JP2024514529A - アミン誘導体を有するヘアトリートメント組成物 - Google Patents

アミン誘導体を有するヘアトリートメント組成物 Download PDF

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Abstract

ヘアトリートメント組成物における一部又は全ての水酸化アンモニウムの代替物としての使用のための、特定のアルカノールアミン類の使用が開示される。毛髪着色剤アルカリ化剤として使用される場合、これらの誘導体は、水酸化アンモニウムの周知の代替物と比較して、毛髪繊維損傷の低減、効果的なカラーリフティング、並びに細胞毒性及び悪臭の顕著な改善を示す。【選択図】図1

Description

発明の分野
本発明は、ヘアトリートメント適用の分野に属する。特に、本発明は、毛髪のキューティクルを軟化させ且つ膨潤させるため、並びに試薬及び毛髪に利益をもたらす活性成分(hair-benefit actives)のコルテックスへの浸透を可能とするための、水酸化アンモニウムの代替物に関する。
背景
毛髪構造
ヒト毛髪繊維は、一般的に、キューティクルと呼ばれる最外側層を有すると理解されている。キューティクルは、毛髪繊維の長軸方向に「鱗」配置に配置された、約6~12層の重なり合った平らなケラチノサイトを含む。重なり合う細胞配置は、これらの細胞が互いにすべり合うことを可能とし、これが毛髪繊維に切断を伴うことなく高度の柔軟性を与える。キューティクル層は、毛幹内の水の量も調節する。キューティクルの最外側表面は、毛髪の表面を疎水性にする脂質物質でコーティングされている。また、キューティクルの鱗配置及び脂質コーティングは、毛髪繊維にバリア特性を与える。キューティクル下の毛髪繊維の第2層はコルテックスである。ここでは、メラニンと呼ばれる天然色素が見出される。キューティクルの半透明の性質により、コルテックス中のメラニンは、通常は目に見える。コルテックスの細胞は、ケラチンタンパク質構造を支持する基質を形成する。コルテックスでは、長いケラチン鎖で構成されるタンパク質繊維が、毛髪の主な構成成分である。これらのケラチン鎖には、硫黄含有アミノ酸であるシステインが豊富であり、このシステインが、ケラチン鎖間のジスルフィド橋の形態の永続的で熱的に安定な架橋結合を形成する。ヒト毛髪は約14~20%システインである。広範なシステインのジスルフィド結合は、毛髪に、その強度の約3分の1を与え、特定の解離剤又は還元剤中にある場合を除き、一般的には毛髪を不溶性にする。
キューティクルの軟化
本発明は、任意の目的、例えば、限定するものではないが、毛髪を弛緩させ、矯正し、パーマし、強化し、カラーリングするための、毛髪のキューティクルの軟化及び膨潤に関する。キューティクルの膨潤及び弛緩(loosening)が必要とされる様々なタイプのヘアトリートメントにおいて、アンモニア(溶液)は「ゴールドスタンダード」と考えられている。アルカリ化剤である水酸化アンモニウムは毛髪のpHを上昇させて、毛髪キューティクルを膨潤させて緩め、その結果、活性物質及び/又は試薬が毛髪中に浸透することができる。しかし、アンモニアの使用には多くの欠点がある。例えば、使用時にアンモニアガスが周囲環境に容易に流出し、強い悪臭を発し、さらに皮膚、目、鼻及び喉を刺激する。これらの悪影響は、毛髪のトリートメントを受ける人、並びにそのトリートメントを提供する人により経験される可能性がある。また、アンモニアは、ペプチド結合の切断により毛髪に損傷をもたらすことが知られている。これを理由として、代替的なキューティクル浸透法に関する研究が数十年間進められてきたが、結果は様々であった。例えば、低臭であるため、アミノメチルプロパノール(AMP)及びモノエタノールアミン(MEA)が、水酸化アンモニウムの代替物として使用されている。いずれの分子も、化粧品製剤においてpH緩衝剤として使用されることが知られている。毛髪に対するそれらの作用の点からみると、アミン官能基であるNH2が水酸化アンモニウム溶液中のアンモニア(NH3)と同様に反応し、一方でアンモニア臭は顕著に低減する。それにも関わらず、AMP及びMEAは毛髪繊維損傷の実質的な増加を伴い、これが依然として当技術分野における大きな懸念事項のままである。実際、今までのところ、キューティクルの開放において水酸化アンモニウムと同程度に有効であり、一方で悪臭及び過度の毛髪損傷という悪影響も回避するか又は顕著に低下させるトリートメントは見出されていない。
ヘアカラートリートメント
本発明の原理は様々なタイプのヘアトリートメントに関し得るが、本発明はここで、ヘアカラーリングトリートメントに関して記載される。
ヒト毛髪のカラーリングは、極めて人気のある美容処置である。現在、色の保持に従って分類される、4つの基本的なタイプのヘアカラートリートメントが存在する。一時的且つ半永久的であるのは、毛髪キューティクルの表面上に沈着される着色染料を用いる非酸化型トリートメントである。一時的染毛は、それらの毛髪を短時間(例えば1日)カラーリングするために使用される。このタイプのヘアカラーは、塩基性染料、酸性染料、分散染料、色素又は含金属染料により達成することができる。一時的染料は、それらの分子サイズにより毛髪に浸透することができず、毛髪に対する親和性をほとんど有していないため、典型的には1回の洗浄で洗い流される。対照的に、セミパーマネント染料分子は比較的小さく、毛髪に対していくらかの親和性を示し得る。この比較的小さなサイズは、染料がキューティクル中に浸透することを可能とし、染料の一部がコルテックスに達することも可能である。それにも関わらず、アルカリ化剤は、キューティクルを介した浸透を促進するためにセミパーマネントトリートメントにおいて使用される場合がある。このため、本発明は、セミパーマネントヘアカラーリングにおける用途を見出し得る。キューティクルに浸透した結果として、セミパーマネント染料は、すすぎ流すのに約6~12回のシャンプーを必要とする。一時的ヘアカラーリング製品及びセミパーマネントヘアカラーリング製品は、ローション、ジェル、シャンプー、リキッドソリューション、エマルション及びムースとして利用することができる。
パーマネントヘアカラートリートメントは、シャンプーで洗い流されず、トリートメントを受けた毛髪が伸びるまで効果的に持続する色を提供する。市販のカラーリング製品中の「染料」は、実際には、膨潤したキューティクル下で移動してコルテックス中に拡散するのに十分小さい無色の染料前駆体である。毛髪のコルテックスの内側で、前駆体は一連の酸化還元反応を受けて、最終的な色を発色する。酸化染毛の分野において、本発明者らは、一般的に、染料前駆体分子の2つのクラス:酸化ベース(一次中間体としても知られる)及び反応調節剤(カップラー又は二次中間体としても知られる)について述べる。設計により、一次中間体の酸化還元電位は二次中間体よりも酸化に有利であり、そのため一次中間体が最初に酸化される。比較的弱い酸化電位は、二次中間体は、単独ではわずかなカラーリングしか生じさせることができないが、ハイライトに寄与するために使用し得ることを意味する。一次中間体は酸化して高反応種となり、これが次に、電子が豊富な二次中間体と反応し、ロイコ染料(leuco dye)と呼ばれる無色の一過性中間体(transient intermediate)を形成する。ロイコ染料は、迅速に酸化されて最終色の共役染料(conjugated dye)となる。それらのサイズにより、共役染料分子は、コルテックスからすすぎ流されるのに抵抗する。
一般的に、一次中間体及び二次中間体は、3つの芳香族系:芳香族ジアミン類、アミノフェノール類、及びフェノール類に属する。一次中間体は、置換されたアミノ又はヒドロキシ基がアミノ基に対してパラ位又はオルト位に位置する芳香族のジアミン類及びアミノフェノール類である。この配置は、酸化容易性の特性を付与する。一次中間体は、キノン、セミ-キノン、及びイミン-キノン構造を形成することができる。一次中間体としての用途が見出された化合物の例としては、p-フェニレンジアミン(PPD)、2-メチル-p-フェニレンジアミン(PTD)、p-アミノフェノール(PAP)、1,4-ジヒドロキシベンゼン、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4,5-ジアミノ-1-(2-ヒドロキシエチル)ピラゾール、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、o-アミノフェノール、カテコール、及び1,2-ベンゼジアミン(1,2-benzediamine)、並びにその他の化合物などが挙げられる。一般的な調節剤は、芳香族m-ジアミン類、m-アミノフェノール類、及びm-ポリフェノール類である。メタ位にある置換基により、これらの分子は容易には酸化されにくい。例として、以下のものが挙げられる:m-フェニレンジアミン、2,4 レゾルシノール-ジアミノアニソール、m-クロロレゾルシノール、m-アミノフェノール、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、1-ナフトール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、及び1,3-ベンゼンジアミン。
酸化染毛剤系の2つの他の必須成分は、アルカリ化剤及び酸化剤である。両方とも複数の機能を果たす。例えば、上記のとおり、染料前駆体は、毛髪コルテックス中に浸透することが可能でなければならない。その工程を容易にするため、アルカリ化剤(通常は水酸化アンモニウム)を使用して、キューティクルを軟化させて膨潤させる。さらに、アルカリ化剤は、コルテックス環境のpHも上昇させ(約pH9~11まで)、これが酸化剤の反応性を高める。酸化剤(現像剤(developer)としても知られる、通常は過酸化水素、H2O2)は、一次中間体を酸化して、無色の前駆体染料を最終色の錯体に変換する酸化反応のカスケードを開始する。しかし同時に、アルカリ化剤は、H2O2の一部をOOH-に変換する。OOH-は、天然毛髪メラニン又は任意の前に適用された酸化ヘアカラーを中和する極めて反応性の高い脱色試薬であり、そのため新たに適用される色がゆがみなく透けて見えるようにする。
デミパーマネント(Demi-permanent)ヘアカラーリングは、本発明が応用される別のトリートメントである。約20~24回のシャンプーで持続するデミパーマネントヘアカラーは、セミパーマネントヘアカラーとパーマネントヘアカラーとの間の中間位置を占める。デミパーマネントヘアカラートリートメントは、セミパーマネント染料と、パーマネントカラートリートメントに特有の染料前駆体とのミックスを利用する。上記の染料は、アンモニアよりキューティクルを膨潤させる効果が低いアルカリ化剤(例えば、モノエタノールアミンMEA又はアミノメチルプロパノールAMP)と混合される。無色の染料前駆体は外側キューティクルに浸透し、一部はコルテックスに入ることが可能であり、そこで前駆体分子は結合してより大きな色分子を創出し、これが洗い流されることに抵抗する。パーマネントダイと同様に過酸化水素が使用されるが、比較的低い濃度で使用される。その結果、既存のヘアカラーは、認識し得る程度にはリフトされない。従って、このタイプの染料は、毛髪に比較的濃い色を加えるために有効である。
概要
本発明は、毛髪のキューティクルを軟化及び膨潤させるための組成物及び方法に関する。本組成物は、電子供与体/受容体を特徴とする特定のアミン誘導体を含み、これにより本組成物は、毛髪のキューティクルを軟化及び膨潤させるためのケラチン適合性アルカリ化剤として有用となる。
唯一の図は、2-ジメチル-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(DMAMP)とNH3との組み合わせを含むアルカリ化剤組成物の変性温度のデータを示す。
詳細な説明
別段に明確に示されている場合を除き、材料の濃度及び反応の条件は全て、「約」という単語により調整されるものとして理解されたい。
別段に特定されない限り、濃度は全て最終組成物の重量パーセントとして示される。
「含む(comprising)」などの用語は、要素(element)のリストが、明確に記載される要素(element)に限定され得ないことを意味する。
本明細書中に示される具体例は例示に過ぎず、本発明はこれらの言及される例に限定されない。
アルカリ化剤
電子供与体/受容体を特徴とする(場合による)特定のC3-C6アルカノールアミン類は、単独で又は組み合わせて、酸化的及び非酸化的ヘアカラーリング適用におけるアルカリ化剤として有用であることが示され得る。アルカノールアミン類は、アミノ官能基とヒドロキシル官能基を有するアルカン主鎖で構成される。これらの比較的大きな有機分子は、アンモニアほど揮発性ではない。しかし、アンモニアと同様に、アルカノールアミン類は、一般的に、毛髪及び皮膚細胞に損傷を与える可能性のある強塩基性の環境を創出することができる。アミン基が毛髪に対する損傷の原因であると一般的に考えられている。実際、ヘアトリートメント適用におけるアンモニアの利点を再現するために必要とされる濃度に応じて、一部のアルカノールアミン類は、アンモニアを上回る臭気及び損傷を生じる可能性もあれば、それより少ない臭気及び損傷を生じる可能性もある。ここで、特に興味深い11個のアルカリ化剤が、表1に示される(比較のためにのみ含まれる水酸化アンモニウム、MEA及びAMPは含まない)。
Figure 2024514529000002
Figure 2024514529000003
これらの11個の化合物又はそれらの組み合わせのうちいずれがアンモニア、アミノメチルプロパノール(AMP)及びモノエタノールアミン(MEA)を上回るパフォーマンス上の利点を提供し得るかの決定において、この11個の化合物のそれぞれが毛髪から天然色をリフトアウトする能力、化合物を毛髪に適用することにより引き起こされる損傷の程度、及び悪臭の程度についての研究を行った。これらの結果は、以下で考察される。
本発明のアルカリ化組成物において、全てのアルカノールアミンアルカリ化剤の総量は、典型的には、約0.001~25%;例えば約0.4%~約20%;例えば約1%~約15%;例えば約2%~約12.5%;例えば約3%~約10%である。水酸化アンモニウムが本明細書中で同定されるアルカノールアミンと組み合わせて使用される場合、水酸化アンモニウムの濃度は約0.01%~14%に限定されるべきである。
酸化染毛剤製品
実際には、酸化染毛剤製品は2つの容器からなり、第1の容器は(I) アルカリ化剤組成物を含み、第2の容器は(II) 酸化剤組成物を含む。これらは、毛髪への適用の少し前に混合される。その混合物は、オンヘア製品と呼ばれ得る。
I. アルカリ化剤組成物
本発明のアルカリ化剤組成物は、表1に示される1種以上のアルカリ化剤と、1種以上の酸化染料との水溶液を含む。任意選択的に、アルカリ化剤組成物又は毛髪に利益を与える様々な補助成分が含まれ得る。
酸化染料
本発明によるアルカリ化剤組成物は、操作可能であり、酸化剤と組み合わせた場合に毛髪に色を付与する1種以上の一次中間体を含む。任意選択的に、アルカリ化剤組成物は、1種以上のカップラーも含み得る。
一次中間体
一次中間体は、一般的に、全アルカリ化剤組成物の約0.001~25重量%、好ましくは約0.005~20重量%、より好ましくは約0.01~15重量%の量でアルカリ化剤組成物中に存在し得る。このような一次中間体としては、オルト又はパラ置換のアミノフェノール類又はフェニレンジアミン類、例えば、以下の式のパラ-フェニレンジアミン類:
Figure 2024514529000004
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、又はヒドロキシ基、メトキシ基、メチルスルホニルアミノ基、フルフリル基、アミノカルボニル基、非置換フェニル基、若しくはアミノ置換フェニル基で置換されているC1~6アルキルであり;R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロゲン、又は1つ以上のアミノ基若しくはヒドロキシル基で置換されているC1~6アルキルである)が挙げられる。このような一次中間体としては、パラ-フェニレンジアミン(PPD)、2-メチル-1,4-ジアミノベンゼン、2,6-ジメチル-1,4-ジアミノベンゼン、2,5-ジメチル-1,4-ジアミノベンゼン(diamninobenzen)、2,3-ジメチル-1,4-ジアミノベンゼン、2-クロロ-1,4-ジアミノベンゼン、2-メトキシ-1,4-ジアミノベンゼン、1-フェニルアミノ-4-アミノベンゼン、1-ジメチルアミノ-4-アミノベンゼン、1-ジエチルアミノ-4-アミノベンゼン、2-イソプロピル-1,4-ジアミノベンゼン、1-ヒドロキシプロピルアミノ-4-アミノベンゼン、2,6-ジメチル-3-メトキシ-1,4-ジアミノベンゼン、1-アミノ-4-ヒドロキシベンゼン、1-ビス(ベータ-ヒドロキシエチル)アミノ-4-アミノベンゼン、1-メトキシエチルアミノ-4-アミノベンゼン、2-ヒドロキシメチル-1,4-ジアミノベンゼン、2-ヒドロキシエチル-1,4-ジアミノベンゼン、並びにそれらの誘導体、及びそれらの酸性塩及び塩基性塩が挙げられる。また、様々なタイプのピリミジン類、例えば、2,3,4,5-テトラアミノピリミジンスルフェート及び2,5,6-トリアミノ-4-ピリミジノール-スルフェートも好適である。好ましい一次中間体は、p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2,5-ジアミノトルエン、それらの塩、及びそれらの混合物である。
カップラー
存在する場合、カラーカップラーは、全アルカリ化剤組成物の約0.0001~10重量%、より好ましくは約0.0005~8重量%、最も好ましくは約0.001~7重量%であり得る。このようなカラーカップラーとしては、例えば、一般式:
Figure 2024514529000005
(式中、R1は、非置換のヒドロキシ若しくはアミノ、又は1つ以上のC1~6ヒドロキシアルキル基で置換されているヒドロキシ若しくはアミノであり;R3及びR5は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、又は、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、若しくはC1~6ヒドロキシアルキル基で置換されているアミノであり;R2、R4、及びR6は、それぞれ独立して、水素、C1~6アルコキシ、C1~6ヒドロキシアルキル、又はC1~6アルキルである)を有するものが挙げられる。あるいは、R3とR4は一緒になって、メチレンジオキシ基又はエチレンジオキシ基を形成してもよい。このような化合物の例としては、非置換であってもよく、又はアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルアミノ基などによりアミノ基若しくはベンゼン環上で置換されていてもよいメタ-誘導体、例えばフェノール類、カテコール、メタ-アミノフェノール類、メタ-フェニレンジアミン類などが挙げられる。好適なカップラーとしては、m-アミノフェノール、2,4-ジアミノトルエン、4-アミノ、2-ヒドロキシトルエン、フェニルメチルピラゾロン、1,3-ジアミノベンゼン、6-メトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、6-ヒドロキシエトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、6-メトキシ-5-エチル-1,3-ジアミノベンゼン、6-エトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、1-ビス(ベータ-ヒドロキシエチル)アミノ-3-アミノベンゼン、2-メチル-1,3-ジアミノベンゼン、6-メトキシ-1-アミノ-3-[(ベータ-ヒドロキシエチル)アミノ]-ベンゼン、6-(ベータ-アミノエトキシ)-1,3-ジアミノベンゼン、6-(ベータ-ヒドロキシエトキシ)-1-アミノ-3-(メチルアミノ)ベンゼン、6-カルボキシメトキシ-1,3-ジアミノベンゼン。6-エトキシ-1-ビス(ベータ-ヒドロキシエチル)アミノ-3-アミノベンゼン、6-ヒドロキシエチル-1,3-ジアミノベンゼン、3,4-メチレンジオキシフェノール、3,4-メチレンジオキシ-1-[(ベータ-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンゼン、1-メトキシ-2-アミノ-4-[(ベータ-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンゼン、1-ヒドロキシ-3-(ジメチルアミノ)ベンゼン、6-メチル-1-ヒドロキシ-3[(ベータ-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンゼン、2,4-ジクロロ-1-ヒドロキシ-3-アミノベンゼン、1-ヒドロキシ-3-(ジエチルアミノ)ベンゼン、1-ヒドロキシ-2-メチル-3-アミノベンゼン、2-クロロ-6-メチル-1-ヒドロキシ-3-アミノベンゼン、1-ヒドロキシ-2-イソプロピル-5-メチルベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-メチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、5,6-ジクロロ-2-メチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1-ヒドロキシ-3-アミノ-ベンゼン、1-ヒドロキシ-3-(カルバモイルメチルアミノ)ベンゼン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、4-メチル-2,6-ジヒドロキシピリジン、2,6-ジヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジン、6-アミノベンゾモルホリン、1-フェニル-3-メチル-5-ピラゾロン、1-ヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノ-2-メチルフェノール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドリン、6-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドリン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール(diamioniphenoxyethanol)、及びそれらの混合物などが挙げられる。
補助成分
還元剤及び抗酸化剤
アルカリ化剤組成物は、1種以上の還元剤及び/又は1種以上の抗酸化剤をさらに含み得る。還元剤及び抗酸化剤は、一次中間体とカップラー間の反応並びに大気酸素への曝露による酸化の開始を阻害することにより、組成物を安定化させることができる。一般的に使用される還元剤はメタ重亜硫酸ナトリウムであり、これはアルカリ化剤組成物の0.1重量%~5重量%の範囲内で使用し得る。水溶性抗酸化剤としては、エリソルビン酸が挙げられる。アルカリ化剤組成物がエマルションである場合、t-ブチルキノンなどの油溶性抗酸化剤が有用であり得る。抗酸化剤は、典型的には、アルカリ化剤組成物の0.1重量%~5重量%を含み得る。
エモリエントオイル
所望の場合、アルカリ化剤組成物は、1種以上のエモリエントオイルを含み得る。このようなオイルは、毛髪にコンディショニング効果を提供する。存在する場合、このようなオイルは、アルカリ化剤組成物の約0.001~45重量%、好ましくは約0.01~40重量%、より好ましくは約0.1~35重量%であり得る。好適なオイルとしては、ジメチコンなどのシリコーン類、フェニルシリコーン類、セチルジメチコン若しくはステアリルジメチコンなどの脂肪アルキルシリコーン類、又は一般的にはジメチコンコポリオール類と呼ばれるシリコーン界面活性剤、又はセチルジメチコンコポリオールなどが挙げられる。また、植物若しくは動物に由来する様々な動物油、植物油、若しくは鉱油、又は合成油も好適である。例としては、ヒマワリ、ヒマ種子(castor seed)、オレンジ、レモン、ホホバ由来の油、鉱物油などが挙げられる。
界面活性剤
アルカリ化剤組成物は、1種以上の界面活性剤を含み得る。好適な界面活性剤としては、周知の化粧品的に許容されるアニオン性、非イオン性、両性及びカチオン性界面活性剤などが挙げられる。存在する場合、界面活性剤は、アルカリ化剤組成物の約0.001~50重量%、好ましくは約0.005~45重量%、より好ましくは約0.1~40重量%であり得る。
極性溶媒
アルカリ化剤組成物は、水以外の様々な非水性極性溶媒、例えば、一価、二価、又は多価アルコール、及び類似の水溶性成分なども含み得る。存在する場合、このような極性溶媒は、第1の極性溶媒の組成物の約0.01~25重量%、好ましくは約0.05~15重量%、より好ましくは約0.1~10重量%であり得る。好適な一価アルコールの例としては、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、ブタノール、ペンタノール、エトキシエタノールなどが挙げられる。二価アルコール又は多価アルコール、並びに使用し得る糖及び他のタイプの保湿剤の例としては、グリセリン、グルコース、フルクトース、マンノース、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イノシトールなどが挙げられる。好適なグリコールとしては、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール、4~250個の繰り返しエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール、エトキシジグリコールなどが挙げられる。
キレート剤
アルカリ化剤組成物は、任意選択的に、0.0001~5%、好ましくは0.0005~3%、より好ましくは0.001~2%の1種以上のキレート剤を含み得、これは、金属イオンが組成物の安定性又は効果に及ぼす悪影響を阻止するために、金属イオンと錯体を形成して不活性化させることができる。特に、キレート剤は、水中で見出された金属イオンをキレートし、これらのイオンが染料の毛髪繊維表面への沈着及び反応に干渉するのを妨げる。好適なキレート剤としては、EDTA、及びそのカルシウム、ナトリウム、又はカリウム誘導体、HEDTA、クエン酸ナトリウム、TEA-EDTA等が挙げられる。
pH調整剤
最終的なオン-ヘア製品が約8~約12のpHを有するように、少量の酸又は塩基を加えてアルカリ化剤組成物のpHを所望のpH範囲に調整することが望ましい場合もある。好適な酸としては、塩酸、リン酸などが挙げられる。好適な塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化物カリウムなど、並びに塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン)が挙げられる。第一級、第二級又は第三級アミン及びそれらの誘導体、例えば、アミノメチルプロパノール、モノエタノールアミンなども好適である。pH調整剤の推奨範囲は、全アルカリ化剤組成物の約0.00001~8重量%、好ましくは約0.00005~6重量%、より好ましくは約0.0001~5重量%である。
植物成分
アルカリ化剤組成物は、1種以上の植物成分を含み得る。存在する場合、推奨範囲は、全アルカリ化剤組成物の約0.00001~10重量%、好ましくは約0.0001~8重量%、より好ましくは約0.0001~5重量重量%である。このような成分の例としては、チャノキ(カメリア・シネンシス)(Camellia Sinensis)抽出物、ユチャ(カメリア・オレイフェラ)(Camellia Oleifera)抽出物、バニラ抽出物、緑茶抽出物、アロエベラ(アロエ・バルバデンシス)(Aloe Barbadensis)抽出物などが挙げられる。
アルカリ化組成物用の容器
アルカリ化剤組成物は、好ましくは、気密性且つ酸化耐性の材料製の容器中に保存される。好ましくは、このような容器は、チューブ(tube)、ジャー(jar)、ボトル(bottle)などの形態である。好ましいのは、容器がチューブ、好ましくは圧縮されてその中に見られるアルカリ化剤組成物を分配し得るチューブである場合である。好適なチューブは金属性であり得る。チューブが酸化耐性アルミニウムである場合が好ましい。最も好ましい実施形態において、チューブは、100ppm未満のカドミウム、水銀、鉛、及び六価クロムを有する酸化耐性アルミニウムで作製される。アルカリ化剤組成物の容器のクロージャは、空気が容器の内容物を酸化するのを妨げなければならない。様々なクロージャが適しており、例えば、スクリューキャップ、スナップオフ蓋などが挙げられる。好ましくは、上記クロージャは、例えば、サロン環境において複数回使用が望まれる場合に再利用可能である。一旦容器が開けられると、それを使用して、必要に応じて所望の量のアルカリ化剤組成物を分配することができる。上記の容器は、再密閉し、数時間、数日間、数週間、又はさらに数ヶ月間も保存して、その後、残りの内容物を使用することができる。本発明により製剤化され、好適な容器中に保存されたアルカリ化剤組成物を使用して、残りの内容物を無期限に保存することができる。例えば、アルカリ化剤組成物に抗酸化剤を含めると、酸化染毛剤の容器を使用して、それが再び使用されるまで1~6日間、又は1~3週間、又は1~4ヶ月間保存することが可能となる。
II. 酸化剤組成物
毛髪への適用の直前に、本発明のアルカリ化剤組成物を酸化剤組成物と組み合わせて、染毛剤組成物を形成する。水性形態の酸化剤組成物は、水を、一般的には酸化剤組成物の約65重量%~99重量%、好ましくは約70重量~97重量%、最も好ましくは約70重量%~94重量%の量で含む。水性形態の酸化剤組成物としては、ローション、クリーム及びジェルを挙げることができる。無水形態の酸化剤組成物が使用される場合もある(例えば、粉末)。さらに、酸化剤組成物は、アルカリ化剤組成物中に存在する前駆体染料と反応する酸化剤も含む。ほとんどの場合、使用される酸化剤は過酸化水素であるが、過酸化カルシウム、過炭酸ナトリウム及び1つ以上の過硫酸塩(すなわち、アンモニア、カリウム及びナトリウム)などの他の過酸化物又は酸化剤を使用することができる。好ましくは、酸化剤組成物中の過酸化水素濃度は、酸化剤組成物の約1~20重量%である。
酸化剤組成物は、典型的には、過酸化物安定化剤、例えば、スズ酸ナトリウム及びペンテト酸5Naを含み得る。あるいは、比較的低い酸化剤組成物のpHを維持するために、いくつかのタイプのキレート系を使用することができる。安定化剤及び/又はキレート系は、酸化剤組成物の0.01重量%~5.0重量%を構成し得る。
IV. アルカリ化剤組成物の試験
表1におけるアルカノールアミン類を、それらのアルカリ化剤としての適合性を評価するために、ベース染料組成物(染料も染料前駆体も有さない)中で試験した。本発明によるアルカリ化剤組成物、並びに対照組成物を、例えば熱力学的分析、光学的分析、及び引張分析などの様々な分析技術、並びに細胞毒性試験に供した。
毛髪サンプル調製
レベル4の混合源ヒト毛髪トレスを、International Hair Importers & Products, Inc(ニューヨーク)から購入した。試験は、未処理の毛髪(対照)、水酸化アンモニウムで処理された毛髪、並びに本明細書中上記の様々な単一のアルカリ化剤化合物及びそれらの組み合わせで処理された毛髪上で実施した。10グラムの新たに作製したアルカリ化剤組成物を、10グラムのボリューム40(12%)酸化剤現像剤(oxidizer developer)(Aveda Color Catalyst Conditioning Creme Developer)と、均一なクリームが得られるまで混合した。水酸化アンモニウムサンプルも、ボリューム40酸化剤現像剤と混合した。1グラムの毛髪当たり約4グラムのクリーム混合物を、サンプル毛髪トレスに適用した。次いで、各毛髪トレスを37℃のオーブンで45分間インキュベートした。毛髪トレスを水道水で1分間すすぎ、その後SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)5%溶液を適用した。各毛髪トレスをSDS溶液中で30秒間揉んだ。毛髪トレスを水道水で再び1分間すすぎ、全ての界面活性剤を洗い流した。処理したトレスを、ヘアドライヤーにより中速/高速にて中温/高温で乾かした。その後、トレスを室温で12時間空気乾燥させ、その後示差走査熱量測定法(DSC)及び分光光度分析に供した。
試験したアルカリ化剤組成物
以下のベースアルカリ化剤組成物(染料又は染料前駆体を含まない)を使用して、各アルカリ化剤又はそれらの組み合わせを試験した。
Figure 2024514529000006
表3は、アルカリ化剤組成物を完成させるために表2の1つの組成物に添加された各個別のアルカリ化剤の量を示す。アルカリ化剤組成物のpH、粘度及びアルカリ度も示される。Brookfield LVDVII Pro Viscometerを使用して、製剤の粘度を測定した。6rpmのT-Fスピンドルを用いて、22℃で測定を実施した。全ての組成物は同じモルパーセントのアルカリ化剤を含み、それに従って水含有量を調整した。アルカリ化剤におけるゴールドスタンダードである水酸化アンモニウムは対照としての役割を果たし、水酸化アンモニウムの一般的な代替物としてのMEA及びAMPは、比較として含まれる。
Figure 2024514529000007
これらを表2に示されるベース組成物中で合わせることにより、アルカリ化剤の様々な2成分組み合わせも試験した。
DSC分析
タンパク質変性は、タンパク質が、何らかの外部ストレス又は化合物、例えば強酸若しくは強塩基、濃無機塩、有機溶媒(例えばアルコール若しくはクロロホルム)など、又は熱の適用によりそれらの二次構造、三次構造又は四次構造を喪失し、一方でアミノ酸間のペプチド結合(一次構造)がインタクトなままである場合に生じる。三次構造の変性は、側鎖における、システイン基間の共有ジスルフィド架橋、極性基間の非共有双極子-双極子相互作用、及び非極性基間のファンデルワールス相互作用などの、アミノ側鎖間の相互作用の破壊を含む。二次構造の変性は、タンパク質が全ての規則的な繰り返しパターン(例えばアルファ-ヘリックス構造及びベータ-プリーツシート)を喪失し、ランダムコイル構造を採ることを意味する。
毛髪中のケラチンの変性は、示差走査熱量測定法により検出され得ることが知られている。DSCは、吸熱反応及び発熱反応についての転移温度及び転移熱(エンタルピー)を測定するために使用される熱分析技術である。DSCは、典型的には、異なる融解速度又は冷却速度での融解温度及び凝固温度を測定するために使用される。DSCは、ポリマーの分子量分布についての情報を提供するために十分に感度が高い。
変性測定を、未処理の毛髪(対照)、水酸化アンモニウムとボリューム40酸化剤現像剤との混合物で処理された毛髪(対照)、及び上記の様々なアルカリ化剤化合物(ボリューム40酸化剤顕色剤を含む)で処理された毛髪上で行った。比較の目的のため、特定の濃度を上回ると、ヒト毛髪に著しい損傷を生じさせる極めて強力なアルカリ化剤であるNaOHで処理された毛髪サンプルも含まれる。NaOHは、最悪の損傷レベルの指標として含まれる。
Mettler Toledo DSC822e(Mettler Toledo LLC(オハイオ州コロンバス)製)、又はDiscovery DSC 2500(TA Instruments(デラウェア州ニューキャッスル)製)を使用して測定を実施した。窒素保護下で、25℃~180℃の温度範囲にわたり、5℃/分の走査速度で実験を実施した。トレスサンプルを(0.1~1.0mmのサイズに)切り分けて秤量することにより、DSCサンプルを調製した。毛髪サンプルを脱イオン水と混合し、次いで、測定前に少なくとも6時間、高容量パン中に密閉した。各毛髪サンプルの相転移温度(ケラチン変性温度)を、STAReソフトウェア(Mettler Toledo DSC822e)又はTRIOSソフトウェア(Discovery DSC 2500)のいずれかを用いて分析した。各毛髪サンプルを少なくとも2回分析し、データ分析のために平均温度を得た。より高い変性温度は、アルカリ化剤組成物と酸化剤現像剤との混合物による処理の結果として、毛髪がそれほど損傷を受けなかったことを示す。結果は表4A及び4Bに示される。
Figure 2024514529000008
上記の結果は、構造、分子内水素結合及びアミン基の遮蔽に関して解釈され得る。表4Bは、13個のアルカノールアミンアルカリ化剤を、最も低い変性温度から最も高い変性温度の順に列挙する。重要な順に、結果を説明し得る特徴は、アミンの順序(第一級、第二級、第三級);OH基の数、OH基がアミンから何個の炭素原子離れているか、窒素がOH基及びメチル基により隣接されているか否か、である。
Figure 2024514529000009
上記の結果は、AP(3-アミノ-1-プロパノール)が、水酸化アンモニウムの一般的な代替物であるMEA及びAMPのいずれよりも有意により大きな損傷をもたらした唯一のアルカリ化剤であったことも示す。目に見えて、MEA及びAMPは、水酸化アンモニウムよりおよそ3倍高い損傷を生じさせた。セリノール及びDMAPは、水酸化アンモニウムに最も近い性能を発揮し、それらを、少なくとも毛髪の変性温度に関して、水酸化アンモニウムの全ての、大部分の、又は一部の代替物として好適なものとした。
第一級アミンアルカリ化剤組成物(トリスを除く)で処理された毛髪サンプルは全て、水酸化アンモニウム組成物で処理されたサンプルより低い変性温度を示すが、セリノールで処理された毛髪サンプルは、水酸化アンモニウム組成物で処理されたサンプルよりもごくわずかに低い変性温度を示す。しかし、第一級アミンアルカリ化剤の中でも、AMPD、AEPD、イソセリノール及びセリノールは、MEA及びAMPよりも有意に優れた性能を発揮し、従って、毛髪のキューティクルを軟化及び膨潤させるため、並びに試薬及び毛髪利益活性物質のコルテックスへの浸透を可能とするために有用であると考えることができる。
第一級アミンアルカリ化剤の中でも、2つのOH基を有するものは、OH基を1つしか有していないものよりも優れた性能を発揮した。それらのサブグループのそれぞれの中で、OH基(1つ又は複数)が、平均して、アミンにより近いほど、性能がより優れていた。ここで、「より近い(closer)」という用語は、介在する炭素原子の数がより少ないことを意味する。また、注目すべきなのは、アミンが炭素原子2個以内に2個以上のOH基により「隣接されている」か否かである。イソセリノール及びDMAPDにおけるアミンは、2個のOH基により隣接されているが、OH基のうち1つだけが炭素原子2個以内にある。
第三級アミンアルカリ化剤組成物及び第二級アミンアルカリ化剤組成物(TEA、DMAPD、DEA、DMAMP及びDMAP)は全て、水酸化アンモニウム組成物よりも毛髪に対する損傷が少なかった。第一級アミンアルカリ化剤であるトリスも、性能が良好であった。これらのアルカリ化剤の全ての中でも、2つ又は3つのOH基を有するアルカリ化剤は、1つしかOH基を有していないアルカリ化剤よりも優れた性能を発揮した。第二級アミンアルカリ化剤及び第三級アミンアルカリ化剤の中でも、より多くのOH基を有するものほど、より性能が優れていた。トリスは特殊な例である。第一級アミンとして、トリスは性能が比較的低いと予想されていた。しかし、3つのOH基全てをアミンの2炭素原子以内に有すること、及び部分的隣接が、その性能に寄与していたように見える。TEAは、試験した毛髪サンプルに最少の損傷を生じさせたが、毛髪表面上に残存性のコーティングが形成され得る。以下の一般化を行うことができる:目的が毛髪に対する損傷を制限することである場合、少なくとも2つのOH基を有する第一級アルカノールアミン類、並びに第二級アルカノールアミン類及び第三級アルカノールアミン類が好ましい。
各アルカリ化剤の性能の少なくとも一部は、特にヒドロキシル基の水素と窒素との間の分子内水素結合の結果としてのアミン基の安定化又は遮断に起因し得るが、何らかの他の水素結合又は他の作用も生じている可能性があることが考えられる。実際、AP(DSC試験における最悪のパフォーマー)とDMAP(アンモニアより優れたパフォーマー)との間の唯一の差は、DMAPのアミン上の2つのメチル基であり、これがアミンをかなり安定化させていると考えられる。
カラーリフティング(Color Lifting)
分光光度法を使用して、本明細書中上記の様々なアルカリ化剤化合物及びそれらの組み合わせに対する曝露の結果としての、様々な毛髪サンプルの色の変化及び外観の変化を評価した。分光光度法を使用して、所与の表面又は物体から反射する光を測定することができる。Konica Minolta(登録商標)CM-600d分光光度計及びそれに付属するSpectraMagic NXソフトウェアを使用して、毛髪トレス色の評価のためのデータを収集した。色を3つの異なる数値(L*、a*、及びb*)として表すのが標準である。上記の値は、ヒトの目で知覚されるものを模倣することを意図する。毛髪サンプルの赤色/緑色を表すa*値、及び毛髪サンプルの黄色/青色を表すb*値は、ここでは報告されない。しかし、L*値は、測定表面の明/暗強度を表す。L*値は0~100であり、ここで0は純黒であり、100は純白である。L*値が高いほど髪色は明るく、アルカリ化剤は、天然の髪色のリフティングにおいてより効果的である。L*の測定を、未処理の毛髪(対照)、水酸化アンモニウムとボリューム40酸化剤現像剤(対照)との混合物で処理された毛髪、及び上記の様々なアルカリ化剤化合物(ボリューム40酸化剤現像剤を含む)で処理された毛髪上で行った。比較の目的で、特定の濃度を上回ると、メラニンの著しい喪失を誘発することが予想される極めて強力なアルカリ化剤であるNaOHで処理された毛髪サンプルも含めた。各毛髪トレスは一端で固定され、毛髪が束(binding)に沿って均一に分配される見本(swatch)を形成する。測定されたL*の値は表5に示される。
Figure 2024514529000010
上記の結果は、イソセリノール/酸化剤混合物及び3-アミノ-1-プロパノール (AP)/酸化剤混合物が、天然の髪色のリフティングにおいて水酸化アンモニウム/酸化剤混合物より優れている(またNaOHと同様であるか又は優れてすらいる)ことを示す。さらに、イソセリノールは、水酸化アンモニウムの2つの一般的な代替物であるMEAとほぼ同じ効力、及びAMPより有意に優れた効力を示した。3-アミノ-1-プロパノール(AP)は、これら全てよりも性能が優れていた。他の組成物は、髪色のリフティングにおいて、水酸化アンモニウム、MEA及びAMPより効果が低かった。しかし、AMPDは、MEA及び水酸化アンモニウムとほぼ同程度に優れていた。カラーリフティングについては、損傷に関して(vis-a-vis)水酸化アンモニウムに匹敵するセリノール及びDMAPは、水酸化アンモニウムよりも有意に低い性能を示した。これは、両方の利点を得るための、セリノール又はDMAPと組み合わせたアンモニア、MEA又はイソセリノールなどのアルカリ化剤の組み合わせを示唆し得る。
カラーリフティングの結果は、トリスが第三級アルカリ化剤であるDMAPと同様であったことを除けば、第一級アミンアルカリ化剤組成物の全てが第三級アミンアルカリ化剤組成物よりも優れた性能を発揮したという点において、上記のDSCの結果とほぼ逆である。また、第一級アミンアルカリ化剤であるAEPDは、第二級アミンアルカリ化剤であるDEAほど良くはなかったが、これに近い性能であった。
アルカリ化剤の組み合わせの試験
本発明者らは、アルカリ化剤の組み合わせが、欠点を軽減しながらそれぞれの利点を組み合わせる可能性が高いと予測した。上記の結果に基づいて、表2及び表3に従って作製されたアルカリ化剤組成物2つを組み合わせることにより、選定されたアルカリ化剤の2成分組み合わせも試験した。組み合わせの第1セットは全て、以下のとおりNH3を含む:AMPD-NH3、AEPD-NH3、DMAMP-NH3、トリス-NH3及びセリノール-NH3。これらの組み合わせを、以下の表6~10に示されるように、異なるモル比で試験した。
Figure 2024514529000011
Figure 2024514529000012
Figure 2024514529000013
Figure 2024514529000014
Figure 2024514529000015
Figure 2024514529000016
Figure 2024514529000017
Figure 2024514529000018
Figure 2024514529000019
NH3へのAMPD、AEPD又はセリノールの添加は変性温度を低下させたが、ごくわずかであった。NH3へのDMAMP又はトリスの添加は、変性温度を上昇させた。ほぼあらゆる量のトリスが、AMPD、AEPD又はセリノール単独よりも少ない損傷、及びNH3と組み合わせたAMPD、AEPD又はセリノールよりも少ない損傷をもたらした。これらのNH3を含む組み合わせにおいて、L*値はやや低下し、100%NH3よりもリフティングの効率が低いことを示していた。トリスは、カラーリフティングの効力を低下させる傾向があった。
アルカリ化剤の各混合物の変性温度は、各アルカリ化剤の相対濃度に対してほぼ直線的に変動する。DMAMP-NH3の組み合わせは例外である。その場合、2つのデータのクラスターが存在する(図を参照のこと)。温度データの第1のクラスターは、DMAMPの約0~15モルパーセントに存在する。第2のクラスターは、DMAMPの約25~100モルパーセントに存在する。DMAMP-NH3は、100%NH3から0.5:99.5(1:199 DMAMP:NH3)になるときに、変性温度の著しい増大を示した。この結果は予想外であった。この非直線的関係は、さらなる変性をほとんど伴わずにカラーリフティングが増加するモルパーセントの範囲を示す。したがって、本発明者らは、当然のこととして、100%NH3と3:7(DMAMP:NH3)との間のモル比に関して、有利な結果を予想する。例えば、100%NH3と比較して有意に損傷が少ないため、1:199、1:99、1:90、1:45、1:30、1:22.5、1:18、1:15、1:12.9、1:11.25、1:3及び1:2.5のモル比(DMAMP:NH3)が有用である。1:99~1:2.5のモル比が好ましく;1:45~1:4がより好ましく;1:20~1:3のモル比がなおより好ましい。
全体として、上記のデータは、求められる効果に応じて、アルカリ化剤の各組み合わせについての相対濃度の好ましい範囲の存在を示唆する。DSC結果の概要は表14に示される。また、DSC結果のみに基づいて、さらにDSC結果及びL*値の結果に基づいて、アルカリ化剤の各組み合わせについてのモル比の好ましい範囲も示される。
Figure 2024514529000020
細胞毒性
アルカリ化剤組成物が外毛根鞘細胞及びケラチノサイトに与える影響を評価した。MultiTox-Fluor Multiplex Cytotoxicity Assay(Promega Corp.、ウィスコンシン州マディソン)は、2つのプロテアーゼ活性を同時に測定する:一方は細胞生存率のマーカーであり、他方は細胞毒性のマーカーである。このアッセイにおいて、様々な濃度のアルカリ化剤に対する外毛根鞘細胞及びケラチノサイトの応答を測定し、中程度の高さの応答(mid-height response)(ベースライン応答と最大応答との中間)を誘発する濃度であるIC50を決定した。この研究において、より大きなIC50値は、アルカリ化剤が細胞に対してより少ないストレスを誘発することを示す。結果は表15に示される。
Figure 2024514529000021
いずれのタイプの細胞についても、従来のアンモニアの代替物であるMEA及びAMPは、水酸化アンモニウムよりも細胞に対して毒性である。DMAMPも水酸化アンモニウムより毒性であるが、従来の代替物であるAMPよりは毒性が低く、MEAよりもケラチノサイトに対する毒性が低い。また、いずれのタイプの細胞に対しても、AMPD、AEPD、DMAPD及びイソセリノールは、水酸化アンモニウムより有意に毒性が低かった。
引張強度
アルカリ化剤組成物が毛髪繊維の引張強度に与える影響を測定した。毛髪トレスを、上記の表2及び表3に示される組成物で処理した。各トレスから、複数の個々の毛髪繊維を、ブラスクリンプ(brass crimps)及びDiastron AAS 1600(Diastron Ltd、英国)を使用し、毛髪を通して縮れさせ(thread and crimp the hair)、引張分析のために調製した。各繊維の平均断面積を、レーザーマイクロメーターFDAS 770ユニット(Diastron Ltd、英国)を24℃及び55%相対湿度(RH)で使用して決定した。全ての毛髪繊維を、Diastron MTT686装置をコントロールユニットUV1000(Diastron Ltd、英国)と一緒に使用して、破断するまで引っ張った。最終結果を、ソフトウェア分析(UvWin 2.35.0000, Diastron, Ltd、英国)により計算した。平均適用破断時応力は、表16に示される。より大きな破断時応力は、毛髪繊維が、適用されたアルカリ化剤組成物によりそれほど弱められなかったことを示す。
Figure 2024514529000022
表16における引張データは、アルカリ化組成物及び酸化剤による処理後の毛髪繊維についての平均破断応力を示す。サンプルは、ベースラインとしてのNH3と比較される。破断応力データは、一般的な傾向として、第一級アミンから第三級アミンになると損傷の量が低下することを示す。例えば、第三級アミン(DMAMP、DMAP、DMAPD、TEA)は、それらの第一級アミン類似体(AMP、AP、AMPD、MEA)と同様の損傷量又はより低い損傷量をもたらす。また第一級から第二級、第三級になると、MEA、DEA、及びTEAを用いた場合に見られた損傷の量が低下する。さらに、上記のデータは、AP対AMP対AMPDを比較する場合に見られるように、ヒドロキシル基の位置及び数が引張強度に影響を与えることも示す。2つのヒドロキシル基の導入(AMPD)は、驚くべきことに、より損傷が少ない毛髪繊維をもたらす。同様の効果は、3つのヒドロキシル基により隣接される第一級アミンであるトリスを用いた場合に観察される。これらの例は両方とも、NH3と同様の繊維損傷を、同等のリフトと共に示す。
臭気評価(Odor Evaluation)
専門の調香師が、表1及び表2に表されるアルカリ化剤組成物のうちのいくつかを順位付けした。アルカリ化剤を含めないベース処方(表1)を対照として使用した。第一級アルカノールアミン組成物の中で、悪臭なしから最も強い悪臭への順番は:
対照 > AMPD=セリノール > トリス > MEA = AMP > AEPD > NH3
であり、第三級アルカノールアミン組成物の中で、悪臭なしから最も強い悪臭への順番は:
対照 > DMAMP > DMAPD > NH3
であった。
評価されたアルカノールアミン組成物は全て、水酸化アンモニウム組成物よりも悪臭が少なかった。第一級アミンの中で、AMPD、セリノール及びトリスは、2つの従来のアンモニア代替物であるMEA及びAMPよりも優れた性能を発揮した。試験した2つの第三級アミンは、MEA及びAMPほど性能が優れてはいなかった。
Figure 2024514529000023
まとめると、11のアルカノールアミン類のうち6つがDSC分析において性能が良好であり、水酸化アンモニウムと比較して、毛髪繊維損傷の低減を示唆していた。引張試験では、11のアルカノールアミン類のうち8つがNH3と同程度の性能を発揮した。DSC分析においては、11のアルカノールアミン類のうち10のアルカノールアミン類が、毛髪着色剤アルカリ化剤(hair colorant alkalizer)として使用した場合、従来の水酸化アンモニウムの代替物であるMEA及びAMPを上回る毛髪繊維損傷の低減を示した。引張強度分析において、11のアルカノールアミン類のうち8つは、毛髪着色剤アルカリ化剤として使用した場合、MEA及びAMPを上回る毛髪繊維損傷の低減を示した。3つのアルカノールアミン類は、毛髪からの色のリフティングにおいて、水酸化アンモニウムより優れていた。これらのうちの1つ(イソセリノール)は、毛髪色のリフティングにおいて、AMPより有意に優れており、MEAとほぼ同じであった。さらに、水酸化アンモニウムを有するか又は有さない11のアルカリ化剤の組み合わせは、毛髪損傷の低減、カラーリフティングの改善、又はその両方に関して有利であることがわかった。本発明者らは、2つのアルカリ化剤の混合物について、ケラチン変性温度が、DMAMP-NH3の場合を除き、各アルカリ化剤の相対濃度によりほぼ直線的に変動することを見出した。この結果は予想外であった。これは、L*値測定値と合わせて、アルカリ化剤の各組み合わせについての相対濃度の好ましい範囲の存在を示唆し、本発明者らはこれらの範囲を同定した。
第一級アルカノールアミン類は、第三級アルカノールアミン類よりは臭いが良い。外毛根鞘細胞及びケラチノサイトに対しては、MEA、AMP及びDMAMPは、水酸化アンモニウムよりも細胞に対して毒性である。しかし、いずれのタイプの細胞に対しても、AMPD、AEPD、DMAPD及びイソセリノールは、水酸化アンモニウムよりも有意に毒性が低かった。これらの特性の一部又は全ては、酸化的ヘアトリートメント及び非酸化的ヘアトリートメントの両方において有利であり得る。
一般的に、本発明者らは、毛髪キューティクルの軟化及び膨潤のため、試薬及び毛髪利益活性物質のコルテックスへの浸透を可能とするための、様々なアルカノールアミン類の適合性を示した。これらの結果は、様々なタイプのヘアトリートメント適用に有用であるが、本発明者らは特に、ヘアカラートリートメントの場合を示した。本発明者らは、ヘアカラーリング適用のタイプに応じて、水酸化アンモニウムの使用を低減又は除去し得ることを示した。
考察
観察に基づくと、アルカノールアミン中の分子内水素結合が、アミンのある程度の安定化を提供するコンフォメーションをもたらすと推測され得る。最も興味深いのは、アルカノールアミンの窒素原子と1つ以上のヒドロキシル基間の水素結合である。このタイプの分子内結合は、毛髪繊維の変性及びカラーリフティングに関して本発明者らが観察したバリエーション(variation)についての説明を提供する。一般的に、アミンが関与する水素結合が多いほど毛髪が経験する損傷は少ないが、カラーリフティングの効果がより低いという代償を払う。しかし、特に興味深いのは、電子結合供与体が、窒素原子からちょうど2炭素離れて位置しているアルカノールアミン分子である。C2位に位置する2つ以上のヒドロキシル基を有する第一級アルカノールアミン類は、ヘアトリートメント製品における有用なアルカリ化剤である。同様に、C2位に位置する少なくとも1つのヒドロキシル基を有する第二級及び第三級アルカノールアミン類も有用である。
本発明の特定の実施形態を説明及び記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行い得ることは当業者に明らかである。従って、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内のこのような変更及び修正の全てを包含することが意図される。

Claims (14)

1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、アンモニア並びに2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールを含むアルカリ化剤組成物であって、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールとアンモニアとのモル比が1:1~1:9である、前記アルカリ化剤組成物。
1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、アンモニア並びに2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールを含むアルカリ化剤組成物であって、2-ジメチル-アミノ-2-メチル-1-プロパノールとアンモニアとのモル比が1:1~1:3である、前記アルカリ化剤組成物。
1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、アンモニア並びに2-ジメチル-アミノ-2-メチル-1-プロパノールを含むアルカリ化剤組成物であって、2-ジメチル-アミノ-2-メチル-1-プロパノールとアンモニアとのモル比が1:4~1:199である、前記アルカリ化剤組成物。
1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、アンモニア並びにトリスを含むアルカリ化剤組成物であって、トリスとアンモニアとのモル比が1:9~2:1である、前記アルカリ化剤組成物。
1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、アンモニア並びにセリノールを含むアルカリ化剤組成物であって、セリノールとアンモニアとのモル比が1:2.5~1:9である、前記アルカリ化剤組成物。
1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール並びにトリスを含むアルカリ化剤組成物であって、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールとトリスとのモル比が9:1~1:99である、前記アルカリ化剤組成物。
1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール並びにトリスを含むアルカリ化剤組成物であって、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールとトリスとのモル比が9:1~1:99である、前記アルカリ化剤組成物。
1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、セリノール並びにトリスを含むアルカリ化剤組成物であって、セリノールとトリスとのモル比が9:1~1:99である、前記アルカリ化剤組成物。
1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、並びにセリノールを含むアルカリ化剤組成物。
1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、並びに3-ジメチル-アミノ-1-プロパノールを含むアルカリ化剤組成物。
第1の容器と第2の容器を含む染毛剤製品であって:
第1の容器が、1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、並びにセリノールを含むアルカリ化剤組成物を含み;
第2の容器が、酸化剤組成物を含む、
前記染毛剤製品。
前記製品がpH8~12を有する、請求項11に記載の染毛剤製品。
第1の容器と第2の容器を含む染毛剤製品であって:
第1の容器が、1種以上の一次中間体及び/又はカップラー、並びに3-ジメチル-アミノ-1-プロパノールを含むアルカリ化剤組成物を含み;
第2の容器が、酸化剤組成物を含む、
前記染毛剤製品。
前記製品がpH8~12を有する、請求項13に記載の染毛剤製品。
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