JP2024506803A - 潜在的な呼吸器ウイルス感染個体にインターフェロンベータを投与することを含む呼吸器ウイルスに対する予防的投与方法 - Google Patents

潜在的な呼吸器ウイルス感染個体にインターフェロンベータを投与することを含む呼吸器ウイルスに対する予防的投与方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、潜在的な呼吸器ウイルス感染個体にインターフェロンベータを投与することを含む、呼吸器ウイルスに対する予防的投与方法に関し、より詳細には、インターフェロンベータを有効成分として含み、インターフェロンベータを呼吸器ウイルスに感染した、又は潜在的に感染した細胞に直接投与する方法で、呼吸によって呼吸器細胞に投与する、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における呼吸器ウイルスの自己複製感染を抑制する方法に関する。

Description

本出願は、2021年1月13日に出願された韓国特許出願第2021-0004780号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書全体は、参照により本出願に援用する。
本発明は、潜在的な呼吸器ウイルス感染個体にインターフェロンベータを投与することを含む、呼吸器ウイルスに対する予防的投与方法に関するもので、より詳細には、インターフェロンベータを有効成分として含み、インターフェロンベータを、呼吸器ウイルスに感染されたか、又は潜在的に感染された細胞に直接投与する方法で、呼吸によって呼吸器細胞に投与する、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における呼吸器ウイルスの自己複製感染を抑制する方法に関するものである。
ウイルスの呼吸器への感染による呼吸器疾患は、最も発症率の高い病気であり、すべての感染症の半分程度を占めている。RSウイルス感染症(respiratory virus infection)は、主に小児、高齢者のような免疫が低下した患者に多く発生し、最もよく知られている代表的な呼吸器感染症ウイルスには、アデノウイルス(adenovirus)、パラインフルエンザウイルス(parainfluenza virus、PIV)、RSウイルス(respiratory syncytial virus、RSV)、ライノウイルス(rhinovirus)、コロナウイルス(coronavirus)などがある。
呼吸器ウイルスのうち、コロナウイルスは、4つの属(genus)に分けられ、アルファ、ベータ属はヒトと動物に感染し、ガンマ、デルタ属は動物にのみ感染する。ヒトに感染可能なコロナウイルスは、計6種として知られている。このうち4種(229E、OC43、NL63、HKU1)は、風邪の原因となるウイルスとして知られており、残りの2種は、ヒトに重症肺炎を引き起こす可能性があるウイルスで、MERSコロナウイルス(Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus、MERS-CoV)とSARSコロナウイルス(Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus、SARS- CoV)である。
特に、2019年12月に中国の湖北省(Hubei Province)武漢市(Wuhan City)で発生した肺炎患者から最初に確認された新型呼吸器ウイルスは、広範な拡散性を有し、医療システムに深刻な影響を与えた。2019年に発生した新型コロナウイルス(novel coronavirus)は、従来のMERS(MERS-CoV)やSARS(SARS-CoV)ウイルスとは異なる系列で確認されており、ヒトに感染する7番目のコロナウイルス種として確認された。このウイルスは「SARS-CoV-2」と命名され、「Coronavirus Disease 2019(COVID-19)」という疾患の原因となる。
呼吸器ウイルス感染の初期症状は、ウイルスに関係なく同様の症状と徴候を表すため、臨床的症状だけでは原因を鑑別することが難しく、伝染性が非常に高いため、短期間で大流行を起こすこともある。
韓国登録特許公報10-2018201号 韓国登録特許公報10-1800366号 韓国公開特許公報10-2019-0063512号
Zhu、Na、et al. "A novel coronavirus from patients with pneumonia in China, 2019." New England Journal of Medicine (2020).
そこで、本発明者らは、インターフェロンベータを呼吸器ウイルス感染の抑制に使用するために研究するなかで、呼吸器ウイルスの感染が主に起こる呼吸器部位にインターフェロンベータを適切に投与する場合、呼吸器ウイルスの感染に曝露する懸念がある個体、すなわち潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体において、呼吸器ウイルスの自己複製感染を抑制できることを確認して、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、有効成分としてインターフェロンベータを含む、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染の抑制用薬学的組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、インターフェロンベータからなる、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染の抑制用薬学的組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、インターフェロンベータから本質的になる、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染の抑制用薬学的組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された後、呼吸器ウイルスによる自己複製感染から個体を保護する曝露後予防(PEP、Post-Exposure Prophylaxis)方法として、予防的有効量のインターフェロンベータを個体に投与することを特徴とする方法を提供することである。
本発明のまた他の目的は、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された後、予防的有効量のインターフェロンベータを個体に投与することを含む、呼吸器ウイルスによる自己複製感染から個体を保護する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染の抑制用製剤を製造するためのインターフェロンベータの使用を提供することである。
本発明の他の目的は、インターフェロンベータを有効成分として含む組成物の有効量を、それを必要とする個体に投与することを含む、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染を抑制する方法を提供することである。
前記の目的を達成するために、本発明は、インターフェロンベータを有効成分として含む、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染の抑制用薬学的組成物を提供する。
また、本発明は、インターフェロンベータからなる、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染の抑制用薬学的組成物を提供する。
また、本発明は、インターフェロンベータから本質的になる、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染の抑制用薬学的組成物を提供する。
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された後、呼吸器ウイルスによる自己複製感染から個体を保護する曝露後予防(PEP)方法として、予防的有効量のインターフェロンベータを個体に投与することを特徴とする方法を提供する。
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された後、予防的有効量のインターフェロンベータを個体に投与することを含む、呼吸器ウイルスによる自己複製感染から個体を保護する方法を提供する。
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染抑制用製剤を製造するためのインターフェロンベータの使用を提供する。
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、インターフェロンベータを有効成分として含む組成物の有効量を、それを必要とする個体に投与することを含む、潜在的な呼吸器ウイルスの感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染抑制方法を提供する。
他の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、当業者によって通常的に理解されることと同じ意味を有する。以下の参考文献は、本発明の明細書で使用されるいくつかの用語の一般的な定義を有する技術(skill)の1つを提供する:Singleton et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOTY (2th ed. 1994); THE CAMBRIDGE DICTIONARY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY (Walkered., 1988); Hale & Marham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY.
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、インターフェロンベータを有効成分として含む、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染の抑制用薬学的組成物を提供する。
インターフェロンベータは、5つのアルファヘリックスを有する球状タンパク質として、サイズが22kDaであり、抗ウイルス活性、細胞の成長抑制又は抗増殖の活性、リンパ球細胞の毒性増大活性、免疫調節の活性、標的細胞の分化誘導又は抑制活性、マクロファージ活性化の活性、サイトカイン産生の増加活性、細胞傷害性T細胞の効果増加活性、及びナチュラルキラー細胞の増加活性などの様々な免疫学的活性によって、がん、自己免疫疾患、ウイルス感染、HIV関連疾患、C型肝炎、及び関節リウマチなどの治療に効果があるという報告がある。
本発明のインターフェロンベータは、天然型(野生型)又は変異型インターフェロンベータであり得る。好ましくは、本発明のインターフェロンベータ(インターフェロンベータポリペプチド又はインターフェロンベータ・タンパク質)は、野生型のインターフェロンベータの27番アルギニン(R27)部位がスレオニンに変異(R27T)したものであり、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり得る。本発明のインターフェロンベータは、配列番号1の25番目のアミノ酸及び80番目のアミノ酸の2箇所に糖鎖が結合することができ、インターフェロンベータ活性を有するポリペプチドとして理解されるべきである。好ましくは、本発明のインターフェロンベータは、ヒトインターフェロンベータを示す。
本発明において、インターフェロンベータは、コロナウイルスに感染されたか、又は潜在的に感染された細胞に直接到達して投与する方式で投与される。より具体的には、インターフェロンベータは、吸入による投与によって、呼吸器ウイルスに感染されたか、又は潜在的に感染された細胞に接触し、これにより呼吸器ウイルスに感染されたか、又は潜在的に感染された細胞にインターフェロンベータが到達し、細胞のインターフェロンベータ受容体と結合する方式で機能をする。
吸入による投与は、呼吸器の構造上、口腔又は鼻腔を介して投与され、例えば、インターフェロンベータ又はインターフェロンベータを含む担体が、液相、エアロゾル相、又は気相の状態で、口腔又は鼻腔を介して呼吸器細胞に接触するよう噴射又は注入されることによって投与することができる。
本発明において呼吸器とは、呼吸が行われる気管を全体的に示し、鼻と口から気道と肺につながる各気管を意味する。好ましくは、本発明において、呼吸器は、鼻粘膜、鼻咽頭(nasopharynx)、中咽頭(oropharynx)、咽頭喉頭部(laryngopharynx)、喉頭、気管(trachea)、気管支(bronchi)、細気管支(bronchiole)、及び肺を含む。
本発明において呼吸器ウイルスは、アデノウイルス(Adenovirus)、鳥インフルエンザウイルス(Avian Influenza Virus)、ボカウイルス(Bocavirus)、コロナウイルス(Coronavirus)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、ハンタウイルス(Hantavirus)、単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus)、インフルエンザウイルス(Influenza Virus)、麻疹ウイルス(Measles)、メタニューモウイルス(Metapneumovirus)、パラインフルエンザウイルス(Parainfluenza Virus)、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)、ライノウイルス(Rhinovirus)、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-zoster Virus)からなる群から選択されるものであり得る。好ましくは、本発明の呼吸器ウイルスは、コロナウイルスである。
本発明における個体は、コロナウイルスに感染していないか、又はコロナウイルス感染初期の個体であり得る。臨床的又は規定上のコロナウイルスへの曝露の懸念がある個体(例えば、コロナウイルス感染者との密接接触した個体、又は密接接触した個体との接触個体、隔離が勧告されたか、又は強制された個体、コロナウイルスの治療に携わる医療スタッフ)、コロナウイルスに感染した無症状伝播個体、コロナウイルスの初期感染個体であり得る。コロナウイルス感染個体は、公知のコロナウイルス検査キットを用いて当業者が容易に確認することができる。好ましくは、本発明において、前記個体は、コロナウイルスに感染されていないか、又はコロナウイルス感染の初期であり得る。したがって、本発明は、コロナウイルスに感染した個体が無症状の状態で周囲にウイルスを拡散させることを抑制又は低減することができる。
このような曝露前予防(Pre-Exposure Prophylaxis、PrEP)及び曝露後予防(PEP)は、HIV(human immunodeficiency virus)予防における方法と同様に適用できる。
本発明において、コロナウイルス感染初期の個体は、発熱、空咳、疲労感、体調不良、咽頭痛、下痢、結膜炎、頭痛、味覚又は嗅覚の消失、皮膚の発疹、及び手指又は足指の変色からなる群から選択されるいずれかのコロナウイルス感染症状が現れていない個体であり得る。
本発明において、コロナウイルスは、i)ヒトに感染する229E、NL63、又はヒトに感染しない豚流行性下痢ウイルス(porcine epidemic diarrhea virus:PEDV)、(豚)感染性胃腸炎ウイルス(transmissible gastroenteritis virus:TGEV)、犬コロナウイルス(canine coronavirus:CCoV)、猫コロナウイルス(feline coronavirus:FCoV)、ユビナガコウモリ(Miniopterus bat)コロナウイルス1、ユビナガコウモリ(Miniopterus bat)コロナウイルスHKU8、キクカジラコウモリ(Rhinolophus bat)コロナウイルスHKU2、アジアイエローハウスコウモリ(Scotophilus bat)コロナウイルス512であるアルファコロナウイルス(alphacoronavirus);ii)ヒトに感染するOC43、HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、又はヒトに感染しない豚血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(porcine hemagglutinating encephalomyelitis virus:PHEV)、牛コロナウイルス(bovine coronavirus:BCoV)、馬コロナウイルス(equine coronavirus:EqCoV)、マウスコロナウイルス(murine coronavirus:MuCoV)、オオバンブーコウモリ(Tylonycteris bat)コロナウイルスHKU4、アブラコウモリ(Pipistrellus bat)コロナウイルスHKU5、ルーセットオオコウモリ(Rousettus bat)コロナウイルスHKU9であるベータコロナウイルス(betacoronavirus);iii)ヒトに感染しない鳥コロナウイルス(Avian coronavirus)、シロイルカ(Beluga whale)コロナウイルスSW1であるガンマコロナウイルス(gammacoronavirus);iv)ヒトに感染しないヒヨドリ(Bulbul)コロナウイルスHKU11、ツグミ(Thrush)コロナウイルスHKU12、キンパラ(Munia)コロナウイルスHKU13であるデルタコロナウイルス(deltacoronavirus)のいずれかであり得る。
本発明において、前記自己複製感染(self replicating infection)は、コロナウイルスが前記個体の呼吸器細胞で複製され、周囲の細胞に感染することを示す。コロナウイルスの生活環(life cycle)についてはよく知られている。
一方、本発明は、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された後、呼吸器ウイルスによる自己複製感染から個体を保護する曝露後予防(PEP)方法であって、前記方法は、予防的有効量のインターフェロンベータを個体に投与することを特徴とする方法を提供する。
また、本発明は、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された後、予防的有効量のインターフェロンベータを個体に投与することを含む、呼吸器ウイルスによる自己複製感染から個体を保護する方法を提供する。
また、臨床進行中又は公知のコロナウイルス治療薬を併用又は逐次投与することを追加で含む、コロナウイルスによる自己複製感染から個体を保護する方法を提供する。
前記において、コロナウイルス治療薬の投与は、経口、吸入、腹腔内、又は静脈内投与であり得る。
本発明による薬学的組成物は、本発明のコロナウイルス治療剤を単独で含有するか、又は1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤を追加で含有することができる。
薬学的に許容される担体は、例えば、経口投与用担体又は非経口投与用担体を追加に含み得る。経口投与用担体は、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸などを含むことができる。さらに、非経口投与用担体は、水、適切な油、生理食塩水、水性グルコース、及びグリコールなどを含み得、安定剤及び保存剤を追加で含み得る。適切な安定剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸のような酸化防止剤が挙げられる。適切な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、メチル又はプロピルパラベン、及びクロロブタノールがある。他の薬学的に許容される担体としては、当業界で公知のものを参考にすることができる。
本発明の組成物は、有効成分:薬学的に許容される担体を、0.1~99.9:99.9~0.1の重量比で含むことが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明の薬学的組成物は、ヒトをはじめとする哺乳動物にいかなる方法でも投与することができる。例えば、経口又は非経口的に投与することができ、投与経路に応じて経口投与用又は非経口投与用製剤に製剤化することができる。
経口投与用製剤の場合、本発明の組成物は、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液などで当業界に公知の方法を用いて製剤化できる。例えば、経口製剤としては、活性成分を固体賦形剤と配合した後、それを粉砕し、適切な補助剤を添加して顆粒混合物に加工することによって錠剤又は糖衣錠剤を得ることができる。適切な賦形剤の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、及びマルチトールなどを含む糖類;トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、及びジャガイモデンプンなどを含むデンプン類;セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを含むセルロース類;並びにゼラチン、及びポリビニルピロリドンなどの充填剤を含めることができる。また、場合によっては、架橋型ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、又はアルギン酸カリウムなどを崩壊剤として添加することができる。さらに、本発明の薬学的組成物は、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、及び防腐剤などを追加で含み得る。
非経口投与用製剤の場合には、注射剤、クリーム剤、ローション剤、外用軟膏剤、油剤、保湿剤、ゲル剤、エアロゾル、及び鼻吸入剤の形態で、当業界に公知の方法で製剤化することができる。これらの製剤は、すべての医薬品化学で一般に知られている処方に記載されている。
本発明の組成物の総有効量は、単回投与(single dose)で患者に投与することができ、反復投与(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)によって投与することもできる。本発明の薬学的組成物は、疾患の程度によって有効成分の含有量を変えることができる。好ましくは、本発明の薬学的組成物の好ましい総用量は、1日当たり患者体重当たり約0.01~10,000mg、最も好ましくは0.1~500mgであり得る。しかし、薬学的組成物の用量は、製剤化方法、投与経路、治療の回数、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食事、及び排泄率など様々な要因を考慮して患者に対する有効投与量が決定されるので、この点を考慮すると、当分野の従来の知識を有する者であれば、本発明の組成物の適切な有効投与量を決定することができる。本発明による薬学的組成物は、本発明の効果を表す限り、その製剤と投与経路及び投与方法に特に限定されない。
本発明は、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染の抑制用製剤を製造するためのインターフェロンベータの使用を提供する。
本発明は、インターフェロンベータを有効成分として含む組成物の有効量を、それを必要とする個体に投与することを含む、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における、呼吸器ウイルスの自己複製感染を抑制する方法を提供する。
本発明の前記「有効量」とは、個体に投与した場合、呼吸器ウイルス感染の改善、治療、予防、検出、診断、又は前記疾患の抑制もしくは減少効果を表す量を示し、前記「個体」とは、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトを含む動物であり得、動物由来の細胞、組織、器官などでもあり得る。前記個体は、前記効果を必要とする患者(patient)であり得る。
本明細書における用語「を含む(comprising)」とは、「含有する(including)」又は「特徴とする(characterized by)」と同じ意味で使用され、本発明による組成物又は方法において、具体的に言及されていない追加の構成成分又は方法の工程などを排除しない。また、用語「からなる(consisting of)」とは、別途記載されていない追加の要素、工程、又は成分などを除外することを意味する。用語「から本質的になる(essentially consisting of)」とは、組成物又は方法の範囲において、記載された材料又は工程に加えてその基本的な特性に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程などを含み得ることを意味する。
上述のように、本発明では、インターフェロンベータを、鼻粘膜、鼻咽頭(nasopharynx)、中咽頭(oropharynx)、咽頭喉頭部(laryngopharynx)、喉頭、気管(trachea)、気管支(bronchi)、細気管支(bronchiole)、肺などの呼吸器に、呼吸によって投与して、潜在的なコロナウイルス感染に曝露された個体におけるコロナウイルスの自己複製感染を効果的に抑制することができる。
図1a及び図1bは、細胞にSARS-CoV-2を感染させる前(図1a)又は感染させた後(図1b)、インターフェロンベータを処理してインターフェロンのコロナウイルス感染抑制効果を確認した結果である。 図1a及び図1bは、細胞にSARS-CoV-2を感染させる前(図1a)又は感染させた後(図1b)、インターフェロンベータを処理してインターフェロンのコロナウイルス感染抑制効果を確認した結果である。 図2a及び図2bは、前記図1a及び図1bの結果を定量的に分析した結果である。 図2a及び図2bは、前記図1a及び図1bの結果を定量的に分析した結果である。 図3は、レムデシビルとインターフェロンベータのコロナウイルス感染抑制効果を、プラークアッセイ(左)及びリアルタイム定量RT-qPCR(右)で確認した結果である。 図4は、ハムスター感染モデルにおけるインターフェロンベータのコロナウイルス感染による肺損傷抑制効果を確認した結果である。 図5は、インターフェロンベータのコロナウイルス武漢株又はデルタ株の曝露前予防効果分析のための概略実験のシーケンスである。 図6は、インターフェロンベータのコロナウイルス武漢株又はデルタ株の曝露前予防効果をプラークアッセイにより確認した結果である。 図7は、インターフェロンベータのコロナウイルス武漢株もしくはデルタ株の曝露後の予防又は治療効果の分析のための概略実験のシーケンスである。 図8は、インターフェロンベータのコロナウイルス武漢株もしくはデルタ株の曝露後の予防又は治療効果をプラークアッセイにより確認した結果である。 図9は、インターフェロンベータのインフルエンザ(H1N1)予防効果分析のための概略実験のシーケンスである。 図10は、インターフェロンベータのインフルエンザ(H1N1)予防効果をプラークアッセイにより確認した結果である。
[発明を実施するための最良の様態]
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかしながら、以下の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであり、これによって本発明の内容が限定されるものではない。
実施例1:インターフェロンベータのコロナウイルス感染抑制
インターフェロンベータのコロナウイルス感染抑制実験のために、ベロE6細胞を感染させ、インターフェロンベータを処理した後、RNAを抽出してRT-qPCRを行った。処理条件は以下の通りである。
ベロ細胞は、DMEM培地に2%熱非働化処理済み(heat-inactivated)FBSと2 mMのL-グルタミンを含む培地で育て、ベロ細胞を6ウェルに5×105細胞/ウェルで播種して、約80%コンフルエントを維持するように37℃、5% CO2インキュベーターで培養した。播種後の翌日のプレインフェクション実験では、SARS-CoV-2ストックを最初に約2×106プラーク形成ユニット(PFU/mL)で感染させた後、ABN101物質を処理し、ポストインフェクションについてはABN101物質を濃度別に先に処理した後、SARS-CoV-2ストックを感染させて実験した。
プレインフェクション実験では、SARS-CoV-2を1時間30分間、ベロE6細胞に処理して細胞を感染させた後、感染させたウイルスを完全に除去した後、培養培地を3 ml追加し、インターフェロンベータ(ABN101、R27Tインターフェロンベータ)を濃度別に5000 IU/mL、1,000 IU/mL、2,000 IU/mL、5,000 IU/mLまで希釈して処理した。これを3日間、37℃、5% CO2の培養(incubation)インキュベーターで培養した後、培養上清(supernatant)をそれぞれ回収した。各上清をフィルター濾過して細胞を除去し、全RNAを単離した。単離されたRNAを鋳型とし、SARS-CoV-2のE遺伝子を特異的に検出できるプライマーを用いて、定量リアルタイムRT-qPCRによりSARS-CoV-2ウイルスがインターフェロンベータの処理によって減少したかどうかを確認した。当実験に用いたSARS-CoV-2のE遺伝子を検出するプライマー配列とプローブは以下の通りである。
プローブ配列:5'-ATATTGCAGCAGTACGCACACA-3'(配列番号2)
プライマー1配列:5'-ACAGGTACGTTAATAGTTAATAGCGT-3'(配列番号3)
プライマー2配列:5'-ATATTGCAGCAGTACGCACACA-3'(配列番号4)
ポストインフェクション実験では、インターフェロンベータ(ABN101、R27Tインターフェロンベータ)を濃度別に5000 IU/mL、1,000 IU/mL、2,000 IU/mL、5,000 IU/mLまで希釈して24時間処理した後、培養液を除去し、SARS-CoV-2を1時間30分間、ベロE6細胞に処理して細胞に感染させた後、感染させたウイルスを完全に除去し、培養培地を3 mL加えた。これを37℃、5% CO2のインキュベーターで培養した後、2日目に培養上清(supernatant)をそれぞれ回収してフィルター濾過し、細胞を除去し、全RNAを単離した。RT-qPCR実験は、プレインフェクション実験と同じ方法で行った。
その結果、図1及び図2に示すように、プリインフェクションとポストインフェクションの両方で、ウイルスのみ処理した場合(virus only)、Ct値が14.896で示されたものに比べて、インターフェロンベータをそれぞれ500 IU、1,000 IU、2,000 IU、5,000 IU処理した場合(ABN101(処理量))は、インターフェロンベータの処理量が増加するほどCt値が増加することから、濃度依存的にウイルス量が減少することが分かった。
これを定量的に分析したものを図2a及び図2bに示し、ABN101のSARS-CoV-2に対するEC50は、それぞれ121.5 pM(プレインフェクション)、72.3 pM(ポストインフェクション)となることを確認した。
実施例2:レムデシビルとのコロナウイルス感染抑制効果の比較
インターフェロンベータのコロナウイルス感染抑制効果をレムデシビルと比較するために、プラークアッセイ及びリアルタイム定量RT-qPCRを通じてそれぞれ比較した。
プラークアッセイは、細胞にアガロースをオーバーレイ(agarose overlay)した後、クリスタルバイオレット(crystal violet)で染色してウイルスプラークを分析し、細胞がどの程度ウイルスに感染したかを確認した。
ベロ細胞は、DMEM培地に2%熱非働化処理済み(heat-inactivated)FBSと2 mMのL-グルタミンを含む培地で育て、ベロ細胞を6ウェルに5×105細胞/ウェルに播種して約80%コンフルエントを維持するように、37℃、5% COのインキュベーターで培養した。播種後、翌日SARS-CoV-2ストックを約2×106プラーク形成単位(PFU/mL)で処理した。
SARS-CoV-2を1時間30分間、ベロE6細胞に処理して細胞を感染させた後、感染させたウイルスを完全に除去し、培養培地を3 mL加え、レムデシビルを濃度別に処理して3日間、37℃、5% COのインキュベーターで培養した後、培養上清をそれぞれ回収した。
レムデシビルはDMSOに溶かして調製し、DMSOを含む物質を管理することを測定基準としているので、Mock-1とMock-2を準備した。
リアルタイム定量RT-qPCRは、レムデシビルをそれぞれ0.01 μM(10 nM)、0.05 μM(50 nM)、0.1 μM(100 nM)、0.2 μM(200 nM)、0.5 μM、1 μM、2 μM、3 μM処理したもので、実施例1と同様に実験を行った。
Mock-1及びMock-2の処理材料は以下の通りである。
Mock-1:ウイルス感染後、培養培地のみ
Mock-2:ウイルス感染後、培養培地+DMSO
図3の左側は、プラークアッセイの結果であり、インターフェロンベータをそれぞれプレインフェクション、ポストインフェクション処理した場合(左下端)は、感染した細胞があまり確認されていないものに比べて、レムデシビルを処理した場合(左上端)は、ウイルス感染があまり低減されないことがわかった。レムデシビルのEC50は、74 nMとして知られているが、それに対してインターフェロンベータのEC50はそれより約600倍低い濃度で良好な効力を示すことが確認された。
図3の右側はリアルタイム定量RT-qPCRの結果であり、図1と同様の実験方法で実験した。その結果、レムデシビルとウイルスとの間で、ウイルスのみ処理した場合(virus only)はCt値の差がほとんどない一方で、インターフェロンベータをそれぞれ500 IU処理した場合(ABN101(処理量))は、インターフェロンベータとウイルスのみ処理したCt値の差が増加することから、レムデシビルのEC50よりインターフェロンベータの効能が優れていることを確認した。
実施例3:ハムスター感染モデルにおけるインターフェロンベータのコロナウイルス感染による肺損傷抑制効果
SARS-CoV-2の感染によって肺損傷が起こるのは周知の事実であるため、インターフェロンベータがコロナウイルス感染による肺損傷を防いでいるかどうかを確認した。
SARS-CoV-2の感染肺損傷の程度を確認するために、6週齢の雄シリアンハムスターを準備し、鼻腔投与によりウイルスを100 PFU/headで感染させた。感染直後(0 day post-injection(d.p.i.))、2日後(2 d.p.i)、4日後(4 d.p.i)の計3回でインターフェロンベータ(ABN101)をそれぞれ0.15 MIU/head、1 MIU/head処理した後、肺組織損傷度を評価した。
対照群は、ウイルスのみ投与し(control、virus only)、実験群は、それぞれインターフェロンベータを鼻腔投与により0.15 MIU(100万IU)、1 MIUの量で呼吸器に投与した。肺損傷の程度は、獣医師資格を有する第三者の専門家によって評価され、ハムスター犠牲後の肺全体を採取して、ウイルスのみ投与した群及びインターフェロンベータ投与群の肺番号をつけ、ブラインドして評価損傷度を測定した。これは0~10点までの肺損傷スコア尺度であり、肺全面積損傷は10点、正常レベルは0点で測定して評価した。
その結果、図4及び表1に示すように、ウイルスのみ投与した場合、肺損傷スコアが3.8±0.98で示されたのに対して、インターフェロンベータを投与した場合、用量に依存して肺損傷スコアが減少することが確認できた。
Figure 2024506803000002
実施例4:インターフェロンベータのコロナウイルス武漢株又は変異株のデルタ株予防効果
インターフェロンベータのコロナウイルス感染予防(曝露前予防)効果実験のために、ベロE6細胞にインターフェロンベータを処理して除去した後、コロナウイルス武漢株又はデルタ株を感染させ、プラークアッセイで分析した。
プラークアッセイ(plaque assay)は、細胞にアガロースをオーバーレイ(agarose overlay)した後、クリスタルバイオレット(crystal violet)で染色してウイルスプラークを分析し、細胞がどれだけウイルスに感染したかを確認した。
ベロE6細胞を完全(Complete)DMEM培地(10%FBS)で育成し、ベロE6細胞を12ウェルに播種して約80%コンフルエントを維持するように37℃、5% CO2のインキュベーターで培養した。SARS-CoV-2ストック(武漢株又はデルタ株)を、予防効果(Prophylactic Effect)測定のために約100プラーク形成単位(PFU/mL)で処理した。
予防活性(prophylactic activity)を確認するために、ABN101を濃度別に25 IU/mL、50 IU/mL、100 IU/mL、250 IU/mL、500 IU/mL、1,000 IU/mL、2,500 IU/mL、5,000 IU/mL、10,000 IU/mL、及び25,000 IU/mLで処理し、24時間後、ABN101を除去した。その後、SARS-CoV-2の武漢株又はデルタ株を1時間、ベロE6細胞に処理して細胞を感染させ、感染させたウイルスを完全に除去した後、新しい培養培地で72時間培養した後、プラークアッセイを行った。
本実験の手順は図5に示す。
その結果、表2と図6に示すように、両方のコロナウイルス株に対して250 IU/mLでは、90%以上の感染予防効果を、500 IU/mL以上では、95%以上の感染予防効果を示し、ABN101の武漢株のEC50活性は、28.125 IU/mL、デルタ株のEC50活性は、184.38 IU/mLであった。
Figure 2024506803000003
実施例5:インターフェロンベータのコロナウイルス武漢株又はデルタ株曝露後の予防又は治療効果
インターフェロンベータのコロナウイルス感染治療効果の実験のために、ベロE6細胞に新型コロナウイルス武漢株又はデルタ株を感染させた後、インターフェロンベータを濃度別に処理してプラークアッセイで分析した。
プラークアッセイ(plaque assay)は、細胞にアガロースをオーバーレイ(agarose overlay)した後、クリスタルバイオレット(crystal violet)で染色してウイルスプラークを分析し、細胞がどれだけウイルスに感染したかを確認した。
ベロE6細胞を完全(Complete)DMEM培地(10%FBS)で育成し、ベロE6細胞を12ウェルに播種して約80%コンフルエントを維持するように37℃、5% CO2のインキュベーターで培養した。SARS-CoV-2ストック(武漢株又はデルタ株)は、治療効果(Therapeutic Effect)測定のために約100プラーク形成単位(PFU/mL)で処理した。
有効性確認のためにSARS-CoV-2の武漢株又はデルタ株を1時間、ベロE6細胞に処理して細胞を感染させた後、感染させたウイルスを完全に除去した後、ABN101を濃度別に25 IU/mL、50 IU/mL、100 IU/mL、250 IU/mL、500 IU/mL、1,000 IU/mL、2,500 IU/mL、5,000 IU/mL、10,000 IU/mL、及び25,000 IU/mL処理し、培地を回収し、ウイルス滴定を測定して感染抑制効果を確認した。
本実験のフローチャートは図7に示す。
その結果、表3と図8に示すように、両方のコロナウイルス株に対して500 IU/mL以上で95%以上の感染抑制効能を確認した。ABN101の感染抑制効果は、 武漢株に対するEC50活性は、59.11 IU/mL、デルタ株に対するEC50活性は、25 IU/mLであった。
Figure 2024506803000004
実施例6:インターフェロンベータのインフルエンザ(H1N1)の予防効果
インターフェロンベータのインフルエンザ感染予防効果の実験のために、ベロE6細胞にインターフェロンベータを処理して除去した後、インフルエンザウイルス(H1N1/A/PR8)を感染させた後、プラークアッセイで分析した。
プラークアッセイ(plaque assay)は、細胞にアガロースをオーバーレイ(agarose overlay)した後、クリスタルバイオレット(crystal violet)で染色してウイルスプラークを分析し、細胞がどれだけウイルスに感染したかを確認した。
MDCK細胞は、完全(Complete)DMEM培地(10%FBS)で育成し、MDCK細胞を12ウェルに播種して約80%コンフルエントを維持するように37℃、5% CO2のインキュベーターで培養した。インフルエンザウイルスストック(H1N1/A/PR8)は、予防効果(Prophylactic Effect)測定のために約100プラーク形成単位(PFU/mL)で処理した。
予防活性(prophylactic activity)を確認するために、ABN101を濃度別に25 IU/mL、50 IU/mL、100 IU/mL、250 IU/mL、500 IU/mL、1,000 IU/mL、2,500 IU/mL、5,000 IU/mL、10,000 IU/mL、及び25,000 IU/mL処理し、24時間後にABN101を除去した。その後、インフルエンザウイルス(H1N1/A/PR8)を1時間、MDCK細胞に処理して細胞を感染させた後、感染させたウイルスを完全に除去した後、新しい培養培地で72時間培養した後、プラークアッセイを行った。
本実験の手順は図9に示す。
その結果、図10に示すように、ABN101処理群は処理しなかった群に比べて20%以上のインフルエンザ感染予防効果を示した。
前記のように、本発明では、インターフェロンベータを鼻粘膜、鼻咽頭(nasopharynx)、中咽頭(oropharynx)、咽頭喉頭部(laryngopharynx)、喉頭、気管(trachea)、気管支(bronchi)、細気管支(bronchiole)、又は肺などの呼吸器に呼吸によって投与して、潜在的なコロナウイルス感染に曝露された個体におけるコロナウイルスの自己複製感染を効果的に抑制することができる。

Claims (14)

  1. インターフェロンベータを有効成分として含む、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における呼吸器ウイルスの自己複製感染の抑制用薬学的組成物。
  2. 前記インターフェロンベータが、配列番号1のアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
  3. 前記インターフェロンベータが、吸入による投与によって投与されることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
  4. 前記吸入による投与が、吸入によって呼吸器細胞に接触して投与されることを特徴とする、請求項3に記載の薬学的組成物。
  5. 前記呼吸器が、鼻粘膜、鼻咽頭(nasopharynx)、中咽頭(oropharynx)、咽頭喉頭部(laryngopharynx)、喉頭、気管(trachea)、気管支(bronchi)、細気管支(bronchiole)、又は肺であることを特徴とする、請求項4に記載の薬学的組成物。
  6. 前記呼吸器ウイルスが、コロナウイルスであり、前記個体が、コロナウイルスに感染していないか、又はコロナウイルス感染初期である個体であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
  7. 前記コロナウイルス感染初期である個体が、発熱、空咳、疲労感、体調不良、咽頭痛、下痢、結膜炎、頭痛、味覚又は嗅覚の消失、皮膚の発疹、及び手指又は足指の変色からなる群から選択されるコロナウイルス感染症の症状が見られない個体であることを特徴とする、請求項6に記載の薬学的組成物。
  8. 前記呼吸器ウイルスは、アデノウイルス(Adenovirus)、鳥インフルエンザウイルス(Avian Influenza Virus)、ボカウイルス(Bocavirus)、コロナウイルス(Coronavirus)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、ハンタウイルス(Hantavirus)、単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus)、インフルエンザウイルス(Influenza Virus)、麻疹ウイルス(Measles)、メタニューモウイルス(Metapneumovirus)、パラインフルエンザウイルス(Parainfluenza Virus)、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)、ライノウイルス(Rhinovirus)、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-zoster Virus)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
  9. 前記コロナウイルスが、229E、NL63、OC43、HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、豚流行性下痢ウイルス(porcine epidemic diarrhea virus:PEDV)、(豚)感染性胃腸炎ウイルス(transmissible gastroenteritis virus:TGEV)、犬コロナウイルス(canine coronavirus:CCoV)、猫コロナウイルス(feline coronavirus:FCoV)、ユビナガコウモリ(Miniopterus bat)コロナウイルス1、ユビナガコウモリ(Miniopterus bat)コロナウイルスHKU8、キクカジラコウモリ(Rhinolophus bat)コロナウイルスHKU2、アジアイエローハウスコウモリ(Scotophilus bat)コロナウイルス512、豚血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(porcine hemagglutinating encephalomyelitis virus:PHEV)、牛コロナウイルス(bovine coronavirus:BCoV)、馬コロナウイルス(equine coronavirus:EqCoV)、マウスコロナウイルス(murine coronavirus:MuCoV)、オオバンブーコウモリ(Tylonycteris bat)コロナウイルスHKU4、アブラコウモリ(Pipistrellus bat)コロナウイルスHKU5、ルーセットオオコウモリ(Rousettus bat)コロナウイルスHKU9、鳥コロナウイルス(Avian coronavirus)、シロイルカ(Beluga whale)コロナウイルスSW1、ヒヨドリ(Bulbul)コロナウイルスHKU11、ツグミ(Thrush)コロナウイルスHKU12、及びキンパラ(Munia)コロナウイルスHKU13からなる群から選択されるいずれかであることを特徴とする、請求項8に記載の薬学的組成物。
  10. 前記自己複製感染が、前記コロナウイルスが前記個体の呼吸器細胞で複製されて周囲細胞に感染することを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
  11. 潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された後、呼吸器ウイルスによる自己複製感染から個体を保護する曝露後予防(PEP)方法であって、予防的有効量のインターフェロンベータを個体に投与することを特徴とする、前記方法。
  12. 潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された後、予防的有効量のインターフェロンベータを個体に投与することを含む、呼吸器ウイルスによる自己複製感染から個体を保護する方法。
  13. 潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された対象における呼吸器ウイルスの自己複製感染抑制用製剤を製造するためのインターフェロンベータの使用。
  14. インターフェロンベータを有効成分として含む組成物の有効量を、それを必要とする個体に投与することを含む、潜在的な呼吸器ウイルス感染に曝露された個体における呼吸器ウイルスの自己複製感染を抑制する方法。

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