JP2024515041A - L-グルホシネートおよびそのホスホエステルを産生するための酵素的方法 - Google Patents

L-グルホシネートおよびそのホスホエステルを産生するための酵素的方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、L-グルホシネートまたはそのホスホエステルを産生するための酵素触媒方法に関する。本方法は、活性化L-ホモセリンHAを、メチルホスフィン酸およびメチルホスフィン酸のエステルから選択される基質Sと反応させるステップを含む。本発明は、L-グルホシネートおよびそのホスホエステルの酵素産生における新しい基質を利用可能にする。

Description

本発明は、L-グルホシネート(「L-GA」もしくは「LGA」)またはそのホスホエステルを産生するための酵素触媒方法に関する。本方法は、活性化L-ホモセリンHを、メチルホスフィン酸およびメチルホスフィン酸のエステルから選択される基質Sと反応させるステップを含む。本発明は、L-グルホシネートおよびそのホスホエステルの酵素産生における新しい基質を利用可能にする。
1.発明の背景
有機リン化合物、すなわち炭素-リン結合を含む化学薬剤は、植物保護の分野で除草剤として広く適用されている。除草剤であるグリホサート(Roundup(登録商標)、Touchdown(登録商標))およびグルホシネート(Basta(登録商標)、Liberty(登録商標))ならびに生長調整剤であるグリホシン(Polaris(登録商標))などの作用物質がこの目的で使用されている(例えば、G. Hoerlein, Rev. Environ. Contam. Toxicol. 1994, 138, 73-145に記載のとおり)。
P-メチルホスフィン酸のエステル(例えば、P-メチルホスフィン酸ブチルエステル;「MPBE」;CAS番号:6172-80-1)は、非選択的除草剤であるグルホシネートの合成において、合成構成要素として重要な役割を担っている。これらのエステルは、2つの基本的な合成経路(K. Haackの論文Chem. Unserer Zeit 2003, 37, 128-138の図3aおよび3b、第130頁にまとめられている):
a.ジエチルクロロホスファイト[ClP(OC]をCHMgClと反応させると、メチルジエトキシホスフィン[HCP(OC;「DEMP」;CAS番号15715-41-0]が提供され、これを部分的に加水分解すると、対応するメチルホスフィン酸エチルエステル(MPEE;CAS番号:16391-07-4)が得られる。
b.あるいはメタンを三塩化リンと500℃で反応させて、メチルジクロロホスフィンHCPClを得ることもできる。後者をアルコールに加溶媒分解させて、対応するメチルホスフィン酸エステルを得ることができる。
P-メチルホスフィン酸のエステルは、炭素-炭素二重結合に位置選択的に付加する。この性質は、グルホシネートの合成において、第二のリン-炭素結合の形成に利用される。例えば、HCPH(O)OR(R=アルキル)は付加反応で1-シアノ酢酸アリルと反応して中間体を提供する。その後、酢酸置換基をアンモニアと交換し、シアノ基およびホスフィン酸部分のエステル基を加水分解すると、グルホシネートが得られる。
アクリル酸エステルは、より安価な代替出発物質である。それはP-メチルホスフィン酸のエステルと反応して3-[アルコキシ(メチル)ホスフィニル]プロピオン酸アルキルエステルになる。このジエステルとシュウ酸ジエチルとのクライゼン反応、加水分解、脱炭酸により、対応するα-ケト酸が提供され、これを還元的アミノ化してグルホシネートを得ることができる。
L-グルホシネートに向けてのこれらの合成経路および更なる合成経路は、当該技術分野、例えば国際公開第1999/009039号、欧州特許出願公開第0508296号明細書にも記載されている。
国際公開第2020/145513号および国際公開第2020/145514号には、L-グルホシネートへの化学的経路が記載されている。この経路では、O-アセチルホモセリンまたはO-スクシニルホモセリンなどのホモセリン誘導体が出発物質として使用され、ラクトン化およびハロゲン化を含む一連の反応によってL-グルホシネートが得られる。
国際公開第2020/145627号にも同様の経路が記載されており、ハロゲン化の間に臭素誘導体が得られる。
中国特許出願公開第106083922号明細書が開示する経路も同様であるが、Lメチオニンから出発する。
欧州特許出願公開第2402453号明細書には、メチルメルカプタンとジメチルスルフィドとの混合物をO-アセチルホモセリンまたはO-スクシニルホモセリンと酵素的に反応させてメチオニンを産生する酵素的方法が記載されている。
中国特許出願公開第108516991号明細書には、L-グルホシネートの別の合成経路が記載されており、L-ホモセリンの共沸脱水から始めてL-3,6-ビス(2-ハロエチル)-2,5-ジケトピペラジンを得て、続いてメチルホスフィン酸ジエステル基を導入し、加水分解する。
グルホシネートのすべての合成経路の一般的な欠点は、得られるグルホシネートがラセミ混合物であることである。しかしながら、D-エナンチオマーには除草活性がないため、L-グルホシネートが経済的に注目されるエナンチオマーである。
L-グルホシネートのエナンチオ選択的合成については、酵素経路が当該技術分野で記載されている。
国際公開第2017/151573号には、D-グルホシネートからL-グルホシネートの2段階酵素合成が開示されている。第1の段階では、D-グルホシネートを酸化的脱アミノ化して2-オキソ-4-[ヒドロキシ(メチル)ホスフィノイル]酪酸(「PPO」)を得て、続いて第2の段階としてPPOをL-グルホシネートに特異的アミノ化する。第1の段階は、D-アミノ酸オキシダーゼの触媒作用によって行われ、第2の段階はトランスアミナーゼによって触媒される。
国際公開第2020/051188号には、ラセミ体グルホシネートをL-グルホシネートエナンチオマーに変換する同様の方法が開示されている。さらに、該文献には、PPOをアミン供与体でアミノ化する間に形成されるα-ケト酸またはケトン副産物をケトグルタル酸デカルボキシラーゼによって変換し、平衡をL-グルホシネートにさらにシフトさせる段階が開示されている。
国際公開第2019/018406号には、L-グルホシネートおよびグルタミン酸を含む混合物からL-グルホシネートを精製する方法が開示されている。グルタミン酸は、グルタミニル-ペプチジルシクロトランスフェラーゼによってピログルタミン酸に酵素的に変換され、この場合、L-グルホシネートは、イオン交換によって得られた混合物から精製される。
本発明の目的は、高エナンチオマー過剰のL-グルホシネートを産生するための更なる酵素プロセスを提供することである。特に、このようなプロセスは、これまでL-グルホシネートの酵素合成に使用されなかった新しい基質の使用を可能にするはずである。
2.発明の概要
本発明は、上記の課題を、これまでL-グルホシネートの酵素産生に使用されなかった基質からL-グルホシネートを産生するための方法を提供することによって解決する。特に、本発明は、酵素触媒経路を用いてメチルホスフィン酸およびそのエステルからL-グルホシネートまたはL-グルホシネートのホスホエステルを産生するための方法を提供する。したがって、これらのリン化合物は、L-グルホシネートの産生における代替基質として機能し、L-グルホシネートの産生に現在使用されている既知の基質に依存しない柔軟な産生を可能にする。
特に、この目的は、活性化L-ホモセリンHを基質Sと反応させてこれらの化合物を産生するステップ(a)を含む、L-グルホシネートまたはそのホスホエステルを産生するための酵素触媒方法に関する本発明によって達成される。
pET-26b(+)_metY-Cgプラスミドマップを示す。 pET-26b(+)_metY_P2Tプラスミドマップを示す。 pET-26b(+)_metZ-Cvプラスミドマップを示す。 pET-26b(+)_metZ-Hnプラスミドマップを示す。
4.発明の詳細な説明
驚くべきことに、ある種のリン含有化合物、すなわちメチルホスフィン酸およびメチルホスフィン酸のエステルが、酵素触媒作用下で活性化L-ホモセリンと反応することができ、そうしてL-グルホシネートおよびL-グルホシネートホスホエステルへの新しい合成経路が開けることが見出された。これが特に驚くべきことなのは、DEMPなどの類似化合物が、活性化L-ホモセリンとの類似反応で反応しなかったからである。
したがって、本発明は、活性化L-ホモセリンHを、下記の構造(I)の基質Sと反応させて下記の構造(III)の化合物を産生するステップ(a)を含む、L-グルホシネートまたはそのホスホエステルを産生するための酵素触媒方法に関し、
Figure 2024515041000001
式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アリールから選択される。
本発明による「L-グルホシネートまたはそのホスホエステル」と示される化合物は、構造(III)で表される。構造(III)において、R=水素の場合、化合物は、L-GAである。
構造(III)において、Rが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アリールから選択される場合、化合物は、L-GAのホスホエステルである。
活性化L-ホモセリンHは、下記の構造(II)を有する:
Figure 2024515041000002
式中、Rは、1~15個の炭素原子を有する炭化水素基であり、該炭化水素基は、OH、COOH、NHから選択される少なくとも1個の官能基を任意に含む。
ステップ(a)における反応は、スルフヒドリラーゼE、シスタチオニンγ-シンターゼEからなる群より選択される少なくとも1つの酵素によって触媒される。
4.1 基質S
本発明による基質Sは、メチルホスフィン酸およびメチルホスフィン酸のエステルからなる群より選択される。
基質Sは、構造(I)を有する。構造(I)において、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アリールから選択され、
好ましくは、水素、アルキルから選択され、
好ましくは、水素、1~6個、好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキルから選択され、
より好ましくは、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチルから選択され、さらにより好ましくは、水素、メチル、エチル、n-ブチルから選択され、さらにより好ましくは、水素、メチル、n-ブチルから選択され、好ましくは、メチル、n-ブチルから選択される。最も好ましくは、Rは、n-ブチルである。
構造(I)において、R=水素の場合、化合物は、メチルホスフィン酸である。
構造(I)において、Rが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アリールから選択される場合、化合物は、メチルホスフィン酸のエステルである。
構造(I)および構造(III)におけるRは、同じである。
4.2 活性化L-ホモセリンH
本発明による反応における他の反応パートナーは、活性化L-ホモセリンHである。
当業者であれば、活性化L-ホモセリンH(例えば、国際公開第2008/013432号では「Lメチオニン前駆体」とも表記されることがある)を知っており、これは特にO-アシルL-ホモセリンを意味する。
4.2.1 活性化L-ホモセリンH
活性化L-ホモセリンは、化学構造(II)を以下のとおり有する:
Figure 2024515041000003
式中、Rは、1~15個の炭素原子を有する炭化水素基であり、該炭化水素基は、OH、COOH、NHから選択される少なくとも1個の官能基を任意に含む。
より好ましくは、活性化L-ホモセリンは、O-アセチル-L-ホモセリン[構造(II-A)]、O-スクシニル-L-ホモセリン[構造(II-B)]、O-プロピオニルL-ホモセリン[構造(II-C)]、O-アセトアセチル-L-ホモセリン[構造(II-D)]、O-クマロイル-L-ホモセリン[構造(II-E)]、O-マロニルL-ホモセリン[構造(II-F)]、O-ヒドロキシメチルグルタリル-L-ホモセリン[構造(II-G)]、およびO-ピメリル-L-ホモセリン[構造(II-H)]からなる群より選択される。
さらにより好ましくは、活性化L-ホモセリンは、O-アセチル-L-ホモセリン[構造(II-A)]、O-スクシニル-L-ホモセリン[構造(II-B)]からなる群より選択される。
最も好ましくは、活性化L-ホモセリンは、O-アセチル-L-ホモセリン[構造(II-A)]である。
Figure 2024515041000004
4.2.2 活性化L-ホモセリンHの化学合成
本発明の方法において使用される活性化L-ホモセリンHは、当業者に公知の有機化学合成経路で得ることができる。例えば、O-スクシニルホモセリンの合成は、M. Flavin, C. Slaughter, Biochemistry 1965, 4, 1370-1375に記載されている。O-アセチルホモセリンの合成は、S. Nagai, M. Flavin, Methods in Enzymology, Metabolism of Amino Acids and Amines Part B 1971, 17(Part B), 423-424に記載されている。
潜在的前駆体の化学合成については、例えば、M.D. Armstrong, J. Am. Chem. Soc. 1948, 70, 1756- 1759に記載されている。
4.2.3 活性化L-ホモセリンHのバイオテクノロジー合成
代替的に、かつ好ましくは、本発明で使用される活性化L-ホモセリンHは、バイオテクノロジー手段によって得られる。例えば、これは、国際公開第2008/013432号、またはH. Kase, K. Nakayama, Agr. BioI. Chem. 1974, 38, 2021-2030に記載されている。
活性化L-ホモセリンHを産生する菌株は、好ましくは、大腸菌属の種(Escherichia sp.)、エルウィニア属の種(Erwinia sp.)、セラチア属の種(Serratia sp.)、プロビデンシア属の種(Providencia sp.)、コリネバクテリウム属の種(Corynebacterium sp.)、シュードモナス属の種(Pseudomonas sp.)、レプトスピラ属の種(Leptospira sp.)、サルモネラ属の種(Salmonella sp.)、ブレビバクテリウム属の種(Brevibacterium sp.)、ヒフォモナス属の種(Hypomononas sp.)、クロモバクテリウム属の種(Chromobacterium sp.)、ノカルジア属の種(Norcardia sp.)、真菌、特に酵母からなる群より選択される。
L-ホモセリンを得るためのバイオテクノロジープロセスも、当該技術分野、例えば、米国特許第3,598,701号明細書、米国特許第6,303,348号明細書、欧州特許出願公開第0994190号明細書、欧州特許出願公開第1149911号明細書、国際公開第2004/067757号に記載されている。
4.3 酵素
本発明による方法は、酵素触媒される。
「酵素」という用語は、1つ以上の化学反応または生化学反応を多少なりとも特異的に触媒または促進する、全体または大部分がタンパク質またはポリペプチドから構成される物質を意味する。
本発明の任意の態様に従って使用される酵素のいずれも、単離された酵素であり得る。特に、本発明の任意の態様に従って使用される酵素は、活性状態で、すべての補因子、基質、補助ポリペプチドおよび/または活性化ポリペプチドまたはその活性に必須な因子の存在下で使用され得る。
特に、このことはまた、「シスタチオニンγ-シンターゼ」および「スルフヒドリラーゼ」、特に「O-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ」または「O-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼ」という用語が、それぞれの酵素を、それらの機能に必要なすべての補因子と組み合わせて含むことを意味する。特に、この補因子は5’-リン酸ピリドキサール一水和物(「PMP」)である。
「ポリペプチド」とは、アミノ酸と呼ばれる化学的構成要素が、ペプチド結合と呼ばれる化学結合で一緒につながった鎖のことである。酵素を含むタンパク質またはポリペプチドは、「ネイティブ型」または「野生型」である場合があり、前者は自然界に存在し、後者はネイティブタンパク質のアミノ酸配列を有することを意味する。これらの用語は互換的に用いられることもある。ポリペプチドはグリコシル化されていてもいなくてもよい。
本発明の任意の態様に従って使用される酵素は、組換え型であってもよい。本明細書で使用される「組換え型」という用語は、分子もしくはこのような分子によってコードされるもの、特に、それ自体が天然には存在しないが遺伝子工学の結果であるポリペプチドもしくは核酸を指すか、または組換え型分子を含む細胞を指す。例えば、核酸分子が組換え型と言われるは、核酸分子が、触媒的に活性なポリペプチドをコードする配列に機能的に連結されたプロモーターを含んでおり、そのプロモーターが、触媒的に活性なポリペプチドが、改変されていない元の核酸分子を含んでいる対応する野生型細胞におけるポリペプチドのレベルに対して過剰発現されるように操作されている場合である。更なる例として、ポリペプチドが組換え型と言われるのは、自然界に存在するポリペプチド配列と同一であるが、自然界に存在する任意のポリペプチド配列とは異なる1つ以上の点突然変異を含むように操作されている場合である。
本明細書で使用される「過剰発現」という用語は、コードまたは発現されたそれぞれのポリペプチドが、例えば、それぞれの野生型細胞において、発現を増加させるために行われた遺伝子修飾がないときに、同一の条件下で細胞内に通常見出されるよりも高いレベルまたは高い活性で発現されることを意味する。
本明細書で使用される「単離された」という用語は、目的の酵素が、天然に存在する細胞と比較して濃縮されていることを意味する。酵素は、SDSポリアクリルアミド電気泳動および/または活性アッセイによって濃縮され得る。例えば、クマシーブルー色素で染色した後、ポリアクリルアミドゲルを目視して判断すると、目的の酵素は、調製物中に存在する全ポリペプチドの5、10、20、50、75、80、85、90、95または99%超を構成し得る。
4.3.1 酵素EおよびE
本発明による方法のステップ(a)は、スルフヒドリラーゼEおよびシスタチオニンγ-シンターゼEからなる群より選択される少なくとも1つの酵素によって触媒される。
スルフヒドリラーゼは、下記の反応<1A>、<1B>のうちの少なくとも1つを触媒する酵素として当業者に知られている:
<1A>:O-アセチル-L-ホモセリン+メタンチオール→L-メチオニン+アセテート。
<1B>:O-スクシニル-L-ホモセリン+メタンチオール→L-メチオニン+スクシネート。
反応<1B>よりも反応<1A>に対する触媒活性が高いスルフヒドリラーゼを、「O-アセチル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼ」と表記することがある。
反応<1A>よりも反応<1B>に対する触媒活性が高いスルフヒドリラーゼを、「O-スクシニル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼ」と表記することがある。
シスタチオニンγ-シンターゼは、少なくとも下記の反応<2>を触媒する酵素として当業者に知られている:
<2>:O-スクシニル-L-ホモセリン+L-システイン→L-シスタチオニン+スクシネート。
好ましい実施形態において、本発明による方法のステップ(a)は、スルフヒドリラーゼEによって触媒され、このスルフヒドリラーゼは、さらにより好ましくはO-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼまたはO-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼであり、最も好ましくはO-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼである。
本発明による方法のステップ(a)において使用され得るスルフヒドリラーゼまたはシスタチオニンγ-シンターゼは、バシラス属の種(Bacillus sp.)、特に枯草菌(Bacillus subtilis);ブラディリゾビウム属の種(Bradyrhizobium sp.)、特にダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum);ブレビバクテリウム属の種(Brevibacterium sp.);コルウェリア属の種(Colwellia sp.)、特に好冷性細菌(Colwellia psychrerythraea);コリネバクテリウム属の種(Corynebacterium sp.)、特にコリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum)、フミン酸還元菌(Corynebacterium humireducens);クロモバクテリウム属の種(Chromobacterium sp.)、特にクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum);エルウィニア属の種(Erwinia sp.);大腸菌属の種(Escherichia sp.)、特に大腸菌(Escherichia coli);ヒフォモナス属の種(Hyphomonas sp.)、特にヒフォモナス・ネプチュニウム(Hyphomonas neptunium);クレブシエラ属の種(Klebsiella sp.)、特にクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae);レプトスピラ属の種(Leptospira sp.)、特に病原性レプトスピラ(Leptospira interrogans);メチロバシラス属の種(Methylobacillus sp.)、特にメチロバチルス・フラゲラータス(Methylobacillus flagellates);メチロコッカス属の種(Methylococcus sp.)、特にメチロコッカス・カプスラタス(Methylococcus capsulatus);ニトロソモナス属の種(Nitrosomonas sp.)、特にニトロソモナス・ユーロピア(Nitrosomonas europaea);ノカルジア属の種(Nocardia sp.)、特にノカルジア・ファルシニカ(Nocardia farcinica);プロビデンシア属の種(Providencia sp.);シュードモナス属の種(Pseudomonas sp.)、特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa);ロドバクター属の種(Rhodobacter sp.)、特にロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides);サルモネラ属の種(Salmonella sp.)、特にサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica);セラチア属の種(Serratia sp.);シゲラ属の種(Shigella sp.)、特に細菌性赤痢(Shigella flexneri);真菌、特に酵母、より好ましくはサッカロミセス属の種(Saccharomyces sp.)、さらにより好ましくは出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)から得ることができる。
本発明による方法において使用され得るスルフヒドリラーゼ酵素は、ECクラスEC2.5.1.49に分類されるO-アセチル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼまたはECクラスEC2.5.1.-に分類されるO-スクシニル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼであり得る。
これらの酵素は、メチオニン生合成のための直接スルフリル化経路の一部であり、PMP依存性である。これらの酵素は、例えば、M. P. Ferla and W. M. Patrick, Microbiology 2014, 160, 1571-1584に記載されている。
国際公開第02/18613号、国際公開第2007/024933号、欧州特許出願公開第2657345号明細書、欧州特許出願公開第2657250号明細書、国際公開第2015/165746号および国際公開第2008/013432号には、本発明によるO-アセチル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼおよびO-スクシニル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼ活性を有する酵素の例が開示されている。
本発明による方法に適したO-アセチル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼは、コリネバクテリウム属の種(Corynebacterium sp.)、特にコリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum)またはフミン酸還元菌(Corynebacterium humireducens);レプトスピラ属の種(Leptospira sp.)、特に病原性レプトスピラ(Leptospira interrogans);シュードモナス属の種(Pseudomonas sp.)、特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa);酵母、特にサッカロミセス属の種(Saccharomyces sp.)、好ましくは出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)に由来し得る。本発明による方法に適した好ましいO-アセチル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼは、コリネバクテリウム属の種(Corynebacterium sp.)、より好ましくはコリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum)またはフミン酸還元菌(Corynebacterium humireducens)、さらにより好ましくはコリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum)、さらにより好ましくはコリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum)ATCC13032に由来し得る。
本発明による方法に適したO-スクシニル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼは、ブラディリゾビウム属の種(Bradyrhizobium sp.)、特にダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum);クロモバクテリウム属の種(Chromobacterium sp.)、特にクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum);ヒフォモナス属の種(Hyphomonas sp.)、特にヒフォモナス・ネプチュニウム(Hyphomonas neptunium);メチロバシラス属の種(Methylobacillus sp.)、特にメチロバチルス・フラゲラータス(Methylobacillus flagellatus);メチロコッカス属の種(Methylococcus sp.)、特にメチロコッカス・カプスラタス(Methylococcus capsulatus);ニトロソモナス属の種(Nitrosomonas sp.)、特にニトロソモナス・ユーロピア(Nitrosomonas europaea);ノカルジア属の種(Nocardia sp.)、特にノカルジア・ファルシニカ(Nocardia farcinica);シュードモナス属の種(Pseudomonas sp.)、特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida);ロドバクター属の種(Rhodobacter sp.)、特にロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)に由来し得る。
本発明による方法に適した好ましいO-スクシニル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼは、クロモバクテリウム属の種(Chromobacterium sp.)、特にクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum);ヒフォモナス属の種(Hyphomonas sp.)、特にヒフォモナス・ネプチュニウム(Hyphomonas neptunium)に由来し得る。さらにより好ましくは、それはクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)ATCC12472、ヒフォモナス・ネプチュニウム(Hyphomonas neptunium)ATCC15444に由来し得る。
本発明による方法において使用され得るシスタチオニンγ-シンターゼは、ECクラスEC2.5.1.48に分類されるシスタチオニンγ-シンターゼであり得る。
これらの酵素は、PMP依存性であり、例えば、T. Clausen, R. Huber, L. Prade, M.C.Wahl and A. Messerschmidt, The EMBO Journal 1998, 17, 6827-6838に記載されている。
本発明による方法に適したシスタチオニンγ-シンターゼは、大腸菌属の種(Escherichia sp.)、特に大腸菌(Escherichia coli);コリネバクテリウム属の種(Corynebacterium sp.)、特にコリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum);クレブシエラ属の種(Klebsiella sp.)、特にクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae);バシラス属の種(Bacillus sp.)、特に枯草菌(Bacillus subtilis);シゲラ属の種(Shigella sp.)、特に細菌性赤痢(Shigella flexneri);コルウェリア属の種(Colwellia sp.)、特に好冷性細菌(Colwellia psychrerythraea);サルモネラ属の種(Salmonella sp.)、特にサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)に由来し得る。
それぞれの配列は、ブラウンシュヴァイク酵素データベース(Braunschweig Enzyme Database)(BRENDA、ドイツ、www.brenda-enzymes.org/index.phpから入手可能)、アメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnological Information)(NCBI、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/から入手可能)または京都遺伝子ゲノム百科事典(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)(KEGG、日本、www.https://www.genome.jp/kegg/から入手可能)などのデータベースから得ることができる。
下記の表1は、本発明による方法のステップ(a)において使用され得るスルフヒドリラーゼおよびシスタチオニンγ-シンターゼの好ましい例を示す。スルフヒドリラーゼをコードする遺伝子は、O-アセチル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼ(「AHS」)については「metY」、「met17」、および「Met17」と表示され、O-スクシニル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼ(「SHS」)については「metZ」と表示される。シスタチオニンγ-シンターゼ(「CGS」)をコードする遺伝子は、「metB」および「metI」と表示される。
Figure 2024515041000005
本発明の方法の好ましい実施形態において、ステップ(a)の反応は、スルフヒドリラーゼE、シスタチオニンγ-シンターゼEからなる群より選択される少なくとも1つの酵素によって触媒され、スルフヒドリラーゼ酵素Eのポリペプチド配列は、
- 配列番号2および配列番号2のバリアント、配列番号6および配列番号6のバリアント、配列番号19および配列番号19のバリアント、配列番号22および配列番号22のバリアント、配列番号23および配列番号23のバリアントからなる群より選択されるO-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ、ならびに
- 配列番号10および配列番号10のバリアント、配列番号14および配列番号14のバリアント、配列番号18および配列番号18のバリアント、配列番号20および配列番号20のバリアント、配列番号24および配列番号24のバリアント、配列番号25および配列番号25のバリアント、配列番号26および配列番号26のバリアント、配列番号27および配列番号27のバリアント、配列番号28および配列番号28のバリアント、配列番号34および配列番号34のバリアントからなる群より選択されるO-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼ
からなる群より選択され、
- シスタチオニンγ-シンターゼEのポリペプチド配列は、配列番号17およびそのバリアント、配列番号21およびそのバリアント、配列番号29およびそのバリアント、配列番号30およびそのバリアント、配列番号31およびそのバリアント、配列番号32およびそのバリアント、配列番号33およびそのバリアントからなる群より選択される。
本発明の方法のより好ましい実施形態において、ステップ(a)の反応は、以下からなる群より選択されるスルフヒドリラーゼEによって触媒される:
配列番号2および配列番号2のバリアント、配列番号6および配列番号6のバリアント、配列番号19および配列番号19のバリアント、配列番号22および配列番号22のバリアント、配列番号23および配列番号23のバリアントからなる群より選択されるO-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ、ならびに
配列番号10および配列番号10のバリアント、配列番号14および配列番号14のバリアント、配列番号18および配列番号18のバリアント、配列番号20および配列番号20のバリアント、配列番号24および配列番号24のバリアント、配列番号25および配列番号25のバリアント、配列番号26および配列番号26のバリアント、配列番号27および配列番号27のバリアント、配列番号28および配列番号28のバリアント、配列番号34および配列番号34のバリアントからなる群より選択されるO-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼ。
本発明の方法のさらにより好ましい実施態様において、ステップ(a)の反応は、配列番号2および配列番号2のバリアント、配列番号6および配列番号6のバリアントからなる群より選択されるO-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ、ならびに配列番号10および配列番号10のバリアント、配列番号14および配列番号14のバリアントからなる群より選択されるO-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼからなる群より選択されるスルフヒドリラーゼEによって触媒される。
本発明の方法のさらにより好ましい実施形態において、ステップ(a)の反応は、配列番号2、配列番号6からなる群より選択されるO-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ、および配列番号10、配列番号14からなる群より選択されるO-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼからなる群より選択されるスルフヒドリラーゼEによって触媒される。
「バリアント」という用語は、下記でさらに説明される(項目4.3.3.1)。本出願の文脈において、「バリアント」は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド配列を意味すると理解される。
4.3.2 酵素を得るための方法
本発明による方法において使用され得る酵素は、当業者に公知の方法で合成することができる。
一手法は、大腸菌(=「E.coli」)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、メタノール資化性酵母(Pichia pastoris)などの微生物で酵素を発現させ、全細胞を全細胞生体触媒として反応に加えることである。別の手法は、酵素を発現させ、微生物を溶解し、細胞溶解液を加えることである。さらに別の手法は、酵素を溶解液から精製、または部分的に精製し、純粋な酵素もしくは部分的に純粋な酵素を反応に加えることである。反応に複数の酵素が必要な場合、単一の微生物内ですべての酵素を発現させることを含め、酵素を1つまたは複数の微生物で発現させることができる。
例えば、当業者であれば、本発明による酵素を、例えば、独国特許出願公開第10031999号明細書に記載されているように、細胞におけるこれらの酵素の発現、特に過剰発現(これ以降、「発現、特に過剰発現」を「(過剰)発現」と略記し、「発現、特に過剰発現する」を「(過剰)発現する」と略記する)およびその後の単離によって得ることができる。エピソームプラスミドが、例えば、それぞれの遺伝子の発現を増加させるために使用される。このようなプラスミドにおいて、(過剰)発現される核酸分子、または(過剰)発現されるポリペプチドもしくは酵素をコードする核酸分子は、遺伝子の上流に位置するlacプロモーターなどの強力な誘導性プロモーターの制御下に置くことができる。プロモーターは、RNAポリメラーゼホロ酵素の結合部位および転写開始点を構成する約40~50塩基対からなるDNA配列であり(M. Patek, J. Holatko, T. Busche, J. Kalinowski, J. Nesvera, Microbial Biotechnology 2013, 6, 103-117)、それによって、制御されるポリヌクレオチドまたは遺伝子の発現の強さに影響を与えることができる。「機能的連結」は、プロモーターと遺伝子の連続的な配置によって得られ、遺伝子の転写が引き起こされる。
発現を増加させるための適切な強力なプロモーターまたはこのようなプロモーターを作製する方法は、文献から公知である(例えば、S. Lisser & H. Margalit, Nucleic Acid Research 1993, 21, 1507-1516; M. Patek and J. Nesvera in H. Yukawa and M Inui (eds.), Corynebacterium glutamicum, Microbiology Monographs 23, Springer Verlag Berlin Heidelberg 2013, 51-88; B. J. Eikmanns, E. Kleinertz, W. Liebl, H. Sahm, Gene 1991, 102, 93-98)。例えば、ネイティブプロモーターは、これらのプロモーターに機能的に連結された遺伝子の発現を増加させることに関して、既知のコンセンサス配列の方向にプロモーター配列を変更することによって最適化され得る(M. Patek, B. J. Eikmanns, J. Patek, H. Sahm, Microbiology 1996, 142, 1297-1309; M. Patek, J. Holatko, T. Busche, J. Kalinowski, J. Nesvera, Microbial Biotechnology 2013, 6, 103-117)。
酵素活性をコードする遺伝子が、例えばグルコース依存性deoプロモーターなどのプロモーターの制御下で連続的に発現される(過剰)発現には、構成的プロモーターも適している。tac、lac、またはtrpなどの化学的に誘導されたプロモーターも適している。プロモーターを誘導するためのシステムとして最も普及しているのは、大腸菌(E.coli)のlacオペロンである。この場合、ラクトースまたはイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)がインデューサーとして使用される。また、アラビノース(例えば、pBADシステム)またはラムノース(例えば、大腸菌KRX)をインデューサーとして用いる系も一般的である。物理的誘導のシステムとしては、例えば、タカラバイオ社製の大腸菌cspAプロモーターもしくはLambda PLに基づく温度誘導性コールドショックプロモーターシステム、また浸透圧誘導性プロモーター、例えば、osmB(例えば国際公開第95/25785号)である。
適切なプラスミドまたはベクターは、原則として、当業者がこの目的に利用可能なすべての実施形態である。先行技術には、この目的に使用され得る標準プラスミド、例えば、pET-3aまたはpET-26b(+)(Novagen社から市販されている)に例示されるベクターのpETシステムが記載されている。更なるプラスミドおよびベクターは、例えば、Novagen社、Promega社、New England Biolabs社、Clontech社またはGibco BRL社のパンフレットから入手することができる。更なる好ましいプラスミドおよびベクターは、以下に見出すことができる:Glover, D.M. (1985) DNA cloning: a practical approach, Vol. I-III, IRL Press Ltd., Oxford; Rodriguez, R.L. and Denhardt, D. T (eds) (1988) Vectors : a survey of molecular cloning vectors and their uses, 179-204, Butterworth, Stoneham; Goeddel, D. V. (1990) Systems for heterologous gene expression, Methods Enzymol. 185, 3-7; Sambrook, J.; Fritsch, E. F. and Maniatis, T. (1989), Molecular cloning: a laboratory manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York。
次いで、増幅される遺伝子を含むプラスミドベクターを、例えば、コンジュゲーションまたは形質転換によって、所望の菌株に変換する。コンジュゲーションの方法は、例えば、A. Schaefer, J. Kalinowski, A. Puehler, Applied and Environmental Microbiology 1994, 60, 756-759に記載されている。形質転換の方法は、例えば、G. Thierbach, A. Schwarzer, A. Puehler, Applied Microbiology and Biotechnology 1988, 29, 356-362, L. K. Dunican & E. Shivnan, Bio/Technology 1989, 7, 1067-1070およびA. Tauch, O. Kirchner, L. Wehmeier, J. Kalinowski, A. Puehler, FEMS Microbiology Letters 1994, 123, 343-347に記載されている。「クロスオーバー」イベントによる相同組換え後、得られた菌株は、当該遺伝子のコピーを少なくとも2つ含んでいる。
所望の酵素は、当業者に公知の方法で、例えば、ボールミル、フレンチプレスまたは超音波破砕機を用いて、所望の活性を含む細胞を破砕し、その後、細胞、細胞破片、および例えばガラスビーズなどの破砕助剤を13000rpmおよび4℃で10分間遠心分離することにより分離することによって単離することができる。得られた無細胞粗抽出物を使用して、酵素アッセイとLC-ESI-MSによる産物のその後の検出を行うことができる。代替的に、酵素は、クロマトグラフィー法(例えばニッケル-ニトリロ三酢酸アフィニティークロマトグラフィー、ストレプトアビジンアフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィー)により、当業者に公知の方法で濃縮するか、あるいは均質になるまで精製することができる。
核酸またはポリペプチドが(過剰)発現しているかどうかは、核酸分子の場合には定量的PCR反応によって決定し、ポリペプチドの場合にはSDSポリアクリルアミド電気泳動、ウェスタンブロッティングまたは比較活性アッセイによって決定することができる。遺伝子修飾は、選択および/または同定された培養条件下での酵素活性および/または選択性の変化をもたらす転写的、翻訳的および/または翻訳後修飾を対象とすることができる。
4.3.3 定義
4.3.3.1 「バリアント」
本発明の文脈において、ポリペプチド配列に関する「バリアント」という用語は、参照配列に対する同一性の程度が少なくとも80%、より好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%のポリペプチドのポリペプチド配列を指す。さらに特定の実施形態において、同一性の程度は、少なくとも98.0%、より好ましくは少なくとも98.2%、より好ましくは少なくとも98.4%、より好ましくは少なくとも98.6%、より好ましくは少なくとも98.8%、より好ましくは少なくとも99.0%、より好ましくは少なくとも99.1%、より好ましくは少なくとも99.2%、より好ましくは少なくとも99.3%、より好ましくは少なくとも99.4%、より好ましくは少なくとも99.5%、より好ましくは少なくとも99.6%、より好ましくは少なくとも99.7%、より好ましくは少なくとも99.8%、または少なくともより好ましくは少なくとも99.9%である。ある種のポリペプチド配列の「バリアント」が、そのポリペプチド配列と同一ではないことは言うまでもない。
このようなバリアントは、特にアミノ酸配列において、欠失、挿入、置換、またはそれらの組み合わせ、ならびにこのような高分子またはそのバリアントを含む融合体を導入することによって調製することができる。
所与のポリペプチドの特性および機能の有意な修飾をもたらさない所与のポリペプチド配列のアミノ酸残基の修飾が当業者に知られている。したがって、例えば、多くのアミノ酸は、多くの場合、問題なく相互に交換できる。このような適切なアミノ酸置換の例は、以下のとおりである:AlaはSerによって;ArgはLysによって;AsnはGlnまたはHisによって;AspはGluによって;CysはSerによって;GlnはAsnによって;GluはAspによって;GlyはProによって;HisはAsnまたはGlnによって;IleはLeuまたはValによって;LeuはMetまたはValによって;LysはArgまたはGlnまたはGluによって;MetはLeuまたはIleによって;PheはMetまたはLeuまたはTyrによって;SerはThrによって;ThrはSerによって;TrpはTyrによって;TyrはTrpまたはPheによって;ValはIleまたはLeuによって。また、特にポリペプチドのN末端またはC末端における、例えばアミノ酸の挿入または欠失の形での修飾は、多くの場合、ポリペプチドの機能に重大な影響を及ぼさないことも知られている。
これと一致して、配列番号2、配列番号6、配列番号19、配列番号22、配列番号23、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号20、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号34、配列番号17、配列番号21、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、および配列番号33のうちのいずれかの本発明による好ましいバリアントは、それぞれ、タンパク質の機能、例えば触媒活性、またはタンパク質の折り畳みもしくは構造に必須であるそれぞれの配列のアミノ酸を含むポリペプチド配列を有する。酵素、特にスルフヒドリラーゼまたはシスタチオニンγ-シンターゼの活性が維持されるように、他のアミノ酸が、欠失、置換もしくは挿入によって置き換えられてもよく、または必須アミノ酸が保存的な方法で置き換えられてもよい。
4.3.3.2 「配列同一性」
当業者は、2つのヌクレオチド間またはアミノ酸配列間の類似性または同一性を計算するために、様々なコンピュータプログラムが利用可能であることを認識している。
同一性を決定するための好ましい方法は、最初に、比較される配列間の最大のアラインメントを生成する。同一性を決定するためのコンピュータプログラムには、以下を含むGCGプログラムパッケージが含まれるが、これらに限定されない:
- GAP[J. Deveroy et al., Nucleic Acid Research 1984, 12, page 387, Genetics Computer Group University of Wisconsin, Medicine (WI)]、ならびに
- BLASTP、BLASTNおよびFASTA(S. Altschul et al., Journal of Molecular Biology 1990, 215, 403-410)。BLASTプログラムは、アメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)および他の情報源から取得することができる(BLAST Handbook, S. Altschul et al., NCBI NLM NIH Bethesda ND 22894; S. Altschul et al., 上記)。
例えば、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセンテージは、S. B. Needleman and C. D. Wunschにより開発されたアルゴリズム(J. Mol. Biol. 1970, 48, 443-453)(これはGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに統合されている)によって、BLOSUM62行列またはPAM250行列のいずれか、16、14、12、10、8、6もしくは4のギャップ重み(gap weight)、および1、2、3、4、5もしくは6の長さ重み(length weight)を用いて決定することができる。当業者であれば、異なるパラメータを使用することでわずかに異なる結果がもたらされるが、全体として2つのアミノ酸配列間の同一性パーセンテージが大きく異なることはないことを認識するであろう。BLOSUM62行列は、通常、デフォルト設定(ギャップ重み:12、長さ重み:1)を適用して使用される。
本発明の文脈において、上記のアルゴリズムに従って80%の配列同一性は80%の相同性を意味する。同じことが、より高い同一性についても当てはまる。
最も好ましくは、配列間の同一性の程度は、本発明の文脈において、プログラム「Needle」で、置換行列BLOSUM62、ギャップ開始ペナルティ10、およびギャップ伸長ペナルティ0.5を使用して決定される。Needleプログラムは、S. B. Needleman and C. D. Wunsch, J. Mol. Biol. 1970, 48, 443-453に記載されているグローバルアラインメントアルゴリズムを実装している。本発明に従って使用される置換行列は、BLOSUM62であり、ギャップ開始ペナルティは10であり、ギャップ伸長ペナルティは0.5である。本発明の文脈において使用される好ましいバージョンは、F. Madeira, Y.M. Park, J. Lee, N. Buso, T. Gur, N. Madhusoodanan, P. Basutkar, A.R.N. Tivey, S.C. Potter, R.D. Finn, Nucleic Acids Research 2019, 47, W636-W641, Web Server issue(2021年3月31日にhttps://www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/からオンライン経由でアクセス可能な推奨バージョン)。
特定の実施形態において、ポリペプチドのアミノ酸配列と参照ポリペプチド配列とのまたは参照ポリペプチド配列に対する同一性パーセンテージは、i)Needleプログラムを使用して、BLOSUM62置換行列、ギャップ開始ペナルティ10、およびギャップ伸長ペナルティ0.5により、2つアミノ酸配列をアライメントし、ii)アラインメント内の完全一致の数を数え、iii)完全一致の数を2つのアミノ酸配列のうち最長のものの長さで除算し、iv)iii)の除算した結果をパーセンテージに変換することによって決定することができる。
4.3.3.3 「特に活性の高いバリアントを同定するための好ましいアッセイ」
4.3.3.3.1 アッセイA
配列番号2、配列番号6、配列番号19、配列番号22、配列番号23、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号20、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号34、配列番号17、配列番号21、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、および配列番号33のうちのいずれかの特に好ましいポリペプチドバリアントは、それぞれ、本発明の文脈において、下記のアッセイ(「アッセイA」)において活性を示すものとして当業者に同定され得る。
アッセイAは、下記のステップにより行われる:
A1)まず、試験されるバリアントの活性を、下記のステップA1.1)、A1.2)、A1.3)によって以下のとおり測定する:
A1.1)リン酸緩衝剤(0.1M、pH7.5)、3mM O-アセチル-L-ホモセリン-HCl、10μMの5’-リン酸ピリドキサール一水和物、および試験されるポリペプチド1.0nmolを含む反応液990μlを調製し、50℃に加熱する。
A1.2)P-メチルホスフィン酸ブチル(MPBE、CAS#6172-80-1)の200mM溶液10μlを加えて反応を開始する。反応液中のMPBEの濃度は2mMである。
A1.3)MPBEの添加後、50℃で120分間反応させる。次いで、1%ギ酸水溶液10μlを加え、氷上で冷却することによって、反応を停止させる。
A2)次いで、下記のステップA2.1)、A2.2)、およびA2.3)によって以下のとおりブランクテストを行う:
A2.1)リン酸緩衝剤(0.1M、pH7.5)、3mM O-アセチル-L-ホモセリン-HCl、10μMの5’-リン酸ピリドキサール一水和物を含む反応液990μlを調製し、50℃に加熱する。
A2.2)P-メチルホスフィン酸ブチル(MPBE、CAS#6172-80-1)の200mM溶液10μlを加えて反応を開始する。
A2.3)MPBEの添加後、50℃で120分間反応させる。次いで、10μlの1%ギ酸溶液を加え、氷上で冷却することによって、反応を停止させる。
A3)最後に、A1.3)およびA2.3)の反応液中で得られたL-GAのブチル-ホスホエステル(すなわち、R=n-ブチルの式(III)による化合物)の量(モル)を、それぞれ、好ましくは項目5.7に記載されるLC-MS分析によって決定し、比較する。
A4)A1.3)について決定されたL-GAのブチル-ホスホエステルの量がA2.3)について決定された量より多い場合、試験されるバリアントは、アッセイAにおいて活性を示す。
A1.3)について決定されたL-GAのブチル-ホスホエステルの量が、A2.3)について決定された量と同じかそれより少ない場合、試験されるバリアントは、アッセイAにおいて活性を示さない。
ステップA1.3)およびA2.3)における好ましいギ酸溶液は、ギ酸アンモニウムまたはギ酸ナトリウム溶液である。代替的に、ステップA1.3)およびA2.3)における反応は、メタノール、好ましくはメタノール1mlを加えることによって停止させることもできる。
4.3.3.3.2 アッセイB
更なるアッセイ(「アッセイB」)において、配列番号2、配列番号6、配列番号19、配列番号22、配列番号23、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号20、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号34、配列番号17、配列番号21、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、および配列番号33のうちのいずれかのポリペプチドバリアントの活性が、それぞれ、ポリペプチドに関して決定され得る。
アッセイBは、下記のステップにより行われる:
B1)まず、「標準」ポリペプチド標準の活性(すなわち、配列番号2、配列番号6、配列番号19、配列番号22、配列番号23、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号20、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号34、配列番号17、配列番号21、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、および配列番号33から選択される1つのポリペプチド配列)を、下記のステップB1.1)、B1.2)、およびB1.3)によって以下のとおり決定する:
B1.1)リン酸緩衝剤(0.1M、pH7.5)、3mM O-アセチル-L-ホモセリン-HCl、10μMの5’-リン酸ピリドキサール一水和物、および「標準」ポリペプチド1.0nmolを含む反応液990μlを調製し、50℃に加熱する。
B1.2)P-メチルホスフィン酸ブチル(MPBE、CAS#6172-80-1)の200mM溶液10μlを加えて反応を開始する。反応液中のMPBEの濃度は2mMである。
B1.3)MPBE添加後、50℃で120分間反応させる。次いで、1%ギ酸水溶液10μlを加え、氷上で冷却することによって、反応を停止させる。
B2)次いで、下記のステップB1.1)、B1.2)、およびB1.3)を、バリアントを用いて繰り返す:
B2.1)リン酸緩衝剤(0.1M、pH7.5)、3mM O-アセチル-L-ホモセリン-HCl、10μMの5’-リン酸ピリドキサール一水和物、試験される「バリアント」ポリペプチド1.0nmolを含む反応液990μlを調製し、50℃に加熱する。
B2.2)P-メチルホスフィン酸ブチル(MPBE、CAS#6172-80-1)の200mM溶液10μlを加えて反応を開始する。反応液中のMPBEの濃度は2mMである。
B2.3)MPBEの添加後、50℃で120分間反応させる。次いで、10μlの1%ギ酸水溶液を加え、氷上で冷却することによって、反応を停止させる。
B3)最後に、B1.3)およびB2.3)の反応液中で得られたL-GAのブチル-ホスホエステル(すなわち、R=n-ブチルの式(III)による化合物)の量を、好ましくは項目5.7に記載されるLC-MS分析によって決定し、比較する。
B4)次いで、B2.3)で得られたL-GAのブチル-ホスホエステルの量(モル)の比を、B1.3)で得られたL-GAのブチル-ホスホエステルの量(モル)で除算する。次いで、この比に100を乗じて、「標準」ポリペプチドに対するバリアントポリペプチドの相対活性をパーセントで示す。
ステップB1.3)およびB2.3)における好ましいギ酸溶液は、ギ酸アンモニウムまたはギ酸ナトリウム溶液である。代替的に、ステップB1.3)およびB2.3)における反応は、メタノール、好ましくはメタノール1mlを加えることによって停止させることもできる。
4.3.3.4 「好ましいバリアント」
4.3.3.4.1 「配列番号2のバリアント」
特に、配列番号2のバリアントは、ポリペプチド配列の配列番号2に対して、≧80%、より好ましくは≧85%、より好ましくは≧90%、より好ましくは≧91%、より好ましくは≧92%、より好ましくは≧93%、より好ましくは≧94%、より好ましくは≧95%、より好ましくは≧96%、より好ましくは≧97%、より好ましくは≧98%、より好ましくは≧99%、より好ましくは≧99.9%の配列同一性を有するポリペプチドである。
配列番号2の好ましいバリアントは、項目4.3.3.3.1のアッセイAにおいて活性を示す。
さらにより好ましくは、配列番号2のそれぞれのバリアントの活性は、項目4.3.3.3.2のアッセイBにおいて決定される配列番号2の活性に対して、少なくとも1%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも99%である。
さらにより好ましくは、配列番号2のそれぞれのバリアントの活性は、項目4.3.3.3.2のアッセイBにおいて決定される配列番号2の活性に対して、1~1000%の範囲、好ましくは5~500%の範囲、より好ましくは10~400%の範囲、より好ましくは40~200%の範囲、より好ましくは50~150%の範囲、より好ましくは60~140%の範囲、より好ましくは70~130%の範囲、より好ましくは80~120%の範囲、より好ましくは90~110%の範囲、より好ましくは100%の範囲である。
4.3.3.4.2 「配列番号6のバリアント」
特に、配列番号6のバリアントは、ポリペプチド配列の配列番号6に対して、≧80%、より好ましくは≧85%、より好ましくは≧90%、より好ましくは≧91%、より好ましくは≧92%、より好ましくは≧93%、より好ましくは≧94%、より好ましくは≧95%、より好ましくは≧96%、より好ましくは≧97%、より好ましくは≧98%、より好ましくは≧99%、より好ましくは≧99.9%の配列同一性を有するポリペプチドである。
配列番号6の好ましいバリアントは、項目4.3.3.3.1のアッセイAにおいて活性を示す。
さらにより好ましくは、配列番号6のそれぞれのバリアントの活性は、項目4.3.3.3.2のアッセイBにおいて決定される配列番号6の活性に対して、少なくとも1%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも99%である。
さらにより好ましくは、配列番号6の活性は、項目4.3.3.3.2のアッセイBにおいて決定される配列番号6の活性に対して、1~1000%の範囲、好ましくは5~500%の範囲、より好ましくは10~400%の範囲、より好ましくは40~200%の範囲、より好ましくは50~150%の範囲、より好ましくは60~140%の範囲、より好ましくは70~130%の範囲、より好ましくは80~120%の範囲、より好ましくは90~110%の範囲、より好ましくは100%の範囲である。
4.3.3.4.3 「配列番号10のバリアント」
特に、配列番号10のバリアントは、ポリペプチド配列の配列番号10に対して、≧80%、より好ましくは≧85%、より好ましくは≧90%、より好ましくは≧91%、より好ましくは≧92%、より好ましくは≧93%、より好ましくは≧94%、より好ましくは≧95%、より好ましくは≧96%、より好ましくは≧97%、より好ましくは≧98%、より好ましくは≧99%、より好ましくは≧99.9%の配列同一性を有するポリペプチドである。
配列番号10の好ましいバリアントは、項目4.3.3.3.1のアッセイAにおいて活性を示す。
さらにより好ましくは、配列番号10のそれぞれのバリアントの活性は、項目4.3.3.3.2のアッセイBにおいて決定される配列番号10の活性に対して、少なくとも1%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも99%である。
さらにより好ましくは、配列番号10のそれぞれのバリアントの活性は、項目4.3.3.3.2のアッセイBにおいて決定される配列番号10の活性に対して、1~1000%の範囲、好ましくは5~500%の範囲、より好ましくは10~400%の範囲、より好ましくは40~200%の範囲、より好ましくは50~150%の範囲、より好ましくは60~140%の範囲、より好ましくは70~130%の範囲、より好ましくは80~120%の範囲、より好ましくは90~110%の範囲、より好ましくは100%の範囲である。
4.3.3.4.4 「配列番号14のバリアント」
特に、配列番号14のバリアントは、ポリペプチド配列の配列番号14に対して、≧80%、より好ましくは≧85%、より好ましくは≧90%、より好ましくは≧91%、より好ましくは≧92%、より好ましくは≧93%、より好ましくは≧94%、より好ましくは≧95%、より好ましくは≧96%、より好ましくは≧97%、より好ましくは≧98%、より好ましくは≧99%、より好ましくは≧99.9%の配列同一性を有するポリペプチドである。
配列番号14の好ましいバリアントは、項目4.3.3.3.1のアッセイAにおいて活性を示す。
さらにより好ましくは、配列番号14のそれぞれのバリアントの活性は、項目4.3.3.3.2のアッセイBにおいて決定される配列番号14の活性に対して、少なくとも1%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも99%である。
さらにより好ましくは、配列番号14のそれぞれのバリアントの活性は、項目4.3.3.3.2のアッセイBにおいて決定される配列番号14の活性に対して、1~1000%の範囲、好ましくは5~500%の範囲、より好ましくは10~400%の範囲、より好ましくは40~200%の範囲、より好ましくは50~150%の範囲、より好ましくは60~140%の範囲、より好ましくは70~130%の範囲、より好ましくは80~120%の範囲、より好ましくは90~110%の範囲、より好ましくは100%の範囲である。
4.3.3.4.5 更なるバリアント
配列番号19、配列番号22、配列番号23、配列番号18、配列番号20、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号34、配列番号17、配列番号21、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33のうちのいずれかの好ましいバリアントは、それぞれ、項目4.3.3.4.1に記載される配列番号2について記載されるように、準用して決定され得る。
配列番号19の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号19」という語に置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号22の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号22」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号23の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号23」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号18の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号18」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号20の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号20」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号24の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号24」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号25の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号25」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号26の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号26」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号27の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号27」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号28の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号28」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号34の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号34」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号17の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号17」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号21の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号21」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号29の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号29」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号30の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号30」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号31の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号31」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号32の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号32」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
配列番号33の好ましいバリアントは、項目4.3.3.4.1の記載において、「配列番号2」という語を「配列番号33」という語で置き換えた場合に生じる手順によって決定され得る。
4.4 方法条件
本発明による方法のステップa)における反応は、当業者に公知の条件下で行うことができる。
活性化L-ホモセリンHを基質Sと反応させる反応媒体は、好ましくは水性であり、より好ましくは水性緩衝剤である。
バイオトランスフォーメーションにおいて一般的に使用され、本明細書において有利に使用される例示的な緩衝剤としては、トリス、リン酸塩、またはグッド緩衝剤のいずれか、例えば2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(「MES」)、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(「ADA」)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(「PIPES」)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(「ACES」)、P-ヒドロキシ-4-モルホリンプロパンスルホン酸(「MOPSO」)、塩化クロラミン、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(「MOPS」)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(「BES」)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(「TES」)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(「HEPES」)、3-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホン酸(「DIPSO」)、アセトアミドグリシン、3-(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ(2-ヒドロキシプロパン)スルホン酸(「TAPSO」)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(「POPSO」)、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(「HEPPSO」)、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(「HEPPS」)、トリシン、グリシンアミド、ビシン、または3-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]プロパン-1-スルホン酸(「TAPS」)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、アンモニウムは、緩衝剤として作用し得る。1つ以上の有機溶媒も反応に加えてよい。
好ましくは、本発明による方法のステップa)は、リン酸緩衝剤中で行われる。
方法のステップa)における反応媒体のpHは、好ましくは2~10の範囲、より好ましくは5~8の範囲、最も好ましくは7.5である。
本発明による方法は、好ましくは20℃~70℃の範囲、より好ましくは30℃~55℃の範囲、最も好ましくは50℃の範囲の温度で行われる。
4.5 L-グルホシネートホスホエステル
本発明による方法の産生物は、下記の構造(III)の化合物である:
Figure 2024515041000006
構造(III)による化合物は、L-グルホシネート(R=Hの場合)またはL-グルホシネートホスホエステル(R=アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキルまたはアリールの場合)である。
=n-ブチルの構造(III)による化合物は、「L-GA-Bu」または「LGA-Bu」と略記される。
当業者であれば、構造(III)による化合物中の残基Rの同一性は、基質構造(I)中の残基Rの同一性に依存することを理解する。
が水素である場合、L-グルホシネートは、本発明による方法において直接的に得られる。
がアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アリール、好ましくはアルキル、より好ましくはメチル、エチル、n-ブチルから選択される好ましい実施形態において、化合物(III)は、L-グルホシネートホスホエステルである。
それらの実施形態において、本発明による方法は、ステップ(a)において得られ、Rがアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アリール、好ましくはアルキル、より好ましくはメチル、エチル、n-ブチルから選択される構造(III)の化合物を鹸化してL-グルホシネートを得る更なるステップb)を含むことがさらに好ましい。
これは当業者に公知の方法で行うことができる。
好ましくは、このような鹸化は、酸性条件下で、より好ましくは、ステップ(a)で得られる構造(III)の化合物を含む反応媒体1容量と6N HCl4容量とを2時間混合し、得られた混合物を50℃~150℃、好ましくは100℃でインキュベートすることによって行われる。
代替的に、酵素鹸化を行うこともできる。
5.実施例
スルフヒドリラーゼ(EC2.5.1.-およびEC2.5.1.49)をコードする異なる起源の遺伝子について、活性化ホモセリン誘導体および構造(I)に従った異なる基質と反応してグルホシネート誘導体を形成する能力を試験した。
5.1 例1 適切な酵素の同定およびプラスミドの構築
5.1.1 考察したスルフヒドリラーゼ
この例で使用したO-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼおよびO-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼの遺伝子の文献詳細を表2にまとめた。
Figure 2024515041000007
5.1.2 遺伝子発現プラスミドの調製
5.1.2.1 コリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum)由来のO-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼmetY
コリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum)ATCC13032由来のmetY遺伝子は、O-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼをコードし、NCBIのNC_003450でアクセス可能なゲノム配列の遺伝子座タグNCgl0625に記載されている。
酵素の発現を実現するために、発現ベクターpET-26b(+)(Novagen EMD Millipore社)を使用した。したがって、配列番号3によるmetY_CgポリヌクレオチドをGeneArt(ThermoFisher Scientific社(米国ウォルサム在))により合成した。
発現ベクターpET-26b(+)_metY-Cgをアセンブルするために、ベクターpET-26(+)およびmetY_Cgポリヌクレオチドを共にNdeIおよびNotIで処理し、ライゲーションし、ライゲーション混合物を使用して大腸菌を形質転換した。得られたベクターpET-26b(+)_metY-Cgを図1に概略的に示す。
発現ベクターpET-26b(+)_metY-CgのDNAを、形質転換体から単離した。
5.1.2.2 コリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum)由来のO-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼmetY_P2T
O-アセチルホモセリンスルフリラーゼバリアントmetY_P2Tは、配列番号5によるポリヌクレオチドによってコードされ、このポリヌクレオチドは、4位~6位までのヌクレオ塩基がacaであることを除いて、配列番号1のポリヌクレオチドと同一である。
配列番号5のポリヌクレオチドは、配列番号6のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、このポリペプチドは、2位のアミノ酸プロリンがスレオニンで置換されていることを除いて、配列番号1のポリヌクレオチドと同一である。
酵素バリアントmetY_P2Tの発現を実現するために、発現ベクターpET-26b(+)(Novagen EMD Millipore社)を使用した。したがって、配列番号7によるmetY_P2TポリヌクレオチドをGeneArt(ThermoFisher Scientific社(米国ウォルサム在))により合成した。
発現ベクターpET-26b(+)_metY_P2Tをアセンブルするために、ベクターpET-26(+)およびmetY_P2Tポリヌクレオチドを共にNdeIおよびNotIで処理し、ライゲーションし、ライゲーション混合物を使用して大腸菌を形質転換した。得られたベクターpET-26b(+)_metY_P2Tを図2に概略的に示す。
発現ベクターpET-26b(+)_metY_P2TのDNAを、形質転換体から単離した。
5.1.2.3 クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)由来のO-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼmetZ
クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)ATCC12472由来のmetZ遺伝子は、O-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼをコードし、NCBIのAE016825でアクセス可能なゲノム配列の遺伝子座タグCV_2725に記載されている。
酵素の発現を実現するために、発現ベクターpET-26b(+)(Novagen EMD Millipore社)を使用した。したがって、配列番号11によるmetZ_CvポリヌクレオチドをGeneArt(ThermoFisher Scientific社(米国ウォルサム在))により合成した。
発現ベクターpET-26b(+)_metZ-Cvをアセンブルするために、ベクターpET-26(+)およびmetZ_Cvポリヌクレオチドを共にNdeIおよびXhoIで処理し、ライゲーションし、ライゲーション混合物を使用して大腸菌を形質転換した。得られたベクターpET-26b(+)_metZ-Cvを図3に概略的に示す。
発現ベクターpET-26b(+)_metZ-CvのDNAを、形質転換体から単離した。
5.1.2.4 ヒフォモナス・ネプチュニウム(Hyphomonas neptunium)由来のO-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼmetZ
ヒフォモナス・ネプチュニウム(Hyphomonas neptunium)ATCC15444由来のmetZ遺伝子は、O-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼをコードし、NCBIのCP000158でアクセス可能なゲノム配列の遺伝子座タグHNE_2672に見出すことができる。
酵素の発現を実現するために、発現ベクターpET-26b(+)(Novagen EMD Millipore社)を使用した。したがって、配列番号15によるmetZ_HnポリヌクレオチドをGeneArt(ThermoFisher Scientific社(米国ウォルサム在))により合成した。
発現ベクターpET-26b(+)_metZ-Hnをアセンブルするために、ベクターpET-26(+)およびmetZ_Hnポリヌクレオチドを共にXbaIおよびXhoIで処理し、ライゲーションし、ライゲーション混合物を使用して大腸菌を形質転換した。得られたベクターpET-26b(+)_metZ-Hnを図4に概略的に示す。
発現ベクターpET-26b(+)_metZ-HnのDNAを、形質転換体から単離した。
5.2 形質転換およびスフヒドリラーゼの発現
スルフヒドリラーゼ遺伝子を持つこれらのベクターを、各々大腸菌BL21(DE3)(New England Biolabs社)に形質転換し、その後、50mg/lのカナマイシンを含むLB培地寒天プレート上で37℃にて16時間培養した。ネガティブコントロールとして、ベクターpET26b(+)を挿入していないBL21菌株を使用した。
得られた菌株を、それぞれEc BL21 pET-26b(+)_metY-Cg、Ec BL21 pET-26b(+)_metY-Cg_P2T、Ec BL21 pET-26b(+)_metZ-Cv、Ec BL21 pET-26b(+)_metZ-Hn、Ec BL21 pET-26b(+)と名付けた。
各ケースにおいて、コロニーを選択し、これを50mg/lのカナマイシンを含むLB培地10mlに接種し、37℃、250rpmで6時間培養した。その後、LB培地50μlを50mg/lカナマイシンで処理し、増殖細胞培養物50μlを接種し、28℃、250rpmで16時間インキュベートした。この細胞培養物を、50μg/lのカナマイシンを含有する新鮮なLB培地200mlでODが0.15になるまで2lフラスコ中で希釈し、ODが0.5に達するまで同一条件下でさらに培養した(約4時間)。次いで、300mM IPTGストック溶液(最終濃度300μMのイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)、Sigma-Aldrich社、ドイツ)200μlを加えることによって、遺伝子発現誘導の開始点に影響を与えた。誘導は28℃、250rpmで4時間行った。次いで、培養物を採取し(8ml、OD=1に標準化)、遠心分離(20分、4000rpm、4℃)で上清を除去し、ペレット化した細胞を0.1Mリン酸カリウム緩衝剤(pH7.5)800μlで2回洗浄し、緩衝剤1mlに取り込んだ。機械的細胞消化をFastPrep FP120機器(QBiogene社,ハイデルベルク在)で行って、ガラスビーズ(直径0.2~0.3mm)300mgを入れた消化容器中で細胞を6.5m/sで30秒間4回振盪した。次いで、未消化の細胞および細胞破片を除去するため、粗抽出物を12000rpm、4℃で20分間遠心分離した。上清を酵素アッセイに使用した。上清中のポリペプチドの濃度は、SDSページおよびソフトウェアGelQuant(登録商標)(BiochemLabSolutions社)を介した各バンドの分析によって決定した。
5.3 本発明による例I1~I4
それぞれのポリペプチドが、それぞれのリン含有基質と活性化L-ホモセリンとの反応を触媒するかどうかを決定するために、下記のアッセイを行った。活性化L-ホモセリン基質としてO-アセチル-L-ホモセリンを使用した。
880μlのリン酸緩衝剤(0.1M、pH7.5)に、O-アセチルホモセリン-HClの30mM水溶液100μl、5’-リン酸ピリドキサール一水和物(1mM)の1mM水溶液10μl、P-メチルホスフィン酸ブチル(CAS番号6172-80-1;「MPBE」)の200mM水溶液10μlを加えた。反応は50℃で120分間行った。次いで、100μlのバッチ溶液を100μlのメタノールで希釈し、LC-MS QQQ(項目5.7)に適用してLGA-Buを分析した。
5.4 本発明による例I5
pET-26b(+)_metY-Cg_P2Tから単離したポリペプチドの触媒作用を、P-メチルホスフィン酸メチル(「MPME」;CAS番号16391-06-3)との反応でさらに試験した。
1nmolのこのポリペプチドを含有する880μlのリン酸緩衝剤(0.1M、pH7.5)に、O-アセチルホモセリン-HClの30mM水溶液100μl、5’-リン酸ピリドキサール一水和物(1mM)の1mM水溶液10μl、MPMEの200mM水溶液10μlを加えた。反応は50℃で120分間行った。次いで、100μlのバッチ溶液を100μlのメタノールで希釈し、LC-MS QQQ(項目5.7)に適用してLGA-Buを分析した。
5.4 比較例C1~C4
他のリン化合物が上記反応の基質として機能するかどうかをさらに調査した。ジエチルメチルホスホナイト(「DEMP」;CAS番号15715-41-0)をこの目的で試験した。
試験されるポリペプチド1nmolを含有するリン酸緩衝剤880μl(0.1M、pH7.5)に、O-アセチルホモセリン-HClの30mM水溶液100μl、5’-リン酸ピリドキサール一水和物(1mM)の1mM水溶液10μl、DEMPの200mM水溶液10μlを加えた。反応は50℃で120分間行った。次いで、バッチ溶液100μlを100μlのメタノールで希釈し、LC-MS QQQ(項目5.7)に適用してLGA-Buを分析した。
5.5 比較例C5~C8
さらに、上記反応<1A>に従って、それぞれのポリペプチドがO-アセチルホモセリンとメチルメルカプタン(「MM」;CAS番号74-93-1)との野生型反応を触媒するかどうかを調べた。
試験されるポリペプチド1nmolを含有するリン酸緩衝剤880μl(0.1M、pH7.5)に、O-アセチルホモセリン-HClの30mM水溶液100μl、5’-リン酸ピリドキサール一水和物(1mM)の1mM水溶液10μl、MMの200mM水溶液10μlを加えた。反応は50℃で120分間行った。その後、バッチ溶液100μlを100μlのメタノールで希釈し、LC-MS QQQ(項目5.7)に適用してそれぞれの産生物を分析した。
本発明による例I1~I4の場合、産生物は、構造(III)による化合物であり、R=n-ブチル(「LGA-Bu」)である。
本発明による例I5の場合、産生物は、構造(III)による化合物であり、R=メチルである。
比較例C1~C4の場合、産生物は、構造(III)による化合物であり、R=エチル(「LGA-Et」)である。
比較例C5~C6の場合、産生物はメチオニンである。
結果を下記の表3にまとめる。使用した略号は、以下のとおりである:
「DEMP」=メチルジエトキシホスフィン(CAS番号15715-41-0);
「MPBE」=P-メチルホスフィン酸ブチル(CAS番号6172-80-1);
「MPME」=P-メチルホスフィン酸メチル(CAS番号16391-06-3);
「MM」=メチルメルカプタン(CAS-No:74-93-1)。
Figure 2024515041000008
5.6 結果
表3にまとめた結果は、驚くべきことに、試験したポリペプチドが、MPBEおよびMPMEなどの他の基質であるメチルホスフィン酸化合物を受け入れ、活性化L-ホモセリンとの反応を触媒して、LGAのそれぞれのn-ブチルまたはメチルリン酸エステルを産生することを示している。
この知見がさらに驚くべきものだったのは、DEMPなどの他のリン酸化合物は基質として機能しないため、当業者はこれらの酵素がこれらの反応を触媒するとは予想しなかったからである。
この知見は、LGAおよびその誘導体に対する新しい酵素経路を開くものである。
5.7 分析方法
実験の分析測定はすべて、LC-MS QQQシステムでスキャンして行った。サンプルはメタノールで希釈した(v:v=1:2)。
適用したHPLCは、Agilent社の1260 Infinityシリーズで、エレクトロスプレーイオン化質量分析計6420トリプル四重極に接続されている。ピークの同定は、ポジティブ検出モードで保持時間および分子量によって行った。
データの評価は、ピーク面積およびゼロを含まない二次キャリブレーションによって行った。
取得方法の詳細
イオン源 ESI(エレクトロスプレーイオン化)
時間パラメータ
質量範囲 m/z=50~300
スキャン/秒 400
フラグメンテーション 40V
極性 ポジティブ(スキャンモード)
ソースパラメータ
ガス温度 350℃
ガス流量 12l/分
ネブライザー 50psi
キャピラリー 4000V
バイナリポンプ
注入量 2.00μL
流量 0.60 mL/分
溶媒組成
溶媒A 100mMの酢酸アンモニウム+HO中0.1%(v/v)ギ酸
溶媒B アセトニトリル中0.1%ギ酸
グラジエントは表4を参照
Figure 2024515041000009
カラム
タイプ Luna HILIC;100x2mm;3μm;Phenomenex 00D-4449-BO
温度 30.0℃
6.配列の概要
下記の表は、本出願の文脈で言及されたDNAおよびタンパク質配列の概要を提供する:
使用した略号は、以下のとおりである:「AHS」=O-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ;「SHS」=O-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼ;「CGS」=シスタチオニンγ-シンターゼ。
Figure 2024515041000010
Figure 2024515041000011
Figure 2024515041000012

Claims (11)

  1. L-グルホシネートまたはそのホスホエステルを産生するための酵素触媒方法であって、
    活性化L-ホモセリンHを下記構造(I)の基質Sと反応させて下記構造(III)の化合物を産生するステップ(a)を含み、
    Figure 2024515041000013
    式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アリールから選択され、
    前記活性化L-ホモセリンHは、下記の構造(II)を有し、
    Figure 2024515041000014
    式中、Rは、1~15個の炭素原子を有する炭化水素基であり、前記炭化水素基は、OH、COOH、NHから選択される少なくとも1つの官能基を任意に含み、
    ステップ(a)における前記反応が、スルフヒドリラーゼE、シスタチオニンγ-シンターゼEからなる群より選択される少なくとも1つの酵素によって触媒される、
    酵素触媒方法。
  2. 前記活性化L-ホモセリンHが、O-スクシニル-L-ホモセリン、O-アセチル-L-ホモセリンから選択される、請求項1記載の方法。
  3. 前記活性化L-ホモセリンHが、O-アセチル-L-ホモセリンである、請求項2記載の方法。
  4. が、水素、アルキルから選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. アルキル基が、メチル、エチル、n-ブチルから選択される、請求項4記載の方法。
  6. が、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アリールから選択され、ステップ(a)において得られる前記構造(III)の前記化合物を鹸化してL-グルホシネートを得るステップ(b)をさらに含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  7. ステップ(a)における前記反応が、スルフヒドリラーゼEによって触媒される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 前記スルフヒドリラーゼEが、O-アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼまたはO-スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼである、請求項7記載の方法。
  9. 前記スルフヒドリラーゼ酵素Eのポリペプチド配列が、
    配列番号2および配列番号2のバリアント、配列番号6および配列番号6のバリアント、配列番号19および配列番号19のバリアント、配列番号22および配列番号22のバリアント、配列番号23および配列番号23のバリアント、
    配列番号10および配列番号10のバリアント、配列番号14および配列番号14のバリアント、配列番号18および配列番号18のバリアント、配列番号20および配列番号20のバリアント、配列番号24および配列番号24のバリアント、配列番号25および配列番号25のバリアント、配列番号26および配列番号26のバリアント、配列番号27および配列番号27のバリアント、配列番号28および配列番号28のバリアント、配列番号34および配列番号34のバリアント
    からなる群より選択され、
    前記シスタチオニンγ-シンターゼEのポリペプチド配列が、配列番号17および配列番号17のバリアント、配列番号21および配列番号21のバリアント、配列番号29および配列番号29のバリアント、配列番号30および配列番号30のバリアント、配列番号31および配列番号31のバリアント、配列番号32および配列番号32のバリアント、配列番号33および配列番号33のバリアントからなる群より選択され、バリアントは、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 前記活性化L-ホモセリンHが、活性化L-ホモセリンHを産生する菌株の発酵によって調製される、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 前記活性化L-ホモセリンHを産生する菌株が、大腸菌属の種(Escherichia sp.)、エルウィニア属の種(Erwinia sp.)、セラチア属の種(Serratia sp.)、プロビデンシア属の種(Providencia sp.)、コリネバクテリウム属の種(Corynebacterium sp.)、シュードモナス属の種(Pseudomonas sp.)、レプトスピラ属の種(Leptospira sp.)、サルモネラ属の種(Salmonella sp.)、ブレビバクテリウム属の種(Brevibacterium sp.)、ヒフォモナス属の種(Hypomononas sp.)、クロモバクテリウム属の種(Chromobacterium sp.)、ノカルジア属の種(Norcardia sp.)、真菌からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
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