JP2024091960A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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順人 堀田
啓司 大木
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Abstract

【課題】潤滑油組成物を低粘度化しても、耐摩耗性及び油膜保持性に優れる潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】基油(A)と、イミド化合物(B)と、カルシウム系清浄剤(C)と、ポリマー成分(D)と、ジチオリン酸亜鉛(E)とを含有する、潤滑油組成物であって、前記イミド化合物(B)は、一般式(b-1)で表されるコハク酸モノイミド(B1x)及び一般式(b-2)で表されるコハク酸ビスイミド(B2x)から選択される1種以上の非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)を含み、前記ポリマー成分(D)は、質量平均分子量(Mw)が10,000以上50,000以下であり、且つ、オレフィン系重合体(D1)及びポリメタクリレート(D2)から選択される1種以上を含む、潤滑油組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物に関する。
近年、環境負荷を軽減させるため、自動車等の車両に対して、省燃費性の向上が求められている。
省燃費性を向上する方法としては、潤滑油組成物の粘度を低下させて、潤滑油組成物の粘性抵抗を小さくし、エネルギーの損失を抑制する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2004-137317号公報
しかしながら、潤滑油組成物を低粘度化すると、エンジン内部の摺動部等で油膜が適切に保持され難くなり、エンジン部品等が疲労や摩耗により損傷しやすくなるため、潤滑油組成物には、耐疲労寿命や耐摩耗性のさらなる向上が望まれている。なお、以降の説明では、油膜を保持する性能のことを「油膜保持性」ともいう。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、潤滑油組成物を低粘度化しても、耐摩耗性及び油膜保持性に優れる潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、基油(A)と、特定のイミド化合物(B)と、カルシウム系清浄剤(C)と、特定のポリマー成分(D)と、ジチオリン酸亜鉛(E)とを含有する潤滑油組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、下記[1]~[9]を提供する。
[1] 基油(A)と、イミド化合物(B)と、カルシウム系清浄剤(C)と、ポリマー成分(D)と、ジチオリン酸亜鉛(E)とを含有する、潤滑油組成物であって、
前記イミド化合物(B)は、下記一般式(b-1)で表されるコハク酸モノイミド(B1x)及び下記一般式(b-2)で表されるコハク酸ビスイミド(B2x)から選択される1種以上の非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)を含み、
前記ポリマー成分(D)は、質量平均分子量(Mw)が10,000以上50,000以下であり、且つ、オレフィン系重合体(D1)及びポリメタクリレート(D2)から選択される1種以上を含む、潤滑油組成物。

〔上記一般式(b-1)及び(b-2)中、R、RA1、及びRA2は、それぞれ独立に、質量平均分子量(Mw)が500~4,000のアルケニル基である。
、RB1、及びRB2は、それぞれ独立に、炭素数2~5のアルキレン基である。
は、炭素数1~10のアルキル基、又は-(AO)n-Hで表される基(但し、Aは炭素数2~4のアルキレン基、nは1~10の整数を示す。)である。
x1は1~10の整数であり、x2は1~10の整数である。〕
[2] 前記イミド化合物(B)は、前記コハク酸モノイミド(B1x)のホウ素変性体(B1y)及び前記コハク酸ビスイミド(B2x)のホウ素変性体(B2y)から選択される1種以上のホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)を更に含み、
前記ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)に由来するホウ素原子(By-B)の含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.020質量%以下である、前記[1]に記載の潤滑油組成物。
[3] 前記ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)に由来するホウ素原子(By-B)の含有量と、前記イミド化合物(B)に由来する窒素原子(B-N)の含有量との比〔(By-B)/(B-N)〕が、質量比で、1.0以下である、前記[2]に記載の潤滑油組成物。
[4] 前記ジチオリン酸亜鉛(E)に由来するリン原子(E-P)の含有量と、前記イミド化合物(B)に由来する窒素原子(B-N)の含有量との比〔(E-P)/(B-N)〕が、質量比で、0.5以上5.0以下である、前記[1]~[3]のいずれか1つに記載の潤滑油組成物。
[5] 窒素原子(N)の含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.010質量%以上0.10質量%以下である、前記[1]~[4]のいずれか1つに記載の潤滑油組成物。
[6] 前記カルシウム系清浄剤(C)が、カルシウムスルホネートである、前記[1]~[5]のいずれか1つに記載の潤滑油組成物。
[7] 100℃における動粘度が、4.0mm/s以上20.0mm/s未満である、前記[1]~[6]のいずれか1つに記載の潤滑油組成物。
[8] 自動二輪車の内燃機関に用いられる、前記[1]~[7]のいずれか1つに記載の潤滑油組成物。
[9] 基油(A)と、イミド化合物(B)と、カルシウム系清浄剤(C)と、ポリマー成分(D)と、ジチオリン酸亜鉛(E)とを混合する工程を含む、潤滑油組成物の製造方法であって、
前記イミド化合物(B)は、下記一般式(b-1)で表されるコハク酸モノイミド(B1x)及び下記一般式(b-2)で表されるコハク酸ビスイミド(B2x)から選択される1種以上の非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)を含み、
前記ポリマー成分(D)は、質量平均分子量(Mw)が10,000以上50,000以下であり、且つ、オレフィン系重合体(D1)及びポリメタクリレート(D2)から選択される1種以上を含む、潤滑油組成物の製造方法。

〔上記一般式(b-1)及び(b-2)中、R、RA1及びRA2は、それぞれ独立に、質量平均分子量(Mw)が500~4,000のアルケニル基である。
、RB1及びRB2は、それぞれ独立に、炭素数2~5のアルキレン基である。
は、炭素数1~10のアルキル基、又は-(AO)n-Hで表される基(但し、Aは炭素数2~4のアルキレン基、nは1~10の整数を示す。)である。
x1は1~10の整数であり、x2は1~10の整数である。〕
本発明によると、潤滑油組成物を低粘度化しても、耐摩耗性及び油膜保持性に優れる潤滑油組成物を提供することができる。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。同様に、本明細書中において、数値範囲の記載に関する「以上」、「以下」、「未満」、「超」の数値は任意に組み合わせできる数値である。
[潤滑油組成物]
本実施形態の潤滑油組成物は、基油(A)と、イミド化合物(B)と、カルシウム系清浄剤(C)と、ポリマー成分(D)と、ジチオリン酸亜鉛(E)とを含有する、潤滑油組成物であって、
前記イミド化合物(B)は、下記一般式(b-1)で表されるコハク酸モノイミド(B1x)及び下記一般式(b-2)で表されるコハク酸ビスイミド(B2x)から選択される1種以上の非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)を含み、
前記ポリマー成分(D)は、質量平均分子量(Mw)が10,000以上50,000以下であり、且つ、オレフィン系重合体(D1)及びポリメタクリレート(D2)から選択される1種以上を含む、潤滑油組成物である。

〔上記一般式(b-1)及び(b-2)中、R、RA1、及びRA2は、それぞれ独立に、質量平均分子量(Mw)が500~4,000のアルケニル基である。
、RB1、及びRB2は、それぞれ独立に、炭素数2~5のアルキレン基である。
は、炭素数1~10のアルキル基、又は-(AO)n-Hで表される基(但し、Aは炭素数2~4のアルキレン基、nは1~10の整数を示す。)である。
x1は1~10の整数であり、x2は1~10の整数である。〕
潤滑油組成物は、省燃費性を向上させるために粘度を低下させると、油膜が薄くなり、油膜保持性が低下してしまう。そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、潤滑油組成物に基油(A)及び特定の質量平均分子量(Mw)を有するポリマー成分(D)を含めることで、油膜保持性が向上することを見出した。
また、高温清浄性等を確保する観点から、潤滑油組成物には、イミド化合物(B)及びカルシウム系清浄剤が配合される。さらに、耐摩耗性を確保する観点から、ジチオリン酸亜鉛(E)も配合される。
ところが、本発明者らが鋭意検討した結果、イミド化合物(B)の構造が、前記一般式(b-1)及び前記一般式(b-2)におけるRが水素原子である非キャップ型コハク酸イミド化合物(B’)である場合、耐摩耗性が劣ることがわかった。これは、非キャップ型コハク酸イミド化合物(B’)の場合、Rに位置する水素原子は、反応性が高い活性アミン水素であり、当該活性アミン水素の影響によって、ジチオリン酸亜鉛(E)の摩擦調整剤としての機能が阻害され、ジチオリン酸亜鉛(E)による耐摩耗性の向上効果を阻害するものと推察される。
そこで、本発明者らは、イミド化合物(B)として、前記一般式(b-1)及び前記一般式(b-2)におけるRがアルキル基等で置換された構造(キャップ型)である、特定の非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)を用いることにより、ジチオリン酸亜鉛(E)による耐摩耗性の向上効果を阻害することなく、耐摩耗性を十分に発揮させることができることを見出した。この効果は、前記非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)が活性アミン水素を有しないため、ジチオリン酸亜鉛(E)が活性アミン水素による影響を受けず、ジチオリン酸亜鉛(E)による耐摩耗性の向上効果が阻害されないことによると推察される。
本実施形態の潤滑油組成物において、基油(A)、イミド化合物(B)、カルシウム系清浄剤(C)、ポリマー成分(D)、及びジチオリン酸亜鉛(E)の合計含有量は、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上である。
なお、本実施形態の潤滑油組成物において、基油(A)、イミド化合物(B)、カルシウム系清浄剤(C)、ポリマー成分(D)、及びジチオリン酸亜鉛(E)の合計含有量の上限値は、100質量%であってもよいが、他の潤滑油用添加剤を含む場合には、イミド化合物(B)、カルシウム系清浄剤(C)、ポリマー成分(D)、及びジチオリン酸亜鉛(E)以外の潤滑油用添加剤との関係で調整すればよく、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは99.0質量%以下、更に好ましくは98.0質量%以下である。
以下、本実施形態の潤滑油組成物に含まれる各成分について説明する。
<基油(A)>
本実施形態の潤滑油組成物は、基油(A)を含有する。基油(A)としては、従来、潤滑油の基油として用いられている鉱油及び合成油から選択される1種以上を、特に制限なく使用することができる。
鉱油としては、例えば、パラフィン基原油、中間基原油、ナフテン基原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;前記常圧残油を減圧蒸留して得られる減圧残油;前記減圧残油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化仕上げ、水素化分解、高度水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化異性化脱ろう等の精製処理を1つ以上施して得られる鉱油等が挙げられる。
合成油としては、例えば、α-オレフィン単独重合体、α-オレフィン共重合体(例えば、エチレン-α-オレフィン共重合体等の炭素数8~14のα-オレフィン共重合体)等のポリα-オレフィン;イソパラフィン;ポリオールエステル、二塩基酸エステル等の各種エステル;ポリフェニルエーテル等の各種エーテル;ポリアルキレングリコール;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス(Gas To Liquids WAX))を異性化することで得られるGTL基油等が挙げられる。
本実施形態で用いる基油としては、API(米国石油協会)の基油カテゴリーのグループII又はIIIに分類される基油が好ましい。
基油(A)は、鉱油を単独で又は複数種を組み合わせて用いてもよく、合成油を単独で又は複数種組み合わせて用いてもよい。さらには、1種以上の鉱油と1種以上の合成油とを組み合わせて用いてもよい。
基油(A)の動粘度及び粘度指数については特に制限はないが、潤滑油組成物の油膜保持性、省燃費性、及び耐摩耗性をより良好なものとする点から、動粘度及び粘度指数は、以下の範囲とすることが好ましい。
基油(A)の40℃における動粘度(以下、「40℃動粘度」ともいう。)は、2.0mm/s~100.0mm/sが好ましく、5.0mm/s~80.0mm/sがより好ましく、10.0mm/s~60.0mm/sが更に好ましく、15mm/s~55mm/sがより更に好ましく、25mm/s~45mm/sが更になお好ましい。
基油(A)の100℃における動粘度(以下、「100℃動粘度」ともいう。)は、2.0mm/s~20.0mm/sが好ましく、3.0mm/s~9.0mm/sがより好ましく、4.0mm/s~8.0mm/sが更に好ましく、5.0mm/s~7.0mm/sがより更に好ましい。
基油(A)の粘度指数は、80以上が好ましく、90以上がより好ましく、100以上が更に好ましく、105以上がより更に好ましい。
前記40℃動粘度、前記100℃動粘度、及び前記粘度指数は、JIS K 2283:2000に準拠して測定又は算出することができる。
また、基油(A)が、2種以上の基油を含有する混合基油である場合、混合基油の動粘度及び粘度指数が上記範囲内にあることが好ましい。
本実施形態の潤滑油組成物において、基油(A)の含有量は特に限定されないが、本発明の効果をより発揮させやすくする観点から、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、60質量%~99質量%が好ましく、70質量%~98質量%がより好ましく、80質量%~97質量%が更に好ましい。
<イミド化合物(B)>
イミド化合物(B)は、下記一般式(b-1)で表されるコハク酸モノイミド(B1x)及び下記一般式(b-2)で表されるコハク酸ビスイミド(B2x)から選択される1種以上の非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)を含む。
イミド化合物(B)は、本実施形態の潤滑油組成物中において無灰系分散剤として機能し得る。
イミド化合物(B)は、ポリアミン化合物を原料として製造されるコハク酸モノイミド又はコハク酸ビスイミド化合物に含まれる活性アミン水素の少なくとも一部が、アルキル基等の置換基(下記一般式(b-1)及び(b-2)中におけるR)に置換された構造を有する。
本実施形態の潤滑油組成物は、潤滑油組成物がイミド化合物(B)を含有することにより、耐摩耗性を向上させることができる。
なお、本実施形態の潤滑油組成物が、潤滑油組成物がイミド化合物(B)を含有しない場合、また、イミド化合物(B)を含有せず、当該イミド化合物(B)以外のイミド化合物を含有する場合、耐摩耗性を良好なものとできない。
上記一般式(b-1)及び(b-2)中、R、RA1、及びRA2は、それぞれ独立に、質量平均分子量(Mw)が500~4,000のアルケニル基である。
上記アルケニル基としては、例えば、ポリブテニル基、ポリイソブテニル基、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられ、これらの中でも、ポリブテニル基、ポリイソブテニル基が好ましく、ポリイソブテニル基がより好ましい。
上記アルケニル基の質量平均分子量(Mw)は、500~4,000であり、好ましくは900~3,000であり、より好ましくは1,300~2,800であり、更に好ましくは1,800~2,600である。
本発明において、上記アルケニル基の質量平均分子量(Mw)は、例えば、上記アルケニル基の生成源であるポリオレフィンについて、GPC装置(装置名:HLC-8220型、東ソー株式会社製)に、カラム(製品名:TSKgel GMH-XL 2本、及び製品名:G2000H-XL 1本、東ソー株式会社製)を取り付け、検出器:屈折率検出器、測定温度:40℃、移動相:テトラヒドロフラン、流速:1.0mL/分間、濃度0.5mg/mLの条件で測定し、標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)として評価することができる。
また、別の方法としては、上記と同様の測定方法によって測定したイミド化合物(B)の質量平均分子量から、アルケニル基以外に該当する構造の理論分子量を減じた後、1分子中に含まれるアルケニル基数で除した値を、アルケニル基の質量平均分子量(Mw)として求めることもできる。
、RB1、及びRB2は、それぞれ独立に、炭素数2~5のアルキレン基である。
上記アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基等が挙げられる。なお、本明細書中、各種ブチレン基等における「各種」とは、直鎖状、分岐状、及びこれらの異性体を含むものを示す。
は、炭素数1~10のアルキル基、又は-(AO)n-Hで表される基(但し、Aは炭素数2~4のアルキレン基、nは1~10の整数を示す。)である。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、1,1-ジメチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、1,1-ジメチルヘプチル基、デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。
Aが示す炭素数2~4のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、各種ブチレン基等が挙げられ、エチレン基が好ましい。
nは、1~10の整数であり、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数である。
x1は1~10の整数であり、好ましくは2~5の整数、より好ましくは3又は4である。
x2は1~10の整数であり、好ましくは3~7の整数、より好ましくは5又は6である。
なお、イミド化合物(B)は、前記一般式(b-1)中、Rが、質量平均分子量(Mw)が500~4,000のアルキル基であるコハク酸モノイミド(B1x)を含んでもよい。また、前記一般式(b-2)中、RA1、及びRA2が、それぞれ独立に、質量平均分子量(Mw)が500~4,000のアルキル基であるコハク酸ビスイミド(B2x)を含んでもよい。
イミド化合物(B)は、コハク酸モノイミド(B1x)のうちの1種を単独で又は複数種を組み合わせて用いてもよい。また、イミド化合物(B)は、コハク酸ビスイミド(B2x)のうちの1種を単独で又は複数種を組み合わせて用いてもよい。更に、1種以上のコハク酸モノイミド(B1x)と1種以上のコハク酸ビスイミド(B2x)とを組み合わせて用いてもよい。
非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)は、例えば、ポリオレフィンと無水マレイン酸との反応で得られるアルケニルコハク酸無水物をポリアミンと反応させて活性アミン水素を有するアルケニルコハク酸イミド(上記一般式(b-1)又は上記一般式(b-2)におけるRが水素原子である化合物)を調製し、該活性アミン水素の少なくとも一部を、上記Rで表される基に置換することで製造することができる。
上記ポリオレフィンは、例えば、炭素数2~8のα-オレフィンから選ばれる1種又は2種以上を重合して得られる重合体が挙げられるが、イソブテンと1-ブテンとの共重合体が好ましい。
また、上記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン等の単一ジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ(メチルエチレン)トリアミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、ペンタペンチレンヘキサミン等のポリアルキレンポリアミン;アミノエチルピペラジン等のピペラジン誘導体;等が挙げられる。
上記活性アミン水素の置換反応は、公知の方法により行えばよく、例えば、上記活性アミン水素を有するアルケニルコハク酸イミド化合物と、上記一般式(b-1)及び上記一般式(b-2)におけるRを与えるハロゲン化アルキルとを反応させる方法が挙げられる。
前記イミド化合物(B)は、ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)を更に含んでもよい。前記イミド化合物(B)がホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)を更に含むことで、潤滑油組成物の高温清浄性をより良好なものとしやすい。
前記ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)としては、前記コハク酸モノイミド(B1x)のホウ素変性体(B1y)及び前記コハク酸ビスイミド(B2x)のホウ素変性体(B2y)から選択される1種以上が好ましい。
但し、前記ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)に由来するホウ素原子(By-B)の含有量は、潤滑油組成物の耐摩耗性をより良好なものとする観点から、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.020質量%以下が好ましく、0.015質量%以下がより好ましく、0.010質量%以下が更に好ましく、0.005質量%以下がより更に好ましい。
イミド化合物(B)中、前記非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)、及び必要に応じて含有される前記ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)の合計含有量としては、70質量%~100質量%が好ましく、80質量%~100質量%がより好ましく、90質量%~100質量%が更に好ましく、100質量%がより更に好ましい。
[比〔(By-B)/(B-N)〕]
前記ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)に由来するホウ素原子(By-B)の含有量と、前記イミド化合物(B)に由来する窒素原子(B-N)の含有量との比〔(By-B)/(B-N)〕は、質量比で、1.0以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.3以下であることが更に好ましい。
本実施形態の潤滑油組成物において、イミド化合物(B)の窒素原子換算での含有量としては、耐摩耗性をより良好にする点から、潤滑油組成物の全量基準で、0.010質量%以上0.10質量%以下が好ましく、0.012質量%以上0.080質量%以下がより好ましく、0.013質量%以上0.060質量%以下が更に好ましく、0.014質量%以上0.050質量%以下がより更に好ましく、0.020質量%以上0.035質量%以下が更になお好ましい。
本実施形態の潤滑油組成物において、イミド化合物(B)の含有量は、窒素原子換算での含有量が上記範囲となるように調整されることが好ましく、具体的には、耐摩耗性をより良好にする点から、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、1.0質量%~10.0質量%が好ましく、1.2質量%~8.0質量%がより好ましく、1.3質量%~6.0質量%が更に好ましく、1.4質量%~4.0質量%がより更に好ましく、2.0質量%~3.5質量%が更になお好ましい。
本実施形態の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、イミド化合物(B)以外の他の無灰系分散剤を含有してもよいし、前記他の無灰系分散剤を含有しなくてもよい。
イミド化合物(B)以外の他の無灰系分散剤としては、例えば、ベンジルアミン類、ホウ素含有ベンジルアミン類、コハク酸エステル類、脂肪酸あるいはコハク酸で代表される一価又は二価カルボン酸アミド類等が挙げられる。
ここで、本実施形態の潤滑油組成物は、耐摩耗性をより良好なものとする観点から、下記一般式(i)で表される非キャップ型コハク酸モノイミド(B’1)及び下記一般式(ii)で表される非キャップ型コハク酸ビスイミド(B’2)から選択される非キャップ型コハク酸イミド化合物(B’)を実質的に含有しないことが好ましい。

〔上記一般式(i)、(ii)中、R、RA1、RA2、R、RB1、RB2、x1、x2は、前記一般式(b-1)及び(b-2)と同じである。〕
なお、本明細書における「非キャップ型」とは、前記一般式(b-1)及び(b-2)におけるRが、水素原子である構造を意味する。また、前記一般式(b-1)及び(b-2)におけるRが、炭素数1~10のアルキル基、又は-(AO)n-Hで表される基(但し、Aは炭素数2~4のアルキレン基、nは1~10の整数を示す。)である構造を、「キャップ型」ともいう。
本明細書において、「非キャップ型コハク酸イミド化合物(B’)を実質的に含有しない」とは、非キャップ型コハク酸イミド化合物(B’)の含有量が、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、更に好ましくは0.01質量%未満、最も好ましくは非キャップ型イミド化合物(B’)を含まないことである。
<カルシウム系清浄剤(C)>
本実施形態の潤滑油組成物は、カルシウム系清浄剤(C)を含有する。潤滑油組成物がカルシウム系清浄剤(C)を含有することにより、高温清浄性を向上させることができる。
カルシウム系清浄剤(C)としては、例えば、下記一般式(C1)で表されるカルシウムスルホネート、下記一般式(C2)で表されるカルシウムフェネート、下記一般式(C3)で表されるカルシウムサリチレート等のカルシウム塩が挙げられる。
これらの中でも、高温清浄性をより良好なものとする点から、カルシウムスルホネートが好ましい。
カルシウム系清浄剤(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(C2)中、qは、0以上の整数であり、好ましくは0以上3以下の整数である。
Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基である。
Rとして選択し得る炭化水素基としては、直鎖構造であってもよいし、分岐鎖を有していてもよく、環形成していてもよい。これらの中でも、分岐鎖を有する炭化水素基が好ましい。
前記炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
Rとしては、分岐鎖を有するアルキル基が特に好ましい。
前記炭化水素基の炭素数は、3以上26以下が好ましく、7以上24以下がより好ましく、10以上20以下が更に好ましい。
前記分岐鎖を有する炭化水素基における、分岐鎖の炭素数は、1以上8以下が好ましく、2以上6以下がより好ましく、2以上5以下が更に好ましい。
カルシウム系清浄剤(C)は、中性、塩基性、又は過塩基性のいずれであってもよいが、高温清浄性をより向上させやすくする点から、塩基性又は過塩基性のものが好ましく、過塩基性のものがより好ましい。
なお、本明細書において、塩基性又は過塩基性金属系清浄剤とは、金属と酸性有機化合物とを反応させてなり、該金属と該酸性有機化合物との中和に必要な化学量論量よりも過剰の金属を含有するものを意味する。すなわち、金属と酸性有機化合物との中和に必要な化学量論量に従って反応させて得られる金属塩(中性塩)中の金属の化学当量に対する、金属系清浄剤中の金属の総化学当量を「金属比」としたときに、塩基性又は過塩基性金属系清浄剤の金属比は1より大きくなる。本実施形態に用いられる塩基性又は過塩基性金属系清浄剤の金属比は、好ましくは1.3超、より好ましくは5~30、更に好ましくは7~22である。塩基性又は過塩基性金属系清浄剤の具体例としては、上記した金属サリチレート、金属フェネート、及び金属スルホネートからなる群から選択される1種以上を含み、且つ過剰の金属を含有するものが挙げられる。
なお、本明細書において、後述する測定方法により測定される塩基価が、50mgKOH/g未満のものを「中性」、50mgKOH/g以上150mgKOH/g未満のものを「塩基性」、150mgKOH/g以上のものを「過塩基性」と定義する。
カルシウム系清浄剤(C)がカルシウムスルホネートである場合、カルシウムスルホネートの塩基価は、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは100mgKOH/g以上、更に好ましくは150mgKOH/g以上、より更に好ましくは250mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは500mgKOH/g以下、より好ましくは450mgKOH/g以下、更に好ましくは400mgKOH/g以下である。
カルシウム系清浄剤(C)がカルシウムフェネートである場合、カルシウムフェネートの塩基価は、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは100mgKOH/g以上、更に好ましくは150mgKOH/g以上、より更に好ましくは200mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは500mgKOH/g以下、より好ましくは450mgKOH/g以下、更に好ましくは400mgKOH/g以下である。
カルシウム系清浄剤(C)がカルシウムサリチレートである場合、カルシウムサリチレートの塩基価は、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは100mgKOH/g以上、更に好ましくは150mgKOH/g以上、より更に好ましくは200mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは500mgKOH/g以下、より好ましくは450mgKOH/g以下、更に好ましくは400mgKOH/g以下である。
なお、本明細書において、カルシウム系清浄剤(C)の「塩基価」とは、JIS K 2501:2003に準拠して、過塩素酸法により測定した塩基価を意味する。
本発明の一態様の潤滑油組成物は、カルシウム系清浄剤(C)に由来するカルシウム原子の含有量としては、高温清浄性をより向上させやすくする点から、潤滑油組成物の全量基準で、0.005質量%~0.40質量%が好ましく、0.010質量%~0.35質量%がより好ましく、0.050質量%~0.30質量%が更に好ましく、0.10質量%~0.25質量%がより更に好ましい。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、カルシウム系清浄剤(C)の含有量は、カルシウム系清浄剤(C)に由来するカルシウム原子の含有量が上記範囲を充足するように調整すればよい。カルシウム系清浄剤(C)の含有量は、具体的には、潤滑油組成物の全量基準で、0.5質量%以上5.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以上2.0質量%以下が更に好ましい。
<ポリマー成分(D)>
本実施形態の潤滑油組成物は、ポリマー成分(D)を含有する。
前記ポリマー成分(D)は、質量平均分子量(Mw)が10,000以上50,000以下であり、且つ、オレフィン系重合体(D1)及びポリメタクリレート(D2)から選択される1種以上を含む。
ポリマー成分(D)は、本実施形態の潤滑油組成物中において油膜保持向上剤として機能し得る。
潤滑油組成物がポリマー成分(D)を含有しない場合、油膜保持性を確保することが困難である。
また、ポリマー成分(D)に代えて、質量平均分子量(Mw)が10,000未満のポリマー成分を含有する場合、油膜保持性を良好なものとできない。ポリマー成分(D)に代えて、質量平均分子量(Mw)が50,000を超えるポリマー成分を含有する場合、エンジン内部の摺動部等に当該ポリマー成分が入りこめないため、油膜保持能の向上効果を得ることができない。
なお、ポリマー成分(D)に代えて、オレフィン系重合体(D1)及びポリメタクリレート(D2)以外のポリマー成分を含有する場合にも、油膜保持性を良好なものとできない。
ポリマー成分(D)は、オレフィン系重合体(D1)及びポリメタクリレート(D2)から選択される1種以上を含む。
前記オレフィン系重合体(D1)を構成するモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンから選択される少なくとも1種以上が挙げられ、2種以上の組合せによる共重合体であってもよい。
前記オレフィン系重合体(D1)としては、ポリ-α-オレフィン(PAO)、エチレン-プロピレン共重合体、ポリブデン等が挙げられる。これらの中でも、ポリ-α-オレフィン、エチレン-プロピレン共重合体が好ましい。
前記ポリマー成分(D)は、オレフィン系重合体(D1)及びポリメタクリレート(D2)のうちいずれか1種でもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリマー成分(D)中、前記オレフィン系重合体(D1)及び前記ポリメタクリレート(D2)から選択される1種以上の含有量としては、70質量%~100質量%が好ましく、80質量%~100質量%がより好ましく、90質量%~100質量%が更に好ましく、100質量%がより更に好ましい。
前記ポリマー成分(D)は、油膜保持性を良好にしつつも、せん断安定性を良好にし、更に引火点及び蒸発減量を適切な範囲に調整する点から、質量平均分子量(Mw)が10,000以上50,000以下であり、10,000以上40,000以下が好ましく、10,000以上30,000以下がより好ましく、10,000以上15,000以下が特に好ましい。
前記ポリマー成分(D)がオレフィン系重合体(D1)の場合の質量平均分子量(Mw)は、10,000以上20,000以下が好ましく、12,000以上18,000以下がより好ましく、14,000以上16,000以下が更に好ましく、14,000以上15,000以下がより更に好ましい。
前記ポリマー成分(D)がポリメタクリレート(D2)の場合の質量平均分子量(Mw)は、20,000以上50,000以下が好ましく、30,000以上40,000以下がより好ましく、32,000以上35,000以下が更に好ましい。
前記ポリマー成分(D)の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、ポリスチレン換算により算出した値である。
前記ポリマー成分(D)の含有量としては、特に限定されないが、油膜保持性を良好にする点から、潤滑油組成物の全量基準で、0.05質量%以上10.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上4.0質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上3.0質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下がより更に好ましい。
なお、本明細書において、ポリマー成分(D)は、ハンドリング性、基油(A)への溶解性等を考慮し、上述の基油(A)の一部に希釈し溶解させた溶液の形態で、他の成分と配合してもよい。このような場合、本明細書においては、ポリマー成分(D)の上述の含有量は、希釈油を除いた有効成分換算(樹脂分換算)での含有量を意味する。
<ジチオリン酸亜鉛(E)>
本実施形態の潤滑油組成物は、ジチオリン酸亜鉛(E)を含有する。
ジチオリン酸亜鉛(E)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ジチオリン酸亜鉛(E)としては、例えば、下記一般式(d-1)で表される化合物が挙げられる。

(式中、R11~R14は、それぞれ独立に、炭素数1~24の炭化水素基を示す。)
11~R14が示す炭化水素基としては、炭素数1~24の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数3~24の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数5~13のシクロアルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖アルキルシクロアルキル基、炭素数6~18のアリール基又は直鎖若しくは分岐鎖アルキルアリール基、及び炭素数7~19のアリールアルキル基等が挙げられ、これらの中でも、炭素数1~24の直鎖又は分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素数1~24の分岐鎖アルキル基がより好ましい。該分岐鎖アルキル基の炭素数は、好ましくは2~12、より好ましくは3~6である。炭素数1~24の分岐鎖アルキル基としては、例えば、iso-プロピル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、iso-ペンチル基、tert-ペンチル基、iso-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、iso-ノニル基、iso-デシル基、iso-トリデシル基、iso-ステアリル基、iso-イコシル基等が挙げられ、これらの中でも、sec-ブチル基が好ましい。
ジチオリン酸亜鉛(E)として、具体的にはジアルキルジチオリン酸亜鉛が好ましく、中でも第2級ジアルキルジチオリン酸亜鉛がより好ましい。
本実施形態の潤滑油組成物において、ジチオリン酸亜鉛(E)に由来するリン原子(E-P)の含有量は、リン原子排出量を低減する観点から、潤滑油組成物の全量基準で0.10質量%以下が好ましく、0.080質量%以下がより好ましく、0.070質量%以下が更に好ましく、0.065質量%以下がより更に好ましい。
本実施形態の潤滑油組成物において、ジチオリン酸亜鉛(E)の含有量は、リン原子換算での含有量が上記範囲に属するように調整されることが好ましく、具体的には、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.9質量%未満、更に好ましくは0.8質量%未満であり、また、耐摩耗性向上の点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。
[比〔(E-P)/(B-N)〕]
前記ジチオリン酸亜鉛(E)に由来するリン原子(E-P)の含有量と、前記イミド化合物(B)に由来する窒素原子(B-N)の含有量との比〔(E-P)/(B-N)〕は、質量比で、0.5以上5.0以下が好ましく、0.5以上4.0以下がより好ましく、1.0以上3.5以下が更に好ましい。
<その他の成分>
本実施形態の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外のその他の成分を含有してもよい。
前記その他の成分としての添加剤としては、例えば、酸化防止剤、カルシウム系清浄剤(C)以外の他の金属系清浄剤、消泡剤等が挙げられる。
これらの各成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、モリブデン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。これらの中でも、アミン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤から選ばれる1種以上が好ましい。
カルシウム系清浄剤(C)以外の他の金属系清浄剤としては、例えば、カルシウム以外の金属による、金属サリチレート、金属フェネート、及び金属スルホネート等が挙げられる。
前記カルシウム以外の金属としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられ、具体的には、ナトリウム、マグネシウム、バリウム等が挙げられる。これらの中でも、マグネシウムが好ましい。
消泡剤としては、例えば、シリコーン油、フルオロシリコーン油、フルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
上述した前記その他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜調整することができるが、その各々について、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、通常は0.001質量%~15質量%であり、0.005質量%~10質量%が好ましく、0.01質量%~7質量%がより好ましく、0.03質量%~5質量%が更に好ましい。
なお、本明細書において、前記その他の成分としての添加剤は、ハンドリング性、基油(A)への溶解性等を考慮し、上述の基油(A)の一部に希釈し溶解させた溶液の形態で、他の成分と配合してもよい。このような場合、本明細書においては、前記その他の成分としての添加剤の上述の含有量は、希釈油を除いた有効成分換算(樹脂分換算)での含有量を意味する。
[潤滑油組成物の物性値]
本実施形態の潤滑油組成物の100℃動粘度は、4.0mm/s以上が好ましく、5.0mm/s以上がより好ましく、6.1mm/s以上が更に好ましく、6.9mm/s以上がより更に好ましく、6.9mm/s以上が更になお好ましい。また、本実施形態の潤滑油組成物の100℃動粘度は、22.0mm/s未満が好ましく、20.0mm/s未満がより好ましく、16.3mm/s未満が更に好ましく、12.5mm/s未満がより更に好ましく、9.3mm/s未満が更になお好ましく、8.2mm/s未満が一層好ましい。100℃動粘度が4.0mm/s以上であると、耐摩耗性を確保しやすい。また、100℃動粘度が低いと、省燃費性を確保しやすい一方で、油膜を保持しにくいが、本実施形態の潤滑油組成物は、100℃動粘度が22.0mm/s未満であっても、油膜保持性が良好であり、省燃費性及び油膜保持性を両立することができる。
前記100℃動粘度は、JIS K 2283:2000に準拠して測定又は算出することができる。
本実施形態の潤滑油組成物の40℃動粘度は、10.0mm/s以上150.0mm/s以下が好ましく、20.0mm/s以上100.0mm/s以下がより好ましく、30.0mm/s以上60.0mm/s以下が更に好ましい。また、40.0mm/s以上140.0mm/s以下が好ましく、60.0mm/s以上130.0mm/s以下がより好ましく、80.0mm/s以上120.0mm/s以下が更に好ましい。40℃動粘度が前記範囲内であると、省燃費性及び油膜保持性を両立することができる。
本実施形態の潤滑油組成物の粘度指数は、80以上が好ましく、85以上がより好ましく、90以上が更に好ましく、95以上がより更に好ましい。粘度指数が80以上であると、温度による粘度変化が小さくなる。
前記40℃動粘度及び粘度指数は、JIS K 2283:2000に準拠して測定又は算出することができる。
高温高せん断粘度(HTHS粘度)とは、高温(150℃)、せん断速度10-1の条件下で測定される粘度である。
本実施形態の潤滑油組成物の150℃における高温高せん断粘度(150℃HTHS粘度)は、省燃費性及び油膜保持性の点から、1.7mPa・s以上3.7mPa・s以下が好ましく、2.0mPa・s以上3.5mPa・s以下がより好ましく、2.3mPa・s以上2.9mPa・s以下が更に好ましく、2.3mPa・s以上2.6mPa・s以下がより更に好ましい。
150℃におけるHTHS粘度が前記範囲内であると、油膜保持性を確保しながらも、潤滑油組成物の粘性抵抗が小さく、エネルギーの損失も小さいため、省燃費性を向上させやすい。
前記150℃HTHS粘度は、JPI-5S-36―03に準拠して測定又は算出することができる。
[ホウ素原子、カルシウム原子、リン原子、及び亜鉛原子の含有量]
本実施形態の潤滑油組成物におけるホウ素原子の含有量としては、潤滑油組成物の全量基準で、0.010質量%以下が好ましく、0.008質量%以下がより好ましく、0.006質量%以下が更に好ましい。潤滑油組成物にホウ素原子が含まれる場合、ホウ素原子の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、通常0.001質量%以上である。
本実施形態の潤滑油組成物におけるカルシウム原子の含有量としては、潤滑油組成物の全量基準で、0.50質量%以下が好ましく、0.40質量%以下がより好ましく、0.30質量%以下が更に好ましい。また、カルシウム原子の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましく、0.15質量%以上が更に好ましい。
本実施形態の潤滑油組成物におけるリン原子の含有量としては、潤滑油組成物の全量基準で、0.080質量%以下が好ましく、0.070質量%以下がより好ましく、0.065質量%以下が更に好ましく、0.062質量%以下がより更に好ましい。また、リン原子の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、0.010質量%以上が好ましく、0.050質量%以上がより好ましい。
本実施形態の潤滑油組成物における亜鉛原子の含有量としては、潤滑油組成物の全量基準で、0.090質量%以下が好ましく、0.080質量%以下がより好ましく、0.075質量%以下が更に好ましい。また、亜鉛原子の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、0.010質量%以上が好ましく、0.050質量%以上がより好ましい。
ホウ素原子、カルシウム原子、リン原子、及び亜鉛原子の含有量は、JPI-5S-38-03に準拠して測定することができる。
[窒素原子の含有量]
本実施形態の潤滑油組成物において、イミド化合物(B)由来の窒素原子、及びイミド化合物(B)以外のその他の成分由来の窒素原子を含む、窒素原子(N)の含有量(全量)としては、耐摩耗性をより良好にする点から、潤滑油組成物の全量基準で、0.010質量%以上0.10質量%以下が好ましく、0.012質量%以上0.080質量%以下がより好ましく、0.013質量%以上0.060質量%以下が更に好ましく、0.014質量%以上0.050質量%以下がより更に好ましい。
窒素原子の含有量は、JIS K 2609:1998に準拠して測定することができる。
なお、窒素原子を含む、イミド化合物(B)以外のその他の成分としては、例えば、アミン系酸化防止剤が挙げられる。
[耐摩耗性]
本実施形態の潤滑油組成物の耐摩耗性は、例えば、Falex Block on Ring摩擦摩耗試験機(LFW-1)を用いて評価することができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法で評価することができる。後述する実施例に記載の方法における試験片の摩耗幅としては、410μm以下が好ましく、385μm以下がより好ましく、380μm以下が更に好ましい。
[油膜保持性]
本実施形態の潤滑油組成物の油膜保持性は、弾性流体潤滑(Elasto-Hydrodynamic Lublication、EHL)での油膜の厚さ(EHL油膜厚さ)により評価することができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法で評価することができる。
EHL油膜厚さの測定装置としては、例えば、EHD2(PCS Insturments社製)を用いることができる。
後述する実施例に記載の方法におけるEHL油膜厚さとしては、17.0nm以上が好ましく、19.0nm以上がより好ましく、20.0nm以上が更に好ましい。
[潤滑油組成物の用途]
本実施形態の潤滑油組成物は、耐摩耗性、及び油膜保持性に優れる。
本実施形態の潤滑油組成物は、内燃機関に用いられることが好ましく、四輪車や自動二輪車の内燃機関に用いられることがより好ましく、自動二輪車の内燃機関に用いられることが更に好ましい。
自動車の内燃機関には、回転する軸と、軸を保持する軸受(ベアリング)が多数使われている。
軸受の種類としては、軸と軸受との間に存在する潤滑剤の油膜により摩擦を減少させる滑り軸受、また、軸受に備えられた玉やころ等の回転体を油膜で支えて摩擦を減少させる転がり軸受などが知られている。また、転がり軸受としては、回転体の形状により、玉軸受(ボールベアリング)、ころ軸受(ローラーベアリング)、針状ころ軸受(ニードルベアリング)等が広く用いられている。
玉軸受やころ軸受は、一般的に、外輪、内輪、回転体、及び回転体の位置を保持する保持器を有する。一方、針状ころ軸受は、保持器の形状次第で、回転体及び保持器のみから構成されることが可能である。したがって、針状ころ軸受は外輪及び内輪を必要としない分、玉軸受やころ軸受に比べて小型化や軽量化を図ることができる。
自動二輪車の内燃機関の軸受としては、そのエンジン構造のシンプルさや小型化の観点から、転がり軸受、特に針状ころ軸受が多く用いられる。また、四輪車においても、ローラータイプの動弁機構では、針状ころ軸受が用いられることがある。
しかしながら、転がり軸受は、滑り軸受と比較して軸との接触面積が小さいため、潤滑油組成物を保持する油膜保持性が不十分であると、エンジン内部の摺動部で適切な油膜が保持されず、摩擦が大きくなり、エンジン部品が疲労や摩耗による損傷を引き起こすおそれがある。したがって、本実施形態に係る潤滑油組成物は、油膜保持性に優れることから、転がり軸受等に用いられることが好適である。
[潤滑油組成物の製造方法]
本実施形態としては、基油(A)と、イミド化合物(B)と、カルシウム系清浄剤(C)と、ポリマー成分(D)と、ジチオリン酸亜鉛(E)とを混合する工程を含む、潤滑油組成物の製造方法であって、
前記イミド化合物(B)は、下記一般式(b-1)で表されるコハク酸モノイミド(B1x)及び下記一般式(b-2)で表されるコハク酸ビスイミド(B2x)から選択される1種以上の非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)を含み、
前記ポリマー成分(D)は、質量平均分子量(Mw)が10,000以上50,000以下であり、且つ、オレフィン系重合体(D1)及びポリメタクリレート(D2)から選択される1種以上を含む、潤滑油組成物の製造方法を提供する。

〔上記一般式(b-1)及び(b-2)中、R、RA1及びRA2は、それぞれ独立に、質量平均分子量(Mw)が500~4,000のアルケニル基である。
、RB1及びRB2は、それぞれ独立に、炭素数2~5のアルキレン基である。
は、炭素数1~10のアルキル基、又は-(AO)n-Hで表される基(但し、Aは炭素数2~4のアルキレン基、nは1~10の整数を示す。)である。
x1は1~10の整数であり、x2は1~10の整数である。〕
上記各成分を混合する方法としては、特に制限はないが、例えば、基油(A)に、イミド化合物(B)と、カルシウム系清浄剤(C)と、ポリマー成分(D)と、ジチオリン酸亜鉛(E)とを加えた後に混合する工程が挙げられる。
また、前記製造方法は、上述した前記その他の成分を加える工程を更に含むことができる。
各成分は、希釈油等を加えて溶液(分散体)の形態とした上加えられてもよい。また、各成分が加えられた後、公知の方法により、撹拌して均一に分散させる工程を含むことが好ましい。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた各成分及び得られた潤滑油組成物の各種性状は、下記方法によって測定した。
[40℃動粘度、100℃動粘度、及び粘度指数]
40℃動粘度、100℃動粘度、及び粘度指数を、JIS K 2283:2000に準拠して測定又は算出した。
[150℃HTHS粘度]
150℃HTHS粘度を、JPI-5S-36―03に準拠して測定又は算出した。
[ホウ素原子、カルシウム原子、リン原子、及び亜鉛原子の含有量]
ホウ素原子、カルシウム原子、リン原子、及び亜鉛原子の含有量を、JPI-5S-38-03に準拠して測定した。
[窒素原子の含有量]
窒素原子の含有量(全量、実測値)を、JIS K 2609:1998に準拠して測定した。
なお、実測値の窒素原子の含有量は、酸化防止剤に由来する窒素原子の含有量を含むため、イミド化合物の含有量と、イミド化合物自体が含有する窒素原子の含有量から、理論値を算出した。
[原子の含有量の比率]
求めた各原子の含有量のうち、ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)に由来するホウ素原子(By-B)の含有量をイミド化合物(B)に由来する窒素原子(B-N)の含有量で割ることにより、前記ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)に由来するホウ素原子(By-B)の含有量と、前記イミド化合物(B)に由来する窒素原子(B-N)の含有量との比〔(By-B)/(B-N)〕を算出した。
また、求めた各原子の含有量のうち、ジチオリン酸亜鉛(E)に由来するリン原子(E-P)の含有量をイミド化合物(B)に由来する窒素原子(B-N)の含有量で割ることにより、前記ジチオリン酸亜鉛(E)に由来するリン原子(E-P)の含有量と、前記イミド化合物(B)に由来する窒素原子(B-N)の含有量との比〔(E-P)/(B-N)〕を算出した。
[塩基価]
カルシウム系清浄剤(C)の塩基価は、JIS K 2501:2003に準拠して、過塩素酸法により測定した。
[実施例1~9、及び比較例1~4]
以下に示す各成分を、表1~表3に示す含有量で加えて十分に混合し、潤滑油組成物を得た。
実施例1~9、及び比較例1~4で用いた各成分の詳細は、以下に示すとおりである。
<基油(A)>
・基油(A1):鉱油(API基油カテゴリーでの分類:グループIII、40℃動粘度:32.7mm/s、100℃動粘度:6.0mm/s、粘度指数:132)
・基油(A2):鉱油(API基油カテゴリーでの分類:グループII、40℃動粘度:88.7mm/s、100℃動粘度:10.2mm/s、粘度指数:96)
<イミド化合物(B)>
・非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx):非ホウ素変性キャップ型アルケニルコハク酸ビスイミド(前記一般式(b-2)で表されるコハク酸ビスイミド(B2x)である。前記一般式(b-2)式中、RA1及びRA2は質量平均分子量(Mw)2300のポリブテニル基であり、RB1及びRB2はエチレン基であり、Rは-CHCHOCHCHOHで表される基であり、x2は5である。窒素原子の含有量:1.0質量%)
・ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By):ホウ素変性キャップ型アルケニルコハク酸イミド(ポリブテン骨格、窒素原子の含有量:2.3質量%、ホウ素原子の含有量:1.9質量%)
・非キャップ型コハク酸イミド化合物(B’):未変性アルケニルコハク酸ビスイミド(前記一般式(ii)で表される非キャップ型コハク酸ビスイミド(B’2)である。前記一般式(ii)中、RA1及びRA2は質量平均分子量(Mw)950のポリブテニル基であり、RB1及びRB2はエチレン基であり、x2は3である。窒素原子の含有量:1.9質量%)
<カルシウム系清浄剤(C)>
・カルシウム系清浄剤(C1):ブチル基の分岐鎖を有し、分岐鎖の炭素数を含む総炭素数16を主とするアルキル基を有する、カルシウムスルホネート(塩基価:300mgKOH/g、カルシウム原子の含有量:11.6質量%)
<ポリマー成分(D)>
・ポリマー成分(D1-1):エチレン-プロピレン共重合体(製品名:ルーカント HC-2000(登録商標)、三井化学株式会社製、質量平均分子量(Mw):14,000)
・ポリマー成分(D1-2):ポリ-α-オレフィン(PAO、質量平均分子量(Mw):16,000)
・ポリマー成分(D2):ポリメタクリレート(PMA、質量平均分子量(Mw):35,000)
・ポリマー成分(D3):エチレン-プロピレン共重合体(製品名:ルーカント HC-600(登録商標)、三井化学株式会社製、質量平均分子量(Mw):7,000)
なお、上記ポリマー成分(D)の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、ポリスチレン換算により算出した値とした。
<ジチオリン酸亜鉛(E)>
・ZnDTP:第2級ジアルキルジチオリン酸亜鉛(リン原子の含有量:7.1質量%)
<その他の成分>
・酸化防止剤:アルキル置換ジフェニルアミン系酸化防止剤
また、調製した潤滑油組成物について、以下の物性値、及び元素量を求めた。これらの結果を表1~表3に示す。
また、得られた各潤滑油組成物について、以下の評価を行った。結果を表1~表3に示す。
[耐摩耗性の評価]
Falex Block on Ring摩擦摩耗試験機(LFW-1)を用いて、以下の条件にて得られた潤滑油組成物を使用した場合の試験片の摩耗幅を測定した。前記試験片の摩耗幅が410μm以下であると、耐摩耗性に優れる潤滑油組成物であると評価した。
・装置名:Falex Block on Ring Test Machine(Falex Corporation社製)
・リング:Falex S-10 Test-Ring(SAE4620Steel)
・ブロック:Falex H-60 Test-Block(SAE01Steel)
・油温:100℃
・荷重:294N
・速度:250rpm
・試験時間:60分間
・供試油量:120mL
[油膜保持性の評価]
以下の条件にて得られた潤滑油組成物の油膜厚さを測定した。前記油膜厚さを同一の条件で3回測定し、3回の測定値の平均値を、潤滑油組成物のEHL油膜厚さとした。前記EHL油膜厚さが、17.0nm以上であると、油膜保持性に優れる潤滑油組成物であると評価した。
・装置名:EHD2(PCS Insturments社製)
・試験片:Steel Ball(直径:7.5mm)
・ディスク:SiO/CrコーティングしたGlass Disc
・油温:80℃
・荷重:20N(面圧:0.5GPa)
・速度:100mm/s
・滑り率(SRR):200%
本発明の構成を全て満たす実施例1~9の潤滑油組成物は、いずれも耐摩耗性、及び油膜保持性に優れる結果となった。
一方、イミド化合物(B)として、非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)を含有せず、ホウ素変性キャップ型イミド化合物(By)のみを含有する比較例1の潤滑油組成物、及び、イミド化合物(B)として、非キャップ型イミド化合物(B’)のみを含有する比較例2の潤滑油組成物は、耐摩耗性が劣る結果となった。
また、ポリマー成分(D)を含有しない比較例3の潤滑油組成物、及び質量平均分子量(Mw)が10,000未満であるポリマー成分(D)を含有する比較例4の潤滑油組成物は、油膜保持性が劣る結果となった。

Claims (9)

  1. 基油(A)と、イミド化合物(B)と、カルシウム系清浄剤(C)と、ポリマー成分(D)と、ジチオリン酸亜鉛(E)とを含有する、潤滑油組成物であって、
    前記イミド化合物(B)は、下記一般式(b-1)で表されるコハク酸モノイミド(B1x)及び下記一般式(b-2)で表されるコハク酸ビスイミド(B2x)から選択される1種以上の非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)を含み、
    前記ポリマー成分(D)は、質量平均分子量(Mw)が10,000以上50,000以下であり、且つ、オレフィン系重合体(D1)及びポリメタクリレート(D2)から選択される1種以上を含む、潤滑油組成物。

    〔上記一般式(b-1)及び(b-2)中、R、RA1、及びRA2は、それぞれ独立に、質量平均分子量(Mw)が500~4,000のアルケニル基である。
    、RB1、及びRB2は、それぞれ独立に、炭素数2~5のアルキレン基である。
    は、炭素数1~10のアルキル基、又は-(AO)n-Hで表される基(但し、Aは炭素数2~4のアルキレン基、nは1~10の整数を示す。)である。
    x1は1~10の整数であり、x2は1~10の整数である。〕
  2. 前記イミド化合物(B)は、前記コハク酸モノイミド(B1x)のホウ素変性体(B1y)及び前記コハク酸ビスイミド(B2x)のホウ素変性体(B2y)から選択される1種以上のホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)を更に含み、
    前記ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)に由来するホウ素原子(By-B)の含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.020質量%以下である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 前記ホウ素変性コハク酸イミド化合物(By)に由来するホウ素原子(By-B)の含有量と、前記イミド化合物(B)に由来する窒素原子(B-N)の含有量との比〔(By-B)/(B-N)〕が、質量比で、1.0以下である、請求項2に記載の潤滑油組成物。
  4. 前記ジチオリン酸亜鉛(E)に由来するリン原子(E-P)の含有量と、前記イミド化合物(B)に由来する窒素原子(B-N)の含有量との比〔(E-P)/(B-N)〕が、質量比で、0.5以上5.0以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  5. 窒素原子(N)の含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.010質量%以上0.10質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  6. 前記カルシウム系清浄剤(C)が、カルシウムスルホネートである、請求項1~5のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  7. 100℃における動粘度が、4.0mm/s以上20.0mm/s未満である、請求項1~6のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  8. 自動二輪車の内燃機関に用いられる、請求項1~7のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  9. 基油(A)と、イミド化合物(B)と、カルシウム系清浄剤(C)と、ポリマー成分(D)と、ジチオリン酸亜鉛(E)とを混合する工程を含む、潤滑油組成物の製造方法であって、
    前記イミド化合物(B)は、下記一般式(b-1)で表されるコハク酸モノイミド(B1x)及び下記一般式(b-2)で表されるコハク酸ビスイミド(B2x)から選択される1種以上の非ホウ素変性コハク酸イミド化合物(Bx)を含み、
    前記ポリマー成分(D)は、質量平均分子量(Mw)が10,000以上50,000以下であり、且つ、オレフィン系重合体(D1)及びポリメタクリレート(D2)から選択される1種以上を含む、潤滑油組成物の製造方法。

    〔上記一般式(b-1)及び(b-2)中、R、RA1及びRA2は、それぞれ独立に、質量平均分子量(Mw)が500~4,000のアルケニル基である。
    、RB1及びRB2は、それぞれ独立に、炭素数2~5のアルキレン基である。
    は、炭素数1~10のアルキル基、又は-(AO)n-Hで表される基(但し、Aは炭素数2~4のアルキレン基、nは1~10の整数を示す。)である。
    x1は1~10の整数であり、x2は1~10の整数である。〕
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