JP2024511235A - Mri造影剤としての混合ヒドロキシルペンダントを有する鉄(iii)大環状錯体 - Google Patents

Mri造影剤としての混合ヒドロキシルペンダントを有する鉄(iii)大環状錯体 Download PDF

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Abstract

本願は、インビボMRイメージングを改善するための、第三のアニオン性補助基を伴うヒドロキシペンダントを有する新規なFe(III)大環状錯体について記載する。この錯体は、以下の一般構造を有する:TIFF2024511235000215.tif33169ここで、高スピンFe(III)がそこにキレートされている。本願はまた、インビボMRイメージングを改善するための、第三のアニオン性補助基を伴うヒドロキシプロピルペンダントを有する新規なFe(III)大環状錯体についても記載する。この錯体は、以下の一般構造を有する:TIFF2024511235000216.tif45169【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本願は、2021年3月20日に出願された米国仮特許出願第63/163,822号及び2021年4月16日に出願された米国仮特許出願第63/176,193号の優先権を主張するものであり、これらの開示内容は本明細書に組み込まれる。
[連邦政府後援研究に関する声明]
この発明は、全米科学財団から授与された認可番号STTR-1951127の下、政府の支援を受けて行われたものである。政府はこの発明について一定の権利を有する。
開示の背景
臨床的に使用されるほぼすべての造影剤は、ガドリニウム(三価のGd(III)としてのGd)を含むが、米国人口のかなりの割合(約10%)の患者にとって、Gd(III)造影剤を投与することは、長期間の曝露から生じる毒性のために危険であると考えられている。さらに、Gd(III)ベースのMRI造影剤が、すべての患者の脳、骨、皮膚へのGd(III)の沈着につながっているという新たな懸念がある。Gd(III)造影剤に代わるものとして、高スピンFe(III)錯体のような生物学的に適切な遷移金属イオンがある。
磁気共鳴画像法(MRI)における代替的なアプローチとして、内因性金属イオンとしての鉄を利用した造影剤の開発がある。三価の鉄としてFe(III)を含む造影剤は、Gd(III)に耐えられない患者にとって問題となるGd(III)造影剤の代替となる。現在までに報告されているFe(III)MRI造影剤のほとんどは、単純な線状キレートを含んでいる。一般的に使用される錯体には3つのタイプがある。最も多く研究されているのは、EHBG(NN'-エチレンビス[(2-ヒドロキシベンジル)グリシン)のような、フェノールとカルボン酸ペンダントとの組み合わせを有するエチレンジアミン骨格を含むタイプである。第二のタイプは、EDTAのFe(III)錯体のようなポリアミノカルボン酸配位子を含む。第三のタイプは、細菌のシデロフォア(siderophore)であるデスフェリオキサミン(DFO:desferrioxamine)を含む。これらの錯体はいずれも、交換可能な水配位子の欠如、ROSを生じやすい還元電位、及び/又は合成修飾の困難さなどの欠点を有する。また、Fe(III)錯体の水溶液化学は、水酸化物と架橋酸化物配位子との不溶性錯体の形成が支配的である。Fe(III)を安定化させるために酸化還元電位を調整することによりROSを生成させやすい触媒ではなく、水溶性であり、T1緩和剤として望ましいFe(III)錯体を得るための改善が必要とされている。
本願は、インビボMRイメージングを改善するための、第三のアニオン性補助基を有するヒドロキシペンダントを有する新規なFe(III)大環状錯体について記述する。この錯体は、以下の一般構造を有し、高スピンFe(III)がそこにキレートされている:
Figure 2024511235000002
本願はまた、インビボMRイメージングを改善するための、第三のアニオン性補助基を伴うヒドロキシプロピルペンダントを有する新規なFe(III)大環状錯体についても記載する。この錯体は、以下の一般構造を有する:
Figure 2024511235000003
一態様において、本開示は、i)配位子ドナーとして少なくとも1つのヘテロ原子を含む大環状コアと、ii)前記大環状コアの置換基としての少なくとも1つのペンダントドナーとを有する大環状化合物を提供する。大環状化合物が鉄(III)イオンに配位する場合、大環状化合物は配位子と呼ばれることがある。大環状コアは、炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N原子)を含む環構造を有する。本明細書で使用する場合、「大環状ドナー」とは、大環状化合物の大環状コアに存在する場合に、鉄(III)中心に供与するために利用可能な孤立電子対を有するヘテロ原子を指す。例えば、大環状ドナーは、窒素原子(例えば、第三級アミン、第二級アミン)であり得る。本明細書で使用される場合、「ペンダントドナー」は、大環状化合物の大環状コア上の置換基中に存在する場合、Fe(III)中心に供与するために利用可能な孤立電子対を有するヘテロ原子を指す。例えば、ペンダントドナーは、窒素含有基(例えば、アミノ、ベンズイミダゾール、イミダゾール、アニリン、ピラゾイル(pyrazoyl)、トリアゾール、ベンゾトリアゾールなど)、酸素含有基(例えば、ケトン、アルコール、アルコキシド、アミド、ホスホン酸、カルボン酸など)であり得る。いくつかのペンダントドナー(例えば、カルボン酸、アルコール、イミダゾール、ピラゾールなど)は、Fe(III)と錯化(錯形成、錯体形成)したとき、又は特定のpHで脱プロトン化することがある。このようなプロトン化及び脱プロトン化形態は、本開示の範囲内である。例えば、ペンダントドナーは、ホスホネート(phosphonate)、ホスフィネート(phosphinate)、フェノレート(phenolate)又は酸化物(例えば、アルコキシド又はフェノキシド)であってもよい。
本開示の性質及び目的をより深く理解するために、以下の詳細な説明が添付の図とともに参照される。
[図1]図1は、TACN(1,4,7-トリアザシクロノナン)誘導体の一般的な合成を示す。
a) N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、トルエン/クロロホルム4:1。
b) R-X;R=ベンジル、メチル、プロパルギル(propargyl)、メチルフェニル、メチルベンゾエート、2-(2-メトキシ-エトキシ)エタン、4-(メチル)-1,1'-ビフェニル、ベンジルメチルエーテル;乾燥THF、X=クロロ、ブロモ又はヨード。
c) 還流;12M HCl/MeOH 1:1 又は KOH溶液、次いでクロロホルムで抽出。
d) 配位ペンダント(ブロモメチル-ピラゾール、ブロモアセトアミドなど)のクロロ又はブロモメチル誘導体の添加による配位ペンダントの付加。イミダゾール-2-カルボキシアルデヒドのような還元剤とアルデヒドの付加による還元的アミノ化によるペンダントの付加。H2O/エタノール混合物と(S)-(-)プロピレンオキシド又は(R)-(+)プロピレンオキシドの添加によるペンダントの付加。
[図2]図2は、2つのキラルなプロピルアルコールペンダントを持つTACN配位子の一般的な合成を示す。R又はSプロピレンオキシドのいずれを用いても、反対のキラリティを持つペンダントを得ることができる。非配位基であるRは、典型的にはベンジル、メチル又はビフェニルである。
[図3]図3は、TOB配位子の合成前駆体であるTON配位子の合成を示す。ベンジル基は触媒的水素付加によって除去され、TONが生成する。
[図4]図4は、健康なBalb/Cマウスの肝臓、腎臓、胆嚢、大静脈における、Fe(TOP)注射後4時間までのシグナル強度の変化を示す(0.050mmol/kg、4.7T)。
[図5]図5は、健康なBalb/Cマウスの肝臓、腎臓、胆嚢、大静脈における、Fe(TOP)注射後4時間までのシグナル強度の変化を示す(0.050 mmol/kg、4.7T)。
[図6]図6は、0.050mmol/kgの鉄、又は0.10mmol/kgのDOTAREMを投与した健康なBalb/Cマウスの血液(大静脈、腎臓、肝臓)におけるFe(TOP)注射後のシグナル強度(T1強調イメージング)の経時変化を示す。画像診断は、健康なBalb/Cマウスを用い、4.7T MRIスキャナーで行った。
[図7]図7は、健康なBALB/cマウスの肝臓、腎臓、腎血管、肝臓及び大静脈におけるFeFCPT2及びFCPYPTの注入後のシグナル強度の変化を(4.7T、0.05mmol/kg用量又は0.100用量の鉄)、Gd(III)剤であるGd-DOTA又はGd(DTPA)と比較して示す。健康なBALB/cマウスを用い、4.7T MRIスキャナーで撮像した。
[図8]図8は、健康なBALB/CマウスにおけるFe(L1)のT1強調MRI(4.7T)の一例を示す。図は、健康なBALB/cマウスにおいて、肝臓、腎臓、腎血管、肝臓及び大静脈におけるFe(TPP)の注射後のシグナル強度の変化(4.7T・0.100mmol/kg用量)を、Gd(III)剤であるGd-DOTA(Dotarem)又はGd(DTPA)と比較して示す。
開示の詳細な説明
特許請求される主題を特定の実施例の観点から説明するが、本明細書で述べられる利点及び特徴のすべてを提供しない実施例を含む他の実施例も、本開示の範囲内である。本開示の範囲から逸脱することなく、様々な構造的、論理的、及びプロセスステップの変更を行うことができる。
本明細書では、値の範囲を開示する。範囲には下限値と上限値が定められている。特に断らない限り、範囲には下限値、上限値、及び下限値と上限値の間のすべての値が含まれる(最小値(下限値又は上限値のいずれか)の桁までのすべての値が含まれるが、これらに限定されない)。
この出願では、単数形の使用は複数形を包含し、逆もまた同様である。
本明細書で使用される場合、特に断らない限り、用語「基」は、一価(すなわち、他の化学種と共有結合し得る末端を1つ有する)、二価、又は多価(すなわち、他の化学種と共有結合し得る末端を2つ以上有する)である化学的実体を指す。「基」という用語には、ラジカル(例えば、一価及び多価、例えば、二価、三価などのラジカル)も含まれる。基の例として、以下が挙げられる:
Figure 2024511235000004
本明細書において使用する場合、特に断らない限り、「アルキル基」という用語は、分岐又は非分岐の直鎖状飽和炭化水素基及び/又は環状炭化水素基を指す。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、環状基でない限り飽和基である。例えば、アルキル基は、すべての整数の炭素数及びその間の炭素数の範囲を含む、C1~C30アルキル基である(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、及び、C30)。アルキル基は、無置換であってもよく、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン(-F、-Cl、-Br、-I)、脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基など)、ハロゲン化脂肪族基(例えば、トリフルオロメチル基など)、アリール基、ハロゲン化アリール基、アルコキシド基、アミン基、ニトロ基、カルボキシレート基、カルボン酸、エーテル基、アルコール基、アルキン基(例えば、アセチレニル基など)など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、特に断らない限り、用語「アリール基」とは、C5~C30の芳香族又は部分芳香族炭素環式基を指し、すべての整数の炭素数及びその間の炭素数の範囲を含む(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、及び、C30)。アリール基は芳香族基と呼ばれることもある。アリール基は、例えば、縮合環、ビアリール(biaryl)基、又はそれらの組み合わせなどのポリアリール基を含んでいてもよい。アリール基は、無置換であってもよく、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン(-F、-Cl、-Br、-I)、脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基など)、アリール基、アルコキシド、カルボキシレート、カルボン酸、エーテル基など、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基の例としては、フェニル基、ビアリール基(例えば、ビフェニル基など)、縮合環基(例えば、ナフチル基など)、ヒドロキシベンジル基、トリル基、キシリル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、インドリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピリジニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、特に断らない限り、用語「ヘテロアリール基」は、芳香環中に少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄など)を含む1つ又は2つの芳香環を含むC1~C14単環式、多環式、又は二環式基(例えば、アリール基)(前記炭素数には、その間のすべての整数の炭素数及び炭素数の範囲、例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14が含まれる)を指す。ヘテロアリール基は、置換されていてもよく、無置換であってもよい。ヘテロアリール基の例としては、ベンゾフラニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、オキサゾリル基、キノリル基、チオフェニル基、イソキノリル基、インドリル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基などが挙げられるが、これらに限定されない。置換基の例としては、ハロゲン(-F、-Cl、-Br、-I)、脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基など)、アリール基、アルコキシド基、アミン基、カルボキシレート基、カルボン酸、エーテル基、アルコール基、アルキン基(例えば、アセチレニル基など)など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本願は、インビボでの改善されたMRイメージングのための、第三のアニオン性補助基を伴うヒドロキシペンダントを有する新規なFe(III)大環状錯体について記載する。本願はまた、インビボでの改善されたMRイメージングのための、第三のアニオン性補助基を伴うヒドロキシプロピルペンダントを有する新規なFe(III)大環状錯体について記載する。
造影剤は、強いタンパク質結合を防ぎ、インビボでの薬物動態学的クリアランスを促進するために、十分に親水性でなければならない。これを達成する一つの方法は、ここに示すように、大環状化合物やFe(III)大環状錯体に、ペンダントとしてトリ(ヒドロキシ)ブチル基を付加することである。
本開示の目的は、Fe(III)大環状錯体であり得る大環状化合物を提供することである。また、組成物及びその製造方法及び使用方法も提供する。種々の例において、本開示の大環状錯体及び組成物は、MRI造影剤として使用される。本願はさらに、トリ(ヒドロキシ)ブチルペンダント基を有する新規なFe(III)大環状錯体について記載する。トリ(ヒドロキシ)ブチルペンダント基は、錯体と水とのより強い相互作用のために3つのアルコール基を有する。この大環状錯体は、生体内でのMRイメージングを改善する。
配位子としての本開示の大環状化合物は、Fe(III)錯体のスピン及び酸化状態の制御、ならびに錯体の内圏及び外圏の水との相互作用、プロトン交換又はヒドロキシアルキル基を介した相互作用を達成する上で有利である。これらの大環状配位子の空洞は、高スピン状態の鉄(III)の安定化に適している。また、Fe(III)錯体の水溶液化学の制御は、これらの大環状化合物を用いて達成することができる。ここに述べる大環状錯体は、鉄(III)をほぼ封入するが、いくつかのケースでは、水配位子の配位部位を持ち、これはT1 MRI造影剤としてのそれらの効率を高める。また、前記化合物はヒドロキシアルキルペンダント上にプロトンも有している。特定の理論に拘束されることを意図しないが、ヒドロキシアルキルペンダント基上のプロトンは、バルクの水プロトンとの交換を通じて、緩和性の向上をもたらすと考えられる。特定の理論に束縛されることを意図しないが、本明細書に記載される鉄ベースのMRI造影剤(高スピン、三価のFe(III)として)は、Gd(III)剤のために知られている常磁性機構によってコントラストを生じ、配位錯体として低分子の形態にあり、すなわち、鉄酸化物ベースのナノ粒子ではないと考えられる。
本開示において、大環状化合物は、種々の大環状コア構造及び大環状コア上の種々の置換基(「ペンダントドナー基」、「ペンダント基」、「ペンダントドナー」又は「ドナー基」とも称される)を有する。最も典型的には、ドナー基は、アミド、アルコール又はフェノールを含むが、少なくとも2つのアルコール基又は脱プロトン化してアニオン性基を形成し得る他の基を有する。大環状化合物はFe(III)に錯化され、安定化した三価の状態を提供する。
一態様において、本開示は、i)配位子ドナーとして少なくとも1つのヘテロ原子を含む大環状コアと、ii)大環状コアの置換基としての少なくとも1つのペンダントドナーとを有する大環状化合物を提供する。大環状化合物が鉄(III)イオンに配位する場合、大環状化合物は配位子と呼ばれることがある。大環状コアは、炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N原子)を含む環構造を有する。本明細書で使用する場合、「大環状ドナー」とは、大環状化合物の大環状コアに存在する場合に、鉄(III)中心に供与するために利用可能な孤立電子対を有するヘテロ原子を指す。例えば、大環状ドナーは、窒素原子(例えば、第三級アミン、第二級アミン)であり得る。本明細書で使用される場合、「ペンダントドナー」は、大環状化合物の大環状コア上の置換基中に存在する場合、Fe(III)中心に供与するために利用可能な孤立電子対を有するヘテロ原子を指す。例えば、ペンダントドナーは、窒素含有基(例えば、アミノ、ベンズイミダゾール、イミダゾール、アニリン、ピラゾイル、トリアゾール、ベンゾトリアゾールなど)、酸素含有基(例えば、ケトン、アルコール、アルコキシド、アミド、ホスホン酸、カルボン酸など)であり得る。例えば、カルボン酸、アルコール、イミダゾール、ピラゾールなどのいくつかのペンダントドナーは、Fe(III)と錯化したとき、又は特定のpHで脱プロトン化することがある。このようなプロトン化及び脱プロトン化形態は、本開示の範囲内である。例えば、ペンダントドナーは、ホスホネート、ホスフィネート、フェノレート又は酸化物(例えば、アルコキシド又はフェノキシド)であってもよい。
特定の実施形態において、大環状化合物は以下の構造を有する:
Figure 2024511235000005
ここで、X1、X2、及びX3は、Nであり;Y1、Y2、又はY3は、それぞれ独立して、Oを含むペンダントドナーであり、ここでOは、少なくとも1つの孤立電子対を有するが、好ましくは2つ又は3つの孤立電子対を有する(例えば、ケトン、アルコール、アルコキシド、カルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、アミド、フェノール又はフェノキシド、又は前述のものの脱プロトン化形態、例えば、カルボキシレートイオン、ホスフィネート、ホスホネート、又は酸化物(アルコキシドもしくはフェノキシドを含む);m1、m2、又はm3は、それぞれ独立して、0、1、又は2であり;n1、n2、又はn3は、それぞれ独立して、1又は2であり;R1は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、及び、R1はペンダントドナーによって置換されておらず、ここで、アルキル-Y鎖(アルキル-Y1、アルキル-Y2、及び/又はアルキル-Y3)のアルキルセグメントは、それぞれ独立して、置換されていてもよいし(例えば、構造a又は構造b)又は置換されていなくてもよい。構造a又はbの場合、ペンダントは、キラル炭素においてR配置又はS配置のいずれを有してもよい:
スキームI
Figure 2024511235000006
一実施形態において、本開示は、本明細書に記載の構造及び定義を有する大環状化合物を提供する。
好適な大環状化合物の例としては、以下が挙げられる:
スキームII
Figure 2024511235000007
ここで、R1は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基(例えば、ピリジニル、ピラゾリル、又はイミダゾリル)、置換もしくは非置換のアルキル基であり、ここで、前記置換もしくは非置換のアルキル基はメチル基ではなく、任意で、R1は置換ペンダントドナーではない。例えば、大環状コアが構造Iを有する場合、Z1は、Hであるか又はスキームIIIにおけるペンダント基の1つであり、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、ペンダント基(例えば、スキームIIIにおけるペンダント基の1つ)である;大環状化合物が構造IIを有する場合、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、ペンダント基(例えば、スキームIIIにおけるペンダント基の1つ)である。
大環状化合物は、大環状コア上に少なくとも2つのペンダントドナーを有する。例えば、ペンダントドナーは、スキームIIIからの構造のいずれか1つを有することができる:
スキームIII
Figure 2024511235000008
及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、又は完全脱プロトン化種(該当する場合)。
ここで、Q3、Q4及びQ5は、それぞれ独立してアニオン性基であるか、又は以下のものから選択される:-H, -NR2, -NO2, -CN, -(CH2)mNR2, OH, OR, -CH2P(O)(OH)2, -(CH2)mP(O)(OH)2, -SO3H, 及びそれらの脱プロトン化種。ここで、mは、1又は2であり、ここで、Rは、H、アルキル基(例えば、メチル、トリフルオロメチルなど)、アリール基(フェニル基、又は、スルホネートで置換されたフェニル基など)、アルキルカルボキシレート基、アルキルカルボン酸基などである。化合物は、1、1'、2、3、4、8、10のいずれかの2つ、又はそれらの組み合わせ有する。種々の例において、ペンダントドナーは異なっている(例えば、大環状体は少なくとも2つの異なるペンダントドナーを有する)。例えば、アルコール、フェノールペンダントなどのいくつかのペンダントドナーは、Fe(III)と錯化したとき、又は特定のpH値で脱プロトン化することがある。このようなプロトン化及び脱プロトン化形態は、本開示の範囲内である。例えば、ペンダントドナーは酸化物(例えば、アルコキシド、フェノキシドなど)である。
様々な非限定的実施形態において、大環状コアが構造Iを有する場合、Z1及びZ2は共に1、1'、2、3、4、8、10、又はそれらの任意の組み合わせであり、R1は、スキームIIIのペンダント基5、6、7、9、11、12、13、又は14のいずれか1つから選択される。
大環状化合物は、1つ以上の補助ペンダント基を含んでいてもよい。補助ペンダント基(単数又は複数)は、1つ以上の配位補助ペンダント基及び/又は1つ以上の非-配位補助ペンダント基であってもよい。
非-配位補助ペンダント基は、Fe(III)金属イオンと結合して5員又は6員のキレートを形成することができるヘテロ原子を有さない。非-配位補助ペンダント基の非限定的な例としては、ベンジル基、フェニル基、及び他の芳香族(例えば、アリール)基であって、芳香族基に結合している1つ以上のメチレン基を有するもの又はメチレン基を有さないもの、アルキル基(分枝基及び直鎖基の両方)などが挙げられる。非-配位補助ペンダント基の他の非限定的な例としては、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、ピリジル、キノリル、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、エチルメトキシエーテル、PEG誘導体(ポリエチレングリコール)などが挙げられる。
他の様々な例において、大環状化合物は以下の構造を有する:
Figure 2024511235000009
ここで、トリ(ヒドロキシ)ブチル基(単数又は複数)及び-(CH2)nR基は、ペンダント基であり、各Rは独立して、アルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;1つ又は複数の-OH基、1つ又は複数のスルホン酸基、1つ又は複数のカルボン酸基、1つ又は複数のホスホン酸基、1つ又は複数のアルキル基など、又はそれらの組み合わせを含むアルキル基;1つ又は複数の-OH基、1つ又は複数のスルホン酸基、1つ又は複数のカルボン酸基、1つ又は複数のホスホン酸基、1つ又は複数のアルキル基など、又はそれらの組み合わせを含むアリール基;1つ又は複数の-OH基、1つ又は複数のスルホン酸基、1つ又は複数のカルボン酸基、1つ又は複数のホスホン酸基、1つ又は複数のアルキル基など、又はそれらの組み合わせを含むヘテロアリール基;及びHから選択される。R基は、置換もしくは非置換のR基であってもよい。各nは、独立して、1、2、又は3から選択される。ペンダント基は、1つ以上のキラル炭素を有していてもよい。
ペンダント基の非限定的な例は以下の通りである:
Figure 2024511235000010
及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、及び脱プロトン化種(該当する場合)。
ここで、Q3、Q4及びQ5は、それぞれ独立して、アニオン性基であるか、又は、-H, -NR2, -NO2, -CN, -(CH2)mNR2, OH, OR, -CH2PO(OH)2, -(CH2)mP(O)(OH)2, -SO3H, 及びそれらの脱プロトン化種、部分的脱プロトン化種、及びプロトン化種(該当する場合)であり、ここで、mは、1又は2である、又は、それらの部分的もしくは完全な脱プロトン化アナログであり、ここで、Rは、H、アルキル基(例えば、メチル、トリフルオロメチルなど)、アリール基(例えば、フェニル基、又は、スルホネートで置換されたフェニル基)、アルキルカルボキシレート基、アルキルカルボン酸基などである。
Fe(III)錯体は、結合水、水酸化物を有していてもよく、又は結合水や水酸化物配位子を有していなくてもよい。
特定の実施形態では、高スピンFe(III)カチオンであってもよいFe(III)カチオンが、大環状化合物に錯化される。特定の他の実施形態において、Fe(III)カチオンは、大環状化合物に錯化されない。高スピンFe(III)カチオンであってもよいFe(III)は、本明細書で示されるように、大環状体に錯化されてもよい。
先に述べたように、例えば、アルコール、フェノール性ペンダント基のようないくつかのペンダントドナーは、Fe(III)と錯化すると脱プロトン化する可能性がある。それらの対応するフェノレートイオン又は酸化物(例えば、アルコキシド又はフェノキシド)は、本開示の範囲内である。
配位補助ペンダント基(例えば、2つがすでにヒドロキシルプロピルである場合の、追加のペンダント基である)の非限定的な例としては、5員又は6員のキレートを形成する酸素又は窒素供与体が挙げられる(例えば、アミド、カルボキシレート、ホスフィネート、ホスホネート、アルコール、フェノール、又はアミノフェノールの誘導体など)。これらの基の中には、Fe(III)と結合すると脱プロトン化するものがある。
1つ以上の非-配位補助ペンダント基を含む大環状錯体は、開放配位部位(open coordination site)を有してもよい(すなわち、オープン配位を有してもよい)。1つ以上の配位補助ペンダント基を含む大環状錯体は、開放配位部位を有していなくてもよい(すなわち、クローズド配位を有してもよい)。
様々な実施形態において、Z1、Z2、及びZ3は、それぞれ独立して、以下のものから選択される:
Figure 2024511235000011
Figure 2024511235000012
Figure 2024511235000013
及び、それらのプロトン化種、脱プロトン化種、部分的脱プロトン化種(該当する場合)。
一実施形態において、主題の開示は、スキームII~IIIに規定される構造及び定義を有する大環状化合物を提供し、ここで、大環状体が構造Iを有する場合、以下の但し書きのいずれか又はすべてが適用される:Z1及びZ2が構造1のとき、Z3は構造1ではない;Z1及びZ2が構造1'のとき、Z3は構造1'ではない;Z1及びZ2が構造2のとき、Z3は構造2ではない;Q1及びQ2がHのとき;Z1がHのとき、Z2は構造2ではない。
特定の実施形態において、Fe(III)カチオン(高スピンFe(III)カチオンであり得る)は、大環状化合物に錯化される。特定の他の実施形態において、Fe(III)カチオンは、大環状化合物に錯化されない。Fe(III)(高スピンFe(III)カチオンであり得る)は、本明細書で示されるように、大環状体に錯化されてもよい。
前述したように、例えば、アルコール、フェノール性ペンダントのようないくつかのペンダントドナーは、Fe(III)と錯化すると脱プロトン化する可能性がある。それらの対応するフェノレートイオン又は酸化物(例えば、アルコキシド又はフェノキシド)は、本開示の範囲内である。
一実施形態において、本開示は、スキームII~IIIで定義されるような、スキームII~IIIに示す構造を有する高分子と錯化されたFe(III)を含むFe(III)錯体を提供する。
別の実施形態において、主題の開示は、スキームII~IIIで定義されるように、スキームII~IIIに示される構造を有する高分子と錯化されたFe(III)を含むFe(III)錯体を提供し、ここで、高分子が構造Iを有する場合、以下の但し書きのいずれか又はすべてが適用される:Z1及びZ2が構造1のとき、Z3は構造1ではない;Z1及びZ2が構造1'のとき、Z3は構造1'ではない;Z1及びZ2が構造2のとき、Z3は構造2ではない。
一般に金属イオンに配位するのは1つだけであるが、ある種のペンダントは、2つ以上のOドナー原子を有していてもよい(例えば、置換アルキルフェノールペンダントなど)。ポリオールは、アルキルポリオール、アリールポリオール、又はそれらの組み合わせであってもよい。
大環状化合物は、様々なペンダント基やペンダント基の組み合わせを持つことができる。2つ以上のペンダントドナーが存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。
種々の例において、大環状コアは3つの窒素原子を有する。種々の例において、大環状コア中の窒素原子を隔てる炭素原子は2つである。大環状コア中の1つ以上の炭素は、非置換(例えば、-CH2-)であってもよく、又は置換されていてもよい(例えば、-CHR-、又は-CRR'-、ここで、R及びR'は、例えば、本明細書中に記載されるようなアルキル基又はアリール基(例えば、ベンジル基)である)。
ペンダント基は、大環状コアに(例えば窒素にて)共有結合的に付着することができる。例えば、ペンダント基は、TACN(I)大環状コアに共有結合的に付着している。
本開示の大環状体の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない、
Figure 2024511235000014
Figure 2024511235000015
及び、それらのプロトン化アナログ、脱プロトン化アナログ。
キレート化大環状体の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:
Figure 2024511235000016
Figure 2024511235000017
Figure 2024511235000018
及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、脱プロトン化種(該当する場合)。
内圏水を持たないFe(III)錯体の例であるFe(L6B)、又は内圏水を持つFe(III)錯体の例であるFe(L1B)の例:
Figure 2024511235000019
様々な例において、以下の基の他のヒドロキシル基が高スピンFe(III)に配位してもよい:
Figure 2024511235000020
大環状化合物は、大環状配位子であり得る。本明細書に記載の大環状配位子は、三価の鉄(Fe(III))の状態を安定化する。配位幾何学は、Fe(III)の酸化状態を維持するため(例えば、生物学的に適切な条件下で)、Fe(II)と比較してFe(III)の望ましい結合のために設計される。Fe(III)状態の安定化は、錯体のFe(II)状態への還元によって生じる活性酸素種(反応性酸素種)の生成を抑制する役割も果たす。
Fe(III)中心がFe(II)に比べて安定化されており、生物学的還元剤と反応して活性酸素種(ROS:reactive oxygen species)を生成しないことが望ましい。そのような酸化還元的に不活性である(生物学的条件下で)Fe(III)中心は、NHEに対して低い酸化還元電位を有する。安定化されたFe(III)を生じる大環状コアとペンダント基とを有する本発明の大環状錯体の例としては、1,4,9-トリアザシクロノナン大環状コア及びアルコールペンダント基(Fe(III)結合時に脱プロトン化される)が挙げられるが、これらに限定されない。
様々な例において、本開示の大環状化合物又は化合物は、生物学的に適切なpH(例えば、6.5~7.5又は7.2~7.4のpH、その間のすべての0.1pH値及び範囲を含む)の水溶液中で、0mV未満(vs.標準水素電極(NHE:normal hydrogen electrode))の還元電位(Eo)を示す。様々な他の例において、本開示の大環状化合物又は化合物は、生物学的に適切なpH(例えば、6.5~7.5又は7.2~7.4のpH(その間のすべての0.1pH値及び範囲を含む)の水溶液中で、少なくとも300mV、少なくとも250mV、少なくとも200mV、少なくとも150mV、少なくとも100mV、又は少なくとも50mV、又は少なくとも0mV、又は少なくとも-100、少なくとも-150、少なくとも-200、少なくとも-300、少なくとも-400、少なくとも-500、又は少なくとも-600mV(vs.標準水素電極(NHE))の還元電位(Eo)を示す。様々な他の例において、本開示の大環状化合物又は化合物は、生物学的に適切なpH(例えば、6.5~7.5又は7.2~7.4のpH、その間のすべての0.1pH値及び範囲を含む)の水溶液中で、0未満~-600mV(vs.標準水素電極(NHE))の還元電位(Eo)を示す。
鉄(III)錯体による水のプロトンのT1緩和時間の短縮(T1緩和性)は、内圏水及び外圏水相互作用の両方、及び水配位子又はヒドロキシアルキルペンダントを介したプロトン交換によって促進される。したがって、様々な例において、本開示の大環状錯体及び化合物は、例えば、酸素又は窒素などのヘテロ原子を介して水に水素結合できる1つ以上のペンダントドナー基を含む。このようなペンダントドナー基の非限定的な例は、アルコキシド基に脱プロトン化するペンダントアルコール基である。さらに、様々な例において、本開示の大環状化合物及び化合物は、水を結合し得る開放配位部位を含む。これらの水配位子は、例えば、pH-電位差滴定によって示されるように、中性pHでイオン化して水酸化物配位子を形成する可能性がある。
Fe(III)の配位化学は、配位数に依存する。本開示の大環状化合物は、大環状コアの一部であり得るドナー基(大環状ドナーとも呼ばれる)、及び、大環状コア上の置換基(例えば、ペンダント基)の一部であり得るドナー基(ペンダントドナーとも呼ばれる)を有する。Fe(III)が本開示の大環状化合物に錯化される場合、4~6個のドナーが金属イオン中心に錯化される。一実施形態では、大環状コアは、2~3個のドナー及び2~3個のペンダントドナーを有し得る。種々の実施形態において、2つの大環状ドナーと3つのペンダントドナー、2つの大環状ドナーと4つのペンダントドナー、3つの大環状ドナーと2つのペンダントドナー、3つの大環状ドナーと3つのペンダントドナー、3つの大環状ドナーと4つのペンダントドナーが存在する。
ペンダントドナーを有する適切な大環状コアの例としては、以下が挙げられる:
Figure 2024511235000021
Figure 2024511235000022
Figure 2024511235000023
Figure 2024511235000024
Figure 2024511235000025
ここで、Fe(III)はコアに錯化されていてもよい。
大環状化合物(例えば、大環状錯体)の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
Figure 2024511235000026
Figure 2024511235000027
Figure 2024511235000028
Figure 2024511235000029
Figure 2024511235000030
Figure 2024511235000031
Figure 2024511235000032
Figure 2024511235000033
及び、それらの脱プロトン化種、部分的脱プロトン化種、プロトン化種(該当する場合)。
種々の実施形態において、本開示の大環状化合物、大環状錯体、又は化合物は、塩、部分塩、水和物、多形体、又は立体異性体、又はそれらの混合物である。例えば、大環状化合物、大環状錯体、又は化合物は、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、単一のジアステレオマー、又はジアステレオマーの混合物として存在する。特定の実施形態において、金属イオンの錯体化後、大環状錯体又は化合物は、ジアステレオマー及び/又はコンフォーマーの混合物として存在する(NMRによって決定できる)。ジアステレオマーは、大環状コアのコンフォメーション及び大環状コア上の置換基の方向性から生じ得る。
本開示の化合物は、内圏水、又はその代わりに水酸化物配位子を有することができる。一実施形態では、化合物は、式1に示すように緩和能に寄与する1つの内圏配位子(q)を有する。
Figure 2024511235000034
式1は、緩和能が、結合水(内圏、IS(innersphere))と第二圏(SS:second-sphere)(外圏)水からの寄与を受けることを示す。式2は、結合水分子の数がより多く、配位子交換速度定数が速い(結合水の寿命が短い(τm))ことが有利であることを予測する。注目すべきは、緩和能を特徴付けるために使用されるパラメータであるr1であり、これの単位はmM-1s-1であり、T1obs(s-1)-対-造影剤濃度のプロットから得られる。数と滞留時間は明確に定義されていないが、第二圏水にも類似の関係がある。
本開示の大環状錯体又は化合物のT1とT2緩和能の比(R1/R2)は、1(unity)に近いことが望ましい。横緩和能であるR2は、定義上、縦緩和能であるR1よりも常に大きい。様々な例において、本開示のFe(III)造影剤は、R1/R2比が1に近くなるように、望ましくは低いR2を有する。様々な例において、本開示の大環状錯体又は化合物は、0.5~0.2又は0.8~0.6のR1/R2比を有する。
鉄(III)錯体は、水のプロトンの緩和を促進できる水分子との望ましい相互作用を有し得る。特定の理論に拘束されることを意図しないが、内圏水とバルクの水との交換が、プロトン緩和の重要なメカニズムであると考えられる。しかし、第二圏水の相互作用も寄与している可能性がある。ヒドロキシアルキル基由来のOHプロトンを持つペンダントのプロトン交換は、追加のメカニズムを提供する。
このことは、Fe(III)錯体と水分子との相互作用を最適化することが、水のプロトンの緩和を高めるために重要であることを示す。理論に縛られることを意図しないが、内圏水とバルク水の交換が、Gd(III)錯体のプロトン緩和の支配的なメカニズムであると考えられている。しかし、Fe(III)はGd(III)よりもはるかに小さな金属イオンである(それぞれ、0.78Å vs 1.25Å)。Gd(III)に比べてFe(III)の結合水のM-H距離が短いことから、この2つの金属イオン錯体では、第二圏、外圏-対-内圏の寄与の相対的な効率が異なる可能性が示唆される。
関連する水の常磁性緩和(1/T1m)に寄与する3つのメカニズムがある:スカラー(コンタクト)寄与、双極子-双極子寄与、及び、キュリースピン緩和である。ここで考察する縦緩和においてこれらのうち最も重要なのは、双極子-双極子寄与(1/T1DD)である。1.5T以上の電界強度では、1/T1DDは、式3のように定義される(Sはスピン量子数、ωHはプロトンのラーモア周波数、rMHは金属イオン-プロトンの距離、γHはプロトン磁気回転比、geは電子g因子、μBはボーア磁子、μoは真空の誘電率)。注目すべきは、1/T1DD項は、全スピン(S)が大きいほど増加する(緩和能が高い)ことであり、これはFe(III)よりもGd(III)に有利である。しかし、常磁性Fe(III)中心から水プロトンまでの距離(rMH)が短いため、特に1/r6依存性を考えると、Fe(III)プロトン緩和に有利である。
Figure 2024511235000035
双極子緩和メカニズムの相関時間(τc)は、結合水の寿命(1/τm)、造影剤の回転運動(1/τR)、及び不対電子の縦緩和(1/T1e)を含む様々なプロセスの影響を受ける。これら3つのプロセスはいずれも寄与しうるが、その重要性は磁場の強さに依存する。文献の多くは、低磁場強度(<1 T)におけるこれらのプロセスの重要性に焦点を当てている。このような条件下では、回転プロセス又は電子緩和時間が制限となる可能性があり、τmは10ns(kex=108 s-1)に近い狭い範囲にあるはずである。しかし、より高い磁場強度(≧1.5 T)では、最適なτmはより大きな範囲(1~100 ns)を持ち、回転運動は低分子とタンパク質の中間の値を持つはずであることがシミュレーションで示されている。重要なパラメータは、電子緩和時間であるT1eである。Fe(III)のT1eが長いのは、錯体が高い対称性を有し、ゼロ磁場分裂が少なく、電子状態の緩和が遅いためと考えられる。また、配位圏は低スピンS=1/2ではなく高スピン(S=5/2)を優先する必要がある。
本開示の大環状化合物は、熱力学的に安定であり、及び/又は解離に対して動力学的に不活性である。一実施形態において、大環状化合物は、熱力学的に安定であり、かつ解離に対して動力学的に不活性である。一実施形態において、本開示の大環状化合物の動力学的不活性は、解離の速度定数を使用して説明することができる。一実施形態において、大環状ドナー及びペンダントドナーは、1)25mM炭酸塩、0.40mMリン酸塩、100mM NaCl、pH7.2; 2)pH4、100mM NaClの存在下、中性pHで最大24時間まで、金属中心から有意に解離しない(例えば、1%以下、0.1%以下、又は0.01%以下の解離が観察される)。
一実施形態では、Fe(III)は高スピンS=5/2である。効果的なT1(縦方向)緩和のためには、常磁性スピン状態が必要である。Fe(III)を高スピン状態に保つためには、配位子(又は結晶)の磁場分裂が大きすぎてはならない。結晶場分裂が対形成エネルギーより大きいと、低スピン(S=1/2)状態になる。Fe(III)は、様々な配位子ドナー基(特にアニオン性酸素ドナーを含む)によって、容易に高スピン常磁性状態に維持される。
Fe(III)錯体は、水配位子のための開放配位部位、2つのアルコールペンダント及び第三のペンダントを有していてもよい。例えば、アリール基(例えば、ベンジル基及び置換ベンジル基、例えば、メトキシ-ベンジル基、縮合環アリール基など)又はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、又はイソプロピルなどの分岐アルキル基)などの補助ペンダント基が特に有効である。配位的に飽和な錯体の緩和能は、回転相関時間を遅くするために、より大きな補助ペンダントを付けることによって向上させることができる。第三のペンダント基は、Fe(III)周りの配位圏を閉鎖するために使用されてもよく、アニオン性基は、それらのpKa値を調節することによってヒドロキシルアルキル基のプロトン交換を促進することができる。
高スピンFe(III)中心の電子緩和時間が十分に長く(例えば、3×10-11s以上)、1.5テスラ以上の磁場強度にて、式4で表される相関時定数の制限要因にならないことが望ましい。これは、例えば、Fe(III)中心に高い対称性をもたらす大環状配位子を使用することによって達成することができる。軸方向に歪んだ錯体の高スピンFe(III)錯体では、(T1e)-1がD2に正比例することから、ゼロ磁場分割係数(D)が小さいことが望ましい。
Fe(III)錯体は、三価の酸化状態のままであり、例えば、過酸化物、スーパーオキシド、アスコルビン酸塩によって、又は、細胞(例えば、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)など)の細胞外培地中に存在する濃度のグルタチオンによって還元されないことが望ましい。通常、酸化還元電位は、対NHEで200mVより負(<200mV)で十分である。
本開示の方法において使用するために、本明細書に記載の化合物を医薬製剤として投与することができる。従って、それらは種々の組成物で提供されることができ、そして1つ以上の薬学的に許容可能な担体(キャリア)と組み合わされ得る。薬学的に許容される担体のいくつかの例は、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2012) 22nd Edition, Philadelphia, PA. Lippincott Williams & Wilkins」に記載されている。組成物は、液体、溶液、又は固体として提供することができ、任意の適切な送達形態又はビヒクルと組み合わせて提供することができ、その例としては、カプレット、カプセル、錠剤、吸入剤、エアロゾルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
組成物は、1つ以上の標準的な薬学的に許容される担体を含んでもよい。組成物の非限定的な例としては、溶液、懸濁液、及びエマルションが挙げられる。希釈剤の非限定的な例としては、注射用蒸留水、生理的食塩水、植物油、アルコールなど、及びそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、注射剤は、安定剤、可溶化剤、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤などを含むことができる。組成物は、無菌固体製剤に製剤化されてもよく(例えば凍結乾燥によって)、滅菌された後に使用されてもよく、又は使用直前に無菌注射用水又は他の無菌希釈剤(単数又は複数)に溶解されてもよい。薬学的に許容される担体の非限定的な例は、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2012) 22nd Edition, Philadelphia, PA. Lippincott Williams & Wilkins」に記載されている。
許容される担体、賦形剤又は安定剤は、採用される用量及び濃度においてレシピエントに対して無毒であり、以下のものを含むが、これらに限定されない:例えば、リン酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン及び他の有機酸のような緩衝剤;酸化防止剤(アスコルビン酸及びメチオニンを含むがこれらに限定されない);防腐剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;例えば、メチルパラベン又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンなどの単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM、ポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤。一実施形態において、医薬組成物は、スクロース、ポリソルベート20、NaCl、KCl、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、アルギニン、リジン、トレハロース、グリセロール、及びマルトースを含むがこれらに限定されない、緩衝剤成分及び安定剤を含み得る。
当業者に既知の種々の方法が、本開示の組成物を個体に導入するために使用され得る。これらの方法としては、静脈内、筋肉内、頭蓋内、髄腔内、皮内、皮下、及び経口経路が挙げられるが、これらに限定されない。複数の実施形態において、組成物は静脈内に投与される。
錯体の必要な溶解度は、コントラストを生み出す効果に依存する。良好な緩和能を有するFe(III)T1造影剤の場合、錯体は5mM~100mMが必要である。しかし、ヒト血清アルブミン(HSA)やメグルミンのような他の添加剤を用いて、溶解度を高める及び/又は緩和能を高めることもできる。一部のFe(III)錯体にHSA(例えば、35mg/mL)を添加すると、より高いT1緩和能が得られる。溶解度は、一般に、25mMの炭酸塩及び0.4mMのリン酸塩を含む100mMのNaCl中、中性に近いpH(例えば、6.5~7.5:その間のすべての0.1pH値及び範囲を含む)にて、水溶液中で測定される。使用される組成物の用量は必然的に、本開示の組成物が投与される個体の必要性に依存する。これらの因子には、個体の体重、年齢、性別、及び病歴が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
一態様において、本開示は、本明細書に記載の大環状錯体及び化合物を用いたイメージング法を提供する。イメージング法は、磁気共鳴イメージング法を使用する。このような方法の非限定的な例としては、磁気共鳴画像法(MRI)が挙げられる。
具体的には、本開示の大環状化合物は、Fe(III)と錯化されており、T1MRI造影剤として使用することができる。これらの錯体は、pHの変化によって変化する特性を有してもよい。このような特性により、これらの錯体は、pHマッピングに有用となる(例えば、癌、脳卒中、心臓病などの疾患についてより良い治療処置を可能にするために)。
本開示のイメージング法は、細胞、組織、器官、血管系(脈管構造)、又はその一部を撮像するために使用することができる。前記の細胞、組織、器官、血管系は個体の一部であり得る。「個体」とは、ヒト又はヒト以外の動物(例えば、ウシ、ブタ、マウス、ラット、ネコ、イヌ、又は他の農業用動物、ペット、又はサービスアニマルなど)を意味する。一実施形態において、本開示は、細胞、組織、器官、又は血管系を本開示の化合物と接触させるステップと、細胞、組織、器官、又は血管系の少なくとも一部を撮像して、細胞、組織、器官、又は血管系の一部の画像を得るステップとを含む、細胞、組織、器官、又は血管系の少なくとも一部の画像を得る方法を提供する。細胞、組織、臓器の少なくとも一部は生きていても死んでいてもよい。同様に、個体も生死を問わない。
本投与は様々な送達方法によって行われ得る。化合物又は組成物は、全身的に投与されてもよい。本明細書で使用される用語「全身的」には、非経口投与、局所投与、経口投与、スプレー吸入、直腸投与、鼻腔投与、及びバッカル投与が含まれる。本明細書で使用される用語「非経口」には、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節内投与、滑膜内投与、胸骨内投与、髄腔内投与、肝内投与、病巣内投与、及び頭蓋内投与が含まれる。
一実施形態において、大環状錯体化合物は、Fe(III)T1MRI造影剤として使用される。このコントラストは、鉄錯体が蓄積する領域に正のコントラストを与えるT1加重イメージングによって生成される。この錯体は、生物学的還元条件下では高スピンFe(III)であり、バルク水プロトンのT1緩和時間の減少を与える内圏及び/又は外圏水相互作用を有する。
本開示の大環状化合物は、例えば、本明細書に記載したように調製することができる。
以下の実施例は、本開示を説明するために提示される。これらは、いかなる方法による限定も意図しない。当業者であれば、これらの実施形態に日常的な変更を加えることが可能であることを認識することができ、それらは本開示の範囲内であることが意図される。
[本開示のさらなる説明]
特定の実施形態において、大環状化合物は、以下の構造を有する:
Figure 2024511235000036
ここで、X1、X2、X3、及びX4は、Nであり;Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立して、Nを含むペンダントドナーであるか(ここで、Nは、孤立電子対を有する(例えば、アミノ、ベンズイミダゾール、イミダゾール、アニリン、ピラゾイル、トリアゾール、ベンゾトリアゾールなど))、又はOを含むペンダントドナーであり(ここでOは、少なくとも1つの孤立電子対を有するが、好ましくは2つ又は3つの孤立電子対を有する(例えば、ケトン、アルコール、アルコキシド、カルボン酸、アミド、フェノールもしくはフェノキシド、又は前記のものの脱プロトン化形態、例えば、カルボキシレートイオン、イミダゾレートイオン、ピラゾレートイオン、又はアルコキシドもしくはフェノキシドを含む酸化物など);m1、m2、m3、及びm4は、それぞれ独立して、0、1、又は2であり;n1、n2、n3、及びn4は、それぞれ独立して、1又は2であり;R1、R2、及びR3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、ここで、R1、R2、及びR3は、ペンダントドナーによって置換されておらず、ここで、アルキル-Y鎖(アルキル-Y1、アルキル-Y2、アルキル-Y3及び/又はアルキル-Y4)のアルキルセグメントは、それぞれ独立して、置換されていてもよく(例えば、構造a又は構造b)、非置換であってもよい(構造c又は構造d)。構造a~fについて、ペンダントは、キラル炭素にてR又はS配置のいずれを有してもよい:
Figure 2024511235000037
いくつかの実施形態において、大環状体は、構造(スキームIV)を有することができる:
スキームIV
Figure 2024511235000038
ここで、R1は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、又は置換もしくは非置換のアルキルであり;ここで、大環状体が構造Iを有する場合、Z1は、H又はスキームVのペンダント基の1つであり、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、スキームVのペンダント基の1つである;大環状体が構造IIを有する場合、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、スキームVにおけるペンダント基の1つであり;ここで、構造I及びIIについて、Z1、Z2、Z3の各々は、場合により、互いに独立して選択される。以下、この段落を「スキームIV」と称する。
大環状化合物は、大環状コア上に少なくとも1つのペンダントドナーを有する。例えば、ペンダントドナーは、以下の構造を有することができる:
スキームIX
Figure 2024511235000039
ここで、Rはメチル、Q1及びQ2はそれぞれ独立して-H, -OCH3, -CO2H, 又は -CH2CO2G4であり、G4は、H、C1~C12の直鎖状もしくは分岐状構造の置換もしくは非置換アルキル基、又はPEG基(-CH2CH2O-)n(n=1~12、例えば、1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 及び12)であり、Q3は、H、直鎖状もしくは分岐状構造のC1~C12の置換もしくは非置換アルキル基、又はPEG基(-CH2CH2O-)n(n=1~12、例えば、1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 及び12)であり、Q4及びQ5は、それぞれ独立して、-H、-OCH3、-CO2H、又は直鎖状もしくは分岐状構造の置換もしくは非置換アルキル基であり、Aは、C1~C12の直鎖状もしくは分岐状構造の置換もしくは非置換アルキル基であるか、又は置換もしくは非置換のアリール基であるか、又は、天然に存在するアミノ酸(例えば、グリシン)もしくは合成アミノ酸あるいはそれらの類似体である。例えば、カルボン酸、アルコール、イミダゾール、ピラゾールなどのいくつかのペンダントドナーは、Fe(III)と錯化したとき、又は特定のpH値で脱プロトン化することがある。このようなプロトン化及び脱プロトン化形態は、本開示の範囲内である。例えば、ペンダントドナーは、カルボキシレートイオン、イミダゾレートイオン、ピラゾレートイオン、又は酸化物(例えば、アルコキシド又はフェノキシド)である。
一実施形態において、本開示は、以下のスキームに基づき、以下の但し書きを伴う、本明細書に記載の構造及び定義を有する大環状化合物を提供する:
スキームVIII:
Figure 2024511235000040
ここで、大環状体が構造IIを有する場合(スキームVIII及びIXを使用する)、以下の但し書きのいずれか又はすべてが適用される:Z1=Z2=構造1のとき、R1≠メチル、エチル、イソプロピル、n-ヘキシル、又は、構造i、ii、iiiもしくはiv;Z1=Z2=構造7のとき、R1≠構造v又はvi;Z1=Z2=構造9のとき、R1≠エチル;Z1=Z2=構造12のとき、R1≠エチル;Z1=Z2=構造16のとき、Q4=t-ブチル及びQ5=OCH3のとき、又はQ4=Q5=t-ブチルのとき、R1≠エチル又はイソプロピル;Z1=Z2=構造15のとき、R1≠メチル。
一実施形態において、本開示は、スキームIV、VIII、及びIXに規定される構造及び定義を有する大環状化合物を提供し、ここで、大環状体が構造Iを有する場合、以下の但し書きのいずれか又はすべてが適用される:Z1=Z2=構造1のとき、Z3≠構造1;Z1=Z2=構造2のとき、Z3≠構造2;Z1=Z2=構造3のとき、Z3≠構造3;Z1=Z2=構造6のとき、Z3≠構造6;Z1=Z2=構造7のとき、Z3≠構造7;Z1=Z2=構造体9のとき、Z3≠構造体9;Z1=Z2=構造体11のとき、Z3≠構造体11;Z1=Z2=構造体12のとき、Z3≠構造体12;Z1=Z2=構造13のとき、Q1=Q2=Hのとき、Z3≠構造13、Q1=Q2=Hのとき;Z1=Z2=構造15のとき、Z3≠構造15;Z1、Z2、又はZ3の最大で2つ=構造16、i) Q4=Q5=t-ブチル、ii) Q4=Q5=OCH3、iii) Q4=t-ブチル及びQ5=OCH3、又は、iv) Q4=OCH3、及びQ5=t-ブチルのとき;Z1=Hのとき、Z2≠構造1;Z1=Hのとき、Z2≠構造7;Z1=Hのとき、Z2≠構造9;Z1=Hのとき、Z2≠構造13;Z1=Z2=構造1のとき、Z3≠構造15; Z1=構造1及びZ2=Hのとき、Z3≠構造16、Q=t-ブチルのとき;ここで、大環状体が構造IIIを有する場合、以下の但し書きのいずれか又はすべてが適用される:Z1=構造1のとき、Z2≠構造1;Z1=構造17のとき、Z2≠構造17。
いくつかの実施形態において、スキームIVの大環状体がFe(III)と錯化される場合、R1はFe(III)に配位しない。
一実施形態において、スキームIVに従って定義される大環状体は、大環状体コア上に少なくとも1つのペンダントドナーを有する。例えば、前記ペンダントドナーは、以下の構造(スキームV)を有し得る。
スキームV:
Figure 2024511235000041
ここで、R2は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族基(アリール基であってもよい)、又は置換エーテルであり;R3は、置換もしくは非置換のアルキル基、又は置換もしくは非置換のアリール基であり、R4は、置換アルキル基(例えば、ヒドロキシル基又はカルボキシレート基などで置換されたもの)又は非置換アルキル基、又は置換もしくは非置換のアリール基である。例えば、アルコール、ホスフィン酸、ホスホン酸又はスルホン酸のようないくつかのペンダントドナーは、Fe(III)と錯化したとき、又は特定のpH値で脱プロトン化することがある。このようなプロトン化及び脱プロトン化形態は、本開示の範囲内である。例えば、ペンダントドナーは、スキームVIに示すように、アルコキシド、ホスフィネート、ホスホネート又はスルホネートであってもよい。
スキームVI(イオン化基):
Figure 2024511235000042
特定の実施形態において、スキームI及びIIにおける前記大環状体のR1基(配位性補助基又は非配位性補助基であってもよい)は、スキームVIIによる構造であってもよい。
スキームVII
Figure 2024511235000043
ここで、A及びA'は、それぞれ独立して、直鎖状もしくは分岐状構造の置換もしくは非置換のC1~C12アルキル基、又はプロトンであり、Q1は、アニオン性基(例えば、カルボキシレート、スルホネート、ホスホネート、ホスフェートエステル又はホスフィネートなど)で置換されたアリール、アニオン性基(例えば、カルボキシレート、スルホネート、ホスホネート、ホスフェートエステル又はホスフィネートなど)で置換されたアルキル基、又はアニオン性基(例えば、カルボキシレート、スルホネート、ホスホネート、ホスフェートエステル又はホスフィネートなど)で置換されたアラルキル基である;ここで、A又はA'の少なくとも1つは、アニオン性基で置換されたアルキル基(例えば、アミノ酸、特にグリシン、セリン又はアスパラギン酸)である。
いくつかの実施形態において、大環状体がスキームIVの構造(I)を有し、Z1及びZ2がスキームVの構造6である場合(ここで、R3は非置換エチルである)、Z3はスキームVの構造6(ここで、R3は非置換エチル基である)ではない。さらなる実施形態において、大環状体がスキームIIの構造(I)を有し、Z1及びZ2がスキームVの構造6である場合(ここで、R3は非置換もしくは置換エチルである)、Z3は、スキームVの構造6(ここで、R3は非置換もしくは置換エチル基である)ではない。付加的な実施形態において、大環状体がスキームIVの構造(I)を有し、Z1及びZ2が、スキームVの構造6である場合(ここで、R3は非置換アルキルである)、Z3は、スキームVの構造6(ここで、R3は非置換アルキルである)ではない。さらなる他の実施形態では、大環状体がスキームIVの構造(I)を有し、Z1及びZ2がスキームVの構造6である場合(ここで、R3は非置換もしくは置換アルキルである)、Z3はスキームVの構造6(ここで、R3は非置換もしくは置換アルキルである)ではない。
特定の実施形態において、大環状体がスキームIVの構造(I)を有し、Z1及びZ2がスキームVの構造7である場合、Z3はスキームVの構造7ではない。
特定の実施形態において、大環状体がスキームIVの構造(I)を有し、Z1及びZ2がスキームVの構造8である場合(ここで、R3は末端ヒドロキシル置換を有するアルキルである)、Z3はスキームVの構造8ではない(ここで、R3は末端ヒドロキシル置換を有するアルキルではない)。さらなる実施形態において、大環状体がスキームIVの構造(I)を有し、Z1及びZ2が、スキームVの構造8である場合(ここで、R3は置換アルキルである)、Z3は、スキームVの構造8ではない(ここで、R3は置換アルキルである)。
いくつかの実施形態において、大環状体がスキームIVの構造(II)を有し、Z1及びZ2がスキームVの構造8であり、R4が末端ヒドロキシル置換を有するアルキルである場合、R1は末端アリール基を有するアルキルではない。さらなる実施形態において、大環状体がスキームIVの構造(II)を有し、Z1及びZ2がスキームVの構造8であり、R4が末端ヒドロキシル置換を有するアルキルである場合、R1は置換アルキルではない。
様々な例において、ペンダントドナーを持つ大環状コアは、以下の構造を有さない:
Figure 2024511235000044
Figure 2024511235000045
Figure 2024511235000046
Figure 2024511235000047
Figure 2024511235000048
Figure 2024511235000049
ここで、Fe(III)がこれらの化合物に錯化されていてもよい。
様々な例において、本開示の錯体は以下の構造を有さない:
Figure 2024511235000050
様々な例において、大環状コアは以下の構造を有する:
Figure 2024511235000051
特定の実施形態において、本開示の方法において使用される錯体は、以下の構造を有し得る:
Figure 2024511235000052
米国特許第11,261,208号及び米国特許出願第16/973,349号は、参照により本明細書に組み込まれる。
以下の陳述では、本開示の大環状化合物、大環状錯体、化合物、及び組成物の様々な例、ならびにそれらの使用について説明する:
陳述1.
本開示の大環状コア(例えば、9個の骨格原子を含む大環状コアであって、大環状コア中の原子の3個がN原子であり、N原子を隔てる少なくとも2個の炭素原子、及び本開示の1つ以上のペンダント基を含み、ここで、該1つ以上のペンダント基が、以下の構造を有する大環状コア上の(例えば、大環状コアに共有結合した)置換基である)を含む、本開示の大環状化合物:
スキームIII:
Figure 2024511235000053
及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、又は完全脱プロトン化種(該当する場合)
ここで、Q3、Q4及びQ5は、それぞれ独立してアニオン性基であるか、又は-H, -NR2, -NO2, -CN, -(CH2)mNR2, OH, OR, -CH2P(O)(OH)2, -(CH2)mP(O)(OH)2, -SO3H, 及びそれらの脱プロトン化種から選択され、mは1又は2であり、
ここで、RはH、アルキル基(例えば、メチル、トリフルオロメチルなど)、アリール基(例えば、フェニル基、又はスルホネートで置換されたフェニル基など)、アルキルカルボキシレート基、アルキルカルボン酸基などである。
化合物は、1, 1', 2, 3, 4, 8, 10のいずれかの2つ、又はそれらの組み合わせを有する。
陳述2.
本開示の大環状化合物(例えば、陳述1に記載の大環状化合物)である大環状コアに、及び/又は大環状化合物の少なくとも1つのペンダント基置換基に錯化された高スピンFe(III)カチオンを含む大環状錯体、又は、その塩、部分塩、水和物、多形体、もしくは立体異性体。ここで、大環状化合物は、負の酸化還元電位(例えば、生物学的に適切なpH(例えば、6.5~7.5又は7.2~7.4)の水性(例えば、水)溶液中で、200未満の酸化還元電位(vs.標準水素電極(NHE)))を示し得る。
陳述3.
1つ以上のペンダント基の少なくとも1つ又はすべてが、大環状コア上のNに共有結合している、陳述1又は2に記載の大環状化合物又は錯体。
陳述4.
大環状錯体が少なくとも1つの開放配位部位を有する、陳述2又は3に記載の大環状錯体。様々な例において、大環状錯体は配位的に飽和しており、水を結合する部位はない。
陳述5.
大環状錯体が、高スピンFe(III)カチオンに錯化された少なくとも1つの水又は少なくとも1つの水酸化物を有する、陳述2~4のいずれか1つに記載の大環状錯体。
陳述6.
ペンダント基の少なくとも1つは、ベンジル位で、又はペンダント基のヘテロ原子につながるアルキル基のいずれかの炭素で置換されている、陳述1~5のいずれか1つに記載の大環状化合物又は大環状錯体。
陳述7.
大環状コアがTACN基である、陳述1~6のいずれか1つに記載の大環状化合物又は大環状錯体。
陳述8.
大環状錯体が、TACN基及び少なくとも1つの(例えば、1つ又は2つの)アニオン性ペンダント基を含む、陳述2~4のいずれか1つに記載の大環状錯体。
陳述9.
アニオン性ペンダントが、アルコキシドペンダント、フェノキシドペンダント、ホスフィネートペンダント、ホスホネートペンダント及びそれらの組み合わせから個々に選択される、陳述8に記載の大環状錯体。種々の例において、2つのヒドロキシアルキルペンダント基又は2つのフェノキシドペンダント基が存在する。
陳述10.
大環状錯体が、配位ペンダント基又は非配位ペンダントをさらに含む、陳述8又は9に記載の大環状錯体。
陳述11.
大環状コアが以下の構造の1つを有する、陳述1~10のいずれか1つに記載の大環状化合物又は大環状錯体:
Figure 2024511235000054
ここで、X1、X2、及びX3は、Nであり;Y1、Y2、又はY3は、それぞれ独立して、Oを含むペンダントドナーであり、ここでOは、少なくとも1つの孤立電子対を有するが、好ましくは2つ又は3つの孤立電子対を有する(例えば、ケトン、アルコール、アルコキシド、カルボン酸、アミド、フェノールもしくはフェノキシド、又は、前述のものの脱プロトン化形態、例えばカルボキシレートイオンなど、又は酸化物(アルコキシドもしくはフェノキシドを含む);m1、m2、又はm3は、それぞれ独立して、0、1、又は2であり;n1、n2、又はn3は、それぞれ独立して、1又は2であり;R1は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、ここで、R1は、ペンダントドナーによって置換されておらず、ここで、アルキル-Y鎖(アルキル-Y1、アルキル-Y2、及び/又はアルキル-Y3)のアルキルセグメントは、それぞれ独立して、置換されていてもよく(例えば、構造a又は構造b)、あるいは非置換であってもよい。構造a又はbの場合、ペンダントは、キラル炭素においてR又はS配置のいずれかを有してもよい:
スキームI
Figure 2024511235000055
陳述12.
大環状コアが以下の構造を有する、陳述2~11のいずれか1つに記載の大環状化合物又は錯体:
スキームII
Figure 2024511235000056
ここで、R1は、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、ここで、R1は、ペンダントドナーによって置換されていない;そして、大環状コアが構造Iを有する場合、Z1は、H、又は、スキームIIIのペンダント基の1つであり、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、ペンダント基(例えば、スキームIIIのペンダント基の1つ)であり;大環状化合物が構造IIを有する場合、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、ペンダント基(例えば、スキームIIIのペンダント基の1つ)である。
陳述13.
ペンダントドナーを有する大環状コアが、以下の構造(これにFe(III)が錯化され得る)を有する、陳述2~12のいずれか1つに記載の大環状錯体:
Figure 2024511235000057
Figure 2024511235000058
Figure 2024511235000059
Figure 2024511235000060
又は、それらの脱プロトン化もしくは部分的脱プロトン化種、又はそれらのアナログ、
あるいは、大環状錯体は、以下の構造を有する:
Figure 2024511235000061
Figure 2024511235000062
Figure 2024511235000063
又は、それらの脱プロトン化もしくは部分的脱プロトン化種、又はそれらのアナログ。
陳述15.
本開示の1つ以上の大環状化合物及び/又は1つ以上の大環状錯体(例えば、陳述1に記載の1つ以上の大環状化合物及び/又は陳述2~14のいずれか1つに記載の1つ以上の大環状錯体)と、薬学的に許容される担体とを含む組成物。
陳述16.
ヒト血清アルブミン及び/又はメグルミンをさらに含む、陳述15に記載の組成物。
陳述17.
細胞、器官、血管系、又は組織の少なくとも一部の画像を得る方法であって:
細胞、器官、血管系、又は組織を、本開示の1つ以上の大環状化合物及び/又は1つ以上の大環状錯体(例えば、陳述1に記載の1つ以上の大環状化合物及び/又は記載2~14のいずれか1つに記載の1つ以上の大環状錯体)、及び/又は、本開示の1つ以上の組成物(例えば、陳述15~16のいずれか1つに記載の組成物)と接触させること、及び
細胞、器官、血管系、又は組織の少なくとも一部を撮像して、細胞、器官、血管系、又は組織の一部の画像を得ること(ここで、画像は磁気共鳴を使用して得られる)
を含む方法。
陳述18.
細胞、器官、血管系、又は組織が個体の一部である、陳述17に記載の方法。
陳述19.
画像が磁気共鳴画像法(MRI)を用いて得られる、陳述17又は18に記載の方法。
陳述20.
大環状化合物(単数又は複数)及び/又は化合物(単数又は複数)が、T1剤(単数又は複数)である、陳述17~19のいずれか1つに記載の方法。
陳述21.
9個の骨格原子を含む大環状コアであって、該大環状コア中の3個の原子がN原子であり、少なくとも2個の炭素原子が該N原子を隔てており、以下のペンダント基の1つ以上が、該大環状コア上の置換基である、大環状コア:
スキームIII
Figure 2024511235000064
及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、又は完全脱プロトン化種(該当する場合)。
ここで、Q3, Q4及びQ5は、それぞれ独立してアニオン性基であるか、又は-H, -NR2, -NO2, -CN, -(CH2)mNR2, OH, OR, -CH2P(O)(OH)2, -(CH2)mP(O)(OH)2, -SO3H, 及びそれらの脱プロトン化種から選択され、ここで、mは、1又は2であり、ここで、Rは、H、アルキル基(例えば、メチル、トリフルオロメチルなど)、アリール基(フェニル基、又はスルホネートで置換されたフェニル基など)、アルキルカルボキシレート基、アルキルカルボン酸基などである。化合物は、1, 1', 2, 3, 4, 8, 10のいずれかの2つ、又はそれらの組み合わせ、又はそれらの塩、部分塩、水和物、多形体、又は立体異性体を有する。
陳述22.
1つ以上のペンダント基の少なくとも1つ又はすべてが、大環状コア上のNに共有結合している、陳述21に記載の大環状コア。
陳述23.
ペンダント基の少なくとも1つが、ベンジル位にて又はペンダント基のヘテロ原子につながるアルキル基のいずれかの炭素にて置換されている、陳述21又は陳述22に記載の大環状コア。
陳述24.
大環状コアがTACN基である、陳述21~23のいずれか1つに記載の大環状コア。
陳述25.
大環状コアが、TACN部分及び少なくとも1つの(例えば、1つ又は2つの)アニオン性ペンダント基を含む、陳述21~23のいずれか1つに記載の大環状コア。
陳述26.
アニオン性ペンダントが、アルコキシドペンダント、フェノキシドペンダント、及びそれらの組み合わせから個々に選択される、陳述25に記載の大環状コア。
陳述27.
配位ペンダント基又は非配位ペンダント基をさらに含む、陳述26に記載の大環状コア。
陳述28.
大環状コアが以下の構造の1つを有する、陳述21~27のいずれか1つに記載の大環状コア:
Figure 2024511235000065
ここで、X1、X2、及びX3は、Nであり;Y1、Y2、又はY3は、それぞれ独立して、Nを含むペンダントドナーであるか(ここでNは、孤立電子対を有する(例えば、アミノ、ベンズイミダゾール、イミダゾール、アニリン、ピラゾイル、トリアゾール、ベンゾトリアゾールなど)、又はOを含むペンダントドナーであり(ここでOは、少なくとも1つの電子対を有するが、好ましくは2つ又は3つの孤立電子対を有する(例えばケトン、アルコール、アルコキシド、カルボン酸、アミド、フェノールもしくはフェノキシド、又前述のものの脱プロトン化形態、例えば、カルボキシレートイオン、イミダゾレートイオン、ピラゾレートイオン、又は酸化物(アルコキシドもしくはフェノキシドを含む));m1、m2、又はm3は、それぞれ独立して、0、1、又は2であり;n1、n2、又はn3は、それぞれ独立して、1又は2であり;R1は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、ここで、R1は、ペンダントドナーによって置換されておらず、ここで、アルキル-Y鎖(アルキル-Y1、アルキル-Y2、及び/又はアルキル-Y3)のアルキルセグメントは、それぞれ独立して、置換されていてもよく(例えば、構造a又は構造b)又は非置換であってもよい。
陳述29.
以下の構造を有する、陳述21~28のいずれか1つに記載の大環状コア:
Figure 2024511235000066
ここで、R1は、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、ここで、R1は、ペンダントドナーによって置換されていない;及び、
大環状コアが構造Iを有する場合、Z1は、H、又は、スキームIIIにおけるペンダント基の1つであり、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、ペンダント基(例えば、スキームIIIにおけるペンダント基の1つ)であり;
大環状化合物が構造IIを有する場合、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、ペンダント基(例えば、スキームIIIにおけるペンダント基の1つ)である。
陳述30.
大環状コアが以下の構造を有する、陳述21~29のいずれか1つに記載の大環状コア:
Figure 2024511235000067
Figure 2024511235000068
Figure 2024511235000069
Figure 2024511235000070
又は、それらの脱プロトン化種、部分的脱プロトン化種、もしくはプロトン化種(該当する場合)、
あるいは、大環状錯体は以下の構造を有する:
Figure 2024511235000071
Figure 2024511235000072
Figure 2024511235000073
Figure 2024511235000074
Figure 2024511235000075
Figure 2024511235000076
Figure 2024511235000077
Figure 2024511235000078
及び、それらの脱プロトン化種、部分的脱プロトン化種、プロトン化種(該当する場合)。
陳述31.
以下の構造を有する大環状錯体:
Figure 2024511235000079
ここで、トリ(ヒドロキシ)ブチル基及び-(CH2)nR基は、ペンダント基であり、各Rは独立して、アルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;1つ以上の-OH基、1つ以上のスルホン酸基、1つ以上のカルボン酸基、1つ以上のホスホン酸基、1つ以上のアルキル基など、又はそれらの組み合わせを含むアルキル基;1つ以上の-OH基、1つ以上のスルホン酸基、1つ以上のカルボン酸基、1つ以上のホスホン酸基、1つ以上のアルキル基など、又はそれらの組み合わせを含むアリール基;1つ又は複数の-OH基、1つ以上のスルホン酸基、1つ以上のカルボン酸基、1つ以上のホスホン酸基、1つ以上のアルキル基など、又はそれらの組み合わせを含むヘテロアリール基;及びH;又はそれらの塩、部分塩、水和物、多形体、又は立体異性体から選択される;nは、1、2、又は3であり、
ここで、高スピンFe(III)カチオンが、大環状化合物の大環状コアに及び/又は少なくとも1つのペンダント基置換基に錯化されている。
陳述32.
配位ペンダント基又は非配位ペンダント基をさらに含む、陳述31に記載の大環状錯体。
陳述33.
ペンダント基の少なくとも1つが、ベンジル位で、又は、ペンダント基のヘテロ原子につながるアルキル基のいずれかの炭素で置換されている、陳述31又は陳述32に記載の大環状錯体。
陳述34.
ペンダント基が以下のものから選択される、陳述31又は陳述32に記載の大環状錯体:
Figure 2024511235000080
及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、脱プロトン化種(該当する場合)。
陳述35.
大環状錯体が少なくとも1つの開放配位部位を有する、陳述31~34のいずれか1つに記載の大環状錯体。
陳述36.
大環状錯体が、高スピンFe(III)カチオンに錯化された少なくとも1つの水又は少なくとも1つの水酸化物を有する、陳述31~35のいずれか1つに記載の大環状錯体。
陳述37.
大環状錯体が以下の構造を有する、陳述31~36のいずれか1つに記載の大環状錯体:
Figure 2024511235000081
Figure 2024511235000082
及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、脱プロトン化種(該当する場合)であって、ここで、Fe(III)が錯化されている。
陳述38.
大環状錯体が以下の構造を有する、陳述31に記載の大環状錯体:
Figure 2024511235000083
Figure 2024511235000084
Figure 2024511235000085
及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、脱プロトン化種(該当する場合)。
陳述39.
大環状錯体が以下の構造を有する、陳述31に記載の大環状錯体:
Figure 2024511235000086
陳述40.
陳述31~39のいずれか1つに記載の1つ以上の大環状錯体と、薬学的に許容される担体とを含む組成物。
陳述41.
ヒト血清アルブミン及び/又はメグルミンをさらに含む、陳述40に記載の組成物。
陳述42.
細胞、器官、血管系、又は組織の少なくとも一部の画像を得る方法であって:
細胞、器官、血管系、又は組織を、陳述31~39のいずれか1つに記載の1つ以上の大環状錯体と接触させること、及び
細胞、器官、血管系、又は組織の少なくとも一部を撮像して、細胞、器官、血管系、又は組織の一部の画像を得ること(ここで、該画像は磁気共鳴を用いて得られる)
を含む方法。
陳述43.
細胞、器官、血管系、又は組織が個体の一部である、陳述42に記載の方法。
陳述44.
画像が磁気共鳴画像法(MRI)を用いて得られる、陳述12又は陳述13に記載の方法。
陳述45.
大環状錯体(単数又は複数)が、T1剤(単数又は複数)である、陳述42~44のいずれか1つに記載の方法。
陳述46.
以下の構造を有する大環状化合物:
Figure 2024511235000087
ここで、トリ(ヒドロキシ)ブチル基及び-(CH2)nR基はペンダント基であり、各Rは独立して、アルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;1つ以上の-OH基、1つ以上のスルホン酸基、1つ以上のカルボン酸基、1つ以上のホスホン酸基、1つ以上のアルキル基など、又はそれらの組み合わせを含むアルキル基;1つ以上の-OH基、1つ以上のスルホン酸基、1つ以上のカルボン酸基、1つ以上のホスホン酸基、1つ以上のアルキル基など、又はそれらの組み合わせを含むアリール基;1つ以上の-OH基、1つ以上のスルホン酸基、1つ以上のカルボン酸基、1つ以上のホスホン酸基、1つ以上のアルキル基など、又はそれらの組み合わせを含むヘテロアリール基;及びH;又はそれらの塩、部分塩、水和物、多形体、又は立体異性体から選択され;nは1、2、又は3である。
陳述47.
配位ペンダント基又は非配位ペンダント基をさらに含む、陳述46に記載の大環状化合物。
陳述48.
ペンダント基の少なくとも1つが、ベンジル位で、又はペンダント基のヘテロ原子につながるアルキル基のいずれかの炭素で置換されている、陳述46又は陳述47に記載の大環状化合物。
陳述49.
ペンダント基が以下のものから選択される、陳述46又は陳述47に記載の大環状化合物:
Figure 2024511235000088
及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、脱プロトン化種(該当する場合)。
陳述50.
大環状化合物が少なくとも1つの開放配位部位を有する、陳述46~49のいずれか1つに記載の大環状化合物。
陳述51.
大環状化合物が以下の構造を有する、前記陳述のいずれか1つに記載の大環状化合物:
Figure 2024511235000089
Figure 2024511235000090
及び、それらのプロトン化アナログ、脱プロトン化アナログ。
陳述52.
大環状コアであって、該大環状コアが、以下の構造を有するTACN基、S-置換TACN基、又はO-置換TACN基であり:
Figure 2024511235000091
Z1、Z2、及びZ3は、それぞれ独立して、H、又は以下のペンダント基の1つ以上である:
Figure 2024511235000092
又は、それらの脱プロトン化アナログもしくはそれらの立体異性体であり、ここで、Rはメチルであり、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、R1、R2、及びR3はペンダントドナーではない;Q1及びQ2は、それぞれ独立して、H、OCH3、CO2H、又はCH2CO2G4であり、G4は、H、直鎖状もしくは分岐状構造のC1~C12の置換もしくは非置換アルキル基、又は(-CH2CH2O-)n基であり、ここで、nは1~2であり、Q3は、H、直鎖状もしくは分岐状構造のC1~C12の置換もしくは非置換のアルキル基、又は(-CH2CH2O-)n基であり、ここでnは1~12であり、Q4及びQ5は、それぞれ独立して、H、OCH3、CO2H、又は直鎖状もしくは分岐状構造の置換もしくは非置換アルキル基であり、Aは、C1~C12の直鎖状もしくは分岐状構造の置換もしくは非置換アルキル基であるか、又は置換もしくは非置換のアリール基あるいはアミノ酸である、及び
大環状コアに、及び少なくとも1つのペンダント基に錯化された高スピンFe(III)カチオン
を含む大環状錯体、又は、その塩、部分塩、水和物、多形体、あるいは立体異性体
ここで、前記大環状化合物は、pH6.5~7.5の水性媒体中で、0未満の酸化還元電位を示し(vs.標準水素電極(NHE))、
ここで、大環状コアが構造Iを有し、Z1はHであり、Z2、Z3はそれぞれ独立してペンダント基であり;
ここで、大環状コアが構造IIを有し、Z1、Z2はそれぞれ独立してペンダント基であり、
この際、構造I及びIIのすべてについて、各Z1、Z2、及びZ3は、場合により、それぞれ独立して選択される。
陳述53.
少なくとも1つ以上のペンダント基が、大環状コア上のNに共有結合している、陳述52に記載の大環状錯体。
陳述54.
大環状錯体が少なくとも1つの開放配位部位を有する、陳述52に記載の大環状錯体。
陳述55.
大環状錯体が、高スピンFe(III)カチオンに錯化された少なくとも1つの水又は少なくとも1つの水酸化物を有する、陳述52に記載の大環状錯体。
陳述56.
ペンダント基の少なくとも1つが、ベンジル位で、又はペンダント基のヘテロ原子につながるアルキル基のいずれかの炭素で置換されている、陳述52に記載の大環状錯体。
陳述57.
大環状錯体が、TACN部分及び少なくとも1つのアニオン性ペンダント基を含む、陳述52に記載の大環状錯体。
陳述58.
アニオン性ペンダントが、カルボキシレートペンダント、イミダゾレートペンダント、ピラゾレートペンダント、アルコキシドペンダント、及びフェノキシドペンダントから個々に選択される、陳述57に記載の大環状錯体。
陳述59.
大環状錯体が、配位ペンダント基又は非配位ペンダント基をさらに含む、陳述58に記載の大環状錯体。
陳述60.
大環状コアが以下の構造を有する、陳述52に記載の大環状錯体:
Figure 2024511235000093
Figure 2024511235000094
Figure 2024511235000095
陳述61.
大環状錯体が以下の構造のうちの1つを有する、陳述52に記載の大環状錯体:
Figure 2024511235000096
Figure 2024511235000097
陳述62.
陳述52の1つ以上の大環状錯体と、薬学的に許容される担体とを含む組成物。
陳述63.
ヒト血清アルブミン及び/又はメグルミンをさらに含む、陳述62に記載の組成物。
陳述64.
細胞、器官、血管系、又は組織の少なくとも一部の画像を得る方法であって:
細胞、器官、血管系、又は組織を、陳述52の1つ以上の大環状錯体と接触させること、及び
細胞、器官、血管系、又は組織の少なくとも一部を撮像して、細胞、器官、血管系、又は組織の一部の画像を得ること(ここで、該画像は磁気共鳴を用いて得られる)
を含む方法。
陳述65.
細胞、器官、血管系、又は組織が個体の一部である、陳述64に記載の方法。
陳述66.
画像が磁気共鳴画像法(MRI)を用いて得られる、陳述65に記載の方法。
陳述67.
大環状錯体(複数)がT1剤(複数)である、陳述65に記載の方法。
陳述68.
以下の構造を有する1,4,7-トリアザシクロノナン(TACN)部分又はO-置換TACN部分
Figure 2024511235000098
ここで、R1、Z1、Z2、及びZ3は、それぞれ独立して、以下のものから選択されるアニオン性ペンダント基であり:
Figure 2024511235000099
それらの脱プロトン化アナログ、及びそれらの組み合わせ、
ここで、R3は、置換もしくは非置換のアルキル基、又は置換もしくは非置換のアリール基であり、R4は、置換アルキル基、又は非置換アルキル基、又は置換もしくは非置換アリール基であり;及び
TACN部分に、及び、TACN部分の少なくとも1つのアニオン性ペンダント基置換基に錯化された高スピンFe(III)カチオン、又は、
O-置換TACN部分に、及び、O-置換TACN部分の少なくとも1つのアニオン性ペンダント基置換基に錯化された高スピンFe(III)カチオン
を含む大環状錯体:
Figure 2024511235000100
陳述69.
1つ以上のペンダント基の少なくとも1つ又はすべてが、TACN部分又はO置換TACN部分の窒素原子に共有結合している、陳述68に記載の大環状錯体。
陳述70.
大環状錯体が少なくとも1つの開放配位部位を有する、陳述68に記載の大環状錯体。
陳述71.
大環状錯体が、高スピンFe(III)カチオンと錯化した少なくとも1つの水を有する、陳述68に記載の大環状錯体。
陳述72.
以下の構造を有する1,4,7-トリアザシクロノナン(TACN)部分:
Figure 2024511235000101
ここで、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、以下のものから選択されるアニオン性ペンダント基であり:
Figure 2024511235000102
それらの脱プロトン化アナログ、及びそれらの組み合わせ、
R1は、以下から独立して選択されるアニオン性ペンダント基であり:
Figure 2024511235000103

それらの脱プロトン化アナログ、及びそれらの組み合わせ、
ここで、R2は、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換芳香族基、又は置換エーテルであり;R3は、置換もしくは非置換アルキル基、又は置換もしくは非置換アリール基であり;R4は、置換アルキル基、又は非置換アルキル基、又は置換もしくは非置換アリール基であり;及びQ1は、アニオン性基で置換されたアリール、アニオン性基で置換されたアルキル基、又はアニオン性基で置換されたアラルキル基である;及び
TACN部分に、及び、TACN部分の少なくとも1つのアニオン性ペンダント基置換基に錯化された高スピンFe(III)カチオン
を含む大環状錯体。
陳述73.
1つ以上のペンダント基の少なくとも1つ又は全てが、TACN部分上の窒素原子に共有結合している、陳述72に記載の大環状錯体。
陳述74.
大環状錯体が少なくとも1つの開放配位部位を有する、陳述72に記載の大環状錯体。
陳述75.
大環状錯体が、高スピンFe(III)カチオンに錯化された少なくとも1つの水及び/又は少なくとも1つの水酸化物を有する、陳述72に記載の大環状錯体。
陳述76.
以下のものを含む大環状錯体
以下の構造を有する大環状コア:
Figure 2024511235000104
ここで、
R1は、置換もしくは非置換フェニル基(ここで、フェニル基は、任意で、-OH基を有さない)、置換もしくは非置換ヘテロアリール基、置換もしくは非置換アルキル基(ここで、置換もしくは非置換アルキル基は、メチル基ではない)であり、
Z1、Z2、及びZ3は、独立して、以下のペンダント基の1つ以上から選択される:
Figure 2024511235000105
及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、又は完全脱プロトン化種、
ここで、Q3、Q4、及びQ5は、それぞれ独立して、アニオン性基であるか、又は、-H, -NR2, -NO2, -CN, -(CH2)mNR2, OH, OR, -P(O)OH2, -(CH2)mPO(OH)2, -SO3H、及びそれらの脱プロトン化種から選択され、ここで、mは1又は2であり、Rはアルキル基、CF3基、アリール基、アルキルカルボキシレート、又はアルキルカルボン酸である;及び、
大環状錯体は、1, 1', 2, 3, 4, 8, 10のいずれかの2つ、又はそれらの組み合わせを有し、すべてのペンダント基が同じとは限らない、及び、
前記大環状化合物の大環状コアに及び/又は少なくとも1つのペンダント基置換基に錯化された高スピンFe(III)カチオン
ただし、以下の但し書きがある:
i) ペンダント基のうちの2つが、構造1、1'、2、3、又はそれらの任意の組み合わせである場合、第三のペンダント基は、1、1'、2、3、又は任意で、1、1'、2、3、10、又はそれらの任意の組み合わせではなく、ここで、Q3、Q4、及びQ5がHである場合、第三のペンダント基は、1、1'、2、3、又は10ではなく、ここで、Q3、Q4、及びQ5はHである;
ii) ペンダント基のうちの2つが、構造1、1'、2、3、8、14又はそれらの任意の組み合わせである場合、第三のペンダント基は1、1'、2、3、8又は14ではない;
iii) ペンダント基のうちの2つが、構造1、1'、2、3、10、又はそれらの任意の組み合わせであり、構造1及び/又は1'のRがフェニル又はアルキルである場合、R1は、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアルキル基ではない;
iv) 大環状コアが以下の構造を有していない:
Figure 2024511235000106
Figure 2024511235000107
Figure 2024511235000108
Figure 2024511235000109
Figure 2024511235000110
ここで、高スピンFe(III)がそこに配位している;
及び
v)大環状錯体は、以下の構造を有さない:
Figure 2024511235000111
Figure 2024511235000112
ここで、Fe(III)は高スピンFe(III)である。
陳述77.
1つ又は複数のペンダント基の少なくとも1つ又はすべてが、大環状コア上のNに共有結合している、陳述76に記載の大環状錯体。
陳述78.
大環状錯体が、高スピンFe(III)カチオンに錯化された少なくとも1つの水又は少なくとも1つの水酸化物を有する、陳述76又は陳述77に記載の大環状錯体。
陳述79.
Z1、Z2、及びZ3が、それぞれ独立して、以下のものから選択される、陳述76~78のいずれか1つに記載の大環状錯体:
Figure 2024511235000113
Figure 2024511235000114
Figure 2024511235000115
及び、それらのプロトン化種、脱プロトン化種、部分的脱プロトン化種(該当する場合)。
陳述80.
大環状コアが以下の構造を有し、そこに高スピンFe(III)が錯化している、陳述76~79のいずれか1つに記載の大環状錯体:
Figure 2024511235000116
Figure 2024511235000117
Figure 2024511235000118
Figure 2024511235000119
又は、それらのプロトン化、脱プロトン化もしくは部分的脱プロトン化種(該当する場合)。
陳述81.
大環状錯体が以下の構造を有する、陳述76~79のいずれか1つに記載の大環状錯体:
Figure 2024511235000120
Figure 2024511235000121
Figure 2024511235000122
Figure 2024511235000123
Figure 2024511235000124
Figure 2024511235000125
Figure 2024511235000126
Figure 2024511235000127
又は、それらの脱プロトン化、部分的脱プロトン化、もしくはプロトン化種(該当する場合)。
陳述82.
陳述76~81のいずれか1つに記載の1つ以上の大環状錯体を含む組成物。
陳述83.
ヒト血清アルブミン及び/又はメグルミンをさらに含む、陳述82に記載の組成物。
陳述84.
細胞、器官、血管系、又は組織の少なくとも一部の画像を得る方法であって、
細胞、器官、血管系、又は組織を、陳述76~81のいずれか1つに記載の1つ以上の大環状錯体、又は陳述82もしくは陳述83に記載の組成物と接触させること、及び
細胞、器官、血管系、又は組織の少なくとも一部を撮像して、細胞、器官、血管系、又は組織の一部の画像を得ること(ここで、該画像は磁気共鳴を用いて得られる)
を含む方法。
陳述85.
細胞、器官、血管系、又は組織が個体の一部である、陳述84に記載の方法。
陳述86.
画像が磁気共鳴画像法(MRI)を用いて得られる、陳述84又は陳述85に記載の方法。
陳述87.
大環状錯体(単数又は複数)が、T1剤(単数又は複数)である、陳述84~86のいずれか1つに記載の方法。
以下の実施例は、本開示を説明するために提示される。実施例は、いかなる事項においても限定を意図するものではない。
以下の実施例は、本開示の化合物を使用する方法を記載する。
以下の錯体は望ましい溶解性を有し、1.4テスラ、33℃・中性pHにて、約1.5mM-1s-1のr1緩和能を示し、マウスに50umol/kgで注射した場合、耐容性を示した。MRIスキャンは、望ましいT1強調コントラストを示した(4.7テスラ):
Figure 2024511235000128
以下の実施例では、本開示の大環状錯体及び化合物の合成の詳細を示す。
Figure 2024511235000129
TOP(R=H)又はTOP-Me(R=OCH 3 )の合成
1,4,7-トリアザシクロノナン(1.0g, 7.74mmol)を、40.0mLのMeOHに溶解し、100mLの丸底フラスコ中でAr(g)下で撹拌した。酢酸(0.222mL, 3.87mmol)を溶液に加え、続いてアルデヒド(0.421mL, 3.87mmolのサリチルアルデヒド、又は、0.493mL, 3.87mmolの5-メトキシサリチルアルデヒド)を加えた。反応物をイミンの形成が完了するまで4~6時間撹拌した(TLC/ESI-MSでモニター)。その後、固体の水素化ホウ素ナトリウム(0.366g, 9.68mmol)を溶液にゆっくりと加えた。1時間後、反応を40.0mLのH2Oでクエンチした。その後、真空下でMeOHを除去し、1MのNaOH溶液を用いて水溶液のpHを10まで上げた。粗生成物をクロロホルム(3×80mL)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で乾燥した。粗生成物は精製せずに使用した。粗生成物を20.0mLのEtOHに溶解し、25mLの丸底フラスコ中で撹拌した。(s)-(-)プロピレンオキシド(0.812mL, 11.61mmol)を溶液に加え、ESI-MSを用いて反応が完了するまでモニターした。生成物をシリカ樹脂(100%酢酸エチル→8:2:1 酢酸エチル:メタノール:10%水酸化アンモニウム水溶液)で精製し、油状物質として単離した。[R=H, 褐色の油状物質, 559 mg, R=OCH3, 28.4 mg] ESI-MS(m/z): R = H, 352.42 (100), 410.38 (5). R=OCH3, 382.91 (100), 440.62 (10).
Figure 2024511235000130
上記のFe(TOP)又はFe(TOP-Me)の合成
TACNフェノール配位子(0.142mmol -R=H, 0.05g, R=OCH3, 0.054g)を、4.0mLのEtOHに溶解し、70℃に加熱した。1.0mLのEtOHに溶解した塩化鉄(II)四水和物(0.142mmol, 0.029g)を、配位子溶液にゆっくりと加えた。あるいは、鉄錯体を生成するために、FeCl3を加えた。完了後(ESI-MSでモニター)、溶液を室温まで冷却し、体積を2.0mLまで減少させた後、鉄錯体が沈殿するまでジエチルエーテルをゆっくり加えた(約10.0mL)。錯体をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄した後、真空下で乾燥させた。鉄錯体は紫色の固体として単離された。収率約50%(約0.034g)。ESI-MS(m/z): R=H, 478.23 (100), R=OCH3, 508.26 (100). μeff=6.16±0.3.
L12のペンダントの合成は、当該技術分野で知られている方法に従って調製した。
Figure 2024511235000131
L12の合成
DACO(1,4-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアザシクロノナン)を、2~3mLのピリジンに溶解し、40℃に加熱する。2~3mLのピリジン中のペンダント前駆体(ii)を、DACOの加熱溶液に添加する。反応混合物を40℃で2~3日間撹拌する。反応終了後、溶媒を減圧下で除去し、ジエチルエーテルに溶解する。生成物を、ジエチルエーテル:メタノール勾配のシリカゲルカラムを用いて精製する。生成物は95%ジエチルエーテル5%メタノールで溶出する。質量スペクトル m/z=561
Figure 2024511235000132
前の工程で精製した生成物を50%ピリジン水溶液に溶解し、70℃に加熱する。反応混合物を1~2日間、又はエチル保護基が完全に除去されるまで撹拌する。m/z=533.8
Figure 2024511235000133
Fe(L12)の合成
脱保護配位子を2~3mLのエタノールに溶解し、60℃に加熱する。2~3mLのエタノール中の1当量の臭化鉄(II)をゆっくりと加える。鉄塩の添加が完了したら、溶液を60℃で8時間撹拌する。
Figure 2024511235000134
L13の合成
文献より引用
Figure 2024511235000135
DACOと前駆物質(iii)を最小限のクロロホルムに溶解し、アセトニトリルに加える。溶液を室温で一晩撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、シリカゲルカラムを用いて精製する。保護生成物を、99%DCM 1%メタノールで溶出する。
Figure 2024511235000136
精製した生成物を最小量の塩化メチレンに溶解する。7当量のブロモトリメチルシランを加え、溶液を18時間還流させる。
Figure 2024511235000137
脱保護配位子(L13)を2~3mLのエタノールに溶解し、60℃に加熱する。2~3mLのエタノール中の1当量の臭化鉄(II)をゆっくりと加える。鉄塩の添加終了後、溶液を60℃で8時間撹拌する。
Figure 2024511235000138
以下の実施例では、本開示の大環状錯体及び化合物の合成の詳細を示す。
Figure 2024511235000139
以下の実施例では、本開示の大環状錯体及び化合物の合成の詳細を示す。
Fe(III)が配位した2,2'-((1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ジフェノールの合成。
Figure 2024511235000140
1,4,7-トリアザシクロノナン(7.8mmol)をアセトニトリル(35mL)に溶解し、撹拌板上に置いた。サリチルアルデヒド(19.2mmol, 2.45等量)を別の35mLのアセトニトリルに溶解し、添加漏斗に入れた。サリチルアルデヒド溶液を1,4,7-トリアザシクロノナンに滴下した(約25秒ごとに1滴)。添加が完了したら、混合物を室温で18時間撹拌した。18時間後、水素化ホウ素ナトリウム(39.1mmol, 5等量)をゆっくりと加えた。水素化ホウ素ナトリウムを加えるにつれて、生成物は白色固体として形成され、溶液から析出した。この固体を真空濾過で回収し、メタノールとアセトニトリルの混合物から加熱再結晶したところ、白色の固体が得られた。
MS-ESI+ 342.7 (M+H+, 100%). 1H NMR (300 MHZ, D2O): 2.94 (4H, CH2, TACN), 3.27 (8H, CH2, TACN), 3.92 (CH2, N-CH2-フェノール), 6.81 (4H, CH, フェノール), 7.16 (CH, フェノール).
Figure 2024511235000141
2,2'-((1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ジフェノール(0.3mmol)を5mLのメタノールに溶解し、70℃で撹拌した。臭化鉄(II)(0.3mmol)を5mLのメタノールに溶解した。配位子溶液が70℃に達してから、鉄溶液を滴下した。混合物を一晩撹拌した後、ロータリーエバポレーターを用いて体積を2~3mLに減少させた。この溶液をジエチルエーテルの撹拌溶液に滴下したところ、生成物が赤紫色の固体として生成し、これを回収してジエチルエーテルで洗浄した。
MS-ESI+ 395.20 (M+H+, 100%). μeff=5.96(エバンス法)
Fe(III)がキレート化された、(S)-2,2'-((7-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ジフェノールの合成。
Figure 2024511235000142
2,2'-((1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ジフェノールを、前述のようにして合成した。最初の配位子(0.1mmol)を10mLのメタノールに溶解し、S-(-)プロピレンオキシド(0.21mmol, 2等量)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌した後、溶媒と過剰のプロピレンオキシドをロータリーエバポレーターで除去した。(S)-2,2'-((7-2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ジフェノールを、シリカゲルカラム(ヘキサン及び酢酸エチルの勾配、続いて酢酸エチル及びメタノールの勾配を用いる)を使用して精製した。不純物はヘキサンと酢酸エチルの勾配中に除去され、クリーンな生成物が溶出した(90%酢酸エチル及び10%メタノールにより)。
MS-ESI+ 400.67 (M+H+, 100%), 422.50 (M+Na+, 35%).
Figure 2024511235000143
(S)-2,2'-((7-2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ジフェノール(0.1mmol)を、5mLのエタノールに溶解し、80℃で撹拌した。塩化鉄(III)(0.15mmol, 1.5等量)を5mLのエタノールに溶解し、配位子溶液に滴下した。混合物を80℃で24時間撹拌した後、体積を3mLに減らした。残りの溶液を撹拌しながらジエチルエーテルをゆっくり加え、鉄錯体を析出させた。遠心分離で錯体を回収し、上澄みが透明になるまでエーテルで洗浄した後、固体を真空ラインで乾燥させた。
MS-ESI+ 453.83 (M+H+, 100%)
以下の実施例では、本開示の大環状錯体及び化合物の合成の詳細を示す。
3-ホルミル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の合成
Figure 2024511235000144
サリチルアルデヒド(5.38mL, 50.0mmol)とアニリン(4.61mL, 50.0mmol)を、50℃で4時間撹拌した。その後、黄色い固体が沈殿するまで溶液をケミカルフリーザーに入れた。沈殿物を濾過し、冷EtOHで洗浄した後、熱EtOH中で再結晶し、サリチルアニリンを黄色の針状結晶として定量的収率で得た。
ESI-MS (m/z): [M-H]+=198.20 (100)
サリチルアニリン(3.50g, 17.8mmol)を10.0mLの濃硫酸に溶解し、105~110℃で約3時間加熱した。完了後、溶液を100mLの氷水に注意深く注ぎ、茶色の沈殿物を形成させた。その後、溶液を沸騰するまで加熱し、重力ろ過でろ過した。褐色の固体が析出するまで、ろ液を氷浴で冷却した。沈殿物をろ過、洗浄し、4-ヒドロキシ-3-[(フェニルイミノ)メチル]-ベンゼンスルホン酸を褐色固体として生成した。収量:2.53g(51%)。ESI-MS (m/z): [M-H]+=278.24 (100)
4-ヒドロキシ-3-[(フェニルイミノ)メチル]-ベンゼンスルホン酸(2.53g, 9.12mmol)を17.0mLに溶解し、50mL三角フラスコ中で撹拌した。炭酸ナトリウム(1.02g, 9.62mmol)を30分かけてゆっくり加えた。その後、溶液を2時間激しく沸騰させ、その間に失われた水分を補充した。溶液を室温まで冷却した。その後、10.2mLの氷酢酸を溶液に添加し、続いて同量のEtOH(~30.0mL)を添加した。溶液をケミカルフリーザーで数時間冷却し、細かいベージュ色の結晶を生成させた。これらの結晶を濾過し、冷EtOHで洗浄して、3-ホルミル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を、黄褐色の結晶性固体として得た。収量1.51g(73%)
ESI-MS (m/z) ネガティブモード:[M]-1=201.17 (100)
3-((4,7-ビス((S)-2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の合成。
Figure 2024511235000145
TACN(0.500g, 3.87mmol)を25.0mLのMeOHに溶解し、50mL丸底フラスコ中で撹拌した。10.0mLのMeOHに溶解した3-ホルミル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(0.867g, 3.87mmol)を、10.0mL添加漏斗を用いて1時間かけてゆっくりと添加した。溶液を一晩(約12時間)撹拌した。その後、水素化ホウ素ナトリウム(0.366g、9.68mmol)をゆっくりと加え、溶液を1時間反応させた。溶媒を加圧下で除去し、90:10のDCM/MeOH溶液を溶出溶媒として、粗生成物を塩基性アルミナの小さなプラグに通した。粗生成物は黄色の油状物質として単離された。粗3-((1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を、さらに精製することなく使用した。
ESI-MS (m/z): [M-H]+=316.37 (100), [M-Na]+=338.31 (30)
粗3-((1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(0.328g, 0.970mmol)を、10mLの50:50 EtOH/水-混合物に溶解し、20mLのシンチレーションバイアル中で撹拌した。次に、(S)-(-)-プロピレンオキシドを添加し(349μL、4.84mmol)、一晩(約12時間)反応させた。溶媒を真空下で除去し、塩基性アルミナ、DCM/MeOH(100:0から80:20、0:100フラッシュ)を用いたカラムクロマトグラフィーにより、粗3-((4,7-ビス((S)-2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を得た。
ESI-MS (m/z): [M]-=430.31 (100)
(S)-3,3'-((7-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ビス(4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸)二ナトリウム塩の合成
Figure 2024511235000146
TACN(0.500g, 3.87mmol)を25.0mLのMeOHに溶解し、50mL丸底フラスコ中で撹拌した。10.0mLのMeOHに溶解した3-ホルミル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(1.73g, 7.74mmol)を、10.0mL添加漏斗を用いて1時間かけてゆっくりと添加した。溶液を一晩(約12時間)撹拌した。その後、水素化ホウ素ナトリウム(0.732g、19.4mmol)をゆっくりと加え、溶液を1時間反応させた。溶媒を加圧下で除去し、90:10のDCM/MeOH溶液を溶出溶媒として、粗生成物を塩基性アルミナの小さなプラグに通した。粗生成物は黄色の油状物質として単離された。粗3,3'-((1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ビス(4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸)二ナトリウム塩を、さらに精製することなく使用した。
ESI-MS (m/z): [M-H]-=500.19 (100)
粗3,3'-((1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ビス(4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸)二ナトリウム塩(0.529g, 0.970mmol)を、10mLの50:50 EtOH/水混合物に溶解し、20mLシンチレーションバイアル中で撹拌した。次に、(S)-(-)-プロピレンオキシドを添加し(175μL、2.43mmol)、一晩(約12時間)反応させた。溶媒を真空下で除去し、塩基性アルミナ、DCM/MeOH(100:0から80:20、0:100フラッシュ)を用いたカラムクロマトグラフィーにより、粗(S)-3,3'-((7-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ビス(4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸)二ナトリウム塩を得た。
ESI-MS (m/z): [M-H]-=558.25 (100)
3,3'-((7-メチル-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ビス(4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸)二ナトリウム塩の合成
Figure 2024511235000147
TACN(0.500g, 3.87mmol)を25.0mLのMeOHに溶解し、50mL丸底フラスコ中で撹拌した。10.0mLのMeOHに溶解した3-ホルミル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(1.73g, 7.74mmol)を、10.0mL添加漏斗を用いて1時間かけてゆっくりと添加した。溶液を一晩(約12時間)撹拌した。その後、水素化ホウ素ナトリウム(0.732g、19.4mmol)をゆっくりと加え、溶液を1時間反応させた。溶媒を加圧下で除去し、90:10のDCM/MeOH溶液を溶出溶媒として、粗生成物を塩基性アルミナの小さなプラグに通した。粗生成物は黄色の油状物質として単離された。粗3,3'-((1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ビス(4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸)二ナトリウム塩を、さらに精製することなく使用した。
ESI-MS(m/z)ネガティブモード:[M-H]-=500.19 (100)
粗3,3'-((1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ビス(4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸)二ナトリウム塩(0.529g, 0.97mmol)を、10mLのDMFに溶解し、20mLシンチレーションバイアル中で撹拌しながら約60℃に加熱した。その後、ヨードメタン(68.0μL、1.07mmol)を加え、一晩(約12時間)反応させた。真空下で溶媒を除去し、塩基性アルミナ、DCM/MeOH(100:0~80:20、0:100フラッシュ)を用いたカラムクロマトグラフィーにより、粗3,3'-((7-メチル-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(メチレン))ビス(4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸)二ナトリウム塩を得た。
ESI-MS (m/z):[M-H]- = 514.21 (100)
3,3',3''-((1,4,7-トリアゾナン-1,4,7-トリイル)トリス(メチレン))トリス(4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩(L1), [Fe(L1)Na3]の合成
Figure 2024511235000148
TACN(0.250g, 1.94mmol)を 25.0mLのMeOHに溶解し、100mLの丸底フラスコ中で撹拌した。20.0mLのMeOHに溶解した3-ホルミル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(2.60g, 11.6mmol)を、25mL添加漏斗を用いて1時間かけてゆっくりと添加した。溶液を一晩(約12時間)撹拌した。次いで、水素化ホウ素ナトリウム(0.550g, 14.6mmol)をゆっくりと加え、溶液を1時間反応させた。溶媒を真空下で除去し、粗生成物を10mLのMeOHに溶解した。溶液を沸騰するまで加熱し、室温まで冷却した。溶液はケミカルフリーザーで一晩(約12時間)保管した。形成された沈殿物を濾過し、冷EtOHで洗浄して、3,3',3''-((1,4,7-トリアゾナン-1,4,7-トリイル)トリス(メチレン))トリス(4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩を白色固体として得た。収量0.512g(約35%)。
ESI-MS (m/z): [M-H]2-=343.00 (100%)
3,3',3''-((1,4,7-トリアゾナン-1,4,7-トリイル)トリス(メチレン))トリス(4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩(0.206g, 0.273mmol)を、5mLの水に溶解し、20mLのシンチレーションバイアル中で約60℃で撹拌した。5mLの水に溶解した無水塩化第一鉄(0.035g, 0.273mmol)を撹拌溶液に徐々に加えた。反応をESI-MSでモニターしたところ、約2時間後に完了した。真空下で溶媒を除去し、粗油状物質を2mLのMeOHに溶解した。ジエチルエーテルを加えると暗赤褐色の固体が析出し、これを濾過し、冷EtOHで洗浄した後、真空下で乾燥した。その後の沈殿と洗浄により、[Fe(L1)Na3]を赤褐色の固体として得た。収量0.140g(約63%)。
ESI-MS (m/z): [M]3-=245.82 (100)
ジエチル(3-ホルミル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネートの合成
Figure 2024511235000149
パラホルムアルデヒド(1.58g, 50.0mmol)を、12MのHCl(60mL)に溶解し、100mL丸底フラスコ中で撹拌した。パラホルムアルデヒドがすべて溶解したら、サリチルアルデヒド(5.38mL, 50.0mmol)を10mLの添加漏斗でゆっくり加えた。溶液を3日間撹拌し、生成したピンク色の沈殿物をろ過し、ろ液が透明になるまで水で洗浄した。わずかにピンク色の固体をジエチルエーテルに溶解し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で溶媒を除去した。粗生成物を加熱ヘキサンから再結晶し、白色固体を得た。5-(クロロメチル)-2-ヒドロキシベンズアルデヒドは、さらに精製することなく次の反応に直接使用した。
5-(クロロメチル)-2-ヒドロキシベンズアルデヒド(2.25g, 13.2mmol)を、撹拌棒付き10mL丸底フラスコに加えた。亜リン酸トリエチル(2.54mL, 14.5mmol)を、反応物が丸底フラスコから溢れないように注意しながら、非常にゆっくりと丸底フラスコに加えた。すべての亜リン酸トリエチルを加えた後、フラスコにコンデンサーを取り付け、反応を約90℃まで一晩(約12時間)加熱した。その後、コンデンサーを減圧蒸留装置に交換し、液体不純物を除去する。(3-ホルミル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネートを、カラムクロマトグラフィー、シリカ ヘキサン/EtOAc(90:10~0:100)で精製し、オフホワイトの油状物質を得た。収量3.31g(約92%)。
ESI-MS (m/z):[M-H]+=273.65 (100)
(3-((4,7-ビス((S)-2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-ヒドロキシベンジル)ホスホン酸(TPP)、[Fe(TPP)Cl]の合成
Figure 2024511235000150
TACN(1.23g、9.25mmol)を25mLのMeOHに溶解し、50mLの丸底フラスコ中で撹拌した。10mLのMeOH中の(3-ホルミル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホート(2.52g、9.25mmol)を、10mLの添加漏斗を使用して丸底フラスコにゆっくりと添加した。溶液を一晩(約12時間)撹拌した。その後、水素化ホウ素ナトリウム(0.875g、23.1mmol)をゆっくりと加え、溶液を1時間撹拌した。溶媒を加圧下で除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー、塩基性アルミナ、CHCl3/MeOH(99:1~0:100)で精製した。ジエチル(3-((1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネートを、黄色の油状物質として単離した。収量2.14g(約60%)。
ESI-MS (m/z): [M-H]+=386.64 (100)
ジエチル(3-((1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート(1.07g, 2.78mmol)を、18mLの50:50 EtOH/水-混合物に溶解し、20mLシンチレーションバイアル中で撹拌した。次に、(S)-(-)-プロピレンオキシドを添加し(1.00mL、13.9mmol)、一晩(約12時間)反応させた。溶媒を真空下で除去し、塩基性アルミナ、DCM/MeOH(100:0~80:20、0:100フラッシュ)を用いたカラムクロマトグラフィーにより、粗ジエチル(3-((4,7-ビス((S)-2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネートを得た。
ESI-MS (m/z): [M-H]+=502.77 (100), [(M-2H)/2]+=252.47 (35)
ジエチル(3-((4,7-ビス((S)-2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート(0.255g, 0.508mmol)を、25mL丸底フラスコ中で、10mLのDCEに溶解した。撹拌しながら、TMS-Br(678μL, 5.08mmol)を約10分かけてゆっくりと加えた。コンデンサーを取り付け、溶液を一晩(約12時間)還流させた。その後、反応を10mLの水でクエンチした。水を回収し、DCEを水(3×25mL)で洗浄した。水層を合わせ、真空下で溶媒を除去した。粗生成物を冷EtOHで洗浄し、(3-((4,7-ビス((S)-2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-ヒドロキシベンジル)ホスホン酸を、白色固体として得た。収量 0.075g(約33%)
ESI-MS (m/z): [M-H]+=446.61 (100)
(3-((4,7-ビス((S)-2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-ヒドロキシベンジル)ホスホン酸(L2)(0.031g, 0.070mmol)を、2mLのEtOHに溶解し、1 DRAMバイアル中で撹拌しながら60℃に加熱した。次いで、無水塩化第一鉄(0.009g、0.070mmol)を1mLのEtOHに溶解し、溶液にゆっくりと加えた。溶液を一晩(約12時間)撹拌した。溶媒を真空下で除去し、粗油状物質を1mLのMeOHに溶解した。鉄錯体[Fe(L2)Cl]を、ジエチルエーテルを用いて溶液から沈殿させ、暗紫色の固体を得た。収量 0.024g(約65%)。
ESI-MS (m/z): [M]+=499.24 (100)
(2S,2'S)-1,1'-(7-((3-ヒドロキシピリジン-4-イル)メチル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(プロパン-2-オール)(L3)、[Fe(L3)Cl]の合成
Figure 2024511235000151
TACN(0.500g, 3.87mmol)を25mLのMeOHに溶解し、50mLの丸底フラスコ中で撹拌した。10mLのMeOH中の3-ヒドロキシ-4-ピリジンカルボキシアルデヒド(0.491g, 3.87mmol)を、10mL添加漏斗を使用して丸底フラスコにゆっくりと添加した。溶液を一晩(約12時間)撹拌した。その後、水素化ホウ素ナトリウム(0.366g、9.68mmol)をゆっくりと加え、溶液を1時間撹拌した。溶媒を加圧下で除去し、粗生成物を塩基性アルミナ、DCM/MeOH(100:0~80:20、0:100フラッシュ)のカラムクロマトグラフィーで精製した。粗4-((1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)ピリジン-3-オールを、橙黄色の油状物質として単離した。粗精製物はさらに精製することなく後の反応に使用した。
ESI-MS (m/z): [M-H]+=237.50 (100)
粗4-((1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)ピリジン-3-オール(0.295g, 1.25mmol)を、10mLの80:20 EtOH/水-混合物に溶解し、20mLシンチレーションバイアル中で撹拌した。次に、(S)-(-)-プロピレンオキシドを添加し(451μL、6.25mmol)、一晩(約12時間)反応させた。溶媒を真空下で除去し、塩基性アルミナ、DCM/MeOH(100:0~80:20、0:100フラッシュ)を用いたカラムクロマトグラフィーにより、粗(2S,2'S)-1,1'-(7-((3-ヒドロキシピリジン-4-イル)メチル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(プロパン-2-オール)(L3)を得た。粗生成物が黄色の油状物質として単離された。
ESI-MS (m/z): [M-H]+=353.34 (100)
(2S,2'S)-1,1'-(7-((3-ヒドロキシピリジン-4-イル)メチル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(プロパン-2-オール)(L3)(0.038g, 0.108mmol)を、2mLのEtOHに溶解し、1 DRAMバイアル中で撹拌しながら60℃に加熱した。次いで、無水塩化第一鉄(0.014g、0.108mmol)を、1mLのEtOHに溶解し、溶液にゆっくりと加えた。溶液を一晩(約12時間)撹拌した。溶媒を真空下で除去し、粗油状物質を1mLのMeOHに溶解した。鉄錯体[Fe(L3)Cl]を、ジエチルエーテルを用いて溶液から沈殿させ、オレンジ色の固体を得た。
ESI-MS (m/z): [M]+=406.76 (100). 縦緩和能(33℃, 1.4 T, 100 mM NaCl, 10 mM HEPES, pH 7)は1.3±0.1 mM-1s-1
(2S,2'S)-1,1'-(7-(2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(プロパン-2-オール)(L4)、[Fe(L4)Cl]の合成
Figure 2024511235000152
TACN(0.500g, 3.87mmol)を25mLのMeOHに溶解し、50mL丸底フラスコ中で撹拌した。10mLのMeOH中の2-ヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(493μL, 3.87mmol)を、10mL添加漏斗を使用して丸底フラスコにゆっくりと添加した。溶液を一晩(約12時間)撹拌した。その後、水素化ホウ素ナトリウム(0.366g、9.68mmol)をゆっくりと加え、溶液を1時間撹拌した。溶媒を加圧下で除去し、粗生成物を、塩基性アルミナ、DCM/MeOH(100:0~80:20、0:100フラッシュ)のカラムクロマトグラフィーで精製した。粗2-((1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-メトキシフェノールを、黄色の油状物質として単離した。粗精製物はさらに精製することなく後の反応に使用した。
ESI-MS (m/z): [M-H]+=266.66 (100)
粗2-((1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)-4-メトキシフェノール(0.371g、1.40mmol)を、10mLの80:20 EtOH/水-混合物に溶解し、20mLシンチレーションバイアル中で撹拌した。次に、(S)-(-)-プロピレンオキシドを添加し(488μL、6.98mmol)、一晩(約12時間)反応させた。溶媒を真空下で除去し、塩基性アルミナ、DCM/MeOH(100:0~80:20、0:100フラッシュ)を用いたカラムクロマトグラフィーにより、粗(2S,2'S)-1,1'-(7-(2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(プロパン-2-オール)(L4)を得た。粗生成物は黄色の油状物質として単離された。
ESI-MS (m/z): [M-H]+=382.93 (100)
(2S,2'S)-1,1'-(7-(2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ビス(プロパン-2-オール)(L4)(0.028g, 0.074mmol)を、2mLのEtOHに溶解し、1 DRAMバイアル中で撹拌しながら60℃に加熱した。次いで、塩化鉄(II)四水和物(0.015g、0.074mmol)を、1mLのEtOHに溶解し、溶液にゆっくりと加えた。溶液を一晩(約12時間)撹拌した。溶媒を真空下で除去し、粗油状物質を1mLのMeOHに溶解した。鉄錯体[Fe(L4)Cl]を、ジエチルエーテルを用いて溶液から沈殿させ、オレンジ色の固体を得た。
ESI-MS (m/z): [M]+=436.36 (100)
(2R,2'R,2''R)-3,3',3''-(1,4,7-トリアゾナン-1,4,7-トリイル)トリス(2-ヒドロキシプロパノエート)三リチウム塩(L5)の合成
Figure 2024511235000153
TACN(0.100g, 0.773mmol)を10mLのt-ブタノールに溶解し、20mLのシンチレーションバイアル中で撹拌した。(R)-メチルグリシデート(332μL, 7.73mmol)を加え、溶液を一晩(約12時間)撹拌した。溶媒を加圧下で除去し、粗トリメチル3,3',3''-(1,4,7-トリアゾナン-1,4,7-トリイル)(2R,2'R,2''R)-トリス(2-ヒドロキシプロパノエート)を、赤色の油状物質として得た。粗精製物は、さらに精製することなく、その後の反応に使用した。
ESI-MS (m/z): [M-H]+=436.82 (100)
3,3',3''-(1,4,7-トリアゾナン-1,4,7-トリイル)(2R,2'R,2''R)-トリス(2-ヒドロキシプロパノエート)(前のステップからの粗油状物質)を、MeOH:2M LiOHの4mL溶液中で一晩(約12時間)撹拌した。溶媒を加圧下で除去し、粗(2R,2'R,2''R)-3,3',3''-(1,4,7-トリアゾナン-1,4,7-トリイル)トリス(2-ヒドロキシプロパノエート)(L5)を、赤褐色固体として得た。粗精製物は、さらに精製することなく後の反応に使用した。
ESI-MS (m/z): [M-2H]-=392.33
(2R,2'R,2''R)-3,3',3''-(1,4,7-トリアゾナン-1,4,7-トリイル)トリス(2-ヒドロキシプロパノエート)(L5)(0.195g, 0.473mmol)を、5mLの水に溶解し、20mLのシンチレーションバイアル中で撹拌した。溶液を約60℃で加熱した。無水塩化第一鉄(0.060g、0.473mmol)を、5mLの水に溶解し、溶液にゆっくりと加えた。溶液を一晩(約12時間)撹拌した。溶媒を加圧下で除去し、粗[Fe(L5)Cl]を赤褐色の固体として得た。
ESI-MS (m/z): [M-Cl]-=481.18 (100)
本実施例では、本開示の大環状体の合成について説明する。
1-ベンジル(2-スルホネート),4,7-ビス(2-ヒドロキシプロピル)1,4,7-トリアザシクロノナンの合成
Figure 2024511235000154
198mgの1,4,7-トリアザシクロノナン(TACN, 1.55mmol)を、10mLのエタノール中で撹拌する。このとき、2-スルファベンズアルデヒドナトリウム塩を14mLのメタノールに溶解し、反応物に滴下する。反応物は2時間還流され、色が淡黄色に変わる。反応物の加熱を止め、撹拌しながら冷却する。粗原料をカラムに入れ、ネガティブモード[M-H++Na+]で321のm/zを示すフラクションをプールし、水中で3.6当量のs-(-)-プロピレンオキシドと反応させた。1週間後、データがビス(2-ヒドロキシプロピル)配位子(m/z=246 [M+H+]の豊富さを示したので、粗生成物を乾燥し、1当量の2-スルファベンズアルデヒドナトリウム塩(0.197g)と1当量の氷酢酸(54μL)とを含む1,2-ジクロロエタン中に再溶解し、1時間撹拌した後、1.2当量のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(240mg)を加えると、1時間以内に生成物の形成を示し始めた。2日後、反応を20mLの1M NaOHでクエンチし、ジクロロエタンを水性成分から分離する。水性成分をジクロロメタン(30mL)で洗浄し、有機物を乾燥させる。その後、有機油状物質を、酢酸エチル:メタノール:10%水酸化アンモニウム水溶液を用いてシリカカラムにかける。カラムにより黄色の油状物質を単離した。
質量分析(ESI): m/z=416 [M+H+], 438 [M+Na+]
1-ベンジル(2-スルホネート), 4,7-ビス(2-ヒドロキシプロピル)1,4,7-トリアザシクロノナンへの鉄の配位
Figure 2024511235000155
粗配位子(44.6mg, 0.102mmol スルホン酸を想定)を、2mLのエタノール中で撹拌した。次に、31.7mgの塩化鉄(II)四水和物(0.159mmol)を、1mLのエタノールに溶解した。この鉄溶液を、撹拌している配位子の溶液に加え、加熱下で撹拌した。固体をジエチルエーテルで沈殿させ、さらにSpeedVacで乾燥させて、単離する。
MS, ESI: 469.8 [Fe(L-2H+)+]
1-ホルミル, 4,7-ビス(2-ヒドロキシプロピル)1,4,7-トリアザシクロナンの調製
Figure 2024511235000156
1-ホルミル1,4,7-トリアザシクロノナンの合成はすでに報告されている(Creaser, P. et al. Aust. J. Chem. 2003, 56, 61-64)。この物質0.9925gに、10mLメタノール中98%s-(-)-プロピレンオキシド993μLを加える(一晩)。翌日、粗生成物を乾燥させ、EtOAc:MeOH(0-60%MeOH)を用いてシリカカラムにかける。単離された生成物は、乾燥されて1.433gの油状物質となり、M/Z=274[M+H+]を有する。
1,4-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアザシクロノナンの調製
Figure 2024511235000157
前の工程の生成物を、30mLの92%エタノール、5mLの水(2.5gのNaOHを含む)に溶解し、75~80℃で撹拌する。4日後、反応物の加熱を停止し、冷却した後、20mLの水を加え、クロロホルムで洗浄する(100mL、3回)。有機洗浄物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、油状物質(1.156g)になるまで乾燥させる。
質量分析、+ve mode, m/z=246 [M+H+]
1-(ベンジル-2-スルホネート)-4,7-ビス(ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアザシクロノナン)の調製
Figure 2024511235000158
粗生成物を12mLのメタノールに溶解して約50mgの油状物質(0.204mmol)を回収し、500μLを吸い上げ、メタノールで5mLに希釈する。この溶液に88mgの2-スルファベンズアルデヒドナトリウム塩(0.423mmol)を加え、ホットプレート上で2時間還流付近まで反応させる。2時間後、反応物を冷却してから水素化ホウ素ナトリウム31mg(0.819mmol)を加え、1時間撹拌する。その後、気泡が止まるまで、3MのHClで反応をクエンチし、10M NaOHで溶液を塩基性化する。溶液を5mLの水でさらに希釈する。生成物をジクロロメタンで抽出し、乾燥させる。有機油状物質をシリカで精製し(8:2:1→3:2:1 EtOAc:MeOH:10%水酸化アンモニウム水溶液を用いる)、黄色の油状物質を得た。
質量分析(Mass spec) M/Z (+ve mode)=416.3 [M-+2H+], 438.3 [M-+H++Na+]
本実施例では、本開示の大環状体の合成について説明する。
臭化フェナシルの添加とアルコールへの還元
Figure 2024511235000159
i) N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、トルエン
ii) a) 臭化フェナシル、THF b) 1:1のHBr:MeOH、還流、その後、HBrを沈殿物に添加
iii) MeOH、0℃、NaBH4
粗保護TACN配位子(7.05mmol)を、15mLのテトラヒドロフランに溶解し、濾過して不溶物を除去した後、丸底フラスコで撹拌する。次に、臭化フェナシル(1.447g、7.27mmol)を20mLのTHFに溶解し、添加漏斗を介して45分かけて添加する。その間に固体が形成され始め、反応物は乳白色になった。一晩撹拌し、翌日固体を濾過してベージュ色の固体を得、これを60mLのジエチルエーテルで洗浄した。次に、この物質を100mLの1:1 MeOH:HBr溶液に溶解し、6時間還流した。その後、反応物を室温まで冷却してから、さらに50mLのHBrを加えた。反応物をフリーザーで一晩静置した。得られた固体を濾過して集め、ジエチルエーテルで洗浄して、6.64gのHBr塩を得た。
この固体2.36gを25mLの水に溶かし、0.35gのNaOHで中和し、さらにペレットを加えて溶液のpHを10以上にする。得られた溶液をクロロホルム(3×30mL)で洗浄する。有機層をまとめ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、その後、ロータリーエバポレーターで乾燥させる。油状物質の質量0.5661。質量分析 m/z=248 [M+H+]
次に、この油状物質を、氷浴(<10℃)に置いた丸底フラスコ中の25mLメタノール中で撹拌する。撹拌中の冷溶液に、1.88gの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4, 49.7mmol)をゆっくりと加える。反応物を氷浴中で10分間撹拌した後、氷浴を取り除き、室温で3時間撹拌した。質量分析計のデータから、反応が完了したことがわかったとき(M/Z=250[M+H+])、溶液を塩酸(HCl)で中和し、残存する水素化ホウ素をクエンチした。その後、水酸化ナトリウムペレット(8ペレット)を加えて溶液のpHを10以上に上げ、生成物を水-有機抽出(クロロホルム、3×50mL)で回収する。有機層をプールし、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、ロータリーエバポレーターにかけて、油状物質とする(丸底フラスコで、0.3431gまで)。この油状物質を、さらに精製することなく、次の工程で使用する。
ヒドロキシプロピル基の付加
Figure 2024511235000160
前の工程で単離した粗生成物(0.3431g)を、15mLのメタノールに溶解し、2.4当量の98%s-(-)-プロピレンオキシド(236μL)をピペッターで加える。翌日、さらに300μLのs-(-)-プロピレンオキシドを加えて反応を完了させる。3日目に反応物を乾燥させる。配位子は塩基性アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中0-5%MeOH)で精製する。質量分析:M/Z=366. [M+H+]
鉄による配位子(L)の金属化(Metallation)
Figure 2024511235000161
配位子(0.0433g, 0.1186mmol)を、最小限のエタノールに溶解した。1当量の無水塩化第一鉄(0.015g)をエタノールに溶解し、配位子に加えた。溶液を撹拌しながら加熱し、生成物をジエチルエーテルで沈殿させて単離する。MS: 419 [Fe(L-2H+)+]
錯体を1.4TベンチトップNMRで33℃・pH7.2で測定すると、r1=1.6m M-1s-1が得られた。
ビス(グリシデート)フェニルアルコールTACNの合成
Figure 2024511235000162
15mLのtert-ブタノール中の0.578gフェニルアルコールTACNに、1.26mLのR-メチルグリシデートを加える。反応物を一晩撹拌する。翌日、マススペクトル分析により、生成物の主要なピークが示された(M/Z, ESI=454[M+H+])。酢酸エチルに不溶の物質に主要ピークが残った(酢酸エチルで6回連続洗浄後)。670mgの物質が単離された。これを次のステップで使用した。
グリシデートの脱保護
Figure 2024511235000163
前の工程の生成物を18mLのメタノールに溶解し、18mLの2M LiOH溶液に加えた。反応を50℃に設定し、一晩撹拌した。翌日、質量スペクトル解析により、生成物への変換が確認された。(M/Z, ESI+モード: 426.3 [M+H+], ネガティブモード: 424.2 [M-H+].)
本実施例は、本開示の大環状体の合成について説明する。
Figure 2024511235000164
50mL丸底フラスコに、TACN(0.2449g, 1.90mmol)を加え、エタノールに溶解した。次に、0.6765g(6.24mmol)の1,1,1-トリフルオロ-2,3-エポキシプロパンをフラスコに加え、室温で一晩撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーションで除去し、淡黄色油状物質を得た。
ESI-MS m/z: 466.32 (100%) [M+H+]+. 1H NMR (400MHz, CDCl3, 25℃): δ 1.22 (t), 2.46-2.99 (m), 3.69 (q), 4.04 (s).
Figure 2024511235000165
「TAFO」配位子(0.1335g, 0.287mmol)のエタノール溶液に、FeCl2・4H2O(0.0582g)の等モルエタノール溶液を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。24時間後、0.0241gのFeCl2・4H2Oを反応混合物に加えた。完了後、反応混合物にエチルエーテルを加え、錯体を黄色固体として析出させ、これをエチルエーテルで2回洗浄した。
ESI-MS m/z: 519.36 (100%) [M+H+]+
Figure 2024511235000166
0.0486g(0.483mmol)の「NitroBzTACN」配位子をシンチレーションバイアルに加え、エタノールに溶解した。次に、0.1624g(1.45mmol)の1,1,1-トリフルオロ-2,3-エポキシプロパンを加え、室温で一晩撹拌した。24時間後、0.1624gの1,1,1-トリフルオロ-2,3-エポキシプロパンを加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーションで除去し、淡黄色の油状物質を得た。
ESI-MS m/z: 489.40 (100%) [M+H+]+
Figure 2024511235000167
70.1mg(0.144mmol)の「NitroBzTAFO」配位子をシンチレーションバイアルに加え、エタノールに溶解した。FeCl2・4H2O(0.0316g, 5%モル過剰)のエタノール溶液を加え、室温で一晩撹拌した。24時間後、0.0377gのFeCl2・4H2Oを反応混合物に加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応混合物にエチルエーテルを加え、錯体を黄色固体として析出させ、エチルエーテルで2回洗浄した。
ESI-MS m/z: 542.40 (100%) [M-Cl-]+
本実施例では、本開示の大環状体の合成について説明する。
Figure 2024511235000168
一般的な手順
配位子は、ポリヒドロキシル化物質を加える前に、モノ又はジ置換1,4,7-トリアザシクロノナンとして調製する。次に、アルコール中で、粗配位子を1.2~3.6当量の4,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[5.1.0]オクタンとともに加熱下で撹拌する。2~24時間の間に反応は完了する。配位子をカラムクロマトグラフィーで精製するか、あるいは配位子をろ過して固形物を単離する。次に、保護された配位子を、濃縮した水性酸(臭化水素酸又は塩酸)の希釈物を用いて、水中で還流させるか、室温でアルコール(メタノール又はエタノール)中で混合して、脱保護する。遊離したポリヒドロキシル化配位子の精製には、中和と抽出、又はカラムクロマトグラフィーを用いる。最後に、配位子をエタノール中で撹拌し、1)無水第一鉄塩(酸化により第二鉄錯体を形成する。配位補助基を持たない配位子用)のエタノール溶液を添加することによって、又は、2)第二鉄塩(FeCl3)(L6Aのような配位補助基を持つ配位子用)のエタノール溶液を添加することによって、鉄錯体を調製する。物質は、質量分析を用いて金属錯体への完全な変換が観察されるまで撹拌される。
縦緩和時間(T1)と緩和率(R1)の決定
100mMのNaClと10~20mMのHEPES緩衝液(pH7.2)中に、5~10mMの錯体(2当量のメグルミン有り又は無し)を含むストック溶液から、鉄錯体の連続希釈液を調製した。この3つの濃度の液とブランクを、Nanalysis 60Pro NMRでテストした(マグネット温度33℃(重水素化溶媒でロック)にて作動するように設定する)。溶媒に対して装置を較正した後、サンプルのプロトンスペクトルを収集し、水のシグナルに焦点を当てるように処理する。次に、i) 最終スキャンでの水シグナルの出現、ii) 時間経過に伴うピーク積分曲線のプラトー上のデータポイントの数、iii) 遅延時間を増やしても緩和時間が変化しない場合(計測器による秒単位)、に着目し、1つのサンプルで実験を複数回実行する。次に、得られた濃度を、濃度(x軸)-対-緩和時間の逆数(1/T1, s-1)のグラフにプロットする。そして回帰直線の傾きを、これらの条件下での錯体の緩和率R1として補間する。
合成
ベンジルTACNと安息香酸TACNは、どちらも以前に合成された。
Figure 2024511235000169
上記のL1A配位子の合成
ステップ1.ビス(トリ(ヒドロキシ)ブチル)-保護ベンジルTACN(正式名称:(5S,6R)-6-(4-ベンジル-7-((5R,6R)-6-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキセパン-5-イル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキセパン-5-オール)の製造手順
ベンジルTACNを水に溶解し、pH10まで塩基性化する。その後、配位子をクロロホルムに抽出し、有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、蒸発させて油状物質にする。油状物質を天秤で量り、出発物質のモル数を決定する。675mgの物質を6mLの無水エタノール中で加熱下(70℃)撹拌する。撹拌溶液に、ピペッター(1.44mL)により、2.2~3.6当量の4,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[5.1.0]オクタンを加える。反応物を、ウォーターコンデンサーを取り付けたフラスコ中で一晩加熱撹拌する。翌日、質量分析で目的のピーク(508m/z比、M+H+)が得られたので、反応を停止し、溶液を乾燥させて油状物質にする。次に、この油状物質を有機溶媒に溶解し、シリカカラム(粗物質の質量に対して約15~20x)に負荷し、カラムに通す。まず、過剰の未反応エポキシドを除去するため、4~4.5カラム容量(CV)のヘキサン:酢酸エチル(4:1)を通し、次に1CVのヘキサン:酢酸エチル(1:4)を通す。次に、3CVの酢酸エチル:メタノール:10%水酸化アンモニウム水溶液(8:2:1)をカラムに通し、生成物を溶出する。この生成物は、前記8:2:1溶液中で0.35~0.5の保持ファクターを持つ。
ステップ2.エポキシドを脱保護してヒドロキシル基を生じさせる
配位子をアルコール(メタノール又はエタノール)中の3%酸(HBr又はHCl)溶液中で撹拌し、約3~5分間振とうする。この溶液を質量分析計で分析し、基の脱保護を確認する(m/z: 428 M+H+)。配位子溶液を一晩静置し、固体を形成させる。固体が析出しない場合は、生成物の精製のために溶液をワークアップする。酸性溶液を水酸化ナトリウム溶液で中和し、この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮する。得られた固体を無水エタノールで抽出し、エタノール溶液をフラスコに移し、乾燥して油状物質とする。
中和による脱保護精製の例
保護された配位子800mgを、酸性アルコール溶液(EtOH中4%HCl)中で撹拌した。質量分析による分析で目的の生成物(m/z 428, M+H+)が示された後、溶液を水酸化カリウムで塩基性化し、真空下で溶媒を除去した。その後、粗塩を無水エタノールで洗浄し、遠心チューブに入れ、サンプルをスピンダウンして、不要な塩化ナトリウムから溶液を分離して回収する。この液体を秤量したバイアルに入れて乾燥させ、真空下に置く。バイアル瓶の中の物質の最終質量(金属化に使用される)は418mgであった。
Figure 2024511235000170
L2A合成
ステップ1.メチル(2-スルホネート)TACNの還元的アミノ化
1,4,7-トリアザシクロノナン152.8mgを、40mLの1,2-ジクロロエタンを入れた二口丸底フラスコ中で撹拌する。次に、1当量の2-スルファベンズアルデヒドナトリウム塩(208.16g/mol FW、246.2mg 白色粉末)をフラスコに加え、ピペッターで1当量の氷酢酸(0.068mL、68μL)を加える。反応は一晩撹拌する。翌日、約3.0当量のトリ(アセトキシ)水素化ホウ素ナトリウム(211.94g/mol、白色粉末 760mg)をフラスコに加え、まず透明な溶液(20分後に濁りが戻るまで)を生成する。反応物をさらに2日間撹拌した後、反応物をろ過し、固体を回収して質量分析で分析する(ESI-MS=300m/z, [M-+2H+], M- これは、生成物のスルホン酸アニオン誘導体を表す)。粗生成物を、10mLの92%エタノールで洗浄して酢酸塩を除去し、固体はさらに精製することなく次の合成工程で使用する。
ステップ2.4,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[5.1.0]オクタンを添加し、2-((4-((5R,6R)-6-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキセパン-5-イル)-7-((5R,6S)-6-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキセパン-5-イル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)ベンゼンスルホネートを得る。
前の工程から得られた204.7mgのスルホン酸TACN材料(FW=299g/mol、0.685mmol)を、1:1のメタノール:水(MeOH:H2O, 10 mL)中で撹拌する。1ペレットのNaOHを加えて溶液を塩基性化する。次に、2.2当量の4,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[5.1.0]オクタンを加える(197μL)。反応物を一晩撹拌し、58~64℃の間で加熱する。翌日、反応物を室温まで冷まし、質量分析を用いて生成物を分析した。主な生成物は、m/z 610[M+Na+]、次いで、m/z 588[M+H+]であった(Mは中性配位子)。反応物を酢酸エチル(30mL EtOAc、次いで20mL)で洗浄し、有機層をまとめて硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過する。次に、この物質をカラム(8gシリカ、CVは約22mL)にかけ、粗生成物をまず100%EtOAc(約2.5カラム容量)で、次に8:2:1の比のEtOAc:MeOH:10%水酸化アンモニウム水溶液(約3.1カラム容量)で、最後に2カラム容量のEtOAc:MeOH:10%酢酸アンモニウム水溶液(3:2:1)で溶出する。
(8:2:1のEtOAc:MeOH:10%水酸化アンモニウム水溶液中のRf生成物、0.3-0.4)
ステップ3.脱保護して1,2,4-トリヒドロキシルブタンペンダントを生成し、配位子:2-((4,7-ビス((2R,3S)-1,3,4-トリヒドロキシブタン-2-イル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)メチル)ベンゼンスルホネートを得る。
上記で精製した物質(160.8mgのアンモニウムL3A前駆体、0.266mmolと推定)を、臭化水素酸(HBr)と酢酸(AcOH)の1:2混合物(500μLのHBr, 1mLのAcOH)に溶解し、3分間振とうした後、フリーザーに入れる。沈殿物が形成されない場合は、1~2mLの92%エタノールを加え、反応物をフード内で静置する。反応物を乾燥させて油状物質にし、水に再溶解することで粗物質を精製する。反応物を3.5gのDowex 50WX4陽イオン交換樹脂(H+形)でクロマトグラフィーする。物質を樹脂にロードし、30mLの水を通した後、5%水酸化アンモニウム水溶液で生成物を溶出する。カラムにアンモニウムを加えた後、生成物が溶出する。粗生成物を秤量したバイアル中で乾燥させ、一晩真空に置く。生成物の最終質量は110.3mg(0.210mmol、生成物のアンモニウム塩の場合、収率79%)。
m/z: 508 [M+H+], 530 [M+Na+]、ここで、Mは中性の配位子。
Figure 2024511235000171
L3A配位子の合成
ステップ1.保護トリ(ヒドロキシ)ブチル基の付加。保護された4-((1,4,7-トリアザシクロノナン-1-イル)メチル)安息香酸臭化水素酸エチル塩生成物(3.195g)を、45mLの1M NaOH中で撹拌することにより脱保護し、最小限のメタノールを加えて反応物を可溶化する。反応物を60~70℃で2日間撹拌する。その後、反応物を乾燥させ、最小限のエタノール(7mL)に再溶解する。次に、3.6当量の4,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[5.1.0]オクタンを加え(3.98mL)、加熱下で撹拌する。数時間以内に反応物は固化し、オフホワイトの固体が得られる。反応混合物をろ過し、固体と液体を分離する。固体のマススペクトルは生成物と一致し(m/z比 552=M+H+)、これは、次の反応工程で使用された。
ステップ2.脱保護によるトリ(ヒドロキシ)ブチルペンダントの生成
上記の固形物質を、5.6MのHCl溶液30mL(HCl 14mL/水 16mL)に溶解し、コンデンサー下で一晩撹拌し、温度を70℃に設定する。翌朝、溶液を質量分析で分析すると、主要生成物が示される(ESI-MS m/z 472 [M+H+])。粗配位子を中和し、精製する。粗固体をシリカカラムにロードし、溶離液に1%ギ酸を加えた酢酸エチルのメタノール勾配を用いて溶出する。生成物は50-100%メタノール間で溶出する。不要なギ酸副生成物を除去するため、配位子をDowex 50WX4イオン交換樹脂に通す。ロードしたカラムをまず水で洗浄し、次に配位子を5%NH4OH水溶液で溶出する。物質を水:エタノールに再溶解し、一晩放置する。翌日、化合物を真空下で乾燥させ、油状物質を生成する。
Figure 2024511235000172
L6A配位子の合成
ステップ1.生成物への保護アルコールの付加:(5S,6R)-6-(4-((5R,6R)-6-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキセパン-5-イル)-7-(2-ヒドロキシベンジル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキセパン-5-オール
メタノール中でサリチルアルデヒドを用いた、500mgの1,4,7-トリアザシクロノナンの粗還元的アミノ化は、加熱下(温度計で55℃)で、2.2当量の4,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[5.1.0]オクタン(1.11mL)とともに2時間撹拌するように設定し、その後1ペレットの水酸化ナトリウムを加える。反応物は週末にかけて撹拌され、質量分析で主要生成物として525(M+H+)を示すことが確認される。固体の沈殿物を濾過して廃棄し、メタノール溶液を半分まで乾燥させる。溶液を10mLの水で希釈し、ジクロロメタンで洗浄する(15, 20, 15 mL)。有機層をプールし、硫酸ナトリウムで洗浄し、油状物質になるまで乾燥させる。この物質をカラムクロマトグラフィー(100%酢酸エチル-3:2:1 EtOAc:MeOH:10%水酸化アンモニウム水溶液)で精製すると、所望の生成物が、6:3:1→3:2:1間のEtOAc:MeOH:NH4OH(10%,aq)で得られる。
ステップ2.アルコールの脱保護
生成物のカラム画分を合わせて洗浄し(10mLのH2O:10mLのジクロロメタン)、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、その後丸底フラスコ中で蒸発させる。有機物から得られたオレンジ色の油状物質を、メタノールで10mLに希釈した1mLの濃塩酸で5分間振とうする。5分後、10mLの水を加え、反応物を75mLのクロロホルム(25mL×3)で洗浄する。有機層を捨て、水層を10M NaOHで中和する。この物質を75mLのCHCl3で再度洗浄し、有機層を再度捨てる。水溶液を乾燥させ、塩残渣を30mLの無水エタノールで洗浄する。溶液を濾過し、乾燥させると、約400mgの固体が得られた。
ESI-MS m/z: 444.7 (M+H+)
Figure 2024511235000173
L1B配位子の合成
ステップ1及び2.TACNの調製(1-ベンジル-4-ホルミル-1,4,7-トリアザシクロノナン)
丸底フラスコ中で、0.999gの1,4,7-トリアザシクロノナン及び1.1当量のN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(1.165mL)を、トルエン(15mL)中で撹拌する。反応物を室温で24時間撹拌する。その後、溶液を別の丸底フラスコにデカントし、ロータリーエバポレーターで乾燥させる。その後、粗油状物質(1.0142gの物質, 収率94%)を得、15mLのテトラヒドロフラン(THF, ふるいにかけて乾燥させたもの)中で撹拌する。1当量の臭化ベンジル(877μL)を、別の20mLのTHFに加え、25分かけて滴下する。反応物を密封して撹拌し、速やかに白色生成物を形成させる。翌日、真空濾過で固体を集め、最小限のジエチルエーテルで洗浄する。固体を清潔な丸底フラスコに入れ、約12mLの蒸留水に溶解し、76℃で48~72時間撹拌する。その後、粗原料を乾燥させ、油状物質を生成する。質量分析(ESI-MS) m/z:248 (M+H+)で、ベンジル付加からの変換率は100%と仮定した。
ステップ3.アルコール1を加えて、(S)-4-ベンジル-7-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-トリアゾナン-1-カルバルデヒドを得る。前の工程から得られた物質を20mLの92%エタノールに溶解し、1.2当量のS-(-)-プロピレンオキシド(624μL)を、5mLの1M NaOH溶液とともに撹拌反応物に加え、生成物の形成を誘導する。反応物を一晩撹拌し、翌日、質量分析を用いて分析する(m/z=306, M+H+)。この物質はさらに精製することなく使用される。
ステップ4.アルデヒドの除去
ステップ3から得られた物質を、アルデヒドを除去し、残存するプロピレンオキシドを分解するために、反応物に加えた48%HBr 20mLとともに、加熱下で6時間撹拌する。その後、さらに20mLの酸を反応フラスコに加え、フリーザーで一晩静置する。翌日、溶液を20gのNaOHで塩基性にし、続いて粗生成物を50mLのジクロロメタンで2回洗浄する。有機層を集め、硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで乾燥して油状物質を生成する(m/z 278, M+H+, 及び336 m/zの不純物)。粗反応物は次のステップで使用される(1.723g)。
ステップ5.保護トリ(ヒドロキシ)ブチルの添加
この粗物質に、0.85当量の4,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[5.1.0]オクタンを加え(前段階の開始7.296mmolから0.85当量、810μL)、加熱したメタノール(65℃)中で撹拌中の配位子に加える。翌日、質量分析を用いて分析したところ、生成物への変換が確認された。次に、配位子を2本のカラムで精製する。配位子を92%エタノールに溶解し、カラム容量(CV)の100%EtOAc、次に1CVのEtOAc:MeOH:10%NH4OH水溶液(9:1:1)、2CVの8:2:1、最後に1CVのEtOAc:MeOH:NH4OH(aq)(3:2:1)を用いてカラムに通す。質量分析で生成物を示したフラクションを合わせ、乾燥し、DCM中0-15%MeOHの勾配を使用して、塩基性アルミナで実行した。生成物は、回収した2つのフラクションの主要生成物であり、不純物を最小限にして回収し、油状物質(次のステップで使用する)まで乾燥させ、320.9mgの油状物質を得た。m/z 422 [M+H+], 出発TACNから計算して9.8%の収率。
ステップ6.トリ(ヒドロキシ)ブチルペンダントの脱保護
ステップ5で得られた保護配位子を、EtOH中の3%HCl(129mLの92%EtOH中、4mLのHCl)中で振とうし、脇に置く。翌日、水酸化ナトリウム水溶液(5.1M)を滴下してこの溶液を中和し、pHメーターでモニターする。pHメーターが約7.7を示したら、物質を乾燥させ、50mLのH2Oに再溶解し、80mLのジクロロメタンで洗浄して、不要な副生成物を除去する。水性物質を保持し、真空下で乾燥させる。この物質をクロロホルム:メタノールに再溶解し、シリカカラムで0~100%メタノール(CHCl3中)で流す。生成物は20%から約50%のメタノールから溶出される。目的のフラクションを集め、溶媒を除去する。得られた固体をエタノール(92%)で洗浄し、秤量済みバイアル中に集めて130.4mgの生成物を得る。生成物を真空乾燥し、分析する。(m/z ratio: 382=M+H+)
錯化の一般的手順:配位子を2mLの無水エタノール中で撹拌し、穏やかに加熱する。次に、1当量未満の鉄(塩化第一鉄塩又は臭化第一鉄塩)を、無水エタノールに溶解した塩の添加により反応物に加える。鉄溶液をピペットで撹拌中の配位子溶液にゆっくりと加え、質量分析計でモニターして錯体生成を観察する。約1日後に残りの当量の鉄塩を加え、質量分析を用いて遊離配位子が10%未満になるのが観察されるまで撹拌を続ける。必要に応じて、エタノール性水酸化ナトリウム溶液を加えて配位子を脱プロトン化し、鉄錯体の形成を誘導することができる。鉄錯体の形成は、ESI-MSで同定される。
([M+], L1A=481, L2A=561, L3A=525, L6A=497 ([ML]+H+) L1B=435)
本実施例は、本開示の大環状体の合成について説明する。以下において、Lは質量スペクトル解析における中性配位子を示す。
TOB halfの金属化、Fe(TOB half):
Figure 2024511235000174
まず、上記の配位子30mg(FW=381.5g/mol, 0.079mmol)を、2mLのエタノールに溶解する。この配位子溶液を遠心分離機で回転させて不溶物を取り除き、加熱撹拌した。次に、8mgの無水塩化第一鉄(FW=126.75、0.063mmol)を、追加の1.5mLエタノールに溶解し、ピペットで撹拌中の配位子に加えた。翌日、塩化第一鉄(0.06M)のストック溶液から260μLを溶液に加え、鉄の総量を0.085mmol又は1.08当量にした。生成物をエーテルでトリチュレーション(trituration)した後に単離し、その後乾燥して黄色の固体とした。質量分析:435.9[Fe(L-2H+)]+。33℃にて、1.4T Benchtop NMRを用いて化合物のプロトン緩和能を分析したところ、r1値は1.7mM-1s-1であった。ここでLは中性の配位子である。
TOB2の金属化、Fe(TOB2):
Figure 2024511235000175
36.3mgのTOB2油状物質(FW=427g/mol; 0.085mmol)を、3mLのエタノールに溶解し、ホットプレート上で撹拌した。次に、17mgの塩化鉄(II)四水和物(FW:198.81; 0.085mmol)を加えた。反応物を加熱したエタノール中で一晩撹拌した。翌日、さらに15mg(0.075mmol)を1mLのエタノール中に加え、一晩撹拌した。翌日、溶液の加熱を止め、固体生成物が形成された。この固体をジエチルエーテルでトリチュレーションした。黄色の固体が得られた。ESI-MS:481.5 [Fe(L-2H+)+]
sulbot2の金属化、Fe(sulbot2):
Figure 2024511235000176
2mLのエタノール中で、30.2mgのsulbot2配位子(NH4 +塩、前の工程でDowex樹脂より。[NH4(L)]のFW=524.6g/mol、0.058mmol)を撹拌し、加熱撹拌するように設定した。次に、10.8mgの塩化鉄(II)四水和物(FW 198.81, 0.054mmol)を、2mLのエタノールに溶解し、撹拌中の配位子に滴下して加えた。翌日、反応物の加熱を止め、さらに2日間撹拌した。その後、溶液を回収し、遠心分離機でスピンダウンして白色沈殿物を除去した。その後、溶液をジエチルエーテルでトリチュレーションし、質量分析で目的の生成物を示す固体を単離した(20.2mg)。
MS: 561.4 [Fe(L-2H+)+] 約25% 583.3 [Fe(L-3H+)+Na+] 及び12% 508.6 [L+H+]
TOBA2の金属化、Fe(TOBA2):
Figure 2024511235000177
24mgの配位子L3A(FW=471.5g/mol; 0.51mmol)の塊を2mLのエタノールに溶解し、物質を可溶化するために最小限の水を加えた。次に、1.5当量の塩化鉄(II)四水和物(FW 198.81 g/mol, 15mg)を加え、加熱撹拌した。析出した黄色固体を集め、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥した。質量スペクトル解析の結果、生成物の生成が確認された。
m/z=525.3[Fe(L-2H+)+]
phenolTOB2の金属化、Fe(phenolTOB2):
Figure 2024511235000178
質量35.6mgの配位子(Fw=443g/mol; 0.0803mmol)を3mLのエタノールに溶解し、撹拌した。等モルの無水塩化第二鉄(FW 162.204g/mol, 13mg)を加え、反応物を加熱下で撹拌した。反応液を撹拌しながら、11mgの炭酸カリウム(FW 138.21g, 0.0803mmol)を加え、塩基性化した。マススペクトル分析で生成物への変換が確認された時点で、反応を室温まで冷却し、ジエチルエーテルで沈殿させて化合物を単離した。
MS ESI m/z=497.7 [Fe(L-2H+)+]
錯体を、1.4T卓上NMR(33℃・pH7.0)でプロトン水緩和について分析し、r1=1.2±0.2 mM-1 s-1を得た。
本開示を、1つ又は複数の特定の実施例を参照して説明してきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施例が可能であることが理解されるであろう。

Claims (33)

  1. 大環状錯体であって、
    ・以下の構造を有する大環状コア
    Figure 2024511235000179
    ここで
    R1は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルキル基であって、ここで、前記置換もしくは非置換のアルキル基はメチル基ではない、
    Z1、Z2、及びZ3は、独立して、以下のペンダント基の1つ以上から選択される:
    Figure 2024511235000180
    及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、又は脱プロトン化種、
    ここで、Q3、Q4及びQ5は、それぞれ独立して、アニオン性基であるか、又は、-H、-NR2、-NO2、-CN、-(CH2)mNR2、OH、OR、-P(O)OH2、-(CH2)mPO(OH)2、-SO3H、及びそれらの脱プロトン化種から選択され、ここで、mは1又は2であり、Rはアルキル基、CF3基、アリール基、アルキルカルボキシレート、又はアルキルカルボン酸である;及び、
    前記大環状錯体は、1、1'、2、3、4、8、10のいずれかの2つ、又はそれらの組み合わせを有し、すべてのペンダント基が同じとは限らない、及び
    ・高スピンFe(III)カチオン、ここで、該高スピンFe(III)カチオンは、大環状化合物の大環状コアに及び/又は少なくとも1つのペンダント基置換基に錯化している、
    を含み、ただし、
    i) ペンダント基の2つが、構造1、1'、2、3、又はそれらの任意の組み合わせである場合、第三のペンダント基は1、1'、2、又は3ではない;
    ii) ペンダント基の2つが、構造1、1'、2、3、8、14、又はそれらの任意の組み合わせである場合、第三のペンダント基は、1、1'、2、3、8、又は14ではない;
    iii) ペンダント基の2つが、構造1、1'、2、3、10、又はそれらの任意の組み合わせであり、構造1及び/又は構造1'のRがフェニルである場合、R1は、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアルキル基ではない;
    iv) 大環状コアが以下の構造を有していない:
    Figure 2024511235000181
    Figure 2024511235000182
    Figure 2024511235000183
    Figure 2024511235000184
    Figure 2024511235000185
    及び、
    v) 大環状錯体が以下の構造を有していない:
    Figure 2024511235000186
    Figure 2024511235000187
  2. 1つ以上のペンダント基の少なくとも1つ又はすべてが、大環状コア上のNに共有結合している、請求項1に記載の大環状錯体。
  3. 大環状錯体が、高スピンFe(III)カチオンに錯化された少なくとも1つの水又は少なくとも1つの水酸化物を有する、請求項1に記載の大環状錯体。
  4. Z1、Z2、及びZ3が、以下のものから独立して選択される、請求項1に記載の大環状錯体:
    Figure 2024511235000188
    Figure 2024511235000189
    及び、それらのプロトン化種、脱プロトン化種、部分的脱プロトン化種(該当する場合)。
  5. 大環状コアが以下の構造を有し、そこに高スピンFe(III)が錯化している、請求項1に記載の大環状錯体:
    Figure 2024511235000190
    Figure 2024511235000191
    Figure 2024511235000192
    Figure 2024511235000193
    又は、それらのプロトン化種、脱プロトン化種、もしくは部分的脱プロトン化種(該当する場合)。
  6. 大環状錯体が以下の構造を有する、請求項1に記載の大環状錯体:
    Figure 2024511235000194
    Figure 2024511235000195
    Figure 2024511235000196
    Figure 2024511235000197
    Figure 2024511235000198
    Figure 2024511235000199
    Figure 2024511235000200
    Figure 2024511235000201
    Figure 2024511235000202
    又は、それらの脱プロトン化種、部分的脱プロトン化種、もしくはプロトン化種(該当する場合)。
  7. 請求項1に記載の大環状錯体を1つ以上含む組成物。
  8. ヒト血清アルブミン及び/又はメグルミンをさらに含む、請求項7に記載の組成物。
  9. 細胞、器官、血管系、組織の少なくとも一部の画像を得る方法であって:
    細胞、器官、血管系、又は組織を、請求項1に記載の1つ以上の大環状錯体と接触させること、
    細胞、器官、血管系、又は組織の少なくとも一部を撮像して、細胞、器官、血管系、又は組織の一部の画像を得ること、
    を含み、ここで、前記画像は磁気共鳴を用いて得られる、方法。
  10. 細胞、器官、血管系、又は組織が個体の一部である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記画像が磁気共鳴画像法(MRI)を用いて得られる、請求項9に記載の方法。
  12. 大環状錯体がT1剤である、請求項9に記載の方法。
  13. 以下の構造を有する大環状錯体であって:
    Figure 2024511235000203
    ここで、トリ(ヒドロキシ)ブチル基及び-(CH2)nR基はペンダント基であり、各Rは独立して、以下のものから選択され:アルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;1つ又は複数の-OH基、1つ又は複数のスルホン酸基、1つ又は複数のカルボン酸基、1つ又は複数のホスホン酸基、1つ又は複数のアルキル基、又はそれらの組み合わせを含むアルキル基;1つ又は複数の-OH基、1つ又は複数のスルホン酸基、1つ又は複数のカルボン酸基、1つ又は複数のホスホン酸基、1つ又は複数のアルキル基、又はそれらの組み合わせを含むアリール基;1つ又は複数の-OH基、1つ又は複数のスルホン酸基、1つ又は複数のカルボン酸基、1つ又は複数のホスホン酸基、1つ又は複数のアルキル基、又はそれらの組み合わせを含むヘテロアリール基;及びH;又はそれらの塩、部分塩、水和物、多形、もしくは立体異性体;
    nは、1、2、又は3であり、
    ここで、高スピンFe(III)カチオンが、大環状化合物の大環状コア及び/又は少なくとも1つのペンダント基置換基に錯化されている、
    大環状錯体。
  14. 配位ペンダント基又は非配位ペンダント基をさらに含む、請求項13に記載の大環状錯体。
  15. ペンダント基の少なくとも1つが、ベンジル位で、又はペンダント基のヘテロ原子につながるアルキル基のいずれかの炭素で置換されている、請求項13に記載の大環状錯体。
  16. ペンダント基が、
    Figure 2024511235000204
    及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、脱プロトン化種(該当する場合)から選択され、
    Q3、Q4及びQ5が、それぞれ独立して、アニオン性基であるか、又は-H、-NR2、-NO2、-CN、-(CH2)mNR2、OH、OR、-CH2PO(OH)2、-(CH2)mP(O)(OH)2、-SO3H、及びそれらの脱プロトン化種、部分的脱プロトン化種、プロトン化種(該当する場合)から選択される、
    請求項13に記載の大環状錯体。
  17. 少なくとも1つの開放配位部位を有する、請求項13に記載の大環状錯体。
  18. 高スピンFe(III)カチオンに錯化された少なくとも1つの水又は少なくとも1つの水酸化物を有する、請求項13に記載の大環状錯体。
  19. 以下の構造を有する、請求項13に記載の大環状錯体:
    Figure 2024511235000205
    Figure 2024511235000206
    又は、それらのプロトン化若しくは脱プロトン化アナログであって、
    高スピンFe(III)が錯化されているもの。
  20. 以下の構造を有する、請求項13に記載の大環状錯体:
    Figure 2024511235000207
    Figure 2024511235000208
    Figure 2024511235000209
    又は、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、もしくは脱プロトン化種。
  21. 以下の構造を有する、請求項20に記載の大環状錯体:
    Figure 2024511235000210
  22. 請求項13に記載の1つ以上の大環状錯体と、薬学的に許容される担体とを含む組成物。
  23. ヒト血清アルブミン及び/又はメグルミンをさらに含む、請求項22に記載の組成物。
  24. 細胞、器官、血管系、組織の少なくとも一部の画像を得る方法であって:
    細胞、器官、血管系、又は組織を、請求項13に記載の1つ以上の大環状錯体と接触させること、
    細胞、器官、血管系、又は組織の少なくとも一部を撮像して、細胞、器官、血管系、又は組織の一部の画像を得ること、
    を含み、ここで、前記画像は磁気共鳴を用いて得られる、方法。
  25. 細胞、器官、血管系、又は組織が個体の一部である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記画像が磁気共鳴画像法(MRI)を用いて得られる、請求項24に記載の方法。
  27. 大環状錯体がT1剤である、請求項24に記載の方法。
  28. 以下の構造を有する大環状化合物:
    Figure 2024511235000211
    ここで、トリ(ヒドロキシ)ブチル基及び-(CH2)nR基はペンダント基であり、各Rは独立して以下のものから選択される:アルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;1つ又は複数の-OH基、1つ又は複数のスルホン酸基、1つ又は複数のカルボン酸基、1つ又は複数のホスホン酸基、1つ又は複数のアルキル基、又はそれらの組み合わせを含むアルキル基;1つ又は複数の-OH基、1つ又は複数のスルホン酸基、1つ又は複数のカルボン酸基、1つ又は複数のホスホン酸基、1つ又は複数のアルキル基、又はそれらの組み合わせを含むアリール基;1つ又は複数の-OH基、1つ又は複数のスルホン酸基、1つ又は複数のカルボン酸基、1つ又は複数のホスホン酸基、1つ又は複数のアルキル基、又はそれらの組み合わせを含むヘテロアリール基;及びH;又はそれらの塩、部分塩、水和物、多形、又は立体異性体;
    ここで、nは1、2、又は3である。
  29. 配位ペンダント基又は非配位ペンダント基をさらに含む、請求項28に記載の大環状化合物。
  30. ペンダント基の少なくとも1つが、ベンジル位で、又はペンダント基のヘテロ原子につながるアルキル基のいずれかの炭素で置換されている、請求項28に記載の大環状化合物。
  31. ペンダント基が、以下のものから選択される、請求項28に記載の大環状化合物:
    Figure 2024511235000212
    及び、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、脱プロトン化種(該当する場合)、
    Q3、Q4、及びQ5は、それぞれ独立して、アニオン性基であるか、又は-、-H、-NR2、-NO2、-CN、-(CH2)mNR2、OH、OR、-CH2PO(OH)2、-(CH2)mP(O)(OH)2、-SO3H、及びそれらの脱プロトン化種、部分的脱プロトン化種、プロトン化種(該当する場合)から選択される。
  32. 少なくとも1つの開放配位部位を有する、請求項28に記載の大環状化合物。
  33. 以下の構造を有する、請求項28に記載の大環状化合物:
    Figure 2024511235000213
    Figure 2024511235000214
    又は、それらのプロトン化種、部分的脱プロトン化種、もしくは脱プロトン化種。
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