JP2024506409A - 抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、(a)生理学的試料中の4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合するか;又は(b)生理学的試料中の3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合する、抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。本発明はさらに、そのような抗体又は抗原結合フラグメントをコードする核酸及びベクター、ならびにそのような核酸及びベクターを含む宿主細胞を提供する。抗体及びフラグメントは、タウオパチーの治療及び診断に使用され得る。

Description

本発明は、特定のタウタンパク質に特異的な抗体、特に4R又は3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的なそのような抗体に関する。抗体は、例えば、検出、診断及び治療に使用され得る。
微小管関連タンパク質タウ(タウ)は1975年に発見された。これは最初、ニューロンの軸索内の微小管成長及び安定化に不可欠な微小管結合タンパク質として特徴付けられた。微小管への結合は、タウの微小管結合領域(MTBR)を介してチューブリンのC末端で達成される(エクソン9~12を介してコードされる)。具体的には、タウが残基224~237、245~253、275~284及び300~317によってαチューブリンとβチューブリンとの間の界面と相互作用することが、ペプチド競合NMRによって示されている。
タウ遺伝子(MAPT)は、染色体17q21上に位置する16個のエクソンを含む。単一のタウのプレmRNAからの選択的スプライシングにより、342~441アミノ酸長の範囲の中枢神経系内のタウの6つのスプライスバリアントアイソフォームが生じる。タウアイソフォームは、(MTBR内で)エクソン10の包含又は排除に基づいて2つのカテゴリーに分類され、エクソン10が存在する4つのMTBR(4リピート(4R)タウ)及びエクソン10が排除された3つのMTBR(3リピート(3R)タウ)が生じる。これらのカテゴリーの各々の中には、エクソン2及び3のスプライシングに基づくタウの3つのN末端バリアントがある。これにより、0Nタウ(エクソン2又は3のいずれも含まない)、1Nタウ(エクソン2のみを含む)及び2Nタウ(エクソン2及び3の両方を含む)が生じる。タウ命名法は、タウの最大(2N4R)アイソフォームからのアミノ酸ナンバリングに基づいており、それ自体、4つの別個の機能ドメイン;N末端突出(アミノ酸1~165);プロリンリッチドメイン(アミノ酸166~242);MTBR(アミノ酸243~367);C末端ドメイン(アミノ酸368~441)を有する。MTBRドメインにおけるエクソン10によってコードされる配列の有無は、3R又は4Rタウを意味するものである。
タウMTBRは、タウのアイソフォーム全体で配列が同一である3つ(3Rタウ)又は4つ(4Rタウ)のリピート領域からなるタンパク質のリピート領域である。各リピートは、異なるタウエクソン;リピート1(エクソン9)(アミノ酸242~273);リピート2(エクソン10)(アミノ酸274~304);リピート3(エクソン11)(アミノ酸305~335);リピート4(エクソン12)(336~367)である。4つすべてのリピート領域にわたる完全な同一配列相同性は34%のみであるが、類似のクラス(極性、帯電、非帯電)のアミノ酸の間、又はリピート領域の少なくとも2つの間の相同性のレベルは90%であり、リピート領域1及びリピート4が最も相違している。
タウは、ほとんど構造化されていないタンパク質であるが、FRET実験は、N末端及びC末端が近接するように配向されていることを示唆している。NMRを使用したさらなる研究により、タウのN及びC末端がタンパク質の中央領域上に「ペーパークリップ」様構造に折り畳まれることが確認された。タウは、より複雑な一過性の局所的な二次構造、具体的には、MTBR中のβ鎖及びプロリンリッチドメイン中のポリプロリンヘリックスを形成する傾向を有することも実証されている。
タウは、主にニューロンにおいて発現され、乏突起膠細胞及び星状膠細胞において低レベルで発現されることが見出される。タウは、元々、軸索微小管に関連して同定され、程度は低いが、原形質膜、核及びミトコンドリアに関連して同定された。健康な成体ニューロンにおいて、軸索へのタウの分布は、チューブリンを架橋し、神経フィラメント及びアクチンなどの他の細胞骨格成分との相互接続を可能にする。これらの相互作用は、チューブリン集合を微小管内に安定化し、それらの動的に不安定な性質を調節して、軸索成長に必要な細胞骨格の再編成を可能にする。タウはまた、軸索に沿ってそれぞれ逆行方向及び順行方向にカーゴを輸送する、モーター輸送タンパク質ダイニン及びキネシンの微小管結合を直接調節することが示されている。この調節効果は、微小管へのアクセスのための前述のモータータンパク質との直接競合を介して起こると考えられる。タウ過剰発現系では、正味の逆行性輸送、及びカーゴ(ミトコンドリアなど)の軸索の下流への拡散ではなく細胞体における蓄積をもたらす、キネシンへのより大きな影響が観察される。しかしながら、この調節効果は完全には理解されておらず、軸索輸送に影響がないことがタウノックアウトマウスにおいて実証されているように、相補的な機構を有し得る。
タウタンパク質及びそのアイソフォームは、典型的にはタウ原線維の沈着を特徴とするいくつかの疾患に関与しており、これらの状態はタウオパチーとして集合的に知られている。タウオパチーの大部分は集団において散発性に発生するが、散発性対応物と同じ疾患表現型を示す、MAPT変異に関連するタウオパチーが多く存在する(Ghetti ら、2015、Neuropathol Appl Neurobiol、41(1)、24~46)。タウオパチーは、原発性タウオパチーと二次性タウオパチーにさらに分けることができる。原発性タウオパチーは、前頭側頭葉変性症(FTLD)のサブグループであり、これは、脳の前頭葉及び側頭葉において支配的な細胞死を伴うニューロンのタウ封入体を特徴とする。これらの葉内では、タウ封入体が病変における主要な駆動因子であると考えられている。上手く特徴付けられた例は、進行性核上性麻痺(PSP)である。対照的に、二次性タウオパチーは、他の脳病変に関連してタウ病変が観察される疾患である。上手く特徴付けられた二次性タウオパチーの例はアルツハイマー病(AD)であり、この疾患病変は、1907年にアロイス・アルツハイマーによって定義されたように、ニューロンのタウ原線維及び細胞外のアミロイド斑の両方を特徴とする。ADでは、タウ量と認知低下との間に依然として関連があり、この多因子疾患においてタウが依然として重要な役割を果たすことを示していることは注目に値する。
タウアイソフォームの比は、タウを非病原性状態に維持するのに重要な役割を果たすようである。したがって、タウオパチーは、それぞれ3R又は4Rタウの過剰を特徴とする、3Rタウオパチー又は4Rタウオパチーとして存在し得る。ピック病は主として、ピック球として知られる3R形成糸状3Rタウ封入体の過剰に関連するタウオパチーである。ピック病に関連する主な病変は、脳の前頭葉、側頭葉及び頭頂葉におけるニューロン及び神経膠の喪失である。タウアイソフォームの不均衡に関連するタウオパチーのはるかに一般的な形態は、4Rタウオパチーである。過剰な4Rタウ及び4Rタウ封入体が、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17);進行性核上性麻痺(PSP);及び皮質基底核変性症(CBD)などの疾患で観察されている。
多数の病的状態におけるタウの重要性を考えると、タウを標的とする新しい診断及び治療アプローチへの継続的な需要が存在する。
本発明は、
(a)生理学的試料中の4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合するか;又は
(b)生理学的試料中の3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合する、
抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
抗体又はその抗原結合フラグメントが4Rタウタンパク質に特異的に結合する場合、それは:
(a)4Rタウタンパク質がタウ4Rのアミノ酸位置279、280、281、285及び289のうちの1つ以上に翻訳後修飾を含む場合、4Rタウタンパク質のエクソン10によってコードされるアミノ酸領域に結合し;
(b)4Rタウタンパク質のアミノ酸294~302を含むか、又はそれらからなるペプチドに結合し;
(c)タウのエクソン10によってコードされるアミノ酸配列からの単一エピトープに対応するペプチドに結合し;又は
(d)(a)~(c)の抗体又はフラグメントのいずれかをクロスブロックするか、もしくはそれらにクロスブロックされることができる。
抗体又はその抗原結合フラグメントは、生理学的4Rタウタンパク質アイソフォームを発現する細胞からの細胞溶解物、好ましくは4Rタウタンパク質アイソフォームを発現するiPSC由来神経細胞からの細胞溶解物において、4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合し得る。抗体又は抗原結合フラグメントは、4Rタウタンパク質アイソフォームを発現する細胞上又は細胞内での免疫蛍光によって4Rタウタンパク質アイソフォームを検出し得る。
4Rタウタンパク質に対する抗体又はその抗原結合フラグメントは、
(a)配列番号3、5及び7の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上、ならびに配列番号11、13及び15の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上を含み、好ましくは配列番号3、5及び7の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列ならびに配列番号11、13及び15の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、
(b)配列番号1及び9の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、
(c)好ましくは配列番号17の配列、又はそれと少なくとも95%の配列同一性を有し、依然としてタウタンパク質4Rアイソフォームに特異的に結合することができる配列を含む、細胞内発現抗体(イントラボディ:intrabody)であり;又は
(d)(a)~(c)の抗体又はフラグメントのいずれかをクロスブロックするか、又はそれらによってクロスブロックされることができる。
抗体又はその抗原結合フラグメントが3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合する場合、それは:
(a)タウのエクソン9及び11を架橋する領域によってコードされるアミノ酸配列を含むペプチド、例えば環状ペプチドに結合し、かつ/又は
(b)タウのエクソン9及び11によってコードされる配列の境界のいずれかの側の7個のアミノ酸からなるペプチド、例えば環状ペプチドに結合することができる。
3Rタウタンパク質に対する抗体又はその抗原結合フラグメントは、
(a)配列番号20、22及び24の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上、ならびに配列番号28、30及び32の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上を含み、好ましくは配列番号20、22及び24の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列ならびに配列番号28、30及び32の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、
(b)配列番号18及び26の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、
(c)好ましくは配列番号34の配列、又はそれと少なくとも95%の配列同一性を有し、タウタンパク質3Rアイソフォームに特異的に結合することができる配列を含む細胞内発現抗体(イントラボディ)であり;又は
(d)(a)~(c)の抗体又はフラグメントのいずれかをクロスブロックするか、又はそれらによってクロスブロックされることができる。
本発明はまた、4Rタウタンパク質を特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、抗体又はその抗原結合フラグメントは、アミノ酸K294、D295、N296、及びI297を含む4Rタウタンパク質のエピトープを結合し、エピトープは4Rタウタンパク質のK298及びV300をさらに含んでもよい。
抗体又はその抗原結合フラグメントは、細胞内発現抗体(イントラボディ)又はデグラボディ(degrabody)であり得る。
本発明はまた、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントをコードする1つ又は複数の核酸;前記核酸を含む1つ又は複数のベクター;及び前記1つもしくは複数の核酸又は前記1つもしくは複数のベクターを含む宿主細胞を提供する。
本発明はまた、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、本発明の1つもしくは複数の核酸、又は本発明の1つもしくは複数のベクター及び医薬担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
本発明はまた、(a)試験試料を本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントと接触させること;及び(b)抗体又はその抗原結合フラグメントの結合を検出することを含む、4R又は3Rタウタンパク質アイソフォームを検出する方法を提供する。本発明はまた、4R及び3Rタウタンパク質アイソフォームのレベルを決定する方法を提供する。方法は、タウオパチー、好ましくはPSP、CBD、又はピック病を診断するために使用され得る。
抗体又はその抗原結合フラグメントを使用して、タウオパチー、例えば4Rタウタンパク質アイソフォームと3Rタウタンパク質アイソフォームとの間の不均衡を含むタウオパチーを治療することができる。
タウタンパク質配列エクソン9~12を示す。TE9/11ペプチド配列を実線の枠内で概説する。エクソン9~10、10~11及び11~12の境界における潜在的に交差反応性のエピトープが破線の枠で強調されている。TE9/11間のアミノ酸差異をアスタリスクで強調している。 タウタンパク質配列エクソン9~12を示す。TE10ペプチド配列を実線の枠内で概説する。エクソン9、11及び12内の潜在的に交差反応性のエピトープが破線の枠で強調されている。TE10間のアミノ酸差異をアスタリスクで強調している。N279、K280/281及びS285/289における文書化された翻訳後修飾が、実線で囲まれた領域のすぐ左側の点線の枠で強調表示される。 初代B細胞培養上清をスクリーニングする均質な蛍光ベースのアッセイ。緑色の点は、ヒットピッキングのために選択されたものを表し、赤色のものは選択されなかった。 バックグラウンドに対する倍率変化として示したTE10 v TE9/11のELISAデータであり、3R特異的について選択されたウェルをグラフの左上に赤色でマークし、4R特異的については右下に緑色でマークした。 バックグラウンドに対する倍率変化として示した0N3R v 0N4RのELISAデータであり、3R特異的について選択されたウェルを左上に赤色でマークし、4R特異的については右下に緑色でマークした。 ニートなTAP IgG発現産物結合のELISA、フォーカス群あたり1つの代表的なTAP発現。値は、バックグラウンド結合に対する倍率変化として表される。クローニングのために選択された3R及び4R特異的抗体は、それぞれ左上に赤色で、右下に緑色で強調される。黒点は、クローニングのために選択されなかった抗体を含むウェルを表す。 A ウサギアイソフォーム特異的抗体のそれぞれのクローン化過渡状態の630nmでのELISA光学密度(OD)を示す図である。これは、各クローンの10μg/mlでのシグナルを表す。4R選択的抗体は緑色で示され、3R選択的抗体は赤色で強調されている。クローン2は、繰り返し発現できなかったため、示されていない。クローン14(VR7081)及びクローン3(VR7082)をそれぞれ赤色及び緑色で囲み、これらをさらなる研究のための好ましいアイソフォーム特異的抗体として選択した。B クローン化ウサギ抗体の重鎖及び軽鎖CDR3配列決定。緑色及び赤色の枠で強調されているのは、それぞれELSAによって3R及び4R特異的であると選択された抗体のCDR3である。 ELISAプレート上に直接コーティングしたすべてのタウアイソフォームに対するVR7081(A)及びVR7082(B)の完全滴定。VR7081はタウ3アイソフォームに対して、VR7082はタウ4アイソフォームに対して選択的である。 フローサイトメトリーアッセイ、細胞内発現タウアイソフォームに対して滴定したVR7081(A)及びVR7082(B)。 VR7081(A)又はVR7082(B)でプロービングした、単一アイソフォーム過剰発現細胞溶解物からのウェスタンブロット。 非タウ反応性ウサギ(A)又はマウス(A)IgGでブロットした、2N3R又は2N4Rタウ含有溶解物に対するウェスタンブロット。 マウスIgGとしてフォーマットされたVR7081(A)又はVR7082(B)でプロービングした、単一アイソフォーム過剰発現細胞溶解物からのウェスタンブロット。 VR7081(AF647)及びポリクローナル抗全タウ抗体(AF488)で共染色した、0N3R又は0N4Rタウを発現するCHOK1細胞の免疫蛍光染色。 VR7082(AF647)及びポリクローナル抗全タウ抗体(AF488)で共染色した、0N3R又は0N4Rタウを発現するCHOK1細胞の免疫蛍光染色。 VR7081によるiPSC由来ニューロンの免疫蛍光染色。VR7081(3R-タウ)AF647で染色した非変異(対照)iPSC由来ニューロン及びモノアレリック(単一対立遺伝子の)10+16 MAPT変異ニューロンの免疫蛍光染色。合成画像では、DAPIは青色で示され、タウ染色は赤色で示されている。緑色の矢印は、VR7081による軸索染色の例を示す。 VR7082を用いたiPSC由来ニューロンの免疫蛍光染色。VR7082(4R-タウ)AF647で染色した、非変異(対照)iPSC由来ニューロン及びモノアレリック10+16 MAPT変異ニューロンの免疫蛍光染色。合成画像では、DAPIは青色で示され、タウ染色は赤色で示されている。緑色の矢印は、VR7082による軸索染色の例を示す。 VR7081(A)又はVR7082(B)のいずれかでプロービングしたシンプルウェスタン免疫ブロット。 VR7081(A)及びVR7082(B)でプロービングしたヒト脳溶解物及び組換えタウラダーのウェスタンブロット。 VR7082結合プロファイル確認のscFvマウスFc変換。ウサギIgG(A)及びscFv-Ms-Fc(B)フォーマット図。VR7082ウサギIgG ELISA(C)フローサイトメトリー(E)結合アッセイ及びウェスタンブロット(G)。VR7082 scFv-Ms-Fc ELISA(D)、フローサイトメトリー(F)結合アッセイ及びウェスタンブロット(H)。 VR7082 scFv-GFP 細胞内発現抗体(イントラボディ)試験。A VR7082-scFv-GFPトランスフェクト細胞及びモック(mock)トランスフェクト細胞のフローサイトメトリー蛍光。B VR7082-scFv-GFPによる4つの反復トランスフェクションからのウェスタンブロット。C TE10又は対照ペプチドのいずれかでプルダウンした、4つの反復VR7082-scFv-GFPトランスフェクト細胞からの溶解物プルダウンのウェスタンブロット。D VR7082-scFv-GFPプルダウンからのウェスタンブロットバンドデンシメトリー。 潜在的VR7082 デグラボディ構築物による分解スクリーニング。A. デグラボディ又は対照細胞内発現抗体(イントラボディ)融合物による0N4Rタウのコトランスフェクション後の全タウ及びGAPDHの代表的なウェスタンブロット。B. ウェスタンブロットバンドデンシメトリーN=3のウェスタンブロット。 VR7082-デグラボディを用いた分解のフローサイトメトリーアッセイ。A GFP対照、非分解細胞内発現抗体(イントラボディ)(A-1)、デグラボディ(A-2)、及びMG132の存在下でのデグラボディ(A-3)についてのタウ染色のレベルを実証する代表的なフローサイトメトリーゲーティング及びヒストグラムプロット。B MG132の存在下及び非存在下での0N4R及び0N3Rタウ染色を、すべてのデグラボディ構築物ついてGFP非分解細胞内発現抗体(イントラボディ)対照のパーセンテージとして表す。 iPSC由来ニューロンにおけるVR7082-XIAP分解試験。A GFPベースの選別のためのゲーティング戦略 A-1 ToPro-3排除による生細胞の同定。A-2 FSC-A v SSC-Aによるデブリ/細胞小胞からの細胞の同定。A-3 GFP陽性及びGFP陰性選別ゲート。A-4 VR7082-XIAP IRES GFP AAV処置細胞(緑色)及び非処置細胞(赤色)を含む選別ゲーティングの重ね合わせプロット。B ポリクローナル抗タウ抗体で明らかにされたGFP陰性選別細胞Peggy Sueシンプルウェスタン。C ポリクローナル抗タウ抗体で明らかにされたGFP陽性選別細胞Peggy Sueシンプルウェスタン。 iPSC由来ニューロンにおけるVR7082-XIAP デグラボディミトコンドリア膜極性化アッセイ。A iPSC由来ニューロンのミトコンドリア極性化アッセイのための代表的なゲーティング戦略。A-1 DAPI染色による有核細胞の同定。A-2 FSC-A v SSC-Aによる無傷細胞の同定。A-3 βIIIチューブリン染色によるニューロンの同定。A-4 ミトコンドリア膜極性化評価。B ミトコンドリア極性化/総ミトコンドリア量の比から誘導された代表的なミトコンドリア膜極性化ヒストグラム。B-1 WT細胞iPSC由来ニューロン。B-2 10+16モノアレリック10+16 MAPT変異iPSC由来ニューロン(10+16モノ)。B-3 A12バイアレリック(2対立遺伝子の)MAPT変異iPSC由来ニューロン(10+16バイアレリック)。C 各3-iPSC由来ニューロン株及びAAV処置群全体のミトコンドリア極性化アッセイ。ANOVAを使用して群間の統計学的有意性を決定する。D 各3-iPSC由来ニューロン株及びAAV処置群全体にわたる正規化3Rタウ染色。ANOVAを使用して群間の統計学的有意性を決定する。 種々のタウアイソフォームの構造の比較。タウタンパク質の種々のアイソフォームに存在するエクソン配列を示す。 VR7082抗体エピトープ分析。グラフは、ON4Rタウへの結合と比較した、パーセンテージとして表される様々なタウ変異体へのVR7082抗体の相対結合を示す。結果は、タウへのVR7082の結合がK294;D295;N296;及びI297のそれぞれに依存することを実証している。これらの残基のいずれかが独立してアラニンに変異すると、0N4Rタウに結合している抗体が完全に切断される。結果はまた、結合がK298及びV300に部分的に依存することを示す。それらの位置がアラニンに変異すると、結合が約50%減少するからである。結果は、H299、P301及びG302がVR7082のタウへの結合に関与しないことを示す。それらが独立してアラニンに変異している場合に、アラニン変異と0N4Rタウとの間で観察される結合レベルの間に差がないからである。最後に、結果は、VR7082がタウタンパク質のP301S及びP301L形態の両方に結合することができることを示している。
タウタンパク質
本発明によって提供される抗体及びその抗原結合フラグメントは、タウタンパク質を結合する。特に好ましい一実施形態では、本明細書で言及されるタウタンパク質は、ヒトタウタンパク質である。タウタンパク質の最大ヒトアイソフォーム、すなわち2N4Rアイソフォームに基づくアミノ酸ナンバリングの慣例が本明細書で採用される。2N4Rアイソフォームのアミノ酸配列は、配列番号35として提供される。本明細書でさらに論じるように、提供される抗体及びフラグメントは、4Rタウタンパク質アイソフォーム又は3Rタウタンパク質アイソフォームのいずれかに特異的である。
特定のタウタンパク質に特異的な抗体
本発明は、4Rタウタンパク質アイソフォーム又は3Rタウタンパク質アイソフォームのいずれかに特異的な抗体及びその抗原結合フラグメントを提供する。以下にさらに論じるように、典型的には、4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な抗体及びその抗原結合フラグメントは、タウ遺伝子(MAPT遺伝子)のエクソン10によってコードされる領域の少なくとも一部を含む4Rタウタンパク質アイソフォームの領域に結合し、その領域は4Rタウタンパク質アイソフォームに固有である。逆に、典型的には、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、タウ遺伝子のエクソン9及び11の接合部によってコードされる架橋配列を含むタンパク質の一部を認識する。
一実施形態では、本発明の特定の利点は、抗体又はその抗原結合フラグメントが、例えばタンパク質が変性形態ではない生理学的状態で4R又は3Rタウタンパク質アイソフォームを結合することである。例えば、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、例えば免疫蛍光によって決定されるように、無傷の細胞中の4R又は3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合し得る。一実施形態では、細胞のフローサイトメトリー分析においてタンパク質を検出することができる。別の実施形態では、例えば免疫蛍光によって、組織試料中のタンパク質を検出するために使用され得る。他には、免疫組織化学によってタンパク質を検出することが可能であり得る。好ましい実施形態では、ウェスタンブロットを介して、特にPeggy Sueのシンプルウェスタンによってタウタンパク質を検出することが可能であり得る。
一実施形態では、本明細書で使用される「特異的に結合する」とは、抗体又はその抗原結合フラグメントが、それが特異的である4R及び3Rタウアイソフォームのいずれに対しても少なくとも10倍強く結合することを意味する。例えば、それは、3Rタウタンパク質アイソフォームよりも50倍、100倍、200倍又は500倍強く4Rタウに結合し得る。別の実施形態では、それは、4Rタウタンパク質アイソフォームよりも50倍、100倍、200倍又は500倍強く3Rタウに結合し得る。一実施形態では、結合は、それが特異的である4R及び3Rタウタンパク質アイソフォームのいずれに対しても少なくとも1000倍強い。一実施形態では、結合のK値は、それが特異的である3R又は4Rタウタンパク質のいずれについても、少なくとも10倍、50倍、100倍、500倍又は1000倍低い。別の実施形態では、結合は、それが特異的であるタウタンパク質の形態について5,000倍、10,000倍、又は50,000倍強くてもよい。一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、他の形態のタウタンパク質に全く結合しないか、又は有意に結合しない。別の実施形態では、非タウタンパク質への結合レベルは、抗体が特異的でないタウの形態への結合レベルと少なくとも同程度に低い。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、非タウタンパク質を結合しないか、又は有意に結合しない。結合のレベルは、当技術分野で周知の技術、例えば表面プラズモン共鳴又は本明細書に開示される他の関連技術のいずれかによって測定され得る。一実施形態では、上記の特異性のレベルは、4Rタウタンパク質アイソフォームの、3Rタウタンパク質アイソフォームを上回る特異性に関する。別の実施形態では、上記の特異性のレベルは、3Rタウタンパク質アイソフォームの、4Rタウタンパク質アイソフォームを上回る特異性に関する。
図25に示されるように、4Rタウタンパク質アイソフォームは、すべてがタウ遺伝子のエクソン10によってコードされるアミノ酸配列を有する群を表すのに対して、3Rタウタンパク質アイソフォームは、すべてがエクソン10によってコードされるアミノ酸配列を欠くという共通の特徴を有するアイソフォームの群を表す。これらの特徴は、タウタンパク質がどのように4R及び3Rタウタンパク質アイソフォームにグループ分けされるかを示すが、それらの名称のそれぞれの中には、エクソン2及び3によってコードされるアミノ酸配列が存在するか否かに応じて異なるアイソフォームが存在する。したがって、例えば、4Rタウタンパク質アイソフォームは、エクソン2及び3によってコードされる配列を有する2N4R;エクソン2によってコードされるが、エクソン3によってコードされない配列を有する1N4R;及びエクソン2によってコードされる配列もエクソン3によってコードされる配列も有さない0N4Rである。2N4R、1N4R及び0N4Rの3つはすべて、エクソン10によってコードされる配列を含むので、4Rタウタンパク質と呼ばれる。したがって、本明細書において4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントに言及する場合、それは典型的には、抗体又はフラグメントが2N4R、1N4R、及び0N4Rの3つすべてを結合するが、3Rタウタンパク質アイソフォーム2N3R、1N3R、及び0N3Rのいずれも結合しないことを意味する。抗体又は抗原結合フラグメントが3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合するものである実施形態では、逆も成り立つので、抗体は2N3R、1N3R及びON3Rを結合するが、2N4R、1N4R及び0N4Rを結合しないであろう。
一実施形態では、特異的である4R又は3Rタウタンパク質アイソフォームのいずれかに対する抗体又はその抗原結合フラグメントの親和性は、約100nM以上、例えば約50nM、20nM、10nM、1nM、500pM、250pM、200pM、100pM以上である。一実施形態では、結合親和性は50pM以上である。一実施形態では、4R又は3Rタウタンパク質のいずれかに特異的な抗体の親和性は、1μM未満、750nM未満、500nM未満、250nM未満、200nM未満、150nM未満、100nM未満、75nM未満、50nM未満、10nM未満、1nM未満、0.1nM未満、10pM未満、1pM未満、又は0.1pM未満であり得る。いくつかの実施形態において、Kdは、約0.1pM~約1μMである。
タウタンパク質は、MTBR領域に高レベルの配列同一性を有するリピートを含む。4Rの場合、4つのこのようなリピートが存在し、3Rの場合、3つのこのようなリピートが存在する。一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、そのエピトープを含有するリピートのみに結合し、他のリピートには結合しない。例えば、一実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、エクソン9と11との間の接合部を含むリピートに結合するが、他のリピートには結合しないので、3Rタウに特異的である。別の実施形態では、本発明の抗体又は抗体フラグメントは、タウ遺伝子のエクソン10によってコードされる配列に存在するリピート内の配列に結合するが、他の3つのリピートの配列には結合しない。
タウ4R特異的抗体
特に好ましい一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、タウ4Rタンパク質アイソフォームに特異的である。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、タウ4Rタンパク質アイソフォームを特異的に結合し、3Rタウタンパク質アイソフォームにはそうしない。例えば、それは、所与の種又は被験者のタウ4Rタンパク質のすべてのアイソフォームに結合し得るが、その種又は被験者のタウ3Rタンパク質のいずれのアイソフォームにも結合し得ない。したがって、それは一実施形態では、タウ4Rタンパク質の2N4R、1N4R及び0N4Rアイソフォームのすべてに結合し得るが、タウ3Rタンパク質の2N3R、1N3R及び0N3Rアイソフォームのいずれにも結合しない。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒト、ラット及びマウス由来のタウ4Rタンパク質アイソフォームに特異的に結合するが、それらの種由来の3Rタウタンパク質アイソフォームには結合しない。
4Rタウタンパク質アイソフォームと3Rタウタンパク質アイソフォームとの一般的な違いは、後者がタウ遺伝子のエクソン10によってコードされるアミノ酸配列を欠くことである。したがって、一実施形態では、4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な抗体又はその抗原結合フラグメントは、4Rタウタンパク質アイソフォームに固有の領域、したがってエクソン10によってコードされる領域に結合する。好ましい一実施形態では、4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な抗体又はその抗原結合フラグメントは、タウ遺伝子のエクソン10によってコードされる配列内に全体的又は部分的にあるエピトープに結合する。好ましい一実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、タウ遺伝子のエクソン10によってコードされるアミノ酸配列内の領域に結合し、特に3Rタウタンパク質アイソフォームに結合しない。
一実施形態では、4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、タウ遺伝子のエクソン10によってコードされるアミノ酸配列の少なくとも一部を含むペプチドを結合することができる。一実施形態では、ペプチド配列は、完全に、タウ遺伝子のエクソン10によってコードされる領域内にある。一実施形態では、ペプチドは、15アミノ酸長未満である。一実施形態では、それは、14、13、12、11、又は10アミノ酸長未満である。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、9アミノ酸長であるペプチド配列を結合する。好ましい一実施形態では、4Rタウタンパク質アイソフォームのアミノ酸294から302からなるペプチドを結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、ペプチドが線状形態である場合、そのようなペプチドに結合することができる。一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、1つのみのエピトープが存在する長さの、タウ遺伝子のエクソン10によってコードされるアミノ酸配列に対応するペプチドに結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、担体、例えばKLH、オボアルブミン、又はBSAにコンジュゲートされた場合、特にペプチドが線状形態である場合、そのようなペプチドに結合することができる。
好ましい一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、タンパク質がアミノ酸位置279、280、281、285及び289のうちの1つ以上に何らかの翻訳後修飾を有するか否かにかかわらず、4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的に結合することができる。一実施形態では、それは、タンパク質がアミノ酸位置279、280、281、285及び289のいずれか又は全部で修飾されているか否かにかかわらず、タウ4Rタンパク質アイソフォームに特異的に結合することができる。これらの位置への高頻度の翻訳後修飾には、グリコシル化、リン酸化及びアセチル化が含まれる。位置279で最も高頻度な翻訳後修飾はグリコシル化であり、位置281及び289で最も高頻度な翻訳後修飾はアセチル化であり、位置285及び289で最も高頻度な翻訳後修飾はリン酸化である。一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、それらの位置にグリコシル化、アセチル化、又はリン酸化があるかどうかにかかわらず、タウ4Rタンパク質アイソフォームを結合することができる。一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、タンパク質が位置279でグリコシル化されているか、位置281でアセチル化されているか、位置289でアセチル化されているか、位置285でリン酸化されているか、及び/又は位置289でリン酸化されているかどうかにかかわらず、タウ4Rタンパク質アイソフォームを結合することができる。換言すれば、抗体は、これらの位置でグリコシル化、アセチル化及び/又はリン酸化された場合と、これらの位置でグリコシル化、アセチル化及び/又はリン酸化されていない場合の両方で、タウ4Rタンパク質を結合する。
一実施形態では、4Rタウアイソフォームに特異的な抗体又は抗原結合フラグメントは、4Rタウタンパク質配列内のリピート2に結合するが、4Rタウタンパク質アイソフォームに存在する他の3つのリピートには結合しない。各リピートは異なるタウエクソンに対応する;リピート1(エクソン9)(アミノ酸242~273);リピート2(エクソン10)(アミノ酸274~304);リピート3(エクソン11)(アミノ酸305~335);リピート4(エクソン12)(336~367)。したがって、一実施形態では、抗体は、4Rタウタンパク質アイソフォームのエクソン9、11及び12によってコードされる配列によってではなく、エクソン10によってコードされる配列に結合し得る。
一実施形態では、4Rタウタンパク質に特異的な抗体又はその抗原結合フラグメントは:
(a)タウ4Rタンパク質がタウ4Rのアミノ酸位置279、280、281、285及び289のうちの1つ以上において翻訳後修飾を含む場合、タウのエクソン10によってコードされるアミノ酸領域に結合し;
(b)タウ4Rタンパク質のアミノ酸294~302を含むか、もしくはそれらからなるペプチドに結合し;かつ/又は
(c)タウのエクソン10によってコードされるアミノ酸配列からの単一エピトープに対応するペプチドに結合し;又は
(d)(a)~(c)の抗体又はフラグメントのいずれかをクロスブロックするか、もしくはそれらにクロスブロックされる。
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、
(a)配列番号3、5及び7の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上、ならびに配列番号11、13及び15の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上を含み、好ましくは配列番号3、5及び7の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列ならびに配列番号11、13及び15の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含むか、又は
(b)配列番号1及び9の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、
(c)好ましくは配列番号17の配列、又はそれと少なくとも95%の配列同一性を有し、依然としてタウタンパク質4Rアイソフォームに特異的に結合することができる配列を含む、細胞内発現抗体(イントラボディ)であり、又は
(d)(a)~(c)の抗体又はフラグメントのいずれかをクロスブロックするか、又はそれらによってクロスブロックされる。
一実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号3、5及び7の配列に対応する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はCDRを含み、その場合、各CDRは配列番号3、5及び7の配列と比較して2つ以下のアミノ酸配列変化を有し、抗体は依然として4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。一実施形態では、配列変化は保存的アミノ酸配列変化である。別の実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号11、13及び15の配列に対応する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列、又はCDRを含み、その場合、各CDRは配列番号11、13及び15の配列と比較して2つ以下のアミノ酸配列変化を有し、抗体は依然として4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、そのような軽鎖及び重鎖CDRの両方を含み、好ましい実施形態では、配列番号3、5及び7の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3配列、ならびに配列番号11、13、及び15の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。一実施形態では、抗体の軽鎖は、配列番号2、4、6及び8のFW1、FW2、FW3及びFW4のフレームワーク領域の1つ以上を含み得る。一実施形態では、それは、配列番号2、4、6及び8のFW1、FW2、FW3及びFW4の4つすべてを含み得る。別の実施形態では、抗体の重鎖は、配列番号10、12、14及び16のFW1、FW2、FW3及びFW4のフレームワーク領域の1つ以上を含み得る。一実施形態では、それは、それらのフレームワーク領域の4つすべてを含み得る。別の実施形態において、それは、そのような重鎖フレームワーク領域及び軽鎖フレームワーク領域の両方を含み得る。一実施形態では、上記の配列を含む抗体又はその抗原結合フラグメントは、例えばCDR配列以外の抗体の配列のすべてがヒト配列であるようにヒト化され、抗体又はその抗原結合フラグメントは依然として4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合する。別の実施形態では、可変領域とは別に、抗体の配列のすべてがヒトであり得る。
一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1の軽鎖可変領域又はそれと少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含み、ここで抗体又は抗原結合フラグメントは、依然として4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。一実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号1と比較して、少なくとも95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するか、又は10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸配列変化を有するが、依然として4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖可変領域又はそれと少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、ここで抗体又は抗原結合フラグメントは、依然として4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。一実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号9と比較して、少なくとも95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するか、又は10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸配列変化を有し、依然として4Rタウアイソフォームを特異的に結合する。一実施形態では、重鎖及び軽鎖配列と比較した配列変化は、可変領域のフレームワーク領域のみにある。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、上記の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の両方を含む。一実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、上記の軽鎖及び/又は重鎖可変領域配列のいずれかを含むが、それらは、CDR配列以外の配列のすべてがヒトであるようにヒト化されている。
以下にさらに論じるように、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、様々な抗体及び抗体フラグメントフォーマットで提供され得、4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的なものは、本明細書に記載の抗体フォーマットのいずれかで提供され得る。それらはまた、本明細書に記載される配列変異のレベルのいずれか、及び本明細書に記載される特性のいずれかを有し得る。
タウ3R特異的抗体
さらに好ましい実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的である。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的に結合し、4Rタウタンパク質アイソフォームではそうしない。例えば、それは、所与の種又は被験者の3Rタウタンパク質のすべてのアイソフォームに結合し得るが、その種又は被験者の4Rタウタンパク質のいずれのアイソフォームにも結合し得ない。したがって、それは一実施形態では、3Rタウタンパク質の2N3R、1N3R及び0N3Rアイソフォームのすべてに結合し得るが、4Rタウタンパク質の2N4R、1N4R及び0N4Rアイソフォームのいずれにも結合しない。
3Rタウタンパク質と4Rタウのそれらとの一般的な違いは、前者がタウ遺伝子のエクソン10によってコードされるアミノ酸配列を欠くことである。したがって、一実施形態では、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な抗体又はその抗原結合フラグメントは、3Rタウタンパク質アイソフォームに固有の領域、特にタウ遺伝子のエクソン9と11との間の接合部に対応するアミノ酸配列を含む領域に結合する。好ましい一実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、エクソン9と11との間の前記接合部を含むエピトープに結合する。
一実施形態では、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、エクソン9と11との間の接合部によってコードされる配列を含むペプチドを結合することができる。一実施形態では、ペプチドは、15アミノ酸長未満である。一実施形態では、それは14アミノ酸長である。好ましい一実施形態では、それは、エクソン9と11との間の接合部の各側からの7個のアミノ酸を含む、14個のアミノ酸からなるペプチドを結合することができる。一実施形態では、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号35のアミノ酸268~274及び306~312を含むが、配列番号35のアミノ酸275~305を含まないタンパク質を結合することができる。一実施形態では、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号36のアミノ酸配列を含むペプチドを結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、ペプチドが環状形態である場合、特にKLH、オボアルブミン、又はBSAなどの担体にコンジュゲートされている場合、そのようなペプチドに結合することができる。
一実施形態では、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な抗体又はその抗原結合フラグメントは、
(a)配列番号20、22及び24の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上、ならびに配列番号28、30及び32の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上を含み、好ましくは配列番号20、22及び24の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列ならびに配列番号28、30及び32の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、かつ/又は
(b)配列番号18及び26の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、
(c)好ましくは配列番号34の配列、又はそれと少なくとも95%の配列同一性を有し、依然としてタウタンパク質3Rアイソフォームに特異的に結合することができる配列を含む、細胞内発現抗体(イントラボディ)であり、
(d)(a)~(c)の抗体又はフラグメントのいずれかをクロスブロックするか、又はそれらによってクロスブロックされる。
一実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号20、22及び24の配列に対応する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はCDRを含み、その場合、各CDRは配列番号20、22及び24の配列と比較して2つ以下のアミノ酸配列変化を有し、抗体は依然として3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。一実施形態では、配列変化は保存的アミノ酸配列変化である。別の実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号28、30及び32の配列に対応する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はCDRを含み、その場合、各CDRは配列番号28、30及び32の配列と比較して2つ以下のアミノ酸配列変化を有し、抗体は依然として3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、そのような軽鎖及び重鎖CDRの両方を含み、好ましい実施形態では、配列番号20、22及び24の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3配列、ならびに配列番号28、30、及び32の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。一実施形態では、抗体の軽鎖は、配列番号19、21、23及び25のFW1、FW2、FW3及びFW4のフレームワーク領域の1つ以上を含み得る。一実施形態では、それは、配列番号19、21、23及び25のFW1、FW2、FW3及びFW4の4つすべてを含み得る。別の実施形態では、抗体の重鎖は、配列番号27、29、31及び33のFW1、FW2、FW3及びFW4のフレームワーク領域の1つ以上を含み得る。一実施形態では、それは、それらのフレームワーク領域の4つすべてを含み得る。別の実施形態において、それは、そのような重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の両方を含み得る。一実施形態では、上記の配列を含む抗体又はその抗原結合フラグメントは、例えばCDR配列以外の抗体の配列のすべてがヒト配列であるようにヒト化され、抗体又はその抗原結合フラグメントは依然として3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。
一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号18の軽鎖可変領域又は配列番号18と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含み、ここで抗体又は抗原結合フラグメントは、依然として3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。一実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号18と比較して、少なくとも95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するか、又は10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸配列変化を有するが、依然として3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号26の重鎖可変領域又はそれと少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、ここで抗体又は抗原結合フラグメントは、依然として3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。一実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号18又は26と比較して、少なくとも95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するか、又は10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸配列変化を有し、依然として3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる。一実施形態では、重鎖及び軽鎖配列と比較した配列変化は、可変領域のフレームワーク領域のみにある。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、上記の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の両方を含む。一実施形態では、本発明の抗原結合フラグメントの抗体は、上記の軽鎖及び/又は重鎖可変領域配列のいずれかを含むが、それらは、CDR配列以外の配列のすべてがヒトであるようにヒト化されている。
以下にさらに論じるように、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、様々な抗体及び抗体フラグメントフォーマットで提供され得、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的なものは、本明細書に記載の抗体フォーマットのいずれかで提供され得る。それらはまた、本明細書に記載される配列変異のレベルのいずれかを有し得る。
エピトープ
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、本明細書に開示される抗体又は抗原結合フラグメントの1つと同じエピトープ又は少なくとも実質的に同じエピトープに結合する。タウの特異的領域又はエピトープは、本開示によって提供される抗体のいずれか1つと組み合わせて、当技術分野で公知の任意の適切なエピトープマッピング方法によって特定することができる。そのような方法の例としては、本開示のタウ結合抗体又はその結合フラグメントに結合するためのタウタンパク質由来の様々な長さのペプチドを、タウ結合抗体又はその結合フラグメントによって認識されるエピトープの配列を含有する抗体に特異的に結合することができる最小フラグメントを用いてスクリーニングすることが挙げられる。特に好ましい一実施形態では、抗体のエピトープの一部を形成する残基は、変異分析を使用して、例えば、タウタンパク質の残基をアラニンに交換し、抗体又はその抗原結合フラグメントのタウタンパク質、特に4Rタウタンパク質への結合に対する影響を決定することによって特定され得る。
一実施形態では、K294、D295、N296、I297、K298、及びV300の少なくとも1つは、抗体のエピトープに存在し得、ここで特に、それらのアミノ酸位置は、配列番号35のものに関連して定義されている。
特に好ましい一実施形態では、アミノ酸残基K294、D295、N296及びI297の少なくとも1つを含むエピトープに結合する抗体又は抗原結合フラグメントが提供される。好ましくは、アミノ酸残基K294、D295、N296及びI297の少なくとも2つを含むエピトープに結合する抗体又は抗原結合抗体が提供される。したがってより好ましくは、抗体又は抗原結合フラグメントは、アミノ酸残基K294、D295、N296及びI297の少なくとも3つを含むエピトープに結合する。さらにより好ましい実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、アミノ酸残基K294、D295、N296及びI297の4つすべてを含むエピトープに結合する。
さらに好ましい実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、タウタンパク質のアミノ酸残基K298及びV300をさらに含むようなエピトープに結合し得る。好ましい一態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、タウタンパク質の残基K294、D295、N296、I297、K298及びV300のすべてを含むエピトープに結合する。
上記の実施形態のいずれにおいても、抗体又はその抗原結合フラグメントは、好ましくは4R特異的抗体であり得る。したがって、一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、4Rタウタンパク質のK294、D295、N296、及びI297を含むエピトープに結合する4R特異的抗体である。別の好ましい実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、4Rタウタンパク質のK294、D296、N396、I297、K298及びV300を含むエピトープに結合する4R特異的抗体である。
一実施形態では、アミノ酸H299、P301及びG302は、タウタンパク質に提供される抗体又はその抗原結合フラグメントの結合に関与しない。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、4Rタウタンパク質のK294、D296、N396、I297、K298及びV300を含むエピトープに結合する4R特異的抗体であるが、H299、P301及びG302残基は、抗体又はその抗原結合フラグメントのタウタンパク質への結合に関与しない。
一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントの全体的なエピトープは、タウ4Rタンパク質の残基K294~V300の領域内のアミノ酸を含む。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントのエピトープのアミノ酸は、その領域のみにある。別の実施形態では、エピトープを形成する残基は、少なくともその領域にある。
言及される抗体又はその抗原結合フラグメントのいずれも、そのようなエピトープに結合することができる。一実施形態では、そのような抗体は、キメラ、ヒト化もしくは完全ヒトモノクローナル抗体であり得るか、又はキメラ、ヒト化もしくは完全ヒトモノクローナル抗体を得るために使用することができる。特に好ましい一実施形態では、エピトープに結合する抗体又はその抗原結合フラグメントは、デグラボディである。
抗体フォーマット
本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、任意の適切なフォーマットで提供され得る。好ましい一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、IgGクラスの抗体又はそのフラグメントであり得る。一実施形態では、それはIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ抗体、特にIgG1であり得る。別の実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、IgA、IgE、IgD、又はIgMクラスの抗体であってもよい。
本開示は、抗体及び抗体フラグメントに関する。抗体について言及する場合はいつでも、特に明記しない限り、抗体フラグメントを用いることができる。したがって、本発明の抗体は、完全長の重鎖及び軽鎖を有する完全抗体を含み得るか、又は抗原結合フラグメント、例えば、Fab、修飾Fab、Fab’、修飾Fab’、F(ab’)、Fv、単一ドメイン抗体(例えばVH又はVL又はVHH)、scFv、二価、三価もしくは四価抗体、Bis-scFv、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)又は上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントであり得る(例えば、Holliger and Hudson,2005,Nature Biotech.23(9):1126-1136;Adair and Lawson,2005,Drug Design Reviews-Online 2(3),209-217を参照されたい)。抗体フラグメントを作製及び製造する方法は、当技術分野で周知である(例えば、Verma et al.,1998,Journal of Immunological Methods,216,165-181を参照のこと)。本発明で使用するための他の抗体フラグメントには、国際特許出願、国際公開第WO2005/003169号、国際公開第2005/003170号及び国際公開第2005/003171号に記載されているFab及びFab’フラグメントが含まれる。多価抗体は、多特異性、例えば二重特異性を含み得るか、又は単一特異的であり得る(例えば、国際公開第92/22853号、国際公開第05/113605号、国際公開第2009/040562号及び国際公開第2010/035012号を参照されたい)。可能な抗体フォーマットの例は当技術分野で公知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、総説「The coming of Age of Engineered Multivalent Antibodies」、Nunez-Prado et al Drug Discovery Today Vol 20 Number 5 Mar 2015、588-594ページ、D.Holmes,Nature Rev Drug Disc Nov 2011:10;798,Chan and Carter,Nature Reviews Immunology vol.10,May 2010,301に開示されている。
一実施形態では、抗体フォーマットは、当技術分野で公知のもの及び本明細書に記載のものを含み、例えば、抗体分子フォーマットは、ダイアボディ(diabody)、BYbe、scダイアボディ(scdiabody)、トリアボディ(triabody)、トリボディ(tribody)、テトラボディ(tetrabody)、TrYbe、タンデムscFv、FabFv、Fab’Fv、FabdsFv、Fab-scFv、Fab-dsscFv、Fab-(dsscFv)2、diFab、diFab’、タンデムscFv-Fc、scFv-Fc-scFv、scダイアボディ(scdiabody)-Fc、scダイアボディ(scdiabody)-CH、Ig-scFv、scFv-Ig、V-Ig、Ig-V、Duobody及びDVDIgを含むか、又はそれらからなる群から選択されるものの1つであるか、又はそれを含む。
特に好ましい一実施形態では、本発明の抗体はscFv-Ms-Fcフォーマット抗体である。
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、血液脳関門(BBB)を通過するのに十分小さい。
一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、抗原結合部位の少なくとも1つが4Rタウタンパク質アイソフォーム又は3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的である、二重特異性又は多特異性抗体である。したがって、1つの好ましい実施形態において、それはそのような二重特異性抗体である。
特に好ましい実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、細胞内で発現され得るものであり、特に細胞内発現抗体(イントラボディ)である。細胞内発現抗体(イントラボディ)は、細胞内での発現、正しい折り畳み及び抗原結合が可能な抗体又は抗体フラグメントである。細胞内発現抗体(イントラボディ)は、典型的には鎖間及び鎖内ジスルフィド結合の欠如による細胞質の還元性環境において、典型的に正しい折り畳みが可能である。細胞内発現抗体(イントラボディ)は、いくつかの例では抗体自体の投与よりも細胞を標的とするのが容易であり得るので、本発明の治療用抗体の代替フォーマットである。
一実施形態において、本発明の抗体は、標的化細胞内発現抗体(イントラボディ)である。例えば、一実施形態では、ER-細胞内発現抗体(イントラボディ)は、そのC末端にKDEL又はSEKDEL配列を使用するER管腔に標的化される(Wheeler,Chen,and Sane 2003 Mol Ther,8:355-66;Lewis and Pelham 1992 Cell,68:353-64に記載される通りであり、これらは両方とも、その全体が参照により組み込まれる)。一実施形態では、本発明の細胞内発現抗体(イントラボディ)は、例えばリーダー配列の除去によって、細胞質を標的とする(このような特定のクラスの細胞内発現抗体(イントラボディ)は、細胞イントラボディ(イントラボディ)と呼ばれ得る)。本出願の例で使用される細胞内発現抗体(イントラボディ)は、細胞の細胞質で発現される。別の実施形態では、本発明の細胞内発現抗体(イントラボディ)は、適切な標的化シグナルの付加によってミトコンドリア又は核を標的化(例えば、その全体が参照により組み込まれるBiocca、Neuberger、and Cattaneo 1990 EMBO J、9:101-8に記載されているように)するものである。
IgG由来細胞内発現抗体(イントラボディ)は、scFvフラグメントを作製するためのGlySerペプチドリンカーを介して連結されたIgGの可変領域ドメインを使用して作製され得る(Bird et al.1988 Science,242:423-6、参照により組み込まれる)。これらは、正しい折り畳みのためにジスルフィド結合形成をもはや必要としないので、次いで細胞内発現抗体(イントラボディ)として直接使用することができる。一実施形態において、本発明の細胞内発現抗体(イントラボディ)は、単一ドメイン抗体イントラボディ(イントラボディ)である。例えば、一実施形態において、本発明の細胞内発現抗体(イントラボディ)は、重鎖のみの抗体、例えば、ラクダ科重鎖のみの抗体(HCabs)(Hamers-Casterman et al.1993,Nature,363:446-8、その全体は参照により組み込まれる)である。HCabの単一の可変領域(VHHとして知られる)を細胞内発現抗体(イントラボディ)として使用することができる。
一実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、非ジスルフィド安定化scFvであるので、細胞内発現抗体(イントラボディ)として使用され得る。scFvフォーマットでは、重鎖及び軽鎖可変領域は、柔軟なリンカーによって物理的に連結されていてもよい。これにより、重鎖と軽鎖とが細胞内で正確に対合し、重鎖と軽鎖との間にシステイン架橋を形成する必要なく結合部分を形成することが保証される。
好ましい一実施形態では、提供される抗体又はその抗原結合フラグメントは、分解ドメインを含むものであり得る。使用され得る可能な分解ドメインの例としては、オルニチンデカルボキシラーゼのC末端配列(ODC)、ヒトFkBP-12タンパク質(FkBP)、Hsc70相互作用タンパク質のC末端(CHIP)、X連鎖アポトーシス阻害タンパク質(XIAP)、フォン・ヒッペル-リンドウタンパク質(VHL)、及びSimbタンパク質のN末端(NSImb)が挙げられる。分解ドメインは、一実施形態では、分解をユビキチンプロテアソームに依存するものであり得る。別の実施形態では、それはそのように依存しない。一実施形態では、分解ドメインは、抗体の残りの部分へのN末端融合、例えばscFvへのC末端融合として存在する。別の実施形態では、それはN末端融合、例えばscFvへのN末端融合である。
一実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、標的分解細胞内発現抗体(イントラボディ)又はデグラボディとしても知られる細胞内分解抗体である。デグラボディフォーマットでは、細胞内発現抗体(イントラボディ)が分解ドメインに連結されているので、デグラボディは事実上、特定の種類の細胞内発現抗体(イントラボディ)である。したがって、本発明の特に好ましい一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントはデグラボディである。
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、ウサギ抗体又はそのフラグメントである。別の実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、ウサギ可変領域を含むものであり、抗体の残りの配列はマウス配列である。別の実施形態では、抗体のCDRはウサギCDRであり、抗体の残りはマウスである。さらなる実施形態では、抗体は完全ヒト抗体である。さらなる実施形態では、CDR配列以外の抗体の配列はすべてヒト配列である。
バリアント
一実施形態では、本明細書に記載の特異的配列ではなく、本発明によって提供される抗体又は抗体フラグメントは、その特異的配列と比較した特定のレベルの配列同一性の又はアミノ酸配列変化数を有し得るが、抗体又はフラグメントが依然として、特異的であることが意図される4R又は3Rタウタンパク質アイソフォームのいずれかに特異的に結合することができる場合に限る。別の実施形態では、核酸配列は、本明細書に記載の特異的配列の1つに対する特定のレベルの配列同一性を有し得るが、特異的であることが意図される4R又は3Rタウタンパク質アイソフォームのいずれかに、依然として特異的に結合することができる抗体又はそのフラグメント、又はそれらの成分を依然としてコードする場合に限る。
同一性及び相似性の程度は、容易に計算することができる(Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing.Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987,Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991、NCBIより入手可能なBLAST(商標)ソフトウェア(Altschul,S.F.et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403-410;Gish,W.&States,D.J.1993,Nature Genet.3:266-272.Madden,T.L.et al.,1996,Meth.Enzymol.266:131-141;Altschul,S.F.et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402;Zhang,J.&Madden,T.L.1997,Genome Res.7:649-656,)。
したがって、本開示は、本明細書に開示される新規なポリペプチド配列、及びそれと少なくとも80%相似又は同一の、例えば相似性又は同一性が85%以上、例えば90%以上、特に95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列に及ぶ。本明細書で使用される「同一性」は、アラインメントされた配列の任意の特定の位置で、アミノ酸残基が配列間で同一であることを示す。一実施形態では、コードされた抗体又はフラグメントが依然として4R又は3Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合することができる限り、配列は、それらのレベルの配列同一性のうちの1つを有し得る。
特定のアミノ酸配列は、依然として4R又は3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的に結合することができるという条件で、本明細書に記載の特定のアミノ酸配列の1つと最大10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸配列変化で異なってもよい。一実施形態では、それは、その配列変化の数で特定の配列と異なっていてもよく、配列変化は保存的なものである。
同一性パーセンテージ又は配列変化数によって定義されるバリアント配列だけでなく、本発明はさらに、本明細書に記載の特異的抗体又はフラグメントの1つをクロスブロックする能力によって定義される抗体又は抗原結合フラグメントを提供する。抗体はまた、列挙されたレベルの配列同一性又は配列変化数のうちの1つを有し得る。クロスブロッキング抗体は、当技術分野における任意の適切な方法を使用して、例えば競合ELISAもしくはBIAcoreアッセイを使用することによって同定することができ、ここでクロスブロッキング抗体の抗原(目的の特定のタウタンパク質、例えば4Rもしくは3R、又は本明細書で論じられるペプチドからのペプチドの1つ)への結合は、本発明の抗体又は抗体フラグメントの結合を妨げるか、又はその逆である。一実施形態では、抗体は、本明細書に開示される特異的抗体又は抗原結合フラグメントの結合を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%又はそれ以上減少させる。
ペプチド
本発明はまた、抗体及びそのような抗体の抗原結合フラグメントを生成するために使用され得るペプチドを提供する。一実施形態では、タウタンパク質のエクソン9及び10を架橋する配列を含むペプチドが提供される。例えば、一実施形態では、TE9/11ペプチドとしても知られる、配列番号36の配列を含むか又はそれからなるペプチドが提供される。別の実施形態では、本発明は、抗体が4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に認識する可能性が高いことを示すような、タウのエクソン10によってコードされるアミノ酸配列に対応するペプチド配列を提供する。一実施形態では、ペプチドは、天然の4Rタウタンパク質アイソフォーム中の翻訳後修飾部位を表すアミノ酸を含まない。一実施形態では、TE10ペプチドとも呼ばれる、配列番号37のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるペプチドが提供される。
一実施形態では、ペプチドは、タウタンパク質に由来しないさらなるアミノ酸残基を含み、例えば、ペプチドを担体にコンジュゲートするのを助ける末端システインを含み得る。一実施形態では、ペプチドは担体にコンジュゲートされる。例えば、一実施形態では、担体タンパク質はKLH、オボアルブミン又はBSAである。一実施形態では、ペプチドは、線状ペプチドとして担体にコンジュゲートされ、特に、特異的抗体を生じる可能性が最も高いペプチドの部分は、担体からさらに離れている。別の実施形態では、ペプチドは、環状ペプチド、例えば、4R又は3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な抗体を生じさせる可能性が最も高いアミノ酸残基が担体からさらに離れるように、担体に接合したものである。
一実施形態では、上記のペプチドの1つ、特に担体にコンジュゲートしたもので動物を免疫することによって得ることができる抗体又はその抗原結合フラグメントが提供される。一実施形態では、抗体又は抗体フラグメントは、そのような方法によって得られるものである。一実施形態では、免疫化動物はウサギである。任意の適切な方法を使用して、そのような免疫化動物から所望の抗体を特定することができ、例えば、タウのペプチドもしくはタンパク質を使用するELISAによるスクリーニング、又は本明細書で論じられる他の方法のいずれかを使用することができる。
一実施形態では、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、de Silva et al(2003)Neuropathology and Applied Neurobiology,29:288-302で言及されている抗体ではない。一実施形態では、抗体又は抗原フラグメントは、de Silva et al.に開示されているRD3抗体ではない。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的であるが、Croft et al(2018)https://doi.org/10.1371/journal.pone.0195211で言及されている抗体ではない。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的であるが、de Silva et al(2013)及びCroft et al(2018)のいずれかで言及されている抗体ではない。
核酸、ベクター及び宿主細胞
さらなる態様では、ヌクレオチド配列、例えば本明細書に記載の本発明の抗体又は抗体フラグメントをコードするDNA配列が提供される。一実施形態では、ヌクレオチド配列、例えば本明細書に記載の本発明の抗体又はフラグメントをコードするDNA配列が提供される。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、複数のポリヌクレオチド上に集合的に存在するが、ヌクレオチド配列は一緒になって本発明の抗体又は抗体フラグメントをコードすることができる。
本発明はまた、上で定義したヌクレオチド配列を含むベクターにも及ぶ。本明細書で使用される「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの一例は、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループである、「プラスミド」である。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、そこで追加のDNAセグメントはウイルスゲノムに連結され得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律複製することができる(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)を宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、その後、それらは宿主ゲノムと共に複製される。本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」という用語は、プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形態であるので、互換的に使用され得る。ベクターを構築することができる一般的な方法、トランスフェクション方法及び培養方法は、当業者に周知である。この点に関しては、「Current Protocols in Molecular Biology」、1999,F.M.Ausubel(ed)、Wiley Interscience,New York、及びCold Spring Harbor Publishingによって作製されたManiatis Manualを参照されたい。
本明細書におけるベクターという用語は、例えばベクターを含む粒子、例えばLNP(脂質ナノ粒子)粒子、特にLNP-mRNA粒子も含む。それはまた、本発明のベクターを移入するために使用されるウイルス粒子を含む。
本発明のベクターは、選択可能マーカーを含んでいてもよい。本明細書で使用される「選択可能マーカー」という用語は、タンパク質を指し、その発現によって、マーカー遺伝子を含むベクターで形質転換又はトランスフェクトされた細胞を同定することができる。広範囲の選択マーカーが当技術分野で公知である。例えば、典型的には、選択可能マーカー遺伝子は、G418、ハイグロマイシン又はメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を、ベクターが導入された宿主細胞上に付与する。選択可能マーカーはまた、例えば蛍光マーカーなどの視覚的に識別可能なマーカーであり得る。蛍光マーカーの例としては、ローダミン、FITC、TRITC、Alexa Fluors及びそれらの様々なコンジュゲートが挙げられる。一実施形態において、選択可能マーカーは、マーカーの除去を可能にする配列、例えばloxP又はfrtに隣接していてもよい。
本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする1つ以上のDNA配列を含む1つ以上のクローニングベクター又は発現ベクターを含む、宿主細胞も提供される。任意の適切な宿主細胞/ベクター系を、本発明の抗体又はフラグメントをコードするDNA配列の発現に使用することができる。細菌、例えば大腸菌、及び他の微生物系を使用してもよく、又は真核生物、例えば哺乳動物、宿主細胞発現系を使用してもよい。適切な哺乳動物宿主細胞には、CHO、骨髄腫又はハイブリドーマ細胞が含まれる。本発明の核酸分子又はベクターを含む宿主細胞も提供される。
タウの検出及び診断
本発明の抗体及びその抗原結合フラグメントは、診断/検出キットに使用することができる。一実施形態では、本発明の抗体又は抗体フラグメントは、固体表面に固定される。固体表面は、例えば、チップ又はELISAプレートであり得る。本発明の結合分子、特に抗体は、例えば、結合した抗体-抗原複合体の検出を容易にする蛍光マーカーにコンジュゲートされ得る。それらは免疫蛍光顕微鏡法に使用することができる。あるいは、抗体又はその抗原結合フラグメントは、ウェスタンブロッティング又はELISAにも使用され得る。
特に好ましい一実施形態では、3R又は4Rタウタンパク質アイソフォームに結合する能力が測定され、ここで、タウタンパク質は、例えば変性した形態ではなく、生理学的に存在するのと同じ形態で存在する。好ましい一実施形態では、それは細胞内に存在する。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、タンパク質を、それが細胞上に存在する場合に結合するので、細胞上に存在する場合のタンパク質を検出するために使用され得る。一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、タンパク質を、例えば分泌された原線維の形態で、それが細胞外空間に存在する場合に結合し得る。
任意の適切な方法を使用して、3Rタウと比較した4Rタウへの所与の抗体又はその抗原結合フラグメントの結合を決定することができる。一実施形態では、ELISAを使用する:例えば、固定化タウ4Rタンパク質への結合を、固定化3Rタウタンパク質で見られるものと比較することができる。本明細書で論じられるペプチドへの結合はまた、ELISAによって測定及び比較され得る。
別の実施形態では、ウェスタンブロッティングを使用して、4R及び3Rタウタンパク質アイソフォームへの所与の抗体又はその抗原フラグメントの結合を検出することができる。そのようなウェスタンブロットは、任意の適切な材料、例えば4R又は3R又は両方のタウタンパク質アイソフォームを発現することが知られている細胞の細胞溶解物で実施され得る。一実施形態では、使用される細胞は、iPSc細胞、特に特定のタウタンパク質を発現することが知られているそのような細胞である。別の実施形態では、それらは、iPSCから分化したニューロンである。一実施形態では、ウェスタンブロットは、組織試料、例えば被験者からの脳組織に実施される。好ましい一実施形態では、Peggy Sueのシンプルウェスタンが使用される。
別の実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントの特定の形態のタウタンパク質を結合する能力は、免疫蛍光によって測定される。例えば、抗体又はその抗原結合フラグメントは、蛍光色素自体にコンジュゲートされてもよく、本発明はまた、そのようなコンジュゲートされた抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。あるいは、タウタンパク質への抗体又はその抗原結合フラグメントの結合は、例えば一次抗体の種に特異的な二次抗体を使用して同定及び測定され得る。一実施形態では、そのような免疫蛍光は、4R又は3Rタウタンパク質を発現する細胞、例えばCHO細胞、特に所望のタウを過剰発現するCHOK1細胞に対して行われる。別の実施形態において、免疫組織化学は、iPSc細胞に対して行われる。別の実施形態では、結合は、例えば蛍光又は他の手段による免疫組織化学(IHC)によって、組織試料で測定され得る。
特に好ましい一実施形態では、iPSC(人工多能性幹細胞)を使用して、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントを評価する。別の好ましい実施形態では、ニューロン、例えばiPSCを分化させることによって得られるニューロンが使用される。好ましい一実施形態において、細胞は、特定の障害、例えば、本明細書中で言及される障害のいずれかを有する被験者から単離され、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントを評価するために使用される。一実施形態では、タウオパチーを有する被験者から線維芽細胞を単離し、iPSC、次いでニューロンを作製するために使用する。一実施形態では、細胞を得るために使用される被験者は、タウ遺伝子(MAPT)遺伝子に変異、例えば本明細書で言及される変異の1つを有するものである。例えば、そのような被験者からの線維芽細胞を使用して、被験者と同じタウ遺伝子の変異を含むであろうiPSCを作製することができる。特に好ましい実施形態では、そのようなiPSCはニューロンへと分化する。一実施形態では、ニューロンは、使用される前に少なくとも5、6、7、8、又は9ヶ月間培養される。一実施形態では、タウ遺伝子にタウオパチーに関連する変異がない対照細胞株、例えばそのような変異がない健康な被験者から単離された細胞と比較することができる。1つの実施形態において、線維芽細胞は、健康な対照被験者から単離され、iPSCを作製するために使用され、その後、ニューロンに分化される。
別の実施形態では、タウ遺伝子に特定の疾患変異を有する被験者からの細胞を使用するのではなく、タウオパチーに関連する変異を、選択された細胞株、例えばiPSCであるもの、又はiPSCを生成するために使用されるものへと操作する。一実施形態では、次いで、iPSCを、変異を含むニューロンに分化させる。
一実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントを使用して、4Rタウタンパク質アイソフォーム又は3Rタウタンパク質アイソフォームを検出する。例えば、本発明は、(a)試験試料を本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントと接触させること;及び(b)抗体の結合を検出することを含む、4Rタウタンパク質アイソフォームを検出又は測定する方法を提供する。本明細書で論じられる検出手段のいずれかを使用することができ、例えばELISA、免疫蛍光、フローサイトメトリー分析又は免疫組織化学を検出手段として使用することができる。一実施形態では、試験試料は、例えば被験者由来の細胞溶解物又は細胞又は組織を含む。一実施形態において、試験試料は、ニューロン又はそれらからの溶解物を含むものである。一実施形態では、試験試料は脳組織又は溶解物である。一実施形態では、そのような方法はまた、陽性対照、例えば4Rタウタンパク質を発現することが知られているもの、又はそれを正常レベルで発現するものを含み得る。そのような方法はまた、存在するタウタンパク質の総量と比較した4Rタウタンパク質の量の指標を得るために、被験者のすべてのタウタンパク質アイソフォームに結合する抗体を用いて別々に方法を実施することを含み得る。
別の実施形態では、4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントではなく、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的なものが、3Rタウタンパク質アイソフォームの検出又は測定のための方法を除く、4Rタウタンパク質アイソフォームについて上に記載した方法で使用される。
方法は、4Rタウタンパク質アイソフォームのレベル及び3Rタウタンパク質アイソフォームのレベルの両方について試験試料を分析することを含み得る。例えば、方法は、同じ試験材料の2つの部分を試験すること、又は4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な抗体もしくはそのフラグメント及び3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な抗体もしくはそのフラグメントの両方で同時に染色することを含み得る。1つの例では、それぞれが異なるように、例えば異なる蛍光色素で標識して、4Rタウタンパク質及び3Rタウタンパク質の相対量を直接比較することを可能にする。
4Rタウタンパク質アイソフォーム及び3Rタウタンパク質アイソフォームの相対量を検出するためのそのような方法は、2つの不均衡を検出するために使用され得、例えば、健康な被験者からの試料又はタウオパチーを発症する前の同じ被験者からの試料と比較することができる。一実施形態では、本発明の抗体又はそのフラグメントを使用して、タウオパチーを診断することができる。1つの好ましい実施形態において、本発明の抗体又はそのフラグメントを使用して、4R及び3Rタウタンパク質アイソフォームの不均衡を伴う状態を診断する。例えば、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17)、進行性核上性麻痺(PSP)、及び皮質基底核変性症(CBD)はすべて、4Rタウタンパク質アイソフォームの優勢を伴うと考えられているので、状態を診断する方法として本発明を使用して、そのような不均衡を検出することができる。逆に、ピック病は、4Rタウタンパク質よりも多くの3Rタウタンパク質が存在するものであると考えられる。したがって、やはり本発明を使用して、そのような不均衡の特定に基づいてその状態を診断することができる。
好ましい一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、Peggy Sueのシンプルウェスタンにおいて、3Rタウタンパク質アイソフォームではなく4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的に結合することができるものである。他では、フローサイトメトリーによって測定すると、特にタウを過剰発現する細胞に対してそのような特異性を示すことができる。別の実施形態では、例えばウェスタンブロットによってヒト脳試料を分析するために使用される場合、そのような特異性を示す。特に好ましい実施形態では、抗体又はフラグメントを使用して、ニューロン、特に生理学的レベルで関連タウタンパク質を発現するiPSCから得られたものに対して免疫蛍光を行うと、そのような特異性を示す。
好ましい一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、Peggy Sueのシンプルウェスタンブロットにおいて、4Rタウタンパク質アイソフォームではなく3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的に結合することができるものである。他では、フローサイトメトリーによって測定すると、特にタウを過剰発現する細胞に対してそのような特異性を示すことができる。別の実施形態では、例えばウェスタンブロットによってヒト脳試料を分析するために使用される場合、そのような特異性を示す。特に好ましい実施形態では、抗体又はフラグメントを使用して、ニューロン、特に生理学的レベルで関連タウタンパク質を発現するiPSCから得られたものに対して免疫蛍光を行うと、そのような特異性を示す。
病理学的状態
一実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントを使用して、タウオパチーを治療又は診断することができる。一実施形態では、治療される状態は原発性タウオパチーである。一実施形態では、状態、前頭側頭葉変性症(FTLD)を含み得る:例えば、それは、脳の前頭葉及び側頭葉において支配的な細胞死を伴うニューロンのタウ封入体によって特徴付けられ得る。別の実施形態では、状態は、二次性タウオパチー、したがって他の脳病変に関連してタウ病変が観察される状態であり得る。
本発明を使用して、一般にタウオパチー、例えばアルツハイマー病(AD)、及び進行性核上性麻痺(PSP)、皮質基底核変性症(CBD)、ピック病又は前頭側頭型認知症(FTD)を含む他の状態の範囲を治療又は診断することができる。
本発明の1つの好ましい実施形態では、治療又は診断される症状は、二次性タウオパチーであるアルツハイマー病(AD)である。
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントを使用して、タウオパチーを有する被験者の3R及び4Rタウタンパク質のバランスをシフトさせる。例えば、3Rタウタンパク質に特異的な抗体を使用して、バランスを4Rタウタンパク質の方へシフトさせることができる。あるいは、4Rタウタンパク質に特異的な抗体を使用して、バランスを3Rタウタンパク質の方へシフトさせることができる。
好ましい一実施形態では、本発明によって治療又は診断される状態は、ピック病(PD)であり得る。好ましい一実施形態では、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な本発明の抗体又はその抗原フラグメントを使用して、ピック病を治療することができる。好ましい実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントを使用して、バランスを3Rタウタンパク質アイソフォームから離して変化させることができる。例えば、そのように本発明を適用することにより、ピック球の減少又は除去をもたらす。3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な本発明の抗体を使用することにより、被験者、特にピック病を有する被験者の脳の前頭葉、側頭葉及び頭頂葉におけるニューロン及び神経膠の喪失を排除、低減又は安定化することができる。一実施形態では、3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的な本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントで被験者を治療することにより、被験者におけるタウタンパク質アイソフォームの3R:4R比を、ピック病を有さない個体に見られるレベルに向けて、又はそれまでにシフトさせることができる。
別の実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントを使用して、健康な被験者よりも多くの4Rタウタンパク質が存在する状態、特にタウタンパク質の4R:3R比が4Rタウタンパク質の方へシフトしている状態を治療する。したがって、4Rタウタンパク質に特異的な本発明の抗体又は抗原結合フラグメントを使用して、4Rタウオパチーを治療することができる。治療され得るそのような状態の例は、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17);進行性核上性麻痺(PSP);及び皮質基底核変性症(CBD)を含む。
一実施形態では、治療される被験者は、MAPT変異、すなわちタウ遺伝子の変異を有し得る。一実施形態では、被験者は、エクソン10(MTBR R3)の過度の封入及び4Rタウの増加をもたらす、イントロン10内又はその付近のスプライス変異を有し得る。好ましい一実施形態では、タウオパチーは10+16変異を伴う。言い換えれば、一実施形態では、変異はIVS 10+16 C-T変異である。一実施形態では、被験者は、4Rタウタンパク質のmRNAの増加をもたらすMAPT変異を有する。一実施形態では、4Rタウタンパク質に特異的な本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントを使用して、このような状態を治療することができる。一実施形態では、治療される被験者は、FTDP-17、特に早期発症型FTDP-17を有する。
本発明を適用して、エクソン10の封入に影響を及ぼし、したがって4RタウmRNAの増加をもたらし得る他の変異から生じるタウオパチーを治療、予防又は診断することができる。これらは、S305N及びS305Iなどのステムループ構造内に存在することができ、イントロン変異と同様の方法でステムループを不安定にしてエクソン10の封入の増加を引き起こす(Hasegawa et al.1998,FEBS letters,443(2),93-96;Kovacs et al.,2008,protein-based neuropathology and molecular classification of human neurodegenerative diseases:251-272;Stanford et al.,2000,Brain,123(5),857-859)。
あるいは、エクソン10の調節エレメント内の変異は、エクソン10封入を増加させることが実証されている。変異N279K及びL284Lは、エクソン10内のエンハンサー領域を強化し、封入の増加及び過剰な4Rタウ発現をもたらす(D’Souza and Schellenberg,2002,Journal of Biological Chemistry,277(29),26587-99;D’Souza et al.,1999,Proceedings of the National Academy of Sciences,96(10),5598-603;Hasegawa et al.,1999、上掲)。4Rタウ発現を増加させることが実証されているエクソン10内の他の変異には、N296N及びN296Hが含まれ、これらはサイレンサー領域を破壊するか(D’Souza及びSchellenberg、2002、上掲)又は新しいエンハンサーを作り出すか(Andrew Grover et al.,2002,Neuroscience letters,323(1)、33-36)のいずれかであると仮定されている。やや直感に反して、エクソン12及び13内の変異(それぞれE342V及びN410H)は、ニューロン内の4Rタウの発現を増加させることが報告されている(Lippa et al.2000,Annals of neurology,48(6),850-58)。この場合も、本発明は、そのような変異を伴うタウオパチーを治療するために使用され得る。
ミトコンドリア障害も、タウオパチーの特徴であり得る。一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントによる治療は、タウオパチーにおいてミトコンドリア機能を回復させるのに役立ち得る。例えば、このようなタウオパチーでは、ミトコンドリア膜電位が影響を受ける可能性があり、抗体又はその抗原結合フラグメントによる治療は、ミトコンドリア膜電位を正常レベルまで、又は正常レベルに向かって回復させるのに役立ち得る。一実施形態では、治療される被験者は、ミトコンドリア機能障害を示す被験者である。一実施形態では、被験者は、ミトコンドリア膜電位の変化を示す被験者であり得る。一実施形態では、被験者は、低下した膜電位を示す。好ましい実施形態では、被験者は膜電位の上昇を示し、特にそのような膜電位の上昇を示し、10+16のMAPT変異を有する。一実施形態では、そのような被験者は、過剰な4Rタウタンパク質アイソフォームを示し得る。別の実施形態では、被験者は、P301L変異を有し、特に、過分極ミトコンドリア膜を示し得る。一実施形態では、本発明を使用することは、ミトコンドリア膜電位が正常に戻るか、又は少なくとも正常に近くなり得ることを意味し得る。
特に好ましい一実施形態では、血液脳関門を通過することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを使用することができる。さらに好ましい実施形態では、抗体又は抗原結合フラグメント自体を投与するのではなく、本発明の1つもしくは複数の核酸又は1つもしくは複数のベクターを投与してもよく、1つの好ましい実施形態では、細胞内発現抗体(イントラボディ)又はデグラボディをコードするものを被験者に投与してもよい。別の実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントを発現することができる、本発明の宿主細胞が使用される。
医薬組成物
一態様では、(a)本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、1つもしくは複数の核酸分子、又は1つもしくは複数のベクター;及び(b)薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む医薬組成物が提供される。好ましい一実施形態では、医薬組成物は、抗体又は抗原結合フラグメントを含む。組成物は、固体又は液体の形態であってもよく、とりわけ、粉末、錠剤、溶液又はエアロゾルの形態であってもよい。
ヒト又は動物の身体の治療又は診断の方法に使用するための、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメント、1つもしくは複数の核酸分子、1つもしくは複数のベクター、又は医薬組成物も提供される。病理学的状態又は障害の治療用の医薬品の製造のための、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメント、1つもしくは複数の核酸分子、1つもしくは複数のベクター、又は医薬組成物の使用が、さらに提供される。本発明の治療薬が、第2の治療薬も投与されている被験者に投与される一実施形態では、2つを、例えば、同時に、連続的に、又は別々に投与してもよい。一実施形態では、2つは同じ医薬組成物で与えられる。別の実施形態では、2つは別個の医薬組成物で与えられる。
本発明の組成物は、通常、滅菌された医薬組成物として供給される。本発明の医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバントをさらに含み得る。別の実施形態では、そのようなアジュバントは本発明の組成物中に存在しない。本発明はまた、本発明の結合分子、特に抗体を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体の1つ以上と一緒に添加及び混合することを含む、医薬組成物又は診断組成物を調製するためのプロセスを提供する。
本明細書で使用される「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、本発明の組成物の所望の特徴を増強するための薬学的に許容される製剤担体、溶液又は添加剤を指す。賦形剤は当技術分野で周知であり、緩衝液(例えば、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液及び重炭酸緩衝液)、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質(例えば、血清アルブミン)、EDTA、塩化ナトリウム、リポソーム、マンニトール、ソルビトール及びグリセロールが挙げられる。溶液又は懸濁液は、リポソーム又は生分解性マイクロスフェアにカプセル化することができる。製剤は、一般に、滅菌製造プロセスを使用して実質的に滅菌された形態で提供される。これは、製剤に使用される緩衝溶媒溶液の濾過による製造及び滅菌、滅菌緩衝溶媒溶液中の抗体の無菌懸濁、及び当業者によく知られている方法による滅菌容器への製剤の分注を含み得る。
薬学的に許容される担体は、それ自体、組成物を投与される個体に有害な抗体の産生を誘導すべきではなく、毒性であってはならない。適切な担体は、ゆっくりと代謝される大きな高分子、例えばタンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー及び不活性ウイルス粒子であり得る。
薬学的に許容され得る塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩及び硫酸塩などの鉱酸塩、又は酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩及び安息香酸塩などの有機酸の塩を使用することができる。治療用組成物中の薬学的に許容され得る担体は、水、生理食塩水、グリセロール及びエタノールなどの液体をさらに含有し得る。そのような担体により、医薬組成物を、患者による摂取のための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー及び懸濁液として製剤化することができる。
薬学的に許容される担体の完全な考察は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company、ニュージャージー州、N.J.1991)で入手可能である。
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、標的疾患もしくは状態を治療、改善もしくは予防するため、又は検出可能な治療効果もしくは予防効果を示すために必要な治療剤の量を指す。任意の結合分子、特に抗体について、治療有効量は、細胞培養アッセイ又は動物モデル、通常はげっ歯類、ウサギ、イヌ、ブタ又は霊長類のいずれかで最初に推定することができる。動物モデルを使用して、適切な濃度範囲及び投与経路を決定することもできる。次いで、そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な投与量及び投与経路を決定することができる。ヒト被験者に対する正確な治療有効量は、疾患状態の重症度、被験者の全般的な健康状態、被験者の年齢、体重及び性別、食事、投与の時間及び頻度、薬物の組み合わせ、反応感受性、ならびに治療に対する耐性/応答に依存する。この量は、慣例的な実験によって決定することができ、臨床医の判断の範囲内である。一般に、治療有効量は、日毎0.01mg/kg~50mg/kg、例えば0.1mg/kg~20mg/kgである。あるいは、用量は、1~500mg/日、例えば10~100、200、300又は400mg/日であり得る。医薬組成物は、所定量の本発明の活性薬剤を含有する単位用量形態で都合よく提供され得る。一実施形態では、所与の用量中の量は、特定の機能をもたらすのに少なくとも十分である。
限定されないが、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、脳室内、経皮、経皮(例えば、国際公開第98/20734号パンフレットを参照されたい)、皮下、腹腔内、鼻腔内、経腸、局所、舌下、膣内又は直腸経路を含む多数の投与経路のいずれかを使用して、本発明を被験者に投与することができる。ハイポスプレー(hypospray)を使用して、本発明の医薬組成物を投与することもできる。組成物の直接送達は、一般に、注射によって、皮下に、腹腔内に、静脈内もしくは筋肉内に達成されるか、又は組織の間質腔に送達される。組成物は、目的の特定の組織中に投与することもできる。一実施形態では、投与は脳へ行われる。投薬治療は、単回用量スケジュール又は複数回用量スケジュールであり得る。製品が注射又は注入用である場合、それは油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンの形態をとることができ、懸濁化剤、保存剤、安定化剤及び/又は分散剤などのフォーミュラトリ(formulatory)剤を含有することができる。あるいは、本発明の医薬組成物は、使用前に適切な無菌液体で再構成するための、乾燥形態であってもよい。組成物が消化管を使用する経路によって投与される場合、組成物は、抗体を分解から保護するが、抗体又はその抗原結合フラグメントを、消化管から吸収されたら放出する薬剤を含有し得る。本発明による噴霧可能な製剤は、例えば、ホイルエンベロープに包装された単回投与単位(例えば、密封されたプラスチック容器又はバイアル)として提供され得る。各バイアルは、ある体積、例えば2mlの溶媒/溶液緩衝液中の単位用量を含有する。
一実施形態では、本発明の抗体又は抗原結合フラグメント、核酸、ベクター、宿主細胞、又は医薬組成物は、脳に投与されるか、又は脳にアクセスすることができるように投与される。
本発明はまた、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメント、特に抗体を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体の1つ以上と一緒に添加及び混合することを含む、医薬組成物又は診断組成物を調製するためのプロセスを提供する。本発明の抗体又は抗原結合分子は、医薬組成物又は診断組成物中の唯一の有効成分であってもよく、又は抗体成分又は非抗体成分、例えばステロイドもしくは他の薬物分子を含む他の活性成分を伴ってもよい。医薬組成物は、治療有効量の抗体又はその抗原結合フラグメントを適切に含む。本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、標的疾患もしくは状態を治療、改善もしくは予防するため、又は検出可能な治療効果もしくは予防効果を示すために必要な治療剤の量を指す。
医薬組成物は、用量毎に所定量の本発明の活性薬剤を含有する単位用量形態で都合よく提供され得る。本発明の医薬組成物は、被験者への投与手段を提供する容器に提供され得る。本発明の医薬組成物は、プレフィルドシリンジ中に提供され得る。本発明はしたがって、そのような充填シリンジを提供する。本発明の医薬組成物が充填された自動注射器も提供する。
本発明の結合分子、特に抗体は、遺伝子治療の使用によって投与され得ることも想定される。これを達成するために、結合分子が抗体である場合、適切なDNA成分の制御下で抗体分子の重鎖及び軽鎖をコードするDNA配列が患者に導入され、それにより抗体鎖がDNA配列から発現され、インサイチュで組み立てられる。別の特定の好ましい実施形態において、本発明のイントラボディをコードする配列は、被験者に投与され得る。
本発明はまた、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントを、場合により投与のための説明書と共に含むキットにも及ぶ。さらに別の実施形態において、キットは、1つ以上の、例えば本明細書中で論じられるアッセイ又は方法を行うための1つ以上の試薬をさらに含む。
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントを含む本発明の分子は、実験試薬として使用するために提供される。
上記で使用される「精製された形態」は、少なくとも90%の純度、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99% w/w以上の純度を指すことが意図される。
本明細書の文脈において、「含む(comprising)」は「含む(including)」と解釈されるものとする。特定の要素を含む本発明の態様はまた、関連要素「からなる」、又はそれから「本質的になる」代替の実施形態にも及ぶことが意図される。
本明細書では、肯定的に列挙された実施形態を、免責事項の基礎として使用することができる。
本明細書で単数形が言及される場合、特に明記されない限り、又は明らかでない限り、複数形も包含される。特に、単数形「a」、「an」、及び「the」等は、別途文脈が明確にそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
本明細書で言及されるすべての参考文献は、参照により具体的に組み込まれる。
本明細書の小見出しは、本明細書の構造化を支援するために使用され、本明細書の技術用語の意味を構成するために使用されることを意図しない。
本発明の配列を以下に提供する。
例1
ペプチド免疫原設計3Rタウ
タウMTBRのアミノ酸配列、エクソン9~12を図1に示す。エクソン10のこのスプライシングは、3Rタウにのみ見られる、エクソン9とエクソン11との間の特有のエクソン境界を形成する。このエピトープは、4Rタウを上回る3Rタウへの特異性を付与する抗体を製造する手段として使用された。このエピトープに対する免疫応答を駆動するために、図1の実線の枠及び表1のTE9/11配列によって示されるような、タウのアミノ酸268~311を包括するようにペプチドを設計した(ペプチドはTE9/11と命名される)。
TE9/11は、タウMTBRの全エクソン間のエクソン境界に存在するタウの他の領域と相同性を共有する。これらの潜在的交差反応性エピトープは、破線の枠で強調表示され(図1)、アスタリスクは配列の差異を強調している。より明確な比較のために、表1は、潜在的な交差反応性エピトープの厳密なペプチドアラインメントを示す。
これらの1番目は、エクソン10と11との間のエクソン境界であり(図1のタウ残基299~312)、2つのアミノ酸のみがTE9/11と異なる(ペプチド残基2及び7(表1))。2番目の相似性領域は、エクソン9と10との間の境界に存在し(タウ残基268~281(図1))、3つのアミノ酸が異なる(ペプチド残基11、12及び14(表1))。最後に、エクソン11とエクソン12との境界部位に配列相同性がある(タウ残基330~343(図1))。しかしながら、エピトープ空間の50%に相当する8つの相違点(ペプチド残基2、7及び9~14(表1))があるので、非特異的抗体結合を駆動する可能性は減少する。
例2
ペプチド免疫原設計4Rタウ
前述のように、3Rタウを上回る4Rタウの固有の特徴は、4Rタウにおけるエクソン10の存在である。これは、3Rタウを超える4Rタウへの特異性を与える、抗体のためのエピトープを表す。エクソン9/10とエクソン10/11との間のエクソン境界を標的とすることによって4R特異性の達成が可能であり得ることは、注目に値する。どちらの場合も、標的とするアミノ酸は1つだけであろう(それぞれI278又はS301)。エクソン10、N279、K280/281及びS285/289内に既知の翻訳後修飾のいくつかの部位があることを考慮することも重要である(Ercanet al.2017,Mol Neurodegener,12(1),87;Kontaxi et al.2017,Front Mol Biosci,4,56;Mair et al.2016,Anal Chem,88(7),3704-14)(図2においてエクソン10内の破線枠に示す)。抗体が4Rタウに特異的であること、及びタウの翻訳後修飾状態にかかわらず結合することを確実にするために、ペプチドTE10は、タウアミノ酸294~302を包含するように設計された(図22)。これがエクソン10内及びエクソン10の領域にあり、翻訳後修飾部位を回避するからである。図2は、タウMTBRの4つのエクソン内のTE10の位置を実線枠で示す。表2のTE10の線は、正確なペプチド配列を示す。
MTBRの反復性質を考慮すると、TE10は、MTBRの3つの他のエクソンと配列相同性を共有する(図2の破線の枠で強調され、表2でアラインメントされている)。これらの1番目は、エクソン12内にあり(タウ残基357~365(図2))、2つのアミノ酸がTE10ペプチドとは異なる(ペプチド残基1及び5(表2))。2番目の相似性領域は、エクソン9内に存在し(タウ残基263~271(図2))、4つのアミノ酸が異なる(ペプチド残基1、2、5及び7(表2))。最後に、エクソン11内に配列相同性があり(タウ残基325~333(図2))、4つのアミノ酸で異なる(ペプチド残基1、2、4及び7(表2))。
例3
免疫化のためのペプチドコンジュゲーション
免疫応答を誘発するために、ペプチドをキャリアタンパク質であるキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、オボアルブミン(OVA)及びウシ血清アルブミン(BSA)にコンジュゲートさせた。すべてのペプチドをビオチンにコンジュゲートさせて、ビーズ又はプレートへのストレプトアビジン捕捉によるスクリーニングを可能にした(CRO Peptide Syntheticsにより実施)。
免疫化を通して、ペプチド免疫原の免疫優性位置をキャリアタンパク質から最も遠くに配置するのは、これが免疫系に最もさらされるからである。したがって、TE9/11を環状ペプチドとしてコンジュゲートして、予測される重要な残基2、7、11及び12(表2)を最も免疫優性度の高い位置に確実に存在させた。TE10(4Rタウ特異的免疫応答を付与するように設計された)を、キャリアタンパク質にそのC末端を介して結合される線状ペプチドとして設計した。これは、ペプチドの1位及び5位のリジン残基、すなわちTE10に固有の2つだけのアミノ酸(表2)が、免疫優性の位置にあることを保証するためであった。両方のペプチドについて、チオール基を介してマレイミドリンカー及びキャリアタンパク質又はビオチン-PEG-マレイミドに連結するために、単一のシステインをペプチドに添加した。ペプチドの環化を、N末端からC末端へのアミド結合形成によって達成して、環状ペプチドループを生成した。
例4
ウサギ由来の3R及び4R特異的抗体の同定
コンジュゲートされたペプチドを使用してウサギを免疫した。ウサギ6170及び6171由来のB細胞を、400×96ウェルプレート培養で抗体分泌B細胞に活性化した。培養上清を結合について一次スクリーニングした。この均一な蛍光アッセイは、ストレプトアビジンビーズ上に捕捉されたビオチン化TE9/11及びTE10ペプチドの混合物に対するものであった。図3は、50×384ウェルアッセイスクリーニングプレートからの一次スクリーニングデータを示す。緑色で強調されているのは、ビーズ関連蛍光が観察されたウェルであり、TE10又はTE9/11のいずれかへの特異性を有する抗体を示している。事実上、緑色で強調表示されたコロニーは、グラフにおける1000のビーズ関連蛍光をおおよそ上回る。これらのヒットは、ビーズ関連蛍光単位1000の結合値閾値に基づいて選択した。この閾値は、結合プロファイルに高い信頼性を与え、12×80ウェルマスタープレートへの試料の固定を可能にする。
例5
ウサギB細胞培養二次スクリーニング
TE10又はTE9/11のいずれかに対する反応性を示した上清の同定(図3)及び活性化B細胞の凍結保存に続いて、二次上清スクリーニングを実施して、アイソフォーム特異性を示す抗体を有するウェルを同定した。これは、各ペプチド抗原を使用するELISA(図4)、ならびに組換え0N3R及び0N4Rタウに対するELISA(図5)によって達成された。
重要なことに、残りの4つのタウアイソフォームはすべてMTBR内で同一であり、タンパク質の残りの部分内には他の潜在的な交差反応性エピトープは存在しない。
得られたデータは、図4にペプチドELISAの結果を示し、図5にタンパク質ELISAの結果を示す。すべてのELISAデータを、各データポイントについてバックグラウンドに対する変化倍率としてプロットする。単一ペプチドへの結合を示し、所望のタウ0Nアイソフォームへの少なくとも4倍高い結合を示したウェルからの上清を、B細胞単離及び可変領域遺伝子回収のために選択した。各ケースにおいて、3R特異的であると選択されたウェルは赤色で強調表示され、4R特異的ウェルは緑色で強調表示される。いくつかのウェルが、両方のペプチドに対して交差反応性を示すように見えること注目するのは興味深い。これらは、ペプチド上の共通のエピトープを認識している可能性が高い。2つのタウペプチド間の配列相同性の欠如は、交差反応性が、ペプチドをビオチン分子又はキャリアタンパク質又はウサギの発達中の免疫レパートリー内の多反応性抗体にコンジュゲートさせるリンカーに起因する可能性が高いことを示唆している。
例6
B細胞単離、RT-PCR及び転写活性PCR組換え一過性スクリーニング
蛍光法によるB細胞単離を、図4及び図5において赤色又は緑色で強調されている選択されたウェルのすべてに対して行った。逆転写及び3ラウンドのPCRを行って、可変領域遺伝子を回収し、トランスフェクションに使用可能な線状発現カセットを作製した。表3は、B細胞単離からの回収レベル、各ウェルからのPCR及びそれらのPCRの成功の数を、そのウェルの3R又は4Rタウのいずれかに対する特異性と共に示す。
一般に、得られた結果は、83%のウェルから蛍光フォーカスが発生する、良好なB細胞単離効率を示した。可変領域の回収は、vH PCRの97%及びvK PCRの99%から観察された。これは、96%の全体的なV領域対の回収率を表した。
三次TAP PCRによって生成された線状発現カセットを、Expi293F細胞に直接トランスフェクトした。発現後、抗体含有上清をELISAによってIgG発現についてアッセイした。IgGの発現は、PCRでV領域対が回収されたすべてのケースにおいて観察された。90ウェルから合計で77の試料がIgGを含んでいた。その後、すべてのウェルを、ELISAによって0N3R又は0N4Rタウのいずれかへの結合についてアッセイした。フォーカス群あたり1つの代表的なTAP発現を含むELISAデータを図6に示す。クローニング及びさらなる試験のために選択されたウェルは、図6において、4R及び3R特異的抗体についてそれぞれ緑色及び赤色で強調されている。
1つを除くすべてのピッキングされたフォーカスウェルが、TAP発現後に3R又は4Rタウに対するそれらの結合特異性を保持したことを注記するのは興味深い。もはや3R又は4Rタウのいずれにも結合しないように見える黒色で強調された単一抗体については、これがタンパク質でのB細胞上清スクリーニングELISAにおいて偽陽性であり(図5)、TE10ペプチド上の非タウ代表的エピトープに結合した可能性が高い。これは、ペプチドを使用して実施された場合、どのようにして蛍光フォーカスを生成することができたかを説明し、その後は、TAPが一過性であるのでタウタンパク質への結合を示さない。
例7
ウサギIgGのクローン化一過性スクリーニング及び配列決定
PCRによって生成された可変領域フラグメントを、完全長ウサギIgGとしてクローン化した。すべてのクローン化抗体を配列決定し、Expi293F細胞における30mlの過渡的なものとして発現させ、得られた培養上清をアッセイして、それらが含有するIgGの濃度を決定した。すべての上清を、0N3R及び0N4Rタウに対して10ug/mlのIgGでELISAによってアッセイして、それらがクローニング後にそれらの特異性プロファイルを保持していたかどうかを決定した。図7Aは、すべてのクローン化抗体のELISAデータを示し、図7Bは、これらの抗体のCDR3配列を示す。
図7から分かるように、相似又は同一の抗体配列を含む抗体の群は、それらのELISA値において非常に密接に集合していた。3R特異的抗体と4R特異的抗体との間に明確な分離があり、4R特異性は一般に、より高い交差反応性を示す。2つの抗体配列、クローン3(VR7082)(4R特異的)及びクローン14(VR7081)(3R特異的)は、より大規模な発現/精製及びより詳細な特徴付けを正当化するのに適したレベルのアイソフォーム選択性(測定可能な望ましくない交差反応性なし)を有すると考えられた。2つの抗体の配列及びその後生成されたscFv イントラボディの配列を以下、他の関連配列も含む表に示す。


例8
3R及び4R特異的抗体の特徴付け
3R及び4Rタウ特異的抗体、VR7081及びVR7082の同定後、すべてのさらなる研究についてのそれらの適合性を評価した。これは、組換え及び天然発現タウに対するアッセイのある範囲における特徴付けによって行われた。
(a)組換えタウの結合及び特徴付けアッセイ
前述のように、VR7081及びVR7082は、ELISAによって10μg/mlで0N3R及び0N4Rタウに対する優れた特異性を示した(図7)。精製後にこの特異性が確実に保持されることが重要であり、したがって、VR7081及びVR7082を、ELISAによってタウの組換え発現アイソフォームの6つすべてに対して試験した(図8A及びB)。
ELISAによるVR7081及びVR7082の3R及び4Rへの選択性プロファイルの確認後、図8、タウに対するこれらの抗体の特異性を細胞環境において確認することが重要であった。このフローサイトメトリーアッセイのデータを図9に示す。図9は、VR7081(A)及びVR7082(B)の両方が、フローサイトメトリーによって細胞環境においてタウに対する絶対特異性を示すことを実証する。ウェスタンブロットにおいてこの特異性が保持されたことを確認するために、タウのすべてのアイソフォームを過剰発現する細胞から溶解物が生成され、ポリクローナル抗全タウ抗体を使用して検証された。VR7081及びVR7082を含むウェスタンブロットは、それぞれ図10A及び図10Bに見ることができる。ペプチドTE9/11及びペプチドTE10は、3Rタウに固有のタウエクソン9/11境界にわたる範囲内の、及び4Rタウに固有のエクソン10内の線状エピトープを表す。したがって、これらのエピトープは、ウェスタンブロットのために行われた試料還元による影響を受ける可能性は低かった。図10は、VR7081(図10A)及びVR7082(図10B)の両方が、それぞれ3R及び4Rタウに対するそれらの特異性プロファイルをウェスタンブロットによって保持することを示す。
両抗体はまた、およそ49kDa(VR7081)又は60kDa(VR7082)の非タウバンドとの反応性を示すように見えた。何がこの余分なバンドを駆動しているのかは不明であり、ウサギIgG、二次HRPコンジュゲート抗体の結果であるか、又は標的外可変領域結合によって駆動される可能性がある。
この問題に対処するために、2N3R及び2N4Rタウ含有溶解物ならびに組換えタウラダー及びモックライセートを用いてウェスタンブロットを行い、非タウ反応性ウサギ又はマウスIgGでプロービングし、結果を図11に示す。図11Aのウェスタンブロットは、非タウ反応性ウサギIgGでの約60kDa及び42kDaの非特異的バンドを有し、VR7081及びVR7082と同様の非特異的バンディングパターンを示す。しかしながら、図11Bにおける非タウ反応性マウスIgGでは、これらのバンドは観察されない。結果は、図10で観察された任意の非タウバンドが、タウ特異的可変領域ではなくウサギIgG定常領域又はHRPが示すものに起因することを明確に示している。
その後さらなる実験を行って、抗体がより一般的な有用性を有することを確認した。これが可能であることを確認するために、ウサギIgGをウサギ可変領域を有するマウスIgGに変換した。これは、非タウ反応性マウスIgGがタウ過剰発現溶解物においてバンディングを示さなかったために行われた(図11B)。次いで、得られたキメラ抗体を、それぞれのタウアイソフォームを過剰発現する細胞溶解物に対してウェスタンブロットによってアッセイした。これらのブロットの結果を図12に見ることができる。図12から、VR7081及びVR7082の両方を有するマウスキメラ抗体への変換により、ブロットから非タウバンドが除去されたことが明らかである。このデータは、図11Aの非タウ抗体で見られるバンディングと共に、この非タウ反応性バンドが、ウェスタンブロッティングに使用したウサギIgG定常領域又は二次HRPコンジュゲート抗体の結果であったことを実証する。この非タウ反応性がフローサイトメトリーアッセイにおいて同じ細胞では観察されないので、これは、おそらく他の細胞タンパク質の線状エピトープの提示に起因する、ウェスタンブロットの人為結果であることに留意することが重要である。
マウスIgGへの変換は、非常に首尾よくこれらの抗体の特異性に役立つことがウェスタンブロットによって証明されたが、前述のように、すべてのデータがこれらの抗体のウサギIgGバージョンを用いて生成されたことが特に明記されない限り、この非タウ反応性バンドは、そのように行われた実験にとって問題ではない。
これらの抗体を評価することが重要であった別の重要な領域は、免疫蛍光にあった。これらの抗体を評価するために、0N3R及び0N4Rのタウを接着性CHOK1細胞において過剰発現させた後、固定し、透過処理し、いずれかのVR7081/VR7082及びポリクローナル抗全タウ抗体で共染色した。得られた免疫蛍光データは、VR7081については図13、VR7082については図14に見ることができる。その抗体によるVR7081及びVR7082染色の各ケースでは、抗体が特異的であるタウタンパク質を発現する細胞についてのみ見られた。図13及び図14に示されるデータは、VR7081及びVR7082の両方が、それぞれ3R及び4Rタウに対する優れた特異性を保持することを免疫蛍光によって明確に実証する。ポリクローナル抗全タウ抗体染色は、これらの集団内でタウを発現するすべての細胞を可視化することができる。したがって、両方のケースにおいて、VR7081又はVR7082のいずれかによる染色が、適切なタウアイソフォームについてのすべてのポリクローナル抗全タウ抗体染色と重なり合うことに注目することが重要である。
したがって、得られたデータは、VR7081及びVR7082がそれぞれ3R及び4Rタウに高度に特異的であることを明確に示している。実施したすべてのアッセイにおいて、両方の抗体は、所望でないタウアイソフォームに対して標的外結合を示さなかった。
(b)天然タウの結合及び特徴付けアッセイ
次に、iPSC由来ニューロンの天然系において、又はヒト脳試料から発現されるタウへの結合を実証した。
VR7081及びVR7082の結合を、最初にiPSC由来ニューロンにおける免疫蛍光によって評価した。タウ変異のない対照ニューロン(0N3Rタウのみを発現する)又はモノアレリック10+16 MAPT変異ニューロン(0N3Rタウ及び0N4Rタウの両方を発現する)の両方を使用した。得られた画像は、VR7081については図15、VR7082については図16に見ることができる。
予想されるように、VR7081は、非変異対照細胞及び10+16 MAPT変異ニューロンの両方において3Rタウに結合する(図15)。VR7082は、10+16変異ニューロン内の4Rタウへの結合を実証し(図16)、予想通り非変異対照ニューロンへは、これらが4Rタウを発現しないので、結合しないことを示す。
0N3R又は0N4Rタウを過剰発現するExpHEK-293F細胞からの溶解物、ならびにタウ陰性細胞溶解物、及びすべてのタウアイソフォームを含む組換えタウラダーを一緒に用いたPeggy Sueのシンプルウェスタンを介した、対照、10+16モノアレリック及びバイアレリックMAPT突然変異ニューロンからの溶解物を使用する免疫ブロットでも特異性を確認した(図17)。図17A及び図17Bのブロットから、VR7081及びVR7082の両方が、過剰発現溶解物における、それぞれ3R及び4Rの両方へのそれらの特異性を保持することが分かる。VR7081は、予想された通り、iPSC溶解物の3つすべてにおいて、0N3Rタウサイズのバンドに結合することが分かる。この年齢で前述したように、非変異ニューロンは4Rタウを発現しない。したがって、予想通り、VR7082は、10+16変異iPSC由来ニューロンにおいてのみ、0N4Rタウサイズのバンドへの結合を実証している。
VR7081とVR7082の両方で、図10で観察された非タウバンドが、この方法ではもはや見えないことに注目するのは興味深い。このブロットは、標準的なウェスタンブロットとは異なる二次抗体を使用し、これが非タウバンディングを解決したようである。これは、VR7081/VR7082及び非タウウサギ抗体の両方で観察されたこの非タウバンド(図10及び図11)が二次HRPコンジュゲート化抗体の結果であったことをさらに示す。
タウは、有意な翻訳後修飾を受けることができる(Ercan et al.,2017、上掲;Kontaxi et al.,2017、上掲;Mair et al.,2016、上掲)。したがって、VR7081及びVR7082の両方が、タウの翻訳後修飾状態にかかわらず、それぞれ3R及び4Rタウを結合することができたことを確認することが重要であった。老化した脳の溶解物は、多くの翻訳後修飾及びタウ切断を有する一連のタウ種を含む。それは、したがって、ウェスタンブロットで試験し、VR7081及びVR7082の両方がタウの多くの形態に結合することができることを確認するための良好な材料源を代表した(図18)。
VR7081又はVR7082のいずれのブロットでも複数のバンドが観察されるが(図18)、しかしながら、重要なことに、VR7081及びVR7082のタウラダーについて3つの明確な異なるバンドが存在する。脳溶解物による複数のバンディングは、おそらくはタウの複数のリン酸化状態、タウの高分子量凝集体及び/又は切断型タウバリアントに起因する。このデータは、これらの溶解物を使用した他のデータと一致する。このデータは、VR7081及びVR7083の両方が3R及び4Rタウのすべての翻訳後修飾状態に結合することができるという高い確信を与える。
「天然タウ結合及び特徴付けアッセイ」のセクションに示されるデータは、一連のアッセイにおいてVR7081及びVR7082の両方が、天然に発現されるタウに結合することができることを実証している。図17では、標準的なウェスタンブロットで観察された非タウバンディングが二次HRPコンジュゲート抗体に起因することも実証されている。最後に、図18は、VR7081及びVR7082の両方が、ある範囲の翻訳後修飾状態のタウを結合することができることを実証している。
例9
4R分解タウデグラボディの生成
IgG又はFabフラグメントなどの誘導体が細胞内抗体として使用され得ないのは、それらのジスルフィド結合が細胞質の還元環境で正しく形成されないからである。これにより、重鎖と軽鎖が会合せず、したがって結合部分が形成されないことが確実となる。しかしながら、IgGは、細胞内発現抗体(イントラボディ)としての使用を可能にする、非ジスルフィド安定化scFvに再フォーマットされ得る。scFvフォーマットでは、重鎖及び軽鎖可変領域は、柔軟なリンカーによって物理的に連結されている。これにより、重鎖と軽鎖が細胞内で正確に対合し、結合部分を形成することが確実となる。そのように再フォーマットされたVR7082がその結合特性を保持することを確保するために、IgGを最初にscFv-msFcへと再フォーマットした。これは、scFvがマウスFcに融合されて、抗マウス二次抗体による検出を可能にするスクリーニング構築物であり、IgG及びscFv-Fcの概略図をそれぞれ図19A及び図19Bに見ることができる。VR7082 scFv-Ms-Fcを試験した。VR7082 scFv-Ms-Fc変換の結果を図19に見ることができる。変換をELISA(図19D)、フローサイトメトリー(図19F)及びウェスタンブロット(図19H)によって試験した。比較目的のために、図19C及び図19Eに見られるデータは、それぞれELISA及びフローサイトメトリーデータである。図19Gは、VR7082のscFvフォーマットとの比較のためにVR7082 IgGを利用するウェスタンブロットのデータである。
抗体フラグメント又は任意の他のタンパク質の細胞内細胞質発現を可能にするために、任意の特定のリーダー配列を欠く発現ベクターが設計される。タウは主に細胞の細胞質内に存在するので、細胞内発現抗体(イントラボディ)研究のためには、細胞内発現抗体(イントラボディ)も細胞質内で発現されることが重要であった。したがって、発現構築物は、リーダー又は局在化シグナルを含まずに設計された。VR7082のscFvフォーマットへの変換の成功にもかかわらず(図19)、scFvフラグメントの細胞質発現及び免疫化ペプチドへの特異的結合の可能性を確保することが重要であった。scFv イントラボディとしてのVR7082の試験を可能にするために、GFPをVR7082-scFvに柔軟なリンカーで融合することによって、GFPとの融合構築物を設計した。GFPを選択したのは、将来の融合の代用として使用することができ、蛍光による生細胞における発現の検出、及び抗GFP抗体を介した、ウェスタンブロットによる細胞内発現抗体(イントラボディ)の検出を可能にするからである。
その後の発現構築物をHEK-293F細胞にトランスフェクトした(n=4)。次いで、これらをフローサイトメトリーによってGFP蛍光について評価し(図20A)、細胞を溶解した。次いで、溶解物をウェスタンブロットによってアッセイして(図20B)、イントラボディ GFP融合物が無傷であり、正しい分子量であることを確認した。最後に、これらの溶解物をプルダウン実験で使用し、ここでは後続のウェスタンブロットの前に、TE10、4Rタウ特異的ペプチドを使用して細胞内発現抗体(イントラボディ)をプルダウンし、これを、ペプチド対照の無関係な混合物を用いたプルダウンと比較した(図20C及び図20D)。
このデータから、イントラボディ-GFP融合がHEK-293F細胞で発現され、GFP蛍光によって示されるようにGFPが正しく折り畳まれたことが分かる(図20A)。VR7082がGFPに正しく融合されていることを実証するために、GFP抗体によるトランスフェクトHEK-293F細胞のウェスタンブロットを行った。無傷の場合、scFv-GFP融合イントラボディ-は、約53kDaの分子量で観察されるはずである(scFv 26kDa+リンカー1kDa+GFP 26kDa)。細胞溶解物のウェスタンブロッティング(図20B)は、この構築物が、53kDaに示される単一バンドを有する、無傷の融合タンパク質を発現していたことを示す。最後に、細胞内発現抗体(イントラボディ)をその免疫化ペプチドへの結合について評価した。ウェスタンブロット(図20C)は、VR7082-scFv-GFP溶解物をTE10コーティングビーズでプルダウンした場合(レーン1~4)、VR7082-scFv-GFPのサイズのバンドが観察されることを示す。しかしながら、VR7082-scFv-GFP溶解物を無関係なペプチドコーティングビーズでプルダウンした場合(レーン7~10)、又はモックトランスフェクト溶解物をTE10コーティングビーズでプルダウンした場合(レーン5~6)、バンドは観察されない(図20C)。このブロットからのバンドデンシトメトリー(図20D)は、scFv-GFP イントラボディ構築物が依然としてTE10ペプチドに特異的に結合することができることを示した。
研究のこの段階は、VR7082、4Rタウ特異的ウサギIgGの、両方とも依然として4Rタウ又は4Rタウのペプチドへの特異的結合を実証するscFv-Ms-Fc及びscFv-GFP イントラボディへの変換の成功を示した。研究の次の段階は、この細胞内発現抗体(イントラボディ)の標的分解イントラボディ、すなわちデグラボディへの変換に焦点を合わせることであった。
例10
VR7082-scFv イントラボディからのデグラボディの生成
VR7082-scFv イントラボディを、4Rタウを分解することができるデグラボディに変換するために、GFPドメインを、文献から選択された6つの分解ドメインのうちの1つと置き換えた。これらのドメインを、文献によって提案される向きに応じて、VR7082-scFvへのN又はC末端融合として融合した(表5)。
すべてのデグラボディ融合構築物ならびにGFP N及びC末端融合物(非分解イントラボディ対照として)を、0N3Rタウ又は0N4Rタウのいずれかを含むHEK-293F細胞にコトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を溶解し、ポリクローナル全タウ抗体(Dako)を利用するウェスタンブロットによって分析した。次いで、バンドデンシメトリーを行い、値をGFP融合対照のパーセンテージとして表した。代表的なウェスタンブロット(図21A)及びタウウェスタンブロットからのn=3デンシトメトリーのデータ(図21B)を見ることができる。
分解の正確な比較を可能にするために、各構築物は、非分解VR7082-GFP対照(それぞれN又はC末端に融合)と比較したタウの%として表される(図21B)。これは、非分解イントラボディ以外、結合だけでないデグラボディの効果を示すので重要であった。
図21に示されるデータは、VR7082 デグラボディと0N4Rタウとのコトランスフェクションが、非分解VR7082-GFP イントラボディ対照と比較して0N4Rの分解を誘導することを実証している。デグラボディ構築物に0N3Rタウをコトランスフェクションした場合、これは当てはまらないことも分かる。
この研究の後、MG132(プロテアソーム阻害剤)の存在が4Rタウの分解を停止させるかどうかを決定することは興味深いものであった。これは、ユビキチンプロテアソームへの依存度が低いことが以前に実証されているODCを除く(Erales and Coffino,2014,Biochim Biophys Acta,1843(1),216-21)、すべてのデグラボディに当てはまるはずである。デグラボディ構築にHEK-293F細胞中の0N4R又は0N3Rタウをコトランスフェクションし、6時間のインキュベーション後、MG132を培養物の半分に添加した。次いで、すべての培養物をさらに18時間インキュベートした後、フローにより分析した。これらの実験では、ウェスタンブロッティングではなくフローサイトメトリーを使用したのは、MG132処置の有無にかかわらず、すべてのデグラボディ構築物の0N3R及び0N4Rタウに対するより高いスループットスクリーニングを可能にするからである。技術的にはウェスタンブロッティングで可能であるが、多くの状態及び構築物を試験する場合、必要なブロットの数は、この技術の実用性がはるかに低いことを意味した。いかなる分解もウェスタンブロッティングの人為結果ではないこと、及びそれが複数の技術によって確認され得ることを確保することも重要であった。代表的なフローサイトメトリープロット及び比較アッセイデータを図22Aに見ることができ、VR7082-GFPレベルに対して正規化された、VR7082 デグラボディでコトランスフェクションされたすべての単一細胞集団の幾何平均を図22Bに見ることができる。
このアッセイのためのゲーティング戦略は、まずHEK-293F細胞の同定を可能にし(図22A-1)、続いて高さと比較した前方散乱面積によって単一細胞の同定を可能にする(図22A-2)ことであった。次いで、0N4R-(図22A-3)又は0N3R-(図22A-4)トランスフェクト細胞のいずれかにおいて、ポリクローナル全タウ抗体(Dako)による細胞内タウ染色について単一細胞を評価した。
図22Bにおいて図21Bについて上述したように、すべてのタウレベルは、VR7082-GFP(結合性であるが非分解性のイントラボディ)対照の%として表される。図22のデータは、別のアッセイシステムにおいて、すべてのデグラボディ構築物が、HEK-293F細胞内の0N3Rタウのレベルを保持しながら、0N4Rタウを分解することができることを明確に実証している。すべての構築物について、(T検定によって)3Rタウレベルと比較して、4Rタウレベルが統計的に有意に減少している(図22B)。MG132処置が4Rタウの分解をブロックしたので(図22B)、ODCを除くすべての融合物はプロテアソーム依存性であり、MG132の添加の有無にかかわらず、すべての0N4Rコトランスフェクションについて統計学的に有意に差があった(T検定による)(図22B)。再度、これは、MG132処置群と非処置群との間に統計的差異を示さない0N3Rタウトランスフェクト細胞には当てはまらず(図22B)、MG132での処置がプロテアソーム分解のみをもたらし、細胞内の一般的なタウプロテオスタシスもたらさないことを示す。
図21及び図22に示されるデータは、VR7082-scFv イントラボディが、0N4Rタウの特異的分解が可能なscFv デグラボディに首尾よく変換されたことを明確に実証している。
例11
iPSC由来ニューロンにおけるVR7082 デグラボディを使用した4Rタウの分解
脂質ベースのトランスフェクション方法論によるニューロンのトランスフェクションでは、トランスフェクションされたDNAを受容する細胞のパーセンテージはごくわずかである(Karra and Dahm 2010)。このため、アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用したウイルストランスフェクションを、このプロジェクトのためのデグラボディ及び対照の送達方法として選択した。3つのAAV構築物をGeneCopeiaから取得し、そのうちの2つは、XIAP分解ドメイン又はHaloタグ(非分解対照)のいずれかに融合したVR7082-scFv、ならびに欠いている構築物を含むAAVベクター陰性対照を含んでいた。VR7082-XIAP構築物はまた、GFPトランスフェクションマーカーのIRES発現の有無にかかわらず得られた。
VR7082-XIAP+IRES GFP AAVを最初に使用して、誘導後90日目に10+16バイアレリックMAPT変異ニューロンをトランスフェクションした。デグラボディ及びGFPトランスフェクションマーカーの発現を考慮するために、細胞をトランスフェクションの7日後に分析した。次いで、2つの細胞集団を同定し、GFP陽性又は陰性シグナルに基づくフローサイトメトリーを使用して選別した(図23A-3)。これらの2つの集団を溶解し、タウタンパク質レベルを、Peggy Sueのシンプルウェスタンを用いて評価した(図23B及び図23C)。完全なゲーティング戦略を図23Aに見ることができる。
生細胞をToPro3染色の欠如によって最初に同定した(図23A-1)。無傷の細胞を、FCS-A v SSC-Aによって同定した(図23A-1-2)。ToPro3陰性であるが非常に小さく、FSC-A v SSC-Aプロットのデブリ領域(プロットの左下)にある事象が多く存在することに注目することは興味深い。それらは、小さな脂質ミセルを形成した細胞デブリである可能性がある。そのようなデブリは、理論的には無傷の脂質二重層膜を有するであろうし、したがってToPro3染色を除外するであろう(生細胞がそうするように)。最後に、細胞をGFP発現に基づいて2つの方法で選別した(図23A-3)。
選別後、2つの細胞集団を溶解し、次いで、Peggy Sueのシンプルウェスタンで泳動させた。得られたトレースは、選別されたGFP陰性細胞(図23B)及び選別されたGFP陽性細胞(図23C)から見ることができる。GFP陰性細胞のトレースは、2つのピーク、0N3Rを表す大きなピーク、及び0N4Rタウに対応する小さなピークを示す(図23B)。対照的に、GFP陽性細胞は、0N3Rタウを表すピークを有したが、0N4Rタウを表すピークは検出されなかった(図23B)。これは、0N4RがXIAPを形質導入された細胞において分解されたことを示唆する。
まとめると、図23に示されるデータは、デグラボディをiPSC由来ニューロンに送達し、これらの細胞から4Rタウタンパク質を分解することが可能であることを実証している。
例12
iPSC由来ニューロンに対する4Rタウ除去の表現型効果
以前の研究は、GFPが神経細胞に対して毒性であり得ることを示している(Detrait et al.2002,Mol Ther,5(6),723-30)。ミトコンドリア極性化アッセイへのGFPの効果は不明であるため、この研究では、GFPなしでAAVベクターを使用した。同じ理由で、以前に使用されたVR7082-GFPイントラボディではなく、非分解対照としてのVR7082-Haloタグイントラボディ。
ニューロンを、WT、10+16モノアレリック及び10+16バイアレリックMAPT変異iPSC株細胞株から分化させた。80~90日目に、AAVを含有するVR7082-XIAP、VR7082-Halo又は陰性AAV構築物で処置し、さらに7日間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をミトコンドリア膜極性化アッセイで泳動した。ここで、ミトコンドリア膜極性化は、MitoTracker Deep Red CMX ROSによる染色によって評価され、MitoTracker deep redによる染色によって総ミトコンドリア量に対して正規化される。得られたデータを図24に示す。
このアッセイのためのゲーティング戦略は、ミトコンドリア膜極性化及び総ミトコンドリア量についてアッセイされ得る無傷の神経細胞を同定することである(図24A)。各iPSC由来神経細胞株に対する各処置群の代表的な例(図24B)は、WT対照ニューロンにおいて(図24B-1)、対照AAV、VR7082-Halo又はVR7082-XIAP処置群のいずれの効果もないことを示す。しかしながら、これらの処置を10+16モノニューロン(図24B-2)又は10+16バイアレリックニューロンに適用すると、(図24B-3)VR7082-XIAP デグラボディでの処置により、ミトコンドリア膜極性化のレベルが低下した。これは、各遺伝子型及び処置群についてn=5のニューロン誘導で観察された(図24C)。予想されるように、10+16 MAPT変異ニューロンにおいて、10+16モノアレリック又は10+16バイアレリック株について、対照AAV粒子処置とVR7082-Halo イントラボディとの間のミトコンドリア極性化の統計学的に有意な差は観察されなかった(p=0.145+p=0.922、ANOVA)。これは、VR7082-Halo イントラボディがこれらの細胞内の4Rタウに結合するが、4Rタウの分解を誘導しないためである。しかしながら、細胞をVR7082-XIAP デグラボディでトランスフェクションした場合、ミトコンドリア極性化の統計学的に有意な減少が、対照AAVからの(p=<0.0001+p=0.0052、ANOVA)、及びVR7082-Halo処置群からの(p=<0.0001+p=0.0018、ANOVA)10+16モノアレリック及び10+16バイアレリック変異細胞株の両方で観察される(図24C)。10+16バイアレリックニューロンでは変異表現型のわずかな減少しか観察されないが、10+16モノアレリックニューロンでは、ミトコンドリア極性化のレベルがWTニューロンと有意に異ならないレベルまで低下することに注目するのは興味深い(p=0.567、ANOVA)(図24C)。
VR7082-RbIgG 4R特異的抗体はVR7082-scFv デグラボディと同じエピトープを有するので、これらの実験では4Rタウレベルを評価することはできなかった。しかしながら、VR7082-XIAPは特異的に4Rタウ分解を誘導し、3R分解を誘導しなかったことが以前に実証されている(図21、図22及び図23)。いずれの処置群間でも3Rタウレベルに変化がないことが確認され、これらの実験では、標的外分解効果がないことを示唆している(図24D)。
ここで、本発明者らは、VR7082 デグラボディを10+16 MAPT変異iPSC由来ニューロンに適用して、ミトコンドリア膜極性化の非変異レベルを回復させることができることを首尾よく実証した。
例13
VR7082抗体のエピトープ特徴付け
細胞内タウ発現構築物を、ペプチドエピトープTE10全体で1つのアラニン点変異、ならびにタウオパチーの疾患モデルで一般的なP301S及びL変異を有するように設計した。構築物をTWIST bioscienceによって、タウの細胞内発現に適したベクターに合成した。
構築物を得たら、製造業者の指示に従って、単一構築物をExpi293細胞(Thermo-Fisher)に一過性にトランスフェクションした。細胞を、加湿した5%CO環境において、220RPMで振盪しながら、38℃でインキュベートした。48時間のインキュベーション後、細胞を350G(av)で10分間の遠心分離によって回収した。製造業者の指示に従って、Invitrogens Fix and Permキットを用いて細胞を固定し、透過処理した。次いで、細胞を、alexa-488で標識した非VR7082クロスブロッキング抗体HT7で氷上で30分間染色した後、PBS+1% BSAで洗浄し、次いで、20,000細胞/ウェルで播種した。その後、各ウェルを氷上で30分間10μg/ml VR7082で染色し、細胞をPBS+1% BSAで1回洗浄し、二次抗ウサギFc-Alexa647(Jackson Laboratories)は、抗体が1:1000希釈で添加されたことを示す。細胞を氷上で30分間インキュベートした後、PBS+1% BSAで洗浄し、50μl/ウェルに再懸濁した。細胞をIQue3で泳動し、タウ含有細胞をalexa-488蛍光によってHT7からゲーティングし、タウ結合をalexa-647染色によって評価した。データを正規化し、変異していないタウについて観察された結合シグナルのパーセンテージとして表した。
得られた結果を図26に示す。図26のデータは、ペプチド結合部位全域で単一の特異的アラニン変異の存在下(左から右に向かって2番目から10番目のバー)、P301Sタウへの結合(左から右に向かって11番目のバー)、P301Lタウへの結合(左から右に向かって12番目のバー)及びモックトランスフェクト細胞への結合(左から右に向かって最後のバー)におけるタウ結合シグナルのノックダウンを実証する。すべての値は、非変異0N4Rタウ(1番左のバー)への結合のパーセンテージとして表される。結果は、アラニンへのK294;D295、N296及びI297のいずれの変異も、タウに対するVR7082抗体の結合をほぼ完全に消失させる。アラニンへのK298及びV300のどちらの変異も、タウに対するVR7082抗体の結合をほぼ半分にする。H299、P301及びG302の変異は、VR7082のタウへの結合に影響を及ぼさなかった。結果はまた、VR7082がP301SとP301Lの両方に結合することができることを実証し、これらの変異を含むタウオパチーの動物又は細胞モデルで使用できることを示している。

Claims (29)

  1. (a)生理学的試料中の4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的に結合するか;又は
    (b)生理学的試料中の3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的に結合する、
    抗体又はその抗原結合フラグメント。
  2. 4Rタウタンパク質アイソフォームに特異的に結合する、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
  3. (a)4Rタウタンパク質がタウ4Rのアミノ酸位置279、280、281、285及び289のうちの1つ以上において翻訳後修飾を含む場合、タウのエクソン10によってコードされるアミノ酸領域に結合する;
    (b)4Rタウタンパク質のアミノ酸294~302を含むか、もしくはそれらからなるペプチドに結合する;
    (c)タウのエクソン10によってコードされるアミノ酸配列からの単一エピトープに対応するペプチドに結合する;又は
    (d)(a)~(c)の抗体又はフラグメントのいずれかをクロスブロックするか、もしくはそれらにクロスブロックされる、
    請求項2に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
  4. (a)抗体又はその抗原結合フラグメントが、生理学的4Rタウタンパク質アイソフォームを発現する細胞からの細胞溶解物、好ましくは4Rタウタンパク質アイソフォームを発現するiPSC由来神経細胞からの細胞溶解物において、4Rタウタンパク質アイソフォームを特異的に結合する;及び/又は
    (b)抗体又はその抗原結合フラグメントが、4Rタウタンパク質アイソフォームを発現する細胞上又は細胞内での免疫蛍光によって、4Rタウタンパク質アイソフォームを検出することができる、
    請求項2又は3に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
  5. 抗体又はその抗原結合フラグメントが、
    (a)配列番号3、5及び7の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上、ならびに配列番号11、13及び15の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上を含み、好ましくは配列番号3、5及び7の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列ならびに配列番号11、13及び15の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む;
    (b)配列番号1及び9の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む;
    (c)イントラボディ(intrabody)、好ましくは配列番号17の配列、又はそれと少なくとも95%の配列同一性を有し、依然としてタウタンパク質4Rアイソフォームに特異的に結合することができる配列を含むイントラボディ(intrabody)である;又は
    (d)(a)~(c)の抗体又はフラグメントのいずれかをクロスブロックするか、又はそれらによってクロスブロックされる、
    請求項2~4のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
  6. アミノ酸K294、D295、N296及びI297を含む4Rタウタンパク質のエピトープに結合する、請求項2~5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
  7. エピトープが4Rタウタンパク質のK298及びV300をさらに含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
  8. 3Rタウタンパク質アイソフォームに特異的に結合する、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
  9. 抗体又はその抗原結合フラグメントが、
    (a)タウのエクソン9及び11を架橋する領域によってコードされるアミノ酸配列を含むペプチドに結合する、及び/又は
    (b)タウのエクソン9及び11によってコードされる配列の境界のいずれかの側の7個のアミノ酸からなるペプチドに結合する、
    請求項8に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
  10. ペプチドが環状ペプチドである、請求項9に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
  11. 抗体又はその抗原結合フラグメントが、
    (a)配列番号20、22及び24の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上、ならびに配列番号28、30及び32の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列の1つ以上を含み、好ましくは配列番号20、22及び24の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列ならびに配列番号28、30及び32の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む;
    (b)配列番号18及び26の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む;
    (c)イントラボディ(intrabody)、好ましくは配列番号34の配列、又はそれと少なくとも95%の配列同一性を有し、タウタンパク質3Rアイソフォームに特異的に結合することができる配列を含む、イントラボディ(intrabody)である;又は
    (d)(a)~(c)の抗体又はフラグメントのいずれかをクロスブロックするか、又はそれらによってクロスブロックされる、
    請求項8~10のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
  12. 4Rタウタンパク質を特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントであって、抗体又はその抗原結合フラグメントが、アミノ酸K294、D295、N296、及びI297を含む4Rタウタンパク質のエピトープに結合し、場合によりエピトープが4Rタウタンパク質のK298及びV300をさらに含む、抗体又はその抗原結合フラグメント。
  13. 抗体が、イントラボディ(intrabody)又はデグラボディ(degrabody)である、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合フラグメントをコードする、1つ又は複数の核酸。
  15. 請求項14に記載の1つ又は複数の核酸を含む、1つ又は複数のベクター。
  16. 請求項14に記載の1つもしくは複数の核酸、又は請求項15に記載の1つもしくは複数のベクターを含む、宿主細胞。
  17. (a)請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、請求項14に記載の1つもしくは複数の核酸、又は請求項15に記載の1つもしくは複数のベクター;及び
    (b)医薬担体又は賦形剤
    を含む、医薬組成物。
  18. (a)試験試料を請求項2~7又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントと接触させること;及び
    (b)抗体又はその抗原結合フラグメントの結合を検出すること
    を含む、4Rタウタンパク質アイソフォームを検出する方法。
  19. (a)試験試料を請求項8~11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントと接触させること;及び
    (b)抗体又はその抗原結合フラグメントの結合を検出すること
    を含む、3Rタウタンパク質アイソフォームを検出する方法。
  20. 請求項17及び18の両方に記載の方法を実施することを含む、4Rタウタンパク質アイソフォーム及び3Rタウタンパク質アイソフォームのレベルを測定する方法。
  21. 4Rタウタンパク質アイソフォーム及び3Rタウタンパク質アイソフォームの相対量が被験者について予想されるものと異なるかどうかを、場合により健康な被験者からの試料中の4R及び3Rの相対量と比較することによって、判定することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
  22. タウオパチー、好ましくはPSP、CBD、又はピック病を診断するために使用される、請求項19又は20に記載の方法。
  23. (a)検出が免疫蛍光を介する;
    (b)検出がPeggy Sueのシンプルウェスタンブロットを介する;
    (c)検出がELISAを介する;又は
    (c)試験試料が、細胞溶解物、細胞又は組織を含む、
    請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. タウオパチーを治療する方法に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、請求項14に記載の1つもしくは複数の核酸、請求項15に記載の1つもしくは複数のベクター、又は請求項16に記載の医薬組成物。
  25. タウオパチーが4Rタウタンパク質アイソフォームと3Rタウタンパク質アイソフォームとの間の不均衡を含む、請求項24に記載の方法で使用するための抗体、その抗原結合フラグメント、1つもしくは複数の核酸、1つもしくは複数のベクター、又は医薬組成物。
  26. 請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、請求項14に記載の1つもしくは複数の核酸、請求項15に記載の1つもしくは複数のベクター、又は請求項15に記載の医薬組成物をタウオパチーを有する被験者に投与することを含む、タウオパチーを治療する方法。
  27. タウオパチーが、4Rタウタンパク質アイソフォームと3Rタウタンパク質アイソフォームとの間の不均衡を含む、請求項26に記載の方法。
  28. タウオパチーの治療に使用するための医薬品の製造における、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、請求項14に記載の1つもしくは複数の核酸、請求項15に記載の1つもしくは複数のベクター、又は請求項16に記載の医薬組成物の使用。
  29. タウオパチーが、4Rタウタンパク質アイソフォームと3Rタウタンパク質アイソフォームとの間の不均衡を含む、請求項28に記載の使用。
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