JP2024112118A - 同期電動機の駆動装置、ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電流センサを用いずとも弱め磁束制御を行うことが可能な同期電動機の駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置100は、同期電動機300に対する駆動指令と、同期電動機300の駆動状態に応じた駆動情報とが入力され、駆動指令および駆動情報に基づいて同期電動機300に印加するd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを演算して同期電動機300を駆動する。駆動装置100は、駆動指令および駆動情報に基づいてq軸電圧Vqを演算する駆動制御部120と、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqおよび駆動情報に基づいて、q軸電圧Vqへの干渉を表すq軸干渉項eq0を演算する干渉項演算部130と、q軸干渉項eq0の目標値である干渉項指令eq0*を取得し、干渉項指令eq0*およびq軸干渉項eq0に基づいてd軸電圧Vdを演算する干渉項制御部140とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】駆動装置100は、同期電動機300に対する駆動指令と、同期電動機300の駆動状態に応じた駆動情報とが入力され、駆動指令および駆動情報に基づいて同期電動機300に印加するd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを演算して同期電動機300を駆動する。駆動装置100は、駆動指令および駆動情報に基づいてq軸電圧Vqを演算する駆動制御部120と、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqおよび駆動情報に基づいて、q軸電圧Vqへの干渉を表すq軸干渉項eq0を演算する干渉項演算部130と、q軸干渉項eq0の目標値である干渉項指令eq0*を取得し、干渉項指令eq0*およびq軸干渉項eq0に基づいてd軸電圧Vdを演算する干渉項制御部140とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、同期電動機の駆動装置およびこれを用いたブレーキ装置に関する。
近年、自動車のステアリングやブレーキ装置などの補機系部品の電動化が進んでいる。補器系の電動化によって、装置の高応答化や、自動車の操作性・制御性の向上が期待されている。このような電動化補機は、一般に補機用バッテリの直流電力をインバータなどの電力変換装置によって交流電力に変換し、電動機を駆動することでステアリングやブレーキなどのアクチュエータを動作させている。また、電動機には小型化・高出力密度化といった観点から、永久磁石を回転子に備えた永久磁石型同期電動機(以下、単に同期電動機と称する)を用いることが多い。
ステアリングやブレーキなどの自動車の重要部品を同期電動機によって電動化する場合、同期電動機の制御性能だけでなく、低コスト化や信頼性も求められる。同期電動機の制御性能といった観点では、同期電動機を高速に駆動するための制御方法として、同期電動機の固定子巻線に対して、永久磁石による鎖交磁束の向きと逆方向に電流を流すことで誘起電圧を抑制する弱め磁束制御が知られている。
このような弱め磁束制御を実現するために、電流ベクトル制御を行う同期電動機の駆動装置が知られている。電流ベクトル制御では、一般に電流センサを同期電動機に備えることで同期電動機に流れる電流を検出し、検出した電流値に基づいて、永久磁石の鎖交磁束の向きの電流(d軸電流)と、それに直交する向きの電流(q軸電流)とをそれぞれ制御する。
しかし、電流ベクトル制御を行うために電流センサを同期電動機に備えると、補機系部品のコストが増大する恐れがある。また、電流センサが故障した場合には同期電動機を駆動することが困難となるため、信頼性の低下を招く恐れもある。そこで、電流センサによるこれらのデメリットの対策として、例えば、電流センサを用いずに同期電動機を駆動する電流センサレス制御方法が知られている(特許文献1)。特許文献1の制御方法では、同期電動機のd軸とq軸に現れる干渉電圧を非干渉化し、d軸電流が流れることを防止することで、電流センサレス制御における駆動システムの効率化を図っている。
特許文献1の制御方法では、d軸電流を流さないため弱め磁束制御が行われず、そのため同期電動機を高速に駆動しようとしても、同期電動機の回転速度が増大するにつれて誘起電圧も増大するため、高速化が困難であるという課題がある。
そこで本発明では、電流センサを用いずとも弱め磁束制御を行うことが可能な同期電動機の駆動装置を提供することを主な目的とする。
本発明による同期電動機の駆動装置は、同期電動機に対する駆動指令と、前記同期電動機の駆動状態に応じた駆動情報とが入力され、前記駆動指令および前記駆動情報に基づいて前記同期電動機に印加するd軸電圧およびq軸電圧を演算して前記同期電動機を駆動するものであって、前記駆動指令および前記駆動情報に基づいて前記q軸電圧を演算する駆動制御部と、前記d軸電圧、前記q軸電圧および前記駆動情報に基づいて、前記q軸電圧への干渉を表すq軸干渉項を演算する干渉項演算部と、前記q軸干渉項の目標値である干渉項指令を取得し、前記干渉項指令および前記q軸干渉項に基づいて前記d軸電圧を演算する干渉項制御部と、を備える。
本発明によるブレーキ装置は、車両に搭載されるものであって、同期電動機の駆動装置と、前記同期電動機の駆動力を用いて前記車両のブレーキパッドの動作を制御するブレーキアクチュエータと、を備える。
本発明によるブレーキ装置は、車両に搭載されるものであって、同期電動機の駆動装置と、前記同期電動機の駆動力を用いて前記車両のブレーキパッドの動作を制御するブレーキアクチュエータと、を備える。
本発明によれば、電流センサを用いずとも弱め磁束制御を行うことが可能な同期電動機の駆動装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る同期電動機の駆動装置100(以下、単に駆動装置100と称する)の主たる機能を示す構成図である。駆動装置100は、電力変換器200と接続されており、電力変換器200は同期電動機300と電気的に接続されている。また、同期電動機300には、その回転子位置を検出するための位置センサ400が備えられており、これにより同期電動機300の駆動状態に応じた駆動情報として、同期電動機300の回転子位置を表す電気角θを検出している。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る同期電動機の駆動装置100(以下、単に駆動装置100と称する)の主たる機能を示す構成図である。駆動装置100は、電力変換器200と接続されており、電力変換器200は同期電動機300と電気的に接続されている。また、同期電動機300には、その回転子位置を検出するための位置センサ400が備えられており、これにより同期電動機300の駆動状態に応じた駆動情報として、同期電動機300の回転子位置を表す電気角θを検出している。
駆動装置100には、上位制御装置(図示せず)から同期電動機300に対する駆動指令として、干渉項指令eq0*および加速トルク指令τa*が与えられるとともに、位置センサ400によって所定の周期で検出される電気角θが与えられる。駆動装置100は、これらの信号に基づいて、同期電動機300に印加するd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを決定し、電力変換器200へ送信する。
電力変換器200は、直流電力を交流電力に変換して同期電動機300へ出力する装置であり、例えば複数の半導体スイッチ素子を組み合わせて構成されるインバータである。同期電動機300の駆動時には、駆動装置100から送信されるd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqに基づいて電力変換器200の各半導体スイッチ素子をオン/オフ制御することで、三相交流電圧Vu,Vv,Vwを生成し、これらを同期電動機300に印加して同期電動機300を駆動する。
同期電動機300は、回転子に永久磁石(強磁性体)を備え、固定子に電機子巻線を巻回して構成される永久磁石型の同期電動機である。電力変換器200が駆動装置100からのd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqに応じて生成した三相交流電圧Vu,Vv,Vwが供給されることにより、同期電動機300は駆動する。これにより、駆動装置100は電力変換器200を介して同期電動機300を駆動することができる。
位置センサ400は、例えばレゾルバやホール効果を利用したホール素子など、同期電動機300の回転子位置を表す電気角θを検出可能なセンサである。ただし本実施形態では、同期電動機300が位置センサ400を備えた構成を例示しているが、例えば同期電動機300の電圧などの情報を使用して、位置センサ400を用いずに電気角θを推定する構成としても良い。このような構成にすると位置センサ400が不要となるため、より一層の低コスト化を図ることができる。
駆動装置100は、同期電動機300に対する駆動指令である干渉項指令eq0*および加速トルク指令τa*と、位置センサ400によって所定の周期で検出される電気角θの値、すなわち同期電動機300の駆動状態に応じた駆動情報である回転子位置の時間変化とに基づいて、同期電動機300を駆動するためのd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを演算する。駆動装置100は、駆動情報演算部110と、駆動制御部120と、干渉項演算部130と、干渉項制御部140と、の各機能ブロックを備える。駆動装置100は、例えばCPUやROM、RAM等を組み合わせて構成されるマイクロコンピュータを用いて構成され、CPUにおいて所定のプログラムを実行することにより、これらの機能ブロックが実現される。なお、駆動装置100の機能の一部または全部を、FPGA等のロジック回路を用いて実現しても良い。
駆動情報演算部110は、同期電動機300の駆動状態に応じた駆動情報として、電気角θの値の時間変化を取得し、この電気角θの時間変化に基づいて、同期電動機300の電気角速度ωと加速トルクτaを演算する。なお、駆動情報演算部110による電気角速度ωおよび加速トルクτaの演算方法の詳細については後述する。
駆動制御部120は、同期電動機300に対する駆動指令と、駆動情報演算部110により取得される同期電動機300の駆動情報とに基づいて、q軸電圧Vqを演算する。具体的には、駆動制御部120は、同期電動機300に対する加速トルク指令τa*を駆動指令として取得し、この加速トルク指令τa*と、駆動情報演算部110により演算される加速トルクτaとの偏差に基づいて、q軸電圧Vqを演算する。なお、駆動制御部120によるq軸電圧Vqの演算方法の詳細については後述する。
駆動情報演算部110および駆動制御部120による演算方法の詳細について、以下に図2を参照して説明する。図2は、駆動情報演算部110および駆動制御部120の主たる演算構成を示す図である。
駆動情報演算部110は、微分演算器111と、微分演算器112と、単位換算器113とを備えており、電気角θを入力として、同期電動機300の電気角速度ωと加速トルクτaを出力する。電気角速度ωは干渉項演算部130へ入力信号として送信され、加速トルクτaは駆動制御部120へ入力信号として送信される。
微分演算器111は、電気角θを入力信号として微分演算を行い、同期電動機300の電気角速度ωを演算する。
微分演算器112は、電気角速度ωを入力信号として微分演算を行い、同期電動機300の電気角加速度を演算する。
単位換算器113は、同期電動機300の電気角加速度を入力信号として単位換算を行うことで、加速トルクτaを演算する。単位換算器113は、例えば予め設定された同期電動機300の慣性モーメントを記憶しておき、この慣性モーメントを使用して、電気角加速度から加速トルクτaへの単位換算を行うことができる。
なお、微分演算器111や微分演算器112は、微分演算を行うので電気角θに含まれる検出ノイズを増幅する恐れがある。その場合は、フィルタを設けて検出ノイズを低減する構成としても良い。
駆動制御部120は、減算器121と、比例制御器122と、積分制御器123と、加算器124とを備えており、加速トルク指令τa*と加速トルクτaを入力信号として、q軸電圧Vqを出力する。
減算器121は、加速トルク指令τa*と加速トルクτaの偏差を演算し、比例制御器122と積分制御器123へそれぞれの入力信号として送信する。
比例制御器122は、減算器121により演算された加速トルク指令τa*と加速トルクτaの偏差を予め設定された所定の比例ゲインによって増幅し、加算器124へ送信する。
積分制御器123は、減算器121により演算された加速トルク指令τa*と加速トルクτaの偏差を時間積分し、その積分値を予め設定された所定の積分ゲインによって増幅して、加算器124へ送信する。
加算器124は、比例制御器122の演算結果と積分制御器123の演算結果との和を求め、その演算結果をq軸電圧Vqとして出力する。
なお、本実施形態では駆動制御部120の入力として加速トルク指令τa*と加速トルクτaを用いているが、駆動情報演算部110が単位換算器113を備えずに電気角加速度を出力し、この電気角加速度を駆動制御部120に入力するとともに、駆動制御部120が上位制御装置から電気角加速度指令を取得し、これらを用いて同期電動機300を制御する構成としても良い。このような構成とすると、同期電動機300の慣性モーメントに製造バラつきがあっても、その影響を受けなくなる利点がある。
また、駆動制御部120の入力には同期電動機の300の電気角速度を用いても良い。この構成とする場合、微分演算器112を省略できるので、電気角θに含まれる検出ノイズの影響を低減できる利点がある。
さらに、本実施形態では駆動制御部120が比例制御器122と積分制御器123を備えており、予め設定された比例ゲインや積分ゲインを用いて比例・積分制御を行う構成を例示したが、比例ゲインや積分ゲインの値をオンラインで更新可能としても良い。さらに、加速トルク指令τa*のフィードフォワード制御や他の制御手段を用いて、駆動制御部120の高度化を図っても良い。
図1の説明に戻ると、干渉項演算部130は、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqおよび同期電動機300の駆動情報である電気角θに基づいて、q軸電圧Vqへの干渉を表すq軸干渉項eq0を演算する。具体的には、干渉項演算部130は、干渉項制御部140により演算されるd軸電圧Vdと、駆動制御部120により演算されるq軸電圧Vqと、電気角θの時間変化に応じて駆動情報演算部110により演算される電気角速度ωとに基づいて、q軸干渉項eq0を演算する。
本実施形態の干渉項演算部130による演算方法の詳細について、以下に図3を参照して説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る干渉項演算部130の主たる演算構成を示す図である。本実施形態において、干渉項演算部130は、Vd-eq0特性演算部131と、Vq-eq0特性演算部132と、加算器133とを備えている。
一般に、同期電動機300の電圧方程式は次の式(1),(2)で表される。
Vd=R×id+s×Ld×id-ω×Lq×iq ・・・(1)
Vq=R×iq+s×Lq×iq+ω×Ld×id+ω×φ ・・・(2)
Vd=R×id+s×Ld×id-ω×Lq×iq ・・・(1)
Vq=R×iq+s×Lq×iq+ω×Ld×id+ω×φ ・・・(2)
電圧方程式(1),(2)において、R,Ld,Lq,φ,id,iqはそれぞれ、同期電動機300の固定子巻線抵抗、d軸インダクタンス、q軸インダクタンス、永久磁石による鎖交磁束、d軸電流、q軸電流を表し、sは微分演算子である。式(1)におけるω×Lq×iqと、式(2)におけるω×Ld×id+ω×φは、q軸とd軸の磁束がそれぞれ他方に影響する干渉項である。同期電動機300の制御では、これらの干渉項があるため、電流センサレスによる弱め磁束制御を困難にしている。
しかし、上記の干渉項の一つであるω×Ld×id+ω×φには、弱め磁束電流であるd軸電流idの情報が含まれている。そこで、本実施形態ではω×Ld×id=eq0とし、以下のようにしてこのq軸干渉項eq0を弱め磁束制御に利用する。
d軸電圧Vdからq軸干渉項eq0への伝達特性を表す伝達関数は、電圧方程式(1),(2)に基づき、次の式(3)で表すことができる。式(3)の成分eq01は、q軸干渉項eq0のうちd軸電圧Vdに応じて定まる成分を表している。これは、干渉項制御部140により演算されるd軸電圧Vdの値と、駆動情報演算部110により演算される電気角速度ωの値とを、式(3)の伝達関数にそれぞれ代入することで求められる。
eq01={ω×Ld×(R+s×Lq)×Vd}÷
{Ld×Lq×s^2+R×(Ld+Lq)×s+R^2+Ld×Lq×ω^2}
・・・(3)
eq01={ω×Ld×(R+s×Lq)×Vd}÷
{Ld×Lq×s^2+R×(Ld+Lq)×s+R^2+Ld×Lq×ω^2}
・・・(3)
q軸電圧Vqからq軸干渉項eq0への伝達特性を表す伝達関数は、電圧方程式(1),(2)に基づき、次の式(4)で表すことができる。式(4)の成分eq02は、q軸干渉項eq0のうちq軸電圧Vqに応じて定まる成分を表している。これは、駆動制御部120により演算されるq軸電圧Vqの値と、駆動情報演算部110により演算される電気角速度ωの値とを、式(4)の伝達関数にそれぞれ代入することで求められる。
eq02={(ω^2)×Ld×Lq×(Vq-ω×φ)}÷
{Ld×Lq×s^2+R×(Ld+Lq)×s+R^2+Ld×Lq×ω^2}
・・・(4)
eq02={(ω^2)×Ld×Lq×(Vq-ω×φ)}÷
{Ld×Lq×s^2+R×(Ld+Lq)×s+R^2+Ld×Lq×ω^2}
・・・(4)
式(3)で求められるq軸干渉項の成分eq01と、式(4)で求められるq軸干渉項の成分eq02との和が、弱め磁束電流であるd軸電流idの情報を含んだq軸干渉項eq0である。そのため、干渉項演算部130では、Vd-eq0特性演算部131により、予め記憶された式(3)を、d軸電圧Vdからq軸干渉項eq0への伝達特性を表す第1の伝達関数として用いて、第1のq軸干渉項成分eq01を演算する。また、Vq-eq0特性演算部132により、予め記憶された式(4)を、q軸電圧Vqからq軸干渉項eq0への伝達特性を表す第2の伝達関数として用いて、第2のq軸干渉項成分eq02を演算する。そして、加算器133により、第1のq軸干渉項成分eq01と第2のq軸干渉項成分eq02との和を計算することで、q軸干渉項eq0を演算する。
図1の説明に戻ると、干渉項制御部140は、q軸干渉項eq0の目標値を取得し、この目標値と、干渉項演算部130により演算されるq軸干渉項eq0とに基づいて、d軸電圧Vdを演算する。具体的には、干渉項制御部140は、同期電動機300に対する駆動指令として駆動装置100に入力された干渉項指令eq0*をq軸干渉項eq0の目標値として取得し、この干渉項指令eq0*にq軸干渉項eq0が近付くように、d軸電圧Vdを演算する。
図4は、干渉項制御部140の主たる演算構成を示す図である。干渉項制御部140は、減算器141と、比例制御器142と、積分制御器143と、加算器144とを備えており、干渉項指令eq0*およびq軸干渉項eq0を入力信号として、d軸電圧Vdを出力する。
減算器141は、干渉項指令eq0*とq軸干渉項eq0の偏差を演算し、比例制御器142と積分制御器143へそれぞれの入力信号として送信する。
比例制御器142は、減算器141により演算された干渉項指令eq0*とq軸干渉項eq0の偏差を予め設定された所定の比例ゲインによって増幅し、加算器144へ送信する。
積分制御器143は、減算器141により演算された干渉項指令eq0*とq軸干渉項eq0の偏差を時間積分し、その積分値を予め設定された所定の積分ゲインによって増幅して、加算器144へ送信する。
加算器144は、比例制御器142の演算結果と積分制御器143の演算結果との和を求め、その演算結果をd軸電圧Vdとして出力する。
干渉項指令eq0*は、前述のようにq軸干渉項eq0の目標値であり、上位制御装置から送信されている。この干渉項指令eq0*は、前述の電圧方程式(2)における干渉項であるω×Ld×idに対する指令値である。すなわち、q軸干渉項eq0を干渉項指令eq0*に追従するように制御することで、電流センサによる電流検出情報を用いずとも弱め磁束制御を行うことができ、その結果、駆動装置100の低コスト化・高信頼化を図りつつも、制御の高性能化を達成できる。
なお、一般に同期電動機の固定子巻線に電流を流すと、固定子を鎖交する磁束が過密になるため、磁気飽和が発生しインダクタンスが低下することが知られている。そこで本実施形態では、干渉項指令eq0*にこのような特性を含めておくことで、同期電動機300に磁気飽和が発生しても良好に弱め磁束制御を行うことができる。
本実施形態では、同期電動機300の速度制御や位置制御を行う上位制御装置において干渉項指令eq0*の演算を行うが、これを駆動装置100で行っても良い。例えば、同期電動機300の駆動情報(加速トルクや速度)を引数として干渉項指令eq0*の値が記録されたルックアップテーブルを予め駆動装置100に記憶し、これを用いることで、駆動装置100において干渉項指令eq0*の演算を行うことができる。
また、本実施形態では干渉項制御部140が比例制御器142と積分制御器143を備えており、予め設定された比例ゲインや積分ゲインを用いて比例・積分制御を行う構成を例示したが、比例ゲインや積分ゲインの値をオンラインで更新可能としても良い。さらに、干渉項指令eq0*のフィードフォワード制御や他の制御手段を用いて、干渉項制御部140の高度化を図っても良い。
本実施形態によれば、駆動装置100が干渉項演算部130と干渉項制御部140を備える構成とした。干渉項演算部130では、同期電動機300のd軸とq軸の間に干渉する成分eq0を演算し、弱め磁束電流であるd軸電流idの情報を抽出する構成とした。また、干渉項制御部140では、干渉項指令eq0*とq軸干渉項eq0が一致するようにd軸電圧Vdを演算することで、電流センサレスで弱め磁束制御が可能な構成とした。このような構成をとることにより、電流センサが不要となるため、装置の低コスト化や信頼性の向上につながる。さらに、弱め磁束制御によって同期電動機300を高速に駆動することができるので、その応答性を高めることができる。
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)駆動装置100は、同期電動機300に対する駆動指令と、同期電動機300の駆動状態に応じた駆動情報とが入力され、駆動指令および駆動情報に基づいて同期電動機300に印加するd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを演算して同期電動機300を駆動する。駆動装置100は、駆動指令および駆動情報に基づいてq軸電圧Vqを演算する駆動制御部120と、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqおよび駆動情報に基づいて、q軸電圧Vqへの干渉を表すq軸干渉項eq0を演算する干渉項演算部130と、q軸干渉項eq0の目標値である干渉項指令eq0*を取得し、干渉項指令eq0*およびq軸干渉項eq0に基づいてd軸電圧Vdを演算する干渉項制御部140とを備える。このようにしたので、電流センサを用いずとも弱め磁束制御を行うことが可能な駆動装置100を提供できる。そのため、同期電動機300の低コスト化や信頼性の向上、制御性能の向上を図ることができる。
(2)駆動装置100は、同期電動機300の回転子位置を表す電気角θの時間変化を駆動情報として取得し、これに基づいて同期電動機300の電気角速度ωおよび加速トルクτaを演算する駆動情報演算部110を備える。駆動制御部120は、同期電動機300に対する加速トルク指令τa*を駆動指令として取得し、加速トルク指令τa*と加速トルクτaの偏差に基づいてq軸電圧Vqを演算する。干渉項演算部130は、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqおよび電気角速度ωに基づいてq軸干渉項eq0を演算する。このようにしたので、駆動制御部120と干渉項演算部130において、同期電動機300に対する駆動指令として入力された加速トルク指令τa*と干渉項指令eq0*に応じて、q軸電圧Vqとq軸干渉項eq0をそれぞれ適切に演算することができる。
(3)駆動制御部120は、加速トルク指令τa*と加速トルクτaの偏差に所定の比例ゲインを乗算する比例制御器122と、加速トルク指令τa*と加速トルクτaの偏差を時間積分する積分制御器123と、を有し、加算器124により、比例制御器122の演算結果と積分制御器123の演算結果との和を求めることで、q軸電圧Vqを演算する。このようにしたので、加速トルクτaが加速トルク指令τa*に追従するようにq軸電圧Vqの演算を行い、これを用いて同期電動機300の駆動状態を適切に制御することができる。
(4)干渉項演算部130は、Vd-eq0特性演算部131およびVq-eq0特性演算部132により、同期電動機300の電圧方程式(1),(2)に基づくd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqからq軸干渉項eq0への伝達特性をそれぞれ表す第1の伝達関数および第2の伝達関数として、式(3),(4)をそれぞれ記憶する。そして、Vd-eq0特性演算部131においてd軸電圧Vdおよび電気角速度ωを第1の伝達関数に代入して得られる第1のq軸干渉項成分eq01と、Vq-eq0特性演算部132においてq軸電圧Vqおよび電気角速度ωを第2の伝達関数に代入して得られる第2のq軸干渉項成分eq02との和を、加算器133により求めることで、q軸干渉項eq0を演算する。このようにしたので、同期電動機300の電気的特性に応じたq軸干渉項eq0を正確に求めることができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、q軸電圧Vqへの干渉に加えて、さらにd軸電圧Vdへの干渉を考慮した同期電動機の駆動装置について説明する。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、q軸電圧Vqへの干渉に加えて、さらにd軸電圧Vdへの干渉を考慮した同期電動機の駆動装置について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る同期電動機の駆動装置500(以下、単に駆動装置500と称する)の主たる機能を示す構成図である。なお、図5において、第1の実施形態で説明した図1の駆動装置100と同様の機能を持つ構成には、共通の符号を付している。
本実施形態の駆動装置500において、第1の実施形態の駆動装置100との相違点は以下の通りである。すなわち、駆動装置500は、干渉項演算部130に代わり、q軸干渉項eq0に加えてd軸干渉項edを演算する干渉項演算部530を備える。また、電気角速度ωに基づいて誘起電圧ωφを演算する誘起電圧演算部570と、q軸干渉項eq0と誘起電圧ωφに基づいてq軸電圧Vqを補正するq軸電圧補正部560と、d軸干渉項edに基づいてd軸電圧Vdを補正するd軸電圧補正部550と、をさらに備える。
干渉項演算部530は、干渉項制御部140により演算されるd軸電圧Vdと、駆動制御部120により演算されるq軸電圧Vqと、電気角θの時間変化に応じて駆動情報演算部110により演算される電気角速度ωとに基づいて、q軸干渉項eq0およびd軸干渉項edを演算する。そして、q軸干渉項eq0の演算結果を干渉項制御部140とd軸電圧補正部550にそれぞれ送信し、d軸干渉項edの演算結果をq軸電圧補正部560に送信する。
なお、本実施形態において駆動制御部120は、第1の実施形態と同様の機能を有しているが、その出力信号が補正前のq軸電圧Vq1としてq軸電圧補正部560に送信される点が異なる。すなわち、本実施形態において駆動制御部120は、同期電動機300に対する加速トルク指令τa*を駆動指令として取得し、この加速トルク指令τa*と、駆動情報演算部110により演算される加速トルクτaとの偏差に基づいて、補正前のq軸電圧Vq1を演算し、q軸電圧補正部560に送信する。
同様に、本実施形態において干渉項制御部140は、第1の実施形態と同様の機能を有しているが、その出力信号が補正前のd軸電圧Vd1としてd軸電圧補正部550に送信される点が異なる。すなわち、本実施形態において干渉項制御部140は、同期電動機300に対する駆動指令として駆動装置100に入力された干渉項指令eq0*をq軸干渉項eq0の目標値として取得し、この干渉項指令eq0*にq軸干渉項eq0が近付くように補正前のd軸電圧Vd1を演算して、d軸電圧補正部550に送信する。
d軸電圧補正部550は、干渉項制御部140により演算される補正前のd軸電圧Vd1から、干渉項演算部530により演算されるd軸干渉項edを減算する減算器である。d軸電圧補正部550による演算結果は、前述の電圧方程式(1)でd軸電圧Vdに作用する干渉項(ed=ω×Lq×iq)をキャンセルすることで非干渉化した補正後のd軸電圧Vdとして、電力変換器200へ出力される。
誘起電圧演算部570は、電気角速度ωに基づいて同期電動機300の無負荷誘起電圧ωφを演算し、q軸電圧補正部560に送信する。
q軸電圧補正部560は、駆動制御部120により演算される補正前のq軸電圧Vq1に、干渉項演算部530により演算されるq軸干渉項eq0と、誘起電圧演算部570により演算される誘起電圧ωφとを加算する加算器である。q軸電圧補正部560による演算結果は、前述の電圧方程式(2)でq軸電圧Vqに作用する干渉項(eq=eq0+ωφ)をキャンセルすることで非干渉化した補正後のq軸電圧Vqとして、電力変換器200へ出力される。
本実施形態の干渉項演算部530による演算方法の詳細について、以下に図6を参照して説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る干渉項演算部530の主たる演算構成を示す図である。本実施形態において、干渉項演算部530は、第1の実施形態で説明した図4のVd-eq0特性演算部131、Vq-eq0特性演算部132および加算器133に加えて、さらにVd-ed特性演算部531と、Vq-ed特性演算部532と、加算器533とを備えている。
第1の実施形態で説明した干渉項演算部130では、同期電動機300の干渉項として、前述の式(3)、(4)を用いてq軸干渉項eq0を演算していたが、本実施形態ではこれに加えて、さらに以下の式(5)、(6)により、d軸干渉項edを演算する。
d軸電圧Vdからd軸干渉項edへの伝達特性を表す伝達関数は、電圧方程式(1),(2)に基づき、次の式(5)で表すことができる。式(5)の成分ed1は、d軸干渉項edのうちd軸電圧Vdに応じて定まる成分を表している。これは、d軸電圧補正部550により演算される補正後のd軸電圧Vdの値と、駆動情報演算部110により演算される電気角速度ωの値とを、式(5)の伝達関数にそれぞれ代入することで求められる。
ed1={-(ω^2)×Ld×Lq×Vd}÷
{Ld×Lq×s^2+R×(Ld+Lq)×s+R^2+Ld×Lq×ω^2}
・・・(5)
ed1={-(ω^2)×Ld×Lq×Vd}÷
{Ld×Lq×s^2+R×(Ld+Lq)×s+R^2+Ld×Lq×ω^2}
・・・(5)
q軸電圧Vqからd軸干渉項edへの伝達特性を表す伝達関数は、電圧方程式(1),(2)に基づき、次の式(6)で表すことができる。式(6)の成分ed2は、d軸干渉項edのうちq軸電圧Vqに応じて定まる成分を表している。これは、q軸電圧補正部560により演算される補正後のq軸電圧Vqの値と、駆動情報演算部110により演算される電気角速度ωの値とを、式(6)の伝達関数にそれぞれ代入することで求められる。
ed2={ω×Lq×(R+s×Ld)×(Vq-ω×φ)}÷
{Ld×Lq×s^2+R×(Ld+Lq)×s+R^2+Ld×Lq×ω^2}
・・・(6)
ed2={ω×Lq×(R+s×Ld)×(Vq-ω×φ)}÷
{Ld×Lq×s^2+R×(Ld+Lq)×s+R^2+Ld×Lq×ω^2}
・・・(6)
式(5)で求められるd軸干渉項の成分ed1と、式(6)で求められるd軸干渉項の成分ed2との和が、d軸電圧Vdに現れるd軸干渉項ed(=ω×Lq×iq)である。そのため、干渉項演算部530では、Vd-ed特性演算部531により、予め記憶された式(5)を、d軸電圧Vdからd軸干渉項edへの伝達特性を表す第3の伝達関数として用いて、第1のd軸干渉項成分ed1を演算する。また、Vq-ed特性演算部532により、予め記憶された式(6)を、q軸電圧Vqからd軸干渉項edへの伝達特性を表す第4の伝達関数として用いて、第2のd軸干渉項成分ed2を演算する。そして、加算器533により、第1のd軸干渉項成分ed1と第2のd軸干渉項成分ed2の和を計算することでd軸干渉項edを演算する。
本実施形態によれば、d軸電圧Vdとq軸電圧Vqの干渉項がそれぞれキャンセルされるため、同期電動機300の制御をより安定化することができる。
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、駆動装置500は、d軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqをそれぞれ補正するd軸電圧補正部550およびq軸電圧補正部560をさらに備える。干渉項演算部530は、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqおよび駆動情報に基づいて、d軸電圧Vdへの干渉を表すd軸干渉項edをさらに演算する。d軸電圧補正部550は、d軸干渉項edを用いてd軸電圧Vdを補正し、q軸電圧補正部560は、q軸干渉項eq0を用いてq軸電圧Vqを補正する。このようにしたので、d軸電圧Vdとq軸電圧Vqをそれぞれ非干渉化して、同期電動機300の制御をより一層安定化させることができる。
また、干渉項演算部530は、同期電動機300の電圧方程式(1),(2)に基づくd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqからd軸干渉項edへの伝達特性をそれぞれ表す第3の伝達関数および第4の伝達関数として、式(5),(6)をそれぞれ記憶する。そして、Vd-ed特性演算部531においてd軸電圧Vdおよび電気角速度ωを第3の伝達関数に代入して得られる第1のd軸干渉項成分ed1と、Vq-ed特性演算部532においてq軸電圧Vqおよび電気角速度ωを第4の伝達関数に代入して得られる第2のd軸干渉項成分ed2との和を、加算器533により求めることで、d軸干渉項edを演算する。このようにしたので、同期電動機300の電気的特性に応じたd軸干渉項edを正確に求めることができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態で説明した同期電動機の駆動装置を自動車のブレーキ装置に適用した例について説明する。なお、以下では第1の実施形態の駆動装置100を備えたブレーキ装置の例を説明するが、代わりに第2の実施形態の駆動装置500を備えても良い。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態で説明した同期電動機の駆動装置を自動車のブレーキ装置に適用した例について説明する。なお、以下では第1の実施形態の駆動装置100を備えたブレーキ装置の例を説明するが、代わりに第2の実施形態の駆動装置500を備えても良い。
図7は、本発明の第3の実施形態に係るブレーキ装置700の主要構成図である。本実施形態のブレーキ装置700は、第1の実施形態で説明した駆動装置100、電力変換器200および同期電動機300と、ブレーキペダル701、減速ギア702、油圧発生装置703、ESC(Electric Stability Control)704、ブレーキパッド705およびブレーキディスク706を備えて構成される。
運転者がブレーキペダル701を操作すると、その操作量に応じた加速トルク指令τa*および干渉項指令eq0*が駆動装置100へ送信される。駆動装置100は、入力された加速トルク指令τa*および干渉項指令eq0*に基づき、第1の実施形態で説明したようにしてd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを決定し、電力変換器200へ送信する。電力変換器200は、駆動装置100から送信されるd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqに基づいて三相交流電圧Vu,Vv,Vwを生成し、これらを同期電動機300に印加することで同期電動機300を駆動する。
同期電動機300の駆動力は、減速ギア702を介して油圧発生装置703へ伝達される。油圧発生装置703は、同期電動機300から伝達される駆動力を用いて油圧を発生し、ESC704へ供給する。ESC704は、油圧発生装置703から供給される油圧を用いて、車輪とともに回転する各ブレーキディスク706を押さえつけるように各ブレーキパッド705の動作を制御し、車両の制動を行う。すなわち、油圧発生装置703およびESC704は、同期電動機300の駆動力を用いてブレーキパッド705の動作を制御するブレーキアクチュエータとして機能する。
本実施形態では、駆動装置100により駆動される同期電動機300を用いてブレーキ装置700を動作させることで、自動車に搭載される電動補機の一種であるブレーキ装置の応答性を高め、これによってドライバビリティの向上を図ることができる。
なお、以上説明した第3の実施形態では、自動車に搭載されるブレーキ装置700への駆動装置100の適用例を説明したが、例えばステアリング装置など、他の電動補機についても適用可能である。あるいは、自動車用の電動補機以外の装置でも適用可能である。いずれの場合であっても、本発明を適用することで当該装置の制御特性を向上させ、これによって装置全体の性能や使いやすさを向上させることができる。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。また、各実施形態や変形例は単独で採用してもよいし、複数を任意に組み合わせて採用することも可能である。すなわち、本発明では各実施形態の特徴同士を任意に組み合わせることで、上述した効果を奏することが可能である。
上記の実施形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
100…駆動装置
110…駆動情報演算部
120…駆動制御部
130…干渉項演算部
140…干渉項制御部
200…電力変換器
300…同期電動機
400…位置センサ
500…駆動装置
530…干渉項演算部
550…d軸電圧補正部
560…q軸電圧補正部
570…誘起電圧演算部
700…ブレーキ装置
701…ブレーキペダル
702…減速ギア
703…油圧発生装置
704…ESC
705…ブレーキパッド
706…ブレーキディスク
110…駆動情報演算部
120…駆動制御部
130…干渉項演算部
140…干渉項制御部
200…電力変換器
300…同期電動機
400…位置センサ
500…駆動装置
530…干渉項演算部
550…d軸電圧補正部
560…q軸電圧補正部
570…誘起電圧演算部
700…ブレーキ装置
701…ブレーキペダル
702…減速ギア
703…油圧発生装置
704…ESC
705…ブレーキパッド
706…ブレーキディスク
Claims (7)
- 同期電動機に対する駆動指令と、前記同期電動機の駆動状態に応じた駆動情報とが入力され、前記駆動指令および前記駆動情報に基づいて前記同期電動機に印加するd軸電圧およびq軸電圧を演算して前記同期電動機を駆動する同期電動機の駆動装置であって、
前記駆動指令および前記駆動情報に基づいて前記q軸電圧を演算する駆動制御部と、
前記d軸電圧、前記q軸電圧および前記駆動情報に基づいて、前記q軸電圧への干渉を表すq軸干渉項を演算する干渉項演算部と、
前記q軸干渉項の目標値である干渉項指令を取得し、前記干渉項指令および前記q軸干渉項に基づいて前記d軸電圧を演算する干渉項制御部と、を備える同期電動機の駆動装置。 - 請求項1に記載の同期電動機の駆動装置において、
前記同期電動機の回転子位置の時間変化を前記駆動情報として取得し、前記回転子位置の時間変化に基づいて前記同期電動機の電気角速度および加速トルクを演算する駆動情報演算部を備え、
前記駆動制御部は、前記同期電動機に対する加速トルク指令を前記駆動指令として取得し、前記加速トルク指令と前記加速トルクの偏差に基づいて前記q軸電圧を演算し、
前記干渉項演算部は、前記d軸電圧、前記q軸電圧および前記電気角速度に基づいて前記q軸干渉項を演算する同期電動機の駆動装置。 - 請求項2に記載の同期電動機の駆動装置において、
前記駆動制御部は、
前記偏差に所定の比例ゲインを乗算する比例制御器と、前記偏差を時間積分する積分制御器と、を有し、
前記比例制御器の演算結果と前記積分制御器の演算結果との和を求めることで、前記q軸電圧を演算する同期電動機の駆動装置。 - 請求項2に記載の同期電動機の駆動装置において、
前記干渉項演算部は、
前記同期電動機の電圧方程式に基づく前記d軸電圧および前記q軸電圧から前記q軸干渉項への伝達特性をそれぞれ表す第1の伝達関数および第2の伝達関数をそれぞれ記憶し、
前記d軸電圧および前記電気角速度を前記第1の伝達関数に代入して得られる第1のq軸干渉項成分と、前記q軸電圧および前記電気角速度を前記第2の伝達関数に代入して得られる第2のq軸干渉項成分との和を求めることで、前記q軸干渉項を演算する同期電動機の駆動装置。 - 請求項1に記載の同期電動機の駆動装置において、
前記d軸電圧および前記q軸電圧をそれぞれ補正する補正部をさらに備え、
前記干渉項演算部は、前記d軸電圧、前記q軸電圧および前記駆動情報に基づいて、前記d軸電圧への干渉を表すd軸干渉項をさらに演算し、
前記補正部は、前記d軸干渉項を用いて前記d軸電圧を補正するとともに、前記q軸干渉項を用いて前記q軸電圧を補正する同期電動機の駆動装置。 - 請求項5に記載の同期電動機の駆動装置において、
前記干渉項演算部は、
前記同期電動機の電圧方程式に基づく前記d軸電圧および前記q軸電圧から前記d軸干渉項への伝達特性をそれぞれ表す第3の伝達関数および第4の伝達関数をそれぞれ記憶し、
前記d軸電圧および前記同期電動機の電気角速度を前記第3の伝達関数に代入して得られる第1のd軸干渉項成分と、前記q軸電圧および前記電気角速度を前記第4の伝達関数に代入して得られる第2のd軸干渉項成分との和を求めることで、前記d軸干渉項を演算する同期電動機の駆動装置。 - 車両に搭載されるブレーキ装置であって、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の同期電動機の駆動装置と、
前記同期電動機の駆動力を用いて前記車両のブレーキパッドの動作を制御するブレーキアクチュエータと、を備えるブレーキ装置。
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