JP2023553990A - S-メチルチオリボースキナーゼポリペプチドならびにs-メチルチオリボースキナーゼポリペプチドの製造方法および使用方法 - Google Patents

S-メチルチオリボースキナーゼポリペプチドならびにs-メチルチオリボースキナーゼポリペプチドの製造方法および使用方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、天然に存在する野生型MTRキナーゼポリペプチドと比較して改善された特性(D-リボースおよび5’-D-イソブチリルリボースをリン酸化してアルファ-D-リボース-1-ホスファートおよびアルファ5’-D-イソブチリルリボース-1-ホスファートを生成する能力を含む)を有するMTRキナーゼポリペプチドを提供する。MTRキナーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、MTRキナーゼポリペプチドを発現しうる宿主細胞、ならびにアルファ-D-リボース-1-ホスファートおよびアルファ5’-D-イソブチリルリボース-1-ホスファートを合成するためのMTRキナーゼポリペプチドの使用方法も提供する。

Description

本開示は、生体触媒プロセスおよび合成プロセスにおいて有用なS-メチルチオリボースキナーゼポリペプチドに関する。そのような酵素は、5’-アシルもしくはアルキル基を含有するリボヌクレオシドの製造の一部として、またはそのようなリボヌクレオシドの製造中に生成される中間体の製造の一部として使用されうる合成プロセスにおいて、特に有用でありうる。
酵素は、生きた細胞の化学反応を(多くの場合、数桁)加速するように働くポリペプチドである。酵素がなければ、ほとんどの生化学反応は遅すぎて、生命過程を行うことすらできないであろう。酵素は大きな特異性を示し、反応へのその関与によって永久的に修飾されることはない。酵素は反応中に変化しないため、所望の化学変換のための触媒として費用効果的に使用されうる。
MTRキナーゼとしても公知であるS-メチルチオリボースキナーゼは、S-メチル-5-チオリボースの選択的1-リン酸化を触媒する特定のクラスの酵素であるリン酸化触媒である。これらの酵素の合成的応用は学術文献においてこれまでに報告されていない。MTRキナーゼクラスに属する酵素は、1-リン酸化糖の合成に有用であり、これは次いでヌクレオシドホスホリラーゼの作用によって対応ヌクレオシドに変換されうることが、本明細書において示される。MTRキナーゼは、ATPを使用してリボースおよびリボース類似体の1位を選択的にリン酸化しうる。酵素によるリン酸化は、ホスホリル供与体として作用しうる補因子、多くの場合には例えばATPのようなヌクレオチド三リン酸の関与を要する。
MTRキナーゼは、これまでのところ、限られた生化学的特徴付けの対象であるに過ぎない。例えば、Kenneth A.Cornellら,317 BIOCHEM.J.285-290(1996);Toshihiro Nakanoら,77(5)BIOSCI.BIOTECHNOL.BIOCHEM.1104-1107(2013);Agnieszka Sekowskaら,BMC MICROBIOLOGY 2001,1:15;Andrezej Guranowski,71 PLANT PHYSIOL.932-935(1983);Shao-Yang Kuら,ACTA CRYST.(2004)D60,116-119;Margret Sauterら,136 PLANT PHYSIOLOGY 4061-6071(December 2004)を参照されたい。バイオインフォマティクスによるアラインメントを用いて、この酵素ファミリーの追加的な推定メンバーを特定することが可能である。本明細書においては、合成における使用のためのこれらの酵素の有用性を実証する。
発明の概括
本開示は、特にヌクレオチド合成の一部として、リボースおよび5-イソブチリルリボースを対応1-ホスファートに変換しうるMTRキナーゼであるポリペプチドに関する。実施形態においては、本明細書に記載されている主題のMTRキナーゼは、リボースをリボース-1-ホスファートに、または5-イソブチリルリボースを5-イソブチリルリボース-1-ホスファートに変換しうる。特に、本明細書に記載されている主題のMTRキナーゼは、例えばウリジン4-オキシム5’-(2-メチルプロパノアート)、および特に{(2R,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-[(4Z)-4-(ヒドロキシイミノ)-2-オキソ-3,4ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル]オキソラン-2-イル}メチル2-メチルプロパノアートのようなヌクレオシドの製造において有用でありうる。そのようなヌクレオシドは、生物学的に活性な化合物として、またはより複雑な生物学的に活性な化合物の合成の中間体として有用でありうる。
追加的な実施形態は主題のMTRキナーゼの製造方法および主題のMTRキナーゼの使用方法を記載する。
本開示の他の実施形態、態様および特徴は以下の説明、実施例および添付の特許請求の範囲において更に詳細に記載されており、またはそれらから明らかとなるであろう。
発明の詳細な説明
定義
特定の科学技術用語を以下に具体的に定義する。本明細書の他の箇所で特に示されていない限り、本明細書で用いる他の全ての科学技術用語は、本開示に関連する当業者によって一般に理解されている意味を有する。すなわち、本明細書中で用いる用語は、その各使用箇所に無関係に、その通常の意味を有する。それでも、特に示されていない限り、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって以下の定義が適用される。化学名、一般名および化学構造は、同一構造を表すために互換的に用いられうる。化学構造と化学名との両方を用いて化合物が示されており、構造と名称との間に不明確さが存在する場合には、構造が優先される。特に示されていない限り、これらの定義は、用語が単独で用いられているか他の用語と組合せて用いられているかに無関係に適用される。したがって、「アルキル」の定義は「アルキル」、および「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、「-O-アルキル」などの「アルキル」部分に適用される。
本明細書および本開示の全体で用いる以下の用語は、特に示されていない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである。
添付の特許請求の範囲を含む本明細書において用いる単数形は、文脈に明らかに矛盾しない限り、対応する複数対象物を含む。特に、単数形の項目(アイテム)のそれぞれは、一覧から選択される単一の項目、および一覧から選択される2以上の項目の混合物を含む。したがって、例えば、「ポリペプチド」に対する言及は複数のポリペプチドを含む。
本明細書中で用いる「少なくとも1つ」の項目または「1以上」の項目なる語のそれぞれは、一覧から選択される単一の項目、および一覧から選択される2以上の項目の混合物を含む。例えば、「少なくとも1つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼポリペプチド」(あるいは「S-メチル-5-チオリボースキナーゼポリペプチド」、「少なくとも1つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素」、「S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素」、「少なくとも1つのMTRキナーゼポリペプチド」、「MTRポリペプチド」、「少なくとも1つのMTRキナーゼ」、「MTRキナーゼ」、「少なくとも1つのMTRキナーゼ酵素」または「MTRキナーゼ酵素」とも称される)は、単一のMTRキナーゼ、および2以上の異なるMTRキナーゼの混合物を意味する。同様に、「少なくとも2つ」の項目および「2以上」の項目なる語のそれぞれは、一覧から選択される2つの項目の混合物、および一覧から選択される3以上の項目の混合物を含む。
本明細書および特許請求の範囲の全体において用いる「から本質的になる」、および「から本質的になり」または「から本質的になっており」のようなその変形は、任意の列挙されている要素または要素群の包含、および特定されている投与レジメン、方法または組成物の基本的または新規な特性を実質的に改変しない、列挙されている要素と類似または異なる性質の他の要素の随意的包含(すなわち、所望により包含されていてもよいこと)を示す。
本明細書および特許請求の範囲に全体における「含む」なる語、または「含み」もしくは「含んでおり」のような変形は、示されている整数または整数群の包含を意味するが、任意の他の整数または整数群の除外を意味しないと理解される。「含む」、「含み」、「含んでおり」、「包含する」、「包含し」および「包含しており」なる語は交換可能であり、限定的であるとは意図されない。したがって、本明細書中で用いる「含む」およびその同族語はそれらの包括的な意味で用いられる(すなわち、「包含する」なる語およびその対応同族語と同意義である)。文脈によって特に要求されない限り、単数形の語は複数形を含むものとし、複数形の語は単数形を含むものとする。「例:」または「例えば」なる語に続くいずれの具体例も網羅的または限定的であるとは意図されない。本明細書において「含む」なる語で実施形態が記載されている場合は常に、「からなる」および/または「から本質的になる」なる語で記載される、それ以外の点では同様の実施形態も提供されると理解される。
そうでないと明示されていない限り、本明細書中で挙げられている全ての範囲は包括的である。すなわち、範囲は範囲の上限および下限の値ならびにそれらの間の全ての値を含む。全ての範囲は、必ずしも明示的に記載されているわけではない含まれる全ての部分的範囲をも含むと意図される。例えば、本明細書に記載されている温度範囲、比率、当量の範囲などは範囲の上限および下限ならびにそれらの間の連続的な任意の値を含む。本明細書に記載されている数値および「約」なる語の使用は±1%、±2%、±3%、±4%、±5%および±10%の変動ならびにそれらの数的同等物を含みうる。「約」なる語は特定の値に関する許容誤差を意味し、これは、幾つかの場合には、0.05%、0.5%、1.0%または2.0%を意味する。幾つかの場合には、「約」は、与えられた値の1、2、3または4標準偏差内を意味する。数値で定義されたパラメーターを修飾するために用いられる場合の「約」は、該パラメーターが、そのパラメーターに関する示されている数値の上下に10%も変動しうることを意味し、適切な場合には、示されているパラメーターは最も近い整数に丸められうる。例えば、約5mgの量は4.5mgと5.5mgとの間で変動しうる。また、本明細書中で用いる「または」なる語は、適切な場合に組合されうる選択肢を示す。すなわち、「または」なる語は、列挙されている個別の各選択肢およびそれらの組合せを含む。
「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化、脂質化、ミリストイル化、ユビキチン化など)には無関係に、アミド結合によって共有結合した少なくとも2つのアミノ酸の重合体を示すために本明細書において互換的に用いられる。
本明細書に開示されているポリペプチドに関して用いる「アミノ酸」または「残基」は或る配列位置における特定の単量体を意味する。アミノ酸は、本明細書においては、それらの一般に公知である三文字記号またはIUPAC-IUB生化学命名委員会により推奨されている一文字記号のいずれかにより示される。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般に受け入れられている一文字コードにより示されうる。
遺伝的にコードされるアミノ酸に関して用いる略語は通常のものであり、以下のとおりである:アラニン(AlaまたはA)、アルギニン(ArgまたはR)、アスパラギン(AsnまたはN)、アスパラギン酸(AspまたはD)、システイン(CysまたはC)、グルタミン酸(GluまたはE)、グルタミン(GlnまたはQ)、ヒスチジン(HisまたはH)、イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、リジン(LysまたはK)、メチオニン(MetまたはM)、フェニルアラニン(PheまたはF)、プロリン(ProまたはP)、セリン(SerまたはS)、スレオニン(ThrまたはT)、トリプトファン(TrpまたはW)、チロシン(TyrまたはY)およびバリン(ValまたはV)。
遺伝的にコードされるヌクレオシドに関して用いる略語は通常のものであり、以下のとおりである:アデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、チミジン(T)およびウリジン(U)。特に示されていない限り、略記されているヌクレオシドはリボヌクレオシドまたは2’-デオキシリボヌクレオシドのいずれかでありうる。ヌクレオシドは、リボヌクレオシドまたは2’-デオキシリボヌクレオシドのいずれかとして、個別に又は集合体として特定されうる。核酸配列が一文字略語の文字列として表されている場合、配列は、一般的な慣例に従い、5’から3’への方向で示され、ホスファートは示されない。
MTRキナーゼポリペプチドに関して本明細書中で用いる「に由来」は、由来する元のMTRキナーゼポリペプチド、および/またはMTRポリペプチドが基づいているそのようなMTRキナーゼポリペプチドをコードする遺伝子を示す。例えば、配列番号7のMTRキナーゼは、配列番号1のMTRポリペプチドをコードする遺伝子を複数世代にわたって人工的に進化させることにより得られた。したがって、この進化したMTRキナーゼポリペプチドは配列番号1のMTRキナーゼ「に由来」する。
「親水性アミノ酸または残基」は、Eisenbergら(1984,J.MOL.BIOL.179:125-142)の標準化コンセンサス疎水性スケールにおいて0未満の疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基を意味する。遺伝的にコードされる親水性アミノ酸には、L-Thr(T)、L-Ser(S)、L-His(H)、L-Glu(E)、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Asp(D)、L-Lys(K)およびL-Arg(R)が含まれる。
「酸性アミノ酸または残基」は、アミノ酸がペプチドまたはポリペプチド内に含まれる場合に約6未満のpK値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を意味する。酸性アミノ酸は、典型的には、水素イオンの喪失ゆえに生理的pHにおいて負荷電側鎖を有する。遺伝的にコードされる酸性アミノ酸には、L-Glu(E)およびL-Asp(D)が含まれる。
「塩基性アミノ酸または残基」は、アミノ酸がペプチドまたはポリペプチド内に含まれる場合に約6より大きいpKa値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を意味する。塩基性アミノ酸は、典型的には、ヒドロニウムイオンとの会合ゆえに生理的pHにおいて正荷電側鎖を有する。遺伝的にコードされる塩基性アミノ酸には、L-Arg(R)およびL-Lys(K)が含まれる。
「極性アミノ酸または残基」は、2つの原子により共有される電子対がそれらの原子のうちの1つによってより強固に保持されている少なくとも1つの結合を有し生理的pHにおいて非荷電である側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を意味する。遺伝的にコードされる極性アミノ酸には、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Ser(S)およびL-Thr(T)が含まれる。
「無極性アミノ酸または残基」は、2つの原子により共有される電子対がそれらの2つの原子のそれぞれによって概ね同等に保持されている結合を有する側鎖を有し(すなわち、側鎖は極性ではない)生理的pHにおいて非荷電である側鎖を有する疎水性アミノ酸または残基を意味する。遺伝的にコードされる無極性アミノ酸には、L-Gly(G)、L-Leu(L)、L-Val(V)、L-Ile(I)、L-Met(M)およびL-Ala(A)が含まれる。
「疎水性アミノ酸または残基」は、Eisenbergら(1984,J.MOL.BIOL.179:125-142)の標準化コンセンサス疎水性スケールにおいて0を超える疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基を意味する。遺伝的にコードされる疎水性アミノ酸には、L-Pro(P)、L-Ile(I)、L-Phe(F)、L-Val(V)、L-Leu(L)、L-Trp(W)、L-Met(M)、L-Ala(A)およびL-Tyr(Y)が含まれる。
「芳香族アミノ酸または残基」は、少なくとも1つの芳香環またはヘテロ芳香環を含む側鎖を有する親水性または疎水性のアミノ酸または残基を意味する。遺伝的にコードされる芳香族アミノ酸には、L-Phe(F)、L-Tyr(Y)、L-His(H)およびL-Trp(W)が含まれる。L-His(H)ヒスチジンは本明細書においては親水性残基または拘束残基としても分類される。
本明細書中で用いる「拘束(constrained)アミノ酸または残基」は、拘束された幾何学的形状を有するアミノ酸または残基を意味する。この場合、拘束残基には、L-Pro(P)およびL-His(H)が含まれる。ヒスチジンが拘束幾何学的形状を有するのは、それが比較的小さなイミダゾール環を有するからである。プロリンが拘束幾何学的形状を有するのは、それも5員環を有するからである。
本明細書中で用いる「脂肪族アミノ酸または残基」は、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸または残基を意味する。遺伝的にコードされる脂肪族アミノ酸には、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Leu(L)およびL-Ile(I)が含まれる。
L-Cys(C)(およびSH含有側鎖を有する他のアミノ酸)が還元型遊離SHまたは酸化型ジスルフィド架橋形態のいずれとしてペプチド内に存在しうるかは、L-Cys(C)がペプチドに正味の疎水性を付与するのか親水性を付与するのかに影響を及ぼす。L-Cys(C)は、Eisenbergの標準化コンセンサススケール(Eisenbergら,1984,前掲)において0.29の疎水性を示すが、本開示の目的においては、L-Cys(C)はそれ自身の特有のグループに分類されると理解されるべきである。システイン(または「L-Cys」または「[C]」)は、それが他のL-Cys(C)アミノ酸または他のスルファニルもしくはスルフヒドリル含有アミノ酸とジスルフィド架橋を形成しうる点で、特異であることに注目すべきである。「システイン様残基」には、システイン、およびジスルフィド架橋の形成に利用可能なスルフヒドリル部分を含有する他のアミノ酸が含まれる。
本明細書中で用いる「小さなアミノ酸または残基」は、合計3個以下の炭素および/またはヘテロ原子(α炭素および水素を除く)から構成される側鎖を有するアミノ酸または残基を意味する。小さなアミノ酸または残基は、前記の定義に従い、脂肪族、無極性、極性または酸性の小さなアミノ酸または残基として更に分類されうる。遺伝的にコードされる小さなアミノ酸には、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Cys(C)、L-Asn(N)、L-Ser(S)、L-Thr(T)およびL-Asp(D)が含まれる。
「ヒドロキシル含有アミノ酸または残基」は、ヒドロキシル(-OH)部分を含有するアミノ酸を意味する。遺伝的にコードされるヒドロキシル含有アミノ酸には、L-Ser(S)、L-Thr(T)およびL-Tyr(Y)が含まれる。
本明細書中で用いる「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、互いに共有結合している2以上のヌクレオチドを意味する。ポリヌクレオチドは、全体がリボヌクレオチドから構成されていること(すなわち、RNA)、全体が2’デオキシリボヌクレオチドから構成されていること(すなわち、DNA)、またはリボヌクレオチドと2’デオキシリボヌクレオチドとの混合物から構成されていることが可能である。ヌクレオシドは、典型的には、標準的なホスホジエステル結合により互いに連結されるが、ポリヌクレオチドは1以上の非標準的な結合を含みうる。ポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であることが可能であり、あるいはポリヌクレオチドは一本鎖領域と二本鎖領域との両方を含むことが可能である。更に、ポリヌクレオチドは、典型的には、天然に存在するコード化核酸塩基(すなわち、アデニン、グアニン、ウラシル、チミンおよびシトシン)から構成されるが、それは1以上の修飾および/または合成核酸塩基、例えばイノシン、キサンチン、ヒポキサンチンなどを含みうる。幾つかの実施形態においては、そのような修飾または合成核酸塩基は、アミノ酸配列をコードする核酸塩基である。
本明細書中で用いる「ヌクレオシド」は、核酸塩基(すなわち、窒素含有塩基)と5炭素糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)とを含むグリコシルアミンを意味する。ヌクレオシドの非限定的な例には、シチジン、ウリジン、アデノシン、グアノシン、チミジンおよびイノシンが含まれる。これに対して、「ヌクレオチド」なる語は、核酸塩基、5炭素糖および1以上のホスファート基を含むグリコシルアミンを意味する。幾つかの実施形態においては、ヌクレオシドはキナーゼによりリン酸化されて、ヌクレオチドを生成しうる。
本明細書中で用いる「ヌクレオシド二リン酸」は、核酸塩基(すなわち、窒素含有塩基)、5炭素糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)およびジホスファート(二リン酸)(すなわち、ピロホスファート)部分を含むグリコシルアミンを意味する。本明細書における幾つかの実施形態においては、「ヌクレオシド二リン酸」は「NDP」と略称される。ヌクレオシド二リン酸の非限定的な例には、シチジン二リン酸(CDP)、ウリジン二リン酸(UDP)、アデノシン二リン酸(ADP)、グアノシン二リン酸(GDP)、チミジン二リン酸(TDP)およびイノシン二リン酸(IDP)が含まれる。「ヌクレオシド」および「ヌクレオチド」なる語は幾つかの文脈においては互換的に用いられうる。
本明細書中で用いる「ヌクレオシド三リン酸」は、核酸塩基(すなわち、窒素含有塩基)、5炭素糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)およびトリホスファート(三リン酸)部分を含むグリコシルアミンを意味する。本明細書における幾つかの実施形態においては、「ヌクレオシド三リン酸」は「NTP」と略称される。ヌクレオシド三リン酸の非限定的な例には、シチジン三リン酸(CTP)、ウリジン三リン酸(UTP)、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン三リン酸(GTP)、チミジン三リン酸(TTP)およびイノシン三リン酸(ITP)が含まれる。「ヌクレオシド」および「ヌクレオチド」なる語は幾つかの文脈においては互換的に用いられうる。
本明細書中で用いる「保存的アミノ酸置換」は、ある残基を、類似側鎖を有する異なる残基で置換することを意味し、したがって、典型的には、ポリペプチド内のアミノ酸を、同一または類似の定められたアミノ酸クラス内のアミノ酸で置換することを含む。限定的なものではないが例えば、幾つかの実施形態においては、脂肪族側鎖を有するアミノ酸は、別の脂肪族アミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン)で置換され、ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸は、ヒドロキシル側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、セリンおよびスレオニン)で置換され、芳香族側鎖を有するアミノ酸は、芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよびヒスチジン)で置換され、塩基性側鎖を有するアミノ酸は、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、リジンおよびアルギニン)で置換され、酸性側鎖を有するアミノ酸は、酸性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸)で置換され、および/または、疎水性もしくは親水性アミノ酸は、それぞれ別の疎水性もしくは親水性アミノ酸で置換される。
本明細書中で用いる「非保存的置換」は、ポリペプチド内のアミノ酸を、有意に異なる側鎖特性を有するアミノ酸で置換することを意味する。非保存的置換は、定められたグループ内ではなく、定められたグループ間のアミノ酸を用いることが可能であり、(a)置換領域におけるペプチド骨格の構造(例えば、グリシンからプロリンへの置換)、(b)電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩高さに影響を及ぼす。限定的なものではないが例えば、代表的な非保存的置換は、酸性アミノ酸から塩基性または脂肪族アミノ酸への置換、芳香族アミノ酸から小さなアミノ酸への置換、および親水性アミノ酸から疎水性アミノ酸への置換でありうる。
本明細書中で用いる「欠失」は、参照ポリペプチドからの1以上のアミノ酸の除去によるポリペプチドへの修飾を意味する。欠失は、酵素活性を保持しつつ及び/又は進化した酵素の改善された特性を保持しつつ、参照酵素を構成する1以上のアミノ酸、2以上のアミノ酸、5以上のアミノ酸、10以上のアミノ酸、15以上のアミノ酸または20以上のアミノ酸、アミノ酸の総数の最大10%またはアミノ酸の総数の最大20%の除去を含みうる。欠失はポリペプチドの内部部分および/または末端部分に導入されうる。種々の実施形態においては、欠失は連続的セグメントを含むことが可能であり、あるいは不連続でありうる。欠失は、典型的には、アミノ酸配列において「-」により示される。
本明細書中で用いる「挿入」は、参照ポリペプチドと比較した場合の1以上のアミノ酸の付加によるポリペプチドへの修飾を意味する。挿入はポリペプチドの内部部分またはカルボキシもしくはアミノ末端に存在しうる。本明細書中で用いる挿入は、当技術分野で公知の融合タンパク質を含みうる。挿入はアミノ酸の連続的セグメントであることが可能であり、あるいは、天然に存在するポリペプチドにおけるアミノ酸の1以上により分離されていることが可能である。
「アミノ酸置換セット」または「置換セット」なる語は、参照配列と比較した場合のポリペプチド配列におけるアミノ酸置換の一群を意味する。置換セットは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個またはそれ以上のアミノ酸置換を有しうる。
「機能的断片」および「生物活性断片」は本明細書において互換的に用いられ、アミノ末端および/もしくはカルボキシ末端の欠失ならびに/または内部欠失を有するが全長ポリペプチドの活性の実質的に全てを保持するポリペプチドであって、残りのアミノ酸配列が、それが比較されている配列における対応位置と同一である、ポリペプチドを意味する。
本明細書中で用いる「単離されたポリペプチド」は、それに天然で付随する他の夾雑物(例えば、タンパク質、脂質およびポリヌクレオチド)から実質的に分離されたポリペプチドを意味する。この用語は、天然に存在する環境または発現系(例えば、宿主細胞内のもの、またはインビトロ合成によるもの)から取り出された又は精製されたポリペプチドを含む。組換えMTRキナーゼポリペプチドは細胞内に存在すること、細胞培地内に存在することが可能であり、あるいは例えばライセートまたは単離された調製物のような種々の形態で調製されうる。したがって、幾つかの実施形態においては、組換えMTRキナーゼポリペプチドは、単離されたポリペプチドでありうる。
本明細書中で用いる「実質的に純粋なポリペプチド」または「精製されたタンパク質」は、ポリペプチド種が、存在する優勢な種である(すなわち、モルまたは重量ベースで、それは組成物中のいずれの他の個々の高分子種よりも豊富に存在する)、組成物を意味し、目的の種が、存在する高分子種の少なくとも約50%(モルまたは%重量)を構成する場合、概ね実質的に精製された組成物である。しかし、幾つかの実施形態においては、MTRキナーゼ含有組成物は、50%未満(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%または約50%)の純度のMTRキナーゼを含む。一般に、実質的に純粋なMTRキナーゼ組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上および約98%以上(モルまたは重量%)を構成する。幾つかの実施形態においては、目的の種は、本質的に均一になる(すなわち、通常の検出方法によっては組成物中で夾雑種が検出され得ない)まで精製され、この場合、組成物は単一の高分子種から本質的になる。溶媒種、小分子(500ダルトン未満)および元素イオン種は高分子種とは見なされない。幾つかの実施形態においては、単離された組換えMTRキナーゼポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチド組成物である。
「改善された酵素特性(酵素特性の改善)」は、参照MTRキナーゼと比較した場合にいずれかの酵素特性の改善を示すMTRキナーゼに関するものである。本明細書に記載されているMTRキナーゼに関しては、比較は一般に野生型MTRキナーゼポリペプチドに対して行われるが、幾つかの実施形態においては、参照MTRキナーゼは別の改善されたMTRキナーゼでありうる。改善が望ましい酵素特性には、酵素活性(これは基質の変換率として表されうる)、熱安定性、pH活性プロファイル、補因子要求性、インヒビターに対する不応性(例えば、生成物阻害)、立体特異性および立体選択性(エナンチオ選択性を含む)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
「増強された酵素活性(酵素活性の増強)」は、参照MTRキナーゼと比較した場合の、比活性(例えば、生成された生成物/時間/タンパク質重量)の増加または基質から生成物への変換率(例えば、特定された量のMTRキナーゼを使用した場合の、特定された時間内の出発量の基質から生成物への変換率)の増加により表されうる、MTRキナーゼの改善された特性を意味する。酵素活性を決定するための代表的な方法は実施例に記載されている。K、Vmaxまたはkcat(それらの変化は酵素活性の増強につながりうる)の古典的な酵素特性を含む、酵素活性に関連するいずれかの特性が影響を受けうる。酵素活性の改善は対応野生型MTRキナーゼポリペプチドの酵素活性の約1.5倍、ないし、天然に存在するMTRキナーゼの、またはMTRキナーゼポリペプチドが由来する別のMTRキナーゼの2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍、500倍、1000倍、3000倍、5000倍、7000倍またはそれ以上の酵素活性でありうる。特定の実施形態においては、MTRキナーゼポリペプチドは、親MTRキナーゼポリペプチドの場合の150~3000倍、3000~7000倍、または7000倍を超える範囲の酵素活性の改善を示す。任意の酵素の活性は拡散によって制限され、触媒代謝回転速度は、要求される補因子を含む基質の拡散速度を超えることができない、と当業者に理解される。拡散限界の理論上の最大値またはkcat/Kは、一般に、約10~10(M-1-1)である。したがって、MTRキナーゼの酵素活性における任意の改善は、MTRキナーゼ酵素が作用する基質の拡散速度に関連する上限を有する。MTRキナーゼ活性は、キナーゼ活性を測定するために使用される標準アッセイのいずれかにより、またはMTRキナーゼ産物とヌクレオシド塩基との間の反応を触媒してヌクレオシドを生成しうるヌクレオシドホスホリラーゼ酵素を用いた共役アッセイにより、またはHPLC、HPLC-MS、UPLC、UPLC-MS、TLCおよびNMR(これらに限定されるものではない)を含む、化学反応をアッセイするための伝統的な方法のいずれかにより測定されうる。本明細書に更に詳細に記載されているとおり、酵素活性の比較は、定められた酵素調製物、セット条件下の定められたアッセイおよび1以上の定められた基質を使用して行われる。一般に、ライセートを比較する場合、細胞数と、アッセイしたタンパク質の量とを決定し、同一発現系および同一宿主細胞を使用して、宿主細胞により産生されライセート中に存在する酵素の量の変動を最小限に抑える。
本明細書中で用いる「ベクター」は、DNA配列を細胞内に導入するためのDNA構築物である。幾つかの実施形態においては、ベクターは、DNA配列においてコードされるポリペプチドの適切な宿主における発現をもたらしうる適切な制御配列に機能的に連結された発現ベクターである。幾つかの実施形態においては、「発現ベクター」は、宿主細胞における発現を駆動するためにDNA配列(例えば、導入遺伝子)に機能的に連結されたプロモーター配列を有し、幾つかの実施形態においては、転写ターミネーター配列をも含む。
本明細書中で用いる「発現」なる語は、転写、転写後修飾、翻訳および翻訳後修飾(これらに限定されるものではない)を含む、ポリペプチドの産生に関与する任意の工程を含む。幾つかの実施形態においては、この用語は細胞からのポリペプチドの分泌をも含む。
本明細書中で用いる「産生」なる語は細胞によるタンパク質および/または他の化合物の産生を意味する。この用語は、転写、転写後修飾、翻訳および翻訳後修飾(これらに限定されるものではない)を含む、ポリペプチドの産生に関与する任意の工程を含むと意図される。幾つかの実施形態においては、この用語は細胞からのポリペプチドの分泌をも含む。
本明細書において、アミノ酸またはヌクレオチド配列(例えば、プロモーター配列、シグナルペプチド、ターミネーター配列など)が、それが機能的に連結されている別の配列に対して「異種」であると言えるのは、それらの2つの配列が天然において関連していない場合である。例えば、「異種ポリヌクレオチド」は、実験技術により宿主細胞内に導入される任意のポリヌクレオチドであり、この用語は、宿主細胞から取り出され、実験操作に付され、次いで宿主細胞内に再導入されるポリヌクレオチドを含む。
本明細書中で用いる「宿主細胞」および「宿主株」なる語は、本明細書において提供されるDNA(例えば、MTRキナーゼ変異体をコードするポリヌクレオチド)を含む発現ベクターのための適切な宿主を意味する。幾つかの実施形態においては、宿主細胞は、当技術分野で公知の組換えDNA技術を用いて構築されたベクターで形質転換またはトランスフェクトされた原核細胞または真核細胞である。
「類似体(アナログ)」なる語は、参照ポリペプチドに対して70%超(すなわち、70%を超える)かつ100%未満の配列同一性(例えば、75%超、78%超、80%超、83%超、85%超、88%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超または99%超の配列同一性)を有するポリペプチドを意味する。幾つかの実施形態においては、「類似体」は、ホモアルギニン、オルニチンおよびノルバリン(これらに限定されるものではない)を含む、天然に存在しない1以上のアミノ酸残基、ならびに天然に存在するアミノ酸を含有するポリペプチドを意味する。幾つかの実施形態においては、類似体は1以上のD-アミノ酸残基をも含み、また、2以上のアミノ酸残基間の非ペプチド結合をも含む。
本明細書中で用いる「EC」番号は国際生化学分子生物学連合の命名委員会(Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology)(NC-IUBMB)の酵素命名を意味する。IUBMB生化学的分類は、酵素が触媒する化学反応に基づいた、酵素に関する数的分類系である。
本明細書中で用いる「ATCC」はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)を意味し、そのバイオレポジトリーコレクションは遺伝子および株を含む。
本明細書中で用いる「NCBI」は米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biological Information)およびそれにおいて提供される配列データベースを意味する。
「コード配列」は、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸(例えば、遺伝子)の部分を意味する。
「天然に存在する」または「野生型」は、天然で見出される形態を意味する。例えば、天然に存在する又は野生型のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの配列は、生物に存在する配列であって、天然における供給源から単離可能であり、人間による操作によって意図的に修飾されていない配列である。本明細書においては、「野生型」ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は「WT」と称されうる。
「組換え」は、例えば細胞、核酸またはポリペプチドに関して用いられている場合、組換え以外では天然に存在しない様態で修飾されている物質または該物質の天然もしくは自然形態に対応する物質、あるいはそれと同一であるが、組換え技術を用いる操作により及び/もしくは合成物質から産生もしくは誘導された物質または該物質の天然もしくは自然形態に対応する物質に関するものである。非限定的な例には、とりわけ、細胞の天然(非組換え)形態内で見出されない遺伝子を発現する組換え細胞、またはさもなければ、異なるレベルで発現される天然遺伝子を発現する組換え細胞が含まれる。
「配列同一性の割合」、「同一性(%)」および「%同一である」は、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列間の比較を示すために本明細書において用いられ、2つの最適にアライメントされた配列を比較ウィンドウにわたって比較することにより決定され、ここで、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、それらの2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含みうる。割合(%)は、同一の核酸塩基もしくはアミノ酸残基が両方の配列内に存在する位置の数、または核酸塩基もしくはアミノ酸残基がギャップを伴ってアライメントされた位置の数を決定して、マッチした位置の数を得、マッチした位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割り算し、その結果に100を掛け算して配列同一性の百分率を得ることにより計算される。最適なアラインメントおよび配列同一性の割合の決定は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズム(例えば、Altschulら,1990,J.MOL.BIOL.215:403-410;およびAltschulら,1977,NUCLEIC ACIDS RES.3389-3402を参照されたい)を使用して行われる。BLAST分析を行うためのソフトウェアはNational Center for Biotechnology Informationのウェブサイトから公に入手可能である。
簡潔に説明すると、BLAST分析は、まず、データベース配列における同じ長さのワードとアライメントされた場合に幾らかの正値閾値スコアTにマッチする又はそれを満足するクエリ配列内の長さWの短いワードを特定することにより高スコア配列ペア(HSP)を特定することを含む。Tは隣接ワードスコア閾値と称される(Altschulら,前掲)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含有する更に長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとして機能する。ついでワードヒットを、累積アラインメントスコアが増加しうる限り、各配列に沿って両方向に伸長させる。累積スコアは、ヌクレオチド配列の場合には、パラメーターM(マッチする残基のペアに関する報酬スコア;常に0より大きい)およびN(ミスマッチ残基に関するペナルティスコア;常に<0より小さい)を使用して計算される。アミノ酸配列の場合には、スコアリングマトリックスを使用して累積スコアを計算する。各方向へのワードヒットの伸長は以下の場合に停止される:累積アライメントスコアがその最大達成値から量X減少する;1以上の負スコア残基アラインメントの蓄積により、累積スコアがゼロ以下になる;またはいずれかの配列の末端に到達する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXはアライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4および両方の鎖の比較を用いる。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W)3、期待値(E)10およびBLOSUM62スコアリングマトリックスを用いる(HenikoffおよびHenikoff,1989,PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 89:10915を参照されたい)。
2つの配列に関する同一性の割合を得る際にBLASTと同様に機能する多数の他のアルゴリズムが利用可能である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば以下のものによって行われうる:SmithおよびWaterman,1981,ADV.APPL.MATH.2:482のローカル・ホモロジー・アルゴリズム、NeedlemanおよびWunsch,1970,J.MOL.BIOL.48:443のホモロジー・アライメント・アルゴリズム、PearsonおよびLipman,1988,N USA 85:2444の類似性検索方法、これらのアルゴリズムのコンピュータ化実装(GCG Wisconsin Software PackageにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、または目視検査(全般的には、Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubelら編,Current Protocols,a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc.and John Wiley & Sons,Inc.,(1995 Supplement)(Ausubel)を参照されたい)。また、配列アラインメントおよび配列同一性(%)の決定は、GCG Wisconsin Softwareパッケージ(Accelrys,Madison WI)のBESTFITまたはGAPプログラムを、提供されるデフォルトのパラメーターを用いて使用する。
「実質的な同一性」は、少なくとも20残基の位置の比較ウィンドウにわたって、頻繁には少なくとも30~50残基のウィンドウにわたって参照配列と比較した場合に、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも85パーセントの配列同一性、より好ましくは少なくとも89パーセントの配列同一性、より好ましくは少なくとも95パーセントの配列同一性、より一層好ましくは少なくとも99パーセントの配列同一性を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関するものであり、ここで、配列同一性の割合は、比較ウィンドウにわたって参照配列に対して合計20パーセント以下である欠失または付加を含む配列と参照配列を比較することにより計算される。ポリペプチドに適用される特定の実施形態においては、「実質的な同一性」なる語は、例えば、デフォルトのギャップウェイトを用いてプログラムGAPまたはBESTFITにより最適にアライメントされた場合に、2つのポリペプチド配列が少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも89パーセントの配列同一性、より好ましくは少なくとも95パーセントの配列同一性またはそれ以上の配列同一性(例えば、99パーセントの配列同一性)を共有することを意味する。好ましくは、同一でない残基位置は保存的アミノ酸置換により異なる。
所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列の番号付けの文脈で用いられる場合の「に対応する」、「に対する参照(言及)」または「に基づく」は、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列が参照配列と比較される場合の、特定されている参照配列の残基の番号付けに関するものである。換言すれば、所与の重合体の残基番号または残基位置は、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列内の残基の実際の数的位置によってではなく、参照配列に基づいて示される。例えば、所与のアミノ酸配列、例えばMTRキナーゼのアミノ酸配列は、2つの配列の間の残基マッチを最適化するためにギャップを導入することにより、参照配列に対してアライメントされうる。これらの場合、ギャップは存在するが、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列における残基の番号付けは、それがアライメントされた参照配列に基づいて行われる。
「立体選択性」は、化学的または酵素的反応において1つの立体異性体が別の立体異性体よりも優先的に形成されることを意味する。立体選択性は、1つの立体異性体の形成が他の立体異性体より優先される部分的なものであることが可能であり、あるいは、1つの立体異性体のみが形成される完全なものであることが可能である。立体異性体がエナンチオマーである場合、立体選択性はエナンチオ選択性と称され、両方のエナンチオマーの合計における1つのエナンチオマーの割合(典型的には百分率として示される)である。あるいは、それは一般に、式(主要エナンチオマー-副次的エナンチオマー)/(主要エナンチオマー+副次的エナンチオマー)に従いそれから計算されるエナンチオマー過剰率(EE)として(典型的には百分率として)、当技術分野において示される。立体異性体がジアステレオ異性体である場合、立体選択性はジアステレオ選択性と称され、2つのジアステレオマーの混合物中の1つのジアステレオマーの割合(通常は百分率として示される)であり、あるいは、一般に、ジアステレオマー過剰率(DE)として示される。エナンチオマー過剰率およびジアステレオマー過剰率はステレオマー過剰率の一種である。
「高度に立体選択的」は、少なくとも約85%の立体異性過剰率で基質をその対応生成物に変換しうる化学的または酵素的反応に関するものである。
「化学的選択性」は、化学的または酵素的反応において1つの生成物が別の生成物よりも優先的に形成されることを意味する。
「変換」は基質から対応生成物への酵素的変換を意味する。「変換率」は、特定の条件下で一定時間内に生成物に変換される基質の割合を意味する。したがって、例えば、MTRキナーゼポリペプチドの「酵素活性」または「活性」は基質から生成物への「変換率」として表されうる。
「キラルアルコール」は、一般式R-CH(OH)-R(ここで、RとRとは同一ではない)のアミンを意味し、本明細書においてはその最も広い意味で用いられ、例えば、異なる官能型および混合官能型の多種多様な脂肪族化合物および脂環式化合物を包含し、これらは、(i)キラル環状構造を形成する二価基か、または(ii)構造もしくはキラリティーにおいて互いに異なる2つの置換基(水素以外)かのいずれかを水素原子のほかに含有する第二級炭素原子に結合した第一級ヒドロキシル基の存在により特徴付けられる。キラル環状構造を形成する二価基には、例えば、2-メチルブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,4-ジイル、ヘキサン-1,4-ジイル、ヘキサン-1,5-ジイル、2-メチルペンタン-1,5-ジイルが含まれる。第二級炭素原子上の2つの異なる置換基(前記のRおよびR)も広範に変動可能であり、アルキル、アラルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、シクロアルキル、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルバモイル、モノ-およびジ-(低級アルキル)置換カルバモイル、トリフルオロメチル、フェニル、ニトロ、アミノ、モノ-およびジ-(低級アルキル)置換アミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミドなど、ならびに前記のものにより置換されたアルキル、アラルキルまたはアリールを包含する。
固定化酵素調製物は、認められた多数の利点を有する。それらは、例えば、酵素調製物に貯蔵寿命をもたらすことが可能であり、反応安定性を改善することが可能であり、有機溶媒中での安定性を可能にし、反応流からのタンパク質除去を補助することが可能である。「安定」は、有機溶媒を含有する溶媒系において固定化酵素がその構造コンフォメーションおよび/またはその活性を保持しうることを意味する。安定な固定化酵素は、有機溶媒を含有する溶媒系において1時間当たり10%未満の活性を喪失する。安定な固定化酵素は、有機溶媒を含有する溶媒系において1時間当たり9%未満の活性を喪失する。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含有する溶媒系において1時間当たり8%未満の活性を喪失する。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含有する溶媒系において1時間当たり7%未満の活性を喪失する。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含有する溶媒系において1時間当たり6%未満の活性を喪失する。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含有する溶媒系において1時間当たり5%未満の活性を喪失する。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含有する溶媒系において1時間当たり4%未満の活性である。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含有する溶媒系において1時間当たり3%未満の活性を喪失する。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含有する溶媒系において、1時間当たり2%未満の活性を喪失する。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含有する溶媒系において1時間当たり1%未満の活性を喪失する。
「熱安定(耐熱性)」は、上昇した温度(例えば、40℃~80℃)に或る時間(例えば、0.5時間~24時間)さらされた後、未処理酵素と比較して類似した活性(例えば、60%~80%以上)を維持するMTRキナーゼポリペプチドに関するものである。
「溶媒安定」は、種々の濃度(例えば、5%~99%)の溶媒(イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、ブチルアセタート、メチルtert-ブチルエーテルなど)に或る時間(例えば、0.5時間~24時間)さらされた後、未処理酵素と比較して類似した活性(例えば、60%~80%以上)を維持するMTRキナーゼポリペプチドに関するものである。
「pH安定」は、高または低pH(例えば、4.5~6、または8~12)に或る時間(例えば、0.5時間~24時間)さらされた後、未処理酵素と比較して類似した活性(例えば、60%~80%以上)を維持するMTRキナーゼポリペプチドに関するものである。
「熱および溶媒安定」は、熱安定かつ溶媒安定であるMTRキナーゼポリペプチドに関するものである。
本明細書中で用いる「生体触媒作用」、「生体触媒」、「生体内変換」および「生合成」は、有機化合物に対する化学反応を引き起こすための酵素の使用を意味する。
「有効量」なる語は、所望の結果をもたらすのに十分な量を意味する。当業者は、常套的な実験を用いて有効量を決定しうる。
「単離(単離された)」および「精製(精製された)」なる語は、天然で付随している少なくとも1つの他の成分から取り出された分子(例えば、単離された核酸、ポリペプチドなど)または他の成分を示すために用いられる。「精製された」なる語は絶対的な純度を必要とせず、相対的な定義として意図されている。
本明細書中で用いる「S-メチルチオリボースキナーゼ」または「MTRキナーゼ」は、S-メチル-5-チオリボースをリン酸化する酵素能力を有するポリペプチドを意味する。ポリペプチドは、Mg2、Ca2、Mn2またはCo2を含む2価カチオンのような補因子を利用することが可能であり、ATPまたは別のヌクレオチド三リン酸を、それから基質へとリン酸残基を移動させる補因子として利用する。本明細書中で用いるMTRキナーゼには、天然に存在する(野生型)MTRキナーゼ、および人間による操作によって生成される天然に存在しないポリペプチドが含まれる。
キラル化合物、特に糖におけるキラル化合物は、同等である多数の異なる様態で描写されうる、と当業者は認識するであろう。更に、リボース上の置換基の種類および位置化学的な位置は広範に変動可能であり、置換基に無関係に、立体化学的同等性の同一原理が適用される、と当業者は認識するであろう。そのような同等性の非限定的な例には、以下に例示されているものが含まれる。
Figure 2023553990000001
MTRキナーゼ
本開示は、リボースおよびリボース誘導体を対応α-1-ホスファート糖(またはその塩)へとリン酸化しうるMTRキナーゼポリペプチドに関する。該α-1-ホスファート糖(またはその塩)は別のヌクレオシドホスホリラーゼ酵素の基質であり、該酵素は、後に該1-ホスファートを、ヌクレオシド、特に5-イソブチリルリボースの合成においてヌクレオシドに変換するために使用可能であり、5-イソブチリルリボースは、5’-イソブチリルヌクレオシド、特に5’-イソブチリルウリジンに変換されうる。実施形態においては、MTRキナーゼは以下の変換が可能である。
Figure 2023553990000002
特定の実施形態においては、MTRキナーゼポリペプチドは以下の変換が可能である。
Figure 2023553990000003
そのような実施形態においては、リン酸化化合物は塩の形態でありうる。
実施形態においては、本明細書に記載されているMTRキナーゼはリボースおよび5-イソブチリルリボースをアルファ形態へと優先的にリン酸化する。ここでは、D-リボース1-ホスファートのアルファ形態は例示目的で示されている。
Figure 2023553990000004
ここでも、D-リボース1-ホスファートのベータ形態は比較および例示目的で示されている。
Figure 2023553990000005
実施形態においては、本明細書に記載されているMTRキナーゼポリペプチドは、野生型MTRキナーゼまたは修飾MTRキナーゼの参照アミノ酸配列と比較して、1以上のアミノ酸差異を有するアミノ酸配列を有し、これは、定められた基質に対する該酵素の特性の改善をもたらす。
本明細書に記載されているMTRキナーゼポリペプチドは、商業的に入手可能な野生型MTRキナーゼからの定向進化の産物であり、該野生型MTRキナーゼはMTRキナーゼとして特徴付けられており(Kenneth A.Cornellら,317 BIOCHEM.J.285-290(1996))、以下の配列番号1に示すアミノ酸配列を有する。
MSQYHTFTAHDAVAYAQQFAGIDNPSELVSAQEVGDGNLNLVFKVFDRQGVSRAIVKQALPYVRCVGESWPLTLDRARLEAQTLVAHYQHSPQHTVKIHHFDPELAVMVMEDLSDHRIWRGELIANVYYPQAARQLGDYLAQVLFHTSDFYLHPHEKKAQVAQFINPAMCEITEDLFFNDPYQIHERNNYPAELEADVAALRDDAQLKLAVAALKHRFFAHAEALLHGDIHSGSIFVAEGSLKAIDAEFGYFGPIGFDIGTAIGNLLLNYCGLPGQLGIRDAAAAREQRLNDIHQLWTTFAERFQALAAEKTRDAALAYPGYASAFLKKVWADAVGFCGSELIRRSVGLSHVADIDTIQDDAMRHECLRHAITLGRALIVLAERIDSVDELLARVRQYS(配列番号1)。
特定の場合には、野生型MTRキナーゼは、以下の配列番号2に示すDNA配列によってコードされうる。
ATGAGCCAGTATCATACCTTCACCGCGCATGATGCGGTGGCGTATGCGCAGCAATTTGCGGGCATTGATAACCCGAGCGAGCTGGTTAGCGCGCAAGAAGTTGGTGACGGCAACCTGAACCTGGTGTTCAAGGTTTTTGATCGTCAGGGTGTGAGCCGTGCGATCGTTAAACAAGCGCTGCCGTACGTGCGTTGCGTTGGTGAAAGCTGGCCGCTGACCCTGGACCGTGCGCGTCTGGAAGCGCAGACCCTGGTGGCGCACTATCAGCACAGCCCGCAACACACCGTTAAGATCCACCACTTCGATCCGGAGCTGGCGGTGATGGTTATGGAAGACCTGAGCGATCACCGTATTTGGCGTGGTGAGCTGATCGCGAACGTGTACTATCCGCAGGCGGCGCGTCAACTGGGTGACTACCTGGCGCAGGTTCTGTTCCACACCAGCGATTTTTATCTGCACCCGCACGAGAAGAAAGCGCAGGTGGCGCAATTCATTAACCCGGCGATGTGCGAGATCACCGAAGACCTGTTCTTTAACGATCCGTACCAGATTCACGAACGTAACAACTATCCGGCGGAGCTGGAAGCGGATGTGGCGGCGCTGCGTGATGATGCGCAACTGAAGCTGGCGGTTGCGGCGCTGAAACACCGTTTCTTTGCGCATGCGGAGGCGCTGCTGCATGGTGACATTCACAGCGGCAGCATCTTCGTTGCGGAGGGTAGCCTGAAGGCGATCGACGCGGAATTCGGTTACTTTGGCCCGATCGGTTTTGATATTGGTACCGCGATCGGCAACCTGCTGCTGAACTATTGCGGTCTGCCGGGTCAACTGGGTATTCGTGATGCGGCGGCGGCGCGTGAACAGCGTCTGAACGATATCCACCAACTGTGGACCACCTTCGCGGAGCGTTTTCAAGCGCTGGCGGCGGAAAAGACCCGTGACGCGGCGCTGGCGTACCCGGGTTATGCGAGCGCGTTCCTGAAGAAAGTGTGGGCGGATGCGGTTGGTTTTTGCGGCAGCGAGCTGATTCGTCGTAGCGTGGGCCTGAGCCACGTTGCGGACATCGATACCATTCAGGACGATGCGATGCGTCACGAATGCCTGCGTCACGCGATCACCCTGGGTCGTGCGCTGATTGTTCTGGCGGAGCGTATCGACAGCGTGGATGAACTGCTGGCGCGTGTTCGTCAATACAGC(配列番号2)。
実施形態においては、本開示のMTRキナーゼポリペプチドは、配列番号1のMTRキナーゼと比較して、例えば酵素活性、立体選択性、立体特異性、熱安定性、溶媒安定性またはリン酸化生成物阻害の増強のような改善を示しうる。
幾つかの実施形態においては、本開示のMTRキナーゼポリペプチドは酵素活性の速度の改善、すなわち、基質を生成物に変換する速度の改善を示しうる。幾つかの実施形態においては、MTRキナーゼは、配列番号1の酵素により示される速度の少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、25倍または50倍の速度で基質を生成物に変換しうる。
幾つかの実施形態においては、そのようなMTRキナーゼは、少なくとも約80%のステレオマー過剰率で基質を生成物に変換することも可能であるポリペプチドである。幾つかの実施形態においては、そのようなMTRキナーゼは、少なくとも約90%のステレオマー過剰率で基質を生成物に変換することも可能であるポリペプチドである。幾つかの実施形態においては、そのようなMTRキナーゼは、少なくとも約99%のステレオマー過剰率で基質を生成物に変換することも可能であるポリペプチドである。
幾つかの実施形態においては、MTRキナーゼポリペプチドは高度に立体選択的であり、該ポリペプチドは、約99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%を超えるステレオマー過剰率で、基質を生成物へとリン酸化しうる。
実施形態においては、本明細書に記載されているMTRキナーゼには、以下の配列番号3に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
MSQYHTFTAHDAVAYAQQFAGIDNPSELVSAQEVGDGNLNLVFKVFDRQGVSRAIVKQALPYVRCVGESWPLTLDRARHEAQTLVAHYQHSPQHTVKIHHFDPELAVMVMEDLSDHRIWRGELIANVYYPQAARQLGDYLAQVLFHTSDFYLHPHEKKAQVAQFINPAMCEITEDLFFNDPYQIHERNNYPAELEADVAALRDDAQLKLAVAALKHRFFAHAEALLHGDIHSGSIFVAEGSLKAIDAEFGYFGPIGFDIGTAIGNLLLNYCGLPGQLGIRDAAAAREQRLNDIHQLWTTFAERFQALAAEKTRDAALAYPGYASAFLKKVWADAVGFCGSELIRRSVGLSHVADIDTIQDDAMRHECLRHAITLGRALIVLAERIDSVDELLARVRQYSLEHHHHHH(配列番号3)。
特定の場合には、前記の配列番号3に示されているアミノ酸配列を含むポリペプチドは、以下の配列番号4に示すDNA配列によってコードされうる。
ATGAGCCAGTATCATACCTTCACCGCGCATGATGCGGTGGCGTATGCGCAGCAATTTGCGGGCATTGATAACCCGAGCGAGCTGGTTAGCGCGCAAGAAGTTGGTGACGGCAACCTGAACCTGGTGTTCAAGGTTTTTGATCGTCAGGGTGTGAGCCGTGCGATCGTTAAACAAGCGCTGCCGTACGTGCGTTGCGTTGGTGAAAGCTGGCCGCTGACCCTGGACCGTGCGCGTCATGAAGCGCAGACCCTGGTGGCGCACTATCAGCACAGCCCGCAACACACCGTTAAGATCCACCACTTCGATCCGGAGCTGGCGGTGATGGTTATGGAAGACCTGAGCGATCACCGTATTTGGCGTGGTGAGCTGATCGCGAACGTGTACTATCCGCAGGCGGCGCGTCAACTGGGTGACTACCTGGCGCAGGTTCTGTTCCACACCAGCGATTTTTATCTGCACCCGCACGAGAAGAAAGCGCAGGTGGCGCAATTCATTAACCCGGCGATGTGCGAGATCACCGAAGACCTGTTCTTTAACGATCCGTACCAGATTCACGAACGTAACAACTATCCGGCGGAGCTGGAAGCGGATGTGGCGGCGCTGCGTGATGATGCGCAACTGAAGCTGGCGGTTGCGGCGCTGAAACACCGTTTCTTTGCGCATGCGGAGGCGCTGCTGCATGGTGACATTCACAGCGGCAGCATCTTCGTTGCGGAGGGTAGCCTGAAGGCGATCGACGCGGAATTCGGTTACTTTGGCCCGATCGGTTTTGATATTGGTACCGCGATCGGCAACCTGCTGCTGAACTATTGCGGTCTGCCGGGTCAACTGGGTATTCGTGATGCGGCGGCGGCGCGTGAACAGCGTCTGAACGATATCCACCAACTGTGGACCACCTTCGCGGAGCGTTTTCAAGCGCTGGCGGCGGAAAAGACCCGTGACGCGGCGCTGGCGTACCCGGGTTATGCGAGCGCGTTCCTGAAGAAAGTGTGGGCGGATGCGGTTGGTTTTTGCGGCAGCGAGCTGATTCGTCGTAGCGTGGGCCTGAGCCACGTTGCGGACATCGATACCATTCAGGACGATGCGATGCGTCACGAATGCCTGCGTCACGCGATCACCCTGGGTCGTGCGCTGATTGTTCTGGCGGAGCGTATCGACAGCGTGGATGAACTGCTGGCGCGTGTTCGTCAATACAGCCTCGAGCACCACCACCACCACCACTGA(配列番号4)。
追加的な実施形態においては、本明細書に記載されているMTRキナーゼには、以下の配列番号5に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
MSQYHTFTAHDAVAYAQQFAGIDNPSELVSAQEVGDGNLNLVFKVFDRQGVSRAIVKQALPYPRCVGESWPLTLDRARHEAQTLVAHYQHSPQHTVKIHHFDPELAVMVMEDLSDHRIWRGELIANVYYPQAARQLGDYLAQVLFHTSDFYLHPHEKKAQVAQFINPAMCEISEDLIFNDPYQIHERNNYPAELEADVAALRDDAQLKLAVAALKHRFFAHAEALLHGDLHSGSIFVAEGSLKAIDAEFGYFGPIGFDIGTAIGNLLLNYCGLPGQLGIRDAAAAREQRLNDIHQLWTTFAERFQALAAEKTRDAALAYPGYASAFLKKVWADAVGFCGSELIRRSVGLSHVADIDTIQDDAMRHECLRHAITLGRALIVLAERIDSVDELLARVRQYSLEHHHHHH(配列番号5)。
特定の場合には、前記の配列番号5に示されているアミノ酸配列を含むポリペプチドは、以下の配列番号6に示すDNA配列によってコードされうる。
ATGAGCCAGTATCATACCTTCACCGCGCATGATGCGGTGGCGTATGCGCAGCAATTTGCGGGCATTGATAACCCGAGCGAGCTGGTTAGCGCGCAAGAAGTTGGTGACGGCAACCTGAACCTGGTGTTCAAGGTTTTTGATCGTCAGGGTGTGAGCCGTGCGATCGTTAAACAAGCGCTGCCGTACCCCCGTTGCGTTGGTGAAAGCTGGCCGCTGACCCTGGACCGTGCGCGTCATGAAGCGCAGACCCTGGTGGCGCACTATCAGCACAGCCCGCAACACACCGTTAAGATCCACCACTTCGATCCGGAGCTGGCGGTGATGGTTATGGAAGACCTGAGCGATCACCGTATTTGGCGTGGTGAGCTGATCGCGAACGTGTACTATCCGCAGGCGGCGCGTCAACTGGGTGACTACCTGGCGCAGGTTCTGTTCCACACCAGCGATTTTTATCTGCACCCGCACGAGAAGAAAGCGCAGGTGGCGCAATTCATTAACCCGGCGATGTGCGAGATCAGCGAAGACCTGATTTTTAACGATCCGTACCAGATTCACGAACGTAACAACTATCCGGCGGAGCTGGAAGCGGATGTGGCGGCGCTGCGTGATGATGCGCAACTGAAGCTGGCGGTTGCGGCGCTGAAACACCGTTTCTTTGCGCATGCGGAGGCGCTGCTGCATGGTGACCTTCACAGCGGCAGCATCTTCGTTGCGGAGGGTAGCCTGAAGGCGATCGACGCGGAATTCGGTTACTTTGGCCCGATCGGTTTTGATATTGGTACCGCGATCGGCAACCTGCTGCTGAACTATTGCGGTCTGCCGGGTCAACTGGGTATTCGTGATGCGGCGGCGGCGCGTGAACAGCGTCTGAACGATATCCACCAACTGTGGACCACCTTCGCGGAGCGTTTTCAAGCGCTGGCGGCGGAAAAGACCCGTGACGCGGCGCTGGCGTACCCGGGTTATGCGAGCGCGTTCCTGAAGAAAGTGTGGGCGGATGCGGTTGGTTTTTGCGGCAGCGAGCTGATTCGTCGTAGCGTGGGCCTGAGCCACGTTGCGGACATCGATACCATTCAGGACGATGCGATGCGTCACGAATGCCTGCGTCACGCGATCACCCTGGGTCGTGCGCTGATTGTTCTGGCGGAGCGTATCGACAGCGTGGATGAACTGCTGGCGCGTGTTCGTCAATACAGCCTCGAGCACCACCACCACCACCACTGA(配列番号6)。
追加的な実施形態においては、本明細書に記載されているMTRキナーゼには、以下の配列番号7に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
MSQYHTFTADDAVAYAQQFAGIDNPSELVSAQEVGDGNLNLVFKVFDRQGVSRAIVKQALPYPRRVGPSWPLTLDRARHEAQTLVAHYQHSPQHTVKIHHFDPELAVMVMEDLSDHRIWRGELIANVYYPQAARQLGDYLAQVLFHTSDFYLHPHEKKAQVAQFINPAMCEISEDLVFNDPYQIHERNNYPAELEADVAALRDDAQLKLAVAALKHRFFAHAEALLHGDLHTGSIFVAEGSLKVIDAEFGYFGPIGFDIGTAIGNLLLNYCGLPGQLGIRDAAAAREQRLNDIHQLWTTFAERFQALAAEKTRDAALAYPGYASAFLKKVWADAVGFCGSELIRRSVGLAHVADIDTIQDDAMRHECLREAITLGRALIVLAERIDSVDELLARVRQYSLEHHHHHH(配列番号7)。
特定の場合には、前記の配列番号7に示されているアミノ酸配列を含むポリペプチドは、以下の配列番号8に示すDNA配列によってコードされうる。
ATGAGCCAGTATCATACCTTCACCGCGGATGATGCGGTGGCGTATGCGCAGCAATTTGCGGGCATTGATAACCCGAGCGAGCTGGTTAGCGCGCAAGAAGTTGGTGACGGCAACCTGAACCTGGTGTTCAAGGTTTTTGATCGTCAGGGTGTGAGCCGTGCGATCGTTAAACAAGCGCTGCCGTACCCCCGTCGCGTTGGTCCGAGCTGGCCGCTGACCCTGGACCGTGCCCGTCATGAAGCGCAGACCCTGGTTGCGCACTATCAGCACAGCCCGCAACACACCGTTAAGATCCACCACTTCGATCCGGAGCTGGCGGTGATGGTTATGGAAGACCTGAGCGATCACCGTATTTGGCGTGGTGAGCTGATCGCGAACGTGTACTATCCGCAGGCGGCGCGTCAACTGGGTGACTACCTGGCGCAGGTTCTGTTCCACACCAGCGATTTTTATCTGCACCCGCACGAGAAGAAAGCGCAGGTGGCGCAATTCATTAACCCGGCCATGTGCGAAATCAGCGAAGACCTGGTGTTTAACGATCCGTACCAGATTCACGAACGTAACAACTATCCGGCGGAGCTGGAAGCGGATGTGGCGGCGCTGCGTGATGATGCGCAACTGAAGCTGGCGGTTGCGGCGCTGAAACACCGTTTCTTTGCGCATGCGGAGGCGCTGCTGCATGGTGACCTTCACACCGGCAGCATCTTCGTTGCGGAGGGTAGCCTGAAGGTGATCGACGCGGAATTCGGTTACTTTGGCCCGATCGGTTTTGATATTGGTACCGCGATCGGCAACCTGCTGCTGAACTATTGCGGTCTGCCGGGTCAACTGGGTATTCGTGATGCGGCGGCGGCGCGTGAACAGCGTCTGAACGATATCCACCAACTGTGGACCACCTTCGCGGAGCGTTTTCAAGCGCTGGCGGCGGAAAAGACCCGTGACGCGGCGCTGGCGTACCCGGGTTATGCGAGCGCGTTCCTGAAGAAAGTGTGGGCGGATGCGGTTGGTTTTTGCGGCAGCGAGCTGATTCGTCGTAGCGTGGGCCTGGCGCACGTTGCGGACATCGATACCATTCAGGACGATGCGATGCGTCACGAATGCCTGCGTGAAGCGATCACCCTGGGTCGTGCGCTGATTGTTCTGGCGGAGCGCATCGACAGCGTGGATGAACTGCTGGCGCGTGTTCGTCAATACAGCCTCGAGCACCACCACCACCACCACTGA(配列番号8)。
この最初の例の特定の場合には、本明細書に記載されているMTRキナーゼには、以下の配列番号9に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
MSQYHTFTADDAVAYAQQFAGIDNPSELVSAQEVGDGNLNLVFKVFDRQGVSRAIVKQALPYPRAVGPSWPLTLDRARHEAQTLVAHYQHSPQHTVKIHHFDPELAVMVMEDLSDHRIWRGELIANVYYPQAARQLGDYLAQVLFHTSDFYLHPHEKKAQVAQFINPGMCEISEDLSFNDPYQIHERNNYPAELEADVAALRDDAQLKLAVAALKHRFFAHAEALLHGDLHSGSIFVAEGSLKVIDAEFGYFGPIGFDIGTAIGNLLLNYCGLPGQLGIRDAAAAREQRLNDIHQLWTTFAERFQALAAEKTRDAALAYPGYASAFLKKVWADAVGFCGSELIRRSVGLSHVADIDTIQDDAMRHECLRHAITLGRALIVLAETIDSVDELLARVRQYSLEHHHHHH(配列番号9)。
そのような場合の特定の例においては、前記の配列番号9に示されているアミノ酸配列を含むポリペプチドは、以下の配列番号10に示すDNA配列によってコードされうる。
ATGAGCCAGTATCATACCTTCACCGCGGATGATGCGGTGGCGTATGCGCAGCAATTTGCGGGCATTGATAACCCGAGCGAGCTGGTTAGCGCGCAAGAAGTTGGTGACGGCAACCTGAACCTGGTGTTCAAGGTTTTTGATCGTCAGGGTGTGAGCCGTGCGATCGTTAAACAAGCGCTGCCGTACCCCCGTGCGGTTGGTCCGAGCTGGCCGCTGACCCTGGACCGTGCGCGTCATGAAGCGCAGACCCTGGTGGCGCACTATCAGCACAGCCCGCAACACACCGTTAAGATCCACCACTTCGATCCGGAGCTGGCGGTGATGGTTATGGAAGACCTGAGCGATCACCGTATTTGGCGTGGTGAGCTGATCGCGAACGTGTACTATCCGCAGGCGGCGCGTCAACTGGGTGACTACCTGGCGCAGGTTCTGTTCCACACCAGCGATTTTTATCTGCACCCGCACGAGAAGAAAGCGCAGGTGGCGCAATTCATTAACCCGGGCATGTGCGAAATCAGCGAAGACCTGAGCTTTAACGATCCGTACCAGATTCACGAACGTAACAACTATCCGGCGGAGCTGGAAGCGGATGTGGCGGCGCTGCGTGATGATGCGCAACTGAAGCTGGCGGTTGCGGCGCTGAAACACCGTTTCTTTGCGCATGCGGAGGCGCTGCTGCATGGTGACCTTCACAGCGGCAGCATCTTCGTTGCGGAGGGTAGCCTGAAGGTGATCGACGCGGAATTCGGTTACTTTGGCCCGATCGGTTTTGATATTGGTACCGCGATCGGCAACCTGCTGCTGAACTATTGCGGTCTGCCGGGTCAACTGGGTATTCGTGATGCGGCGGCGGCGCGTGAACAGCGTCTGAACGATATCCACCAACTGTGGACCACCTTCGCGGAGCGTTTTCAAGCGCTGGCGGCGGAAAAGACCCGTGACGCGGCGCTGGCGTACCCGGGTTATGCGAGCGCGTTCCTGAAGAAAGTGTGGGCGGATGCGGTTGGTTTTTGCGGCAGCGAGCTGATTCGTCGTAGCGTGGGCCTGTCGCACGTTGCGGACATCGATACCATTCAGGACGATGCGATGCGTCACGAATGCCTGCGTCACGCGATCACCCTGGGTCGTGCGCTGATTGTTCTGGCGGAGACCATCGACAGCGTGGATGAACTGCTGGCGCGTGTTCGTCAATACAGCCTCGAGCACCACCACCACCACCACTGA(配列番号10)。
この最初の例の特定の場合には、本明細書に記載されているMTRキナーゼには、以下の配列番号11に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
MSQYHTFTADDAVAYAQQFAGIDNPSELVSAQEVGDGNLNLVFKVFDRQGVSRAIVKQALPYPRRVGPSWPLTLDRARHEAQTLVAHYQHSPQHTVKIFHFDPELAVMVMEDLSDHRIWRGELIANVYYPQAARQLGDYLAQVLFHTSDFYLHPHEKKRQVAQFINPAMCGISEDLVFNDPYQIHERNNYPAELEAQVAALRDDAQLKLAVAALKHRFFAHAEALLHGDLHTGSIFVKEGSLKVIDAEFGYFGPIGFDIGTAIGNLLLNYCGLPGQLGIRDAAAAREQRLNDIHQLWTTFAERFQALAAEKTRDAALAYPGYASAFLKKVWADAVGFCGSELIRRSVGLAHVADIDTIQDDAMRHECLREAITLGRALIVLAERIDSVDELLARVRQYSLEHHHHHH(配列番号11)。
この最初の例の特定の場合には、本明細書に記載されているMTRキナーゼには、以下の配列番号12に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
MSQYHTFTADDAVAYAQQFAGIDNPSELVSAQEVGDGNLNLVFKVFDRQGVSRSIVKQALPYPRRVGPSWPLTLDRARHEAQTLVAHYQHSPQHTVKIFHFDPELAVMVMEDLSDHRIWRGELIANVYYPQAARQLGDYLAQVLFHTSDFYLHPHEKKRQVAQFINPAMCGISEDLVFNDPYQIHERNNYPAELEAQVAALRDDAQLKLAVAALKHRFFAHAEALLHGDLHTGSIFVKEGSLKVIDAEFGYFGPIGFDIGTAIGNLLLNYCGLPGQLGIRDAAAAREQRLNDIHQLWTTFAERFQALAAEKTRDAALRYPGYASAFLKKVWADAVGFCGSELIRRSVGLAHVADIDTIQDDAMRHECLREAITLGRALIVLAERIDSVDELLARVRQYSLEHHHHHH(配列番号12)。
幾つかの実施形態においては、本開示の改良されたMTRキナーゼは、配列番号1、3、5、7、9、11または12のアミノ酸配列に基づくポリペプチドであり、配列番号1、3、5、7、9、11または12の参照配列に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含みうる。これらの差異はアミノ酸の挿入、欠失、置換またはそのような変化の任意の組合せでありうる。幾つかの場合には、アミノ酸配列の差異は非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、および非保存的アミノ酸置換と保存的アミノ酸置換との組合せを含みうる。
幾つかの実施形態においては、本開示の改良されたMTRキナーゼは、配列番号2、4、6、8または10のDNA配列によってコードされるポリペプチドであり、配列番号2、4、6、8または10の翻訳された参照配列に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である配列を含みうる。これらの差異はアミノ酸の挿入、欠失、置換またはそのような変化の任意の組合せでありうる。幾つかの場合には、配列の差異は非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、および非保存的アミノ酸置換と保存的アミノ酸置換との組合せを含みうる。
追加的な実施形態は、本明細書に記載されているポリヌクレオチドおよび/または発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。宿主細胞は大腸菌(E.coli)であることが可能であり、あるいは、異なる生物であることが可能である。宿主細胞は、本明細書に記載されているMTRキナーゼの発現および単離に使用可能であり、あるいは、基質を立体異性体生成物に変換するために直接使用可能である。
全細胞、細胞抽出物または精製MTRキナーゼのいずれを使用して該方法を実施するかにかかわらず、単一のMTRキナーゼが使用可能であり、あるいは2以上のMTRキナーゼの混合物が使用可能である。
実施形態は、ヌクレオシドの合成においてアルファ-1-ホスファート糖を選択的に製造しうるMTRキナーゼポリペプチドに関する。実施形態においては、MTRキナーゼポリペプチドは以下の変換が可能である。
Figure 2023553990000006
特定の実施形態においては、MTRキナーゼポリペプチドは以下の変換が可能である。
Figure 2023553990000007
そのような実施形態においては、アルファ-1-ホスファート糖は塩の形態でありうる。
改善が望ましい酵素特性には、酵素活性、熱安定性、pH活性プロファイル、補因子要求性、インヒビターに対する不応性(例えば、生成物阻害)、立体特異性、立体選択性および溶媒安定性が含まれるが、これらに限定されるものではない。改善は、酵素活性のような単一の酵素特性、または酵素活性と立体選択性とのような異なる酵素特性の組合せに関するものでありうる。
以下の表1は、本明細書に開示されている配列番号および関連活性の一覧を示す。以下のアミノ酸配列は、特に示されていない限り、配列番号1のMTRキナーゼポリペプチド配列に基づく。以下の表において、各行は配列番号を示す。突然変異(すなわち、残基変化)の数を記載している列は、配列番号1のMTRキナーゼポリペプチド配列と比較した場合のアミノ酸置換の数を示す。表1において、「d.r.」は「ジアステレオマー比」を示すために用いられる。最初の数字は、5’-イソブチリル-アルファ-リボース-1-ホスファート形態である生成物の割合を示し、2番目の数字は、5’-イソブチリル-ベータ-リボース-1-ホスファートである生成物の割合を示す。
Figure 2023553990000008
MTRキナーゼをコードするポリヌクレオチド
もう1つの態様においては、本開示は、本明細書に開示されているMTRキナーゼをコードするポリヌクレオチドを提供する。該ポリヌクレオチドを、遺伝子発現を制御する1以上の異種調節配列に機能的に連結して、該ポリペプチドを発現しうる組換えポリヌクレオチドを得ることが可能である。MTRキナーゼをコードする異種ポリヌクレオチドを含有する発現構築物を適切な宿主細胞内に導入して、対応するMTRキナーゼポリペプチドを発現させることが可能である。
種々のアミノ酸に対応するコドンが公知であるため、タンパク質配列が入手可能であれば、対象をコードしうる全てのポリヌクレオチドが示される。同一アミノ酸が代替コドンまたは同義コドンによりコードされる遺伝暗号の縮重は、本明細書に開示されている改良されたMTRキナーゼを全てがコードする非常に多数の核酸の作製を可能にする。したがって、特定のアミノ酸配列が特定されたら、当業者は、タンパク質のアミノ酸配列を変化させない方法で1以上のコドンの配列を単に改変することにより、幾つもの異なる核酸を作製することが可能である。この点に関して、本開示は特に、可能なコドンの選択に基づく組合せを選択することにより作製されうるポリヌクレオチドのありとあらゆる可能な変異(変動)を想定しており、そのような変異は全て、本明細書に開示されている任意のポリペプチドに関して具体的に開示されているとみなされるべきである。
種々の実施形態において、コドンは、好ましくは、タンパク質が産生される宿主細胞に適合するように選択される。例えば、細菌において使用される好ましいコドンは、細菌において遺伝子を発現させるために使用され、酵母において使用される好ましいコドンは酵母における発現に使用され、哺乳類において使用される好ましいコドンは哺乳類細胞における発現に使用される。例えば、配列番号2のポリヌクレオチドは大腸菌(Escherichia coli)における発現のためにコドン最適化されている。
特定の実施形態においては、MTRキナーゼのコドン使用を最適化するために、全てのコドンを置換する必要はない。なぜなら、天然の配列は好ましいコドンを含むからであり、また、好ましいコドンの使用は全てのアミノ酸残基に必要なわけではないからである。結果的に、MTRキナーゼをコードするコドン最適化ポリヌクレオチドは、全長コード領域のコドン位置の約40%、50%、60%、70%、80%または90%超において、好ましいコドンを含有しうる。
種々の実施形態においては、改良されたMTRキナーゼポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドは、ポリペプチドの発現をもたらすために種々の方法で操作されうる。発現ベクターに応じて、ベクター内への挿入の前の単離されたポリヌクレオチドの操作が望ましい又は必要でありうる。組換えDNA法を利用してポリヌクレオチドおよび核酸配列を修飾するための技術は当技術分野で周知である。Sambrookら,2001,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,3rd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press;およびCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,Ausubel.F.編,Greene Pub.Associates,1998(2006年までの更新)に指針が記載されている。
幾つかの実施形態においては、本明細書におけるMTRキナーゼポリペプチドのいずれかをコードする単離されたポリヌクレオチドは、MTRキナーゼポリペプチドの発現を促進するために種々の方法で操作される。幾つかの実施形態においては、MTRキナーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、MTRキナーゼポリペプチドの発現を調節するために1以上の制御配列が存在する発現ベクターを構成する。利用される発現ベクターに応じて、ベクター内への挿入の前の単離されたポリヌクレオチドの操作が望ましい又は必要でありうる。組換えDNA法を利用してポリヌクレオチドおよび核酸配列を修飾するための技術は当技術分野で周知である。幾つかの実施形態においては、制御配列には、とりわけ、プロモーター、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナルペプチド配列および転写ターミネーターが含まれる。幾つかの実施形態においては、適切なプロモーターは、宿主細胞の選択に基づいて選択される。細菌宿主細胞の場合、本開示の核酸構築物の転写を導くための適切なプロモーターには、大腸菌(E.coli)lacオペロン、T7 RNAポリメラーゼ結合部位およびそれに続くlac オペレーター配列からなるハイブリッドプロモーターが含まれるが、これらに限定されるものではない。また、適切なプロモーターには以下のものが含まれうる:ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子(dagA)、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)レバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)アルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトース産生性アミラーゼ遺伝子(amyM)、バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)xylAおよびxylB遺伝子、および原核生物ベータ-ラクタマーゼ遺伝子(例えば、Villa-Kamaroffら,PROC.NATL ACAD.SCI.USA 75:3727-3731(1978)を参照されたい)、ならびにtacプロモーター(例えば、DeBoerら,PROC.NATL ACAD.SCI.USA 80:21-25(1983)を参照されたい)。
幾つかの実施形態においては、制御配列はまた、適切な転写ターミネーター配列(すなわち、宿主細胞によって認識されて転写を終結させる配列)である。幾つかの実施形態においては、ターミネーター配列は、該酵素ポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端に機能的に連結される。選択された宿主細胞において機能する任意の適切なターミネーターが本開示において有用である。大腸菌(Escherichia coli)のための例示的な転写ターミネーターには、T7ターミネーターが含まれる。
幾つかの実施形態においては、制御配列はまた、適切なリーダー配列(すなわち、宿主細胞による翻訳に重要なmRNAの非翻訳領域)である。幾つかの実施形態においては、リーダー配列は、MTRキナーゼをコードする核酸配列の5’末端に機能的に連結される。選択された宿主細胞において機能する任意の適切なリーダー配列が本開示において有用である。大腸菌(E.coli)のための例示的なリーダーはリボソーム結合部位をコードする。
幾つかの実施形態においては、調節配列も使用される。これらの配列は宿主細胞の増殖に対するポリペプチドの発現の調節を促進する。調節系の例としては、調節性化合物の存在を含む化学的または物理的刺激に応答して遺伝子の発現をオンまたはオフにするものが挙げられる。原核宿主細胞においては、適切な調節配列には、lac、tacおよびtrpオペレーター系が含まれるが、これらに限定されるものではない。酵母宿主細胞においては、適切な調節系には、ADH2系またはGAL1系が含まれるが、これらに限定されるものではない。糸状菌においては、適切な調節配列には、TAKAアルファ-アミラーゼプロモーター、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼプロモーターおよびアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)グルコアミラーゼプロモーターが含まれるが、これらに限定されるものではない。
もう1つの態様においては、本発明は、MTRキナーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、それが導入される宿主のタイプに応じて1以上の発現調節領域(例えば、プロモーターおよびターミネーター、複製起点など)とを含む組換え発現ベクターに関する。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている種々の核酸および制御配列を互いに結合させて、1以上の簡便な制限部位(これは、そのような部位における、酵素ポリペプチドをコードする核酸配列の挿入または置換を可能にする)を含む組換え発現ベクターを得る。あるいは、幾つかの実施形態においては、本開示の核酸配列は、核酸配列または該配列を含む核酸構築物を発現用の適切なベクター内に挿入することにより発現される。発現ベクターの作製を含む幾つかの実施形態においては、コード配列は、発現用の適切な制御配列に機能的に連結されるように、ベクター内に配置される。
組換え発現ベクターは、組換えDNA法に簡便に付され酵素ポリヌクレオチド配列の発現をもたらしうる任意の適切なベクター(例えば、プラスミドまたはウイルス)でありうる。ベクターの選択は、典型的には、ベクターが導入される宿主細胞に対するベクターの適合性に左右される。ベクターは線状または閉環状プラスミドでありうる。
幾つかの実施形態においては、発現ベクターは自律複製性ベクター(すなわち、染色体の複製から独立して複製される染色体外実体として存在するベクター、例えばプラスミド、染色体外要素、ミニ染色体または人工染色体)である。ベクターは、自己複製を保証するための手段を含有しうる。幾つかの代替的実施形態においては、ベクターは、宿主細胞内に導入されるとゲノム内に組み込まれるベクターであって、それが組み込まれた染色体と共に複製されるベクターである。更に、幾つかの実施形態においては、トランスポゾンおよび/または宿主細胞のゲノム内に導入される全DNAを一緒に含む単一のベクターもしくはプラスミドまたは2以上のベクターもしくはプラスミドが使用される。
幾つかの実施形態においては、発現ベクターは、形質転換細胞の容易な選択を可能にする1以上の選択マーカーを含む。「選択マーカー」は遺伝子であり、その産物は殺生物物質またはウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求株に対する原栄養性などを付与する。細菌選択マーカーの例には、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)もしくはバシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のdal遺伝子、またはアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコールもしくはテトラサイクリン耐性のような抗生物質耐性を付与するマーカーが含まれるが、これらに限定されるものではない。酵母宿主細胞のための適切なマーカーには、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1およびURA3が含まれるが、これらに限定されるものではない。糸状菌宿主細胞において使用される選択可能なマーカーには、amdS[アセトアミダーゼ;例えば、アスペルギルス・ニジュランス(A.nidulans)またはアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)に由来するもの]、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar[ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ;例えば、ストレプトマイセス・ヒグロスコピクス(S.hygroscopicus)に由来するもの]、hph(ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG[オロチジン-5’-リン酸デカルボキシラーゼ;例えば、アスペルギルス・ニジュランス(A.nidulans)またはアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)に由来するもの]、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)ならびにそれらの同等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
もう1つの態様においては、本開示は、本開示の少なくとも1つのMTRキナーゼをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供し、該ポリヌクレオチドは該宿主細胞における少なくとも1つのMTRキナーゼの発現のための1以上の制御配列に機能的に連結されている。本開示の発現ベクターによってコードされるポリペプチドの発現における使用に適した宿主細胞は当技術分野で周知であり、細菌細胞、例えば大腸菌(E.coli)、ビブリオ・フルビアリス(Vibrio fluvialis)、ストレプトマイセス(Streptomyces)およびサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)細胞;真菌細胞、例えば酵母細胞[サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)(ATCCアクセッション番号201178)]を包含するが、これらに限定されるものではない。代表的な宿主細胞には、種々の大腸菌(Escherichia coli)株[例えば、W3110(ΔfhuA)およびBL21]も含まれる。細菌性選択マーカーの例には、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)もしくはバシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のdal遺伝子、またはアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコールおよび/もしくはテトラサイクリン耐性のような抗生物質耐性を付与するマーカーが含まれるが、これらに限定されるものではない。
幾つかの代替実施形態においては、発現ベクターは、宿主細胞のゲノム内への相同組換えによる組込みを導くための追加的な核酸配列を含有する。追加的な核酸配列は、染色体内の的確な位置でベクターが宿主細胞ゲノム内に組込まれることを可能にする。的確な位置での組込みの可能性を高めるためには、組込みエレメントは、好ましくは、十分な数のヌクレオチド、例えば100~10,000塩基対、好ましくは400~10,000塩基対、最も好ましくは800~10,000塩基対を含有し、これらは、相同組換えの可能性を高めるために対応標的配列に対して高度に相同である。組込みエレメントは、宿主細胞のゲノム内の標的配列と相同な任意の配列でありうる。更に、組込みエレメントはノンコーディング(非コード化)核酸配列またはコーディング(コード化)核酸配列でありうる。一方、ベクターは非相同組換えにより宿主細胞のゲノム内に組み込まれうる。
自律複製の場合、ベクターは、当該宿主細胞内でベクターが自律複製することを可能にする複製起点を更に含みうる。細菌性複製起点の例としては、P15A ori、または大腸菌(E.coli)における複製を可能にするプラスミドpBR322、pUC19、pACYC177(これはP15A oriを含有する)もしくはpACYC184(これはP15A oriを含有する)の複製起点、およびバシラス(Bacillus)における複製を可能にするpUB110、pE194またはpTA1060が挙げられる。酵母宿主細胞において使用される複製起点の例としては、2ミクロン複製起点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3との組合せ、およびARS4とCEN6との組合せが挙げられる。複製起点は、宿主細胞内でその機能を温度感受性にする突然変異を有するものでありうる(例えば、Ehrlich,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1433(1978)を参照されたい)。
幾つかの実施形態においては、遺伝子産物の産生を増加させるために、本開示の核酸配列の複数のコピーが宿主細胞内に挿入される。核酸配列のコピー数の増加は、該配列の少なくとも1つの追加的なコピーを宿主細胞ゲノム内に組込むことにより、または増幅可能な選択マーカー遺伝子を該核酸配列と共に含めることにより(この場合、選択マーカー遺伝子の増幅コピーを含有し、それにより該核酸配列の追加的コピーを含有する細胞は、適切な選択剤の存在下で細胞を培養することにより選択されうる)達成されうる。
本開示において使用される多数の発現ベクターは商業的に入手可能である。適切な市販の発現ベクターには、Novagen(登録商標)のpET大腸菌(E.coli)T7発現ベクター(Millipore Sigma)およびp3xFLAG(商標)発現ベクター(Sigma-Aldrich Chemicals)が含まれるが、これらに限定されるものではない。他の適切な発現ベクターには、pBluescriptII SK(-)およびpBK-CMV(Stratagene)、ならびにpBR322(Gibco BRL)、pUC(Gibco BRL)、pREP4、pCEP4(Invitrogen)またはpPoly(Invitrogen)に由来するプラスミドが含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Latheら,Gene 57:193-201(1987)を参照されたい)。
したがって、幾つかの実施形態においては、ベクターの増殖および変異体MTRキナーゼの発現を可能にするために、少なくとも1つの変異体MTRキナーゼをコードする配列を含むベクターを宿主細胞内に形質転換する。幾つかの実施形態においては、前記の形質転換宿主細胞を、変異体MTRキナーゼの発現を可能にする条件下、適切な栄養培地内で培養する。宿主細胞を培養するのに有用な任意の適切な培地が本開示において使用され、これらには、適切なサプリメントを含有する最少培地または複合培地が含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態においては、HTP培地内で宿主細胞を増殖させる。適切な培地は種々の商業的供給業者から入手可能であり、あるいは、公開されている調製方法(例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログ)に従い調製されうる。
MTRキナーゼの発現のための宿主細胞
もう1つの態様においては、本開示は、本開示の改良されたMTRキナーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供し、該ポリヌクレオチドは、宿主細胞におけるMTRキナーゼ酵素の発現のための1以上の制御配列に機能的に連結されている。本発明の発現ベクターによりコードされるMTRキナーゼポリペプチドの発現に使用される宿主細胞は当技術分野で周知であり、細菌細胞、例えばクレブシエラ・エロゲネス(Klebsiella aerogenes)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、大腸菌(E.coli)、バシラス・サチリス(B.subtilis)、バシラス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バシラス・メガテリウム(B.megaterium)、バシラス・ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)、バシラス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、ラクトバシラス・ケジル(Lactobacillus kejir)、ラクトバシラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシラス・マイナー(Lactobacillus minor)、ストレプトミセス(Streptomyces)およびサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium);真菌細胞、例えば酵母細胞[例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)(ATCCアクセッション番号201178)]を包含するが、これらに限定されるものではない。前記の宿主細胞のための適切な培地および増殖条件は当技術分野で周知である。
MTRキナーゼの発現のためのポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の種々の方法により細胞内に導入されうる。技術には、とりわけ、エレクトロポレーション、微粒子銃粒子衝撃、リポソーム媒介性トランスフェクション、塩化カルシウムトランスフェクションおよびプロトプラスト融合が含まれる。ポリヌクレオチドを細胞内に導入するための種々の方法が当業者に明らかであろう。
本開示の幾つかの実施形態においては、糸状菌宿主細胞は、以下のもの(それらに限定されるものではない)を含む任意の適切な属および種のものである:アクリヤ(Achlya)、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、ビエルカンデラ(Bjerkandera)、セリポリオプシス(Ceriporiopsis)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コクリオボラス(Cochliobolus)、コリナスカス(Corynascus)、クリフォネクトリア(Cryphonectria)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、コプリヌス(Coprinus)、コリオラス(Coriolus)、ディプロディア(Diplodia)、エンドシス(Endothis)、フザリウム(Fusarium)、ジベレラ(Gibberella)、グリオクラジウム(Gliocladium)、フミコラ(Humicola)、ヒポクレア(Hypocrea)、ミセリオプトラ(Myceliophthora)、ムコール(Mucor)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、ポドスポラ(Podospora)、フレビア(Phlebia)、ピロミセス(Piromyces)、ピリクラリア(Pyricularia)、リゾムコール(Rhizomucor)、リゾプス(Rhizopus)、シゾフィルム(Schizophyllum)、シタリジウム(Scytalidium)、スポロトリクム(Sporotrichum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、ティエラビア(Thielavia)、トラメテス(Trametes)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、トリコデルマ(Trichoderma)、ベルチシリウム(Verticillium)および/もしくはボルバリエラ(Volvariella)、ならびに/またはそれらのテレオモルフもしくはアナモルフ、ならびにそれらの別名、バシオニムもしくは分類学的同等物。
本開示の幾つかの実施形態においては、宿主細胞は酵母細胞であり、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ピキア(Pichia)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)またはヤロウイア(Yarrowia)属種(species)の細胞を包含するが、これらに限定されるものではない。本開示の幾つかの実施形態においては、酵母細胞はハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・ジアスタティックス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピキア・トレハロフィラ(Pichia trehalophila)、ピキア・コダマエ(Pichia kodamae)、ピキア・メンブランエファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・オプチエ(Pichia opuntiae)、ピキア・サーモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピキア・サリクタリア(Pichia salictaria)、ピキア・クエルクウム(Pichia quercuum)、ピキア・ピジペリ(Pichia pijperi)、ピキア・スチピチス(Pichia stipitis)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)またはヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)である。
幾つかの他の実施形態においては、宿主細胞は原核細胞である。適切な原核細胞には、グラム陽性細菌細胞、グラム陰性細菌細胞およびグラム可変性細菌細胞が含まれるが、これらに限定されるものではない。以下のもの(それらに限定されるものではない)を含む任意の適切な細菌生物が本開示において有用である:アグロバクテリウム(Agrobacterium)、アリシクロバシラス(Alicyclobacillus)、アナベナ(Anabaena)、アナシスチス(Anacystis)、アシネトバクター(Acinetobacter)、アシドテルムス(Acidothermus)、アルスロバクター(Arthrobacter)、アゾバクター(Azobacter)、バシラス(Bacillus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、ブチリビブリオ(Butyrivibrio)、ブフネラ(Buchnera)、カンペストリス(Campestris)、カンプリオバクター(Camplyobacter)、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、クロマチウム(Chromatium)、コプロコッカス(Coprococcus)、エシェリキア(Escherichia)、エンテロコッカス(Enterococcus)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、フソバクテリウム(Fusobacterium)、フェカリバクテリウム(Faecalibacterium)、フランシセラ(Francisella)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、ゲオバシラス(Geobacillus)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ヘリコバクター(Helicobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、ラクトバシラス(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、イリオバクター(Ilyobacter)、ミクロコッカス(Micrococcus)、マイクロバクテリウム(Microbacterium)、メソリゾビウム(Mesorhizobium)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ナイセリア(Neisseria)、パンテア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、プロクロロコッカス(Prochlorococcus)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)、ロゼブリア(Roseburia)、ロドスピリルム(Rhodospirillum)、ロドコッカス(Rhodococcus)、セネデスムス(Scenedesmus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、シネコッカス(Synecoccus)、サッカロモノスポラ(Saccharomonospora)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、セラチア(Serratia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、サーモアナエロバクテリウム(Thermoanaerobacterium)、トロフェリマ(Tropheryma)、ツラレンシス(Tularensis)、テメキュラ(Temecula)、サーモシネココッカス(Thermosynechococcus)、サーモコッカス(Thermococcus)、ウレアプラズマ(Ureaplasma)、キサントモナス(Xanthomonas)、キシレラ(Xylella)、エルシニア(Yersinia)およびザイモモナス(Zymomonas)。幾つかの実施形態においては、宿主細胞はアグロバクテリウム(Agrobacterium)、アシネトバクター(Acinetobacter)、アゾバクター(Azobacter)、バシラス(Bacillus)、ビフィドバクテリア(Bifidobacterium)、ブフネラ(Buchnera)、ジオバシラス(Geobacillus)、カンピロバクター(Campylobacter)、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、エシェリキア(Escherichia)、エンテロコッカス(Enterococcus)、エルウィニア(Erwinia)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、ラクトバシラス(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、パンテア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、サルモネラ(Salmonella)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)またはザイモモナス(Zymomonas)属種である。幾つかの実施形態においては、細菌宿主株はヒトに対して非病原性である。幾つかの実施形態においては、細菌宿主株は工業菌株である。多数の細菌性工業菌株が公知であり、本開示において適している。本開示の幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はアグロバクテリウム属種(Agrobacterium species)[例えば、アグロバクテリウム・ラジオバクター(A.radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(A.rhizogenes)およびアグロバクテリウム・ルビ(A.rubi)]である。本開示の幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はアルスロバクター属種(Arthrobacter species)[例えば、アルスロバクター・アウレッセンス(A.aurescens)、アルスロバクター・シトレウス(A.citreus)、アルスロバクター・グロビフォルミス(A.globiformis)、アルスロバクター・ヒドロカルボグルタミクス(A.hydrocarboglutamicus)、アルスロバクター・マイソレンス(A.mysorens)、アルスロバクター・ニコチアナエネ(A.nicotianae)、アルスロバクター・パラフィネウス(A.paraffineus)、アルスロバクター・プロトフォンニアエ(A.protophonniae)、アルスロバクター・ロセオパルクフィヌス(A.roseoparqffinus)、アルスロバクター・スルフレウス(A.sulfureus)およびアルスロバクター・ウレアファシエンス(A.ureafaciens)]である。本開示の幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はバシラス属種(Bacillus species)[例えば、バシラス・チューリンゲンシス(B.thuringensis)、バシラス・アンスラシス(B.anthracis)、バシラス・メガテリウム(B.megaterium)、バシラス・サチリス(B.subtilis)、バシラス・レンツス(B.lentus)、バシラス・サーキュランス(B.circulans)、バシラス・プミルス(B.pumilus)、バシラス・ロータス(B.lautus)、バシラス・コアグランス(B.coagulans)、バシラス・ブレビス(B.brevis)、バシラス・フィルムス(B.firmus)、バシラス・アルカオフィウス(B.alkaophius)、バシラス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バシラス・クラウシイ(B.clausii)、バシラス・ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)、バシラス・ハロデュランス(B.halodurans)およびバシラス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)]である。幾つかの実施形態においては、宿主細胞は工業用バシラス(Bacillus)株であり、これらには、バシラス・サチリス(B.subtilis)、バシラス・プミルス(B.pumilus)、バシラス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バシラス・メガテリウム(B.megaterium)、バシラス・クラウシイ(B.clausii)、バシラス・ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)またはバシラス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)が含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態においては、バシラス(Bacillus)宿主細胞はバシラス・サチリス(B.subtilis)、バシラス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バシラス・メガテリウム(B.megaterium)、バシラス・ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)および/またはバシラス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)である。幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はクロストリジウム属種(Clostridium species)[例えば、クロストリジウム・アセトブチリカム(C.acetobutylicum)、クロストリジウム・テタニ(C.tetani)E88、クロストリジウム・リツセブレンセ(C.lituseburense)、クロストリジウム・サッカロブチリカム(C.saccharobutylicum)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(C.perfringens)およびクロストリジウム・ベイジェリンキー(C.beijerinckii)]である。幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はコリネバクテリウム属種(Corynebacterium species)[例えば、コリネバクテリウム・グルタミカム(C.glutamicum)およびコリネバクテリウム・アセトアシドフィルム(C.acetoacidophilum)]である。幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はエシェリキア属種(Escherichia species)[例えば、大腸菌(E.coli)]である。幾つかの実施形態においては、宿主細胞は大腸菌(Escherichia coli)W3110である。幾つかの実施形態においては、宿主は大腸菌(Escherichia coli)BL21またはBL21(DE3)である。幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はエルウィニア属種(Erwinia species)[例えば、エルウィニア・ウレドボラ(E.uredovora)、エルウィニア・カロトボラ(E.carotovora)、エルウィニア・アナナス(E.ananas)、エルウィニア・ヘルビコーラ(E.herbicola)、エルウィニア・プンクタタ(E.punctata)およびエルウィニア・テレウス(E.terreus)]である。幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はパンテア属種(Pantoea species)[例えば、パンテア・シトレア(P.citrea)およびパンテア・アグロメランス(P.agglomerans)]である。幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はシュードモナス属種(Pseudomonas species)[例えば、シュードモナス・プチダ(P.putida)、シュードモナス・エルジノーサ(P.aeruginosa)、シュードモナス・メバロニイ(P.mevalonii)およびシュードモナス属種(P.sp.)D-01 10]である。幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はストレプトコッカス属種(Streptococcus species)[例えば、ストレプトコッカス・エクイシミリス(S.equisimiles)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)およびストレプトコッカス・ウベリス(S.uberis)]である。幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はストレプトマイセス属種[例えば、ストレプトマイセス・アンボファシエンス(S.ambofaci
ens)、ストレプトマイセス・アクロモゲネス(S.achromogenes)、ストレプトマイセス・アベルミチリス(S.avermitilis)、ストレプトマイセス・セリカラー(S.coelicolor)、ストレプトマイセス・アウレオファシエンス(S.aureofaciens)、ストレプトマイセス・アウレウス(S.aureus)、ストレプトマイセス・フンギシディクス(S.fungicidicus)、ストレプトマイセス・ギリセウス(S.griseus)およびストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)]である。幾つかの実施形態においては、細菌宿主細胞はザイモモナス属種(Zymomonas species)[例えば、ザイモモナス・モビリス(Z.mobilis)およびザイモモナス・リポリティカ(Z.lipolytica)]である。
本開示において有用である多数の原核生物および真核生物の株は、幾つかのカルチャー・コレクション、例えば、American Type Culture Collection(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSM)、Centraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)、およびAgricultural Research Service Patent Culture Collection,Northern Regional Research Center(NRRL)から公的に容易に入手可能である。
幾つかの実施形態においては、宿主細胞は、タンパク質の分泌、タンパク質の安定性、ならびに/またはタンパク質の発現および/もしくは分泌に望ましい他の特性を改善する特徴を有するように遺伝的に修飾される。遺伝的修飾は遺伝子工学技術および/または古典的な微生物学的技術(例えば、化学的またはUV突然変異誘発およびその後の選択)により達成されうる。実際、幾つかの実施形態においては、宿主細胞を作製するために組換え修飾と古典的な選択技術との組合せが用いられる。組換え技術を用いて、宿主細胞内および/または培地内のMTRキナーゼ変異体の収量が増加するように、核酸分子を導入し、欠失させ、抑制し、または修飾することが可能である。1つの遺伝子工学アプローチにおいては、コード化タンパク質の発現を抑制するためにインビボで遺伝子を特異的に標的化することにより、標的化遺伝子修飾を誘導するために、相同組換えを用いる。別のアプローチにおいては、siRNA、アンチセンスおよび/またはリボザイム技術が遺伝子発現の抑制において有用である。細胞内のタンパク質の発現を低減するための種々の方法が当技術分野で公知であり、それらには、タンパク質をコードする遺伝子の全部または一部の欠失、および遺伝子産物の発現または活性を破壊するための部位特異的突然変異誘発が含まれるが、これらに限定されるものではない[例えば、Chaverocheら,NUCL.ACIDS RES.,28:22 e97(2000);Choら,MOLEC.PLANT MICROBE INTERACT.,19:7-15(2006);MaruyamaおよびKitamoto,BIOTECHNOL.LETT.,30:1811-1817(2008);Takahashiら,MOL.GEN.GENOM.,272:344-352(2004);ならびにYouら,Arch.Microbiol.,191:615-622(2009)を参照されたい;それらの全てを参照により本明細書に組み入れることとする]。ランダム突然変異誘発、およびそれに続く、所望の突然変異のスクリーニングも有用である[例えば、Combierら,FEMS MICROBIOL.LETT.,220:141-8(2003);およびFironら,EUKARY.CELL 2:247-55(2003)を参照されたい;それらを共に参照により本明細書に組み入れることとする]。
宿主細胞内へのベクターまたはDNA構築物の導入は、当技術分野で公知のいずれかの適切な方法を用いて達成可能であり、そのような方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、PEG媒介性形質転換、エレクトロポレーションまたは当技術分野で公知の他の一般的な技術が含まれるが、これらに限定されるものではない。
幾つかの実施形態においては、本開示の操作された宿主細胞(すなわち、「組換え宿主細胞」)を、プロモーターの活性化、形質転換体の選択またはMTRキナーゼポリヌクレオチドの増幅のために適宜改変された通常の栄養培地内で培養する。温度、pHなどのような培養条件は、発現のために選択された宿主細胞で以前に使用された条件であり、当業者に周知である。記載されているとおり、細菌、植物、動物(特に哺乳類)および古細菌由来の細胞を含む多数の細胞の培養および作製に関する多数の標準的な参考文献およびテキストが利用可能である。
幾つかの実施形態においては、本開示のMTRキナーゼを発現する細胞をバッチまたは連続発酵条件下で増殖させる。古典的な「バッチ発酵」は閉鎖系であり、この場合、培地の組成は発酵の開始時に設定され、発酵中に人為的な変更に付されない。バッチ系の変法は、本開示において同様に有用である「フェドバッチ(流加)発酵」である。この変法においては、発酵が進行するにつれて、基質を徐々に添加する。フェドバッチ系は、異化産物抑制が細胞の代謝を阻害する可能性が高い場合、および培地内の基質の量を制限することが望ましい場合に有用である。バッチ発酵およびフェドバッチ発酵は一般的であり、当技術分野で周知である。「連続発酵」は開放系であり、この場合、定められた発酵培地をバイオリアクターに連続的に添加し、同時に等量の馴化培地を処理のために除去する。連続発酵は、一般に、細胞が主に対数増殖期にある状態で、一定の高密度で培養を維持する。連続発酵系は定常状態の増殖条件を維持しようとする。連続発酵プロセスのための栄養素および増殖因子を調節するための方法、ならびに産物生成の速度を最大化するための技術は応用微生物学の分野で周知である。
遺伝子産物の産生を増加させるために、本開示の核酸配列の複数のコピーが宿主細胞内に挿入される。核酸配列のコピー数の増加は、該配列の少なくとも1つの追加的なコピーを宿主細胞ゲノム内に組込むことにより、または増幅可能な選択マーカー遺伝子を該核酸配列と共に含めることにより(この場合、選択マーカー遺伝子の増幅コピーを含有し、それにより該核酸配列の追加的コピーを含有する細胞は、適切な選択剤の存在下で細胞を培養することにより選択されうる)達成されうる。
本開示の幾つかの実施形態においては、無細胞転写および翻訳系がMTRキナーゼの製造において有用である。幾つかの系が商業的に入手可能であり、該方法は当業者に周知である。
MTRキナーゼの進化方法
幾つかの実施形態においては、本開示のMTRキナーゼを製造するために、リボースおよび5-イソブチリルリボースの1-ホスホリル化を触媒するMTRキナーゼを大腸菌(Escherichia coli)から得る(または誘導する)。幾つかの実施形態においては、特定の宿主細胞におけるMTRキナーゼの発現を増強するために、親ポリヌクレオチド配列をコドン最適化する。配列番号2として示されている親ポリヌクレオチド配列を大腸菌における発現のためにコドン最適化し、MTRキナーゼ遺伝子の発現をtacプロモーターの制御下に配置した発現ベクター内に該コドン最適化ポリヌクレオチドをクローニングした。目的の遺伝子を発現するために必要なT7 RNAポリメラーゼはlacUV5プロモーターの制御下にあり、目的の遺伝子とT7 RNAポリメラーゼとの両方がグルコースによる抑制に付される。ラクトースまたはラクトース類似体、例えばイソプロピルβ-d-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)の存在はT7 RNAポリメラーゼの産生を活性化し、抑制を解除して、MTRキナーゼ遺伝子の産生をもたらす。活性なMTRキナーゼを大腸菌において発現するクローンを特定し、遺伝子を配列決定して、それらの正体(同一性)を確認した。
本開示のMTRキナーゼは、親配列をコードするポリヌクレオチドを突然変異誘発および/または定向進化法に付すことにより得られうる。代表的な定向進化技術は、Stemmer,1994,PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 91:10747-10751;WO 95/22625;WO 97/20078;WO 97/35966;WO 98/27230;WO 00/42651;WO 01/75767および米国特許第6,537,746号に記載されている突然変異誘発および/またはDNAシャッフリングである。使用されうる他の定向進化法には、とりわけ、スタガード伸長プロセス(StEP)、インビトロ組換え(Zhaoら,1998,NAT.BIOTECHNOL.16:258-261)、突然変異誘発性PCR(Caldwellら,1994,PCR METHODS APPL.3:S136-S140)およびカセット突然変異誘発(Blackら,1996,PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 93:3525-3529)が含まれる。
突然変異誘発処理後に得られたクローンを、所望の改善された酵素特性を有するMTRキナーゼに関してスクリーニングする。発現ライブラリーからの酵素活性の測定は、基質および生成物を測定するための標準的な化学分析技術、例えばUPLC-MSを用いて行われうる。この反応においては、ATPのガンマホスファート残基がMTRキナーゼによって基質の1位に転移されて、ADPおよびリン酸化リボースまたは5-イソブチリルリボースを生成する。この反応は、MTRキナーゼが収量制限性触媒である条件下でも実施可能であり、その場合、MTRキナーゼの濃度が2倍または半分になると、所定の時点で観察されるヌクレオシド生成物の収量が2倍または半分になる。所望の改善される酵素特性が熱安定性である場合、酵素調製物を所定温度にさらし、熱処理後に残存する酵素活性の量を測定した後、酵素活性が測定されうる。ついで、MTRキナーゼをコードするポリヌクレオチドを含有するクローンを単離し、配列決定してヌクレオチド配列の変化を(もしあれば)特定し、宿主細胞において酵素を発現させるために該クローンを使用する。
ポリペプチドの配列が既知である場合、酵素をコードするポリヌクレオチドは、公知の合成方法に従い、標準的な固相法により製造されうる。幾つかの実施形態においては、最大約100塩基の断片を個別に合成し、ついで(例えば、酵素的もしくは化学的連結法またはポリメラーゼ媒介法により)連結して、任意の所望の連続的配列を形成させることが可能である。例えば、本開示のポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは、例えばBeaucageら,1981,TET.LETT.22:1859-69に記載されている古典的なホスホラミダイト法、またはMatthesら,1984,EMBO J.3:801-05に記載されている方法(例えば、それは自動合成方法において典型的に実施されている)を用いる化学合成により製造されうる。ホスホラミダイト法によれば、オリゴヌクレオチドを例えば自動DNA合成装置において合成し、精製し、アニーリングし、連結し、適切なベクター内にクローン化する。また、実質的に任意の核酸が、種々の商業的入手元、例えばThe Midland Certified Reagent Company,Midland,Tex.、The Great American Gene Company,Ramona,Calif.、ExpressGen Inc.Chicago,Ill.、Operon Technologies Inc.,Alameda,Calif.およびその他多数から入手可能である。
宿主細胞において発現されたMTRキナーゼポリペプチドは、とりわけ、リゾチーム処理、超音波処理、濾過、塩析、超遠心分離およびクロマトグラフィーを含む、タンパク質精製のための周知の技術のいずれか1以上を用いて、細胞および/または培地から回収されうる。大腸菌のような細菌からのタンパク質の高効率抽出および細胞溶解のための適切な溶液はThermoFisher Scientificから商品名B-PER(商標)として商業的に入手可能である。
MTRキナーゼポリペプチドを単離するためのクロマトグラフィー技術には、とりわけ、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動およびアフィニティクロマトグラフィーが含まれる。特定の酵素を精製するための条件は正味電荷、疎水性、親水性、分子量、分子形状などのような要因に部分的に左右され、当業者に明らかであろう。
幾つかの実施形態においては、改良されたMTRキナーゼポリペプチドを単離するためにアフィニティ技術が用いられうる。アフィニティークロマトグラフィー精製の場合、タンパク質配列が、精製を可能にする認識配列でタグ付けされうる。一般的なタグには、セルロース結合ドメイン、ポリHisタグ、ジHisキレート、FLAGタグ、および当業者に明らかな他の多数のタグが含まれる。抗体もアフィニティ精製試薬として使用されうる。MTRキナーゼポリペプチドに特異的に結合する任意の抗体が使用されうる。
MTRキナーゼの使用方法
本明細書に記載されているMTRキナーゼは、式A:
Figure 2023553990000009
の基質化合物から、式B:
Figure 2023553990000010
の対応異性体生成物へのリン酸化を触媒しうる。特定の実施形態においては、本明細書に記載されているMTRキナーゼは、式C:
Figure 2023553990000011
の基質化合物から、式D:
Figure 2023553990000012
の対応異性体生成物へのリン酸化を触媒しうる。
幾つかの実施形態においては、リン酸化のための方法は、リン酸化に適した反応条件下、基質を、本明細書に開示されているMTRキナーゼと接触させ又はインキュベートすることを含む。幾つかの実施形態においては、生成物は、対応する副次的生成物に対して約99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%を超えるジアステレオマー過剰率を示す。
基質をリン酸化して生成物を得る方法の幾つかの実施形態においては、基質をリン酸化して、約85%を超えるジアステレオマー過剰率で生成物を得、ここで、MTRキナーゼポリペプチドは、配列番号1、3、5、7、9、11または12に対応する配列を含む。基質をリン酸化して生成物を得る方法の幾つかの実施形態においては、基質をリン酸化して、約85%を超えるジアステレオマー過剰率で生成物を得、ここで、MTRキナーゼポリペプチドは、配列番号2、4、6、8または10に対応するDNA配列によってコードされる。
基質をリン酸化して生成物を得るこの方法のもう1つの実施形態においては、約50g/Lを超える基質および約5g/L未満の該ポリペプチドを使用して実施した場合、基質の少なくとも約95%が約24時間以内に変換されて生成物を与え、ここで、該ポリペプチドは、配列番号1、3、5、7、9、11または12に対応するアミノ酸配列を含む。基質をリン酸化して生成物を得る該方法の実施形態においては、約50g/Lを超える基質および約5g/L未満の該ポリペプチドを使用して実施した場合、基質の少なくとも約95%が約24時間以内に生成物に変換され、ここで、MTRキナーゼポリペプチドは、配列番号2、4、6、8または10に対応するDNA配列によってコードされる。
幾つかの実施形態においては、リン酸化するための方法は、リン酸化リボースもしくはホスファートリボース誘導体またはその塩を製造するプロセスを含み、該プロセスは、配列番号1、3、5、7、9、11または12に対応するアミノ酸配列を含むポリペプチドの存在下、リボースまたはリボース誘導体をホスファート源と反応させることを含み、ここで、MTRキナーゼポリペプチドは、配列番号2、4、6、8または10に対応するDNA配列によってコードされる。特定の実施形態においては、リボースまたはリボース誘導体は、
Figure 2023553990000013
からなる群から選択される。特定の実施形態においては、該プロセスは、配列番号1、3、5、7、9、11もしくは12に対応するアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは配列番号2、4、6、8もしくは10に対応するDNA配列によってコードされるポリペプチドの存在下、リボースをホスファート源と反応させることを含む。
Figure 2023553990000014
他の特定の実施形態においては、該プロセスは、配列番号1、3、5、7、9、11もしくは12に対応するアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは配列番号2、4、6、8もしくは10に対応するDNA配列によってコードされるポリペプチドの存在下、リボースをホスファート源と反応させることを含む。
Figure 2023553990000015
本開示の追加的な実施形態は、
Figure 2023553990000016
からなる群から選択される化合物を提供する。
当業者に公知のとおり、キナーゼ触媒反応は典型的には補因子を必要とする。本明細書に記載されているMTRキナーゼポリペプチドによって触媒される反応も典型的には補因子を必要とするが、操作されたMTRキナーゼの多数の実施形態は、野生型MTRキナーゼによって触媒される反応より遥かに少ない補因子を必要とするに過ぎない。本明細書中で用いる「補因子」なる語は、MTRキナーゼ酵素と共に作用する非タンパク質化合物を意味する。本明細書に記載されている操作されたMTRキナーゼとの使用に適した補因子には、Mg2+、Ca2+、Mn2+またはCo2+を含む2価カチオン、およびATPを含むヌクレオチド三リン酸であって、ホスファート残基を基質に転移させる補因子として作用するものが含まれるが、これらに限定されるものではない。
本明細書に記載されているMTRキナーゼ触媒リン酸化反応は、一般に、溶媒中で行われる。幾つかの実施形態においては、水および水性共溶媒系を含む水性溶媒が使用される。
例示的な水性共溶媒系は水および1以上の有機溶媒を含有する。一般に、水性共溶媒系の有機溶媒成分は、それがMTRキナーゼ酵素を完全には不活性化しないように選択される。適切な共溶媒系は、酵素活性アッセイ、例えば本明細書に記載されているアッセイを用いて、候補溶媒系において、定められた目的基質を使用して特定の操作されたMTRキナーゼの酵素活性を測定することによって容易に特定されうる。
水性共溶媒系の有機溶媒成分は、単一の液相を生成するように水性成分と混和性であることが可能であり、あるいは、2つの液相を生成するように水性成分と非混和性または部分混和性であることが可能である。一般に、水性共溶媒系を使用する場合、それは、有機溶媒中に水が分散した又はその逆の二相系になるように選択される。一般に、水性共溶媒系を使用する場合、水相から容易に分離されうる有機溶媒を選択することが望ましい。一般に、共溶媒系における有機溶媒に対する水の比は、典型的には、約99:1~約10:90(v/v)の有機溶媒対水、そして80:20~20:80(v/v)の有機溶媒対水の範囲である。共溶媒系は反応混合物への添加の前に予め形成されることが可能であり、あるいは、それは反応容器内でインシトゥで形成されることが可能である。
水性溶媒(水または水性共溶媒系)はpH緩衝化されていても、緩衝化されていなくてもよい。一般に、リン酸化は約5~約9の範囲のpHで行われうる。幾つかの実施形態においては、リン酸化は、約8以下、しばしば約5~約8の範囲、通常は約6.5~約8の範囲のpHで行われる。
リン酸化反応の過程で、反応混合物のpHが変化しうる。反応混合物のpHは反応の過程で酸または塩基の添加によって所望のpHまたは所望のpH範囲内に維持されうる。あるいは、pHは、バッファーを含む水性溶媒を使用することにより制御されうる。所望のpH範囲を維持するための適切なバッファーは当技術分野で公知であり、例えばリン酸バッファー、トリエタノールアミンバッファーなどを包含する。バッファーと酸または塩基との添加の組合せも用いられうる。
化学量論的なアセチルまたはプロピオニルATP再生系を使用する場合、式(1)に示されるとおり、酢酸またはプロピオン酸(pKa=3.6)の同時生成は、生じる水性酢酸またはプロピオン酸(pKa=4.7)が別の手段で中和されないならば、反応混合物のpHを低下させる。達成される緩衝能までバッファーが酢酸またはプロピオン酸を中和する標準的な緩衝化技術により、または変換過程と同時に塩基を添加することにより、反応混合物のpHは所望のレベルに維持されうる。緩衝化と塩基添加との組合せも用いられうる。所望のpH範囲を維持するための適切なバッファーは前記に記載されている。酢酸またはプロピオン酸の中和のための適切な塩基としては、有機塩基、例えばアミン、アルコキシドなど、および無機塩基、例えば水酸化物塩(例えば、NaOH)、炭酸塩(例えば、NaHCO)、重炭酸塩(例えば、KCO)、塩基性リン酸塩(例えば、KHPO、NaPO)などが挙げられる。変換過程と同時の塩基を添加することは、反応混合物のpHをモニターしながら手動で、あるいは、より簡便には、自動滴定装置をpHスタットとして使用することによって行われうる。部分緩衝能と塩基添加との組合せもプロセス制御に用いられうる。
MTRキナーゼ触媒リン酸化反応中に放出された酢酸またはプロピオン酸を中和するために塩基添加を用いる場合、変換の進行は、pHを維持するために添加される塩基の量によりモニターされうる。典型的には、リン酸化の経過にわたって非緩衝化または部分緩衝化反応混合物に添加される塩基は水溶液として添加される。
幾つかの実施形態においては、宿主生物の全細胞を使用して該プロセスを行う場合、全細胞がATPを自然に提供しうる。代替的にまたは組合せて、ピルビン酸オキシダーゼ、またはATPの再生利用に必要な他の酵素を、細胞が自然にまたは組換えにより提供しうる。
本明細書に記載されている立体選択的リン酸化反応を行う際に、MTRキナーゼ酵素、および所望により用いられうるATP再生系を含む任意の酵素は、精製された酵素の形態、酵素をコードする遺伝子で形質転換された全細胞の形態、ならびに/またはそのような細胞の細胞抽出物および/もしくはライセートの形態で、反応混合物に添加されうる。MTRキナーゼポリペプチドをコードする遺伝子と、所望により用いられうるATP再生酵素をコードする遺伝子とは、宿主細胞内に別々に、または同一宿主細胞内に一緒に形質転換されうる。例えば、幾つかの実施形態においては、1つのセットの宿主細胞は、MTRキナーゼをコードする遺伝子で形質転換されることが可能であり、別のセットは、ATP再生酵素をコードする遺伝子で形質転換されることが可能である。形質転換細胞の両方のセットは、全細胞の形態で、またはそれに由来する抽出物もしくはライセートの形態で、反応混合物において一緒に使用されうる。他の実施形態においては、宿主細胞は、MTRキナーゼポリペプチドとATP再生酵素との両方をコードする遺伝子で形質転換されうる。
MTRキナーゼポリペプチドおよび/または所望により使用されうるATP再生酵素をコードする遺伝子で形質転換された全細胞またはその細胞抽出物および/もしくはライセートは、固体(例えば、凍結乾燥物、噴霧乾燥物など)または半固体(例えば、粗ペースト)を含む種々の異なる形態で使用されうる。
細胞抽出物または細胞ライセートは、沈殿(硫酸アンモニウム、ポリエチレンイミン、熱処理など)、およびそれに続く、凍結乾燥前の脱塩操作(例えば、限外濾過、透析など)により、部分的に精製されうる。細胞調製物はいずれも、公知架橋剤を使用して架橋することによって安定化されうる。
本明細書に記載されているMTRキナーゼ触媒反応を行うための適切な条件には、通常の実験によって容易に最適化されうる多種多様な条件が含まれる。そのような実験は、操作されたMTRキナーゼポリペプチドと基質とを実験的なpHおよび温度で接触させ、そして、例えば、本明細書で提供される実施例に記載されている方法を使用して、生成物を検出すること含むが、これらに限定されるものではない。
MTRキナーゼ触媒リン酸化は、典型的には、約20℃~約55℃の範囲の温度で行われる。幾つかの実施形態においては、それは約20℃~約45℃の範囲の温度で行われる。反応は周囲条件下においても行われうる。
反応は、一般に、実質的に完全な又はほぼ完全な基質リン酸化が達成されるまで、進行させる。基質から生成物へのリン酸化は、基質および/または生成物を検出することによる公知方法を用いてモニターされうる。適切な方法には、HPLC-CAD(荷電エアロゾル検出)、HPLC-MSなどが含まれる。反応混合物中で生成されるリン酸化生成物の変換収率は、一般に、約50%を超え、また、約60%を超えることもあり、約70%を超えることもあり、約80%を超えることもあり、約90%を超えることもあり、約97%を超えることも多い。
実施例
略語
ATP: アデノシン5’-三リン酸
DNアーゼI: DNAを非特異的に切断して、5’-リン酸化末端および3’-ヒドロキシル化末端を有するジ、トリおよびオリゴヌクレオチド生成物を遊離させる商業的に入手可能なエンドヌクレアーゼ
IPTG: イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド
LB寒天: 細菌の培養および増殖のための商業的に入手可能な栄養豊富な培地であるルリア(Luria)-ベルターニ(Bertani)培地
LBブロス: 細菌の培養および増殖のための商業的に入手可能な栄養豊富な培地であるルリア(Luria)-ベルターニ(Bertani)ブロス
NdeI: ナイセリア・デニトリフィカンス(Neisseria denitrificans)から単離されたエンドヌクレアーゼである商業的に入手可能な制限酵素
pET30: 大腸菌(E.coli)における組換えタンパク質の発現のための商業的に入手可能な系
XhoI: 商業的に入手可能な制限酵素
ZYM-5052: 細菌の培養および増殖のための商業的に入手可能な栄養豊富な培地
w/v: 体積当たりの重量
実施例1:ウェルプレート反応用の酵素製造
クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)由来のコドン最適化野生型MTRキナーゼを合成し、NdeI/XhoI制限部位を介してpET30内にクローニングした。クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)由来の野生型MTRキナーゼを含有するプラスミドをエレクトロコンピテント大腸菌(Escherichia coli)BL21(DE3)内にエレクトロポレーションにより形質転換した。37℃で1時間増殖させた後、形質転換体の一部を、50マイクログラム/mLのカナマイシンおよび1%(w/v)のグルコースで補足されたLB寒天上にプレーティングした。翌日、コロニーを採取し、50マイクログラム/mLのカナマイシンおよび1%(w/v)のグルコースで補足された0.2mL/ウェルのルリア-ベルターニ・ブロス(細胞用培地)を含有する96ウェルプレートに接種した。該96ウェルプレートを250RPM/30℃で一晩振盪した。翌日、各ウェルからの0.01mL/ウェルの培養物を使用して、0.39mL/ウェルのZYM-5052培地を含有する新たな96ウェルプレートの対応ウェルに接種した。この培養物を30℃/250RPMで18時間増殖させ、その時間の後、細胞を遠心分離によりペレット化し、上清を廃棄した。遠心分離後、細胞を凍結し、解凍し、次いで細胞溶解バッファー(0.2mL/ウェルの50mM トリエタノールアミン-HCl(pH7.5)、1mg/mL リゾチーム、0.5mg/mL 硫酸ポリミキシンB、1U/mL DNアーゼIおよび1mM MgSO)に再懸濁させた。次いでプレートを室温で1200RPMで2時間振盪した。次いでライセートを遠心分離(4000×g、10分間)によって清澄化した。次いでこの工程の後の上清を後続のウェルプレート反応に使用した(実施例3)。
実施例2:バイアルおよび大規模反応用の酵素製造
クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)由来のコドン最適化野生型MTRキナーゼを合成し、NdeI/XhoI制限部位を介してpET30内にクローニングし、T4リガーゼを使用して連結した。T7fおよびT7TRM配列決定プライマーを使用して、プラスミドを配列決定した。クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)由来の野生型MTRキナーゼ含むプラスミドをエレクトロコンピテント大腸菌(Escherichia coli)BL21(DE3)内にエレクトロポレーションにより形質転換した。37℃で1時間増殖させた後、形質転換体の一部を、50マイクログラム/mLのカナマイシンおよび1%(w/v)のグルコースで補足されたLB寒天上にプレーティングした。翌日、単一コロニーを採取し、50マイクログラム/mLのカナマイシンおよび1%(w/v)のグルコースで補足された50mLのルリア-ベルターニ・ブロス(細胞用培地)を含有する125mLのフラスコ内に接種した。フラスコを250RPM/30℃で一晩振盪した。翌日、1LのZYM-5052培地を含有する2.8Lのフラスコに、飽和した一晩培養物の100倍希釈物を接種した。この培養物を30℃/250RPMで18時間増殖させ、その時間の後、細胞を遠心分離により回収した。遠心分離後、1mLの50mM 水性トリエタノールアミン-HClバッファー(pH7.5)の0.33グラムの濃度まで細胞を再懸濁させた。この懸濁液を20℃で30分間振盪し、その時間の後、細胞を氷上に配置して冷却し、次いで高圧均質化(16,000PSI)によって破砕した。次いで、得られたライセートを、10,000×gで30分間遠心分離することによって清澄化した。遠心分離後、上清を凍結し、凍結乾燥した。
実施例3:ウェルプレートにおけるMTRキナーゼ反応
Figure 2023553990000017
96ウェル丸底ポリプロピレンプレートのウェルに、5’-イソブチリルリボース(水中の1.14M、16μL、4mg)、リン酸プロピオニルモノアンモニウム塩(水中の1M、pHを7.5に調整、25μL、4.3mg)、トリエタノールアミン(水中の1M、pHを7.5に調整、40μL、6.0mg)、塩化マグネシウム(水中の0.1M、10μL、0.095mg)、ATP(水中の0.1M、2μL、0.11mg)、以下の配列番号13によって特定されるアミノ酸配列を有する酢酸キナーゼ(水中の20g/L、4μL、0.08mg)、配列番号3によって特定されるアミノ酸配列を有するS-メチルチオリボースキナーゼ(水中の2g/L、100μL、0.2mg)を入れた。プレートを密閉し、25℃、700RPMで一晩振盪した。10μLの反応混合物を採取し、UPLC-MS分析用の190μLの50/50(v/v)アセトニトリル:水で希釈した。95%のアッセイ収率が得られた。
MGSHHHHHHGSRVLNINSGSSSIKYQLIEMEGEKVLCKGIAERIGIEGSRLVHRVGDEKHVIERELPDHEEALKLILNTLVDEKLGVIKDLKEIDAVGHRVVHGGERFKESVLVDEEVLKAIEEVSPLAPLHNPANLMGIKAAMKLLPGVPNVQVFDTAFHQTIPQKAYLYAIPYEYYEKYKIRRYGFHGISHRYVSKRAAEILGKKLEELKIITCHIGNGASVAAVKYGKCVDTSMGFTPLEGLVMGTRSGDLDPAIPFFIMEKEGISPQEMYDILNKKSGVYGLSKGFSSDMRDNFEAALKGDEWCKLVLEIYDYRIAKYIGAYAAAMNGVDAIVFTAGVGENSPITREDVCKYLEFLGVKLDKQKNEETILGKEGIISTPDSRVKVLVVPTNEELMIARDTKEIVEKIGR(配列番号13)。
実施例4:バイアル内のMTRキナーゼ反応
清潔で乾燥したFalconチューブに60mgのトリエタノールアミン、4mgのMgCl六水和物、200mgのリン酸プロピオニルモノアンモニウム塩および3mgのATPを4mLの水と共に加えた。溶液のpHは約4.0であったため、6M KOH溶液を使用してpHを7.5に調整した。次いで200mgの5’-イソブチリルリボース、および前記の配列番号13によって特定されるアミノ酸配列を有する4mgの酢酸キナーゼを該pH調整ストック溶液に加えた。pHは変化しなかった。
2つの清潔で乾燥した2ドラムバイアルに50mgのMTRキナーゼポリペプチド変異体を加え、次いで他の試薬の1mLストック溶液を加えた。反応が完了したと判断されるまで、反応液を30℃、500rpmで撹拌した。表2に変換を示す。
Figure 2023553990000018
前記および他の特徴および機能またはそれらの代替物の種々のものは多数の他の異なる系または適用へと望ましく組合されうると理解されるであろう。また、それにおける種々の代替、修飾、変更または改良が当業者によって後に行われうるが、これらもまた、以下の特許請求の範囲に含まれると意図される。

Claims (23)

  1. 配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11または配列番号12のいずれかの配列の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する領域を含むポリペプチド。
  2. 前記ポリペプチドが、配列番号3の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する領域を含む、請求項1記載のポリペプチド。
  3. 前記ポリペプチドが、配列番号5の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する領域を含む、請求項1記載のポリペプチド。
  4. 前記ポリペプチドが、配列番号7の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する領域を含む、請求項1記載のポリペプチド。
  5. 前記ポリペプチドが、配列番号9の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する領域を含む、請求項1記載のポリペプチド。
  6. 前記ポリペプチドが、配列番号11の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する領域を含む、請求項1記載のポリペプチド。
  7. 前記ポリペプチドが、配列番号12の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する領域を含む、請求項1記載のポリペプチド。
  8. 配列番号4、配列番号6、配列番号8または配列番号10のいずれかの配列の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するDNA配列によってコードされるポリペプチド。
  9. 前記ポリペプチドが、配列番号4の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するDNA配列によってコードされる、請求項8記載のポリペプチド。
  10. 前記ポリペプチドが、配列番号6の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するDNA配列によってコードされる、請求項8記載のポリペプチド。
  11. 前記ポリペプチドが、配列番号8の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するDNA配列によってコードされる、請求項8記載のポリペプチド。
  12. 前記ポリペプチドが、配列番号10の残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有するDNA配列によってコードされる、請求項8記載のポリペプチド。
  13. 宿主細胞におけるコード化ポリペプチドの発現を導くのに適した1以上の制御配列に機能的に連結された、請求項1~請求項12のいずれか1項記載のポリペプチドを含む発現ベクター。
  14. 制御配列がプロモーターを含む、請求項13記載の発現ベクター。
  15. プロモーターが大腸菌(E.coli)プロモーターを含む、請求項14記載の発現ベクター。
  16. 請求項13記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  17. 前記宿主細胞が大腸菌(E.coli)である、請求項16記載の宿主細胞。
  18. 請求項1~請求項12のいずれか1項記載のポリペプチドの存在下、リボースまたはリボース誘導体をホスファート源と反応させることを含む、リン酸化リボースもしくはリン酸化リボース誘導体またはその塩の製造方法。
  19. リボースまたはリボース誘導体が、
    Figure 2023553990000019
    からなる群から選択される、請求項18記載の製造方法。
  20. 請求項1~請求項12のいずれか1項記載のポリペプチドの存在下、リボースをホスファート源と反応させることを含む、請求項18記載の製造方法。
    Figure 2023553990000020
  21. 請求項1~請求項12のいずれか1項記載のポリペプチドの存在下、リボースをホスファート源と反応させることを含む、請求項18記載の製造方法。
    Figure 2023553990000021
  22. Figure 2023553990000022
    からなる群から選択される化合物。
  23. 化合物が
    Figure 2023553990000023
    である、請求項22記載の化合物。
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