JP2024502715A - 有機金属化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、パラジウム錯体を調製するための新規なプロセスであって、高純度及び良好な収率で既知の生成物を調製することを可能にし、また新規なパラジウム錯体の調製を可能にする方法に関する。本発明はまた、特にカップリング反応のためのプレ触媒及び/又は触媒として適している新規なパラジウム錯体に関する。

Description

パラジウム触媒は、多種多様な化合物を生成するために有機合成化学において使用される。最も顕著なパラジウム触媒反応には、C-C結合形成反応及びC-ヘテロ原子結合形成反応が含まれ、これらは一般にクロスカップリング反応と呼ばれる。
とりわけ、一般式[Pd(ホスフィン)]のホモレプティックPd(0)錯体及び一般式[Pd(dvds)(配位子)]のヘテロレプティックPd(0)錯体がクロスカップリング触媒として使用され、式中、dvds=1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン及び配位子=ホスフィン又はNHCである。炭素-炭素カップリング反応及び炭素-ヘテロ原子カップリング反応の両方のための最良の第3世代クロスカップリング触媒の1つは、Pd(I)ダイマーであるジ-μ-ブロモ-ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)-ジパラジウム(I)([Pd(μ-Br)(PtBu)])である。カップリング反応のために最も広く使用されているクラスのプレ触媒の中には、π-アリルパラジウムクロリド錯体がある。
[Pd(ホスフィン)]型のホモレプティックパラジウム(0)錯体は、一般に、[Pd(η-C)-(η-C)]を遊離ホスフィンと反応させることによって合成される。(T.Yoshida,S.Otsuka,D.G.Jones,J.L.Spencer,P.Binger,A.Brinkmann,P.Wedemann,in:Inorg.Synth.,John Wiley & Sons,Inc.,Hoboken,NJ,USA,2007,101-107;S.Otsuka,T.Yoshida,M.Matsumoto,K.Nakatsu,J.Am.Chem.Soc.1976,98(19),5850-5858).このタイプの反応に関して、PPh(tBu)、PCy、P(tBu)、P(tBu)Me、P(1-Ad)Buを含む様々な配位子が試験されている。(H.Urata,H.Suzuki,Y.Moro-oka,T.Ikawa,J.Organomet.Chem.1989,364,235-244;A.G.Sergeev,A.Zapf,A.Spannenberg,M.Beller,Organometallics 2008,27,297-300).この合成経路の欠点は、特に、[Pd(η-C)-(η-C)]の不安定性及び高揮発性である。2007年に、Mitchell及びBairdは、より揮発性の低い[Pd(η-1-PhC(η-C)]錯体の調製及び[Pd(ホスフィン)]錯体を調整するための反応物質としてのその使用を報告しており、式中、ホスフィン=PPh、PMePh,PCy、P(tBu)Me及びPtBuである。(E.A.Mitchell,M.C.Baird,Organometallics 2007,26,5230-5238).あるいは、パラジウム(II)化合物[Pd(cod)(CHSiMe](A.L.Chan,J.Estrada,CE.Kefalidis,V.Lavallo,Organometallics 2016,35(19),3257-3260)を反応物質として使用した。しかしながら、これは比較的高価なパラジウム(0)前駆体化合物である。
このクラスの化合物の合成への他のアプローチは、様々なPd(II)前駆体から出発し、これを遊離ホスフィンの存在下で還元して、対応する[Pd(ホスフィン)]錯体にする。(C.S.Wei,G.H.M.Davies,O.Soltani,J.Albrecht,Q.Gao,C.Pathirana,Y.Hsiao,S.Tummala,M.D.Eastgate,Angew.Chem.Int.Ed.2013,52,5822-5826;V.V.Grushin,C.Bensimon,H.Alper,Inorg.Chem.1994,33,4804-4806).例は、PCyの存在下でのKOHによる(PCyPdClの還元であるが、追加のホスフィンの使用を不要にする他の方法でもある。様々な還元剤が、[(PCyPd(OAc)の還元について試験されており、ビス(ピナコラト)ジボロン(Bpin)が最も効率的であることが証明されている。
[Pd(ホスフィン)]タイプのホモレプティックパラジウム(0)錯体を調製するための以前から知られている方法の欠点は、高価な及び/又は取り扱いが困難な反応物質が使用されるか、又は例えば過剰のホスフィンが必要とされることである。従って、ここに記載された従来技術からの全ての方法は、経済的観点(原子に関して)及び/又は生態学的観点から不十分であると見なされるべきである。
更に、一般式[Pd(dvds)(ホスフィン)]を有するヘテロレプティックPd(0)錯体の調製が先行技術に記載されており、式中、dvds=1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンである。[(tmeda)Pd(CH](tmeda=N,N,N′,N′)と遊離ホスフィンとを、対応するジオレフィン溶液、すなわち過剰のジオレフィンdvdsの存在下で反応させると、ヘテロレプティックPd(0)錯体[Pd(dvds)(ホスフィン)]が得られる。(M.J.-L.Tschan,E.J.Garcia-Suarez,Z.Freixa,H.Launay,H.Hagen,J.Benet-Buchholz,P.W.N.M.van Leeuwen,J.Am.Chem.Soc.2010,132,6463-6473;M.G.Andreu,A.Zapf,M.Beller,Chem.Commun.2000,2475-2476)。このタイプの様々なホスフィン置換錯体が、PCyなどの単純なホスフィン及びより立体的に要求の高いホスフィンの両方を用いて調製されている。1999年からの刊行物(K.-R.Porschke et al.,J.Am.Chem.Soc.1999,121,9807-9823)には、一般式[Pd(dvds)(ホスフィン)]によるヘテロレプティック錯体を調製するための様々な合成経路が記載されている。記載されている合成の大部分は、一般式[Pd(1,6-ジエン)(ホスフィン)]又は[(tmeda)Pd(CH]による錯体から出発して行われる。著者らはまた、[Pd(dvds)]から出発する合成、すなわち、[Pd(dvds)]をPtBuと-30℃で反応させることによる、少なくとも溶液中で不安定なヘテロレプティックパラジウム(0)錯体[(tBuP)Pd(dvds)]の調製も記載しており、ここで、反応物質のモル比は1:2である。dvds/EtO混合物(体積比1:2)が反応媒体として選択される。Pd(0)化合物[(tBuP)Pd(dvds)]が66%の収率で得られた。著者らは、Pd(0)錯体[(tBuP)Pd(dvds)]の溶液中で、配位子再分配が起こり、[Pd(PtBu]及び[Pd(dvds)]を形成すると述べている。
一般式[Pd(dvds)(ホスフィン)]を有するヘテロレプティックPd(0)錯体を調製するための上記の方法は、比較的高価なパラジウム前駆体の使用に起因して、及び/又は過剰のジオレフィンdvdsが必要とされ、場合によってはジエチルエーテルが更なる溶媒として使用されるので、不利である。特に、最終生成物がdvds及び/又はエーテルからの汚染物を含有することを排除することはできない。このことは、触媒としてのこれらの化合物の使用に関して特に不利である。ジオレフィン過剰量の使用は、経済的観点(原子に関して)及び生態学的観点からも不利である。
[Pd(μ-Br)(PtBu)]の調製のために、様々な代替法、特に均化反応が、先行技術において、とりわけMingos et al及びVilar et alによって論じられている。第1の変形例(R.Vilar,D.M.P.Mingos et al.,J.Chem.Soc.,Dalton Trans.1996,4313-4314)では、パラジウム(0)錯体[Pd(dba)]xC(dba=ジベンジリデンアセトン)がPd源として提供され、2モル当量のPtBu及び0.5モル当量のCHBrと反応させられる。しかしながら、所望のPd(I)ダイマーは低収率(18%)でしか得られず、このことは、この経路が工業規模の生成に適していないことを意味する。第2の変形例(V.Dura-Vila,D.M.P.Mingos,R.Vilar et al.,J.Organomet.Chem.2000,600,198-205)では、パラジウム(0)錯体[Pd(dba)]xCに加えて、パラジウム(II)化合物[PdBr(cod)](cod=1,5-シクロオクタジエン)がPd源として使用される。この場合、より高い収率(60%)が達成される。しかしながら、第1に、高価で取り扱いが困難であり、特に保存が困難である反応物質[PdBr(cod)]の追加的な使用が必要である。加えて、第2に、反応物質[Pd(dba)]xCの結晶化、及び結果として生じる最終生成物の汚染が、合成中に起こり得る。
Schoenebeckのグループは、パラジウム(0)化合物[Pd(P(iPr)(tBu)]をPdI又はCuIのいずれかと反応させて錯体[Pd(μ-I)(P(iPr)(tBu)を得る2つの均化反応を記載している。(F.Schoenebeck et al.,Organometallics 2014,33,6879-6884)。PdIの使用及びCuIの使用の両方が不利である。これは、PdIが、PdBrと同様に、第1に高価であり、第2に、通常、使用前に最初に活性化されなければならないからである。CuIは比較的安価である。しかしながら、所望の目的化合物が微量のCuI又は他の銅種を含有することを排除することはできない。これは、[Pd(μ-I](P(iPr)(tBu)錯体を触媒又はプレ触媒として使用する観点から特に不利である。
欧州特許出願公開第2726202号明細書は、[Pd(μ-Br)(PtBu)]を調製するための方法を開示しており、これもまた均化反応を利用する。脂肪族又は芳香族溶媒中で、パラジウム(II)化合物PdBrとパラジウム(0)化合物[Pd(PtBu]とを反応させて、所望の目的化合物を得る。不都合なことに、PdBrは、比較的長期間にわたる保存中に老化プロセスを受ける。したがって、この方法の好ましい変形実施形態では、上述の反応の前に、追加の作業工程、すなわち溶媒中での処理、例えば分散によるPdBrの活性化が行われる。PdBrの活性化の程度に依存して、70%~ほぼ90%の範囲の収率が達成される。この方法の欠点は、反応物質PdBrの活性化のために必要とされる追加の時間、費用及び資源によって構成される。加えて、最終生成物が微量のPdBrを含有することを排除することはできない。
国際公開第2011/012889号によれば、アルカリ金属水酸化物の存在下、溶媒中で[PdBr(ジオレフィン)]とPtBuとの混合物を使用して、[Pd(μ-Br](PtBu)]錯体が調製される。2,5-ノルボルナジエン(NBD)に加えて、1,5-シクロオクタジエン(COD)が好ましいジオレフィンとして言及されている。しかしながら、[PdBr(COD)]及び[PdBr(NBD)]はいずれも取り扱いが困難である。特に、化合物は、低温で不活性ガス雰囲気下で保存されなければならない。別の欠点は、これらの反応物質がそれぞれの塩素誘導体から臭化カリウムによるハロゲン置換によって調製されることである。これは、関連する高いコスト及びかなりの貴金属損失のために、特に大規模用途に関して不利である。加えて、目的化合物[Pd(μ-Br)(PtBu)]は、問題のジオレフィン含有反応物質からの有機残留物によって汚染される可能性があり、これは、触媒又はプレ触媒としての使用に関して特に不利である。
[Pd(μ-Br)(PtBu)]を調製するための別の可能性は、ブロモベンゼンの[Pd(PtBu]への自己触媒酸化的付加である。しかしながら、この場合、目的化合物は、最大16%の低収率でしか得られず、すなわち、(PtBu)Pd(Ph)Br及び(PtBuPd(H)Brなどの他のパラジウム化合物との混合物でしか得られない(J.F.Hartwig et al.,J.Am.Chem Soc.2008,130,5842-5843)。
国際公開第2018/073559号は、とりわけ、[Pd(μ-Br](PtBu)]を調製するための方法を記載しており、この方法は、塩基の非存在下での[Pd(ジオレフィン)X]又はPdXの反応を含み、式中、Xはハロゲン化物である。
π-アリルパラジウムクロリド錯体は、Pd(II)及びPd(0)の両方から出発して、少なくとも1つの二重結合を有する有機物質との反応によって得ることができる。
Friesen,R.W.,Science of Synthesis:Product subclass 2:palladium-allyl complexes,Lautens,M.,Eds.;Thieme:Stuttgart,(2001);vol.1,p 113-264には、π-アリルパラジウムクロリド錯体を調製するためのいくつかの一般的な方法が記載されている:1)トランスメタル化;2)アリル水素引き抜き;3)酸化的付加。
トランスメタル化による錯体の調製は、パラジウム(II)ハロゲン化物又は酢酸パラジウム(II)の反応によって行うことができる。この目的のために、Itoh,K.;Fukui,M.;Kurachi,Y.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1977は、アリルシランとの500個の対応する反応を示し、Ogoshi,S.;Kakiuchi,K.;Kurosawa,H.,J.Organomet.Chem.,1994,481は、アリルスタンナンとの19個の反応を示し、Henc,B.;et al.,J.Organomet.Chem.,1980,191は、アリルグリニャール化合物との425個の反応を示し、Nesmeyanov,A.N.;Rubezhov,A.Z.,J.Organomet.Chem.,1979,164は、アリル水銀化合物による259個の反応を示している。
パラジウム(II)塩を塩基(通常は酢酸塩)と組み合わせて使用するアルケンからのアリル水素引き抜きによる錯体の合成のためのいくつかの方法が知られている。しかしながら、そのような反応は、限られた数の反応相手にしか適用できないことが多く、立体選択性及び位置選択性が問題となり得る(例えば、Huttel,R.;Christ,H.,Chem.Ber.,1963,96,3101に示される)。
幅広い適用性を有するより一般的に適用可能な方法は、アルケン/塩化パラジウム(II)の2:1混合物を、氷酢酸中で塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び弱い酸化剤塩化銅(II)で処理することである(例えば、Huttel,R.;Christ,H.,Chem.Ber.,1964,97,1439に示される)。
塩化銅(II)の使用は、アルケンのより高度に置換された末端におけるアリル水素の引き抜きに有利に働くことによって立体選択性及び位置選択性を改善する。
π-アリルパラジウムクロリド錯体は、パラジウム0)をハロゲン化アリルに挿入することによっても得ることができる。この反応は、一般に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)([Pd(dba)])又は塩化パラジウム(II)を、還元剤、例えば一酸化炭素(Dent,W.T.;Long,R.;Wilkinson,A.J.,J.Chem.Soc.,1964,1585.),carbon monoxide/primary amine(Tsuji,J.;Iwamoto,N.,Chem.Commun.,1966,828)、エテン/水(Hartley,F.R.;Jones,S.R.,J.Organomet.Chem.,1974,66,465)又は塩化スズ(II)(Sakakibara,M.Takahashi,Y.;Sakai,S.;Ishii,Y.,Chem.Commun.,1969,396)と一緒に使用して達成することができる。
π-アリルパラジウムクロリド錯体を調製するためのいくつかの方法が利用可能であるが、η-ベンジルパラジウムハロゲン化物の調製(Roberts,J.S.;Klabunde,K.J.,J.Organomet.Chem.,1975,85,C13 and Roberts,J.S.;Klabunde,K.J.,J.Am.Chem.Soc.,1977,99,2509.)及びアリールパラジウムハロゲン化物(Klabunde,K.J.,Angew.Chem.,1975,87,309)の調製は、パラジウム蒸気の使用に限定されている。加えて、今日まで、ペンタフルオロフェニルパラジウムハロゲン化物は25℃でしか単離することができなかったが、フェニルパラジウムハロゲン化物は-116℃より高い温度で分解する。
したがって、本発明の目的は、従来技術のこれらの欠点及び更なる欠点を克服し、ホモレプティックPd(0)-ホスフィン錯体を、簡単で、再現性があり、比較的安価な様式で、高純度及び良好な収率で調製することができる方法を提供することである。特に、これらの化合物の純度は、触媒化合物に課される要件を満たすべきである。加えて、ホスフィン配位子及びdvds配位子を有するヘテロレプティックPd(0)錯体を、簡単で、再現性があり、かつ比較的安価な様式で、高い純度及び良好な収率で調製することができる方法が提供されるべきである。これらのPd(0)化合物の純度は、特に、触媒化合物に課される要件を満たすべきである。加えて、特に有機カップリング反応のための触媒として適している、ホスフィン配位子及びdvds配位子を有する新規なホモレプティックPd(0)-ホスフィン錯体及びヘテロレプティックPd(0)錯体が提供されるべきである。加えて、本発明の目的は、一般式[Pd(μ-X)(PR)]による化合物を、簡単で、再現性があり、比較的安価な様式で、高純度及び良好な収率で調製することができる方法を提供することである。特に、これらの化合物の純度は、触媒化合物に課される要件を満たすべきである。加えて、特に有機カップリング反応のための触媒として適している、[Pd(μ-X)(PR)]型の新規化合物が提供される。更に、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服する、π-アリルパラジウムハロゲン化物錯体を調製するための新規で簡単な方法を提供することである。特に、より高い収率、改善された生成物品質、及びη-ベンジルパラジウムハロゲン化物又はアリールパラジウムハロゲン化物への単純化されたアクセスを有する方法が望ましい。更に、特に有機カップリング反応のための触媒として適している新規なπ-アリルパラジウムハロゲン化物錯体が提供される。特に、より高い収率、改善された生成物品質及びη-ベンジルパラジウムハロゲン化物又はアリールパラジウムハロゲン化物を有する触媒が望ましい。本発明は、提供されるパラジウム錯体の使用にも関する。
本発明の主な特徴は、特許請求の範囲で定義される。
この目的は、一般式[PdZ](I)[式中、ホスフィン配位子Z及びZは、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソ-プロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より独立して選択される]による化合物を調製するための方法によって達成され、
当該方法は、
A.
i.単核又は多核パラジウム化合物、特に、少なくとも1つのパラジウム中心が有機ケイ素化合物である配位子Lを有するパラジウム(0)化合物、
及び
ii.各場合において、1つのホスフィン配位子Z及びZを提供する工程であって、
及びZは、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソ-プロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より独立して選択される、工程、
B.パラジウム化合物と、工程Aからのモノホスフィン配位子及び/又はビスホスフィン配位子とを、非エーテル性溶媒S中で反応させる工程、
及び
C.任意に、一般式[PdZA](I)により、工程Bで調製された化合物を単離する工程
を含む。
本発明によれば、有機ケイ素化合物は、Si-C結合、Si-N結合、Si-O結合からなる群より選択される1つ以上のSi-ヘテロ原子結合を有するケイ素のアルキル又はアリール誘導体を意味する。メタロイドケイ素を除いて、有機ケイ素化合物の分子式は、金属又は半金属を含まず、すなわち非金属のみを含む。有機ケイ素化合物は、いくつかの異なる有機ケイ素化合物の混合物であってもよい。例えば、異なるシロキサンからなる混合物であってもよい。あるいは、有機ケイ素化合物は、例えばシロキサン及びシラザンを含んでいてもよく、又はこれら2つの有機ケイ素化合物からなっていてもよい。
特にパラジウム(0)化合物であるパラジウム化合物は、単核又は多核、特に二核の形態で、モノマー又はオリゴマー、特にダイマーとして、又は溶媒付加物として存在し得る。ホスフィン配位子Z及びZは、各々独立して、モノホスフィン配位子又はビスホスフィン配位子であり得る。加えて、それらは、独立して、固体、液体、溶液又は懸濁液として、有利には1つ以上の芳香族炭化水素、例えばトルエン、ベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、並びにそれらの混合物及び組み合わせ中の溶液として提供され得る。
本明細書に記載される方法によって、ホモレプティックパラジウム(0)錯体、例えば[Pd(PtBu]and[Pd(dppe)](dppe=1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)の調製は、特に簡単で、再現可能であり、比較的安価である。従来技術で提供されているパラジウム(0)前駆体(その一部は高価であり、及び/又は取り扱いが困難である)の使用を省くことができる。[PdZ](I)型の目的化合物は、高純度、特に高NMR純度で、有利にはエーテルを含まずに、満足な収率で得られる。ほとんどの場合、達成された収率は、文献に与えられた値に少なくとも匹敵する。
非エーテル性溶媒の使用により、微量の酸素(ppm範囲)の形態、特にエーテルなどの酸素含有溶媒の形態での最終生成物の汚染を大幅に排除することができる。加えて、驚くべきことに、[PdZ](I)型の目的化合物は、特にそれらの溶解性挙動のために分離することが困難又は不可能であるパラジウム含有副生成物による不純物、例えば[Pd(dvds)PtBu]を含有しないか、又は痕跡量の前述の不純物(≦1000ppm)しか含有しないことが見出された。式Iによる最終生成物の高純度は、可能な用途、例えば触媒として、特にカップリング反応においての観点から特に有利である。
これまでに知られている合成戦略とは対照的に、パラジウム(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン([Pd(dvds)])ー本発明の文脈では[Pd(dvds)]、Pd(vs)、Pd-VS又はパラジウム-VSとも略されるーは、アクセス及び取り扱いが比較的容易であり、また比較的安価であり、本明細書で特許請求される方法の文脈において反応物質として使用することができる。加えて、本明細書に記載される方法の場合、工程Aにおけるパラジウム化合物の提供及び工程Bにおける反応の両方は、オレフィン、例えばアルケン又はポリエンの添加なしに行うことができる。ここで、ポリエンとは、特にジエン、例えば1,6-ジエンを意味する。オレフィン、例えば1,6-ジエンの存在を省くことができるという事実は、驚くべきことに、工程Aで提供されるパラジウム化合物が[Pd(dvds)]である場合にも当てはまる。これは特に有利であり、特に1999年(K.-R.Porschke et al.,J.Am.Chem.Soc.1999,121,9807-9823)の出版物の著者は、[Pd(dvds)]の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン溶液中でさえ、すなわち、過剰のdvdsの存在下でさえ、平衡は二核錯体[Pd2(dvds)]の側にあり、すなわち、少量の単核錯体[Pd(dvds)]のみが形成されると述べている。したがって、[Pd(dvds)]をPtBuと反応させて、モル比が1:2であるヘテロレプティックパラジウム(0)錯体[(tBuP)Pd(dvds)]を得るために、著者らは、dvds/EtO混合物を反応媒体として使用した(体積比1:2)。
本明細書に記載される方法において、オレフィン、例えば1,6-ジエンの存在が、特に[Pd(dvds)]などの反応物質を使用する場合に必要とされないという事実は、特に経済的観点(原子に関して)及び生態学的観点からの利点を表す。加えて、これは、一般式Iによる最終生成物中の可能性のある不純物の数を減少させる。
一般式[PdZ](I)による化合物を調製するための本明細書に記載される方法の有利な実施形態では、配位子Lは有機ケイ素化合物である。代替又は追加の変形形態によれば、配位子Lは、少なくとも1つの末端二重結合、特にビニル二重結合を含有する。配位子Lが2つの末端二重結合を含有する場合、更により有利である。代替的に又は追加的に、配位子Lは、環状又は非環状シロキサンである。配位子Lが、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジチエン-2-イルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジビニルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,3-ジビニルジシロキサンジオール及び2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群より選択される環状又は非環状シロキサンである場合、特に有利である。特に、配位子Lは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサンである。次いで、工程Aで提供されるパラジウム化合物は、例えば、パラジウム(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン([Pd(dvds)])であり得る。
本明細書で特許請求される方法の別の実施形態によれば、パラジウム:ホスフィン配位子Zのモル比及びパラジウム:ホスフィン配位子Zのモル比は、独立して、少なくとも1.0:1.0、例えば、1.00:1.05又は1.00:1.10又は1.00:1.15又は1.00:1.20又は1.00:1.25又は1.00:1.30又は1.00:1.35又は1.00:1.40又は1.00:1.45又は1.00:1.50、特に各場合において1.0:1.0である。
溶媒Sはまた、溶媒の混合物であってもよい。溶媒又は溶媒混合物Sは、特に、芳香族炭化水素、ケトン、例えばアセトン、及びアルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール、並びにそれらの混合物からなる群より選択される溶媒を含むか、又はそれらである。少なくとも1種の芳香族炭化水素は、例えば、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、及びそれらの混合物又は組み合わせからなる群より選択することができる。
本方法は、一般に、0℃~50℃、特に15℃~45℃又は20℃~30℃の反応温度で行うことができる。
反応時間は、10分~48時間、特に1時間~36時間又は2時間~24時間又は3時間~12時間であり得る。
驚くべきことに、本明細書で特許請求される方法によって、特に1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンパラジウム(0)([Pd(dvds))をtert-ブチルホスフィンと、上記の反応条件下で反応させることによって、次式(I.1)のFu触媒を、通常、ほとんどの場合90%超、多くの場合97%超、特に99%超の収率で、すなわち実質的に定量的に得ることができる:
本方法の別の実施形態は、ホスフィン配位子Z及びZが異なるか又は同一であることを提供する。有利な変形実施形態では、ホスフィン配位子Z及びZは同一であり、すなわちZ=Zである。次いで、パラジウム:ホスフィン配位子Zのモル比は、少なくとも1.0:2.0、例えば、1.00:2.05又は1.00:2.10又は1.00:2.15又は1.00:2.20又は1.00:2.25又は1.00:2.30又は1.00:2.35又は1.00:2.40又は1.00:2.45又は1.00:2.50、特に1.0:2.0である。
更なる方法変形例において、工程Aにおけるパラジウム化合物は、特にパラジウム(II)カチオン及び2つの一価アニオン又は二価アニオンからなるパラジウム(II)化合物を、有機ケイ素化合物、特に環状又は非環状シロキサンである配位子Lと、塩基の存在下in situで溶媒S中で反応させることによって調製される。
本発明において、「in situで調製される」又は「in situで生成される」という語句は、このように調製される化合物の合成に必要な反応物質が、溶媒又は溶媒混合物中で好適な化学量論で反応し、得られる生成物が単離されないことを意味する。代わりに、in situで生成された化合物を含む溶液又は懸濁液は、一般に、直接、すなわち、単離及び/又は更なる精製なしに再使用される。化合物のin situ生成/調製は、その更なる使用のために提供された反応容器中で、又は異なる反応容器中で行うことができる。
本発明の文脈における「反応容器」及び「反応槽」という用語は、同義的に使用され、体積、材料組成、装置、又は形態に限定されない。好適な反応槽としては、例えば、ガラスフラスコ、エナメル化反応器、撹拌槽型反応器、圧力槽、管反応器、マイクロリアクター、及び流動反応器が挙げられる。
工程Aで提供されるパラジウム化合物のin situ生成のための反応物質として使用されるパラジウム(II)化合物は、2つの異なる若しくは2つの同一の一価アニオン又は1つの二価アニオンを有してもよい。中性配位子、例えばCODは提供されない。その結果、PdClなどの安価な市販のパラジウム(II)化合物を有利に使用することができる。したがって、工程Aで提供されるパラジウム化合物のin situ生成のための反応物質として、[Pd(配位子)Y]型のパラジウム(II)化合物[式中、例えば配位子=COD及びY=Cl]の時間がかかり費用のかかる調製を省くことが可能である。これは、経済的観点(原子の観点)及び生態学的な観点から特に有利である。加えて、これは、一般式Iによる最終生成物中の可能性のある不純物の数を減少させる。
更なる有利な実施形態では、上述のin situ調製の文脈において反応物質として使用されるパラジウム(II)化合物は、ハロゲン化物及び一価弱配位性アニオンからなる群より特に選択される2つの同一の一価アニオンを含む。
「弱配位」という用語はまた、「非常に弱く配位する」及び「中程度に強く配位する」という用語を包含する。塩化物、臭化物又はヨウ化物をハロゲン化物アニオンとして有利に使用することができ、特に有利には塩化物又は臭化物、特に塩化物である。一価の弱配位性アニオンは、特に過フッ素化アニオン、例えば、PF 、BF 、FCSO (TfO,トリフラート)及び[(FCSON](TFSI)、又は非フッ素化アニオン、例えば、HCSO (メシラート)若しくはトシラートである。
本明細書に記載される反応の文脈において、「塩基」という用語は、無機塩基及び有機塩基、特に無機塩基を意味するが、有機金属塩基は意味しない。塩基は水中で分解すべきではない。好適な塩基は、例えば、ブレンステッド酸の塩である。炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、ギ酸塩、アスコルビン酸塩、シュウ酸塩及び水酸化物が有利に使用される。これらは、アンモニウム塩(ブレンステッド酸)NRの形態で使用することができ、式中、Rは、例えば、H又はアルキル、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、及びアルカリ土類金属塩である。
特に、溶媒S及び溶媒Sは、混和性又は同一である。この場合、溶媒を交換する必要がなく、これは、経済的観点及び生態学的観点から特に有利である。
本発明の文脈において、少なくともそれぞれの反応中に混和性である場合、すなわち、2つの相として存在しない場合、2つの溶媒は混和性と称される。
本明細書で特許請求される方法の更なる変形例は、工程Bの前及び/又は間及び/又は後、有利には工程Bの間及び/又は後、特に工程Bの後に沈殿剤を添加することを提供する。沈殿剤は、有利には、工程Bからの反応媒体、特に溶媒Sと混和性である極性溶媒である。特に、極性溶媒は、例えば、メタノール、エタノール及びイソプロパノール、並びにそれらの混合物からなる群より選択されるアルコールである。
本方法の別の実施形態によれば、工程Bにおける反応の後に、一般式[PdZ](I)による工程Bにおいて調製された化合物の単離を含む工程Cが行われる:
- [PdZ](I)及び非エーテル性溶媒を含む調製物として
又は
- 物質として、有利には固体として。
ここで及び以降において、「調製物」という用語は、溶液、懸濁液、分散液又はゲルを意味する。したがって、調製物は、特に、存在する非エーテル性溶媒及び/又は存在する式Iによる化合物に応じて、溶液、懸濁液、分散液又はゲルの形態であり得る。溶媒は、溶媒の混合物であってもよい。特に、溶媒は、使用される溶媒Sと混和性であるか又は同一である溶媒を含むか又はその溶媒である。調製物は、通常、溶液又は懸濁液の形態である。
当該方法の更なる変形例では、単離は濾過工程及び/又は遠心分離を含む。上記の処置は、数回行うこともできる。任意に、洗浄媒体、例えば活性炭又はシリカ、例えばCelite(登録商標)上での1回以上の濾過を行うことができる。有利には、濾液、遠心分離物、又はデカンテーション物又は固体は、迅速に、かつ複雑にならずに、調製に関して特別な労力をかけずに実施され得る更なる精製及び/又は単離工程に供され得る。
一般式[PdZ](I)による化合物の単離は、更なる方法工程、例えば母液体積の減少、すなわち例えば「bulb-to-bulb」による母液体積の濃縮、母液から生成物を沈殿させるための及び/又は不純物及び/若しくは反応物質を除去するための溶媒の添加及び/又は溶媒交換、結晶化、昇華、例えば、エタノール、メタノール又はイソプロパノールなどのアルコール、及びそれらの混合物による洗浄、並びに生成物の乾燥を含み得る。前述の工程は、各々、異なる順序及び頻度で提供され得る。
全体として、一般式[PdZ](I)による目的化合物の精製及び/又は単離は、比較的単純かつ安価である。
一般に、最終生成物は、溶媒の残留物又は例えば反応物質からの不純物を依然として含有し得る。[PdZ](I)型の単離された化合物は、少なくとも97%、有利には97%超、特に98%超又は99%超の純度を有する。工業規模にスケールアップする場合であっても、再現可能な収率は、特に反応物質及び溶媒又は溶媒の混合物の選択に応じて、通常50%以上である。
本目的はまた、上記の例示的な実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる一般式[PdZ](I)による化合物によって達成されるが、ただし、化合物[Pd(P(iPr)tBu]及び[Pd(P(1-Ad)tBu]は除く。
一般式[Z](I)のパラジウム(0)化合物は、モノマー又はオリゴマー、特にダイマーとして、又は溶媒付加物として、単核又は多核、特に二核の形態で存在し得る。例えば、それらは触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応における触媒として使用することができる。
特に、化合物[Pd(PtBu]、[Pd(PtBu)(P(1-Ad)tBu]、[Pd(PtBu)(P(1-Ad)iPr)]、[Pd(P(1-Ad)tBu)]、[Pd(P(1-Ad)iPr)]、[Pd(P(1-Ad)tBu)(P(1-Ad)iPr)]、[Pd(P(1-Ad)iPr[Pd(PiPr)tBu)]、[Pd(dppe)]及び[Pd(dppp)]は、上記の方法によって得ることができる。
本目的は、一般式[PdZ](I)により表される新規化合物によっても達成され、これらは、化合物[PdtBu)(P(1-Ad)tBu]、[Pd(PtBu)(P(1-Ad)iPr)]、[Pd(P(1-Ad)tBu)]、[Pd(P(1-Ad)iPr)]、[Pd(P(1-Ad)tBu)(P(1-Ad)iPr)]、[Pd(P(1-Ad)iPr[Pd(PiPr)tBu)]、[Pd(dppe)]及び[Pd(dppp)]である。これらは、以下に示す反応のための触媒として適している。
更に、本目的は、
i.一般式[pDZ](I)による化合物
[式中、Z及びZは、独立して、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソ-プロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より独立して選択される]
及び
ii.少なくとも1種の有機ケイ素化合物
を含む調製物によって達成される。
有機ケイ素化合物という用語の定義は、既に上で与えられている。
特許請求される調製物の一実施形態では、そこに含まれる一般式[pDZ](I)による化合物、又は調製物自体は、特に、上記の例示的実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる。
調製物の一実施形態によれば、特に少なくとも1種の有機ケイ素化合物の形態で存在するケイ素含有量は、100ppm以上1000ppm以下、有利には110ppm以上900ppm以下、特に120ppm以上800ppm以下である。特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物の形態で存在するケイ素含有量は、当業者に公知の分析方法を使用して、特に、定量的H NMR分光法及び/又は誘導結合プラズマを用いた原子発光分光法(誘導結合プラズマ発光分析、ICP-AES)を使用して決定することができる。
本明細書で特許請求される調製物の代替的又は補足的な実施形態では、調製物は、溶媒S、特に非エーテル性溶媒を含有する。
調製物は、特に、存在する有機ケイ素化合物及び/又は使用される溶媒Sに応じて、溶液、懸濁液、分散液又はゲルの形態であり得る。溶媒Sは、溶媒の混合物であってもよい。それは、有利には、アルカン、芳香族炭化水素及び極性溶媒からなる群より選択され、有利には、アルコール、アルカン、ケトン、エーテル又はそれらの組み合わせ、特に、2~6個の炭素原子を有するアルコール、5~8個の炭素原子を有するアルカン又はシクロアルカン、石油エーテルなどのアルカン混合物、6~9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、4~8個の炭素原子を有するエーテル又は2~6個の炭素原子を有するケトン、又はそれらの混合物からなる群より選択される。例えば、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物又は組み合わせが適している。特に、溶媒Sが、芳香族炭化水素、ケトン、例えばアセトン、及びアルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール、並びにそれらの混合物からなる群より選択される溶媒を含むか又はそれらである場合、調製物は、溶液又は懸濁液の形態である。この場合、少なくとも1種の芳香族炭化水素は、例えば、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、及びそれらの混合物又は組み合わせからなる群より選択することができる。
調製の別の変形例は、溶媒Sが、式Iによる化合物を調製するための方法において使用される溶媒Sと混和性であるか又は同一であることを提供する。
本発明の調製物の変形例によれば、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの末端二重結合、特にビニル二重結合を含有する。特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、環状若しくは非環状シロキサンを含むか又は環状若しくは非環状シロキサンである。調製物の代替的又は補足的な実施形態によれば、調製物は、一般式[pDZB](I)によるパラジウム化合物に加えて、一般式[LpDZ](II)による少なくとも1種のパラジウム化合物及び/又は一般式[Pd(L](III)による少なくとも1種のパラジウム化合物を含み、式中、
-配位子Lは、特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物、特に環状又は非環状シロキサンと同一であり、
少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの末端二重結合を含有し
及び
-Zは、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソプロピルホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1-アダマンチル-ジ(イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス-(ジフェニルホスフィノ)-プロパン(dppp)からなる群より選択される。
特に、配位子Lは、有機ケイ素化合物と同一であり、配位子Lは、特に、少なくとも1つの末端、特にビニル二重結合を有する環状又は非環状シロキサンである。この場合、配位子Lは、有利には、少なくとも1つのπ指向性結合を介して、一般式[LpDZ](II)又は[Pd(L](III)による化合物のパラジウム中心に配位又は結合される。
特許請求された調製物の更に別の変形実施形態は、有機ケイ素化合物のうちの1つが、環状若しくは非環状シロキサンを含むか又は環状若しくは非環状シロキサンであり、及び/又は配位子Lのうちの1つが、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジチエン-2-イルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジビニルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,3-ジビニルジシロキサンジオール及び2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群より選択される環状若しくは非環状シロキサンである。有利には、有機ケイ素化合物のうちの1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)を含むか若しくはそれであり、及び/又は配位子Lのうちの1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)である。特に、有機ケイ素化合物の1つ及び/又は配位子Lの1つは、dvdsである。
加えて、この目的は、一般式[pDZ](I)による新規化合物によって達成され、式中、Z及びZは、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より独立して選択される。例えば、これらの化合物は、触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応における触媒として使用することができる。
この目的は更に、一般式[LPd(dvds)](IV)による化合物
[式中、Lは、ホスフィン配位子である]
を調製する方法によって達成され、Lが、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソプロピルホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)-イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス-(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より選択される一般式IVの化合物は除き、
当該方法は、
A.
i.単核又は多核パラジウム化合物、特にパラジウム(0)化合物であって、少なくとも1つのパラジウム中心が1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン配位子を有する、化合物、
及び
ii.ホスフィン配位子Lであって、ただし、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソ-プロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より選択されるホスフィン配位子を除く、ホスフィン配位子L
を提供する工程、
B.パラジウム化合物と工程Aからのホスフィン配位子Lとを、非エーテル性溶媒S中で反応させる工程
及び
C.任意に、工程Bで調製された一般式[LPd(dvds)](IV)による化合物を単離する工程
を含む。
特にパラジウム(0)化合物であるパラジウム化合物は、単核又は多核、特に二核の形態で、モノマー又はオリゴマー、特にダイマーとして、又は溶媒付加物として存在し得る。工程Aにおけるパラジウム化合物の提供及び工程Bにおける反応は、オレフィン、例えばアルケン又はポリエンの添加なしに行われる。ここで、ポリエンとは、特にジエン、例えば1,6-ジオレフィンを意味する。ホスフィン配位子は、固体、液体、溶液又は懸濁液として、特に1種以上の芳香族炭化水素、例えばトルエン、ベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、及びそれらの混合物又は組み合わせ中の溶液として提供することができる。
式IVによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の一実施形態によれば、ホスフィン配位子Lは、
-一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンであって、式中、
R10及びR20は、置換及び非置換の直鎖アルキル基、置換及び非置換の分岐アルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール基、並びに置換及び非置換のヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、ヘテロ原子は、硫黄、窒素及び酸素からなる群より選択され、R30は、R10及びR20として定義されるか、又はメタロセニル基である、第三級ホスフィンであり、
又は
-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’-(N,N(ジメチルアミノ))-1,1’-ビフェニル(DavePhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(XPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(SPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル(RuPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(BrettPhos)、[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]ジ-tert-ブチルホスフィン(Amphos)、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(Xantphos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル(CPhos)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)、ジ-(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(cataCXium)(登録商標)A)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(t-BuXPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(tert-BuBrettPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3-メトキシ-6-メチル-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(RockPhos)、2-ジ[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルホスフィノ]-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(JackiePhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-ビフェニル(JohnPhos)、R-(-)-1-[(S)-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(n-ブチル)ホスフィン、2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(AdBrettPhos)、2-ジエチルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニルラセミ2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル(TrixiePhos)、トリイソプロピルホスフィン(PiPr)、1,3,5,7-テトラメチル-8-フェニル-2,4,6-トリオキサ-8-ホスファアダマンタン(MeCgPPh)、N-[2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)フェニル]モルホリン(MorDalPhos)、4,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン(NiXantphos)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-(N,N(ジメチルアミノ))-1,1’-ビフェニル(tBuDavePhos)、ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(DTBPF)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピル)-1,1’-ビフェニル(Met-BuXPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-4-(N,N-ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル、トリメチルホスフィン(PMe)、トリス-p-トリルホスフィン(P(p-トリル))、トリス-o-トリルホスフィン(P(o-トリル))、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン(PPh)、トリス-(ペンタフルオロフェニル)-ホスフィン(P(C)、トリフルオロホスフィン、tert-ブチルジフェニルホスフィン(P(tBu)Ph)、フェニル-ジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル-ネオペンチルホスフィン、1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1’-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p(トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、ベンジルジ-1-アダマンチルホスフィン、シクロヘキシルジ-tert-ブチルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(シクロヘキシル-JohnPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジ-シクロヘキシルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジフェニルホスフィノ-2’-(N,N(ジメチルアミノ)ビフェニル、(4-ジメチルアミノフェニル)(tert-ブチル)2-ホスフィン、1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、N-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、1-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-シクロヘキシルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ピロール、1-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2(ジシクロヘキシルホスフィノ)イミダゾール及び(S)-7,7’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-3,3’,4,4’-テトラヒドロ-4,4’-ジメチル-8,8’-ビ(2H-1,4-ベンゾオキサジン)(Solphos)からなる群より選択されるものである。
一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンにおいて、R10及びR20は、独立して、置換及び非置換の分岐鎖又は直鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル又はステアリル、シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はアダマンチル、又はアリール基、例えば、フェニル、ナフチル又はアントラシルであり得る。
一実施形態では、一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンのアルキル基は、ハロゲン化物(F、Cl、Br若しくはI)又はアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ若しくはプロポキシなどの1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。アリール基は、ハロゲン化物(F、Cl、Br若しくはI)、直鎖又は分岐アルキル基(例えば、C1~C10アルキル)、アルコキシ(例えば、C1~C10アルコキシ)、直鎖若しくは分岐(ジアルキル)アミノ基(例えば、C1~C10ジアルキルアミノ)、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルホリニル及びピペラジニルなどのC3~C10ヘテロシクロアルキル基)又はトリハロメチル(例えば、トリフルオロメチル)などの1つ以上(例えば、1、2、3、4若しくは5つ)の置換基で任意に置換されていてもよい。好適な置換アリール基としては、4-ジメチルアミノフェニル、4-メチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、4-メトキシフェニル、及び4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。ピリジル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、又はキノリニルなどの置換及び非置換ヘテロアリール基も使用することができる。代替的な実施形態では、一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンのR10及びR20は、一緒に結合して、リン原子と共に環構造、特に4~7員環を形成する。特に、R10及びR20は同一であり、tert-ブチル、シクロヘキシル、フェニル又は置換フェニル基である。特に、R10及びR20は、tert-ブチルである。加えて、R10及びR20は、独立して、アルコキシ(例えば、C1~C10アルコキシ)又はアリールオキシ(例えば、C1~C10アリールオキシ)であり得る。
R30は、R10及びR20と同様に定義されるが、メタロセニル基であり得る。後者の実施形態では、R30は置換又は非置換メタロセニル基である。この場合、メタロセニル基は、第1のシクロペンタジエニル基と第2のシクロペンタジエニル基とを有する。p個の基R40は、任意に、一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンがパラジウム中心に結合又は配位している第1のシクロペンタジエニル基上に提供されてもよく、q個の基R41は、任意に、第2のシクロペンタジエニル基上に提供されてもよい。R40及びR41は、独立して、1~20個の炭素原子を有する有機基である。R40及びR41は、独立して、R10及びR20と同様に定義することができる。
pは0、1、2、3又は4の値をとることができ、qは0、1、2、3、4又は5の値をとることができる。1つの可能な実施形態では、q=5であり、R41はメチル又はフェニルである。別の実施形態では、p=0である。
特定の実施形態では、p=0、q=5、R10はメチル又はフェニルであり、R10及びR20はtert-ブチル(QPhos)であるか、又はR10及びR20はtert-ブチルであり、R30は4-ジメチルアミノフェニル(AmPhos)であるか、又はR10及びR20はtert-ブチルであり、R30はフェニルである。
別の実施形態では、R10、R20及びR30は同じであり、1-アダマンチル、2-アダマンチル、フェニル、オルト-トリル、シクロヘキシル、tert-ブチルであるか、又はR10及びR20は1-アダマンチル又は2-アダマンチルであり、R30はn-ブチルである。
驚くべきことに、本明細書に記載される方法を使用して、一般式IVによる多数の化合物を、比較的単純かつ安価な様式で、また再現可能に、高純度で、特に高NMR純度で、有利にはエーテル不含で、満足な収率で調製することができる。したがって、例えば、パラジウム(0)錯体[Pd(dvds)]から出発して、パラジウム(0)錯体化合物[Pd(PCy)(dvds)]、[Pd(PiPr)(dvds)]、[Pd(P(1-Ad)Bu)(dvds)]及び[Pd(P(tBu)iPr)(dvds)]を≧50%、場合によっては≧60%の収率で得ることが可能であった。非エーテル性溶媒の使用により、微量の酸素(ppm範囲)の形態、特にエーテルなどの酸素含有溶媒の形態での最終生成物の汚染を大幅に排除することができる。これは、式IVによる最終生成物の可能な使用、例えば触媒として、特にパラジウム触媒カップリング反応における触媒としての使用に関して有利である。
一般式IVによる多数の化合物が上記の方法によって製造され得るという事実は、この方法がオレフィンの添加なしに、特に1,6-ジエン、例えば1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(dvds)の添加なしに実施され得るので、特に驚くべきことである。これはまた、Krause et alによって記載される合成経路とは対照的に、工程Aで提供されるパラジウム化合物がパラジウム(0)錯体[Pd(dvds)]であり、これが特に溶液中に二核形態で存在する場合であっても当てはまる。オレフィンの添加を省くことは、経済的観点(原子に関して)及び生態学的観点から特に有利である。加えて、これは、一般式IVによる最終生成物中の可能性のある不純物の数を更に減少させる。
一実施形態によれば、パラジウム:ホスフィン配位子Lのモル比は、少なくとも1.0:1.0、例えば1.00:1.05又は1.00:1.10又は1.00:1.15又は1.00:1.20又は1.00:1.25又は1.00:1.30又は1.00:1.35又は1.00:1.40又は1.00:1.45又は1.00:1.50、特に1.0:1.0である。
溶媒Sはまた、溶媒の混合物であってもよい。溶媒又は溶媒混合物Sは、特に、芳香族炭化水素、ケトン、例えばアセトン、及びアルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール、並びにそれらの混合物からなる群より選択される溶媒を含むか、又はそれらである。少なくとも1種の芳香族炭化水素は、例えば、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、及びそれらの混合物又は組み合わせからなる群より選択することができる。
[LPd(dvds)](IV)型の化合物を調製するための特許請求の範囲に記載の方法の一変形実施形態では、工程Aにおけるパラジウム化合物は、特にパラジウム(II)カチオン及び2つのアニオンからなるパラジウム(II)化合物を、有機ケイ素化合物、特に環状又は非環状シロキサンである配位子Lと、塩基の存在下in situで溶媒S中で反応させることによって調製される。
本明細書に記載される反応の文脈において、「塩基」という用語は、無機塩基及び有機塩基、特に無機塩基を意味するが、有機金属塩基は意味しない。塩基は水中で分解すべきではない。好適な塩基は、例えば、ブレンステッド酸の塩である。炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、ギ酸塩、アスコルビン酸塩、シュウ酸塩及び水酸化物が有利に使用される。これらは、アンモニウム塩(ブレンステッド酸)NRの形態で使用することができ、式中、Rは、例えば、H又はアルキル、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、及びアルカリ土類金属塩である。
特に、溶媒S及び溶媒Sは、混和性又は同一である。この場合、溶媒を交換する必要がなく、これは、経済的観点及び生態学的観点から特に有利である。本発明の文脈において、少なくともそれぞれの反応中に混和性である場合、すなわち、2つの相として存在しない場合、2つの溶媒は混和性と称される。
本方法の別の実施形態によれば、工程Bにおける反応の後に、一般式[LPd(dvds)](IV)による工程Bにおいて調製された化合物の単離を含む工程Cが行われる:
-一般式[LPd(dvds)](IV)による化合物及び非エーテル性溶媒を含む調製物として、
又は
-物質として、有利には固体として。
したがって、調製物は、特に、存在する非エーテル性溶媒及び/又は存在する[LPd(dvds)](IV)による化合物に応じて、溶液、懸濁液、分散液又はゲルの形態であり得る。溶媒は、溶媒の混合物であってもよい。特に、溶媒は、使用される溶媒Sと混和性であるか又は同一である溶媒を含むか又はその溶媒である。調製物は、通常、溶液又は懸濁液の形態である。
当該方法の更なる変形例では、単離は濾過工程及び/又は遠心分離を含む。上記の処置は、数回行うこともできる。任意に、洗浄媒体、例えば活性炭又はシリカ、例えばCelite(登録商標)上での1回以上の濾過を行うことができる。有利には、濾液、遠心分離物、又はデカンテーション物又は固体は、迅速に、かつ複雑にならずに、調製に関して特別な労力をかけずに実施され得る更なる精製及び/又は単離工程に供され得る。
一般式[LPd(dvds)](IV)による化合物の単離は、更なる方法工程、例えば母液体積の減少、すなわち例えば「bulb-to-bulb」による母液体積の濃縮、母液から生成物を沈殿させるための及び/又は不純物及び/若しくは反応物質を除去するための溶媒の添加及び/又は溶媒交換、結晶化、昇華、例えば、エタノール、メタノール又はイソプロパノールなどのアルコール、及びそれらの混合物による洗浄、並びに生成物の乾燥を含み得る。前述の工程は、各々、異なる順序及び頻度で提供され得る。
全体として、一般式[LPd(dvds)](IV)による目的化合物の精製及び/又は単離は、比較的単純かつ安価である。
一般に、最終生成物は、溶媒の残留物又は例えば反応物質からの不純物を依然として含有し得る。[LPd(dvds)](IV)型の単離された化合物は、少なくとも97%、有利には97%超、特に98%超又は99%超の純度を有する。工業規模にスケールアップする場合であっても、再現可能な収率は、特に反応物質及び溶媒又は溶媒の混合物の選択に応じて、通常50%以上、場合によっては60%以上である。
本目的はまた、上記実施形態のうちの1つによる方法によって得られるか又は得ることができる一般式[LPd(dvds)](IV)による化合物によって達成され、式中、Lは上記で定義された通りであり、Lが、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、トリ-イソ-プロピルホスフィン(PiPr)、トリメチルホスフィン(PMe)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)、トリス-o-トリルホスフィン(P(o-トリル))、トリフェニルホスフィン(PPh)、ジ-tert-ブチル(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)-イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より選択される一般式IVの化合物は除く。
上記の実施形態のうちの1つによる方法によって得られるか又は得ることができる、本明細書で特許請求される一般式[LPd(dvds)](IV)によるパラジウム(0)化合物は、例えば、触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応における触媒として使用することができる。有利には、それらは以下に示す反応のための触媒として適している。
本目的は、一般式IV
[式中、Lは、ホスフィン配位子である]
による化合物によっても達成され、Lが、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、トリ-イソ-プロピルホスフィン(PiPr)、トリメチルホスフィン(PMe)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)、トリス-o-トリルホスフィン(P(o-トリル))、トリフェニルホスフィン(PPh)、ジ-tert-ブチル(イソプロピルホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピルホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)-イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より選択される一般式IVは除く。
本明細書で特許請求される一般式[LPd(dvds)](IV)によるパラジウム(0)化合物は、例えば、触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応における触媒として使用することができる。
本明細書で特許請求される式IVによる化合物の一実施形態では、ホスフィン配位子Lは、
-一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンであって、式中、
R10及びR20は、置換及び非置換の直鎖アルキル基、置換及び非置換の分岐アルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール基、並びに置換及び非置換のヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、ヘテロ原子は、硫黄、窒素及び酸素からなる群より選択され、R30は、R10及びR20として定義されるか、又はメタロセニル基である、第三級ホスフィンであり、
又は
-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル(DavePhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(XPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(SPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-イソプロポキシ-1,1’-ビフェニル(RuPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(BrettPhos)、[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]ジ-tertブチルホスフィン(Amphos)、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(Xantphos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル(CPhos)、ジ-(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(cataCXium)(登録商標)A)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(t-BuXPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(tert-BuBrettPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3-メトキシ-6-メチル-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(RockPhos)、2-ジ[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルホスフィノ]-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(JackirPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-ビフェニル(JohnPhos)、R-(-)-1-[(S)-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(n-ブチル)ホスフィン、2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(AdBrettPhos)、2-ジエチルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニルラセミ2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル(TrixiePhos)、1,3,5,7-テトラメチル-8-フェニル-2,4,6-トリオキサ-8-ホスファアダマンタン(MeCgPPh)、N-[2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)フェニル]モルホリン(MorDalPhos)、4,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン(NiXantphos)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-(N,N(ジメチルアミノ))-1,1’-ビフェニル(tBuDavePhos)、ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(DTBPF)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピル)-1,1’-ビフェニル(Met-BuXPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-4-(N,N(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル、メチルジフェニルホスフィン、トリス-(ペンタフルオロフェニル)-ホスフィン(P(C)、トリフルオロホスフィンtert-ブチルジフェニルホスフィン(P(tBu)Ph)、フェニル-ジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル-ネオペンチルホスフィン、1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1’-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p(トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、ベンジルジ-1-アダマンチルホスフィン、シクロヘキシルジ-tert-ブチルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリ-イソプロピルビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(シクロヘキシル-JohnPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-イソプロポキシ-1,1’-ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジフェニルホスフィノ-2’-(N,N(ジメチルアミノ)ビフェニル、(4-ジメチルアミノフェニル)(tert-ブチル)2-ホスフィン、1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンN-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、1-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-シクロヘキシルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ピロール、1-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2(ジシクロヘキシルホスフィノ)イミダゾール及び(S)-7,7’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-3,3’,4,4’-テトラヒドロ-4,4’-ジメチル-8,8’-ビ(2H-1,4-ベンゾオキサジン)(Solphos)からなる群より選択される。
本明細書で特許請求される一般式IVによる化合物の有利な実施形態では、配位子Lは、ジ-(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(cataCXium(登録商標)A)であり、化合物は、式
を有する。
本目的はまた、
i.一般式[LPd((dvds)](IV)による化合物
及び
ii.一般式[LPd((dvds)](IV)によるパラジウム化合物に加えて、パラジウム(0)化合物[Pd(dvds)
を含む調製物によって達成される。
調製物の一実施形態では、一般式[LPd((dvds)](IV)による化合物、又は調製物自体は、特に、上記の他の実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる。
本明細書で特許請求される調製物の別の実施形態は、調製物が溶媒S、特に非エーテル性溶媒を含有することを提供する。
調製物は、特に、存在する溶媒S及び/又は存在する溶媒に応じて、溶液、懸濁液、分散液又はゲルの形態であり得る。溶媒Sは、溶媒の混合物であってもよい。それは、有利には、アルカン、芳香族炭化水素及び極性溶媒からなる群より選択され、有利には、アルコール、アルカン、ケトン、エーテル又はそれらの組み合わせ、特に、2~6個の炭素原子を有するアルコール、5~8個の炭素原子を有するアルカン又はシクロアルカン、石油エーテルなどのアルカン混合物、6~9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、4~8個の炭素原子を有するエーテル又は2~6個の炭素原子を有するケトン、又はそれらの混合物からなる群より選択される。例えば、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物又は組み合わせが適している。特に、溶媒Sが、芳香族炭化水素、ケトン、例えばアセトン、及びアルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール、並びにそれらの混合物からなる群より選択される溶媒を含むか又はそれらである場合、調製物は、溶液又は懸濁液の形態である。この場合、少なくとも1種の芳香族炭化水素は、例えば、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、及びそれらの混合物又は組み合わせからなる群より選択することができる。
本明細書に記載される調製物の有利な実施形態では、調製物は、式
による化合物を含む。
炭素-炭素カップリング反応及び炭素-ヘテロ原子カップリング反応の両方のための最良の第3世代クロスカップリング触媒の1つは、パラジウム(I)ダイマーである[Pd(μ-Br)(PtBu)]、すなわち、ジ-μ-ブロモビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)ジパラジウム(I)である。(e.g.T.J.Colacot,Platinum Metals Rev.2009,53(4),183-188)。
一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物を調製するための本明細書で特許請求される2つの方法が記載及び説明され、これらの方法は、上記の以前から公知の合成経路に対する代替法を表し、及び/又はこれらの方法は、先行技術からの方法の欠点を克服するために使用される。以下、説明を簡単にするために、最初に説明する方法を「第1の方法」と呼び、その後に説明する方法を「第2の方法」と呼ぶ。
本目的は一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物を調製するための第1の方法によっても達成され、
式中、
-R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択され、
及び
-架橋原子Xは、独立して、臭素(Br)又はヨウ素(I)であり、
ただし、化合物[Pd(μ-Br)(PiPr)]及び[Pd(μ-I)(PiPr)]を除き、
当該方法は、
単核又は多核パラジウム化合物、特にパラジウム(0)化合物であって、少なくとも1つのパラジウム中心が有機ケイ素化合物である配位子Lを有し、配位子Lが、特に環状又は非環状シロキサンである、単核又は多核パラジウム化合物を、
i.一般式PRによるホスフィン配位子であって、
式中、R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択され、
ホスフィン配位子PiPrを除く、ホスフィン配位子、
及び
ii.分子式が臭素(Br)又はヨウ素(I)を含む遷移金属不含酸化剤と
溶媒S中で反応させることを含む。
有機ケイ素化合物という用語は、既に上で定義されている。
以下に示される反応スキームは、例として、少なくとも1つのパラジウム中心が有機ケイ素化合物である配位子Lを有する単核又は多核パラジウム化合物から出発して、[Pd(μ-X)(PR)](VII)型の錯体化合物を調製するための本明細書で特許請求される第1の方法の手順を示す。固体中に二核形態で存在するパラジウム(0)化合物[Pd(dvds)]は、単核又は多核パラジウム化合物として提供される。
第1の工程では、Pd(0)錯体[Pd(dvds)]をホスフィン配位子PtBuと反応させて、ホモレプティックパラジウム(0)錯体[Pd(PtBu]及び[Pd(dvds)]を得る。第2の工程では、分子式が臭素(Br)を含有する遷移金属不含酸化剤が添加され、臭素は反応混合物中に存在する[Pd(dvds)]と反応してPdBrを与える。したがって、PdBrのin situ生成が有利である。これは、更なる作用を必要とすることなく十分に反応性であり、均化反応を介して第1の工程で形成されたPd(0)化合物[Pd(PtBu]と反応して、所望の目的化合物を与える。副生成物として生成されるDvdsは、真空下で除去することができ、すなわち、減圧及び/又は高温で反応容器から容易に完全に除去することができる。
「in situで生成/調製された」又は「in situ生成/調製」という表現の定義は、既に上で与えられている。
驚くべきことに、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンパラジウム(0)([Pd(dvds)])をトリ-tert-ブチルホスフィンと反応させ、以下に記載の反応条件下で元素状ヨウ素を添加すると、次式のホモレプティックのダイマーパラジウム錯体を得られることが見出された:
この場合、本発明の文脈において[Pd(dvds)]、[Pd(dvds)]、Pd(vs)、Pd-VS又はパラジウム-VSと略記される、ホスフィン及び1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンパラジウム(0)を含有する混合物にヨウ素溶液を添加したかどうか、又は[Pd(dvds)]及びヨードを含有する混合物にホスフィンを添加したかどうかは重要ではない。
同様に、次式の類似の臭素化合物の製造も可能である:
この場合、驚くべきことに、この錯体を得るために、ホスフィン及び[Pd(dvds)]を含有する混合物に臭素溶液を添加することが特に有利である。ホスフィンが、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンパラジウム(0)-本発明の文脈において[Pd(dvds)]、[Pd(dvds)]、Pd(vs)、Pd-VS又はパラジウム-VS-と略記される-及び臭素を含有する混合物に添加される場合、この錯体は、わずかに低いが、それにもかかわらず満足できる収率で得られる。
本目的は一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物を調製するための第2の方法によっても達成され、
式中、
-R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択され、
及び
-架橋原子Xは、独立して、臭素(Br)又はヨウ素(I)であり、
当該方法は、パラジウム(II)ハロゲン化物を除くパラジウム(II)化合物を、
i.一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物であって、式中、R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択される、パラジウム(0)化合物、
及び/又は
調製物であって、
-一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物であって、式中、R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択される、パラジウム(0)化合物、
及び
-少なくとも1種の有機ケイ素化合物
を含む調製物、
及び
ii.臭化水素(HBr)及び/又はヨウ化水素(HI)と
溶媒S中で
反応させることを含む。
有機ケイ素化合物という用語は、既に上で定義されている。
[Pd(μ-X)(PR)](VII)型の錯体を調製するための、本発明の文脈において提供される2つの方法-上記及び下記で「第1の方法」及び「第2の方法」と称される-は、上記の先行技術の方法と比較して特に有利である。特に、式VIIによる臭素誘導体及びヨウ素誘導体の両方を、これらの方法によって良好な収率及び良好な純度で調製することができる。これらの方法も同様に、均化反応に各々基づいている。しかしながら、これは有利には、パラジウム(0)化合物と、in situで生成された十分に反応性のPdBr又はPIとの間で行われ、これらの各々は完全に又は実質的に完全に反応される。したがって、PdBr又はPdIの活性化を省くことができる。未反応のPdBr又はPIは、単に濾過、デカンテーション及び/又は遠心分離によって定量的に分離することができ、次いで、任意に提供される洗浄工程の後に、リサイクルすることができる。本明細書で特許請求される方法に必要とされる反応物質は、取り扱いが容易であり、特に、老化又は分解プロセスが観察されることなく、数ヶ月以上にわたって保存することができる。加えて、使用される反応物質は、有利には、入手が容易で比較的安価である。更に、本明細書に記載される調製方法は単純であり、穏やかな条件下で実施することができる。加えて、反応物質の有利な選択は、本明細書に記載される方法によって得られる[Pd(μ-X)(PR)](VII)型の化合物が、結晶化する傾向がある反応物質化合物、例えば[Pd(dba)]xC、又は反応混合物中に含有されるオレフィン、特にジオレフィンによって引き起こされる不純物を有しないことを保証する。加えて、遷移金属不含酸化剤が提供され、したがって、他の遷移金属、例えば銅による最終生成物の汚染が排除される。少なくとも60%、通常>80%、場合によっては>90%の収率も、本明細書に記載される方法のいずれが使用されるか、及び各場合において選択される反応条件に依存して達成される。ここで、反応条件とは、例えば、パラジウム化合物の選択、遷移金属不含酸化剤の選択、溶媒又は溶媒混合物の選択、反応温度及び/又は反応圧力の選択、パラジウム濃度の選択、バッチサイズの選択、並びに反応物質が添加される順序の選択を意味する。
溶媒S又はSはまた、各場合において溶媒の混合物であってもよい。それは、有利には、アルカン、芳香族炭化水素及び極性溶媒、例えばケトン、例えば、アセトン、及びアルコールからなる群より選択され、有利には、アルコール、アルカン、ケトン、エーテル又はそれらの組み合わせ、特に、2~6個の炭素原子を有するアルコール、5~8個の炭素原子を有するアルカン又はシクロアルカン、石油エーテルなどのアルカン混合物、6~9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、4~8個の炭素原子を有するエーテル又は2~6個の炭素原子を有するケトン、又はそれらの混合物からなる群より選択される。例えば、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物又は組み合わせが適している。
一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物を調製するための第1の方法又は第2の方法の一実施形態では、有機ケイ素化合物のうちの1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジチエン-2-イルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジビニルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,3-ジビニルジシロキサンジオール及び2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群より選択される環状又は非環状シロキサンであるか又はそれを含む。有利には、有機ケイ素化合物の1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)を含むか又はそれである。特に、有機ケイ素化合物の1つはdvdsである。
一般式[Pd(μ-X](PR)](VII)による化合物を調製するための第1の方法の別の変形例によれば、
a)分子式が臭素(Br)を含む遷移金属不含酸化剤は、分子臭素、臭化水素、ブロモ-1,4-ジオキサン錯体、ブロモトリクロロメタン、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラクロロエタン、四臭化炭素、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、トリメチルフェニルアンモニウムトリブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド、ピリジニウムトリブロミド、4-ジメチルアミノピリジニウムトリブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリブロミド、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン水素トリブロミド、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、(HC(CO臭化アセチル)Br)、N-ブロモフタルイミド、N-ブロモサッカリン、N-ブロモアセトアミド、2-ブロモ-2-シアノ-N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、ジブロモイソシアヌル酸(DBI)、ブロモイソシアヌル酸ナトリウム水和物、三臭化ホウ素、三臭化リン、臭化ブロモジメチルスルホニウム、5,5-ジブロモ-2,2-ジメチル-4,6-ジオキシ-1,3-ジオキサン、2,4,4,6-テトラブロモ-2,5-シクロヘキサジエノン、ビス(2,4,6- トリメチルピリジン)ブロモニウムヘキサフルオロホスファート及び臭化トリメチルシリル(TMS-Br)からなる群より選択され、
及び
b)分子式がヨウ素(I)を含む遷移金属不含酸化剤は、分子ヨウ素、ヨウ化水素、ヨードホルム、四ヨウ化炭素、1-クロロ-2-ヨードエタン、N,N-ジメチル-N-(メチルスルファニルメチレン)アンモニウムヨージド、N-ヨードスクシンイミド(NIS)、ヨウ化アセチル(HC(CO)I)N-ヨードサッカリン、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン(DIH)、ピリジンヨードモノクロリド、ヨウ化トリメチルシリルジクロロヨウ素酸ベンジルトリメチルアンモニウム、ビス(ピリジン)ヨードニウムテトラフルオロボラート、ビス(2,4,6-トリメチルピリジン)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート及び(TMS-I)からなる群より選択される。
第2の方法の有利な変形実施形態によれば、反応物質として必要とされるパラジウム(II)化合物は、パラジウム(II)アセチルアセトナート([Pd(acac)])である。
第2の方法の別の有利な実施形態は、特に臭化水素及び/又はヨウ化水素水溶液の使用を提供する。
第2の方法の更なる有利な実施形態によれば、臭化水素(HBr)及び/又はヨウ化水素(HI)のin situ生成が提供される。この目的のために、特に、パラジウム(II)化合物、特にパラジウム(II)アセチルアセトナートを、水及び/又はアルコールの存在下でHBr供与体及び/又はHI供与体と反応させることを含む第1の工程が提供される。水/アルコール混合物とは別に、いくつかのアルコールの混合物を使用することも可能である。(HBr供与体及び/又はHI供与体):(水及び/又はアルコール)のモル比は、少なくとも1:1である。HBr供与体及び/又はHI供与体の物質量に対して、1モル当量を超える水又は1モル当量を超えるアルコールを提供することも可能である。(HBr供与体及び/又はHI供与体):(水及び/又はアルコール)のモル比は、1:1~1:5、例えば、1.0:1.1又は1.0:1.2又は1.0:1.3又は1.0:1.4又は1.0:1.5又は1.0:1.6又は1.0:1.7又は1.0:1.8又は1.0:1.9又は1.0:2.0又は1.0:2.1又は1.0:2.2又は1.0:2.3又は1.0:2.4又は1.0:2.5又は1.0:2.6又は1.0:2.7又は1.0:2.8又は1.0:2.9又は1.0:3.0又は1.0:3.1又は1.0:3.2又は1.0:3.3又は1.0:3.4又は1.0:3.5又は1.0:3.6又は1.0:3.7又は1.0:3.8又は1.0:3.9又は1.0:4.0又は1.0:4.1又は1.0:4.2又は1.0:4.3又は1.0:4.4又は1.0:4.5又は1.0:4.6又は1.0:4.7又は1.0:4.8又は1.0:4.9であり得る。
本発明によれば、HBr供与体又はHI供与体は、可能な限り低い解離エネルギーを有する少なくとも1つのH-Br結合又はH-I結合を有し、ここで選択される反応条件下で、特に少なくとも同量の水及び/又はアルコールの存在下で、HBr又はHIを開裂する臭素化又はヨウ素化された、特に有機化合物である。しかしながら、HBr供与体又はHI供与体の長期保存中にHBr又はHIの開裂は起こらないはずである。
以下に示す反応スキームは、パラジウム(II)ハロゲン化物を除くパラジウム(II)化合物から出発して、[Pd(μ-X)(PR(VII)型の錯体化合物を調製するための本明細書で特許請求される第2の方法の手順を示しており、例として、HBrのin situ生成が提供される。この実施例で使用される反応物質は、パラジウム(II)アセチルアセトナート、HBr供与体臭化アセチル及び[Pd(PtBuである。
第1の工程では、パラジウム(II)アセチルアセトナートを臭化アセチルと反応させて、PdBr、アセチルアセトン及び酢酸を形成する。反応混合物は、少なくとも微量の水及び/又はアルコールを含有しなければならない。これは、例えば、乾燥されていないか又は完全に乾燥されていない溶媒を使用することによって容易に達成することができる。水及び/又は少なくとも1種のアルコールの存在下で、HBr供与体である臭化アセチルは臭化水素(HBr)を開裂し、これがパラジウム(II)アセチルアセトナートと反応してPdBrを与える。ここで、HBr供与体:(水及び/又はアルコール)のモル比は、少なくとも1:1でなければならない。有利には、副生成物は、アセチルアセトン及び酢酸及び/又は酢酸エステルのみである。第2の工程では、パラジウム(0)化合物[Pd(dvds)]が添加され、これは、in situで生成され、それ自体十分に活性であるPdBrと均化反応を介して反応して、所望の目的化合物を与える。
「in situで生成/調製された」又は「in situ生成/調製」という表現の定義は、既に上で与えられている。
パラジウム(II)化合物から出発する、式VIIによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される第2の方法の有利な実施形態は、HBr供与体が臭化アセチル又は臭化トリメチルシリル(TMS-Br)であり、HI供与体がヨウ化アセチル又はヨウ化トリメチルシリル(TMS-I)であることを提供する。この場合、反応混合物は水及び/又はアルコールを含有しなければならず、上記のハロゲン化アセチルは反応して臭化水素又はヨウ化水素及び酢酸及び/又は酢酸エステルを与え、一方、TMSBr又はTMSIは反応して臭化水素又はヨウ化水素及びトリメチルシラン及び/又はアルコキシトリメチルシラン(アルキルトリメチルシリルエーテルとも呼ばれる)を与える。原則として、ハロゲン化アセチル及びハロゲン化トリメチルシリルは、対応するハロゲン化水素よりも取り扱いが容易である。(HBr供与体及び/又はHI供与体):(水及び/又はアルコール)のモル比は、少なくとも1:1でなければならない。
一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物を調製するための第1の方法の一実施形態によれば、反応は、
a)第1の工程では、溶媒SA1中に、少なくとも1つのパラジウム中心が有機ケイ素化合物である配位子Lを有する単核又は多核パラジウム化合物、特にパラジウム(0)化合物を提供し、第2の工程では、一般式PRによるホスフィン配位子を添加し、第3の工程では、分子式が臭素(Br)又はヨウ素(I)を含有する遷移金属不含酸化剤を添加する、工程
又は
b)第1の工程では、溶媒SA1中に、少なくとも1つのパラジウム中心が有機ケイ素化合物である配位子Lを有する単核又は多核パラジウム化合物、特にパラジウム(0)化合物を提供し、第2の工程では、分子式が臭素(Br)又はヨウ素(I)を含有する遷移金属不含酸化剤を添加し、第3の工程では、一般式PRによるホスフィン配位子を添加する、工程
を含む。
この場合、溶媒SA1は、有利には、溶媒Sと混和性であるか、又は同一であり、特に同一である。
遷移金属不含酸化剤及び/又はホスフィン配位子は、物質として、すなわち気体、液体若しくは固体として、又は溶媒Sと混和性である溶媒中の溶液、エマルジョン若しくは懸濁液として添加することができる。
特に、一般式[Pd(μ-Br)(PR)](VII.a)、例えば、[Pd(μ-Br)(PtBu)]、[Pd(μ-Br)(P(iPr)tBu)]、[Pd(μ-Br)(P(1-Ad)tBu)]、[Pd(μ-Br)(P(1-Ad)tBu)]及び[Pd(μ-Br)(P(1-Ad)iPr)]による錯体を調製する場合、a)の下で与えられる順序を選択することが好ましい。これは、遷移金属不含酸化剤が、Br、NBS及び臭化アセチル、並びにそれらの混合物からなる群より選択される場合に特に有利である。
一般式[Pd(μ-X](PR)](VII)による化合物を調製するための第1の方法の別の変形例では、単核又は多核パラジウム化合物、特にパラジウム(0)化合物は、特にパラジウム(II)カチオン及び2つの一価アニオン又は二価アニオンからなるパラジウム(II)化合物を、有機ケイ素化合物、特に環状又は非環状シロキサンである配位子Lと、塩基の存在下、in situで、溶媒S中で反応させることによって調製される。
特に、溶媒S及び溶媒Sは、混和性又は同一である。この場合、溶媒を交換する必要がなく、これは、経済的観点及び生態学的観点から特に有利である。「混和性溶媒」という表現の定義は、既に上で与えられている。
「in situ生成/調製された」又は「in situ生成/調製」という表現、及び「弱配位」という用語は、既に上で定義されている。本明細書に記載される反応の文脈において、「塩基」という用語は、無機塩基及び有機塩基、特に無機塩基を意味するが、有機金属塩基は意味しない。塩基は水中で分解すべきではない。好適な塩基は、例えば、ブレンステッド酸の塩である。炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、ギ酸塩、アスコルビン酸塩、シュウ酸塩及び水酸化物が有利に使用される。これらは、アンモニウム塩(ブレンステッド酸)NRの形態で使用することができ、式中、Rは、例えば、H又はアルキル、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、及びアルカリ土類金属塩である。
パラジウム(II)化合物は、2つの異なる若しくは2つの同一の一価アニオン又は1つの二価アニオンを有し得る。中性配位子、例えばCODは提供されない。その結果、PdClなどの安価な市販のパラジウム(II)化合物を有利に使用することができる。したがって、単核又は多核パラジウム化合物のin situ生成のための反応物質として、[Pd(配位子)Y]型のパラジウム(II)化合物[式中、例えば配位子=COD]の時間がかかり費用がかかる調製を省くことが可能である。これは、経済的観点(原子に関して)及び生態学的観点から特に有利である。加えて、これは、一般式VIIによる最終生成物中の可能な不純物の数を減少させる。
更なる有利な実施形態では、上述のin situ調製の文脈において反応物質として使用されるパラジウム(II)化合物は、ハロゲン化物及び一価弱配位性アニオンからなる群より特に選択される2つの同一の一価アニオンを含む。
一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物を調製するための第2の方法の更なる実施形態によれば、反応は、
a)第1の工程では、溶媒SB1中にパラジウム(II)化合物を提供し、第2の工程では、臭化水素(HBr)及び/又はヨウ化水素(HI)を添加し、並びに/又は例えばTMSBr、TMSI、臭化アセチル、ヨウ化アセチル及びそれらの混合物からなる群より選択されるHBr供与体及び/又はHI供与体、特に臭化アセチル及び/又はヨウ化アセチルを添加し、第3の工程では、一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物及び/又は一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物及び少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む調製物を添加する、工程
又は
b)第1の工程では、溶媒SB1中にパラジウム(II)化合物を提供し、第2の工程では、一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物及び/又は一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物及び少なくとも有機ケイ素化合物を含む調製物を添加し、第3の工程では、臭化水素(HBr)及び/又はヨウ化水素(HI)を添加し、並びに/又は例えばTMSBr、TMSI、臭化アセチル、ヨウ化アセチル、及びそれらの混合物からなる群より選択されるHBr供与体及び/又はHI供与体、特に臭化アセチル及び/又はヨウ化アセチルを添加する、工程を含む。
特に、一般式[Pd(μ-Br)(PR)](VII.a)、例えば、[Pd(μ-Br)(PtBu)]、[Pd(μ-Br)(P(iPr)tBu)]、[Pd(μ-Br)(P(1-Ad)tBu)]、[Pd(μ-Br)(P(1-Ad)tBu)]及び[Pd(μ-Br)(P(1-Ad)iPr)]による錯体を調製する場合、a)の下で与えられる順序を選択することが好ましい。
第2の方法の変形実施形態によれば、提供される調製物は、溶媒Sを含む。調製物自体は、特に、存在する溶媒S及び/又は存在する有機ケイ素化合物に応じて、溶液、懸濁液、分散液又はゲルの形態であり得る。溶媒Sは、溶媒の混合物であってもよい。それは、有利には、アルカン、芳香族炭化水素及び極性溶媒からなる群より選択され、有利には、アルコール、アルカン、ケトン、エーテル又はそれらの組み合わせ、特に、2~6個の炭素原子を有するアルコール、5~8個の炭素原子を有するアルカン又はシクロアルカン、石油エーテルなどのアルカン混合物、6~9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、4~8個の炭素原子を有するエーテル又は2~6個の炭素原子を有するケトン、又はそれらの混合物からなる群より選択される。例えば、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物又は組み合わせが適している。特に、溶媒Sが、芳香族炭化水素、ケトン、例えばアセトン、及びアルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール、並びにそれらの混合物からなる群より選択される溶媒を含むか又はそれらである場合、調製物は、溶液又は懸濁液の形態である。この場合、少なくとも1種の芳香族炭化水素は、例えば、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、及びそれらの混合物又は組み合わせからなる群より選択することができる。第2の方法で使用される溶媒S及び溶媒Sが混和性又は同一である場合、特に有利である。
一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物を調製するための第2の方法の別の実施形態は、パラジウム(II)化合物を、一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物及び少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む上記調製物と反応させることを提供し、ここで、
a)少なくとも1種の有機ケイ素化合物が、少なくとも1つの末端二重結合、特にビニル二重結合を含有し、特に環状若しくは非環状シロキサンを含むか又は環状若しくは非環状シロキサンであり、
及び/又は
b)調製物は、一般式[Pd(PR]によるパラジウム化合物に加えて、一般式[LPd(PR)](II)による少なくとも1種のパラジウム化合物及び/又は一般式[Pd(L](III)による少なくとも1種のパラジウム化合物を含み、ここで、
-配位子Lは、特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物、特に環状又は非環状シロキサンと同一であり、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの末端二重結合を含有し、
及び
-(PR)は、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ(イソプロピルホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1-アダマンチル-ジ(イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス-(ジフェニルホスフィノ)-プロパン(dppp)からなる群より選択される。
特に、配位子Lは、有機ケイ素化合物と同一であり、配位子Lは、特に、少なくとも1つの末端、特にビニル二重結合を有する環状又は非環状シロキサンである。この場合、配位子Lは、有利には、少なくとも1つのπ指向性結合を介して、一般式LPd(PR)(II)又は[Pd(L](III)による化合物のパラジウム中心に配位又は結合される。
遷移金属不含酸化剤及び/又は一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物は、物質中で、すなわち気体、液体若しくは固体として、又は溶媒Sと混和性である溶媒中の溶液、エマルジョン若しくは懸濁液として添加することができる。
式VIIによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される第2の方法の更なる変形実施形態は、式VIIによる化合物を調製するための第2の方法による反応が、式VIIによる化合物を調製するための第2の方法による反応のために選択された溶媒又はそれと混和性の溶媒中で、特に少なくとも1つのパラジウム中心が有機ケイ素化合物である配位子Lを有するパラジウム(0)化合物と、一般式PRによるホスフィン配位子とから出発する、一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物のin situ調製を含むことを提供する。基R、R及びRは、ホスフィン配位子PiPrを除いて、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択される。本方法の代替的又は補足的な実施形態によれば、一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物及び少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む調製物は、特に単核又は多核パラジウム化合物、特にパラジウム(0)化合物から出発してin situ生成され、少なくとも1つのパラジウム中心は、有機ケイ素化合物である配位子L及び各場合においてホスフィン配位子(PR)を有する。後者は、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソ-プロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピルホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ(イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より独立して選択される。調製物のin situ生成は、式VIIによる化合物を調製するための第2の方法による反応のために選択された溶媒又はそれと混和性の溶媒中で行われる。配位子L及び有機ケイ素化合物の選択又は定義は、上記のものに対応する。
「in situで生成/調製された」又は「in situ生成/調製」という表現は、既に上で定義されている。
一般式[Pd(μ-X](PR)](VII)による化合物を調製するための第1の方法の更なる変形例によれば、
-モル比Pd:Xは、少なくとも1.0:0.5、有利には1.0:0.5~1.0:2.0、より有利には1.0:0.6~1.0:1.9、特に有利には1.0:0.7~1.0:1.8、特に1.0:0.8~1.0:1.7、例えば1.0:0.9又は1.0:1.0又は1.0:1.1又は1.0:1.2又は1.0:1.3又は1.0:1.4又は1.0:1.5又は1.0:1.6であり、
及び/又は
-パラジウム(0)化合物:PRのモル比は、少なくとも1:1、有利には1.0:1.0~1.0:2.5、より有利には1.0:1.1~1.0:2.4、特に有利には1.0:1.2~1.0:2.3、特に1.0:1.3~1.0:2.2、例えば1.0:1.4又は1.0:1.5又は1.0:1.6又は1.0:1.7又は1.0:1.8又は1.0:1.9又は1.0:2.0又は1.0:2.1である。
経済的観点(原子に関して)及び生態学的観点から、パラジウム(0)化合物:PRのモル比が1:1である場合、特に有利である。
一般式:[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物を調製するための第2の方法の別の実施形態は、
-モル比
パラジウム(II)化合物:遷移金属不含酸化剤
又は
パラジウム(II)化合物:臭素(Br)及び/又はヨウ素(I)
が、少なくとも1:2、有利には1:2~1:3、より有利には1.0:2.1~1.0:2.9、特に有利には1.0:2.2~1.0:2.8、特に1.0:2.3~1.0:2.7、例えば1.0:2.4又は1.0:2.5又は1.0:2.6であり、
及び/又は
-パラジウム(II)化合物:パラジウム(0)化合物のモル比が、1:2~2:1、有利には1.0:1.9~1.9:1.0、より有利には1.1:1.8~1.8:1.1、特に1.2:1.7~1.7:1.2、例えば1.0:1.8又は1.8:1.0又は1.0:1.7又は1.7:1.0又は1.0:1.6又は1.6:1.0又は1.0:1.5又は1.5:1.0又は1.0:1.4又は1.4:1.0又は1.0:1.3又は1.3:1.0又は1.0:1.2又は1.2:1.0又は1.0:1.1又は1.1:1.0又は1.0:1.0である
ことを提供する。
経済的観点(原子に関して)及び生態学的観点から、パラジウム(II)化合物:遷移金属不含酸化剤のモル比が1:2であり、パラジウム(II)化合物:パラジウム(0)化合物のモル比が1:1である場合、特に有利である。
一般式:[Pd(μ-X](PR)](VII)による化合物を調製するための第2の方法の別の実施形態は、調製物が少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、特に少なくとも1種の有機ケイ素化合物の形態で存在するケイ素の含有量が、100ppm以上1000ppm以下、有利には110ppm以上900ppm以下、特に120ppm以上800ppm以下であることを提供する。特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物の形態で存在するケイ素含有量は、当業者に公知の分析方法を使用して、特に、定量的H NMR分光法及び/又は誘導結合プラズマを用いた原子発光分光法(誘導結合プラズマ発光分析、ICP-AES)を使用して決定することができる。一般式[Pd(μ-X](PR)](VII)による化合物を調製するための第2の方法の場合、有機ケイ素化合物は、配位子LS又は一般式[LPd(PR)](II)及び/又は一般式[Pd(L](III)による配位子L又はパラジウム化合物であり得る。
一般式[Pd(μ-X)(PR)].(VII)による化合物を調製するための第1の方法又は第2の方法の別の実施形態によれば、更なる工程が、反応後に行われ、一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による反応によって調製された化合物を単離することを含む。
-[Pd(μ-X)(PR)](VII)並びに溶媒S又は溶媒S及び/若しくはSを含む調製物として
又は
-物質として、有利には固体として。
ここで及び以降において、「調製物」という用語は、溶液、懸濁液、分散液又はゲルを意味する。したがって、調製物は、特に、存在する溶媒及び/又は存在する一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物に応じて、溶液、懸濁液、分散液又はゲルの形態であり得る。溶媒は、溶媒の混合物であってもよい。特に、溶媒は、第1の方法で使用される溶媒S又は第2の方法で使用される溶媒S及び/又はSと混和性であるか又は同一である溶媒を含むか又はその溶媒である。調製物は、通常、溶液又は懸濁液の形態である。
一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物を調製するための第1の方法又は第2の方法の更なる変形例では、単離は、濾過工程及び/又はデカンテーション及び/又は遠心分離を含む。上記の処置は、数回行うこともできる。任意に、洗浄媒体、例えば活性炭又はシリカ、例えばCelite(登録商標)上での1回以上の濾過を行うことができる。有利には、濾液、遠心分離物、又はデカンテーション物又は固体は、迅速に、かつ複雑にならずに、調製に関して特別な労力をかけずに実施され得る更なる精製及び/又は単離工程に供され得る。
一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物の単離は、更なる方法工程、例えば、母液体積の減少、すなわち、例えば「bulb-to-bulb」による母体液体の濃縮、母液から生成物を沈殿させるための及び/又は不純物及び/若しくは反応物質を除去するための溶媒の添加及び/又は溶媒交換、結晶化、昇華、例えばアセトン、ペンタン又はヘキサン及びそれらの混合物による洗浄、並びに生成物の乾燥を含み得る。前述の工程は、各々、異なる順序及び頻度で提供され得る。
全体として、一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による目的化合物の精製及び/又は単離は、比較的単純かつ安価である。
一般に、最終生成物は、溶媒の残留物又は例えば反応物質からの不純物を依然として含有し得る。[Pd(μ-X)(PR)](VII)型の単離された化合物は、少なくとも97%、有利には97%超、特に98%超又は99%超の純度を有する。工業規模にスケールアップする場合であっても、再現可能な収率は、特に反応物質及び溶媒又は溶媒混合物の選択に応じて、少なくとも60%、通常は>80%、場合によっては>90%である。
本目的はまた、一般式
による化合物によって達成され、
式中、
-R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択され、
及び
-架橋原子Xは、独立して、臭素(Br)又はヨウ素(I)であり、
ただし、化合物[Pd(μ-Br)(PtBu)]、[Pd(μ-I)(P(iPr)tBu)]及び[Pd(μ-Br)(P(1-Ad)tBu)]を除く。
一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による本明細書で特許請求されるパラジウム(I)化合物は、特に、上記の実施形態のうちの1つによる一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物を調製するための方法によって得ることができる。例えば、それらは触媒及び/又はプレ触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応におけるプレ触媒として使用することができる。有利には、それらは以下に示す反応のためのプレ触媒として適している。
更に、本目的は、
i.一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物
式中、
-R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択され、
及び
-架橋原子Xは、独立して、臭素(Br)又はヨウ素(I)であり、
及び
ii.少なくとも1種の有機ケイ素化合物
を含む調製物によって達成される。
有機ケイ素化合物という用語の定義は、既に上で与えられている。
特許請求される調製物の一実施形態では、そこに含まれる一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物、又は調製物自体は、特に、上述の実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる。
調製物の別の実施形態によれば、特に少なくとも1種の有機ケイ素化合物の形態で存在するケイ素含有量は、100ppm以上1000ppm以下、有利には110ppm以上900ppm以下、特に120ppm以上800ppm以下である。特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物の形態で存在するケイ素含有量は、当業者に公知の分析方法を使用して、特に、定量的H NMR分光法及び/又は誘導結合プラズマを用いた原子発光分光法(誘導結合プラズマ発光分析、ICP-AES)を使用して決定することができる。
本明細書で特許請求される調製物の代替的又は補足的な実施形態では、調製物は、溶媒Sを含有する。
調製物は、特に、存在する溶媒S及び/又は存在する有機ケイ素化合物に応じて、溶液、懸濁液、分散液又はゲルの形態であり得る。溶媒Sは、溶媒の混合物であってもよい。それは、有利には、アルカン、芳香族炭化水素及び極性溶媒からなる群より選択され、有利には、アルコール、アルカン、ケトン、エーテル又はそれらの組み合わせ、特に、2~6個の炭素原子を有するアルコール、5~8個の炭素原子を有するアルカン又はシクロアルカン、石油エーテルなどのアルカン混合物、6~9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、4~8個の炭素原子を有するエーテル又は2~6個の炭素原子を有するケトン、又はそれらの混合物からなる群より選択される。例えば、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物又は組み合わせが適している。特に、溶媒Sが、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン及びそれらの混合物又は組み合わせ、極性溶媒、例えばアセトン及びアルコール、例えばメタノール、エタノール及びイソプロパノール及びそれらの混合物からなる群より選択されるもの、並びにエーテル、例えばジエチルエーテル、THF、2-メチルテトラヒドロフラン及び1,4-ジオキサン及びそれらの混合物からなる群より選択されるものからなる群より選択される溶媒を含むか又はその溶媒である場合、調製物は溶液又は懸濁液の形態である。
本明細書で特許請求される調製物の一実施形態では、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの末端二重結合、特にビニル二重結合を含有する。特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、環状若しくは非環状シロキサンを含むか又は環状若しくは非環状シロキサンである。調製物の代替的又は補足的な変形実施形態によれば、前述の調製物は、一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)によるパラジウム化合物に加えて、一般式[LPdZ](II)によるパラジウム化合物及び/又は一般式[Pd(L](III)によるパラジウム化合物を含む。この場合、配位子Lは、特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物、特に環状又は非環状シロキサンと同一である。少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの末端二重結合を含有し、Zは、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソ-プロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より選択される。
調製物の更なる変形実施形態は、少なくとも1種の有機ケイ素化合物が、環状若しくは非環状シロキサンを含むか又は環状若しくは非環状シロキサンであり、及び/又は少なくとも1つの配位子Lが、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジチエン-2-イルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジビニルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,3-ジビニルジシロキサンジオール及び2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群より選択される環状若しくは非環状シロキサンである。特に、有機ケイ素化合物の1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)を含むか若しくはそれであり、及び/又は配位子Lの1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)である。
本目的は更に、一般式
による化合物を調製するための方法によって達成され、
式中、
-Xは、アニオン性配位子であり、
及び
-基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
又は
-R1、R1、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって不飽和又は脂肪族環を形成し、
又は
-R1、R2、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成し、
当該方法は、
A.パラジウム化合物、特に単核又は多核パラジウム化合物(0)化合物であって、少なくとも1つのパラジウム中心が有機ケイ素化合物である配位子Lを有し、配位子Lが、特に環状又は非環状シロキサンである、パラジウム化合物を提供する工程、
B.工程Aからのパラジウム化合物を、一般式
による化合物AHと反応させる工程であって、
式中、
-Xは、アニオン性配位子であり、
-基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
又は
-R1、R2、R3及びR4の2つの基、有利にはR1とR3又はR2とR4が一緒になって不飽和又は芳香族環を形成するか、
又は
-R1、R2、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって、芳香族又は不飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成する、工程、
及び
C.任意に、工程Bで生成された式VIIIの化合物を単離する工程
を含む。
有機ケイ素化合物という用語は、既に上で定義されている。
多数のVIII型のパラジウム(II)錯体化合物は、本明細書に記載される方法によって、簡単に、比較的安価に、かつ再現可能に提供することができる。標的化合物は、通常、高収率及び良好な純度、特にNMR純度で得られる。驚くべきことに、本明細書に記載される方法によって調製することができる化合物は、パラジウム含有副生成物に起因する不純物を含有せず、特にそれらの溶解挙動に起因して分離することが困難若しくは不可能であるか、又は前述の不純物を微量(≦1000ppm)しか含有しないことが見出された。最終生成物の高い純度は、可能な使用、例えばプレ触媒及び/又は触媒としての使用の観点から特に有利である。加えて、本明細書で特許請求される方法は、η-ベンジルパラジウムハロゲン化物及びアリールパラジウムハロゲン化物への単純化されたアクセスを可能にする。
式VIIIによるパラジウム(II)ダイマーは、優れた触媒性能を有する使いやすい触媒前駆体である。有利には、それらは、市販の前駆体から一工程で容易に入手可能であり、多数の電子供与体配位子、特にホスフィン及びNHC配位子と問題なく反応して、定義されたパラジウム(II)錯体を与える。その結果、式VIIIによるダイマーパラジウム(II)化合物から出発する高活性モノライゲートパラジウム(II)プレ触媒及び/又はパラジウム(II)触媒のin situ調製さえも、簡単かつ再現可能な方法で可能である。
特にパラジウム(0)化合物であるパラジウム化合物は、単核又は多核、特に二核の形態で、モノマー又はオリゴマー、特にダイマーとして、及び/又は溶媒付加物として存在し得る。
一般式VIIIによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の一実施形態では、アニオン性配位子Xは、ハロゲン化物アニオン又は一価の弱配位性アニオンである。
「弱配位」という用語はまた、「非常に弱く配位する」及び「中程度に強く配位する」という用語を包含する。塩化物、臭化物又はヨウ化物をハロゲン化物アニオンXとして有利に使用することができ、特に有利には塩化物又は臭化物、特に塩化物である。一価の弱配位性アニオンは、特に過フッ素化アニオン、例えば、PF 、BF 、FCSO (TfO,トリフラート)及び[(FCSON](TFSI)、又は非フッ素化アニオン、例えば、HCSO (メシラート)若しくはトシラートである。
本発明によれば、「不飽和環」という表現は、少なくとも1つの二重結合を有する非芳香族炭素環又は複素環を意味する。不飽和環は、脂肪族、芳香族及び他の不飽和炭素環及び/又は複素環を含み得る2つ以上の縮合環からなる環系の一部であってもよい。飽和環は、例えば、フェナレン又はインデンから誘導されるハロゲン化アリルAHが、式VIIIによる化合物を調製するための反応物質として使用される場合、例えば、基R1及びR3によって形成される。
本明細書に記載される方法の一実施形態では、Pd:AHのモル比は、少なくとも1:1、有利には1.0:1.0~1.0:5.0、より有利には1.0:1.1~1.0:4.0、特に有利には1.0:1.2~1.0:3.0、特に1.0:1.3~1.0:2.0、例えば、1.0:1.4又は1.0:1.5又は1.0:1.6又は1.0:1.7又は1.0:1.8又は1.0:1.9又は1.0:2.1又は1.0:2.2又は1.0:2.3又は1.0:2.4又は1.0:2.5又は1.0:2.6又は1.0:2.7又は1.0:2.8又は1.0:2.9又は1.0:3.1又は1.0:3.2又は1.0:3.3又は1.0:3.4又は1.0:3.5又は1.0:3.6又は1.0:3.7又は1.0:3.8又は1.0:3.9又は1.0:4.1又は1.0:4.2又は1.0:4.3又は1.0:4.4又は1.0:4.5又は1.0:4.6又は1.0:4.7又は1.0:4.8又は1.0:4.9である。
本明細書で特許請求される方法によって得ることができる一般式VIIIによる化合物は、2つの同一のη結合アリル配位子を有する。アリル配位子は、各場合において、一般式
による、反応物質として使用される化合物AHから誘導され、
式中、X、R1、R2、R3及びR4は、上記で定義された通りである。
例えば、式VIIIによる化合物を調製するために、有機ケイ素化合物、特に環状又は非環状シロキサンである配位子Lを特に有するパラジウム(0)化合物を、1-ナフチルメチルクロリドと反応させることができる。例えば、少なくとも1:1のモル比Pd:AHを提供することができる。このようにして得ることができる式VIIIによるパラジウム(II)化合物は、ナフタレンから誘導された2つの同一のアリル配位子、特にη結合アリル配位子を有する。換言すれば、式VIIIによる錯体は、厳密な意味でナフチル配位子を有しない。これは、パラジウム中心の錯体形成に関与する電子が環電子と共役しないためである。二環式ナフタレンの芳香族性は、複合体形成の結果として、2つの縮合6員環の1つに限定される。しかしながら、本発明の文脈における簡略化のために、ナフタレン由来のη結合配位子又はη結合アリル配位子は、ナフチル配位子と呼ばれる。したがって、上記実施例の反応の生成物は、ダイマーパラジウム(II)1-メチルナフチルクロリド錯体(ここで、塩素原子は架橋配位子として作用し、すなわち、2つの塩素架橋が存在する)、又はクロリド架橋1-メチルナフチルパラジウム(II)ダイマーと呼ばれる。この場合、同じことが、例えば、アントラセニル、フェナントレニル、フェナレニル、フルオレニル、インデニル、テトラセニル又はクリセニルハロゲン化物を使用して得ることができる式VIIIによるパラジウム(II)化合物の名称にも当てはまる。
一般式VIIIによる化合物を調製するための特許請求された方法の更なる変形例は、反応物質AHの基R1、R2、R3及びR4が、水素(H)、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する分岐アルキル基、及び3~8個の炭素原子を有する、すなわちまた4、5、6又は7個の炭素原子を有する環状アルキル基、6~14個の炭素原子を有する、すなわち7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する非置換単核又は多核アリール基、6~14個の炭素原子を有する、すなわちまた7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する置換単核又は多核アリール基、5~13個の炭素原子を有する、すなわちまた6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を有する非置換単核又は多核ヘテロアリール基、及び5~13個の炭素原子を有する、すなわちまた6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を有する置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択されることを提供する。
別の実施形態によれば、反応物質AHの基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、1~8個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~8個の炭素原子を有する分岐アルキル基、4、5又は6個の炭素原子を有する環状アルキル基、6~14個の炭素原子を有する、すなわちまた7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する非置換単核又は多核アリール基、6~10個の炭素原子を有する置換単核又は多核アリール基、5~9個の炭素原子を有する非置換単核又は多核ヘテロアリール基及び5~9個の炭素原子を有する置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択される。
反応物質AHの基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、トリル、キシリル、ピリジニル、及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選択され得る。式VIIIによる化合物を調製するための方法の代替的又は補足的な実施形態では、反応物質AHのR1~R4からの2つの基は、1つ以上の上述のアルキル基で置換されている不飽和又は芳香族炭素環式環を形成することができる。例えば、基R2及びR4が、正確に1個の芳香族環と縮合した置換不飽和炭素環式5員環を形成する反応物質AHを提供することができる。そのような反応物質AHの例は、3-(tert-ブチル)-1-クロロ-1H-インデン(9-Clの反応物質)である。例えば、基R2及びR4が非置換不飽和炭素環式6員環を形成する反応物質AHも提供することができる。そのような反応物質AHの例は、3-ブロモシクロヘキセン(6-Brの反応物質)である。
式VIIIによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の一実施形態では、反応物質AHのR1及びR3は一緒になって、5~8個の炭素原子を有する不飽和炭素環式環を形成する。特許請求の範囲に記載の方法の別の変形例では、反応物質AHのR1及びR3は一緒になって、5個若しくは6個の炭素原子を有する不飽和炭素環式環又は芳香族環を形成し、不飽和炭素環式環又は芳香族環は、少なくとも1つの芳香族環と縮合している。この場合、R1及びR3は一緒になって、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フェナレニル、テトラセニル又はクリセニル環系の一部であり得る。
式VIIIによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の別の実施形態では、
-反応物質AHの基R1及びR3が一緒になって、第1の、特に炭素環式の環を形成し、該環は、
芳香族又は不飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合しており、
及び
-基R1及びR2及び/又はR3及びR4が、5~8個の炭素原子を有する第2の環、特に炭素環式環を形成し、該環は、
芳香族又は不飽和であり、第1の環及び/又は少なくとも1つの芳香族環と縮合している。
この場合、第2の環は、非置換であり得るか、又は水素(H)、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、トリル、キシリル、ピリジニル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の基で任意に置換され得る。第1の環は、特に5~8個の炭素原子を有する炭素環式環である。有利には、第1及び第2の環は、シクロペンタジエニル環、シクロヘキサジエニル環、シクロヘプタジエニル環、シクロオクタジエニル環及びベンゼン環からなる群より独立して選択される。
式VIIIによる化合物を調製するための本明細書に記載される方法の別の実施形態では、反応物質AHのR2及びR4(必要とされるハロゲン原子は別として)は、5~8個の炭素原子を有する置換又は非置換の、特に不飽和又は飽和の炭素環式環を形成することができ、これは、例えばフルオレン又はインデン、特に3-(tert-ブチル)-1-クロロ-1H-インデンから誘導される反応物質AHの場合、少なくとも1つの芳香族環と任意に縮合していてもよい。この炭素環式環はシクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル又はシクロオクテニル環であるのが有利である。あるいは、この炭素環式環は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル環である。
式VIIIによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の更なる実施形態では、反応物質AHのR1及びR3は一緒になって、炭素環式環、特に、少なくとも1つの芳香族環と縮合している芳香族又は不飽和環を形成することができる。
式VIIIによる化合物を調製するための本明細書に記載される方法の更なる実施形態では、反応物質AHのR1は、水素(H)、メチル若しくはフェニルであるか、又はR1はR3と一緒になって、ベンゼン環と縮合しているフェニル環を形成し、その結果、R1及びR3は、ナフチル環の一部となる。
式VIIIによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の別の実施形態では、反応物質AHのR2は、水素(H)、メチル若しくはフェニルであるか、又はR4と一緒になってシクロヘキセニル環を形成する。
式VIIIによる化合物を調製するための本明細書に記載される方法の別の実施形態では、反応物質AHのR3は、水素(H)、メチル若しくはフェニルであるか、又はR3はR1と一緒になって、ベンゼン環と縮合しているフェニル環を形成し、その結果、R1及びR3は、ナフチル環の一部となる。
式VIIIによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の更に別の実施形態では、反応物質AHのR4は、水素(H)、メチル若しくはフェニルであるか、又はR4はR2と一緒になって、シクロヘキセニル環を形成する。
特に、反応物質AHのR1~R4は、以下の基であり得る。アスタリスクでマークされた基は一緒になって、示された基を形成する。
a)基R1及びR3は一緒になって芳香族環、すなわちフェニル環を形成し、この芳香族環は少なくとも1つの芳香族環、すなわちベンゼン環と縮合している。したがって、R1及びR3はナフチル環の一部である。この場合、反応物質AHは、例えば、1-(クロロメチル)ナフタレン(化合物質7-Clの反応物、下記参照)、2-(クロロメチル)ナフタレン(化合物8-Clの反応物質、下記参照)、1-(ブロモメチル)ナフタレン(化合物7-Brの反応物質、下記参照)又は2-(ブロモメチル)ナフタレン(化合物8-Brの反応物質、下記参照)であり得る。
R1及び/又はR2がメチル基である、上の表に列挙したR1、R2、R3及びR4の組み合わせは、以下のように変更することができる:R1又はR2のいずれかがメチル基である場合、メチル基の代わりにエチル基、n-プロピル基又はn-ブチル基を提供することができる。上記の表によれば、R1=R2=メチルである場合、代わりに、エチル基、n-プロピル基又はn-ブチル基を基R1として提供することができ、基R2はメチル基のままであるか、又は基R2はエチル基、n-プロピル基又はn-ブチル基であり、R1=メチルである。あるいは、上記の表によれば、R1=R2=メチルである場合、代わりに、R1及びR2は、エチル基、n-プロピル基及びn-ブチル基からなる群より独立して選択されることを提供することができる。
本明細書で特許請求される方法の一実施形態は、工程Bにおける反応が少なくとも1種の溶媒S中で行われることを提供する。本方法の別の変形例では、溶媒Sは、アルコール、アルカン、芳香族炭化水素、ケトン、エーテル及びそれらの組み合わせ、特に2~6個の炭素原子を有するアルコール、5~8個の炭素原子を有するアルカン又はシクロアルカン、石油エーテルなどのアルカン混合物、6~9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、4~8個の炭素原子を有するエーテル又は2~6個の炭素原子を有するケトン、及びそれらの混合物からなる群より選択される。例えば、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、トルエン、ベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アセトン、メタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物がよく適している。
一般式VIIIによる化合物を調製するための本明細書に記載される方法の更に別の実施形態によれば、工程Aにおけるパラジウム化合物の提供は、有利にはパラジウム(II)カチオン及び2つの一価アニオン又は二価アニオンからなるパラジウム(II)化合物を、有機ケイ素化合物、有利には環状又は非環状シロキサンである配位子Lと、塩基の存在下で反応させることを含む。したがって、工程Aで提供されるパラジウム化合物は、有利にはin situで調製することができる。
パラジウム(II)化合物は、2つの異なる若しくは2つの同一の一価アニオン又は1つの二価アニオンを有し得る。中性配位子、例えばCODは提供されない。その結果、PdClなどの安価な市販のパラジウム(II)化合物を有利に使用することができる。したがって、単核又は多核パラジウム化合物のin situ生成のための反応物質として、[Pd(配位子)Y]型のパラジウム(II)化合物[式中、例えば配位子=COD]の時間がかかり費用がかかる調製を省くことが可能である。これは、経済的観点(原子に関して)及び生態学的観点から特に有利である。加えて、これは、一般式VIIIによる最終生成物中の可能な不純物の数を減少させる。
更なる有利な実施形態では、上述のin situ調製の文脈において反応物質として使用されるパラジウム(II)化合物は、ハロゲン化物及び一価弱配位性アニオンからなる群より特に選択される2つの同一の一価アニオンを含む。「in situ生成/調製された」又は「in situ生成/調製」という表現、及び「弱配位」という用語は、既に上で定義されている。
本明細書に記載される反応の文脈において、「塩基」という用語は、無機塩基及び有機塩基、特に無機塩基を意味するが、有機金属塩基は意味しない。塩基は水中で分解すべきではない。好適な塩基は、例えば、ブレンステッド酸の塩である。炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、ギ酸塩、アスコルビン酸塩、シュウ酸塩及び水酸化物が有利に使用される。これらは、アンモニウム塩(ブレンステッド酸)NRの形態で使用することができ、式中、Rは、例えば、H又はアルキル、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、及びアルカリ土類金属塩である。
工程Aにおけるパラジウム(II)化合物と、有機ケイ素化合物である配位子Lとの反応は、通常、溶媒SC1中で行われる。溶媒SC1は、特に限定されない。可能な溶媒SC1の例は、極性溶媒、例えば水、アルコール、ケトン、炭化水素、例えばベンゼン及びトルエンなどの芳香族炭化水素、又はペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素、開鎖又は環状エーテル、アミド及びエステルである。しかしながら、溶媒として、水、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール、並びにそれらの混合物、ケトン、例えば、アセトン、並びにエーテル、例えば、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、並びにそれらの混合物が好ましい。これらのアルコールの混合物も使用することができる。特に、工程Aにおける準備又は反応のために提供される溶媒SC1及び工程Bにおける反応のために提供される溶媒Sは、互いに混和性であるか又は同一である。この場合、溶媒を交換する必要がなく、これは、経済的観点及び生態学的観点から特に有利である。
「2種の混和性溶媒」という表現の定義は、既に上で与えられている。
一般式VIIIによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の一実施形態では、配位子Lの1つは、1,1,3,3-テトラ-メチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)、1,1,3,3-テトラ-メチル-1,3-ジチエン-2-イルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジビニルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,3-ジビニルジシロキサンジオール及び2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群より選択される環状又は非環状シロキサンである。有利には、配位子Lの1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)である。特に、配位子Lの1つは、dvdsである。驚くべきことに、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンパラジウム(0)-本発明の文脈において、[Pd(dvds)]、[Pd(dvds)]、Pd(vs)、Pd-VS又はパラジウム-VS-と略される-は、例えば、π-アリルパラジウムクロリド錯体などのπ-アリルパラジウムハロゲン化物錯体から、式VIIIによる化合物を調製するための優れた出発物質であり、これは、特に本明細書に記載される方法によって、通常90%超、多くの場合97%超、特に99%超の収率で得られることが見出された。加えて、本明細書で特許請求される方法によって、以前に得られていない、すなわち先行技術に記載されていないこのタイプの化合物を合成することが可能であった。
一般式VIIIによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の更なる変形実施形態によれば、工程A及び/又は工程B、特に工程Bにおける反応温度は、10℃~60℃、特に15℃~45℃又は20℃~30℃である。本方法の代替的又は補足的な実施形態は、工程A及び/又は工程B、特に工程Bにおける反応時間が10分~48時間、特に1時間~36時間又は2~24時間又は3~12時間であることを提供する。
本目的はまた、一般式
による化合物であって、その一部は以前に得られていない化合物によって達成され、
式中、
-Xは、アニオン性配位子であり、
及び
-基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
又は
-R1、R1、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって不飽和又は脂肪族環を形成し、
又は
-R1、R2、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成し、
特に、上記の例示的な実施形態の1つに従うそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物は、特にそのような化合物を調製するための上記の方法の例示的な実施形態の1つによれば、一般に、通常80%超、多くの場合85%超、特に90%超の収率で得ることができる。一般式VIIIによるパラジウム(II)化合物は、例えば、触媒及び/又はプレ触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応におけるプレ触媒として使用することができる。有利には、それらは以下に示す反応のための触媒として適している。
式VIIIによるパラジウム(II)ダイマーは、優れた触媒性能を有する使いやすい触媒前駆体である。有利には、それらは、市販の前駆体から一工程で容易に入手可能であり、多数の電子供与体配位子、特にホスフィン及びNHC配位子と問題なく反応して、定義されたパラジウム(II)錯体を与える。その結果、式VIIIによるダイマーパラジウム(II)化合物から出発する高活性モノライゲートパラジウム(II)プレ触媒及び/又はパラジウム(II)触媒のin situ調製さえも、簡単かつ再現可能な方法で可能である。
本発明によれば、「不飽和環」という表現は、少なくとも1つの二重結合を有する非芳香族炭素環又は複素環を意味する。この場合、不飽和環は、脂肪族、芳香族及び他の不飽和炭素環及び/又は複素環を含み得る2つ以上の縮合環からなる環系の一部であってもよい。
飽和環は、例えば、フェナレン又はインデンから誘導されるハロゲン化アリルAHが、式VIIIによる化合物を調製するための反応物質として使用される場合、例えば、基R2及びR4によって形成される。
一般式VIIIによる化合物は、2つの同一のη結合アリル配位子を有する。アリル配位子は、各場合において、一般式
による、反応物質として使用される化合物AHから誘導され、
式中、X、R1、R2、R3及びR4は、上記で定義された通りである。
例えば、式VIIIによる化合物を調製するために、有機ケイ素化合物、特に環状又は非環状シロキサンである配位子Lを特に有するパラジウム(0)化合物を、1-ナフチルメチルクロリドと反応させることができる。例えば、少なくとも1:1のモル比Pd:AHを提供することができる。このようにして得ることができる式VIIIによるパラジウム(II)化合物は、ナフタレンから誘導された2つの同一のアリル配位子、特にη結合アリル配位子を有する。換言すれば、式VIIIによる錯体は、厳密な意味でナフチル配位子を有しない。これは、パラジウム中心の錯体形成に関与する電子が環電子と共役しないためである。二環式ナフタレンの芳香族性は、複合体形成の結果として、2つの縮合6員環の1つに限定される。しかしながら、本発明の文脈における簡略化のために、ナフタレン由来のη結合配位子又はη結合アリル配位子は、ナフチル配位子と呼ばれる。したがって、上記実施例の反応の生成物は、ダイマーパラジウム(II)1-メチルナフチルクロリド錯体(ここで、塩素原子は架橋配位子として作用し、すなわち、2つの塩素架橋が存在する)、又はクロリド架橋1-メチルナフチルパラジウム(II)ダイマーと呼ばれる。この場合、同じことが、例えば、アントラセニル、フェナントレニル、フェナレニル、フルオレニル、インデニル、テトラセニル又はクリセニルハロゲン化物を使用して得ることができる式VIIIによるパラジウム(II)化合物の名称にも当てはまる。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物の一実施形態によれば、特に、上記の例示的な実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができ、アニオン性配位子Xは、ハロゲン化物アニオン又は一価弱配位性アニオンである。
「弱配位」という用語はまた、「非常に弱く配位する」及び「中程度に強く配位する」という用語を包含する。塩化物、臭化物又はヨウ化物をハロゲン化物アニオンXとして有利に使用することができ、特に有利には塩化物又は臭化物、特に塩化物である。一価の弱配位性アニオンは、特に過フッ素化アニオン、例えば、PF 、BF 、FCSO (TfO,トリフラート)及び[(FCSON](TFSI)、又は非フッ素化アニオン、例えば、HCSO (メシラート)若しくはトシラートである。
本明細書で特許請求される一般式VIIIによる化合物の更なる変形例は、特に、上記の例示的な実施形態の1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができ、式VIIIによる化合物の基R1、R2、R3及びR4が、水素(H)、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する分岐アルキル基、及び3~8個の炭素原子を有する、すなわち4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する環状アルキル基、6~14個の炭素原子を有する、すなわち、7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する非置換単核又は多核アリール基、6~14個の炭素原子を有する、すなわち、7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する置換単核又は多核アリール基、及び5~13個の炭素原子を有する、すなわち6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を有する非置換単核又は多核ヘテロアリール基、及び5~13個の炭素原子を有する、すなわち、6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を有する置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択されることを提供する。
本明細書で特許請求される一般式VIIIによる化合物の別の実施形態によれば、特に、上記の例示的実施形態の1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができ、式VIIIによる化合物の基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、1~8個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~8個の炭素原子を有する分岐アルキル基、4、5又は6個の炭素原子を有する環状アルキル基、6~14個の炭素原子を有する、すなわちまた7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する非置換単核又は多核アリール基、6~10個の炭素原子を有する置換単核又は多核アリール基、5~9個の炭素原子を有する非置換単核又は多核ヘテロアリール基及び5~9個の炭素原子を有する置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択される。
本明細書で特許請求される一般式VIIIによる化合物、特に上述の例示的な実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる化合物の基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、トリル、キシリル、ピリジニル、及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選択することができる。本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物、特に上記の例示的な実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる化合物の代替的又は補足的な実施形態では、R1~R4のうちの2つの基は、非置換であるか、又は上記のアルキル基若しくはアリール基のうちの1つ以上で置換されている飽和又は不飽和の炭素環式環を形成することができる。本明細書で特許請求される一般式VIIIによる化合物、特に上記の例示的実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる化合物の別の実施形態では、R2及びR4(必要なハロゲン原子は別として)は、5~8個の炭素原子を有する置換又は非置換炭素環式、特に飽和環を形成することができる。上記の実施形態では、炭素環式環は、有利には、シクロペンテニル環、シクロヘキセニル環、シクロヘプテニル環若しくはシクロオクテニル環、又はシクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環若しくはシクロオクチル環である。例えば、化合物9-Clの場合、基R2及びR4は、置換シクロペンテニル環から誘導されるη結合アリル配位子を形成し、このアリル配位子は、簡略化のためにシクロペンチル配位子と呼ばれる。したがって、以下に示す化合物6-Cl及び6-Br中の基R2及びR4は、各々シクロヘキシル環を形成する。
代替的又は補足的な実施形態によれば、基R2及びR4は一緒になって、5~8個の炭素原子、有利には5又は6個の炭素原子を有する第1の環、特に炭素環式環を形成し、第1の環は不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している。この場合、R2及びR4は一緒になって、フルオレニル又はインデニル系から誘導されるη結合アリル配位子の一部であることができる。この例は、化合物9-Clである。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物、特に上記の例示的実施形態の1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる化合物の別の実施形態では、R1及びR3は一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している、5~8個の炭素原子を有する第1の、特に炭素環式の環を形成する。別の変形例では、式VIIIによる化合物、特に上記の例示的な実施形態の1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる化合物のR1及びR3は、一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している、5個又は6個の炭素原子を有する第1の、特に炭素環式の環を形成する。この場合、R1及びR3は一緒になって、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フェナレニル、テトラセニル又はクリセニル環系の一部であり得る。6個の炭素原子を有する不飽和炭素環式環を一緒に形成し、不飽和6員環が少なくとも1個の芳香族環と縮合しているR1及びR3の例は、化合物7-Cl、7-Br、8-Cl及び8-Brである。ここで、以下のことに留意すべきである:上記の例示的な化合物の場合、パラジウム中心の錯体形成に関与する電子は、環電子と共役していない。二環式ナフタレンの芳香族性は、複合体形成の結果として、2つの縮合6員環の1つに限定される。しかしながら、本発明の文脈における簡略化のために、ナフタレン由来の、特にη結合アリル配位子は、ナフチル配位子と呼ばれる。したがって、上述の例示的な化合物7-Clは、ダイマーパラジウム(II)1-メチルナフチルクロリド錯体(ここで、塩素原子は架橋配位子として作用し、すなわち、2つの塩素架橋が存在する)、又はクロリド架橋1-メチルナフチルパラジウム(II)ダイマーと呼ばれる。この場合、同じことが、例えば、アントラセニル、フェナントレニル、フェナレニル、フルオレニル、インデニル、テトラセニル又はクリセニルハロゲン化物を使用して得ることができる式VIIIによるパラジウム(II)化合物の名称にも当てはまる。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物の別の実施形態では、特に、上記の例示的な実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができ、
-基R1及びR3が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環、特に炭素環式環を形成し、
及び
-基R1及びR2及び/又はR3及びR4は、芳香族又は不飽和であり、第1の環及び/又は少なくとも1つの芳香族環と縮合している5~8個の炭素原子を有する第2の環、特に炭素環式環を形成する。
この場合、第2の環は、非置換であるか、又は水素(H)、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、トリル、キシリル、ピリジニル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の基で任意に置換され得る。第1の環は、有利には、シクロペンテニル環、シクロヘキセニル環、シクロヘプテニル環、シクロオクテニル環、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環及びシクロオクチル環からなる群より選択される。第2の環は、シクロペンタジエニル環、シクロヘキサジエニル環、シクロヘプタジエニル環、シクロオクタジエニル環及びベンゼン環からなる群より選択される。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物、特に上記の例示的な実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる化合物の更なる実施形態では、R1は、水素(H)、メチル若しくはフェニルであるか、又はR1はR3と一緒になって、ベンゼン環と縮合したシクロヘキセニル環を形成し、その結果、R1及びR3は、ナフチル環の一部となる。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物、特に上記の例示的実施形態の1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる化合物の別の実施形態では、R2は、水素(H)、メチル若しくはフェニルであるか、又はR4と一緒になってシクロヘキシル環を形成する。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物の更に別の実施形態では、特に、上記の例示的な実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができ、R3は、水素(H)、メチル若しくはフェニルであるか、又はR3はR1と一緒になって、ベンゼン環と縮合したシクロヘキセニル環を形成し、その結果、R1及びR3は、ナフチル環の一部となる。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物、特に上記の例示的な実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる化合物の更に別の実施形態では、R4は、水素(H)、メチル若しくはフェニルであるか、又はR4はR2と一緒になってシクロヘキシル環を形成する。
特に、上記の例示的な実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる式VIIIによる化合物のR1~R4は、以下の基であり得る。アスタリスクでマークされた基は一緒になって、示された基を形成する。
a)例えば、以下に示す化合物6-Cl及び6-Brを参照されたい。
b)R1及びR3は一緒になって第1の不飽和環、すなわちシクロヘキセニル環を形成し、これは少なくとも1つの芳香族環、すなわちベンゼン環と縮合している。したがって、R1及びR3は、ナフタレン由来の、特にη結合したアリル配位子の一部であり、簡略化のためにナフチル配位子と呼ばれる。式VIIIによるそのような化合物の例は、以下に示す化合物7-Cl、7-Br、8-Cl及び8-Brである。
特に、以下の化合物は、式VIIIの化合物として調製することができる:
本目的はまた、式
による化合物によっても達成される。
有利には、この新規化合物はまた、一般式VIIIによる化合物を調製するための本明細書に記載される方法によって、良好な収率及び高純度で得ることができる。式4-Brによるパラジウム(II)化合物は、例えば、触媒及び/又はプレ触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応におけるプレ触媒として使用することができる。
本目的は更に、一般式
による新規化合物によって達成され、
式中、
-Xは、アニオン性配位子であり、
及び
-R1、R2、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成し、
ただし、式
[式中、R=アルキル、シクロアルキル又はアリールである]の化合物を除く。
本明細書で特許請求される式VIIIによる新規化合物は、特にそのような化合物を調製するための上記の方法の例示的な実施形態の1つによれば、一般に、通常90%超、多くの場合97%超、特に99%超の収率で得ることができる。一般式VIIIによるこれらのパラジウム(II)化合物は、例えば、触媒及び/又はプレ触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応におけるプレ触媒として使用することができる。有利には、それらは以下に与えられる反応のためのプレ触媒及び/又は触媒として適している。
本明細書で特許請求される式VIIIによる新規パラジウム(II)ダイマーは、優れた触媒性能を有する使いやすい触媒前駆体である。有利には、それらは、市販の前駆体から一工程で容易に入手可能であり、多数の電子供与体配位子、特にホスフィン及びNHC配位子と問題なく反応して、定義されたパラジウム(II)錯体を与える。その結果、式VIIIによる新規ダイマーパラジウム(II)化合物から出発する高活性モノライゲートパラジウム(II)プレ触媒及び/又はパラジウム(II)触媒のin situ調製さえも、簡単かつ再現可能な方法で可能である。
特にカップリング反応におけるパラジウム源としての本明細書で特許請求される式VIIIによる新規化合物の広範な適用性は、バックワルド・ハートウィッグアミノ化、ヘックビニル化、ケトンのα-アリール化並びに根岸ー鈴木ー宮浦カップリングにおけるダイマーパラジウム(II)-1-メチルナフチルハロゲン化物錯体の例を使用して実証された。バックワルド・ハートウィッグアミノ化及び鈴木ー宮浦カップリングの場合、1-メチルナフチルハロゲン化物から出発して製造することができる新規パラジウム(II)化合物7-Cl、7-Br、8-Cl及び8-Brの触媒活性に及ぼす効果が特に顕著であった。鈴木ー宮浦カップリングの場合、驚くべきことに、反応を新しいクラスの基質に拡張することが可能であった。ほとんどの場合、臭化物錯体7-Brが最も効率的であったが、ケトンアリール化において、塩化物錯体7-Clを用いて最良の結果が得られた。
本発明によれば、「不飽和環」という表現は、少なくとも1つの二重結合を有する非芳香族炭素環又は複素環を意味する。この場合、不飽和環は、脂肪族、芳香族及び他の不飽和炭素環及び/又は複素環を含み得る2つ以上の縮合環からなる環系の一部であってもよい。
飽和環は、例えば、フェナール(phenal)又はインデンから誘導されるハロゲン化アリルAHが、式VIIIによる化合物を調製するための反応物質として使用される場合、例えば、基R2及びR4によって形成される。
一般式VIIIによる化合物は、2つの同一のη結合アリル配位子を有する。アリル配位子は、各場合において、一般式
による、反応物質として使用される化合物AHから誘導され、
式中、X、R1、R2、R3及びR4は、上記で定義された通りである。
例えば、式VIIIによる化合物を調製するために、有機ケイ素化合物、特に環状又は非環状シロキサンである配位子Lを特に有するパラジウム(0)化合物を、1-ナフチルメチルクロリドと反応させることができる。例えば、少なくとも1:1のモル比Pd:AHを提供することができる。このようにして得ることができる式VIIIによるパラジウム(II)化合物は、ナフタレンから誘導された2つの同一のアリル配位子、特にη結合アリル配位子を有する。換言すれば、式VIIIによる錯体は、厳密な意味でナフチル配位子を有しない。これは、パラジウム中心の錯体形成に関与する電子が環電子と共役しないためである。二環式ナフタレンの芳香族性は、複合体形成の結果として、2つの縮合6員環の1つに限定される。しかしながら、本発明の文脈における簡略化のために、ナフタレン由来のη結合配位子又はη結合アリル配位子は、ナフチル配位子と呼ばれる。したがって、上記実施例の反応の生成物は、ダイマーパラジウム(II)1-メチルナフチルクロリド錯体(ここで、塩素原子は架橋配位子として作用し、すなわち、2つの塩素架橋が存在する)、又はクロリド架橋1-メチルナフチルパラジウム(II)ダイマーと呼ばれる。この場合、同じことが、例えば、アントラセニル、フェナントレニル、フェナレニル、フルオレニル、インデニル、テトラセニル又はクリセニルハロゲン化物を使用して得ることができる式VIIIによるパラジウム(II)化合物の名称にも当てはまる。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物の一実施形態によれば、アニオン性配位子Xは、ハロゲン化物アニオン又は一価の弱配位性アニオンである。
「弱配位」という用語はまた、「非常に弱く配位する」及び「中程度に強く配位する」という用語を包含する。塩化物、臭化物又はヨウ化物をハロゲン化物アニオンXとして有利に使用することができ、特に有利には塩化物又は臭化物、特に塩化物である。一価の弱配位性アニオンは、特に過フッ素化アニオン、例えば、PF 、BF 、FCSO (TfO,トリフラート)及び[(FCSON](TFSI)、又は非フッ素化アニオン、例えば、HCSO (メシラート)若しくはトシラートである。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物の一実施形態では、R1及びR3は一緒になって、5~8個の炭素原子を有する第1の、特に炭素環式の環を形成し、これは、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している。別の変形例では、式VIIIによる化合物のR1及びR3は、第1の、特に5又は6個の炭素原子を有する炭素環式環を形成し、これは不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している。この場合、R1及びR3は一緒になって、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フェナレニル、テトラセニル又はクリセニル環系の一部であり得る。6個の炭素原子を有する不飽和炭素環式環を一緒に形成し、不飽和6員環が少なくとも1個の芳香族環と縮合しているR1及びR3の例は、化合物7-Cl、7-Br、8-Cl及び8-Brである。ここで、以下のことに留意すべきである:上記の例示的な化合物の場合、パラジウム中心の錯体形成に関与する電子は、環電子と共役していない。二環式ナフタレンの芳香族性は、複合体形成の結果として、2つの縮合6員環の1つに限定される。しかしながら、本発明の文脈における簡略化のために、ナフタレン由来の、特にη結合アリル配位子は、ナフチル配位子と呼ばれる。したがって、上述の例示的な化合物7-Clは、ダイマーパラジウム(II)1-メチルナフチルクロリド錯体(ここで、塩素原子は架橋配位子として作用し、すなわち、2つの塩素架橋が存在する)、又はクロリド架橋1-メチルナフチルパラジウム(II)ダイマーと呼ばれる。この場合、同じことが、例えば、アントラセニル、フェナントレニル、フェナレニル、フルオレニル、インデニル、テトラセニル又はクリセニルハロゲン化物を使用して得ることができる式VIIIによるパラジウム(II)化合物の名称にも当てはまる。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物の別の実施形態では、
-基R1及びR3が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環、特に炭素環式環を形成し、
及び
-基R1及びR2及び/又はR3及びR4が、5~8個の炭素原子を有する第2の環、特に炭素環式環を形成し、該環は、
芳香族又は不飽和であり、第1の環及び/又は少なくとも1つの芳香族環と縮合しており、
第2の芳香族又は不飽和環は、非置換であり得るか、又は水素(H)、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、トリル、キシリル、ピリジニル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の基で任意に置換され得る。
有利には、第1の不飽和又は飽和環は、シクロペンテニル環、シクロヘキセニル環、シクロヘプテニル環、シクロオクテニル環、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環及びシクロオクチル環からなる群より選択され、第2の不飽和又は芳香族環は、シクロペンタジエニル環、シクロヘキサジエニル環、シクロヘプタジエニル環、シクロオクタジエニル環及びベンゼン環からなる群より選択される。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物の別の実施形態によれば、基R2及びR4は一緒になって、5~8個の炭素原子、有利には5又は6個の炭素原子を有する第1の、特に炭素環式環を形成し、これは不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している。この例は、R2及びR4が一緒になって、インデニル系から誘導されるη結合アリル配位子の一部を形成する、上に示した化合物9-Clである。R2及びR4は一緒になって、例えば、フルオレニル系から誘導されるη結合アリル配位子の一部であってもよい。
本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物の更なる実施形態では、R1はR3と一緒になって、ベンゼン環と縮合しているシクロヘキセニル環を形成し、その結果、R1及びR3は、ナフチル環の一部となる。
特に、本明細書で特許請求される式VIIIによる化合物のR1~R4は、以下の基であり得る。アスタリスクでマークされた基は一緒になって、示された基を形成する。
a)R1及びR3は一緒になって第1の不飽和環、すなわちシクロヘキセニル環を形成し、これは少なくとも1つの芳香族環、すなわちベンゼン環と縮合している。したがって、R1及びR3は、ナフタレン由来の、特にη結合したアリル配位子の一部であり、簡略化のためにナフチル配位子と呼ばれる。式VIIIによるそのような化合物の例は、以下に示す化合物7-Cl、7-Br、8-Cl及び8-Brである。
本目的は更に、一般式VIII.a
による化合物によって達成される、
式中、
-Xは、アニオン性配位子であり、
-R4は、水素(H)及び分岐、直鎖又は環状アルキル基からなる群より選択され、
及び
-基Rは、芳香族基であり、それぞれの芳香族基Rの少なくとも1つの環がシクロヘキセニル環と縮合しており、
及び
-基R、基R及び基Rは、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択される。
式VIIIによる新規化合物は、特にそのような化合物を調製するための上記の方法の例示的な実施形態の1つによれば、一般に、通常90%超、多くの場合97%超、特に99%超の収率で得ることができる。式VIIIによるこれらのパラジウム(II)化合物は、例えば、触媒及び/又はプレ触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応におけるプレ触媒として使用することができる。有利には、それらは以下に与えられる反応のためのプレ触媒及び/又は触媒として適している。
本明細書で特許請求される式VIII.aによる新規パラジウム(II)ダイマーは、優れた触媒性能を有する使いやすい触媒前駆体である。有利には、それらは、市販の前駆体から一工程で容易に入手可能であり、多数の電子供与体配位子、特にホスフィン及びNHC配位子と問題なく反応して、定義されたパラジウム(II)錯体を与える。その結果、式VIIIによる新規ダイマーパラジウム(II)化合物から出発する高活性モノライゲートパラジウム(II)プレ触媒及び/又はパラジウム(II)触媒のin situ調製さえも、簡単かつ再現可能な方法で可能である。
特にカップリング反応におけるパラジウム源としての本明細書で特許請求される式VIII.aによる新規化合物の広範な適用性は、バックワルド・ハートウィッグアミノ化、ヘックビニル化、ケトンのα-アリール化並びに根岸ー鈴木ー宮浦カップリングにおけるダイマーパラジウム(II)-1-メチルナフチルハロゲン化物錯体の例を使用して実証された。バックワルド・ハートウィッグアミノ化及び鈴木ー宮浦カップリングの場合、1-メチルナフチルハロゲン化物から出発して製造することができる新規パラジウム(II)化合物7-Cl、7-Br、8-Cl及び8-Brの触媒活性に及ぼす効果が特に顕著であった。鈴木ー宮浦カップリングの場合、驚くべきことに、反応を新しいクラスの基質に拡張することが可能であった。ほとんどの場合、臭化物錯体7-Brが最も効率的であったが、ケトンアリール化において、塩化物錯体7-Clを用いて最良の結果が得られた。
本明細書で特許請求される式VIII.aによる化合物の一実施形態によれば、アニオン性配位子Xは、ハロゲン化物アニオン又は一価の弱配位性アニオンである。
「弱配位」という用語はまた、「非常に弱く配位する」及び「中程度に強く配位する」という用語を包含する。塩化物、臭化物又はヨウ化物をハロゲン化物アニオンXとして有利に使用することができ、特に有利には塩化物又は臭化物、特に塩化物である。一価の弱配位性アニオンは、特に過フッ素化アニオン、例えば、PF 、BF 、FCSO (TfO,トリフラート)及び[(FCSON](TFSI)、又は非フッ素化アニオン、例えば、HCSO (メシラート)若しくはトシラートである。
本明細書で特許請求される式VIII.aによる化合物の別の実施形態によれば、基R4は、水素(H)、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する分岐アルキル基、及び3~8個の炭素原子を有する、すなわちまた4、5、6又は7個の炭素原子を有する環状アルキル基からなる群より選択される。
式VIII.aによる化合物の別の変形実施形態では、基R4は、水素(H)、1~8個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~8個の炭素原子を有する分岐アルキル基及び4、5又は6個の炭素原子を有する環状アルキル基からなる群より選択される。例えば、基R1は、水素(H)、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
本明細書に記載される式VIII.aによる化合物の一実施形態では、基Rは、非置換又は置換単核芳香族、非置換又は置換単核ヘテロ芳香族、非置換又は置換多核芳香族及び非置換又は置換多核ヘテロ芳香族からなる群より選択される。
本明細書で特許請求される式VIII.aによる化合物の代替的又は補足的な変形例によれば、基Rは、シクロヘキセニル環の第三級炭素原子に対してオルト位又はメタ位でシクロヘキセニル環と縮合している単核芳香族又は多核芳香族である。例えば、単核芳香族又はヘテロ芳香族は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピラジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、フラン、チオフェン及びイミダゾールからなる群より選択することができる。例えば、Rがベンゼンである場合、ナフタレン誘導η結合アリル配位子が存在する。
本明細書で特許請求される式VIII.aによる化合物の別の実施形態は、基Rが、シクロヘキセニル環の第三級炭素原子に対してオルト位及び/又はメタ位でシクロヘキセニル環と縮合している多核芳香族又はヘテロ芳香族であることを提供する。
換言すれば、基Rが多核芳香族又はヘテロ芳香族である場合、それぞれのη結合アリル配位子は、オルト縮合環系又はオルトペリ縮合環系であり得る。オルト縮合環系の場合、η結合アリル配位子は、直鎖環系として、又は屈曲(角)環系として存在し得る。例えば、多核芳香族は、ナフタレン、アントラセン及びフェナントレンからなる群より選択することができる。基Rが、例えばナフタレンである場合、アントラセン由来又はフェナントレン由来又はフェナレン由来のη結合アリル配位子が存在し得る。基Rがアントラセンである場合、テトラセン由来のη結合アリル配位子が存在する。基Rがフェナントレンである場合、例えば、クリセン由来のη結合アリル配位子が存在し得る。
式VIII.aによる特許請求された化合物の更なる変形例は、基R、基R及び基Rが、水素(H)、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する分岐アルキル基、及び3~8個の炭素原子を有する、すなわちまた4、5、6又は7個の炭素原子を有する環状アルキル基、6~14個の炭素原子を有する、すなわち7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する非置換単核又は多核アリール基、6~14個の炭素原子を有する、すなわちまた7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する置換単核又は多核アリール基、5~13個の炭素原子を有する、すなわちまた6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を有する非置換単核又は多核ヘテロアリール基、及び5~13個の炭素原子を有する、すなわちまた6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を有する置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択されることを提供する。
別の実施形態によれば、基R、基R及び基Rは、水素(H)、1~8個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~8個の炭素原子を有する分岐アルキル基、4、5又は6個の炭素原子を有する環状アルキル基、6~14個の炭素原子を有する、すなわちまた7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する非置換単核又は多核アリール基、6~10個の炭素原子を有する置換単核又は多核アリール基、5~9個の炭素原子を有する非置換単核又は多核ヘテロアリール基及び5~9個の炭素原子を有する置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択される。
例えば、基R、基R及び基Rは、独立して、水素(H)、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、トリル、キシリル、ピリジニル、及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選択される。
本明細書で特許請求される式VIII又は式VIII.aによる化合物の更なる有利な実施形態によれば、化合物は、以下に示される化合物から選択される:
更に、本目的は、
i.一般式
[式中、X並びに基R1、R2、R3及びR4は、上記で定義された通りである]による化合物、
又は
一般式VIII.a
[式中、X、R、a~d及びR4は、上記で定義された通りである]による化合物、
及び
ii.少なくとも1種の有機ケイ素化合物
を含む調製物によって達成される。
有機ケイ素化合物という用語は、既に上で定義されている。
調製物中に含まれる一般式VIII若しくはVIII.aによる化合物、又は本明細書で特許請求される調製物自体は、特に、式VIIIによる化合物を調製するための上記の方法によって、有利には上記の例示的な実施形態の1つに従って得られるか又は得ることができる。
式VIII又は式VIII.aによるパラジウム(II)ダイマーは、優れた触媒性能を有する使いやすい触媒前駆体である。有利には、それらは、市販の前駆体から一工程で容易に入手可能であり、多数の電子供与体配位子、特にホスフィン及びNHC配位子と問題なく反応して、定義されたパラジウム(II)錯体を与える。その結果、式VIII又は式VIII.aによるダイマーパラジウム(II)化合物から出発する高活性モノライゲートパラジウム(II)プレ触媒及び/又はパラジウム(II)触媒のin situ調製さえも、簡単かつ再現可能な方法で可能である。
調製物の一実施形態によれば、特に少なくとも1種の有機ケイ素化合物の形態で存在するケイ素含有量は、100ppm以上1000ppm以下、有利には110ppm以上900ppm以下、特に120ppm以上800ppm以下である。特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物の形態で存在するケイ素含有量は、当業者に公知の分析方法を使用して、特に、定量的H NMR分光法及び/又は誘導結合プラズマを用いた原子発光分光法(誘導結合プラズマ発光分析、ICP-AES)を使用して決定することができる。
本明細書で特許請求される調製物の代替的又は補足的な実施形態では、調製物は、溶媒Sを含有する。調製物は、特に、存在する有機ケイ素化合物及び/又は使用される溶媒Sに応じて、溶液、懸濁液、分散液又はゲルの形態であり得る。溶媒Sは、溶媒の混合物であってもよい。それは、有利には、アルカン、芳香族炭化水素及び極性溶媒からなる群より選択され、有利には、アルコール、アルカン、ケトン、エーテル又はそれらの組み合わせ、特に、2~6個の炭素原子を有するアルコール、5~8個の炭素原子を有するアルカン又はシクロアルカン、石油エーテルなどのアルカン混合物、6~9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、4~8個の炭素原子を有するエーテル又は2~6個の炭素原子を有するケトン、又はそれらの混合物からなる群より選択される。例えば、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物又は組み合わせが適している。特に、溶媒Sが、アルコール、アルカン、芳香族炭化水素、ケトン、例えばアセトン、エーテル、及びそれらの組み合わせ、特に2~6個の炭素原子を有するアルコール、6~9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、5~8個の炭素原子を有するアルカン又はシクロアルカン、石油エーテルなどのアルカン混合物、4~8個の炭素原子を有するエーテル又は2~6個の炭素原子を有するケトン、及びそれらの混合物からなる群より選択される溶媒を含むか又はその溶媒である場合、調製物は溶液又は懸濁液の形態である。例えば、溶媒Sは、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アセトン、メタノール及びイソプロパノール、並びにそれらの混合物からなる群より選択することができる。
調製の別の変形例は、溶媒Sが、式VIIIによる化合物を調製するための方法において使用される溶媒Sと混和性であるか又は同一であることを提供する。
本発明の調製物の変形例によれば、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの末端二重結合、特にビニル二重結合を含有する。特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、環状若しくは非環状シロキサンを含むか又は環状若しくは非環状シロキサンである。調製物の代替的又は補足的な実施形態によれば、調製物は、一般式VIIIによるパラジウム化合物に加えて、一般式[Pd(L](III)による少なくとも1種のパラジウム化合物を含む。また、一般式[Pd(L](III)は、多核錯体、特に一般式[Pd(L]による二核錯体を含む。この場合、配位子Lは、特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物、特に環状又は非環状シロキサンと同一であり、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの末端二重結合を含有する。
特に、配位子Lは、有機ケイ素化合物と同一であり、配位子Lは、特に、少なくとも1つの末端、特にビニル二重結合を有する環状又は非環状シロキサンである。この場合、配位子Lは、有利には、少なくとも1つのπ指向性結合を介して、一般式[Pd(L](III)による化合物のパラジウム中心に配位又は結合される。
特許請求された調製物の更に別の変形実施形態は、有機ケイ素化合物のうちの1つが、環状若しくは非環状シロキサンを含むか又は環状若しくは非環状シロキサンであり、及び/又は配位子Lのうちの1つが、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジチエン-2-イルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジビニルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,3-ジビニルジシロキサンジオール及び2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群より選択される環状若しくは非環状シロキサンである。有利には、有機ケイ素化合物のうちの1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)を含むか若しくはそれであり、及び/又は配位子Lのうちの1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)である。特に、有機ケイ素化合物の1つ及び/又は配位子Lの1つは、dvdsである。
本目的はまた、一般式IX
による化合物によって達成され、
式中、
-Xは、アニオン性配位子であり、
及び
-R1、R2、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成し、
及び
-Lは、中性電子供与体配位子であり、
ただし、
[式中、R=Me、X=Cl及びL=1,3-ビス(2,6-ジ-イソプロピルフェニル)イミダゾリン-2-イリデン]による化合物、
及び
[式中、R=H又はメチル、X=TfO及びL=ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、(S)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル又は(R)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]による化合物を除く。
本明細書で特許請求される式IXによる新規化合物は、特にそのような化合物を調製するための下記の方法の例示的な実施形態の1つによれば、一般に、通常90%超、多くの場合97%超、特に99%超の収率で得ることができる。一般式IXによるこれらのパラジウム(II)化合物は、例えば、触媒及び/又はプレ触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応におけるプレ触媒として使用することができる。有利には、それらは以下に与えられる反応のためのプレ触媒及び/又は触媒として適している。
本明細書で特許請求される式IXによる化合物の一実施形態では、アニオン性配位子X並びに基R1、R2、R3及びR4は、上記の実施形態のうちの1つによる式VIIIによる化合物において定義されている通りであり、中性電子供与体配位子Lは、ホスフィン配位子又はNHC配位子である。
本明細書で特許請求される式IXによる化合物の別の実施形態によれば、中性電子供与体配位子Lは、である。
-一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンであって、式中、
R10及びR20は、置換及び非置換の直鎖アルキル基、置換及び非置換の分岐アルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール基、並びに置換及び非置換のヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、ヘテロ原子は、硫黄、窒素及び酸素からなる群より選択され、R30は、R10及びR20として定義されるか、又はメタロセニル基である、第三級ホスフィンであり、
又は
-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ))-1,1’-ビフェニル(DavePhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(XPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(SPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-イソプロポキシ-1,1’-ビフェニル(RuPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(BrettPhos)、[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]ジ-tert-ブチルホスフィン(Amphos)、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(Xantphos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル(CPhos)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)、ジ-(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(cataCXium)(登録商標)A)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(t-BuXPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(tert-BuBrettPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3-メトキシ-6-メチル-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(RockPhos)、2-ジ[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルホスフィノ]-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピル-1,1’-ビフェニル(JackiePhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-ビフェニル(JohnPhos)、R-(-)-1-[(S)-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(n-ブチル)ホスフィン、2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(AdBrettPhos)、2-ジエチルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニルラセミ2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル(TrixiePhos)、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、トリイソプロピル)ホスフィン(PiPr)、ジ-tert-ブチル(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1,3,5,7-テトラメチル-8-フェニル-2,4,6-トリオキサ-8-ホスファアダマンタン(MeCgPPh)、N-[2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)フェニル]モルホリン(MorDalPhos)、4,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン(NiXantphos)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-(N,N(ジメチルアミノ))-1,1’-ビフェニル(tBuDavePhos)、ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(DTBPF)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピル)-1,1’-ビフェニル(Met-BuXPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-4-(N,N-ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル、トリメチルホスフィン(PMe)、トリス-p-トリルホスフィン(P(p-トリル))、トリス-o-トリルホスフィン(P(o-トリル))、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン(PPhトリス-(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン(P(C)、トリフルオロホスフィン、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ(イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)-イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,3-ビス-(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、tert-ブチルジフェニルホスフィン(P(tBu)Ph)、フェニル-ジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル-ネオペンチルホスフィン、1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1’-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p(トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、ベンジルジ-1-アダマンチルホスフィン、シクロヘキシルジ-tert-ブチルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピルビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(シクロヘキシル-JohnPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジ-シクロヘキシルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジフェニルホスフィノ-2’-(N,N(ジメチルアミノ)ビフェニル、(4-ジメチルアミノフェニル)(tert-ブチル)2-ホスフィン、1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンN-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、1-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-シクロヘキシルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ピロール、1-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)イミダゾール及び(S)-7,7’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-3,3’,4,4’-テトラヒドロ-4,4’-ジメチル-8,8’-ビ(2H-1,4-ベンゾオキサジン)(Solphos)からなる群より選択されるホスフィン配位子であるか、
又は
-は、一般式YPR(V.a)又はYPR(V.b)又はYP(VI)によるホスフィン配位子であり、
式中、
-Yは、カルボアニオン中心を介してリン原子に結合したイリド置換基であり、このイリド置換基はオニウム基On及びX基を有し、
-Onは、更なるイリド置換基におけるオニウム基とは独立して、ホスホニウム基-PR、アンモニウム基-NR、スルホキソニウム基-SOR、及びスルホニウム基-SRから選択され、
-Xは、更なるイリド置換基におけるX基とは独立して、H、1~10個の炭素原子を有する第一級、第二級、第三級アルキル、アルケニル及びアルキニル基、3~10個の炭素原子を有する環状アルキル基、ベンジル基、単核アリール基、多核アリール基、単核ヘテロアリール基、多核ヘテロアリール基、シリル基-SiR、スルホニル基-SO、ホスホリル基-P(O)R-P(S)R、-P(NO)r、シアノ基-CN、アルコキシ基-OR及びアミノ基-NRであり、
式中、
、R、R、R及びRは、存在する場合、非置換であっても官能基で置換されていてもよいアルキル、アリール及びヘテロアリール基から独立して選択され、
又は
-式
によるNHC配位子であり、
式中、
-R13及びR14は、同一であるか又は異なり、独立して、置換若しくは非置換C1~C20アルキル、置換若しくは非置換C1~C20アルケニル、置換若しくは非置換C1~C20ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C1~C20アルキニル、置換若しくは非置換脂環式若しくは芳香族環又は1~5個の環を有する環系であり、1個以上のヘテロ原子及び/又は置換基を有していてもよく、
及び
-Qは、飽和若しくは不飽和である置換若しくは非置換炭化水素架橋、又は置換若しくは非置換ヘテロ原子含有炭化水素架橋であり、
任意に、隣接する原子上の2つ以上の置換基が他の環状構造に連結され、2~5つの環状構造を有する縮合環状構造が存在する。
一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンにおいて、R10及びR20は、独立して、置換及び非置換の分岐鎖又は直鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル又はステアリル、シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はアダマンチル、又はアリール基、例えば、フェニル、ナフチル又はアントラシルであり得る。
一実施形態では、一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンのアルキル基は、ハロゲン化物(F、Cl、Br若しくはI)又はアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ若しくはプロポキシなどの1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。アリール基は、ハロゲン化物(F、Cl、Br若しくはI)、直鎖又は分岐アルキル基(例えば、C1~C10アルキル)、アルコキシ(例えば、C1~C10アルコキシ)、直鎖若しくは分岐(ジアルキル)アミノ基(例えば、C1~C10ジアルキルアミノ)、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルホリニル及びピペラジニルなどのC3~C10ヘテロシクロアルキル基)又はトリハロメチル(例えば、トリフルオロメチル)などの1つ以上(例えば、1、2、3、4若しくは5つ)の置換基で任意に置換されていてもよい。好適な置換アリール基としては、4-ジメチルアミノフェニル、4-メチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、4-メトキシフェニル、及び4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。ピリジル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、又はキノリニルなどの置換及び非置換ヘテロアリール基も使用することができる。代替的な実施形態では、一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンのR10及びR20は、一緒に結合して、リン原子と共に環構造、特に4~7員環を形成する。特に、R10及びR20は同一であり、tert-ブチル、シクロヘキシル、フェニル又は置換フェニル基である。特に、R10及びR20は、tert-ブチルである。加えて、R10及びR20は、独立して、アルコキシ(例えば、C1~C10アルコキシ)又はアリールオキシ(例えば、C1~C10アリールオキシ)であり得る。
R30は、R10及びR20と同様に定義されるが、メタロセニル基であり得る。後者の実施形態では、R30は置換又は非置換メタロセニル基である。この場合、メタロセニル基は、第1のシクロペンタジエニル基と第2のシクロペンタジエニル基とを有する。p個の基R40は、任意に、一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンがパラジウム中心に結合又は配位している第1のシクロペンタジエニル基上に提供されてもよく、q個の基R41は、任意に、第2のシクロペンタジエニル基上に提供されてもよい。R40及びR41は、独立して、1~20個の炭素原子を有する有機基である。R40及びR41は、独立して、R10及びR20と同様に定義することができる。
pは0、1、2、3又は4の値をとることができ、qは0、1、2、3、4又は5の値をとることができる。1つの可能な実施形態では、q=5であり、R41はメチル又はフェニルである。別の実施形態では、p=0である。
特定の実施形態では、p=0、q=5、R10はメチル又はフェニルであり、R10及びR20はtert-ブチル(QPhos)であるか、又はR10及びR20はtert-ブチルであり、R30は4-ジメチルアミノフェニル(AmPhos)であるか、又はR10及びR20はtert-ブチルであり、R30はフェニルである。
別の実施形態では、R10、R20及びR30は同じであり、1-アダマンチル、2-アダマンチル、フェニル、オルト-トリル、シクロヘキシル、tert-ブチルであるか、又はR10及びR20は1-アダマンチル又は2-アダマンチルであり、R30はn-ブチルである。
一般式IXによる特許請求された化合物の別の変形実施形態によれば、電子供与体配位子Lは、一般式YPR(V.a)又はYPR(V.b)又はYP(VI)によるホスフィン配位子であり、式中、Yは、上記で定義された通りであり
-アルキル基は、1~10個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキル基から、有利には1~6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキル基及び4~10個の炭素原子を有するシクロアルキル基から選択され、
-アリール基は、6~14個の炭素原子を有するアリール基から、有利には6~10個の炭素原子を有するアリール基から選択され、
-アルケニル基は、2~10個の炭素原子を有する一価不飽和、多価不飽和、直鎖、分岐及び環状アルケニル基から、有利には、2~6個の炭素原子を有する一価不飽和、多価不飽和、直鎖、分岐及び環状アルケニル基から選択され、
-ヘテロアリール基は、6~14個の炭素原子を有するヘテロアリール基から、有利には6~10個の炭素原子を有し、N、O及びSから選択される1~5個のヘテロ原子を有するヘテロアリール基から選択され、
及び/又は
-官能基は、アルキル基-R11、有利には1~6個の炭素原子を有するアルキル基-R11、アリール基-R12、ハロゲン-Hal、ヒドロキシ基-OH、シアノ基-CN、アルコキシ基-OR、アミノ基-N(R11、-NHR11及び-NH、メルカプト基-SH及び-SR11から選択され、ここで、R11は、他の基R11とは独立して、1~6個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。
本明細書で特許請求される一般式IXによる化合物の更に別の実施形態は、電子供与体配位子Lが、一般式
によるホスフィン配位子であることを提供し、
式中、
-Onは、ホスホニウム基-PRであり、
、R及びRは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、4~10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6~10個の炭素原子を有するアリール基からなる群より独立して選択され、
-Xは、1~6個の炭素原子を有する直鎖、分岐及び環状アルキル基、3~10個の炭素原子を有するアリール基、2~6個の炭素原子を有するモノ飽和、ポリ不飽和、直鎖、分岐及び環状アルケニル基、トリアルキルシリル基-SiR、アリールスルホニル基R12-SOからなる群より選択され、
及び
-R及びRは、6~10個の炭素原子を有するアリール基、又は1~6個の炭素原子を有するアルキル基若しくはシクロアルキル基である。
本明細書で特許請求される一般式IXによる化合物の更なる実施形態では、電子供与体配位子Lは、一般式YPR(V.a)又はYPR(V.b)又はYP(VI)によるホスフィン配位子であり、式中、Yは上記で定義された通りであり、R、R及びRは、
a)メチル、エチル、ブチル、シクロヘキシル、フェニル、及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選択され、
又は
b)同じであり、メチル、エチル、ブチル、シクロヘキシル、フェニル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、有利にはシクロヘキシル及びフェニルである。
式IXによる特許請求される化合物の別の変形例によれば、電子供与体配位子Lは、一般式YPR(V.a)又はYPR(V.b)又はYP(VI)によるホスフィン配位子であり、式中、Yは、上記で定義された通りであり、Xは、メチル、エチル、シクロヘキシル、フェニル、p-トリル、トリメチルシリル、p-トリルスルホニル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
本明細書で特許請求される一般式IXによる化合物の更に別の実施形態では、電子供与体配位子Lは、一般式YPR(V.a)又はYPR(V.b)又はYP(VI)によるホスフィン配位子であり、式中、Yは上記で定義された通りであり、R及びRは、フェニル、シクロヘキシル、メチル及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選択される。
別の実施形態では、中性電子供与体配位子Lは、シクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-オルト-トリルホスフィンである。同じく適しているのは、ホスフィン、例えばXPhos、JohnPhos、SPhos、
Bophos、Josiphos、Taniaphos、Walphos及び以下の図示された構造を有するホスフィン配位子
又は国際公開第2019/030304号に記載されている他の配位子、又は以下に示す構造による配位子である:
中性電子供与体配位子Lが一般式XによるNHC配位子である場合、R13及びR14は、特に、同一又は異なっていてもよく、独立して、置換若しくは非置換フェニル、又はC~C20アルキル、置換C~C20アルキル、C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、C~C24アリール、置換C~C24アリール、C~C24ヘテロアリール、C~C24アラルキル、C~C24アルカリール又はハロゲンからなる群より選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニルであってもよい。
例えば、Qは、2個又は3個の原子の架橋であってよく、飽和又は不飽和であってよい。
別の実施形態では、Qは、構造-CR21R22-CR23R24-又は-CR21=CR23-、特に-CR21R22-CR23R24-を有する2原子架橋であり、式中、R21、R22、R23及びR24は、水素(H)、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、及び官能基から独立して選択される。官能基の例は、カルボキシル、C~C20アルコキシ、C~C24アリールオキシ、C~C20アルコキシカルボニル、C~C24アルコキシカルボニル、C~C24アシルオキシ、C~C20アルキルチオ、C~C24アリールチオ、C~C20アルキルスルホニル、及びC~C20アルキルスルフィニルであり、C~C12アルキル、C~C12アルコキシ、C~C14アリール、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ホルミル、及びハロゲン(F、Cl、Br、I)から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。R21、R11、R23及びR24は、特に、水素(H)、C~C12アルキル、置換C~C12アルキル、C~C12ヘテロアルキル、置換C~C12ヘテロアルキル、フェニル及び置換フェニルから選択される。あるいは、R21、R22、R23及びR24から選択される2つの基は、一緒に結合して、置換又は非置換の、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C~C12脂環式環又はC又はCアリール基を形成することができ、それ自体、例えば、芳香族基又は他の置換基で置換されていてもよい。
代替的又は補足的な実施形態では、基R21、R22、R23及びR24は、水素(H)、1~10個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル、アルキレン又はアルキニル基、3~10個の炭素原子を有する環状アルキル、アルキレン又はアルキニル基、6~14個の炭素原子を有する置換又は非置換単核又は多核アリール基及び5~13個の炭素原子を有する置換又は非置換単核又は多核ヘテロアリール基、-O-アルキル、-O-C(O)-アルキル、-O-(アリール)、-O-C(O)-アリール、-F、-Cl、-OH、-NO、-Si(アルキル)、-CF、-CN、-COH、-C(O)H、-SOH、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-P(アルキル)、-SO(アルキル)、-SO(アルキル)、-SO(アリール)、-SO(アリール)、-SO(アルキル)、-SO(アリール)、-S-アルキル、-S-アリール、-S-アルケニル、-NH-CO(アルキル)、-CO(アルキル)、-CONH、-CO(アルキル)、-NHCOH、-NHCO(アルキル)、-CO(アリール)、-CO(アリール)、-CH=CH-CO(アルキル)、-CH=CH-COH、-P(アリール)、-PO(アリール)、-PO(アルキル)、-POH、-PO(O-アルキル)、並びにアルキル及びアリールがR21、R22、R23及びR24について定義した通りである任意の縮合環系の基からなる群より独立して選択される。
アルキル、アルキレン又はアルキニル基は、各々、例えば、F、Cl、Br、I、アルキル、O-アルキル、フェニル、O-フェニル、OH、NH及び/又はCFで置換されていてもよく、アリール及びヘテロアリール基は、例えば、F、Cl、Br、I、アルキル、O-アルキル、フェニル及び/又はO-フェニルで置換されていてもよい。
中性電子供与体配位子Lとして好適なN-複素環式カルベン(NHC)配位子及び非環式ジアミノカルベン配位子の例は、例えば、以下の構造を含む:
上記構造において、R13及びR14は、独立して、例えば、DIPP、Mes、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2-メチルフェニル及びそれらの組み合わせであり得、ここで、DIPP又はDiPPは2,6-ジイソプロピルフェニルであり、Mesは2,4,6-トリメチルフェニル(メシチル)である。
上記構造において、R13及びR14は、独立して、例えば、DIPP、Mes、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2-メチルフェニル及びそれらの組み合わせであり得る。
中性電子供与体配位子Lとして好適なN-複素環式カルベン(NHC)配位子及び非環式ジアミノカルベン配位子の更なる例は、例えば、以下の構造を含む:
式中、RW1、RW2、RW3、RW4は、独立して、水素(H)、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり得、RW3及び/又はRW4の一方又は両方は、独立して、ハロゲン、ニトロ、アミド、カルボキシル、アルコキシ、アリールオキシ、スルホニル、カルボニル、チオ又はニトロソ基から選択され得る。中性電子供与体配位子Lとして好適なN-複素環式カルベン(NHC)配位子の更なる例は、例えば、米国特許第7,378,528号明細書;同第7,652,145号明細書;同第7,294,717号明細書;同第6,787,620号明細書;同第6,635,768号明細書;及び同第6,552,139号明細書に開示されている。
本明細書で特許請求される一般式IXによる化合物の更なる変形実施形態によれば、中性電子供与体配位子Lは、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-1-アダマンチルホスフィン、トリ-2-アダマンチルホスフィン、ジ-(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(cataCXium(登録商標)A)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(XPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル(RuPhos)、ジ-1,3-ビス-(2,4,6-トリメチルフェニル)-イミダゾリジン-2-イリデン(「SIMes」)、1,3-ビス-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-イミダゾリジン-2-イリデン(「SIPr」)、1,3-ビス-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-イミダゾリン-2-イリデン(不飽和NHC配位子、「IPr」)及び1,3-ビス-(2,4,6-トリメチルフェニル)-イミダゾリン-2-イリデン(不飽和NHC配位子、「IMes」)からなる群より選択される。
特に、驚くべきことに見出されたように、式IXによる化合物は、次式IX.N又はIX.Pの化合物であり得る:
本目的はまた、一般式IX.a
による化合物によって達成され、
式中、
-X及びLは、式IXによる化合物において定義されている通りであり、
-R4は、水素(H)及び分岐、直鎖又は環状アルキル基からなる群より選択され、
及び
-基Rは、芳香族基であり、それぞれの芳香族基Rの少なくとも1つの環がシクロヘキセニル環と縮合しており、
及び
基R、基R及び基Rは、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
ただし、
[式中、R=Me、X=Cl及びL=1,3-ビス(2,6-ジ-イソプロピルフェニル)イミダゾリン-2-イリデン]による化合物、
及び
[式中、R=H又はメチル、X=TfO及びL=ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、(S)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル又は(R)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]による化合物を除く。
本明細書で特許請求される式IX.aよる新規化合物は、特に式IXによる化合物を調製するための上記の方法の例示的な実施形態の1つによれば、一般に、通常90%超、多くの場合97%超、特に99%超の収率で得ることができる。式IXによるパラジウム(II)化合物は、例えば、触媒及び/又はプレ触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応におけるプレ触媒として使用することができる。有利には、それらは以下に与えられる反応のためのプレ触媒及び/又は触媒として適している。
本明細書で特許請求される式IX.aによる化合物の一実施形態によれば、基R4は、水素(H)、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する分岐アルキル基、及び3~8個の炭素原子を有する、すなわちまた4、5、6又は7個の炭素原子を有する環状アルキル基からなる群より選択される。
式IX.aによる化合物の別の変形実施形態では、基R4は、水素(H)、1~8個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~8個の炭素原子を有する分岐アルキル基及び4、5又は6個の炭素原子を有する環状アルキル基からなる群より選択される。例えば、基R1は、水素(H)、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
本明細書に記載される式IX.aによる化合物の一実施形態では、基Rは、非置換又は置換単核芳香族、非置換又は置換単核ヘテロ芳香族、非置換又は置換多核芳香族及び非置換又は置換多核ヘテロ芳香族からなる群より選択される。
本明細書で特許請求される式IX.aによる化合物の代替的又は補足的な変形例によれば、基Rは、シクロヘキセニル環の第三級炭素原子に対してオルト位又はメタ位でシクロヘキセニル環と縮合している単核芳香族又は多核芳香族である。例えば、単核芳香族又はヘテロ芳香族は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピラジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、フラン、チオフェン及びイミダゾールからなる群より選択することができる。例えば、R2がベンゼンである場合、ナフタレン誘導η結合アリル配位子が存在する。
本明細書で特許請求される式IX.aによる化合物の別の実施形態は、基Rが、シクロヘキセニル環の第三級炭素原子に対してオルト位及び/又はメタ位でシクロヘキセニル環と縮合している多核芳香族又はヘテロ芳香族であることを提供する。換言すれば、基Rが多核芳香族又はヘテロ芳香族である場合、それぞれのη結合アリル配位子は、オルト縮合環系又はオルトペリ縮合環系であり得る。オルト縮合環系の場合、η結合アリル配位子は、直鎖環系として、又は屈曲(角)環系として存在し得る。例えば、多核芳香族は、ナフタレン、アントラセン及びフェナントレンからなる群より選択することができる。基Rが、例えばナフタレンである場合、アントラセン由来又はフェナントレン由来又はフェナレン由来のη結合アリル配位子が存在し得る。基Rがアントラセンである場合、テトラセン由来のη結合アリル配位子が存在する。基Rがフェナントレンである場合、例えば、クリセン由来のη結合アリル配位子が存在し得る。
式IX.aによる特許請求された化合物の更なる変形例は、基R、基R及び基Rが、水素(H)、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~10個の炭素原子を有する、すなわちまた2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有する分岐アルキル基、及び3~8個の炭素原子を有する、すなわちまた4、5、6又は7個の炭素原子を有する環状アルキル基、6~14個の炭素原子を有する、すなわち7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する非置換単核又は多核アリール基、6~14個の炭素原子を有する、すなわちまた7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する置換単核又は多核アリール基、5~13個の炭素原子を有する、すなわちまた6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を有する非置換単核又は多核ヘテロアリール基、及び5~13個の炭素原子を有する、すなわちまた6、7、8、9、10、11又は12個の炭素原子を有する置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択されることを提供する。
式IX.aによる化合物の別の実施形態によれば、基R、基R及び基Rは、水素(H)、1~8個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1~8個の炭素原子を有する分岐アルキル基、4、5又は6個の炭素原子を有する環状アルキル基、6~14個の炭素原子を有する、すなわちまた7、8、9、10、11、12又は13個の炭素原子を有する非置換単核又は多核アリール基、6~10個の炭素原子を有する置換単核又は多核アリール基、5~9個の炭素原子を有する非置換単核又は多核ヘテロアリール基及び5~9個の炭素原子を有する置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択される。
例えば、基R、基R及び基Rは、独立して、水素(H)、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、トリル、キシリル、ピリジニル、及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選択される。
本明細書で特許請求される式IX.aによる化合物の変形実施形態によれば、化合物は式IX.b又はIX.cを有する:
[式中、X及びLは、式IXによる化合物において定義されている通りである]。R=Me、X=Cl及びL=1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-イミダゾリン-2-イリデンである式IX.bによる化合物、並びにR=H又はメチル、X=TfO及びL=ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、(S)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル又は(R)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチルである式IX.cによる化合物は、本発明の対象ではない。
式IX.bによる化合物は、例えば、以下の化合物から選択され得る:
式IX.cによる化合物は、例えば、以下の化合物から選択することができる:
本目的はまた、一般式IX
による化合物によっても達成され、
式中、
-Xは、アニオン性配位子であり、
及び
-基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
又は
-R1、R1、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって不飽和又は脂肪族環を形成し、
又は
-R1、R2、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成する。
本明細書で特許請求される式IX.dよる新規化合物は、特に式IXによる化合物を調製するための上記の方法の例示的な実施形態の1つによれば、一般に、通常90%超、多くの場合97%超、特に99%超の収率で得ることができる。式IX.dによるこれらのパラジウム(II)化合物は、例えば、触媒及び/又はプレ触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応におけるプレ触媒として使用することができる。有利には、それらは以下に与えられる反応のためのプレ触媒及び/又は触媒として適している。
本発明によれば、「不飽和環」という表現は、少なくとも1つの二重結合を有する非芳香族炭素環又は複素環を意味する。この場合、不飽和環は、脂肪族、芳香族及び他の不飽和炭素環及び/又は複素環を含み得る2つ以上の縮合環からなる環系の一部であってもよい。
飽和環は、例えば、フェナール(phenal)又はインデンから誘導されるハロゲン化アリルが、式IX.dによる化合物を調製するための反応物質として使用される場合、例えば、基R2及びR4によって形成される。
本明細書で特許請求される式IX.dによる化合物の一実施形態によれば、アニオン性配位子Xは、ハロゲン化物アニオン又は一価の弱配位性アニオンである。「弱配位」という用語はまた、「非常に弱く配位する」及び「中程度に強く配位する」という用語を包含する。塩化物、臭化物又はヨウ化物をハロゲン化物アニオンXとして有利に使用することができ、特に有利には塩化物又は臭化物、特に塩化物である。一価の弱配位性アニオンは、特に過フッ素化アニオン、例えば、PF 、BF 、FCSO (TfO,トリフラート)及び[(FCSON](TFSI)、又は非フッ素化アニオン、例えば、HCSO (メシラート)若しくはトシラートである。
本明細書で特許請求される式IX.dによる化合物の一実施形態によれば、基R1、R2、R3及びR4は、式VIIIによる化合物において定義されている通りである。
特に、式IX.dによる化合物は、驚くべきことに、次式IX.Pのヘテロレプティックパラジウム錯体であり得る:
本目的はまた、式XI
よる化合物によっても達成される。
この化合物は、特に、化合物8-Clを1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-イミダゾリン-2-イリデン(不飽和NHC配位子、「IPr」)と、有利には極性非プロトン性溶媒中、特にエーテル中、例えばジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン又は1,4-ジオキサン中で反応させることによって得られる。8-Cl:IPrのモル比は、例えば1:1である。反応は有利には室温で行うことができ、反応時間は、他の反応条件の選択、例えば溶媒又は溶媒混合物の選択、反応物質の濃度、反応物質のモル比に応じて、通常10分~3時間である。トルエン/ヘキサンから、結晶構造解析に適した化合物XI・トルエンの単結晶を得た。式XIによる化合物は、例えば、触媒及び/又はプレ触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応におけるプレ触媒として使用することができる。有利には、それは以下に与えられる反応のためのプレ触媒及び/又は触媒として適している。
本目的はまた、一般式
による化合物を調製するための方法によっても達成され、
式中、
-Xは、アニオン性配位子であり、
-基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
又は
R1、R1、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって不飽和又は脂肪族環を形成し、
又は
R1、R2、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成し、
及び
-Lは、中性電子供与体配位子であり、
ただし、式
[式中、R=Me、X=Cl及びL=1,3-ビス(2,6-ジ-イソプロピルフェニル)イミダゾリン-2-イリデン]の化合物を除く。
この方法は、
A.
i.パラジウム化合物、特に単核又は多核パラジウム化合物(0)であって、少なくとも1つのパラジウム中心が有機ケイ素化合物である配位子Lを有し、配位子Lが、特に環状又は非環状シロキサンである、パラジウム化合物、
ii.一般式
による化合物AHであって、
式中、
-Xは、アニオン性配位子であり、
-基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
又は
-R1、R1、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって不飽和又は芳香族環を形成し、
又は
-R1、R2、R3及びR4の2つの基、有利にはR1及びR3又はR2及びR4が一緒になって、芳香族又は不飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成する、化合物AH、
及び
iii.中性電子供与体配位子
を提供する工程、
B.工程Aで提供された、i.、ii.及びiii.による反応物質を反応させる工程、
及び
C.任意に、工程Bで生成された式IXの化合物を単離する工程
を含む。
有機ケイ素化合物という用語の定義は、既に上で与えられている。
本明細書で特許請求される方法は、式IXによる化合物を、通常高純度で、特に高NMR純度で、一般的にほとんどの場合90%超、多くの場合97%超、特に99%超の収率で調製することを可能にする。
特にパラジウム(0)化合物であるパラジウム化合物は、単核又は多核、特に二核の形態で、モノマー又はオリゴマー、特にダイマーとして、及び/又は溶媒付加物として存在し得る。
一般式IXによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の一実施形態では、アニオン性配位子Xは、ハロゲン化物アニオン又は一価の弱配位性アニオンである。
「弱配位」という用語はまた、「非常に弱く配位する」及び「中程度に強く配位する」という用語を包含する。塩化物、臭化物又はヨウ化物をハロゲン化物アニオンXとして有利に使用することができ、特に有利には塩化物又は臭化物、特に塩化物である。一価の弱配位性アニオンは、特に過フッ素化アニオン、例えば、PF 、BF 、FCSO (TfO,トリフラート)及び[(FCSON](TFSI)、又は非フッ素化アニオン、例えば、HCSO (メシラート)若しくはトシラートである。
本発明によれば、「不飽和環」という表現は、少なくとも1つの二重結合を有する非芳香族炭素環又は複素環を意味する。不飽和環は、脂肪族、芳香族及び他の不飽和炭素環及び/又は複素環を含み得る2つ以上の縮合環からなる環系の一部であってもよい。飽和環は、例えば、フェナレン又はインデンから誘導されるハロゲン化アリルAHが、式IXによる化合物を調製するための反応物質として使用される場合、例えば、基R1及びR3によって形成される。
一般式IXによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の一実施形態は、
-R1~R4及びXは、上記の一般式VIIIによる化合物を調製するための方法の実施形態で定義されている通りであり、
及び
-中性電子供与体配位子Lは、ホスフィン配位子又はNHC配位子である
ことを提供する。
式IXによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の別の実施形態によれば、中性電子供与体配位子Lは、
-一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンであって、式中、
R10及びR20は、置換及び非置換の直鎖アルキル基、置換及び非置換の分岐アルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール基、並びに置換及び非置換のヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、ヘテロ原子は、硫黄、窒素及び酸素からなる群より選択され、R30は、R10及びR20として定義されるか、又はメタロセニル基である、第三級ホスフィンであり、
又は
-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル(DavePhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(XPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(SPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-イソプロポキシ-1,1’-ビフェニル(RuPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(BrettPhos)、[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]ジ-tertブチルホスフィン(Amphos)、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(Xantphos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル(CPhos)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)、ジ-(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(cataCXium)(登録商標)A)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(t-BuXPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(tert-BuBrettPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3-メトキシ-6-メチル-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(RockPhos)、2-ジ[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルホスフィノ]-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピル-1,1’-ビフェニル(JackiePhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-ビフェニル(JohnPhos)、R-(-)-1-[(S)-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(n-ブチル)ホスフィン、2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(AdBrettPhos)、2-ジエチルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル、ラセミ2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル(TrixiePhos)、tert-ブチルホスフィン(PtBu)、トリイソプロピルホスフィン(PiPr)、ジ-tert-ブチル(イソプロピルホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ(イソプロピルホスフィン(P(iPr)tBu)、1,3,5,7-テトラメチル-8-フェニル-2,4,6-トリオキサ-8-ホスファアダマンタン(MeCgPPh)、N-[2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)フェニル]モルホリン(MorDalPhos)、4,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン(NiXantphos)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-(N,N(ジメチルアミノ))-1,1’-ビフェニル(tBuDavePhos)、ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(DTBPF)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピル)-1,1’-ビフェニル(Met-BuXPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-4-(N,N-ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル、トリメチルホスフィン(PMe)、トリス-p-トリルホスフィン(P(p-トリル))、トリス-o-トリルホスフィン(P(o-トリル))、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン(PPh)、トリス-(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン(P(C)、トリフルオロホスフィン、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ(イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)-イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,3-ビス-(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、tert-ブチルジフェニルホスフィン(P(tBu)Ph)、フェニル-ジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル-ネオペンチルホスフィン、1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1’-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p(トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、ベンジルジ-1-アダマンチルホスフィン、シクロヘキシルジ-tert-ブチルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピルビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(シクロヘキシル-JohnPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジ-シクロヘキシルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジフェニルホスフィノ-2’-(N,N(4-ジメチルアミノ)ビフェニル、(4-ジメチルアミノフェニル)(tert-ブチル)2-ホスフィン、1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、N-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、1-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-シクロヘキシルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ピロール、1-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)イミダゾール及び(S)-7,7’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-3,3’,4,4’-テトラヒドロ-4,4’-ジメチル-8,8’-ビ(2H-1,4-ベンゾオキサジン)(Solphos)からなる群より選択されるホスフィン配位子であり、
又は
-一般式YPR(V.a)又はYPR(V.b)又はYP(VI)によるホスフィン配位子であって、
式中、
-Yは、カルボアニオン中心を介してリン原子に結合したイリド置換基であり、このイリド置換基はオニウム基On及びX基を有し、
-Onは、更なるイリド置換基におけるオニウム基とは独立して、ホスホニウム基-PR、アンモニウム基-NR、スルホキソニウム基-SOR、及びスルホニウム基-SRから選択され、
-Xは、更なるイリド置換基におけるX基とは独立して、H、1~10個の炭素原子を有する第一級、第二級、第三級アルキル、アルケニル及びアルキニル基、3~10個の炭素原子を有する環状アルキル基、ベンジル基、単核アリール基、多核アリール基、単核ヘテロアリール基、多核ヘテロアリール基、シリル基-SiR、スルホニル基-SO、ホスホリル基-P(O)R-P(S)R、-P(NO)r、シアノ基-CN、アルコキシ基-OR及びアミノ基-NRであり、
式中、
、R、R、R及びRは、存在する場合、非置換であっても官能基で置換されていてもよいアルキル、アリール及びヘテロアリール基から独立して選択され、
又は
-式
によるNHC配位子であり、
式中、
-R13及びR14は、同一であるか又は異なり、独立して、置換若しくは非置換C1~C20アルキル、置換若しくは非置換C1~C20アルケニル、置換若しくは非置換C1~C20ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C1~C20アルキニル、置換若しくは非置換脂環式若しくは芳香族環又は1~5個の環を有する環系であり、1個以上のヘテロ原子及び/又は置換基を有していてもよく、
及び
-Qは、飽和若しくは不飽和である置換若しくは非置換炭化水素架橋、又は置換若しくは非置換ヘテロ原子含有炭化水素架橋であり、
任意に、隣接する原子上の2つ以上の置換基が他の環状構造に連結され、2~5つの環状構造を有する縮合環状構造が存在する。
一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンにおいて、R10及びR20は、独立して、置換及び非置換の分岐鎖又は直鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル又はステアリル、シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はアダマンチル、又はアリール基、例えば、フェニル、ナフチル又はアントラシルであり得る。
一実施形態では、一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンのアルキル基は、ハロゲン化物(F、Cl、Br若しくはI)又はアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ若しくはプロポキシなどの1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。アリール基は、ハロゲン化物(F、Cl、Br若しくはI)、直鎖又は分岐アルキル基(例えば、C1~C10アルキル)、アルコキシ(例えば、C1~C10アルコキシ)、直鎖若しくは分岐(ジアルキル)アミノ基(例えば、C1~C10ジアルキルアミノ)、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルホリニル及びピペラジニルなどのC3~C10ヘテロシクロアルキル基)又はトリハロメチル(例えば、トリフルオロメチル)などの1つ以上(例えば、1、2、3、4若しくは5つ)の置換基で任意に置換されていてもよい。好適な置換アリール基としては、4-ジメチルアミノフェニル、4-メチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、4-メトキシフェニル、及び4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。ピリジル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、又はキノリニルなどの置換及び非置換ヘテロアリール基も使用することができる。代替的な実施形態では、一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンのR10及びR20は、一緒に結合して、リン原子と共に環構造、特に4~7員環を形成する。特に、R10及びR20は同一であり、tert-ブチル、シクロヘキシル、フェニル又は置換フェニル基である。特に、R10及びR20は、tert-ブチルである。加えて、R10及びR20は、独立して、アルコキシ(例えば、C1~C10アルコキシ)又はアリールオキシ(例えば、C1~C10アリールオキシ)であり得る。
R30は、R10及びR20と同様に定義されるが、メタロセニル基であり得る。後者の実施形態では、R30は置換又は非置換メタロセニル基である。この場合、メタロセニル基は、第1のシクロペンタジエニル基と第2のシクロペンタジエニル基とを有する。p個の基R40は、任意に、一般式P-R10R20R30による第三級ホスフィンがパラジウム中心に結合又は配位している第1のシクロペンタジエニル基上に提供されてもよく、q個の基R41は、任意に、第2のシクロペンタジエニル基上に提供されてもよい。R40及びR41は、独立して、1~20個の炭素原子を有する有機基である。R40及びR41は、独立して、R10及びR20と同様に定義することができる。
pは0、1、2、3又は4の値をとることができ、qは0、1、2、3、4又は5の値をとることができる。1つの可能な実施形態では、q=5であり、R41はメチル又はフェニルである。別の実施形態では、p=0である。
特定の実施形態では、p=0、q=5、R10はメチル又はフェニルであり、R10及びR20はtert-ブチル(QPhos)であるか、又はR10及びR20はtert-ブチルであり、R30は4-ジメチルアミノフェニル(AmPhos)であるか、又はR10及びR20はtert-ブチルであり、R30はフェニルである。
別の実施形態では、R10、R20及びR30は同じであり、1-アダマンチル、2-アダマンチル、フェニル、オルト-トリル、シクロヘキシル、tert-ブチルであるか、又はR10及びR20は1-アダマンチル又は2-アダマンチルであり、R30はn-ブチルである。
式IXによる化合物を調製するための方法の別の変形実施形態によれば、電子供与体配位子Lは、一般式YPR(V.a)又はYPR(V.b)又はYP(VI)によるホスフィン配位子であり、式中、Yは上記で定義された通りであり、
-アルキル基は、1~10個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキル基から、有利には1~6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキル基及び4~10個の炭素原子を有するシクロアルキル基から選択され、
-アリール基は、6~14個の炭素原子を有するアリール基から、有利には6~10個の炭素原子を有するアリール基から選択され、
-アルケニル基は、2~10個の炭素原子を有する一価不飽和、多価不飽和、直鎖、分岐及び環状アルケニル基から、有利には、2~6個の炭素原子を有する一価不飽和、多価不飽和、直鎖、分岐及び環状アルケニル基から選択され、
-ヘテロアリール基は、6~14個の炭素原子を有するヘテロアリール基から、有利には6~10個の炭素原子を有し、N、O及びSから選択される1~5個のヘテロ原子を有するヘテロアリール基から選択され、
及び/又は
-官能基は、アルキル基-R11、有利には1~6個の炭素原子を有するアルキル基-R11、アリール基-R12、ハロゲン-Hal、ヒドロキシ基-OH、シアノ基-CN、アルコキシ基-OR、アミノ基-N(R11、-NHR11及び-NH、メルカプト基-SH及び-SR11から選択され、ここで、R11は、他の基R11とは独立して、1~6個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。
式IXによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の更に別の実施形態は、電子供与体配位子Lが一般式
によるホスフィン配位子であることを提供し、
式中、
-Onは、ホスホニウム基-PRであり、
、R及びRは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、4~10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6~10個の炭素原子を有するアリール基からなる群より独立して選択され、
-Xは、1~6個の炭素原子を有する直鎖、分岐及び環状アルキル基、3~10個の炭素原子を有するアリール基、2~6個の炭素原子を有するモノ飽和、ポリ不飽和、直鎖、分岐及び環状アルケニル基、トリアルキルシリル基-SiR、アリールスルホニル基R12-SOからなる群より選択され、
及び
-R及びRは、6~10個の炭素原子を有するアリール基、又は1~6個の炭素原子を有するアルキル基若しくはシクロアルキル基である。
式IXによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の更なる実施形態では、電子供与体配位子Lは、一般式YPR(V.a)又はYPR(V.b)又はYP(VI)によるホスフィン配位子であり、式中、Yは上記で定義された通りであり、R、R及びRは、
c)メチル、エチル、ブチル、シクロヘキシル、フェニル、及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選択され、
又は
d)同じであり、メチル、エチル、ブチル、シクロヘキシル、フェニル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、有利にはシクロヘキシル及びフェニルである。
式IXによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の別の変形例によれば、電子供与体配位子Lは、一般式YPR(V.a)又はYPR(V.b)又はYP(VI)によるホスフィン配位子であり、式中、Yは、上記で定義された通りであり、Xは、メチル、エチル、シクロヘキシル、フェニル、p-トリル、トリメチルシリル、p-トリルスルホニル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
式IXによる化合物を調製するための本明細書で記載される方法の更に別の実施形態では、電子供与体配位子Lは、一般式YPR(V.a)又はYPR(V.b)又はYP(VI)によるホスフィン配位子であり、式中、Yは上記で定義された通りであり、R及びRは、フェニル、シクロヘキシル、メチル及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選択される。
別の実施形態では、中性電子供与体配位子Lは、シクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-オルト-トリルホスフィンである。同じく適しているのは、ホスフィン、例えばXPhos、JohnPhos、SPhos、
Bophos、Josiphos、Taniaphos、Walphos及び以下の図示された構造を有するホスフィン配位子
又は国際公開第2019/030304号に記載されている他の配位子、又は以下に示す構造による配位子である:
中性電子供与体配位子Lが一般式XによるNHC配位子である場合、R13及びR14は、特に、同一又は異なっていてもよく、独立して、置換若しくは非置換フェニル、又はC~C20アルキル、置換C~C20アルキル、C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、C~C24アリール、置換C~C24アリール、C~C24ヘテロアリール、C~C24アラルキル、C~C24アルカリール又はハロゲンからなる群より選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニルであってもよい。
例えば、Qは、2個又は3個の原子の架橋であってよく、飽和又は不飽和であってよい。
別の実施形態では、Qは、構造-CR21R22-CR23R24-又は-CR21=CR23-、特に-CR21R22-CR23R24-を有する2原子架橋であり、式中、R21、R22、R23及びR24は、水素(H)、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、及び官能基から独立して選択される。官能基の例は、カルボキシル、C~C20アルコキシ、C~C24アリールオキシ、C~C20アルコキシカルボニル、C~C24アルコキシカルボニル、C~C24アシルオキシ、C~C20アルキルチオ、C~C24アリールチオ、C~C20アルキルスルホニル、及びC~C20アルキルスルフィニルであり、C~C12アルキル、C~C12アルコキシ、C~C14アリール、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ホルミル、及びハロゲン(F、Cl、Br、I)から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。R21、R11、R23及びR24は、特に、水素(H)、C~C12アルキル、置換C~C12アルキル、C~C12ヘテロアルキル、置換C~C12ヘテロアルキル、フェニル及び置換フェニルから選択される。あるいは、R21、R22、R23及びR24から選択される2つの基は、一緒に結合して、置換又は非置換の、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C~C12脂環式環又はC又はcアリール基を形成することができ、それ自体、例えば、芳香族基又は他の置換基で置換されていてもよい。
代替的又は補足的な実施形態では、基R21、R22、R23及びR24は、水素(H)、1~10個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル、アルキレン又はアルキニル基、3~10個の炭素原子を有する環状アルキル、アルキレン又はアルキニル基、6~14個の炭素原子を有する置換又は非置換単核又は多核アリール基及び5~13個の炭素原子を有する置換又は非置換単核又は多核ヘテロアリール基、-O-アルキル、-O-C(O)-アルキル、-O-(アリール)、-O-C(O)-アリール、-F、-Cl、-OH、-NO、-Si(アルキル)、-CF、-CN、-COH、-C(O)H、-SOH、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-P(アルキル)、-SO(アルキル)、-SO(アルキル)、-SO(アリール)、-SO(アリール)、-SO(アルキル)、-SO(アリール)、-S-アルキル、-S-アリール、-S-アルケニル、-NH-CO(アルキル)、-CO(アルキル)、-CONH、-CO(アルキル)、-NHCOH、-NHCO(アルキル)、-CO(アリール)、-CO(アリール)、-CH=CH-CO(アルキル)、-CH=CH-COH、-P(アリール)、-PO(アリール)、-PO(アルキル)、-POH、-PO(O-アルキル)、並びにアルキル及びアリールがR21、R22、R23及びR24について定義した通りである任意の縮合環系の基からなる群より独立して選択される。
アルキル、アルキレン又はアルキニル基は、各々、例えば、F、Cl、Br、I、アルキル、O-アルキル、フェニル、O-フェニル、OH、NH及び/又はCFで置換されていてもよく、アリール及びヘテロアリール基は、例えば、F、Cl、Br、I、アルキル、O-アルキル、フェニル及び/又はO-フェニルで置換されていてもよい。
中性電子供与体配位子Lとして好適なN-複素環式カルベン(NHC)配位子及び非環式ジアミノカルベン配位子の例は、例えば、以下の構造を含む:
上記構造において、R13及びR14は、独立して、例えば、DIPP、Mes、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2-メチルフェニル及びそれらの組み合わせであり得、ここで、DIPP又はDiPPは2,6-ジイソプロピルフェニルであり、Mesは2,4,6-トリメチルフェニル(メシチル)である。
上記構造において、R13及びR14は、独立して、例えば、DIPP、Mes、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2-メチルフェニル及びそれらの組み合わせであり得る。
中性電子供与体配位子Lとして好適なN-複素環式カルベン(NHC)配位子及び非環式ジアミノカルベン配位子の更なる例は、例えば、以下の構造を含む:
式中、RW1、RW2、RW3、RW4は、独立して、水素(H)、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり得、RW3及び/又はRW4の一方又は両方は、独立して、ハロゲン、ニトロ、アミド、カルボキシル、アルコキシ、アリールオキシ、スルホニル、カルボニル、チオ又はニトロソ基から選択され得る。中性電子供与体配位子Lとして好適なN-複素環式カルベン(NHC)配位子の更なる例は、例えば、米国特許第7,378,528号明細書;同第7,652,145号明細書;同第7,294,717号明細書;同第6,787,620号明細書;同第6,635,768号明細書;及び同第6,552,139号明細書に開示されている。
式IXによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の更なる変形実施形態によれば、中性電子供与体配位子Lは、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-1-アダマンチルホスフィン、トリ-2-アダマンチルホスフィン、ジ-(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(cataCXium(登録商標)A)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(XPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル(RuPhos)、ジ-1,3-ビス-(2,4,6-トリメチルフェニル)-イミダゾリジン-2-イリデン(「SIMes」)、1,3-ビス-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-イミダゾリジン-2-イリデン(「SIPr」)、1,3-ビス-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-イミダゾリン-2-イリデン(不飽和NHC配位子、「IPr」)及び1,3-ビス-(2,4,6-トリメチルフェニル)-イミダゾリン-2-イリデン(不飽和NHC配位子、「IMes」)からなる群より選択される。
反応容器に反応物質、すなわちパラジウム化合物、化合物AH及び中性電子供与体配位子Lを充填する順序は、自由に選択することができる。これはまた、工程A.及びB.並びに任意の工程C.、すなわち、それぞれの標的化合物の調製に関する全ての工程を単一工程で行う可能性、すなわち、全ての反応物質及び溶媒を同時に又は実質的に同時に反応容器に導入する可能性を含む。「反応容器」という用語の定義は、既に上で与えられている。
一般式IXによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の一実施形態によれば、工程Bにおける反応は、以下の工程を含む:
B.1.パラジウム化合物を固体、溶液又は懸濁液として最初に装入する工程、
B.2.化合物AHを固体、溶液又は懸濁液として添加する工程、
B.3.中性電子供与体配位子Lを固体、溶液又は懸濁液として添加する工程、
又は
B.1.パラジウム化合物を固体、溶液又は懸濁液として最初に装入する工程、
B.2.中性電子供与体配位子Lを固体、溶液又は懸濁液として添加する工程、
B.3.化合物AHを固体、溶液又は懸濁液として添加する工程、
又は
B.1.化合物AHを固体、溶液又は懸濁液として最初に装入する工程、
B.2.パラジウム化合物を固体、溶液又は懸濁液として添加する工程、
B.3.中性電子供与体配位子Lを固体、溶液又は懸濁液として添加する工程、
又は
B.1.化合物AHを固体、溶液又は懸濁液として最初に装入する工程、
B.2.中性電子供与体配位子Lを固体、溶液又は懸濁液として添加する工程、
B.3.パラジウム化合物を固体、溶液又は懸濁液として添加する工程、
又は
B.1.中性電子供与体配位子Lを固体、溶液又は懸濁液として最初に装入する工程、
B.2.パラジウム化合物を固体、溶液又は懸濁液として添加する工程、
B.3.化合物AHを固体、溶液又は懸濁液として添加する工程、
又は
B.1.中性電子供与体配位子Lを固体、溶液又は懸濁液として最初に装入する工程、
B.2.化合物AHを固体、溶液又は懸濁液として添加する工程、
B.3.パラジウム化合物を固体、溶液又は懸濁液として添加する工程。
本明細書に記載される方法の一実施形態では、Pd:AHのモル比は、少なくとも1:1、有利には1.0:1.0~1.0:5.0、より有利には1.0:1.1~1.0:4.0、特に有利には1.0:1.2~1.0:3.0、特に1.0:1.3~1.0:2.0、例えば、1.0:1.4又は1.0:1.5又は1.0:1.6又は1.0:1.7又は1.0:1.8又は1.0:1.9又は1.0:2.1又は1.0:2.2又は1.0:2.3又は1.0:2.4又は1.0:2.5又は1.0:2.6又は1.0:2.7又は1.0:2.8又は1.0:2.9又は1.0:3.1又は1.0:3.2又は1.0:3.3又は1.0:3.4又は1.0:3.5又は1.0:3.6又は1.0:3.7又は1.0:3.8又は1.0:3.9又は1.0:4.1又は1.0:4.2又は1.0:4.3又は1.0:4.4又は1.0:4.5又は1.0:4.6又は1.0:4.7又は1.0:4.8又は1.0:4.9である。
代替的又は補足的な変形実施形態によれば、Pd:Lのモル比は、少なくとも1:1、有利には1.0:1.0~1.0:1.5、より有利には1.00:1.01~1.00:1.49、特に有利には1.00:1.02~1.00:1.48、特に1.00:1.03~1.00:1.47、例えば、1.00:1.04又は1.00:1.05又は1.00:1.06又は1.00:1.07又は1.00:1.08又は1.00:1.09又は1.00:1.10又は1.00:1.11又は1.00:1.12又は1.00:1.13又は1.00:1.14又は1.00:1.15又は1.00:1.16又は1.00:1.17又は1.00:1.18又は1.00:1.19又は1.00:1.20又は1.00:1.25又は1.00:1.30又は1.00:1.35又は1.00:1.40又は1.00:1.45である。
本明細書で特許請求される方法の別の実施形態は、工程Bにおける反応が少なくとも1種の溶媒S中で行われることを提供する。本方法の別の変形例では、溶媒Sは、アルコール、アルカン、芳香族炭化水素、ケトン、エーテル及びそれらの組み合わせ、特に2~6個の炭素原子を有するアルコール、5~8個の炭素原子を有するアルカン又はシクロアルカン、石油エーテルなどのアルカン混合物、6~9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、4~8個の炭素原子を有するエーテル又は2~6個の炭素原子を有するケトン、及びそれらの混合物からなる群より選択される。例えば、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、トルエン、ベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アセトン、メタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物がよく適している。パラジウム化合物及び/又は化合物AH及び/又は中性電子供与体配位子Lが溶液又は懸濁液として最初に装入又は導入される場合、当該溶液又は懸濁液の溶媒は、特に、上述の溶媒Sと同一であるか、又はそれと混和性である。
一般式IXによる化合物を調製するための本明細書に記載される方法の更に別の実施形態によれば、工程Aにおけるパラジウム化合物の提供は、有利にはパラジウム(II)カチオン及び2つの一価アニオン又は二価アニオンからなるパラジウム(II)化合物を、有機ケイ素化合物、有利には環状又は非環状シロキサンである配位子Lと、塩基の存在下で反応させることを含む。したがって、工程Aで提供されるパラジウム化合物は、有利にはin situで、有利には溶媒SL1中で調製することができる。
パラジウム(II)化合物は、2つの異なる若しくは2つの同一の一価アニオン又は1つの二価アニオンを有し得る。中性配位子、例えばCODは提供されない。その結果、PdClなどの安価な市販のパラジウム(II)化合物を有利に使用することができる。したがって、単核又は多核パラジウム化合物のin situ生成のための反応物質として、[Pd(配位子)Y]型のパラジウム(II)化合物[式中、例えば配位子=COD]の時間がかかり費用がかかる調製を省くことが可能である。これは、経済的観点(原子に関して)及び生態学的観点から特に有利である。加えて、これは、一般式IXによる最終生成物中の可能性のある不純物の数を減少させる。
更なる有利な実施形態では、上述のin situ調製の文脈において反応物質として使用されるパラジウム(II)化合物は、ハロゲン化物及び一価弱配位性アニオンからなる群より特に選択される2つの同一の一価アニオンを含む。「in situ生成/調製された」又は「in situ生成/調製」という表現、及び「弱配位」という用語は、既に上で定義されている。
本明細書に記載される反応の文脈において、「塩基」という用語は、無機塩基及び有機塩基、特に無機塩基を意味するが、有機金属塩基は意味しない。塩基は水中で分解すべきではない。好適な塩基は、例えば、ブレンステッド酸の塩である。炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、ギ酸塩、アスコルビン酸塩、シュウ酸塩及び水酸化物が有利に使用される。これらは、アンモニウム塩(ブレンステッド酸)NRの形態で使用することができ、式中、Rは、例えば、H又はアルキル、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、及びアルカリ土類金属塩である。
工程Aにおけるパラジウム(II)化合物と、有機ケイ素化合物である配位子Lとの反応は、通常、溶媒SL1中で行われる。溶媒SL1は、特に限定されない。可能な溶媒SL1の例は、極性溶媒、例えば水、アルコール、ケトン、炭化水素、例えばベンゼン及びトルエンなどの芳香族炭化水素、又はペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素、開鎖又は環状エーテル、アミド及びエステルである。しかしながら、溶媒として、水、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール、並びにそれらの混合物、ケトン、例えば、アセトン、並びにエーテル、例えば、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、並びにそれらの混合物が好ましい。これらのアルコールの混合物も使用することができる。特に、工程Aにおける準備又は反応のために提供される溶媒SL1及び工程Bにおける反応のために提供される溶媒Sは、互いに混和性であるか又は同一である。この場合、溶媒を交換する必要がなく、これは、経済的観点及び生態学的観点から特に有利である。
「2種の混和性溶媒」という表現の定義は、既に上で与えられている。
一般式IXによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の一実施形態では、配位子Lの1つは、1,1,3,3-テトラ-メチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)、1,1,3,3-テトラ-メチル-1,3-ジチエン-2-イルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジビニルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,3-ジビニルジシロキサンジオール及び2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群より選択される環状又は非環状シロキサンである。有利には、配位子Lの1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)である。特に、配位子Lの1つは、dvdsである。驚くべきことに、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンパラジウム(0)-本発明の文脈において、[Pd(dvds)]、[Pd(dvds)]、Pd(vs)、Pd-VS又はパラジウム-VS-と略される-は、例えば、π-アリルパラジウムクロリド錯体などのπ-アリルパラジウムハロゲン化物錯体から、式IXによる化合物を調製するための優れた出発物質であり、これは、特に本明細書に記載される方法によって、通常90%超、多くの場合97%超、特に99%超の収率で得られることが見出された。加えて、本明細書で特許請求される方法によって、以前に得られていない、すなわち先行技術に記載されていないこのタイプの化合物を合成することが可能であった。
一般式IXによる化合物を調製するための本明細書で特許請求される方法の更なる変形実施形態によれば、工程A及び/又は工程B、特に工程Bにおける反応温度は、10℃~60℃、特に15℃~45℃又は20℃~30℃である。本方法の代替的又は補足的な実施形態は、工程A及び/又は工程B、特に工程Bにおける反応時間が10分~48時間、特に1時間~36時間又は2~24時間又は3~12時間であることを提供する。
本目的は更に、一般式
による化合物によって達成され、
式中、R1~R4、X及びLは、上記で定義された通りであり、特に、上記の例示的な実施形態の1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる化合物
ただし、
[式中、R=Me、X=Cl及びL=1,3-ビス(2,6-ジ-イソプロピルフェニル)イミダゾリン-2-イリデン]による化合物、
及び
[式中、R=H又はメチル、X=TfO及びL=ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、(S)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル又は(R)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]による化合物を除く。
本明細書で特許請求される式IXによる化合物、特にそのような化合物を調製するための上記の方法の例示的な実施形態の1つによる化合物は、一般に、高純度、特に高NMR純度で、一般に通常90%超、多くの場合97%超、特に99%超の収率で得ることができる。一般式IXによるこれらのパラジウム(II)化合物は、例えば、触媒及び/又はプレ触媒として、特にパラジウム触媒クロスカップリング反応におけるプレ触媒として使用することができる。有利には、それらは以下に与えられる反応のためのプレ触媒及び/又は触媒として適している。
特に、驚くべきことに見出されたように、上記の例示的な実施形態のうちの1つによるそのような化合物を調製するための方法によって得られるか又は得ることができる式IXによる化合物は、次式IX.N又はIX.Pを有することができる:
特に、以下の化合物は、式IXの化合物として調製することができる:
更に、本目的は、
i.一般式IX
[式中、X、R1、R2、R3、R4及びLは、上記で定義された通りである]による化合物
又は
一般式IX.a
[式中、X、R、R、R、R、R4及びLは、上記で定義された通りである]による化合物、
及び
ii.少なくとも1種の有機ケイ素化合物
を含む調製物によって達成される。
有機ケイ素化合物という用語は、既に上で定義されている。
調製物中に含まれる一般式IX若しくはIX.aによる化合物、又は本明細書で特許請求される調製物自体は、特に、式IXによる化合物を調製するための上記の方法によって、有利には上記の例示的な実施形態の1つに従って得られるか又は得ることができる。
調製物の一実施形態によれば、特に少なくとも1種の有機ケイ素化合物の形態で存在するケイ素含有量は、100ppm以上1000ppm以下、有利には110ppm以上900ppm以下、特に120ppm以上800ppm以下である。特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物の形態で存在するケイ素含有量は、当業者に公知の分析方法を使用して、特に、定量的H NMR分光法及び/又は誘導結合プラズマを用いた原子発光分光法(誘導結合プラズマ発光分析、ICP-AES)を使用して決定することができる。
本明細書で特許請求される調製物の代替的又は補足的な実施形態では、調製物は、溶媒Sを含有する。調製物は、特に、存在する有機ケイ素化合物及び/又は使用される溶媒Sに応じて、溶液、懸濁液、分散液又はゲルの形態であり得る。溶媒Sは、溶媒の混合物であってもよい。それは、有利には、アルカン、芳香族炭化水素及び極性溶媒からなる群より選択され、有利には、アルコール、アルカン、ケトン、エーテル又はそれらの組み合わせ、特に、2~6個の炭素原子を有するアルコール、5~8個の炭素原子を有するアルカン又はシクロアルカン、石油エーテルなどのアルカン混合物、6~9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、4~8個の炭素原子を有するエーテル又は2~6個の炭素原子を有するケトン、又はそれらの混合物からなる群より選択される。例えば、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物又は組み合わせが適している。特に、溶媒Sが、アルコール、アルカン、芳香族炭化水素、ケトン、例えばアセトン、エーテル、及びそれらの組み合わせ、特に2~6個の炭素原子を有するアルコール、6~9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、5~8個の炭素原子を有するアルカン又はシクロアルカン、石油エーテルなどのアルカン混合物、4~8個の炭素原子を有するエーテル又は2~6個の炭素原子を有するケトン、及びそれらの混合物からなる群より選択される溶媒を含むか又はその溶媒である場合、調製物は溶液又は懸濁液の形態である。例えば、溶媒Sは、ジエチルエーテル、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、トルエン、ベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アセトン、メタノール及びイソプロパノール、並びにそれらの混合物からなる群より選択することができる。
調製の別の変形例は、溶媒Sが、式IXによる化合物を調製するための方法において使用される溶媒Sと混和性であるか又は同一であることを提供する。
本発明の調製物の変形例によれば、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの末端二重結合、特にビニル二重結合を含有する。特に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、環状若しくは非環状シロキサンを含むか又は環状若しくは非環状シロキサンである。調製物の代替的又は補足的な実施形態によれば、調製物は、一般式VIIIによるパラジウム化合物に加えて、一般式[Pd(L](III)による少なくとも1種のパラジウム化合物を含む。また、一般式[Pd(L](III)は、多核錯体、特に一般式[Pd(L]による二核錯体を含む。この場合、配位子Lは、特に、各場合において、少なくとも1種の有機ケイ素化合物、特に環状又は非環状シロキサンと同一であり、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの末端二重結合を含有する。
特に、配位子Lは、有機ケイ素化合物と同一であり、配位子Lは、特に、少なくとも1つの末端、特にビニル二重結合を有する環状又は非環状シロキサンである。この場合、配位子Lは、有利には、少なくとも1つのπ指向性結合を介して、一般式[Pd(L](III)による化合物のパラジウム中心に配位又は結合される。
特許請求された調製物の更に別の変形実施形態は、有機ケイ素化合物のうちの1つが、環状若しくは非環状シロキサンを含むか又は環状若しくは非環状シロキサンであり、及び/又は配位子Lのうちの1つが、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジチエン-2-イルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジビニルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,3-ジビニルジシロキサンジオール及び2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群より選択される環状若しくは非環状シロキサンである。有利には、有機ケイ素化合物のうちの1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)を含むか若しくはそれであり、及び/又は配位子Lのうちの1つは、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(dvds)である。特に、有機ケイ素化合物の1つ及び/又は配位子Lの1つは、dvdsである。
本目的はまた、第1の反応物質と第2の反応物質とをクロスカップリングするための方法であって、当該方法は、
A.第1の反応物質と、第2の反応物質と、上記の実施形態の1つ以上による少なくとも1つの化合物又は調製物を含む反応混合物を提供する工程、
及び
B.上記の実施形態の1つ以上による少なくとも1つの化合物又は調製物の存在下で、第1の反応物質を第2の反応物質と反応させ、反応生成物を生成する工程
を含む。
クロスカップリングは、炭素-炭素カップリング反応又は炭素-ヘテロ原子カップリング反応であり得る。後者は、炭素-窒素カップリング反応、すなわちバックワルド-ハートウィッグカップリング、炭素-酸素及び炭素-硫黄カップリング反応を含む。
更に、この目的は、第1の反応物質と第2の反応物質との反応を触媒するための方法であって、上記の実施形態の1つ以上による少なくとも1つの化合物又は調製物の存在下で第1の反応物質を第2の反応物質と接触させることを含む方法によって達成される。
第1の反応物質と第2の反応物質とをクロスカップリングするための方法、又は第1の反応物質と第2の反応物質との反応を触媒するための方法の一実施形態では、第1の反応物質及び第2の反応物質は、以下のものからなる群より選択される:
(i)第1の反応物質は、芳香族若しくはヘテロ芳香族ボロン酸又はそのエステルであり、第2の反応物質は、芳香族若しくはヘテロ芳香族ハロゲン化物、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである;
(ii)第1の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族アミンであり、第2の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族ハロゲン化物、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである;
(iii)第1の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族ハロゲン化亜鉛であり、第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである;
(iv)第1の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族グリニャール化合物であり、第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである;
(v)第1の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族ハロゲン化スズであり、第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである:
(vi)第1の反応物質は、ケトン、アルデヒド、イミン、アミド又はエステルであり、第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートでる;
(vii)第1の反応物質は、アルコール又はチオールであり、第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである;
(viii)第1の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族シラノール、シロキサン又はシランであり、第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである。
第1の反応物質と第2の反応物質とをクロスカップリングするための方法、又は第1の反応物質と第2の反応物質との反応を触媒するための方法の別の変形例によれば、それは、スティルカップリング、熊田カップリング、根岸カップリング、鈴木カップリング、鈴木-宮浦カップリング、薗頭カップリング、日山カップリング、ヘック反応、エノール化可能なケトンのα-アリール化、アルデヒドのα-アリール化、第1級アミンのアリール化、第2級アミンのアリール化、第1級アミドのアリール化、脂肪族アルコールのアリール化、アリル置換反応又はトリフルオロメチル化反応である。
加えて、本目的は、第一級又は第二級アルコールの嫌気性酸化を触媒するための方法によって達成され、当該方法は、第一級又は第二級アルコールを、上記の実施形態の1つ以上による少なくとも1つの化合物又は調製物と接触させることを含む方法によって達成される。
本発明の他の特徴、詳細、及び利点については、特許請求の範囲の表現と、以下の例示的な実施形態の説明から得られる。
例示的な実施形態
A.Pd(0)錯体[Pd(ホスフィン)]及び[Pd(dvds)(ホスフィン)]
ここで、dvds=1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン。
実施例1:Pd錯体の調製
一般的手順:
422μl(434mg、0.5ミリモル、1当量)の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンパラジウム(Pd-VS又はパラジウム-VS)を最初に不活性化したシュレンク管(排気しながら3回加熱し、アルゴンを充填した)に装入し、続いて、十分な量(通常約3~4mL)のトルエンに溶解した2当量(1ミリモル)の対応するホスフィン(別段の記載がない限り)を装入した。室温での特定の反応時間後、体積を半分に減少させ、形成された沈殿物を濾別し、メタノール3×2mLで洗浄し、真空下で乾燥させた。
実施例1ー1
配位子:トリ-tert-ブチルホスフィン、溶媒としてエタノール2mL。
反応時間:4時間
収率:92%無色固体
H NMR(250MHz,C)δ=1.52(t,J=5.5Hz,54H)ppm。
13C NMR(63MHz,C)δ=37.9,33.7ppm。
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=85.14(s)ppm。
ICP-AESによるケイ素含有量=340ppm。
実施例1ー2
配位子:トリシクロヘキシルホスフィン
反応時間:3時間、次いでメタノール3mLの添加。
収率:163mg(54%)の無色固体。
H NMR(250MHz,C)δ=3.43-3.69(m,2H),3.12-3.42(m,4H),1.92-2.14(m,3H),1.51-1.92(m,16H),0.94-1.48(m,15H),0.58(s,6H),0.07(s,6H)ppm。
13C NMR(63MHz,C)δ=64.4,63.2,37.0,31.3,28.4,27.4,2.4,-0.3ppm。
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=34.85(s)ppm。
実施例1ー3
配位子:トリイソプロピルホスフィン(1.2当量)
反応時間:16時間
収率:246mg(51%)無色固体
H NMR(250MHz,C)δ=3.48-3.60(m,2H),3.18-3.29(m,4H),1.96(spt,J=14.4Hz,3H),0.99(dd,J=13.0,7.1Hz,18H),0.56(s,6H),0.04(s,6H)ppm。
13C NMR(63MHz,C)δ=64.3,63.0,26.8,20.5,2.4,-0.2ppm。
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=47.79(s)ppm。
実施例1ー4
配位子:ブチルジ-1-アダマンチルホスフィン
反応時間:3時間、トルエン
収率:193mg(55%)無色固体;溶媒としてのアセトン>80%
H NMR(250MHz,C)δ=3.76(ddd,J=12.2,5.1,1.7Hz,2H),3.14-3.53(m,4H),1.97-2.12(m,12H),1.86(br.s.,8H),1.55-1.75(m,14H),1.42-1.55(m,2H),0.97(t,J=7.2Hz,3H),0.58(br.s.,6H),-0.12-0.31(m,6H)ppm。
13C NMR(63MHz,C)δ=64.5,64.0,41.1,40.0,37.6,31.1,29.6,26.8,21.9,14.8,0.9ppm。
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=49.78(s)ppm。
観察:反応生成物
実施例1ー5
配位子:2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル
反応時間:16時間、反応時間後にメタノール3mLを添加。
収率:91mg(45%)無色固体
H NMR(250MHz,C)δ=7.57(t,J=7.1Hz,1H),7.17-7.24(m,6H溶媒シグナルとの重複のため),7.03-7.09(m,2H),6.94-7.03(m,3H),3.12-3.39(m,4H),2.90-3.10(m,2H),1.81-2.08(m,6H),1.51-1.78(m,6H),1.23-1.51(m,4H),0.97-1.23(m,6H),0.57(br.s.,6H),0.12(br.s,6H)ppm。
13C NMR(63MHz,C)δ=146.8,142.3,133.5,132.6,132.2,129.3,127.2,127.1,126.4,65.2,64.3,39.1,30.9,30.7,27.8,27.5,26.5,1.7,-1.2ppm。
31P{H}NMR(101MHz、C)δ=32.83ppm。
比較例1ー6
配位子:YPhos 1
反応時間:3時間
収率:45mg(56%)の無色固体
31P NMR(101MHz,C)δ=30.96(d,J=78.0Hz),15.76(d,J=79.0Hz)ppm。
実施例1ー7
配位子:ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン
反応時間:3時間濃縮後、メタノール15mLを添加した。
収率:123mg(48%)の無色固体
H NMR(250MHz,C)δ=7.52-7.69(m,2H),7.05-7.14(m,3H),3.65(s,2H),3.27-3.46(m,4H),1.20(d,J=12.6Hz,18H),0.19(br.s.,12H)ppm.
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=69.85ppm.
実施例1ー8
配位子:ジ-tert-ブチルイソプロピルホスフィン、6mLのトルエンの添加
反応時間:3時間濃縮後、メタノール15mLを添加した
収率:153mg(64%)の無色固体
H NMR(250MHz,C)δ=3.45-3.68(m,2H),3.14-3.39(m,4H),2.42-2.70(m,1H),1.05-1.37(m,24H),0.53(br.s.,6H),-0.19-0.24(br.s.,6H)ppm
13C NMR(63MHz,C)δ=66.2,65.9,37.2,31.8,31.0,22.2,1.8ppm.31P{H}NMR(101MHz、C)δ=71.27ppm。
実施例1ー9
配位子:tert-ブチルジフェニルホスフィン、2mLのトルエンの添加
反応時間:3時間;濃縮後、メタノール15mLを添加した
収率:110mg(41%)無色固体
H NMR(400MHz,C)δ=7.51-7.73(m,4H),6.95-7.13(m,6H),3.38-3.67(m,4H),3.15-3.31(m,2H),1.19(d,J=13.6Hz,9H),0.50(s,6H),0.03(s,6H)ppm。
13C NMR(101MHz,C)δ=137.2(d,J=21.60Hz)134.8(d,J=13.30Hz)129.6(s)69.0(d,J=3.32Hz)68.1(d,J=8.29)34.2(d,J=9.90Hz)29.3(d,J=8.29Hz)2.2(s)-0.4(s)ppm.
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=64.01ppm。
実施例1ー10
配位子:トリ-o-トリルホスフィン、3mLのトルエンの添加
63mgのトリ-o-トリルホスフィン(0.2ミリモル、2当量)をオーブン乾燥バイアルに添加し、続いて95μl(98mg、0.1ミリモル、1当量)の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-パラジウムを添加した。3mLのトルエンをこの懸濁液に添加し、得られた溶液を31P{H}NMRによって分析した。
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=21.6ppm。
実施例1ー11
配位子:トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、トルエン3mLの添加
110mgのトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン(0.2ミリモル、2当量)をオーブン乾燥バイアルに添加し、続いて95μl(98mg、0.1ミリモル、1当量)の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-パラジウムを添加した。3mLのトルエンをこの懸濁液に添加し、得られた溶液を19F-NMRによって分析した。
実施例2:実施例1-4の触媒活性
以下の実施例では、化合物の実施例1ー4の触媒活性について説明する。
を試験した。これは、部分的に他の類似化合物と比較して行われた。反応物質としてp-クロロトルエン及びフェニルボロン酸を用いた鈴木-宮浦クロスカップリングで活性を試験した。
A:実施例1ー5
B:実施例1ー3
C:実施例1ー2
D:実施例1ー4
反応は1.5ミリモルスケールで行った。2ミリモルのフェニルボロン酸、1.5ミリモルのKPO及び1.5ミリモルのフッ化カリウムを最初に注射用バイアルに装入し、0.0075ミリモルの触媒を窒素充填グローブボックスに添加した。溶媒:4mLのTHF1.5ミリモルのp-クロロトルエンをシリンジで加えた。反応時間は22時間であり、温度は100℃であった。収率は、テトラデカンを内部標準として用いたガスクロマトグラフィによって決定した。
溶媒耐性は、3mLの特定の溶媒を用いて、2-1の手順と同様に行った。
更に、異なる塩基を好適な溶媒中で試験した。1ミリモルの塩基を各場合において使用した。
異なる反応温度の適合性を2-1と同様に試験した。3ミリモルの炭酸リチウムを塩基として使用し、THFを溶媒として使用した。80℃未満の温度では反応生成物は観察されず、80℃では収率はわずか25%であった。
実施例3-1[Pd PhP(CHPPh
アルゴン下で、213mgの1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(0.5ミリモル、2当量)を3mLのトルエンに溶解し、251μl(244mg、0.25ミリモル、1当量)の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-パラジウムを添加した。溶液を2時間撹拌すると、黄色固体が沈殿した。5mLのメタノールを懸濁液に添加し、上清をシリンジで除去した。固体をメタノール(2×10mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた。
収率:230mg(99%)
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=3.97ppm。
実施例3-2[Pd PhP(CHPPh
アルゴン下で、203mgの1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(0.5ミリモル、2当量)を3mLのトルエンに溶解し、251μl(244mg、0.25ミリモル、1当量)の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-パラジウムを添加した。溶液を2時間撹拌すると、固体が沈殿した。5mLのメタノールを懸濁液に添加し、上清をシリンジで除去した。固体をメタノール(2×10mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた。
収率:215mg(95%)
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=29.59ppm。
B.Pd(I)ダイマー[Pd(μ-X)(PR)]、式中、X=Br、I
実施例1-1[Pd(acac)]と臭化アセチルとから出発する[Pd(μ-Br)(PtBu)]
500mLのアセトン中の[Pd(acac)](31g、100ミリモル)と臭化アセチル(25g、200ミリモル)との混合物を室温で2.5時間撹拌した。次いで、[Pd(PtBu](55g、105ミリモル、1.05当量)及び400mLのアセトンを添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。沈殿した固体を濾別し、洗浄し、次いで真空下で乾燥させた。
収率:71.58 g(92%)暗緑色-青色固体
H NMR(400MHz,C)δ=1.32ppm。
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=86.3ppm。Pd含有量:28.1%
臭化アセチル及び[Pd(PtBu]の添加順序を逆にすると、生成物が約60%の収率で得られる。
実施例1-2[Pd(dvds)]と臭化アセチル又はN-ブロモスクシンイミドとから出発する[Pd(μ-Br)(PtBu)]
メタノール中の[Pd(dvds)]と臭化アセチル(2当量)との混合物を室温で2.5時間撹拌した。次いで、PtBu(2当量)を添加し、室温で2.5時間撹拌した。沈殿した固体を濾別し、洗浄し、次いで真空下で乾燥させた。
収率:32%暗緑色-青色固体
H NMR(400MHz,C)δ=1.32ppm。
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=86.3ppm。
N-ブロモスクシンイミドをBr供与体として使用し、アセトンを溶媒として使用し、それ以外は同様に反応を実施して、生成物を収率16%で得た。
実施例1-3 1,4-ジオキサン中の[Pd(dvds)]とBrとから出発する[Pd(μ-Br)(PtBu)]
[Pd(dvds)](868mg、1ミリモル)をシュレンク管に加え、続いてトリ-tert-ブチルホスフィン(413mg、2ミリモル、98%、2当量)を加えた。次いで、1,4-ジオキサン中の臭素(Br)(4mL、0.25M、1ミリモル、1当量)の溶液を添加した。混合物を40℃で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をトルエンで抽出し、トルエンを減圧下で除去した。得られた固体をアセトンに溶解した。溶液を-20℃で保存すると、暗緑色の結晶が得られ、これを溶液から分離し、少量のアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。
収率:55%暗緑色結晶
H NMR(400MHz,C)δ=1.32ppm。
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=86.3ppm。
実施例2-1[Pd(dvds)]とIとから出発する[Pd(μ-I)(PtBu)]
アセトン中のトルエン溶液(1当量)としての[Pd(dvds)](0.5gPd、2.4ミリモル)とPtBuとの混合物を、室温で2.5時間撹拌した。次いで、ヨウ素(I)(0.62g、2.4ミリモル、1当量)を添加し、室温で2.5時間撹拌した。沈殿した固体を濾別し、洗浄し、次いで真空下で乾燥させた。
収率:83%暗紫色固体
H NMR(400MHz,C)δ=1.29ppm。
31P{H}NMR(101MHz,C)δ=102.3ppm。
C.π-アリルパラジウムハロゲン化物錯体
C.1一般式VIIIによるダイマーアリルパラジウムハロゲン化物を調製するための一般的手順
ハロゲン化アリル(1.2当量、0.6ミリモル;又は5当量、2.5ミリモル;又は10当量、5ミリモル)を、アルゴン雰囲気下でシュレンクフラスコ中のPd(vs)の溶液に添加した。(1当量、パラジウム含有量5.35%、993mg、0.5ミリモル又はパラジウム含有量10.9%、488mg、0.5ミリモル)。黄色固体が急速に形成された。混合物を1時間撹拌し続け、ヘキサン(3mL)を添加した。液体上清をデカントし、固体を3mLのヘキサンで2回洗浄した。固体を真空下で乾燥させた。
実施例1-1:ジ-μ-クロロビス(η-アリル)ジパラジウム(1-Cl)[CAS番号:12012-95-2]
黄色固体、融点:149℃。ジクロロメタン中の不溶性成分の割合:<0.1%(PTFEメンブレンフィルター(孔径0.45μm))。
H NMR(CDCl,400MHz):δ=5.46(tt,J=12.1,6.7Hz,2H),4.12(d,J=6.6Hz,4H),3.05(d,J=12.1Hz,4H)。
13C NMR(CDCl,101MHz)δ=111.1,62.9。
実施例1-2:ジ-μ-ブロモビス(η-アリル)ジパラジウム(1-Br)[CAS番号:12077-82-6]。
黄色固体、融点:158℃。
H NMR(CDCl,400MHz):δ=5.43(tt,J=12.1,6.8Hz,2H),4.20(d,J=6.8Hz,4H),3.08(d,J=12.1Hz,4H)。
13C NMR(CDCl,101MHz):δ=110.6,64.8。
実施例1-3:ジ-μ-ヨードビス(η-アリル)ジパラジウム(1-I)[CAS番号:12013-04-6]
橙色の固体、融点:180℃。
H NMR(CDCl,250MHz):δ=5.31(tt,J=12.5,6.8Hz,2H),4.39(dt,J=6.8,0.7Hz,4H),3.09(dt,J=12.5,0.7Hz,4H)。
13C NMR(CDCl,63MHz):δ=109.5,67.6。
実施例1-4:ジ-μ-クロロビス[η-2-メチルアリル]ジパラジウム(2-Cl)[CAS番号:12081-18-4]。
黄色固体、融点:145℃。
H NMR(CDCl,400MHz):δ=3.86(s,4H),2.89(s,4H),2.15(s,6H)。
13C NMR(CDCl,101MHz):δ=127.0,61.8,22.7。
実施例1-5:ジ-μ-ブロモビス[η-2-メチルアリル]ジパラジウム(2-Br)[CAS番号:12080-98-7]
黄色固体、融点:153~154℃。
H NMR(CDCl,400MHz):δ=3.94(s,4H),2.92(s,4H),2.09(s,6H)。
13C NMR(CDCl,101MHz):δ=126.2,63.9,22.9。
実施例1-6:ビス[(1,2,3-η)-2-ブテン-1-イル]ジ-μ-クロロジパラジウム(3-Cl)[CAS番号:12081-22-0]
黄色固体、融点:148℃。
syn/anti異性体の比97:3
syn異性体:
H NMR(CDCl,400MHz):δ=5.30(td,J=11.6,6.7Hz,2H),3.78-4.01(m,4H),2.82(d,J=11.9Hz,2H),1.34(d,J=6.3Hz,6H)。
13C NMR(CDCl,101MHz):δ=111.4,79.0,59.2,15.8。
Anti異性体:
H NMR(CDCl,400MHz):δ=4.86(quin,J=6.8Hz,2H),4.10(d,J=7.3Hz,2H),3.37(d,J=12.9Hz,2H),1.13ppm(d,J=6.6Hz,6H)プロトンはsyn異性体と重複する。
13C NMR(CDCl,101MHz):δ=106.4,81.5,58.3,18.0。
実施例1-7:ビス[(1,2,3-η)-2-ブテン-1-イル]ジ-μ-クロロジパラジウム(3-Br)[CAS番号:12081-43-5]
黄色固体、融点:169℃。
H NMR(CDCl,250MHz):δ=5.29(td,J=11.6,6.8Hz,2H),3.89-4.09(m,4H),2.85(d,J=12.0Hz,2H),1.50(d,J=6.3Hz,6H)。
13C NMR(CDCl,63MHz):δ=111.2,83.8,59.7,18.5。
実施例1-8:ジ-μ-クロロビス[(1,2,3-η)-3-メチル-2-ブテニル]ジパラジウム(4-Cl)[CAS番号:12288-41-4]
黄色固体、融点:116~117℃
H NMR(CDCl,250MHz):δ=5.08(dd,J=12.6,7.4Hz,2H),3.85(dd,J=7.4,1.3Hz,2H),3.10(dd,J=12.6,1.3Hz,2H),1.45(s,6H),1.25(s,6H)。
13C NMR(CDCl,63MHz):δ=106.3,95.1,55.7,27.1,21.8。
実施例1-9:ジ-μ-ブロモビス[(1,2,3-η)-3-メチル-2-ブテニル]ジパラジウム(4-Br)
黄色固体、融点:119~120℃
H NMR(CDCl,300MHz):δ=5.08(dd,J=12.7,7.3Hz,2H),3.92(dd,J=7.3,1.5Hz,2H),3.14(dd,J=12.7,1.5Hz,2H),1.60(s,6H),1.29(s,6H)。
13C NMR(CDCl,101MHz):δ=106.4,97.7,57.1,27.7,22.1。
実施例1-10:ジ-μ-クロロビス[(1,2,3-η)-1-フェニル-2-プロペン-1-イル]ジパラジウム(5-Cl)[CAS番号:12131-44-1]
黄色固体、融点:201℃
H NMR(CDCl,400MHz):δ=7.44-7.56(m,4H),7.31-7.40(m,2H),7.22-7.31(m,4H),5.80(td,ddd,J=11.9,11.4,6.7Hz,2H),4.62(d,J=11.4Hz,2H),3.97(dd,J=6.7,0.6Hz,2H),3.04(dt,J=11.9,0.9Hz,2H)。
13C NMR(CDCl,101MHz):δ=136.9,129.0,128.5,127.9,105.9,81.8,59.4。
実施例1-11:ジ-μ-ブロモビス[(1,2,3-η)-1-フェニル-2-プロペン-1-イル]ジパラジウム(5-Br)[CAS番号:32876-05-4]
橙色固体、融点:173℃
H NMR(CDCl,400MHz):δ=7.44-7.56(m,4H),7.23-7.38(m,6H),5.83(ddd,J=11.9,11.6,6.8Hz,2H),4.73(d,J=11.6Hz,2H),4.05(d,J=6.8Hz,2H),3.08(d,J=11.9Hz,2H)。
13C NMR(CDCl,101MHz):δ=137.0,129.0,128.5,128.1,105.5,84.3,60.6。
実施例1-12:ジ-μ-クロロビス[(1,2,3-η)-2-シクロヘキセン-1-イル]ジパラジウム(6-Cl)[CAS番号:12090-09-4]
黄色固体、融点:108℃
H NMR(CDCl,250MHz):δ=5.48(t,J=6.3Hz,2H),5.18(t,J=5.3Hz,4H),1.63-1.95(m,10H),0.91-1.17(m,2H)。
13C NMR(CDCl,63MHz):δ=101.7,78.8,28.7,19.4。
実施例1-13:ジ-μ-ブロモビス[(1,2,3-η)-2-シクロヘキセン-1-イル]ジパラジウム(6-Br)[CAS番号:35284-31-2]
黄色固体、融点:129℃
H NMR(CDCl,400MHz):δ=5.47(t,J=6.5Hz,2H),5.30(t,J=5.1Hz,4H),1.70-1.99(m,10H),1.02-1.20(m,2H)。
13C NMR(CDCl,101MHz):δ=101.7,81.1,28.7,19.5。
実施例1-14:Pd(vs)と1-(クロロメチル)ナフタレンとの反応(7-Clの調製)。
Pd(vs)(パラジウム含有量10.9%、1945mg、2ミリモル)の溶液を、アルゴン雰囲気下、注射用バイアル中の3mLの乾燥・脱気したアセトン中の1-(クロロメチル)ナフタレン(446mg、2.4ミリモル、1.2当量)の溶液に添加した。1時間後、黄色溶液が形成し始め、これを24時間撹拌し続け、3mLのヘキサンをそれに加えた。上清液体をデカントし、得られた固体を5mLのアセトンで3回洗浄し、真空下で乾燥させた。196mg(収率:34.6%)の黄色固体が単離された。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.47(d,J=8.1Hz,2H),7.91(dd,J=19.0,8.1Hz,2H),7.53-7.73(m,2H),7.36(t,J=7.6Hz,1H),7.05(d,J=5.5Hz,1H),3.88-3.88(m,1H),3.90(s,2H)ppm。
13C NMR(101MHz,DMSO-d)δ=133.99,130.03,128.27,128.20,127.47,127.45,126.35,125.34ppm。
mp:>160℃(分解)
IR(ATR):950(vw),876(vw),795(vw),772(w),753(w),709(vw),644(vw),571(vw),509(vw)cm-1
EA Anal.Calcd for C2218ClPd:C,46.68,H,3.20;N,0.00 Found:C,46.99H,3.171 N,0.00。
実施例1-15:Pd(vs)と2-(クロロメチル)ナフタレンとの反応(8-Clの調製)
1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンパラジウムPd(vs)(1当量、1945mg、2ミリモル、10.9%Pd)を、2-(クロロメチル)ナフタレン(1.2当量、437mg、2.4ミリモル、97%)を含有する注射用バイアル中の3mLの乾燥・脱気したアセトンに溶解した。混合物を16時間撹拌した。橙色沈殿物を濾別し、固体を6mLのアセトンで3回洗浄した。135mgの生成物を単離した。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=7.88(s,2H),7.78(t,J=6.9Hz,4H),7.60-7.73(m,4H),7.37-7.49(m,4H),3.56(s,4H)ppm。
13C NMR(101MHz,DMSO-d)δ=125.00,126.31,127.20,127.79,127.94,131.19,134.01ppm。
mp:>179℃(分解)
IR(ATR):855(vw),816(w),746(w),648(vw),614(vw),544(vw),501(vw),571(vw),509(vw)cm-1
EA Anal.Calcd for C2218ClPd:C,46.68,H,3.20;N,0.00 Found:C,46.96H,3.380 N,0.00。
実施例1-16:Pd(vs)と1-(ブロモメチル)ナフタレンとの反応(7-Brの調製)
3mLの乾燥・脱気したアセトンに溶解した1592mg(7.2ミリモル、1.2当量)の1-(ブロモメチル)ナフタレンを最初に注射用バイアルに入れ、無水及び無酸素条件下で、5210mg(10.9%Pd、6ミリモル、1当量)のPd(vs)を添加し、4~6℃で一晩保存した。橙色沈殿物を空気中で濾過し、5mLのアセトンで5回洗浄し、真空下で乾燥させた。7-Br 1632mg(収率83%)を橙色固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.32-8.40(m,2H),7.87-8.02(m,4H),7.64-7.77(m,4H),7.47(dd,J=8.7,6.4Hz,2H),6.44(d,J=6.2Hz,2H),4.12(s,4H)ppm。
13C NMR(101MHz,DMSO-d)δ=124.80,127.58,128.57,128.69,129.02,129.18,130.31,134.04ppm。
Mp:>147℃(分解)
IR(ATR):1504(vw),1329(vw),1235(vw),951(vw),876(vw),794(w),772(w),754(vw),643(vw),571(vw),510(vw)cm-1
実施例1-17:Pd(vs)と2-(ブロモメチル)ナフタレンとの反応(8-Brの調製)
3mLの乾燥・脱気したアセトンに溶解した921mg(4ミリモル、1当量)の2-(ブロモメチル)ナフタレンを最初に注射用バイアルに入れ、無水及び無酸素条件下で、4168mg(10.9%Pd、4.8ミリモル、1当量)のPd(vs)を添加した。溶液を2時間撹拌した。橙色沈殿物を空気中で濾過し、5mLのアセトンで3回洗浄した。固体を真空下で乾燥させ、540mg(41%収率)を橙色固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=7.85(d,J=7.9Hz,2H),7.80(d,J=7.8Hz,2H),7.74(d,J=8.7Hz,2H),7.56-7.67(m,4H),7.42-7.55(m,4H),3.71(s,4H)ppm。
13C NMR(101MHz,DMSO-d)δ=125.71,126.70,127.05,127.83,127.98,129.05,131.41,134.50ppm。
mp:>171℃(分解)
IR(ATR):855(vw),813(vw),766(w),747(w),650(vw),614(w),542(w)cm-1
EA Anal.Calcd for C2218BrPd:C,40.34,H,2.77;N,0.00 Found:C,40.35H,2.652 N,0.00。
実施例1-18:Pd(vs)と3-(tert-ブチル)-1-クロロ-1H-インデンとの反応(9-Clの調製)
0.1mLのアセトンに溶解した3-(tert-ブチル)-1-クロロ-1H-インデン(1当量、30mg、0.145ミリモル)を最初に装入し、Pd(vs)(1.2当量、151mg、0.174ミリモル)を添加し、振盪した。混合物を4℃で一晩保存した。形成された結晶を注意深く分離し、数滴の水及びアセトンで洗浄し、乾燥させた。29mg(64%)の暗褐色結晶が得られた。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.09-7.19(m,2H),6.83(d,J=4.3Hz,8H),5.53(d,J=2.9Hz,2H),1.32(s,18H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=141.91,140.70,127.45,127.15,120.08,120.05,118.64,118.56,107.43,107.37,73.01,34.19,28.65ppm。
C.2式IX、式IX.a又はIX.b及びIX.c、式IX.d又は式IX.P及び式IX.Nによるパラジウム(II)化合物の調製
実施例2-1 1-メチルナフチル[トリス(tert-ブチル)ホスフィン]ブロモパラジウム(II)(10-Br)
7-Br(1当量、164mg、0.25ミリモル)をバイアルに加え、空気をアルゴンで置換した。固体を20mLの乾燥・脱気したTHFに溶解し、バイアルをグローブボックスに移した。次いで、トリ-tert-ブチルホスフィン、(2当量、103mg、0.5ミリモル、98%)を加え、反応混合物を室温で30分間撹拌した。懸濁液をシリンジフィルターで濾過し、濾液を体積の90%まで減少させた。次にヘキサンを添加し、試料を冷凍庫(-20℃)に保存して生成物を沈殿させた。粗反応混合物をペンタンで洗浄し、残った固体をトルエンに溶解し、セライト(登録商標)上で濾過した。溶媒を減圧下で除去して、216mg(82%)の橙色固体を得た。
H NMR(400MHz,C)δ=7.73(s,2H),7.57(t,J=7.6Hz,1H),7.41(d,J=7.8Hz,1H),7.31(t,J=7.1Hz,1H),7.23(t,J=8.1Hz,1H),6.32(t,J=5.4Hz,1H),3.35(br.s,2H),1.31(d,J=12.5Hz,27H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=131.85(d,J=3.70Hz),130.77(d,J=4.40Hz),129.55,128.72,127.96,123.63,109.58(d,J=13.91Hz),40.24(d,J=5.80Hz),37.87,33.11ppm。
31P NMR(162MHz,C)δ=99.92ppm;
元素分析calculated C2336BrPPd:C,52.14,H,6.85,N,0.00;found:C,51.86H,6.28 N,0.00。
実施例2-2 1-メチルナフチル[トリス(シクロヘキシル)ホスフィン]ブロモパラジウム(II)(11-Br)
7-Br(1当量、164mg、0.25ミリモル)をバイアルに加え、空気をアルゴンで置換し、バイアルをグローブボックスに移した。次いで、トリシクロヘキシルホスフィン(2当量、140mg、0.5ミリモル)を加え、続いて20mLのTHFを加えた。反応混合物を室温で90分撹拌した。90%の溶媒を蒸発させ、10mLのペンタンを加えた。試料を-20℃で一晩保存して、生成物を結晶化させた。母液をデカントし、固体を高真空下で乾燥させて、192mg(63%)の黄色固体を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.87(d,J=7.8Hz,1H),7.78(d,J=7.6Hz,1H),7.71(d,J=7.3Hz,1H),7.40-7.61(m,3H),6.12(t,J=5.6Hz,1H),3.71-4.05(br.s,1H),2.54(br.s,J=1.2Hz,1H),2.00-2.18(m,3H),1.53-1.96(m,15H),1.02-1.44(m,15H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=135.3(d,J=2.9Hz),131.0(d,J=5.1Hz),129.6(s),129.1(s),129.0(s),127.5(s),124.0(s),120.5(d.J=3.7Hz),100.3(s),100.2(s),37.5(d,J=4.4Hz),35.7(d,J=19.8Hz),30.8(d,J=25.7Hz),28.1(d,J=11Hz),26.9(s)ppm。
31P NMR(162MHz,CDCl)δ=53.91ppm。
元素分析calculated C2942BrPPdTHF(C8thO):C,58.28,H,7.41,N,0.00;found:C,58.65H,6.32 N,0.00。
実施例2-3 1-メチルナフチル[トリス(シクロヘキシル)ホスフィン]クロロパラジウム(II)(11-Cl)
7-Cl(1当量、142mg、0.25ミリモル)をバイアルに加え、空気をアルゴンで置換し、バイアルをグローブボックスに移した。次いで、トリシクロヘキシルホスフィン(2当量、140mg、0.5ミリモル)を加え、続いて20mLのTHFを加えた。反応混合物を室温で90分撹拌した。90%の溶媒を蒸発させ、10mLのペンタンを加えた。試料を-20℃で一晩保存して生成物を沈殿させた。溶液を固体からデカントし、残った固体をペンタン(3×5mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて、91mg(32%)の黄色固体を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ=7.96(d,J=7.6Hz,1H),7.88(d,J=7.3Hz,1H),7.84(dd,J=8.8,3.2Hz,1H),7.57-7.68(m,2H),7.53(t,J=7.6Hz,1H),6.26(t,J=5.7Hz,1H),3.82(br.s.,1H),2.57(br.s.,1H),2.05-2.21(m,3H),1.65-1.97(m,15H),1.16-1.51(m,15H)。
13C NMR(101MHz、CDCl):δ=135.43(d、J=2.93Hz)、130.4、130.4、129.5、129.1、129.0、127.5、124.1、120.81(d、J=3.67Hz)、100.67(d、J=19.07Hz)、35.35、35.16、28.13、28.02、26.93(d、J=1.50Hz)ppm。
31P NMR(162MHz,C):δ=53.53ppm。
HRMS(TOF-EI):m/z calculated for C1418:562.1747[M];found 562.1772。
実施例2-4 1-メチルナフチル[1,3-ビス(2,6- ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン]ブロモパラジウム(II)(12-Br)
窒素を充填したグローブボックス内で、164mgの7-Br(1当量、0.25ミリモル)及び224mgのIPr(2当量、0.5ミリモル)をクリンプキャップバイアルに添加した。次いで20mLのジエチルエーテルを添加し、反応混合物を窒素雰囲気下で90分間撹拌した。90%の溶媒を蒸発させ、20mLのペンタンを加えた。試料を-20℃で一晩保存して、生成物を結晶化させた。母液をデカントし、残った固体をペンタン(3×2mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて、325mg(91%)の黄色固体を得た。
H NMR(400MHz,C;283K)δ=7.32-7.43(m,2H),7.21-7.32(m,4H),7.07-7.21(m,3H,溶媒シグナルと重複),6.99(br.s,2H),6.86(d,J=8.1Hz,1H),6.55(s,2H),5.40(d,J=6.5Hz,1H),3.52-3.64(m,2H),3.38(br.s.,1H),1.88(br.s.,1H),1.44-1.64(m,6H),1.39(dt,J=6.6,3.3Hz,2H),0.78-1.25(m,18H)ppm。
13C NMR(101MHz,C;283K)δ=184.63,146.76,136.94,135.42,132.92,130.49,130.04,128.97,127.21,124.79,124.41,119.00,91.88,68.14,33.85,26.38,23.09,14.59ppm。
HRMS(TOF-EI)m/z calculated C3845BrNPd[M]714.1800,found 714.1786.
実施例2-5 2-メチルナフチル[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン]ブロモパラジウム(II)(13-Br)
窒素を充填したグローブボックス内で、164mgの8-Br(1当量、0.25ミリモル)及び224mgのiPr(2当量、0.5ミリモル)をクリンプキャップバイアルに添加した。次いで20mLのジエチルエーテルを添加し、反応混合物を窒素雰囲気下で90分間撹拌した。90%の溶媒を蒸発させ、20mLのペンタンを加えた。試料を-20℃で一晩保存して、生成物を結晶化させた。母液をデカントし、残った固体をペンタン(3×2mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて、344mg(96%)の黄色固体を得た。
H NMR(300MHz,C)δ=7.69(d,J=7.9Hz,1H),7.18-7.30(m,4H),7.08-7.17(m,6H,溶媒シグナルと重複),6.63(s,2H),6.11(dd,J=8.8,1.7Hz,1H),5.59(s,1H),3.22(spt,J=7.0Hz,4H),2.52(br.s.,2H),1.30-1.50(m,12H,THFシグナルと重複),1.01(d,J=7.0Hz,12H)ppm。
13C NMR(75MHz,THF-d)δ=184.19,147.37,138.61,137.78,132.66,132.54,130.53,130.48,128.48,127.51,126.45,126.09,124.75,124.26,119.41,91.88,40.14,29.50,27.93,26.50,23.54ppm。
元素分析calculated for C3845BrNPd:C,63.74,H,6.33,N,3.76 found:C,64.14H,6.46,N,3.91。
HRMS(TOF-EI)m/z calculated for C3845BrNPd[M]714.1800,found 714.1802。
実施例2-6 1-メチルナフチル[2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル]ブロモパラジウム(II)(14-Br)
7-Br(1当量、164mg、0.25ミリモル)及び2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(2当量、246mg、0.5ミリモル、97%)をバイアルに加え、空気をアルゴンで置換した。次いで10mLのTHFを添加した。反応混合物を室温で90分撹拌した。溶液を90体積%まで濃縮し、10mLのヘキサンで覆った。次いで、バイアルを冷凍庫(-20℃)に保存して、生成物を沈殿させた。母液をデカントし、残った固体をペンタン(3×5mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて、322mg(80%)の黄色固体を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.77-7.97(m,4H),7.51-7.70(m,3H),7.33-7.47(m,2H),7.08-7.28(m,3H),6.19(t,J=5.7Hz,1H),2.96(spt,J=6.8Hz,1H),2.66(br.s.,2H),2.04-2.17(m,2H),0.63-1.79(m,40H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=149.6,147.0,142.3,138.4,138.2,136.8,135.2,134.4(2つのピーク),130.8(2つのピーク),129.4,128.7-129.2(m,錯体カップリングパターン),127.4,126.0,125.9,124.1,121.6,120.9(2つのピーク),34.8,31.2,27.6(2つのピーク),27.2(2つのピーク),26.2,26.1,24.2,22.8(br.s.)ppm。
31P NMR(162MHz,CDCl)δ=63.74(br.s)ppm。
元素分析calculated for C4458BrPPd:C,65.71,H,7.27,N,0.00,found:C,65.73H,7.384,N,0.62。
実施例2-7 1-メチルナフチル[2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-i-プロポキシ-1,1’-ビフェニル]ブロモパラジウム(II)(15-Br)
7-Br(1当量、164mg、0.25ミリモル)をバイアルに加え、空気をアルゴンで置換し、バイアルをグローブボックスに移した。次いで、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-i-プロポキシ-1,1’-ビフェニル(2当量、238mg、0.5ミリモル、98%)を添加し、続いて20mLのTHFを添加した。反応混合物を室温で90分撹拌した。90%の溶媒を蒸発させ、10mLのペンタンを加えた。試料を-20℃で一晩保存して、生成物を結晶化させた。母液をデカントし、残った固体をペンタン(3×5mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて、315mg(79%)の黄色固体を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.86(d,J=7.8Hz,1H),7.78(d,J=8.1Hz,2H),7.60-7.72(m,2H),7.48-7.60(m,2H),7.37-7.47(m,1H),7.24-7.35(m,2H),6.95(d,J=6.1Hz,1H),6.64(d,J=8.3Hz,2H),6.07(br.s.,1H),4.36-4.66(m,2H),3.27(br.s,2H),2.00-2.17(m,2H),1.39-1.97(m,10H),0.67-1.37(m,22H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=157.5,139.6,137.8,137.6,135.2,133.3(2つのピーク),132.0,131.7,130.9(2つのピーク),129.5,129.2,128.8,128.5(two peaks),127.1,125.5(2つのピーク),124.6,121.3,107.0,99.4(two peaks),71.5,44.3(2つのピーク),35.2,34.9,29.4,27.6,27.4,27.0,26.9,26.4,22.5,22.3ppm.
31P NMR(162MHz、CDCl)δ=60.62(br.s.)ppm。
元素分析:calculated for C4152BrOPPd:C,62.01,H,6.60,N,0.00;found:C,61.59,H,6.49,N,0.00。
実施例2-8 1-メチルナフチル[2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-i-プロポキシ-1,1’-ビフェニル]クロロパラジウム(II)(15-Cl)
7-Cl(1当量、142mg、0.25ミリモル)をバイアルに加え、空気をアルゴンで置換し、バイアルをグローブボックスに移した。次いで、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-i-プロポキシ-1,1’-ビフェニル(2当量、238mg、0.5ミリモル、98%)を添加し、続いて20mLのTHFを添加した。反応混合物を室温で90分撹拌した。90%の溶媒を蒸発させ、10mLのペンタンを加えた。試料を-20℃で一晩保存して、生成物を結晶化させた。母液をデカントし、残った固体をペンタン(3×5mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて、311mg(83%)の黄色固体を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.66-7.84(m,3H),7.45-7.66(m,3H),7.41(t,J=7.5Hz,1H),7.29-7.37(m,1H),7.16-7.28(m,2H),6.87(d,J=7.1Hz,1H),6.55(d,J=8.3Hz,2H),6.00(t,J=5.8Hz,1H),4.41(spt,J=12.0Hz,2H),2.99(br.s.,2H),1.98(q,J=10.9Hz,2H),1.69(br.s.,4H),1.31-1.59(m,7H),0.66-1.29(m,21H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=157.5,139.7,137.6(2つのピーク),135.4,133.3(2つのピーク),131.9,131.5,130.3(2つのピーク),129.4,129.2,129.1,128.8,128.4(2つのピーク),127.0,125.5(2つのピーク),124.6,121.7,107.0,100.0 2つのピーク),71.4,41.3,34.7(2つのピーク),31.5,29.4,27.5(2つのピーク),27.0(2つのピーク),26.4,22.6,22.2ppm。
31P NMR(162MHz,CDCl)δ=59.08(br.s.)ppm。
元素分析calculated for C4152ClOPPd:C,65.69,H,6.99,N,0.00;found:C,65.73H,6.57,N,0.00。
実施例2-9 1-メチルナフチル[ビス(1-アダマンチル)ブチル]ブロモパラジウム(II)(16-Br)
窒素を充填したグローブボックス内で、7-Br(1当量、82mg、0.125ミリモル)及びブチルジ-1-アダマンチルホスフィン(2当量、90mg、0.25ミリモル)を40mLのクリンプキャップ容器に加えた。バイアルに蓋をし、グローブボックスから取り出した。20mLの乾燥・脱気したTHFを添加し、反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。90%の溶媒を高真空下で除去し、15mLのヘキサンを添加した。次いで、バイアルを-20℃で16時間保存した。溶液を固体から分離し、残った固体をペンタン(3×5mL)で洗浄した。高真空下で乾燥させた後、131mg(76%)の淡黄色固体を得た。
H NMR(400MHz,COD)δ=8.02(d,J=8.1Hz,1H),7.82(d,J=7.7Hz,1H),7.66-7.74(m,1H),7.44-7.62(m,3H),6.09-6.21(m,1H),2.47(br.s,1H),2.14-2.34(m,3H),1.83-2.09(m,6H),1.59-1.82(m,14H),1.39-1.58(m,7H),1.08-1.38(m,10H)ppm。
13C NMR(101MHz,COD)δ=136.11(s),132.12(d,J=4.98Hz),130.15(s),129.93(s),129.12(d,J=4.98Hz),129.04(s),127.49(s),124.61(s),121.41(s),99.30(d,J=19.90Hz),37.73(s),36.17(d,J=19.90Hz),31.27(s),28.51(d,J=11.61Hz),27.43(s),26.01(s,溶媒シグナルと重複)ppm。
31P NMR(162MHz,COD)δ=52.02ppm。
HRMS(TOF-EI)m/z calculated for C3547BrPPd[M]684.1712,found 684.1729。
実施例2-10 2-メチルナフチル[ビス(1-アダマンチル)ブチル]ブロモパラジウム(II)(17-Br)
窒素を充填したグローブボックス内で、8-Br(1当量、164mg、0.25ミリモル)及びブチルジ-1-アダマンチルホスフィン(2当量、179mg、0.5ミリモル)を40mLのクリンプキャップバイアルに加えた。バイアルに蓋をし、グローブボックスから取り出した。20mLの乾燥・脱気したTHFを添加し、反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残った固体を少量のペンタンで洗浄した。高真空下で乾燥させた後、276mg(78%)の淡黄色固体を得た。
H NMR(400MHz,C)δ=8.06(d,J=8.1Hz,1H),7.33-7.50(m,3H),7.24(t,J=7.6Hz,1H),6.80(d,J=8.8Hz,1H),6.37(d,J=4.9Hz,1H),3.17-3.72(m,1H),2.37-2.82(m,1H),1.97-2.29(m,15H),1.84(br.s.,6H),1.44-1.70(m,15H),0.97(t,J=7.2Hz,3H)。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=136.66,133.06(d,J=1.50Hz),130.37(d,J=2.20Hz),128.67(d,J=2.20Hz),127.93(d,J=1.50Hz),127.58(d,J=2.20Hz),124.67,118.46,103.37,103.04,41.37(d,J=3.66Hz),40.62,37.76(d,J=2.93Hz),36.97,35.95,30.08,29.31(d,J=8.80Hz),28.36(d,J=8.80Hz),25.82(d,J=13.91Hz),20.82(d,J=18.30Hz),14.22ppm。
31P NMR(162MHz、C)δ=64.44ppm。
HRMS(TOF-EI)m/z calculated for C3547PPd[M]684.1712,found 684.1740。
実施例2-11[Pd(cataCXium(登録商標)A)(アリル)Cl],[(ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン)(η-アリル)クロロ]パラジウム(IX.P)の調製
22.5mLの脱気したアセトンを、アルゴンで不活性化した三つ口フラスコに最初に装入し、次いで1.00gの[Pd(アリル)Cl]、ビス(η-アリル)ジ(μ-クロロ)ジパラジウム(II)(2.73ミリモル、1.0当量)及び1.96gの(cataCXium(登録商標)A、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン、(5.47ミリモル;2.0当量)を連続して添加した。全てを一緒に混合してから約1分後に早くも白っぽい固体が沈殿した。反応混合物を不活性雰囲気下、室温で20時間撹拌し、翌朝、D4フリットで濾過した。単離された固体を懸濁状態で各々7mLのメタノールで2回洗浄し、次いで真空乾燥キャビネット中で室温で一晩乾燥させた。この場合、2.77gの白っぽい生成物[(ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン)(η-アリル)クロロ]パラジウムを93.0%の収率で単離することができた。
31P{H}NMR(101MHz,トルエン):δ=53ppm。
実施例2-12ワンポット合成を用いた[Pd(cataCXium(登録商標)A)(アリル)Cl],[(ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン)(η-アリル)クロロ]パラジウム(IX.P)の調製
5.15gのPd(vs)、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンパラジウム(0)(1.21ミリモル;1当量CAS番号:252062-59-2)、及び0.97gのcataCXium(登録商標)A、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(2.66ミリモル、2.20当量)を、アルゴンで不活性化した50mL三つ口フラスコに最初に充填し、その後、使用した容器を12mlのアセトンでフラッシュした。得られた懸濁液をアルゴン下、室温で1時間撹拌し、その間に母液の色が黄色~淡いベージュ色、実質的に無色に変化した。次いで、0.19gの塩化アリル(2.42ミリモル、2当量)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。クリーム色の懸濁液が形成され、これをアルゴンで覆ったD4フリットで濾過した。濾過ケーキを懸濁状態で各回5mLのメタノールで3回洗浄し、真空乾燥キャビネット内で室温で一晩乾燥させた。1.18gのクリーム色の固体を90%の収率で単離することができた。
31P{H}NMR(101MHz,toluene):δ=53ppm。
ICP-AESによるケイ素含有量=310ppm。
実施例2-13ワンポット合成を用いた[Pd(cataCXium(登録商標)A)(アリル)Cl],[(ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン)(η-アリル)クロロ]パラジウム(IX.P)の調製
5.15gのPd(vs)c,1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンパラジウム(0)(1.21ミリモル;1当量CAS番号:252062-59-2)、及び0.19gの塩化アリル(2.42ミリモル、2当量)を、アルゴンで不活性化した50mlの三つ口フラスコに最初に充填し、その後、使用した容器を12mLのアセトンでフラッシュした。得られた懸濁液をアルゴン下、室温で1時間撹拌し、その間に淡黄色固体が沈殿した。続いて、0.97gのcataCXium(登録商標)A、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(2.66ミリモル、2.20当量)を添加した。約10分間撹拌した後、クリーム色の固体が沈殿した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。クリーム色の懸濁液が形成され、これをアルゴンで覆ったD4フリットで濾過した。濾過ケーキを懸濁状態で各回5mLのメタノールで3回洗浄し、真空乾燥キャビネット内で室温で一晩乾燥させた。0.94gのクリーミーな白い[(ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン)(N -アリル)クロロ]パラジウムを85%の収率で調製することができた。
31P{H}NMR(101MHz,toluene):δ=53ppm。
ICP-AESによるケイ素含有量=30ppm。
実施例2-14[Pd(cataCXium(登録商標)A)(1-Bu-Ind)Cl],クロロ[(1-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル)(1-アダマンチル)n-ブチルホスフィン]パラジウム
1.15gのcataCXium(登録商標)A、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(3.20ミリモル;2.0当量)を、アルゴンで不活性化した三つ口フラスコに最初に装入し、これに25mLのアセトンを添加した。次いで1.00gのジ-μ-クロロビス(1-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル)ジパラジウム(II)(1.60ミリモル;1.0当量)を撹拌しながら添加し、25mLのアセトンでフラッシュした。暗褐色の懸濁液が短時間存在し、これは約1分間撹拌した後に赤褐色に変化した。反応混合物を還流温度で4時間沸騰させた。この過程で、色が赤褐色~橙赤色に変化した。次いで、生成物懸濁液を冷却し、沈殿した固体をD4フリットで濾過し、懸濁液中で各回7.5mLのメタノールで2回洗浄し、真空下、室温で一晩乾燥させた。2.03gの橙赤色の生成物クロロ[(1-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル)(1-アダマンチル)n-ブチルホスフィン]パラジウムを単離することができた。収率は94%であった。
31P{H}NMR(101MHz,CDCl):δ=60ppm。
実施例2-15ワンポット合成を用いた[(IPr)Pd(アリル)Cl],アリルクロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン]パラジウム(II)(IX.N)の調製
200mlのイソプロパノールを、アルゴンで不活性化した500mLの反応器に最初に充填した。100gのPd(vs)、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンパラジウム(0)(24,18ミリモル;1当量;CAS番号:252062-59-2)を添加し、使用した容器を50mLのイソプロパノールでフラッシュした。次いで4.9gの塩化アリル(98%;62.75ミリモル;2.60当量)を、滴下漏斗を使用して2分以内に滴下した。淡黄色の微細な固体が沈殿した。内部温度は18.5℃から19.7℃にわずかに上昇した。滴下漏斗をイソプロパノール20mLでフラッシュし、反応混合物を室温で更に1時間撹拌した。次いで23.14gのIPrHCl、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド(53.20ミリモル;2.20当量)及び2.2当量の塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物又はアルコキシド)を反応混合物に添加し、使用した容器を30mLのイソプロパノールでフラッシュした。混合物をアルゴン雰囲気下室温で一晩撹拌し、1時間後に透明な橙色溶液が形成された。翌朝、反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した。55mLの石油エーテルを得られた懸濁液に添加し、固体を空気中でD4フリットで濾過した。濾過ケーキを60mLの石油エーテル50-70で懸濁状態で2回洗浄し、真空乾燥キャビネット中、室温で一晩乾燥させた。25.46gのクリーム色のアリルクロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン]パラジウム(II)を92.1%の収率で単離することができた。
ICP-AESによるケイ素含有量=190ppm。
C.3触媒活性に関する実施例
3.1鈴木-宮浦クロスカップリング反応における一般式VIIIによるダイマーアリルパラジウムハロゲン化物錯体の試験
A.3-クロロピリジンとp-トリルボロン酸との鈴木-宮浦カップリング
3-クロロピリジンとp-トリルボロン酸との鈴木-宮浦カップリングを、アリルパラジウム前触媒の触媒活性を検証するためのモデル反応として選択した。この反応はColacotらによって研究され、プレ触媒3-Cl-Xphosを用いた30分の反応時間後に91%のカップリング生成物の収率が見出された(Colacot T.J.et al.,Journal of Organic Chemistry,2015,80,6794)。
わずか0.5モル%の3-Cl-Xphosの使用は、予想されたビアリール化合物の39~62%の収率をもたらした(表1、番号3)。この条件を用いて、異なるプレ触媒を比較した。アリルパラジウムハロゲン化物-ホスフィン錯体は、反応パートナーの添加前にアリルパラジウムハロゲン化物をホスフィンXphosと共に撹拌してin situで生成した。非置換アリルパラジウムハロゲン化物は3-Cl-Xphosよりも活性が低かった(以下の表1及び2参照)。アリルパラジウムクロリド1 Clは、一般に、1モル%:の触媒添加量(Pd2モル%)でさえ50~65%の収率をもたらした。臭化アリルパラジウム(1 Br)は、同等の塩化物よりも活性が低かった。6-Cl及び6-Brを除いて、塩化物錯体及び臭化物錯体においてわずかな差異を伴ってL1に匹敵する反応性を与えた。Hazariプレ触媒も試験し、同様に活性を示した。
乾燥した注射用バイアルに、アリルパラジウムハロゲン化物ダイマー(x当量、xミリモル)及びXphos(x当量、xミリモル)を充填し、その中の空気を、排気及びアルゴンでのフラッシュを3回行うことによって除去した。次いで1mLの乾燥・脱気したTHF(テトラヒドロフラン)を添加し、混合物を30分間撹拌した。次いで1mLのTHFに溶解した3-クロロピリジン(1当量、115mg、1ミリモル)及びp-トリルボロン酸(1.5当量、204mg、1.5ミリモル)を添加し、続いて4mLのKPO、0.5M溶液を添加した。撹拌を25℃で1時間行い、収率をガスクロマトグラフィ(内部標準としてn-テトラデカン)によって決定した。
a)ガスクロマトグラフィによって決定される収率、特に明記しない限り、2回の測定の平均。
b)1回だけ測定を行った。
a)ガスクロマトグラフィによって決定される収率、特に明記しない限り、2回の測定の平均。
乾燥した注射用バイアルに、アリルパラジウムハロゲン化物ダイマー(x当量、xミリモル)及びXphos(x当量、xミリモル)を充填し、その中の空気を、排気及びアルゴンでのフラッシュを3回行うことによって除去した。次いで1mLの乾燥・脱気したTHF(テトラヒドロフラン)を添加し、混合物を30分間撹拌した。次いで1mLのTHFに溶解した3-クロロピリジン(1当量、115mg、1ミリモル)及びp-トリルボロン酸(1.5当量、204mg、1.5ミリモル)を添加し、続いて4mLのKPO、0.5M溶液を添加した。25℃で1時間撹拌し、ガスクロマトグラフィにより収率を決定した(内部標準としてn-テトラデカン、2回の測定の平均)。
B.4-クロロアニソール及びイソプロピルボロン酸の鈴木-宮浦クロスカップリング
モデル化合物としての4-クロロアニソール及びイソプロピルボロン酸の鈴木-宮浦クロスカップリング反応における活性についても、上記パラジウム-ナフチル触媒7-8 Cl/Brを試験した。以下の反応条件下で、触媒7-Cl及び7-Br(1位での置換)は、同等に反応性であり、触媒8-Cl及び8-Br(2位での置換)よりも高い活性を示した。
反応は、上記B-1及びB2の条件と同様に行ったが、0.25ミリモルスケールで、不活性ガス雰囲気下で、溶媒としてトルエン0.5mL及び水0.25mL中の4-クロロアニソール1当量及びイソプロピルボロン酸1.5当量を用いて行った。収率は、B-1及びB-2と同様に、内部標準としてn-テトラデカンを用いてガスクロマトグラフィにより測定した。
触媒活性化を伴わない第二級ボロン酸の鈴木-宮浦カップリング反応の更なる例
一般的手順:
バイアルに、それぞれの触媒(0.005ミリモル、0.01当量)、5.86mgのPtBu HBF(0.02ミリモル、0.04当量)、208mgのKCO(1.5ミリモル、3.0当量)及びボロン酸(0.75ミリモル、1.5当量)を空気下で充填した。3回の交互の真空/アルゴンサイクルの後、1mLのトルエン中の塩化アリール(0.5ミリモル、1.0当量)及び30μlのn-テトラデカンの溶液をシリンジで添加し、続いて0.5mLの水を添加した。得られた反応混合物を、80℃で11時間、撹拌した。反応完了後、混合物をジエチルエーテル(10ml)で希釈し、水(2×10mL)で洗浄した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、揮発性成分を300mbarで除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO、ペンタン/ジエチルエーテル勾配)によって精製して、所望の生成物を得た。
a)4-イソプロピルトルエン[CAS:99-87-6]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロトルエン64.6mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:66.0mg(98%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.12-7.24(m,4H),2.94(spt,J=6.8Hz,1H),2.39(s,3H),1.31ppm(d,J=6.8Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=145.9,135.1,129.0,126.3,33.7,24.1,20.9ppm。
MS(EI)m/z(%)134.1(33)[M+],119.1(100),103.0(5),91.0(22),77.0(6),65.0(5),57.8(2)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(D.-H.Liu,H.-L.He,Y.-B.Zhang,Z.Li,Chem.Eur.J.2020,38,14322-14329)。
b)4-イソプロピルアセトフェノン[CAS:645-13-6]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアセトフェノン79.7mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:68.2mg(84%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.89(d,J=8.8Hz,1H),7.30(d,J=6.6Hz,2H),2.95(spt,J=6.9Hz,1H),2.51-2.59(m,3H),1.26ppm(d,J=7.0Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=197.5,154.3,134.8,128.4,126.4,34.0,26.3,23.4ppm。
HRMS(TOF-EI)m/z calculated for C1114O 162.1045[M];found 162.1041。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(Z.-L.Shen,K.K.K.Goh,Y.-S.Yang,Y.-C.Lai,C.H.A.Wong,H.-L.Cheong,T.-P.Loh,Angew.Chem.Int.Ed.2011,50,511-514)。
c)エチル-4-イソプロピルベンゾエート[CAS:19024-50-1]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロ安息香酸エチル94.2mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:74.6mg(78%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.98(d,J=8.4Hz,2H),7.29(d,J=8.4Hz,2H),4.38(q,J=7.3Hz,2H),2.97(spt,J=7.0Hz,1H),1.40(d,J=7.3Hz,3H),1.27ppm(d,J=6.9Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=166.7,154.2,129.7,128.1,126.4,60.7,34.2,23.7,14.3ppm。
MS(EI)m/z(%)192.1(46)[M+],177.1(99),164.1(22),147.1(100),131.0.(14),119.1(50),105.0(27)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する。(G.Cahiez,L.Foulgoc,A.Moyeux,Angewandte Chemie International Edition 2009,48,2969-2972)。
d)4-イソプロピルニトロベンゼン[CAS:1817-47-6]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアニソール72.7mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:66.8mg(88%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=8.14(d,J=8.1Hz,2H),7.37(d,J=8.1Hz,2H),3.01(spt,J=6.8Hz,1H),1.29ppm(d,J=6.8Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=156.5,146.2,127.2,123.6,34.2,23.5ppm。
HRMS(TOF-EI)m/z calculated for C12NO 166.0868[M+H],found 166.0862。
NMRデータは、文献のデータと一致する(C.Han,S.L.Buchwald,J.Am.Chem.Soc.2009,131,7532-7533)。
e)4-イソプロピル-N,N-ジメチルアニリン[CAS:4139-78-0]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアニリン79.4mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:73.2mg(82%)の褐色液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.89(d,J=8.8Hz,2H),7.30(d,J=6.6Hz,2H),2.95(spt,J=6.9Hz,1H),2.55(s,3H),1.26ppm(d,J=7.0Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=149.0,137.3,127.0,113.0,41.0,33.1,24.2ppm。
MS(EI)m/z(%)163.1(30)[M+],148.1(100),133.1(8),120.1(5),104.0。(4),91.0(4),77.0(5)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(S.Kanemura,A.Kondoh,H.Yorimitsu,K.Oshima,Synthesis 2008,2008,2659-2664)。
f)4-イソプロピルフェニル-1H-ピロール[CAS:166963-93-5]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:1-(4-クロロフェニル)-1H-ピロール91.6mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:82.4mg(89%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.19-7.24(m,4H),7.00(t,J=2.2Hz,2H),6.27(t,J=2.2Hz,2H),2.87(spt,J=6.9Hz,1H),1.21ppm(d,J=6.9Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=146.4,138.7,127.5,120.7,119.5,110.0,33.6,24.1ppm。
MS(EI)m/z(%)185.1(62)[M+],170.0(100),153.0(8),143.1(8),128.0。(10),115.0(10),103.0(3)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(L.Li,S.Zhao,A.Joshi-Pangu,M.Diane,M.R.Biscoe,J.Am.Chem.Soc.2014,136,14027-14030)。
g)4-イソプロピルトリフルオロトルエン[CAS:32445-99-1]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロトリフルオロトルエン90.3mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:92.4mg(98%)の黄色液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.60(d,J=8.1Hz,2H),7.37(dd,J=8.1,0.5Hz,2H),3.01(spt,J=7.0Hz,1H),1.32ppm(d,J=6.8Hz,6H)。
13C NMR(75MHz、CDCl)δ=152.8、129.0、128.2、126.7、125.2(q、J=3.9Hz)、124.2(q、J=270.1Hz)、34.1、23.7ppm;19F NMR(235MHz,CDCl):δ=-62.2ppm。
MS(EI)m/z(%)188.1(44)[M+],173.1(100),169.1(11),159.0(6),153.0(24),133.0(34),127.0(11)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(S.Mizuta,I.S.R.Stenhagen,M.O’Duill,J.Wolstenhulme,A.K.Kirjavainen,S.J.Forsback,M.Tredwell,G.Sandford,P.R.Moore,M.Huiban,S.K.Luthra,J.Passchier,O.Solin,V.Gouverneur,Org.Lett.2013,15,2648-2651)。
h)3-イソプロピルアニソール[CAS:6380-20-7]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:3-クロロアニソール72.8mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:72.0mg(96%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.23(t,J=7.8Hz,1H),6.71-6.88(m,3H),3.82(s,3H),2.90(spt,J=6.8Hz,1H),1.26ppm(d,J=6.8Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=159.6,150.6,129.2,118.9,112.4,110.7,55.1,34.2,23.9ppm。
MS(EI)m/z(%)188.1(44)[M+],173.1(100),169.1(11),159.0(6),153.0(24),133.0(34),127.0(11)。
NMRデータは文献のデータと一致する(A.Joshi-Pangu,M.Ganesh,MR Biscoe,Org.Lett.2011,13,1218-1221)。
i)フルオロ-3-イソプロピルトルエン[CAS:2193-38-6]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:1-クロロ-3-フルオロベンゼン65.9mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:67.4mg(98%)無色の液体
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.04-7.14(m,1H),6.98(d,J=7.7Hz,1H),6.80-6.95(m,2H),2.88(spt,J=7.0Hz,1H),1.22ppm(d,J=7.0Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=164.5(d,J=244.4Hz),137.8,129.6(d,J=8.3Hz),124.5(d,J=3.3Hz),116.3(d,J=24.4Hz),112.5(d,J=21.0Hz),33.9,23.8ppm.
19F-NMR(235MHz,CDCl)δ=-113.7ppm.
MS(EI)m/z(%)138.1(38)[M+],123.0(100),109.0(8),103.0(41),96.0(7),83.0(3),77.0(8)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(T.Kruger,K.Vorndran,T.Linker,Chem.Eur.J.2009,15,12082-12091)。
j)クメン[CAS:98-82-8]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:クロロベンゼン56.6mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:57.2mg(95%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.19-7.37(m,5H),2.94(d,J=7.0Hz,1H),1.29ppm(d,J=7.1Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=148.8,128.3,126.4,125.7,34.1,24.0ppm。
HRMS(TOF-EI)m/z calculated for C12 119.0859[M-H];found 119.0857。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(G.Cahiez,L.Foulgoc,A.Moyeux,Angewandte Chemie International Edition 2009,48,2969-2972)。
k)2-イソプロピルトルエン[CAS:527-84-4]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロトルエン64.6mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:64.2mg(96%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.05-7.26(m,4H),3.15(spt,J=6.9Hz,1H),2.35(s,3H),1.24ppm(d,J=7.0Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=146.8,134.9,130.2,126.2,125.5,124.6,29.2,23.2,19.3ppm。
MS(EI)m/z(%)134.1(32)[M+],119.0(100),103.0(4),93.1(2),91.0(20),77.0(6),65.0(5)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(T.Kruger,K.Vorndran,T.Linker,Chem.Eur.J.2009,15,12082-12091)。
l)フルオロ-2-イソプロピルベンゼン[CAS:2022-67-5]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:クロロ-2-フルオロベンゼン65.2mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:67.8mg(98%)の黄色液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=6.86-7.19(m,4H),3.08-3.23(spt,J=7.0Hz,1H),1.17ppm(d,J=7.0Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=60.7(d,J=245.5Hz),135.3(d,J=14.4Hz),127.1(m),124.0(d,J=3.9Hz),115.2(d,J=23.2Hz),27.1(d,J=2.2Hz),22.6ppm。
19F-NMR(235MHz,CDCl)δ=-119.3ppm。
IR(ATR):
=2965(w),2932(vw),2872(vw),1580(w),1490(m),1454(w),1230(m),1185(w),1085(w),1025(w),893(w),819(m),751(s),747(w),650(vw),614(w),542cm-1(w)・
HRMS(TOF-EI)m/z calculated for C1014O 124.0688[M-Me],found 124.0648.
m)イソプロピル-3,5-ジメトキシベンゼン[CAS:73109-76-9]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアニソール89.0mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:81.4mg(90%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=6.42(dd,J=2.4,0.4Hz,2H),6.32(t,J=2.2Hz,1H),3.81(s,6H),2.86(spt,J=6.8Hz,1H),1.26ppm(d,J=6.8Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=160.7,151.5,104.6,97.4,55.2,34.4,23.9ppm。
MS(EI)m/z(%)180.1(77)[M+],165.1(100),152.1(48),135.1(7),121.0(7),105.0(16),91.0(13)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(I.Y.El-Deeb,T.Funakoshi,Y.Shimomoto,R.Matsubara,M.Hayashi,J.Org.Chem.2017,82,2630-2640)。
n)イソプロピル-2,6-ジメチルベンゼン[CAS:14411-75-7]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:2-クロロ-m-キシレン71.8mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:68.6mg(93%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=6.88(m,3H),3.35(spt,J=7.0Hz,1H),2.30(s,6H),1.25ppm(d,J=7.0Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=144.1,136.1,128.0,125.4,29.5,21.5,20.8ppm。
MS(EI)m/z(%)148.1(24)[M+],133.1(2),119.1(100),115.0(5),103.0(3),91.0(10),77.0(5)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(T.Si,B.Li,W.Xiong,B.Xu,W.Tang,Org.Biomol.Chem.2017,15,9903-9909)。
o)5-イソプロピル-3-メチル[b]ベンゾチオフェン[CAS:18272-84-9]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:5-イソプロピル-3-メチルベンゾ[b]チオフェン94.2mg
ボロン酸:イソプロピルボロン酸65.9mg
収率:76.4mg(80%)白色固体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.79(d,J=8.3Hz,1H),7.58(s,1H),7.28(dd,J=8.3,1.2Hz,1H),7.07(s,1H),3.09(spt,J=6.8Hz,1H),2.47(d,J=1.1Hz,3H),1.36ppm(d,J=6.8Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=145.3,140.2,138.2,132.4,123.8,122.9,122.0,119.4,34.7,24.8,14.3ppm。
HRMS(TOF-EI)m/z calculated for C1214S 190.0816[M];found 190.0807。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(L.Li,S.Zhao,A.Joshi-Pangu,M.Diane,M.R.Biscoe,J.Am.Chem.Soc.2014,136,14027-14030)。
p)4-ブチルアニソール[CAS:18272-84-9]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアニソール72.7mg
ボロン酸:n-ブチルボロン酸79.6mg
収率:63.7mg(78%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.14(d,J=7.8Hz,2H),6.87(d,J=7.8Hz,2H),3.82(s,3H),2.59(t,J=7.8Hz,2H),1.61(dt,J=7.8,7.3Hz,2H),1.39(dq,J=7.8,7.3Hz,2H),0.96ppm(t,J=7.3Hz,3H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=157.6,135.0,129.2,113.6,55.2,34,7,33.9,22.3,14.0ppm。
MS(EI)m/z(%)164.1(19)[M+],121.1(100),103.0(1),91.0(6),77.0(6),65.0(3)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(G.Cahiez,L.Foulgoc,A.Moyeux,Angewandte Chemie International Edition 2009,48,2969-2972)。
q)4-イソブチルアニソール[CAS:91967-52-1]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアニソール72.7mg
ボロン酸:イソブチルボロン酸80.5mg
収率:67.3mg(82%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.07(d,J=8.6Hz,2H),6.84(d,J=8.6Hz,2H),3.80(s,3H),2.43(d,J=7.2Hz,2H),1.82(spt,J=6.8Hz,1H),0.91ppm(s,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=157.6,133.8,130.0,113.5,55.2,44.5,30.4,22.7ppm。
MS(EI)m/z(%)164.1(25)[M+],149.1(1),121.1(100),115.0(2),91.0(6),77.0(7),65.0(2)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(S.D.Dreher,S.-E.Lim,D.L.Sandrock,G.A.Molander,J.Org.Chem.2009,74,3626-3631)。
r)4-sec-ブチルアニソール[CAS:4917-90-2]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアニソール72.7mg
ボロン酸:sec-ブチルボロン酸76.5mg
収率:64.5mg(79%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.11(d,J=7.8Hz,2H),6.86(d,J=7.8Hz,2H),3.81(s,3H),2.51-2.66(m,1H),1.54-1.63(m,2H),1.23(d,J=7.3Hz,3H),0.83ppm(t,J=7.3Hz,3H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=157.6,139.8,127.8,113.6,65.8,55.2,40.8,31.3,22.0,12.2ppm。
MS(EI)m/z(%)164.1(21)[M+],149.1(5),135.1(100),121.0(9),105.0(13),91.0(10),77.0(6)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(L.Li,S.Zhao,A.Joshi-Pangu,M.Diane,M.R.Biscoe,J.Am.Chem.Soc.2014,136,14027-14030)。
s)4-オクチルアニソール[CAS:3307-19-5]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアニソール72.7mg
ボロン酸:オクチルボロン酸119mg
収率:90.2mg(82%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.15(d,J=8.7Hz,2H),6.73(d,J=8.7Hz,2H),3.68(s,3H),2.38-2.53(m,2H),1.48(quin,J=7.8Hz,2H),1.10-1.34(m,10H),0.79ppm(t,J=6.9Hz,3H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=157.6,135.0,129.3,113.6,55.4,35.0,31.9,31.7,29.5,29.3,22.6,14.1ppm。
MS(EI)m/z(%)220.2(13)[M+],121.0(100),91.0(4),77.0(4)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(G.Cahiez,C.Chaboche,CDuplais,A.Moyeux,Org.Lett.2009,11,277-280)。
t)4-シクロプロピルアニソール[CAS:4030-17-5]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアニソール72.7mg
ボロン酸:シクロプロピルボロン酸67.1mg
収率:71.8mg(97%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.00-7.10(m,2H),6.79-6.89(m,2H),3.81(s,3H),1.79-1.99(m,1H),0.89-0.97(m,2H),0.57-0.71ppm(m,2H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=157.5,135.8,126.8,113.7,55.2,14.6,8.5ppm。
MS(EI)m/z(%)148.1(100)[M+],133.0(26),117.1(38),105.0(22),91.0(19),77.0(27),63.0(6)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(G.A.Molander,P.E.Gormisky,J.Org.Chem.2008,73,7481-7485)。
u)4-シクロブチルアニソール[CAS:39868-68-3]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアニソール72.7mg
ホウ酸:78.9mgのシクロブチルボロン酸
収率:62.1mg(77%)の淡黄色固体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.07(d,J=8.3Hz,2H),6.76(d,J=8.3Hz,2H),3.72-3.74(m,1H),3.71(s,3H),2.18-2.30(m,2H),1.96-2.08(m,2H),1.80-1.94(m,1H),1.72-1.77ppm(m,1H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=157.7,127.2,113.6,55.3,39.8,30.1,18.2ppm。
MS(EI)m/z(%)162.1(19)[M+],134.0(100),131.1(2),119.0(23),115.0(2),91.0(15),77.0(4).
NMRデータは、文献中のデータと一致する(P.C.Too,G.H.Chan,Y.L.Tnay,H.Hirao,S.Chiba,Angew.Chem.Int.Ed.2016,55,3719-3723)。
v)4-シクロペンチルアニソール[CAS:1507-97-7]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアニソール72.7mg
ホウ酸:88.1mgのシクロペンチルボロン酸
収率:57.3mg(65%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.02(d,J=8.0Hz,2H),6.69(d,J=7.7Hz,2H),3.63(s,3H),2.71-2.88(m,1H),1.82-1.99(m,2H),1.32-1.71ppm(m,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=157.6,138.4,127.8,113.5,55.1,45.1,34.6,25.3ppm。
MS(EI)m/z(%)176.1(59)[M+],161.1(6),147.1(100),134.0(29),129.0(29),121.0(33),115.0(9)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(S.D.Dreher,P.G.Dormer,D.L.Sandrock,G.A.Molander,J.Am.Chem.Soc.2008,130,9257-9259)。
w)4-シクロヘキシルアニソール[CAS:613-36-5]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロアニソール72.7mg
ボロン酸:シクロヘキシルボロン酸99.0mg
収率:75.6mg(80%)の淡黄色結晶。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.17(d,J=8.4Hz,2H),6.88(d,J=8.4Hz,2H),3.82(s,3H),2.43-2.56(m,1H),1.84-1.93(m,4H),1.74-1.82(m,1H),1.38-1.51(m,4H),1.18-1.37ppm(m,1H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=157.6,140.3,127.6,113.6,55.2,43.7,34.7,26.9,26.2ppm。
MS(EI)m/z(%)190.1(70)[M+],147.1(100),134.0(22),121.0(40),115.0(7),91.0(18),77.0(6)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(P.C.Too,G.H.Chan,Y.L.Tnay,H.Hirao,S.Chiba,Angew.Chem.Int.Ed.2016,55,3719-3723)。
C.立体障害基質の鈴木-宮浦クロスカップリング
上述のパラジウム-ナフチル触媒7-8 Cl/Brを、極めて立体的に遮蔽されたテトラ-オルト置換化合物の形成をもたらす塩化アリールの室温鈴木-宮浦カップリングにおける活性についても試験した。
立体障害基質の鈴木-宮浦クロスカップリングのための一般的手順
空気の非存在下でバイアルにそれぞれの触媒(0.005モル、0.01当量)を充填し、グローブボックスに移した。4.72mgの配位子IPrOMe、(0.01ミリモル、0.02当量CAS:1416368-06-3)、66mgのKOH(1.0ミリモル、2.0当量)及びボロン酸(0.75ミリモル、1.5当量)を秤量し、バイアルを密封した。2mLのTHF中の塩化アリール(0.5ミリモル、1.0当量)及び30μlのn-テトラデカンの溶液を、シリンジを使用して添加した。得られた均一溶液を室温で12時間撹拌した。反応完了後、混合物をEtOAc(10ml)で希釈し、水(2×10mL)で洗浄した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、揮発性成分を減圧下で除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO、シクロヘキサン)によって精製すると、対応するビフェニルが得られた。
2-クロロ-m-キシレンと2,4,6-トリメチルフェニルボロン酸とのカップリングをモデル反応として選択した。様々なPd源を、Nolanに記載された条件下で調査した(A.Chartoire,M.Lesieur,L.Falivene,A.M.Z.Slawin,L.Cavallo,C.S.J.Cazin,S.P.Nolan,Chem.Eur.J.2012,18,4517-4521;G.Bastug,S.P.Nolan,Organometallics 2014,33,1253-1258)。Nolanのプロトコルは、[Pd(シンナミル)Cl]と組み合わせた電子リッチで高度に立体的に要求されるNHC配位子IPrOMeに基づいており、これに関して記録的な高さを達成している。Nolanのプロトコルに対してここで行った唯一の調整は、DME(1,2-ジメトキシエタン)中のダイマーパラジウム-ナフチル触媒の低い溶解性のために、溶媒としてDMEの代わりにTHFを使用することであった。
モデル反応2,2’,4,6,6’-ペンタメチルビフェニル[CAS:76411-12-6]の調製
触媒/Pd源:0.5モル%7-Cl又は7-Br又は8-Cl又は8-Br又は0.5モル%[Pd(シンナミル)Cl]
塩化アリール:2-クロロ-m-キシレン71.7mg
ボロン酸:2,4,6-トリメチルボロン酸123.0mg
比較目的のため
NHC配位子IPrOMeと組み合わせた4つ全てのパラジウム-ナフチル触媒(7~8 Cl/Brを用いて、所望の生成物が、上記の反応条件下、室温で12時間以内に定量的収率で形成された。比較すると、溶媒としてDMEを選択して、[Pd(シンナミル)Cl]及びNHC配位子IPrOMeを使用すると、室温で22時間の反応時間後に、予想されたビアリール化合物の収率95%が得られた。その結果、4種のパラジウム-ナフチル触媒7~8 Cl/Brは、Nolanによって記載された触媒と比較して良好に機能した。
7-Brを用いて調製した2,2’,4,6,6’-ペンタメチルビフェニルからの分析データ。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.08-7.22(m,3H),6.99(s,2H),2.38(s,3H),1.94(s,6H),1.90ppm(s,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=140.0,136.9,136.1,135.7,135.2,128.2,127.3,126.7,21.1,19.9,19.7ppm。
MS(EI)m/z(%)224.1(70)[M+],209.1(100),194.0(39),188.9(7),179.0(34),165.0(12),152.9(6)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(A.Chartoire,M.Lesieur,L.Falivene,A.M.Z.Slawin,L.Cavallo,C.S.J.Cazin,S.P.Nolan,Chem.Eur.J.2012,18,4517-4521)。
立体障害基質の鈴木-宮浦クロスカップリングの更なる例
a)2,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリメチルビフェニル[CAS:471290-69-4]
触媒/Pd源:0.5モル%7-Br
塩化アリール:2-クロロ-1,3-ジメトキシベンゼン88.1mg
ボロン酸:2,4,6-トリメチルボロン酸123.0mg
収率:126mg(97%)のオフホワイトの固体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.28-7.36(m,1H),6.91-6.99(s,2H),6.62-6.71(m,2H),3.70-3.77(s,6H),2.31-2.37(s,3H),1.94-2.02ppm(s,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=157.7,136.9,136.3,130.9,135.2,128.5,127.9,117.7,103.9,55.8,21.3,20.3ppm。
MS(EI)m/z(%)224.1(70)[M+],209.1(100),194.0(39),188.9(7),179.0(34),165.0(12),152.9(6)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(A.Chartoire,M.Lesieur,L.Falivene,A.M.Z.Slawin,L.Cavallo,C.S.J.Cazin,S.P.Nolan,Chem.Eur.J.2012,18,4517-4521)。
b)1-(2,6-ジメチルフェニル)ナフタレン[CAS:471290-69-4]
触媒/Pd源:0.5モル%7-Br
塩化アリール:2-クロロ-m-キシレン71.7mg
ボロン酸:1-ナフチルボロン酸136.0mg
収率:114mg(98%)のオフホワイトの固体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.75-7.86(m,2H),7.35-7.51(m,2H),7.08-7.28(m,6H),1.83ppm(s,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=139.6,138.7,137.0,133.7,131.7,128.3,127.3,127.2,126.4,126.0,125.8,125.7,125.4,20.4ppm。
MS(EI)m/z(%)232.1(100)[M+],226.1(4),217.1(89),202.1(30),189.1(7),176.0(2),165.1(3)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(B.H.Lipshutz,T.B.Petersen,A.R.Abela,Org.Lett.2008,10,1333-1336)。
3.2バックワルド-ハートウィッグカップリング、ヘック反応、ケトンのα-アリール化及び根岸カップリングにおける一般式VIIIによるダイマーアリルパラジウムハロゲン化物錯体の試験
アリルパラジウムハロゲン化物ホスフィン錯体をin situで生成した。
A.バックワルド-ハートウィッグアミノ化のための一般的手順
バイアルに触媒(0.005ミリモル、0.005当量)及び配位子RuPhos(0.01ミリモル、0.01当量)を空気の非存在下で充填し、次いでグローブボックスに移し、そこで1mLのTHFを添加した。得られた均一溶液を室温で20分間撹拌した。その後、塩化アリール(1.0ミリモル、1当量)、アミン(1.1ミリモル、1.1当量)、カリウムtert-ブトキシド168mg(1.5ミリモル、1.5当量)及びn-ウンデカン50μl(0.191ミリモル、0.191当量)のTHF1mL溶液を触媒溶液に添加した。次いでバイアルに蓋をし、反応物質をグローブボックスの外で室温で12時間撹拌した。反応の完了後、それをEtOAc(10mL)で希釈し、水(2×10mL)で洗浄した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、揮発性成分を減圧下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィにより精製して(SiO、シクロヘキサン)、対応するアミンを得た。
モデル反応として、N-tert-ブチル-2,6-ジメチルアニリン[CAS:395116-77-5]の調製を選択した:
触媒/Pd源:0.5モル%の7-Cl又は7-Br又は8-Cl又は8-Br又は0.5モル%の[Pd(tBu-インデニル)Cl]
塩化アリール:塩化2,6-ジメチルフェニル143mg
アミン:N-tert-ブチルアミン82.1mg
比較目的のため
ホスフィン配位子RuPhosと組み合わせた4つ全てのパラジウム-ナフチル触媒(7~8 Cl/Br)を用いて、所望の生成物が、上記の反応条件下で良好~優れた収率で形成された。上記の反応条件下で、触媒7-Cl及び7-Br(1位での置換)は、同等に反応性であり、触媒8-Cl及び8-Br(2位での置換)よりも高い活性を示した。比較すると、他の点では同一の反応条件下でのHazari触媒[Pd(t-Bu-インデニル)Cl]及びホスフィン配位子RuPhosの使用は、予想された化合物の93%収率をもたらした。結果として、2つのパラジウム-ナフチル触媒7-Cl及び7-Brは、Hazari触媒よりも良好に機能した。
7-Brを使用して調製されたN-tert-ブチル-2,6-ジメチルアニリンからの分析データ:
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.02-7.07(m,2H),6.93(d,J=7.3Hz,1H),2.36(s,6H),1.23ppm(s,9H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=144.0,134.8,128.6,123.2,55.3,31.2,20.4ppm。
MS(EI)m/z(%)177.1(34)[M+],162.1(62),121.0(100),106.1(43),91.0(14),77.0(14),57.1(13)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(W.I.Lai,M.P.Leung,P.Y.Choy,F.Y.Kwong,Synthesis 2019,51,2678-2686)。
バックワルド・ハートウィッグアミノ化のための更なる例
a)N,N-ジブチル-4-トルイジン[CAS:31144-33-9]
触媒/Pd源:0.5モル%7-Br
塩化アリール:4-クロロトルエン129mg
アミン:N,N-ジブチルアミン142mg
収率:216mg(99%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.07(d,J=8.3Hz,2H),6.63(d,J=8.4Hz,2H),3.23-3.33(m,4H),2.29(s,3H),1.53-1.66(m,4H),1.31-1.47(m,4H),1.00ppm(t,J=7.3Hz,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=146.2,129.7,124.3,112.1,51.0,29.4,20.4,20.1,14.0ppm。
MS(EI)m/z(%)291.2(31)[M+],176.2(100),160.1(2),146.1(1),134.1(78),120.1(44),91.1(20),77.0(13)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(R.Pratap,D.Parrish,P.Gunda,D.Venkataraman,M.K.Lakshman,J.Am.Chem.Soc.2009,131,12240-12249)。
b)N-ブチル-2,6-ジメチルアニリン[41115-22-4]
触媒/Pd源:0.5モル%7-Br
塩化アリール:塩化2,6-ジメチルフェニル143mg
アミン:N-ブチルアミン80.5mg
収率:172mg(97%)の黄色液体。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.03(d,J=7.5Hz,2H),6.85(t,J=7.5Hz,1H),3.03(t,J=7.5Hz,2H),2.97(br s,1H),2.34(s,6H),1.55-1.70(m,2H),1.47(sxt,J=7.4Hz,2H),1.00ppm(t,J=7.5Hz,3H)。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=146.1,128.7,128.4,121.2,48.0,33.0,20.0,18.2,13.6ppm。
MS(EI)m/z(%)291.2(31)[M+],176.2(100),160.1(2),146.1(1),134.1(78),120.1(44),91.1(20),77.0(13)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(L.Ackermann,J.H.Spatz,C.J.Gschrei,R.Born,A.Althammer,Angew.Chem.Int.Ed.2006,45,7627-7630)。
B.ヘック反応の一般的手順
0.5mLのジオキサン中の触媒(0.01ミリモル、0.01当量)及び配位子PAdnBu(0.02ミリモル、0.02当量)の溶液を、グローブボックス中、室温で20分間撹拌した。次いで、ストック溶液を、1mLのジオキサン中の塩化アリール(0.5ミリモル、1当量)、71mgのtert-ブチルアクリレート(0.55ミリモル、1.1当量)及び461mgの酢酸テトラブチルアンモニウム(1.25ミリモル、2.5当量)を含有するバイアルに添加した。次いで、バイアルに蓋をし、グローブボックスの外で120℃で16時間撹拌を行った。反応完了後、バイアルを開け、溶液を3mLのEtOAcで希釈した。反応溶液を、MgSO及びSiOを含有するピペットを用いて濾過した。濾液が無色になるまで、ピペットを更なるEtOAcで洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、試料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO、シクロヘキサン/EtOAc 0%→20%)によって精製して、所望の生成物を得た。
tert-ブチル-3-(3-キノリニル)アクリレート[CAS:259232-14-9]の調製をモデル反応として選択した:
触媒/Pd源:1モル%の7-Cl又は7-Br又は8-Cl又は8-Br又は1モル%の[Pd(tBu-インデニル)Cl]
塩化アリール:2-クロロキノリン82.6mg
収率:110mg(86%)の黄色固体。
比較目的のため
ホスフィン配位子PAdnBuと組み合わせた4つ全てのパラジウム-ナフチル触媒7~8 Cl/Brを用いて、所望の生成物が、上記の反応条件下で良好~非常に良好な収率で形成された。上記の反応条件下で、触媒7-Br及び8-Brは同等に反応性であり、触媒7-Cl及び8-Clよりも高い活性を示した。比較すると、他の点では同一の反応条件下での、Hazari触媒[Pd(t-Bu-インデニル)Cl]及びホスフィン配位子PAdnBuの使用は、予想された化合物の95%収率をもたらした。結果として、2つのパラジウム-ナフチル触媒7-Br及び8-Brは、Hazari触媒よりもいくらか良好に機能した。
7-Brを使用して調製されたtert-ブチル-3-(3-キノリニル)アクリレートからの分析データ:
H NMR(400MHz,CDCl)δ=8.17(d,J=7.7Hz,1H),8.10(d,J=8.5Hz,1H),7.77-7.84(m,2H),7.73(ddd,J=8.5,6.9,1.5Hz,1H),7.61(d,J=8.5Hz,1H),7.52-7.59(m,1H),6.89(d,J=15.9Hz,1H),1.56ppm(s,9H)。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=166.5,154.4,149.1,144.1,137.9,130.4,130.0,128.3,127.9,127.5,126.3,120.5,81.8,29.4ppm。
HRMS(ESI)m/z calculated for C1617NO[M+H]256.1338,found 256.1328。
NMRデータは文献中のデータと一致する(H.Xia,Y.Liu,P.Zhao,S.Gou,J.Wang,Org.Lett.2016,18,1796-1799)。
Heck反応の更なる実施例
a)tert-ブチル-3-(2-メトキシフェニル)アクリレート[CAS:1313193-50-8]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:2-クロロアニソール72.7mg
収率:106mg(91%)の黄色液体。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.91(d,J=16.1Hz,1H),7.49(dd,J=7.7,1.7Hz,1H),7.29-7.37(m,1H),6.86-6.99(m,2H),6.44(d,J=16.1Hz,1H),3.88(s,3H),1.55(s,9H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=164.6,156.0,136.6,128.8,126.5,121.4,118.3,108.7,77.9,53.1,25.9ppm。
HRMS(ESI)m/z calculated for C1418[M+Na]257.1154,found 257.1142。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(M.Lautens,J.Mancuso,H.Grover,Synthesis 2004,2004,2006-2014)。
b)tert-ブチル-3-(3,5-ジメトキシフェニル)アクリレート[CAS:951174-15-5]。
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:3,5-ジメトキシクロロベンゼン89.0mg
収率:124mg(94%)の黄色液体。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.50(d,J=15.9Hz,1H),6.65(d,J=2.2Hz,2H),6.47(t,J=2.3Hz,1H),6.33(d,J=15.9Hz,1H),3.81(s,6H),1.53(s,9H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=166.2,161.0,143.6,136.6,120.7,105.8,102.3,80.6,55.4,28.2ppm。
HRMS(ESI)m/z calculated for C1520[M+H]265.1440,found 265.1434。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(S.G.Davies,A.W.Mulvaney,A.J.Russell,A.D.Smith,Tetrahedron:Asymmetry 2007,18,1554-1566)。
c)tert-ブチル-3-(2,6-ジメチルフェニル)アクリレート[CAS:780761-47-9]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:2-クロロ-m-キシレン71.7mg
収率:111mg(96%)のオフホワイトの固体。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.74(d,J=16.3Hz,1H),7.01-7.17(m,3H),5.99(d,J=16.3Hz,1H),2.35(s,6H),1.55(s,9H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=166.3,142.3,136.8,134.3,128.3,128.2,125.8,80.7,28.4,21.2ppm。
HRMS(ESI)m/z calculated for C1520[M+Na]255.1361,found 255.1352.
NMRデータは文献のデータと一致する(Q.Gao,Y.Shang,F.Song,J.Ye,Z.-S.Liu,L.Li,H.-G.Cheng,Q.Zhou,J.Am.Chem.Soc.2019,141,15986-15993)。
d)tert-ブチル-3-(2,6-ジメトキシフェニル)アクリレート[CAS:1478401-14-7]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:2,6-ジメトキシクロロベンゼン88.1mg
収率:110mg(83%)の黄色油。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=8.09(d,J=16.3Hz,1H),7.27-7.31(m,1H),6.82(d,J=16.3Hz,1H),6.59(d,J=8.4Hz,2H),3.91(s,6H),1.57(s,9H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=168.2,160.1,134.5,130.9,122.7,112.6,103.8,79.9,55.9,28.4ppm。
IR(ATR):3001(w),2958(w),2929(w),2835(w),1589(s),1472(s),1429(s),1299(w),1280(w),1244(vs),1171(w),1105(vs),1070(w),1036(w),1008(w),898(w),785(w),761(w),725(w),698(s),655(w)cm-1
HRMS(ESI)m/z calculated for C1520[M+H]265.1440,found 265.1436。
e)tert-ブチル-3-(2-ホルミルフェニル)アクリレート[CAS:103890-69-3]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:2-クロロベンズアルデヒド71.0mg
収率:111mg(96%)淡黄色油状物。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=10.33(s,1H),8.41(d,J=15.8Hz,1H),7.82-7.92(m,1H),7.50-7.68(m,3H),6.31(d,J=15.8Hz,1H),1.55(s,9H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=191.7,165.5,139.6,137.0,133.9,131.7,129.7,128.0,125.3,81.0,28.2ppm。
HRMS(ESI)m/z calculated for C1416[M+H]233.1177,found 233.1170。
NMRデータは、文献のデータと一致する(C.S.Bryan,M.Lautens,Org.Lett.2010,12,2754-2757)。
C.ケトンのα-アリール化のための一般手順
バイアルに、それぞれの触媒(0.005mol、0.01当量)及び配位子RuPhos(0.01ミリモル、0.02当量)を空気の非存在下で充填した。真空/アルゴンサイクルを3回繰り返した後、1mLのTHFをシリンジで添加した。得られた均一溶液を室温で10分間撹拌した。次いで、アリールクロリド(0.5ミリモル、1.0当量)、ケトン(1.0ミリモル、2.0当量)、ナトリウムtert-ブトキシド74.3mg(1.5ミリモル、1.5当量)及びn-テトラデカン30μl(0.116ミリモル、0.232当量)のTHF1mL溶液を、シリンジを用いて触媒溶液に添加した。反応混合物を60℃で16時間撹拌した。反応の完了後、混合物をEtOAc(10ml)で希釈し、生理食塩水(3×10mL)で洗浄し、次いで水相をEtOAc(3×10ml)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、揮発性成分を減圧下で除去した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO、シクロヘキサン/酢酸エチル勾配)によって精製して、対応するアリール化ケトンを得た。
2-(4-メチルフェニル)-シクロヘキサノン[CAS:52776-14-4]の調製をモデル反応として選択した:
触媒/Pd源:1モル%の7-Cl又は7-Br又は8-Cl又は8-Br又は1モル%の[Pd(tBu-インデニル)Cl]
塩化アリール:4-クロロトルエン64.6mg
ケトン:シクロヘキサノン99.1mg
比較目的のため
ホスフィン配位子RuPhosと組み合わせた4つ全てのパラジウム-ナフチル触媒7~8 Cl/Brを用いて、所望の生成物が、上記の反応条件下で良好~非常に良好な収率で形成された。上記の反応条件下で、触媒7-Cl及び8-Clはほぼ同等の反応性であり、触媒7-Br及び8-Brよりも高い活性を示した。比較すると、他の点では同一の反応条件下でのHazari触媒[Pd(t-bu-インデニル)Cl]及びホスフィン配位子RuPhosの使用は、予想された化合物の75%収率をもたらした。結果として、2つのパラジウム-ナフチル触媒7-Cl及び8-Clは、Hazari触媒よりも良好に機能した。
7-Clを使用して調製された2-(4-メチルフェニル)-シクロヘキサノンからの分析データは以下の通りである:
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.17(d,J=8.0Hz,2H),7.05(d,J=8.0Hz,2H),3.60(dd,J=11.9,5.5Hz,1H),2.41-2.58(m,2H),2.35(s,3H),2.22-2.32(m,1H),2.11-2.21(m,1H),1.93-2.08(m,2H),1.77-1.92ppm(m,2H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=210.5,136.4,135.7,129.1,128.3,57.0,42.1,35.0,27.8,25.3,21.0ppm。
MS(EI)m/z(%)188.1(100)[M+],172.1(10),144.1(91),131.1(97),117.1(51),105.1(41),91.1(42)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(X.-Q.Hu,D.Lichte,I.Rodstein,P.Weber,A.-K.Seitz,T.Scherpf,V.H.Gessner,L.J.Gooβen,Org.Lett.2019,21,7558-7562)。
ケトンのα-アリール化更なる例
a)1-(4-メチルフェニル)-2-プロパノン[CAS:2096-86-8]
触媒/Pd源:1モル%7-Cl
塩化アリール:4-クロロトルエン64.6mg
ケトン:アセトン58.1mg
収率:51.0mg(69%)無色の液体。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.03-7.21(m,4H),3.66(s,2H),2.35(s,3H),2.15ppm(s,3H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=206.7,136.7,131.2,129.5,129.2,50.7,29.1,21.1ppm。
MS(EI)m/z(%)148.0(28)[M+],105.0(100),91.0(5),77.0(14),63.0(3),51.0(4)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(X.-Q.Hu,D.Lichte,I.Rodstein,P.Weber,A.-K.Seitz,T.Scherpf,V.H.Gessner,L.J.Gooβen,Org.Lett.2019,21,7558-7562)。
b)2-メチル-1-フェニル-2-(4-メチルフェニル)-プロパノン[CAS:14271-33-1]
触媒/Pd源:1モル%7-Cl
塩化アリール:4-クロロトルエン64.6mg
ケトン:イソブチロフェノン148mg
収率:110mg(92%)黄色油状物。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.50-7.53(m,1H),7.47-7.50(m,1H),7.33-7.40(m,1H),7.13-7.26(m,6H),2.35(s,3H),1.59ppm(s,6H)。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ=203.9,142.2,136.4,129.7,127.9,125.6,51.0,27.8,21.0ppm
MS(EI)m/z(%)238.1(1)[M+],207.0(2),133.1(100),115.1(7),105.0(75),91.4(14),77.0(24)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(X.-Q.Hu,D.Lichte,I.Rodstein,P.Weber,A.-K.Seitz,T.Scherpf,V.H.Gessner,L.J.Gooβen,Org.Lett.2019,21,7558-7562)。
D.根岸カップリングの一般的手順
0.5mLのTHF中の触媒(0.005ミリモル、0.01当量)及び4.76mgの配位子RuPhos(0.01ミリモル、0.02当量)の溶液を、グローブボックス中、室温で20分間撹拌した。塩化アリール(0.5ミリモル、1当量)及び152μlのTMEDA(1ミリモル、2当量)をこの溶液に添加した。グローブボックスの外側で、シリンジを使用してアリール亜鉛ブロミド溶液をTHF(0.75ミリモル、1.5当量)に添加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。完了後、溶液を3mLのEtOAcで希釈し、15mlの水で洗浄した。水層をEtOAc(3×15mL)で抽出し、合わせた有機層を生理食塩水で洗浄した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、揮発性成分を減圧下で除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、所望のビフェニルを得た。
2-メトキシビフェニル[CAS:86-26-0]の調製をモデル反応として選択した:
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:2-クロロアニソール72.7mg
臭化アリール亜鉛:臭化フェニル亜鉛のTHF溶液3.00mL
比較目的のため
ホスフィン配位子RuPhosと組み合わせた4つ全てのパラジウム-ナフチル触媒7~8 Cl/Brを用いて、所望の生成物が、上記の反応条件下で定量的収率で形成された。比較すると、他の点では同一の反応条件下でのHazari触媒[Pd(t-bu-インデニル)Cl]及びホスフィン配位子RuPhosの使用は、予想された化合物の31%収率をもたらした。結果として、4種のパラジウム-ナフチル触媒7~8 Cl/Brは、Hazari触媒よりも著しく良好に機能した。
7-Brを使用して調製し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO、シクロヘキサン/EtOAc勾配0%→10%)によって精製した2-メトキシビフェニルについての分析データ:
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.56(d,J=7.2Hz,2H),7.44(t,J=8.0Hz,2H),7.30-7.38(m,3H),6.97-7.11(m,2H),3.83(s,3H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=156.6,138.7,131.0,130.8,129.7,128.7,128.1,127.0,121.0,111.3,55.7ppm。
HRMS(ESI)m/z calculated for C1312O[M+H]185.0968,found 185.0961。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(O.Diebolt,V.Jurcik,R.Correa da Costa,P.Braunstein,L.Cavallo,S.P.Nolan,A.M.Z.Slawin,C.S.J.Cazin,Organometallics 2010,29,1443-1450)。
根岸カップリングの更なる例
a)2,2’-ジメチルビフェニル[CAS:605-39-0]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:2-クロロトルエン64.6mg
臭化アリール亜鉛:臭化トリル亜鉛のTHF溶液0.18mLl
収率:フラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO、ペンタン)後、112mg(91%)の無色油状物。
H NMR(400MHz、CDCl)δ=7.17-7.21(m、4H)、7.11-7.17(m、2H)、6.99-7.06(m、2H)、1.98ppm(s、6H)。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ=141.7、136.0、129.9、129.4、127.3、125.7、20.0ppm。
MS(EI)m/z(%)181.8。(86)[M+]、167.2(100)、153.0(4)、139.0(2)、115.0(6)、89.1(5)、63.0(6)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(D.-H.Lee,M.-J.Jin,Org.Lett.2011,13,252-255)。
b)2-メトキシル-2’-メチルビフェニル[CAS:19853-12-4]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:2-クロロアニソール72.7mg
臭化アリール亜鉛:臭化トリル亜鉛のTHF溶液0.18mL
収率:フラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO、ペンタン/EtOAc勾配0%→10%)後、92mg(93%)の無色油状物。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.40-7.48(m,1H),7.27-7.38(m,4H),7.24(dd,J=7.4,1.8Hz,1H),7.12(dd,J=7.4,1.1Hz,1H),7.03-7.09(m,1H),3.85(s,3H),2.24(s,3H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=156.7,138.8,137.0,131.1,131.0,130.1,129.7,128.7,127.4,125.6,120.6,110.8,55.5,20.1ppm。
HRMS(ESI)m/z calculated for C1414O[M+H]199.1122,found 199.1123。
NMRデータは文献のデータと一致する(S.E.Denmark,R.C.Smith,W.-T.T.Chang,J.M.Muhuhi,J.Am.Chem.Soc.2009,131,3104-3118)。
c)1,3-ジメトキシ-2-フェニルベンゼン[CAS:13732-86-0]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:2-クロロ-1,3-ジメトキシベンゼン88.1mg
臭化アリール亜鉛:臭化トリル亜鉛のTHF溶液1.5mL
収率:フラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO、ペンタン/EtOAc勾配0%→10%)後、78mg(73%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.37-7.44(m,2H),7.32-7.37(m,2H),7.28-7.32(m,1H),7.25(s,1H),6.66(d,J=8.3Hz,2H),3.73(s,6H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=157.5,134.0,130.7,128.4,127.5,126.6,119.5,104.1,55.8ppm。
HRMS(ESI)m/z calculated for C1414[M+H]214.1074,found 214.1074。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(T.Truong,O.Daugulis,J.Am.Chem.Soc.2011,133,4243-4245)。
d)2,2’,6-トリメチルビフェニル[CAS10273-87-7]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:2-クロロ-m-キシレン71.7mg
臭化アリール亜鉛:臭化トリル亜鉛のTHF溶液0.18mL
収率:フラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO、ペンタン)後、55mg(56%)の無色油状物。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.14-7.24(m,3H),7.06-7.13(m,1H),7.00-7.06(m,2H),6.90-6.97(m,1H),1.89(s,3H),1.87ppm(s,6H)。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=141.2,140.6,135.9,135.6,130.0,128.9,127.2,127.0,126.9,126.1,20.4,19.4ppm。
MS(EI)m/z(%)196.2.(63)[M+],181.1(2),178.1(14),165.1(49),152.1(9),115.1(7),89.1(11)。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(S.Chun To,F.Yee Kwong,Chem.Commun.2011,47,5079)。
e)5-フェニルベンゾオキサゾール[CAS:201415-38-5]
触媒/Pd源:1モル%7-Br
塩化アリール:5-クロロベンゾオキサゾール80.8mg
臭化アリール亜鉛:臭化フェニル亜鉛のTHF溶液1.25mL
収率:フラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO、シクロヘキサン/EtOAc勾配0%→20%)後、71.0mg(73%)のオフホワイトの固体。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=8.13(s,1H),7.99(br.s,1H),7.59-7.66(m,4H),7.43-7.52(m,2H),7.34-7.41(m,1H)ppm。
13C NMR(101MHz,CDCl)δ=153.2,149.7,141.0,140.8,138.7,129.0,127.7,127.5,125.4,119.2,111.1ppm。
HRMS(ESI)m/z calculated for C1310NO[M+H]196.0762,found 196.0751。
NMRデータは、文献中のデータと一致する(S.Guo,B.Qian,Y.Xie,C.Xia,H.Huang,Org.Lett.2011,13,522-525)。
特にカップリング反応におけるパラジウム源としての本明細書で特許請求される式VIII.aの式VIIIによる新規化合物の広範な適用性は、バックワルド・ハートウィッグアミノ化、ヘックビニル化、ケトンのα-アリール化並びに根岸ー鈴木ー宮浦カップリングにおける新規ダイマーパラジウム(II)-1-メチルナフチルハロゲン化物錯体の例を使用して実証された。バックワルド・ハートウィッグアミノ化及び鈴木ー宮浦カップリングの場合、1-メチルナフチルハロゲン化物から出発して製造することができる新規パラジウム(II)化合物7-Cl、7-Br、8-Cl及び8-Brの触媒活性に及ぼす効果が特に顕著であった。鈴木ー宮浦カップリングの場合、驚くべきことに、反応を新しいクラスの基質に拡張することが可能であった。ほとんどの場合、臭化物錯体7-Brが最も効率的であったが、ケトンアリール化において、塩化物錯体7-Clを用いて最良の結果が得られた。
本発明は、上述の実施形態のうちの1つに限られず、多くの方法で修正変更され得る。
本発明が、高純度で、特に高NMR純度で、良好な収率で既知の生成物を調製することを可能にするパラジウム錯体を調製するための新規方法に関することは明らかである。加えて、本明細書に記載される調製方法によって、従来技術に記載されている方法を使用して通常入手できないか又は多大な労力をかけてしか入手できない新規パラジウム錯体を、高純度で、特に高NMR純度で、良好な収率で得ることができる。驚くべきことに、本明細書に記載される方法によって調製することができる化合物は、パラジウム含有副生成物、例えば、[Pd(dvds)PtBu)]及び[Pd(dvds)]に起因する不純物を含有せず、特にそれらの溶解挙動に起因して分離することが困難若しくは不可能であるか、又は前述の不純物を微量(≦1000ppm)しか含有しないことが見出された。最終生成物の高い純度は、可能な使用、例えばプレ触媒及び/又は触媒としての使用の観点から特に有利である。本発明はまた、特にクロスカップリング反応のためのプレ触媒及び/又は触媒として好適な新規パラジウム錯体に関する。
特許請求の範囲及び説明からもたらされる、例えば、構造上の詳細、空間的配置、及び方法工程からもたらされるあらゆる特徴及び利点は、単独で又は様々な組み合わせのいずれかで、本発明と関連があり得る。

Claims (43)

  1. 一般式[PdZ](I)[式中、ホスフィン配位子Z及びZは、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソ-プロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より独立して選択される]による化合物を調製するための方法であって、
    前記方法は、
    A.
    i.単核又は多核パラジウム化合物であって、少なくとも1つのパラジウム中心が、有機ケイ素化合物である配位子Lを有する、単核又は多核パラジウム化合物、
    及び
    ii.各場合において、1つのホスフィン配位子Z及びZ[式中、
    及びZは、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソ-プロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より独立して選択される]を提供する工程、
    B.前記パラジウム化合物と、工程Aからのモノホスフィン配位子及び/又はビスホスフィン配位子とを、非エーテル性溶媒S中で反応させる工程、
    及び
    C.任意に、工程Bで調製された前記一般式[PdZ](I)による化合物を単離する工程
    を含む、方法。
  2. 請求項1に記載の方法によって得られるか又は得ることができる一般式[PdZ](I)による化合物:
  3. 化合物[Pd(tBu)(P(1-Ad)tBu]、[Pd(PtBu)(P(1-Ad)iPr)]、[Pd(P(1-Ad)tBu)]、[Pd(P(1-Ad)iPr)]、[Pd(P(1-Ad)tBu)(P(1-Ad)iPr)]、[Pd(P(1-Ad)iPr、[Pd(P(iPr)tBu)]、[Pd(dppe)]又は[Pd(dppp)]である、一般式[PdZ](I)による化合物。
  4. 調製物であって、
    i.一般式[PdZ](I)[式中、
    及びZは、独立して、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソ-プロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より独立して選択される]による化合物
    及び
    ii.有機ケイ素化合物
    を含む、調製物。
  5. 一般式
    [式中、Lはホスフィン配位子である]
    による化合物を生成する方法であって、ただし、Lがトリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソプロピルホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)-イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス-(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より選択される一般式IVによる化合物は除き、
    前記方法は、
    A.
    i.単核又は多核パラジウム化合物であって、少なくとも1つのパラジウム中心が1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン配位子を有する、単核又は多核パラジウム化合物、
    及び
    ii.ホスフィン配位子Lであって、ただし、トリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、ジ-tert-ブチル(イソ-プロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より選択されるホスフィン配位子を除く、ホスフィン配位子L
    を提供する工程、
    B.前記パラジウム化合物と工程Aからの前記ホスフィン配位子Lとを、非エーテル性溶媒S中で反応させる工程、
    及び
    C.任意に、工程Bで調製された一般式[LPd(dvds)](IV)による化合物を単離する工程
    を含む、方法。
  6. 一般式
    [式中、Lはホスフィン配位子である]
    による化合物であって、Lがトリ-tert-ブチルホスフィン(PtBu)、トリ-イソ-プロピルホスフィン(PiPr)、トリメチルホスフィン(PMe)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)、トリス-o-トリルホスフィン(P(o-トリル))、トリフェニルホスフィン(PPh)、ジ-tert-ブチル(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、tert-ブチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(iPr)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ-(イソプロピル)ホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)-イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)及び1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)からなる群より選択される一般式IVによる化合物は除く、化合物。
  7. 前記ホスフィン配位子Lが、
    -一般式P-R10R20R30の第3級ホスフィンであって、R10及びR20は、置換及び非置換の直鎖アルキル基、置換及び非置換の分岐アルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール基、並びに置換及び非置換のヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、ヘテロ原子は、硫黄、窒素及び酸素からなる群より選択され、R30は、R10及びR20として定義されるか、又はメタロセニル基である、第三級ホスフィンであり、
    又は
    -2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル(DavePhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(XPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(SPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-イソプロポキシ-1,1’-ビフェニル(RuPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(BrettPhos)、[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]ジ-tertブチルホスフィン(Amphos)、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(Xantphos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル(CPhos)、ジ-(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(cataCXium)(登録商標)A)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(t-BuXPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(tert-BuBrettPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3-メトキシ-6-メチル-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(RockPhos)、2-ジ[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルホスフィノ]-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(JackiePhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-ビフェニル(JohnPhos)、R-(-)-1-[(S)-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(n-ブチル)ホスフィン、2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(AdBrettPhos)、2-ジエチルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニルラセミ2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル(TrixiePhos)、1,3,5,7-テトラメチル-8-フェニル-2,4,6-トリオキサ-8-ホスファアダマンタン(MeCgPPh)、N-[2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)フェニル]モルホリン(MorDalPhos)、4,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン(NiXantphos)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-(N,N(ジメチルアミノ))-1,1’-ビフェニル(tBuDavePhos)、ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(DTBPF)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピル)-1,1’-ビフェニル(Met-BuXPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-4-(N,N-ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル、トリス-p-トリルホスフィン(P(p-トリル))、メチルジフェニルホスフィン、トリス-(ペンタフルオロフェニル)-ホスフィン(P(C)、トリフルオロホスフィンtert-ブチルジフェニルホスフィン(P(tBu)Ph)、フェニル-ジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル-ネオペンチルホスフィン、1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1’-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p(トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、ベンジルジ-1-アダマンチルホスフィン、シクロヘキシルジ-tert-ブチルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリ-イソプロピルビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(シクロヘキシル-JohnPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-イソプロポキシ-1,1’-ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジフェニルホスフィノ-2’-(N,N(ジメチルアミノ)ビフェニル、(4-ジメチルアミノフェニル)(tert-ブチル)2-ホスフィン、1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンN-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、1-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-シクロヘキシルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ピロール、1-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2(ジシクロヘキシルホスフィノ)イミダゾール及び(S)-7,7’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-3,3’,4,4’-テトラヒドロ-4,4’-ジメチル-8,8’-ビ(2H-1,4-ベンゾオキサジン)(Solphos)からなる群より選択される、請求項6に記載の化合物。
  8. L=ジ-(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(cataCXium(登録商標)A)であり、前記化合物は、式
    を有する、請求項6又は7に記載の化合物。
  9. 一般式
    による化合物であって、
    式中、
    -R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択され、
    及び
    -架橋原子Xは、独立して、臭素(Br)又はヨウ素(I)であり、
    ただし、化合物[Pd(μ-Br)(PtBu)]、[Pd(μ-I)(P(iPr)tBu)]及び[Pd(μ-Br)(P(1-Ad)tBu)]を除く、化合物。
  10. 一般式
    による化合物を生成する方法であって、
    式中、
    -R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択され、
    及び
    -架橋原子Xは、独立して、臭素(Br)又はヨウ素(I)であり、
    ただし、化合物[Pd(μ-Br)(PiPr)]及び[Pd(μ-I)(PiPr)]を除き、
    前記方法は、
    a.単核又は多核パラジウム化合物であって、少なくとも1つのパラジウム中心が、有機ケイ素化合物である配位子Lを有する、単核又は多核パラジウム化合物を、
    i.一般式PRによるホスフィン配位子であって
    式中、R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択され、
    ホスフィン配位子PiPrを除く、ホスフィン配位子、
    及び
    ii.分子式が臭素(Br)又はヨウ素(I)を含む遷移金属不含酸化剤と
    溶媒S中で反応させることを含む、方法。
  11. 前記反応が、
    a)第1の工程では、溶媒SA1中に、前記単核又は多核パラジウム化合物を提供し、第2の工程では、前記一般式PRによるホスフィン配位子を添加し、第3の工程では、分子式が臭素(Br)又はヨウ素(I)を含有する前記遷移金属不含酸化剤を添加する、工程、
    又は
    b)第1の工程では、溶媒SA1中に、前記単核又は多核パラジウム化合物を提供し、第2の工程では、分子式が臭素(Br)又はヨウ素(I)を含有する前記遷移金属不含酸化剤を添加し、第3の工程では、前記一般式PRによるホスフィン配位子を添加する、工程
    を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項10又は11に記載の方法であって、
    a)分子式が臭素(Br)を含む前記遷移金属不含酸化剤が、分子臭素、臭化水素、ブロモ-1,4-ジオキサン錯体、ブロモトリクロロメタン、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラクロロエタン、四臭化炭素、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、トリメチルフェニルアンモニウムトリブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド、ピリジニウムトリブロミド、4-ジメチルアミノピリジニウムトリブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリブロミド、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン水素トリブロミド、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、臭化アセチル(HC(CO)Br)、N-ブロモフタルイミド、N-ブロモサッカリン、N-ブロモアセトアミド、2-ブロモ-2-シアノ-N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、ジブロモイソシアヌル酸(DBI)、ブロモイソシアヌル酸ナトリウム水和物、三臭化ホウ素、三臭化リン、臭化ブロモジメチルスルホニウム、5,5-ジブロモ-2,2-ジメチル-4,6-ジオキシ-1,3-ジオキサン、2,4,4,6-テトラブロモ-2,5-シクロヘキサジエノン、ビス(2,4,6-トリメチルピリジン)ブロモニウムヘキサフルオロホスファート及び臭化トリメチルシリル(TMS-Br)からなる群より選択され、
    及び
    b)分子式がヨウ素(I)を含む前記遷移金属不含酸化剤が、分子ヨウ素、ヨウ化水素、ヨードホルム、四ヨウ化炭素、1-クロロ-2-ヨードエタン、N,N-ジメチル-N-(メチルスルファニルメチレン)アンモニウムヨージド、N-ヨードスクシンイミド(NIS)、ヨウ化アセチル(HC(CO)I)N-ヨードサッカリン、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン(DIH)、ピリジンヨードモノクロリド、ヨウ化トリメチルシリルジクロロヨウ素酸ベンジルトリメチルアンモニウム、ビス(ピリジン)ヨードニウム テトラフルオロボラート、ビス(2,4,6-トリメチルピリジン)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート及び(TMS-I)からなる群より選択される、方法。
  13. 一般式
    による化合物を生成する方法であって、
    式中、
    -R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択され、
    及び
    -架橋原子Xは、独立して、臭素(Br)又はヨウ素(I)であり、
    前記方法は、
    パラジウム(II)ハロゲン化物を除くパラジウム(II)化合物を、
    i.一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物であって、式中、R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択される、パラジウム(0)化合物、
    及び/又は
    調製物であって、
    i.一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物であって、式中、R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択される、パラジウム(0)化合物、
    及び
    - 有機ケイ素化合物
    を含む調製物、
    及び
    ii.臭化水素(HBr)及び/又はヨウ化水素(HI)と
    溶媒S中で
    反応させることを含む、方法。
  14. 前記パラジウム(II)化合物がパラジウム(II)アセチルアセトナートである、請求項13に記載の方法。
  15. 臭化水素(HBr)及び/又はヨウ化水素(HI)のin situ生成が提供され、前記パラジウム(II)化合物を水及び/又はアルコールの存在下でHBr供与体及び/又はHI供与体と反応させることを含み、
    ここで、(HBr供与体及び/又はHI供与体):(水及び/又はアルコール)のモル比が、少なくとも1:1である、請求項13又は14に記載の方法。
  16. 前記反応が、
    a)第1の工程では、溶媒SB1中に、前記パラジウム(II)化合物を提供し、第2の工程では、臭化水素(HBr)及び/又はヨウ化水素(HI)及び/又はHBr供与体及び/又はHI供与体を添加し、第3の工程では、前記一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物及び/又は一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物及び有機ケイ素化合物を含む前記調製物を添加する、工程
    又は
    b)第1の工程では、溶媒SB1中に、前記パラジウム(II)化合物を提供し、第2の工程では、前記一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物及び/又は一般式[Pd(PR]によるパラジウム(0)化合物及び有機ケイ素化合物を含む前記調製物を添加し、第3の工程では、臭化水素(HBr)及び/又はヨウ化水素(HI)及び/又はHBr供与体及び/又はHI供与体を添加する、工程
    を含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 調製物であって、
    i.一般式[Pd(μ-X)(PR)](VII)による化合物であって
    式中、
    -R、R及びRは、tert-ブチル、イソプロピル及び1-アダマンチルからなる群より独立して選択され、
    及び
    -架橋原子Xは、独立して、臭素(Br)又はヨウ素(I)である、化合物
    及び
    ii.有機ケイ素化合物
    を含む、調製物。
  18. 一般式
    による化合物を生成する方法であって、
    式中、
    -Xは、アニオン性配位子であり、
    及び
    -基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
    又は
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、不飽和又は脂肪族環を形成し、
    又は
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成し、
    前記方法は、
    A.パラジウム化合物を提供する工程であって、少なくとも1つのパラジウム中心が、有機ケイ素化合物である配位子Lを有する、工程、
    B.工程Aからの前記パラジウム化合物を、一般式
    による化合物AHと反応させる工程であって、
    式中、
    -Xは、アニオン性配位子であり、
    -基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
    又は
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、不飽和又は芳香族環を形成し、
    又は
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、芳香族又は不飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成する、工程
    及び
    C.任意に、工程Bで生成された前記式VIIIによる化合物を単離する工程
    を含む、方法。
  19. 一般式
    による化合物であって、
    式中、
    -Xは、アニオン性配位子であり、
    及び
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成し、
    ただし、式
    [式中、R=アルキル、シクロアルキル又はアリールである]の化合物を除く、化合物。
  20. R1及びR3が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している5~8個の炭素原子を有する前記第1の環を形成する、請求項19に記載の化合物。
  21. 請求項19又は20に記載の化合物であって、
    -基R1及びR3が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している前記第1の環を形成し、
    及び
    -基R1及びR2及び/又はR3及びR4が、5~8個の炭素原子を有する第2の環を形成し、前記環は、
    芳香族又は不飽和であり、前記第1の環及び/又は前記少なくとも1つの芳香族環と縮合しており、
    前記第2の芳香族又は不飽和環は、非置換であるか、又は水素(H)、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、トリル、キシリル、ピリジニル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の基で任意に置換され得る、化合物。
  22. 基R2及びR4が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している5~8個の炭素原子を有する前記第1の環を形成する、請求項19~21のいずれか一項に記載の化合物。
  23. R1がR3と一緒になって、ベンゼン環と縮合しているシクロヘキセニル環を形成し、R1及びR3がナフチル環の一部である、請求項19~22のいずれか一項に記載の化合物。
  24. 一般式
    による化合物であって、
    式中、
    -Xは、アニオン性配位子であり、
    -R4は、水素(H)及び分岐、直鎖又は環状アルキル基からなる群より選択され、
    及び
    -基Rは、芳香族基であり、それぞれの芳香族基Rの少なくとも1つの環がシクロヘキセニル環と縮合しており、
    及び
    -基R、基R及び基Rは、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択される、化合物。
  25. 次の化合物から選択される、請求項19~24のいずれか一項に記載の化合物:
  26. 調製物であって、
    i.一般式
    [式中、X並びに基R1、R2、R3及びR4は、請求項19~23又は請求項25のいずれか一項に定義された通りである]による化合物
    又は
    一般式
    [式中、X、(R)a-d及びR4は、請求項24又は25で定義された通りである]による化合物
    及び
    ii.有機ケイ素化合物
    を含む、調製物。
  27. 一般式
    による化合物であって、
    式中、
    -Xは、アニオン性配位子であり、
    及び
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成し、
    及び
    -Lは、中性電子供与体配位子であり、
    ただし、

    [式中、R=Me、X=Cl及びL=1,3-ビス(2,6-ジ-イソプロピルフェニル)イミダゾリン-2-イリデン]による化合物、
    及び

    [式中、R=H又はメチル、X=TfO及びL=ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、(S)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル又は(R)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]による化合物を除く、化合物。
  28. 前記基R1、R2、R3及びR4が、請求項19~23又は請求項25のいずれか一項に定義された通りである、請求項27に記載の化合物。
  29. 一般式
    による化合物であって、
    式中、
    -X及びLは、請求項27で定義された通りであり、
    -R4は、水素(H)及び分岐、直鎖又は環状アルキル基からなる群より選択され、
    及び
    -基Rは、芳香族基であり、それぞれの芳香族基Rの少なくとも1つの環がシクロヘキセニル環に縮合しており、
    及び
    -基R、基R及び基Rは、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
    ただし、

    [式中、R=Me、X=Cl及びL=1,3-ビス(2,6-ジ-イソプロピルフェニル)イミダゾリン-2-イリデン]による化合物、
    及び

    [式中、R=H又はメチル、X=TfO及びL=ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、(S)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル又は(R)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]による化合物を除く、化合物。
  30. 一般式
    による化合物であって、
    式中、
    -Xは、アニオン性配位子であり、
    及び
    -基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
    又は
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、不飽和又は脂肪族環を形成し、
    又は
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成する、化合物。
  31. 前記基R1、R2、R3及びR4が、請求項19~23又は請求項25のいずれか一項に定義された通りである、請求項30に記載の化合物。
  32. 一般式
    による化合物を生成する方法であって、
    式中、
    -Xは、アニオン性配位子であり、
    -基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
    又は
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、不飽和又は脂肪族環を形成し、
    又は
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、不飽和又は飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成し、
    及び
    -Lは、中性電子供与体配位子であり、
    ただし、式
    [式中、R=Me、X=Cl及びL=1,3-ビス(2,6-ジ-イソプロピルフェニル)イミダゾリン-2-イリデン]による化合物を除き、
    前記方法は、
    A.
    i.パラジウム化合物であって、少なくとも1つのパラジウム中心が、有機ケイ素化合物である配位子Lを有する、パラジウム化合物、
    ii.一般式
    による化合物AHであって、
    式中、
    -Xは、アニオン性配位子であり、
    -基R1、R2、R3及びR4は、水素(H)、分岐、直鎖及び環状アルキル基、分岐、直鎖及び環状アルキレン基、分岐、直鎖及び環状アルキニル基、非置換単核又は多核アリール基、置換単核又は多核アリール基、非置換単核又は多核ヘテロアリール基並びに置換単核又は多核ヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、
    又は
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、不飽和又は芳香族環を形成し、
    又は
    -R1、R2、R3及びR4の2つの基が一緒になって、芳香族又は不飽和であり、少なくとも1つの芳香族環と縮合している第1の環を形成する、化合物AH、
    及び
    iii.中性電子供与体配位子
    を提供する工程、
    B.工程Aで提供された、i.、ii.及びiii.による反応物質を反応させる工程、
    及び
    C.任意に、工程Bで生成された前記式IXによる化合物を単離する工程
    を含む、方法。
  33. 工程Bにおける前記反応が、以下の工程を含む、請求項32に記載の方法:
    B.1.前記パラジウム化合物を最初に装入する工程
    B.2.前記化合物AHを添加する工程、及び
    B.3.前記中性電子供与体配位子Lを添加する工程
    又は
    B.1.前記パラジウム化合物を最初に装入する工程
    B.2.前記中性電子供与体配位子Lを添加する工程、及び
    B.3.前記化合物AHを添加する工程
    又は
    B.1.前記化合物AHを最初に装入する工程
    B.2.前記パラジウム化合物を添加する工程、及び
    B.3.前記中性電子供与体配位子Lを添加する工程
    又は
    B.1.前記化合物AHを最初に装入する工程
    B.2.前記中性電子供与体配位子を添加する工程、及び
    B.3.前記パラジウム化合物を添加する工程
    又は
    B.1.前記中性電子供与体配位子Lを最初に装入する工程
    B.2.前記パラジウム化合物を添加する工程、及び
    B.3.前記化合物AHを添加する工程
    又は
    B.1.前記中性電子供与体配位子Lを最初に装入する工程
    B.2.前記化合物AHを添加する工程、及び
    B.3.前記パラジウム化合物を添加する工程。
  34. 請求項32又は33に記載の方法によって得られるか又は得ることができる一般式IXによる化合物
  35. 前記中性電子供与体配位子Lがホスフィン配位子又はNHC配位子である、請求項27~29のいずれか一項に記載の化合物又は請求項32若しくは33に記載の方法。
  36. 前記電子供与体配位子Lが、
    -一般式P-R10R20R30の第3級ホスフィンであって、R10及びR20は、置換及び非置換の直鎖アルキル基、置換及び非置換の分岐アルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール基、並びに置換及び非置換のヘテロアリール基からなる群より独立して選択され、ヘテロ原子は、硫黄、窒素及び酸素からなる群より選択され、R30は、R10及びR20として定義されるか、又はメタロセニル基である、第三級ホスフィンであり、
    又は
    -2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル(DavePhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(XPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(SPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-イソプロポキシ-1,1’-ビフェニル(RuPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(BrettPhos)、[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]ジ-tertブチルホスフィン(Amphos)、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(Xantphos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル(CPhos)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)、ジ-(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(cataCXium)(登録商標)A)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(t-BuXPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(tert-BuBrettPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3-メトキシ-6-メチル-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(RockPhos)、2-ジ[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルホスフィノ]-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピル-1,1’-ビフェニル(JackiePhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-ビフェニル(JohnPhos)、R-(-)-1-[(S)-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(n-ブチル)ホスフィン、2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(AdBrettPhos)、2-ジエチルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニルラセミ2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル(TrixiePhos)、tert-ブチルホスフィン(PtBu)、トリイソプロピルホスフィン(PiPr)、ジ-tert-ブチル(イソプロピルホスフィン(P(iPr)tBu)tert-ブチル-ジ(イソプロピルホスフィン(P(iPr)tBu)、1,3,5,7-テトラメチル-8-フェニル-2,4,6-トリオキサ-8-ホスファアダマンタン(MeCgPPh)、N-[2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)フェニル]モルホリン(MorDalPhos)、4,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン(NiXantphos)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-(N,N(ジメチルアミノ))-1,1’-ビフェニル(tBuDavePhos)、ラセミ2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP)、1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(DTBPF)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピル)-1,1’-ビフェニル(Met-BuXPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-4-(N,N-ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル、トリメチルホスフィン(PMe)、トリス-p-トリルホスフィン(P(p-トリル))、トリス-o-トリルホスフィン(P(o-トリル))、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン(PPhトリス-(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン(P(C)、トリフルオロホスフィン、1-アダマンチル-ジ-(tert-ブチル)ホスフィン(P(1-Ad)tBu)、ジ(1-アダマンチル)-tert-ブチルホスフィン(P(1-Ad)tBu)、1-アダマンチル-ジ(イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、ジ(1-アダマンチル)-イソプロピルホスフィン(P(1-Ad)iPr)、1,3-ビス-(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)tert-ブチルジフェニルホスフィン(P(tBu)Ph)、フェニル-ジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチル-ネオペンチルホスフィン、1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1’-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p(トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、ベンジルジ-1-アダマンチルホスフィン、シクロヘキシルジ-tert-ブチルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-1,1’-ビナフチル、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリ-イソ-プロピルビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(シクロヘキシル-JohnPhos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-ジ-tert-シクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジ-シクロヘキシルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジフェニルホスフィノ-2’-(N,N(ジメチルアミノ)ビフェニル、(4-ジメチルアミノフェニル)(tert-ブチル)2-ホスフィン、1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンN-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、1-(2-メトキシフェニル)-2-(ジ-シクロヘキシルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ピロール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)インドール、N-フェニル-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ピロール、1-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)イミダゾール及び(S)-7,7’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-3,3’,4,4’-テトラヒドロ-4,4’-ジメチル-8,8’-ビ(2H-1,4-ベンゾオキサジン)(Solphos)からなる群より選択されるホスフィン配位子であり、
    又は
    -ジ-1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾリジン-2-イリデン(「SIMes」)、1,3-ビス(2,6-ジ-イソプロピルフェニル)イミダゾリジン-2-イリデン(「SIPr」)、1,3-ビス(2,6-ジ-イソプロピルフェニル)イミダゾリン-2-イリデン(不飽和NHC配位子、「IPr」)及び1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾリン-2-イリデン(不飽和NHC配位子、「IMes」)からなる群より選択されるNHC配位子である、請求項35に記載の化合物又は方法。
  37. 調製物であって、
    i.一般式
    [式中、X、R1、R2、R3、R4は、請求項27又は28で定義された通りであり、Lは、請求項27、35又は36で定義された通りである]による化合物
    又は
    一般式
    [式中、X、R、R、R、R、R4は、請求項29で定義された通りであり、Lは、請求項29、35又は36で定義された通りである]による化合物
    及び
    ii.少なくとも1種の有機ケイ素化合物
    を含む、調製物。
  38. 前記アニオン性配位子Xがハロゲン化物アニオン又は一価の弱配位性アニオンである、請求項18、32、33、35若しくは36のいずれか一項に記載の方法、又は請求項19~24、27~31、35若しくは36のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項26若しくは37に記載の調製物。
  39. 請求項1、10~16、18、32、33、35、36若しくは38のいずれか一項に記載の方法、又は請求項4、17、26、37若しくは38のいずれか一項に記載の調製物であって、
    前記有機ケイ素化合物の1つ及び/又は配位子Lの1つが、少なくとも1つの末端二重結合を含有する、方法又は調製物。
  40. 前記有機ケイ素化合物の1つが環状若しくは非環状シロキサンを含むか、若しくは環状若しくは非環状シロキサンであり、及び/又は配位子Lの1つが環状若しくは非環状シロキサンである、請求項1、10~16、18、32、33、35、36、38若しくは39のいずれか一項に記載の方法、又は請求項4、17、26、37、38若しくは39のいずれか一項に記載の調製物。
  41. 請求項4、17、26、37、38、39又は40のいずれか一項に記載の調製物であって、
    -ケイ素含有量が100ppm以上1000ppm以下であり、
    及び/又は
    -前記調製物が溶媒を含有する、調製物。
  42. 第1の反応物質と第2の反応物質とをクロスカップリングするための方法であって、
    A.第1の反応物質と、第2の反応物質と、先行する請求項の1つ以上に記載の少なくとも1種の化合物又は調製物とを含む反応混合物を提供する工程、
    及び
    B.先行する請求項の1つ以上に記載の少なくとも1種の化合物又は調製物の存在下で、前記第1の反応物質を前記第2の反応物質と反応させ、反応生成物を生成する工程
    を含む、方法。
  43. 前記第1の反応物質及び前記第2の反応物質が、以下からなる群:
    (i)前記第1の反応物質は、芳香族若しくはヘテロ芳香族ボロン酸又はそのエステルであり、前記第2の反応物質は、芳香族若しくはヘテロ芳香族ハロゲン化物、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである;
    (ii)前記第1の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族アミンであり、前記第2の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族ハロゲン化物、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである;
    (iii)前記第1の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族ハロゲン化亜鉛であり、前記第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである;
    (iv)前記第1の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族グリニャール化合物であり、前記第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである;
    (v)前記第1の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族ハロゲン化スズであり、前記第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである:
    (vi)前記第1の反応物質は、ケトン、アルデヒド、イミン、アミド又はエステルであり、前記第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートであり
    (vii)前記第1の反応物質は、アルコール又はチオールであり、前記第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである;
    (viii)前記第1の反応物質は、芳香族又はヘテロ芳香族シラノール、シロキサン又はシランであり、前記第2の反応物質は、芳香族、ヘテロ芳香族又はハロゲン化ビニル、トシラート、トリフラート、メシラート、スルファマート又はカルバマートである、
    より選択される、請求項42に記載の方法。
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