JP2024517066A - 自己巻上クレーン、及びそのようなクレーンを取り付け、動作させる方法 - Google Patents

自己巻上クレーン、及びそのようなクレーンを取り付け、動作させる方法 Download PDF

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Abstract

自己巻上クレーン1及びクレーンを取り付け、動作させる方法。自己巻上クレーンは地面10に配置されたケーブル・ウィンチ9の動作によって地面から風力タービン3のナセル2又はタワー46まで巻き上げられるように、同じケーブル・ウィンチの動作によってナセル又はタワーに取り付けられた位置で動作するように適合されている。ケーブルはフック・ブロック6からクレーンの基台4を通って出てナセル又はタワーから地面にあるケーブル・ウィンチまで延在する。自己巻上クレーンは自己巻上クレーンの動作中にケーブル8に摩擦を介して引張力を伝達するように適合されている少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブ122を有するケーブル・クローラ11を備え、ケーブル・クローラ11は牽引シーブがケーブルに引張力を伝達し得る作動状態13と牽引シーブがケーブルに全く引張力を伝達し得ない受動状態との間でシフト可能である。

Description

本発明は、風力タービンのナセル又はタワーに取り付けられるように適合されている自己巻上クレーンであって、基台と、ブーム・アームと、フック・ブロックと、ナセル又はタワーに取り付けられた位置での自己巻上クレーンの動作のために、フック・ブロックをブーム・アームに対して持ち上げ又は降ろすように適合されている少なくとも1つのケーブルとを含み、少なくとも1つのケーブルが、フック・ブロックから基台を通って出て、ナセル又はタワーから地面に配置されたケーブル・ウィンチまで延在するように適合されており、自己巻上クレーンが、地面に配置されたケーブル・ウィンチの動作によって、地面からナセル又はタワーまで巻き上げられるように適合されており、地面に配置されたケーブル・ウィンチの動作によって、ナセル又はタワーに取り付けられた位置で動作するように適合されている自己巻上クレーンに関する。
WO2020221716A1(Liftra ApS)は、コンテナ内のケーブル・ウィンチを動作させることによって、コンテナからナセルまで巻き上げられるように適合されている自己巻上クレーンと、ケーブルであって、ケーブル・ウィンチからコンテナ内に配置された出口シーブの周りを延在し、出口シーブから上方向にコンテナを出るように適合されており、そうしてナセル上のクレーン台に配置された少なくとも1つのローラの周りを通り、クレーンまで下方向に続き、クレーン基台の中央の開口を通って入り、フック・ブロックまで続く、ケーブルとを開示している。
WO2020201237A2(Liftra ApS)は、地面にあるケーブル・ウィンチを動作させることによって、地面からナセルまで巻き上げられる自己巻上クレーンを開示している。それによりケーブルは、クレーンからナセルにあるローラまで、そしてケーブル・ウィンチまで延在している。ローラを伴う巻上ブロックは、ナセルに取り付けられ且つナセルから水平方向に拡張されたクレーン台の第2のヒンジ部の上方の、第1の巻上ブロック位置にあるジブに配置されている。クレーンの第1のヒンジ部が、対応するクレーン台の第2のヒンジ部に位置付けられているとき、ケーブルは、巻上ブロックのローラから基台の中央の開口を通って下方向に直接延在する。第1のヒンジ部と第2のヒンジ部とを相互接続し、それによってクレーンがクレーン台上の動作位置に取り付けられた後、巻上ブロックが第1の巻上ブロック位置から取り除かれる。他の既知の実施例において、クレーン台は、風力タービンのナセルではなく風力タービンのタワーに取り付けられる場合がある。そのような場合には、クレーン台は、例えばナセルをタワーに取り付けている間にクレーンが使用されるように、クランプ機構を用いて、例えばタワーの上部に取り付けられてもよい。
自己巻上クレーンが風力タービンのナセル又はタワーに取り付けられた位置で動作する場合に、フック・ブロックが取り付けられている外部荷重がなにもない状態で降ろされ又は持ち上げられる必要があるときに、フック・ブロックから地面に配置されたケーブル・ウィンチまで下に延在するケーブルの重量が、困難を引き起こす場合がある。その理由は、フック・ブロックの重量と、ブーム・アームの先端からフック・ブロックまで延在する部分のケーブルの重量とが、フック・ブロックから地面に配置されたケーブル・ウィンチまで下に延在するケーブルの重量を打ち消すのに十分ではない場合があるからである。この結果、ケーブルが逆走し、又はフック・ブロックを降ろすことができない場合がある。この困難を克服するたには、フック・ブロックから地面に配置されたケーブル・ウィンチまで延在するケーブルの重量を打ち消し得るように、フック・ブロックにバラスト重りを提供することが知られている。しかしながら、そのようなバラスト重りを使用すると、バラスト重りの重量により、自己巻上クレーンによって持ち上げられ得る荷重が損なわれる。
フック・ブロックから地面に配置されたケーブル・ウィンチまで下に延在するケーブルの重量の課題は、現在約200メートルに到達する運用されるべき風力タービンの高さの増加につれて増大する。さらに、自己巻上クレーン自体の使用荷重限界を増加させる需要には、クレーンの構成要素の構造を強化することが必要になり、これにより通常、より重いクレーンが生じる。しかしながら、自己巻上クレーンが設置中に風力タービンの上部に巻き上げられるとき、使用されるケーブルの強度は、フック・ブロックと可能性のあるバラスト重りとを含めた自己巻上クレーンの許容最大重量を制限する。自己巻上クレーンの構成要素のより大きな重量を補償するためには、したがって、フック・ブロックの重量を低減し、及び/又はフック・ブロック上のバラスト重りなしで動作させることが必要な場合がある。この状況で、フック・ブロックから地面にあるケーブル・ウィンチまで延在するケーブルの重量の課題はさらに一層増大した。その理由は、フック・ブロックの重量と、ブーム・アームの先端からフック・ブロックまで延在する部分のケーブルの重量とが、フック・ブロックから地面に配置されたケーブル・ウィンチまで下に延在するケーブルの重量を打ち消すのに十分ではない場合があるからである。
WO2020221716A1 WO2020201237A2
本発明の目的は、フック・ブロックによって外部荷重が運搬されていないときに、少なくとも1つのケーブルが逆走し、又はフック・ブロックを降ろせないという上述の課題を防止又は排除することである。
この目的の観点で、自己巻上クレーンは、ナセル又はタワーに取り付けられた位置での自己巻上クレーンの動作中に、少なくとも1つのケーブルに摩擦を介して引張力を伝達するように適合されている少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブを有するケーブル・クローラを備えている。ケーブル・クローラは、牽引シーブが少なくとも1つのケーブルに引張力を伝達し得、又は少なくとも実質的な引張力を伝達し得る作動状態と、牽引シーブが少なくとも1つのケーブルに全く又は少なくとも実質的に全く引張力を伝達し得ない受動状態との間でシフト可能である。
このようにすると、フック・ブロックが、取り付けられている外部荷重がなにもない状態で降ろされ又は持ち上げられる必要があるときに、ケーブル・クローラのモータ駆動式牽引シーブは、少なくとも1つのケーブルに摩擦を介して適切な引張力を伝達し得、それによって、フック・ブロックからケーブル・ウィンチまで下に延在するケーブルの重量が打ち消され得る。それにより、フック・ブロックの重量と、フック・ブロックからケーブル・ウィンチまで延在する少なくとも1つのケーブルの長さとから独立して、フック・ブロックを降ろすことが常に可能になり得る。ケーブル・クローラが、牽引シーブが少なくとも1つのケーブルに引張力を伝達し得るその作動状態から、牽引シーブが少なくとも1つのケーブルに全く引張力を伝達し得ない受動状態との間でシフト可能であるので、ケーブル・クローラは、フック・ブロックによって外部荷重が持ち上げられているときに、自己巻上クレーンの動作を妨害し得ない。このことは、持上げ動作中に、ケーブル・クローラがケーブルに不要な制動力を与えないようにされ得ることを意味する。
本発明の結果として、外部荷重がなにもない状態のフック・ブロックの重量は、フック・ブロックから地面にあるケーブル・ウィンチまで下に延在するケーブルの重量を打ち消す必要がない。したがって、フック・ブロック上の重量を省き、すなわちより軽いフック・ブロックを設計することが可能である。結果として、自己巻上クレーン自体の重量を増加させることになるとしても、自己巻上クレーンの使用荷重限界の増加が可能である。自己巻上クレーンとフック・ブロックとを合わせた重量は、クレーンを持ち上げるために使用されるケーブルの強度の限界を超えないように十分低く保たれ得る。
構造的に特に有利な一実施例において、ケーブル・クローラの作動状態では、第1の巻き角が、少なくとも1つのケーブルと牽引シーブとの間の接触角を表し、ケーブル・クローラの受動状態では、第2の巻き角が、少なくとも1つのケーブルと牽引シーブとの間の接触角を表し、第1の巻き角が、第2の巻き角よりも少なくとも実質的に大きい。それによって、ケーブル・クローラの作動状態での比較的大きな第1の巻き角に起因して、少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブは、ナセル又はタワーに取り付けられた位置での自己巻上クレーンの動作中に、少なくとも1つのケーブルに摩擦を介して引張力を伝達し得る。当該引張力は、フック・ブロックの重量と合わせると、フック・ブロックから地面に配置されたケーブル・ウィンチまで下に延在するケーブルの重量を打ち消すのに十分大きい。その一方で、ケーブル・クローラの受動状態での比較的非常に小さな第2の巻き角に起因して、少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブは、ナセル又はタワーに取り付けられた位置での自己巻上クレーンの動作中に、少なくとも1つのケーブルに摩擦を介して、比較的非常に小さな又はほぼ無視できる引張力のみを伝達し得る。その結果、ケーブル・クローラは特に、持上げ動作中に、ケーブルに実質的で不要な制動力をなにも与えないようにされ得る。
構造的に特に有利な一実施例において、少なくとも1つのケーブルは、連続して、第1の支持シーブ、モータ駆動式牽引シーブ、及び第2の支持シーブと接触する。少なくとも1つのケーブルの横断方向で見て、モータ駆動式牽引シーブは、少なくとも1つのケーブルの第1の牽引側に動き、第1及び第2の支持シーブは、少なくとも1つのケーブルの第2の側に動く。モータ駆動式牽引シーブは、少なくとも1つのケーブル横断方向で、ケーブル・クローラがその作動状態である作動位置と、ケーブル・クローラがその受動状態である受動位置との間で、第1及び第2の支持シーブのうちの少なくとも1つに対して相対的に移動可能である。第1及び第2の支持シーブは、例えば自己巻上クレーンのブーム・アームなどの、又は例えば自己巻上クレーンが取り付けられている風力タービンのナセル又はタワーなどのフレームに、回転可能に固定されている。モータ駆動式牽引シーブは、当該フレームに対して移動可能に配置されている。或いは、モータ駆動式牽引シーブがそのようなフレームに回転可能に固定され、第1及び/又は第2の支持シーブが当該フレームに対して移動可能に配置されてもよい。いずれにせよ、少なくとも1つのケーブルの横断方向で見たモータ駆動式牽引シーブと第1及び/又は第2の支持シーブとの間の相対移動は、ケーブル・クローラの作動状態での比較的大きな第1の巻き角と、ケーブル・クローラの受動状態での比較的非常に小さな第2の巻き角との間で当該巻き角を変更し得る。それによって、上述の特徴が実現され得る。
一実施例において、モータ駆動式牽引シーブは、牽引シーブの受動位置から牽引シーブの作動位置まで、第1及び第2の支持シーブのうちの少なくとも1つと相対的にスプリング付勢されている。それによって、ケーブル・クローラは、フック・ブロックが外部荷重を保持しているか否かに応じて、その作動状態とその受動状態との間で自動的にシフトし得る。フック・ブロックが外部荷重を保持している場合、少なくとも1つのケーブルは、少なくとも比較的直線の経路に従う傾向にあり、それによって、モータ駆動式牽引シーブを第1及び第2の支持シーブのうちの少なくとも1つと相対的に、スプリング付勢に逆らって移動させ得る。その結果、牽引シーブがその受動位置に到達し得る。それによって、モータ駆動式牽引シーブは、持上げ動作中に、少なくとも1つのケーブルに実質的で不要な制動力をなにも与えないようにされ得る。その一方で、フック・ブロックが外部荷重をなにも保持していない場合、少なくとも1つのケーブルは、牽引シーブのその作動位置では、モータ駆動式牽引シーブ、並びに第1及び第2の支持シーブのうちの少なくとも1つによって形成された経路に従い得、モータ駆動式牽引シーブを第1及び第2の支持シーブのうちの少なくとも1つと相対的に、スプリング付勢に逆らって押圧することはない。それによって、牽引シーブは、その作動位置に留まり得、したがって、少なくとも1つのケーブルに摩擦を介して適切な引張力を伝達し得る。それによって、外部荷重なしで自己巻上クレーンを動作させる場合に、フック・ブロックからケーブル・ウィンチまで下に延在するケーブルの重量が打ち消され得る。このケーブル・クローラの作動状態と受動状態との間での自動的なシフトに起因して、自己巻上クレーンの操作員は、ケーブル・クローラを手動で制御することが必要でなくてもよい。
一実施例において、モータ駆動式牽引シーブの作動位置では、牽引シーブは、少なくとも1つのケーブルを少なくとも1つの圧力車輪に対して押圧する。それによって、間に少なくとも1つのケーブルを伴う少なくとも1つの圧力車輪に対して、モータ駆動式牽引シーブを押圧することによって、ケーブル・クローラのモータ駆動式牽引シーブが、少なくとも1つのケーブルに摩擦を介してより一層大きな引張力を伝達し得る。
少なくとも1つの圧力車輪は、金属車輪であることが好ましい。
一実施例において、モータ駆動式牽引シーブは、少なくとも1つの圧力車輪の直径の少なくとも3倍、好ましくは少なくとも4倍の直径を有することが好ましい。それによって、比較的小さな圧力車輪が、比較的より大きなモータ駆動式牽引シーブに対して少なくとも1つのケーブルを押圧することによって、モータ駆動式牽引シーブと少なくとも1つのケーブルとの間の摩擦が、モータ駆動式牽引シーブの巻き角の比較的小さな部分を超えて比較的多く増加し得る。結果として、ケーブル・クローラのモータ駆動式牽引シーブが、少なくとも1つのケーブルに摩擦を介してより一層大きな引張力を伝達し得る。
一実施例において、モータ駆動式牽引シーブの作動位置では、牽引シーブは、牽引シーブの回転軸及び少なくとも1つの圧力車輪の回転軸を通った軸と、30から85度の間、好ましくは45から75度の間の角度を形成する方向に、少なくとも1つの圧力車輪に対して相対的に移動可能なように案内される。それによって、モータ駆動式牽引シーブが、間に少なくとも1つのケーブルを伴う少なくとも1つの圧力車輪に対して押圧されるときに、楔形効果が得られ得る。このことは、牽引シーブと少なくとも1つの圧力車輪との接触点がそれぞれ、牽引シーブ及び少なくとも1つの圧力車輪の半径方向ではなく、むしろ当該半径方向に対してのそれぞれの傾斜した方向に、互いに押圧されることで実現され得る。楔形効果により、モータ駆動式牽引シーブが、間に少なくとも1つのケーブルを伴う少なくとも1つの圧力車輪に対して一層強く押圧されることが確実になり得る。それにより結果として、ケーブル・クローラのモータ駆動式牽引シーブは、少なくとも1つのケーブルに摩擦を介してより一層大きな引張力を伝達し得ることになる。
一実施例において、少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブのためのモータ駆動部は、牽引シーブに少なくとも実質的な回転モーメントが加えられ得る作動モードと、牽引シーブに加えられ得る回転モーメントが全くない又は少なくとも全く顕著ではない空転モードとの間で切替可能である。ケーブル・クローラがその作動状態からその受動状態にシフトされたときに、ケーブル・クローラは、モータ駆動部をその空転モードに切り替えるように適合される。作動モードと受動モードとの間の切替は、ソフトウェアを制御することによって、又は機械的クラッチを用いて実行されてもよい。それによって、モータ駆動部の作動モードでは、ケーブル・クローラが少なくとも1つのケーブルに十分な引張力を伝達し得るのに対して、モータ駆動部の受動モードでは、フック・ブロックによって外部荷重が持ち上げられているときに、ケーブル・クローラが特に自己巻上クレーンの動作を妨害し得ないことが確実になり得る。
一実施例において、少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブのためのモータ駆動部は、少なくともモータ駆動部の作動モードで、自己巻上クレーンの位置での少なくとも1つのケーブルの走行速度を、地面に配置されたケーブル・ウィンチの位置での少なくとも1つのケーブルの走行速度と相対的に制限するように適合されている速度制御を備えている。それによって、少なくとも1つのケーブルの走行速度が、自己巻上クレーンの位置とケーブル・ウィンチの位置との間で実質的に異ならないことが確実になり得る。このことにより、少なくとも1つのケーブルは、概して適切に伸長されることが確実になり得る。モータ駆動部の速度制御は、ケーブル・ウィンチの位置での少なくとも1つのケーブルの走行速度の情報を、WIFI(登録商標)などのワイヤレス通信によって受信してもよい。
構造的に特に有利な一実施例において、ケーブル・クローラは、モータ駆動部及び少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブを備えたモータ筐体を含む。モータ筐体は、第1及び第2の支持シーブを保持するフレームに対して、ケーブル・クローラがその作動状態である作動位置と、ケーブル・クローラがその受動状態である受動位置との間で、回転点を中心に揺動可能である。
一実施例において、スプリング・パックは、モータ筐体の作動位置では、スプリング・パックがモータ筐体の回転点に対する第1のモーメント・アームでモータ筐体に作用し、モータ筐体の受動位置では、スプリング・パックがモータ筐体の回転点に対する第2のモーメント・アームでモータ筐体に作用し、第1のモーメント・アームが第2のモーメント・アームよりも大きいように、モータ筐体とフレームとの間に配置されている。それによって、ケーブル・クローラの作動状態では、モータ駆動式牽引シーブが、少なくとも1つのケーブルに適切な引張力を与えるために、比較的大きな適切な力を用いて第1及び第2の支持シーブのうちの少なくとも1つに対して付勢され、場合によっては間に少なくとも1つのケーブルを伴う少なくとも1つの圧力車輪に対して付勢されることが確実になり得る。その一方で、ケーブル・クローラの受動状態では、モータ駆動式牽引シーブが、比較的低い適切な力を用いて少なくとも1つのケーブルに対して付勢されることが確実になり得、その結果、フック・ブロックによって外部荷重が持ち上げられているときに、ケーブル・クローラは特に、自己巻上クレーンの動作を妨害し得ない。
構造的に特に有利な一実施例において、ケーブル・クローラは、自己巻上クレーン内に、好ましくはブーム・アーム内に、好ましくは基台の隣にあるブーム・アームの端部に配置されている。それによって、ケーブル・クローラは、自己巻上クレーンの一体部品として設けられ得、その結果、例えば風力タービンへのケーブル・クローラの別個の取付けが、全く必要ではなくなる。ケーブル・クローラの動作は自動であり得、操作員によって考慮される必要はない。
本発明はさらに、自己巻上クレーンを風力タービンのナセル又はタワーに取り付け、続いて動作させる方法であって、自己巻上クレーンが、基台と、ブーム・アームと、フック・ブロックと、ナセル又はタワーに取り付けられた位置での自己巻上クレーンの動作のために、フック・ブロックをブーム・アームに対して持ち上げ又は降ろすように適合されている少なくとも1つのケーブルとを含み、少なくとも1つのケーブルが、フック・ブロックから基台を通って出て、ナセル又はタワーから地面に配置されたケーブル・ウィンチまで延在し、自己巻上クレーンが、地面に配置されたケーブル・ウィンチの動作によって、地面からナセル又はタワーまで巻き上げられ、地面に配置されたケーブル・ウィンチの動作によって、ナセル又はタワーに取り付けられた位置で動作する、方法に関する。
本発明による方法は、自己巻上クレーンが、少なくとも1つのケーブルに摩擦を介して引張力を伝達するように適合されている少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブを有するケーブル・クローラを備えており、ケーブル・クローラが、牽引シーブが少なくとも1つのケーブルに引張力又は少なくとも実質的な引張力を伝達する作動状態と、牽引シーブが少なくとも1つのケーブルに全く又は少なくとも実質的に全く引張力を伝達しない受動状態との間でシフト可能であり、自己巻上クレーンが、ナセル又はタワーに取り付けられた位置で、フック・ブロックに取り付けられている外部荷重がなにもない又は少なくとも実質的になにもない状態で動作するときに、ケーブル・クローラが、その作動状態で動作し、自己巻上クレーンが、ナセル又はタワーに取り付けられた位置で、フック・ブロックに少なくとも実質的な外部荷重が取り付けられている状態で動作するときに、ケーブル・クローラが、その受動状態で動作することを特徴とする。それによって、上記で記載した利点が得られ得る。
本発明によれば、自己巻上クレーンを風力タービンのナセル又はタワーに取り付け、続いて動作させる上述の方法のいくつかの実施例は、本発明による自己巻上クレーンの上述の実施例に対応する。
ここで本発明は、非常に概略的な図面を参照して、実施例の実例を用いて以下でより詳細に説明される。
本発明による自己巻上クレーンで使用するためのコンテナの側面図である。 図1のコンテナの上面図である。 図1及び図2に示されているコンテナ内のケーブル・ウィンチを用いて、本発明による自己巻上クレーンをナセルに持ち上げる間の、風力タービンの斜視図である。 図3の風力タービンのナセルに取り付けられた本発明による自己巻上クレーンの側面図である。 風力タービンが図示されていない、図4の自己巻上クレーンの斜視図である。 ケーブル・クローラがその作動状態である、図5の自己巻上クレーンの詳細をより大きな縮尺で示している側面図である。 ケーブル・クローラのモータ駆動式牽引シーブがわずかにその作動位置から離れて動かされた後の、図6の側面図に対応する側面図である。 ケーブル・クローラがその受動状態である、図6の側面図に対応する側面図である。 図5の自己巻上クレーンのブーム・アーム及びケーブル・クローラの一部の拡大斜視図である。
以下では、概して、異なる実施例の同様の要素が同じ参照番号で指定されている。
図4は、風力タービン3のナセル2に取り付けられた本発明による自己巻上クレーン1の一実施例を示している。自己巻上クレーンは、基台4と、ブーム・アーム5と、フック・ブロック6と、ナセル2に取り付けられた位置での自己巻上クレーンの動作のために、フック・ブロック6をブーム・アーム5に対して持ち上げ又は降ろすように適合されている第1及び第2のケーブル7、8又はワイヤ・ロープとを含む。基台4は、周知のやり方で、ナセル2に配置されたクレーン台32の取付位置に取り付けられている。図示の実施例において、クレーン台32は風力タービン3のナセル2に配置されているものの、図示されていない他の実施例において、クレーン台32は、風力タービン3のナセル2ではなく風力タービンのタワー46に取り付けられる場合がある。そのような場合には、クレーン台32は、例えばタワー46にナセル2を取り付けている間に自己巻上クレーン1が使用されるように、図示されていないクランプ機構を用いて、例えばタワー46の上部に取り付けられてもよい。
第1及び第2のケーブル7、8は、フック・ブロック6から基台4を通って出て、ナセル2から地面10に配置されたケーブル・ウィンチ9まで延在する。図1及び図2で見られるように、ケーブル・ウィンチ9は、自己巻上クレーン1を移送するためにコンテナ33内に配置されている。
図3で見られるように、自己巻上クレーン1は、地面10にあるコンテナ33内に配置されたケーブル・ウィンチ9の動作によって、地面からナセル2又は好ましくはタワー46の上部まで巻き上げられるように適合されている。さらに、図4に示すように、自己巻上クレーン1は、地面10に配置されたケーブル・ウィンチ9の動作によって、ナセル2又はタワー46に取り付けられた位置で動作するように適合されている。
図5から図9までに示された実施例において、本発明による自己巻上クレーン1は、ナセル2又はタワー46に取り付けられた位置での自己巻上クレーン1の動作中に、第1及び第2のケーブル7、8それぞれに摩擦を介して引張力Fを伝達するように適合されている第1及び第2のモータ駆動式牽引シーブ12、12を有するケーブル・クローラ11を備えている。ケーブル・クローラ11は、第1及び第2の牽引シーブ12、12が第1及び第2のケーブル7、8それぞれに引張力を伝達し得、又は少なくとも実質的な引張力を伝達し得る図6に示された作動状態13と、第1及び第2の牽引シーブ12、12が、第1及び第2のケーブル7、8それぞれに摩擦を介して全く又は少なくとも実質的に全く引張力を伝達し得ない図8に示された受動状態14との間でシフト可能である。
図示の実施例において、ケーブル・クローラ11の作動状態13では、図6に示すように、第1の巻き角Wが、各ケーブル7、8とそれぞれの牽引シーブ12、12との間の接触角を表す。さらに、ケーブル・クローラ11の受動状態14では、図8に示すように、第2の巻き角Wが、各ケーブル7、8とそれぞれの牽引シーブ12、12との間の接触角を表す。見られるように、第1の巻き角Wが、第2の巻き角Wよりも実質的に大きい。第1の巻き角Wは、例えば少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍、第2の巻き角Wよりも大きい。
図4に示すように、ケーブル・クローラ11の作動状態13での比較的大きな第1の巻き角Wに起因して、第1及び第2のモータ駆動式牽引シーブ12、12は、第1及び第2のケーブル7、8それぞれに摩擦を介して総引張力Fを伝達し得る。当該総引張力Fは、フック・ブロック6の重量に対応するFと合わせると、フック・ブロック6すなわちブーム・アーム5の上部から地面10に配置されたケーブル・ウィンチ9まで延在する部分の第1及び第2のケーブル7、8の重量に対応するFを打ち消すのに十分大きい。言い換えれば、F+F>Fである。
その一方で、ケーブル・クローラ11の受動状態14での比較的小さな第2の巻き角Wに起因して、第1及び第2のモータ駆動式牽引シーブ12、12は、第1及び第2のケーブル7、8それぞれに摩擦を介して、比較的非常に小さな又はほぼ無視できる総引張力のみを伝達し得る。したがって、ケーブル・クローラ11の受動状態14では、ケーブル・クローラは特に、持上げ動作中に、ケーブルに実質的で不要な制動力をなにも与えないようにされ得る。
図6から図8までは、図4で見られる自己巻上クレーン1のブーム・アーム5を通った縦断面を示している。見られるように、ケーブル8は、連続して、第1の支持シーブ15、モータ駆動式牽引シーブ12、及び第2の支持シーブ16と接触する。ケーブル8の横断方向Tで見て、モータ駆動式牽引シーブ12は、ケーブル8の第1の牽引側17に動き、第1及び第2の支持シーブ15、16は、ケーブル8の第2の側18に動く。図6と図8とを比較すると、モータ駆動式牽引シーブ12は、ケーブル8の横断方向Tで、ケーブル・クローラ11がその作動状態13である図6の作動位置19と、ケーブル・クローラ11がその受動状態14である図8の受動位置20との間で、第1及び第2の支持シーブ15、16に対して相対的に移動可能であることがわかる。同様且つ平行に配置されたケーブル7は、連続して、第1の支持シーブ15、モータ駆動式牽引シーブ12、及び第2の支持シーブ16と接触する。ケーブル7の横断方向Tで見て、モータ駆動式牽引シーブ12は、ケーブル7の第1の牽引側17に動き、第1及び第2の支持シーブ15、16は、ケーブル7の第2の側18に動く。図9から理解され、以下でさらに詳細に説明されるように、第1及び第2のモータ駆動式牽引シーブ12、12は、共通のモータ駆動部27によって共通の車軸で駆動される。共通のモータ駆動部27は、変速装置及び/又はブレーキを含んでもよい。
図6から図8まででさらに見られるように、第1及び第2の支持シーブ15、15、16、16は、自己巻上クレーン1のブーム・アーム5の形式のフレーム30に回転可能に固定されている。モータ駆動式牽引シーブ12、12は、当該フレーム30に対して移動可能に配置されている。或いは、モータ駆動式牽引シーブがそのようなフレームに回転可能に固定され、第1及び第2の支持シーブが当該フレームに対して移動可能に配置されてもよい。いずれにせよ、ケーブル7、8の横断方向Tで見たモータ駆動式牽引シーブと第1及び第2の支持シーブとの間の相対移動は、ケーブル・クローラ11の作動状態13での比較的大きな第1の巻き角Wと、ケーブル・クローラ11の受動状態14での比較的非常に小さな第2の巻き角Wとの間で当該巻き角を変更し得る。
図示の実施例において、ケーブル・クローラ11は、モータ駆動部27並びに第1及び第2のモータ駆動式牽引シーブ12、12を備えたモータ筐体28を含む。モータ筐体28は、第1及び第2の支持シーブ15、15、16、16を保持するフレーム30に対して、ケーブル・クローラ11がその作動状態13である作動位置と、ケーブル・クローラ11がその受動状態14である受動位置との間で、回転点29を中心に揺動可能である。
さらに、図示の実施例において、モータ駆動式牽引シーブ12、12は、牽引シーブ12、12の受動位置20から牽引シーブの作動位置19まで、第1及び第2の支持シーブ15、15、16、16と相対的にスプリング付勢されている。それによって、ケーブル・クローラ11は、フック・ブロック6が外部荷重を保持しているか否かに応じて、その作動状態13とその受動状態14との間で自動的にシフトし得る。機械的なスプリングを用いてスプリング付勢される代わりに、牽引シーブはまた、水圧手段、又はガス・スプリングなどの他の任意の適切な手段を用いて付勢されてもよい。フック・ブロック6が外部荷重を保持している場合、ケーブル7、8は、少なくとも比較的直線の経路に従う傾向にあり、それによって、モータ駆動式牽引シーブを第1及び第2の支持シーブと相対的に、スプリング付勢に逆らって移動させ得る。その結果、牽引シーブ12、12が、図8に示すようなそれらの受動位置20に到達する。それによって、モータ駆動式牽引シーブ12、12は、持上げ動作中に、ケーブル7、8に実質的で不要な制動力をなにも与えないようにされ得る。その一方で、フック・ブロック6が外部荷重をなにも保持していない場合、ケーブル7、8は、図6に示すような牽引シーブ12、12の作動位置19では、モータ駆動式牽引シーブ12、12並びに第1及び第2の支持シーブ15、15、16、16によって形成された経路に従い得、モータ駆動式牽引シーブ12、12を第1及び第2の支持シーブ15、15、16、16と相対的に、スプリング付勢に逆らって押圧することはない。それによって、牽引シーブ12、12は、それらの作動位置19に留まり得、したがって上記で論じたように、ケーブル7、8に摩擦を介して適切な引張力を伝達し得る。このケーブル・クローラ11の作動状態13と受動状態14との間での自動的なシフトに起因して、自己巻上クレーン1の操作員は、ケーブル・クローラを手動で制御することが必要でなくてもよい。
さらに、図示の実施例において、モータ駆動式牽引シーブ12、12は、図8に示されたそれらの受動位置20から図6までに示されたそれらの作動位置19まで、モータ筐体28とブーム・アーム5のフレーム30との間に配置されているスプリング・パック31を用いてスプリング付勢されている。スプリング・パック31は、いくつかの圧縮スプリング34を搭載している。その結果、モータ筐体28の作動位置では、スプリング・パック31は、図6で見られるようなモータ筐体の回転点29に対する第1のモーメント・アームMでモータ筐体に作用し、モータ筐体28の受動位置では、スプリング・パック31は、図8で見られるようなモータ筐体の回転点29に対する第2のモーメント・アームMでモータ筐体に作用し、第1のモーメント・アームMは、第2のモーメント・アームMよりも大きい。それによって、図8で見られるようなケーブル・クローラ11の受動状態では、モータ駆動式牽引シーブは、ケーブル7、8に逆らって、適切な比較的低い力を用いて付勢され得るが、スプリング・パックのスプリング力は、スプリング34を比較的より圧縮することに起因して、ケーブル・クローラの作動状態でのスプリング力よりも大きくなり得る。結果として、ケーブル・クローラ11は、フック・ブロックによって外部荷重が持ち上げられていないときに自己巻上クレーン1の動作を妨害し得ない。
図9に示すように、スプリング・パック31は4つの平行な組からなり、各々が、直列に配置されすなわちピン35に互いに整列した2つの圧縮スプリングを備える。平行な組の圧縮スプリングを使用することによって、比較的柔らかいスプリングを使用し、それによってより長い運用寿命を得ることが可能になり得る。さらに、この配置は場所をとり過ぎない。圧縮スプリング34を伴うピン35は、1組の2つの横ピン36、37間に配置されており、一方の36がブーム・アーム5の軸受38に回転可能に取り付けられており、もう一方の37がモータ筐体28の軸受39に回転可能に取り付けられている。さらにスプリング・パック31には、1組の2つの横ピン36、37間に、ピン35と平行にそれらの間に配置されている2つの平行な係止ロッド40が設けられている。スプリング・パック31は、自己巻上クレーン1の取付中又はメンテナンス目的のために、係止ロッド40及びそこに通された対応する係止ナット41を用いて、図8で見られるようなモータ筐体28の受動位置で係止され得る。
図6に示されたモータ駆動式牽引シーブ12の作動位置19では、モータ駆動式牽引シーブ12、12から、ケーブル7、8それぞれに摩擦を介してより一層大きな引張力を伝達するために、牽引シーブ12、12は、ケーブル7、8を、ブーム・アーム5中の軸受42に配置されているそれぞれの圧力車輪22、22に対して押圧する。モータ駆動式牽引シーブが、圧力車輪の直径の少なくとも3倍、好ましくは少なくとも4倍の直径を有することが好ましい。結果として、ケーブル・クローラ11のモータ駆動式牽引シーブは、少なくとも1つのケーブルに摩擦を介してより一層大きな引張力を伝達し得る。
図6に示したように、モータ駆動式牽引シーブ12、12の作動位置19では、牽引シーブ12、12は、牽引シーブの回転軸23及び圧力車輪22、22の回転軸24を通った軸Aと、30から85度の間、好ましくは45から75度の間の角度を形成する方向Dに、圧力車輪22、22に対して相対的に移動可能なように案内される。それによって、モータ駆動式牽引シーブが、間にそれぞれのケーブルを伴うそれぞれの圧力車輪に対して押圧されるときに、楔形効果が得られ得る。それにより結果として、モータ駆動式牽引シーブは、上記で説明したように、ケーブルに摩擦を介してより一層大きな引張力を伝達し得ることになる。
モータ駆動式牽引シーブ12、12のためのモータ駆動部27は、牽引シーブ12、12に少なくとも実質的な回転モーメントが加えられ得る作動モードと、牽引シーブ12、12に加えられ得る回転モーメントが全くない又は少なくとも全く顕著ではない空転モードとの間で切替可能である。ケーブル・クローラ11がその作動状態13からその受動状態14にシフトされたときに、ケーブル・クローラ11は、モータ駆動部27をその空転モードに切り替えるように適合されてもよい。
図示の実施例において、作動モードと受動モードとの間の切替は、例えば図8で見られるような揺動可能なモータ筐体28に配置された誘導スイッチ43が、図6での場合のようにブーム・アーム5に配置された金属ディスク44の近傍にあるときに、誘導スイッチ43から信号が受信されるという点で、ソフトウェアを制御することによって実行される。図7は、モータ筐体28が図6のその作動位置を離れた直後であり、牽引シーブ12、12がそれらの作動位置19を離れた直後であるモータ筐体の中間位置を示している。この中間位置では、誘導スイッチ43が、すでにモータ駆動部27の作動モードから受動モードに切り替わっている。それによって、モータ駆動部27の作動モードでは、ケーブル・クローラ11が、ケーブル7、8に十分な引張力を伝達し得るのに対して、モータ駆動部の受動モードでは、フック・ブロックによって外部荷重が持ち上げられているときに、ケーブル・クローラが、特に自己巻上クレーン1の動作を妨害し得ないことが確実になり得る。モータ駆動部27の受動モードでは、ソフトウェアの制御は、モータ駆動部27の電気モータへの電気接続を単純に切断する。さらに、モータ駆動部27の受動モードでは、ソフトウェアの制御はモータ駆動部用のブレーキを解除し得る。或いは、モータ駆動部27の受動モードでは、電気モータを制御するために使用されている周波数変換器が、単に「モーメントなし」と設定され得る。電気モータは、モータ駆動部の受動モードで非常に低いモーメントを実現可能であるように、ロータとステータとの両方にコイルを有する交流モータであることが好ましい。そうでない場合、代替実施例において、作動モードと受動モードとの間の切替は、機械的なクラッチ又は他の任意の適切な機械的システムによって実行され得る。
モータ駆動式牽引シーブ12、12のためのモータ駆動部27は、少なくともモータ駆動部27の作動モードで、自己巻上クレーン1の位置でのケーブル7、8の走行速度を、地面10に配置されたケーブル・ウィンチ9の位置でのケーブル7、8の走行速度と相対的に制限するように適合されている速度制御を備えていてもよい。例えば一実例として、自己巻上クレーン1の位置でのケーブル7、8の走行速度は、ケーブル・ウィンチ9の位置でのケーブル7、8の走行速度の15から20パーセント以内にあるように制御され得る。上記で説明したように、それによってケーブルの走行速度が、自己巻上クレーンの位置とケーブル・ウィンチの位置との間で実質的に異ならないことが確実になり得る。
モータ駆動式牽引シーブ12、12のためのモータ駆動部27には、モータ駆動部27の作動モードで、牽引シーブ12、12に適切な回転モーメントが付与され得ることを確実にするように適合されているモーメント制御システムが設けられていることが好ましい。所望の回転モーメントを調整し、モーメント制御システムに入力するために、自己巻上クレーン1がナセル2又はタワー46に取り付けられている位置で、自己巻上クレーンは、フック・ブロック6に取り付けられている外部荷重がなにもない状態で、フック・ブロック6をブーム・アーム5の上部から降ろすように単純に設定され得る。それによって、フック・ブロック6は、モータ駆動式牽引シーブ12、12を回転させるモータ駆動部27を用いて降ろされる。モーメント制御システムは、ケーブル7、8用のコンテナ33内に配置されている1対のバラスト重りがケーブル7、8によって持ち上げられるまで、回転モーメントを引き上げるように設定されている。これが起こると、牽引シーブ12、12を回転させる回転モーメントは、ナセル2又はタワー46からコンテナ33まで延在する部分のケーブル7、8の重量を上回るのに十分大きくなる。この回転モーメントは続いて、当該モーメント制御システムに対して所望の回転モーメントとして設定され得る。ケーブル7、8用のバラスト重りのシステムは、当業界で周知であり、上記で述べたWO2020221716A1に記載されている。
a 角度
A 牽引シーブの回転軸及び圧力車輪の回転軸を通った軸
D 牽引シーブの案内方向
フック・ブロックからケーブル・ウィンチまで延在するケーブルの重量に対応する力
フック・ブロックの重量に対応する力
引張力
第1のモーメント・アーム
第2のモーメント・アーム
T ケーブルの横断方向
第1の巻き角
第2の巻き角
1 自己巻上クレーン
2 風力タービンのナセル
3 風力タービン
4 基台
5 ブーム・アーム
6 フック・ブロック
7、8 ケーブル
9 地面に配置されたケーブル・ウィンチ
10 地面
11 ケーブル・クローラ
12、12 モータ駆動式牽引シーブ
13 ケーブル・クローラの作動状態
14 ケーブル・クローラの受動状態
15、15 第1の支持シーブ
16、16 第2の支持シーブ
17 ケーブルの第1の牽引側
18 ケーブルの第2の側
19 牽引シーブの作動位置
20 牽引シーブの受動位置
21 牽引シーブの中間位置
22、22 圧力車輪
23 牽引シーブの回転軸
24 圧力車輪の回転軸
25 第1の支持シーブの回転軸
26 第2の支持シーブの回転軸
27 モータ駆動式牽引シーブのモータ駆動部
28 ケーブル・クローラのモータ筐体
29 筐体の回転点
30 第1及び第2の支持シーブを保持するフレーム
31 スプリング・パック
32 クレーン台
33 自己巻上クレーン用のコンテナ
34 圧縮スプリング
35 圧縮スプリング用のピン
36、37 横ピン
38 ブーム・アームの軸受
39 モータ筐体の軸受
40 スプリング・パックの係止ロッド
41 係止ナット
42 ブーム・アーム中の軸受
43 誘導スイッチ
44 誘導スイッチ用の金属ディスク
45 コンテナ内のケーブル用のバラスト重り
46 風力タービンのタワー

Claims (13)

  1. 風力タービン(3)のナセル(2)又はタワー(46)に取り付けられるように適合されている自己巻上クレーン(1)であって、基台(4)と、ブーム・アーム(5)と、フック・ブロック(6)と、前記ナセル(2)又は前記タワー(46)に取り付けられた位置での前記自己巻上クレーンの動作のために、前記フック・ブロック(6)を前記ブーム・アーム(5)に対して持ち上げ又は降ろすように適合されている少なくとも1つのケーブル(7、8)とを含み、前記少なくとも1つのケーブル(7、8)が、前記フック・ブロック(6)から前記基台(4)を通って出て、前記ナセル(2)又は前記タワー(46)から地面(10)に配置されたケーブル・ウィンチ(9)まで延在するように適合されており、前記自己巻上クレーン(1)が、地面に配置された前記ケーブル・ウィンチ(9)の動作によって、地面(10)から前記ナセル(2)又は前記タワー(46)まで巻き上げられるように適合されており、地面(10)に配置された前記ケーブル・ウィンチ(9)の動作によって、前記ナセル(2)又は前記タワー(46)に取り付けられた位置で動作するように適合されている自己巻上クレーン(1)において、前記自己巻上クレーン(1)が、前記ナセル(2)又は前記タワー(46)に取り付けられた位置での前記自己巻上クレーン(1)の動作中に、前記少なくとも1つのケーブル(7、8)に摩擦を介して引張力(F)を伝達するように適合されている少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブ(12、12)を有するケーブル・クローラ(11)を備えており、前記ケーブル・クローラ(11)が、前記牽引シーブ(12、12)が前記少なくとも1つのケーブル(7、8)に引張力を伝達し得、又は少なくとも実質的な引張力を伝達し得る作動状態(13)と、前記牽引シーブ(12、12)が前記少なくとも1つのケーブル(7、8)に全く又は少なくとも実質的に全く引張力を伝達し得ない受動状態(14)との間でシフト可能であることを特徴とする、自己巻上クレーン。
  2. 前記ケーブル・クローラ(11)の前記作動状態(13)では、第1の巻き角(W)が、前記少なくとも1つのケーブル(7、8)と前記牽引シーブ(12、12)との間の接触角を表し、前記ケーブル・クローラ(11)の前記受動状態(14)では、第2の巻き角(W)が、前記少なくとも1つのケーブル(7、8)と前記牽引シーブ(12、12)との間の接触角を表し、前記第1の巻き角(W)が、前記第2の巻き角(W)よりも少なくとも実質的に大きい、請求項1に記載の自己巻上クレーン。
  3. 前記少なくとも1つのケーブル(7、8)が、連続して、第1の支持シーブ(15、15)、前記モータ駆動式牽引シーブ(12、12)、及び第2の支持シーブ(16、16)と接触し、前記少なくとも1つのケーブル(7、8)の横断方向(T)で見て、前記モータ駆動式牽引シーブ(12、12)が、前記少なくとも1つのケーブル(7、8)の第1の牽引側(17)に動き、前記第1及び前記第2の支持シーブ(15、15、16、16)が、前記少なくとも1つのケーブル(7、8)の第2の側(18)に動き、前記モータ駆動式牽引シーブ(12、12)が、前記少なくとも1つのケーブル(7、8)の前記横断方向(T)で、前記ケーブル・クローラ(11)がその前記作動状態(13)である作動位置(19)と、前記ケーブル・クローラ(11)がその受動状態(14)である受動位置(20)との間で、前記第1及び前記第2の支持シーブ(15、15、16、16)のうちの少なくとも1つに対して相対的に移動可能である、請求項1又は2に記載の自己巻上クレーン。
  4. 前記モータ駆動式牽引シーブ(12、12)が、前記牽引シーブ(12、12)の前記受動位置(20)から前記牽引シーブ(12、12)の前記作動位置(19)まで、前記第1及び前記第2の支持シーブ(15、15、16、16)のうちの少なくとも1つと相対的にスプリング付勢されている、請求項3に記載の自己巻上クレーン。
  5. 前記モータ駆動式牽引シーブ(12、12)の前記作動位置(19)では、前記牽引シーブが、前記少なくとも1つのケーブル(7、8)を、少なくとも1つの圧力車輪(22、22)に対して押圧する、請求項3又は4に記載の自己巻上クレーン。
  6. 前記モータ駆動式牽引シーブ(12、12)が、前記少なくとも1つの圧力車輪(22、22)の直径の少なくとも3倍、好ましくは少なくとも4倍の直径を有する、請求項5に記載の自己巻上クレーン。
  7. 前記モータ駆動式牽引シーブ(12、12)の前記作動位置(19)では、前記牽引シーブ(12、12)が、前記牽引シーブの回転軸(23)及び前記少なくとも1つの圧力車輪(22、22)の回転軸(24)を通った軸(A)と、30から85度の間、好ましくは45から75度の間の角度(a)を形成する方向(D)に、前記少なくとも1つの圧力車輪(22、22)に対して相対的に移動可能なように案内される、請求項5又は6に記載の自己巻上クレーン。
  8. 前記少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブ(12、12)のためのモータ駆動部(27)が、前記牽引シーブ(12、12)に少なくとも実質的な回転モーメントが加えられ得る作動モードと、前記牽引シーブ(12、12)に加えられ得る回転モーメントが全くない又は少なくとも顕著ではない空転モードとの間で切替可能であり、前記ケーブル・クローラ(11)がその作動状態(13)からその受動状態(14)にシフトされたときに、前記ケーブル・クローラ(11)が、前記モータ駆動部(27)をその空転モードに切り替えるように適合されている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の自己巻上クレーン。
  9. 前記少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブ(12、12)のためのモータ駆動部(27)が、少なくとも前記モータ駆動部(27)の前記作動モードで、前記自己巻上クレーン(1)の位置での前記少なくとも1つのケーブル(7、8)の走行速度を、地面(10)に配置された前記ケーブル・ウィンチ(9)の位置での前記少なくとも1つのケーブル(7、8)の走行速度と相対的に制限するように適合されている速度制御を備えている、請求項8に記載の自己巻上クレーン。
  10. 前記ケーブル・クローラ(11)が、モータ駆動部(27)並びに前記少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブ(12、12)を備えたモータ筐体(28)を含み、前記モータ筐体(28)が、前記第1及び前記第2の支持シーブ(15、15、16、16)を保持するフレーム(30)に対して、前記ケーブル・クローラ(11)がその作動状態(13)である作動位置と、前記ケーブル・クローラ(11)がその受動状態(14)である受動位置との間で、回転点(29)を中心に揺動可能である、請求項3から7までのいずれか一項に記載の自己巻上クレーン。
  11. スプリング・パック(31)が、前記モータ筐体(28)の前記作動位置では、前記スプリング・パック(31)が前記モータ筐体の前記回転点(29)に対する第1のモーメント・アーム(M)で前記モータ筐体に作用し、前記モータ筐体(28)の前記受動位置では、前記スプリング・パック(31)が前記モータ筐体(28)の前記回転点(29)に対する第2のモーメント・アーム(M)で前記モータ筐体に作用し、前記第1のモーメント・アーム(M)が前記第2のモーメント・アーム(M)よりも大きいように、前記モータ筐体(28)と前記フレーム(30)との間に配置されている、請求項10に記載の自己巻上クレーン。
  12. 前記ケーブル・クローラ(11)が、前記自己巻上クレーン(1)内に、好ましくは前記ブーム・アーム(5)内に、好ましくは前記基台(4)の隣にある前記ブーム・アームの端部に配置されている、請求項1から11までのいずれか一項に記載の自己巻上クレーン。
  13. 自己巻上クレーン(1)を風力タービン(3)のナセル(2)又はタワー(46)に取り付け、続いて動作させる方法であって、前記自己巻上クレーンが、基台(4)と、ブーム・アーム(5)と、フック・ブロック(6)と、前記ナセル(2)又は前記タワー(46)に取り付けられた位置での前記自己巻上クレーン(1)の動作のために、前記フック・ブロック(6)を前記ブーム・アーム(5)に対して持ち上げ又は降ろすように適合されている少なくとも1つのケーブル(7、8)とを含み、前記少なくとも1つのケーブル(7、8)が、前記フック・ブロック(6)から前記基台(4)を通って出て、前記ナセル(2)又は前記タワー(46)から地面(10)に配置されたケーブル・ウィンチ(9)まで延在し、前記自己巻上クレーン(1)が、地面(10)に配置された前記ケーブル・ウィンチ(9)の動作によって、地面(10)から前記ナセル(2)又は前記タワー(46)まで巻き上げられ、地面(10)に配置された前記ケーブル・ウィンチ(9)の動作によって、前記ナセル(2)又は前記タワー(46)に取り付けられた位置で動作する、方法において、前記自己巻上クレーン(1)が、前記少なくとも1つのケーブル(7、8)に摩擦を介して引張力(F)を伝達するように適合されている少なくとも1つのモータ駆動式牽引シーブ(12、12)を有するケーブル・クローラ(11)を備えており、前記ケーブル・クローラ(11)が、前記牽引シーブ(12、12)が前記少なくとも1つのケーブル(7、8)に引張力又は少なくとも実質的な引張力を伝達する作動状態(13)と、前記牽引シーブ(12、12)が前記少なくとも1つのケーブル(7、8)に全く又は少なくとも実質的に全く引張力を伝達しない受動状態(14)との間でシフト可能であり、前記自己巻上クレーン(1)が、前記ナセル(2)又は前記タワー(46)に取り付けられた位置で、前記フック・ブロック(6)に取り付けられている外部荷重がなにもない又は少なくとも実質的になにもない状態で動作するときに、前記ケーブル・クローラ(11)が、その作動状態(13)で動作し、前記自己巻上クレーン(1)が、前記ナセル(2)又は前記タワー(46)に取り付けられた位置で、前記フック・ブロック(6)に少なくとも実質的な外部荷重が取り付けられている状態で動作するときに、前記ケーブル・クローラ(11)が、その受動状態(14)で動作することを特徴とする、方法。
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