JP2024090845A - 走行経路管理システム、及び作業車 - Google Patents
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Abstract
【課題】予め計画されている作業走行最後の直進作業走行経路に対して、その走行方向の変更だけが行われる走行経路管理技術を提供する。【解決手段】走行経路管理システムは、作業地の外形の一辺である基準辺に対して所定の方向で延びる始端直進経路から終端直進経路までの複数の直進経路のそれぞれが旋回経路によって接続される往復経路を作成する往復経路作成部84と、直進経路から特定直進経路を指定する特定直進経路指定部85と、終端直進経路を往復経路に沿った作業地に対する作業走行の最終走行経路とするとともに、特定直進経路を、作業なしで走行する空走り経路と作業しながら走行する作業走行経路とに設定することで、終端直進経路の走行方向を反転させる終端走行方向反転部86を備える。【選択図】図5
Description
本発明は、農地などの作業地を自動走行する作業車のための走行経路管理システム、及びそのような走行経路管理システムを搭載した作業車に関する。
田植機、トラクタ、コンバインなど、作業地を自動走行する作業車は、予め作成された走行経路に沿って、走行する。自動走行に用いられる走行経路の形態例の1つは、基準辺として設定された作業地の外形の一辺に対して所定の方向で、実質的に平行に延びる直進経路群と当該直進経路のそれぞれを接続するUターン旋回経路とからなる往復経路である。作業車は、最初の直進経路(始端直進経路)から最終の直進経路(終端直進経路)までの複数の直進経路を旋回経路でつなぎながら走行する。そのように作成された往復経路では、最終の直進経路の走行方向によっては、最終の直進経路の終了点、つまり作業走行の終了点が作業地の出口に対して不都合な位置(出口からの遠いなど)となる場合がある。
このような問題を回避するため、特許文献1による目標経路生成システムでは、目標経路を構成する、平行に配置設定された複数の直進作業経路のうち、最終の直進作業経路以外であって当該最終の直進作業経路の走行方向とは反対方向となる走行方向が設定されている直進作業経路に対して、作業車両が複数回走行する重複走行が行われる。その際、当該重複走行における1回目の走行は非作業走行であり、2回目の走行は作業走行である。これにより、最終の直進作業走行で用いられる直進作業経路の走行方向は、当該最終の直進作業経路部の走行方向とは反対となることで、作業走行の終了点が変更され、作業走行の終了点の不都合が解消される。
特許文献2による走行経路管理システムでも、特許文献1と同様な手法で、最終直進経路の走行方向が反転される。これにより、終了点が不都合な位置(出入口か遠い位置)であった当初の走行計画から、当該終了点が都合の良い位置(出入口に近い位置))に変更される。
しかしながら、特許文献1では、上述した走行方向の反転処理により、最終的な作業走行の終了点の変更が実現するが、その際、変更当初計画されていた、圃場作業の最後に作業走行が行われる直進経路は、一番端の直進経路(終端直進経路)から2番目に直進経路となる。圃場作業の最後に作業走行が行われる直進経路は、作業地の出口位置などを考慮して、慎重に計画されているので、これが変更されることは好ましくない。特許文献2の図69で示された走行経路変更例でも、同様の問題が生じており、この問題を回避するための具体的な技術構成は明示されていない。
上述した実情に鑑み、本発明の目的は、予め計画されている作業走行最後となる直進作業走行経路が、そのまま、作業走行最後の直進作業走行経路として用いられ、その走行方向の変更だけが行われる走行経路管理技術が提供されることである。
本発明による、作業地を自動走行する作業車のための走行経路管理システムは、前記作業地の外形の一辺を基準辺として設定する基準辺設定部と、前記基準辺に対して所定の方向で延びる始端直進経路から終端直進経路までの複数の直進経路のそれぞれが旋回経路によって接続される往復経路を作成する往復経路作成部と、前記直進経路から特定直進経路を指定する特定直進経路指定部と、前記終端直進経路を前記往復経路に沿った前記作業地に対する作業走行の最終走行経路とするとともに、前記特定直進経路を、作業なしで走行する空走り経路と作業しながら走行する作業走行経路とに設定することで、前記終端直進経路の走行方向を反転させる終端走行方向反転部とを備える。
この構成によれば、所定の作業地に対する作業走行で用いられる往復経路における直進経路のうち、最後の作業走行で用いられるように計画された終端直進経路(最終直進作業走行経路)の走行方向が反転された場合でも、当該直終端進経路は、そのまま最後の作業走行として用いられる。つまり、終端直進経路の走行方向が反転されても、当該終端直進経路の作業走行の終点が、作業地全体の作業走行の終点である。
本発明では、前記特定直進経路指定部は、予め設定された指定ルールに基づいて、前記特定直進経路を自動的に指定する。指定された特定直進経路の次の次の直進経路からその走行方向が反転されるので、指定ルールの簡単な一例では、予め設定された、終端直進経路からの離間距離あるいは離間経路本数によって特定直進経路が指定される。
特定直進経路に指定された直進経路では、作業を行わない走行(空走り)と作業をしながらの走行(作業走行)とで作業車による重複走行が行われる。このため、安定した走行が難しい傾斜領域、凹凸領域、軟弱領域などの走行不安定領域を避けて、特定直進経路を指定することが好ましい。このような走行不安定領域は、作業車のユーザである作業管理者等が把握している。このことから、本発明では、前記特定直進経路指定部は、ユーザによる入力操作を通じて、前記特定直進経路を人為的に指定することが提案されている。走行不安定領域が予め作業地情報に記録されている場合には、そのような走行不安定領域を避けるべく特定直進経路を自動的に指定することも可能である。
特定直進経路として指定された直進経路の次の次の直進経路からその走行方向は反転する。このことから、作成された当初に設定されている直進経路の走行方向によって、特定直進経路を指定することは、特定直進経路の簡単な指定ルールとなる。このことから、本発明では、前記特定直進経路指定部は、前記往復経路作成部で作成された前記終端直進経路の当初の走行方向と反対の走行方向を有する前記直進経路を前記特定直進経路として指定することも提案される。
終端直進経路の手前となる直進経路を特定直進経路として指定すれば、終端直進経路の走行方向が反転しないだけでなく、当該終端直進経路は最終走行経路とはならないので、そのような直進経路は、特定直進経路として指定できないように設定すると好都合である。このことから、本発明では、前記特定直進経路指定部は、前記直進経路から、前記終端直進経路及び前記終端直進経路に隣接する前記直進経路を除いて、前記特定直進経路を指定することも提案される。
本発明の走行経路管理システムは、作業車とデータ通信可能なコンピュータ、例えば、ユーザが持参するタブレットコンピュータ(通信端末)や遠隔地のサーバコンピュータなどに構築することができる。
本発明の対象には、上述した走行経路管理システムを搭載した作業車も含まれている。そのような作業車もまた、上述した車両制御システムの特徴構成、及び作用・効果を備える。
以下、本発明の走行経路管理システムを搭載した作業車の一例として、圃場を自動で作業走行可能な田植機について説明する。
ここで、理解を容易にするために、本実施形態では、特に断りがない限り、「前」(図1、図2に示す矢印Fの方向)は機体前後方向(走行方向)における前方を意味し、「後」(図1、図2に示す矢印Bの方向)は機体前後方向(走行方向)における後方を意味するものとする。また、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)を意味し、「左」(図2に示す矢印Lの方向)および「右」(図2に示す矢印Rの方向)は、それぞれ、機体の左方向および右方向を意味するものとする。
図1と図2とに示すように、田植機は、乗用型で四輪駆動形式の機体1を備える。機体1は、機体1の後部に昇降揺動可能に連結された平行四連リンク形式の、昇降シリンダ13aによって揺動駆動されるリンク機構13と、リンク機構13の後端部領域にローリング可能に連結される苗植付装置3とを備える。苗植付装置3は作業装置の一例であり、他の作業装置として、施肥装置や薬剤散布装置などが搭載されてもよい。
機体1は、エンジン2と走行機構RMとを備え、走行機構RMは、車輪12および主変速装置である油圧式の無段変速装置9からなる。無段変速装置9は、例えばHST(Hydro-Static Transmission)であり、モータ斜板またはポンプ斜板あるいは両方の角度を調節することにより、エンジン2から出力される駆動力を変速する。車輪12は、操舵可能な左右の前輪12Aと、操舵不能な左右の後輪12Bとを有する。エンジン2および無段変速装置9は、機体1の前部に搭載される。エンジン2からの動力は、無段変速装置9等を介して前輪12A、後輪12B、作業装置等に供給される。
苗植付装置3は、一例として8条植え形式に構成される。苗植付装置3は、苗載せ台21、8条分の植付機構22、5つのフロート15等を備える。なお、この苗植付装置3は、各条クラッチ(植付クラッチ23)の制御により、2条植え、4条植え、6条植え等の形式に変更可能である。
苗載せ台21は、8条分のマット状苗を載置する台座である。苗載せ台21は、マット状苗の左右幅に対応する一定ストロークで左右方向に往復移動し、苗載せ台21が左右のストローク端に達する毎に、苗載せ台21上の各マット状苗を苗載せ台21の下端に向けて所定ピッチで縦送りする。
8個の植付機構22は、ロータリ式で、植え付け条間に対応する一定間隔で左右方向に配置される。そして、各植付機構22は、植付クラッチ23が動力伝達クラッチ位置に移行されることによりエンジン2から駆動力が伝達され、苗載せ台21に載置された各マット状苗の下端から一株分の苗を切り取って、整地後の泥土部に植え付ける。これにより、苗植付装置3は、苗載せ台21に載置されたマット状苗から苗を取り出して水田の泥土部に植え付けることができる。
フロート15は苗植付作業の際に圃場を整地する。各フロート15は、2条分の植付機構22と対応付けて設けられる。
機体1の前後方向の前領域に予備苗支持フレーム17が配置されている。予備苗支持フレーム17には、予備苗収納装置17Aが支持されている。
また、予備苗支持フレーム17には、測位ユニット90が設けられる。測位ユニット90は、機体1の位置および方位を算出するための測位データを出力する。測位ユニット90には、全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星からの電波を受信する衛星測位モジュール90Aが内蔵されている。さらに、測位ユニット90には、機体1の三軸の傾きや加速度を検出する慣性計測モジュール90Bが含まれている。慣性計測モジュール90Bは測位ユニット90に内蔵されてもよいが、機体1の適所に設けられてもよい。
機体1の前後方向の中間領域に運転部14が配置されている。運転部14には、前輪操舵用のステアリングホイール10と運転座席16が設けられ、ステアリングホイール10の下方にフロントパネル30が設けられている。
図3に示すように、フロントパネル30には、液晶モニタ32を含む操作パネル31や手動操作用の手動操作具群18が設けられている。さらに、グラ田植機の制御系とデータ通信可能な、フィックユーザインターフェースを備えた通信端末8がフロントパネル30の上方に配置されている。
次に、田植機が圃場を田植作業するための作業走行の概要を、図4を用いて説明する。
本実施形態における田植機は、手動走行および自動走行を選択的に行うことができる。手動走行は、運転者が、ステアリングホイール10を操作して、走行方向を決定し、同時に、主変速レバーや作業操作レバー等を含む手動操作具群18を操作して、田植作業走行を行うものである。自動走行では、田植機が自動制御で走行および田植作業を行うものであり、図4で示されているように、複数の直進経路SLと各直進経路SLを接続する旋回経路TLとからなる往復経路に沿った往復直進作業走行が行われる。なお、この実施形態では、旋回経路TLは、概略的な目標経路であり、旋回走行では、直進走行とは異なり、機体1と目標経路との誤差検出に基づく操舵制御が逐次行われるわけではない。もちろん、旋回走行でも機体1と経路との逐次的な誤差検出に基づく操舵制御が行われてもよい。
田植機が田植作業を行う際には、図4に示すように、圃場が外周領域OAと内部領域IAに区分けされ、それぞれに応じた作業走行が行われる。
内部領域IAでは、圃場の一つの辺に略平行な複数の経路を旋回経路TLで繋ぐ直進経路SLが生成される。直進経路SLは、内部領域IAの全体をくまなく走行する走行経路であり、1つの直進経路SLによる直進走行が終了すると、旋回走行を経て次の直進経路SLによる直進走行が開始される。
外周領域OAで自動作業走行が行われる場合、畦RWによって囲まれた圃場の外周に沿って外周領域OA内を周回走行が行われる。この実施形態では、内側周回経路IRLと外側周回経路ORLに沿っての2つの周回走行が行われる。なお、外周領域OA内を周回する周回経路は、2つに限らず、1つまたは3つ以上でもよい。
田植作業では、田植作業で用いた走行跡を再度走行することをできるだけ回避するために、最初に、往復経路を用いた内部領域IAに対する作業走行が行われ、その後、内側周回経路IRLと外側周回経路ORLとを用いた外周領域OAに対する作業走行が行われる。
つまり、図4で示すように、圃場の入口(図4ではINで示されている)から進入してきた田植機は、まず、往復経路の最初の直進経路SL(ここでは始端直進経路SLsと称する)を用いた作業走行を開始する。その後、最終の直進経路SL(ここでは終端直進経路SLeと称する)を用いた作業走行が終了すると、内側周回経路IRLに移行して、内側周回経路IRLを用いた作業走行を開始する。内側周回経路IRLを用いた作業走行が終了すると、外側周回経路ORLを用いた作業走行を開始する。外側周回経路ORLを用いた作業走行が終了すると、そのまま、田植機は、圃場の出口(図4ではOUTで示されている)から圃場を退出する。始端直進経路SLsの走行開始点と圃場の入口と間が短く、かつ、終端直進経路SLeの走行終了点と圃場の出口と間が短いと、作業走行効率が良い。
図5には、この田植機の制御系の制御ブロック図が示されている。田植機の制御系は、田植機の各種動作を制御する制御ユニット100と、制御ユニット100とのデータ交換が可能な通信端末8とからなる。制御ユニット100には、測位ユニット90、手動操作具群18、センサ群24からの信号が入力される。制御ユニット100からの制御信号は、走行機器群1Aと作業機器群1Bとに出力される。
制御ユニット100は、測位ユニット90の衛星測位モジュール90Aから機体1の位置及び方位(車体前後方向の方位)を算出するための測位データを取得し、慣性計測モジュール90Bからは、機体1の三軸の傾きや加速度に関する慣性計測データを取得する。
走行機器群1Aには、例えば、ステアリングモータや変速操作用モータなどが含まれており、これにより、制御ユニット100からの制御信号に基づいて、自動操舵制御や自動変速制御が行われる。
作業機器群1Bには、例えば、苗植付装置3を昇降調整する昇降シリンダ13a、植付クラッチ23などの田植作業機器の制御機器などが含まれている。
センサ群24は、走行センサ群や作業センサ群の総称である。走行センサ群には、操舵角、車速、エンジン回転数などの状態及びそれらに対する設定値を検出する各種センサが含まれている。作業センサ群には、フロート15の接地状態、苗植付装置3の駆動状態、リンク機構13の昇降位置を検出する各種センサが含まれている。
通信端末8は、グラフィックインタフェースを有するタッチパネルユニット70を備え、制御ユニット100の情報やデータの入力出力インターフェースとしての機能も備えている。この実施形態では、通信端末8に、ハードウエア及びソフトウエアによって走行経路管理システムである走行経路管理モジュール80が構築されている。
走行経路管理モジュール80は、圃場情報管理部81、基準辺設定部82、周回経路作成部83、往復経路作成部84、特定直進経路指定部85、終端走行方向反転部86が備えられている。
圃場情報管理部81には、圃場の外形や位置、圃場面の傾斜や固さなどの圃場面情報、圃場の入口や出口の位置、苗や肥料の補給可能位置など、圃場に関する情報を管理している。さらに、圃場情報管理部81は、圃場の外周領域OA(図3参照)の最外周部、つまり畔との境界線の位置に基づいて、作業対象領域としての圃場の形状を決定し、この作業対象領域を外周領域OAと内部領域IAとに区分けし、それぞれの領域の外形寸法を算出する。基準辺設定部82は、圃場の外形の一辺を走行経路の作成のための基準辺として設定する。この基準辺の設定は、自動的に行うことも、人為的に行うことも可能である。
周回経路作成部83は、外周領域OAを作業走行するための周回走行経路(図4では、内側周回経路IRLと外側周回経路ORL)を生成する。往復経路作成部84は、内部領域IAのために、圃場の基準辺に対して所定の方向で延びる始端直進経路SLsから終端直進経路SLeまでの複数の直進経路SLを作成する。また、往復経路作成部84は、走行中の直進経路SLから次に走行する直進経路SLに移行するために案内経路(180度Uターン経路)となる、概略的な旋回経路TLも作成する。旋回経路TLは、外周領域OAに設定される。直進経路SLと旋回経路TLとには、属性データとして走行方向が付与される。さらに旋回経路TLには、走行元としての直進経路SLと走行先としての直進経路SLが属性データとして付与される。作成された直進経路SLと旋回経路TLとは、自動走行制御のために制御ユニット100に送られる。なお、直進経路SLの形状は、直線に限定されるわけではなく、大きな湾曲線や所定ピッチに屈曲するジグザグ線も含まれるものである。周回経路作成部83は、内側周回経路IRLと外側周回経路ORLとにおける走行方向も決定する。
往復経路に沿った自動作業走行について、図6を用いて説明する。図6には、往復経路を構成する、模式化された直進経路SL(実線表示)と旋回経路TL(点線表示)とが示されている。内部領域IAの作業走行において、田植機は、まず、始端直進経路SLsの開始点SPから、始端直進経路SLsに沿って自動走行しながら、始端直進経路SLsの終点EPまで田植作業を行う。始端直進経路SLsの終点EPに達すると、田植作業が中断され、旋回経路TLに対応する操舵角を用いて、次の走行予定である直進経路SLの開始点SPに向かう旋回走行が行われる。機体1が開始点SP付近に達すると、その直進経路SLに沿った自動走行が行われるとともに、田植作業が再開される。このような、直進経路SLと旋回経路TLとを用いた走行が、順次、終端直進経路SLeの終点EPまで行われる。
旋回走行のために、自動旋回モードと手動旋回モードとが用意されている。自動旋回モードでは、直進経路SLの終点EPで作業走行が終了すると、自動的に、または自動旋回開始操作が行われると、まず、前輪12Aがあらかじめ定められた所定の操舵角度(例えば、最大操舵角度)での旋回自動操舵が行われる。さらに、機体1が次に走行する直進経路SLの開始点SP付近に達し、直進経路SLが検知されると、当該直進経路SLを目標経路とする経路追従操舵が行われる。手動旋回モードでは、直進経路SLの終点EPからが次に走行する直進経路SLの開始点SP付近まで、手動操舵が行われ、直進経路SLが検知されると、当該直進経路SLを目標経路とする経路追従操舵が行われる。
図6で示された往復経路は、図4で示された往復経路に類似しており、簡略して示されている。なお、図6で示された往復経路では、始端直進経路SLsの開始点SPと終端直進経路SLeの終点EPとが、四角形状の内部領域IA(図4参照)の対角点となっている。このような往復経路の配置は、圃場の入口と出口とが圃場の同じ辺に位置する場合(一般にはこの場合が多い)、終端直進経路SLe(最終の直進経路SL)での作業走行終了点(終端直進経路SLeの終点EP)と圃場の出口から離れており、不都合である。
特定直進経路指定部85と終端走行方向反転部86とは、このような不都合を解消するため、圃場に対する作業走行の最終走行経路である終端直進経路SLeの開始点SPと終点EPとが反転するように、所定の直進経路SLにおける走行方向を反転させる。終端走行方向反転部86は、走行方向の反転対象となった直進経路SLの属性データである走行方向の反転を記録する。これにより、最終的に終端直進経路SLeにおける走行方向が反転する。また、終端走行方向反転部86は、走行方向の反転時に要求される旋回経路TLの変更も行う。
特定直進経路指定部85と終端走行方向反転部86とによる終端直進経路SLeにおける走行方向の反転方法の一例を、図7の模式図を用いて説明する。図7の例では、終端走行方向反転部86での走行方向とは反対の走行方向が設定されている、始端直進経路SLsから3本目の直進経路SLが特定直進経路SSLとして指定されている。終端走行方向反転部86は、特定直進経路指定部85によって直進経路SLから指定された特定直進経路SSLを、作業なしで走行する空走り経路(空走行)と作業しながら走行する作業走行経路(実走行)となるように設定する。この設定では、例えば、特定直進経路SSLとなった直進経路SLの属性値として、空走行と実走行との重複走行のフラグがその走行方向のフラグとともに書き込まれる。
このように特定直進経路SSLが設定されると、特定直進経路SSLに初めて進入した田植機は、作業(田植作業)を行わずに走行(空走りと称する)する(#01)。次いで、旋回経路TLを挟んで(#02)、次の直進経路SLに進入し、当該直進経路SLでは通常の作業走行が行われる(#03)。この作業走行が終わると、特定直進経路SSLに向かう旋回経路TLに沿った旋回走行が行われ(#04)、田植機は、特定直進経路SSLに再度進入する。再度進入した特定直進経路SSLでの走行は、作業走行である(#05)。特定直進経路SSLに沿った作業走行が終わると、特定直進経路SSLに隣接した直進経路SL(始端直進経路SLsから4本目の直進経路SL)に沿った作業走行は終了しているので、1つ先の直進経路SL(始端直進経路SLsから5本目の直進経路SL)に向かう、長距離の旋回経路TLに沿った旋回走行が行われる(#06)。旋回走行によって、田植機は、特定直進経路SSLから終端直進経路SLeの向かう2つ目の直進経路SLに進入し、予め設定されている走行方向とは逆の走行方向で、作業走行が行われる(#07)。その後、田植機は、順次、隣接する直進経路SLの作業走行を経て、終端直進経路SLeに進入し、予め設定されている走行方向とは逆の走行方向で、当該終端直進経路SLeに沿った作業走行が行われる。その結果、最終走行経路である終端直進経路SLeの終点EPは反転され、内部領域IAの左下(図7参照)で、内部領域IAに対する作業走行が終了する。
図7を用いて説明された終端直進経路SLeにおける走行方向の反転は、特定直進経路SSLとして、往復経路作成部84で作成された終端直進経路SLeの当初の走行方向と反対の走行方向を有する直進経路SLが指定されている。これとは逆に、図8で示すように、往復経路作成部84で作成された終端直進経路SLeの当初の走行方向と同じ走行方向を有する直進経路SL(始端直進経路SLsから3本目の直進経路SL)を特定直進経路SSLとして指定しても、終端直進経路SLeにおける走行方向の反転は可能である。図8においても、特定直進経路SSLに初めて進入した田植機は、空走りを行う(#11)。次いで、旋回経路TLを挟んで(#12)、次の直進経路SLに進入し、当該直進経路SLでは通常の作業走行が行われる(#13)。この作業走行が終わると、特定直進経路SSLに向かう旋回経路TLに沿った旋回走行が行われ(#14)、田植機は、特定直進経路SSLに再度進入する。再度進入した特定直進経路SSLでの走行は、作業走行である(#15)。特定直進経路SSLに沿った作業走行が終わると、特定直進経路SSLに隣接した直進経路SL(始端直進経路SLsから3本目の直進経路SL)に沿った作業走行は終了しているので、1つ先の直進経路SL(始端直進経路SLsから4本目の直進経路SL)に向かう、長距離の旋回経路TLに沿った旋回走行が行われる(#16)。この旋回走行によって、田植機は、特定直進経路SSLから終端直進経路SLeの向かう2つ目の直進経路SLに進入し、予め設定されている走行方向とは逆の走行方向で、作業走行が行われる(#17)。その後、田植機は、順次、隣接する直進経路SLの作業走行を経て、終端直進経路SLeに進入し、予め設定されている走行方向とは逆の走行方向で、当該終端直進経路SLeに沿った作業走行が行われる。その結果、最終走行経路である終端直進経路SLeの終点EPは反転され、内部領域IAの左下(図4参照)で、内部領域IAに対する作業走行が終了する。
特定直進経路指定部85は、特定直進経路SSLを自動的に指定する自動指定モードと、特定直進経路SSLをユーザによる入力操作を通じてしてする人為指定モードとを備えている。人為指定モードでは、タッチパネルに表示された往復経路(走行方向を示す矢印等も付加される)から特定直進経路SSLとして指定する直進経路SLを選択することで、特定直進経路を指定することができる。自動指定モードでは、予め設定された指定ルールに基づいて、特定直進経路SSLが指令される。指定ルールとして、例えば、以下のルールが採用可能である。
(1)終端直進経路SLeからの離間距離あるいは離間経路本数。
(2)傾斜領域、凹凸領域、軟弱領域などの走行不安定領域の回避。
(3)往復経路作成部84で作成された終端直進経路SLeの当初の走行方向と反対の走行方向を有する直進経路SL。
(4)往復経路作成部84で作成された終端直進経路SLeの当初の走行方向と同じ走行方向を有する直進経路SL。
(1)終端直進経路SLeからの離間距離あるいは離間経路本数。
(2)傾斜領域、凹凸領域、軟弱領域などの走行不安定領域の回避。
(3)往復経路作成部84で作成された終端直進経路SLeの当初の走行方向と反対の走行方向を有する直進経路SL。
(4)往復経路作成部84で作成された終端直進経路SLeの当初の走行方向と同じ走行方向を有する直進経路SL。
制御ユニット100には、走行制御部6、作業制御部51、車体位置算出部52、走行経路設定部53が備えられている。
車体位置算出部52は、測位ユニット90から逐次送られてくる衛星測位データや慣性航法データに基づいて、機体1の地図座標(車体位置)を算出する。この地図座標は、緯度経度だけでなく、圃場座標系、あるいは特定の座標系での座標であってよい。
制御ユニット100に構築されている走行経路設定部53は、通信端末8で作成された走行経路(走行方向データを含む)を受け取って管理し、自動走行のための目標となる走行経路を、順次設定する。
作業制御部51は、自動走行では、前もって与えられているプログラムに基づいて自動的に作業機器群1Bを制御し、手動走行では、運転者の操作に基づいて、作業機器群1Bを制御する。作業制御部51は、走行制御部6と連係して、苗植付装置3の昇降や植付機構22の駆動を制御する。
走行制御部6には、自動走行制御部6Aと手動走行制御部6Bと制御管理部6Cとが備えられている。この田植機は、自動走行を行う自動走行モードと手動走行を行う手動走行モードとに切替可能である。制御管理部6Cは、図示されていない走行モード切替操作具の操作状態や制御ユニット100が制御的に生成する切替信号に基づいて、自動走行モードと手動走行モードのいずれかを選択する。
手動走行モードで動作する手動走行制御部6Bは、ステアリングホイール10の操作量に基づいて操舵制御を行うとともに手動変速操作に基づいて変速制御を行う。
、
自動走行モードで動作する自動走行制御部6Aは、経路追従操舵部61と旋回自動操舵部62を備えている。経路追従操舵部61は、走行経路設定部53に設定された目標走行経路に沿って機体1が走行するように経路追従制御を行う。経路追従制御では、車体位置算出部52で算出された車体位置を用いて、目標走行経路に対する機体1の位置ずれ(目標走行経路に対する横ずれ)と機体1の方位ずれ(目標走行経路の方位に対する車体方位のずれ角)を算出し、この位置ずれ及び方位ずれが小さくなるように操舵制御される。
自動走行モードで動作する自動走行制御部6Aは、経路追従操舵部61と旋回自動操舵部62を備えている。経路追従操舵部61は、走行経路設定部53に設定された目標走行経路に沿って機体1が走行するように経路追従制御を行う。経路追従制御では、車体位置算出部52で算出された車体位置を用いて、目標走行経路に対する機体1の位置ずれ(目標走行経路に対する横ずれ)と機体1の方位ずれ(目標走行経路の方位に対する車体方位のずれ角)を算出し、この位置ずれ及び方位ずれが小さくなるように操舵制御される。
旋回自動操舵部62は、機体1の方向転換のための旋回領域が十分確保されている通常の旋回走行、例えば90度旋回走行や180度旋回走行を行うための操舵制御を行う。各旋回走行は、予め登録されたプログラムを実行させることで、自動制御可能である。
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、終端直進経路SLe及び当該終端直進経路SLeに隣接する直進経路SLを除いた、一群の直進経路SLから特定直進経路SSLが指定されている。これは、終端直進経路SLeに隣接する直進経路SLを特定直進経路SSLとして指定すると、終端直進経路SLeにおける走行方向の反転ができないからである。しかしながら、終端直進経路SLeを特定直進経路として指定しても、特殊な旋回経路TLを用いることで、当該終端直進経路SLeにおける走行方向の反転は可能である。その場合、図9に示すように、終端直進経路SLeに対して、最初は終端直進経路SLeの一端から空走行が行われ、終端直進経路SLeの他端に達すると、切り返しUターンである旋回走行が行われ、再び終端直進経路SLeの他端から今度は実走行が行われる。この終端直進経路SLeにおける走行方向は、当初の走行方向とは逆であり、これにより終端直進経路SLeの走行方向の反転が実現する。
(1)上述した実施形態では、終端直進経路SLe及び当該終端直進経路SLeに隣接する直進経路SLを除いた、一群の直進経路SLから特定直進経路SSLが指定されている。これは、終端直進経路SLeに隣接する直進経路SLを特定直進経路SSLとして指定すると、終端直進経路SLeにおける走行方向の反転ができないからである。しかしながら、終端直進経路SLeを特定直進経路として指定しても、特殊な旋回経路TLを用いることで、当該終端直進経路SLeにおける走行方向の反転は可能である。その場合、図9に示すように、終端直進経路SLeに対して、最初は終端直進経路SLeの一端から空走行が行われ、終端直進経路SLeの他端に達すると、切り返しUターンである旋回走行が行われ、再び終端直進経路SLeの他端から今度は実走行が行われる。この終端直進経路SLeにおける走行方向は、当初の走行方向とは逆であり、これにより終端直進経路SLeの走行方向の反転が実現する。
(2)上述した実施形態では、制御ユニット100や通信端末8は、図5に示すような機能ブロック群に限定されず、任意の機能ブロックの組み合わせや分散が行われてもよい。例えば、制御ユニット100の各機能ブロックはさらに細分化されてもよいし、逆に、各機能ブロックの一部または全部が他の機能ブロックに統合化されてもよい。また、制御ユニット100や通信端末8の機能は、複数のECU(タブレットコンピュータなども含む)に分割されてもよい。
(3)上述した実施形態では、走行経路管理システムは、機体1に装着される通信端末8に備えられていたが、田植機のフロントパネル30に設けられた操作パネル31に組み込まれたコンピュータユニットであってもよい。また、走行経路管理システムは、遠隔地に設置された、田植機とデータ通信可能なコンピュータシステムに構築されてもよい。
(4)上述した実施形態では、作業地を自動走行する作業車として田植機が採用されたが、これに代えて、施肥機、播種機、トラクタ、コンバインなどの圃場作業車、芝刈機や除雪車などの対地作業車などを採用してもよい。
本発明は、作業地を自動走行する作業車のための走行経路管理システムに適用することができる。
52 :車体位置算出部
53 :走行経路設定部
6 :走行制御部
61 :経路追従操舵部
62 :旋回自動操舵部
70 :タッチパネルユニット
8 :通信端末
80 :走行経路管理モジュール
81 :圃場情報管理部
82 :基準辺設定部
83 :周回経路作成部
84 :往復経路作成部
85 :特定直進経路指定部
86 :終端走行方向反転部
EP :終点
SL :直進経路
SLe :終端直進経路
SLs :始端直進経路
SSL :特定直進経路
SP :開始点
TL :旋回経路
53 :走行経路設定部
6 :走行制御部
61 :経路追従操舵部
62 :旋回自動操舵部
70 :タッチパネルユニット
8 :通信端末
80 :走行経路管理モジュール
81 :圃場情報管理部
82 :基準辺設定部
83 :周回経路作成部
84 :往復経路作成部
85 :特定直進経路指定部
86 :終端走行方向反転部
EP :終点
SL :直進経路
SLe :終端直進経路
SLs :始端直進経路
SSL :特定直進経路
SP :開始点
TL :旋回経路
Claims (7)
- 作業地を自動走行する作業車のための走行経路管理システムであって、
前記作業地の外形の一辺を基準辺として設定する基準辺設定部と、
前記基準辺に対して所定の方向で延びる始端直進経路から終端直進経路までの複数の直進経路のそれぞれが旋回経路によって接続される往復経路を作成する往復経路作成部と、
前記直進経路から特定直進経路を指定する特定直進経路指定部と、
前記終端直進経路を前記往復経路に沿った前記作業地に対する作業走行の最終走行経路とするとともに、前記特定直進経路を、作業なしで走行する空走り経路と作業しながら走行する作業走行経路とに設定することで、前記終端直進経路の走行方向を反転させる終端走行方向反転部と、
を備える走行経路管理システム。 - 前記特定直進経路指定部は、予め設定された指定ルールに基づいて、前記特定直進経路を自動的に指定する請求項1に記載の走行経路管理システム。
- 前記特定直進経路指定部は、ユーザによる入力操作を通じて、前記特定直進経路を人為的に指定する請求項1に記載の走行経路管理システム。
- 前記特定直進経路指定部は、前記往復経路作成部で作成された前記終端直進経路の当初の走行方向と反対の走行方向を有する前記直進経路を前記特定直進経路として指定する請求項1に記載の走行経路管理システム。
- 前記特定直進経路指定部は、前記往復経路作成部で作成された前記終端直進経路の当初の走行方向と同じ走行方向を有する前記直進経路を前記特定直進経路として指定する請求項1に記載の走行経路管理システム。
- 前記特定直進経路指定部は、前記直進経路から、前記終端直進経路及び前記終端直進経路に隣接する前記直進経路を除いて、前記特定直進経路を指定する請求項1に記載の走行経路管理システム。
- 請求項1から6のいずれか一項の走行経路管理システムが搭載された作業車。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2022206991A JP2024090845A (ja) | 2022-12-23 | 2022-12-23 | 走行経路管理システム、及び作業車 |
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Publication Number | Publication Date |
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-
2022
- 2022-12-23 JP JP2022206991A patent/JP2024090845A/ja active Pending
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