JP2024505695A - ヒアルロン酸cbdコンジュゲートの調製 - Google Patents

ヒアルロン酸cbdコンジュゲートの調製 Download PDF

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Abstract

本明細書では、単鎖ヒアルロン酸部分と、それに結合された放出可能な複数のカンナビジオール部分とを含む分子構造体、並びに当該分子構造体を使用して皮膚状態を処置するための使用及び方法が提供される。【選択図】 なし

Description

関連出願
本出願は、米国特許法第119条第(e)項に基づき、2021年2月4日に出願された米国仮特許出願第63/145,598号の優先権を主張し、その内容の全体が本参照により本明細書に援用される。
本発明は、そのいくつかの実施形態において化粧品に関し、より具体的には、ただし排他的ではなく、薬物送達ビヒクルとしたヒアルロン酸(HA)によって薬物送達運搬される、放出可能な複数のカンナビジオール(CBD)部分をベースとする分子構造体、及びその使用に関する。
天然に存在するグリコサミノグリカン(GAG)であるヒアルロン酸(HA)は、様々な皮膚状態の治癒において重要な役割を果たす。HAは、天然では100~10,000,000Daの範囲の分子サイズを有する。HAは、身体組織における水のホメオスタシス、立体的な排除現象による他の物質の透過性の調節、及び関節の潤滑に関与する。HAはまた、細胞外基質内、細胞表面上、及び細胞サイトゾル中のタンパク質に特異的に結合して、軟骨基質の安定化、細胞運動、成長因子の作用、形態発生及び胚発生、並びに炎症に関与する。無修飾のHAは、薬物送達及び手術において多くの重要な用途を有する。例えば、無修飾のHAは、眼科用の薬物送達補助剤として使用される。加えて、HAは、粘弾性物質を使用した外科術(visco-surgery)、粘弾性物質の補充(visco-supplementation)及び創傷治癒の分野において重要な用途を有する。HAはまた、薬物送達、組織工学及び粘弾性物質の補充に用途を有する生体適合性及び生分解性ポリマーのための基礎成分(building-block)でもある。
カンナビジオール(CBD)は、1940年に発見された植物性カンナビノイドであり、大麻植物において同定された100を超えるカンナビノイドの1つであり、当該植物の抽出物の最大で40%を占める。2019年の時点で、CBDに関する臨床研究には、不安、認知、運動障害、疼痛、抗菌及び抗真菌活性、並びに他の医学的状態及び美容上の状態に関する研究が含まれていた。
カンナビジオールは複数の方法で摂取でき、摂取方法としては、大麻の煙又は蒸気の吸入、頬内へのエアロゾルスプレー、経口投与並びに経皮及び皮下投与が挙げられる。カンナビジオールは、有効成分としてCBDのみを含有する(テトラヒドロカンナビノール[THC]又はテルペンを除く)CBD油、CBDを主成分とするヘンプ抽出油、カプセル、乾燥大麻、又は処方箋調剤溶液(prescription liquid solution)として供給することができる。CBDは、THCと同じ精神作用活性(psychoactivity)を有さず、これらの両方が存在する場合、身体に対するTHCの効果に変化が生じ得る。
米国では、2018年に、2種類のてんかん障害の治療に関し、食品医薬品局によりカンナビジオール薬であるエピディオレックスが承認されている。大麻は米国においてSchedule Iの規制物質であるため、連邦法下では、その他のCBD製剤を医療目的で処方すること、又は栄養補助食品若しくは他の食品における原材料として使用することは現在でも違法である。
米国特許第8,293,786号明細書には、カンナビジオールプロドラッグ、カンナビジオールプロドラッグの製造方法、カンナビジオールプロドラッグを含む製剤、並びに疾患及び/又は障害を治療及び予防するためのカンナビジオールプロドラッグの経皮投与又は局所投与を含むカンナビジオールの使用方法が記載されている。
米国特許出願公開第2015/024599号明細書は、カンナビジオールヘンプ油、センキュウ抽出物、ジャノヒゲ抽出物、ジオウ抽出物、カラトウキ及びオタネニンジン抽出物、竜血樹樹脂、ヤブランの根、及びホホバ油を含む皮膚適用のための老化防止組成物を開示している。この文献は更に、甘草の根、Astragalus membranceus、牡丹、ソウハクヒ抽出物、リュウガン果実、サンシキスミレ、イヌバラ種子粉末、及びツルドクダミを含み得る他の有効成分を開示しているが、すべての組成物は、洗浄剤、保湿剤、セラム、ゲルマスク、アイクリーム、トナー、又は剥離剤として機能する他の成分と共に製剤化される。
国際公開第2017203529号は、カンナビジオール(CBD)又はその誘導体と、ヒアルロン酸又はその塩と、リン脂質と、任意選択で担体との組合せを含む組成物、当該組成物の炎症性関節疾患又はそのような疾患に関連する疼痛若しくは炎症を処置するための使用方法、並びに当該組成物の調製方法を提供している。
国際公開第2018011808号は、カンナビノイド及び標準化されたマリファナ抽出物の患者への投与を改善するための、自己乳化性の高濃度高用量カンナビノイド組成物及び製剤を提供している。
さらなる先行技術文献としては、米国特許出願公開第2014/0302148号明細書、同第2016/0374958号明細書、同第2017/0044092号明細書、同第2019/0111093号明細書、及び同第2019/0166903号明細書が挙げられる。
本開示は、放出可能なカンナビジオール(CBD)部分の複数のコピーを担持する単鎖ヒアルロン酸(HA)をベースとする薬物送達分子構造体の一系統(a genus)を提供する。
したがって、本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、ヒアルロン酸(HA)部分と、生物切断性(biocleavable)の連結部分を介して上記HA部分に結合された複数のカンナビジオール(CBD)部分と、を含む分子構造体が提供される。
いくつかの実施形態において、上記構造体は、少なくとも2つの異なる種類の生物切断性の連結部分を含む。
いくつかの実施形態において、生物切断性の連結部分は、アミド、エステル、カーボネート、カルバメート、チオカルバメート、スルホンアミド、及びホスフェートからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、HA部分は、単鎖HA部分である。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される構造体は、少なくとも5重量%の平均CBD担持量を特徴とする。
本発明のいくつかの実施形態の別の態様によれば、有効成分としての本明細書で提供される分子構造体と、化粧料として許容される担体と、を含む化粧品組成物が提供される。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される化粧品組成物は、包装材料によって梱包され、包装材料の内側又は表面に印刷で皮膚状態の処置用であると明記されている。
本発明のいくつかの実施形態の別の態様によれば、化粧品組成物の調製における、本明細書で提供される分子構造体の使用が提供される。
いくつかの実施形態において、化粧品組成物は、皮膚状態の処置用であると明記されている。
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、皮膚状態を治療する必要がある対象において皮膚状態を治療する方法が提供され、当該方法は、本明細書で提供される分子構造体又は本明細書で提供される化粧品組成物の治療有効量を対象に投与することで実施される。
いくつかの実施形態において、皮膚状態は、黒皮症、皮膚の白化、色素沈着過剰、チャドウィック徴候、白線(Linea alba)、会陰縫線、ざ瘡瘢痕化、ざ瘡、肝斑、手術瘢痕、ストレッチマーク及び脱毛からなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態の別の態様によれば、本明細書で提供される分子構造体を調製する方法が提供され、当該方法は、CBDを単鎖HAと反応させて分子構造体を得る反応工程を含む。
いくつかの実施形態において、本方法は、反応工程の前に、CBD中の少なくとも1つの官能基を修飾して反応性CBDを得る工程を更に含み、続いて反応性CBDを単鎖HAと反応させて分子構造体を得る。
いくつかの実施形態において、本方法は、反応工程の前に、HA中の少なくとも1つの官能基を修飾して反応性HAを得る工程を更に含み、続いて反応性HAをCBDと反応させて分子構造体を得る。
いくつかの実施形態において、本方法は、反応工程の前に、CBD中の少なくとも1つの官能基を修飾して反応性CBDを得る工程と、HA中の少なくとも1つの官能基を修飾して反応性HAを得る工程とを更に含み、続いて、反応性HAを反応性CBDと反応させて分子構造体を得る。
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、±10%を指す。
「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びその活用形は、「限定されるものではないが、含む(including but not limited to)」ことを意味する。
「からなる(consisting of)」という用語は、「含み、限定される」ことを意味する。
「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、組成物、方法又は構造が、追加の成分、工程、及び/又は部分を含み得るが、当該追加の成分、工程、及び/又は部分が、特許請求の範囲に記載された組成物、方法、又は構造の基本的及び新規な特徴を大きく変化させない場合に限られることを意味する。
本明細書で使用される場合、特定の物質に関連する「実質的に含有しない(substantially devoid of)」及び/又は「本質的に含有しない(essentially devoid of)」という語句は、この物質を全く含有していないか、又は組成物の総重量若しくは体積に対して約5%、1%、0.5%、又は0.1%未満で含有する組成物を指す。あるいは、プロセス、方法、特性又は特徴に関連する「実質的に有しない」及び/又は「本質的に有しない」という語句は、特定のプロセス/方法工程、又は特定の特性若しくは特定の特徴を全く有しないプロセス、組成物、構造体又は物品を指すか、又は特定のプロセス/方法工程が、所与の標準プロセス/方法と比較して約5%、1%、0.5%又は0.1%未満で実施されるプロセス/方法を指すか、あるいは所与の標準と比較して特性若しくは特徴が約5%、1%、0.5%又は 0.1%未満であることを特徴とする特性若しくは特徴を指す。
物体又は組成物の元々の特性、又は所望の特性、又は与えられた特性に適用される場合、本明細書で使用される「実質的に維持する」という用語は、処理された物体又は組成物において、特性が20%、10%、又は5%を超えて変化しないことを意味する。
「例示的」という用語は、本明細書では、「例、事例、又は例示として機能すること」を意味するために使用される。「例示的」として説明される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい若しくは有利であると解釈されるべきではなく、かつ/又は他の実施形態から特徴を取り入れることを排除するものではない。
「任意選択で」又は「代替的に」という語は、本明細書において、「提供される実施形態もあれば、提供されない実施形態もある」ことを意味するために使用される。本発明の任意の特定の実施形態は、「任意選択の」複数の特徴を、かかる特徴が矛盾しない限り含むことができる。
本明細書で使用する場合、単数形を表す「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数も対象とする。例えば、「化合物(a compound)」又は「少なくとも1種の化合物」は、複数の化合物を含み、それらの混合物も含み得る。
本願全体を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲形式にて示され得る。範囲形式での記載は、単に利便性及び簡潔さのためであり、本発明の範囲の柔軟性を欠く制限をなすものと解釈するべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、可能な部分範囲の全部、及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲のみならず、その範囲内の個々の数値、例えば1、2、3、4、5及び6も具体的に開示するとみなされるべきである。これは、範囲の大きさに関わらず適用される。
本明細書において数値範囲を示す場合は常に、示された範囲内の任意の記載された数(分数又は整数)を含むことを意図する。第1の指示数と第2の指示数と「の間の範囲」という語句と、第1の指示数「から」第2の指示数「までの範囲」という語句とは、本明細書で互換的に使用され、第1の指示数及び第2の指示数と、第1の指示数と第2の指示数との間の分数及び整数の全部とを含むことを意図する。
本明細書で使用する場合、「プロセス」及び「方法」という用語は、所定の課題を達成するための様式、手段、技術及び手順を意味し、化学、材料、機械、コンピュータ、及びデジタルの分野の従事者に既知のもの、又は既知の様式、手段、技術及び手順から従事者が容易に開発できるものを含むが、これらに限定されない。
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術及び/又は科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様の又は均等な方法及び材料を、本発明の実施形態の実施又は試験に使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料を下記に記載する。矛盾する場合、定義を含め、本願特許明細書が優先する。更に、材料、方法、及び実施例は単なる例示であり、必ずしも限定を意図するものではない。
本発明は、そのいくつかの実施形態において化粧品に関し、より具体的には、ただし排他的ではく、薬物送達ビヒクルとしたヒアルロン酸(HA)によって運搬される、放出可能な複数のカンナビジオール(CBD)部分をベースとする分子構造体薬物送達、及びその使用に関する。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の用途は、以下の発明を実施するための形態に示される詳細又は実施例によって例示される詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態を包含すること、又は様々な方法で実施若しくは実現されることを意図する。
本発明を着想する間に、本発明者らは、単鎖HAをベースとする分子構造体を薬物送達プラットフォームとして想定した。当該構造体は、生物切断性の連結部分を介してHA鎖に連結された、複数のコピーの放出可能なCBD部分を担持するように化学的に修飾されている。HAは、その反応性官能基を介した多くの化学修飾に適しており、単鎖多糖として使用することができる。
本発明者らは、いくつかの実施形態に従って、生物切断性のリンカー(別名、生分解性部分)を介してHAに連結された少なくとも1つのCBD部分を有する単鎖HA部分を含むことで、HAを薬物送達ビヒクルとする、分子構造体を想定している。したがって、分子構造体の要旨は、HAの物理機械特性及び生化学特性を本質的に有する特異な巨大分子であって、生物切断性のリンカーによって連結された1つ以上のCBD部分を有し、皮膚などの身体部位を標的とするために使用でき、生分解すると所望の部位でCBDを放出するものである。
分子構造体:
したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書においてHA部分と呼ばれるヒアルロン酸鎖と、生物切断性の連結部分を介して単鎖HAに付加した複数のCBD部分とを含む分子構造体が提供される。いくつかの実施形態において、分子構造体は架橋HA鎖を有さず、実質的に単鎖HA部分からなる。
概して、本明細書で提供される分子構造体は、ヒアルロン酸鎖と、それに結合された複数のCBD部分と、及びこれらの2つの要素を連結する生物切断性の連結部分という、3つの構造要素を含む。本明細書で使用される場合、「部分」及び「残基」という用語は、互換可能に使用され、分子の一部、典型的にはその主要部分、又は特定の機能に関連する原子群を表す。「部分」及び「残基」という用語は、結合している状態の元素を指すために使用される。本発明に関連して、これらの用語は、例えば、分子構造体の一部を成す、共有結合した状態のCBD分子を指すために使用される。この例では、CBD部分を分子構造体に連結する生物切断性連結部分が切断されたときに、CBD分子又はその前駆体が分子構造体から放出されることはまれである。
ヒアルロン酸を下記のスキーム1に示し、CBDを下記のスキーム2に示す。いずれも生物切断性連結部分を形成するために使用できる有望な官能基を示している。
Figure 2024505695000001
スキーム1及びスキーム2は、それぞれ、HA及びCBDにおける、生物切断性部分の繋ぎ止め及び形成に利用可能な官能基を示す。例示的なコンジュゲーションの選択肢を以下に列挙する。
HA中のカルボキシル基はA基と表記されている。
HA中のN-アセトアミド基はB基と表記されている。
HA中のメタノリル基はC基と表記されている。
CBD中のヒドロキシル基のいずれか1つはE基と表記されている。
CBD中のプロピレン-2-イル基はF基と表記されている。
本明細書で提供される分子構造体において、HA中のA基~C基とCBD中のE基及びF基との任意の組合せが、生物切断性連結部分を形成する。
例示的な生物切断性部分としては、以下が挙げられるが、限定されるものではない。
E基(ヒドロキシル)及びA基(カルボキシル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のエステル部分、
E基(ヒドロキシル)及びC基(メタノリル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のエステル部分又はエーテル部分、
E基(ヒドロキシル)及びA基(カルボキシル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のカーボネート部分、
E基(ヒドロキシル)及びC基(メタノリル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のカーボネート部分、
E基(ヒドロキシル)及びA基(カルボキシル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のカルバメート部分、
E基(ヒドロキシル)及びC基(メタノリル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のカルバメート部分、
E基(ヒドロキシル)及びA基(カルボキシル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のチオカルバメート部分、
E基(ヒドロキシル)及びC基(メタノリル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のチオカルバメート部分、
E基(ヒドロキシル)及びA基(カルボキシル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のスルホンアミド部分、
E基(ヒドロキシル)及びC基(メタノリル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のスルホンアミド部分、
E基(ヒドロキシル)及びA基(カルボキシル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のホスフェート部分、
E基(ヒドロキシル)及びA基(カルボキシル)を介してCBDをHAに付加することによって形成される生物切断性のホスフェート部分。
いくつかの実施形態において、分子構造体は、CBDの前駆体を放出することもでき、当該前駆体はしばしばCBDのプロドラッグと呼ばれる。「プロドラッグ」という用語は、インビボで生物活性剤(活性体親薬物)へと変換される薬剤を指す。本質的に、本明細書に提示される分子構造全体は、制御可能な形で生物活性剤として放出されるように設計されたCBD部分が当該構造体に連結されていることから、プロドラッグの形態を構成する。プロドラッグは、典型的には、親薬物の投与を促進及び/又は標的化するのに有用である。プロドラッグは、例えば、経口投与によってバイオアベイラブルとなり得るが、親薬物はそうではない。プロドラッグはまた、医薬組成物における親薬物と比較して溶解度が改善されている場合がある。プロドラッグはまた、しばしば、インビボで生物活性剤の持続放出を達成するために使用される。限定されるものではないが、本発明のいくつかの実施形態によれば、プロドラッグの例は、1つ以上のカルボン酸部分を有し、エステルとして投与される、生物活性剤(「プロドラッグ」)である。このようなプロドラッグはインビボで加水分解されて遊離生物活性剤(CBD)を提供する。選択されたエステルは、プロドラッグの溶解特性と加水分解速度との両方に影響を及ぼし得る。プロドラッグは、典型的には、例えば吸収を増強することによって、投与を容易にするように設計される。プロドラッグは、例えば、エステル基で修飾された活性化合物を含んでもよく、例えば、その場合、化合物のヒドロキシル基のいずれか1つ以上が、アシル基(任意選択で(C1~4)アシル(例えば、アセチル)基)によって修飾されてエステル基を形成し、かつ/又は化合物のカルボン酸基のいずれか1つ以上が、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基(任意選択で(C1~4)アルコキシ(例えば、メチル、エチル)基)によって修飾されてエステル基を形成する。カンナビジオール(CBD)の例示的なプロドラッグは、限定されるものではないが、米国特許第8,293,786号明細書などの文献に見出すことができる。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される分子構造体のHA鎖及び/又はCBD分子は、付加効率を向上させるために、又はCBD中の適合性のある官能基と反応できる官能基をHA鎖に導入するために、1つ以上の未修飾(native)の官能基に修飾がなされる。これらの修飾は、分子構造体の一部を形成するとき、CBDの担持反応中に提供される連結部分の一部を形成する。HA部分へのアミド官能基の導入をもたらす官能基修飾の例としては、限定されるものではないが、Gly、β-Ala、GABA、3-アミノ-2,2-ジメチル-プロピオン酸、サルコシン、及びNH-PEG4-プロピオン酸が挙げられる。HA部分中のカルボキシルをエステル官能基へと修飾する官能基修飾の例としては、限定されるものではないが、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシプロパン酸、及びヒドロキシ安息香酸が挙げられる。HA部分中のヒドロキシルをエステル官能基へと修飾する官能基修飾の例としては、限定されるものではないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びフタル酸が挙げられるが。HA部分中のカルボキシルをヒドラジド官能基へと修飾する官能基修飾の例としては、限定されるものではないが、グリシンヒドラジド、アラニンヒドラジド、及びβ-アラニンヒドラジドが挙げられる。
HAのような大きなポリマー物質上での複数のCBD部分の形成は、決定論的プロセスではなく、統計的プロセスであるため、分子構造体は、HA鎖上に担持されたCBD部分のパーセンテージによっても特徴付けることができる。構造体中に存在する元素のパーセンテージの評価は、例えば、本発明のいくつかの実施形態に従う分子構造体の1つのバッチを、DO中でのヒアルロニダーゼによる全分解に供し、プロトンNMRによって関連するピーク下面積を比較して、CBD担持のパーセンテージを決定することで実施できる。同様のアプローチは、分子構造体の全ての連結部分を完全に切断させて、分子構造体から放出されたCBDを検出可能なマーカーを追跡することによって、分子構造体上のCBD担持のパーセンテージを決定する際にも有効であり得る。例えば、CBDの10%担持とは、HAに関連するピーク面積が、CBDに関連するピーク面積よりも10倍大きいことを意味する。
いくつかの実施形態において、分子構造体における平均CBD担持量は、5重量%超、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、又は60重量%超である。いくつかの実施形態において、平均CBD担持量は、5~60重量%、10~40重量%、20~50重量%、又は30~60重量%の範囲である。
本明細書に記載される実施形態のいずれかについて、本明細書に記載される分子構造体は、塩の形態、例えば、化粧料として及び/又は薬学的に許容される塩であってもよい。本明細書中で使用される場合、「化粧料として及び/又は薬学的に許容される塩」という語句は、親化合物とその対イオンとによる荷電分子種を指し、対イオンは、典型的には、親化合物の溶解特性を改変するため、及び/又は親化合物による生物に対する何らかの有意な刺激を減少させるために使用されるが、投与される化合物の生物活性及び特性を無効にしない。
本実施形態のいくつかに関連して、本明細書に記載の化合物の化粧料として及び/又は薬学的に許容される塩は、任意選択で、負に荷電した形態の化合物の少なくとも1つの酸性(例えば、カルボン酸)基を含む塩基付加塩であってもよく、例えば、酸性基は、薬学的に許容される塩を形成する、選択された塩基から誘導された少なくとも1つの対イオンと組み合わせて脱プロトン化される。
したがって、本明細書に記載される化合物の塩基付加塩は、薬物の1つ以上の酸性基と1当量以上の塩基との間で形成される複合体であってもよい。
塩基付加塩は、様々な有機及び無機対イオンと、塩基、例えば、限定されるものではないが、ナトリウム(例えば、NaOHの付加による)、カリウム(例えば、KOHの付加による)、カルシウム例えば、Ca(OH)の付加による、マグネシウム(例えば、Mg(OH)の付加による)、アルミニウム(例えば、Al(OH)の付加による)及びアンモニウム(例えば、アンモニアの付加による)とを含み得る。これらの酸付加塩のそれぞれは、これらの用語が本明細書で定義されるように、モノ付加塩又はポリ付加塩のいずれかであり得る。
化合物中の荷電基(複数可)と塩中の対イオンとの間の化学量論比に応じて、酸付加塩又は塩基付加塩は、モノ付加塩又はポリ付加塩のいずれかであり得る。
本明細書で使用される場合、「モノ付加塩」という語句は、対イオンと荷電形態の化合物との間の化学量論比が1:1であり、付加塩が、1モル当量の化合物につき1モル当量の対イオンを含むような塩を指す。
本明細書で使用される場合、「ポリ付加塩」という語句は、対イオンと荷電形態の化合物との間の化学量論比が1:1より大きく、例えば、2:1、3:1、4:1などであり、付加塩が、1モル当量の化合物につき2モル当量以上の対イオンを含むような塩を指す。
更に、本明細書に記載の化合物のそれぞれは、その塩を含めて、その溶媒和物又は水和物の形態であり得る。
本明細書に記載の化合物は多形化合物(polymorphs)として使用することができ、本実施形態は更に、該化合物の任意の同形化合物(isomorph)及びこれらの任意の組合せを包含する。
本実施形態は更に、本明細書に記載の分子構造体の任意の鏡像異性体、プロドラッグ、溶媒和物、水和物及び/又は薬学的に許容される塩、並びに本明細書に記載の分子構造体の鏡像異性体、ジアステレオマー、プロドラッグ、溶媒和物、水和物及び/又は薬学的に許容される塩を利用する方法、組成物及び使用を包含する。
「溶媒和物」という用語は、溶質(本明細書に記載の分子構造体)と、溶質の生物活性に干渉しない溶媒とによって形成され、化学量論が変動する(例えば、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-など)複合体を指す。適切な溶媒としては、例えば、エタノール、酢酸などが挙げられる。
「水和物」という用語は、上記定義のとおり、溶媒が水である溶媒和物を指す。
本明細書で使用される場合、「鏡像異性体」という用語は、互いの完全な反転/反射(鏡像)によってのみ、その対応物に対して重なり合う化合物の立体異性体を指す。鏡像異性体は、互いを右手と左手のように称することから、「掌性」を有すると言われる。鏡像異性体は、それ自体が掌性を有する環境、例えば、全ての生物系などに存在する場合を除いて、同一の化学的特性及び物理的特性を有する。本実施形態に関連して、化合物は、1つ以上のキラル中心を示してよく、その各々は、R体又はS体及び任意の組み合わせを示し、本発明のいくつかの実施形態による化合物は、R体又はS体を示す当該化合物のキラル中心を有し得る。
本明細書で使用される「ジアステレオマー」という用語は、互いに鏡像異性体ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、化合物の2つ以上の立体異性体が、等価な(関連する)立体中心の全てではないが1つ以上で異なる立体配置を有し、互いの鏡像ではない場合に生じる。2つのジアステレオ異性体が1つの立体中心のみで異なる場合、それらはエピマーである。各立体中心(キラル中心)は、異なる2通りの立体配置を生じ、したがって、2種類の異なる立体異性体を生じる。本発明に関連して、本発明の実施形態は、立体配置の任意の組合せ、すなわち任意のジアステレオマーで生じる、複数のキラル中心を有する化合物を包含する。
生物切断性の連結部分:
本明細書で使用される場合、「連結部分」という用語は、1つ以上の共有結合を介してCBD部分をHAに連結する化学部分(共有結合した原子の群、又は一重、若しくは二重、若しくは三重の共有結合)を表す。連結部分は、それが連結する化学部分の一方若しくは両方の一部を形成する原子を含んでもよく、かつ/又はそれが連結する化合物部分の一方若しくは両方の一部を形成しない原子を含んでもよい。例えば、2つの化学部分を連結するペプチド結合(アミド)連結部分は、少なくとも、一方の生物活性剤部分の1個の窒素原子及び1個の水素原子と、少なくとも、他方の生物活性剤部分の1個のカルボキシルとを含む。概して、連結部分は、2つ以上の反応基を反応させることによって、連結部分が結合(2つの原子間)又は1つ以上の結合原子を含み得る、新しい化学物質として形成されるように、化学反応中に形成され得る。あるいは、連結部分は、以下に詳述するように、他の化合物の反応基に直接的又は間接的のいずれかで付加させることのできる2つ以上の反応基を有する、独立した化合物部分であり得る。
生物活性剤が本明細書に提示される分子構造体に連結される位置は、概して、分子構造体から切断された後にHA及び/又はCBD上にある、連結部分由来の残部が、たとえあったとしても、その生物活性(生物活性の機序)を実質的に妨げないように選択される。本発明のいくつかの実施形態によれば、連結部分は、分子構造体から放出された後にCBDの生物活性が消滅せず、元のCBDの生物活性と実質的に同じままであるような形態である。本発明のいくつかの実施形態によれば、連結部分は、分子構造体から放出された後のCBDが、元のCBD分子又はそのプロドラッグ(前駆体)であるようなものである。
いくつかの実施形態において、「連結部分」という用語は、連結部分の切断後に単独分子を放出する部分を包含しないように定義される。この限定は、切断時に、単独分子、例えば水分子、ガス分子、アセテートなどの小さい有機イオン、ヒドロキシドなどの小さい無機イオンなどを放出する、連結部分を除外する。このような実施形態において、分子構造体は、非生物活性剤を放出しないものとみなされ得る。
本明細書中で使用される場合、「連結する」、「連結された」、「連結」、「リンカー」、「結合された」又は「結合された(attached)」という語は、本明細書中で交換可能に使用され、特に明示しない限り、分子種間の少なくとも1つの共有結合の存在を指す。
上述したように、連結部分は、2つ以上の反応基を反応させることによるものなどの化学反応中に形成され得る。本明細書で使用される場合、「反応基」という語句は、典型的には共有結合の形成をもたらす化学反応を起こすことができる化学基を指す。反応基としては、上記で提示したA基~F基が挙げられる。結合の形成をもたらす化学反応としては、例えば、環化付加反応(例えば、ディールス-アルダー反応、1,3-双極子環化付加ヒュスゲン反応、及び類似の「クリック反応」)、縮合、求核及び求電子付加反応、求核及び求電子置換、付加及び脱離反応、アルキル化反応、転位反応、並びに反応基が関与する任意の他の公知の有機反応が挙げられる。
反応基の代表的な例としては、限定されるものではないが、アシルハライド、アルデヒド、アルコキシ、アルキン、アミド、アミン、アリールオキシ、アジド、アジリジン、アゾ、カルバメート、カルボニル、カルボキシル、カルボキシレート、シアノ、ジエン、ジエノフィル、エポキシ、グアニジン、グアニル、ハライド、ヒドラジド、ヒドラジン、ヒドロキシ、ヒドロキシルアミン、イミノ、イソシアネート、ニトロ、ホスフェート、ホスホネート、スルフィニル、スルホンアミド、スルホネート、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオカルバメート、チオカルボニル、チオヒドロキシ、チオ尿素及び尿素が挙げられ、これらの用語は以下に定義されるとおりである。
本発明のいくつかの実施形態によれば、生物切断性の連結部分としては、限定されるものではないが、アミド、エステル、エーテル、カーボネート、カルバメート、チオカルバメート、スルホンアミド、及びホスフェートが挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態によれば、連結部分のさらなる非限定的な例としては、アミド、カルバメート、カーボネート、ラクトン、ラクタム、カルボキシレート、エステル、シクロアルケン、シクロヘキセン、ヘテロ脂環式、ヘテロアリール、トリアジン、トリアゾール、ジスルフィド、イミン、イミド、オキシム、アルジミン、ケチミン、ヒドラゾン、セミカルバゾン、アセタール、ケタール、アミナール、アミノアセタール、チオアセタール、チオケタール、リン酸エステルなどが挙げられる。他の連結部分は以下に定義され、更なる他の連結部分は、本明細書で使用される用語の範囲内であると想到される。
いくつかの実施形態によれば、連結部分は、以下からなる群から選択される。
Figure 2024505695000002
本明細書を通して使用される特定の官能基、化学用語、及び一般用語の定義は、以下により詳細に記載される。本発明の目的のために、化学元素は、Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.の表紙裏の記載に従って同定され、特定の官能基は、一般に、該刊行物中に記載のように定義される。更に、有機化学の一般原理、並びに特定の官能部分及び反応性は、Organic Chemistry, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito, 1999、Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001、Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989、Carruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
本明細書中で使用される場合、用語「アミン」又は「アミノ」は、-NR’R”末端基及び-NR’-連結部分の両方を表し、ここで、R’及びR”は、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリールであり、これらの用語は以下に定義されるとおりである。
したがって、アミン基は、R’及びR”の両方が水素である第一級アミン、R’が水素、R”がアルキル、シクロアルキル若しくはアリールである第二級アミン、又はR’及びR”の各々が独立してアルキル、シクロアルキル若しくはアリールである第三級アミンであり得る。
あるいは、R’及びR’’は、各々独立して、水素、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、アミン、ハロ、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、アジド、スルホンアミド、カルボニル、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカルバメート、O-チオカルバメート、尿素、チオ尿素、N-カルバメート、O-カルバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン及びヒドラジンであり得、これらの用語は、本明細書中で定義されるとおりである。
「アルキル」という用語は、直鎖(非分枝状)及び分枝鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素を表す。好ましくは、アルキル基は1~20個の炭素原子を有する。本明細書において、数値範囲、例えば、「1~20」が記載されている場合、この基(この場合はアルキル基)が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、20個以下の炭素原子を含み得ることを意味する。より好ましくは、アルキルは1~10個の炭素原子を有する中程度の大きさのアルキルである。最も好ましくは、他に示さない限り、アルキルは、1~4個の炭素原子を有する低級アルキルである。アルキル基は、置換されていてもよく、又は非置換でもよい。置換アルキルは、1つ以上の置換基を有してもよく、各置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、アミン、ハロ、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、アジド、スルホンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカルバメート、O-チオカルバメート、尿素、チオ尿素、N-カルバメート、O-カルバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン及びヒドラジンであり得る。
アルキル基は、末端基(この語句は上記で定義されるとおりであり、この基は単一の隣接原子に付加されている)、又は連結部分(この語句は上記で定義されるとおりであり、鎖内の少なくとも2個の炭素を介して2つ以上の部分を接続する)であり得る。アルキルが連結部分である場合、それは本明細書において「アルキレン」とも呼ばれ、例えばメチレン、エチレン、プロピレンなどである。
「アルケニル」という用語は、本明細書で定義されるように、少なくとも2個の炭素原子と、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合とを有する不飽和アルキルを指す。アルケニルは、上記でアルキルについて記載したように、1つ以上の置換基によって置換されていても非置換であってもよい。
「アルキニル」又は「アルキン」という用語は、本明細書で定義されるように、少なくとも2個の炭素原子と、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合とを有する不飽和アルキルである。アルキニルは、上記載したように、1つ以上の置換基によって置換されていてもよいし、非置換であってもよい。
「シクロアルキル」という用語は、環の1つ以上が完全に共役したπ電子系を有していない、全炭素単環式又は縮合環(すなわち、隣接する炭素原子対を共有する環)を表す。シクロアルキル基は、置換されていてもよく、又は非置換でもよい。置換シクロアルキルは、1つ以上の置換基を有してもよく、各置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、アミン、ハロ、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、アジド、スルホンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカルバメート、O-チオカルバメート、尿素、チオ尿素、N-カルバメート、O-カルバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン及びヒドラジンであり得る。シクロアルキル基は、末端基(この語句は上記で定義されるとおりであり、この基は単一の隣接原子に付加されている)、又は連結部分(この語句は上記で定義されるとおりであり、その2つ以上の位置で2つ以上の部分を接続している)であり得る。
「ヘテロ脂環式」という用語は、環内に窒素、酸素及び硫黄などの1つ以上の原子を有する単環式又は縮合環式基を表す。環はまた、1つ以上の二重結合を有してもよい。しかしながら、環は完全に共役したπ電子系を有していない。ヘテロ脂環式基は、置換されていてもよく、又は非置換でもよい。置換ヘテロ脂環式基は、1つ以上の置換基を有してもよく、各置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、アミン、ハロ、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、アジド、スルホンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカルバメート、O-チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O-カルバメート、N-カルバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン及びヒドラジンであり得る。ヘテロ脂環式基は、末端基(この語句は上記で定義されるとおりであり、この基は単一の隣接原子に付加されている)、又は連結部分(この語句は上記で定義されるとおりであり、その2つ以上の位置で2つ以上の部分を接続している)であり得る。代表的な例は、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリンなどである。
「アリール」という用語は、完全に共役したπ電子系を有する全炭素単環式又は縮合環多環式(すなわち、隣接する炭素原子対を共有する環)末端基を指す。アリール基は、置換されていてもよく、又は非置換でもよい。置換アリールは、1つ以上の置換基を有してもよく、各置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、アミン、ハロ、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、アジド、スルホンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカルバメート、O-チオカルバメート、尿素、チオ尿素、N-カルバメート、O-カルバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン及びヒドラジンであり得る。アリール基は、末端基(この語句は上記で定義されるとおりであり、この基は単一の隣接原子に付加されている)、又は連結部分(この語句は上記で定義されるとおりであり、その2つ以上の位置で2つ以上の部分を接続している)であり得る。好ましくは、アリールはフェニルである。
「ヘテロアリール」という用語は、環内に例えば窒素、酸素及び硫黄などの1つ以上の原子を有し、更に完全に共役したπ電子系を有する、単環式又は縮合環(すなわち、隣接する原子対を共有する環)末端基を表す。ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン及びプリンが挙げられる。ヘテロアリール基は、置換されていてもよく、又は非置換でもよい。置換ヘテロアリールは、1つ以上の置換基を有してもよく、各置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、アミン、ハロ、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、アジド、スルホンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカルバメート、O-チオカルバメート、尿素、チオ尿素、O-カルバメート、N-カルバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン及びヒドラジンであり得る。ヘテロアリール基は、末端基(この語句は上記で定義されるとおりであり、この基は単一の隣接原子に付加されている)、又は連結部分(この語句は上記で定義されるとおりであり、その2つ以上の位置で2つ以上の部分を接続している)であり得る。代表的な例は、ピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンなどである。
「アルカリール」という用語は、1つ以上のアリール又はヘテロアリール基によって置換されている、本明細書で定義されるアルキルを表す。アルカリールの例はベンジルである。
「アミン-オキシド」という用語は、-N(OR’)(R”)又は-N(OR’)-基を表し、式中、R’及びR”は、本明細書で定義されるとおりである。この用語は、アミン-オキシドが末端基(この語句は上記で定義されるとおりである)である場合には-N(OR’)(R”)基を指し、アミン-オキシムが末端基(この語句は上記で定義されるとおりである)である場合には-N(OR’)-基を指す。
本明細書で使用される場合、「アシル」という用語は、一般式-C(=O)R’、-C(=O)OR’、-C(=O)-O-C(=O)R’、-C(=O)SR’、-C(=O)N(R’)、-C(=S)R’、-C(=S)N(R’)、及び-C(=S)S(R’)、-C(=NR’)R”、-C(=NR’)OR”、-C(=NR’)SR”、及び-C(=NR’)N(R”)を有する基を指し、式中、R’及びR”は、それぞれ独立して、ハロ、置換若しくは非置換ヒドロキシル、置換若しくは非置換チオール、置換若しくは非置換アミン、置換若しくは非置換アシル、環式若しくは非環式で置換若しくは非置換の分枝状若しくは非分枝状脂肪族、環式若しくは非環式で置換若しくは非置換の分枝状若しくは非分枝状ヘテロ脂肪族、環式若しくは非環式で置換若しくは非置換の分枝状若しくは非分枝状アルキル、環式若しくは非環式で置換若しくは非置換の分枝状若しくは非分枝状アルケニル、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、アルキルオキシ、ヘテロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、脂肪族チオキシ、ヘテロ脂肪族チオキシ、アルキルチオキシ、ヘテロアルキルチオキシ、アリールチオキシ、ヘテロアリールチオキシ、モノ脂肪族アミノ若しくはジ脂肪族アミノ、モノヘテロ脂肪族アミノ若しくはジヘテロ脂肪族アミノ、モノアルキルアミノ若しくはジアルキルアミノ、モノヘテロアルキルアミノ若しくはジヘテロアルキルアミノ、モノアリールアミノ若しくはジアリールアミノ、又はモノヘテロアリールアミノ若しくはジヘテロアリールアミノである、又は2つのRX1 基は一緒になって、5員~6員複素環を形成する。例示的なアシル基としては、アルデヒド(-CHO)、カルボン酸(-COH)、ケトン、ハロゲン化アシル、エステル、アミド、イミン、カーボネート、カルバメート、及び尿素が挙げられる。アシル置換基としては、限定されるものではないが、安定な部分(例えば、脂肪族、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロ脂肪族、複素環、アリール、ヘテロアリール、アシル、オキソ、イミノ、チオキソ、シアノ、イソシアノ、アミノ、アジド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、ハロ、脂肪族アミノ、ヘテロ脂肪族アミノ、アルキルアミノ、ヘテロアルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、アルキルアリール、アリールアルキル、脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、アルキルオキシ、ヘテロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、脂肪族チオキシ、ヘテロ脂肪族チオキシ、アルキルチオキシ、ヘテロアルキルチオキシ、アリールチオキシ、ヘテロアリールチオキシ、及びアシルオキシなどで、これらはそれぞれ更に置換されていても置換されていなくてもよい)の形成をもたらす、本明細書に記載の置換基のいずれかが挙げられる。
本明細書で使用される場合、用語「脂肪族」又は「脂肪族基」は、直鎖(すなわち、非分枝状)、分枝状又は環状(「炭素環式」)であってもよく、かつ完全飽和であってもよく、又は1つ以上の不飽和単位を含んでもよいが、芳香族ではない、任意選択で置換された炭化水素部分を示す。別段の指定がない限り、脂肪族基は、1個~12個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1個~6個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1個~4個の炭素原子を含有し、更に他の実施形態において、脂肪族基は、1個~3個の炭素原子を含有する。適切な脂肪族基としては、限定されるものではないが、線状又は分枝状のアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基、並びにこれらのハイブリッド、例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル又は(シクロアルキル)アルケニルが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ヘテロ脂肪族」又は「ヘテロ脂肪族基」という用語は、炭素原子に加えて、1個~5個のヘテロ原子を有する任意選択で置換された炭化水素部分を示し、直鎖(すなわち、非分枝状)、分枝状、又は環状(「複素環式」)であってもよく、かつ完全飽和であってもよく、又は1つ以上の不飽和単位を含んでもよいが、芳香族ではない。別段の指定がない限り、ヘテロ脂肪族基は、1個~6個の炭素原子を含有し、ここで、1個~3個の炭素原子は、任意選択で、かつ独立して、酸素、窒素及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されている。いくつかの実施形態において、ヘテロ脂肪族基は、1個~4個の炭素原子を含有し、ここで、1個~2個の炭素原子は、任意選択で、かつ独立して、酸素、窒素及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されている。更に他の実施形態において、ヘテロ脂肪族基は、1個~3個の炭素原子を含有し、ここで、1個の炭素原子は、任意選択で、かつ独立して、酸素、窒素及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されている。適切なヘテロ脂肪族基としては、限定されるものではないが、線状又は分枝状のヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアルキニル基が挙げられる。
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素置換基を表す。
「ハライド」という用語は、ハロゲン原子のアニオン、すなわちF、Cl、Br及びIを表す。
「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲン化物によって更に置換された、上で定義したアルキル基を表す。
「スルフェート」という用語は、-O-S(=O)-OR’末端基(この用語は上記で定義されるとおりである)、又は-O-S(=O)-O-連結部分(この用語は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’は上記定義のとおりである。
「チオスルフェート」という用語は、-O-S(=S)(=O)-OR’末端基、又は-O-S(=S)(=O)-O-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’は上記定義のとおりである。
「サルファイト」という用語は、-O-S(=O)-O-R’末端基又は-O-S(=O)-O-基連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’は上記定義のとおりである。
「チオサルファイト」という用語は、-O-S(=S)-O-R’末端基又は-O-S(=S)-O-基連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’は上記定義のとおりである。
「スルフィネート」又は「スルフィニル」という用語は、-S(=O)-OR’末端基又は-S(=O)-O-基連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’は上記定義のとおりである。
「スルホキシド」又は「スルフィニル」という用語は、-S(=O)R’末端基又は-S(=O)-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’は上記定義のとおりである。
「スルホネート」又は「スルフォニル」という用語は、-S(=O)-R’末端基又は-S(=O)-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’は本明細書で定義されるとおりである。
「S-スルホンアミド」という用語は、-S(=O)-NR’R”末端基又は-S(=O)-NR’-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
「N-スルホンアミド」という用語は、R’S(=O)-NR”-末端基又は-S(=O)-NR’-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
「ジスルフィド」という用語は、-S-SR’末端基又は-S-S連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を指し、式中、R’は本明細書で定義されるとおりである。
「ホスフェート」という用語は、-O-P(=O)(OR’)末端基若しくは反応基又は-O-P(=O)(O)-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’は本明細書で定義されるとおりである。
「ホスホネート」という用語は、-P(=O)(OR’)(OR”)末端基若しくは反応基又は-P(=O)(OR’)(O)-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
「チオホスホネート」という用語は、-P(=S)(OR’)(OR”)末端基又は-P(=S)(OR’)(O)-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
本明細書で使用される「カルボニル」又は「カーボネート」という用語は、-C(=O)-R’末端基又は-C(=O)-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’は本明細書で定義されるとおりである。
本明細書で使用される「チオカルボニル」という用語は、-C(=S)-R’末端基又は-C(=S)-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’は本明細書で定義されるとおりである。
本明細書で使用される「オキソ」という用語は、=O末端基を表す。
本明細書で使用される「チオキソ」という用語は、=S末端基を表す。
用語「オキシム」は、=N-OH末端基又は=N-O連結部分を表し、これらの語句は上記で定義されるとおりである。
「ヒドロキシル」という用語は、-OH基を表す。
本明細書で使用する場合、「アルデヒド」という用語は、-C(=O)-H基を指す。
「ハロゲン化アシル」という用語は、-(C=O)R’’’’基を表し、上記で定義されるとおり、式中、R’’’’はハロである。
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、上記で定義されるとおり、-O-アルキル、-O-シクロアルキルを表す。エーテル基-O-も可能な連結部分である。
「アリールオキシ」という用語は、本明細書で定義されるとおり、-O-アリール基及び-O-ヘテロアリール基の両方を表す。
本明細書で使用される「ジスルフィド」という用語は、-S-S-連結部分を表し、いくつかの場合では、2つのチオヒドロキシル基の間で形成する。
本明細書で使用される「チオ」、「スルフヒドリル」又は「チオヒドロキシル」という用語は、-SH基を表す。
「チオアルコキシ」又は「チオエーテル」という用語は、本明細書で定義されるとおり、-S-アルキル基及び-S-シクロアルキル基の両方を表す。チオエーテル基-S-も可能な連結部分である。
「チオアリールオキシ」という用語は、本明細書で定義される-S-アリール基及び-S-ヘテロアリール基の両方を表す。チオアリールエーテル基-S-アリール-も可能な連結部分である。
「シアノ」又は「ニトリル」という用語は、-C≡N基を表す。
「イソシアネート」という用語は、-N=C=O基を表す。
「ニトロ」という用語は、-NO基を表す。
本明細書で使用される場合、「カルボキシレート」又は「エステル」という用語は、C-カルボキシレート及びO-カルボキシレートを包含する。
「C-カルボキシレート」という用語は、-C(=O)-OR’末端基又は-C(=O)-O連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’は本明細書で定義されるとおりである。
「O-カルボキシレート」という用語は、-OC(=O)R’末端基又は-OC(=O)-連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’は本明細書で定義されるとおりである。
本明細書で使用される場合、「チオカルボキシレート」という用語は、C-チオカルボキシレート及びO-チオカルボキシレートを包含する。
「C-チオカルボキシレート」という用語は、-C(=S)-OR’末端基又は-C(=S)-連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’は本明細書で定義されるとおりである。
「O-チオカルボキシレート」という用語は、-OC(=S)R’末端基又は-OC(=S)-連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’は本明細書で定義されるとおりである。
本明細書で使用される場合、「カルバメート」という用語は、N-カルバメート及びO-カルバメートを包含する。
「N-カルバメート」という用語は、R”OC(=O)-NR’-末端基又は-OC(=O)-NR’-連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
「O-カルバメート」という用語は、-OC(=O)-NR’R”末端基又は-OC(=O)-NR’-連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
本明細書で使用される場合、「チオカルバメート」という用語は、N-チオカルバメート及びO-チオカルバメートを包含する。
「O-チオカルバメート」という用語は、-OC(=S)-NR’R”末端基又は-OC(=S)-NR’-連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
「N-チオカルバメート」という用語は、R”OC(=S)NR’-末端基又は-OC(=S)NR’-連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
本明細書で使用される場合、「ジチオカルバメート」という用語は、N-ジチオカルバメート及びS-ジチオカルバメートを包含する。
「S-ジチオカルバメート」という用語は、-SC(=S)-NR’R”末端基又は-SC(=S)NR’-連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
「N-ジチオカルバメート」という用語は、R’’SC(=S)NR’-末端基又は-SC(=S)NR’-連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
「尿素」という用語は、本明細書で「ウレイド」とも呼ばれ、-NR’C(=O)-NR”R’末端基又は-NR’C(=O)-NR”-連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりであり、R’’’はR’及びR’’について本明細書で定義されるとおりである。
「チオ尿素」という用語は、本明細書において「チオウレイド」とも呼ばれ、-NR’-C(=S)-NR”R’’’末端基又は-NR’-C(=S)-NR”-連結部分を表し、式中、R’、R”及びR’’’は本明細書で定義されるとおりである。
本明細書で使用される場合、「アミド」という用語は、C-アミド及びN-アミドを包含する。
「C-アミド」という用語は、-C(=O)-NR’R”末端基又は-C(=O)-NR’-連結部分を表し(これらの語句は上記で定義されるとおりである)、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
「N-アミド」という用語は、R’C(=O)-NR”-末端基又はR’C(=O)-N連結部分(これらの語句は本明細書中上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’及びR”は本明細書中上記で定義されるとおりである。
「イミン」という用語は、当該技術分野において互換可能に「シッフ塩基」とも呼ばれ、-N=CR’-連結部分を表し、R’は本明細書で定義されるとおりであるか、又は水素である。当該分野で周知のように、シッフ塩基は、典型的には、アルデヒド又はケトンと、アミン含有部分、例えば、アミン、ヒドラジン、ヒドラジドなどとを反応させることによって形成され、これらの用語は、本明細書中で定義されるとおりである。「アルジミン」という用語は、アルデヒドから誘導される-CH=N-イミンを指す。「ケチミン」という用語は、ケトンから誘導される-CR’=N-イミンを指す。
「ヒドラゾン」という用語は、-R’C=N-NR”-連結部分を指し、式中、R’及びR”は、本明細書で定義されるとおりである。
「セミカルバゾン」という用語は、アルデヒド又はケトンとセミカルバジドとの間の縮合反応において形成される連結部分を指す。ケトンに由来するセミカルバゾン連結部分は-R’C=NNR’’C(=O)NR’’’-であり、アルデヒドに由来する連結部分は-CR’=NNR’’C(=O)NR’’’-であり、式中、R’及びR’’は、本明細書で定義されるとおりであり、R’’’は、R’について定義されるとおりである。
本明細書で使用される場合、「ラクトン」という用語は、環状エステル、すなわち、同じ分子内のアルコール基-OHとカルボン酸基-COOHとの分子内縮合生成物を指す。
本明細書で使用される場合、「ラクタム」という用語は、この用語が本明細書で定義されるとおり、環状アミドを指す。カルボニル以外に2個の炭素原子と合計4個の環原子とを有するラクタムはβ-ラクタムと呼ばれ、カルボニル以外に3個の炭素原子及び合計5個の環原子を有するラクタムはγ-ラクタムと呼ばれ、カルボニル以外に4個の炭素原子と合計6個の環原子とを有するラクタムはδ-ラクタムと呼ばれるなどである。
「グアニル」という用語は、R’R”NC(=N)-末端基又は-R’NC(=N)-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’及びR”は本明細書で定義されるとおりである。
「グアニジン」という用語は、-R’NC(=N)-NR’’R’’’末端基又は-R’NC(=N)-NR’’-連結部分(これらの句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’、R’’及びR’’’は、本明細書で定義されるとおりである。
「ヒドラジン」という用語は、NR’-NR”R’’’末端基又は-NR’-NR”-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、R’、R’’及びR’’’は本明細書で定義されるとおりである。
本明細書で使用される場合、「ヒドラジド」という用語は、-C(=O)-NR’-NR”R”’末端基又は-C(=O)-NR’-NR”-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’、R”及びR”‘は、本明細書で定義されるとおりである。
「ヒドロキシルアミン」という用語は、本明細書で使用される場合、-NHOH基又は-ONHのいずれかを指す。
本明細書で使用される場合、「アゾ」又は「ジアゾ」という用語は、-N=N-R’末端基又は-N=N連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’は、本明細書中で定義されるとおりである。
本明細書で使用される場合、「アジド」という用語は、-N=N=N(-N)末端基を表す。
「トリアジン」という用語は、6員ベンゼン環に類似しているが、3個の炭素が窒素原子で置換されている複素環を指す。トリアジンの3つの異性体は、その窒素原子の位置によって互いに区別され、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、及び1,3,5-トリアジンと呼ばれる。他の芳香族窒素複素環としては、1個の環窒素原子を有するピリジン、環内に2個の窒素原子を有するジアジン、及び4個の環窒素原子を有するテトラジンが挙げられる。
「トリアゾール」という用語は、2個の炭素原子と3個の窒素原子との5員環を有する分子式Cの一対の異性体化合物、すなわち1,2,3-トリアゾール及び1,2,4-トリアゾールのいずれか1つを指す。
本明細書で使用される場合、「アジリジン」という用語は、1つのアミン基と2つのメチレン基とを有する3員複素環であって、分子式-CNHを有する反応基を指す。
本明細書で使用される場合、「チオヒドラジド」という用語は、-C(=S)-NR’-NR”R’’’末端基又は-C(=S)-NR’-NR”-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’、R”及びR’’’は、本明細書で定義されるとおりである。
本明細書で使用される場合、「メチレンアミン」という用語は、-NR’-CH-CH=CR”R’’’末端基又は-NR’-CH-CH=CR”-連結部分(これらの語句は上記で定義されるとおりである)を表し、式中、R’、R”及びR’’’は、本明細書で定義されるとおりである。
本明細書中で使用される場合、「ジエン」という用語は、-CR’=CR’’-CR’’’=CR’’’’-基を指し、式中、R’は上記で定義されるとおりであり、R’’、R’’’及びR’’’’はR’について定義されるとおりである
本明細書中で使用される場合、「ジエノフィル」という用語は、典型的にはディールス・アルダー反応機構でジエンと反応する反応基を指し、したがってジエノフィルは、典型的には二重結合又はアルケニルである。
本明細書で使用される場合、「エポキシ」という用語は、1個の酸素と2つのメチレン基とを有する3員複素環であって、分子式-COを有する反応基を指す。
本明細書で使用される場合、「共有結合」という語句は、化学結合の形態において原子間で共有される1つ以上の電子対を指す。
本発明のいくつかの実施形態によれば、いくつかの連結部分は、2つの反応基間の反応から生じる。あるいは、所望の連結部分が最初に生成され、生物活性剤及び/又はスペーサー部分が当該連結部分に付加される。
連結部分の易分解性(lability):
いくつかの実施形態において、分子構造体中の連結部分のそれぞれは、同じ生物切断性の連結部分である、すなわち、全てのCBD部分は、同じ連結部分によってHAに付加されている。
いくつかの実施形態において、分子構造体は、2つ以上の連結部分を介してHAに付加したCBD部分を含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、各種類の連結部分は、生分解条件が異なることによっても特徴付けられる。
「生分解」という用語は、連結部分の分離/解離を引き起こす生化学反応を指す。本発明の実施形態に関連して、生分解は、典型的には、生体又はその器官における生体分子(例えば、酵素、RNAなど)によって介在されるが、このようなメディエーターはそれぞれ、生体における部位(細胞、組織、器官)、温度、pH、イオン強度、光、及び当技術分野で公知の他の反応エフェクターなどの特定の条件下で、活性を示す、又はより高い活性を示す。異なる生分解条件を有する連結部分により、対象における異なる部位、及び/又は異なる時間、及び/又は他の異なる生理的条件下でCBDが差次的に放出される。
生理条件で安定である連結部分、すなわち、身体部位における生理環境への曝露期間中に分解しない連結部分は、本明細書において「生分解安定性連結部分(biostable linking moiety)」と呼ばれる。例示的な生分解安定性連結部分は、トリアゾールベースの連結部分である。生体安定性はまた、相対的な用語であり、生分解安定性連結部分は、分離により長い時間を要すること、又は生理的条件下に存在するときに分子構造体が遭遇する頻度がより低い特定の切断条件を必要とすることを意味することに留意されたい。
本発明のいくつかの実施形態において、本明細書で提供される分子構造体中の連結部分は、全て生物切断性である。本発明のいくつかの実施形態に関連して、生物切断性の連結部分は、本明細書において「薬物放出条件」又は「生分解条件」と呼ばれる特定の条件で、複数のCBD分子又はその前駆体を分離及び放出するように選択される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、連結部分のいくつかは、生物切断性の連結部分である。本明細書で使用される場合、「生物切断性」及び「生分解性」という用語は、生理条件下又はエンドソーム条件下で分解する(すなわち、それらの共有結合構造の少なくとも一部を分離する及び/又は失う)部分を指すために互換可能に使用される。生分解性部分は、必ずしも加水分解可能である必要はなく、分解に酵素作用を必要としてもよい。
本明細書で使用される場合、「生物切断性部分」又は「生分解性部分」という用語は、例えば、生体の消化系又は生細胞の代謝系などの生物系において切断を受ける、化合物部分を表す。
いくつかの実施形態において、生物切断性の連結部分の生分解を計画する標的身体部位又は任意の他の身体部位において存在する可能性が高い、特定の酵素に対する感受性をもとに、当該結合部位を選択して、切断条件を規定する。
生物切断性部分の代表的な例としては、限定されるものではないが、アミド、カルボキシレート、カルバメート、ホスフェート、ヒドラジド、チオヒドラジド、ジスルフィド、エポキシド、ペルオキソ、及びメチレンアミンが挙げられる。このような部分は、典型的には、生物システムにおいて、酵素、例えば、ヒドロラーゼ、アミダーゼ、キナーゼ、ペプチダーゼ、ホスホリパーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、エステラーゼ、エポキシドヒドロラーゼ、ニトリラーゼ、グリコシダーゼなどによる切断を受ける。
例えば、ヒドロラーゼ(EC番号は3で始まる)は、一般反応スキームA-B+HO→A-OH+B-Hにより化学結合の加水分解を触媒する。エステラーゼ(EC番号は3.1で始まる)として知られ、ヌクレアーゼ、ホスホジエステラーゼ、リパーゼ及びホスファターゼが含まれる、ヒドロラーゼのサブグループは、エステル結合を切断する。EC番号が3.4から始まるヒドロラーゼは、ペプチド結合に作用するペプチダーゼである。
酵素、酵素反応、及び酵素-連結部分相関に関する追加情報は、Bairoch A., “The ENZYME database in 2000”, Nucleic Acids Res, 2000, 28, pp. 304-305のような公的にアクセス可能な様々な情報源に見出すことができる。
いくつかの実施形態において、特定の連結部分は、分子構造体中に存在する他の連結部分よりも易分解性であるように選択される。「より易分解性である」とは、連結部分のいくつかが、他の連結部分と比較して所定の切断条件下で分離する傾向が高いことを意味する。いくつかの実施形態において、連結部分は、特定の薬物放出プロファイルの設計を可能にする特定の易分解性の序列(lability hierarchy)に従って選択され、薬物放出の順序及び速度(rate)は、上記易分解性の序列に従って制御可能である。本発明のいくつかの実施形態に関連して、より易分解性である連結部分は易分解性の序列がより高く、易分解性の序列がより低い連結部分よりも速い速度で、先に分離する。本発明のいくつかの実施形態によれば、連結部分をその易分解性の序列に従って選択できることで、差次的なCBD放出プロファイルを有する分子構造体が得られる。
易分解性の序列をもとにした連結部分の選択は、分子構造体が生細胞/組織/器官(本明細書では「身体部位」と総称する)に投与されたときに置かれると予想される切断条件に従って決定される。切断条件としては、温度、pH、反応性分子種の存在及び酵素の存在など、身体部位に存在する化学的条件及び物理的条件が挙げられる。これらの条件はすべて、所与の連結部分の分離、及びCBD又はその前駆体の放出を引き起こし得る。
例えば、より高い温度でより易分解性である(影響を受けやすい)連結部分もあれば、他の連結部分と比較して、高い又は低いpH値に影響を受けやすい連結部分もある。このような場合、周囲と比較して限局されたpH値を特徴とする身体部位を標的とするように設計された分子構造体、酸易分解性又はH易分解性の連結部分が、CBDの放出のため有利に選択される。
いくつかの実施形態において、連結部分のそれぞれは所与の切断条件を特徴とし、連結部分の任意の1つは、切断条件に基づき連結部分のうち少なくとも1つが他の連結部分とは異なるように選択される。
用途:
本明細書に提示される分子構造体は、被担持CBD分子又はその前駆体を輸送し、運搬し、制御可能に放出することから、この分子構造体を使用して、様々な医学的状態、特に皮膚科学的状態を治療することができる。したがって、本明細書に示される分子構造体は、様々な医薬組成物及び化粧品組成物における有効成分として、並びに様々な薬物の調製において使用できる。
したがって、有効成分としての、本発明の実施形態に従って本明細書で提供される分子構造体と、薬学的に及び/又は化粧料として許容される担体とを含む、医薬組成物及び/又は化粧品組成物が提供される。
同様に、医薬品及び/又は薬用化粧品(cosmetic medicament)の調製における、本発明の実施形態に従う分子構造体の使用が提供される。
更に本明細書で提供されるのは、皮膚状態の処置を必要とする対象において皮膚状態を処置する方法であり、この方法は、本発明の実施形態による分子構造体の有効量を対象に投与することを含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、医薬組成物又は薬剤は、医学的状態又は皮膚科学的状態又は美容上の状態、より好ましくは皮膚科学的状態/皮膚状態を処置するために使用される。いくつかの実施形態において、医学的状態は、CBDによって治療可能である。いくつかの実施形態において、HAとCBDとが存在することで相乗効果が発揮される。すなわち、分子構造体の要素を組み合わせることによる有益効果は、各要素を単独で投与した効果の組み合わせよりも大きな有益効果を発揮する。
本明細書で使用される場合、「有効量」という語句は、投与される分子構造体の量であって、処置中の皮膚科学的状態/皮膚状態の症状の1つ以上をある程度まで軽減する量を表す。本実施形態に関連して、「有効量」という語句は、投与及び/又は再投与される分子構造体の量であって、標的細胞又は標的組織に有益でありかつ皮膚状態の顕著な改善をもたらすレベルであることによって、処置中の皮膚科学的状態/皮膚状態の症状の1つ以上をある程度まで軽減する量を表す。
本発明の実施形態に関連して、有効量は、分子構造体全体、又は当該分子構造体に放出可能に付加したCBDの量を指し得る。本明細書に提示される分子構造体を含むCBDの効力は、当技術分野で公知のいくつかの方法論によって決定することができる。
本発明の実施形態の別の態様によれば、本明細書に記載される分子構造体のいずれか1つは、当該分子構造体に連結され、かつ当該分子構造体から制御可能に放出可能なCBDによって処置可能な皮膚状態であると診断された対象の処置用として明記される。
本発明の実施形態の別の態様によれば、本明細書に記載されるいずれかの分子構造体の、薬剤としての使用が提供される。いくつかの実施形態において、薬剤は、分子構造体に連結され、かつ分子構造体から制御可能に放出可能なCBDによって治療可能な皮膚状態であると診断された対象を治療するためのものである。
本明細書に記載される方法及び使用のいずれかにおいて、分子構造体は、当該技術分野において公知であるように、薬学的に及び/又は化粧料として許容される担体を更に含む、医薬組成物又は化粧品組成物の一部として投与することができる。担体は、選択された投与経路に適するように選択される。
本明細書に提示される分子構造体は、局所、皮下、及び経口が挙げられるがこれらに限定されないいくつかの投与経路を介して投与することができる。いくつかの好ましい実施形態において、本明細書で提供される分子構造体は、多くの皮膚科学的状態/皮膚状態の処置に一般的に使用される、経皮性かつ低侵襲性のツール及び方法を使用して投与される。
分子構造体は、様々な皮膚状態を処置するための組成物として、局所投与及び/又は皮下投与に特に有用である。いくつかの実施形態において、好ましい投与様式には、コラーゲン誘導療法としても知られるマイクロニードリングがある。マイクロニードリングは、滅菌マイクロニードルによる皮膚の反復的かつ浅い穿刺を含むプロセスである。マイクロニードリングは、一般的に、ダーマローラーの使用によって行われるのに対し、本開示の分子構造体を含む化粧品組成物は、処置しようとする皮膚領域に塗布し、当該皮膚領域全体にダーマローラーを使用する。あるいは、本明細書で提供される分子構造体を含む組成物をダーマローラーに添加又は装填することができる。更に代替的には、本明細書に提示される分子構造体の導入のためのマイクロニードリングは、浅い(2mm~3mm)皮膚穿通のための小さな皮下注射針を備えたシリンジによって行われる。
本発明のいくつかの実施形態によれば、分子構造体は、1つ以上の既知の薬物、組成物、薬剤、及び皮膚科学的状態/皮膚状態の処置に適した薬物と同時に投与することができる。
いくつかの実施形態によれば、本明細書で提供される分子構造体を含む組成物は、包装材料によって梱包され、包装材料の内側又は表面に印刷で、CBD及びHAを含む分子構造体に連結され、かつ分子構造体から制御可能に放出可能なCBDによって処置可能な皮膚科学的状態/皮膚状態の処置に使用するために、皮膚状態の処置用であると明記される。
本明細書で使用する場合、「組成物」という用語又は「薬剤」という用語は、本明細書中に示される分子構造体と、薬学的に/皮膚科学的に/化粧料として許容される化学成分などの他の成分と、適切な担体及び添加物と、任意選択で更なる生物活性剤とを有する、製剤又は上記を含む組成物を指す。医薬組成物又は化粧品組成物の目的は、対象への分子構造体の投与を容易にすることである。
以下、「薬学的に及び/又は化粧料として許容される担体」という語句は、処置対象に対して著しい刺激を引き起こさず、投与された分子構造体の生物活性及び特性を無効にしない担体又は希釈剤を指す。限定されるものではないが、薬学的に/化粧料として許容される担体の例は、プロピレングリコール、生理食塩水、有機溶媒と水とのエマルション及び混合物、並びに固体(例えば、粉末状)及び気体状担体である。
本明細書において、「添加物」という用語は、分子構造体の投与を更に容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。限定されるものではないが、添加物の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖及び様々なタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
薬物の処方及び投与のための技術は、参照により本明細書に組み込まれる、“Remington’s Pharmaceutical Sciences” Mack Publishing Co., Easton, PAの最新刊に見ることができる。
投与量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に応じて様々であり得る。正確な処方、投与経路、及び投与量は、対象の状態を考慮して各ケア担当者(caretaker)が選択することができる。(例えば、“The Pharmacological Basis of Therapeutics”, Ch. 1 p.1内のFingl et al., 1975を参照されたい)。概して、投与量は、有効成分の効力及び皮膚状態の重症度に関連する。投与する組成物の量は、当然、処置を受ける対象、苦痛の程度、投与方法、処方するケア担当者の判断などによって異なる。
医学的状態:
本明細書に提示される分子構造体は、当該分子構造体から放出可能な形態である生物活性剤(薬物)の投与によって処置可能な皮膚科学的状態/皮膚状態を処置するために使用することができる。皮膚科学的状態/皮膚状態は、環境因子、年齢及び遺伝的素因、がん、自己免疫、並びに微生物によって引き起こされ得る。
爪及び毛髪を含む皮膚の疾患及び状態は、ウイルス、リケッチア、細菌、真菌、及び寄生虫によって引き起こされる。本発明のいくつかの実施形態において、本明細書で提供される分子構造体によって治療可能な皮膚状態は、ウイルス感染、細菌感染、酵母感染、真菌感染、原虫感染、寄生虫関連感染などの、微生物によって引き起こされる感染に関連する。
微生物に関連する皮膚状態/皮膚科学的状態としては、限定されるものではないが、膿痂疹、蜂巣炎及び丹毒、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群、毛包炎、類丹毒、点状角質融解症、紅色陰癬、毛髪糸状菌症、間擦疹、急性感染性湿疹様皮膚炎(acute infectious eczematoid dermatitis)、須毛部仮性毛包炎、趾間感染症、皮膚結核(限局性)、Mycobacterium marinum皮膚疾患、Mycobacterium ulcerans皮膚疾患、放線菌腫、及び放線菌症が挙げられる。
いくつかの実施形態では、分子構造体は、皮膚状態、例えば限定するものではないが、黒皮症、皮膚の白化、色素沈着過剰、チャドウィック徴候、白線、会陰縫線、ざ瘡瘢痕化、ざ瘡、肝斑、手術瘢痕、ストレッチマーク及び脱毛などの皮膚状態の処置に有益な生物活性剤を放出するように設計される。
分子構造体の調製:
本発明の実施形態の範囲の多様性及び複雑性から理解され得るように、本明細書で提供される分子構造体は、様々な合成アプローチを介して提供され得る。例えば、分子構造体の合成は、HA及びCBDの両方の分子上の複数の反応基のうちいずれか1つ同士の間の連結部分について、その形成を促進する及び/又は形成に関与する適切な試薬の存在下で、CBDとHAとを反応させて複数のCBD部分を単鎖HAに結合させることによって、開始することができる。
あるいは、HA及び/又はCBDの未修飾の反応基のうちの1つ以上を修飾して1つ以上の修飾反応基を得た後、修飾されたHA及び/又はCBDを互いに反応させる。
いくつかの実施形態では、所与のタイプの連結部分を介してHAにCBDを部分的に担持させる。この部分的に担持した分子構造体を、異なる条件及び反応下でCBDと更に反応させて、当該部分的に担持した分子構造体上に更に多くのCBD部分を担持させて、2つ以上の連結部分を有する分子構造体を形成する。
したがって、本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本明細書で提示される分子構造体を調製する方法が提供され、当該方法は、HA部分上の第1の官能基(A基~D基のいずれか、又はHAが修飾された反応基を提示するように予め修飾されている場合には他の官能基)を、第1の生物切断性の連結部分(の形成)を介して、CBD上の第1の官能基(E基~F基のいずれか、又はCBDが修飾された反応基を提示するように予め修飾されている場合には他の官能基)に連結させる工程を含む。
上記の方法は、CBDをHA部分上の異なる官能基に連結し、第2の生物切断性連結部分を介してより多くのCBDを担持させる工程を更に含み得る。この方法は、第3の生物切断性連結部分を介してより多くのCBDを担持させるための、追加の担持工程などを含むことができる。
これまでに考察したように、いくつかの実施形態において、この方法は、修飾された官能基をHAが提示するように、HA鎖上の未修飾の官能基を修飾する任意選択の工程から開始する。このような実施形態において、HA鎖中の官能基の修飾は、CBD部分の合成及び連続的な結合を容易にする。その後、この方法は上記に示したように続く。
いくつかの実施形態によれば、分子構造体の様々な構成要素を互いに連結する工程の一部又はすべては、様々な官能基上に様々な保護基を結合し、制御下で順次除去することを更に含む。本明細書では、1つ以上の生物活性剤プロドラッグ/その前駆体から保護基が切断されたあとに、類似の保護基を当該生物活性剤に付与できることに留意されたい。この方法論は、ストリング伸長プロセスの間に保護されている必要がある反応性官能基を2超有する生物活性剤の場合に特に有用である。
本明細書で使用される場合、「保護基」又は「適切な保護基」という用語は、化合物内での位置に応じて、アミノ保護基、ヒドロキシル保護基などを指し、Protecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999に詳細に記載されている保護基を含む。
本出願から特許権の満了までの間に、多くの関連する分子構造体が開発されることが予想されるが、「分子構造体」という語句の範囲は、先験的にそのような新しい技術を全て含むことを意図する。
明確さのために別個の実施形態との関連において記載した本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔さのために単一の実施形態との関連において記載した本発明の複数の特徴はまた、別々に、又は任意の好適な部分的な組み合わせ、又は適宜、本発明の他の任意の記載された実施形態に対しても提供され得る。様々な実施形態に関連して記載される特定の特徴は、その要素なしでは実施形態が動作不能でない限り、その実施形態の必須の特徴であるとみなすべきではない。
本明細書に上記され、特許請求の範囲において特許請求される本発明の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例において実験的裏付けが見出される。
下記では実施例を参照する。本実施例は、上記の説明と共に本発明のいくつかの実施形態を非限定的な様式で例示するものである。
実施例1
例示的な分子構造体の合成
以下は、本発明のいくつかの実施形態による例示的な分子構造体の調製を説明する合成例である。
本実施例において、CBDは、生物切断性のエステル連結部分を介してHAに直接結合されて、本発明のいくつかの実施形態による例示的な分子構造体を形成する。文言が単一のCBD部分に言及していても、HA鎖に沿って複数のCBD部分が複数の部位に同時に付加することに留意されたい。
スキーム3は、ヒアルロン酸残基と、当該残基に結合した複数のCBD残基とを含む、本発明のいくつかの実施形態による例示的な分子構造体を得るための例示的なプロセスを示す。単一のCBD残基のみを描いて、CBD中のヒドロキシル(E基)をHA上のカルボキシル(A基)と反応させることによって形成される生物切断性部分(エステル)を示す。
Figure 2024505695000003
スキーム4は、ヒアルロン酸鎖上のカルボキシル官能基への結合の準備において、生物切断性の連結部分の一部としてβ-アラニンを使用し、CBD分子上のヒドロキシル官能基を修飾する工程を含む、本発明のいくつかの実施形態による例示的な分子構造体を得るための例示的なプロセスを提示する。
Figure 2024505695000004
実施例2
活性アッセイ
本明細書で提供される分子構造体について、以下のような例示的な実験プロトコルに従って、効力及び安全性について試験した。
投与は、30G又は27Gの皮下注射針を用いて0.2mLを皮下注射することによって実施する。
投与頻度は、ラットの背部6箇所の注射部位に1回ずつの投与とする。
生存中の試験期間/取扱いは13週間/14週間とする。
罹患率及び死亡率:1日2回。
詳細な臨床観察:投与前、投与後最初の2時間は頻繁に、次に週2回行う。
紅斑及び浮腫のグレード評価は、最初の14日間は毎日、又は紅斑及び浮腫が消失するまで(下表を参照されたい)。
キャリパーによる注射部位の測定は、注射の1日後に開始し、その後は週2回行う。
各ラットの背部の写真撮影は、注射直後、並びに注射の1カ月後、2カ月後及び3カ月後(終了前)に行う。各写真撮影の前には脱毛クリームを使用する。
体重観測:順応中、及びその後週2回行う。
剖検及び肉眼所見:主要な研究に供したすべてのラットの、実験終了時における肉眼所見。流入領域リンパ節に特に注意を払う。
終了後、各ラットに0.2mLの対照又は試験物質の皮下注射を1回行う。注射部位を直ちにサンプリングし、固定する。これらのサンプルにより、構造観察と、注射の13週間後にサンプリングされた注射部位に対する組織病理学的比較とを行う。
器官重量の観測:異常な所見を示す全ての組織。
組織の保存:注射部位及び異常な所見示す全ての組織。
組織学的/病理学的評価:注射部位を、マッソントリクローム、ヘマトキシリンエオシン、及びアルシアンブルーで染色する(スライド5枚)。
組織学用のグレード評価システム:組織スライドの定性的及び半定量的評価を、ISO 10993に従って実施する。
各試験製品及び対照製品について、4箇所の注射部位の平均刺激スコアを毎日計算する。
組織学的評価のためのグレード評価システム(細胞型/応答):多形核細胞、リンパ球、形質細胞、マクロファージ、巨細胞、壊死、血管新生、線維症、脂肪浸潤、フィブリン、出血、線維増殖、組織の一体化(tissue integration)、組織の侵入、被包化、生成物の分解。
刺激性ランキングスコア(IRS、表、IRSの決定;ISO 10993):試験製品及び対照製品の個々の刺激性スコアは、組織学的グレード評価に基づき、組織損傷及び細胞炎症のパラメータスコアの合計F.1を係数2で重み付けした値に、炎症修復期及び脂肪浸潤のパラメータスコアの合計F.2を加算した値として計算する。平均個体刺激スコア(群平均)を、試験製品当たり3箇所の注射部位の結果の平均として計算する。IRSは、対照製品(C1)の平均スコアを試験製品の平均スコアから減算することによって求める。IRSの計算は、0.1の位に丸める。差がマイナスの場合、0として記録する。
IRSは以下のようにグレード評価する:
・非刺激性(0.0~2.9)
・軽度の刺激(3.0~8.9)
・中程度の刺激(9.0~15.0)
・重度の刺激(≧15.1)
Figure 2024505695000005
実施例3
安全性試験
黒子、炎症後色素沈着過剰及び黒皮症などの皮膚科学における色素性沈着障害(Pigmentary disorders)は、現時点では十分に治療されていない。黒子又は加齢斑は、コーカサス人種において、一般的な老化プロセス及び日光への曝露が原因で普遍的に発生する。黒皮症は、顔の斑状褐色色素沈着過剰を特徴とし、経口避妊薬を服用している女性に高い割合で発生する。炎症後色素沈着は、慢性湿疹、扁平苔癬及び乾癬などの多くの皮膚疾患を伴い得る。これらの病変のいくつかは凍結療法で治療できるが、代替的な薬理学的アプローチは、医師及び患者の両方にとって、より容易に受け入れられるであろう。
黒皮症の治療には、ヒドロキノン、トラネキサム酸、コウジ酸、システアミン、アゼライン酸、アルブチンなどを含む、数種の活性剤が使用されている。これらの活性剤は、真皮における生体安定性が限られていることからも、脱色をもたらすために長期間の使用が必要とされる。
本発明のいくつかの実施形態によるHA-CBDコンジュゲートは、CBDの「徐放」又は制御放出、並びに治療様式の改善、半減期の延長、及び黒皮症の治療における効力改善を可能にする。
本明細書に開示されるHA-CBDコンジュゲートの安全性を以下のように試験した。6カ月齢の雄の茶色ブタ1匹を、動物施設(レホヴォト市ハバットケシェット)の標準的なステンレススチール檻に収容し、研究の開始前に少なくとも2週間順応させた。
処置の前に、公開プロトコル[Nair, X. et al., Journal of Investigative Dermatology, 1993, 101(2), pp. 145-149]に従って、UV照射によってメラノサイトを刺激した。処置を施すブタの側部上に、それぞれ4cm×4cmのサイズで2cm間隔の正方形領域のパターンを選択した。その後、試験サンプルを水/グリセロール(2:1)に溶解し、マイクロニードル(メソセラピー)デバイスを用いて2.5mmの深さで上記の正方形領域上に適用した。処置は、1カ月に1回、3カ月間実施し、合計3回の処理を施した。
試験したサンプルは以下のとおりである。
1. HA-(PEG)-CBD(20重量%)
Figure 2024505695000006
2. HA-(AiB)-CBD(10重量%)
Figure 2024505695000007
3. HA-(βAla)-CBD(10重量%)
Figure 2024505695000008
4. 参照として、CBD+HA混合物(2.8mgのCBD、17.2mgのHANa)
5. 未処理
実験の終了時に生検を採取し、公開プロトコル [Kerlin, R. et al., Toxicol Pathol., 2016, 44(2), pp. 147- 62; Schafer, K.A. et al., Toxicol Pathol., 2018, 46(3), pp. 256-265]に従って病理検査を行った。
器官/組織の採取及び固定:
1匹のブタ由来の皮膚サンプル(n=5)を採取し、4%ホルムアルデヒド中で固定し、更なる固定のために上記固定液中に48時間保持した。組織をトリミングし、包埋カセットに入れ、パラフィン包埋の通常処理を行った。
スライド調製:
パラフィン切片(4ミクロン厚)を切断し、スライドガラス上に置き、一般的な病理検査用のヘマトキシリン&エオシン(H&E)、コラーゲン用のマッソントリクローム(MT)、メラニン用のマッソンフォンタナ(MF)を用いて染色した。
光学顕微鏡写真:
Olympusの顕微鏡(BX60、シリアルNo. 7D04032)に、顕微鏡カメラ(Olympus DP73、シリアルNo. OH05504)を取り付け、対物レンズの倍率×10で写真を撮影した。
病理検査による評価:
H&E染色したスライドは、病理検査担当者(study Pathologist)が、以下の病理検査上の変化の重症度について5段階の半定量的グレード評価スケールを用いて観察、記述及び採点した。
グレード0:組織が正常に見える
グレード1:極小の病理所見
グレード2:軽度の病理所見
グレード3:中程度の病理所見
グレード4:重度の病理所見
マッソントリクローム(MT)染色スライドを観察し、半定量的スコアリングシステムにより、線維症/コラーゲンの存在を以下のようにグレード評価した(倍率×10)。
0:正常な皮膚と同様、線維症/コラーゲン分解の徴候はない
1:軽度の線維症/コラーゲン分解
2:中程度の線維症/コラーゲン分解
3:重度の線維症/コラーゲン分解
マッソンフォンタナ(MF)染色スライドを観察し、半定量的スコアリングシステムにより、メラニンの存在について以下のようにグレード評価した(倍率×10)。
0:着色細胞はほとんど認められない
1:少数の色素沈着細胞、正常な皮膚よりも少ない
2:正常な皮膚と比較して、正常な数の色素沈着細胞
3:色素沈着細胞の数の増加
4:多数の色素沈着細胞
本発明をその具体的な実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替、改変、及び変形が当業者に明らかであることは明白である。したがって、このような代替、改変、及び変形は全て、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲に含まれるものとする。
本明細書中で言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許又は特許出願が参照により本明細書中に組み込まれることが言及されるときに具体的かつ個別に言及されているかのように、その全体が参照により本明細書中に組み込まれることは本出願人の意図である。加えて、本出願における任意の参考文献の引用又は特定は、このような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものとして解釈されるべきではない。章の見出しが使用される範囲において、当該見出しは必ずしも限定を加えるものと解釈されるべきではない。更に、本出願の任意の優先権書類は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
更に、本出願の任意の優先権書類は、参照によりその全体が本明細書に援用される。

Claims (15)

  1. ヒアルロン酸(HA)部分と、生物切断性の連結部分を介して前記HA部分に結合された複数のカンナビジオール(CBD)部分と、を含む分子構造体。
  2. 異なる生物切断性の連結部分を少なくとも2つ含む、請求項1に記載の構造体。
  3. 前記生物切断性の連結部分が、アミド、エステル、カーボネート、カルバメート、チオカルバメート、スルホンアミド、及びホスフェートからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の構造体。
  4. 前記HA部分が単鎖HA部分である、請求項1~3のいずれか一項に記載の構造体。
  5. 少なくとも5重量%の平均CBD担持量を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の構造体。
  6. 有効成分としての請求項1~5のいずれか一項に記載の分子構造体と、化粧料として許容される担体とを含む、化粧品組成物。
  7. 包装材料によって梱包され、前記包装材料の内側又は表面に印刷で皮膚状態の処置用であると明記された、請求項6に記載の化粧品組成物。
  8. 化粧品組成物の調製における、請求項1~5のいずれか一項に記載の分子構造体の使用。
  9. 前記化粧品組成物が、皮膚状態を処置するためのものである、請求項8に記載の使用。
  10. 皮膚状態の処置を必要とする対象において皮膚状態を処置する方法であって、請求項1~5のいずれか一項に記載の分子構造体又は請求項6若しくは7に記載の化粧品組成物の有効量を、前記対象に投与する工程を含む、方法。
  11. 前記皮膚状態が、黒皮症、皮膚の白化、色素沈着過剰、チャドウィック徴候、白線、会陰縫線、ざ瘡瘢痕化、ざ瘡、肝斑、手術瘢痕、ストレッチマーク及び脱毛からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物、請求項9に記載の使用、又は請求項10に記載の方法。
  12. 請求項1~5のいずれか一項に記載の分子構造体を調製する方法であって、CBDを単鎖HAと反応させて前記分子構造体を得る反応工程を含む、方法。
  13. 前記反応工程の前に、前記CBD中の少なくとも1つの官能基を修飾して反応性CBDを得る工程を更に含み、続いて前記反応性CBDを単鎖HAと反応させて前記分子構造体を得る、請求項12に記載の方法。
  14. 前記反応工程の前に、前記HA中の少なくとも1つの官能基を修飾して反応性HAを得る工程を更に含み、続いて前記反応性HAをCBDと反応させて前記分子構造体を得る、請求項12に記載の方法。
  15. 前記反応工程の前に、前記CBD中の少なくとも1つの官能基を修飾して反応性CBDを得る工程と、前記HA中の少なくとも1つの官能基を修飾して反応性HAを得る工程とを更に含み、続いて前記反応性HAを前記反応性CBDと反応させて前記分子構造体を得る、請求項12に記載の方法。
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