JP2024118837A - 熱処理治具の製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024118837000001
【課題】焼成済みの焼成物を原料として熱処理治具を製造するための製造方法の実現を目的とした。
【解決手段】本発明の熱処理治具の製造方法は、Al、SiO、MgOを主成分とし、リチウム含有化合物を含むリチウム含有焼成物を粉砕することにより焼成物由来原料を形成する焼成物由来原料形成工程と、前記焼成物由来原料形成工程において得られた焼成物由来原料を原料の一部又は全部として、Al、SiO、MgOを主成分として所定比で含む焼成原料を調製する焼成原料調製工程と、前記焼成原料調製工程において調製された前記焼成原料を混練する混練工程と、前記混練工程において混練された前記焼成原料を成形する成形工程と、前記成形工程において成形された前記焼成原料を所定の焼成条件下において焼成する焼成工程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱処理治具の製造方法に関する。
従来、下記特許文献1に開示されている熱処理容器のような熱処理治具が、例えばリチウム電池用活物質の製造等において熱処理を行うために用いられている。
下記特許文献1に開示されている熱処理容器は、板状の底部と、底部の周縁部に全周にわたって形成された、立設した板状の壁部と、を備えた槽状の容器を、アルミナ粉末等を含む混合粉末を焼成して形成したものである。特許文献1に開示されている発明では、熱処理容器を形成するための混合粉末として、全体の質量を100%としたときに、5~45%のアルミナ粉末と、0~35%のムライト粉末と、5~40%のコーディエライト粉末と、5~30%のスピネル粉末と、を有するものを用いている。このような混合粉末を用いて形成された熱処理容器は、耐反応性に優れた特性を示す。
特開2014-227327号公報
ここで、上記特許文献1に開示されている熱処理容器のような熱処理治具は、アルミナ、ムライト、コージェライトを含む未焼成の原料(未焼成原料)を用いて形成するのが、通例であった。しかしながら、資源の有効活用の観点からすれば、未焼成原料だけでなく、他の素材についても熱処理治具の原料として用いることができることが望ましい。
かかる知見に基づいて本発明者が鋭意検討したところ、例えば、既に焼成済みの焼成物を熱処理治具の原料として用いることができれば、資源の有効活用に貢献できるのではないかとの知見に至った。
そこで本発明は、焼成済みの焼成物を原料として熱処理治具を製造するための製造方法の実現を目的とした。
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明に係る熱処理治具の製造方法は、Al、SiO、MgOを主成分とし、リチウム含有化合物を含むリチウム含有焼成物に由来する焼成物由来原料形成工程と、前記焼成物由来原料形成工程において得られた焼成物由来原料を原料の一部又は全部として、Al、SiO、MgOを主成分として所定比で含む焼成原料を調製する焼成原料調製工程と、前記焼成原料調製工程において調製された前記焼成原料を混練する混練工程と、前記混練工程において混練された前記焼成原料を成形する成形工程と、前記成形工程において成形された前記焼成原料を所定の焼成条件下において焼成する焼成工程と、を含むことを特徴とするものである。
(2)上述した本発明に係る熱処理治具の製造方法は、前記焼成物由来原料形成工程が、前記リチウム含有焼成物を粉砕することにより焼成物由来原料を形成する工程であると良い。
(3)上述した本発明に係る熱処理治具の製造方法は、前記焼成原料が、Al、SiO、MgOを主成分とし、平均粒径が200μm~600μmの粗粒成分を含むように調製されたものであり、前記焼成原料調製工程において、前記焼成物由来原料が主として前記焼成原料を構成する前記粗粒成分を構成するように調製されるものであると良い。
(4)上述した本発明に係る熱処理治具の製造方法は、前記焼成原料調製工程が、アルミナ、ムライト、コージェライトを含む未焼成原料と、前記焼成物由来原料形成工程において得られた前記焼成物由来原料と、を混合することにより前記焼成原料を調製するものであると良い。
(5)上述した本発明に係る熱処理治具の製造方法は、前記焼成原料が、アルミナを5質量部以上、30質量部以下、ムライトを0質量部以上、30質量部以下、コージェライトを5質量部以上、30質量部以下、の範囲で含むものであること、を特徴とするものであると良い。
(6)上述した本発明に係る熱処理治具の製造方法は、前記焼成物由来原料の原料となる前記リチウム含有焼成物が、Al、SiO、MgOを主成分とする母材の表層に、リチウム含有化合物が付着したものであると良い。
本発明によれば、温度変化に対する耐久性の高い熱処理治具等の提供に適した熱処理治具用組成物を用いた熱処理治具の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施例に係る熱処理治具の製造方法によって製造された熱処理容器を示す斜視図である。
以下、本発明の一実施形態に係る熱処理治具の製造方法について説明する。
以下において本実施形態で例示する熱処理治具用組成物は、例えば、いわゆる匣鉢やルツボ等の熱処理容器、棚板、セッター等、熱処理用治具全般の製造において好適に利用できる。本実施形態の熱処理治具は、壁部の厚さの最も薄い最薄部が、9~12mmの厚さを有することが好ましい。また、本実施形態の熱処理治具において、壁部の最薄部以外の部分の厚さは、特に限定されるものではないが、16mm以下の厚さであることが好ましい。
本実施形態の熱処理治具の製造方法は、焼成物由来原料形成工程、焼成原料調製工程、混練工程、成形工程、及び焼成工程を含む複数の工程を経て実現される。以下、各工程についてさらに詳細に説明する。
<焼成物由来原料形成工程>
焼成物由来原料形成工程は、Al、SiO、MgOを主成分とし、リチウム含有化合物を含むリチウム含有焼成物に由来する焼成物由来原料を形成する工程である。焼成物由来原料形成工程は、リチウム含有焼成物に対して一又は複数の機械的加工や、化学的加工を施すことにより、焼成物由来原料を形成する工程とすることができる。焼成物由来原料形成工程は、例えばリチウム含有焼成物を粉砕することにより焼成物由来原料を形成する工程とすると良い。焼成物由来原料形成工程における処理対象となる焼成物由来原料は、リチウム含有化合物がAl、SiO、MgOと共に焼成物のなかに分散して含まれるものだけでなく、Al、SiO、MgOを主成分とする母材の表層に、リチウム含有化合物が付着したものとすることができる。焼成物由来原料形成工程は、焼成物由来原料が適宜の粒度分布になるようにリチウム含有焼成物を粉砕すると良い。例えば、焼成物由来原料形成工程は、平均粒径が200μm~600μmの粗粒成分が主要成分となるように粒度調整して粉砕すると良い。
<焼成原料調製工程>
焼成原料調製工程は、焼成物由来原料形成工程において得られた焼成物由来原料を原料の一部又は全部として、Al、SiO、MgOを主成分として所定比で含む焼成原料を調製する工程である。焼成原料調製工程は、アルミナ(Al)、ムライト(3Al・2SiO)、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO)等の成分を含む未焼成原料と、上述した焼成物由来原料形成工程において得られた焼成物由来原料とを混合することにより焼成原料を調製する工程である。
なお、焼成原料調製工程は、アルミナ、ムライト、コージェライト等の成分を含む未焼成原料を用いることなく、焼成原料を調製する工程とすることも可能である。この場合は、焼成原料調製工程は、焼成物由来原料形成工程において得られた焼成物由来原料に対して、バインダー等を所定量混合することにより焼成原料を調製する工程とすることができる。バインダーとしては、アルギン酸アンモン、アルギン酸ナトリウム、CMC、PVAが好適に利用できる。
ここで、上述した焼成物由来原料形成工程において得られる焼成物由来原料をAl、SiO、MgOを主成分とし、平均粒径が200μm~600μmの粗粒成分を含むように調製されたものとして準備しておくことにより、焼成原料を構成する粗粒成分に相当する部分を焼成物由来原料によって構成したものとすると良い。
また、焼成原料は、アルミナ、ムライト、コージェライト等の成分を、適宜の配合比で配合されたものとすると良い。例えば、アルミナを5質量部以上、30質量部以下、ムライトを5質量部以上、30質量部以下、コージェライトを5質量部以上、30質量部以下、の範囲で含むものとすると良い。
さらに、焼成原料は、アルミナ、ムライト、コージェライト、スピネル以外の成分を配合したものとすることも可能である。
<混練工程>
混練工程は、上述した焼成原料調製工程において調製された焼成原料を混練するための工程である。
<成形工程>
成形工程は、混練工程において混練された焼成原料を成形する工程である。成形工程では、熱処理治具用組成物の成形が、例えば、プレス成形、鋳込み成形、CIP成形等の成形方法で行われる。なお、前記成形方法は、生産性の観点からすればプレス成形が好ましい。
<焼成工程>
焼成工程は、成形工程において成形された焼成原料を所定の焼成条件下において焼成する工程である。焼成工程における焼成条件は、適宜設定可能であるが、例えば、最高温度を1250℃~1400℃、好ましくは1280℃~1350℃ として、所定時間(例えば、最高温度到達後、6時間以上保持)に亘って行うと良い。焼成工程における焼成処理は、適宜の雰囲気下において行うことができるが、大気雰囲気にて行うのが好ましい。
本実施形態の熱処理治具は、上述した工程を経て焼成原料の調製、成形、焼成を経て製造される。焼成原料で構成されるセラミックス粉末の混合物を焼成することにより、本発明の熱処理容器が多孔質セラミックスにより形成されることとなり、耐熱性を有するようになる。
本実施形態の熱処理治具の製造方法において、アルミナ(Al)は、主として被熱処理化合物に対する耐反応性を高める効果を発揮させるために使用される。そのため、本実施形態の熱処理治具の製造方法により製造される熱処理治具は、被熱処理化合物に対して高い耐反応性(耐食性とも称す)を発揮する。
上述したように、本実施形態の熱処理治具の製造方法において用いられる焼成原料は、アルミナが、5質量部以上、30質量部以下の割合で配合されたものである。これにより、被熱処理化合物に対する高い耐反応性が得られる熱処理治具を製造できる。本実施形態の熱処理治具の製造方法において、焼成原料に含まれるアルミナ粉末の含有割合が30質量部を超えると、セラミックス粉末に含まれる他の成分が相対的に減少し、熱膨張係数が大きくなることで熱衝撃に弱くなり、熱処理治具が所望の特性を発揮できにくくなる。
本実施形態の熱処理治具の製造方法において、ムライトは、主として耐熱衝撃性を高める効果を発揮させるために使用される。そのため、熱処理治具用組成物の主成分としてムライトを配合したものを調製し、これを焼成して熱処理治具を形成すれば、耐熱衝撃性の向上が期待できる。
上述したように、本実施形態の熱処理治具の製造方法において用いられる焼成原料は、ムライトが、5質量部以上、30質量部以下の割合で配合されたものである。これにより、耐熱衝撃性の高い熱処理治具を製造できる。本実施形態の熱処理治具の製造方法において、焼成原料に含まれるムライトの含有割合が30質量部を超えると、ワークとの反応性が大きくなる懸念がある。また、本実施形態の熱処理治具の製造方法において、ムライトの含有割合が5質量部を下回ると、熱衝撃でわれやすくなる懸念がある。
本実施形態の熱処理治具の製造方法において、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO)は、主として耐熱衝撃性を高める効果を得るために使用される。そのため、コージェライトを含有する熱処理治具は、高い耐熱衝撃性を発揮することが期待できる。
本実施形態の熱処理治具の製造方法において用いられる焼成原料は、コージェライトが、5質量部以上、30質量部以下の割合で配合されたものである。これにより、本実施形態の熱処理治具の製造方法により製造される熱処理治具は、高い耐熱衝撃性を発揮する。焼成原料に含まれるコージェライトの含有割合が上記の範囲を逸脱して少なくなると、熱処理治具における耐熱衝撃性の向上効果が低くなる。また、焼成原料に含まれるコージェライトの含有割合が上記の範囲を逸脱して多くなると、熱処理治具における被熱処理化合物による汚染が生じやすくなる。
本実施形態の熱処理治具の製造方法において用いられる焼成原料は、アルミナ、ムライト、コージェライト以外の成分として、その他の構成材料を混合した焼成原料を用いたものとすることができる。例えば、焼成原料にペタライト(LiAlSi10)を含有させることができる。ペタライトは、材質自身の熱膨張率が極めて低く、熱衝撃に対する耐久性を高める効果を発揮する。また、ペタライトを用いることにより、これを焼成して得られる焼成物である熱処理治具に、中空組織を形成することができる。
上述したような中空組織は、焼成原料(熱処理治具用組成物)をペタライトの融点あるいはこれに近い所定温度において焼成することにより、ペタライトの一部が気化して焼成物の組織内に空隙が形成されるといったメカニズムによるものと想定される。そのため、焼成原料(熱処理治具用組成物)にペタライトを含有させると、熱処理治具に熱衝撃が作用することにより形成される亀裂の進展が、ペタライトに由来して形成された空隙によって阻止される効果が期待できる。これにより、熱処理治具に対して熱衝撃が繰り返し加えられたときの弾性率の低下を抑制することができる。従って、アルミナ、ムライト、コージェライトに加えてペタライトを含む焼成原料を焼成して形成される熱処理治具は、ペタライトを含まない焼成原料を用いて製造したものに比べて耐熱衝撃性の向上が期待できる。本実施形態の焼成原料(熱処理治具用組成物)において、ペタライトは、5質量部以上、20質量部以下の割合で配合される。
本実施形態の熱処理治具の製造方法で用いられる焼成原料は、アルミナ、ムライト、コージェライト、ペタライト以外にも、他の成分を焼成原料(熱処理治具用組成物)として加えたものとすることも可能である。例えば、本実施形態の熱処理治具の製造方法では、焼成原料を構成する成分として、溶融シリカ(SiO)や炭化ケイ素(SiC)、スピネル(MgAl)等を含有させることができる。
溶融シリカは、材質自身の熱膨張率が極めて低く、熱衝撃に対する耐久性を高める効果を発揮する。そのため、溶融シリカを含む焼成原料を焼成して形成される熱処理治具は、高い耐熱衝撃性を発揮する。
また、炭化ケイ素(SiC)は、硬度、耐熱性が極めて高く、熱衝撃に対する耐久性を高める効果を発揮する。そのため、炭化ケイ素を含む焼成原料を焼成して形成される熱処理治具は、高い耐熱衝撃性を発揮する。また、炭化ケイ素は、高い化学的安定性を有し、被熱処理化合物に対する耐反応性を高める効果を発揮する。そのため、炭化ケイ素を含む焼成原料を焼成して形成される熱処理治具は、被熱処理化合物に対して高い耐反応性(耐食性とも称す)を発揮する。
スピネル(MgAl)は、主として耐反応性を高める効果を発揮する。そのため、本実施形態の熱処理治具の製造方法において、スピネルを焼成原料として加えることにより、高い耐反応性を発揮する熱処理治具を製造できる。
以下、実施例を用いて本発明の熱処理治具の製造方法について具体的に説明する。先ず、本実施例においては、焼成物由来原料形成工程において、Al、SiO、MgOを主成分とし、リチウム含有化合物を含むリチウム含有焼成物を粉砕することにより焼成物由来原料(以下、「粉砕原料」とも称す)を形成したサンプルとして、粉砕原料1~粉砕原料5を準備した。粉砕原料1~粉砕原料5の原料となったリチウム含有焼成物は、いずれもアルミナ、ムライト、コージェライトを含む原料を焼成して得られた焼成物を母材とし、その母材の表層に、リチウム含有化合物が付着したものであった。
また、比較例として、Al、SiO、MgOを主成分とし、リチウム含有化合物を含まない焼成物の原料粉末を焼成したものを比較例1、及び比較例2として準備した。比較例1及び比較例2は、いずれもアルミナ、ムライト、コージェライトを含むものであった。これらのサンプルのうち、粉砕原料5の原料とされた粉砕前の焼成物、及び比較例2は、ペタライトを含むものであった。また、粉砕原料1~粉砕原料4の原料とされた粉砕前の焼成物、及び比較例1は、ペタライトを含まないものであった。
上述した粉砕原料1~粉砕原料5と、比較原料1、比較原料2について、蛍光X線分析装置(RIGAKU社製ZSX PrimusIV)を用い、ガラスビード法により作成したサンプルについて蛍光X線分析(XRF)を行った。また、LiOの含有量を確認すべく、粉砕原料1~粉砕原料5と、比較原料1、比較原料2について、SHIMADZU社製AA-7000を用い、原子吸光分析を行った。これらの分析による分析結果を表1に示す。
Figure 2024118837000002
表1に示すように、粉砕原料1~粉砕原料5、及び比較例1、比較例2は、いずれもAl、SiO、MgOを主成分としつつ、Fe、TiO、CaO、NaO、KO等を、原料となった焼成物に由来する不純物として含むものであった。これらの不純物は、いずれも主成分であるAl、SiO、MgOに比べて微量であった。また、粉砕原料1~粉砕原料5においては、リチウム含有化合物に由来すると考えられるLiOが検出された。また、比較例2においては、ペタライトに由来すると考えられるLiOが検出された。
また、表1に示した粉砕原料のうち、粉砕原料2、及び粉砕原料5を使用することにより、本発明に係る熱処理治具の製造方法に則って作成したサンプル1、及びサンプル2について、蛍光X線分析を行った。その結果を、表2に示す。また表2には、比較例として、比較例1、及び比較例2に係る焼成物について蛍光X線分析を行った例を示す。なお、サンプル1及びサンプル2の作成に際しては、焼成原料調製工程において調製される焼成原料のうち質量比で30%分が粉砕原料2、及び粉砕原料5となるように、アルミナ(Al)、ムライト(3Al・2SiO)、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO)等の成分を含む未焼成原料と、粉砕原料2あるいは粉砕原料5との配合比を調整した。また、サンプル1及びサンプル2について、粉砕原料2及び粉砕原料5の粒度分布が相違するものをそれぞれ2種類準備した。サンプル1a及びサンプル2aは、それぞれ粉砕原料2及び粉砕原料5として粗粒(200μm~600μm)に分類される粒度範囲にあるものを用いて作成したサンプルである。また、サンプル1b及びサンプル2bは、それぞれ粉砕原料2及び粉砕原料5として微中粒(20μm~100μm)に分類される粒度範囲にあるものを用いて作成したサンプルである。
表2に示すように、粉砕原料2、及び粉砕原料5を使用して作成した焼成物の組成は、比較例1、及び比較例2に係る焼成物と遜色なく、大きく相違するものではなかった。これにより、リチウム含有化合物を含むリチウム含有焼成物を粉砕して形成した粉砕原料を用いた場合であっても、従来公知の匣鉢のようにアルミナ、ムライト、コージェライトを含む原料を焼成して得られた焼成物と同等の組成を有する焼成物を得ることができるとの知見が得られた。
Figure 2024118837000003
また、上述したサンプル1及び比較例1についての物性について、(a)気孔率、(b)かさ比重、(c)曲げ強度、(d)熱膨張率、(e)弾性率、及び(f)耐熱衝撃性の観点から検討した。その結果を表3に示す。また、各物性についての試験方法について、以下に説明する。
Figure 2024118837000004
(a)気孔率、及び(b)かさ比重について
上述した各試料を焼成して熱処理容器10(匣鉢)を作成し、この熱処理容器10の底面をなす部分から形成された寸法30~50mmの立方体状のものについて、JIS R 2205に準拠し、真空法にて気孔率及びかさ比重の測定を行った。
(c)曲げ強度について
上述した各試料について、10×10×60mmの大きさに成形したものを準備した。当該試料について、支点間距離を40mmとして、JIS R1601に準拠して、常温における三点曲げ強度を計測した。
(d)熱膨張率について
熱間線膨張率は、JIS R2207に記載の測定方法で1000℃で測定した。
(e)弾性率について
上述した各試料について、100×50×10mmの板状に成形したものを準備し、常温における弾性率を弾性率計にて計測した。
(f)耐熱衝撃性について
上述した各試料について、熱衝撃を繰り返し加えることによる劣化の進行度についての評価を行うべく、耐熱衝撃性試験を行った。具体的には、上述した各試料について、150×100×10mmの板状に成形したものを準備し、当該試料について(1)1100℃で30分加熱、(2)水中投下、からなる一連のフローを6回繰り返して行う試験を行った。耐熱衝撃性の試験については、前述の(1)及び(2)に係る昇温(加熱)及び水冷(急冷)に伴い、試料において割れが生じたか否かを目視により観察することにより行った。表3においては、何回目の昇温及び急冷の後に試料に割れが確認されたのかを示した。また、6回目の昇温及び急冷の後にも試料に割れが確認されなかったものについては、「6回以上」と記した。
表3に示すように、本発明に係る熱処理治具の製造方法に則って作成したサンプル1aは、比較例1と比較して、気孔率、かさ比重、曲げ強度、熱膨張率、弾性率、及び耐熱衝撃性のいずれの観点においても、同等の特性を示すものであった。
具体的には、サンプル1aに係る気孔率が29.9[%]であるのに対し、比較例1にかかる気孔率は、32.2[%]であった。また、サンプル1aに係るかさ比重が2.29であるのに対し、比較例1に係るかさ比重は2.23であった。サンプル1aに係る曲げ強度が6.2[MPa]であるのに対し、比較例1に係る曲げ強度は、5.7[MPa]であった。また、熱膨張率は、サンプル1a及び比較例1の双方とも0.47[%]であった。サンプル1aに係る弾性率が7.8[GPa]であるのに対し、比較例1に係る弾性率は、6.8[GPa]であった。また、サンプル1a及び比較例1は、双方とも、耐熱衝撃性試験において6回目の昇温及び急冷の後にも試料に割れが確認されず、両者同等の耐熱衝撃性を有することが確認された。
また、サンプル1aに係る気孔率が28.7[%]であるのに対し、比較例2に係る気孔率は、29.0[%]であった。また、サンプル2aに係るかさ比重が2.12であるのに対し、比較例2に係るかさ比重は2.09であった。サンプル2aに係る曲げ強度が11.7[MPa]であるのに対し、比較例2に係る曲げ強度は、12.8[MPa]であった。また、熱膨張率は、サンプル2aが0.33[%]であるのに対し、比較例2が0.36[%]であった。サンプル2aに係る弾性率が8.7[GPa]であるのに対し、比較例2に係る弾性率は、8.5[GPa]であった。また、サンプル2a及び比較例2は、双方とも、耐熱衝撃性試験において6回目の昇温及び急冷の後にも試料に割れが確認されず、両者同等の耐熱衝撃性を有することが確認された。
上述したように、サンプル1a及びサンプル2aは、それぞれ、いずれの物性についても、比較例1及び比較例2と比較して同等の特性を示すものであった。従って、リチウム含有化合物を含むリチウム含有焼成物を粉砕することにより得られた粉砕原料を用いた、本発明に係る熱処理治具の製造方法によれば、アルミナ、ムライト、コージェライトを含む原料を用いて製造した熱処理治具と比較して同等の特性を有する熱処理治具を製造できるとの知見が得られた。
また、サンプル1b(粉砕原料2として微中粒(20μm~100μm)に分類される粒度範囲にあるものを用いて作成したもの)と、サンプル1a(粉砕原料2として粗粒(200μm~600μm)に分類される粒度範囲にあるものを用いて作成したもの)とを比較すると、サンプル1bは、かさ比重や曲げ強度、熱膨張率、弾性率が、同等あるいはそれ以上の特性を有するものであった。その反面、サンプル1bは、気孔率が23.9[%]であり、サンプル1aの気孔率(29.9[%])や、比較例1の気孔率(32.2[%])よりも低かった。また、サンプル1bは、耐熱衝撃性試験において2回目の昇温及び急冷の後において試料に割れが確認されたことから、耐熱衝撃性についてもサンプル1aや比較例1のものよりも低いことが判明した。
同様に、サンプル2b(粉砕原料5として微中粒(20μm~100μm)に分類される粒度範囲にあるものを用いて作成したもの)と、サンプル2a(粉砕原料5として粗粒(200μm~600μm)に分類される粒度範囲にあるものを用いて作成したもの)とを比較すると、サンプル2bは、かさ比重や曲げ強度、熱膨張率、弾性率が、同等あるいはそれ以上の特性を有するものであった。その反面、サンプル2bは、気孔率が21.3[%]であり、サンプル2aの気孔率(28.7[%])や、比較例2の気孔率(29.0[%])よりも低かった。また、サンプル2bは、耐熱衝撃性試験において4回目の昇温及び急冷の後において試料に割れが確認されたことから、耐熱衝撃性についてもサンプル2aや比較例2のものよりも低いことが判明した。
上述した試験結果に基づけば、焼成物由来原料である粉砕原料を用いて熱処理治具を製造する場合には、焼成物由来原料(粉砕原料)が粗粒(200μm~600μm)に分類される粒度範囲となるように準備されたものを用いることが、耐熱衝撃性の向上において優位に働くとの知見が得られた。
本発明の熱処理治具の製造方法は、熱処理に用いるための治具全般の素材、及び製造方法として好適に利用できる。
10 : 熱処理容器(熱処理治具)
12 : 底部
14 : 立設壁

Claims (6)

  1. Al、SiO、MgOを主成分とし、リチウム含有化合物を含むリチウム含有焼成物に由来する焼成物由来原料形成工程と、
    前記焼成物由来原料形成工程において得られた焼成物由来原料を原料の一部又は全部として、Al、SiO、MgOを主成分として所定比で含む焼成原料を調製する焼成原料調製工程と、
    前記焼成原料調製工程において調製された前記焼成原料を混練する混練工程と、
    前記混練工程において混練された前記焼成原料を成形する成形工程と、
    前記成形工程において成形された前記焼成原料を所定の焼成条件下において焼成する焼成工程と、
    を含むことを特徴とする、熱処理治具の製造方法。
  2. 前記焼成物由来原料形成工程が、前記リチウム含有焼成物を粉砕することにより焼成物由来原料を形成する工程であることを特徴とする、請求項1に記載の熱処理治具の製造方法。
  3. 前記焼成原料が、Al、SiO、MgOを主成分とし、平均粒径が200μm~600μmの粗粒成分を含むように調製されたものであり、
    前記焼成原料調製工程において、前記焼成物由来原料が、主として前記焼成原料を構成する前記粗粒成分を構成するように調製されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理治具の製造方法。
  4. 前記焼成原料調製工程が、アルミナ、ムライト、コージェライトを含む未焼成原料と、前記焼成物由来原料形成工程において得られた前記焼成物由来原料と、を混合することにより前記焼成原料を調製するものであること、を特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理治具の製造方法。
  5. 前記焼成原料が、
    アルミナを5質量部以上、30質量部以下、
    ムライトを0質量部以上、30質量部以下、
    コージェライトを5質量部以上、30質量部以下、
    の範囲で含むものであること、を特徴とする請求項4に記載の熱処理治具の製造方法。
  6. 前記焼成物由来原料の原料となる前記リチウム含有焼成物が、Al、SiO、MgOを主成分とする母材の表層に、リチウム含有化合物が付着したものであること、を特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理治具の製造方法。
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