JP2024513118A - Liイオン電池用固体電解質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、イオン伝導度、電気化学的安定性、高温安定性及び機械的強度の間の非常に良好な妥協を示すフィルムの製造を可能にする固体電解質の組成物に関する。このフィルムは、セパレータ用途、特にLiイオン電池用のセパレータ用途を意図している。本発明はまた、そのようなセパレータを含むLiイオン電池に関する。

Description

本発明は、概して、Liイオンタイプの蓄電池における電気エネルギー貯蔵の分野に関する。より具体的には、本発明は、イオン伝導度、電気化学的安定性、高温安定性及び機械的強度の間の非常に良好な妥協を示すフィルムの製造を可能にする固体電解質の組成物に関する。このフィルムは、セパレータ用途、特にLiイオン電池のセパレータ用途を意図している。本発明はまた、そのようなセパレータを含むLiイオン電池に関する。
Liイオン電池は、銅集電体に結合された少なくとも1つの負極又はアノードと、アルミニウム集電体に結合された正極又はカソードと、セパレータと、電解質とを含む。電解質は、イオンの輸送及び解離を最適化するために選択された有機炭酸塩の混合物である溶媒と混合されたリチウム塩、一般にリチウムヘキサフルオロホスフェートからなる。高い誘電率は、イオンの解離を促進し、したがって所与の体積において利用可能なイオンの数を促進し、一方低い粘度は、他のパラメータの中でも、電気化学システムの充電及び放電の速度において不可欠な役割を果たすイオン拡散を促進する。
充電式電池又は蓄電池は、電池の正極及び負極で起こる関連する電気化学反応が可逆的であるため、一次電池(再充電式でない)よりも有利である。蓄電池の電極は、電流の印加によって数回再生することができる。電気エネルギーを貯蔵するための多くの高度な電極システムが開発されている。並行して、電気化学セルの容量を改善することができる電解質の開発に多大な努力が払われてきた。
セパレータは、2つの電極の間に位置し、機械的及び電子的バリアとして、並びにイオン伝導体として機能する。セパレータのいくつかのカテゴリー、すなわち、乾燥ポリマー膜、ゲル化ポリマー膜、及び液体電解質を含浸させたミクロ又はマクロ多孔性セパレータが存在する。
セパレータ市場は、押出及び/又は延伸によって製造されるポリオレフィン(Celgard(R)又はHipore(R))の使用が主流である。セパレータは、薄い厚さ、電解質に対する最適な親和性、及び満足できる機械的強度を同時に示さなければならない。ポリオレフィンの最も有利な代替物の中で、標準電解質に対してより良好な親和性を示すポリマー、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)及びポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロペン)(P(VDF-co-HFP))が、システムの内部抵抗を低減するために提案されている。
溶媒、リチウム塩及び添加剤から構成される液体電解質は、良好なイオン伝導度を有するが、電池が損傷すると漏出又は発火し易い。
ゲル化緻密膜は、液体電解質を含浸させたセパレータの代替物を構成する。用語「緻密膜」は、もはや自由多孔性を有さない膜を指す。それらは溶媒によって膨潤するが、後者は膜材料に化学的に強固に結合し、その溶媒和特性を全て失う。次いで、溶媒は、溶質を同伴することなく膜を通過する。これらの膜の場合、自由空間は、ポリマー鎖によってそれらの間に残されたものに対応し、単純な有機分子又は水和イオンのサイズを有する。しかし、ゲル化膜の欠点は、セルの製造のためのセパレータの容易な取り扱いを可能にし、電池の充電/放電サイクル中の機械的応力に耐えるのに充分な膨潤後の機械的強度を保持しないことである。
固体電解質の使用は、可燃性液体成分の使用を回避しながら、これらの難点を克服することを可能にする。固体又は実質的に固体の電解質のさらなる利点は、負極におけるリチウム金属の使用を可能にし、サイクル中に短絡を引き起こし得るデンドライトの形成を防止することである。リチウム金属の使用は、負の挿入又は合金電極と比較してエネルギー密度の節約を可能にする。
しかし、固体電解質は一般に液体電解質よりも低い導電性を有する。固体電解質の困難性は、高いイオン伝導度と、良好な電気化学的安定性と、満足できる温度安定性とを両立させることである。イオン伝導度は、液体電解質のイオン伝導度(電気化学的インピーダンス分光法によって測定された、25℃で1mS/cmのオーダー)と同等でなければならない。
電気化学的安定性は、高電圧(>4.5V)で動作することができるカソード材料と共に電解質の使用を可能にしなければならない。同様に、固体電解質は、少なくとも80℃まで動作し、130℃未満では発火してはならない。
ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)及びその誘導体は、それらの電気化学的安定性及びそれらの高い誘電率(それはイオンの解離、ひいては導電性を促進する)のためにセパレータの主な構成材料としての利点を示す。コポリマーP(VDF-HFP)(フッ化ビニリデン(VDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマー)は、PVDFよりも低い結晶化度を示すので、ゲル化膜として研究されてきた。このため、これらのP(VDF-HFP)コポリマーの利点は、より大きな膨潤を達成し、したがって導電性を促進することを可能にすることである。
文献US5296318は、P(VDF-co-HFP)コポリマーと、リチウム塩と、適度な沸点(すなわち、100℃~150℃の間)を有する相溶性溶媒との混合物を含む固体電解質の組成物を記載しており、これは、延伸可能で自己支持性のフィルムを形成することができる。実施例2は、P(VDF-HFP)コポリマーと、LiPF(リチウムヘキサフルオロホスフェート)と、エチレンカーボネート及びプロピレンカルボネートの混合物とを含む組成物から100μmの厚さを有するフィルムを調製することを記載する。
イオン伝導度、電気化学的安定性及び温度安定性の間の良好な妥協を示し、工業用途に適合する簡素化された使用に適した新規な固体電解質を開発する必要性が依然として存在する。
米国特許第5296318号明細書
したがって、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服すること、すなわち、液体電解質の性能品質と少なくとも同等の性能品質を示す固体電解質組成物を提供することが本発明の目的である。
本発明はまた、機械的強度、イオン伝導度及び電気化学的安定性の良好な特性を示す前記組成物からなるポリマーフィルムに関する。
本発明はまた、このポリマーフィルムを製造するための少なくとも1つのプロセスを提供することを目的とする。
本発明の別の主題は、セパレータ、特にLiイオン蓄電池用のセパレータであって、全部又は一部が前記フィルムからなるセパレータである。このセパレータは、電池、キャパシタ、電気化学二重層キャパシタ、燃料電池又はエレクトロクロミック装置用の膜電極接合体(MEA)にも用いることができる。
最後に、本発明は、そのようなセパレータを含む充電式Liイオン蓄電池を提供することを目的とする。
本発明は、まず、以下からなる固体電解質組成物に関する。
a) フッ化ビニリデン(VDF)とVDFと相溶性のある少なくとも1種のコモノマーとの少なくとも1種のコポリマー、
b) 少なくとも1種のイオン液体と少なくとも1種の可塑剤との混合物、及び
c) 少なくとも1種のリチウム塩。
用語「VDFと相溶性のあるコモノマー」は、VDFと重合することができるコモノマーを意味すると理解され、これらのモノマーは、好ましくは、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、1,2-ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)又はペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル、例えば、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)又はペルフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE)から選択される。
一実施形態によれば、VDFコポリマーはターポリマーである。
一実施形態によれば、成分a)は、少なくともフッ化ビニリデン(VDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマー、又はP(VDF-HFP)である。
有利には、前記P(VDF-HFP)コポリマーは、5%以上45%以下のHFPの重量含有率を有する。
一実施形態によれば、イオン液体と可塑剤との前記混合物において、前記可塑剤は高沸点(150℃超)を示す。
一実施形態によれば、前記リチウム塩は、以下のリスト、すなわち、LiFSI、LiTFSI、LiTDI、LiPF、LiBF及びLiBOBから選択される。
本発明はまた、前記固体電解質組成物からなる非多孔性フィルムに関する。有利には、このフィルムは溶媒を含まず、高いイオン伝導度を示す。
本発明の別の主題は、記載したフィルムを含むセパレータ、特に充電式Liイオン電池用のセパレータである。
本発明は、以下の群、すなわち、電池、キャパシタ、電気化学二重層電気キャパシタ、及び燃料電池又はエレクトロクロミック装置用の膜電極接合体(MEA)から選択される電気化学装置であって、記載されたセパレータを含む装置にも関する。
本発明の別の主題は、リチウムベースの蓄電池、例えば、Liイオン電池、又はLi-S若しくはLi空気電池であって、負極、正極、及びセパレータを含み、セパレータが記載されたようなフィルムを含むリチウムベースの蓄電池である。
本発明は、技術水準の欠点を克服することを可能にする。より詳細には、本発明は、高いイオン伝導度、良好な電気化学的安定性、温度安定性、及びセパレータの容易な取り扱いを可能にするのに充分な機械的強度を組み合わせたセパレータとして動作することができるフィルムを提供する。
本発明の利点は、液体電解質をベースとするセパレータと比較して、少なくとも液体電解質の電気化学的性能品質と同等の電気化学的性能品質について、より優れた安全性の保証を提供することである。したがって、電解質の漏出の可能性はなく、それによって電解質の可燃性が大幅に低減される。
液体電解質と全く同様に、本発明による固体電解質は、グラファイト、シリコン又はグラファイト及びシリコンアノードを有する電池に使用することができる。しかし、アノードの表面におけるデンドライトの成長に対するその耐性はまた、リチウム金属アノードを可能にし、これは、従来のLiイオン技術と比較してエネルギー密度の節約を可能にする。
サイクリックボルタンメトリーによって評価された、異なる固体電解質組成物の電気化学的安定性を表す図である。 2つのリチウム金属電極の間に配置された膜を通してリチウムイオンを移動させて評価した固体電解質組成物のデンドライトに対する耐性の性能品質を表す図である。
ここで、本発明を、以下の説明において、より詳細に、非限定的な方法で説明する。
第1の態様によれば、本発明は、以下からなる固体電解質組成物に関する。
a) VDFとVDFと相溶性のある少なくとも1種のコモノマーとの少なくとも1種のコポリマー、
b) 少なくとも1種のイオン液体と少なくとも1種の可塑剤との混合物、及び
c) 少なくとも1種のリチウム塩。
様々な実施態様によれば、前記フィルムは、適切な場合には組み合わされる以下の特徴を含む。示される含有率は、別段の指示がない限り、重量によって表される。示される濃度範囲は、別段の指示がない限り、限界値を含む。
<成分a)>
成分a)は、ビニリデンジフルオリドの単位(VDF)と、ビニリデンジフルオリドと相溶性のあるコモノマーの1種以上の単位とを含む少なくとも1種のコポリマー(以下、「VDFコポリマー」という)からなる。VDFコポリマーは、少なくとも50重量%のビニリデンジフルオリド、有利には少なくとも70重量%のVDF、好ましくは少なくとも80重量%のVDFを含有する。
ビニリデンジフルオリドと相溶性のあるコモノマーは、ハロゲン化(フッ素化、塩素化又は臭素化)又は非ハロゲン化であり得る。
適切なフッ素化コモノマーの例は、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロプロペン、特に3,3,3-トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、特に2,3,3,3-テトラフルオロプロペン又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、ヘキサフルオロイソブチレン、ペルフルオロブチルエチレン、ペンタフルオロプロペン、特に1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン又は1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、特に一般式Rf-O-CF=CFのもの(Rfはアルキル基、好ましくはC~Cアルキル基である)(好ましい例はペルフルオロプロピルビニルエーテル及びペルフルオロメチルビニルエーテルである)である。フッ素化モノマーは、塩素原子又は臭素原子を含むことができる。これは、特にブロモトリフルオロエチレン、クロロフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びクロロトリフルオロプロペンから選択することができる。クロロフルオロエチレンは、1-クロロ-1-フルオロエチレン又は1-クロロ-2-フルオロエチレンのいずれかを表すことができる。1-クロロ-1-フルオロエチレン異性体が好ましい。クロロトリフルオロプロペンは、好ましくは1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン又は2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンである。
一実施形態によれば、成分a)はVDFコポリマーからなる。
一実施形態によれば、成分a)は、P(VDF-HFP)コポリマーからなる。
一実施形態によれば、成分a)は、フッ化ビニリデンホモポリマー(PVDF)と少なくとも1種のVDFコポリマーとの混合物からなり、PVDFホモポリマーの重量含有率は、前記混合物の重量に基づいて0.1%~20%の範囲である。
一実施形態によれば、前記成分a)は、PVDFホモポリマーとP(VDF-HFP)コポリマーとの混合物からなる。
一実施形態によれば、前記成分a)は、異なる構造を有する2種のVDFコポリマーの混合物からなる。
有利には、P(VDF-HFP)コポリマーは、5%以上、好ましくは8%以上、有利には11%以上、かつ、45%以下、好ましくは30%以下のHFPの重量含有率を有する。
一実施形態によれば、VDFコポリマー及び/又はPVDFホモポリマーは、以下の官能基、すなわち、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、エポキシ基(グリシジルなど)、アミド、ヒドロキシル、カルボニル、メルカプト、スルフィド、オキサゾリン、フェノール、エステル、エーテル、シロキサン、スルホン酸、硫酸、リン酸又はホスホン酸の少なくとも1つを有するモノマー単位を含む。官能基は、当業者に周知の技術に従って、フッ素化モノマーと、前記官能基の少なくとも1つ及びフッ素化モノマーと共重合することができるビニル官能基を有するモノマーとのグラフト化又は共重合であり得る化学反応によって導入される。
一実施形態によれば、官能基は、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシエチルヘキシル(メタ)アクリレートから選択される(メタ)アクリル酸タイプの基であるカルボン酸官能基を有する。
一実施形態によれば、カルボン酸官能基を有する単位は、酸素、硫黄、窒素及びリンから選択されるヘテロ原子をさらに含む。
VDFコポリマー及び/又はPVDFホモポリマーの官能基の含有率は、少なくとも0.01モル%、好ましくは少なくとも0.1モル%、及び最大で15モル%、好ましくは最大で10モル%である。
一実施形態によれば、VDFコポリマーは高分子量を有する。ここで使用する用語「高分子量」は、ASTM D-3835法に従って、232℃及び100秒-1で測定して、100Pa.s超、好ましくは500Pa.s超、より好ましくは1000Pa.s超の溶融粘度を有するコポリマーを意味すると理解される。
本発明に用いられるVDFコポリマーは、知られた重合方法、例えば、乳化重合、溶液重合又は懸濁重合により得ることができる。
一実施形態によれば、それらは、フッ素化界面活性剤の非存在下で乳化重合プロセスによって調製される。
一実施形態によれば、前記VDFコポリマーはランダムコポリマーである。このタイプのコポリマーは、フッ化ビニリデン鎖に沿ったコモノマーの均一な分布を示すという利点を示す。
一実施形態によれば、前記VDFコポリマーは、例えば、文献US6187885又は文献US10570230において出願人の会社によって記載された合成のプロセスに起因して、VDF鎖に沿ったコモノマーの不均質な分布を特徴とする「不均質な」コポリマーである。不均質コポリマーは、PVDFホモポリマーに富む相及びコモノマーに富むコポリマー相を有する2つ(又はそれ以上)の別個の相を有する。
一実施形態によれば、不均質コポリマーは、PVDFに富む連続相中に均質に分布するコモノマーに富む相の非連続の、離散した及び個々のコポリマードメインからなる。その結果、「非連続構造」という用語が使用される。
別の実施形態によれば、不均質コポリマーは、互いに密接に結合し、物理的に分離することができない2つ(又はそれ以上)の連続相を有するコポリマーである。その結果、「相互連続構造」という用語が使用される。
一実施形態によれば、前記不均質コポリマーは、以下を含む2つ以上の相互連続相を含む。
a) 90~100重量%のフッ化ビニリデンモノマー単位及び0~10重量%の他のフルオロモノマー単位を含む25重量%~50重量%の第1の相互連続相、及び
b) 65重量%~95重量%のフッ化ビニリデンモノマー単位と、第1の相互連続相からの第2の相互連続相の相分離をもたらすための有効量の1種以上のコモノマー、例えば、ヘキサフルオロプロピレン及びペルフルオロビニルエーテルとを含む50重量%超~75重量%の第2の相互連続相。
不均質コポリマーは、VDFモノマー単位に富む、一般に90重量%超、好ましくは95重量%超のVDFの初期ポリマー、好ましい実施形態ではPVDFホモポリマーを形成し、次いでコポリマーを生成するために重合のよく進んだ時点でコモノマーを反応器に加えることによって製造することができる。VDFに富むポリマー及びコポリマーは、密接な不均質コポリマーを与える異なる相を形成する。
VDFとコモノマー、例えば、HFPとの共重合は、一般に10重量%~60重量%、好ましくは10重量%~50重量%の固形分を有し、1マイクロメートル未満、好ましくは800nm未満、より好ましくは600nm未満の重量平均粒径を有するラテックスをもたらす。粒子の重量平均サイズは一般に少なくとも20nm、好ましくは少なくとも50nmであり、有利には平均サイズは100~400nmの範囲内である。ポリマー粒子は弱凝集体を形成することができ、その重量平均サイズは1~30マイクロメートル、好ましくは2~10マイクロメートルである。弱凝集体は、配合及び基材への塗布中に別個の粒子に分解することができる。
本発明において使用されるVDFコポリマーは、組成(例えば、コモノマーの含有率)及び/又は分子量に関して、粒子のコアと表面との間に勾配を形成することができる。
いくつかの実施形態によれば、VDFコポリマーは、バイオベースのVDFを含有する。用語「バイオベース」は、「バイオマスから生じること」を意味する。これにより、膜のエコロジカルフットプリントを改善することができる。バイオベースのVDFは、規格NF EN 16640に従って14Cの含有率によって決定されるように、少なくとも1原子%の再生可能炭素、すなわち、天然起源の、生体材料又はバイオマスに由来する炭素の含有率を特徴とすることができる。用語「再生可能炭素」は、以下に示すように、炭素が天然起源のものであり、生体材料(又はバイオマス)に由来することを示す。いくつかの実施形態によれば、VDFのバイオカーボン含有率は、5%超、好ましくは10%超、好ましくは25%超、好ましくは33%以上、好ましくは50%超、好ましくは66%以上、好ましくは75%超、好ましくは90%超、好ましくは95%超、好ましくは98%超、好ましくは99%超であり得、有利には100%に等しい。
<成分b)>
本発明の固体電解質組成物の第2の成分は、少なくとも1種のイオン液体と少なくとも1種の可塑剤との混合物である。
イオン液体は、周囲温度で液体の塩であり、すなわち、大気圧下で100℃未満の融点を有する。それは有機カチオンとアニオンの組み合わせによって形成され、そのイオン相互作用は固体を形成しないほど十分に弱い。
有機カチオンの例として、以下のカチオン、すなわち、アンモニウム、スルホニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、チアゾリウム、トリアゾリウム、オキサゾリウム、ピラゾリウム、及びそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態によれば、このカチオンはC~C30アルキル基を含むことができ、例えば、1-ブチル-1-メチルピロリジニウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム又はN-メチル-N-ブチルピペリジニウムである。
一実施形態によれば、これらと組み合わされるアニオンは、イミド、特にビス(フルオロスルホニル)イミド及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ホウ酸塩、リン酸塩、ホスフィン酸塩及びホスホン酸塩、特にアルキルホスホネート、アミド、特にジシアナミド、アルミン酸塩、特にテトラクロロアルミン酸塩、ハロゲン化物(臭化物、塩化物又はヨウ化物アニオンなど)、シアン酸塩、酢酸塩(CHCOO)、特にトリフルオロ酢酸塩、スルホン酸塩、特にメタンスルホン酸塩(CHSO )又はトリフルオロメタンスルホン酸塩、及び硫酸塩、特に硫酸水素塩から選択される。
一実施形態によれば、アニオンは、テトラフルオロボレート(BF )、ビス(オキサラト)ボレート(BOB)、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、ヘキサフルオロアーセネート(AsF )、トリフレート又はトリフルオロメチルスルホネート(CFSO )、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)、硝酸塩(NO )及び4,5-ジシアノ-2-(トリフルオロメチル)イミダゾール(TDI)から選択される。
一実施形態によれば、イオン液体の前記アニオンは、TDI、FSI、TFSI、PF 、BF 、NO 及びBOBから選択される。
一実施形態によれば、イオン液体の前記アニオンはFSIである。
本発明の固体電解質組成物の成分b)は、可塑剤も含有する。
有利には、可塑剤は、高沸点(150℃超)を有する溶媒である。一実施形態によれば、可塑剤は、以下から選択される。
- ビニレンカーボネート(VC)(CAS:872-36-6)、
- フルオロエチレンカーボネート又は4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(FEC又はF1EC)(CAS:114435-02-8)、
- トランス-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(F2EC)(CAS:171730-81-7)、
- エチレンカーボネート(EC)(CAS:96-49-1)、
- プロピレンカーボネート(PC)(CAS:108-32-7)、
- (2-シアノエチル)トリエトキシシラン(CAS:919-31-3)、
- 3-メトキシプロピオニトリル(CAS番号110-67-8)、
- エーテル、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、特にジエチレングリコールジメチルエーテル(EG2DME)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(EG3DME)及びテトラエチレングリコールジメチルエーテル(EG4DME)。
少なくとも1種のイオン液体と少なくとも1種の可塑剤との混合物は、従来の液体電解質と比較して、導電性、電気化学的安定性、熱安定性、電極との相溶性、容量の保持の改善された特性を得ることを可能にする。
本発明による成分b)の例は、以下の混合物である。
- 1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-FSI及びFEC
- 1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-FSI及びテトラエチレングリコールジメチルエーテル
- 1-ブチル-1-メチルピロリジニウム-FSI及びFEC
- 1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-TFSI及びFEC。
一実施形態によれば、混合物において、成分b)を形成する可塑剤に対するイオン性液体の重量比は、0.1~10で変化する。
<成分c)>
固体電解質組成物中に存在するリチウム塩は、成分b)中に存在するイオン液体のアニオンと同じアニオンを含む。
一実施形態によれば、前記リチウム塩は、LiPF、LiFSI、LiTFSI、LiTDI、LiBF、LiNO及びLiBOBから選択される。
一実施形態によれば、固体電解質組成物は、
a) 20%~70%のVDFコポリマー、
b) 10%~80%のイオン液体/可塑剤混合物、及び
c) 2%~30%のリチウム塩
からなり、全構成成分の合計は100%である。
一実施形態によれば、固体電解質組成物は、以下からなる。
- 30%~50%の成分a)、
- 40%~70%の成分b)、及び
- 3%~10%の成分c)。
一実施形態によれば、固体電解質組成物は、40/56/4の重量比のP(VDF-HFP)コポリマー、EMIM-FSI/EG4DME混合物及びLiFSIからなり、イオン液体/可塑剤の重量比は1:1である。
本発明はまた、前記固体電解質組成物からなる非多孔性フィルムに関する。有利には、このフィルムは溶媒を含まず、高いイオン伝導度を示す。有利には、フィルムは自立型であり、すなわち、支持体の助けを借りずに取り扱うことができる。有利には、フィルムは巻き取ることができ、すなわち、リールに巻き取ることができるように取り扱うことができる。
一実施形態によれば、前記フィルムは、5μm~30μm、好ましくは7μm~20μmの厚さを示す。
一実施形態によれば、本発明によるフィルムは、25℃で、0.01~5mS/cm、好ましくは0.05~5mS/cm、有利には0.5~5mS/cmの範囲のイオン伝導度を示す。伝導度は、電気化学的インピーダンス分光法によって測定される。一実施形態によれば、非多孔性フィルムは、漏出防止伝導性セル内で不活性雰囲気(CESH、Biologic)下で2つの金電極の間に置かれ、電気化学的インピーダンス分光法が、10mVの振幅で1Hz~1MHzの間で実施される。フィルムの抵抗Rは、その後、曲線-Im(Z)=f(Re(Z))の線形回帰によって決定される。伝導度シグマは次式で与えられる。
Figure 2024513118000001
式中、lはフィルムの厚さであり、Sはその表面積である。各組成について、所与の温度における伝導度の値は、異なる試料に対して実施された少なくとも2回の測定の平均をとることによって得られる。
有利には、本発明によるフィルムは、-20℃~80℃に及ぶ温度範囲にわたって良好な電気化学的安定性を示す。
有利には、本発明によるフィルムでは、150℃未満の沸点を有する溶媒の含有率は1重量%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは10ppm未満である。
有利には、前記フィルムは80℃までその特性を保持し、130℃未満では発火しない。
一実施形態によれば、本発明によるフィルムは、動的機械分析によって1Hz及び23℃で測定された、0.1MPa超、優先的には1MPa超の弾性率を特徴とする機械的強度を示す。
本発明はまた、このポリマーフィルムを製造するための少なくとも1つのプロセスを提供することを目的とする。
一実施形態によれば、前記フッ素化ポリマーフィルムは、溶媒経路プロセスによって製造される。前記少なくとも1種のVDFコポリマーは、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトニトリル及びアセトンから選択される溶媒中に周囲温度で溶解される。前記少なくとも1種のリチウム塩は、リチウム塩溶液を得るために、イオン液体/可塑剤混合物に溶解される。これら2つの溶液は混合される。次いで、得られた混合物を支持体(例えば、ガラスシート)上に堆積させ、真空下、60℃で終夜乾燥させる。完全に均質で透明な自己支持フィルムが最終的に得られる。
一実施形態によれば、前記フッ素化ポリマーフィルムは押出によって製造される。VDFコポリマー及び可塑剤は周囲温度で混合される。この混合物を100~150℃にした押出機に導入する。続いて、イオン液体に溶解したリチウム塩を添加する。均質化後、混合物を厚さ300μmのフラットダイを通して押し出す。厚さは、フィルムを延伸することによって所望の値に調整される。
一実施形態によれば、前記フッ素化ポリマーフィルムは、ホットプレス成形によって製造される。VDFコポリマー、イオン液体、可塑剤及びリチウム塩混合物は均質化され、次いでホットプレスの2つの金属板の間に堆積される。その後、フィルムを得るために、5~10kNの圧力を100~150℃で1~5分間かける。次いで、得られたフィルムを周囲温度まで冷却する。
本発明の別の主題は、全部又は一部が前記フィルムからなるLiイオン蓄電池用のセパレータである。
本発明は、以下の群、すなわち、電池、キャパシタ、電気化学二重層電気キャパシタ、及び燃料電池又はエレクトロクロミック装置用の膜電極接合体(MEA)から選択される電気化学装置であって、記載されたセパレータを含む装置にも関する。
本発明の別の主題は、負極、正極及びセパレータを含み、該セパレータが上記のフィルムを含む、リチウムベースの蓄電池、例えば、Liイオン電池、又はLi-S若しくはLi空気電池である。
一実施形態によれば、前記電池はリチウム金属アノードを含む。
以下の実施例は、本発明の範囲を非限定的に例示する。
<1. 溶媒経路によるLiイオン電池用セパレータ用固体電解質の調製>
0.4gのP(VDF-HFP)(ポリ(フッ化ビニリデン)-co-ヘキサフルオロプロピレン)(11重量%のHFPを含有する)を、周囲温度で1.93gのアセトンに溶解する。さらに、0.056gのLiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)を0.276gのEMIM-FSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド)及び0.281gのFEC(フルオロエチレンカルボネート)に溶解する。後者の溶液をP(VDF-HFP)溶液に加え、次いで混合する。次いで、得られた溶液を、ドクターブレードを用いてフィルムの形態で堆積させ、真空下、60℃で終夜乾燥させる。最終的に15~20μmの透明な自己支持フィルムが得られる。
残留溶媒をGC-MSによって測定する。アセトンの量は、この技術の検出限界、すなわち10ppm未満である。
<2. 押出によるLiイオン電池用セパレータ用固体電解質の調製>
5.7gのP(VDF-HFP)(15重量%のHFPを含有する)及び4gのEG4DME(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)の混合物を調製し、この混合物を、100~150℃まで加熱した15mlのマイクロ押出機(物質の再循環を伴う)に導入する。続いて、4gのEMIM-FSIに溶解した0.57gのLiFSIの混合物を添加する。混合物を均質化し、次いでロッドを押し出し、このロッドを120℃でプレス成形する。その後、約30μmの透明な自己支持フィルムが得られる。
<3. 完全固体セパレータの伝導度の測定>
固体電解質(不活性雰囲気下の溶媒経路によって調製された)を漏出防止伝導性セルの2つの金電極の間に、不活性雰囲気下(CESH、Biologic)で置くことによって、電気化学的インピーダンス分光法によって伝導度を評価する。測定を、40重量%のP(VDF-HFP)(11重量%のHFPを含有する)と、異なる含有率のイオン液体及び可塑剤とから構成されるフィルムに実施する。固体電解質中のリチウム塩(LiFSI)の含有率は、イオン液体と可塑剤混合物中のその濃度が0.4mol/lに等しくなるようなものである。FEC(フルオロエチレンカーボネート)、EG2DME(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、EG3DME(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、EG4DME(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)又はMPN(3-メトキシプロピオニトリル)などの異なる可塑剤も評価する。結果を表1に示し、組成を重量パーセントで表す。
Figure 2024513118000002
組成物1は、P(VDF-HFP)とリチウム塩との混合物が充分な伝導度を有することを可能にしないことを示す。イオン液体と可塑剤の混合物をこの混合物に加えなければならない。このようにして調製された固体電解質(組成物2~9)は、液体電解質と同程度の高いイオン伝導度(最大1.2mS/cm)を示す。組成物2~5において、可塑剤に対するイオン液体の重量比を変化させた。結果は、良好な伝導度を得るためにこの比を0より大きくしなければならないことを示しており、これはイオン液体の存在が不可欠であることを意味する。イオン伝導度は、イオン液体の含有率と共に増加することが観察される。したがって、この特性により、フィルムの組成を変えることによって、目的の用途に応じて固体電解質の伝導特性を微調整することが可能になる。等組成では、可塑剤EG4DMEでより高いイオン伝導度が得られる。
<4. 完全固体セパレータの電気化学的安定性の測定>
60℃でのサイクリックボルタンメトリーによって、ボタン電池内でステンレス鋼電極とリチウム金属電極との間に固体電解質(不活性雰囲気下で溶媒経路によって調製された)を配置することによって、異なる固体電解質の電気化学的安定性を評価する。サイクリックボルタンメトリーを、2~6Vの間で1mV/秒で実施する。結果を図1に示す。
可塑剤EG4DMEを含むフィルムは、少なくとも4.6Vの電気化学的安定性を有するが、他のフィルムの電気化学的安定性は、少なくとも4.8Vに等しいことが観察される。これらの電気化学的安定性は、高電圧正活性物質(ニッケルに富むNMCタイプ)を含むLiイオン電池で使用するのに充分である。
<5. 完全固体セパレータの熱安定性の測定>
完全固体セパレータの特性が少なくとも80℃まで劣化していないことを確認するために、実施例3に記載のイオン伝導度測定を行う。固体電解質をCESHセルに導入した後、1回目の伝導度測定を25℃で行う(測定1)。続いて、CESHセルを80℃まで徐々に加熱し、80℃で1時間維持する。次いで、温度を25℃まで徐々に下げ、25℃で2回目の伝導度測定を行う(測定2)。結果を表2に示し、組成を重量パーセントで表す。
Figure 2024513118000003
80℃で1時間の期間の後、25℃でのイオン伝導度の低下は、試験した固体電解質の群では観察されなかった。逆に、イオン伝導度は、約80℃で起こる固体電解質と金電極との間の界面の改善により、実質的に増加する。
<6. 完全固体セパレータのデンドライトに対する耐性の試験>
固体電解質(不活性雰囲気下で調製された)をボタン電池内で2つのリチウム金属電極の間に配置することによる25℃でのクロノポテンシオメトリーによって、デンドライトに対する耐性を評価する。3mA/cmの電流密度を1時間印加し、次いで-3mA/cmの電流密度を1時間印加するなどして、リチウムに対して「めっき/剥離」サイクルを実施する。組成P(VDF-HFP)/EMIM-FSI/EG4DME/LiFSI(40/28/28/4)を有するフィルムで得られた結果を図2に示す。
観察された過電圧は低く(3~4mV程度)安定であり、1000時間の間にデンドライトの形成は観察されない。

Claims (17)

  1. 以下からなる固体電解質組成物。
    a) フッ化ビニリデン(VDF)とVDFと相溶性のある少なくとも1種のコモノマーとの少なくとも1種のコポリマーであって、該VDFコポリマーが少なくとも50重量%のVDFを含むコポリマー、
    b) 少なくとも1種のイオン液体と少なくとも1種の可塑剤との混合物、及び
    c) 少なくとも1種のリチウム塩。
  2. 前記コモノマーが、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2-ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル、ペルフルオロ(エチルビニル)エーテル及びペルフルオロ(プロピルビニル)エーテルから選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記VDFコポリマーが、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマーであり、5%以上、好ましくは8%以上、有利には11%以上、かつ、45%以下、好ましくは30%以下のHFPの重量含有率を有する、請求項1及び2のいずれかに記載の組成物。
  4. 前記イオン液体が、テトラフルオロボレート(BF )、ビス(オキサラト)ボレート(BOB)、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、ヘキサフルオロアーセネート(AsF )、トリフレート又はトリフルオロメチルスルホネート(CFSO )、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)、硝酸塩(NO )及び4,5-ジシアノ-2-(トリフルオロメチル)イミダゾール(TDI)から選択されるアニオンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記イオン液体が、以下のリスト、すなわち、アンモニウム、スルホニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、チアゾリウム、トリアゾリウム、オキサゾリウム、ピラゾリウム、及びそれらの混合物から選択されるカチオンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記可塑剤が、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、トランス-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、エチレンカーボネート、プロピレンカルボネート、(2-シアノエチル)トリエトキシシラン、3-メトキシプロピオニトリル及びポリエチレングリコールジメチルエーテルから選択される150℃を超える沸点を有する溶媒である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記リチウム塩が、LiPF、LiFSI、LiTFSI、LiTDI、LiBF、LiNO及びLiBOBから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の組成物であって、
    a) 20%~70%のVDFコポリマー、
    b) 10%~80%のイオン液体/可塑剤混合物、及び
    c) 2%~30%のリチウム塩
    からなり、全構成成分の合計が100%である組成物。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の組成物からなる非多孔性フィルム。
  10. 150℃未満の沸点を有する溶媒の含有率が、1重量%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは10ppm未満である、請求項9に記載のフィルム。
  11. 電気化学的インピーダンス分光法によって測定して、25℃で、0.01~5mS/cm、好ましくは0.05~5mS/cm、有利には0.5~5mS/cmのイオン伝導度を示す、請求項9及び10のいずれかに記載のフィルム。
  12. 以下の段階を含む、溶媒経路による請求項9~11のいずれかに記載のフィルムの製造プロセス。
    - 前記少なくとも1種のVDFコポリマーを、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトニトリル及びアセトンから選択される溶媒に周囲温度で溶解させる段階、
    - リチウム塩溶液を得るために、前記少なくとも1種のリチウム塩をイオン液体/可塑剤混合物に溶解する段階、
    - VDFコポリマー溶液及びリチウム塩溶液を混合する段階、
    - 得られた混合物を支持体上に堆積させる段階、
    - 真空下、60℃で終夜乾燥させる段階。
  13. 以下の段階を含む、押出による請求項9~11のいずれかに記載のフィルムの製造プロセス。
    - 前記VDFコポリマーと前記可塑剤とを周囲温度で混合する段階、
    - 得られた混合物を100~150℃にした押出機に導入する段階、
    - 前記イオン液体に溶解した前記リチウム塩を添加し、均質化する段階、
    - 混合物を厚さ300μmのフラットダイを通して押し出す段階。
  14. 以下の段階を含む、ホットプレス成形による請求項9~11のいずれかに記載のフィルムの製造プロセス。
    - 前記VDFコポリマー、イオン液体、可塑剤及びリチウム塩を混合する段階、
    - 該混合物を均質化する段階、
    - ホットプレスの2つの金属板の間に該混合物を堆積させる段階、
    - フィルムを得るために、5~10kNの圧力を100~150℃で1~5分間加える段階、
    - フィルムを周囲温度まで冷却する段階。
  15. 請求項9~11のいずれかに記載のフィルムを含む、充電式Liイオン電池用セパレータ。
  16. 以下の群、すなわち、電池、キャパシタ、電気化学二重層電気キャパシタ、及び燃料電池又はエレクトロクロミック装置用の膜電極接合体(MEA)から選択され、請求項15に記載のセパレータを含む電気化学装置。
  17. アノード、カソード及びセパレータを含み、該セパレータが、請求項9~11のいずれかに記載のフィルムを含む二次Liイオン電池。
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