JP2024090936A - 熱交換器及び熱交換器の製造方法 - Google Patents

熱交換器及び熱交換器の製造方法 Download PDF

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信行 高橋
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Abstract

Figure 2024090936000001
【課題】生産性をより向上することができる、より具体的には、接合プロセス時間が短く、かつオープンタイムが長い、熱交換器の製造方法を提供する。
【解決手段】表面シート3と、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂から選択される少なくとも一種である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする固形接合剤28と、表面シート3に対向する表面30に流路20を有する流路形成シート4とが、この順に配置された状態の積層体を準備する接合前工程と、積層体を加熱及び加圧して固形接合剤を溶融させ、表面シート3と流路形成シート4とを接合する接合工程とを含む、熱交換器の製造方法である。非晶性熱可塑性樹脂のエポキシ当量が1,600以上であるか、又は非晶性熱可塑性樹脂がエポキシ基を含まず、非晶性熱可塑性樹脂の融解熱が15J/g以下である。
【選択図】図1

Description

本開示は熱交換器及び熱交換器の製造方法に関する。
電気自動車やハイブリッド車に搭載される電池モジュールでは、連続して大容量の充電又は放電をするために電池パックの発熱量が大きい。このため電池モジュールに水冷式冷却器やヒートパイプを組み込むことによって、熱による悪影響を回避する技術が提案されている。
例えば特許文献1は、エッチング加工された金属シートを2枚以上積み重ねて、少なくとも外周部の一部が接合により密閉された容器を形成した熱交換器を開示している。
特開2015-059693号公報
上記特許文献1の熱交換器は、外周壁及び流路を形成するウィックを拡散接合することにより密閉するため、難易度が高く、生産効率を向上することが困難であるという問題があった。
本開示において、接合プロセス時間とは、接合剤が、接合体を構成する一方又は両方の基材と最初に接触した時を始点、接合体の作製の完了時を終点として、始点から終点までの時間を意味する。例えば、接合プロセス時間は、液状接着剤の塗布工程及び乾燥工程又は固形接合剤の載置工程に要する時間、及び基材同士を接着する(例えば、接着層を硬化させる)のに要する時間を含む。接合プロセス時間が短いほど、接合体の生産性を高めることができる。
本開示において、オープンタイムとは、一方の基材(例えば第1部材)の上に接合剤を塗布又は載せた後、他方の基材(例えば第2部材)を載せ終えるまでの制限時間を意味する。オープンタイム内であれば、接合剤の接着力が低下せず、十分な接着力でこれらの基材を貼り合わせることができる。オープンタイムが長いほど、接合体の製造工程の自由度を高めることができる。
本発明は、生産性をより向上することができる、より具体的には、接合プロセス時間が短く、かつオープンタイムが長い、熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、高い接合強度で構成部材が接合された熱交換器を提供することを目的とする。
本開示は以下の態様を包含する。
[1]
表面シートと、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂から選択される少なくとも一種である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする固形接合剤と、前記表面シートに対向する表面に流路を有する流路形成シートとが、この順に配置された状態の積層体を準備する接合前工程と、
前記積層体を加熱及び加圧して前記固形接合剤を溶融させ、前記表面シートと前記流路形成シートとを接合する接合工程と
を含む、熱交換器の製造方法であって、
前記非晶性熱可塑性樹脂のエポキシ当量が1,600以上であるか、又は前記非晶性熱可塑性樹脂がエポキシ基を含まず、前記非晶性熱可塑性樹脂の融解熱が15J/g以下である、熱交換器の製造方法。
[2]
前記加熱及び加圧を、100℃~400℃及び0.01MPa~20MPaの条件で行う、[1]に記載の熱交換器の製造方法。
[3]
溶融前の前記固形接合剤が、フィルム、棒、ペレット及び粉体からなる群から選択されるいずれかの形状を有する、[1]又は[2]記載の熱交換器の製造方法。
[4]
前記表面シートと前記流路形成シートの材料が金属である、[1]~[3]のいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
[5]
表面シートと、流路形成シートと、前記表面シートと前記流路形成シートとを接合する接着層とを含む熱交換器であって、前記接着層が、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂から選択される少なくとも一種である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする固形接合剤を含み、前記非晶性熱可塑性樹脂のエポキシ当量が1,600以上であるか、又は前記非晶性熱可塑性樹脂がエポキシ基を含まず、前記非晶性熱可塑性樹脂の融解熱が15J/g以下である、熱交換器。
[6]
前記表面シートと前記流路形成シートの材料が金属である、[5]に記載の熱交換器。
[7]
前記表面シートは、入口と出口とを有し、前記流路形成シートは、前記表面シートに対向する表面に流路を有し、
前記流路は、前記入口に接続された入口対応部と、前記出口に接続された出口対応部と、
前記入口対応部と前記出口対応部とをつなぐ方向と交差する方向に延びる複数の交差路と、を有し、
前記表面シートと、前記流路形成シートとは、前記流路の外側を囲むように互いに溶接によって接合されており、
前記接着層は、前記複数の交差路に沿った位置の少なくとも1カ所に設けられている、[5]又は[6]に記載の熱交換器。
[8]
前記表面シートは、第1表面シートと第2表面シートとを有し、
前記流路は、前記流路形成シートを厚み方向に貫通しており、
前記第1表面シートと、前記流路形成シートと、前記第2表面シートが厚み方向に順に設けられており、
前記第1表面シートに前記入口と前記出口とが設けられている、[7]に記載の熱交換器。
[9]
前記表面シートは、第1表面シートと第2表面シートとを有し、
前記流路は、前記流路形成シートを厚み方向に貫通しており、
前記第1表面シートと、前記流路形成シートと、前記第2表面シートが厚み方向に順に設けられており、
前記第1表面シートに前記入口が設けられており、前記第2表面シートに前記出口が設けられている、[7]に記載の熱交換器。
本開示の熱交換器の製造方法によれば、熱交換器の生産性をより向上すること、より具体的には、熱交換器を短い接合プロセス時間かつ長いオープンタイムで製造することができ、構成部材を高い接合強度で接合することができる。
図1は、一実施形態に係る熱交換器の斜視図である。 図2は、一実施形態に係る熱交換器の分解斜視図である。 図3は、固形接合剤を設けた流路形成シートの平面図である。 図4は、変形例1に係る熱交換器の平面図である。 図5は、変形例2に係る熱交換器の分解斜視図である。 図6は、第1部材と第2部材とが固形接合剤を含む接着層を介して接合された状態の概略断面図である。
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について詳述する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
以下の説明において、直交座標系のX方向、Y方向、及びZ方向は、以下のように定義する。Z方向(第3方向)は熱交換器の厚み方向である。X方向(第1方向)及びY方向(第2方向)は、熱交換器の面方向であり、熱交換器の平面視における形状が矩形状の場合、長手方向及び短手方向である。
ある基準に「沿う」とは、ある基準に対して±45°未満の範囲の方向に沿うことを含むものとする。ある部材等のある方向の端部とは、その部材のその方向の端縁から、その部材等のその方向での全体の長さの1/5(好ましくは1/10)以下の長さの範囲をいう。
本開示において、接合とは、物と物を繋ぎ合わせることを意味し、接着及び溶着はその下位概念である。接着とは、テープ、接着剤などの有機材料(硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等)を介して、2つの被着材(接着しようとするもの)を接合状態とすることを意味する。溶着とは、熱可塑性樹脂等の表面を熱によって溶融し、接触加圧及び冷却を行う過程で生じる、分子拡散による絡み合いと結晶化、又は溶融時に生じる基材との分子間相互作用を利用して接合することを意味する。
[熱交換器]
図1に示す一実施形態の熱交換器1は、Z方向に直交するX方向とY方向に平行な平面を有する矩形の板状部材であって、表面シート3と、流路形成シート4と、表面シート3と流路形成シート4とを接合する接着層(本図には図示しない)とを含む。以下の説明において、熱交換器を「接合体」、表面シートを「第1部材」、流路形成シートを「第2部材」と、それぞれ呼ぶ場合がある。
本実施形態の場合、熱交換器1は、表面シート3としての第1表面シート10と、流路形成シート4としての中間シート12及び第2表面シート14とを備える。第1表面シート10、中間シート12、及び第2表面シート14は、この順番にZ方向に配置され、接着層によって対向する表面同士が接合されている。図1に示す熱交換器1は、X方向を長手方向、Y方向を短手方向とする、長方形状の板状部材である。
図2に示すように第1表面シート10は、厚さ0.5mm~3mmの板状部材を用いることができ、Z方向に貫通した入口16と出口18とを有する。入口16と出口18とは、X方向に互いに離れた位置に形成されている。すなわち、入口16は第1表面シート10のX方向の一方の端部に形成されており、出口18は第1表面シート10のX方向の他方の端部に形成されている。第1表面シート10の材料は、金属又は樹脂であり、金属であることが好ましい。
中間シート12は、厚さ1.0mm~5mmの板状部材を用いることができ、流路20を有する。流路20は、中間シート12をZ方向に貫通している。流路20は、入口対応部22と出口対応部24とを有する。入口対応部22は中間シート12のX方向の一方の端部に配置され、出口対応部24は中間シート12のX方向の他方の端部に配置されている。入口対応部22は第1表面シート10の入口16に対応した位置に形成されており、出口対応部24は第1表面シート10の出口18に対応した位置に形成されている。
流路20は、入口対応部22と出口対応部24とをつなぐ方向と交差する方向に延びる複数の交差路26を有する。本実施形態の場合、入口対応部22と出口対応部24とをつなぐ方向はX方向に平行である。流路20は、Y方向に延びる複数(図1の場合6個)の交差路26を有している。流路20は、入口対応部22と出口対応部24の間がY方向の両側に交互に折れ曲がったジグザグ状である。流路20は、Z方向の一側が第1表面シート10によって、Z方向の他側が第2表面シート14によって、閉塞される。このように流路20は、入口対応部22から出口対応部24へ冷媒(図示しない)が流通し得るように形成される。中間シート12の材料は、金属又は樹脂であり、金属であることが好ましい。中間シート12は、第1表面シート10と同じ材料でもよいし、異なる材料でもよい。
第2表面シート14は、厚さ0.5mm~3mmの板状部材を用いることができ、第1表面シート10及び中間シート12と同じ材料でもよいし、異なる材料でもよい。
前記金属は、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウム及びそれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、接着力及び基材の強度の観点と、前記固形接合剤との界面接着力の強度の観点から、アルミニウム、アルミニウム合金及び鉄合金からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、放熱効率に優れたアルミニウム及びアルミニウム合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
前記樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び繊維強化プラスチック(FRP)からなる群から選択される1種であることが好ましく、接着力、コスト、及び成形の容易性の観点から、熱可塑性樹脂であることがより好ましい。
表面シート3若しくは流路形成シート4又は両方に、それぞれ適した前処理をすることで高い接着力が得られることがある。前処理としては、基材の表面を洗浄する前処理又は表面に凹凸を付ける前処理が好ましい。前処理は、1種のみであってもよく、2種以上を施してもよい。これらの前処理の具体的な方法としては、公知の方法を用いることができる。
具体的には、前記部材の材料がアルミニウム、ガラス、セラミック、又は鉄である場合、脱脂処理、UVオゾン処理、ブラスト処理、研磨処理、プラズマ処理、及びエッチング処理からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。前記部材の材料がFRP、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミド、又はポリブチレンテレフタレートである場合、脱脂処理、UVオゾン処理、ブラスト処理、研磨処理、プラズマ処理、及びコロナ放電処理からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
一実施形態に係る熱交換器1は、接合前工程と、接合工程とを含む製造方法によって製造することができる。接合前工程では、表面シート3と、固形接合剤と、流路形成シート4とが、この順に配置された状態の積層体を準備する。本実施形態の場合、積層体は、第1表面シート10と、固形接合剤と、中間シート12と、固形接合剤と、第2表面シート14とがこの順に配置される。
図3に示すように、固形接合剤28は、帯状であって交差路26に沿って配置される。固形接合剤28は、中間シート12の第1表面シート10に対向する第1表面30と第2表面シート14に対向する第2表面32のそれぞれに配置される。第1表面30と第2表面32において固形接合剤28が配置される位置は同じであるので、第1表面30についてのみ説明する。
図3に示す固形接合剤28は、第1固形接合剤34と、第2固形接合剤36とを有する。第1固形接合剤34は、交差路26に沿って延び、隣り合う交差路26同士の間にそれぞれ配置されている。第2固形接合剤36は、X方向に延び、入口対応部22と出口対応部24のそれぞれの終端より流路20の外側に配置されている。
接合工程では、前記積層体を所定の条件で加熱及び加圧して固形接合剤28を溶融させる。固形接合剤28は、その後、温度を下げることにより前記固形接合剤28を固化し、接着層となる。このようにして、第1表面シート10と、中間シート12と、第2表面シート14とを接合することによって、熱交換器1を製造することができる。熱交換器1は、固形接合剤28を用いて接合することによって、従来のように拡散接合で交差路間を接合する場合に比べ、工数を削減できるので、生産性をより向上することができる。
熱交換器1は、さらにX方向の端部とY方向の端部において、表面シート3と流路形成シート4が連続して接合されている。本実施形態の場合、熱交換器1は、流路20の外側を囲む位置に溶接部38を有する(図1)。本実施形態の場合、溶接部38は、第1表面シート10と中間シート12、及び中間シート12と第2表面シート14をそれぞれ溶接によって接合している。溶接部38は、Z方向から見た形状が、熱交換器1の外縁に沿った矩形状であり、連続して形成されている。溶接は、特に限定されず、レーザー溶接、抵抗溶接や超音波溶接などが適用される。
熱交換器1は、図示しないが、配管が入口16と出口18にそれぞれ接続され、入口16に接続された配管を通じて冷却システムから冷媒が供給される。冷媒は、入口16から熱交換器1内に流入し、出口18へ向かって流路に沿って流れ、出口18から冷却システム内に戻る。熱交換器1は外周が溶接により密閉されていることによって、冷媒が外部へ流出することを防ぐ。冷媒は、流路20において第1表面シート10と第2表面シート14に接することによって、第1表面シート10と第2表面シート14を介して外部と熱交換をする。冷媒は、外部から受け取った熱によって加熱され膨張する。冷媒が膨張すると熱交換器1の内圧が上昇する。熱交換器1は、接着層によって交差路26に沿って接合されているので、Z方向へ変形することが抑制される。熱交換器1は、Z方向の変形が抑制されることによって、内部を流れる冷媒が第1表面シート10と第2表面シート14のそれぞれの内面により確実に接し、かつ流路20に沿ってY方向にジグザグに方向を転換しながら出口18へと流れる。したがって熱交換器1は、第1表面シート10と第2表面シート14の表面のより広い範囲で外部と熱交換をすることができる。
〈変形例〉
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨の範囲内で適宜変更することができる。例えば、流路20は図2及び図3に示す態様に限定されず、入口対応部22と出口対応部24をつなぐ方向と交差する方向に延びる複数の交差路26を有すれば足りる。図2と同様の構成について同様の符号を付した図4に示すように、流路20Aは、入口対応部22から出口対応部24側へ傾斜してY方向の一側へ延びる入口側傾斜路40を有している。同様に流路20Aは、出口対応部24から入口対応部22側へ傾斜してY方向の他側へ伸びる出口側傾斜路42を有している。入口側傾斜路40と出口側傾斜路42は、複数の交差路26によって互いに接続されている。
溶接部38は熱交換器1の外縁に沿った矩形状である場合に限らず、図4に示すように流路20Aの外縁に沿って形成されていてもよい。図4に示す溶接部38Aは、入口側傾斜路40と出口側傾斜路42に沿って形成された傾斜部44と、X方向に沿った長手方向部46とを有する。熱交換器1は、流路20Aに沿った形状であることによって、冷媒の圧力が作用する表面シート3の加圧面積を低減することができる。したがって熱交換器1Bは、冷媒の圧力によって表面シート3及び流路形成シート4がZ方向へ変形することを抑制できる。
上記実施形態の場合、流路形成シート4は、中間シート12と第2表面シート14とを有する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、図2と同様の構成について同様の符号を付した図5に示すように、流路形成シート4Aは中間シートと第2表面シートとが一体である構成でもよい。すなわち、流路形成シート4Aは、矩形の板状部材であって、表面シート3に対向する第1表面30に流路20Bを有する。流路20Bは、底面48を有する溝であって、入口対応部22と、出口対応部24と、入口対応部22と出口対応部24とをつなぐ方向と交差する方向に延びる複数の交差路26とを有する。流路20Bは、Z方向に貫通していない。表面シート3と流路形成シート4Aは、固形接合剤28によって形成された接着層によって接合されると共に、X方向の端部とY方向の端部において連続して接合されることによって、一体化される。流路20Bは、Z方向の一側が表面シート3によって閉塞され、Z方向の他側表面が流路20Bの底面48で閉塞される。
上記実施形態の場合、第1表面シート10が入口16と出口18とを有する場合について説明したが本発明はこれに限らない。例えば、第1表面シートが入口を有し、第2表面シートが出口を有してもよいし、第1表面シートが出口を有し、第2表面シートが入口を有してもよい。
[熱交換器の製造方法]
以下、熱交換器の製造方法についてより詳細に説明する。
一実施形態の熱交換器の製造方法は、第1部材(表面シート)と、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂から選択される少なくとも一種である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする固形接合剤と、前記第1部材と接合される第2部材(流路形成シート)とが、この順に配置された状態の積層体を形成する接合前工程と、前記積層体を加熱及び加圧して前記固形接合剤を溶融させ、前記第1部材と前記第2部材とを接合する接合工程を有する。前記接合前工程では、第1部材と固形接合剤及び第2部材と固形接合剤との接合は行わず、次の接合工程にて接合を行う。固形接合剤はタック性を有していてもよく、その場合は接合前工程で固形接合剤が基材に対して仮固定される。
〈接合前工程〉
接合前工程では、第1部材と、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂から選択される少なくとも一種である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする固形接合剤と、第2部材とが、この順に配置された状態の積層体を形成する。前記積層体において、第1部材と固形接合剤、及び固形接合剤と第2部材のいずれも互いに接合しておらず、それぞれ独立した部材が重ね合わせられた状態である。
前記固形接合剤の「固形」とは、常温で固体、すなわち23℃の加圧のない状態下において流動性がないことを意味する。前記固形接合剤は、23℃の加圧のない状態下において30日以上変形せずに外形を保持することができ、更に変質しない特性を備えることが望ましい。
前記「主成分」とは、固形接合剤中の樹脂成分のうちで最も含有量の高い成分であって固形接合剤中の樹脂成分中における含有量が50質量%以上の成分を意味する。固形接合剤は、樹脂成分を50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことが更に好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましい。
(固形接合剤)
固形接合剤は、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂から選択される少なくとも一種である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とし、前記非晶性熱可塑性樹脂のエポキシ当量は1,600以上であるか、又は前記非晶性熱可塑性樹脂はエポキシ基を含まず、前記非晶性熱可塑性樹脂の融解熱は15J/g以下である。液体接着剤を用いる従来の接合では、接合部に気泡が混入する、あるいは金属部材表面に凹凸に存在すると接合される金属部材同士が接地するおそれがある。接合部への気泡の混入、又は金属部材同士の接地は、異種金属部材間での電食を引き起こすおそれがある。本開示では、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂から選択される少なくとも一種である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする固形接合剤を用いることにより、気泡の混入を防止することができ、固形接合剤の厚みで金属部材表面の凹凸を吸収しながら金属部材同士を接合することができる。そのため、本開示によれば、金属部材同士の接触を防止し、異種金属部材間で生じうる電食を抑制することができる。
本開示における非晶性樹脂とは、融点(Tm)を有するが、示差走査熱量計(DSC)を用いた測定において、明確な融解に伴う吸熱ピークを有しない又は前記吸熱ピークが非常に小さい樹脂である。融解熱はDSCの吸熱ピークの面積と、熱可塑性樹脂成分の質量から算出される。無機充填剤などが固形接合剤に含まれる場合は、融解熱は、無機充填剤を除く樹脂成分の質量から算出される。
具体的には、本開示における非晶性熱可塑性樹脂とは、以下の手順により測定される特性を有する樹脂を意味する。試料を2~10mg秤量し、アルミ製パンに入れ、DSC(株式会社リガク製DSC8231)で23℃から10℃/minで200℃以上まで昇温し、DSCカーブを得る。次いでそのDSCカーブから求めた融解時の吸熱ピークの面積と、前記秤量値から融解熱を算出したときに、融解熱が15J/g以下であるものを非晶性熱可塑性樹脂とみなす。
固形接合剤に非晶性熱可塑性樹脂の特性を十分に付与する点から、前記非晶性熱可塑性樹脂の含有量は、固形接合剤中の樹脂成分のうち、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
融解熱は、15J/g以下であり、11J/g以下であることが好ましく、7J/g以下であることがより好ましく、4J/g以下であることが更に好ましく、融解時の吸熱ピークが検出限界以下であることが最も好ましい。
エポキシ当量は、1,600以上であり、2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、9,000以上であることが更に好ましく、検出限界以上であってエポキシ基が実質的に検出されないことが最も好ましい。
前記固形接合剤を用いることにより、加熱時に、従来のホットメルト接着剤で見られるような急激な粘度低下が起こらず、200℃を超える高温度領域においても低粘度(0.001~100Pa・s)状態には至らない。このため当該固形接合剤は溶融した状態でも積層体から流れ出すことはなく、接着層の厚みを安定して確保することができ、高い接着力を安定して得ることができる。これにより、金属部材同士の接触をより確実に防止して電食を防止し、かつ高い接着力を安定して得ることができる。
本開示におけるエポキシ当量(エポキシ基1モルが含まれる前記樹脂の質量)は、接合前の固形接合剤に含まれる熱可塑性エポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂成分のエポキシ当量の値であり、JIS K 7236:2001に規定された方法で測定された値(単位「g/eq.」)である。具体的には、樹脂のエポキシ当量は、電位差滴定装置を用い、溶媒としてシクロヘキサノンを使用し、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を樹脂に加え、0.1mol/L過塩素酸-酢酸溶液を用いて測定される。溶媒希釈品(樹脂ワニス)については、不揮発分に基づいて固形分換算値としての数値として算出される。2種以上の樹脂の混合物のエポキシ当量は、それぞれの樹脂の含有量とエポキシ当量から算出することもできる。
固形接合剤の主成分である非晶性熱可塑性樹脂の融点は50℃~400℃であることが好ましく、60℃~350℃であることがより好ましく、70℃~300℃であることが更に好ましい。融点が50℃~400℃の範囲であることにより、前記固形接合剤が加熱により効率よく変形及び溶融して接合面に有効に濡れ広がるため、高い接着力を得ることができる。本開示において、非晶性熱可塑性樹脂の融点とは、実質的に固体から軟化して熱可塑性を帯び、溶融と接着が可能となる温度を意味する。
従来の熱硬化性の接着剤を含む接合体では、接合体を解体することが困難であり、接合体を構成する異種材を分別してリサイクルすることが難しい(すなわち、リサイクル性に劣る)。また、熱硬化性の接着剤を用いた場合、接合体の製造工程において接合箇所のズレ等があったとき、又は被着体に欠陥があり交換が必要なときに貼り直しが難しく(すなわち、リペア性に劣り)、利便性に欠ける。一方、前記固形接合剤は、熱で軟化及び溶融させることができ、容易に2つの被着体を分離することができるため、リサイクル性に優れる。また、前記固形接合剤は熱可塑性であるため、可逆的に軟化及び溶融と硬化(固化)を繰り返すことができ、リペア性にも優れる。
《熱可塑性エポキシ樹脂》
熱可塑性エポキシ樹脂は、(a)2官能エポキシ樹脂モノマー又はオリゴマーと(b)フェノール性水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、イソシアネート基及びシアネートエステル基からなる群より選ばれる同一の又は異なる2つの官能基を有する2官能性化合物との重合体であることが好ましい。かかる化合物を使用することにより、直鎖状のポリマーを形成する重合反応が優先的に進行して、所望の特性を有する熱可塑性エポキシ樹脂を形成することが可能となる。
前記(a)2官能エポキシ樹脂モノマー又はオリゴマーとは、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂モノマー又はオリゴマーをいう。前記(a)2官能エポキシ樹脂モノマー又はオリゴマーとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、2官能のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、2官能のナフタレン型エポキシ樹脂、2官能の脂環式エポキシ樹脂、2官能のグリシジルエステル型エポキシ樹脂(例えばジグリシジルフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ダイマー酸ジグリシジルエステルなど)、2官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えばジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジンなど)、2官能の複素環式エポキシ樹脂、2官能のジアリールスルホン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂(例えばヒドロキノンジグリシジルエーテル、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテルなど)、2官能のアルキレングリシジルエーテル系化合物(例えばブタンジオールジグリシジルエーテル、ブテンジオールジグリシジルエーテル、ブチンジオールジグリシジルエーテルなど)、2官能のグリシジル基含有ヒダントイン化合物(例えば1,3-ジグリシジル-5,5-ジアルキルヒダントイン、1-グリシジル-3-(グリシドキシアルキル)-5,5-ジアルキルヒダントインなど)、2官能のグリシジル基含有シロキサン(例えば1,3-ビス(3-グリシドキシプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、α,β-ビス(3-グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサンなど)及びそれらの変性物が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂が、反応性及び作業性の点から好ましい。
前記(b)のフェノール水酸基を有する2官能性化合物としては、例えばカテコール、レゾルシン、ヒドロキノンなどのベンゼン環を1個有する一核体芳香族ジヒドロキシ化合物、ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールAD)などのビスフェノール化合物、ジヒドロキシナフタレンなどの縮合環を有する化合物、ジアリルレゾルシン、ジアリルビスフェノールA、トリアリルジヒドロキシビフェニルなどのアリル基を導入した2官能フェノール化合物、及びジブチルビスフェノールAが挙げられる。
前記(b)のカルボキシル基を有する2官能性化合物としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、マロン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸が挙げられる。
前記(b)のメルカプト基を有する2官能性化合物としては、例えば、エチレングリコールビスチオグリコレート、及びエチレングリコールビスチオプロピオネートが挙げられる。
前記(b)のイソシアネート基を有する2官能性化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、へキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、及びトリレンジイソシアネート(TDI)が挙げられる。
前記(b)のシアネートエステル基を有する2官能性化合物としては、例えば、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、及びビス(4-シアナトフェニル)メタンが挙げられる。
前記(b)の中でもフェノール水酸基を有する2官能性化合物が好適な特性を有する熱可塑性の重合物を形成できることから好ましく、フェノール性水酸基を2つ有し、ビスフェノール構造又はビフェニル構造を有する2官能性化合物が耐熱性及び接着性の観点から好ましく、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールSが耐熱性及びコストの観点から好ましい。
前記(a)がビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、又はビフェニル型エポキシ樹脂であり、前記(b)がビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールSである場合、前記(a)と(b)の重合により得られるポリマーは、パラフェニレン構造及びエーテル結合を主骨格として有し、それらがアルキレン基で連結された主鎖と、重付加により生成した水酸基が側鎖に配置された構造を有する。パラフェニレン構造及びエーテル結合を有する主骨格に起因する直鎖状の構造により、重合後のポリマーの機械的強度を高めることができるとともに、側鎖に配置された水酸基により、基材への密着性を向上させることができる。その結果、作業性を維持しながら、熱硬化性樹脂と同水準の高い接着強度を実現することができる。更に、熱で軟化及び溶融させることによってリサイクル及びリペアが可能となり、熱硬化性樹脂における問題点であるリサイクル性及びリペア性を改善することができる。
《フェノキシ樹脂》
フェノキシ樹脂は、ビスフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとから合成されるポリヒドロキシポリエーテルであり、熱可塑性を有する。フェノキシ樹脂の製造方法としては、二価フェノール化合物とエピクロルヒドリンの直接反応による方法、及び二価フェノール化合物のジグリシジルエーテルと二価フェノール化合物の付加重合反応による方法が知られているが、フェノキシ樹脂はいずれの製法により得られるものであってもよい。二価フェノール化合物とエピクロルヒドリンの直接反応の場合、二価フェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビフェニレンジオール、フルオレンジフェニル等のフェノール化合物が挙げられる。これらの中でも、コスト、接着性、粘度及び耐熱性の観点から、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSが好ましい。二価フェノール化合物に加えて、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族グリコールが上記直接反応に含まれてもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂に類似の化学構造をもち、パラフェニレン構造及びエーテル結合を主骨格とし、それらが連結された主鎖と、水酸基が側鎖に配置された構造を有する。
《熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂》
前記熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の値で10,000~500,000であることが好ましく、18,000~300,000であることがより好ましく、20,000~200,000であることが更に好ましい。重量平均分子量はGPCによって検出される溶出ピーク位置から算出される標準ポリスチレン換算値である。重量平均分子量が上記範囲であると熱可塑性と耐熱性のバランスが良いため、効率よく溶融によって接合体を形成することができ、接合体の耐熱性を高めることもできる。重量平均分子量が10,000以上であると耐熱性に優れ、500,000以下であると溶融時の粘度が低く、接着性が高くなる。
《固形接合剤の製造方法》
固形接合剤の製造方法は特に限定されないが、例えば、2官能エポキシ化合物のモノマー又はオリゴマーを加熱して重合させることで得ることができる。重合の際に粘度を低減させて撹拌しやすくするために溶媒を加えてもよい。溶媒を加える場合はその除去が必要であり、乾燥若しくは重合又はその両方を離型フィルムなどの上にて行うことで固形接合剤を得てもよい。
必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、固形接合剤にその他の添加剤を配合することができる。非晶性熱可塑性樹脂の全量に対する添加剤の配合量は、50体積%以下であることが好ましく、30体積%以下であることがより好ましく、20体積%以下であることが更に好ましく、10体積%以下であることが最も好ましい。本開示において添加剤の体積%とは、非晶性熱可塑性樹脂の全量の体積を基準とした、2官能エポキシ化合物のモノマー又はオリゴマーの重合前に含有されていた添加剤の体積比を表しており、添加剤の体積は、含有されていた添加剤の質量を添加剤の真比重で除して求めることができる。
上記添加剤としては、例えば、粘度調整剤、無機フィラー、有機フィラー(樹脂粉体)、消泡剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、及び顔料が挙げられる。これらの添加剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。粘度調整剤としては、例えば、反応性希釈剤が挙げられる。無機フィラーとしては、例えば、球状溶融シリカ、鉄などの金属の金属粉、珪砂、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、酸性白土、珪藻土、カオリン、石英、酸化チタン、シリカ、フェノール樹脂マイクロバルーン、及びガラスバルーンが挙げられる。
このようにして得られた固形接合剤は、未反応のモノマー又は末端エポキシ基含有量が少ないか、未反応のモノマー又は末端エポキシ基を実質的に含まないため、貯蔵安定性に優れ、常温での長期保存も可能である。
溶融前の固形接合剤の形態は特に限定されないが、フィルム、棒、ペレット及び粉体からなる群から選択されるいずれかの形状を有することが好ましい。固形接合剤の外形の少なくとも1辺が5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることが更に好ましく、0.5mm以下であることが特に好ましく、0.3mm以下であることが最も好ましい。外形の少なくとも1辺が5mm以下である固形接合剤を、第1部材と第2部材の間に挟み、加熱及び加圧することで、固形接合剤が効率よく接着面に広がるため、高い接着力を得ることができる。
溶融前の固形接合剤はフィルム形状を有することがより好ましい。フィルム形状の固形接合剤は、接合される金属部材同士を接合面全体にわたって所定の間隔で確実に保持しながらこれらの金属部材を接合することができる。そのため、フィルム形状の固形接合剤は電食防止に特に有利である。フィルム形状の固形接合剤の厚さは10μm~5mmであることが好ましく、20μm~3mmであることがより好ましく、30μm~0.5mmであることが更に好ましい。フィルム形状の固形接合剤の厚さを10μm以上とすることで、第1部材と第2部材との間の電食をより確実に防止し、かつ接着力を確保することができる。フィルム形状の固形接合剤の厚さを5mm以下とすることで、接合面のせん断方向の接着力を高めることができる。
固形接合剤は、接着力及び耐熱性を阻害しない範囲で、タック性を有してもよい。その場合、積層体準備工程において、基材に対して前記固形接合剤を仮固定することができる。
〈接合工程〉
接合工程では、前記積層体を加熱及び加圧して前記固形接合剤を溶融させ、その後、温度を下げることにより前記固形接合剤を固化させ、第1部材と第2部材を接合する。
前記加熱及び加圧における温度は、100℃~400℃が好ましく、120℃~350℃がより好ましく、150℃~300℃が更に好ましい。100℃~400℃で加熱することにより、前記固形接合剤が効率よく変形及び溶融し接合面に有効に濡れ広がるため、高い接着力を得ることができる。
前記加熱及び加圧における圧力は、0.01MPa~20MPaが好ましく、0.1MPa~10MPaがより好ましく、0.2MPa~5MPaが更に好ましい。ここでの圧力は、第1部材及び第2部材の接合面における平均圧力を意味する。0.01MPa~20MPaで加圧することにより、前記固形接合剤が効率よく変形し接合面に有効に濡れ広がるため、高い接着力を得ることができる。第1部材又は第2部材の少なくとも一方が熱可塑性樹脂を接合面に含む場合、0.01MPa~20MPaで加圧することにより、固形接合剤と当該部材の熱可塑性樹脂とを相溶化させて、高い接着力を得ることができる。
固形接合剤の主成分である熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂は、樹脂内の凝集力が低く、かつ水酸基を有しているため、基材との相互作用が強く、従来の結晶性のホットメルト接着剤よりも高い接着力で異種材を接合することができる。
第1部材と第2部材の接合は、固形接合剤の相変化(固体-液体-固体)を利用したものであり、化学反応を伴わないため、従来の熱硬化型のエポキシ樹脂よりも短時間で接合を完了することができる。
接合後の固形接合剤の厚さは10μm~5mmであることが好ましく、20μm~3mmであることがより好ましく、30μm~0.5mmであることが更に好ましい。接合後の固形接合剤の厚さを10μm以上とすることで、第1部材と第2部材との間の電食をより確実に防止し、かつ接着力を確保することができる。接合後の固形接合剤の厚さを5mm以下とすることで、接合面のせん断方向の接着力を高めて、熱交換器の流路をより確実に保持することができる。
[熱交換器(接合体1)]
図6は、第1部材3と第2部材4とが前記固形接合剤を介して接合された状態の概略断面図であり、例えば図1に示す、表面シートと流路形成シートとの接合箇所を示す図である。図6に示す接合体1においては、前記固形接合剤が溶融後固化した接着層2を介して、第1部材3と第2部材4とが接合一体化されており、第1部材3と第2部材4との接合体1は優れた接合強度を示す。接合強度は、接着層と基材との間に働く界面相互作用の強さの他に、接着層の厚さ、接着剤を構成するポリマーの分子量及び化学構造、力学的特性、粘弾性的特性など数多くの因子に影響される。そのため、本開示の接合体1が優れた接合強度を示す機構の詳細は明らかではないが、接着層を構成する非晶性熱可塑性樹脂の凝集力が低いことと、樹脂中に水酸基が存在し、接着層と第1部材の界面及び接着層と第2部材の界面で水素結合、ファンデルワールス力などの化学結合又は分子間力が形成されることが主な要因であると推測される。しかし、接合体1において、接合体1の界面の状態又は特性は、厚さナノメートルレベル以下のごく薄い化学構造に起因するため分析が困難であり、本開示の接合体1の界面の状態又は特性を特定することにより、本開示の固形接合剤を含まない接合体1と区別可能に表現することは、現時点の技術において不可能又は非実際的である。
接着層が非晶性熱可塑性樹脂を含む本開示の熱交換器は、リサイクル性及びリペア性に優れており、接合体1を加熱することにより容易に第1部材と第2部材に、すなわち表面シートと流路形成シートに解体することができる。
本発明に関連した実施試験例及び比較試験例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の例において、第1部材と第2部材をまとめて接合基材という。
〈接合基材〉
以下の接合基材を使用した。
(1)第1部材
《アルミニウム》
アルミニウム合金A6061-T6(ヤング率68.3GPa)の表面をブラスト処理し、幅18mm、長さ45mm、厚さ1.5mmの試験片を得た。
(2)第2部材
《PC(ポリカーボネート)》
SABIC製121Rを射出成形して、幅10mm、長さ45mm、厚さ3mmの試験片を得た。表面処理はせずに使用した。
《アルミニウム》
アルミニウム合金A6061-T6(ヤング率68.3GPa)の表面をブラスト処理し、幅10mm、長さ45mm、厚さ3mmの試験片を得た。
〈熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の重量平均分子量、融解熱及びエポキシ当量〉
熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の重量平均分子量、融解熱及びエポキシ当量を、それぞれ以下の手順で測定した。
(重量平均分子量)
熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂をテトラヒドロフランに溶解し、Prominence 501(昭和サイエンス株式会社製、Detector:Shodex(登録商標) RI-501(昭和電工株式会社製))を用い、以下の条件で測定した。
カラム:昭和電工株式会社製 LF-804×2本
カラム温度:40℃
試料:樹脂の0.4質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1mL/分
溶離液:テトラヒドロフラン
較正法:標準ポリスチレンによる換算
(融解熱)
熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂を2~10mg秤量し、アルミ製パンに入れ、DSC(株式会社リガク製DSC8231)を用いて23℃から10℃/minで200℃まで昇温し、DSCカーブを得た。得られたDSCカーブの融解時の吸熱ピークの面積と前記秤量値から融解熱を算出した。
(エポキシ当量)
JIS K 7236:2001に準拠して得られた測定値を、樹脂固形分としての値に換算した。反応を伴わない単純混合物の場合はそれぞれのエポキシ当量と含有量から算出した。
〈実施試験例1〉
(固形接合剤P-1)
撹拌機、還流冷却器、ガス導入管、及び温度計を備えた反応装置に、jER(登録商標)1007(三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量約10,000) 203g(1.0等量)、ビスフェノールS 12.5g(1.0等量)、トリフェニルホスフィン2.4g、及びメチルエチルケトン1,000gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。目視で溶解したことを確認し、40℃まで冷却して固形分約20質量%の樹脂組成物を得た。樹脂組成物から溶剤を除去して160℃で2時間加熱し、固形分100質量%の厚さ100μmのフィルム状の固形接合剤(P-1)を得た。重量平均分子量は約37,000であった。エポキシ当量は検出限界以上であった。DSCにおいて融解熱ピークは検出されなかった。
(接合体)
接合体として下記2種類を作製した。オープンタイム評価用に、前記アルミニウム基材(第1部材)の上に固形接合剤を配置した後に3日間静置し、その後に前記アルミニウム基材(第2部材)を載せた以外は下記「金属/金属」と同様の手順で、オープンタイム評価用接合体も作製した。
《金属/金属》
前記アルミニウム基材(第1部材)の上に、10×15mmの大きさに裁断した前記固形接合剤P-1を配置し、その後速やかに、その上に前記アルミニウム基材(第2部材)を配置した。これらの基材同士の重なりは幅10mm、奥行き5mmとした。前記固形接合剤P-1は前記基材同士の重なり領域をすべて覆うように配置した。つまり、前記第1部材と第2部材同士は、直接触れず、その間に前記固形接合剤が介在した状態として、未接合の積層体を準備した。
高周波誘導溶着機(精電舎電子工業株式会社製、発振器UH-2.5K、プレスJIIP30S)を用いて高周波誘導により金属を発熱させ、加熱及び加圧により試験片同士を接合した。加圧力は110N(圧力2.2MPa)、発振周波数は900kHzとした。発振時間は5秒とした。
《金属/樹脂》
第1部材として前記アルミニウム基材、第2部材として前記PC基材を用いたこと以外は前記《金属/金属》接合体と同様に接合体を得た。
〈実施試験例2〉
(固形接合剤P-2)
撹拌機、還流冷却器、ガス導入管、及び温度計を備えた反応装置に、エノトート(登録商標)YP-50S(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、フェノキシ樹脂、重量平均分子量約50,000)20g、シクロヘキサノン80gを仕込み、撹拌しながら60℃まで昇温し、目視で溶解したことを確認し、40℃まで冷却して固形分20質量%の樹脂組成物を得た。樹脂組成物から溶剤を除去して固形分100質量%の厚さ100μmのフィルム状の固形接合剤(P-2)を得た。重量平均分子量は50,000、エポキシ当量は検出限界以上であった。DSCにおいて融解熱ピークは検出されなかった。
(接合体)
固形接合剤としてP-2を用いたこと以外は実施試験例1と同様にして、表1に示す接合体及びオープンタイム評価用接合体を作製した。
〈実施試験例3〉
(固形接合剤P-3)
前記樹脂組成物P-2と結晶性エポキシ樹脂YSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)を98対2の質量比で混合し、固形接合剤(P-3)を得た。重量平均分子量は36,000、エポキシ当量は9600g/eq、融解熱は2J/gであった。
(接合体)
固形接合剤としてP-3を用いたこと以外は実施試験例1と同様にして、表1に示す接合体及びオープンタイム評価用接合体を作製した。
〈実施試験例4〉
(固形接合剤P-4)
前記樹脂組成物P-2と結晶性エポキシ樹脂YSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)を94対6の質量比で混合し、固形接合剤(P-4)を得た。重量平均分子量は35,000、エポキシ当量は2100g/eq、融解熱は4J/gであった。
(接合体)
固形接合剤としてP-4を用いたこと以外は実施試験例1と同様にして、表1に示す接合体及びオープンタイム評価用接合体を作製した。
〈実施試験例5〉
(固形接合剤P-5)
前記樹脂組成物P-2と結晶性エポキシ樹脂YSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)を89対11の質量比で混合し、固形接合剤(P-5)を得た。重量平均分子量は33,000、エポキシ当量は1745g/eq、融解熱は11J/gであった。
(接合体)
固形接合剤としてP-5を用いたこと以外は実施試験例1と同様にして、表1に示す接合体及びオープンタイム評価用接合体を作製した。
〈実施試験例6〉
(固形接合剤P-6)
撹拌機、還流冷却器、ガス導入管、及び温度計を備えた反応装置に、jER(登録商標)1007(三菱ケミカル株式会社株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、分子量約4060) 203g(1.0等量)、ビスフェノールS(分子量250) 12.5g(0.6等量)、トリフェニルホスフィン2.4g、及びメチルエチルケトン1,000gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。目視で溶解したことを確認し、40℃まで冷却して固形分約20質量%の樹脂組成物を得た。樹脂組成物から溶剤を除去して160℃で2時間加熱し、固形分100質量%の厚さ100μmのフィルム状の固形接合剤(P-6)を得た。重量平均分子量は約30,000、エポキシ当量は検出限界以上であった。DSCにおいて融解熱ピークは検出されなかった。
(接合体)
固形接合剤としてP-6を用いたこと以外は実施試験例1と同様にして、表1に示す接合体及びオープンタイム評価用接合体を作製した。
〈比較試験例1〉
(固形接合剤Q-1)
熱硬化性液状エポキシ接着剤E-250(コニシ株式会社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂とアミン硬化剤の2液タイプ)の2液を混合し、離型フィルムに塗布し、100℃で1時間硬化させたあと、冷却し、離型フィルムから剥がして厚さ100μmのフィルム状の固形接合剤(Q-1)を得た。DSCにおいて融解熱ピークは検出されなかった。エポキシ当量及び重量平均分子量は溶媒に不溶のため測定できなかった。
(接合体)
固形接合剤としてQ-1を用いたこと以外は実施試験例1と同様にして、表1に示す接合体及びオープンタイム評価用接合体を作製した。
〈比較試験例2〉
(固形接合剤Q-2)
非晶性のポリカーボネートフィルム(ユーピロン(登録商標)FE2000、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、厚さ100μm)を固形接合剤Q-2として用いた。DSCにおいて融解熱ピークは検出されなかった。
(接合体)
固形接合剤としてQ-2を用いたこと以外は実施試験例1と同様にして、表1に示す接合体及びオープンタイム評価用接合体を作製した。
〈比較試験例3〉
(固形接合剤Q-3)
結晶性エポキシ樹脂YSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)を固形接合剤(Q-3)として用いた。エポキシ当量は192g/eqであった。重量平均分子量は340であった。融解熱は70J/gであった。
(接合体)
固形接合剤としてQ-3を用いたこと以外は実施試験例1と同様にして、表1に示す接合体及びオープンタイム評価用接合体を作製した。
〈比較試験例4〉
(接合体)
熱硬化性液状エポキシ接着剤E-250(コニシ株式会社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂とアミン硬化剤の2液タイプ)の2液を混合し、前記実施試験例1と同様の第1部材と第2部材にそれぞれ塗布し、1分以内に貼り合わせをし、その後、クリップにて固定した状態で100℃のオーブン内に1時間静置することで接着成分を硬化させ、その後、室温まで冷却することで表1に示す接合体を作製した。前記熱硬化性液状エポキシ接着剤E-250を第1部材と第2部材にそれぞれ塗布した後、3日間静置した後に貼り合わせをしたこと以外は上記と同様にして、オープンタイム評価用接合体も作製した。
〈比較試験例5〉
フラスコに、jER(登録商標)1007(三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量約10,000) 203g(1.0等量)、ビスフェノールS 12.5g(1.0等量)、トリフェニルホスフィン2.4g、及びメチルエチルケトン1,000gを仕込み、常温で撹拌することで固形分約20質量%の液状樹脂組成物を得た。前記実施試験例1と同様の第2部材の上に、前記液状樹脂組成物をバーコート塗布し、室温で30分乾燥させた後に、160℃のオーブンに2時間静置することで、厚さ100μmの固形の熱可塑性エポキシ樹脂重合物コーティング層を第2部材の表面上に形成した。コーティング層の重量平均分子量は約40,000であった。エポキシ当量は検出限界以上であった。DSCにおいて融解熱ピークは検出されなかった。
(接合体)
前記コーティング層を持つ第2部材の上に第1部材を直接配置したこと以外は実施試験例1と同様にして、表1に示す接合体を作製した。オープンタイム評価用に、熱可塑性エポキシ樹脂重合物コーティング層を第2部材の表面上に形成した後、3日間静置し、その後に第1部材と積層した以外は上記と同様にして、オープンタイム評価用接合体も作製した。
〈比較試験例6〉
撹拌機、還流冷却器、ガス導入管、及び温度計を備えた反応装置に、フェノトート(登録商標)YP-50S(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、フェノキシ樹脂、重量平均分子量約50,000)20g、シクロヘキサノン80gを仕込み、撹拌しながら60℃まで昇温し、目視で溶解したことを確認し、40℃まで冷却して固形分20質量%の液状樹脂組成物を得た。前記実施試験例1と同様の第2部材の上に、前記液状樹脂組成物をバーコート塗布し、70℃のオーブンに30分静置することで、厚さ100μmのフェノキシ樹脂コーティング層を第2部材の表面上に形成した。前記コーティング層の重量平均分子量は約50,000であった。エポキシ当量は検出限界以上であった。DSCにおいて融解熱ピークは検出されなかった。
(接合体)
前記フェノキシ樹脂コーティング層を持つ第2部材の上に第1部材を直接配置したこと以外は実施試験例1と同様にして、表1に示す接合体を作製した。オープンタイム評価用に、フェノキシ樹脂コーティング層を第2部材の表面上に形成した後、3日間静置し、その後に第1部材と積層した以外は上記と同様にして、オープンタイム評価用接合体も作製した。
〈比較試験例7〉
(接合体)
固形接合剤として結晶性のポリアミド系ホットメルト接着剤フィルムNT-120(日本マタイ株式会社製、厚さ100μm)を用いたこと以外は実施試験例1と同様にして、表1に示す接合体及びオープンタイム評価用接合体を作製した。融解熱は60J/gであった。
[せん断接着力]
実施試験例1~6、比較試験例1~7で得られた接合体を測定温度(23℃)で30分以上静置後、ISO19095に準拠して、引張試験機(万能試験機オートグラフ「AG-X plus」(株式会社島津製作所製);ロードセル10kN、引張速度10mm/min)にて、23℃雰囲気での引張りせん断接着強度試験を行い、接合強度を測定した。測定結果を表1に示す。
[接合プロセス時間]
接合プロセス時間は下記のように測定した。接合剤が、接合体を構成する一方又は両方の基材と最初に接触した時を始点、接合体の作製の完了時を終点として、始点から終点までの時間を測定した。加熱及び加圧時間については、表1に示す接合体でのそれぞれ数値を平均した。
[リサイクル性]
表1に示す接合体を200℃のホットプレートに置いて1分加熱した後、1N以下の力で容易に剥離できるかで判断した。剥離できれば良好(OK)で、剥離できなければ不適(NG)とした。
[リペア性]
前記引張りせん断強度試験の23℃での試験後の接合面が破断したアルミニウムのそれぞれの試験片(第1部材若しくは第2部材又はその両方の表面に接合固体の層が残存している)のうち第2部材の上に第1部材を配置し、前記実施試験例1と同様に接合体を作成することでリペア接合体を得た。前記リペア接合体の23℃のせん断接着力を前記試験方法と同様に測定し、1回目のせん断接着力の80%以上であれば良好(OK)で、80%未満ならば不適(NG)とした。
[オープンタイム評価]
オープンタイム評価用接合体を用いて、前記引張りせん断接着強度試験を23℃で実施した。前記実施試験例及び比較試験例の方法で作成した試験片と比べてせん断接着力が80%以上であれば良好(OK)で、80%未満であれば不適(NG)とした。オープンタイム評価が良好(OK)とは、オープンタイムが長く、利便性に優れることを意味する。
Figure 2024090936000002
Figure 2024090936000003
本発明によれば、表面シート(第1部材)及び流路形成シート(第2部材)が強固に接合された、熱交換器を、短い接合プロセス時間、かつ長いオープンタイムで製造することができる。
本発明は、熱交換器の製造方法に利用可能である。
1 接合体(熱交換器)
1A 熱交換器
2 接着層
3 第1部材(表面シート)
4 第2部材(流路形成シート)
4A 流路形成シート
10 第1表面シート
12 中間シート
14 第2表面シート
16 入口
18 出口
20、20A、20B 流路
22 入口対応部
24 出口対応部
26 交差路
28 固形接合剤
30 第1表面(表面)
32 第2表面
34 第1固形接合剤
36 第2固形接合剤
38、38A 溶接部
40 入口側傾斜路
42 出口側傾斜路
44 傾斜部
46 長手方向部
48 底面

Claims (9)

  1. 表面シートと、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂から選択される少なくとも一種である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする固形接合剤と、前記表面シートに対向する表面に流路を有する流路形成シートとが、この順に配置された状態の積層体を準備する接合前工程と、
    前記積層体を加熱及び加圧して前記固形接合剤を溶融させ、前記表面シートと前記流路形成シートとを接合する接合工程と
    を含む、熱交換器の製造方法であって、
    前記非晶性熱可塑性樹脂のエポキシ当量が1,600以上であるか、又は前記非晶性熱可塑性樹脂がエポキシ基を含まず、前記非晶性熱可塑性樹脂の融解熱が15J/g以下である、熱交換器の製造方法。
  2. 前記加熱及び加圧を、100℃~400℃及び0.01MPa~20MPaの条件で行う、請求項1に記載の熱交換器の製造方法。
  3. 溶融前の前記固形接合剤が、フィルム、棒、ペレット及び粉体からなる群から選択されるいずれかの形状を有する、請求項1又は2に記載の熱交換器の製造方法。
  4. 前記表面シートと前記流路形成シートの材料が金属である、請求項1又は2に記載の熱交換器の製造方法。
  5. 表面シートと、流路形成シートと、前記表面シートと前記流路形成シートとを接合する接着層とを含む熱交換器であって、前記接着層が、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂から選択される少なくとも一種である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする固形接合剤を含み、前記非晶性熱可塑性樹脂のエポキシ当量が1,600以上であるか、又は前記非晶性熱可塑性樹脂がエポキシ基を含まず、前記非晶性熱可塑性樹脂の融解熱が15J/g以下である、熱交換器。
  6. 前記表面シートと前記流路形成シートの材料が金属である、請求項5に記載の熱交換器。
  7. 前記表面シートは、入口と出口とを有し、前記流路形成シートは、前記表面シートに対向する表面に流路を有し、
    前記流路は、前記入口に接続された入口対応部と、前記出口に接続された出口対応部と、
    前記入口対応部と前記出口対応部とをつなぐ方向と交差する方向に延びる複数の交差路と、を有し、
    前記表面シートと、前記流路形成シートとは、前記流路の外側を囲むように互いに溶接によって接合されており、
    前記接着層は、前記複数の交差路に沿った位置の少なくとも1カ所に設けられている、請求項5又は6に記載の熱交換器。
  8. 前記表面シートは、第1表面シートと第2表面シートとを有し、
    前記流路は、前記流路形成シートを厚み方向に貫通しており、
    前記第1表面シートと、前記流路形成シートと、前記第2表面シートが厚み方向に順に設けられており、
    前記第1表面シートに前記入口と前記出口とが設けられている、請求項7に記載の熱交換器。
  9. 前記表面シートは、第1表面シートと第2表面シートとを有し、
    前記流路は、前記流路形成シートを厚み方向に貫通しており、
    前記第1表面シートと、前記流路形成シートと、前記第2表面シートが厚み方向に順に設けられており、
    前記第1表面シートに前記入口が設けられており、前記第2表面シートに前記出口が設けられている、請求項7に記載の熱交換器。
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