JP2024504697A - 肝性脳症を処置するための組成物および方法 - Google Patents

肝性脳症を処置するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本明細書において提供されるのは、肝性脳症を処置および/または予防するための方法および組成物であって、該方法は、対象に、精製された細菌混合物を含む医薬組成物を投与することを含む。

Description

関連出願
本願は、2021年1月21日に出願された米国仮出願番号63/140,187の35U.S.C.§119(e)下における利益を主張し、当該仮出願の全内容は、本明細書において参考として援用される。
EFS-WEBを介してテキストファイルとして提出された配列表についての参照
本願は、ASCIIフォーマットにおいてEFS-Webを介して提出された配列表を含み、これは、本明細書によりその全体において参考として援用される。2022年1月21日に作成された前記ASCIIのコピーは、P074570025WO00-SEQ-NTJ.txtと命名され、17,022バイトのサイズである。
背景
肝性脳症(HE)は、急性または慢性の肝疾患に関連する神経精神医学的障害である。肝性脳症に関連する症状の重篤度は、集中力低下、錯乱および見当識障害を含むわずかな精神的変化から、脳浮腫、昏睡および脂肪を含む重篤な症例までの範囲にわたる。
要旨
本開示のいくつかの側面は、対象において肝性脳症を処置または予防する方法を提供し、該方法は、対象に、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiからなる群より選択される1つ以上の細菌株を含む精製された細菌混合物を含む、医薬組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、医薬組成物は、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiからなる群より選択される細菌株を含む、精製された細菌混合物を含む。いくつかの態様において、医薬組成物は、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiからなる、精製された細菌混合物を含む。
本開示の側面は、対象において肝性脳症を処置または予防する方法を提供し、該方法は、対象に、配列番号1~8からなる群より選択される核酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有する16S rDNA配列を含む1つ以上の細菌株を含む、精製された細菌混合物を含む、医薬組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、医薬組成物は、配列番号1~8からなる群より選択される核酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有する16S rDNA配列を含む細菌株を含む、精製された細菌混合物を含む。いくつかの態様において、医薬組成物は、配列番号1~8からなる群より選択される核酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有する16S rDNA配列を含む細菌株からなる、精製された細菌混合物を含む。
いくつかの態様において、対象は、肝硬変症を有するか、または肝硬変症についてのリスクがある、
いくつかの態様において、細菌株のうちの1つ以上は、芽胞形成菌である。いくつかの態様において、細菌株は、1人より多いヒトドナーに由来する。いくつかの態様において、方法は、薬学的に許容し得る賦形剤をさらに含む。
いくつかの態様において、細菌株は、凍結乾燥されたものである。いくつかの態様において、細菌株は、噴霧乾燥されたものである。いくつかの態様において、細菌株のうちの1つ以上は、芽胞の形態(spore form)にある。いくつかの態様において、細菌株の各々は、芽胞の形態にある。いくつかの態様において、細菌株のうちの1つ以上は、栄養型(vegetative form)である。いくつかの態様において、細菌株の各々は、栄養型である。いくつかの態様において、医薬組成物は、1つ以上の腸溶性ポリマーをさらに含む。
いくつかの態様において、医薬組成物は、細菌株1つあたり、1×10~1×1010のコロニー形成単位(CFU)を含む。いくつかの態様において、各々の細菌株は、組成物中に、同じCFUの量において存在する(例えば、各々の株が、1×10CFUにおいて存在する)。
いくつかの態様において、医薬組成物は、経口投与用に製剤化されている。いくつかの態様において、医薬組成物は、カプセルの形態にある。いくつかの態様において、医薬組成物は、結腸への送達用に製剤化されている。
いくつかの態様において、対象は、1回用量以上の抗生物質を、医薬組成物に先立ち投与される。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。
いくつかの態様において、医薬組成物は、1回用量として投与される。いくつかの態様において、医薬組成物は、対象に、1度より多く投与される。いくつかの態様において、医薬組成物は、複数回用量として投与される。
本開示のいくつかの側面は、対象において肝性脳症を処置または予防する方法における使用のための医薬組成物を提供し、ここで、医薬組成物は、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiからなる群より選択される細菌株を含む、精製された細菌混合物を含む。いくつかの態様において、医薬組成物は、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiからなる、精製された細菌混合物を含む。
本開示のいくつかの側面は、対象において肝性脳症を処置または予防する方法における使用のための医薬組成物を提供し、ここで、医薬組成物は、配列番号1~8からなる群より選択される核酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有する16S rDNA配列を含む細菌株を含む、精製された細菌混合物を含む。いくつかの態様において、医薬組成物は、配列番号1~8からなる群より選択される核酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有する16S rDNA配列を含む細菌株からなる、精製された細菌混合物を含む。
本明細書において提供される医薬組成物および使用のいくつかの態様において、対象は、肝硬変症を有するか、または肝硬変症についてのリスクがある。
本明細書において提供される医薬組成物および使用のいくつかの態様において、細菌株のうちの1つ以上は、芽胞形成菌である。いくつかの態様において、細菌株は、1人より多いヒトドナーに由来する。いくつかの態様において、医薬組成物は、薬学的に許容し得る賦形剤をさらに含む。
本明細書において提供される医薬組成物および使用のいくつかの態様において、細菌株は、凍結乾燥されたものである。いくつかの態様において、細菌株は、噴霧乾燥されたものである。いくつかの態様において、細菌株のうちの1つ以上は、芽胞の形態にある。いくつかの態様において、細菌株の各々は、芽胞の形態にある。いくつかの態様において、細菌株のうちの1つ以上は、栄養型である。いくつかの態様において、細菌株の各々は、栄養型である。いくつかの態様において、医薬組成物は、1つ以上の腸溶性ポリマーをさらに含む。
本明細書において提供される医薬組成物および使用のいくつかの態様において、医薬組成物は、細菌株1つあたり、1×10~1×1010のコロニー形成単位(CFU)を含む。いくつかの態様において、医薬組成物は、経口投与用に製剤化されている。いくつかの態様において、医薬組成物は、カプセルの形態にある。いくつかの態様において、医薬組成物は、結腸への送達用に製剤化されている。
本明細書において提供される医薬組成物および使用のいくつかの態様において、対象は、1回用量以上の抗生物質を、医薬組成物に先立ち投与される。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。
本明細書において提供される医薬組成物および使用のいくつかの態様において、医薬組成物は、1回用量として投与される。いくつかの態様において、医薬組成物は、対象に、1度より多く投与される。いくつかの態様において、医薬組成物は、複数回用量として投与される。
本開示のこれらのおよび他の側面、ならびにその多様な態様は、本開示の図面および詳細な説明を参照して、より明らかになるであろう。
本開示の限定の各々は、本開示の多様な態様を包含し得る。したがって、任意の1つの要素または要素の組み合わせを含む本開示の限定要因の各々が本開示の各々の側面において含まれ得ることが、理解される。本開示は、その適用において、以下の説明において記載されるかまたは図面において図示される構成および構成成分の配置の詳細に限定されない。本開示は、他の態様が可能であり、多様な手法で実施されるか、または実行されることが可能である。
図1A~1Cは、代謝物の質量/細菌のバイオマス(μg/log10 CFU)により測定されたものとしての、本明細書において提供される医薬組成物の細菌株による代謝物の産生を示す。図1Aは、アセテートの産生を示す。図1Bは、ブチレート(酪酸)の産生を示す。図1Cは、プロピオネート(プロピオン酸)の産生を示す。 図2A~2Bは、肝性脳症(HE)を処置するための8つの細菌株を含む生細菌製品の使用を評価する研究の設計を示す。図2Aは、適格性スクリーニング、無作為化、投与スケジュール、および初期安全性分析を示す。 図2Bは、スクリーニング、無作為化、投与および介入、モニタリング、および追跡調査スケジュールを示す。
詳細な説明
肝性脳症(また「HE」としても言及される)は、不適切な肝機能から生じる脳の機能不全により特徴づけられる状態である。HEは、肝臓における代謝機能不全がHEを特徴づける神経性症状をもたらすので、代謝障害として広く分類される。本明細書において提供される方法は、部分的に、腸のマイクロバイオームの組成が、対象の代謝プロフィールに影響を及ぼし、それが結果的に、肝臓の機能不全を有する対象においてHEを発症するリスクを増大または低下し得るという認識に基づく。例えば、硬変を有する対象の腸のマイクロバイオームは、グラム陰性プロテオバクテリア(Escherichia coliおよびKlebsiella pneumoniaeを含む)などの病原性細菌が豊富である。
病原性細菌により産生されるアンモニアを含む潜在的に毒性の化合物は、炎症に寄与し得、血流へと移動して脳に到達した後でさらなる神経損傷を引き起こし得る。
肝臓の機能不全(例えば、硬変)を有する対象の腸のマイクロバイオームはまた、クロストリジウム綱の有益なグラム陽性細菌(例えば、クロストリジウム科、ラクノスピラ科、ルミノコッカス科)の豊富さが低下している。かかるクロストリジウムの存在は、炎症を減少させることができ(例えば、調節性T細胞応答を誘導すること、および/または腸のバリアの完全性を促進することにより)、かつ、HEの発症に関連する化合物のうちのいくつかを代謝することができる。例えば、HEを有する対象の血液は、基線と比較して低下したレベルの二次胆汁酸および単鎖脂肪酸(SCFA)を含む。例えば、Bloom et al., J Hepatol. 2021. 75(6):1452-1464を参照されたい。いずれの代謝物も、腸の、代謝の、および免疫の恒常性において重要な役割を果たし、調節不全は、HEを発症するリスクを上昇させる。例えば、ブチレートは、腸バリアの完全性に影響を及ぼし、したがって、ブチレートのレベルの低下は、膜透過性を増大させ、炎症をもたらす。例えば、Wang et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2020. 117(21):11648-11657を参照されたい。さらに、改変された胆汁酸レベルは、血液脳関門の透過性に影響を及ぼし、神経炎症を引き起こす潜在能力を有する。例えば、DeMorrow, J Clin Exp Hepatol. 2019. 9(1):117-124を参照されたい。
本明細書において提供される組成物および方法のものなどのいくつかのクロストリジウムの株は、一次胆汁酸を二次胆汁酸へと効果的に代謝し、また、実質的な量のSCFAを産生する。これらのおよび他の細菌株の代謝活性は、例えば、PCT公開番号WO2020/037271において記載され、これは、その全体において、本明細書において参考として援用される。例えば、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiが、他の腸在住細菌叢を除去するための抗生物質処置の後で投与された場合に、対象において二次胆汁酸のレベルを増大させる能力を実証する、WO2020/037271の例5を参照されたい(例えば、図32~33)。また、同じ細菌株が、類似の条件下において対象に投与された場合に、アセテート、プロピオネートおよびブチレートなどのSCFAを産生する能力を実証する、WO2020/037271の例6を参照されたい。(例えば、図37~38)。
この開示される組成物および方法は、その適用において、以下の説明において記載されるかまたは図面において図示される構成および構成成分の配置の詳細に限定されない。開示される組成物および方法は、他の態様が可能であり、多様な手法で実施されるか、または実行されることが可能である。また、本明細書において用いられる語法および専門用語は、説明を目的とするためのものであり、限定するものとみなされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」または「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」およびそのバリエーションの使用は、その後に列記される項目およびその均等物ならびに追加の項目を包含することを意図される。
本明細書において提供されるのは、対象において肝性脳症を処置および/または予防するための方法であって、該方法は、対象に、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiからなる群より選択される1つ以上の細菌株を含む精製された細菌混合物を含む、医薬組成物を投与することを含む。本明細書において提供されるのは、対象において肝性脳症を処置および/または予防するための方法であって、該方法は、対象に、配列番号1~8からなる群より選択される核酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有する16S rDNA配列を含む1つ以上の細菌株を含む精製された細菌混合物を含む、医薬組成物を投与することを含む。
本開示の側面は、細菌株の混合物を含む組成物を提供する。細菌株のいくつかの態様は、例えば、PCT公開番号WO2017/218680において記載され、これは、その全体において本明細書において参考として援用される。
本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、組成物は、表1において提供される細菌株のうちの1つ以上を含む。本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、組成物は、以下の細菌株のうちの1つ以上を含む:Clostridium bolteae(LachnoClostridium bolteae、Enterocloster bolteae)、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis(Drancourtella massilienses、Ruminococcus torques、Eubacterium fissicatena)、Clostridium symbiosum(Lachnoclostridium symbiosum)、Blautia producta(Blautia sp001304935)、Dorea longicatena、Clostridium innocuum(Erysipelotrichaceae innocuum、Eubacterium innocuum、Absiella innocuum、Longicatena innocuum、エリュシペロトリカエ科の細菌(Erysipelotrichaceae bacterium))、およびFlavonifractor plautii(Clostridium orbiscindens、Subdolinogranulumの菌種)。
いくつかの態様において、本明細書において記載される組成物は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、または少なくとも8つの細菌株(例えば、精製された細菌株)を含む。
当業者により理解されるであろうとおり、細菌株は、1つ以上の細菌種に緊密に関連していてもよい。あるいは、または加えて、細菌株は、変化する命名法および系統発生的分類に基づいて、1つ以上の細菌種の名称により参照される場合がある。いくつかの態様において、組成物は、Clostridium bolteaeを含む。いくつかの態様において、Clostridium bolteaeとして言及され、配列番号1の核酸配列を含む16S rDNA配列を有する細菌株は、また、例えば、Lachnoclostridium bolteaeまたはEnterocloster bolteaeとしても言及される場合がある。いくつかの態様において、組成物は、Anaerotruncus colihominisを含む。いくつかの態様において、Anaerotruncus colihominisとして言及される細菌株は、配列番号2の核酸配列を含む16S rDNA配列を有する。いくつかの態様において、組成物は、Eubacterium fissicatenaを含む。いくつかの態様において、Eubacterium fissicatenaとして言及され、配列番号3の核酸配列を含む16S rDNA配列を有する細菌株はまた、例えば、Sellimonas intestinalis、Drancourtella massiliensesまたはRuminococcus torquesとしても言及される場合がある。いくつかの態様において、組成物は、Clostridium symbiosumを含む。いくつかの態様において、Clostridium symbiosumとして言及され、配列番号4の核酸配列を含む16S rDNA配列を有する細菌株はまた、例えば、Lachnoclostridium symbiosumとしても言及される場合がある。いくつかの態様において、組成物は、Blautia productaを含む。いくつかの態様において、Blautia productaとして言及され、配列番号5の核酸配列を含む16S rDNA配列を有する細菌株はまた、例えば、Blautia sp001304935としても言及される場合がある。いくつかの態様において、組成物は、Dorea longicatenaを含む。いくつかの態様において、Dorea longicatenaとして言及される細菌株は、配列番号6の核酸配列を含む16S rDNA配列を有する。いくつかの態様において、組成物は、エリュシペロトリクス綱の細菌を含む。いくつかの態様において、エリュシペロトリカエ科の細菌として言及され、配列番号7の核酸配列を含む16S rDNA配列を有する細菌株はまた、例えば、Clostridium innocuum、Erysipelotrichaceae innocuum、Eubacterium innocuum、Absiella innocuum、およびLongicatena innocuumとしても言及される場合がある。いくつかの態様において、組成物は、Subdolinogranulumの菌種を含む。いくつかの態様において、Subdolinogranulumの菌種として言及され、配列番号8の核酸配列を含む16S rDNA配列を有する細菌株はまた、例えば、Flavonifractor plautiiまたはClostridium orbiscindensとしても言及される場合がある。
いくつかの側面において、組成物は、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiからなる群より選択される1つ以上の細菌株を含む、精製された細菌混合物を含む。いくつかの側面において、組成物は、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiからなる群より選択される1つ以上の細菌株からなる、精製された細菌混合物を含む。
いくつかの側面において、組成物は、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiを含む、精製された細菌混合物を含む。いくつかの側面において、組成物は、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiからなる精製された細菌混合物を含む。
いくつかの側面において、本明細書において提供される組成物および方法は、対象における肝性脳症の処置および/または予防を可能にする。本明細書において開示される組成物の例示的な細菌株はまた、それらの16s rRNA配列(配列番号1~8)によっても同定することができる。細菌をそれらの配列により同定することは、さらに、例示された細菌と同一であるかまたはこれに高度に類似する、さらなる細菌株の同定を可能にする。例えば、細菌株の16s rRNA配列を用いて、全ゲノムシーケンシングを通して、および、これらの配列を16Sデータベース(表1)と比較することにより、最も近い近縁を同定した(%同一性に基づいて)。加えて、全ゲノムシーケンシング(WGS)、および全ゲノムを全ゲノム(WG)データベースと比較することに基づいて、配列番号1~8により提供される16S rRNA配列を有する細菌株は、以下の細菌種と最も緊密に関連する:Clostridium bolteae 90A9、Anaerotruncus colihominis DSM 17241、Drancourtella massiliensis GD1、Clostridium symbiosum WAL-14163、クロストリジウム属の細菌UC5.1-1D4、Dorea longicatena CAG:42、エリュシペロトリカエ科の細菌21_3、およびClostridium orbiscindens 1_3_50AFAA(例えば表1を参照されたい)。したがって、一側面において、表1の各々の行において、細菌株は、高度に類似するか、および/または同一であることが、理解されるべきである。
いくつかの態様において、本開示に関して、表1の1つの行内の細菌株の名称は、交換可能に用いることができる。
本開示の側面は、本明細書において記載される細菌の株または種の配列のうちのいずれか1つの核酸配列に対して相同性を有する16S rDNA配列を有する細菌株に関する。いくつかの態様において、細菌株は、本明細書において記載される株または細菌の種のうちのいずれかと比較して、核酸またはアミノ酸配列の特定の領域にわたり、または配列全体にわたり、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%の相同性を有する。「相同性」または「パーセント相同性」という用語は、「同一性」または「パーセント同一性」と交換可能に用いてもよいことが、当業者により理解されるであろう。2つ以上の核酸配列またはアミノ酸配列に関して、相同性または同一性という用語は、2つ以上の配列またはその一部の間の類似性の尺度を指す。
相同性は、少なくとも約50ヌクレオチド長である配列の領域にわたり、または、より好ましくは、100~500ヌクレオチド長または1000ヌクレオチド長より長い領域にわたり、存在してもよい。いくつかの態様において、相同性は、16S rRNAまたは16S rDNAの配列、またはその一部の長さにわたり存在する。
いくつかの態様において、組成物は、1つ以上の細菌株を含み、ここで、1つ以上の細菌株は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8の核酸配列と少なくとも97%の相同性を有する16S rDNA配列を含む。いくつかの態様において、組成物は、1つ以上の細菌株を含み、ここで、細菌株は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8の核酸配列と、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%までの相同性を有する16S rDNA配列を含む。
いくつかの態様において、組成物は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8の核酸配列と、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%までの相同性を有する16S rDNA配列を含む、細菌株からなる。
加えて、またはあるいは、2つ以上の配列を、配列の間の同一性について評価してもよい。2つ以上の核酸またはアミノ酸配列についての「同一性」または「パーセント同一性」という用語は、2つ以上の配列または部分配列であって、同じであるものを指す。2つの配列が、比較ウィンドウにわたり最大対応のために比較およびアラインメントされた場合に、特定された領域の核酸もしくはアミノ酸配列にわたり、または配列全体にわたり、あるいは以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを用いて、または手作業によるアラインメントおよび目視検査により測定された場合に、指定された領域にわたり、特定されたパーセンテージの同じ(例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%の配列同一性)であるアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する場合、2つの配列は「実質的に同一」である。任意に、同一性は、少なくとも約50ヌクレオチド長である領域にわたり、またはより好ましくは100~500ヌクレオチド長または1000ヌクレオチド長より長い領域にわたり存在する。いくつかの態様において、同一性は、16S rRNAまたは16S rDNAの配列の長さにわたり存在する。
いくつかの態様において、組成物は、1つ以上の細菌株を含み、ここで、1つ以上の細菌株は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8の核酸配列と、少なくとも97%の配列同一性を有する16S rDNA配列を含む。いくつかの態様において、組成物は、1つ以上の細菌株を含み、ここで、細菌株は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8の核酸配列と、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%までの配列同一性を有する16S rDNA配列を含む。
いくつかの態様において、組成物は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8の核酸配列と、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%までの配列同一性を有する16S rDNA配列を含む細菌株からなる。
加えて、またはあるいは、2つ以上の配列を、配列間のアラインメントのために評価してもよい。2つ以上の核酸またはアミノ酸配列に関する「アラインメント」または「パーセントアラインメント」という用語は、2つ以上の配列または部分配列であって、同じであるものを指す。2つの配列が、比較ウィンドウにわたり最大対応のために比較およびアラインメントされた場合に、特定された核酸もしくはアミノ酸配列の領域にわたり、または配列全体にわたり、あるいは以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを用いて、または手作業によるアラインメントおよび目視検査により測定された場合に、指定された領域にわたり、特定されたパーセンテージの同じ(例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%同一)であるアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する場合に、2つの配列は「実質的にアラインメントされる」。任意に、アラインメントは、少なくとも約50ヌクレオチド長である領域にわたり、またはより好ましくは100~500ヌクレオチド長または1000ヌクレオチド長より長い領域にわたり存在する。いくつかの態様において、同一性は、16S rRNAまたは16S rDNA配列の長さにわたり存在する。
配列比較のために、典型的には1つの配列が参照配列として働き、それに対して試験配列が比較される。比較のための配列のアラインメントの方法は、当該分野において周知である。例えば以下を参照されたい:Smith and Waterman (1970) Adv. Appl. Math. 2:482cの局所相同性アルゴリズムによるもの、Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. (1970) 48:443の相同性アラインメントアルゴリズムによるもの、Pearson and Lipman. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1998) 85:2444の類似性についての検索方法によるもの、これらのアルゴリズムのコンピューター化されたインプリメンテーション(Wisconsin Genetics Software PackageにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、Genetics Computer Group. Madison. WI)によるもの、または、手作業によるアラインメントおよび目視検査によるもの(例えば、Brent et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (Ringbou ed., 2003)を参照されたい)。パーセント配列同一性および配列類似性を決定するために好適であるアルゴリズムの2つの例は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれ、Altschul et al., Nuc. Acids Res. (1977) 25:3389-3402およびAltschul et al., J. Mol. Biol. (1990) 215:403- 410において記載される。
「細菌」および「細菌株」という用語は、本明細書において用いられる場合、交換可能であることが理解されるべきである。
本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、細菌株のうちの1つ以上は、ヒト由来の細菌であり、これは、当該1つ以上の細菌株が、ヒトまたはそれからの試料(例えば、ヒトドナー)から得られたか、またはこれから同定されたものであることを意味する。本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、細菌株の全てが、ヒト由来の細菌である。本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、細菌株は、1人より多いヒトドナーに由来する。
本明細書において提供される組成物において使用される細菌株は、一般に、健常個体のマイクロバイオームから単離される。いくつかの態様において、組成物は、単一の個体に由来する株を含む。いくつかの態様において、組成物は、複数の個体に由来する株を含む。いくつかの態様において、細菌株は、複数の個体から、個々に、得られ、単離され、生育される。個々に生育された細菌組成物は、その後、本開示の組成物を提供するために組み合わされてもよい。本明細書において提供される組成物の細菌株の起源は、健常個体からのヒトマイクロバイオームに限定されないことが、理解されるべきである。いくつかの態様において、細菌株は、ディスバイオシス状態のマイクロバイオームを有するヒトに由来する。いくつかの態様において、細菌株は、非ヒト動物または環境(例えば、土壌または表面水)に由来する。いくつかの態様において、本明細書において提供される細菌株の組み合わせは、複数のソース(例えば、ヒトおよび非ヒト動物)に由来する。
本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、組成物は、1つ以上の嫌気性細菌を含む。本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、組成物は、嫌気性細菌のみを含む。本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、組成物は、1つ以上の通性嫌気性細菌を含む。本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、組成物は、通性嫌気性細菌のみを含む。本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、組成物は、1つ以上の偏性嫌気性細菌を含む。本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、組成物は、偏性嫌気性細菌のみを含む。
本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、細菌株のうちの1つ以上は、芽胞形成菌である。本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、細菌株のうちの1つ以上は、芽胞の形態にある。本明細書において提供される組成物のいくつかの態様において、細菌株のうちの1つ以上は、非芽胞形成菌である。
いくつかの態様において、本明細書において記載される組成物は、芽胞形成性および非芽胞形成性細菌株を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される組成物は、芽胞形成性細菌株を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される組成物は、芽胞形成性細菌株のみを含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される組成物は、非芽胞形成性細菌株のみを含む。芽胞形成性細菌は、芽胞の形態(すなわち、芽胞として)であっても、栄養型(すなわち、栄養細胞として)であってもよい。芽胞の形態において、細菌は、一般に、熱、酸、放射線、酸素、化学物質および抗生物質などの環境条件に対して、より耐性である。対照的に、栄養型状態または活発に増殖している状態においては、細菌は、芽胞の形態にあるものと比較して、かかる環境条件に対して、より易感受性である。一般的に、細菌の芽胞は、適切な条件下において、芽胞の形態から出芽して栄養型/活発に増殖している状態になることができる。例えば、芽胞形式における細菌は、それらが腸内に導入された場合に、出芽する場合がある。
いくつかの態様において、組成物中の細菌株のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5つ、またはそれより多く)は、芽胞形成菌である。いくつかの態様において、組成物中の細菌株のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5つ、またはそれより多く)は、芽胞の形態にある。いくつかの態様において、組成物中の細菌株のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5つ、またはそれより多く)は、非芽胞形成菌である。いくつかの態様において、組成物中の細菌株のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5つ、またはそれより多く)は、栄養型ある(上で議論されるとおり、芽胞形成性細菌はまた、栄養型であり得る)。いくつかの態様において、組成物中の細菌株のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5つ、またはそれより多く)は、芽胞の形態にあり、組成物中の細菌株のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5つ、またはそれより多く)は、栄養型ある。いくつかの態様において、少なくとも1つの細菌株は、芽胞を形成することができる(すなわち、芽胞形成菌)と考えられるが、組成物中では栄養型で存在する。いくつかの態様において、芽胞を形成することができると考えられる少なくとも1つの細菌株は、組成物中で、芽胞の形態と栄養型との両方において存在する。
明細書において提供される組成物の細菌株は、生きており、標的領域(例えば腸)に到達したときに生きているであろうことが、想起される。細菌の芽胞は、この点において、生きているとみなされる。いくつかの態様において、芽胞として投与される細菌は、標的領域(例えば腸)において出芽してもよい。さらに、細菌の全てが生きているわけではなく、組成物は、あるパーセンテージ(例えば重量による)の生きていないものを含んでもよいことが、理解されるべきである。加えて、いくつかの態様において、組成物は、投与された時点において、または組成物が標的領域(例えば腸)に到達した時点において、生きていない細菌株を含む。生きていない細菌は、いくつかの栄養および代謝物を組成物中の他の細菌株に提供することにより、なお有用であり得ることが想起される。
本明細書において提供される組成物のうちのいずれかにおいて、いくつかの態様において、細菌株は、精製される。本明細書において提供される組成物のうちのいずれかにおいて、いくつかの態様において、細菌株は単離される。本明細書において記載される細菌株のうちのいずれかは、例えば、培養物または細菌叢試料(例えば糞便)などのソースから、単離されていても、および/または精製されていてもよい。本明細書において提供される組成物において用いられる細菌株は、一般に、健常個体のマイクロバイオームから単離される。しかし、細菌株はまた、健常ではないとみなされる個体から単離することもできる。いくつかの態様において、組成物は、複数の個体に由来する株を含む。本明細書において用いられる場合、「単離される」という用語は、別の細菌もしくは細菌株などの1つ以上の望ましくない構成成分、増殖培地の1つ以上の構成成分、および/または便試料などの試料の1つ以上の構成成分から、単離された細菌を指す。いくつかの態様において、細菌は、ソースの他の構成成分が検出されないように、ソースから実質的に単離される。また本明細書において用いられる場合、「精製される」という用語は、混入物などの1つ以上の構成成分から分離された細菌株またはかかるものを含む組成物を指す。いくつかの態様において、細菌株は、混入物を実質的に含まない。いくつかの態様において、組成物の1つ以上の細菌株は、独立して、細菌株を含む培養物または試料において産生されるかおよび/または存在する1つ以上の他の細菌から、精製されてもよい。いくつかの態様において、細菌株は、試料から単離または精製され、次いで、細菌の複製のために適切な条件下において、例えば嫌気培養条件下において、培養される。細菌の複製のために適切な条件下において生育された細菌を、その後、それが生育された培養物から、単離/精製することができる。
本明細書において記載される方法は、本明細書において記載される医薬組成物のうちのいずれかの投与を、それを必要とする対象にすることを含む。本明細書において用いられる場合、「対象」、「個体」および「ペイシェント(patient)」は、交換可能に用いられ、脊椎動物、好ましくはヒトなどの哺乳動物を指す。哺乳動物として、これらに限定されないが、ヒト霊長類、非ヒト霊長類、または、ネズミ科、ウシ属、ウマ科、イヌ科もしくはネコ科の種が挙げられる。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。いくつかの態様において、ヒト対象は、新生児の対象、小児の対象、青年の対象、成人の対象または老齢の対象である。いくつかの態様において、対象は、肝性脳症を有するか、これを有するリスクがある。
本明細書において記載される組成物のうちのいずれかは、対象に、肝性脳症を処置または予防するための治療有効量または治療有効量の用量において、投与されてもよい。いくつかの態様において、本明細書において記載される組成物のうちのいずれかは、対象に、免疫チェックポイント阻害剤治療に関連する大腸炎を処置または予防するための治療有効量または治療有効量の用量において、投与されてもよい。「処置する」または「処置」という用語は、疾患または障害(例えば肝性脳症)に関連する症状のうちの1つ以上を減少させるかまたはこれを緩和することを指す。「予防する(prevent)」または「予防(prevention)」という用語は、予防的(prophylactic)投与を包含し、疾患または障害(例えば肝性脳症)の罹患率またはこれを経験する可能性を低下させ得る。
本明細書において用いられる場合、「治療有効量」という用語は、「有効量」という用語と交換可能に用いてもよい。本明細書において記載されるとおりの組成物、例えば医薬組成物の治療有効量または有効量は、対象において、本明細書において記載されるもののような所望される応答またはアウトカムをもたらす、任意の量である。いくつかの態様において、治療有効量は、肝性脳症を処置するために十分な量である。
細菌株を含む組成物に関する「有効量」という用語は、投与されるべき細菌の数またはCFUとして表されてもよいことが理解されるべきである。さらに、細菌は、一旦投与された後で複製することができることが、理解されるべきである。したがって、比較的少量の細菌の投与であっても、治療効果を有し得る。
本明細書において記載されるとおり、肝性脳症(HE)とは、不適切な肝臓の機能から生じる脳の機能不全により特徴づけられる状態である。肝臓におけるかかる代謝機能不全の原因は、例えば、アルコール関連肝疾患、硬変、非アルコール性脂肪肝疾患、原発性胆汁性胆管炎、ウイルス性肝炎、例えばA型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスおよび/またはC型肝炎ウイルスにより引き起こされるものを含むと考えられる。例えば、Rose et al. J Hepatol. (2020) 73(6):1526-1547を参照されたい。結果として生じる脳の損傷は、HEの徴候、例えば、見当識障害、運動技能の喪失、および認知能力障害などと関連した。
HEの原因および病態形成は、完全には理解されていないが、一方で、アンモニアは、両方において役割を果たすと考えられる。アンモニアは、複数の解剖学的部位において、主にタンパク質が消化されてアミノ酸が脱アミノ化され、細菌が尿素をアンモニアに変換する腸において、産生される。肝臓が血中アンモニアレベルを制御することができない場合、過剰なアンモニアは、細胞の膨化、炎症、酸化ストレス、ミトコンドリア機能不全、細胞代謝の破壊、pHの変化を引き起こし得、膜電位を変更し得る。HEを処置する現在の方法は、主に、アンモニアを標的とすること、例えば、産生もしくは吸収を阻害すること、または血中におけるその濃度を低下させることを含む。
いくつかの態様において、対象は、肝性脳症を有するか、またはこれのリスクがある。一般的に、肝性脳症は、例えば、対象の機能障害、意識、知的機能、および/または行動のレベルに基づいて、分類してもよい。例えば、Cash et al. QJM: Internal. J. Med. (2010) 103(1): 9-16を参照されたい。いくつかの態様において、対象は、West Have基準に基づいて、グレード0、グレード1、グレード2、グレード3、またはグレード4の肝性脳症を有する。あるいは、または加えて、肝性脳症は、根底にある原因に基づいて、区別し得る型に分類してもよい。例えば、Ferenci et al. Hepatology (2003) 35(3): 716-721を参照されたい。いくつかの態様において、対象は、A型、B型、またはC型の肝性脳症を有する。
本明細書において記載される方法のうちのいずれかは、対象における肝性脳症の処置のためのものであってよい。本明細書において用いられる場合、肝性脳症を処置する方法は、肝性脳症に関連する少なくとも1つの症状を軽減もしくは緩和すること、または肝性脳症の進行を遅延させるかもしくはこれを逆転させることを含む。
いくつかの態様において、対象は、肝硬変症を有するか、またはこれのリスクがある。肝硬変は、肝臓の機能が、慢性および/または長期の傷害、例えば、ウイルス感染、アルコール依存症、または非アルコール性脂肪肝疾患により引き起こされるものにより損なわれる状態である。肝臓の傷害の後で、肝臓修復のプロセスにおいて瘢痕組織が形成し、これが、血流を遮断し、血圧を上昇させ、正常な肝臓の機能を損なう。この肝臓の機能の低下は、タンパク質合成、コレステロール代謝、およびアンモニア解毒を含む複数の重要な代謝プロセスを損なう。
いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物の細菌株は、細菌株の間の相乗作用により、肝性脳症を処置および/または予防することができる。
本明細書において記載されるとおり、本明細書において記載される医薬組成物のうちのいずれかは、対象に、1回用量において、または複数回用量において、投与されてもよく(例えば、最初の投与)、その後、本明細書において記載される医薬組成物のうちのいずれかの1つ以上の追加の用量が投与されてもよい。いくつかの態様において、本明細書において記載される医薬組成物のうちのいずれかは、対象に、最初の投与において、1回用量において、または複数回用量において、投与されてもよく、その後、最初の投与の医薬組成物と同じ1つ以上の細菌株を含む医薬組成物の追加の1回用量以上が、投与されてもよい。いくつかの態様において、本明細書において記載される医薬組成物のうちのいずれかは、対象に、最初の投与において、1回用量において、または複数回用量において、投与されてもよく、その後、医薬組成物の最初の投与と比較してより多い総細菌(コロニー形成単位)を含む医薬組成物の追加の1回用量以上が投与されてもよい。いくつかの態様において、本明細書において記載される医薬組成物のうちのいずれかは、対象に、最初の投与において、1回用量において、または複数回用量において、投与されてもよく、その後、医薬組成物の最初の投与と比較してより少ない総細菌(コロニー形成単位)を含む医薬組成物の追加の1回用量以上が投与されてもよい。いくつかの態様において、最初の投与は、本明細書において記載される医薬組成物のうちのいずれかの、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15回、またはそれ以上の用量を含む。いくつかの態様において、追加の投与は、本明細書において記載される医薬組成物のうちのいずれかの、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15回、またはそれ以上の用量を含む。いくつかの態様において、最初の投与は、医薬組成物のうちのいずれかの2回用量を含み、追加の投与は、本明細書において記載される医薬組成物のうちのいずれかの3回用量を含む。
いくつかの態様において、対象は、細菌組成物の投与の前に、抗生物質の用量を受けていない。いくつかの態様において、対象は、本明細書において提供される組成物の投与の前、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも15日間、少なくとも20日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、少なくとも180日間または少なくとも360日間、抗生物質を投与されていない。いくつかの態様において、対象は、本明細書において提供される細菌組成物の1つ以上の株の移植を可能にするために十分な量の抗生物質で処置される。
いくつかの態様において、投与レジメンは、本明細書において記載される組成物のうちのいずれかの複数用量の投与を伴う。いくつかの態様において、組成物は、対象に、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、またはそれより多く、経口で投与される。いくつかの態様において、本明細書において記載される組成物のうちのいずれかは、複数用量において、規則的な間隔を空けて、例えば、毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、2週毎、4週毎、毎月、2か月毎、3か月毎、4か月毎、5か月毎、6か月毎に、またはそれより長い間隔を空けて、対象に投与される。いくつかの態様において、本明細書において記載される組成物のうちのいずれかの1つの用量が、投与され、組成物の第2の用量が、翌日(例えば、連続する日)に投与される。いくつかの態様において、本明細書において記載される組成物のうちのいずれかの1つの用量が、投与され、組成物の追加の用量の各々は、連続する日に投与される(例えば、1日目において第1の用量、2日目において第2の用量、3日目において第3の用量、など)。
いくつかの態様において、対象は、本明細書において記載される細菌組成物のいずれかの投与の前に、単回用量の抗生物質を投与される。いくつかの態様において、対象は、本明細書において記載される細菌組成物のいずれかの投与の前に、複数回用量の抗生物質を投与される。いくつかの態様において、対象は、本明細書において記載される細菌組成物のいずれかの投与の前に、少なくとも2、3、4、5回、またはそれ以上の用量の抗生物質を投与される。いくつかの態様において、対象は、本明細書において記載される細菌組成物のいずれかの投与と実質的に同じ時点において、抗生物質の用量を投与される。投与することができる抗生物質の例として、限定することなく、カナマイシン、ゲンタマイシン、コリスチン、メトロニダゾール、バンコマイシン、クリンダマイシン、フィダキソマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシン、およびセフォペラゾンが挙げられる。
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つにおけるいくつかの態様において、対象は、マイクロバイオーム中の本明細書において記載される組成物の細菌株のうちの1つ以上の存在について評価される。いくつかの態様において、マイクロバイオーム中に、本明細書において記載される細菌組成物の細菌株のうちの1つ以上を有さないか、またはその低いレベルのみを有する場合、本明細書において提供される組成物のうちのいずれか1つ、または本明細書において提供される組成物のうちのいずれか1つのさらなる1回用量以上が、投与されてもよい。
いくつかの態様において、対象は、マイクロバイオーム中の、本明細書において記載される細菌組成物の1つ以上の細菌株の存在および/または豊富さについて評価される。いくつかの態様において、組成物の1つ以上の細菌株が閾値よりも高いレベルで検出される場合、さらなる組成物または食品製品は、対象に投与されない。いくつかの態様において、組成物の1つ以上の細菌株が、閾値より高いレベルで対象に生着する場合、さらなる組成物または食品製品は、対象に投与されない。
組成物の細菌株は、当該分野において周知の発酵技術を用いて、製造することができる。いくつかの態様において、活性成分は、嫌気性細菌株の迅速な増殖を支援することができる、嫌気性発酵槽を用いて製造される。
嫌気性発酵槽は、例えば、攪拌槽型反応器または使い捨てのWAVE Bioreactorであってもよい。BL培地およびEG培地、または動物構成要素のないこれらの培地の同様のバージョンなどの培養培地は、細菌種の成長を支援するために使用され得る。細菌産物は、遠心分離および濾過などの既存の技法によって発酵ブロスから精製および濃縮され得、および任意に当該技術分野において周知である技法によって乾燥および凍結乾燥され得る。
いくつかの態様において、生細菌産物は、医薬組成物としての投与のために製剤化されていてもよい。用語「医薬組成物」は、本明細書に使用されるとき、本明細書に記載の細菌株のいずれかなどの少なくとも1の活性成分と1以上の不活性成分を混合するかまたは組み合わせることから生じる産物を意味し、1以上の薬学的に許容し得る賦形剤を包含してもよい。
「許容し得る」賦形剤は、活性成分と適合し、および投与される対象に対し有害であってはならない賦形剤を指す。いくつかの態様において、薬学的に許容し得る賦形剤は、組成物の投与の意図されたルートに基づき選択され、例えば、経口または経鼻投与のための組成物は、直腸投与のための組成物とは異なる薬学的に許容し得る賦形剤を含むであろう。賦形剤の例は、滅菌水、生理食塩水、溶媒、基材、乳化剤、懸濁化剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ビヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、潤滑剤、着色剤、甘味料、増粘剤、および可溶化剤を包含する。
医薬組成物は、当該技術分野において周知であり、および日常的に実行されている方法に従って調製され得る(例として、Remington: The ScienceおよびPractice of Pharmacy, Mack Publishing Co. 20th ed. 2000を参照されたい)。本明細書に記載の医薬組成物は、凍結乾燥製剤または水性溶液の形態でいずれかの担体または安定剤をさらに含んでもよい。許容し得る賦形剤、担体、または安定剤は、例えば、バッファー、抗酸化剤、防腐剤、ポリマー、キレート試薬および/または界面活性剤を包含してもよい。医薬組成物は、好ましくはGMPの条件下で製造される。医薬組成物は、実例として、カプセル、錠剤、丸薬、サッシェ、液体、粉末、顆粒、細粒、フィルムコーティングされた製剤、ペレット、トローチ、舌下製剤、チュアブル、バッカル剤、ペースト、シロップ、懸濁液、エリキシル、エマルション、塗布薬、軟膏、膏薬、パップ剤、経皮吸収系、ローション、吸入剤、エアロゾル、注射、坐薬等の形態で経口的に、経鼻的にまたは非経口的に、使用され得る。いくつかの態様において、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下、または皮内投与などの注射によって使用され得る。
いくつかの態様において、細菌株を含む組成物は、経口送達用に製剤化されている。いくつかの態様において、細菌は、腸(例として、小腸および/または結腸)への送達用に製剤化されている。いくつかの態様において、細菌は、胃における厳しい環境を通して細菌の生存を増加させる腸容性のコーティングをされて製剤化されていてもよい。腸溶性のコーティングは、その中に組み込まれた細菌が胃を通過して腸内に入るように、胃における胃液の作用に抵抗するものである。腸溶性のコーティングは、コーティング内に封入された細菌が、腸管内に放出されるように、腸液と接触したときに容易に溶解してもよい。腸溶性のコーティングは、市販のEUDRAGIT(Evonik Industries)などの当該技術分野において周知であるポリマーおよびコポリマーからなるものであってもよい(例として、Zhang, AAPS PharmSciTech, 2016, 17 (1), 56-67を参照されたい)。
細菌を含む組成物はまた、腸(例として、結腸)への直腸送達用に製剤化されていてもよい。よって、いくつかの態様において、細菌組成物は、座薬、結腸内視鏡検査、内視鏡検査、S状結腸鏡検査または浣腸によって送達されるために製剤化されていてもよい。医薬調製物または製剤および得に経口投与のための医薬調製物は、腸(例として、結腸)への本開示の組成物の効率的な送達を可能にする追加の構成要素を包含してもよい。腸(例として、結腸)への組成物の送達を可能にする様々な医薬調製物が使用され得る。その例は、pH感受性組成物、より具体的に言うと、腸溶性ポリマーが胃を通過したのちにpHがアルカリ性になるときに、それらの内容物を放出する緩衝化サッシェ製剤または腸溶性ポリマーを包含する。pH感受性組成物が医薬調製物を製剤化するために使用されるとき、pH感受性組成物は、好ましくは、その組成物の変質のpH域値が約6.8~約7.5の間であるポリマーである。かかる数値範囲は、pHが胃の遠位部でアルカリ側にシフトする範囲であり、およびゆえには、結腸への送達における使用のための好適な範囲である。腸の各部分(例として、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸および直腸)は、異なる生化学的および化学的環境を有することをさらに理解すべきである。実例として、腸の部分は、異なるpHを有し、特定のpH感度を有する組成物により標的化された送達を可能とする。よって、本明細書に提供される組成物は、適切なpH感度を有する製剤を提供することによって、腸または特定の腸の部分(例として、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸および直腸)への送達用に製剤化されているであろう(例として、Villena et al.,Int J Pharm (2015) 487 (1-2): 314-9を参照されたい)。
追加のまたは代替のルートによる投与のための医薬組成物もまた、本開示の範囲内である。いくつかの態様において、医薬組成物は、舌下投与用に製剤化されている。いくつかの態様において、医薬組成物は、注射による投与用に製剤化されている。
いくつかの態様において、医薬組成物は、胃腸管(例として、結腸)などの所望される部位への本開示の組成物の効率的な送達を可能にする追加の構成要素を包含してもよい。
腸(例として、結腸)への組成物の送達のために有用な医薬調製物の別の態様は、小腸の通過時間に対応する、およそ3~5時間、内容物(例として、細菌株)の放出を遅延させることによって結腸への送達を確実にするものである。遅延放出のための医薬調製物の一態様において、ハイドロゲルが、シェルとして使用される。ハイドロゲルは、胃腸液と接触する際に水和および膨張し、その結果内容物は、有効に放出される(主として結腸で放出される)。遅延放出投薬量ユニットは、投与される薬物または活性成分をコーティングするかまたは選択的にコーティングする材料を有する、薬物を含有する組成物を包含する。かかる選択的コーティング材料の例は、in vivo分解性ポリマー、徐々に加水分解可能なポリマー、徐々に水に溶けるポリマーおよび/または酵素分解性ポリマーを包含する。放出を効率的に遅延させるための多種多様のコーティング材料は、入手可能であり、および、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロースをベースとしたポリマー、メタクリル酸ポリマーおよびコポリマーなどのアクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ならびにポリビニルピロリドンなどのビニルポリマーおよびコポリマーを包含する。
腸(例として、結腸)への送達を可能とする医薬組成物の追加の例は、結腸粘膜に特異的に付着する生態付着性組成物(例えば、米国特許第6,368,586号の明細書に記載のポリマー)、および特に生物製剤調製物を胃腸管においてプロテアーゼの活性に起因した分解から保護するためのプロテアーゼインヒビターが組み込まれている組成物を包含する。
腸(例として、結腸)への送達を可能とするシステムの別の例は、胃の遠位部での細菌の発酵におけるガスの生成によって引き起こされる圧力の変化を利用することによって内容物が放出されるように、圧力変化によって結腸へと組成物を送達するシステムである。かかるシステムは、特に限定はされないが、そのより具体的な例としては、坐薬ベース中に内容物を分散し、および疎水性ポリマー(例えば、エチルセルロース)でコーティングされるカプセルである。
腸(例として、結腸)への組成物の送達を可能とするシステムのさらなる例は、例えば、炭水化物ヒドロラーゼまたは炭水化物レダクターゼなどの消化管(例として、結腸)において存在する酵素によって取り除かれ得るコーティングを包含する組成物である。かかるシステムは、特に限定はされないが、よりその具体的な例としては、非デンプン多糖類、アミロース、キサンタンガムおよびアゾポリマーなどの食物構成要素を使用するシステムを包含する。
本明細書に提供される組成物はまた、開口部を通して(例として、鼻腔チューブ)または外科手術を通して送達することによって、腸などの特定の標的エリアへ送達され得る。加えて、特定のエリア(例として、盲腸または結腸)への送達用に製剤化されている本明細書に提供される組成物は、チューブによって(例として、直接小腸内に)投与されてもよい。チューブなどの機械的な送達方法とpH特異的なコーティングなどの化学的な送達方法とを組み合わせることは、本明細書に提供される組成物の所望される標的エリア(例として、盲腸または結腸)への送達を可能とする。
細菌を含む組成物は、当業者にとって既知の従来の方法によって薬学的に許容し得る剤形内に製剤化されている。投薬レジメンは、最適な所望される応答(例として、予防的または治療的効果)を提供するよう調整される。いくつかの態様において、組成物の剤形は、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、顆粒、溶液、または坐薬である。いくつかの態様において、医薬組成物は、経口投与用に製剤化されている。いくつかの態様において、医薬組成物は、組成物の細菌、またはこの一部が、対象の胃を通過した後に生存できるままであるように製剤化されている。いくつかの態様において、医薬組成物は、直腸投与用に、例として、坐薬として製剤化されている。いくつかの態様において、医薬組成物は、適切なコーティング(例として、pH特異的コーティング、標的エリア特異的な酵素によって分解され得るコーティング、または標的エリアに存在する受容体に結合し得るコーティング)を提供することによって、腸または腸の特定のエリア(例として、結腸)への送達用に製剤化されている。
いくつかの態様において、本明細書において開示される組成物は、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約1010、約1011、約1012、約1013個、またはそれより多くの細菌を含む。いくつかの態様において、本明細書において開示される組成物は、1ミリリットルあたり、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約1010、約1011、約1012、約1013個、またはそれより多くの細菌を含む。細菌のうちのいくつかは、生きていない場合があることが理解されるべきである。いくつかの態様において、本明細書において開示される組成物は、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約1010、約1011、約1012、約1013個またはそれより多くの細菌のコロニー形成単位(cfu)を含む。いくつかの態様において、本明細書において開示される組成物は、1ミリリットルあたり、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約1010、約1011、約1012、約1013個またはそれより多くの細菌のコロニー形成単位(cfu)を含む。
いくつかの態様において、本明細書において開示される組成物は、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、1010~1013の間、1011~1013の間、1012~1013の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、1010~1012の間、1011~1012の間、10~1011の間、10~1011の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1011の間、10~1011の間、10~1011の間、1010~1011の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、または10~10の間の総細菌またはコロニー形成単位を含有する。いくつかの態様において、本明細書において開示される組成物は、1ミリリットルあたり、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、1010~1013の間、1011~1013の間、1012~1013の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、1010~1012の間、1011~1012の間、10~1011の間、10~1011の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1011の間、10~1011の間、10~1011の間、1010~1011の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、または、10~10の間の総細菌またはコロニー形成単位を含有する。
いくつかの態様において、本明細書において開示される組成物は、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、1010~1013の間、1011~1013の間、1012~1013の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、1010~1012の間、1011~1012の間、10~1011の間、10~1011の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1011の間、10~1011の間、10~1011の間、1010~1011の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、または10~10の間の細菌細胞または細菌のコロニー形成単位を含有する。いくつかの態様において、本明細書において開示される組成物は、1ミリリットルあたり、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、1010~1013の間、1011~1013の間、1012~1013の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、10~1012の間、1010~1012の間、1011~1012の間、10~1011の間、10~1011の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1013の間、10~1011の間、10~1011の間、10~1011の間、1010~1011の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~1010の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、10~10の間、または10~10の間の細菌細胞または細菌のコロニー形成単位を含有する。
いくつかの態様において、組成物は、1ミリリットルあたり10~10の間(境界を含む)の細菌細胞または細菌のコロニー形成単位を含む。
いくつかの態様において、組成物が1つより多くの細菌株を含む場合、各々の細菌株は、組成物中に、細菌細胞またはCFUに関して同じ量において存在する。例えば、Clostridium symbiosumおよびBlautia productaを含む組成物は、1ミリリットルあたり、1×10CFUのClostridium symbiosumおよび1×10CFUのBlautia productaを含んでもよく、または、1ミリリットルあたり、1×10個のClostridium symbiosum細胞および1×10個のBlautia producta細胞を含んでもよい。
本開示の側面は、本明細書に提供される組成物のいずれかおよび栄養素を含む食品製品を提供する。本明細書に記載の細菌株のいずれかおよび栄養素を含む食品製品もまた本開示の範囲内である。食品製品は、一般に、ヒトまたは動物の消費を対象としている。本明細書に記載の細菌株のいずれかは、食品製品として製剤化されていてもよい。いくつかの態様において、細菌株は、芽胞形態で食品製品として製剤化されている。いくつかの態様において、細菌株は、栄養形態で食品製品として製剤化されている。いくつかの態様において、食品製品は、栄養型細菌および芽胞形態での細菌の両方を含む。本明細書に開示の組成物は、健康食品または飲料、幼児のための食物または飲料、妊婦、運動選手、高齢者または他の特定されたグループのための食物または飲料、機能的食品、飲料、特定された健康の使用のための食物または飲料、栄養補助食品、ペイシェントのための食物または飲料、または動物用飼料などの食物または飲料に使用され得る。
食物および飲料の非限定例は、ジュース、清涼飲料水、茶、ドリンク調製物、ゼリー飲料、および機能性飲料などの様々な飲料;ビールなどのアルコール飲料;コメ食品製品、麺類、パン、およびパスタなどの炭水化物を含有する食物;魚肉ハム、ソーセージ、魚介類のペースト製品などのペースト製品;カレー、粘度のあるデンプン質のソースを和えた食物、スープなどのレトルトパウチ製品;ミルク、乳飲料、アイスクリーム、チーズ、およびヨーグルトなどの乳製品;味噌、ヨーグルト、発酵飲料、およびピクルスなどの発酵製品;豆製品;ビスケット、クッキー等を包含する洋菓子製品、饅頭、水羊羹等を包含する和菓子製品、キャンディー、チューインガム、グミ、ゼリーを包含する冷たいデザート、クリームキャラメル、および冷菓などの様々な菓子製品;インスタントスープおよびインスタント大豆入りスープなどのインスタント食品;電子レンジ食品;等を包含する。さらに、例はまた、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、液体、ペーストおよびゼリーの形態で調整される健康食品および飲料を包含する。
本明細書に記載の細菌株を含有する食品製品は、当該技術分野において知られている方法を使用して産生されてもよく、および本明細書に提供される医薬組成物と同じ量(例として、重量、量またはCFUで)の細菌を含有していてもよい。食品製品中の細菌の適切な量の選択は、例えば、食品製品の提供サイズ、食品製品の消費の頻度、食品製品中に含有される特定の細菌株、食品製品中の水の量、および/または食品製品中の細菌の生存のための追加の条件を包含する様々な因子に依存するであろう。
本明細書に記載の細菌株のいずれかを含有するよう製剤化されているであろう食品製品の例は、限定せずに、飲料、ドリンク、バー、スナック、乳製品、菓子製品、シリアル製品、加工製品、栄養補助食品製剤などの栄養学上の製剤、食物または飲料添加剤を包含する。
均等物および範囲
本開示は、その適用を構成の詳細および以下の記載で表されるかまたは図面において説明される構成要素の配置に限定されるものではない。本発明は、他の態様および様々な手法で実践され、または実行されることが可能である。また、本明細書において使用される言い回しおよび専門用語は、説明の目的のためのものであり、および限定のためのものとはみなされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」または「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」およびそのバリエーションの使用は、その後に列記される項目およびその均等物ならびに追加の項目を包含することを意図される。
本明細書に他に定義されない限り、本開示と関連して使用される科学的および技術的用語は、一般的に当業者によって理解される意味を有するだろう。さらに、文脈によって他に必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を包含し、および複数形の用語は、単数形を包含するだろう。本開示の方法および技法は、一般に当該技術分野において周知である従来の方法に従い実施される。一般に、本明細書に記載の生化学、酵素学、分子および細胞生物学、微生物学、ウイルス学、細胞または組織培養、遺伝学およびタンパク質および核酸化学の技法ならびにそれらに関連して使用される命名法は、当該技術分野において周知であり、および一般に使用される。本開示の方法および技法は、一般に当該技術分野において周知である従来の方法に従って、および他に指し示されない限り、本明細書を通じて引用および議論されている様々な一般的およびより具体的な参照文献に記載されるとおり実施される。
本開示は、さらに以下の例によって説明されるが、そのことは決してさらに限定するものとしては解釈されるべきではない。本出願を通じて引用されている参照(文献参照、交付済み特許、公開された特許出願、および同時係属特許出願を包含する)のすべての内容全体は、とりわけ上述のとおりに参照される教示について、これによって明確に参照により組み込まれる。しかしながら、いずれかの参照の引用は、参照が先行技術であることの了解を意図しているわけではない。

例1:肝性脳症の処置のための8株の精製された細菌混合物の評価
この例は、8つの細菌株を含む腸内細菌製剤(live biotherapeutic product:LBP)の効果を記載する。LBPは、表1において記載されるとおり、健常ドナーに由来する8つの共生性の非病原性クロストリジウム株を含んでなる。これらの細菌株は、良好に耐容され、健常ドナーから単離されたものであり、よく特徴づけられ、一次胆汁酸を二次胆汁酸へと効率的に変換し、実質的な量のアセテート、ブチレートおよびプロピオネートなどの単鎖脂肪酸を生成することが知られている(図1A~1C)。
加えて、当該細菌株は、HEのための現在の標準治療の治療剤であるリファキシミンに対して耐性であり、このことが、LBPを、リファキシミンで現在処置されているペイシェントにおいて使用する余地があるものとしている。
LBPの安全性および耐容性を、肝性脳症(HE)についてのリスクがある対象のコホートにおいて、LBP処置されたコホートおよびプラセボ処置されたコホートにおける6か月間の研究全体にわたり評価した。
対象は、対象が以下である場合に含めた:(1)肝生検、画像診断、または臨床的代償不全のエビデンスに基づいて硬変の診断を有した場合;(2)過去において少なくとも1回の顕性HEのエピソードの病歴を有した場合;および(3)ラクツロースおよびリファキシミンの両方が処方されており、処置に従っている場合。
対象は、以下の条件のうちのいずれかが該当する場合、除外された:
・顕性HEの現在のエピソード
・過去4週間以内の静脈瘤出血
・過去28日間以内の腸吸収性または静脈内の抗生物質治療
・過去6か月間以内の便微生物移植
・過去2週間以内のプロバイオティクスの使用
・過去4週間以内のアルコールまたは違法薬物の摂取
・肝疾患の原因としての原発性硬化性胆管炎
・炎症性腸疾患、短腸症候群(short gut)、胃腸管瘻孔、腸管虚血の病歴、または進行中の大腸炎の任意の形態
・先の認知症または他の原発性神経認知障害の診断
・バンコマイシン、ならびにスクロース、ヒスチジン、酵母抽出物、システイン、メタ重亜硫酸、および微晶質セルロースを含むLBPの任意の成分に対する既知の過敏症/アレルギー/不耐性
・ルー・アン・ワイ胃バイパス術の病歴
・前年における任意の胃腸外科手術
・実質的な免疫不全/欠損(例えば、制御されないヒト免疫不全ウイルス、高用量の副腎皮質ステロイドまたは移植片拒絶を予防するための医薬を含む能動的な免疫抑制治療、最近の骨髄破壊的治療、持続している好中球減少症)
・妊娠または母乳栄養
・末期肝疾患についてのモデル(MELD)>20
・特発性細菌性腹膜炎の病歴
・過去28日間以内の血液透析
・過去3か月間以内の門脈大循環シャントまたは経頸静脈的肝内門脈体循環シャントの留置(登録の3か月前より前に留置した場合は差し支えない)
・オピエート、ベンゾジアゼピンまたは他の鎮静性医薬の不安定な用量
対象が登録された後で、全ての対象に、バンコマイシンを、連続する5日間にわたり投与して(1日4回、125mgのバンコマイシン)、腸在住細菌叢を除去した。対象を、次いで、LBP処置コホートまたはプラセボ処置コホート(LBP:プラセボ=2:1)に無作為化した。14日にわたり、毎日、対象は、LBPまたはプラセボのいずれかの用量を1日当たり5カプセルの形態において受けた(図2A)。対象は、HEのリスクを軽減するための治療標準の処置を受け、これは、研究の介入部分および経過観察部分全体にわたりラクツロースおよびリファキシミンを継続することを含んだ(図2B)。以下の時点において、HEの症状を評価するための認知試験を行い、便および血清試料を回収した:
(1)バンコマイシン投与の前;
(2)バンコマイシン投与が完了した後であるが、LBPまたはプラセボの投与の前;
(3)14日間にわたるLBPまたはプラセボ投与が完了した直後;
(4)LBPまたはプラセボ投与が完了した2週間後;
(5)LBPまたはプラセボ投与が完了した4週間後;および
(6)LBPまたはプラセボ投与が完了した6か月間後。
認知試験は、精神医学的肝性脳症スコア(PHES)の試験のシリーズを用いた。対象のPHESは、認知および精神運動の処理スピードならびに視覚運動の協調を評価する一連の5つの筆記試験を用いて測定する。各々のサブテストのスコアは、年齢関連標準に基づいた値(正規平均(normal mean)の1標準偏差(SD)上よりも良好なスコアについては1+から、正規平均の3SD下よりも低いスコアについては-3まで)を割り当てられる。組み合わされたスコアは、+6~-18の範囲である。
本研究において測定された一次アウトカムは、以下であった:(1)LBPまたはプラセボ投与の完了の4週間後である6週目までの深刻な有害事象の数により測定されたものとしての、安全性;および(2)バンコマイシン前から6週目までの認知機能の尺度としてのPHESの変化により測定されたものとしての、効力。
二次アウトカムは、以下を含んだ:(1)LBPまたはプラセボ投与が完了の6か月後である26週目までの顕性のHEのための入院の数;(2)26週目までの有害事象;(3)バンコマイシン前から26週目までに報告されたPatient-Reported Outcome Measurement Information System(登録商標)(PROMIS(登録商標))Global Healthの変化;(4)顕性のHEが発症した場合には、顕性のHEを発症するまで要した時間の長さ;(5)便試料のメタゲノムシーケンシングにより評価されたものとしての、便の回収時点の間のβ多様性に基づく、バンコマイシン前から26週目までの腸のマイクロバイオームの組成の変化;(6)バンコマイシン前から26週目までの、一次胆汁酸、二次胆汁酸、SCFA、および炎症マーカーの濃度を含む血清バイオマーカーの変化;(7)バンコマイシン前から26週目までのPHES。
配列
VE303-1 Clostridium bolteae 16SリボソームRNA
(配列番号1)
VE303-2 Anaerotruncus colihominis 16SリボソームRNA
(配列番号2)
VE303-3 Sellimonas intestinalis 16SリボソームRNA
(配列番号3)
VE303-4 Clostridium symbiosum 16SリボソームRNA
(配列番号4)
VE303-5 Blautia producta 16SリボソームRNA
(配列番号5)
VE303-6 Dorea longicatena 16SリボソームRNA
(配列番号6)
VE303-7 Clostridium innocuum 16SリボソームRNA
(配列番号7)
VE303-8 Flavonifractor plautii 16SリボソームRNA
(配列番号8)

Claims (24)

  1. 対象において肝性脳症を処置または予防する方法であって、対象に、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiからなる群より選択される細菌株を含む、精製された細菌混合物を含む、医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
  2. 医薬組成物が、Clostridium bolteae、Anaerotruncus colihominis、Sellimonas intestinalis、Clostridium symbiosum、Blautia producta、Dorea longicatena、Clostridium innocuum、およびFlavonifractor plautiiからなる精製された細菌混合物を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 対象において肝性脳症を処置または予防する方法であって、対象に、配列番号1~8からなる群より選択される核酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有する16S rDNA配列を含む細菌株を含む、精製された細菌混合物を含む、医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
  4. 医薬組成物が、配列番号1~8からなる群より選択される核酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有する16S rDNA配列を含む細菌株からなる、精製された細菌混合物を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 対象が、肝硬変症を有するか、または肝硬変症についてのリスクがある、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 細菌株のうちの1つ以上が、芽胞形成菌である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 細菌株が、1人より多いヒトドナーに由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法
  8. 薬学的に許容し得る賦形剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 細菌株が、凍結乾燥されたものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 細菌株が、噴霧乾燥されたものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 細菌株のうちの1つ以上が、芽胞の形態にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 細菌株の各々が、芽胞の形態にある、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 細菌株のうちの1つ以上が、栄養型である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 細菌株の各々が、栄養型である、請求項1~10または13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 医薬組成物は、1つ以上の腸溶性ポリマーをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 医薬組成物が、細菌株1つあたり1×10~1×1010の間のコロニー形成単位(CFU)を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 医薬組成物が、経口投与用に製剤化されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 医薬組成物が、カプセルの形態にある、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 医薬組成物が、結腸への送達用に製剤化されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 対象が、1回用量以上の抗生物質を、医薬組成物に先立ち投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 対象が、ヒトである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 医薬組成物が、1回用量として投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 医薬組成物が、対象に、1度より多く投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
  24. 医薬組成物は、複数回用量として投与される、請求項1~21または23のいずれか一項に記載の方法。
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