキシ-7-メチル-1H-インドール-4-イル)メチル]ピペリジン-1-イウムクロリド-水(1/1)
イプタコパン塩酸塩一水和物形態H及びその調製方法は、米国特許出願第63/026,637号明細書及び米国特許出願第63/052,699号明細書(これらの出願は各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
発明者らは、今般、安全且つ有効であり、且つ持続的な奏効を患者に提供するLNP023(イプタコパン)又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を用いる、aHUS患者のための新規の処置を考案した。これらの新規の処置は、aHUSのための安全、持続的、且つ有効な治療についての、臨床医及び患者の長く切実な必要性を満たす。
一態様において、本開示は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置を必要とする対象、例えば患者においてaHUSを処置する方法であって、対象、例えば患者に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を、治療的に有効な量にて経口投与することによって、対象、例えば患者を処置する(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)ことを含む方法を提供する。
一態様において、本開示は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置を必要とする対象、例えば患者においてaHUSを処置する方法であって、対象、例えば患者に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を、約200mgの用量にて経口投与することによって、対象、例えば患者を処置する(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)ことを含む方法を提供する。
一態様において、本開示は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置を必要とする対象、例えば患者においてaHUSを処置する方法であって、対象、例えば患者に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を、1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に経口投与することによって、対象、例えば患者を処置する(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)ことを含む方法を提供する。
別の態様において、本開示は、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩により処置されるか、又は処置されてきた対象、例えば患者における処置の有効性を評価する方法であって、対象、例えば患者における慢性腎疾患(CKD)状況の変化を評価して、処置の有効性を評価することを含む方法(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)を提供する。
別の態様において、本開示は、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩により処置されるか、又は処置されてきた患者の集団における処置の有効性を評価する方法であって、完全血栓性微小血管障害(TMA)奏効を達成する患者の集団のパーセンテージを求めて、処置の有効性を評価することを含む方法(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)を提供する。
別の態様において、本開示は、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩により処置されるか、又は処置されてきた患者の集団における処置の有効性を評価する方法であって、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の患者集団におけるヘモグロビンレベルと比較して、約2g/dL以上のヘモグロビンレベルの増大を達成する患者の集団のパーセンテージを求めて、処置の有効性を評価することを含む方法(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)を提供する。
別の態様において、本開示は、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩により処置されるか、又は処置されてきた患者の集団における処置の有効性を評価する方法であって、透析をもはや必要としない患者の集団のパーセンテージを求めて、処置の有効性を評価することを含む方法(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)を提供する。
本明細書中に記載される処置法は、加えて、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置の前且つ/又は後に、種々の評価工程を含み得る。一実施形態において、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の投与の前、その間、且つ/又はその後に、方法はさらに、PK及びPDパラメータ(例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の血漿濃度)を評価する工程を含む。評価は、例えば質量分光法、例えばLC-MSによる、体液、例えば血液又は血漿のサンプル分析によって達成され得る。
研究設計の概略図を示す図である。 図2:コア処置期間中の評価スケジュールを開示する表である。 (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) 延長処置期間中の評価スケジュールを開示する表である。
本明細書中に記載されるのは、aHUS患者における、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の使用方法、並びに安全性及び有効性を判定するための第3相臨床研究である。一実施形態において、患者は、抗C5抗体療法が挙げられる補体阻害剤療法の処置未経験である。一実施形態において、aHUSの処置に関して規定される補体阻害剤療法、免疫抑制療法、又は他の治療法により、患者は以前に処置されたか、又は現在処置されている。本研究は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の、血液学及び腎臓パラメータ、透析要件、慢性腎疾患(CKD)病期の変化、並びに疲労感についての患者報告アウトカム(PRO)(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy(FACIT)-fatigue)及びクオリティ・オブ・ライフが挙げられる、aHUSに関連する広範な有効性評価に及ぼす効果を評価する。
加えて、本研究は、aHUS患者用の処置としてのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の開発用のピボタル治験として役立つ。したがって、本明細書中に記載されるのは、aHUSの処置を必要とする患者においてaHUSを処置する方法であって、例えば、カプセル形態で、患者に毎日、例えば約12時間毎に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の2回用量を経口投与することを含む方法である(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)。また、本明細書中に記載されるのは、標的患者集団を選択する方法、標的患者集団の処置を監視する方法、並びに標的患者集団の処置の安全性及び有効性を評価する方法である。
本開示の詳細は、以下の添付の明細書中に示される。本明細書中に記載のものと同様又は同等の方法及び材料を、本開示の実施又は試験に用いることができるが、例示的な方法及び材料を本明細書中に記載する。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、明細書及び特許請求の範囲から明らかとなろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲において、別途明らかに示されない限り、単数の形態は複数も含む。別途定義されない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中で引用される全ての特許及び刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
定義
特定の定義が示されない限り、分析化学、合成有機化学、並びに本明細書中に記載される医薬及び薬化学と関連して用いられる命名法、並びにそれらの手順及び技術は、当該技術において周知の、及び一般的に用いられるものである。標準的な技術が、化学合成及び化学分析に用いられ得る。特定のそのような技術及び手順が、例えば、あらゆる目的について参照により本明細書に組み込まれる“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,21st edition,2005において見出され得る。許可されていれば、本開示の全体において引用される全ての特許出願、公開出願、並びに他の刊行物及び他のデータは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特に明記しない限り、以降の用語は、以下の意味を有する:
本明細書中で用いられる「約」は、値の±10%の範囲内を意味する。
本明細書中で用いられる「投与すること」又は「投与」は、個人に医薬剤を提供することを意味し、医療専門家による投与及び自己投与が挙げられるが、これらに限定されない。個人への医薬品の投与は、連続的であっても、長期間にわたっても、短くても、断続的であってもよい。
本明細書中で用いられる用語「取得する」又は「取得すること」は、物理的実体(例えばサンプル、例えば、血液サンプル又は血漿サンプル)、又は物理的実体若しくは値を「直接的に取得すること」若しくは「間接的に取得すること」による値、例えば数値の所有を得ることを指す。「直接的に取得すること」は、物理的実体又は値を得るためのプロセス(例えば分析方法)を実行することを意味する。「間接的に取得すること」は、物理的実体又は値を、別の当事者又は供給源(例えば、物理的実体又は値を直接取得した第三者のラボ)から受け取ることを指す。値を直接的に取得することは、サンプル又は別の物質の物理的変化を含むプロセスを実行すること、例えば、物質、例えばサンプルの物理的変化を含む分析的プロセスを実行すること、分析法、例えば本明細書中に記載される方法を、例えば、例えば質量分光法、例えばLC-MS、例えばLC-MS/MS法による、体液、例えば血液のサンプル分析によって実行することを含む。
本明細書中で用いられる「用量」は、単回投与で、又は指定された期間内に提供される医薬品の指定量を意味する。特定の実施形態において、用量は、カプセルで投与され得る。本明細書中で用いられる投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す。
本明細書中で用いられる「固体」「患者」、「参加者」、又は「対象」は、処置又は治療のために選択されたヒトを意味する。
本明細書中で用いられる「薬学的に許容される塩」は、イプタコパンの生理的且つ薬学的に許容可能な塩、すなわち、イプタコパンの所望の生物活性を保持し、且つ不所望の毒性効果を与えない塩を意味する。用語「薬学的に許容される塩」又は「塩」は、無機酸又は有機酸及び無機塩基又は有機塩基が挙げられる、薬学的に許容される非毒性の酸又は塩基から調製される塩を含む。イプタコパンの「薬学的に許容される塩」は、当該技術において周知の方法によって調製され得る。薬学的に許容される塩のレビューについて、Stahl and Wermuth,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)参照。イプタコパン塩酸塩及びその調製方法が、米国特許第9,682,968号明細書及び米国特許第10,093,663号明細書(実施例26d参照)に開示されており、これらはそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書中で用いられる用語「水和物」は、水が結晶構造中で協働しているか、又は結晶構造によって適応している、例えば結晶構造の一部であるか、又は結晶中にトラップされている(水封入体)結晶固体を指す。それにより、水は、化学量論的又は非化学量論的な量で存在し得る。水が化学量論的な量で存在する場合、水和物は、ギリシア語の数接頭辞を加えることによって言及され得る。例えば、水和物は、水/化合物化学量論に依存して、半(hemi)水和物又は一(mono)水和物と称され得る。含水量は、例えば、カール・フィッシャー電量分析によって測定することができる。
本明細書中で用いられる用語「無水形態」又は「無水物」は、水が結晶構造中で協働していないか、又は結晶構造によって適応していない結晶質固体を指す。無水形態は、依然として、結晶構造の一部ではないが、結晶の表面上に吸着され得るか、又は結晶の変性領域(disordered region)内に吸着され得る残留水を含有し得る。典型的には、無水形態は、結晶形態の重量に基づいて、3.0重量%超の水、例えば1.0重量%超の水を含有していない。
本明細書中で用いられる用語「処置する」は、障害又は疾患、例えばaHUSの発症又は進行を低下させるか、抑制するか、減弱させるか、減少させるか、拘束するか、又は安定させることを意味する。
別段の定めがない限り、用語制御(control)の従来の定義、及び従来の安定な原子価が推定されて、全ての式及び基において達成される。
冠詞「a」及び「an」は、本開示において、当該冠詞の文法上の目的語の1つ又は複数(例えば少なくとも1つ)を指す。例として、「要素」は、1つの要素又は複数の要素を意味する。
使用方法
本明細書中で提供されるのは、本明細書中に記載される方法に従って、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を処置する必要のある対象、例えば患者においてaHUSを処置するためのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を含む医薬組成物である。
本明細書中で提供されるのは、本明細書中に記載される使用のための、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を含む医薬組成物である。
簡単にするために、用語「イプタコパン又はその薬学的に許容される塩」、「イプタコパン塩酸塩」、「イプタコパン塩酸塩一水和物」、又は「イプタコパン塩酸塩一水和物形態H」(まとめて、「イプタコパン実体」と称される)の説明はまた、必要に応じて、用語「[上述のイプタコパン実体のいずれか]を含む医薬組成物」と代用され得る。
本明細書中で提供されるのは、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置を必要とする対象、例えば患者においてaHUSを処置する方法であって、対象、例えば患者に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に経口投与することによって、対象、例えば患者を処置する(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)ことを含む方法である。
別の態様において、本開示は、対象、例えば患者における非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置のための薬剤の製造におけるイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の使用を提供し、薬剤は、対象、例えば患者に、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に経口投与されることとなる(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)。
別の態様において、本開示は、対象、例えば患者における非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置に用いられるイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を提供し、処置は、対象、例えば患者に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に経口投与する(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)ことを含む。
別の態様において、本開示は、対象、例えば患者における非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置におけるイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の使用を提供し、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば患者に、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に経口投与されることとなる(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)。
別の態様において、本開示は、対象、例えば患者における非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置のためのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の使用を提供し、処置は、対象、例えば患者に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に経口投与する(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)ことを含む。
上述の開示の態様はさらに、適切な場合にはいつでも組み合わせられ得る以下の実施形態により説明される。
一実施形態において、処置は、対象、例えば患者にイプタコパン塩酸塩を経口投与することを含む。
一実施形態において、処置は、対象、例えば患者にイプタコパン塩酸塩一水和物を経口投与することを含む。
一実施形態において、処置は、対象、例えば患者にイプタコパン塩酸塩一水和物形態Hを経口投与することを含む。
一実施形態において、方法は、対象、例えば患者にイプタコパン塩酸塩を経口投与することを含む。
一実施形態において、方法は、対象、例えば患者にイプタコパン塩酸塩一水和物を経口投与することを含む。
一実施形態において、方法は、対象、例えば患者にイプタコパン塩酸塩一水和物形態Hを経口投与することを含む。
一実施形態において、経口投与されることとなるイプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、イプタコパン塩酸塩である。
一実施形態において、経口投与されることとなるイプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、イプタコパン塩酸塩一水和物である。
一実施形態において、経口投与されることとなるイプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、イプタコパン塩酸塩一水和物形態Hである。
一実施形態において、経口投与されることとなる薬剤は、イプタコパン塩酸塩を含む。
一実施形態において、経口投与されることとなる薬剤は、イプタコパン塩酸塩一水和物を含む。
一実施形態において、経口投与されることとなる薬剤は、イプタコパン塩酸塩一水和物形態Hを含む。
一実施形態において、対象、例えば患者は、補体阻害剤療法未経験である。
一実施形態において、対象、例えば患者は、抗C5療法、免疫抑制療法(例えば、免疫抑制剤、例えば、副腎皮質ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロホスファミド、又はリツキシマブ)、又はaHUSに処方される他の治療法により以前に処置されなかったか、又は処置されていない。
一実施形態において、対象、例えば患者は、補体阻害剤療法により以前に処置されたか、又は現在処置されている。
一実施形態において、対象、例えば患者は、抗C5療法により以前に処置されたか、又は現在処置されている。
一実施形態において、対象、例えば患者は、免疫抑制療法、又はaHUSに処方される他の治療法により以前に処置されたか、又は現在処置されている。
一実施形態において、抗C5療法は、抗C5モノクローナル抗体療法又はそのバイオシミラーである。
一実施形態において、抗C5療法は、エクリズマブ若しくはラブリズマブ、又はそのバイオシミラーである。
一実施形態において、対象、例えば患者は、血漿交換又は血漿注入(PE/PI)により以前に処置されなかったか、又は処置されていない。
一実施形態において、対象、例えば患者は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の投与前にワクチン接種されている。
一実施形態において、対象、例えば患者は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、及びインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染症の1つ以上に対してワクチン接種されている。
一実施形態において、対象、例えば患者は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の投与の少なくとも1週又は少なくとも2週、例えば約14日前にワクチン接種されている。
一実施形態において、対象、例えば患者は、aHUSと関連する遺伝的変異を有するか、又は有すると判定される。
一実施形態において、対象、例えば患者は、代替の補体経路を調節する構成要素内に遺伝的変異を有するか、又は有すると判定される。
一実施形態において、対象、例えば患者は、C3(補体構成要素3)、CD46(分化クラスター46)、MCP(膜補因子タンパク質)、CFB(補体B因子)、CFH(補体H因子)、CFHR(補体H因子関連タンパク質)、及びCFI(補体I因子)からなる群から選択される遺伝的変異を有するか、又は有すると判定される。
一実施形態において、処置又は処置することは、完全血栓性微小血管障害(TMA)奏効を達成することを含む。
一実施形態において、処置又は処置することは、対象、例えば患者への経口投与の開始後の24週以内、例えば20週以内、例えば16週以内、例えば12週以内、例えば8週以内、例えば4週以内に完全血栓性微小血管障害(TMA)奏効を達成することを含む。
一実施形態において、完全TMAを達成することは、血液学的正常化を達成することを含む。
一実施形態において、完全TMAを達成することは、血小板数の血液学的正常化を達成することを含む。
一実施形態において、完全TMAを達成することは、対象、例えば患者への経口投与の開始後の約5週、約4週、約3週、約2週、約1週以内に血小板数の血液学的正常化を達成することを含む。
一実施形態において、血小板数の血液学的正常化を達成することは、血小板数を少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間維持することを含む。
一実施形態において、対象、例えば患者は、血小板数(血液1リットルあたり)が、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前に、約150×10/L未満である。
一実施形態において、血小板数(血液1リットルあたり)は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置後に、約150×10/L以上、約175×10/L以上、約200×10/L以上、約225×10/L以上、約250×10/L以上、約275×10/L以上、約300×10/L以上、約325×10/L以上、約350×10/L以上、約375×10/L以上、約400×10/L以上、約425×10/L以上、約450×10/L以上に正常化される。
一実施形態において、血小板数(血液1リットルあたり)は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置後に、約150×10/L~約450×10/Lの範囲に正常化される。
一実施形態において、完全TMAを達成することは、乳酸ヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルの正常化を達成することを含む。
一実施形態において、完全TMAを達成することは、乳酸ヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルの正常化を、対象、例えば患者への経口投与の開始後の約5週、約4週、約3週、約2週、約1週以内に達成することを含む。
一実施形態において、血小板数の血液学的正常化を達成することは、乳酸ヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルを少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間維持することを含む。
一実施形態において、対象、例えば患者は、LDHレベルが、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前、例えば、スクリーニング期間の間又はスクリーン期間の開始前に、正常上限(ULN)の約1.5倍以上である。
一実施形態において、完全TMAを達成することは、対象、例えば患者におけるLDHのレベルを、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の投与前の対象におけるLDHのレベルと比較して、引き下げることを含む。
一実施形態において、対象、例えば患者におけるLDHレベルは、正常上限未満に引き下げられる。
一実施形態において、対象、例えば患者におけるLDHレベルは、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の投与前の対象におけるLDHのレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%引き下げられる。
一実施形態において、LDHレベルは、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の投与前の対象におけるLDHのレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、又は少なくとも約70%引き下げられる。
一実施形態において、対象、例えば患者におけるLDHレベルは、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の投与前の対象におけるLDHのレベルと比較して、少なくとも約30%又は40%引き下げられる。
一実施形態において、対象、例えば患者におけるLDHレベルは、体液、例えば血液又は血漿のサンプル分析によって取得される。
一実施形態において、完全TMA奏効を達成することは、腎機能を向上させることを含む。
一実施形態において、完全TMA奏効を達成することは、腎機能を向上させることを含み、腎機能を向上させることは、対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルを引き下げることを含む。
一実施形態において、完全TMA奏効を達成することは、腎機能を向上させることを含み、腎機能を向上させることは、対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルを、対象、例えば患者への経口投与の開始後の約16週、約12週、約10週、約8週、約6週、約4週、約3週、約2週以内に引き下げることを含む。
一実施形態において、完全TMA奏効を達成することは、腎機能を向上させることを含み、腎機能を向上させることは、対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルを、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルと比較して、処置の開始後の約12週、約10週、約8週、約6週、約4週、約3週、約2週以内に約25%以上引き下げることを含む。
一実施形態において、完全TMA奏効を達成することは、腎機能を向上させることを含み、腎機能を向上させることは、対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルを、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルと比較して、約25%以上引き下げることと;血清クレアチニンレベルを、少なくとも約4週間、少なくとも約6週間、少なくとも約8週間、少なくとも約10週間、少なくとも約12週間、少なくとも約16週間、又は少なくとも約20週間維持することとを含む。
一実施形態において、対象、例えば患者は、血清クレアチニンレベルが、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前、例えば、スクリーニング期間の間又はスクリーン期間の開始前に、約正常上限(ULN)以上である。
一実施形態において、血清クレアチニンレベルは、正常レベルに引き下げられる。
一実施形態において、血清クレアチニンレベルは、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルと比較して、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、例えば約25%以上引き下げられる。
一実施形態において、対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルは、サンプル分析によって取得される。
一実施形態において、対象、例えば患者は、ヘモグロビンレベルが、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前、例えば、スクリーニング期間の間又はスクリーン期間の開始前に、約正常下限(LLN)以下である。
一実施形態において、対象、例えば患者は、ヘモグロビンレベルが、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前、例えば、スクリーニング期間の間又はスクリーン期間の開始前に、約10g/dL以下である。
一実施形態において、対象、例えば患者のヘモグロビンレベルは、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前に、約9.5g/dL未満、約9g/dL未満、約8.5g/dL未満、約8g/dL未満、約7.5g/dL未満、約7g/dL未満、約6.5g/dL未満、約6g/dL未満、約5.5g/dL未満、又は約5g/dL未満である。
一実施形態において、処置又は処置することは、対象、例えば患者におけるヘモグロビンレベルを、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者におけるヘモグロビンレベルと比較して、例えば、約0.2g/dL以上、約0.3g/dL以上、約0.4g/dL以上、約0.5g/dL以上、約0.75g/dL以上、約1g/dL以上、約1.25g/dL以上、約1.5g/dL以上、約1.75g/dL以上、約2g/dL以上、約2.25g/dL以上、約2.5g/dL以上、約2.75g/dL以上、又は約3g/dL以上増大させることを含む。
一実施形態において、処置又は処置することは、対象、例えば患者におけるヘモグロビンレベルを、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者におけるヘモグロビンレベルと比較して、約2g/dL以上増大させることを含む。
一実施形態において、処置又は処置することは、PE/PI及び抗C5抗体療法を用いずに、完全TMA奏効を達成することを含む。
一実施形態において、完全TMA奏効を達成することは、血小板数の血液学的正常化(例えば≧150×10/L)及びLDHの血液学的正常化(例えばULN未満)を達成することと;腎機能を向上させること(例えば、血清クレアチニンをベースラインから≧25%引き下げること)とを含む。
一実施形態において、処置又は処置することの有効性は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置の間、及びその後の対象、例えば患者において、ヘモグロビンレベルの変化をベースラインから比較すること、例えば、ヘモグロビンレベルを、例えば間をおいて測定すること、及びベースライン、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置の前に測定されるヘモグロビンレベルと比較することによって判定される。
一実施形態において、ヘモグロビンレベルの増大が、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者におけるヘモグロビンレベルと比較して、約0.5g/dL以上、約1g/dL以上、約1.5g/dL以上、約2g/dL以上、約2.5g/dL以上、約3g/dL以上、約3.5g/dL以上、約4g/dL以上、約4.5g/dL以上、又は約5g/dL以上であり、処置の有効性を示す。
一実施形態において、ヘモグロビンレベルの増大が、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者におけるヘモグロビンレベルと比較して、約2g/dL以上であり、処置の有効性を示す。
一実施形態において、対象、例えば患者におけるヘモグロビンレベルは、サンプル分析によって取得される。
一実施形態において、処置又は処置することは、対象、例えば患者における腎機能を、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者における腎機能と比較して、向上させることを含む。
一実施形態において、処置又は処置することは、推定糸球体濾過率(eGFR)を安定又は向上させることを含む。
一実施形態において、腎機能を向上させることは、eGFRを測定することによって評価される。
一実施形態において、処置又は処置することの有効性は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置の間、及びその後の対象、例えば患者において、ベースラインからのeGFR値の変化を比較すること、例えば、eGFR値を、例えば間をおいて測定すること、及びベースライン、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置の前に測定されるeGFR値と比較することによって判定される。
一実施形態において、対象、例えば患者は、免疫抑制剤、例えば、副腎皮質ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロホスファミド、又はリツキシマブにより処置されたか、又は処置されている。免疫抑制剤の追加の例が、Bagga et al.(2019)Pediatric Nephrology 34:1465-1482に見出され得る。
一実施形態において、対象、例えば患者は、免疫抑制剤、例えば、副腎皮質ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロホスファミド、又はリツキシマブにより処置されなかったか、又は処置されていない。一実施形態において、対象、例えば患者は、補体H因子に対する抗体を有するか、又は有すると判定される。
患者の選択及び監視
第3相研究は、aHUSと診断され、且つ補体阻害剤療法の処置未経験であるaHUS患者を登録する。aHUSの診断は、他の形態のTMA(Loirat C,et al.(2016)、顕著な血栓性血小板減少紫斑病(TTP)、志賀毒素産生大腸菌(Escherichia coli)に起因する溶血性尿毒症症候群(HUS)(STEC-HUS)、及び他の形態の二次HUS(全身性エリテマトーデス(SLE)、又はカルシニュリン阻害剤が挙げられる薬物誘導HUSが挙げられる悪性腫瘍又は自己免疫疾患等の合併疾患に起因する)を除外することを頼りにする臨床診断のままである。加えて、非常に若い患者において、連鎖球菌感染症についての評価が推奨される。
患者は、低い血小板数(<150×10/L)、微小血管障害性溶血性貧血(LDH≧1.5×ULN、ヘモグロビン≦LLN)、及び腎機能の低下(血清クレアチニン≧ULN)が挙げられるTMAの証拠により、aHUSという診断が下る。
遺伝子検査が、aHUS病因に関与することが知られている選択されたセットの遺伝子について行われる。というのもこれは、aHUSに関する重要な予後情報、例えば、移植後の研究処置奏効、退歩、及び再発を提供するからである。しかしながら、このaHUS特異的遺伝子分析は、スクリーニングプロセス又は適格基準判定の一部とはならない。追加の評価は、aHUS関連バイオマーカー(C3、C4等)、及び補体タンパク質に対する自己抗体(H因子自己抗体等)を含む。一旦aHUSの臨床診断が調査者によって確認されると、遺伝子検査及びバイオマーカー/自己抗体検査は、地方の規制に従って容認される場合はいつでも、及び特定の同意が患者から得られた後に、実行される。
イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩は、補体活性化を阻害することができる。したがって、対象、例えば患者は、対象、例えば患者が、TMAの証拠、例えば、低い血小板数(<150×10/L)、微小血管障害性溶血性貧血(LDH≧1.5×ULN、ヘモグロビン≦LLN)、及び腎機能の低下(血清クレアチニン≧ULN)を有するかを判定するために患者を第一に評価すること、及び任意に、対象、例えば患者に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を投与することによって、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置について選択され得る。
一実施形態において、対象、例えば患者は、特定のPK/PDパラメータ、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩のレベル、LDHのレベル、血小板のレベル、ヘモグロビンのレベル、又は血清クレアチニンのレベルを評価することによって監視され得る。
有効性評価
主要有効性評価は、PE/PI及び抗C5抗体を用いない完全TMA奏効である。完全TMA奏効は、血小板数、LDHの血液学的正常化、及び腎機能の向上を測定することによって評価され得る。
したがって、本明細書中で提供されるのは、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩により処置されるか、又は処置されてきた対象、例えば患者における処置の有効性を評価する方法であって、対象、例えば患者における慢性腎疾患(CKD)状況の変化を評価して、処置の有効性を評価することを含む方法(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)である。
一実施形態において、対象、例えば患者の処置は、推定糸球体濾過率(eGFR)を安定又は向上させることを含む。一実施形態において、有効性は、eGFRを測定することによって評価される。
別の態様において、本開示は、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩により処置されるか、又は処置されてきた患者の集団における処置の有効性を評価する方法であって、完全血栓性微小血管障害(TMA)奏効を達成する患者の集団のパーセンテージを求めて、処置の有効性を評価することを含む方法(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)を提供する。
一実施形態において、完全TMA奏効を達成する患者の集団のパーセンテージは、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、又は約95%以上である。
一実施形態において、完全TMA奏効を達成する患者の集団のパーセンテージは、約30%~約70%である。
一実施形態において、完全TMAを達成することは、血小板数の血液学的正常化を含む。
一実施形態において、血小板数の血液学的正常化は、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間、血小板数を維持することを含む。
一実施形態において、血小板数(血液1リットルあたり)は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置後に、約150×10/L以上、約175×10/L以上、約200×10/L以上、約225×10/L以上、約250×10/L以上、約275×10/L以上、約300×10/L以上、約325×10/L以上、約350×10/L以上、約375×10/L以上、約400×10/L以上、約425×10/L以上、約450×10/L以上に正常化され、例えば約150×10/L~約450×10/Lの範囲に正常化される。
一実施形態において、完全TMAを達成することは、乳酸ヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルの正常化を含む。
一実施形態において、LDHのレベルは、ULN(正常上限)未満である。
一実施形態において、完全TMAを達成することは、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の患者集団における腎機能と比較して、集団のパーセンテージで腎機能を向上させることを含む。
一実施形態において、対象、例えば患者を処置することは、推定糸球体濾過率(eGFR)を安定又は向上させることを含む。
一実施形態において、腎機能を向上させることは、eGFRを測定することによって評価される。
別の態様において、本開示は、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩により処置されるか、又は処置されてきた患者の集団における処置の有効性を評価する方法であって、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の患者集団におけるヘモグロビンレベルと比較して、約2g/dL以上のヘモグロビンレベルの増大を達成する患者の集団のパーセンテージを求めて、処置の有効性を評価することを含む方法(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)を提供する。
一実施形態において、完全TMA奏効を達成する患者の集団のパーセンテージは、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、又は約95%以上である。
別の態様において、本開示は、治療的に有効な量、例えば約200mgの用量にて、例えば1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩により処置されるか、又は処置されてきた患者の集団における処置の有効性を評価する方法であって、透析をもはや必要としない患者の集団のパーセンテージを求めて、処置の有効性を評価することを含む方法(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基を指す)を提供する。
一実施形態において、完全TMA奏効を達成する患者の集団のパーセンテージは、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、又は約95%以上である。
具体的な実施形態
種々の具体的な実施形態が例示且つ説明されるが、種々の変更が、本開示の精神及び範囲から逸脱することなくなされ得ることはいうまでもない。本開示は、以下に示される番号付けされた実施形態によって例示される。
1.非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置を必要とする対象、例えば患者においてaHUSを処置する方法であって、対象、例えば患者に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩、治療的に有効な量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む方法。
2.治療的に有効な量は200mgである(投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基を指す)、実施形態1の方法。
3.方法は、対象、例えば患者に1日2回(b.i.d.)、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を経口投与することを含む、実施形態1又は2の方法。
4.方法は、対象、例えば患者に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を約12時間毎に経口投与することを含む、実施形態1又は3のいずれか1つの方法。
5.方法は、対象、例えば患者にイプタコパン塩酸塩を経口投与することを含む、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
6.方法は、対象、例えば患者にイプタコパン塩酸塩一水和物を経口投与することを含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
7.方法は、対象、例えば患者にイプタコパン塩酸塩一水和物形態Hを経口投与することを含む、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
8.対象、例えば患者は、補体阻害剤療法未経験である、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
9.対象、例えば患者は、抗C5療法、免疫抑制療法(例えば、免疫抑制剤、例えば、副腎皮質ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロホスファミド、又はリツキシマブ)、又はaHUSに処方される他の治療法により以前に処置されなかったか、又は処置されていない、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
10.対象、例えば患者は、補体阻害剤療法により以前に処置されたか、又は現在処置されている、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
11.対象、例えば患者は、抗C5療法により以前に処置されたか、又は現在処置されている、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
12.対象、例えば患者は、免疫抑制療法(例えば、免疫抑制剤、例えば、副腎皮質ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロホスファミド、又はリツキシマブ)、又はaHUSに処方される他の治療法により以前に処置されたか、又は現在処置されている、実施形態1~11のいずれか1つの方法。
13.抗C5療法は、抗C5モノクローナル抗体療法又はそのバイオシミラーである、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
14.抗C5療法は、エクリズマブ若しくはラブリズマブ、又はそのバイオシミラーである、実施形態13の方法。
15.対象、例えば患者は、血漿交換又は血漿注入(PE/PI)により以前に処置されなかったか、又は処置されていない、実施形態1~14のいずれか1つの方法。
16.対象、例えば患者は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の投与前にワクチン接種されている、実施形態1~15のいずれか1つの方法。
17.対象、例えば患者は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、及びインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染症の1つ以上に対してワクチン接種されている、実施形態16の方法。
18.対象、例えば患者は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の投与の少なくとも1週又は少なくとも2週、例えば約14日前にワクチン接種されている、実施形態15又は16の方法。
19.対象、例えば患者は、aHUSと関連する遺伝的変異を有するか、又は有すると判定される、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
20.対象、例えば患者は、代替の補体経路を調節する構成要素内に遺伝的変異を有するか、又は有すると判定される、実施形態1~19のいずれか1つの方法。
21.対象、例えば患者は、C3(補体構成要素3)、CD46(分化クラスター46)、MCP(膜補因子タンパク質)、CFB(補体B因子)、CFH(補体H因子)、CFHR(補体H因子関連タンパク質)、CFI(補体I因子)、DGKE(ジアシルグリセロールキナーゼイプシロン)、及びMMACHC(メチルマロン酸尿症及びホモシスチン尿症C型タンパク質)からなる群から選択される遺伝的変異を有するか、又は有すると判定される、実施形態1~20のいずれか1つの方法。
22.対象、例えば患者を処置することは、完全血栓性微小血管障害(TMA)奏効を達成することを含む、実施形態1~21のいずれか1つの方法。
23.対象、例えば患者を処置することは、対象、例えば患者への経口投与の開始後の24週以内、例えば20週以内、例えば16週以内、例えば12週以内、例えば8週以内、例えば4週以内に完全血栓性微小血管障害(TMA)奏効を達成することを含む、実施形態1~22のいずれか1つの方法。
24.完全TMA奏効を達成することは、血液学的正常化を達成することを含む、実施形態22又は23の方法。
25.血液学的正常化を達成することは、血小板数の血液学的正常化を達成することを含む、実施形態24の方法。
26.完全TMAを達成することは、対象、例えば患者への経口投与の開始後の約5週、約4週、約3週、約2週、約1週以内に血小板数の血液学的正常化を達成することを含む、実施形態24の方法。
27.血小板数の血液学的正常化を達成することは、血小板数を少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間維持することを含む、実施形態1~27のいずれか1つの方法。
28.対象、例えば患者は、血小板数(血液1リットルあたり)が、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前に、約150×10/L未満である、実施形態1~27のいずれか1つの方法。
29.血小板数(血液1リットルあたり)は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置後に、約150×10/L以上、約175×10/L以上、約200×10/L以上、約225×10/L以上、約250×10/L以上、約275×10/L以上、約300×10/L以上、約325×10/L以上、約350×10/L以上、約375×10/L以上、約400×10/L以上、約425×10/L以上、約450×10/L以上に正常化され、例えば約150×10/L~約450×10/Lの範囲に正常化される、実施形態1~28のいずれか1つの方法。
30.完全TMAを達成することは、乳酸ヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルの正常化を達成することを含む、実施形態1~29のいずれか1つの方法。
31.完全TMAを達成することは、乳酸ヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルの正常化を、対象、例えば患者への経口投与の開始後の約5週、約4週、約3週、約2週、約1週以内に達成することを含む、実施形態1~30のいずれか1つの方法。
32.完全TMAを達成することは、乳酸ヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルの正常化を、対象、例えば患者への経口投与の開始後の約5週、約4週、約3週、約2週、約1週以内に達成することと;乳酸ヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルを少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間維持することとを含む、実施形態1~31のいずれか1つの方法。
33.対象、例えば患者は、LDHレベルが、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前、例えば、スクリーニング期間の間又はスクリーン期間の開始前に、正常上限(ULN)の約1.5倍以上である、実施形態1~32のいずれか1つの方法。
34.完全TMAを達成することは、対象、例えば患者におけるLDHのレベルを、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の投与前の対象におけるLDHのレベルと比較して、引き下げることを含む、実施形態1~33のいずれか1つの方法。
35.対象、例えば患者におけるLDHレベルは、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%引き下げられる、実施形態1~34のいずれか1つの方法。
36.LDHレベルは、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、又は少なくとも約70%引き下げられる、実施形態1~35のいずれか1つの方法。
37.LDHレベルは、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の投与前の対象におけるLDHのレベルと比較して、少なくとも約30%又は40%引き下げられる、実施形態1~36のいずれか1つの方法。
38.LDHレベルは、対象、例えば患者への経口投与の開始後の正常上限未満に引き下げられる、実施形態1~37のいずれか1つの方法。
39.対象、例えば患者におけるLDHレベルは、少なくとも約30%又は40%引き下げられる、実施形態1~38のいずれか1つの方法。
40.対象、例えば患者におけるLDHレベルは、体液、例えば血液又は血漿のサンプル分析によって取得される、実施形態1~39のいずれか1つの方法。
41.完全TMA奏効を達成することは、腎機能を向上させることを含む、実施形態1~40のいずれか1つの方法。
42.腎機能を向上させることは、対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルを引き下げることを含む、実施形態41の方法。
43.腎機能を向上させることは、対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルを、対象、例えば患者への経口投与の開始後の約24週、約20週、約16週、約12週、約10週、約8週、約6週、約4週、約3週、約2週以内に引き下げることを含む、実施形態41又は42の方法。
44.腎機能を向上させることは、対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルを、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルと比較して、処置の開始後の約24週、約20週、約16週、約12週、約10週、約8週、約6週、約4週、約3週、約2週以内に約25%以上引き下げることを含む、実施形態1~43のいずれか1つの方法。
45.腎機能を向上させることは、対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルを、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルと比較して、約25%以上引き下げることと;血清クレアチニンレベルを、少なくとも約4週間、少なくとも約6週間、少なくとも約8週間、少なくとも約10週間、少なくとも約12週間、少なくとも約16週間、又は少なくとも約20週間維持することとを含む、実施形態1~44のいずれか1つの方法。
46.腎機能を向上させることは、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間、血清クレアチニンレベルを引き下げることを含む、実施形態1~45のいずれか1つの方法。
47.対象、例えば患者は、血清クレアチニンレベルが、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前、例えば、スクリーニング期間の間又はスクリーン期間の開始前に、約正常上限(ULN)以上である、実施形態1~46のいずれか1つの方法。
48.血清クレアチニンレベルは、正常レベルに引き下げられる、実施形態1~47のいずれか1つの方法。
49.血清クレアチニンレベルは、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルと比較して、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、例えば約25%以上引き下げられる、実施形態1~48のいずれか1つの方法。
50.対象、例えば患者における血清クレアチニンレベルは、サンプル分析によって取得される、実施形態1~49のいずれか1つの方法。
51.対象、例えば患者は、ヘモグロビンレベルが、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前、例えば、スクリーニング期間の間又はスクリーン期間の開始前に、約正常下限(LLN)以下である、実施形態1~50のいずれか1つの方法。
52.対象、例えば患者は、ヘモグロビンレベルが、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前、例えば、スクリーニング期間の間又はスクリーン期間の開始前に、約10g/dL以下である、実施形態1~51のいずれか1つの方法。
53.対象、例えば患者のヘモグロビンレベルは、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前に、約9.5g/dL未満、約9g/dL未満、約8.5g/dL未満、約8g/dL未満、約7.5g/dL未満、約7g/dL未満、約6.5g/dL未満、約6g/dL未満、約5.5g/dL未満、又は約5g/dL未満である、実施形態1~52のいずれか1つの方法。
54.対象、例えば患者を処置することは、対象、例えば患者におけるヘモグロビンレベルを、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者におけるヘモグロビンレベルと比較して、例えば、約0.2g/dL以上、約0.3g/dL以上、約0.4g/dL以上、約0.5g/dL以上、約0.75g/dL以上、約1g/dL以上、約1.25g/dL以上、約1.5g/dL以上、約1.75g/dL以上、約2g/dL以上、約2.25g/dL以上、約2.5g/dL以上、約2.75g/dL以上、又は約3g/dL以上、例えば約2g/dL以上増大させることを含む、実施形態1~53のいずれか1つの方法。
55.処置の有効性が、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置の間、及びその後の対象、例えば患者において、ヘモグロビンレベルの変化をベースラインから比較すること、例えば、ヘモグロビンレベルを、例えば間をおいて測定すること、及びベースライン、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置の前に測定されるヘモグロビンレベルと比較することによって判定される、実施形態1~54のいずれか1つの方法。
56.ヘモグロビンレベルの増大が、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者におけるヘモグロビンレベルと比較して、約0.5g/dL以上、約1g/dL以上、約1.5g/dL以上、約2g/dL以上、約2.5g/dL以上、約3g/dL以上、約3.5g/dL以上、約4g/dL以上、約4.5g/dL以上、又は約5g/dL以上、例えば約2g/dL以上であり、処置の有効性を示す、実施形態54又は55の方法。
57.対象、例えば患者におけるヘモグロビンレベルは、サンプル分析によって取得される、実施形態1~56のいずれか1つの方法。
58.対象、例えば患者を処置することは、対象、例えば患者における腎機能を、例えばベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置前の対象、例えば患者における腎機能と比較して、向上させることを含む、実施形態1~57のいずれか1つの方法。
59.対象、例えば患者を処置することは、推定糸球体濾過率(eGFR)を安定又は向上させることを含む、実施形態1~58のいずれか1つの方法。
60.腎機能を安定又は向上させることは、eGFRを測定することによって評価される、実施形態59の方法。
61.処置の有効性は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置の間、及びその後の対象、例えば患者において、ベースラインからのeGFR値の変化を比較すること、例えば、eGFR値を、例えば間をおいて測定すること、及びベースライン、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩による処置の前に測定されるeGFR値と比較することによって判定される、実施形態1~60のいずれか1つの方法。
62.完全TMA奏効を達成することは、血小板数の血液学的正常化(例えば≧150×10/L)及びLDHの血液学的正常化(例えばULN未満)を達成することと;腎機能を向上させること(例えば血清クレアチニンをベースラインから≧25%引き下げること)とを含む、実施形態1~61のいずれか1つの方法。
63.実施形態1~62のいずれか1つの方法に従う、対象、例えば患者における非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置に用いられるイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩。
64.実施形態1~62のいずれか1つの方法に従う、対象、例えば患者における非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置における、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の使用。
65.実施形態1~62のいずれか1つの方法に従う、対象、例えば患者における非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置のための、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩の使用。
66.実施形態1~62のいずれか1つの方法に従う、対象、例えば患者における非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置に用いられる、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩を含む医薬組成物。
67.1日2回(b.i.d.)、例えば約12時間毎に与えられる投与用の、実施形態66の医薬組成物。
68.実施形態1~62のいずれか1つに従って対象、例えば患者に経口投与されることとなる、対象、例えば患者における非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置に用いられるイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えばイプタコパン塩酸塩。
69.医薬組成物中にある、実施形態68のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩。
70.対象、例えば患者は、補体阻害剤療法、例えば抗C5療法、例えば抗C5モノクローナル抗体療法又はそのバイオシミラー、例えば、エクリズマブ若しくはラブリズマブ又はそのバイオシミラー未経験である、実施形態68又は69のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩。
71.患者は、例えば、処置の開始後の24週以内、例えば20週以内、例えば16週以内、例えば12週以内、例えば8週以内、例えば4週以内に、完全血栓性微小血管障害(TMA)奏効を達成する、実施形態68~70のいずれか1つのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩。
72.患者は、例えば、処置の開始後の24週以内、例えば20週以内、例えば16週以内、例えば12週以内、例えば8週以内、例えば4週以内に、例えば、対象、例えば患者において、血清クレアチニンレベルを正常なレベルに引き下げることを含む、腎機能の向上を達成する、実施形態68~71のいずれか1つのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩。
以下の実施例によって本開示をさらに説明するが、これは本明細書中に記載される特定の手順の範囲又は精神において本開示を限定するものと解釈されるべきではない。実施例は、特定の実施形態を説明するために提供されており、これによって本開示の範囲を限定することは意図されないことが理解されるべきである。さらに、本開示の精神及び/又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者にそれ自体を示唆し得る、種々の他の実施形態、変更形態、及びそれらの均等物を用い得ることも理解されるべきである。
Figure 2024517234000004
Figure 2024517234000005
Figure 2024517234000006
Figure 2024517234000007
Figure 2024517234000008
Figure 2024517234000009
Figure 2024517234000010
Figure 2024517234000011
Figure 2024517234000012
実施例1.抗C5抗体が挙げられる補体阻害剤療法の処置未経験である成人のaHUS患者において1日2回経口投与されるLNP023(イプタコパン)塩酸塩の有効性及び安全性を評価するためのマルチセンターシングルアーム非盲検研究
目的
この治験は、26週のコア処置期間に続く26週の延長処置期間によるマルチセンターシングルアーム非盲検研究である。この第3相研究の目的は、抗C5抗体が挙げられる補体阻害剤療法の処置未経験である成人aHUS患者において1日2回200mgとして与えられるLNP023(イプタコパン)処置の有効性及び安全性を評価することである(投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基を指す)。本研究は、研究処置イプタコパンの、血液学及び腎臓パラメータ、透析要件、慢性腎疾患(CKD)病期の変化、並びに疲労感についての患者報告アウトカム(PRO)(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy(FACIT)-fatigue)及びクオリティ・オブ・ライフが挙げられる、aHUSに関連する広範な有効性評価に及ぼす効果を評価する。この研究は、aHUS患者用の処置としてのイプタコパンの開発用のピボタル治験として役立つ。この研究の26週のコア処置期間(182日目)由来のデータは、ピボタル有効性及び安全性データを提供する。26週の延長処置段階(364日目)は、aHUS患者におけるイプタコパンに関する更なる長期安全性及び有効性データを提供する。
調査研究薬物
この第3相研究のために選択した、調査研究薬物イプタコパン塩酸塩の形態は、以下の式に示す一水和物形態Hである:
Figure 2024517234000013

(2S,4S)-2-(4-カルボキシフェニル)-4-エトキシ-1-[(5-メトキシ-7-メチル-1H-インドール-4-イル)メチル]ピペリジン-1-イウムクロリド-水(1/1)
したがって、実施例1において、「イプタコパン」は、イプタコパン塩酸塩一水和物形態Hを意味する。イプタコパン塩酸塩一水和物形態H及びその調製方法が、米国特許出願第63/026,637号明細書及び米国特許出願第63/052,699号明細書に開示されており、これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
第一の目的及びエンドポイント
第一の目的は、26週の研究処置の間に完全血栓性微小血管障害(TMA)奏効を達成する、イプタコパンにより処置された参加者の割合を評価することである。エンドポイントは、26週の研究処置の間の、PE/PI及び抗C5抗体を用いない完全TMA奏効によって判定する。完全TMA奏効は、(1)血小板数の血液学的正常化(血小板数≧150×10/L)及びLDHの血液学的正常化(ULN未満)、並びに(2)腎機能の向上(ベースラインからの≧25%血清クレアチニン引下げ)(少なくとも4週離れて得られる2つの測定値、及びその間の任意の測定値について維持されている)と定義する。
第二の目的及びエンドポイント/エスティマンド
第二の目的は、以下のことである:
● TMA奏効を完了する時間に及ぼすイプタコパンによる処置の効果を評価すること、ここで、エンドポイントは、関連エンドポイントである、26週の研究処置の間にTMA奏効を達成する時間によって判定する;
● ≧2g/dLのヘモグロビンレベルのベースラインからの増大を達成する参加者の割合を評価すること、ここで、エンドポイント、すなわち奏効は、26週の研究処置の間に、少なくとも4週離れて得られる2つの測定値、及びその間の任意の測定値で観察される、ベースラインから≧2g/dLのヘモグロビンの増大によって判定する;
● 血液学的パラメータ(血小板、LDH、ヘモグロビン)に及ぼすイプタコパン研究処置の効果を評価すること、ここで、エンドポイントは、26週目の血液学的パラメータ(血小板、LDH、ヘモグロビン)のベースラインからの変化によって判定する;
● 透析要件状況に及ぼすイプタコパン研究処置の効果を評価すること、ここで、エンドポイントは、26週の研究処置を通して透析をもはや必要としない、(このTMA事象のために行われる)透析中の参加者の割合によって判定する;
● 推定糸球体濾過率(eGFR)に及ぼすイプタコパン研究処置の効果を評価すること、ここで、エンドポイントは、26週目のeGFR値のベースラインからの変化によって判定する;及び
● 慢性腎疾患(CKD)病期に及ぼすイプタコパン研究処置の効果を評価すること、ここで、エンドポイントは、26週目のeGFRカテゴリに基づくCKD病期のベースラインからの変化(1~5)によって判定する。
追加の目的は、以下を含む:
● 患者報告疲労感重篤度全体及び健康関連クオリティ・オブ・ライフに及ぼすイプタコパン研究処置の効果を評価すること、ここで、エンドポイントは、26週目のFACIT-Fatigueについての患者報告アウトカムスコアのベースラインからの変化、重篤度の患者全般印象(PGIS)、EuroQol 5-レベルEQ-5Dバージョン(EQ- 5D-5L)、及びShort-form 36健康調査アンケートバージョン2(SF-36 v2)によって判定する;及び
● イプタコパン研究処置の安全性及び忍容性を評価すること、ここで、エンドポイントは、安全性評価(有害事象/重篤な有害事象、安全性ラボパラメータ、及びバイタルサインが挙げられる)によって判定する
第一のエスティマンドは、26週の研究処置の間の、PE/PI及び抗C5抗体を用いない完全TMA奏効であり、(1)血小板数の血液学的正常化(血小板数≧150×10/L)及びLDHの血液学的正常化(ULN未満)、並びに(2)腎機能の向上(ベースラインからの≧25%血清クレアチニン引下げ)(少なくとも4週離れて得られる2つの測定値及びその間の任意の測定値について維持されている)と定義する。
第二のエスティマンドについて、戦略は、第二の各エンドポイントにより説明される。一般に、TMA奏効エンドポイントまでの時間について、第一のエンドポイントと同じエスティマンドフレームワークを使用する。ベースラインエンドポイントからの変化について、処置方針戦略を使用する。ヘモグロビンの増大がベースラインから≧2g/dLである参加者について、合成戦略を使用する。
調査目的
調査目的は、以下のことである:
● aHUS集団におけるイプタコパン研究処置のPKを特徴付けること;
● ヘルスケアリソースの利用に及ぼすイプタコパン研究処置の効果を評価すること;
● aHUSのサイン及び徴候に及ぼすイプタコパン研究処置の効果を評価すること;
● 遺伝的変異が知られているaHUS患者におけるイプタコパン研究処置の効果を調査すること;及び
● イプタコパン研究処置による処置効果に関する血液及び/又は尿バイオマーカーを調査すること。
研究設計
この第3相研究は、aHUSと診断され、且つ補体阻害剤療法の処置未経験である成人患者におけるマルチセンターシングルアーム非盲検治験である。本研究は、図1に示す3つの期間からなる。
● 最長7日続くスクリーニング期間
● 主要有効性及び安全性分析のための26週のシングルアーム非盲検コア処置期間
● イプタコパンの長期安全性、忍容性、及び有効性を評価するための26週非盲検延長処置期間
総研究処置期間は、52週にわたる。本研究は、およそ50人の成人患者がイプタコパンにより処置されることを確実にする。研究参加者は、aHUSと診断され、補体阻害剤療法の処置未経験であり、且つ以下が挙げられるTMAの証拠がある成人患者である:
● 低血小板数(<150×10/L)
● 微小血管障害性溶血性貧血(LDH≧1.5×ULN、ヘモグロビン≦正常下限(LLN))
● 腎機能低下(成人(≧18歳)において血清クレアチニン≧ULN)(急性腎障害についての透析を必要とする患者が適格である)。
本研究は、以前に腎移植した、イプタコパンにより処置されたおよそ5人の患者を目指す。
およそ8人の成人参加者が12週の研究処置(84日目に来院)を完了した時点にて、中間分析(IA)を実行する。このIAの意図は、処置未経験aHUS患者におけるイプタコパンの有効性及び安全性の予備証明を提供することである。IAは、12週での主要エンドポイント(完全TMA奏効)及びその構成要素[血液学的正常化(血小板数及びLDH)、腎機能の向上(ベースラインからの≧25%の血清クレアチニン引下げ)]、並びに血液学的パラメータ(血小板、LDH、ヘモグロビン)及び腎臓転帰(GFR及び透析要件)(aHUS患者における臨床的な利益に関連する)の分析を含む。加えて、安全性エンドポイント(バイタルサイン、安全性ラボ、有害事象、重篤な有害事象、中断その他が挙げられる)をレビューする。
研究設計の根拠
この第3相研究を、抗C5抗体が挙げられる補体阻害剤療法が未経験である成人aHUS患者における毎日2回の経口イプタコパンの有効性及び安全性を研究するためのマルチセンターシングルアーム非盲検治験として設計する。シングルアーム設計を、以下の理由のためにこの研究に選択した:
● プラセボ対照設計は、aHUSが、早期の処置を必要とする重度の、極めて希少な、迅速に進行する疾患であるので、非倫理的であると考えられる。さらに、SoC(エクリズマブ又はラブリズマブ)が利用可能である国々において、プラセボアームは正当化されない。
● シングルアーム非盲検設計は、これらの患者集団において行う研究と関連する課題に起因して、希少な疾患に広く用いられている(Bell SA,et al.(2014)A comparison of interventional clinical trials in rare versus non-rare diseases:an analysis of ClinicalTrials.gov.Orphanet J Rare Dis;9:170)。というのも、ランダム化対照研究(対SoC)が、大きなサンプルサイズを必要とするからである。疾患の極めて希少な性質、及びこの患者集団を合理的なタイムフレームで動員する課題に起因して、シングルアーム治験設計は、aHUS患者のための潜在的に有益な処置についてのデータの利用可能性をより早期にできる。
● aHUS患者における承認された治療法は全て、それらのピボタル研究用の類似したシングルアーム非盲検設計を採用した(Fakhouri F,et al.(2016)Terminal Complement Inhibitor Eculizumab in Adult Patients With Atypical Hemolytic Uremic Syndrome:A Single-Arm,Open-Label Trial.Am J Kidney Dis;68(1):84-93;Rondeau E,et al.(2020)The long-acting C5 inhibitor,Ravulizumab,is effective and safe in adult patients with atypical hemolytic uremic syndrome naive to complement inhibitor treatment.Kidney Int;97:1287-96)(FDA及びEMAによるラブリズマブの最近の承認を含む)。
このシングルアーム非盲検設計と関連する偏りを最小にするためのいくつかの尺度が、研究設計に含まれた(ラボ評価を介して客観的に測定される主要並びに大多数の副次有効性エンドポイント(すなわち、血小板、LDH、ヘモグロビン、及びクレアチニン)を含む)。
この希少な徴候について広範な地理的領域からの患者の十分な補充及び代表的な登録を確実にするために、マルチセンターセッティングを本研究に選択する。
完全TMA奏効は、aHUSの臨床試験において明確に定義され、且つ受け入れられているエンドポイントであり、aHUS患者における最近の臨床研究に用いられてきた(Fakhouri,et al.2016,Rondeau,et al.2020)。これは、TMA患者における同時の血液学的向上及び腎臓向上を測定するように設計されている。血小板及びLDHが、aHUS患者において処置奏効を評価するのに用いられている最もよくある変数である(Rondeau,et al.2020)。ホルマール比較分析はこの研究に予定していないが、イプタコパン処置患者からの結果を、エクリズマブ(Fakhouri,et al.2016)及びラブリズマブ(Rondeau,et al.2020)研究において報告されている結果の文脈で評価する。算出したTMA奏効率を、研究設計、集団、及び有効性エンドポイントにおいて比較可能な2件の過去の治験(historical trial)に基づいて選択した、予め定義された閾値(エクリズマブ(Fakhouri,et al.2016)及びラブリズマブ(Rondeau,et al.2020))と比較する。エクリズマブ及びラブリズマブ治験についての連続補正方法による漸近ガウス近似値に基づくTMA奏効率及びその95%信頼区間は、それぞれ56.1%[39.7%、72.5%]及び53.6%[39.6%、67.5%]であった。過去の治験のシングルアームの性質を考えると、プラセボに対するエクリズマブ又はラブリズマブの効果の実際の範囲を仮定するのは困難である。しかしながら、95%信頼区間の下方の境界(約40%)を、プラセボに対する実証された効果と考えることができ、参照ととることができる。30%閾値を、この参照の約75%の保存を確実にするために選択した。これはまた、過去の治験から推定値を考慮する場合、処置効果の>50%の保存に相当する。
副次有効性エンドポイントとして、主要な血液学的及び腎臓パラメータが挙げられ、これらは、aHUS予測にとって臨床的に重要であり、eGFR及びCKD状況の変化、処置の間の透析要件、並びに血液学的パラメータ(ヘモグロビン)の向上が挙げられる。
スクリーニング期間は、aHUSの鑑別診断を確実にし、及びまた、全ての参加者が適切にワクチン接種されていることを確実にする。コア処置期間の26週後に、参加者は、毎月のフォローアップを伴う26週の延長処置期間へと進む。26週のコア処置期間は、主要及び副次有効性エンドポイントに及ぼすイプタコパンの効果、並びにイプタコパンの安全性及び忍容性を評価するのに適切であると考えられており、同一の研究処置期間が、以前にaHUS患者において研究されている(Fakhouri,et al.2016,Rondeau,et al.2020)。26週の延長処置期間は、aHUSにおけるイプタコパンに関する長期の安全性データ及び有効性データを提供するであろう。
研究集団は、aHUSと診断され、且つ補体阻害剤療法の処置未経験である成人患者を含む。患者は、aHUSと診断され、低い血小板数(<150×10/L)、微小血管障害性溶血性貧血(LDH≧1.5×ULN、ヘモグロビン≦LLN)、及び腎機能の低下(血清クレアチニン≧ULN)が挙げられるTMAの証拠がある。
患者の適格基準をレビューして、研究への患者の登録を確認するためのPatient Selection Committeeを設立した。臨床診療が異なり得る全世界のマルチセンターにおいて研究を行うので、Committeeは、このグローバルな研究において各患者のaHUS診断の独立したレビューを確実にすることによって、Committeeは、第一のaHUSを診断する際に存在し得るあらゆる地理的差異を標準化する。
aHUS病因に関与することが知られている選択されたセットの遺伝子について、遺伝子検査を行う。というのもこれは、aHUSに関する重要な予後情報、例えば、移植後の研究処置奏効、退歩、及び再発を提供するからである。しかしながら、このaHUS特異的遺伝子分析は、スクリーニングプロセス又は適格基準判定の一部とはならない。追加の評価は、aHUS関連バイオマーカー(C3、C4等)、及び補体タンパク質に対する自己抗体(H因子自己抗体等)を含む。一旦aHUSの臨床診断を調査者が確認すると、地方の規制に従って容認される場合はいつでも、及び特定の同意が患者から得られた後に、遺伝子検査及びバイオマーカー/自己抗体検査を実行する。
用量及び期間の合理的根拠
200mgb.i.dでのイプタコパン (投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基を指す)を、C3糸球体症(C3G)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、及びIgA腎症(IgAN)におけるヒト(FIH)研究及び第2相研究における最初からの安全性、有効性、及び有利な損益分析データの全体に基づいて、この研究に選択した。
FIH研究において、AP活性(Wieslab)の迅速な抑制が存在し、200mgのイプタコパンの単回用量を受ける参加者について、服用後2時間にて、およそ80%以上の阻害が達成された(投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基を指す)。APの抑制(80%以上の阻害)が、200mgb.i.dでの14日の投与にわたって持続した(投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基を指す)。健康なボランティアにおけるイプタコパンによるFIH研究からのデータにより開発した曝露-奏効モデルは、約200mgb.i.dの用量(投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基を指す)が、ほとんどの参加者においてAPの>90%阻害を達成するのに必要である(Wieslabアッセイ)と予測する。前臨床研究は、200mgb.i.d.投与後のヒト曝露のための許容可能な安全マージンを支持した(投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基を指す)。
aHUS患者における迅速且つ持続性のAP阻害についての必要性、及び健康なボランティアにおけるヒト研究において最初に観察されたPK/PDプロファイルを考えると、イプタコパンの200mgb.i.d用量をこの研究に選択する(投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基を指す)。
健康なボランティアにおけるヒト吸着、分配、代謝、及び排泄(ADME)研究において、イプタコパンの直接的な腎排泄が、イプタコパン用量全体の20~25%を占め、糞便が排泄の主要経路であった(>71%)。イプタコパンクリアランス全体への腎臓寄与は制限されており(20~25%)、腎機能不全症患者におけるイプタコパン曝露の予想される増大は小さく、様々なイプタコパン研究において、患者全体にわたって見られる曝露の変動性の範囲内と見込まれる。
26週のコア処置期間を選択して、エクリズマブ(Fakhouri,et al.2016)及びラブリズマブ(Rondeau,et al.2020)によるaHUS患者において、本研究を、最近の研究と比較可能にした。52週の総研究処置期間は、aHUS患者における長期の安全性及び有効性の評価を可能にする。
スクリーニング
来院のスクリーニング評価は、図2A~2Eに示すような概説に従い、及び適用される場合は:必要とされるワクチン接種を受けなかった参加者は、ワクチン接種されなければならない。ワクチンは、可能な限り多くの血清型(髄膜炎菌血清型A、C、Y、W-135、及びBが挙げられる)をカバーしなければならない。患者負担を最小にするために、多価ワクチンの使用が、地方で利用可能であるように、且つ地方のガイドライン及び規制に従って推奨される(例えば、血清型A、C、Y、及びW-135をカバーする髄膜炎菌(N.meningitidis)用の四価のワクチン、並びに23の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)血清型をカバーするニューモバックス-23)。ワクチン接種のために、タイプ及びブースター要件は、地方のガイドライン、及び地方で利用可能なワクチンを用いる(及び、パッケージ内の印刷物に言及する)。
ワクチン接種は、可能な限り早く始めなければならない。イプタコパン研究処置を開始する前にワクチン接種されなかった患者は、ワクチン接種の前に、及びその後の少なくとも2週間、適切な予防的抗生物質を受けなければならない。適格基準が満たされなければ、研究参加者は、スクリーニング脱落したとみなされなければならず、さらに進んではならない。研究参加者は、再スクリーニングすることができる。
コア処置期間
適格基準を満たすことが確認されている参加者が、非盲検コア処置期間に進む。200mgb.i.d.の用量でのイプタコパンによる処置 (投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基を指す)が、1日目に始まって、26週間続くこととなり、研究来院及び対応する評価が、図2A~2Eに記載されるスケジュールに従う。
莢膜を有する細菌による感染の知られているリスク増大のため、全ての参加者にPatient Safety Cardが提供される。参加者は、細菌感染のあらゆる臨床徴候に絶えず警戒を怠らず、且つ感染の疑いが生じた場合直ぐ調査者又は地方の医師に接触するように指図される。示されれば、抗生物質の処置は、可能な限り早く始められなければならない。
aHUSを処置するためのPE/PI及び抗C5抗体の使用は、研究参加者が本研究におけるイプタコパンによる処置研究を開始すると、許容されない。
調査者が判断する医療の必要性に基づいて、研究中の透析が許容される。透析は、イプタコパンの摂取の少なくとも2時間後に起こることが推奨される。
コア処置期間中のイプタコパン研究処置投与を中断する参加者は、(同意が撤回されない限り)研究を中断せずに、コア処置期間の26週目の来院までの全ての来院及び評価を完了しなければならない。これらの患者について、26週目(182日目)の来院評価及び7日後-EoT安全性フォローアップ電話呼出しが、治験についての研究終了(EoS)来院/評価として実行されなければならない。というのも、研究の延長処置段階において追い続けられないためである。
コア処置期間は、26週目(182日目)の来院評価の完了で終える。研究参加者がコア処置期間中のいつでも同意を撤回する場合には、患者の撤回を記録するために、最後の来院が実行されるものとする(すなわち、26週目(182日目)の来院評価が、治験についての研究来院終了(EoS)として実行されなければならない)。
延長処置期間
26週のコア処置期間の完了後、研究参加者は、イプタコパンによる研究処置を続けて、26週の延長処置期間に入る。図3において詳述される研究来院及び評価を続ける。
処置割当て
ランダム化は、この研究において実行しない;適格な全ての参加者は、非盲検イプタコパン200mgb.i.d.処置を受ける(投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基を指す)。
研究集団
本研究は、aHUSと診断され、且つ抗C5抗体が挙げられる補体阻害剤治療によりこれまで処置されていない患者≧18歳を登録する。合計およそ50人の参加者が、治験において研究処置を始めている。本研究は、以前に腎移植した、イプタコパンにより処置されたおよそ5人の患者を目指す。
加入基準:
本研究への加入に適格な参加者は、以下の基準の全てを満たさなければならない。
1.署名されたインフォームドコンセントが、本研究の参加前に取得されなければならない。
2.研究来院スケジュールに従うのを厭わずできる。
3.同意時に18歳≧の男性及び女性の参加者。
4.血小板減少症が挙げられる血栓性微小血管障害(TMA)の証拠、溶血の証拠、及び腎臓障害(以下のラボ所見に基づく):
● スクリーニング期間中の、又はスクリーニング期間の開始前の28日以内の血小板数<150×10/L
● スクリーニング期間中の、又はスクリーニング期間の開始前の28日以内のLDH≧1.5×正常上限(ULN)、及びスクリーニング期間中の、又はスクリーニング期間の開始前の28日以内のヘモグロビン≦年齢及び性別についての正常下限(LLN)
● スクリーニング期間中の血清クレアチニン≧ULN。急性腎臓障害用の透析を必要とする患者は適格である。
2.髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)感染症のワクチン接種が、研究処置の開始前に必要とされる。患者が以前にワクチン接種されていなければ、又はブースターが必要とされるならば、最初の研究薬物投与の少なくとも2週前に、ワクチンが地方の規則に従って与えられていなければならない。イプタコパン研究処置を開始する前にワクチン接種されていない患者は、ワクチン接種の前に、及びその後の少なくとも2週間、予防的抗生物質を受けていなければならない。
3.前もって受けられないならば、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)及びインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染症のワクチン接種が、地方の規則に従って与えられていなければならない。ワクチンは、最初の研究薬物投与の少なくとも2週前に与えられていなければならない。イプタコパン処置を開始する前にワクチン接種されていない患者は、ワクチン接種の前に、及びその後の少なくとも2週間、予防的抗生物質を受けていなければならない。
4.腎移植した患者の間で
● 現在の腎移植前のaHUSの知られている既往歴、又は
● aHUSの知られてる既往歴なし、及びカルシニュリン阻害剤([CNI];例えば、シクロスポリン、タクロリムス)の免疫抑制レジメン(例えば、用量を停止するか、又は引き下げる)若しくはラパマイシン阻害剤([mTORi];例えば、シロリムス、エベロリムス)の哺乳動物標的を変更した少なくとも4日後のTMAの持続的な証拠。
除外基準:
以下の基準のいずれかを満たす参加者は、本研究への加入に適格ではない。
1.抗C5抗体が挙げられる補体阻害剤による処置
2.ADAMTS13欠乏(中心ラボによって確認された活性<5%)。この診断試験のための適格基準が、現在のTMAのための標準治療として行われている地方ラボからの結果を用いて定義され得る。
3.志賀毒素に対する陽性試験によって実証される、大腸菌(Escherichia coli)又は志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)等の志賀毒産生細菌と関連する志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群(STX-HUS)。これらの診断試験のための適格基準は、現在のTMAのための標準治療として行われている地方ラボからの結果を用いて定義され得る。
4.陽性直接クームス試験。この診断試験のための適格基準は、現在のTMAのための標準治療として行われている試験についての地方ラボからの結果を用いて確認される。
5.特定された薬物曝露関連HUS
6.コバラミンC代謝の知られている遺伝的欠陥に関連するHUS
7.知られているジアシルグリセロールキナーゼε(DGKE)媒介aHUS
8.グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠乏による溶血性症状
9.骨髄移植(BMT)/造血幹細胞移植(HSCT)
10.全身性硬化症(硬皮症)、全身性エリテマトーデス(SLE)、又は抗リン脂質抗体陽性若しくは症候群
11.長期間にわたる血液透析又は腹膜透析(腎不全のための腎代替療法としての維持透析と定義される)
12.現在のTMAについてのスクリーニングの開始前に少なくとも28日間、PE/PIを受けている
13.心臓、肺、小腸、膵臓、又は肝臓の移植
14.腎移植した患者における、Banff 2017基準(Haas M,et al.(2018)The Banff 2017 Kidney Meeting Report:Revised diagnostic criteria for chronic active T cell-mediated rejection,antibody-mediated rejection,and prospects for integrative endpoints for next-generation clinical trials.Am J Transplant;18:293-307)に従う、急性/慢性活性T細胞媒介拒絶(TCMR)及び/又は活性/慢性活性抗体媒介拒絶(ABMR)に起因する移植失敗の診断と矛盾がない急性腎機能不全
15.生来の腎臓を有し、以下のようなaHUS以外のあらゆる腎疾患の既往歴がある患者の間で:
● aHUS以外の基礎疾患を示唆する、知られている腎臓生検所見
● 長年の腎不全を示唆する小腎臓を実証する腎臓超音波所見
● 非補体媒介遺伝的腎疾患(例えば巣状分節性糸球体硬化症)の知られている家族歴及び/又は遺伝的診断
16.播種性血管内血液凝固(DIC)を示唆するスクリーニング時の凝固パネルの異常な結果
17.スクリーニング時の肝疾患又は肝障害:
● 異常な肝機能試験(アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アルカリホスファターゼ(ALP)のいずれのシングルパラメータも、3×ULNを超えてはならない)によって示される
● スクリーニング時のHBV陽性又はHCV陽性と定義される活動性B型肝炎又はC型肝炎感染
18.敗血症、重度の全身感染症、又はCOVID-19感染症の患者
19.調査者の意見において、aHUSの正確な診断を混乱させるか、又はaHUS病を管理する能力を阻害する、全身感染症(細菌、ウイルス、真菌、又は寄生虫)の存在
20.莢膜を有する細菌、すなわち髄膜炎菌、肺炎球菌(肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)関連HUSが挙げられる)、又はインフルエンザ菌(H.influenzae)によって引き起こされる活動性感染症又は再発浸潤性感染症の既往歴
21.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症(HIVの知られている既往歴、又はスクリーニング時のHIVについての試験陽性)
22.登録の5半減期以内若しくは30日以内のいずれか長い方;又は地方の規制によって必要とされるならばそれよりも長い、他の調査薬物の使用。
23.研究薬物若しくはその賦形剤のいずれか、又は類似の化学的分類の薬物に対する過敏症の既往歴。
24.治験への患者の参加に干渉し得る継続中の薬物又はアルコール乱用
25.関連のない医学的状態(例えば低ガンマグロブリン血症)についてを除く、スクリーニングの開始前の8週以内の長期間にわたる静脈免疫グロブリン(IVIg);又はスクリーニングの開始前の12週以内の慢性リツキシマブ療法を受けている患者
26.以下を除き、他の免疫抑制療法、例えば、ステロイド、mTORi(例えば、シロリムス、エベロリムス)、カルシニュリン阻害剤(例えば、シクロスポリンA又はタクロリムス)を受けている患者は除外される:
● 確立された移植後抗拒絶レジメンの一部、又は
● ステロイドが、aHUS以外の症状(例えば気管支喘息)に用いられている
27.スクリーニング前の7日以内のトラネキサム酸の使用
28.過去5年以内の処置又は未処置のいずれかの器官系の悪性腫瘍(皮膚の限局性基底細胞癌又はインサイチュ子宮頸癌以外)の既往歴。
29.調査者の意見において研究への参加者の参加を排除する進行型の心臓病(例えばNYHAクラスIV)、重度の肺疾患(例えば、重度の肺高血圧症(WHOクラスIV))、又は肝臓疾患(例えば活動性肝炎)が挙げられるがこれらに限定されない主要な同時共存症
30.研究への患者の参加におそらく干渉すると考えられるあらゆる医学的状態
31.分娩後にTMA発症(出産日後>3日間のTMAの永続的証拠)がある患者において、分娩後出血(500mlを超える推定失血)の所見
32.妊娠中又は授乳中(泌乳中)の女性
33.生理学的に妊娠することが可能な全ての女性と定義される、出産能のある女性(但し、調査薬物の投与中、及び調査薬物停止後1週間、有効な避妊法を用いている場合を除く)。有効な避妊法として、以下が挙げられる:
● 完全自制(これが、参加者の好ましい通常の生活様式と一致する場合)。周期的な自制(例えば、カレンダー法、排卵法、症候体温法、排卵後法)、及び膣外射精は、許容される避妊法ではない。
● 調査薬物を服用する少なくとも6週前の、女性の避妊手術(子宮摘出術の有無を問わない外科的両側卵巣摘出術を受けたことがある)、子宮全摘出術、又は両側卵管結紮術。卵巣摘出術単独の場合、フォローアップホルモンレベル評価によって女性の生殖状態が確認されている場合のみ。
● 男性の避妊手術(スクリーニングの少なくとも6ヶ月前)。本研究の女性参加者については、精管切除した男性パートナーが、当該参加者の唯一のパートナーでなければならない。
● バリア避妊法:コンドーム又は閉塞キャップ(ペッサリー又は子宮頚部/円蓋キャップ)。英国について:殺精子剤の泡/ゲル/フィルム/クリーム/膣坐剤を伴う。
● 経口(エストロゲン及びプロゲステロン)、注射型若しくは埋込み型ホルモン避妊法、又は有効性が匹敵する(失敗率<1%)他の形態のホルモン避妊法、例えば、ホルモン膣環若しくは経皮的ホルモン避妊、又は子宮内避妊器具(IUD)若しくは子宮内避妊システム(IUS)の配置の使用
経口避妊を用いる場合には、女性は、調査薬物を服用する前の最小3ヵ月間に、同じピルで安定していなければならない。
女性は、適切な臨床プロファイル(例えば、妥当な年齢、血管運動症状の既往歴)を伴う12ヶ月の自然(自発的)無月経があったならば、閉経後であるとみなされる。女性は、閉経後であるか、又は少なくとも6週前に外科的両側卵巣摘出術(子宮摘出の有無に拘わらない)、子宮全摘出、若しくは両側卵管結紮を受けたならば、子供を産む可能性がないとみなされる。卵巣摘出術単独の場合、フォローアップホルモンレベル評価により女性の生殖状態が確認されている場合にのみ、子供を産む可能性がないとみなされる。
地方の規則が、妊娠を防ぐための先で記載される避妊法から逸脱するならば、地方の規則が適用されて、ICFに記載される。
処置
このシングルアーム非盲検研究において研究処置を始める参加者は全て、イプタコパン200mgb.i.d.を受ける (投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基を指す)。イプタコパンを越える他の処置は、この治験に含まれない(調査薬物の詳細について、表1参照)。
Figure 2024517234000014
処置期間
コア処置期間の計画期間は26週であり、26週の延長処置期間が後に続く。参加者は、容認できない毒性に起因して、より早めに研究処置から中断され得、且つ/又は研究処置は、調査者若しくは参加者の裁量で中断される。
参加者がコア処置期間中に如何なる理由であれ研究処置を中断するならば、26週目まで研究評価を続けるあらゆる努力がなされなければならない。
参加者が延長処置期間中に如何なる理由であれ研究処置を中断する場合には、52週目まで研究評価を続けるあらゆる努力がなされなければならない。
禁止薬物療法
以下に記載される処置及び手順の使用は、イプタコパン投与中に許容されない:
● C5抗体が挙げられる他のあらゆる補体阻害剤が、研究処置期間全体で禁止される。他の補体阻害剤(例えば抗C5抗体)が始められるならば、患者はイプタコパンを恒久的に中断しなければならない。
● 生ワクチンが、研究処置期間全体で禁止される
● 血漿交換/血漿注入の同時使用が、研究処置期間全体で禁止される。
● 抗補体因子抗体が確認されたaHUS患者において、あらゆる免疫抑制療法(例えば、副腎皮質ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、リツキシマブ)の使用が、コア処置期間(最初の26週)の間、許容されない。コア処置期間の後に、免疫抑制療法を、調査者判断によって用いることができる。
● シクロホスファミドが、研究処置期間全体で禁止される;シクロホスファミドが始まれば、患者はイプタコパンを恒久的に中断しなければならない。
● 前臨床研究は、イプタコパンの全身動態(systemic disposition)が、代謝クリアランスによって、主にシトクロムP450 2C8アイソフォーム(CYP2C8)によって、及びそれほどではないにせよ直接的グルクロン酸化によって、主に媒介されることを示した。加えて、直接的腎臓(およそ20%)及び直接的胆汁中排泄(およそ5~10%)からの若干の寄与が予測される。また、イプタコパンは、有機陰イオンを運搬ポリペプチド(OATP)肝吸収トランスポータの基質である。参加者安全性を確実にするために、イプタコパン(例えばゲムフィブロジル)の多数の動態機構を阻害する同時薬物療法(co-medication)が禁止される。同じことが、クロピドグレル等の強いCYP2C8阻害剤(主なクリアランス経路)に当て嵌まる。
● ゲムフィブロジル(酵素CYP2C8、UGT1A、及び肝臓吸収トランスポータOATP1B1を代謝する強力な阻害剤)は、イプタコパン研究処置の終了(及び、その徴候に用いられる別の適切な薬物療法に置き換えられる)まで、最初のイプタコパン用量の少なくとも48時間前に中断されなければならない。
● クロピドグレル等のCYP2C8の強い阻害剤は、イプタコパン研究処置の終了まで、最初のイプタコパン用量の7日前に中断され(及び、別の適切な薬物療法に置き換えられ)なければならない。
● 排出トランスポータP-gpの「高感度基質」であるか、又は治療指数(NTI)が狭い、P-gpの基質である薬剤は、イプタコパンと共に投与されてはならない(最初のイプタコパン用量の48時間前に中断される)。典型的な例として、ジゴキシン、キニジン、パクリタキセル、フェンタニル、及びフェニトインがある。しかしながら、代替処置が利用可能でなければ、スタガード投与アプローチが推奨される(節6.2.1.1を参照)。
● 除外基準25及び26の下に記載する同時薬物は、基準において指定された条件を除いて、禁止される。
来院スケジュール及び評価
図2A~2E及び3に示す評価スケジュールは、どの評価がいつ実行されるかを記載している。コア処置期間中に如何なる理由であれイプタコパン研究処置を中断する参加者は、本研究において26週目の来院まで続けて、スケジュールされた全ての来院評価を完了しなければならない。本研究の延長処置期間中に如何なる理由であれイプタコパン研究処置を中断する参加者は、本研究において52週目の来院まで続けて、スケジュールされた全ての来院評価を完了しなければならない。
有効性
有効性/薬力学的評価を、図2A~2E及び3に示す評価スケジュールにおいて定義した時点にて収集する。
完全TMA奏効
主要有効性評価は、26週のコア処置期間中にPE/PI及び抗C5抗体を用いない完全TMA奏効である。完全TMA奏効の基準は、以下である:
● 血小板数の血液学的正常化(血小板数≧150×10/L)及びLDH(ULN未満)
● 腎機能の向上(ベースラインからの≧25%血清クレアチニン引下げ)
患者は、少なくとも4週離れて得られる2つの別個の測定値、及びその間の任意の測定値にて、主要有効性エンドポイントを満たしたと分類されるには、全ての完全TMA奏効基準を満たさなければならない。
血液学的検査及び化学パラメータ
血液学的検査及び臨床化学用の血液サンプルを、図2A~2E及び3に示す評価スケジュールに従って収集する。以下のラボパラメータを、有効性エンドポイントのために評価する:ヘモグロビン、血小板、及びLDH。
推定糸球体濾過率(eGFR)及びCKD病期
18歳以上の参加者について、中央ラボを通しての臨床化学パネルの部分としてmg/dLで測定した血清クレアチニンを用いて、慢性腎疾患疫学コラボレーション(CKD-EPI)式(Levey AS,et al.(2009)A new equation to estimate glomerular filtration rate.Ann Intern Med;150(9):604-12)を使用してeGFRを算出する。
GFR=141×min(Scr/κ,1)α×max(Scr/κ,1)-1.209×0.993Age×1.018[女性であれば]×1.159[黒人であれば]
式中、Scrは、血清クレアチニンmg/dLであり、κは、女性について0.7、及び男性について0.9であり、αは、女性について-0.329、及び男性について-0.411であり、minは、Scr/κ又は1の最小値を示し、maxは、Scr/κ又は1の最大値を示す。
当該式は、体重を必要としない。なぜなら、一般に容認されている平均大人表面積である1.73m体表面積に対して正規化された結果を報告するからである。CKD状況の変化を、表2に示すeGFRカテゴリに基づいて評価する。
Figure 2024517234000015
透析
血液透析又は腹膜透析の必要性を、研究の間、調査者が監視する。参加者に実行されるあらゆる透析処置に関する情報を、図2A~2E及び3に示す評価スケジュールによる症例報告形態(CRF)で収集する。
aHUSのサイン、徴候、及び腎外症状
aHUSのサイン及び徴候を、図2A~2E及び3に示す評価スケジュールに従って収集する。調査者(又は被指名人)は、参加者の自己報告に基づくか、又は調査者が引き出した以下のサイン及び徴候の存在をCRFで記録する:
● 胸部の痛み
● 息切れ/呼吸困難
● 頭痛
● 混乱
● 興奮性
● 不安
● 疲労感/虚弱又は疲れの感覚
● 腹痛
● 吐き気及び/又は嘔吐
● 下痢
● 倦怠感
● 眼及び/又は皮膚の黄色の変色(黄疸)
● 簡単な挫傷
● 腫れ
加えて、ラボ測定値及び臨床測定値(バイタルサイン及び器官系レビュー)の複合物を用いて、aHUSの腎外症状を調査者が(図2A~2E及び3に示す評価スケジュールに従って)評価する。これらの腎外症状を、CRFで報告する。腎外症状は、神経、眼、消化管、膵臓、呼吸系、又はその他を包含し得る。
有効性評価の適切性
完全TMA奏効は、aHUSによる臨床試験における明確に定義され、且つ一般に容認されているエンドポイントであり、aHUS患者における最近の臨床研究に用いた(Fakhouri,et al.2016,Rondeau,et al.2020)。TMA患者における同時の血液学的向上及び腎臓向上を測定するように設計されている。血小板及びLDHは、aHUS患者における処置奏効を評価するのに用いられる最も頻繁な変数である(Rondeau,et al.2020)。ラボパラメータヘモグロビン(貧血の程度を判定するためのもの)、血小板数及びLDH(溶血のマーカーとして)、eGFR及びCKD状況の変化、並びに処置中の透析要件が挙げられる有効性評価は、aHUSの処置奏効を評価するための重要なパラメータである。
慢性疾患治療-疲労の機能評価(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy-Fatigue:FACIT-Fatigue)を、一般的なクオリティ・オブ・ライフ機器EQ-5D(EuroQol Group)及びShort form 36健康調査(SF-36)アンケートと共に以前に用いて、aHUS患者における種々の態様の疲労感を測定した(Fakhouri,et al.2016,Greenbaum LA,et al.(2020)Functional Assessment of Fatigue and Other Patient-Reported Outcomes in Patients Enrolled in the Global aHUS Registry.Kidney Int Rep;5:1161-71)。この研究において、Pro機器FACIT-Fatigue、Patient Global Impression of Severity(PGIS)、EuroQol 5-レベルEQ-5Dバージョン(EQ-5D-5L)、及びSF-36 v2を用いて、クオリティ・オブ・ライフを評価する。
薬物動態
PKサンプル(投与前及び投与2時間後)を、表3に示すように、7、28、56、及び182日目に全ての参加者について収集する。食物効果は本研究において観察されなかったので、CLNP023X2101患者は、PK分析の日に断食している必要はない。加えて、PKサブ研究を、一部の場所において行って、aHUS患者におけるイプタコパン曝露を特徴付ける。最大8人の成人参加者が、PKサブ研究に加入する。PKサブ研究の参加者について、12時間の完全PKプロファイルを、7日目、28日目、56日目、及び182日目にとるPKサンプルに加えて、14日目にとる(表4)。
Figure 2024517234000016
Figure 2024517234000017
サンプル/採血数及び収集総血液容量は、プロトコールに明示したものを超えない。必要に応じて、PKバックアップサンプルを、調査セッティング内の代謝調査又は血漿タンパク質結合に用いてもよい。イプタコパンを、有効と認められたLC-MS/MS法によって判定する;予測される定量下限(LLOQ)は、1.0ng/mLである。濃度を、容量単位(ng/mL)あたりの質量で表す。これは遊離塩基に言及する。主研究において判定されるべきPKパラメータは、Cmax(見掛け)及びCtroughである。完全PKサブ研究において、Cmax、Tmax、Ctrough、及びAUClastを判定する。実行可能であれば、追加のPKパラメータを算出する。LLOQ未満の濃度を「ゼロ」と報告し、ミッシングデータを、Bioanalytical Data Reportにおけるようにラベル付けする。
バイオマーカー
完全集団内の収集サンプル
血液を、図2A~2Eの評価スケジュールに詳述するように、1、28、及び182日目に参加者全員から収集して、補体関連バイオマーカーC3及びC4を測定する。これらの結果を用いて、ベースラインレベルが研究処置により変化するかを判定して、参加者転帰及び/又は腎疾患進行を予測する。サンプルの収集、プロセシング、及び発送についての説明を、ラボマニュアルに記載する。
バイオマーカーサブ研究において収集したサンプル
地方管理規則及び施設内倫理委員会によって容認されるように、このプロトコールの部分として、調査者は、参加者へのバイオマーカー/タンパク質の計画した評価を提示することが要求される。これらのバイオマーカー/タンパク質評価用の血液及び尿サンプルを、評価スケジュール(表2A~2E)に詳述するように、1、28、及び182日目に収集する。
サンプルを用いて、補体経路、aHUS、又はイプタコパンの作用機構に関するバイオマーカー又はタンパク質を測定する(Wieslab、Bb、血漿及び尿双方のsC5b-9等のバイオマーカーが挙げられる)。補体タンパク質(例えばH因子)に対する自己抗体の分析用のサンプルを、1日1回収集する。また、タンパク質発現に及ぼすイプタコパンの効果を試験するための分析を計画し、これは、疾患の進行、及びイプタコパンによる処置の奏効を特徴付けるバイオマーカーシグネチャの同定を支持し得る。有望なバイオマーカー/タンパク質(又は方法)が発見されるか、又はaHUS若しくは研究薬物バイオマーカー効果に関する新しい情報が得られる場合には、追加の分析を、残りのサンプルに実行してもよい。
aHUS遺伝的パネル
本研究は、aHUSと関連する知られている遺伝的変異について試験するための遺伝的構成要素を含む。サンプルをaHUS遺伝子検査に提供することを辞退する患者(又は法的保護者)は、研究に今まで通り参加することができる。地方管理規則によって、及びIRB/ECによって容認されるように、このプロトコールの部分として、調査者は、参加者にこのオプションを提示することが要求される。
この遺伝的分析の目的は、イプタコパンにより処置した患者集団をより十分に理解すること、及び基礎をなす変異が異なるaHUS患者におけるイプタコパンの安全性及び有効性をより十分に特徴付けることである。aHUS患者のおよそ60%が、APの調節因子内に遺伝的異常又は後天性異常を有し、これが、低レベル又は機能的に効果のない調節因子の原因となっている(Noris M,et al.(2015)Glomerular Diseases Dependent on Complement Activation,Including Atypical Hemolytic Uremic Syndrome,Membranoproliferative Glomerulonephritis,and C3 Glomerulopathy:Core Curriculum 2015.Am J Kidney Dis;66(2):359-75)。aHUSの予測は、基礎をなす遺伝的異常に依存し、より悪い転帰及び退歩が、特定の変異と関連する(Fremeaux-Bacchi,et al.2013,Schaefer,et al.2018)。
技術がやがて変わるにつれ、最も適切な技術が、この分析が実行される時点にて用いられる。この分析は、表5に記載するaHUS関連遺伝子を試験するだけである。この分析のためのワンタイムサンプリングを、図2A~2Eに詳述するように、1日目に実行する。ラボマニュアルを、サンプルの収集、取扱い、及び発送に関する詳細な情報と共に提供する。守秘性を最大にするために、全てのサンプルを二重暗号化して、参加者の情報及び身元の発覚を防ぐ。
Figure 2024517234000018
試験中断及び完了
参加者用の研究処置の中断は、研究処置が如何なる理由であれ(もしあれば、研究処置投与の計画された完了の前に)恒久的に止められる場合に起こり、参加者又は調査者によって始動され得る。
研究完了は、最後の参加者が研究来院の終了を終えて、この来院と関連するあらゆる繰返し評価を調査者が適切に実証且つフォローアップしたとき、又は早期の研究終了決定の場合には、その決定の日付と定義される。研究を完了する参加者は、シングルアーム非盲検イプタコパンロールオーバー延長プログラム(REP)に登録する資格があり得る。如何なる理由であれ研究から早期に撤回する参加者は、REPに登録する資格がない。
等価物
当業者であれば、単に日常的な実験だけで、本明細書に具体的に記載される特定の実施形態に対する多数の等価物を認識するか、又は確認することができるであろう。そのような均等物が、以下の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。

Claims (14)

  1. 対象における非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置のための、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩の使用であって、前記対象に、治療的に有効な量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む処置のための使用。
  2. 前記処置は、前記対象に、治療的に有効な量のイプタコパン塩酸塩を経口投与することを含む、請求項1に記載の使用。
  3. 前記治療的に有効な量は、イプタコパンの無水遊離塩基の量に基づいて200mgである、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 前記処置は、前記対象に、1日2回(b.i.d.)、治療的に有効な量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
  5. 前記対象は、補体阻害剤療法未経験である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
  6. 前記対象は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、及びインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染症の1つ以上に対してワクチン接種されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
  7. 前記処置は、処置の開始後の24週以内に完全血栓性微小血管障害(TMA)奏効を達成することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
  8. 完全TMA奏効を達成することは、処置の開始後の24週以内に血小板数の血液学的正常化を達成することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用。
  9. 前記血小板数は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩による処置後に、約150×10/L~約450×10/Lの範囲に正常化される、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
  10. 完全TMAを達成することは、処置の開始後の24週後に乳酸ヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルの正常化を達成することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用。
  11. 前記LDHレベルは、正常上限未満に引き下げられる、請求項10に記載の使用。
  12. 完全TMA奏効を達成することは、ベースラインと比較して血清クレアチニンレベルを約10%以上引き下げることを含む、前記対象において腎機能を向上させることを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用。
  13. 前記処置は、前記対象において前記ヘモグロビンレベルを、ベースラインと比較して約0.5g/dL以上増大させることを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用。
  14. 前記処置は、ベースラインと比較して、前記対象において推定糸球体濾過率(eGFR)を安定又は向上させることを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用。
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