JP2024506475A - 固相媒体上でのループ介在等温増幅(lamp) - Google Patents

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Abstract

本開示は、吸湿剤を実質的に含まないLAMP試薬混合物を固相反応媒体と組み合わせて含む、ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリに関する。本開示は、実質的に非反応性の固相反応媒体と、非干渉性試薬混合物と、を含む色彩LAMP分析のための系も含む。本開示は、基材、基材上に配置された接着層、接着層上に配置された反応層、及び反応層上に配置された展開層を含む、固相LAMP反応媒体も含む。本開示は、標的ヌクレオチド配列の存在を検査する方法であって、生体試料を提供すること、ならびに固相反応媒体をLAMP試薬混合物及びpH感受性色素と組み合わせて有する検査環境に試料を分注することを含む、方法も含む。【選択図】図1

Description

関連出願
本出願は、2021年1月15日に出願された米国仮特許出願第63/138,316号及び同第63/138,318号の利益を主張し、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、様々な分析目的でヌクレオチドの増幅を可能にする分子生物学技法である。定量的PCR(qPCR)は、PCRの応用であり、標的ヌクレオチドの増幅のモニタリングを可能にする。診断用qPCRは、感染症、がん、及び遺伝子異常を示すヌクレオチドの検出に適用されている。逆転写PCR(RT-PCR)は、qPCRの応用であり、標的RNAヌクレオチドの検出を可能にする。この能力により、RT-PCRはウイルス性病原体の検出に好適である。しかしながら、RT-PCRでは、ある種のポイントオブケア現場では利用できない可能性がある大型の機器が使用される。更に、RT-PCRでは、熟練作業員及び相当な試料の調製が用いられ、かつ実施及び結果の取得に時間がかかる。
それに対して、ループ介在等温増幅(LAMP)は、標的ヌクレオチドを診断的に同定するためのより簡素化されたアプローチである。特に、LAMPは、特定のヌクレオチド配列を増幅するための1回の操作による核酸増幅法である。等温加熱プロセスの使用に加えて、LAMPでは、PCRで使用されるより複雑な蛍光指示薬ではなく、色の変化などの単純な視覚的出力の検査指示薬を使用することができる。逆転写LAMP(RT-LAMP)は、RNAから標的ヌクレオチドを同定するためにRT-PCRと同様に使用することができ、そのため、ウイルス性病原体の有無を同定する診断能力において使用することができる。LAMPはより簡素化されていることから、より少ない機器及び試料調製で実施可能であり、したがって、ポイントオブケア現場、例えば、診療所、緊急治療室、更にはモバイルベースでの使用が容易である。
本開示は、固相媒体上でループ介在等温増幅(LAMP)を使用して標的ヌクレオチドを検出する際に使用するための技術(例えば、方法、系、及びアセンブリ)に関する。いくつかの態様では、標的ヌクレオチドは、目的病原体に存在することが知られている場合がある。病原体がウイルスである場合、LAMP分析は逆転写(RT)RT-LAMP分析であり得る。
いくつかの開示の実施形態では、LAMP反応アセンブリは、吸湿剤を実質的に含まないLAMP試薬混合物を固相反応媒体と組み合わせて含み得る。一態様では、固相媒体は、親水性、吸収性、かつ多孔質であり得る。
一態様では、固相媒体は、マグネシウム干渉剤を実質的に含まない場合がある。別の態様では、マグネシウム干渉剤は、マグネシウム含有化合物及びマグネシウムに干渉するキレート剤を含み得る。
別の態様では、固相媒体は、セルロースベースの媒体であり得る。一態様では、セルロースベースの媒体は、約30~約600の表面積対厚さ比を有し得る。別の態様では、セルロースベースの媒体は、約1ミクロン超かつ約100ミクロン未満の孔径を有し得る。一態様では、固相媒体は、紙を含み得る。別の態様では、固相媒体は、ガラス繊維を含み得る。更に別の態様では、固相媒体は、ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、もしくは親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはそれらの組み合わせを含み得る。
別の態様では、LAMP反応アセンブリは、マグネシウム干渉剤と吸湿剤とを実質的に含まない接着剤を更に含み得る。別の態様では、LAMP反応アセンブリは、固相反応媒体よりも親水性が低い展開層を更に含み得る。
別の開示の実施形態では、前述のLAMP反応アセンブリを製造する方法は、吸湿剤を実質的に含まないLAMP試薬混合物を固相反応媒体と組み合わせて、試薬混合物と固相反応媒体との接触が保持されるようにすることを含み得る。
一態様では、この方法は、非変色性添加剤を使用して変色を制御することを含み得る。別の態様では、非変色性添加剤は、糖、緩衝液、ブロッキング剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。別の態様では、非変色性添加剤は、トレハロース、グルコース、スクロース、デキストラン、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む糖を含み得る。別の態様では、非変色性添加剤は、ウシ血清アルブミン、カゼイン、またはそれらの組み合わせを含むブロッキング剤を含み得る。
別の開示の実施形態では、LAMP分析を実施する方法は、前述のLAMP反応アセンブリを提供すること、反応アセンブリに生体試料を適用すること、LAMP反応を開始させるのに十分な温度までアセンブリを加熱すること、及びLAMP反応を完了させるのに十分な時間にわたり温度を維持することを含み得る。一態様では、生体試料は、唾液、粘液、血液、尿、糞便、汗、呼気凝縮液、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上であり得る。別の態様では、生体試料は、唾液であり得る。一態様では、この方法は、ウイルス性病原体を検出することを更に含み得る。別の態様では、LAMP分析は、逆転写LAMP(RT-LAMP)であり得る。
別の開示の実施形態では、色彩(chromatic)LAMP分析のための系は、実質的に非反応性の固相反応媒体及び非干渉性試薬混合物を含み得る。一態様では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、親水性、吸収性、かつ多孔質であり得る。別の態様では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、酸化剤、pH干渉剤、またはそれらの組み合わせを実質的に含まない場合がある。
一態様では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、約0.01mM~約5mMの緩衝能を有し得る。別の態様では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、pH感受性色素と組み合わせた場合、検査範囲内の最大吸収波長(λmax)を有する。別の態様では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、セルロースまたはガラス繊維を含み得る。別の態様では、系は、接着剤、展開層、スペーサ、プラスチック担体、またはそれらの組み合わせを更に含み得る。一態様では、接着剤、展開層、スペーサ、またはプラスチック担体の各々は、酸化剤及びpH干渉剤を実質的に含まない場合がある。別の態様では、非干渉性試薬混合物は、1つ以上の標的プライマー、DNAポリメラーゼ、または再可溶化剤を更に含み得る。
別の開示の実施形態では、固相pH依存性LAMP分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法は、LAMP反応以外で生じる変色を最小化する固相反応媒体を提供すること、及び固相反応媒体上でLAMP分析を実施することを含み得る。一態様では、この方法は、LAMP反応以外で生じるプロトンによるLAMP以外で生じる変色を制御することを含み得る。別の態様では、この方法は、非変色性添加剤を使用してLAMP反応以外で生じる変色を制御することを含み得る。一態様では、非変色性添加剤は、糖、緩衝液、ブロッキング剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。別の態様では、非変色性添加剤は、トレハロース、グルコース、スクロース、デキストラン、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む糖を含み得る。別の態様では、非変色性添加剤は、ウシ血清アルブミン、カゼイン、またはそれらの組み合わせを含むブロッキング剤を含み得る。
更に別の開示の実施形態では、LAMP分析の検出レベル(LOD)を最大化する方法は、非LAMP反応産物を最小化する反応環境及び試薬を提供することを含み得る。
更に別の開示の実施形態では、色彩LAMP分析のための系は、選択された温度(例えば、約25℃の室温)で保管された場合に、固相媒体の初期色合いの10%以内である色合いを有する固相反応媒体の色調を維持する、固相反応媒体とLAMP試薬との組み合わせを含み得る。一態様では、この組み合わせは、30日、90日、365日、2年、または5年のうちの1つ以上より長く保管された場合に、色調を維持することができる。別の態様では、この組み合わせは、約40%~90%の相対湿度で保管された場合に、色調を維持することができる。別の態様では、選択された温度は、約-20℃~約37℃の範囲内の任意の温度であり得る。
更に別の開示の実施形態では、前述の色彩LAMP系を製造するための方法は、非干渉性試薬混合物を実質的に非反応性の固相反応媒体と組み合わせて、非干渉性試薬混合物と実質的に非反応性の固相反応媒体との接触が保持されるようにすることを含み得る。一態様では、この方法は、非干渉性試薬混合物を含有する溶液を調製すること、及び実質的に非反応性の固相反応媒体上に試薬混合物をコーティングすることを含み得る。別の態様では、コーティングは、実質的に非反応性の固相反応媒体上に溶液を滴下、噴霧、含浸、浸漬、またはミスティングすることを含み得る。別の態様では、非干渉性試薬混合物は、リールツーリール(R2R)プロセスを使用して、実質的に非反応性の固相反応媒体と組み合わされ得る。
更に別の開示の実施形態では、固相LAMP反応媒体は、基材、基材上に配置された接着層、接着層上に配置された反応層、または反応層上に配置された展開層を含み得る。一態様では、基材は、光学的に透明な材料であり得る。別の態様では、接着層は、揮発性剤を実質的に含まない場合がある。別の態様では、接着層は、基材上に不連続的に配置され得る。別の態様では、基材は、光学的にクリアなプラスチック担体であり得る。
一態様では、固相LAMP反応媒体は、検査区域を更に含み得る。一態様では、検査区域は、不連続接着層の少なくとも2つのセグメントによって画定され得る。別の態様では、検査区域は、不連続接着層の少なくとも3つのセグメントによって画定され得る。別の態様では、検査区域は、不連続接着層の少なくとも4つのセグメントによって画定され得る。
一態様では、固相LAMP反応媒体は、試薬を実質的に含まない少なくとも1つのセグメントを更に含み得る。別の態様では、反応層は、1つ以上の標的プライマー、DNAポリメラーゼ、または再可溶化剤を含む試薬を含み得る。別の態様では、試薬により、LAMP反応を実行するのに十分な組成物が形成され得る。一態様では、反応層は不連続であり得る。
別の態様では、固相LAMP反応媒体は、ガラス繊維、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む展開層を更に含み得る。一態様では、展開層は、光学的に透明であり得る。
別の態様では、固相LAMP反応媒体は、スペーサ材料を含み得る。一態様では、スペーサ材料は、ガラス繊維、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリスチレン、ポリエステル、親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。別の態様では、スペーサ材料は、反応層と同じ平面に配向され、かつ反応層のセグメント間に配向され得る。別の態様では、反応層は、約30~約600の表面積対厚さ比を有し得る。別の態様では、反応層は、約0.05mm~約2mmの厚さを有し得る。別の態様では、反応層は、約4mm~約12mmの幅及び約4mm~約25mmの長さを有し得る。別の態様では、反応層のセグメント間の最小空間は、約1.8mm~約2.2mmであり得る。
別の開示の実施形態では、ウイルス性病原体の存在を検査する方法は、対象からの唾液試料を提供すること、ならびに固相反応媒体をLAMP試薬混合物及びpH感受性色素と組み合わせて有する検査環境に試料を分注することを含み得る。一態様では、この方法は、固相媒体を変色させる可能性のある揮発性剤、吸湿剤、及び非pH感受性剤の量を最小化することを含み得る。別の態様では、この方法は、LAMP反応を促進するのに十分な量の1つ以上の標的プライマー、DNAポリメラーゼ、または再可溶化剤を提供することを含み得る。別の態様では、この方法は、逆転写LAMP(RT-LAMP)反応を促進するのに十分な量の逆転写酵素を提供することを含み得る。別の態様では、この方法は、ウイルス性病原体を検出するのに十分な量の1つ以上の標的プライマーを提供することを含み得る。別の態様では、この方法は、試料を検査環境に分注した後、1時間未満で検査結果を生成することを含み得る。
更に別の開示の実施形態では、固相LAMP反応による検査に対する唾液試料の適合性を確認する方法は、少なくとも1つの検査部位または検査スポット及び陰性対照部位を備えた固相反応媒体を提供することを含み得る。一態様では、少なくとも1つの検査部位または検査スポットは、LAMP試薬とpH感受性色素との組み合わせを含み得る。別の態様では、陰性対照部位は、pH感受性色素を含み、かつLAMP試薬を含まない場合がある。別の態様では、この方法は、唾液試料を固相反応媒体に適用することを含み得る。別の態様では、この方法は、陰性対照部位上のpH感受性色素の活性化を確認することを含み得る。
一態様では、pH感受性色素は、フェノールレッド、フェノールフタレイン、アゾリトミン、ブロモチモールブルー、ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであり得る。別の態様では、LAMP試薬は、揮発性試薬、pHに影響を及ぼす試薬、マグネシウム含有試薬、またはそれらの組み合わせを実質的に含まない場合がある。別の態様では、LAMP試薬は、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、標的領域用のプライマー、またはそれらの組み合わせを含む、非干渉性LAMP試薬を含み得る。
別の態様では、この方法は、不連続接着層の少なくとも2つのセグメントによって画定される検査部位または検査スポットを提供することを更に含み得る。別の態様では、この方法は、不連続接着層の少なくとも3つのセグメントによって画定される検査部位またはスポットを提供することを含み得る。
更に別の開示の実施形態では、固相LAMP反応からの陽性検査結果の精度を最大化する方法は、少なくとも3つの検査部位またはスポット(それぞれが共通のpH感受性色素及びLAMP試薬の組み合わせを含む)を備えた固相反応媒体を提供することを含むことができ、各部位は、標的病原体に由来する異なるプライマー配列を含む。一態様では、この方法は、LAMP反応を開始させることを含み得る。別の態様では、この方法は、検査部位またはスポットのうちの少なくとも2つがpH感受性色素を活性化させて第1の色から第2の色への変化を呈した場合に、陽性の検査結果を確定することを含み得る。別の態様では、この方法は、逆転写LAMP反応を促進するのに十分な量の逆転写酵素を提供することを更に含み得る。
一態様では、pH感受性色素は、フェノールレッド、フェノールフタレイン、アゾリトミン、ブロモチモールブルー、ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであり得る。別の態様では、LAMP試薬は、揮発性試薬、pHに影響を及ぼす試薬、マグネシウム含有試薬、またはそれらの組み合わせを実質的に含まない場合がある。
別の態様では、標的病原体は、ウイルス性病原体、細菌性病原体、真菌性病原体、または原生動物病原体を含み得る。一態様では、標的病原体は、ウイルス性病原体を含み得る。一態様では、ウイルス性病原体は、dsDNAウイルス、ssDNAウイルス、dsRNAウイルス、プラス鎖ssRNAウイルス、マイナス鎖ssRNAウイルス、ssRNA-RTウイルス、またはds-DNA-RTウイルスを含み得る。一態様では、各プライマー配列は、H1N1、H2N2、H3N2、H1N1pdm09、またはSARS-CoV-2を含むウイルス標的に由来する配列と一致し得る。
一開示の実施形態では、標的ヌクレオチド配列の存在を検査する方法は、生体試料を提供すること、ならびに固相反応媒体をループ介在等温増幅(LAMP)試薬混合物及びpH感受性色素と組み合わせて有する検査環境に試料を分注することを含み得る。
別の態様では、検査環境は、揮発性試薬、pHに影響を及ぼす試薬、乾燥剤、またはそれらの組み合わせを実質的に含まない場合がある。一態様では、この方法は、検査環境温度を毎秒約0.1℃の速度で上昇させることを含み得る。別の態様では、この方法は、変動が1℃未満である検査環境の加熱均一性を提供することを含み得る。別の態様では、この方法は、セルロースまたはガラス繊維を含む固相反応媒体を提供することを含み得る。一態様では、この方法は、逆転写LAMP(RT-LAMP)反応を促進するのに十分な量の逆転写酵素を提供することを含み得る。
一態様では、生体試料は、唾液、粘液、血液、尿、もしくは糞便、汗、呼気凝縮液、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであり得る。一態様では、この方法は、唾液収集デバイス、鼻腔スワブ、血液収集デバイス、尿収集デバイス、汗収集デバイス、呼気凝縮液収集デバイス、または便収集デバイスのうちの1つ以上を使用して生体試料を収集することを含み得る。
別の態様では、標的ヌクレオチド配列は、ウイルス性病原体、細菌性病原体、真菌性病原体、または原生動物病原体のうちの少なくとも1つに由来し得る。一態様では、標的ヌクレオチド配列は、ウイルス性病原体に由来し得る。一態様では、ウイルス性病原体は、CoronoviridaeOrthomyxoviridaeParamyxoviridaePicornaviridaeAdenoviridae、及びParvoviridaeからなる群から選択され得る。別の態様では、ウイルス性病原体は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-1)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、中東呼吸器症候群(MERS)、インフルエンザ、及びH1N1からなる群から選択され得る。一態様では、標的ヌクレオチド配列は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)病原体に由来し得る。
更に別の開示の実施形態では、生体試料検査器具は、ループ介在等温増幅(LAMP)の脱水試薬混合物及び脱水pH感受性色素と組み合わせて、固相反応媒体に係合する基材を含むことができ、この器具は、室温で保管された場合、6ヶ月間の保管後に少なくとも約95%の検査精度の程度を提供する。一態様では、器具は、室温で保管された場合、12ヶ月間の保管後に少なくとも約95%の検査精度の程度を提供し得る。別の態様では、器具は、室温で保管された場合、2年間の保管後に少なくとも約95%の検査精度の程度を提供し得る。
更に別の開示の実施形態では、生体試料検査系は、ループ介在等温増幅(LAMP)の脱水試薬混合物及び脱水pH感受性色素と組み合わせて、固相反応媒体に係合する基材を含むことができ、前記ハウジングは生体試料を受けるように動作可能である。一態様では、生体試料検査系は、LAMP試薬混合物間のLAMP反応を開始させかつ維持するのに十分な内部温度まで容器を等温加熱するように構成されたヒータを含み得る。別の態様では、生体試料検査系は、pH感受性色素を介して検査結果を生成するために使用される時間にわたり、生体試料を含み得る。
一態様では、基材は、光学的に透明な材料を含み得る。別の態様では、基材は、接着剤を介して固相反応媒体と係合し得る。別の態様では、接着剤は、実質的に光学的に透明であり得る。別の態様では、基材は、ハウジングの一部を構成し得る。
別の態様では、生体試料検査系は、基材上に配置された接着層、接着層上に配置された反応層、及び反応層上に配置された展開層を含み得る。一態様では、生体試料検査系は、反応層と同じ平面に配向されたスペーサ層を更に含み得る。別の態様では、ハウジングは、基材に接して配置され得る。別の態様では、ハウジングは更に、展開層に接して配置され得る。別の態様では、ハウジングは、基材、接着層、反応層、及び展開層を実質的に囲むことができる。
本開示の特質及び利点は、本開示の特質を例として共に図示する添付図面と併せてなされる以下の詳細な説明を参照することにより、明らかになるであろう。
例示的実施形態によるLAMP分析を実施する方法を示す。 例示的実施形態による、固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析において色彩出力シグナルの精度を最大化する方法を示す。 例示的実施形態による、3つの検査セクションを備えた固相LAMP反応媒体を図示する。 例示的実施形態による、2つの検査セクションを備えた固相LAMP反応媒体を図示する。 例示的実施形態による、4つの検査セクションを備えた固相LAMP反応媒体を図示する。 例示的実施形態による、3つの検査セクションを備えており展開層を伴わない固相LAMP反応媒体を図示する。 例示的実施形態による、2つの検査セクションを備えており展開層を伴わない固相LAMP反応媒体を図示する。 例示的実施形態による、4つの検査セクションを備えており展開層を伴わない固相LAMP反応媒体を図示する。 例示的実施形態による、ウイルス性病原体の存在を検査する方法を示す。 例示的実施形態による、固相LAMP反応による検査に対する唾液試料の適合性を確認する方法を示す。 例示的実施形態による、固相LAMP反応からの陽性検査結果の精度を最大化する方法を示す。 例示的実施形態による、標的ヌクレオチド配列の存在を検査する方法を示す。 例示的実施形態による生物学的検査キットの操作を示す。 例示的実施形態による生物学的検査キットのカラーチャートを図示する。 例示的実施形態による紙ベースのLAMPアセンブリを図示する。 例示的実施形態による、グレード1及びグレード222のクロマトグラフィー用紙の材料スクリーニングを図示する。 例示的実施形態による、水に添加した熱不活化SARS-CoV-2を使用した液体中での反応を示す。 例示的実施形態による紙ストリップの形式を図示する。 例示的実施形態による固相LAMP反応媒体を図示する。 例示的実施形態による固相LAMP反応媒体を図示する。 例示的実施形態による、グレード1のクロマトグラフィー用紙とグレード222のクロマトグラフィー用紙との比較を図示する。 例示的実施形態による、RT-LAMP反応混合物の異なる開始pHでの乾燥を導入した場合のRT-LAMPを図示する。 例示的実施形態による検査ストリップの形式を図示する。 例示的実施形態による検査ストリップのアセンブリプロセスを図示する。 例示的実施形態による生物学的検査系の操作を図示する。 例示的実施形態による生物学的検査系の操作を図示する。 Aは、例示的実施形態による、紙ベースのデバイスの概略図及び比色特性を図示する。Bは、例示的実施形態による、紙ベースのデバイスの概略図及び比色特性を図示する。Cは、例示的実施形態による、紙ベースのデバイスの概略図及び比色特性を図示する。Dは、例示的実施形態による、紙ベースのデバイスの概略図及び比色特性を図示する。Eは、例示的実施形態による、紙ベースのデバイスの概略図及び比色特性を図示する。Fは、例示的実施形態による、紙ベースのデバイスの概略図及び比色特性を図示する。 Aは、例示的実施形態による、紙上の比色反応のデジタル分析を図示する。Bは、例示的実施形態による、紙上の比色反応のデジタル分析を図示する。Cは、例示的実施形態による、紙上の比色反応のデジタル分析を図示する。 例示的実施形態による、様々な濃度の熱不活化SARS-CoV-2でのデバイスの検証を図示する。 例示的実施形態による、様々なpH値でのフェノールレッドの色較正を図示する。 例示的実施形態による、様々な鋳型濃度でのRT-LAMP比色反応の緑色チャネル色強度を図示する。 例示的実施形態による、比色レポーターとしてEBTを使用したクロマトグラフィー用紙上でのLAMPを図示する。 例示的実施形態による、指示薬としてEBTを使用した様々な紙上でのLAMPの比色反応を図示する。 例示的実施形態による、比色指示薬としてEBTを使用したバイオダインA両性紙上でのLAMP検出を図示する。 例示的実施形態による、単一反応物質の除去が乾燥後の紙の初期色に及ぼす影響を図示する。 例示的実施形態による、トレハロース及びTween20がRT-LAMP比色反応に及ぼす影響を図示する。 例示的実施形態による、唾液処理が比色反応に及ぼす影響を図示する。 例示的実施形態による、プレートがRT-LAMP比色反応に及ぼす影響を図示する。 例示的実施形態による、キャップがRT-LAMP比色反応に及ぼす影響を図示する。 例示的実施形態による、加熱方法がRT-LAMP比色反応に及ぼす影響を図示する。 例示的実施形態による、ランプ速度がRT-LAMP比色反応に及ぼす影響を図示する。 例示的実施形態による比色知覚調査を図示する。 例示的実施形態による比色知覚調査を図示する。
これより、図示された例示的実施形態が参照され、本明細書では、それらを説明するために特定の語が使用される。それでもなお、本技術の範囲がそれにより限定されないことが意図されることが理解されよう。
本発明の実施形態を説明する前に、本開示は、本明細書に開示される特定の構造、プロセス工程、または材料に限定されず、関連技術分野の当業者が認識するであろうその等価物にまで及ぶことを理解されたい。また、本明細書において用いられる専門用語は、特定の実施形態(複数可)を単に説明する目的でのみ使用され、限定を意図するものではないことが理解されるべきである。異なる図面における同じ参照番号は、同じ要素を表している。フローチャート及びプロセスで提供される番号は、工程及び操作を明確に図示するために提供されており、必ずしも特定の順番または順序を示すものではない。
更に、記載された特質、構造、または特徴は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。以下の説明では、本発明の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細、例えば、組成物、剤形、治療などの例が提供される。しかしながら、当業者であれば、そのような詳細な実施形態は、本明細書で明示される全体的な発明概念を限定するものではなく、単にその代表に過ぎないものであることを認識するであろう。
定義
本明細書で使用される場合、文脈上明らかに別段に示されている場合を除き、「a」、「an」、及び「the」という単数形には、複数の参照対象が含まれることに留意すべきである。したがって、例えば、「賦形剤(an excipient)」への言及は、そのような賦形剤のうちの1つ以上への言及を含み、「担体(the carrier)」への言及は、そのような担体のうちの1つ以上への言及を含む。
本明細書で使用される場合、「配合物」及び「組成物」という用語は、互換的に使用され、2つ以上の化合物、要素、または分子の混合物を指す。いくつかの態様では、「配合物」及び「組成物」という用語は、1つ以上の活性剤と担体または他の賦形剤との混合物を指すために使用され得る。
本明細書で使用される場合、「可溶性」という用語は、物質または剤が所与の溶媒に溶解する能力に関する尺度または特徴である。組成物の特定の成分における物質または剤の溶解度は、約25℃または約37℃などの特定の温度で溶解して目に見えて透明である溶液を形成する、物質または剤の量を指す。
本明細書で使用される場合、「親油性」という用語は、水に溶けやすくない化合物を指す。逆に、「親水性」という用語は、水に可溶である化合物を指す。
本明細書で使用される場合、「対象」は動物を指す。一態様では、動物は哺乳動物であり得る。別の態様では、哺乳動物はヒトであり得る。
本明細書で使用される場合、「非液体」は、本明細書で開示される組成物の状態を指すために使用される場合、半固体または固体としての組成物の物理的状態を指す。
本明細書で使用される場合、「固体」及び「半固体」とは、標準温度及び圧力で自重を支え、かつ自由に流動しない適切な粘性または構造を有する、組成物の物理的状態を指す。半固体材料は、加圧下で容器の形状に順応し得る。
本明細書で使用される場合、「固相媒体」とは、非液体媒体を指す。一例では、非液体媒体は、多孔質表面を有する材料であり得る。別の例では、非液体媒体は、繊維質表面を有する材料であり得る。更に別の例では、非液体媒体は、紙であり得る。
本明細書で使用される場合、「固相媒体」、「固相基部」、「固相基材」、「固相検査基材(solid phase test substrate)」、「固相検査基材(solid phase testing substrate)」、「固相反応媒体」などは、本明細書では互換的に使用することができ、非液体媒体、デバイス、系、または環境を指す。いくつかの態様では、非液体媒体は、液体を実質的に含まないか、または液体を完全に含まない場合がある。一例では、非液体媒体は、多孔質材料もしくは多孔質表面を有する材料を含み得るか、または多孔質材料もしくは多孔質表面を有する材料であり得る。別の例では、非液体媒体は、繊維質材料もしくは繊維質表面を有する材料を含み得るか、または繊維質材料もしくは繊維質表面を有する材料であり得る。更に別の例では、非液体媒体は、紙であり得る。
本明細書で使用される場合、「非変色性添加剤」とは、固体媒体上でまたはその中で起こるLAMP反応によるヌクレオチド増幅以外の理由による、固相媒体の色の本来の色または開始時の色から異なる色への色の変化を最小化するまたは防止する添加剤を指す。例えば、一実施形態では、そのような色の変化は、非変色性添加剤が存在しない場合に起こる色の変化と比較して、最小化され得るか、または低減され得る。
本明細書で使用される場合、「LAMP反応以外で生じる変色」とは、LAMP反応によるヌクレオチド増幅の結果ではない固相媒体のあらゆる変色(例えば、本来の色から別の色への色の変化)を指す。いくつかの例では、LAMP反応以外で生じる変色は、揮発性剤、マグネシウム干渉剤、酸化剤、LAMP反応による増幅以外の原因によるpH変化、乾燥、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上に起因する固相媒体の変色を指し得る。
本明細書で使用される場合、「揮発性剤」とは、高蒸気圧または低沸点を有する組成物を含む剤を指す。一例では、硫酸アンモニウムは揮発性剤であり得るが、これはアンモニウムイオンが揮発して硫酸が残存し得るからである。一例では、組成物が約30℃を超える温度で気相にある場合、組成物は高蒸気圧を有し得る。一例では、組成物形態が約80℃未満の温度で気相にある場合、組成物は低沸点を有し得る。
本明細書で使用される場合、「乾燥剤」とは、乾燥剤を用いない固相媒体の乾燥と比較した場合に、固相媒体の乾燥を増強させる剤を指す。
本明細書で使用される場合、「pH干渉試薬」は、LAMP反応による増幅以外の理由で、反応、系、または環境のpHに影響を及ぼし得る試薬である。一例では、アンモニウムイオンは硫酸アンモニウムから揮発することができ、硫酸イオンが反応して硫酸を形成し、LAMP反応による増幅の非存在下で反応のpHに影響を及ぼす場合がある。
本明細書で使用される場合、「非pH感受性剤」は、pHの変化の影響を実質的に受けない試薬である。
本開示において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する」、及び「有する」などは、米国特許法においてそれらに帰せられる意味を有することができ、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味することができ、一般に、非制限の用語であると解釈される。「からなる(consisting of)」または「からなる(consists of)」という用語は、限定的な用語であり、そのような用語と併せて具体的に列挙されている成分、構造、工程などに加えて、米国特許法に準拠するもののみを含む。「から本質的になる(consisting essentially of)」または「から本質的になる(consists essentially of)」は、米国特許法によってそれらに一般に帰せられる意味を有する。特に、そのような用語は、それらに関連して使用される項目(複数可)の基本的かつ新規な特徴または機能に実質上影響を及ぼさない追加の項目、材料、成分、工程、または要素を含めることが認められる場合を除き、一般に限定的な用語である。例えば、組成物中に存在するが組成物の性質または特徴に影響を及ぼさない微量元素は、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語の下で存在する場合、たとえそのような専門用語に続く項目のリストに明示的に列挙されていなくても許容される。書面による説明において「含む(comprising)」または「含む(including)」などの非制限の用語を使用する場合、「からなる(consisting of)」という語のみならず、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語も、あたかも明示的に記載されているかのように直接支持されるべきであり、その逆もまた同様であることが理解される。
明細書及び特許請求の範囲において「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語がある場合は、それらは類似する要素を区別するために使用され、必ずしも特定の連続的または時系列的な順番を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語はいずれも、本明細書に記載される実施形態が、例えば、本明細書に図示または他の方法で記載されたもの以外の順序で動作可能であるように、適切な状況下において互換的であることを理解されたい。同様に、方法が一連の工程を含むものとして本明細書に記載されている場合、本明細書に提示されているそのような工程の順番は、必ずしもそのような工程が実施され得る唯一の順番ではなく、場合によっては記載された工程のある一部が省略される可能性があり、及び/または場合によっては本明細書に記載されていないある特定の他の工程が方法に追加される可能性がある。
本明細書で使用される場合、「増加した」、「低下した」、「より良好な」、「より悪い」、「より高い」、「より低い」、「増強された」、「最大化された」、「最小化された」などの比較に関する用語は、周囲区域または隣接区域にあるか、同様に配置されているか、単一のデバイスもしくは組成物内、または複数の比較可能なデバイスもしくは組成物内にあるか、群またはクラス内にあるか、または複数の群またはクラス内にある、他のデバイス、成分、組成物、または活性と、あるいは公知の現況技術と比較したものと、測定可能なほど異なるデバイス、成分、組成物、または活性の特性を指す。
「結合された」という用語は、本明細書で使用される場合、化学的、機械的、電気的、または非電気的な方法で直接的または間接的に接続されることと定義される。本明細書で互いに「隣接している」と記載される物体は、その語句が使用される文脈に応じて、互いに物理的に接触し得るか、互いに近接し得るか、または互いに同じ一般的な領域もしくは区域にあり得る。「直接結合された」物体、構造、要素、または特質は、互いに接触しており、また取り付けられている場合がある。更に、この書面による説明で使用される場合、「結合された」という用語を使用する場合、「直接結合された」も支持され、その逆もまた同様であることを理解されたい。
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目、または結果の完全またはほぼ完全な範囲または程度を指す。例えば、「実質的に」囲まれた物体は、その物体が完全に囲まれているか、またはほぼ完全に囲まれているかのいずれかを意味する。絶対的完全性からの逸脱の正確な許容可能な程度は、いくつかの場合では特定の文脈に依存し得る。しかし、一般的に言えば、完全に近づくことで、あたかも絶対的かつ総体的な完全が得られたのと同じような全体的な結果が得られるようになる。「実質的に」の使用は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目、または結果が完全にまたはほぼ完全に欠如していることを指すために否定的な含意で使用される場合にも同様に適用される。例えば、粒子を「実質的に含まない」組成物は、粒子が完全に欠如しているか、または粒子がほぼ完全に欠如しているためその効果が粒子が完全に欠如している場合と同じであるかのいずれかである。換言すれば、ある構成成分または要素を「実質的に含まない」組成物であっても、そのような項目を、その測定可能な効果がない限り実際には依然として含有している可能性がある。
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の値が終点を「少し上回る」または「少し下回る」場合があることを定めることにより、数値範囲の終点に柔軟性を与えるために使用される。別途記載のない限り、特定の数値または数値範囲に合わせて「約」という用語を使用することは、「約」という用語を伴わないそのような数値用語または数値範囲を支持するものであるとも理解されるべきである。例えば、便宜上及び簡潔にするために、「約50オングストローム~約80オングストローム」という数値範囲は、「50オングストローム~80オングストローム」の範囲を支持するものであるとも理解されるべきである。更に、本明細書では、実際の数値についても、それらが「約」という用語とともに使用される場合であっても支持されることを理解されたい。例えば、「約」30という記述は、30を少し上回る値及び少し下回る値を支持するのみならず、30という実際の数値も支持すると解釈されるべきである。
本明細書で使用される場合、複数の項目、構造要素、組成要素、及び/または材料は、便宜上、共通のリストで提示される場合がある。しかしながら、これらのリストは、リストの各構成部分が別個のユニークな構成部分として個々に識別されるかのように解釈されるべきである。したがって、そのようなリストの個々の構成部分は、そうではないことが示されていない場合、共通の群内に存在するということのみに基づいて、同じリストの任意の他の構成部分と事実上同等であると解釈されるべきではない。
濃度、量、レベル、及び他の数値データは、本明細書では範囲形式で表示または提示され得る。そのような範囲形式が、単に便宜性及び簡潔性を目的として使用されること、したがって範囲の限界値として明示的に列挙された数値のみならず、当該範囲に包含される全ての個々の数値または部分範囲または小数単位も、あたかも各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように含むものとして柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。実例として、「約1~約5」という数値範囲は、明示的に列挙された約1~約5の値のみならず、示された範囲内の個々の値及び部分範囲も含むものと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、2、3、及び4などの個々の値、ならびに1~3、2~4、3~5などの部分範囲が、1、2、3、4、及び5に加えて個々に含まれる。これと同じ原理が、最小値または最大値として1つの数値のみを列挙する範囲にも適用される。更に、そのような解釈は、記載されている範囲の幅または特徴に関係なく適用されるべきである。
本明細書全体を通して、「一つの例」への言及は、その例に関連して記載されている特定の特質、構造、または特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所に「一つの例では」という語句が出現することは、必ずしもその全てが同じ実施形態を指しているというわけではない。
実施形態
病原体(例えば、COVID-19の原因ウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2))に対する多くの分子検査は、検査室に限定され、そのため結果が得られるまでに著しいタイムラグ(24時間超)があり得ることにより、ポイントオブケア現場での採用が妨げられている。SARS-CoV-2に対するポイントオブケア検査の開発は何度か試みられているものの、いくつかの制約、すなわちi)拡張性(検査の需要は週に数百万単位であるが、その規模で新たな検査を作り上げるのは困難である)、ii)試料処理(唾液を使用する場合、多くの検査では依然として抽出操作が用いられる)、及びiii)可読性(分子検査では蛍光が使用されることが多いため、結果の報告に蛍光リーダーが使用される)が、依然として残っている。
現在の検査方法は、希釈唾液(例えば、水中5v/v%)を試料として使用して60分以内に病原体(例えば、SARS-CoV-2)の存在下で色の変化を通知する、紙ベースのデバイスと逆転写ループ介在等温増幅(RT-LAMP)とを使用したポイントオブケア検査を使用することで克服可能である。RT-LAMPは、特に感染の急性期の間に適切な診断性能を有する、一定温度で行われる核酸増幅技法である。RT-LAMPは一定温度で行うことができるため、高価な熱サイクル機器は使用されない。更に、LAMP産物用の既存の比色レポーターには、蛍光リーダーが使用されない。結果として、この検査はポイントオブケア現場での使用に好適であり、迅速な開発及びスケールアップに適しているため、公衆衛生上の緊急事態での使用に適している。
RT-LAMPは、様々な病原体(例えば、SARS-CoV-2)を検出するためのマイクロ流体紙基板分析デバイス(μPAD)に実装することができ、その際、ポータブル電子デバイスを使用し画像分析を実施して、陽性反応と陰性反応とを区別することができる。一例では、紙上での高コントラストRT-LAMP反応により、肉眼で見える色の変化がもたらされ得る。更に、ワックスプリンティング(印刷区域の精密な位置合わせ及び試薬の分注を伴う)を使用する代わりに、試料間のクロストークを防止するためにポリスチレンスペーサを使用することができる。ポリスチレンスペーサは、生産をスケールアップするためのロールツーロール製作に適し得る。
核酸ベースのCOVID-19診断法では、結果の提供には前処理が用いられる。本明細書に開示されるように、SARS-CoV-2の紙上での比色検出は、最小限の前処理で実施することができる。デバイスは、事前増幅なしで紙上のSARS-CoV-2を検出することができる感度及び特異度を有し得る。溶液中で行われる他のアッセイは、紙ベースのアッセイほど製造中に拡張性が高くない可能性がある。更に、本明細書に開示されるアッセイでは、数秒で完了可能な希釈操作が使用されるが、他のアッセイでは、プロテアーゼによる処理、熱不活化、及び/またはRNA抽出などの様々な操作がSARS-CoV-2を検出するために使用される(操作は少なくとも10分間で完了し、更なる機器が使用される)。
固相媒体上でのLAMP反応用の材料アセンブリ
固相媒体上でのLAMP反応の実行は、性能の要求が伴うため困難な場合がある。例えば、検査精度を最大化するためには、固相媒体は、LAMP反応またはLAMP反応指示薬に干渉せずにLAMP反応を支持する必要がある。高レベルでは、固相媒体が生体試料と水和されることでLAMP反応が進行し、その後結果が読み取られる。しかしながら、様々な試薬がLAMP反応またはその後の結果の読み取りに干渉する可能性がある。エラーを最小化させるために、生体試料の提供、固相媒体と試料との水和、LAMP試薬の固相媒体への組み込み、LAMP分析の実行、及び難なく解釈可能である明確な検査出力シグナルの取得、に関して発生する可能性のある課題を最小化または回避するように、注意を払うことができる。
上述の背景を念頭に置いて、一開示の実施形態では、ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリは、吸湿剤を実質的に含まないLAMP試薬混合物を固相反応媒体と組み合わせて含み得る。LAMP試薬混合物は、吸湿剤を実質的に含まない場合、固相反応媒体の乾燥中に生じる困難を最小化するかまたは回避することができる。吸湿剤を使用する場合、吸湿剤または固相反応媒体が完全に乾燥しない可能性があるか、またはそれらが保管時にある程度再水和する可能性があり、かつ固相反応媒体の本来の色に干渉する可能性があり、これがLAMPプロセスの検査結果を歪める場合がある。
一例では、吸湿剤は、25℃で約40%~約90%の相対湿度(RH)のときに約10重量%超を吸収する剤であり得る。一態様では、吸湿剤は、限定されないが、グリセロール、エタノール、メタノール、塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸カルシウムなど、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。いくつかの例では、グリセロールなどの吸湿剤を含有するLAMP反応は、吸湿剤が水を引き付ける可能性があるため、固相媒体中の試薬の不安定性の一因となり得る。したがって、固相反応媒体中の過剰量の吸湿剤は避けるべきである。
更に、別の態様では、吸湿剤を実質的に含まないLAMP試薬混合物は、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、標的プライマー、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。LAMP反応がLAMP反応または逆転写LAMP(RT-LAMP)反応のいずれかの場合、DNAポリメラーゼを含めることができる。更に、LAMP反応がRT-LAMP反応である場合、吸湿剤を実質的に含まないLAMP試薬は、RNAをcDNAに逆転写するために使用される逆転写酵素を更に含み得る。
一態様では、固相反応媒体は、マグネシウム干渉剤を実質的に含まない場合がある。マグネシウムは、いくつかの形でLAMP反応に干渉する可能性がある。第1に、マグネシウムはDNAポリメラーゼの補因子であり得、DNAポリメラーゼがLAMP反応を促進することができるように、目標濃度範囲内でマグネシウムを密接にモニタリングする必要がある。第2に、マグネシウム感受性指示薬がLAMP反応に使用される場合、マグネシウム干渉剤によりLAMP反応の結果が無効になるまたは結果の分析が複雑になる可能性がある。
したがって、別の態様では、マグネシウム干渉剤は、マグネシウム含有化合物及びマグネシウムに干渉するキレート剤を含み得る。一態様では、マグネシウム干渉剤は、Mg2+、Mg1+、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウム七水和物など、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないマグネシウムを実質的に含まない場合がある。一部の固相反応媒体が、マグネシウムに干渉する可能性のあるいくらかの緩衝能、残留イオン、またはキレート剤を有している可能性があるため、BST酵素(例えば、DNAポリメラーゼ)の補因子であるマグネシウムの濃度が影響を受ける可能性があり、これがLAMP反応に干渉する可能性がある。結果として、LAMP反応を促進するためには、マグネシウムの濃度を目標マグネシウム範囲内に制御する必要がある。一態様では、組成物は、1.0重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、または0.01重量%未満のマグネシウムのうちの1つ以上を含有し得る。
固相反応媒体は、LAMP反応を促進するためにいくつかの特徴を有し得る。一態様では、固相反応媒体は、親水性、吸収性、多孔質、かつ不活性であり得る。固相反応媒体は、液滴の表面と縁の間の接触角が約90度未満の場合、親水性であり得る。固相反応媒体は、紙がある量の液体を吸い上げることができる程度によって測定される吸収性を有し得る。固相反応媒体は、固相反応媒体の孔径が少なくとも1ミクロン超かつ約100ミクロン以下、約75ミクロン以下、約50ミクロン以下、約25ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、または約1ミクロン以下のうちの1つ以上である場合、多孔質であり得る。固相反応媒体は、媒体がLAMP反応に干渉しない場合、不活性であり得る。固相反応媒体は、媒体がLAMP反応から生じる指示作用に干渉しない場合も、不活性であり得る。
固相反応媒体が含む(comprise)または含む(include)ことができる様々な材料が存在する。一態様では、固相反応媒体は、ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。別の態様では、固相反応媒体は、グレード1のクロマトグラフィー用紙、グレード222のクロマトグラフィー用紙など、またはそれらの組み合わせなどのセルロースベースの媒体であり得る。
固相反応媒体の材料のタイプに加えて、固相反応媒体は、LAMP反応に適合するかまたはそれを増強させ、かつLAMP反応から生じる指示作用またはシグナル出力への干渉を回避することができる、いくつかの物理的特性を有し得る。一態様では、固相反応媒体は、約30~約600の表面積対厚さ比を有し得る。別の態様では、固相反応媒体は、約60~約400の表面積対厚さ比を有し得る。一態様では、固相反応媒体は、約100~約200の表面積対厚さ比を有し得る。別の態様では、固相反応媒体は、約30~約600の表面積対厚さ比を有し得るセルロースベースの媒体であり得る。一態様では、セルロースベースの媒体は、少なくとも1ミクロン超かつ約100ミクロン以下、約75ミクロン以下、約50ミクロン以下、約25ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、または約1ミクロン以下のうちの1つ以上である孔径を有し得る。
固相反応媒体の厚さは、LAMP反応の総反応時間、固相反応媒体を通過する流量、比色指示薬を使用したときの色のコントラスト、比色結果の均一性、固相反応媒体中の試薬の濃度などに寄与し得る。
一態様では、固相反応媒体は、グレード222のクロマトグラフィー用紙を含むことができ、グレード222のクロマトグラフィー用紙は、グレード1のクロマトグラフィー用紙よりも厚いためグレード1のクロマトグラフィー用紙の均一性と比較して均一性が増加する。結果として、グレード222のクロマトグラフィー用紙は、グレード1のクロマトグラフィー用紙と比較して、より小さな表面積に試薬を集中させることができる。一態様では、クロマトグラフィー用紙は、所望の表面積対厚さ比を提供するために、約5mm×約5mmの表面積を有するグレード222であり得る。一例では、グレード1のクロマトグラフィー用紙は、長さ20mm、幅5mm、厚さ0.18mmの断面寸法を有し、約555の表面積対厚さ比を提供することができる。別の例では、グレード222のクロマトグラフィー用紙は、長さ5mm、幅5mm、厚さ0.83mmの断面寸法を有し、約30の表面積対厚さ比を提供することができる。したがって、この例は、約30の表面積対厚さ比(例えばグレード222のクロマトグラフィー用紙の場合)は、約555の表面積対厚さ比(例えば、グレード1のクロマトグラフィー用紙の場合)と比較して均一性を増加させることができることを示している。
本明細書に開示される材料の他に、固相反応媒体は、紙またはガラス繊維のうちの1つ以上を含み得る。一例では、紙は、アルファセルロース、ベータセルロース、ガンマセルロースなど、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。別の例では、ガラス繊維は、A-ガラス、E-ガラス、S-ガラス、R-ガラス、C-ガラス、T-ガラス、D-ガラス、M-ガラス、ECRガラスなど、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。
いくつかの例では、反応アセンブリは、接着剤を含み得る。例えば、接着剤は、固相反応媒体の様々なセグメントを互いに接着するために使用され得る。一例では、反応アセンブリは、マグネシウム干渉剤、吸湿剤、またはそれらの組み合わせを実質的に含まない接着剤を更に含み得る。接着剤は、マグネシウムベースの指示薬を使用する場合に、マグネシウムとDNAポリメラーゼとの間の干渉を回避し、LAMP結果の読み取りの際の複雑さを回避するために、マグネシウム干渉剤を実質的に含まない場合がある。
いくつかの例では、反応アセンブリは、展開層も含み得る。展開層は、固相反応媒体の様々なセクションの全体にわたる生体試料の均一な展開を促進し得る。別の例では、展開層は、固相反応媒体よりも親水性が低い場合がある。固相反応媒体よりも親水性の低い展開層を有することにより、生体試料が親水性の低い展開層から親水性のより高い固相反応媒体へと拡散することから、生体試料の均一な展開が促進され得る。
固相反応媒体に対する試薬混合物の配置構成は、LAMP反応に影響を及ぼし得る。一実施形態では、本明細書に列挙されるLAMP反応アセンブリを製造する方法は、吸湿剤を実質的に含まないLAMP試薬混合物を固相反応媒体と組み合わせて、試薬混合物と固相反応媒体との接触が保持されるようにすることを含み得る。一例では、試薬混合物を固相反応媒体と直接接触させて保持することができる。別の例では、試薬混合物を固相反応媒体と間接的に接触させて保持することができる。試薬混合物を固相反応媒体と間接的に接触させて保持する場合、介在材料(例えば、抗酸化剤)でLAMP反応を増強させることができる。
いくつかの場合では、固相反応媒体の色は、LAMP反応に起因しない剤に影響され得る。例えば、硫酸アンモニウムなどの揮発性剤が硫酸イオンを形成し、それが反応して硫酸を形成する可能性がある。LAMP反応の結果を読み取るためにpHベースの指示薬を使用する場合、これらの非LAMP反応により結果の正しい読み取りが妨げられ得るか、または結果の解釈が更に複雑になり得る。
一態様では、この方法は、非変色性添加剤を使用して変色を制御することを含み得る。非変色性添加剤は、糖、緩衝液、ブロッキング剤など、またはそれらの組み合わせを含み得る。一例では、糖は、トレハロース、グルコース、スクロース、デキストランなど、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。別の例では、ブロッキング剤は、ウシ血清アルブミン、カゼインなど、またはそれらの組み合わせを含み得る。
糖は、LAMP試薬以外でのpH変化の影響を防止し得る。緩衝液は、LAMP反応以外の要因によって生じるpH変化の影響を防止することにより、LAMP反応またはLAMP反応の結果への干渉を防止し得る。ブロッキング剤は、分析される核酸(例えば、ウイルス由来のRNAまたは病原体由来のDNA)に対するRNaseまたはDNaseなどの様々な酵素の作用をブロックすることにより、LAMP反応以外の要因からの影響を防止し得る。
別の実施形態では、図1に示されるように、LAMP分析を実施する方法100は、ブロック110に示されるように本開示に列挙されているLAMP反応アセンブリを提供することを含み得る。この方法は、ブロック120に示されるように反応アセンブリに生体試料を適用することを更に含み得る。この方法は、ブロック130に示されるようにLAMP反応を開始させるのに十分な温度までアセンブリを加熱することを更に含み得る。この方法は、ブロック140に示されるようにLAMP反応を完了させるのに十分な時間にわたり温度を維持することを更に含み得る。
一態様では、生体試料は、唾液、粘液、血液、尿、糞便、汗、呼気凝縮液、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上であり得る。別の態様では、生体試料は、唾液であり得る。別の態様では、この方法は、ウイルス性病原体を検出することを更に含み得る。別の態様では、LAMP分析は、逆転写LAMP(RT-LAMP)であり得る。
別の態様では、LAMP反応を開始させるのに十分な温度は、約50℃~約60℃の温度範囲であり得る。別の態様では、LAMP反応を開始させるのに十分な温度は、約60℃~約70℃の温度範囲であり得る。別の例では、等温温度は、差が5℃未満の範囲内の温度であり得る。別の態様では、温度は、15分超、30分超、45分超、60分超、75分超、90分超、105分超、または120分超のうちの1つ以上にわたり、LAMP反応を完了させるのに十分な温度に維持され得る。別の態様では、温度は、15分未満、30分未満、45分未満、60分未満、75分未満、90分未満、105分未満、または120分未満のうちの1つ以上にわたり、LAMP反応を完了させるのに十分な温度に維持され得る。
LAMP反応アセンブリは、その均一性、有効期間または保管期間、及び検査有効性を増強させるように製造することができる。一態様では、LAMP反応アセンブリは、スリッティング(ロールをより薄いロールに分割する)、シンギュレーション(ギロチン、ロータリーダイ、またはレーザで個々の小片を切断する)、試薬コーティング(試薬を含浸、噴霧、または分注し、乾燥させる)、カード積層(リールにプラスチックの裏材を追加する)など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を使用して製造され得る。一例では、LAMP反応アセンブリは、ロールをより薄いロールに分割すること、ギロチンもしくはロータリーダイで個々の小片を切断すること、試薬の含浸を用いた試薬コーティング、リールにプラスチックの裏材を追加することを用いたカード積層など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を使用して製造され得る。
固相媒体上でのpHベースのLAMP分析用材料
固相反応媒体上でのLAMP反応の実行は、吸湿剤及びマグネシウム干渉剤が存在する場合、困難な場合がある。しかしながら、LAMP反応の結果の出力及び解釈に干渉する可能性のある要因は他にもある。pHベースの指示薬が必要とされる場合、試薬混合物には干渉試薬が実質的に含まれないことが必要である。いくつかの例では、干渉試薬には、酸化剤及びpH干渉剤が含まれ得る。
一実施形態では、色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系は、実質的に非反応性の固相反応媒体及び非干渉性試薬混合物を含み得る。一態様では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、酸化剤及びpH干渉剤を実質的に含まない場合がある。一態様では、非干渉性試薬混合物は、1つ以上の標的プライマー、DNAポリメラーゼ、再可溶化剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。
酸化剤は、LAMP反応に干渉する可能性がある。したがって、酸化剤は、実質的に非反応性の固相反応媒体中に含まれるべきではない。一態様では、酸化剤には、O、O、H、F、Cl、ハロゲン、HNO、硝酸塩、HSO、H、HSO、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、クロム化合物、過マンガン酸塩、過ホウ酸ナトリウム、亜酸化窒素、NO、N、KNO、NaBiO、セリウム化合物、二酸化鉛など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上が含まれ得るが、これらに限定されない。
いくつかの場合では、酸化剤を避けるのみではLAMP反応を促進するのに十分ではない場合がある。そのような場合、望ましくない酸化を防止するために追加の剤を含めることができる。一態様では、非反応性固相反応媒体は、非反応性固相反応媒体の酸化を防止するために、酸素吸収材、除湿剤など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。別の態様では、セルロースを含む非反応性固相反応媒体の酸化を防止するために、セルロースを熱サイクルにかけ酸化部位を飽和させることによりセルロースを事前に処理することができる。別の例では、酸化を防止するために抗酸化剤が加えられ得る。別の態様では、色素指示薬(例えば、フェノールレッド)は抗酸化作用を有し得る。一態様では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、1.0重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、または0.01重量%未満の酸化剤のうちの1つ以上を含有し得る。
酸化剤に加えて、pH干渉剤によりLAMP反応の結果の適切な解釈が妨げられる、またはLAMP反応のシグナル出力が更に複雑になる可能性がある。一態様では、pH干渉剤には、揮発性試薬、pHに影響を及ぼす試薬、マグネシウム含有試薬、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上が含まれ得るが、これらに限定されない。
pHに影響を及ぼす試薬が含まれる場合、結果として生じるpHの変化により、LAMP反応によるpHベースの結果の分析が複雑になる可能性がある。いくつかの場合では、pHに影響を及ぼす試薬の包含を相殺することができ、検査の適切な解釈が可能になるように分析を調整することができる。しかしながら、他の場合には、pHに影響を及ぼす試薬により、pHベースの結果の解釈に不明確さがもたらされる可能性がある。
一例では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、pHに影響を及ぼす試薬を実質的に含まない場合がある。一態様では、pHに影響を及ぼす試薬には、pH感受性シグナルに干渉する可能性がある酸、塩基、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。一態様では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、1.0重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、または0.01重量%未満のpHに影響を及ぼす試薬のうちの1つ以上を含有し得る。
揮発性試薬が非反応性固相反応媒体に含まれる場合、揮発性成分が揮発して、pH感受性出力シグナルに干渉する可能性のある成分が残存し得るか、または更に反応してpH感受性出力シグナルに干渉する成分が残存し得る。一例では、炭酸アンモニウムは、揮発するアンモニウムイオン及び反応して炭酸を形成する炭酸イオンを形成し得る。炭酸は、LAMP反応による陽性結果(例えば、標的病原体の存在及びLAMPにより誘導される増幅)がない場合にpHを低下させることにより、pH感受性出力シグナルに干渉する可能性がある。したがって、一例では、非反応性の固相媒体は、本明細書で定義される揮発性剤を実質的に含まない場合がある。
マグネシウム含有試薬が非反応性固相反応媒体に含まれる場合、マグネシウム含有試薬は、密接にモニタリングされていない場合にDNAポリメラーゼの動作に干渉する可能性がある。したがって、一例では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、本明細書に別途開示されるように、マグネシウム試薬を実質的に含まない場合がある。
実質的に非反応性の固相媒体は、様々な材料から構成され得る。一態様では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、ガラス繊維、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、親水性PTFEなど、またはそれらの組み合わせを含み得る。別の態様では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、本明細書に開示されるように、親水性、吸収性、不活性、かつ多孔質であり得る。
非反応性固相媒体の緩衝能は、LAMP反応に影響を及ぼし得る。例えば、強力な緩衝液により、LAMP反応から検出されるpHの変化が妨げられる可能性がある。但し、弱い緩衝液により、LAMPにより誘導される増幅がない場合であっても、pHが大きく変動する可能性がある。一態様では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、約0.01mM~約5mMの緩衝能を有し得る。一例では、熱不活化ウイルスは、バイオバンクに保存された唾液に試料体積25μlあたり約500コピー程度の検出限界で添加され得る。但し、バイオバンクに保存された唾液の緩衝能及びpHは、新たに収集された唾液とは異なる場合がある。したがって、新たに収集された唾液の検出限界(LOD)は、バイオバンクに保存された唾液と新たに収集された唾液の間の緩衝能の差及びpH差に基づいて調整され得る。
いくつかの例では、非反応性固相反応媒体からのpH感受性出力シグナルは、専用の計測装置なしで技術者によって解釈され得る。しかしながら、比色リーダーにより、更なるレベルの精密度及び精度を得ることができる。例えば、一例では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、pH感受性色素と組み合わせた場合、検査範囲内の最大吸収波長(λmax)を有し得る。一例では、pH感受性色素がフェノールレッドである場合、λmaxは約443nm~約570nmの検査範囲内にあり得る。したがって、pH感受性色素がフェノールレッドであり、最大吸収波長が検査範囲内にある場合、技術者は比色リーダーを使用して陽性または陰性の結果を検出することができる。
いくつかの態様では、系は、非反応性固相反応媒体に加えて成分を更に含み得る。一態様では、系は、接着剤、展開層、スペーサ、プラスチック担体、またはそれらの組み合わせを更に含み得る。一態様では、接着剤、展開層、スペーサ、及びプラスチック担体の各々は、本明細書に開示される酸化剤及びpH干渉剤を実質的に含まない場合がある。
別の実施形態では、図2に示されるように、固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法200は、ブロック210に示されるようにLAMP反応以外で生じる変色を最小化する固相反応媒体を提供すること、及びブロック220に示されるように固相反応媒体上でLAMP分析を実施することを含み得る。
一態様では、この方法は、LAMP反応以外で生じるプロトンによるLAMP以外で生じる変色を制御することを更に含み得る。別の態様では、この方法は、非変色性添加剤を使用してLAMP反応以外で生じる変色を制御することを更に含み得る。
非変色性添加剤により、LAMP増幅以外による比色反応の望ましくない変化を防止することができる。一態様では、非変色性添加剤は、糖、緩衝液、ブロッキング剤など、またはそれらの組み合わせを含み得る。
一例では、糖は、トレハロース、グルコース、スクロース、デキストランなど、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。一態様では、糖の濃度は、固相媒体上で使用される場合、約0.01mM~約1Mであり得る。別の例では、糖の濃度は、固相媒体上で使用される場合、約10mM~約500mMであり得る。更に別の例では、糖の濃度は、固相媒体上で使用される場合、約200mM~約400mMであり得る。
別の例では、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ダルベッコPBS、アルセバー溶液、トリス緩衝生理食塩水(TBS)、水、HEPES、BICINE、平衡塩類溶液(BSS)、例えば、Hank’s BSS、Earle’s BSS、Grey’s BSS、Puck’s BSS、Simm’s BSS、Tyrode’s BSS、BSS Plus、乳酸リンゲル液、通常生理食塩水(すなわち、0.9%生理食塩水)、1/2通常生理食塩水など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。一態様では、緩衝液の濃度は、固相媒体上で使用される場合、約10μM~約20mMであり得る。別の例では、緩衝液の濃度は、固相媒体上で使用される場合、約100μM~約10mMであり得る。更に別の例では、緩衝液の濃度は、固相媒体上で使用される場合、約100μM~約500μMであり得る。
別の例では、ブロッキング剤には、ウシ血清アルブミン、カゼイン、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上が含まれ得る。一態様では、ブロッキング剤の濃度は、固相媒体上で使用される場合、約0.01重量%~約5重量%であり得る。別の例では、ブロッキング剤の濃度は、固相媒体上で使用される場合、約0.01重量%~約1重量%であり得る。更に別の例では、ブロッキング剤の濃度は、固相媒体上で使用される場合、約0.02重量%~約0.06重量%であり得る。
別の実施形態では、ループ介在等温増幅(LAMP)分析の検出レベル(LOD)を最大化する方法は、非LAMP反応産物を最小化する反応環境及び試薬を提供することを含み得る。いくつかの例では、反応環境は、酸化剤、pH干渉剤、吸湿性試薬、マグネシウム干渉試薬など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を実質的に含まない場合がある。
別の実施形態では、色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系は、25℃で保管された場合に、固相媒体の初期色合いの10%以内である固相反応媒体の色調を維持することができる、固相反応媒体とLAMP試薬との組み合わせを含み得る。一態様では、固相媒体とLAMP試薬との組み合わせは、30日、90日、365日、2年、3年、または5年のうちの1つ以上より長く保管された場合に、色調を維持することができる。別の態様では、固相媒体とLAMP試薬との組み合わせは、約40%~90%の相対湿度で保管された場合に、色調を維持することができる。
別の実施形態では、色彩LAMP系を製造するための方法は、非干渉性試薬混合物を実質的に非反応性の固相反応媒体と組み合わせて、非干渉性試薬混合物と実質的に非反応性の固相反応媒体との接触が保持されるようにすることを含み得る。
一例では、非干渉性試薬混合物を固相反応媒体と直接接触させて保持することができる。別の例では、非干渉性試薬混合物を固相反応媒体と間接的に接触させて保持することができる。非干渉性試薬混合物を固相反応媒体と間接的に接触させて保持する場合、介在材料(例えば、抗酸化剤)でLAMP反応を増強させることができる。
一態様では、この方法は、非干渉性試薬混合物を含有する溶液を調製すること、及び実質的に非反応性の固相反応媒体上に試薬混合物をコーティングすることを含み得る。別の態様では、コーティングは、実質的に非反応性の固相反応媒体上に溶液を滴下、噴霧、含浸、浸漬、またはミスティングすることを含み得る。
いくつかの場合では、製造プロセスがLAMP分析のための系の有効期間の安定性または均一性に影響を及ぼす可能性がある。一例では、非干渉性試薬混合物は、リールツーリール(R2R)プロセスを使用して、実質的に非反応性の固相反応媒体と組み合わされ得る。
固相媒体上でLAMPを使用する病原体検査のための選択された標的の多重化
固相媒体上でLAMPを使用して病原体を検出する場合、LAMPを多重化する様々な方法がある。第1に、同じ固相媒体上に複数の対照を含めることにより、プロセスを多重化することができる。例えば、検査有効性は、陽性対照を使用して検証することができる。例えば、LAMP反応では、唾液DNAまたはRNAバイオマーカーについて唾液試料を検査して、LAMP反応が予想通りに機能していることを検証することができる。別の例では、検査有効性は、陰性対照を使用して検証することができる。例えば、LAMP反応では、病原体を含まない唾液試料を検査することができる。
LAMPを多重化する第2の方法は、同じ固相媒体上の複数の異なる病原体を標的とするプライマーを含めることによるものであり得る。例えば、生体試料を更に特徴付けるために、同じ固相媒体上でウイルス性病原体及び細菌性病原体を検査することによって、検査有効性を検証することができる。
LAMPを多重化する第3の方法は、異なる標的プライマーを使用して同じ病原体を検査することによるものであり得る。一例では、固相媒体の第1のセクションは、ウイルス性病原体の第1のタンパク質に対するプライマーセットを使用して検査することができ、固相媒体の第2のセクションは、ウイルス性病原体の第2のタンパク質に対する第2のプライマーセットを使用して検査することができ、固相媒体の第3のセクションは、ウイルス性病原体の第3のタンパク質に対する第3のプライマーセットを使用して検査することができる。ウイルス性病原体のゲノムの異なる領域を各プライマーの標的として、偽陰性及び偽陽性を排除することができる。
LAMPは、固相LAMP反応媒体上に様々な成分を含めることによって多重化され得る。一実施形態では、図3aに図示されるように、LAMP分析を行うための固相反応媒体300aは、基材302、基材302上に配置された接着層304、反応層306(接着層304上に配置された、検査スポットまたは反応位置またはセグメント305a、305b、305c及びスペーサ307a、307b、307cを含む)、ならびに反応層306上に配置された展開層308を含み得る。一態様では、検査スポット305a、305b、及び305cは、1つ以上の標的プライマー、DNAポリメラーゼ、再可溶化剤などを含む試薬を含み得るか、またはそうでなければ試薬を保持し得る。一態様では、試薬により、LAMP反応を実行するのに十分な組成物が形成され得る。
空間的に不連続な反応層306により、複数の対照または複数の病原体の多重化が可能となり得る。例えば、検査スポット305aは陽性対照(例えば、既知の唾液DNAまたはRNAバイオマーカーについての検査)であり得、検査スポット305bは陰性対照(例えば、LAMPに使用される全ての試薬を含まない比色結果についての検査)であり得、検査スポットまたは反応セグメント305cは、標的病原体について検査することができる。
空間的に不連続な検査スポットまたは反応位置305a、305b、及び305cにより、複数の病原体の多重検出も可能となり得る。例えば、検査スポット305aはインフルエンザについて検査することができ、検査スポット305bは細菌感染症について検査することができ、検査スポット305cは真菌感染症について検査することができる。
反応位置またはセグメント305a~305cの寸法は、多重化の潜在性に影響を与え得る。一態様では、反応セグメント305a~305cは、約0.05mm~約2mmの厚さを有し得る。別の態様では、反応セグメント305a~305cは、約4mm~約12mmの幅及び約4mm~約25mmの長さを有し得る。一例では、反応位置305a~305cは、空間的に不連続であり得る。別の例では、反応セグメント305a~305cは、約30~約600の表面積対厚さ比を有し得る。
一例では、固相反応媒体300aは、展開層308全体に横方向に流動することができ、かつ反応層306の検査スポット305a~305c内へと垂直下方に移動することができる、生体液を受けるように構成され得る。検査スポット305a~305cは、RT-LAMPまたはLAMP反応を生じさせるために使用される全ての成分を含有し得る。一例では、検査スポット305a~305cは、再可溶化剤(例えば、界面活性剤)、酵素(例えば、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、DNase阻害剤、またはRNase阻害剤)、安定化剤(例えば、BSAまたはカゼインなどのブロッキング剤)、比色指示薬(例えば、マグネシウム比色指示薬、pH比色指示薬、またはDNA挿入比色指示薬)、及び緩衝液(例えば、20mMトリス)を含有し得る。
固相反応媒体300aは、反応の加速、感度の増大、またはそれらの組み合わせを可能にする剤を受けるように構成され得る。一例では、BSAは反応を加速させ、感度を増大させることができる。但し、BSAを含めることによりpHの変動がもたらされ、結果の可読性が損なわれる可能性もある。したがって、いくつかの例では、安定剤は、カゼイン、ポリソルベート20など、またはそれらの組み合わせであり得る。
反応セグメントまたはスポット(例えば、検査スポット)305a~305cは、本明細書に開示される任意の好適な材料を含み得る。一例では、反応セグメント305a~305cは、ガラス繊維、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、親水性PTFEなど、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。一態様では、反応セグメントまたはスポット305a~305cの孔径は、約1~約100ミクロンであり得る。反応セグメントまたはスポット305a~305cは、光学的にクリーンかつ滑らかな外見であり得る。
別の態様では、反応セグメント305a~305cは、正確かつ精密なシグナル出力または検出のために読み取りゾーン内に均一な最終色を提示し得る。一例では、生体試料は、反応セグメント305a~305c内へと垂直下方に緩徐に移動することができる。反応セグメント305a~305cの最終色の強度は、光学観察を行いカラーチャートもしくはスケールと比較することによって、またはハンドヘルドLEDメーターを用いてパーセント反射率単位として、ユーザが測定することができ、また、検査室基準装置に対して較正した曲線セットを使用して、または検査室基準装置に対して較正することができるRGB値もしくは画素数を取得する光学画像として、反応ごとのRNAまたはDNAのコピーに変換することができる。RNAまたはDNAの濃度は、選択した時間での最終色の強度または動力学的速度の測定によって決定され得る。
別の態様では、固相LAMP反応媒体300aは、反応セグメント305a~cを更に含み得る。一例では、少なくとも1つのセクションは、試薬を実質的に含まない場合がある(例えば、305aは試薬を実質的に含まない場合がある)。別の態様では、反応セグメント305a~cは、不連続接着層304の少なくとも3つのセクションによって画定され得る。3つの反応セグメント305a、305b、及び305cは、同じ病原体、複数の対照を伴う1つの病原体、または特定の陽性もしくは陰性対照を伴うかもしくは伴わない複数の異なる病原体の検査に関する指定を含み得る。要するに、反応セグメント305a~cは、高度の精度信頼性で特定の結果に対する特定の検査をもたらす任意の所望のパラメータまたはプロトコルを提供するように、ほぼあらゆる並びで検査するために指定及び構成され得る。更に、反応層306は、様々な数及び位置で配置された検査スポット305a~cを備えて構成され得る。例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、または他の任意の適切な数の検査スポットが反応層に含まれ得る。更に、このような検査スポットまたは反応セグメントは、反応層306内に直線上に、並列に、または他のほぼあらゆる所望の空間的配置で配置され得る。
一態様では、図3bに図示されるように、固相LAMP反応媒体300bは、接着層304と展開層または分布層308との間に結合された反応セグメント305a及び305bを含み得る。一態様では、少なくとも1つの反応セグメント(例えば、305aまたは305b)は、試薬を実質的に含まない対照セクションまたはスポットであり得る。別の態様では、反応セグメント(例えば、305aまたは305b)のうちの少なくとも1つは、標的病原体を検査するように構成され得る(例えば、選択されたLAMP反応用の試薬を含有するか、またはそうでなければ試薬を支持する)。
更に別の態様では、図3cに図示されるように、固相LAMP反応媒体300cは、接着層304と展開層308との間に結合された反応セグメントまたはスポット305a、305b、305c、305dを備えた反応層306を含み得る。各反応セグメントは、スペーサ(例えば、307a、307b、307c、307d、307e)によって隣接する反応セグメントまたはスポットから分離され得る。
更に別の態様では、図3dに図示されるように、固相LAMP反応媒体300dは、展開層を含まずに、基材302、接着剤304、反応層306(反応セグメントまたはスポット305a、305b、及び305cを備える)を含み得る。この例では、試料は、反応層305a、305b、305cの各セクション上に別々に、または同時に付着され得る。更に、この実施形態では、隣接する反応セグメント間にスペーサは存在しない。しかしながら、いくつかの実施形態では、展開層308の存在なしでスペーサを含めることができる。
更に別の態様では、図3eに図示されるように、固相LAMP反応媒体300eは、展開層または一切のスペーサを含まずに、基材302、接着剤304、及び反応層306(反応セグメントまたは検査スポット305a及び305bを有する)を含み得る。ここでも、別の実施形態では、スプレッダ層308を同様に含まずに、スペーサが依然として含まれ得る。この例では、試料は、反応層305a及び305bの各セクション上に別々に及び/またはまとめて付着され得る。
更に別の態様では、図3fに図示されるように、LAMP分析に使用され得る固相LAMP反応媒体300fは、展開層を含まずに、かつスペーサを一切有することなく、基材302、接着剤304、反応層306(反応セグメント305a、305b、305c、及び305dを有する)を含み得る。ここでも、展開層を含まないが、所望により隣接する反応セグメント間にスペーサが含まれ得ることを理解されたい。この例では、試料は、反応層305a、305b、305c、305dの各セクション上に別々に及び/またはまとめて付着され得る。
他の実施形態(図示せず)では、展開層308は、スペーサを一切含まずに、展開層と接着剤304との間に結合された検査スポットまたは反応セグメントとともに存在し得ることも理解されたい。要するに、実施される特定の検査に応じて、最も正確な結果を提供するため、または製造上のあらゆる必要性に適合するため、または他の特定の利益を得るために、検査の必要性に適合するように固相反応媒体の構成要素を選択することができる。
別の態様では、基材302は、光学的に透明な材料であり得る。別の態様では、基材302は、光学的にクリアなプラスチック担体であり得る。別の態様では、接着層304は、揮発性剤を実質的に含まない場合がある。別の態様では、接着層304は、LAMP反応に干渉する可能性がある剤を実質的に含まない場合がある。別の態様では、接着層304は、基材上に連続的または不連続的のいずれかで配置され得る。
接着層は、様々な材料を含み得る。一例では、反応層306は、ガラス繊維、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、親水性PTFEなど、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。一例では、接着層304は、反応層内の反応セグメントまたは検査スポットの色の変化に影響を及ぼさない不活性接着剤を含み得る。一例では、反応層306は、キレート剤、マグネシウム、過剰な緩衝能、pHに影響を及ぼす試薬、またはそれらの組み合わせを実質的に含まない場合がある。別の例では、接着層304と反応セグメント305a~cとの間の干渉を防止するために、接着剤の量は最小化され得る。
展開層は、反応セグメント305a~305cにわたる生体試料の分布及び均一性を増強させるように構成され得る。別の態様では、展開層308は、反応層306の表面全体に唾液試料を分布または計量供給することができる。展開層308は、展開層308と反応層306との界面の間に均一または実質的に均一な濃度の唾液試料を提供することができる。展開層308は、メッシュ材料、全体が同じ多孔度である等方性多孔質材料、もしくは多孔度に勾配がある異方性層など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上であり得る。一態様では、異方性層は、約1~約100ミクロンの範囲の孔径を有し得る。一態様では、展開層308は、試料を吸収して展開させるのに十分な程度まで親水性であり得る。別の態様では、展開層308は、試料が展開層308から引き出され反応層306に入ることができるように、下部の反応層306よりも親水性が低い場合がある。
均質な生体試料が提供される場合、展開層308の精密な透過性を利用して、反応層305a~cの表面全体に等しく一様に、生体試料を均一に分布させることができる。一態様では、生体試料の水平方向の移動によって生体試料を均一に垂直移動させるために、展開層308の表面を反応層305a~cと直接接触させることができる。別の態様では、展開層308は、ガラス繊維、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。一例では、展開層308は、光学的に透明であり得る。一態様では、材料を化学的に処理して、複数の反応セグメント305a~305cにわたる生体試料の分布を増強させることができる。
反応セグメントまたは検査スポット305a~305c間の適切な間隔により、各反応セグメント間の相互汚染の可能性を最小化するかまたはなくすことができる。例えば、反応セグメント305aは、305bなどの隣接するセグメントを、2つのセクション間の間隔により試薬が305aから305bに流入可能となる場合に汚染する可能性がある。別の態様では、固相LAMP反応媒体300aは、反応セグメント305a~cの間に約1.0mm~約3.0mm(例えば、2.5mm)の最小空間を空けさせることができるスペーサ307a、307b、307c、及び307dを更に含み得る。
いくつかの実施形態では、スペーサ307a~307dは、反応セグメントまたは検査スポット305a~305dとの間に物理的障壁を作り出すために、反応セグメントまたは検査スポット305a~305dと同等以上の高さを有し得る(例えば、試料が各検査スポットに別々に投入される場合)。一例では、スペーサの高さは、基材302とスペーサ(複数可)の上面との間の距離の尺度として決定され得る。同様に、反応セグメントの高さは、基材302と反応セグメントの上面との間の距離の尺度として決定され得る。いくつかの態様では、スペーサは、反応セグメントの高さよりも0~50%高い高さを有し得る。
他の実施形態では、スペーサ307a~307dは、反応セグメントまたは検査スポット305a~305dとの間に物理的障壁を作り出すために、反応セグメントまたは検査スポット305a~305dと同等以下の高さを有し得る(例えば、試料が各検査スポットに別々に投入される場合)。同様に、反応セグメントの高さは、基材302と反応セグメントの上面との間の距離の尺度として決定され得る。いくつかの態様では、スペーサは、反応セグメントの高さよりも0~50%低い高さを有し得る。
一例では、スペーサ307a~dは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリスチレン、ポリエステル、親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。別の例では、スペーサ307a~dは、ガラス繊維、ナイロン、セルロースなど、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。別の例では、スペーサ307a~dは、疎水性材料(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリスチレン、ポリエステル、親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)を含み得るが、親水性材料(ガラス繊維、ナイロン、セルロースなど)は含み得ない。一態様では、スペーサ307a~dを、反応セグメント305a~cと同じ平面に配向することができ、かつそれらの間に配向することができる。
別の例では、図3aに図示されるように、固相LAMP反応媒体は、展開層308と、接着層304によって接合された反応層306とを含み得る。一例では、スペーサ307a~307dの材料タイプは、展開の程度を増強させ得るか、またはそうでなければそれに正の影響を及ぼし得る。例えば、ポリスチレンスペーサは、他の材料タイプよりも更に展開させ得る。展開層308を伴わない固相反応媒体は、ユーザにとっての簡素性を代償にして製造を簡素化することができる。この場合、ユーザは、唾液試料を検査スポット305a~cの各々に個別に適用することができる。しかしながら、試料をはじくか、または最小限に吸収する材料(ポリスチレンなど)のスペーサは、展開層によって均一に展開されるという結果がもたらされるのに役立ち得る。更に、そのような材料のそのようなスペーサは、展開層308が使用されない場合に試料を展開させるのにも役立ち得る。
図4を参照すると、ウイルス性病原体の存在を検査する方法400が示されており、この方法は、ブロック410に示されるように、対象からの唾液試料を提供すること、ならびにブロック420に示されるように、固相反応媒体をLAMP試薬混合物及びpH感受性色素と組み合わせて有する検査環境に試料を分注することを含み得る。
一態様では、この方法は、固相媒体を変色させる可能性のある揮発性剤、吸湿剤、及び非pH感受性剤の量を最小化することを含み得る。別の態様では、この方法は、LAMP反応を促進するのに十分な量の1つ以上の標的プライマー、DNAポリメラーゼ、及び再可溶化剤を提供することを含み得る。別の態様では、この方法は、RT-LAMP反応を促進するのに十分な量の逆転写酵素を提供することを含み得る。別の態様では、この方法は、ウイルス性病原体を検出するのに十分な量の1つ以上の標的プライマーを提供することを含み得る。別の例では、この方法は、試料を検査環境に分注した後、1時間未満で検査結果を生成することを含み得る。
更に別の実施形態では、図5に示されるように、固相LAMP反応による検査に対する唾液試料の適合性を確認する方法500は、少なくとも1つの検査部位またはスポットを備えた固相反応媒体を提供することを含むことができ、前記少なくとも1つの検査部位またはスポットは、LAMP試薬とpH感受性色素との組み合わせを含む。別の態様では、この方法は、ブロック510に示されるように、少なくとも1つの陰性対照部位を備えた固相反応媒体を提供することを更に含むことができ、前記陰性対照部位は、pH感受性色素を含みかつLAMP試薬を含まない。別の態様では、この方法は、ブロック520に示されるように、唾液試料を固相反応媒体に適用することを更に含み得る。別の態様では、この方法は、ブロック530に示されるように、陰性対照部位上のpH感受性色素の活性化を確認することを更に含み得る。
一例では、pH感受性色素は、フェノールレッド、フェノールフタレイン、アゾリトミン、ブロモチモールブルー、ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであり得る。別の例では、LAMP試薬は、揮発性試薬、pHに影響を及ぼす試薬、マグネシウム含有試薬、またはそれらの組み合わせを実質的に含まない場合がある。別の態様では、LAMP試薬は、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、標的領域用のプライマー、またはそれらの組み合わせを含む、非干渉性LAMP試薬を含み得る。
別の態様では、この方法は、不連続接着層の少なくとも2つのセクションによって画定される検査部位またはスポットを提供することを更に含み得る。別の例では、この方法は、不連続接着層の少なくとも3つのセクションによって画定される検査部位またはスポットを提供することを更に含み得る。
更に別の実施形態では、図6に示されるように、固相LAMP反応からの陽性検査結果の精度を最大化する方法600は、ブロック610に示されるように、少なくとも3つの検査部位またはスポット(それぞれが共通のpH感受性色素及びLAMP試薬の組み合わせを含む)を備えた固相反応媒体を提供することを含み得る。一態様では、各部位は、標的病原体に由来する異なるプライマー配列を含み得る。別の態様では、この方法は、ブロック620に示されるように、LAMP反応を開始させることを含み得る。別の態様では、この方法は、ブロック630に示されるように、検査部位またはスポットのうちの少なくとも2つがpH感受性色素を活性化させて第1の色から第2の色への変化を呈した場合に、陽性の検査結果を確定することを含み得る。別の態様では、この方法は、RT-LAMP反応を促進するのに十分な量の逆転写酵素を提供することを更に含み得る。
一例では、pH感受性色素は、フェノールレッド、フェノールフタレイン、アゾリトミン、ブロモチモールブルー、ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであり得る。別の態様では、LAMP試薬は、揮発性試薬、pHに影響を及ぼす試薬、マグネシウム含有試薬、またはそれらの組み合わせを実質的に含まない場合がある。
別の態様では、標的病原体は、ウイルス性病原体、細菌性病原体、真菌性病原体、または原生動物病原体を含み得る。一態様では、標的病原体は、ウイルス性病原体を含み得る。別の態様では、ウイルス性病原体は、dsDNAウイルス、ssDNAウイルス、dsRNAウイルス、プラス鎖ssRNAウイルス、マイナス鎖ssRNAウイルス、ssRNA-RTウイルス、またはds-DNA-RTウイルスを含み得る。別の態様では、各プライマー配列は、H1N1、H2N2、H3N2、H1N1pdm09、またはSARS-CoV-2を含むウイルス標的に由来する配列と一致し得る。
別の態様では、検出される特定の標的ヌクレオチド配列は、ヒトバイオマーカーに対応する標的ヌクレオチドであり得る。疾患のヒトバイオマーカーに対応する標的ヌクレオチドを有するあらゆる疾患が検出され得る。乳癌、膵癌、結腸直腸癌、卵巣癌、胃腸癌、子宮頸癌、肺癌、膀胱癌、多くのタイプの癌腫、唾液腺癌、腎癌、肝癌、リンパ腫、白血病、黒色腫、前立腺癌、甲状腺癌、胃癌など、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、様々なタイプの疾患が検出され得る。例えば、様々なタイプの疾患のバイオマーカーは、アルファフェトプロテイン、CA15-3及びCA27-29、CA19-9、C!-125、カルシトニン、カルレチニン、癌胎児性抗原、CD34、CD99MIC 2、CD117、クロモグラニン、染色体3、7、17、及び9p21、サイトケラチン、セスミン(cesmin)、上皮膜抗原、第VIII因子、CD31 FL1、グリア線維性酸性タンパク質、総嚢胞性疾患流体タンパク質、hPG80、HMB-45、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、免疫グロブリン、インヒビン、ケラチン、リンパ球マーカー、MART-1、Myo D1、筋特異的アクチン、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ、胎盤アルカリホスファターゼ、前立腺特異抗原、PTPRC、S100タンパク質、平滑筋作用、シナプトフィジン、チミジンキナーゼ、チログロブリン、甲状腺転写因子-1、腫瘍M2-PK、ビメンチンなど、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上に対応する標的ヌクレオチドを検出することにより検出され得る。
一例では、DNA鋳型が安定であることを確認するために、陽性対照には検査セクションの1つとして合成DNA標的が含まれ得る。別の態様では、陰性対照には、(a)プライマーを含まない酵素試薬、または(b)異なるウイルスを標的とするプライマーを含む酵素試薬が含まれ得る。
別の例では、3つの検査セクションを使用して、異なるウイルス株(例えば、SARS-CoV-2)のカバレッジを増強させることができる。検出タイミング及び検出限界は、プライマーごとに選択され得る。一例では、第1のプライマーを用いて、ウイルス(例えば、SARS-CoV-2)の97%のカバレッジが実現され得る。別の例では、第1のプライマーと比較して遅くかつ感度が低い2つの追加のプライマーを含めても、ウイルスのカバレッジが増強しない場合がある。別の例では、複数の検査セクションを使用して、異なるウイルス性病原体(例えば、SARS-CoV-2、H1N1、H2N2、H3N2、H1N1pdm09など)のカバレッジを実現することができる。
固相媒体LAMP検査のプロセス及び手法
固相媒体上でのLAMP検査は、いくつかの方法で増強させることができる。第1に、検査環境をモニタリングして、検査プロセスに影響を与える可能性のある変動を防止することができる。第2に、生体試料検査器具の保管条件は、生体試料検査器具の有効性に影響を与え得る。これらの条件を密接にモニタリングした場合、液体ベースのLAMP検査と比較して、生体試料検査器具の操作性が増強し得る。
検査環境に関連する様々な方法が使用され得る。一実施形態では、図7に示されるように、標的ヌクレオチド配列の存在を検査する方法は、ブロック710に示されるように、生体試料を提供すること、ならびにブロック720に示されるように、固相反応媒体をループ介在等温増幅(LAMP)試薬混合物及びpH感受性色素と組み合わせて有する検査環境に試料を分注することを含み得る。一態様では、この方法は、RT-LAMP反応を促進するのに十分な量の逆転写酵素を提供することを含み得る。
生体試料のタイプは、検査環境に影響を及ぼし得る。例えば、唾液試料は、検査出力のコントラストを低減させる可能性がある緩衝能を有し得る。一例では、生体試料は、唾液、粘液、血液、尿、汗、呼気凝縮液、または糞便のうちの少なくとも1つであり得る。別の例では、この方法は、唾液収集デバイス、鼻腔スワブ、血液収集デバイス、尿収集デバイス、汗収集デバイス、呼気収集デバイス、または便収集デバイスのうちの1つ以上を使用して生体試料を収集することを更に含み得る。
検査環境を制御して、一貫した検査出力を提供することができる。一態様では、検査環境は、揮発性試薬、pHに影響を及ぼす試薬、乾燥剤、またはそれらの組み合わせを実質的に含まない場合がある。これらの各試薬は、更なる分析で相殺される可能性のある変数を導入することにより、検査結果の一貫性を低減させ得る。
モニタリングされ得る別の検査環境変数は、生物学的検査器具を使用して生体試料を加熱するときの温度上昇速度である。一態様では、この方法は、検査環境温度を毎秒約0.1℃の速度で上昇させることを含み得る。一例では、検査環境温度は、毎秒約0.1℃~毎秒約0.2℃の速度で上昇させることができる。一例では、逆転写酵素は約55℃で活性化させることができ、DNAポリメラーゼは約65℃で活性化させることができる。結果として、毎秒約0.2℃を超えるランプ速度は、LAMP反応における逆転写酵素とDNAポリメラーゼの協調作用に干渉する可能性がある。一例では、検査環境温度が約60℃~約67℃の範囲になるまでランプ速度を上昇させることができる。いくつかの例では、検査環境が、55℃~約65℃まで約0.1℃のランプ速度で、約55℃(すなわち、逆転写酵素が活性化され得る温度)まで上昇した場合、生体試料検査器具は無効な結果を示す可能性がある。したがって、ランプ速度は、約55℃~約65℃の検査環境温度範囲内のみならず、生体試料が約55℃に加熱されているときもモニタリングされる必要がある。
検査環境の変動も、生体試料検査器具からの結果に影響を及ぼし得る。一態様では、この方法は、変動が1℃未満である検査環境の加熱均一性を提供することを含み得る。LAMP反応への干渉を回避するために、検査カートリッジ周囲の温度の空間的変動は約0.5℃を超えてはならない。
別の態様では、この方法は、唾液試料の約15分~約30分の検査時間を含み得る。別の態様では、この方法は、唾液試料の約30分~約45分の検査時間を含み得る。別の態様では、この方法は、唾液試料の約45分~約60分の検査時間を含み得る。別の態様では、この方法は、唾液試料の約60分~約90分の検査時間を含み得る。別の態様では、この方法は、鼻咽頭試料の約20分~約30分の検査時間を含み得る。別の態様では、この方法は、鼻咽頭試料の約30分~約40分の検査時間を含み得る。
別の態様では、この方法は、ガラス繊維、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、親水性PTFEなど、またはそれらの組み合わせを含む固相反応媒体を提供することを更に含み得る。別の態様では、固相反応媒体は、本明細書に別途開示される材料を含み得る。
一態様では、標的ヌクレオチド配列は、ウイルス性病原体、細菌性病原体、真菌性病原体、または原生動物病原体のうちの少なくとも1つに由来し得る。一態様では、標的ヌクレオチド配列は、ウイルス性病原体に由来し得る。別の態様では、ウイルス性病原体は、CoronoviridaeOrthomyxoviridaeParamyxoviridaePicornaviridaeAdenoviridae、及びParvoviridaeからなる群に由来し得る。別の態様では、ウイルス性病原体は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-1)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、中東呼吸器症候群(MERS)、インフルエンザ、及びH1N1からなる群から選択され得る。一態様では、標的ヌクレオチド配列は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)病原体に由来し得る。
生体試料検査器具の検査精度は、検査前の保管期間及び保管条件(例えば、保管温度、湿度など)に影響され得る。一実施形態では、生体試料検査器具は、ループ介在等温増幅(LAMP)の脱水試薬混合物及び脱水pH感受性色素と組み合わせて、固相反応媒体に係合する基材を含み得る。一態様では、器具は、選択された温度(例えば、約25℃の室温)で保管された場合、6ヶ月間の保管後に少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%の検査精度の程度を提供し得る。一態様では、器具は、選択された温度で保管された場合、12ヶ月間の保管後に少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%の検査精度の程度を提供し得る。別の態様では、器具は、選択された温度で保管された場合、2年間の保管後に少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%の検査精度の程度を提供し得る。別の態様では、器具は、選択された温度で保管された場合、3年間の保管後に少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%の検査精度の程度を提供し得る。別の態様では、選択された温度は、約-20℃~約37℃の範囲内の任意の温度であり得る。
生体試料検査系は、ハウジングを含み得る。更に別の実施形態では、生体試料検査系は、ループ介在等温増幅(LAMP)の脱水試薬混合物及び脱水pH感受性色素と組み合わせて、固相反応媒体に係合する基材を含むことができ、前記ハウジングは生体試料を受けるように動作可能である。一態様では、生体試料検査系は、pH感受性色素を介して検査結果を生成するために使用される時間にわたり、LAMP試薬混合物と生体試料との間のLAMP反応を開始させかつ維持するのに十分な内部温度まで容器を等温加熱するように構成されたヒータを更に含み得る。
一態様では、基材は、光学的に透明な材料を含み得る。別の態様では、基材は、接着剤を介して固相反応媒体と係合し得る。別の態様では、接着剤は、実質的に光学的に透明であり得る。別の態様では、基材は、ハウジングの一部を構成し得る。別の態様では、生体試料検査系は、基材上に配置された接着層、接着層上に配置された反応層、及び反応層上に配置された展開層を更に含み得る。別の態様では、生体試料検査系は、反応層と同じ平面に配向されたスペーサ層を更に含み得る。別の態様では、生体試料検査系は、基材に接して配置されたハウジングを更に含み得る。一例では、ハウジングは更に、展開層に接して配置され得る。別の例では、ハウジングは、基材、接着層、反応層、及び展開層を実質的に囲むことができる。
一例では、図8に図示される生物学的検査系の操作には、(a)スポンジを使用して唾液を収集すること、(b)スポンジを収集チューブに押し込むこと、(c)唾液のpHを安定させかつ唾液の緩衝能を低減させるために、収集チューブを水で希釈し唾液試料を5%まで希釈すること、(d)単一位置に唾液試料を適用することにより、ピペットを使用して唾液試料をカートリッジ内の検査ストリップに移し、キャピラリー及びメッシュ層が反応層の個々のセグメントに唾液試料を展開させることができるようにすること、(e)カバーをカートリッジ上に置き、カバーを所定位置に固定すること、(f)反応層のセグメントを調査することにより、唾液試料のpHが検査範囲内であることを検証すること、(g)カートリッジをヒータに挿入すること、ならびに(h)ヒータ内でカートリッジが適切に配置されていることを検証すること、(i)ヒータを作動させること、(j)検査が完了してから約30分後に結果を読み取ること、(k)結果が有効であるか否かを判定すること、ならびに(l)結果が陽性であるか陰性であるかを判定することが含まれ得る。
操作(a)は、スポンジ式収集デバイスまたは受動的流涎によるデバイスを介して唾液を収集することにより実施することができる。スポンジ式収集デバイスを使用する場合、スポンジを収集チューブに押し込み、唾液を収集チューブ内に放出することができる(操作(b))。収集チューブは、唾液の緩衝能を低下させるため、唾液の粘性を低減させるため、かつ試料の均一性の増加を可能にするために、水で希釈することができる(操作(c))。唾液試料は、検査ストリップに移すときに、検査ストリップの各セクションに個別に適用することができ、または検査ストリップの中心に適用し、展開層によって試料を検査ストリップの検査区域全体に展開させることができる(操作(d))。検査ストリップは、検査環境による汚染を避けるためにカバーをすることができる(操作(e))。唾液試料のpHは、比色デバイス、蛍光リーダーなどの様々な手段を通じて、または使用しているpH指示薬のpHカラーチャートと単に比較することにより、検査することができる(操作(f))。カートリッジは、ヒータ内に配置して、総反応時間及び陽性または陰性の結果に達するまでの時間を測定するために、時間を記録しながら作動させることができる(操作(g)、(h)、及び(i))。結果は30分後に読み取ることができる(操作(j))、または結果は、結果が陽性結果を示したらすぐに読み取ることができる。陽性結果が現れる速度は、病原体の濃度と相関し得る。結果は、陽性対照、陰性対照、他の病原体の結果、またはそれらの組み合わせに基づいて有効であると判定することができる(操作(k))。pHベースの指示薬を使用した場合、結果の色をpHベースの指示薬の色比較チャートと比較することにより、結果が陽性であるかまたは陰性であるかを判定することができる。吸収された色の波長を測定することにより、結果が陽性であるかまたは陰性であるかを判定することもできる。
別の開示の実施形態では、生物学的検査キットは、図8a及び8bに図示されるように、唾液収集デバイス、収集チューブ、カートリッジ、ピペット、ヒータ、カラーチャート、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。唾液収集デバイスは、スポンジ式収集デバイスまたは受動的流涎によるデバイスであり得る。
一例では、図8aの操作1に図示されるように、ユーザは、(a)生物学的検査キットのパウチからPure-Sal(商標)を取り出すこと、(b)唾液を収集するために、指示薬の色が変わるまでまたは唾液収集プロセスの終了を示す他の何らかの表示が示されるまで、Pure-Sal(商標)のスポンジを配置すること、(c)収集チューブを圧縮チューブに取り付けること、(d)スポンジ試料採取器を圧縮チューブに挿入すること、(e)スポンジを圧縮し、収集した唾液(一部の分解性唾液酵素を含まない)を圧縮チューブへと絞り出すこと、(f)チューブを閉じること、及び(g)数回(例えば、1~10回)反転させることによりチューブを混合すること、を含む1つ以上の操作を使用して唾液を収集することができる。
唾液をチューブに収集し、適切に混合した後、ユーザは、図8aの操作2に図示されるように、カートリッジを調製することができる。ユーザは、(i)ホイルパウチから検査器を取り出し、(ii)カートリッジからシースを取り外し、(c)カートリッジを水平面に配置することができる。ユーザは、図8aの操作3に図示されるように、ピペットを黒色線まで希釈唾液(例えば、水で希釈したもの)で満たして試料ウェルへと移すことにより、試料を移すこともできる。ユーザはまた、図8aの操作4に図示されるように、シースをクリップが一列に揃い互いに噛み合うようにカートリッジ上に配置することにより、カートリッジを密封することもできる。ユーザは、図8aの操作5に図示されるように、カートリッジを付属ヒータ内に配置し、蓋を閉じ、付属ヒータ(反応が完了するとLEDで知らせることができる)を起動させることにより、カートリッジを加熱することもできる。
反応完了後、図8aの操作6に図示されるように、ユーザは、ヒータからカートリッジを取り外し、カートリッジをカラーチャートと比較する一方で、カラーチャートとカートリッジとの向きが正しいことを確保することもできる。図8bに更に図示されるように、ウイルス性病原体SARS-CoV-2に関して図示されているカラーチャートは、2行及び3列の6つの正方形を含み得る。1列目(-ve)は陰性結果を示すことができ、2列目(+ve)は陽性結果を示すことができ、3列目(無効な検査)は無効な結果を示すことができる。
例えば、1列目は、上の行の正方形と下の行の正方形の両方がほぼ赤橙色であるため、陰性結果を示し得る。これは、LAMP反応のヌクレオチド増幅がどちらの正方形でも生じない場合に生じ得る。2列目は、陽性結果を示し得る。これは、上の行の正方形はほぼ赤橙色であり、これはLAMP反応のヌクレオチド増幅が生じない場合に生じ得るが、下の正方形はほぼ橙黄色であり、これはLAMP反応のヌクレオチド増幅が生じている場合に生じ得、ウイルス性病原体が存在したことを示しているからである。3列目は、無効な結果を示し得る。これは、上の行の正方形はほぼ橙黄色であり、これはLAMP反応のヌクレオチド増幅が生じている場合に生じ得るが、下の正方形はほぼ橙黄色であり、これはLAMP反応のヌクレオチド増幅が生じている場合に生じ得るからである。但し、3列目では、陰性対照(例えば、上の行)も色が変化するため、赤橙色から橙黄色への色の変化の理由は確定しない場合がある。
したがって、ユーザはカラーチャートをカートリッジ内の検査と比較して、検査結果を判定することができる。図8bに図示されるカラーチャートは一例である。カラーチャートに追加の行または列を含めて、追加の対照、追加の病原体、または同じ病原体に対する異なるプライマーに関する任意数の検査に適合させることができる。更に、検査は対象自身が施行することもでき、または熟練技術者、看護助手、看護師、フィジシャンアシスタント、医師、もしくは検査を施行し結果を解釈するのに適格である他の任意の者が施行することもできる。
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態のより明確な理解を促進するために提供されるものであり、決してそれを限定することを意味するものではない。
紙ベースのLAMP反応用の材料アセンブリ
実施例1-紙ベースのLAMPアセンブリ
紙ベースのLAMPアセンブリ用に、持ち運び可能でコンパクトなアセンブリを設計するためにいくつかの材料をスクリーニングした。展開層のスクリーニングのために、2つの紙ストリップ(1つはプライマーを含み、もう1つはプライマーを含まない)を一緒に配置し、濃度0.2ng/μLのRNA 50μLをロードして両方のストリップを含浸させた。材料は、いくつかの理由、すなわち(a)紙が過度に酸性でありインキュベーション前に色が変化しなかった、または(b)紙が過度に塩基性であり反応による色の変化が妨げられた、のいずれかにより、紙のpHに実質的に作用しない場合がある。2つの紙ストリップ間のクロストークを防止する材料を、他のデバイス構成要素とともに更に検査した。
紙ベースのLAMPアセンブリの寸法は、約24×54mmであった。紙ベースのLAMPアセンブリは、(i)読み取り層、(ii)2つの反応ストリップ、及び(iii)展開層で構成されていた。読み取り層は、支持用の透明な3ミリメートルのMelinex(登録商標)支持材で構成されていた。Melinex(登録商標)支持材を、両面接着剤(ArClean(登録商標)90178)で接触させた5mm×20mmのクロマトグラフィー用紙(例えば、Whatman(登録商標)グレード1クロマトグラフィー用紙)からそれぞれ形成された2つの反応ストリップに取り付けた。2つの検査ストリップ間のクロストークを防止するために、2つの検査ストリップを2.5×20mm、10ミリメートルのポリスチレンスペーサで分離させた。展開層は、ポリエステルスルホンメッシュ(Saaticare(登録商標)PES 105/52)で構成されていた。試料を展開層上にロードした。図9はアセンブリの一つの例を示す。
実施例2-材料のスクリーニング
紙ベースの材料は、5つの基準、すなわち(a)基材上で乾燥したときの配合物の安定性、(b)試料で再水和したときの色の変化の強さ、(c)試料が紙ベースの基材全体に一様に毛細管作用で浸透する能力、(d)反応全体を通じて材料が不活性であり続ける能力、及び(e)紙ベースの材料が増幅時に色の変化を示す能力、に基づいて選択した。Whatman(登録商標)グレード1クロマトグラフィー用紙を、最適化のために検査及び使用した。2つの検査ストリップをアセンブリして一緒にしたとき、LAMP反応でグレード1クロマトグラフィーの広い区域が使用されたため、流体の分布が一様ではなかったことが認められた。グレード1のクロマトグラフィー用紙よりも厚いクロマトグラフィー用紙(例えば、Ahlstronグレード222クロマトグラフィー用紙)を選択することにより、検査ストリップの表面積を約5mm×6mmにすると同時に、グレード1のクロマトグラフィー用紙と同じ量の試料及び試薬を保持させることもでき、これにより再水和中の展開の均一性をより高くすることができた。
実施例3-材料のスクリーニング-グレード1及びグレード222のクロマトグラフィー用紙
一例では、図10に示すように、画像は生成され得る色のコントラストの例を図示している。一例では、グレード1のクロマトグラフィー用紙を使用した。他の例では、グレード222のクロマトグラフィー用紙を使用した。いずれの場合も、RT-LAMP試薬を乾燥させ、唾液5%及び水95%の25μLで再水和させた。陽性試料には、1反応あたり10,000コピーで添加した熱不活化SARS-CoV-2が含まれており、陰性試料は唾液5%(ウイルスを含まず)及び水95%であった。65℃でのインキュベーションの90分時点で画像をキャプチャした。
図10に図示するように、グレード1の用紙の陰性結果とグレード1の用紙の陽性結果との間の色のコントラストは、グレード222の用紙の陰性結果とグレード222の用紙の陽性結果との間の色のコントラストほど顕著ではない。したがって、紙を厚くすると色のコントラストが増強される。
実施例4-紙のアセンブリプロトコル
紙のアセンブリプロトコルには、(1)ポリエチレンテレフタラート(PET)を寸法80mm×7mmの矩形に切り取り、デバイスごとに2つ作成すること、(2)クロマトグラフィー用紙を寸法33mm×5mmの矩形に切り取り、デバイスごとに1つ作成すること、(3)両面テープの大きなシートを切り取り、その上にPETの矩形を、各PETの矩形の間が2cmになるようにテープで貼り付けること、(4)全ての端部に余分なテープが残るように全ての矩形を切り取ること、(5)PETに貼られたテープを剥がし、テープの外側約1cmを残してPETの反対側にクロマトグラフィー用紙をテープで貼り付けること、(6)デバイスの内側に近い単一スポットを使用して、試料25μlをクロマトグラフィー用紙上に加えること、(7)試料を覆うようにもう一方のPETストリップをテープで貼り付けること(すなわち、テープが貼られた側が試料に触れ、PETが外側にあることになる)、(8)PETテープの上に突き出ているテープを折り曲げて更に密封すること、(9)15mlチューブの底部に1mlの溶媒を加えること、(10)突き出ているクロマトグラフィー用紙が溶媒中に入るように、アセンブリした紙デバイスをチューブの中に入れること、(11)チューブを閉じること、及び(12)65℃で1時間インキュベートすること、を含めることができる。
pHベースの紙ベースのLAMP分析用材料
実施例5-検出限界(LoD)
LoD試験では、SARS-CoV-2の様々な領域を標的とするプライマーセットと、25μLの反応体積中、濃度が2.5、5、10、及び20コピー/μLである熱不活化SARS-CoV-2の2倍段階希釈物とを使用した。水中での液体ベースの比色アッセイを使用したところ、推定LoDは約20コピー/μLであり、4回中4回の反復試験で赤色から黄色への色の変化が示されたため、増幅が生じたことが確認された。
実施例6-検出限界(LoD)
液体ベースのLAMP反応のLODは、試料体積1μLあたり約20ウイルスコピーの濃度であり得る。固相反応媒体(例えば、クロマトグラフィー用紙)の場合、各反応区域は約25μLの試料体積を保持することができる。
実施例7:LoDの検証
LoDが唾液中で約20コピー/μLであると決定した後、関連する濃度を有する次の試料を作製した:(1)20コピー/μL(1×LoD-試料10個)、(2)40コピー/μL(2×LoD-試料10個)、(3)100コピー/μL(試料2個)、(4)1000コピー/μL(試料2個)、(5)10,000コピー/μL(試料2個)、(6)100,000コピー/μL(試料2個)、及び(7)1,000,000コピー/μL(試料2個)。陰性試料は、プール唾液のアリコート(アリコート30個)であった。結果は画像処理を用いても確認した。
実施例8-LoD、感度、及び特異度
熱不活化SARS-CoV-2の水での段階希釈物を複数作製した(約100コピー/反応~10コピー/反応の範囲)。潜在的なプライマーセットの候補のベースラインLoDを確立するために、これらの段階希釈物を液体反応における鋳型として使用した。反応を、各ウイルス濃度ごとに白色qPCRプレート(例えば、Thermo Scientific(登録商標)AB-0800W)上で三連で実行し、標準的な75L生物学的インキュベータ(例えば、Fisherbrand(登録商標)Isotemp Microbiological Indicator、15-103-0513)内で60分間、65℃に加熱した。卓上スキャナ(Epson(登録商標)Perfection V800 Photo Color)でプレートをスキャンすることにより、様々な時点での反応混合物の色を記録した。プライマーセットのLoDを、3回の反復試験全てで強力な色の変化を生じさせた最低ウイルス濃度によって決定した。10コピー/反応以下で増幅をもたらすことができたいずれの候補も、次にウイルス希釈液(例えば、2倍希釈したもの)を用いて同じ手順に供し、プールした正常唾液に添加してマトリックス干渉を確認した。次に、紙ベースのデバイスで唾液LoD試験を行い、紙基材上でのプライマー適合性を確認した。
図11に図示するように、右側の反応は、25μLの反応体積を使用し、水に添加した熱不活化SARS-CoV-2を蛍光色素と組み合わせた比色混合物とともに使用して液体中で行った。黒色線は吸光度比(OD430/OD560)で測定した色の変化を示しており、淡青色の線は10単位の蛍光強度で測定した蛍光変化を示していた。内蔵の色/蛍光リーダーと併用した場合、検出時間がより速くなる可能性がある。
ウイルス濃度が約1000コピー/反応の場合、吸光度比及び蛍光活性は約17分後に急上昇する。ウイルス濃度が約500コピー/反応の場合、吸光度比及び蛍光活性は約18分後に急上昇する。ウイルス濃度が約250コピー/反応の場合、吸光度比及び蛍光活性は約19分後に急上昇する。ウイルス濃度が約125コピー/反応の場合、吸光度比及び蛍光活性は約18分後に急上昇する。ウイルス濃度が約62.5コピー/反応の場合、吸光度比及び蛍光活性は約17分後に急上昇する。ウイルス濃度が約31.25コピー/反応の場合、吸光度比及び蛍光活性は約22分後に急上昇する。鋳型なしの対照の場合、吸光度比及び蛍光活性は予想通り、決して急上昇することはない。
感度及び特異度を、LoDの様々な倍数の30個の人工陽性試料(1倍、2倍、4倍、40倍、及び400倍をそれぞれ10回、10回、4回、3回、及び3回の反復試験で用いる)ならびに30個の無鋳型対照(NTC)の陰性唾液試料を使用して判定した。ImageJを使用して比色反応強度を決定し、各反応ゾーンの緑色チャネルの平均強度を抽出した。陽性反応と陰性反応の間の閾値カットオフを変動させ、各閾値での感度及び特異度を算出することにより、受信者動作特性(ROC)曲線を生成した。感度は、偽陽性を含めた全陽性数に対する真陽性数の比として算出した。特異度は、偽陰性を含めた全陰性に対する真陰性の比として算出した。
紙LAMPを使用してウイルス性病原体を検査するための選択した標的の多重化
実施例9-紙ストリップの形式
図12は、紙ストリップの形式を図示している。黒色線は、厚さ0.063mm、長さ50mmのSAATICARE Hyphyl(登録商標)ポリエステルPES 105/52を示す。赤色線は、厚さ0.0762、長さ50mmのTekra Clear MELINEX(登録商標)454ポリエステルPETを示す。緑色線は、厚さ0.038mm、長さ50mmのAdhesives Research ARclean(登録商標)90178(AS-144)を示す。橙色ブロックは、厚さ0.508mm、長さ2.5mmのTekra Double White Opaque High Impact Polystyrene Litho Gradeを示す。青色ブロックは、厚さ0.83mm、長さ5mmのAhistrom-Munksjo Cellulose Grade 222を示す。本実施例では、紙ストリップは、展開層(黒色)、接着層(緑色)、及び基材(赤色)の他、5つのスペーサ(橙色)ならびに4つの反応層セクション(青色)を有する。
実施例10-RT-LAMPプロセス
図13に図示するように、固相LAMP反応媒体は、Arclean(登録商標)90178を備えた6mm×50mm、透明、3mmのMelinex(登録商標)454;5mmのAhlstrom 222試薬材料で構成される反応層(ピンク色の4つの不連続反応層セクションを含む);2.5mm 20ミルポリスチレンで構成されるスペーサ(5つの不連続スペーサを含む)、Saaticare(登録商標)PES 105/52 hyphylで構成される展開層、ならびに14mm Melinex、Arclean(登録商標)90178、及び3M 9962で作製されたキャピラリーで構成される基材を含み得る。
図14に図示するように、反応ゾーン間のクロストークは、各反応セクションまたは検査区域の間に十分な空間を設けることによって回避することができる。本実施例では、5つのスペーサに色の変化がないことから、橙色の4つの反応セクションは相互汚染されないままである。
実施例11-A-紙のコントラスト
別の実施例では、図15に図示するように、グレード222のクロマトグラフィー用紙は、グレード1のクロマトグラフィー用紙よりも高いコントラストをもたらし得る。222用紙の陽性結果(左側)は、左上の陽性結果(黄色がかった橙色)と左下の陰性結果(濃橙色)との間が、右上の陽性結果(橙色)と右下の陰性結果(濃橙色)との間と比較して、コントラストがより高いことを示している。各紙ストリップを、陰性検査での8.0~陽性検査での7.5のpH範囲で、約500μMの緩衝液で検査した。
実施例11-B-フェノールレッド濃度が紙に及ぼす影響
反応自体を阻害することなく陰性結果と陽性結果との差を区別するために、グレード1とグレード222の両方のクロマトグラフィー用紙でフェノールレッド濃度を検査した。いずれのタイプのクロマトグラフィー用紙でも、1反応あたり250μMのフェノールレッドで一貫した結果が示された。より低い色素濃度では、60分間のインキュベーション後に比較的淡く薄い色が示され、一方、高濃度のフェノールレッド紙パッドでは、陽性と陰性とを識別するためにより長いインキュベーション時間が用いられた。
実施例11-C-初期pH及び乾燥がフェノールレッドを使用した紙の比色RT-LAMP反応に及ぼす影響
図15Bは、RT-LAMP反応混合物の異なる開始pHでの乾燥を導入した場合のRT-LAMPを図示する。本実施例では、pH7.6がRT-LAMP反応混合物の未調整のpHである。湿式の設定は、20μLのLAMP反応マスターミックスを加えた直後に、5μLの合成RNA(N遺伝子、0.2ng/μL、「+」)または水(「-」)が加えられたことを示していた。乾式の設定は、20μLのLAMPマスターミックスを適用した後、紙ストリップを室温で30分間乾燥させ、次いで25μLの合成RNA(「+」)または水(「-」)で再水和したことを示していた。LAMP反応には、ヌクレアーゼフリー水(1mM)で調製した、12.5μLのNEB 2×比色マスターミックス、2.5μLのプライマーミックス、及び5μLのフェノールレッドを含めた。得られた混合物のpHをKOHで調整した。グレード1のクロマトグラフィー用紙を使用した。65℃に設定したインキュベータ内で120分間加熱を行い、反応中、45、60、90、及び120分の時点でフラットベッドスキャナでスキャンした。
実施例12-検査ストリップの形式
図16に図示するように、検査ストリップの形式は、試料適用面及び読み取り面を有する(図の右上)。展開層が存在する場合、試料適用面の1箇所に試料を適用することができる。他の例では、展開層を用いずに、反応層(橙色)の各セクション上の試料適用層に試料を適用することができる。読み取り面は、専用の計測装置を用いずに、または比色検出器もしくは蛍光検出器を用いて読み取ることができる。
図16に更に図示するように、検査ストリップの形式は、4つの検査反応区域、吸収/展開層、及び形状に順応し吸収層に接触する透明片面接着剤も有する。
実施例13-検査ストリップのアセンブリプロセス
図17は、スリッティング(反応層を比較的幅広にコーティングし、5mmにスリットし、積層のためにリール上に配置する)を含む、検査ストリップのアセンブリプロセスを図示している。このプロセスには、透明片面接着剤への反応層の第1の積層プロセスも含まれる。このプロセスにはまた、第1の積層プロセスの直後にインラインで実施する第2の積層プロセスも含まれ、ここで、展開層が反応層及び接着層に積層される。検査ストリップのアセンブリプロセスには、pH試薬でコーティングしたポリスルホン材料、片面接着剤、及びクロマトグラフィー1用紙などを含む材料を含めることができる。
実施例14-RT-LAMPプロセス
唾液中のSARS-CoV-2ウイルスからのRNAを、唾液及び試薬混合物を65℃で加熱することにより、ワンポット混合物中で抽出し、逆転写して増幅した。LAMPに使用する4つのプライマーセットには、SARS-CoV-2 RdRp遺伝子を標的とするもの、SARS-CoV-2エンベロープ遺伝子(E)を標的とするもの、SARS-CoV-2 ORF1ab領域を標的とするもの、及び最後にヒトRNaseP(RP)遺伝子を標的とするもの(内在対照(on-board control)として機能する)が含まれる。各プライマーセットは、逆転写酵素及び鎖置換ポリメラーゼを使用して等温インキュベーション中に逆転写され増幅されるウイルスまたはヒトRNAの特定の領域を標的とする、6つの個別のプライマーで構成されていた。
実施例15-陽性対照
陽性対照反応は、ウイルスRNA用の3つの検査ストリップとともに実行される検査領域の1つとして、検査デバイスに組み入れられている。陽性対照は、同時に陽性鋳型対照及び抽出対照としても機能する。検査ストリップの対照領域で赤色から黄色への色の変化が生じた場合、これは、ウイルスRNAが検体中に存在していた場合にウイルスから正常に抽出されたことと、検査内の試薬が増幅信号を生成するために全て予想通りに動作していることとを示している。色の変化が生じない場合、検査は無効と見なされ、検査を繰り返す必要がある。
陽性対照は、ヒト臨床検体中のユビキタスマーカーであり、かつ多くのRT-PCRキットにおける標準対照である、ヒトRNase Pを検出する。このマーカーの増幅は、ヒト細胞の溶解が検査条件下で問題なく生じ、ウイルスも溶解されていると推測することができることを示す。
対照の科学的根拠は以下の通りである。RT-PCRベースのアッセイとは異なり、本発明者らのアッセイはウイルスRNAの化学的抽出は使用せず、むしろ熱処理で十分であった。RT-PCRにおけるポリメラーゼは、生体試料マトリックス中の反応阻害物質に対する感度が高い。したがって、これらの検査には通常、RNAの抽出及び精製操作が伴う。これに対し、LAMPアッセイで使用されるBst 2.0ポリメラーゼ酵素は、生物学的マトリックス中で極めて頑健であるため、抽出及び精製は使用されない。装置内で到達する65℃の温度は、ウイルス粒子を溶解し、ウイルスRNAを露出させ、頑健な増幅を支持するのに十分である。
実施例16-陰性対照
陰性、鋳型なしの対照検査は、唾液検体の代わりにブランク検査溶液を用いて検査デバイスを使用して実施する。ブランク検査溶液は、RNAまたはDNA鋳型を一切含まない無菌のpH緩衝溶液である。この検査で色の変化が認められた場合は偽陽性の可能性が示唆されるため、最後の対照の実行以降に得られたあらゆる陽性結果は無効になる。したがって、ユーザへの指示は、ユーザ側が検査キットの受領時に、このような代表的な検査キットの1つを使用してこの陰性対照を実施するようにするものである。この確認は、規定の間隔で繰り返すこともできる。
陰性対照における偽陽性の最も可能性が高い原因は、連続した検査からの増幅DNA産物のキャリーオーバーである。陰性対照検査は、キャリーオーバー汚染に起因する偽陽性を防止するための一連の管理措置の最後のものであり、管理措置には、厳格なシール公差でのカートリッジの製造管理、及びオペレータによるヒータ器具の定期的な拭き取り洗浄による消毒が含まれる。
実施例17-内部対照
検査アセンブリには、検査基質として唾液を使用するために設計した独自の対照を採用している。各検査ストリップには、唾液検体の初期pHが予想範囲内であることを検証する内部対照として機能するpH指示薬色素が含まれている。試料を適用したとき(加熱前)、4つの検査ストリップ全てで赤色から黄色への色の変化が認められた場合、ユーザは検体が無効であると結論付ける必要があり、検査を続行してはならない。試料採取前の食事、飲水、または口腔衛生製品の使用などの外部要因により、検体の初期pHが外れる可能性がある。pHの表示に不具合がある場合、これらの要因のうちの1つが検体に影響を及ぼしているとオペレータが判断した場合は、患者の唾液pHが正常状態に戻るまで5分間待機した後に再検査を実施することができる。ある種の疾病などの他の外部要因も唾液のpHに全身的に影響を及ぼす可能性があり、その場合には代替の検査手段の使用が必要となる。
実施例18-結果確認
紙LAMP検査は、定性的検査である。この検査は、色ベースの視覚的結果であり、オペレータはこれを解釈用のカラーチャートを用いて読み取ることができる。陽性反応結果は黄色になる。患者の結果を解釈する前に、全ての検査対照を調査する必要がある。対照が有効でない場合は、検査は無効であり、患者の結果を解釈することはできない。
これは等温RNA増幅であるため、LoD実験で定義されたレベルで標的SARS CoV-2 RNAが存在すると、検査陽性を示す結果が生じる。いくつかの場合では、Orf1ab、E遺伝子、またはRdRp遺伝子の3つの標的遺伝子プライマー領域のうちの2つでの陽性結果によって、検査陽性の解釈が確定され得る。検査ストリップの色を付属の色解釈チャートと比較して、陽性結果を同定することができる。検査ストリップのRNaseP領域は、黄色に変わって検査が有効であることを示すはずである。その領域が黄色に変わらない場合、検査は無効であり、検査を繰り返す必要がある。
信頼性の高い正規の検査ストリップの第1の指標は、検査ストリップの加熱前に唾液を適用した際に4つの検査ストリップ領域が黄色に変わらないことを確認することである。これが生じた場合、唾液のpHが、おそらく最近の食物または水分の摂取に起因して許容範囲外である。患者は水で口腔をすすぎ、少なくとも5分間待機し、唾液を再採取する必要がある。
ヒータ器具内で検査反応が完了すると、内在対照はRNaseP領域で陽性の黄色の色の変化を示すはずである。それを確認したら、各ストリップ領域の色の変化を、付属の色解釈用チャートと比べて調査する必要がある。各ストリップ領域は、陽性(例えば、黄色の変化)または陰性(例えば、ピンク色)に分類される。一例では、検査領域のうちの2つが陽性である場合に、SARS CoV-2の確定が示され得る。
実施例19-偽陽性の発生源
アッセイ手順において偽陽性に対処するために適切な注意を払わなかった場合、RT-LAMPアッセイで偽陽性がしばしば生じる場合がある。これらの偽陽性の発生源は、以前のRT-LAMP反応によって形成されたDNAエアロゾルに端を発している可能性があり、このエアロゾルは環境中に長期間残留し、今後の実験を汚染する。これらのエアロゾルは、反応調製中に個々の試薬を汚染し得るか、または反応混合物を移す、取り扱う、反応混合物に試料をロードする、もしくは反応混合物をインキュベートする際に反応混合物を汚染し得る。エアロゾルは、RT-LAMP関連の検査精度を低減させる以外にも、LoD試験などの特定の濃度の鋳型を使用する実験にノイズを加える可能性がある。これらの様々な時点の汚染に対処するために、RT-LAMP関連の全ての手順を、段階(すなわち、反応調製、移送、ローディング/密封、増幅のためのインキュベーション、及びゲル電気泳動)に分割し、異なる場所で実施することができる。プロトコル内の操作を空間的に分離することにより、反応物の密封前にエアロゾルが導入される可能性を最小化することができ、または偽陽性が生じた場合に問題解決を行うことができる。
実施例20-プレート、キャップ、シーラー、及びチューブのスクリーニング
RT-LAMPは汚染されやすく、それ故に偽陽性が生じやすいことを考慮して、qPCR 96ウェルプレート、密封方法、及びPCRチューブに対する大規模なスクリーニングを行った。まず、Thermo Scientific(登録商標)96ウェルFull Skirted PCR PlateのClear(ThermoScientific(登録商標)AB-0800)とWhite(AB-0800W)の両方を、FrameStar(登録商標)96ウェルスカート付きオプティカルボトムプレート(Brooks Life Sciences(登録商標)4TI-0970)とともにスクリーニングした。透明プレートは、主に比色アッセイのスキャンを補助するために使用した。これらの透明プレートのうち、白色底のThermo Scientific(登録商標)96ウェルFull Skirted PCRプレートが、偽陽性の平均数に基づく最良の性能を発揮した。
図22Aは、orf1ab.IIの検出限界(LoD)に関する比色RT-LAMPスキャン画像を示す。スキャンの表題は、比色LoDの実行に使用した様々なプレートタイプに対応するカタログ番号である。黄色のウェルはLAMP反応が問題なく起こったことを示し、一方、赤色/橙色のウェルは増幅されていないか、または増幅が低レベルであることをそれぞれ示す。20μLの反応混合物に、熱不活化ウイルス水希釈液5μLを表示濃度で添加した。反応マスターミックスは、12.5μLのNEB Colorimetric 2×マスターミックス、2.5μLのプライマーミックス、及び5μLの水からなるものであった。終点時の画像を、65℃に設定したインキュベータ内で60分間加熱した後に取得した。各ウイルス濃度について、プライマーセットごとに3回の反復試験を行った。
密封方法については次の製品を調査した:MicroAmp(登録商標)Optical 8キャップストリップ(Thermo Fisher(登録商標)43-230-32)、Thermo Scientific VersiCap Mat Cap Strip(Thermo Fisher(登録商標)AB1820)、Thermo Scientific Adhesive Plate Seal(Thermo Fisher(登録商標))AB-0558)、及びMicroAmp Optical Adhesive Seal(Thermo Fisher(登録商標)43-119-71)。偽陽性率を観察すると、キャップのうちVersiCap Mat Cap Stripが最も良好に密封した。但し、比色スキャンに関しては、キャップが完全に透明ではないことから、反応の進行状況に関する正確な画像を取得することが困難であった。その結果、接着シールを検査したところ、これらは互いに比較して同等の性能を発揮した。更に、プレート全体を同時にかつ一様に加圧した場合、偽陽性率に基づくと、接着シールはVersiCapよりも良好な性能を発揮した。
図22Bは、orf1ab.IIの検出限界(LoD)に関する比色RT-LAMPスキャン画像を示す。スキャンの表題は、比色LoDの実行に使用した様々なキャップタイプに対応するカタログ番号である。黄色のウェルはLAMP反応が問題なく起こったことを示し、一方、赤色/橙色のウェルは増幅されていないか、または増幅が低レベルであることをそれぞれ示す。20μLの反応混合物に、熱不活化ウイルス水希釈液5μLを添加して、最終表示濃度(陽性反応)またはヌクレアーゼフリー水(陰性)を得た。反応マスターミックスには、12.5μLのNEB Colorimetric 2×マスターミックス、2.5μLのプライマーミックス、及び5μLの水を含めた。終点時の画像を、プレートを65℃で60分間加熱した後に取得した。各ウイルス濃度について、プライマーセットごとに3回の反復試験を行った。
イメージング中のプレートの代替として、次のPCRチューブ製品を調査した:MicroAmp(商標)Optical 8-Tube Strip with Attached Optical Cap(Thermo Fisher(登録商標)A30588)及びMicroAmp(登録商標)Optical 8-Tube Strip(Thermo Fisher(登録商標)4316567)(キャップはプレートの密封に使用したものと同じものを使用)。光学キャップを取り付けたチューブは、偽陽性率に関して最良の性能を発揮した。
完全にアセンブリされた4プレックス検査ストリップには、展開メッシュ、接着剤、及びシースルーのMelinex支持材を含めることができる。検査ストリップには、約10コピー/μLに相当する0.2ng/μLの濃度で水中のDNA鋳型を含めることもできる。試料体積は100uLにすることができる。N遺伝子プライマーは、プライマーの条件とプライマーなしの条件とを交互に用いて使用することができる。接着剤は色の反応を阻害する緩衝作用を有している可能性があるため、配合物でそれを相殺する必要がある。
紙LAMP検査のプロセス及び手法
実施例21-A-紙LAMP検査のプロセス
紙LAMP検査は、熟練した医療従事者による簡易的ポイントオブケアでの使用のために設計されている。検査プロセス全体を図18に示す。患者は医療従事者の指導の下、唾液検体を収集する。唾液試料は添加物を含まない専用の収集容器に収集されるため、患者が収集の際に使用しても安全である。唾液の量はおよそ100μLであり、患者にとって収集が容易である。上記した特定のRNA検出領域を含む検査ストリップは、全体がプラスチックのストリップホルダーに収容されている。唾液試料の収集後、患者は収集容器をオペレータに手渡す。次に、オペレータは唾液試料を検査ストリップの指定位置に適用し、カートリッジハウジングを閉じる。次に、試料を含有するストリップを備えたカートリッジを、カートリッジを所定位置に確実に保持して65℃までの所望の加熱が行われるように設計されたヒータ器具に入れる。紙LAMPアッセイは、検査ストリップ上で等温温度で進行する。LAMP反応中、核酸が唾液試料中で同定され、65℃の温度下で、核酸の増幅によりもたらされたpHの変化によりストリップ上に色の変化が生じる。
ヒータ器具は、検査ストリップ全体に均一な加熱を提供するように設計されている。加熱器具には、インキュベーション時間に関してユーザに加熱の進行状況を示し、検査が終了に達したときにオペレータに通知するために、(赤-黄-緑)色のLEDライトを設けることができる。検査の進行中、ヒータ器具には、検査が確実に中断されないようにするための機能、例えば磁気式または機械式ロックを含めることができる。検査反応は、65℃の等温温度でおよそ15~30分間進行させることができる。アッセイの終了時に、検査ストリップ入りの検査担体をヒータから取り外し、目視で読み取ることができる。
実施例21-B-紙LAMP検査のプロセス
図18Bは、SARS-CoV-2に対する紙ベースの比色分子検査の製作及び使用を図示している。SARS-CoV-2の紙ベースの比色分子検査の製作には、(1a)マスターミックスの作製、(1b)ミックスのパッドへの移行、(1c)品質チェックの実施、及び(1d)検査デバイスの風乾が含まれる。SARS-CoV-2の紙ベースの比色分子検査の使用には、(2a)試料の収集、(2b)水への再懸濁、(2c)パッドへの試料の添加、(2d)65℃での約60分間のインキュベーション、及び(2e)結果の解釈が含まれる。
実施例21-C-紙LAMP検査のプロセス
アッセイのワークフロー(唾液を収集し、試料を紙ベースのデバイスに移し、65℃でインキュベートし、結果を読み取る)を図19Aに図示する。典型的な結果を図19Dに示す。図19Cは、本発明者らの紙デバイスの構造の概略図を示す。紙デバイスには、反応ゾーン間のクロストークを防止するために、20ミルポリスチレンスペーサで分離させたグレード222セルロース反応パッドをいくつか含めた。これらの構成要素を、構造的に支持するために両面接着剤を介して透明な裏材に取り付けた。製作中、RT-LAMPを行うための試薬を反応パッド上で乾燥させた。これらの試薬は、ユーザが試料を反応ゾーンに加えたときに再水和した。
図19は、紙ベースのデバイスの概略図及び比色特性を図示している。図19Aは、デバイスを使用するためのワークフローの概略図を示す。対照ゾーンはプライマーなしの対照を示す。図19Bは、5%唾液中の示された濃度の熱不活化重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)を使用した紙上での比色LoDを示す。陰性反復試験は、熱不活化SARS-CoV-2の代わりにヌクレアーゼフリー水を使用したRT-LAMP反応である。データは図21Aから取得した。
図19Cは、紙デバイスの概略レイアウトを示す。図19Dは、陰性ラン及び陽性ランの典型的な比色結果を示す。対照は、LAMPプライマーを含まないRT-LAMP反応である。陽性反応には、5%唾液に800コピー/μLを添加している。図19Eは、パネルBの比色結果から導出される可能性のある結果の色勾配を示す。図19Fは、調査回答に基づいて紙デバイスの分析感度及び特異度を算出するために使用する観察結果の要約表を示す。
アッセイの各操作(図19A)を、複雑性を低減させ、ポイントオブケア現場でのユーザのエラーを減らすように設計した。試料収集操作では、患者が自ら収集することができ、収集された唾液から微粒子を除去することができ、患者間の結果のばらつきを最小化することのできる、スポンジベースの収集デバイスを使用する。移送操作には、デバイス上の2つの反応ゾーンの各々に25μLの希釈唾液を配置することを含めた。インキュベーション操作では、試料をロードした紙デバイスを再密封可能なプラスチック袋に密封し、65℃に設定したインキュベータ内に60分間入れる。最後に、読み取り操作では、ユーザは対照ゾーンと反応ゾーンの色を図19Cのカラーバーと比較して、結果が有効か否か、また目的病原体が存在するか否かを判定する。
このプラットフォームは、3つの主要構成要素、すなわち、アッセイに特異性を付与するプライマーセット、2つの反応ゾーン(1つが対照、1つが反応)を含有する紙デバイス、及び紙デバイスを反応温度まで加熱するために使用される加熱源で構成される。プライマーセットによって、アッセイがどの病原体を標的とするかが決定される。したがって、デバイスと配合物の他の全ての側面を同一に保ちつつ、プライマーセットを再設計することにより、異なる病原体を標的にするようにプラットフォームを再構成することができる。更に、紙ベースのデバイスは、複数の標的の同時検出を可能にする多数の反応ゾーンに適合するように構成することができる。
唾液中のSARS-CoV-2の直接検出は、肉眼を使用して読み取ることができる明確な比色反応を介して示される(図19)。この形式はロールツーロール製作に適しており、1検査あたりの費用はおよそ10ドルと予想される。この検査の検出限界(LoD)は、1μLの唾液あたり200コピーである。視覚的に評価した場合、分析感度(陽性的中率)は76%であり、特異度(陰性的中率)は100%であり、精度は、人工試料(熱不活化SARS-CoV-2を添加した新たに収集した唾液)を使用して測定した場合、およそ91%である(図19F)。対照パッドの色の知覚における主観性により、回答者は、提示された80個のデバイスのうち合計20個を無効であると誤って同定し、その結果、偽無効率は25%であった。画像処理を使用して色の変化を定量化した場合、感度は97%に増加し、精度は98%である(図19C)。
デバイス(図19C)は、寸法が6mm×20mmであり、読み取り層、2つの反応ストリップ、及びクロストークを防止するためのスペーサを含んでいた。読み取り区域は、支持用の光学的にクリアな3ミルMELINEX(Tekra MELINEX(登録商標)454ポリエステル(PET))支持材を含んでいた。これを、両面接着剤(Adhesives Research無酸ARclean(登録商標)90178)を使用して、5mm×6mmのクロマトグラフィー用紙(Ahlstrom-Munksjo Grade222)の2つの反応ストリップに取り付けた。ストリップを、2.5×6mm 20ミルポリスチレンスペーサ(Tekra Double White Opaque High Impact Polystyrene(HIPS)Litho Grade)により分離した。再水和時に、25μLの試料を加えてストリップを含浸させた。
カラーバーは、グレード222のクロマトグラフィー用紙上のフェノールレッドのRGB値をpH値の範囲にわたって平均化することにより作成した。これらの平均RGB値を使用して線形勾配を作成し、ROC曲線から決定した最適な閾値をカラーバー上に注釈付けした(図19C)。
紙ベースのデバイス上に試料をロードした後、RT-LAMP反応中の汚染を防止するために、デバイスを1インチ×1インチの再密封可能なプラスチック袋に入れた。次に、紙デバイスが入ったプラスチック袋を、65℃のインキュベータに60分間入れた。袋を取り出し、フラットベッドスキャナでスキャンし(図19D)、6~9の既知のpH値の緩衝液中でのグレード222パッド上のフェノールレッド反応からのRGB値を平均化することにより作成したカラーチャート(図19E)と比較した(図21B)。カラーチャート内の閾値は、ROC分析から決定した閾値に対応する(図19B)。
唾液中の200コピー/μLのLoDを決定した後(図19B)、LoDの1倍、2倍、4倍、40倍、及び400倍の人工試料を作製した。新たに収集した唾液の30個のアリコートを陰性試料として使用した(図21A)。画像処理を使用して結果を定量化した(図19A及び図21C)。両側スチューデントt検定を使用して、陰性比色反応パッドと陽性比色反応パッドの緑色チャネル強度の差が有意であることが判明した(p<0.001)。
画像分析を使用した特異度は100%であり、感度は97%であり、精度は98%であった(図20C)。図20は、紙上の比色反応のデジタル分析を図示している。図20Aは、紙上でのRT-LAMPの30個の陽性結果及び30個の陰性結果の緑色チャネル強度の箱ひげ図を示す。図20Bは、紙上でのRT-LAMPの30個の陽性結果及び30個の陰性結果に関する受信者動作(ROC)曲線を示す。図20Cは、画像分析に基づく観察結果の要約表を示す。
比色知覚調査(図23A及び23B)を、Purdue University IRBプロトコル番号IRB-2021-375に従って、試験に登録した参加者から収集した。閾値を注釈付けしたカラーバーを参加者に渡した(図19E)。参加者には複数の紙デバイススキャンを渡し、対照パッド(左側の反応ゾーン)を有効または無効として、またSARS-CoV-2反応(右側の反応ゾーン)を陽性または陰性として分類するように求めた。無効として分類された観察結果をアッセイ性能分析から破棄し、誤って無効と同定されたアッセイの割合を偽無効率として報告した。
カラーバー(図19)を使用して、図21Aに示す10個の陽性反応及び10個の陰性反応を、(左側の対照ゾーンに従って)有効または無効として分類するように、また(右側の反応ゾーンに従って)SARS-CoV-2について陽性または陰性に分類するように、参加者4名に求めた。参加者が無効と見なした観察結果を破棄した。40件の真陽性の観察結果(画像分析を使用して全て有効)のうち、参加者は19件を誤って無効に分類した。これは、1件の観察結果が誤って無効に分類された40件の真陰性の観察結果(そのうち36件は画像分析を使用して有効であった)とは対照的である。したがって、比色解釈を考慮に入れながら算出した本発明者らのデバイスの特異度及び感度は、それぞれ100%及び76%であり、精度は91%であり(図19F)、偽無効率は25%であった。
実施例22-試料安定性
唾液収集から検査ストリップへの適用までの標準時間は、2時間以内である。試料収集から24時間までの検査を許容する際の試料安定性は、0~2時間、8~12時間、及び20~24時間に試料(例えば、15個の陽性及び15個の陰性)を繰り返し検査することに基づくことができる。収集センターまたは臨床現場で患者から迅速に収集された試料は、続いて数時間後に検査することができる。1箇所での収集(例えば、外来施設またはドライブスルー収集区域での収集と、それに続く唾液検体の第2の場所、例えばある場所への移送)も評価することができる。
実施例23-製造
含浸コーティング及び高温での乾燥は、LAMP反応に悪影響を与えることはないように思われた。このことは、製造のスループット及び拡張性に正の影響を及ぼす。検査ストリップは、多額の生産設備コストをかけずに既存の加工機器で大規模に製造することができるように設計した。設計は十分に簡素であるため、新たに生じる市場のニーズを満たすための試作から本格的な生産までの迅速かつ簡素な道程という目標を達成することができる。
実施例24-紙ベースのデバイスの設計
紙は、主に安価なコスト、技術的複雑性の低さ、ロールツーロール製造を用いた生産の容易さにより、pH指示薬及び尿ストリップに広く使用されている。本明細書に開示されるデバイスについて、いくつかのタイプの紙及び選択したクロマトグラフィー用紙の使用を評価した(図21D~21F)。クロマトグラフィー用紙は、他の紙と比較して毛細管作用能力が向上しているため、紙ベースのバイオセンサーに使用することができる。多くの紙ベースのデバイスはグレード1のクロマトグラフィー用紙を使用する。但し、グレード1のクロマトグラフィー用紙の面積が大きい(5mm×20mm)ことから、紙全体にわたる溶液の分布は一様ではなかった。したがって、グレード1(0.18mm)よりもおよそ4.6倍厚いグレード222(0.83mm)という、異なるタイプのクロマトグラフィー用紙を選択した。厚みが増加したことにより、デバイスのサイズを縮小させる(5mm×6mm)ことで、同じ体積の液体を70%小さい反応区域にロードすることができ、一様に分布させることができる。
デバイスの複雑性を低減させるために、RT-LAMP反応の成分(鋳型を含まず)を紙上で乾燥させた。乾燥させることで、診断性能を損なうことなく、デバイスの分布が安定しかつ操作が容易になる。ユーザが単に試料を加えるだけで試薬は再水和される。試薬を紙上で乾燥させると、鋳型が一切存在しない中で、時間の経過とともに紙の色が赤色から黄色に変化し、紙のpHが低下したことが示された。一連の1個抜き実験を通じて、硫酸アンモニウムがこの変化の原因であることが判明した(図21G)。この色の変化は、加熱に起因するセルロースの酸化、硫酸アンモニウムの酸化性、またはRT-LAMP混合物からのアンモニアの脱気による試薬の酸性化によって生じた可能性がある。増幅の非存在下での色の変化を防止するために、硫酸アンモニウムをベタインに置き換え、フェノールレッド(抗酸化剤として作用する)の濃度を増加させた(図21H)。
LAMP反応におけるベタインの有効性はまちまちであるが、ベタインは酸化損傷を低減させることができるため、これを含めた。トレハロースとBSAの両方を紙上の配合物に加えた(図21H)。
このデバイスでは、2つの反応ゾーンを使用した。1つはSARS-CoV-2を標的とし、もう1つは紙上の本発明者らの試薬の安定性を決定するためのプライマーなしの対照(いずれの試料とも反応しないはずである)を提供した。最終デバイスの概略図を図19Cに示し、5%の反応濃度で唾液中に添加した熱不活化SARS-CoV-2を含む及び含まないデバイスからの結果を図19Dに示す。図19Bに示すように、紙上でのアッセイのLoD(250コピー/反応)は、比色RT-LAMP配合物の溶液中で認められたLoDに匹敵する(図21I)。
デバイスの構築については、構造上の支持を提供するためにMelinex(登録商標)裏材を使用した。両面接着剤を使用して、2つの反応パッドをそのpHを変化させることなく裏材に取り付けた。反応ゾーンの数は、デバイスの設計を変更することなく多重検出を可能にするように任意に増加させることができる。20ミルポリスチレンスペーサを反応パッド間に加え、1つの反応ゾーンから隣接する反応ゾーンへの漏出を防止する物理的障壁を提供し、これにより試薬と試料の両方を加えている際のクロストークを排除した。いくつかの場合では、試料の交差を防止するワックスプリンティングにより生じる疎水性障壁によって反応ゾーンを分離することができる。しかしながら、ロールツーロール製造を可能にするために、ワックスの使用をなくし、スペーサを使用した。
実施例25-人工試料の検証
紙上での本発明者らのアッセイの分析感度及び特異度を評価するために、orf7ab.IのLoDの倍数で熱不活化SARS-CoV-2を用いて人工試料を作製し、紙上でRT-LAMPアッセイを行った。合計30個の陽性試料及び対応する30個の陰性試料を使用した。これは、米国における緊急使用許可(EUA)の最小数である。陽性反応と陰性反応を識別するための比色閾値を決定するために、様々な緑色チャネル強度閾値において感度及び特異度を算出することによってROC曲線を構築した(図20)。閾値において、アッセイは以下の分析指標:感度97%、特異度100%、及び精度98%を有していた(図20A及び図20B)。陽性群と陰性群との間の差は有意に異なることが判明した(p<0.001)。紙ストリップは手作業で切断しており、紙のサイズのわずかな差により比色反応に差が生じる可能性がある。したがって、大規模な製作及び品質管理により、2つの群(陽性及び陰性)内の一貫性を更に増強させることができる。この感度は、RNA抽出物を使用したアッセイ(感度およそ95%)に匹敵し、感度の大幅な低下(およそ80%まで)が一般的である粗試料で報告されている感度よりも良好である。
実施例26-紙ベースのデバイスの比色解釈
色の知覚が本発明者らのデバイスの性能に与える影響を観察するために、参加者4名を調査し、デバイスの結果を解釈するように参加者に求めた。各参加者に、カラーバー及び60分後のデバイスのスキャン(図23A及び23B)を提供し、その結果を(対照パッドを使用して)有効または無効として分類するように、またカラーバー上に印した閾値に基づいて陽性または陰性として分類するように求めた。ユーザによる解釈を分析に導入した場合、デバイスの感度及び精度はそれぞれ76%及び91%に低下した(図19F)。この感度の低さは、回答者が多くの陽性反応を対照パッドに基づいて無効と同定したことに端を発しており、偽無効率は25%に至った。これは、反応中のアンプリコンによる対照パッドの汚染に起因する可能性がある。更に、黄色と赤色の両方の領域が存在するパッドをユーザが解釈することで多義性が生じ、偽陽性率または偽無効率が増加する可能性がある。最近の知見により、この多義性は、比色アッセイにおいて適切に対処されていない第3の中間色のクラスター(陽性/陰性クラスターに加えて)によるものであることが示唆されている。無効な結果は更なる分析から破棄されたため、この偽無効率の上昇は、デバイスの特異度及び精度の指標に人為的に影響を与える可能性がある。
実施例27-単一反応物質の除去が乾燥後の紙の初期色に及ぼす影響
図21Gは、KCl(50mM)、MgSO(8mM)、等モルのdNTP混合物(各dNTPにつき1.4mM)、WarmStart BST 2.0(0.32U/μL)、WarmStart RTx(0.3U/μL)、フェノールレッド(0.25mM)、dUTP(0.14mM)、Antarctic UDG(0.0004U/μL)、Tween20(1v/v%)、(NHSO(10mM)、及びトレハロース(10w/v%)の基本配合物を含有するRT-LAMPマスターミックス20μLを、5μLのヌクレアーゼフリー水とともにグレード1のクロマトグラフィー用紙に加え、PCR調製フード内で10分間乾燥させたことを示している。乾燥時に認められた色の変化の原因を明らかにするために、示すように反応物質を基本配合物から除外した。RT-LAMPプライマー及び鋳型はこの試験には含めなかった。
実施例28-様々なpH値におけるフェノールレッドの色較正
図21Bは、20mMトリスで緩衝した紙上での様々なpH値における250μMフェノールレッドの較正を示す。pH値は、HClまたはKOHを使用して調整した。複数のストリップ間で色を容易に比較することができるように、グレード222のクロマトグラフ用紙(5mm×6mm)の画像を矩形形状にトリミングした。
実施例29-熱不活化SARS-Cov-2の様々な濃度での最終デバイスの検証
図21Aは、orf7ab.Iプライマーセットを使用したRT-LAMP及び比色RT-LAMPマスターミックスの最終配合物を示す。各デバイスの左側の反応ゾーンは、プライマーなしの対照であり、これは、全てのorf7ab.Iプライマーが水に置き換えられており、マスターミックスに含まれていないものである。右側の反応ゾーンには、陽性反応の場合は示した濃度で処理済唾液に添加した熱不活化ウイルスが含まれ、または陰性反応の場合は処理済唾液が含まれる。全ての処理済唾液の最終反応濃度は5%となった。マスターミックスは、KCl(50mM)、MgSO(8mM)、等モルのdNTP混合物(各dNTPにつき1.4mM)、WarmStart BST 2.0(0.32U/μL)、WarmStart RTx(0.3U/μL)、フェノールレッド(0.25mM)、dUTP(0.14mM)、Antarctic UDG(0.0004U/μL)、Tween20(1v/v%)、ベタイン(20mM)、BSA(40mg/mL)、及びトレハロース(10w/v%)からなるものであった。グレード222のクロマトグラフィー用紙を使用した。
実施例30-様々な鋳型濃度におけるRT-LAMP比色反応の緑色チャネルの色強度
図21Cは、様々な濃度における紙パッドの比色反応の散布図を示す。緑色強度の閾値を基準線121で示す。
実施例31-加熱方法がRT-LAMP比色反応に及ぼす影響
図22Cは、65℃で60分間インキュベートした後の、異なる加熱デバイス間の25μL反応物に対するLAMPの検出限界(LoD)についての比色スキャンを示す。これらの反応に使用したプライマーセットはorf1ab.IIであった。20μLの反応混合物に、熱不活化ウイルス水希釈液5μLを添加して、最終表示濃度(陽性反応)またはヌクレアーゼフリー水(陰性)を得た。反応マスターミックスには、12.5μLのNEB Colorimetric 2×マスターミックス、2.5μLのプライマーミックス、及び5μLの水を含めた。
実施例32-RT-LAMP比色反応に対する影響またはRT-LAMP比色反応でのランプ速度
図22Dは、25μL反応物を、様々なランプ速度でqTower(96ウェルプレート)及びサーモサイクラー(PCRチューブ)にて65℃で60分間インキュベートした後の比色スキャンを示す。使用したプライマーセットは、orf1ab.IIであった。20μLの反応混合物に、熱不活化ウイルス水希釈液5μLを添加して、最終表示濃度(陽性反応)またはヌクレアーゼフリー水(陰性)を得た。反応マスターミックスには、12.5μLのNEB Colorimetric 2×マスターミックス、2.5μLのプライマーミックス、及び5μLの水を含めた。
実施例33-トレハロース及びTween20がRT-LAMP比色反応に及ぼす影響
図21Hは、所与の濃度のトレハロースまたはTween20を含む比色RT-LAMPの結果を示す。orf1ab.IIプライマーセットを使用した。KCl(50mM)、MgSO(8mM)、等モルのdNTP混合物(各dNTPにつき1.4mM)、WarmStart BST 2.0(0.32U/μL)、WarmStart RTx(0.3U/μL)、フェノールレッド(0.25mM)、dUTP(0.14mM)、Antarctic UDG(0.0004U/μL)、Tween20(示されている場合、1v/v%)、ベタイン(20mM)、BSA(40mg/mL)、及びトレハロース(示されている場合、10w/v%)の基本配合物を含有するRT-LAMPマスターミックス20μLを、グレード1のクロマトグラフィー用紙(5mm×20mm)に加え、PCR調製フード内で60分間乾燥させた。25%の処理済唾液中の1反応あたり1×10コピーの最終濃度の熱不活化SARS-CoV-2(陽性反応)またはヌクレアーゼフリー水(陰性反応)25μLを、乾燥反応パッドに加えた。パッドを65℃に設定したインキュベータ内で60分間加熱し、次いでフラットベッドスキャナを使用してスキャンした。
鋳型が存在しない場合、硫酸アンモニウムを含めることにより、RT-LAMP試薬の乾燥時に色が赤色から黄色となった。この色の変化を、フェノールレッドの濃度を増大させ、硫酸アンモニウムをベタインに置き換えることにより防止した(図21G)。更に、トレハロース及びウシ血清アルブミン(BSA)を加えることで、反応速度が増加し、LoDが向上した(図21H)。
実施例34-要約
複雑な試料中の目的病原体の核酸を検出するための紙ベースのデバイスは、ヒトの目に見える比色反応を生成することにより、ループ介在等温増幅(LAMP)を使用することができる。新たに生じる公衆衛生上の緊急事態におけるこのデバイスの有用性を実証するために、このデバイスで前処理を行うことなくヒト唾液中のSARS-CoV-2を検出した。結果として得られたデバイスは、60分以内にウイルスを検出可能であり、画像分析を使用すると、分析感度は97%であり、特異度は100%であり、検出限界は患者の唾液1μLあたり200ゲノムコピーであった。このデバイスには、ARclean(登録商標)両面接着剤によってMelinex(登録商標)裏材に取り付けられた20ミルポリスチレンスペーサで分離されたグレード222のクロマトグラフィー用紙で構成された、構成可能な数の反応ゾーンを含めた。結果として得られるデバイスは、LAMPプライマーセットを変更することにより、複数の標的及び様々な病原体を検出することができる。
このプラットフォームは次の特性を有する:i)唾液を使用する、ii)オペレータのトレーニングが最小限である、iii)ロールツーロール法を使用して製作し、数百万の検査を実現することができる、iv)分析感度及び特異度の点でRT-qPCRアッセイと同様の性能を発揮する、v)肉眼で見える比色反応を提供する、vi)ポイントオブケアでの使用に適している、vii)60分未満で結果が得られる、ならびにviii)費用は1検査あたりおよそ10ドルであると推定される。
この検査は、その簡素性及び拡張性により、幅広い現場(場合により家庭内診断を含む)で使用することができる。このプラットフォームは、溶液中のプライマーセットをスクリーニングすることにより、様々な病原体を標的とするように容易に再構成することができる。追加の反応部位をデバイスに追加することにより、多重化が可能になる。このプラットフォームは、その再構成可能な性質により、今後の公衆衛生上の緊急事態において、新たに生じる病原体の検出に使用することができる。
例示的実施形態
一例では、吸湿剤を実質的に含まないLAMP試薬混合物を固相反応媒体と組み合わせて含み得るループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリが提供される。
ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリの一例では、固相媒体は、マグネシウム干渉剤を実質的に含まない場合がある。
ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリの別の例では、マグネシウム干渉剤は、マグネシウム含有化合物及びマグネシウムに干渉するキレート剤を含み得る。
ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリの別の例では、固相媒体は、親水性、吸収性、かつ多孔質であり得る。
ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリの別の例では、固相媒体は、セルロースベースの媒体であり得る。
ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリの別の例では、セルロースベースの媒体は、約30~約600の表面積対厚さ比を有し得る。
ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリの別の例では、セルロースベースの媒体は、約100ミクロン未満の孔径を有し得る。
ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリの別の例では、固相媒体は、紙を含み得る。
ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリの別の例では、固相媒体は、ガラス繊維を含み得る。
ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリの別の例では、固相媒体は、ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、もしくは親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはそれらの組み合わせを含み得る。
ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリの別の例では、LAMP反応媒体は、マグネシウム干渉剤と吸湿剤とを実質的に含まない接着剤を更に含み得る。
ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリの別の例では、LAMP反応媒体は、固相反応媒体よりも親水性が低い展開層を更に含み得る。
一例では、吸湿剤を実質的に含まないLAMP試薬混合物を固相反応媒体と組み合わせて、試薬混合物と固相反応媒体との接触が保持されるようにすることを含む、本明細書に列挙されるLAMP反応アセンブリを製造する方法が提供される。
一例では、本明細書に列挙されるLAMP反応アセンブリを製造する方法は、非変色性添加剤を使用して変色を制御することを更に含み得る。
本明細書に列挙されるLAMP反応アセンブリを製造する方法の別の例では、非変色性添加剤は、糖、緩衝液、ブロッキング剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。
本明細書に列挙されるLAMP反応アセンブリを製造する方法の別の例では、非変色性添加剤は、トレハロース、グルコース、スクロース、デキストラン、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む糖を含み得る。
本明細書に列挙されるLAMP反応アセンブリを製造する方法の別の例では、非変色性添加剤は、ウシ血清アルブミン、カゼイン、またはそれらの組み合わせを含むブロッキング剤を含み得る。
別の例では、本明細書に列挙されるLAMP反応アセンブリを提供すること、反応アセンブリに生体試料を適用すること、LAMP反応を開始させるのに十分な温度までアセンブリを加熱すること、及びLAMP反応を完了させるのに十分な時間にわたり温度を維持すること、を含む(includes)または含む(comprises)、LAMP分析を実施する方法が提供される。
LAMP分析を実施する方法の一例では、生体試料は、唾液、粘液、血液、尿、糞便、汗、呼気凝縮液、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上であり得る。
LAMP分析を実施する方法の別の例では、生体試料は、唾液であり得る。
LAMP分析を実施する方法の別の例では、この方法は、ウイルス性病原体を検出することを更に含み得る。
LAMP分析を実施する方法の別の例では、LAMP分析は、逆転写LAMP(RT-LAMP)であり得る。
一例では、実質的に非反応性の固相反応媒体と、非干渉性試薬混合物と、を含む(includes)または含む(comprises)色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系が提供される。
色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系の一例では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、約0.01mM~約5mMの緩衝能を有し得る。
色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系の別の例では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、約443nm~約570nmの範囲のλmaxを有し得る。
色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系の別の例では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、セルロースまたはガラス繊維を含み得る。
色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系の別の例では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、親水性、吸収性、かつ多孔質であり得る。
色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系の別の例では、実質的に非反応性の固相反応媒体は、酸化剤及びpH干渉剤を実質的に含まない場合がある。
色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系の別の例では、系は、接着剤、展開層、スペーサ、及びプラスチック担体を更に含むことができ、接着剤、展開層、スペーサ、及びプラスチック担体の各々は、酸化剤及びpH干渉剤を実質的に含まない。
色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系の別の例では、非干渉性試薬混合物は、1つ以上の標的プライマー、DNAポリメラーゼ、及び再可溶化剤を更に含み得る。
別の例では、固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法であって、LAMP反応以外で生じる変色を最小化する固相反応媒体を提供すること、及び固相反応媒体上でLAMP分析を実施することを含み得る、方法が提供される。
固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法の一例では、この方法は、LAMP反応以外で生じるプロトンによるLAMP以外で生じる変色を制御することを更に含み得る。
固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法の別の例では、この方法は、非変色性添加剤を使用してLAMP反応以外で生じる変色を制御することを更に含み得る。
固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法の別の例では、非変色性添加剤は、糖、緩衝液、ブロッキング剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。
固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法の別の例では、非変色性添加剤は、トレハロース、グルコース、スクロース、デキストラン、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む糖を含み得る。
固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法の別の例では、非変色性添加剤は、ウシ血清アルブミン、カゼイン、またはそれらの組み合わせを含むブロッキング剤を含み得る。
固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法の別の例では、ループ介在等温増幅(LAMP)分析の検出レベル(LOD)を最大化する方法は、非LAMP反応産物を最小化する反応環境及び試薬を提供することを含み得る。
固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法の別の例では、色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系は、25℃で保管された場合に、固相媒体の初期色合いの10%以内である固相反応媒体の色調を維持する、固相反応媒体とLAMP試薬との組み合わせを含み得る。
固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法の一例では、この組み合わせは、30日、90日、365日、2年、または5年のうちの1つ以上より長く保管された場合に、色調を維持することができる。
固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析における色彩出力シグナルの精度を最大化する方法の別の例では、この組み合わせは、25℃で、約40%~90%の相対湿度で保管された場合に、色調を維持することができる。
別の例では、本明細書に列挙される色彩LAMP系を製造するための方法であって、非干渉性試薬混合物を実質的に非反応性の固相反応媒体と組み合わせて、非干渉性試薬混合物と実質的に非反応性の固相反応媒体との接触が保持されるようにすることを含み得る、方法が提供される。
本明細書に列挙される色彩LAMP系を製造するための方法の一例では、製造プロセスは、非干渉性試薬混合物を含有する溶液を調製すること、及び実質的に非反応性の固相反応媒体上に試薬混合物をコーティングすることを含み得る。
本明細書に列挙される色彩LAMP系を製造するための方法の別の例では、コーティングは、実質的に非反応性の固相反応媒体上に溶液を滴下、噴霧、含浸、浸漬、またはミスティングすることを含み得る。
本明細書に列挙される色彩LAMP系を製造するための方法の別の例では、非干渉性試薬混合物は、リールツーリール(R2R)プロセスを使用して、実質的に非反応性の固相反応媒体と組み合わされ得る。
上述の方法は本発明のいくつかの実施形態を例示するものに過ぎないことを理解されたい。当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び代替構成を考案することができ、添付の特許請求の範囲は、そのような修正及び構成を網羅することが意図される。したがって、本発明は、本発明の最も実用的かつ好ましい実施形態であると目下考えられるものに関連して具体的かつ詳細に上述されてきたが、変形形態を含めて、本明細書に記載されている原理及び概念から逸脱することなく行われ得ることが当業者には明らかであろう。

Claims (44)

  1. ループ介在等温増幅(LAMP)反応アセンブリであって、
    吸湿剤を実質的に含まないLAMP試薬混合物を、固相反応媒体と組み合わせて含む、前記LAMP反応アセンブリ。
  2. 前記固相媒体が、マグネシウム干渉剤を実質的に含まない、請求項1に記載のLAMP反応アセンブリ。
  3. 前記マグネシウム干渉剤が、マグネシウム含有化合物及びマグネシウムに干渉するキレート剤を含む、請求項2に記載のLAMP反応アセンブリ。
  4. 前記固相媒体が、親水性、吸収性、かつ多孔質である、請求項1に記載のLAMP反応アセンブリ。
  5. 前記固相媒体が、セルロースベースの媒体である、請求項1に記載のLAMP反応アセンブリ。
  6. 前記セルロースベースの媒体が、約30~約600の表面積対厚さ比を有する、請求項5に記載のLAMP反応アセンブリ。
  7. 前記セルロースベースの媒体が、約100ミクロン未満の孔径を有する、請求項5に記載のLAMP反応アセンブリ。
  8. 前記固相媒体が、紙を含む、請求項1に記載のLAMP反応アセンブリ。
  9. 前記固相媒体が、ガラス繊維を含む、請求項1に記載のLAMP反応アセンブリ。
  10. 前記固相媒体が、ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、もしくは親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のLAMP反応アセンブリ。
  11. マグネシウム干渉剤と吸湿剤とを実質的に含まない接着剤を更に含む、請求項1に記載のLAMP反応アセンブリ。
  12. 前記固相反応媒体よりも親水性が低い展開層を更に含む、請求項1に記載のLAMP反応アセンブリ。
  13. 請求項1に記載のLAMP反応アセンブリを製造する方法であって、
    前記吸湿剤を実質的に含まないLAMP試薬混合物を前記固相反応媒体と組み合わせて、前記試薬混合物と前記固相反応媒体との接触が保持されるようにすることを含む、前記方法。
  14. 非変色性添加剤を使用して変色を制御することを更に含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記非変色性添加剤が、糖、緩衝液、ブロッキング剤、またはそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記非変色性添加剤が、トレハロース、グルコース、スクロース、デキストラン、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む糖を含む、請求項14に記載の方法。
  17. 前記非変色性添加剤が、ウシ血清アルブミン、カゼイン、またはそれらの組み合わせを含むブロッキング剤を含む、請求項14に記載の組成物。
  18. LAMP分析を実施する方法であって、
    請求項1に記載のLAMP反応アセンブリを提供すること、
    前記反応アセンブリに生体試料を適用すること、
    LAMP反応を開始させるのに十分な温度まで前記アセンブリを加熱すること、及び
    前記LAMP反応を完了させるのに十分な時間にわたり前記温度を維持すること、
    を含む、前記方法。
  19. 前記生体試料が、唾液、粘液、血液、尿、糞便、汗、呼気凝縮液、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記生体試料が、唾液である、請求項18に記載の方法。
  21. ウイルス性病原体を検出することを更に含む、請求項18に記載の方法。
  22. 前記LAMP分析が、逆転写LAMP(RT-LAMP)である、請求項18に記載の方法。
  23. 色彩(chromatic)ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系であって、
    実質的に非反応性の固相反応媒体と、
    非干渉性試薬混合物と、
    を含む、前記系。
  24. 前記実質的に非反応性の固相反応媒体が、約0.01mM~約5mMの緩衝能を有する、請求項23に記載の系。
  25. 前記実質的に非反応性の固相反応媒体が、約443nm~約570nmの範囲のλmaxを有する、請求項23に記載の系。
  26. 前記実質的に非反応性の固相反応媒体が、セルロースまたはガラス繊維を含む、請求項23に記載の系。
  27. 前記実質的に非反応性の固相反応媒体が、親水性、吸収性、かつ多孔質である、請求項23に記載の系。
  28. 前記実質的に非反応性の固相反応媒体が、酸化剤及びpH干渉剤を実質的に含まない、請求項23に記載の系。
  29. 接着剤、
    展開層、
    スペーサ、及び
    プラスチック担体を更に含み、
    前記接着剤、前記展開層、前記スペーサ、及び前記プラスチック担体の各々が、酸化剤及びpH干渉剤を実質的に含まない、請求項23に記載の系。
  30. 前記非干渉性試薬混合物が、1つ以上の標的プライマー、DNAポリメラーゼ、及び再可溶化剤を更に含む、請求項23に記載の系。
  31. 固相pH依存性ループ介在等温増幅(LAMP)分析において色彩出力シグナルの精度を最大化する方法であって、
    LAMP反応以外で生じる変色を最小化する固相反応媒体を提供すること、及び
    前記固相反応媒体上でLAMP分析を実施すること、
    を含む、前記方法。
  32. LAMP反応以外で生じるプロトンによるLAMP以外で生じる変色を制御すること、を更に含む、請求項31に記載の方法。
  33. 非変色性添加剤を使用してLAMP反応以外で生じる変色を制御することを更に含む、請求項31に記載の方法。
  34. 前記非変色性添加剤が、糖、緩衝液、ブロッキング剤、またはそれらの組み合わせを含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記非変色性添加剤が、トレハロース、グルコース、スクロース、デキストラン、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む糖を含む、請求項33に記載の方法。
  36. 前記非変色性添加剤が、ウシ血清アルブミン、カゼイン、またはそれらの組み合わせを含むブロッキング剤を含む、請求項33に記載の組成物。
  37. ループ介在等温増幅(LAMP)分析の検出レベル(LOD)を最大化する方法であって、
    非LAMP反応産物を最小化する反応環境及び試薬を提供することを含む、前記方法。
  38. 色彩ループ介在等温増幅(LAMP)分析のための系であって、
    25℃で保管された場合に、固相媒体の初期色合いの10%以内である前記固相反応媒体の色調を維持する、前記固相反応媒体とLAMP試薬との組み合わせを含む、前記系。
  39. 前記組み合わせが、30日、90日、365日、2年、または5年のうちの1つ以上より長く保管された場合に、前記色調を維持する、請求項38に記載の系。
  40. 前記組み合わせが、25℃で、約40%~90%の相対湿度で保管された場合に、前記色調を維持する、請求項38に記載の系。
  41. 請求項1に記載の色彩LAMP系を製造するための方法であって、
    前記非干渉性試薬混合物を実質的に非反応性の固相反応媒体と組み合わせて、前記非干渉性試薬混合物と前記実質的に非反応性の固相反応媒体との接触が保持されるようにすることを含む、前記方法。
  42. 前記製造のプロセスが、
    前記非干渉性試薬混合物を含有する溶液を調製すること、及び
    前記実質的に非反応性の固相反応媒体上に前記試薬混合物をコーティングすること、
    を含む、請求項42に記載の方法。
  43. 前記コーティングすることが、前記実質的に非反応性の固相反応媒体上に前記溶液を滴下、噴霧、含浸、浸漬、またはミスティングすることを含む、請求項42に記載の方法。
  44. 前記非干渉性試薬混合物が、リールツーリール(R2R)プロセスを使用して、前記実質的に非反応性の固相反応媒体と組み合わされる、請求項42に記載の方法。
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