JP2024087722A - 感光性フィルム - Google Patents

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直哉 佐藤
駿介 田中
成弘 唐川
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Abstract

Figure 2024087722000001
【課題】限界解像性が小さく、且つ、寸法及び形状の安定性に優れる開口部を形成することが可能な感光性樹脂組成物層を備える感光性フィルムを提供する。
【解決手段】感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を備える感光性フィルムであって、感光性樹脂組成物が、エチレン性不飽和結合を含有する特定の部分構造及びカルボキシル基を含有する(A)第一化合物、及び、(B)光重合開始剤、を含む、感光性フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を備えた感光性フィルムに関する。本発明は、更に、前記の感光性フィルムを用いて製造できる回路基板及びその製造方法、並びに、当該回路基板を備える半導体装置に関する。
各種電子機器に広く使用されているプリント配線板等の回路基板の製造技術として、感光性樹脂組成物を用いてソルダーレジスト層を形成する技術が知られている(特許文献1)。また、特許文献2及び3に記載の技術が知られている。
特開平5-202332号公報 韓国公開特許公報第10-2014-0137802号 特許第5998546号公報
ソルダーレジスト層等の絶縁層には、ホール及びトレンチ等の開口部を形成することがある。感光性樹脂組成物を用いて絶縁層を形成する場合、露光及び現像によって開口部を形成することが考えられる。
近年の配線の微細化の進行により、前記の開口部は、小さいことが求められる。よって、感光性樹脂組成物には、限界解像性を小さくすることが求められる。「限界解像性」とは、感光性樹脂組成物を用いて形成される絶縁層に露光及び現像によって開口部を形成する場合の、当該開口部の小ささの限界を表し、小さいほど好ましい。ところが、本発明者の検討の結果、限界解像性を小さくした場合、開口部の寸法及び形状の安定性が低くなり、ばらつきが生じやすいことが判明した。
感光性樹脂組成物の限界解像性を改良するためには、感光性樹脂組成物の感度を高めることが考えられる。具体的には、少ない光によって感光性樹脂組成物が現像液に不溶化できるように、当該感光性樹脂組成物の組成を改良することが考えられる。ところが、感度の高い感光性樹脂組成物は、少しの光によって容易に現像液に不溶化する傾向がある。よって、感光性樹脂組成物層で生じうる光の散乱の影響により、未露光部に残渣が残りやすい。そして、その残渣によって開口部が狭められる結果、開口部の寸法及び形状にばらつきが生じやすかった。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、限界解像性が小さく、且つ、寸法及び形状の安定性に優れる開口部を形成することが可能な感光性樹脂組成物層を備える感光性フィルム;前記の感光性フィルムを用いた回路基板の製造方法;限界解像性が小さく、且つ、寸法及び形状の安定性に優れる開口部を形成することが可能な感光性樹脂組成物層の硬化物を含む絶縁層を備えた回路基板;並びに、前記の回路基板を備えた半導体装置;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、エチレン性不飽和結合を含有する特定の部分構造及びカルボキシル基を含有する(A)第一化合物、及び、(B)光重合開始剤、を含む感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を備える感光性フィルムが、前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
[1] 感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を備える感光性フィルムであって、
感光性樹脂組成物が、(A)下記式(1)で表される第一化合物、及び、(B)光重合開始剤、を含む、感光性フィルム。
Figure 2024087722000002
(式(1)において、
11は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
12は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1以上6以下の1価の有機基を表し、
13は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示すか、或いはR14及びR15が一緒になって結合し、置換基を有していてもよい炭化水素環を形成し、
11は、炭素原子数1の1+m11価の有機基を表し、
12は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m12価の有機基を表し、
m11は、2又は3を表し、
m12は、1又は2を表し、
n1は、0以上2以下の整数を表す。)
[2] 感光性樹脂組成物が、(C)下記式(2)で表される第二化合物を含む、[1]に記載の感光性フィルム。
Figure 2024087722000003
(式(2)において、
21は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
22は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1以上6以下の1価の有機基を表し、
23は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
21は、炭素原子数1の1+m21価の有機基を表し、
22は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m22価の有機基を表し、
m21は、2又は3を表し、
m22は、1又は2を表し、
n2は、0以上2以下の整数を表す。)
[3] 感光性樹脂組成物に含まれる(A)第一化合物の質量Wと(C)第二化合物の質量Wとの比W/Wが、0.2以上5.0以下である、[2]に記載の感光性フィルム。
[4] (A)第一化合物以外に、更に(D)カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート樹脂を含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の感光性フィルム。
[5] (D)カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート樹脂が、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂である、[4]に記載の感光性フィルム。
[6] (E)無機充填材を含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の感光性フィルム。
[7] (F)エポキシ樹脂を含む、[1]~[6]のいずれか一項に記載の感光性フィルム。
[8] 支持体と、該支持体上に設けられた前記感光性樹脂組成物層と、を備える[1]~[7]のいずれか一項に記載の感光性フィルム。
[9] 感光性樹脂組成物層の硬化物を含む絶縁層を備える回路基板であって、
前記絶縁層のアンジュレーションが、2μm以下であり、
前記感光性樹脂組成物層が、(A)下記式(1)で表される第一化合物、及び、(B)光重合開始剤、を含む感光性樹脂組成物を含む、回路基板。
Figure 2024087722000004
(式(1)において、
11は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
12は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1以上6以下の1価の有機基を表し、
13は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示すか、或いはR14及びR15が一緒になって結合し、置換基を有していてもよい炭化水素環を形成し、
11は、炭素原子数1の1+m11価の有機基を表し、
12は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m12価の有機基を表し、
m11は、2又は3を表し、
m12は、1又は2を表し、
n1は、0以上2以下の整数を表す。)
[10] [9]に記載の回路基板を備える、半導体装置。
[11] (I)ベース基板上に、[1]~[8]のいずれか一項に記載の感光性フィルムの感光性樹脂組成物層を積層する工程、
(II)感光性樹脂組成物層に露光する工程、及び、
(III)感光性樹脂組成物層を現像する工程、
をこの順に含む、回路基板の製造方法。
本発明によれば、限界解像性が小さく、且つ、寸法及び形状の安定性に優れる開口部を形成することが可能な感光性樹脂組成物層を備える感光性フィルム;前記の感光性フィルムを用いた回路基板の製造方法;限界解像性が小さく、且つ、寸法及び形状の安定性に優れる開口部を形成することが可能な感光性樹脂組成物層の硬化物を含む絶縁層を備えた回路基板;並びに、前記の回路基板を備えた半導体装置;を提供できる。
図1は、ベース基板上に感光性フィルムを用いて形成された絶縁層の例を模式的に示す断面図である。 図2は、ベース基板上に感光性フィルムを用いて形成された絶縁層の例を、その厚み方向から見た様子を模式的に示す平面図である。 図3は、ベース基板上に形成された感光性樹脂組成物層の例を模式的に示す断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、化合物又は基についていう「置換基を有していてもよい」という用語は、別に断らない限り、該化合物又は基の水素原子が置換基で置換されていない場合、及び、該化合物又は基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている場合の双方を意味する。
以下の説明において、用語「有機基」は、別に断らない限り、骨格原子として少なくとも炭素原子を含む基をいい、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。
以下の説明において、用語「(メタ)アクリル酸」は、別に断らない限り、アクリル酸及びメタクリル酸を包含する。また、用語「(メタ)アクリレート」は、別に断らない限り、アクリレート及びメタクリレートを包含する。さらに、用語「(メタ)アクリロイル基」は、別に断らない限り、アクリロイル基及びメタクリロイル基を包含する。
[感光性フィルムの概要]
本発明の一実施形態に係る感光性フィルムは、感光性樹脂組成物層を備える。感光性樹脂組成物層は、感光性樹脂組成物を含み、好ましくは感光性樹脂組成物のみを含む。また、感光性樹脂組成物は、(A)下記式(1)で表される第一化合物、及び、(B)光重合開始剤、を含む。
Figure 2024087722000005
(式(1)において、R11は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し;R12は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1以上6以下の1価の有機基を表し;R13は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し;R14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示すか、或いはR14及びR15が一緒になって結合し、置換基を有していてもよい炭化水素環を形成し;X11は、炭素原子数1の1+m11価の有機基を表し;X12は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m12価の有機基を表し;m11は、2又は3を表し;m12は、1又は2を表し;n1は、0以上2以下の整数を表す。)
本実施形態に係る感光性フィルムの感光性樹脂組成物層は、小さい限界解像性を有することができる。また、本実施形態に係る感光性フィルムによれば、感光性樹脂組成物層に寸法及び形状の安定性に優れる開口部を形成できる。よって、硬化した感光性樹脂組成物層としての絶縁層を形成した場合に、寸法及び形状の安定性に優れた小さい開口部を有する絶縁層を得ることができる。さらに、本実施形態に係る感光性フィルムによれば、通常は、開口部の断面形状を良好にできる。
前記の効果について、図面を示して説明する。図1は、ベース基板10上に感光性フィルムを用いて形成された絶縁層20の例を模式的に示す断面図である。図1に示す例のように、ベース基板10上に感光性フィルムの感光性樹脂組成物層(図示せず)を積層し、露光及び現像を行って、開口部30を有する絶縁層20を形成した場合を説明する。開口部30は、通常、ベース基板10とは反対側に開いているから、ベース基板10とは反対側に開口31を有する。この開口31は、厚み方向における開口部30のベース基板10とは反対側の端部に相当しうる。この開口31の直径D31を、開口部30の「開口径」という。「限界解像性」とは、この開口径D31の小ささの限界を表す。本実施形態に係る感光性フィルムの感光性樹脂組成物層は限界解像性に優れるので、開口径D31の小さい開口部30を形成することが可能である。したがって、絶縁層20は、小さい開口部30を有することができる。
図2は、ベース基板10(図1参照)上に感光性フィルムを用いて形成された絶縁層20の例を、その厚み方向から見た様子を模式的に示す平面図である。図2に示す例では、丸穴状の開口部30を形成した例を示すが、開口部30は、別の形状であってもよい。図2に示すように、厚み方向から見ると、開口部30の開口31を観察できる。このときの開口31の形状を、開口部30の「開口形状」という。本実施形態に係る感光性フィルムによれば、寸法及び形状の安定性に優れる開口部30を形成できる。よって、複数の開口部30が絶縁層20に形成されている場合に、開口径D31のばらつきを小さくでき、また、開口形状のばらつきを抑制できる。したがって、絶縁層20が有する開口部30の寸法及び形状の安定性を高めることができる。
図1に示すように、絶縁層20を厚み方向に平行な断面が現れるように切断した場合に観察される開口部30の形状を、開口部30の「断面形状」という。開口部30の断面形状は、開口部30の開口31と開口部30の底32との寸法差によって評価できる。具体的には、開口部30の開口31と開口部30の底32との寸法差は小さいことが好ましい。よって、開口31と底32との寸法差が小さいほど、その開口部30の断面形状は良好である。ここで、開口部30の「底」32とは、厚み方向における開口部30のベース基板10側の端部を表す。本実施形態に係る感光性フィルムによれば、通常、開口部30の断面形状を良好にできる。よって、好ましくは開口31と底32との寸法差を小さくでき、更に好ましくは開口31と底32との寸法差を無くすことができる。例えば、開口部30が厚み方向から見て円形の丸穴である場合、開口部30のトップ半径Tと開口部30のボトム半径Bとの差T-Bを小さくできる。開口部30の「トップ半径」Tとは、開口31の半径を表し、よって、開口径D31の半分の値を表す。また、開口部30の「ボトム半径」Bとは、開口部30の底32の半径を表す。ただし、一般的には、開口部30の開口31の寸法が、開口部30の底32の寸法と同じかより大きいことが望ましい。
なお、絶縁層20上に更に層を設けた場合、又は、ベース基板10を剥離した場合においては、開口部30の開口31と底32との区別が容易でないことがありうる。その場合、開口部30の断面形状に基づいて、開口31と底32とを区別してもよい。具体的には、開口部30の開口31の寸法が開口部30の底32の寸法よりも大きいことが通常であるので、厚み方向における開口部30の両端部のうち、大きい方を開口31、小さい方を底32と判定しうる。
前記のように優れた効果が得られる仕組みを、本発明者は下記のように推察する。ただし、本発明の範囲は、下記に説明する仕組みに制限されるものではない。
(A)第一化合物は、式(1)から分かるように、分子中にエチレン性二重結合を含有する。よって、露光によって前記のエチレン性二重結合が反応して結合を形成し、現像液に対する溶解性を低下させることができる。したがって、(A)第一化合物を含む感光性樹脂組成物は、露光を受けた場合、現像液に対する溶解性が低下して不溶化することができる。このとき、(A)第一化合物は、露光に対して高い感度で反応を進行させることが可能である。
また、(A)第一化合物が分子中にカルボキシル基を含有するので、当該(A)第一化合物は、アルカリ現像液に対して高い溶解性を有する。よって、露光を受けていない場合、(A)第一化合物を含む感光性樹脂組成物は、アルカリ現像液に対して高い溶解性を有することができる。このように本実施形態に係る感光性樹脂組成物が高い現像性を有することができるので、露光されていない感光性樹脂組成物を、現像液によって円滑に除去することができる。「現像性」とは、感光性樹脂組成物が現像液に溶けやすい性質を表す。
よって、(A)第一化合物により、感光性樹脂組成物の感度及び現像性を効果的に向上させることができる。したがって、その感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を備えた感光性シートによれば、優れた限界解像性を達成できる。
前記のように優れた限界解像性を有する感光性樹脂組成物層を用いた場合、従来は、開口部の寸法及び形状のばらつきが大きくなる傾向があった。しかし、本実施形態に係る感光性シートによれば、開口部の寸法及び形状のばらつきを小さくできるので、当該開口部の寸法及び形状の安定性を高めることができる。具体的には、下記の通りである。
図3は、ベース基板10上に形成された感光性樹脂組成物層40の例を模式的に示す断面図である。絶縁層の形成方法は、図3に示すように、ベース基板10上に感光性樹脂組成物層40を形成することを含みうる。そして、その感光性樹脂組成物層40に露光及び現像を行って、開口部30(図3では図示せず)を形成しうる。従来のように、仮に、液状の感光性樹脂組成物を塗布することで感光性樹脂組成物層を形成すると、感光性樹脂組成物層のアンジュレーションが大きくなる傾向がある。しかし、本実施形態に係る感光性フィルムを用いて形成される感光性樹脂組成物層40は、アンジュレーションU40を小さくすることが可能である。
「アンジュレーション」U40とは、感光性樹脂組成物層40の表面41の高さの最大値と最小値との差を表す。よって、感光性樹脂組成物層40のアンジュレーションU40とは、感光性樹脂組成物層40の表面41の最も高い点41Hと最も低い点41Lとの高さの差を表す。ここで、感光性樹脂組成物層40の表面41は、ベース基板10とは反対側の表面を表す。したがって、開口部30を基準にすると、感光性樹脂組成物層40の表面41は、開口部30の開口31が開いている側の表面を表しうる。通常は、ベース基板10の表面11にある配線等の導体層(図示せず)上で感光性樹脂組成物層40が盛り上がる。よって、アンジュレーションU40は、感光性樹脂組成物層40の導体層上の部分の表面高さと、当該部分(導体層上の部分)以外の部分の表面高さとの差の最大値として得られることが多い。
一般に、露光された光は、感光性樹脂組成物層40の表面41を通って、感光性樹脂組成物層40内に進入する。アンジュレーションU40が大きい場合、表面41の形状の均一性が低いので、表面41によって光が大きく散乱されることがありうる。この光の散乱が生じると、本来は露光されるべきでない未露光部に光が進入し、当該未露光部において感光性樹脂組成物が意図せず不溶化することがありうる。意図せず不溶化した感光性樹脂組成物があると、現像によって当該未露光部から意図したとおりに感光性樹脂組成物を除去することができず、その結果、開口部30の寸法及び形状の安定性が低下する原因となりうる。
これに対し、本実施形態においては、感光性フィルムによって、感光性樹脂組成物層40を形成できる。感光性フィルムによれば、圧力を加えたラミネートによってベース基板10上に感光性樹脂組成物層40を形成できるので、アンジュレーションU40を低減できる。よって、光の散乱による開口部30の寸法及び形状のばらつきを低減できるから、その安定性を高めることができる。一般に、開口部30の寸法が小さい場合には、前記の光の散乱の影響は大きく、よって従来は、開口部の寸法及び形状のばらつきを低減することは困難であった。この事情に鑑みると、本実施形態のように限界解像性を小さくすることと開口部の寸法及び形状の安定性を高めることとの両方を達成できることは、工業上、大きな価値がある。
また、前記のようにアンジュレーションU40を低減して光の散乱を抑制できると、未露光部に進入する光の量を低減することができる。したがって、通常は、開口部30の開口31と開口部30の底32との寸法差を小さくできるので、開口部30の断面形状を良好にすることができる。
[(A)第一化合物]
感光性樹脂組成物は、(A)成分としての(A)第一化合物を含む。(A)第一化合物は、式(1)で表される。
Figure 2024087722000006
式(1)において、R11は、それぞれ独立に、単結合、又は、2価の有機基を表す。R11が表す2価の有機基は、式(1)においてR11に結合する酸素原子と結合する炭素原子を含有することが好ましい。R11が表す2価の有機基の炭素原子数は、通常1以上6以下、好ましくは1以上4以下、更に好ましくは1以上3以下である。
11は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基;又は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が、酸素原子、スルホニル基、カルボニル基及びカーボネート基からなる群より選ばれる2価の連結基で連結された2価の基;を表すことが好ましい。
11における2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよいが、2価の脂肪族炭化水素基が好ましい。この脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、また、環構造を含む脂環式炭化水素基であってもよい。2価の炭化水素基は、不飽和結合を有さない2価の飽和炭化水素基であることが更に好ましく、よって2価の飽和脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。
11における2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、アルカポリエニレン基、アリーレン基等が挙げられる。中でも、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、アリーレン基が好ましく、アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリーレン基がより好ましく、アルキレン基が特に好ましい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられる。
11における2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルカポリエニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、1価の複素環基、アルキリデン基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基及びオキソ基等が挙げられる。置換基は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
前記の中でも、R11は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、置換基を有さない2価の炭化水素基(即ち、2価の無置換の炭化水素基)がより好ましく、置換基を有さないアルキレン基が更に好ましい。
式(1)において、R12は、それぞれ独立に、水素原子、又は、1価の有機基を表す。R12が表す1価の有機基は、式(1)においてR12に結合する炭素原子と結合する炭素原子を含有することが好ましい。R12が表す1価の有機基の炭素原子数は、通常1以上6以下、好ましくは1以上4以下、更に好ましくは1以上3以下である。
12が表す1価の有機基は、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であることが好ましい。1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、1価の脂肪族炭化水素基が好ましい。この脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、また、環構造を含む脂肪族炭化水素基(即ち、脂環式炭化水素基)であってもよい。1価の炭化水素基は、不飽和結合を有さない1価の飽和炭化水素基であることが更に好ましく、よって1価の飽和脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。
12における1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルカポリエニル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、及びアリール基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基がより好ましく、アルキル基及びアリール基が更に好ましく、アルキル基が特に好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
12における1価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、R11における2価の炭化水素基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。置換基は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
前記の中でも、R12は、水素原子、及び、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基が好ましく;水素原子、及び、置換基を有さない1価の炭化水素基(即ち、1価の無置換の炭化水素基)がより好ましく;水素原子、及び、置換基を有さないアルキレン基が更に好ましく;水素原子及びメチル基が特に好ましい。
式(1)において、R13は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表す。このR13の範囲は、上述したR11の範囲と同じでありうる。また、R13とR11とは、同一でもよく、異なっていてもよい。中でも、R13は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、置換基を有さない2価の炭化水素基(即ち、2価の無置換の炭化水素基)がより好ましく、置換基を有さないアルキレン基が更に好ましい。
式(1)において、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示すか、或いはR14及びR15が一緒になって結合し、置換基を有していてもよい炭化水素環を形成する。
14及びR15におけるアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~14、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~6である。このアルキル基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含めない。R14及びR15におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、tert-オクチル基等が挙げられる。
14及びR15におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、1価の複素環基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基及びオキソ基等が挙げられる。置換基は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
14及びR15におけるアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2~14、より好ましくは2~10、更に好ましくは2~6である。このアルケニル基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含めない。R14及びR15におけるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基)、ブテニル基(1-ブテニル基、クロチル基、メタリル基、イソクロチル基等)、ペンテニル基(1-ペンテニル基等)、ヘキセニル基(1-ヘキセニル基等)、ヘプテニル基(1-ヘプテニル基等)、オクテニル基(1-オクテニル基等)等が挙げられる。
14及びR15におけるアルケニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、R14及びR15におけるアルキル基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。置換基は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
14及びR15におけるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6~14、より好ましくは6~10である。このアリール基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含めない。R14及びR15におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
14及びR15におけるアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルカポリエニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、1価の複素環基、アルキリデン基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基及びオキソ基等が挙げられる。置換基は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
14及びR15が一緒になって結合して形成しうる炭化水素環の炭素原子数は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは8以下である。この炭化水素環の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含めない。炭化水素環は、通常、炭素原子のみを環構成原子として有する。また、炭化水素環は、環全体において芳香族性を有する芳香族炭化水素環であってもよく、前記芳香族炭化水素環以外の炭化水素環としての非芳香族炭化水素環であってもよい。
14及びR15が一緒になって結合して形成しうる炭化水素環としては、非芳香族炭化水素環が好ましい。非芳香族炭化水素環は、炭素-炭素単結合のみからなる飽和炭化水素環であってもよく、炭素-炭素不飽和結合(例えば、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合)を含有する不飽和炭化水素環であってもよい。非芳香族炭化水素環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、シクロウンデカン環、シクロドデカン環等の、非芳香族飽和炭化水素環;シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロノネン環、シクロデセン環、シクロウンデセン環、シクロドデセン環、シクロペンタジエン環、1,3-シクロヘキサジエン環、1,4-シクロヘキサジエン環等の、非芳香族不飽和炭化水素環;が挙げられる。
14及びR15が一緒になって結合して形成しうる炭化水素環が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルカポリエニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、1価の複素環基、アルキリデン基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基及びオキソ基等が挙げられる。置換基は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
前記の中でも、R14及びR15は、一緒になって結合し、置換基を有していてもよい炭化水素環を形成していることが好ましい。さらには、R14及びR15が一緒になって結合して形成する炭化水素環は、置換基を有していてもよい非芳香族炭化水素環が好ましく、置換基を有していてもよい非芳香族不飽和炭化水素環がより好ましく、置換基を有さない非芳香族不飽和炭化水素環が更に好ましい。
式(1)において、X11は、炭素原子数1の1+m11価の有機基を表す。よって、X11は、炭素原子数1の3価又は4価の有機基を表す。炭素原子数1の3価の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよいメチン基が挙げられる。メチン基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、シリル基、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基及びメルカプト基等が挙げられる。また、炭素原子数1の4価の有機基としては、例えば、炭素原子が挙げられる。
式(1)において、X12は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m12価の有機基を表す。よって、X12は、それぞれ独立に、炭素原子数1の3価又は4価の有機基を表す。このX12の範囲は、上述したX11の範囲と同じでありうる。また、X12とX11とは、同一でもよく、異なっていてもよい。
式(1)において、m11は、2又は3を表し、3が好ましい。
式(1)において、m12は、1又は2を表し、2が好ましい。
式(1)において、n1は、0以上2以下の整数を表し、0又は1が好ましい。
(A)第一化合物の例としては、下記式(A-1)~(A-26)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024087722000007
Figure 2024087722000008
Figure 2024087722000009
(A)第一化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)第一化合物の製造方法に特に制限はない。例えば、(A)第一化合物は、後述する(C’)第三化合物に、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、無水コハク酸等の適切な種類のジカルボン酸無水物を反応させて製造してもよい。
感光性樹脂組成物中の(A)第一化合物の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。(A)第一化合物の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
感光性樹脂組成物中の(A)第一化合物の量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。感光性樹脂組成物の樹脂成分とは、感光性樹脂組成物の不揮発成分のうち、(E)無機充填材を除いた成分を表す。(A)第一化合物の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
[(B)光重合開始剤]
感光性樹脂組成物は、(B)成分としての(B)光重合開始剤を含む。(B)光重合開始剤には、上述した(A)成分に該当するものは含めない。
(B)光重合開始剤としては、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤;1,2-オクタンジオン、1-4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等のα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸、ベンゾイルエチルエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,4-ジエチルチオキサントン、ジフェニル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等が挙げられる。(B)光重合開始剤としては、市販品を用いてもよい。市販の(B)光重合開始剤としては、例えば、IGM Resins社製の「Omnirad907」、「Omnirad369」、「Omnirad379」、「Omnirad819」、「OmniradTPO」;BASF社製の「IrgacureOXE-01」、「IrgacureOXE-02」、「IrgacureTPO」、「Irgacure819」;ADEKA社製の「N-1919」;等が挙げられる。(B)光重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
感光性樹脂組成物中の(B)光重合開始剤の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。(B)光重合開始剤の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
感光性樹脂組成物中の(B)光重合開始剤の量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。(B)光重合開始剤の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
[(C)第二化合物]
感光性樹脂組成物は、任意の成分として(C)第二化合物を含んでいてもよい。(C)成分としての(C)第二化合物には、上述した(A)~(B)成分に該当するものは含めない。(C)第二化合物は、式(2)で表される。(C)第二化合物は、式(2)から分かるように、分子中にエチレン性二重結合を含有する。よって、通常は、露光によって前記のエチレン性二重結合が反応して結合を形成できるので、感光性樹脂組成物の感度を効果的に高めて、限界解像性を更に小さくできる。
Figure 2024087722000010
(式(2)において、R21は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し;R22は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1以上6以下の1価の有機基を表し;R23は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し;X21は、炭素原子数1の1+m21価の有機基を表し;X22は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m22価の有機基を表し;m21は、2又は3を表し;m22は、1又は2を表し;n2は、0以上2以下の整数を表す。)
式(2)において、R21は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表す。このR21の範囲は、上述した式(1)におけるR11の範囲と同じである。式(1)におけるR11と式(2)におけるR21とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(2)において、R22は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1以上6以下の1価の有機基を表す。このR22の範囲は、上述した式(1)におけるR12の範囲と同じである。式(1)におけるR12と式(2)におけるR22とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(2)において、R23は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表す。このR23の範囲は、上述した式(1)におけるR13の範囲と同じである。式(1)におけるR13と式(2)におけるR23とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(2)において、X21は、炭素原子数1の1+m21価の有機基を表す。よって、X21は、炭素原子数1の3価又は4価の有機基を表す。このX21の範囲は、上述した式(1)におけるX11の範囲と同じである。式(1)におけるX11と式(2)におけるX21とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(2)において、X22は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m22価の有機基を表す。よって、X22は、それぞれ独立に、炭素原子数1の3価又は4価の有機基を表す。このX22の範囲は、上述した式(1)におけるX12の範囲と同じである。式(1)におけるX12と式(2)におけるX22とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(2)において、m21は、2又は3を表し、3が好ましい。式(1)におけるm11と式(2)におけるm21とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(2)において、m22は、1又は2を表し、2が好ましい。式(1)におけるm12と式(2)におけるm22とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(2)において、n2は、0以上2以下の整数を表し、0又は1が好ましい。式(1)におけるn1と式(2)におけるn2とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
(C)第二化合物の例としては、下記式(C-1)~(C-10)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024087722000011
(C)第二化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)第二化合物の製造方法に特に制限はない。例えば、(C)第二化合物は、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール等の適切なポリオール化合物に、アクリル酸及びメタクリル酸等の適切な種類のモノカルボン酸を反応させて製造してもよい。また、(C)第二化合物としては、市販品を用いてもよい。市販の(C)第二化合物としては、新中村工業社製「A-TMM-3LM-N」、「A-9570W」などが挙げられる。市販品には、(C)第二化合物と任意の化合物とを含む混合物として提供されるものがありうる。感光性樹脂組成物は、前記の混合物から抽出した(C)第二化合物を含んでいてもよいが、本発明の効果を著しく損なわない限り、(C)第二化合物及び任意の化合物を含む混合物を含んでいてもよい。
(A)第一化合物の質量Wと(C)第二化合物の質量Wとの比W/Wは、特定の範囲にあることが好ましい。具体的には、比W/Wは、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.0以下である。比W/Wが前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
感光性樹脂組成物中の(C)第二化合物の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。(C)第二化合物の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
感光性樹脂組成物中の(C)第二化合物の量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。(C)第二化合物の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
[(C’)第三化合物]
感光性樹脂組成物は、任意の成分として(C’)第三化合物を更に含んでいてもよい。(C’)第三化合物には、上述した(A)~(C)成分に該当するものは含めない。(C’)成分としての第三化合物は、下記式(3)で表される。(C’)第三化合物は、式(3)から分かるように、分子中にエチレン性二重結合を含有する。よって、通常は、露光によって前記のエチレン性二重結合が反応して結合を形成できるので、感光性樹脂組成物の感度を効果的に高めて、限界解像性を更に小さくできる。
Figure 2024087722000012
(式(3)において、R31は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し;R32は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1以上6以下の1価の有機基を表し;R33は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し;X31は、炭素原子数1の1+m31価の有機基を表し;X32は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m32価の有機基を表し;m31は、2又は3を表し;m32は、1又は2を表し;n3は、0以上2以下の整数を表す。)
式(3)において、R31は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表す。このR31の範囲は、上述した式(1)におけるR11の範囲と同じである。式(1)におけるR11と式(3)におけるR31とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(3)において、R32は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1以上6以下の1価の有機基を表す。このR32の範囲は、上述した式(1)におけるR12の範囲と同じである。式(1)におけるR12と式(3)におけるR32とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(3)において、R33は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表す。このR33の範囲は、上述した式(1)におけるR13の範囲と同じである。式(1)におけるR13と式(3)におけるR33とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(3)において、X31は、炭素原子数1の1+m31価の有機基を表す。よって、X31は、炭素原子数1の3価又は4価の有機基を表す。このX31の範囲は、上述した式(1)におけるX11の範囲と同じである。式(1)におけるX11と式(3)におけるX31とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(3)において、X32は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m32価の有機基を表す。よって、X32は、それぞれ独立に、炭素原子数1の3価又は4価の有機基を表す。このX32の範囲は、上述した式(1)におけるX12の範囲と同じである。式(1)におけるX12と式(3)におけるX32とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(3)において、m31は、2又は3を表し、3が好ましい。式(1)におけるm11と式(3)におけるm31とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(3)において、m32は、1又は2を表し、2が好ましい。式(1)におけるm12と式(3)におけるm32とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
式(3)において、n3は、0以上2以下の整数を表し、0又は1が好ましい。式(1)におけるn1と式(3)におけるn3とは、異なっていてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点では同じであることが好ましい。
(C’)第三化合物の例としては、下記式(C’-1)~(C’-8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024087722000013
(C’)第三化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(C’)第三化合物としては、例えば、新中村工業社製「A-TMM-3LM-N」、「A-9570W」などが挙げられる。市販品には、(C’)第三化合物と任意の化合物とを含む混合物として提供されるものがありうる。感光性樹脂組成物は、前記の混合物から抽出した(C’)第三化合物を含んでいてもよいが、本発明の効果を著しく損なわない限り、(C’)第三化合物及び任意の化合物を含む混合物を含んでいてもよい。
(A)第一化合物の質量Wと(C’)第三化合物の質量W’との比W/W’は、特定の範囲にあることが好ましい。具体的には、比W/W’は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。比W/W’が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
感光性樹脂組成物中の(C’)第三化合物の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。(C’)第三化合物の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
感光性樹脂組成物中の(C’)第三化合物の量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。(C’)第三化合物の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
[(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂]
感光性樹脂組成物は、(A)第一化合物以外に、任意の成分として(D)カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート樹脂を更に含んでいてもよい。(A)第一化合物以外の「(D)カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート樹脂」を、以下、適宜「(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂」ということがある。(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂には、上述した(A)成分~(C)成分及び(C’)成分に該当するものは含めない。
(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂は、カルボキシル基を含有するので、感光性樹脂組成物の現像性を効果的に高めて、限界解像性を更に小さくできる。(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂の1分子当たりのカルボキシル基の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。
(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のエステルであるので、通常、(メタ)アクリロイル基を含有する。このように(メタ)アクリロイル基を含有する(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂は、エチレン性不飽和結合を含有する。よって、(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂によれば、感光性樹脂組成物の感度を効果的に高めて、限界解像性を更に小さくできる。(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂の1分子当たりの(メタ)アクリロイル基の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。
(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂は、感光性樹脂組成物の現像性、感光性樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層の機械的強度及び耐熱性、並びに、絶縁層と導体層との密着性を効果的に改善する観点から、ナフタレン骨格及びビフェニル骨格から選ばれる骨格を含有することが好ましく、ナフタレン骨格を含有することがより好ましく、ナフトールアラルキル骨格を含有することが更に好ましい。
(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂としては、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートにカルボキシル基が導入された構造を有しうる。この酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートとしてのエポキシ(メタ)アクリレート樹脂と、カルボン酸無水物とを反応させて製造することができる。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、エポキシ樹脂とアクリル酸又はメタクリル酸とを反応させることにより製造することができる。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の製造のためのエポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を有する化合物を用いうる。このエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂にエピクロロヒドリンを反応させて3官能以上に変性した変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型等のビフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、及びパーフルオロアルキル型エポキシ樹脂等のフッ素含有エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシビナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビナフトール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合反応によって得られるナフタレン型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂);ビキシレノール型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;トリスフェノール型エポキシ樹脂;tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂等の縮合環骨格を含有するエポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;線状脂肪族エポキシ樹脂;ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;スピロ環含有エポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂;トリメチロール型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;ポリグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレートとアクリル酸エステルとの共重合体等のグリシジル基含有アクリル樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂が好ましく、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂がより好ましい。
好ましい(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、下記式(D-1)で表される構造単位を含有する樹脂が挙げられる。(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂は、式(D-1)で表される構造単位を、1個のみ含有していてもよく、2個以上含有していてもよい。(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂に含有される式(D-1)で表される構造単位の数は、好ましくは1個~10個、より好ましくは1個~6個である。式(D-1)で表される構造単位を含有する(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂を用いる場合、限界解像性を効果的に小さくできる。
Figure 2024087722000014
(式(D-1)において、Rd1及びRd2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキレン基を表し;Rd3は、それぞれ独立して、(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を含有する1価の有機基を表し;Xは、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し;adは、0又は1を表し;cdは、1~6の整数を表し;sdは、0又は1を表し;tdは、0又は1を表す。ただし、sd+tdは、0にはならない。)
式(D-1)において、Rd1は、置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。Rd1の炭素原子数は、通常1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~6である。アルキレン基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、等が挙げられる。アルキレン基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールアルキル基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、オキソ基等が挙げられる。置換基は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。中でも、Rd1は、置換基を有さないアルキレン基が好ましい。
式(D-1)において、Rd2は、置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。Rd2の範囲は、上述したRd1の範囲と同じである。Rd2とRd1とは、同一でもよく、異なっていてもよい。中でも、Rd2は、置換基を有さないアルキレン基が好ましい。
式(D-1)において、Xは、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Xの炭素原子数は、通常6~30、好ましくは6~20、より好ましくは6~10である。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、アントラセニレン基、フェナントレニレン基、ビフェニレン基が挙げられる。アリーレン基が有していてもよい置換基としては、例えば、Rd1が表すアルキレン基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。置換基は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。中でも、Xは、置換基を有さないアリーレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
式(D-1)において、adは、0又は1を表し、好ましくは1を表す。adは、基Xの数を表す。
式(D-1)において、cdは、通常1~6、好ましくは1~3、より好ましくは1~2の整数を表す。cdは、基ORd3の数を表す。
式(D-1)において、sdは、0又は1を表す。sdは、基Rd1の数を表す。
式(D-1)において、tdは、0又は1を表す。tdは、基Rd2の数を表す。ただし、sd+tdは、0にはならない。中でも、adが1の場合、sd及びtdがいずれも1であることが好ましい。また、adが0の場合、sd及びtdの一方が0であることが好ましい。
式(D-1)において、Rd3は、それぞれ独立して、(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を含有する有機基を表す。式(D-1)において、基ORd3は、ナフタレン骨格上の置換基を表す。好ましくは、Rd3は、下記式(D-2)に示す基を表す。
Figure 2024087722000015
式(D-2)において、Rd4は、3価の基を表す。Rd4は、好ましくは、置換基を有していてもよい3価の炭化水素基(ただし、炭素-炭素結合(C-C結合)の間にヘテロ原子が介在していてもよい)を表す。Rd4は、更に好ましくは、置換基を有していてもよい3価の脂肪族炭化水素基を表す。Rd4は、置換基を有していてもよいエポキシ基含有置換基の3価の残基であってもよい。Rd4における置換基は、例えば、Rd1が表すアルキレン基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
式(D-2)において、Rd5は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す。
式(D-2)において、Rd6は、カルボキシル基を含有する1価の有機基を表す。カルボキシル基を含有する1価の有機基は、-OCO-Rd7-COOHが好ましい。ここで、Rd7は、2価の基を表す。Rd7が表す2価の基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましい。Rd7の炭素原子数は、通常1~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の直鎖状若しくは分岐鎖状の非環式アルキレン基;飽和若しくは不飽和の2価の脂環式炭化水素基;フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基;等が挙げられる。中でも、2価の脂環式炭化水素基及びアリーレン基が好ましく、4-シクロヘキセニレン基及びフェニレン基が特に好ましい。Rd7における置換基としては、例えば、Rd1が表すアルキレン基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。前記の-OCO-Rd7-COOHにおいて、「-CO-Rd7-COOH」は、通常、カルボン酸無水物の残基を表す。カルボン酸無水物の例は、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物である。
式(D-1)で表される構造単位を含有する酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、特開2022-19406号公報に記載の方法によって製造しうる。
(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂の酸価は、感光性樹脂組成物の現像性を向上させる観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは、10mgKOH/g以上、更に好ましくは、50mgKOH/g以上である。また、(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂の酸価は、絶縁層の絶縁信頼性を向上させる観点から、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下、更に好ましくは120mgKOH/g以下である。
感光性樹脂組成物中の(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
感光性樹脂組成物中の(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂の量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
[(E)無機充填材]
感光性樹脂組成物は、任意の成分として、(E)無機充填材を更に含んでいてもよい。(E)成分としての(E)無機充填材には、上述した(A)~(D)成分及び(C’)成分に該当するものは含めない。(E)無機充填材は、通常、粒子の状態で感光性樹脂組成物に含まれる。一般に、(E)無機充填材は光の散乱を生じうるので、(E)無機充填材を含む感光性樹脂組成物は限界解像性の改善が難しい傾向があった。これに対し、本実施形態に係る感光性フィルムの感光性樹脂組成物層は、(E)無機充填材を含んでいても、限界解像性を改善できる。また、(E)無機充填材を用いる場合、感光性樹脂組成物の機械的強度の向上、絶縁性の向上、及び、熱膨張係数の低減が可能である。
(E)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(E)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカ、硫酸バリウムが好適であり、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(E)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「UFP-20」、「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」などが挙げられる。
(E)無機充填材の平均粒径は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは3μm以下である。
(E)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出しうる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(E)無機充填材の比表面積は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.5m/g以上、さらに好ましくは1m/g以上、特に好ましくは3m/g以上であり、好ましくは100m/g以下、より好ましくは70m/g以下、さらに好ましくは50m/g以下、特に好ましくは40m/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで測定できる。
(E)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、特定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%の表面処理剤で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%の表面処理剤で表面処理されていることがさらに好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、感光性樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1.0mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。
(E)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
感光性樹脂組成物中の(E)無機充填材の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。(E)無機充填材の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
[(F)エポキシ樹脂]
感光性樹脂組成物は、任意の成分として、(F)エポキシ樹脂を更に含んでいてもよい。(F)成分としての(F)エポキシ樹脂には、上述した(A)~(E)成分及び(C’)成分に該当するものは含めない。(F)エポキシ樹脂を含む感光性樹脂組成物は、(A)第一化合物及び(D)任意の(メタ)アクリレート樹脂が含有するカルボキシル基と(F)エポキシ樹脂が含有するエポキシ基とを反応させて結合させることが可能である。よって、感光性樹脂組成物の硬化物の架橋密度を高めて、当該硬化物を含む絶縁層の機械的強度を向上させたり、絶縁層と導体層との密着性を高めたりすることができる。
(F)エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する硬化性樹脂でありうる。(F)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。(F)エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(F)エポキシ樹脂は、耐熱性に優れる絶縁層を得る観点から、芳香族構造を含有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。芳香族構造を含有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビシキレノール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有する線状脂肪族エポキシ樹脂、芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、芳香族構造を有する脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するスピロ環含有エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するトリメチロール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するテトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、(F)エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。(F)エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828」、「828US」、「828EL」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂が好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂)、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(F)エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、好ましくは20:1~1:20、より好ましくは10:1~1:10、特に好ましくは7:1~1:7である。
(F)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~3,000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2,000g/eq.、特に好ましくは110g/eq.~1,000g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量を表す。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
(F)エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
感光性樹脂組成物中の(F)エポキシ樹脂の量は、感光性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。(F)エポキシ樹脂の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
感光性樹脂組成物中の(F)エポキシ樹脂の量は、感光性樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。(F)エポキシ樹脂の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
感光性樹脂組成物中の(F)エポキシ樹脂と(A)第一化合物との当量比((F)エポキシ樹脂/(A)第一化合物)は、特定の範囲にあることが好ましい。具体的には、前記の当量比((F)エポキシ樹脂/(A)第一化合物)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.8以上であり、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.0以下である。当量比((F)エポキシ樹脂/(A)第一化合物)が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
[(G)高分子樹脂]
感光性樹脂組成物は、任意の成分として(G)高分子樹脂を更に含んでいてもよい。(G)高分子樹脂には、上述した(A)~(F)成分及び(C’)成分に該当するものは含めない。(G)高分子樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(G)高分子樹脂は、特定範囲の大きい重量平均分子量を有する。(G)高分子樹脂の重量平均分子量は、具体的には、通常1,000以上、好ましくは1,250以上、より好ましくは1,750以上、更に好ましくは2,000以上である。上限は、特段の制限はなく、例えば、100,000以下、80,000以下、60,000以下などでありうる。(G)高分子樹脂は、感光性樹脂組成物の成膜性を高めることができる。また(G)高分子樹脂は、応力緩和成分として働くので、絶縁層の靭性を高めたり、絶縁層と導体層との密着性を高めたりすることができる。(G)高分子樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
(G)高分子樹脂は、(G)高分子樹脂の分散性を高める観点から、官能基を含むことが好ましい。官能基は、カルボキシル基、水酸基又はエポキシ基と反応できる基が好ましい。官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基が挙げられる。中でも、カルボキシル基及び水酸基が特に好ましい。(G)高分子樹脂の1分子当たりの官能基の数は、1つでもよく、2つ以上でもよい。また、(G)高分子樹脂が1分子当たり2個以上の官能基を含む場合、それらの官能基は同じでもよく、異なっていてもよい。
(G)高分子樹脂の例としては、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。(メタ)アクリル樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の(メタ)アクリルモノマーの重合体を表す。(メタ)アクリル樹脂は、2種類以上の(メタ)アクリルモノマーの共重合体であってもよい。例えば、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、それ以外の(メタ)アクリルモノマーとの共重合体であってもよい。他の樹脂成分との相溶性及び絶縁層と導体層との密着性を向上させる観点から、(メタ)アクリル樹脂は官能基を含有することが好ましい。(メタ)アクリル樹脂は、市販品を用いてもよい。(メタ)アクリル樹脂の市販品としては、例えば、綜研化学社製の「CB-3060」、「CB-3098」、「CBB-3098」、「UT-1001」;根上工業社製の「BPX-003」、「RA-4101」;東亞合成社製の「AB-6」等が挙げられる。
(G)高分子樹脂の別の例としては、ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリエステル樹脂等が挙げられる。ポリエステル樹脂は、市販品を用いてもよい。ポリエステル樹脂の市販品としては、例えば、ユニチカ社製の「UE-3980」、ユニチカ社製の「XA-0653」、味の素ファインテクノ社製の「PA-111」等が挙げられる。
(G)高分子樹脂の更に別の例としては、ポリウレタン樹脂が挙げられる。ポリウレタン樹脂としては、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂、水酸基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂等が挙げられる。ポリウレタン樹脂は、市販品を用いてもよい。ポリウレタン樹脂の市販品としては、例えば、根上工業社製の「AGKN-026」等が挙げられる。
(G)高分子樹脂は、低いガラス転移温度Tgを有することが好ましい。(G)高分子樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは200℃以下、より好ましくは65℃以下、更に好ましくは30℃以下、更に好ましくは-10℃以下、特に好ましくは-40℃以下である。下限は、好ましくは-100℃以上、より好ましくは-80℃以上、更に好ましくは-75℃以上である。(G)高分子樹脂のガラス転移温度が前記の範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に基づき、昇温速度5℃/分で示差走査熱量測定を行って測定できる。
感光性樹脂組成物中の(G)高分子樹脂の量は、感光性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。(G)高分子樹脂の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
感光性樹脂組成物中の(G)高分子樹脂の量は、感光性樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。(G)高分子樹脂の量が前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
[(H)硬化促進剤]
感光性樹脂組成物は、任意の成分として、(H)硬化促進剤を含んでいてもよい。(H)成分としての(H)硬化促進剤には、上述した(A)~(G)成分及び(C’)成分に該当するものは含めない。(H)硬化促進剤は、感光性樹脂組成物に含まれる(F)エポキシ樹脂等の成分の反応の触媒として機能して感光性樹脂組成物の硬化を促進させることができる。
(H)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。(H)硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルジメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2E4MZ」、「2MZA-PW」、「2MZ-OK」、「2MA-OK」、「2MA-OK-PW」、「2PHZ」、「2PHZ-PW」、「Cl1Z」、「Cl1Z-CN」、「Cl1Z-CNS」、「C11Z-A」;三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
感光性樹脂組成物中の(H)硬化促進剤の量は、感光性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
感光性樹脂組成物中の(H)硬化促進剤の量は、感光性樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
[(I)任意の添加剤]
感光性樹脂組成物は、任意の成分として(I)任意の添加剤を更に含んでいてもよい。(I)任意の添加剤には、上述した(A)成分~(H)成分及び(C’)成分に該当するものは含めない。
(I)任意の添加剤としては、例えば、第三級アミン、ピラリゾン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、チオキサントン類等の光増感剤;メラミン微粒子等の有機充填材;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディン・グリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、フェノチアジン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤;シリコーン系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;増粘剤;難燃剤;フェノール系樹脂、シアネートエステル系樹脂等の熱硬化樹脂;が挙げられる。(I)任意の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[(J)溶剤]
感光性樹脂組成物は、上述した(A)~(I)成分及び(C’)成分といった不揮発成分に組み合わせて、任意の揮発性成分として(J)溶剤を更に含んでいてもよい。(J)溶剤としては、通常、有機溶剤を用いる。有機溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン溶剤;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素溶剤;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート(EDGAc)、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート等のエステル溶剤;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素溶剤;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤が挙げられる。(J)溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[感光性樹脂組成物層]
本発明の一実施形態に係る感光性フィルムは、感光性樹脂組成物層を備える。感光性樹脂組成物層は、感光性樹脂組成物によって形成されている。よって、感光性樹脂組成物層は、通常は感光性樹脂組成物を含み、好ましくは感光性樹脂組成物のみを含む。
感光性樹脂組成物層に含まれる感光性樹脂組成物の最低溶融粘度は、特定の範囲にあることが好ましい。感光性樹脂組成物の最低溶融粘度の範囲は、具体的には、好ましくは500poise以上、より好ましくは700poise以上、更に好ましくは1,000poise以上であり、好ましくは4,000poise以下、より好ましくは3,500poise以下、更に好ましくは2,900poise以下である。感光性樹脂組成物が前記範囲の最低溶融粘度を有する場合、アンジュレーションを効果的に低減できるので、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。最低溶融粘度は、動的粘弾性測定装置(ユー・ビー・エム社製「Rheosol-G3000」)を使用して、開始温度60℃から200℃まで、昇温速度5℃/分、測定温度間隔2.5℃、振動1Hz/degの条件で測定しうる。
感光性樹脂組成物層の厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは60μm以下、特に好ましくは40μm以下である。感光性樹脂組成物層の厚さが前記範囲にある場合、開口部の寸法及び形状の安定性並びに限界解像性の効果的な改善ができ、更に通常は、開口部の断面形状を特に良好にできる。
[支持体]
感光性フィルムは、好ましくは支持体を備える。特に好ましい態様では、感光性フィルムは、支持体と、支持体上に設けられた感光性樹脂組成物層と、を備える。支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、トリアセチルアセテートフィルム等が挙げられ、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
市販の支持体としては、例えば、王子製紙社製の製品名「アルファンMA-410」、「E-200C」、信越フィルム社製等のポリプロピレンフィルム、帝人社製の製品名「PS-25」等のPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。支持体の剥離を容易にするため、支持体の表面には、シリコーンコート剤等の剥離剤が塗布されていてもよい。剥離剤によって表面を処理された支持体としては、例えば、リンテック社製「AL-5」等が挙げられる。
支持体は、フィッシュアイが少ないものが好ましい。フィッシュアイとは、支持体の製造過程において形成された異常点であり、例えば、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等が挙げられる。前記のフィッシュアイは、材料の熱溶融、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング等の工程を含む製造方法で製造される支持体において形成されうる。
支持体は、透明性に優れるものが好ましい。透明性に優れる支持体は、紫外線等の活性エネルギー線による露光時の光の散乱を低減できる。支持体の透明性は、具体的には、濁度(JIS K6714で規格化されているヘーズ)によって評価できる。一例において、支持体の濁度は、好ましくは0.1~5である。
支持体の厚さは、5μm~100μmの範囲であることが好ましく、10μm~50μmの範囲であることがより好ましい。
[任意の層]
感光性フィルムは、感光性樹脂組成物層及び支持体に組み合わせて、更に任意の層を備えていてもよい。例えば、感光性フィルムは、感光性樹脂組成物層を保護する保護フィルムを備えていてもよい。通常、保護フィルムは、感光性樹脂組成物層の支持体とは反対側に設けられる。保護フィルムとしては、例えば、支持体と同様の材料により形成されたフィルムを用いうる。保護フィルムの厚さは、特に限定されないが、1μm~40μmの範囲であることが好ましく、5μm~30μmの範囲であることがより好ましく、10μm~30μmの範囲であることが更に好ましい。保護フィルムと感光性樹脂組成物層との密着力は、支持体と感光性樹脂組成物層との密着力よりも小さいことが好ましい。通常、感光性フィルムは、保護フィルムを剥離した後で使用される。
[感光性フィルムの製造方法]
感光性フィルムは、例えば、感光性樹脂組成物を用意する工程と、感光性樹脂組成物を支持体上に塗布する工程と、を含む製造方法によって製造できる。
感光性樹脂組成物は、上述した成分を混合することを含む方法によって製造できる。混合の際、三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混練装置;あるいはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の撹拌装置によって、混練又は攪拌を行ってもよい。また、上述した成分は、全部又は一部を同時に混合してもよく、順に混合してもよい。さらに、各成分を混合する過程で、冷却又は加熱を行ってもよい。
塗布を円滑に行う観点から、溶剤を含むワニス状の感光性樹脂組成物を用意し、そのワニス状の感光性樹脂組成物を塗布してもよい。溶剤としては、上記した(J)溶剤と同様のものを用いることができる。
感光性樹脂組成物の塗布方式としては、例えば、グラビアコート方式、マイクログラビアコート方式、リバースコート方式、キスリバースコート方式、ダイコート方式、スロットダイ方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、チャンバーグラビアコート方式、スロットオリフィス方式、スピンコート方式、スリットコート方式、スプレーコート方式、ディップコート方式、ホットメルトコート方式、バーコート方式、アプリケーター方式、エアナイフコート方式、カーテンフローコート方式、オフセット印刷方式、刷毛塗り方式、スクリーン印刷方式等が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、数回に分けて塗布してもよいし、1回で塗布してもよい。また、感光性樹脂組成物は、異なる方式を複数組み合わせて塗布してもよい。中でも、均一塗工性に優れる、ダイコート方式が好ましい。また、異物混入を避けるために、クリーンルーム等の異物発生の少ない環境で塗布工程を実施することが好ましい。
溶剤を含む感光性樹脂組成物を塗布した場合、感光性フィルムの製造方法は、必要に応じて、塗布の後に、感光性樹脂組成物を乾燥する工程を含んでいてもよい。乾燥条件は、感光性樹脂組成物の硬化性及び感光性樹脂組成物中の溶媒量によっても異なりうる。一例において、乾燥温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、特に好ましくは80℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、特に好ましくは120℃以下である。また、乾燥時間は、好ましくは30秒以上、より好ましくは60秒以上、特に好ましくは120秒以上であり、好ましくは60分以下、より好ましくは20分以下、特に好ましくは10分以下である。乾燥は、熱風炉、遠赤外線炉等の乾燥装置によって行いうる。感光性樹脂組成物層中の溶剤の残存量は、感光性樹脂組成物層の総量に対して、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
[感光性フィルムの特性]
本発明の一実施形態に係る感光性フィルムによれば、小さい限界解像性を達成することができる。したがって、当該感光性フィルムを用いることにより、寸法の小さい開口部を有する絶縁層を形成することができる。一例において、後述する実施例に記載の方法で感光性フィルムによって基板上に感光性樹脂組成物層を形成し、その感光性樹脂組成物層に遮光部を備えるマスクを介して露光を行い、その後、現像する。この場合、寸法の小さい遮光部によって、感光性樹脂組成物層を貫通する開口部を形成できる。具体的には、感光性樹脂組成物層を貫通する開口部を形成できる円形の遮光部の直径の最小値を、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下にできる。前記の遮光部の直径の最小値を小さくできることは、露光及び現像によって感光性樹脂組成物に形成できる開口部の開口径を小さくできることを表し、よって、感光性樹脂組成物層の限界解像性を小さくできることを表す。前記の感光性樹脂組成物層は、通常、当該感光性樹脂組成物層を硬化させて得られる絶縁層と同じ形状及び寸法を有するので、前記の開口部は、絶縁層を観察して評価しうる。具体的な評価方法は、実施例の<試験例2:最小ビア径の評価及び開口のバラつきの評価>に記載の方法を採用しうる。
本発明の一実施形態に係る感光性フィルムによれば、寸法及び形状の安定性に優れる開口部を形成できる。したがって、開口径及び開口形状のばらつきを抑制することができる。一例において、後述する実施例に記載の方法で感光性フィルムによって基板上に感光性樹脂組成物層を形成し、その感光性樹脂組成物層に遮光部を備えるマスクを介して露光を行い、その後、現像する。この場合、感光性樹脂組成物層に形成される開口部の開口径及び開口形状のばらつきを抑制でき、更に好ましくは、当該開口部における残渣及び剥離を抑制できる。開口部の寸法及び形状の安定性は、感光性樹脂組成物層を硬化させて得られる絶縁層を観察して評価しうる。具体的な評価方法は、実施例の<試験例2:最小ビア径の評価及び開口のバラつきの評価>に記載の方法を採用しうる。
本発明の一実施形態に係る感光性フィルムによれば、通常、開口部の断面形状を良好にできる。したがって、開口部として丸穴状のビアホールを形成する場合、トップ半径Tとボトム半径Bとの差を小さくできる。一例において、後述する実施例に記載の方法で感光性フィルムによって基板上に感光性樹脂組成物層を形成し、その感光性樹脂組成物層に遮光部を備えるマスクを介して露光を行い、その後、現像する。こうして開口径40μmの開口部を備える感光性樹脂組成物層を得た場合に、その開口部のトップ半径Tとボトム半径Bとの差T-Bを、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下にできる。差T-Bの下限は、通常0μm以上である。差T-Bは、感光性樹脂組成物層を硬化させて得られる絶縁層を観察して評価しうる。具体的な評価方法は、実施例の<試験例3:開口部の断面形状の評価>に記載の方法を採用しうる。
本発明の一実施形態に係る感光性フィルムによれば、アンジュレーションの小さい絶縁層を形成できる。一例において、後述する実施例に記載の方法で感光性フィルムによって基板上に感光性樹脂組成物層を形成し、その感光性樹脂組成物層に遮光部を備えるマスクを介して露光を行い、その後、現像する。この場合、アンジュレーションを、好ましくは2.0μm以下にできる。アンジュレーションは、実施例の<試験例1:アンジュレーションの評価>に記載の方法で測定できる。
上述した感光性フィルムの用途は、特に限定されず、例えば、回路基板の絶縁層の形成材料;ソルダーレジスト、バッファーコート膜、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂など、広範囲に使用できる。回路基板としては、例えば、マルチチップパッケージ、パッケージオンパッケージ、ウエハレベルパッケージ、パネルレベルパッケージ、システムインパッケージ等の、半導体チップパッケージ;リジッド基板、フレキシブル基板、片面積層基板、薄物基板、部品内蔵基板等の、プリント配線板;などが挙げられる。中でも、感光性樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層の形成材料として用いることが好ましい。
絶縁層は、通常、感光性樹脂組成物層の硬化物を含み、好ましくは感光性樹脂組成物層の硬化物のみを含む。この絶縁層は、当該絶縁層上にメッキ等の形成方法で導体層を形成されるための絶縁層であってもよい。また、絶縁層は、層間絶縁層であってもよい。さらに、絶縁層は、ソルダーレジストであってもよい。また、絶縁層は、バッファーコート膜であってもよい。
[回路基板]
本発明の一実施形態に係る回路基板は、上述した感光性樹脂組成物層の硬化物を含む絶縁層を備える。感光性樹脂組成物層に含まれる感光性樹脂組成物は、通常は光によって硬化でき、好ましくは光及び熱によって硬化できる。一般に、感光性樹脂組成物に含まれる成分のうち、(J)溶剤は揮発性成分であるので硬化時の熱によって揮発しうるが、それ以外の不揮発成分は硬化時の熱によっては揮発しない。よって、感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層の硬化物は、感光性樹脂組成物の不揮発成分又はその反応生成物を含みうる。絶縁層は、好ましくは、感光性樹脂組成物の硬化物のみを含む。
絶縁層は、小さいアンジュレーションを有することができる。具体的には、回路基板の絶縁層は、通常2.0μm以下のアンジュレーションを有することができる。絶縁層のアンジュレーションは、絶縁層の表面の高さの最大値と最小値との差を表す。また、前記の絶縁層の表面とは、通常、ベース基板とは反対側の表面を表す。よって、当該絶縁層に形成された開口部を基準にすると、アンジュレーションを評価されるべき前記の絶縁層の表面とは、通常、開口部の開口が開いている側の表面を表す。アンジュレーションは、後述する実施例の<試験例1:アンジュレーションの評価>に記載の方法で測定できる。
絶縁層には、開口部が形成されていてもよい。上述した感光性フィルムの感光性樹脂組成物層は限界解像性が小さいので、前記の開口部の寸法(開口径、開口幅等)を小さくすることができる。一例において、開口部としてのビアホールの開口の直径(開口径)は、好ましくは100μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。下限は、特に限定されないが、0.1μm以上、0.5μm以上等でありうる。
絶縁層に複数の開口部が形成されている場合、それらの開口部は、寸法及び形状の安定性に優れることができる。したがって、開口径及び開口形状のばらつきを抑制することができる。
また、絶縁層に開口部が形成されている場合、その開口部の断面形状を良好にできる。したがって、開口部として丸穴状のビアホールを形成する場合、開口部のトップ半径Tとボトム半径Bとの差を小さくできる。また、トップ半径Tとボトム半径Bとの比B/Tを1.0に近づけることができる。一例において、比B/Tは、好ましくは0.7~1.0、より好ましくは0.8~1.0、特に好ましくは0.9~1.0である。
絶縁層上には、導体層が形成されていてもよい。また、この導体層は、パターン加工されていてもよい。上述した感光性樹脂組成物層が限界解像性に優れるので、前記の絶縁層の最小ライン/スペース比を小さくできる。「ライン」とは、導体層の回路幅を表し、「スペース」とは回路間の間隔を表す。最小ライン/スペース比の範囲は、好ましくは20/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは15/15μm以下、さらに好ましくは10/10μm以下である。下限は、例えば、0.5/0.5μm以上でありうる。ピッチは、導体層の全体にわたって均一でもよく、不均一でもよい。導体層の最小ピッチは、例えば、40μm以下、36μm以下、又は30μm以下であってもよい。
感光性フィルムが備える感光性樹脂組成物層に含まれる感光性樹脂組成物は、ネガ型の感光性樹脂組成物として用いることができる。そこで、前記の回路基板は、例えば、
(I)ベース基板上に、感光性フィルムの感光性樹脂組成物層を積層する工程、
(II)感光性樹脂組成物層に露光する工程、及び、
(III)感光性樹脂組成物層を現像する工程、
をこの順に含む製造方法によって製造できる。以下、この製造方法について、詳細に説明する。
(工程(I))
本実施形態に係る回路基板の製造方法は、ベース基板上に、感光性フィルムの感光性樹脂組成物層を積層する工程(I)を含む。
ベース基板としては、回路基板に設けるべき適切な部材を用いうる。例えば、回路基板としてプリント配線板を製造する場合、ベース基板としては、プリント配線板に設けられうる内層基板を用いうる。内層基板とは、プリント配線板の基材となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、内層基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。また、内層基板には、プリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も含まれる。また、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
ベース基板と感光性樹脂組成物層との積層は、通常、感光性樹脂組成物層がベース基板と接合するようにベース基板と感光性フィルムとをラミネートすることによって行う。このように感光性樹脂組成物層をベース基板にラミネートすることにより、ベース基板上に感光性樹脂組成物層を形成できる。ラミネートは、通常、感光性フィルムの感光性樹脂組成物層を加熱しながらベース基板に圧着することによって行われる。保護フィルムを備える感光性フィルムを使用する場合、通常は、保護フィルムを剥離した後で、ラミネートを行う。ラミネートは、真空ラミネート法により、減圧下で行うことが好ましい。また、ラミネートの前に、必要に応じて、感光性フィルム及びベース基板を加熱するプレヒート処理を行ってもよい。
ラミネートの条件は、例えば、圧着温度(ラミネート温度)70℃~140℃、圧着圧力1kgf/cm~11kgf/cm(9.8×10N/m~107.9×10N/m)、圧着時間5秒間~300秒間の条件で行うことができる。また、ラミネートは、空気圧を20mmHg(26.7hPa)以下とした減圧下で行うことが好ましい。ラミネートは、バッチ式で行ってもよく、ロールを用いて連続式で行ってもよい。
真空ラミネート法は、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアルズ社製バキュームアップリケーター、名機製作所社製真空加圧式ラミネーター、日立インダストリイズ社製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー社製真空ラミネーター等を挙げることができる。
支持体を備える感光性フィルムとベース基板とを積層した場合、通常は、工程(III)より前の適切な時期に支持体を剥離する。
(工程(II))
本実施形態に係る回路基板の製造方法は、工程(I)の後で、感光性樹脂組成物層に露光する工程(II)を含む。この工程(II)では、通常、感光性樹脂組成物層に活性光線を照射して、感光性樹脂組成物層に潜像を形成する。具体的には、工程(II)では、感光性樹脂組成物層の特定の部分に選択的に活性光線を照射する。よって、感光性樹脂組成物層には、活性光線を照射された露光部と、活性光線を照射されていない未露光部とが形成される。露光部では感光性樹脂組成物層が光硬化して、現像液に対する溶解性が低下する。他方、未露光部では感光性樹脂組成物層は硬化せず、現像液に対する溶解性が相対的に高い。したがって、未露光部によって、開口部に対応する潜像が形成される。
活性光線としては、感光性樹脂組成物の組成に応じた適切な光線を用いることが好ましい。活性光線の波長は、通常190nm~1000nm、好ましくは240nm~550nmであるが、これ以外の波長の光線を用いてもよい。活性光線の具体例としては、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。
活性光線の照射量は、現像後に所望の開口部を形成できるように設定することが好ましい。一例において、具体的な照射量の範囲は、好ましくは10mJ/cm以上、より好ましくは50mJ/cm以上、特に好ましくは200mJ/cm以上であり、好ましくは10,000mJ/cm以下、より好ましくは8,000mJ/cm以下、特に好ましくは1,000mJ/cm以下である。
活性光線の照射は、通常、マスクを用いて行われる。具体的には、透光部及び遮光部を備えるマスクを介して、活性光線を感光性樹脂組成物層に照射する。活性光線は、透光部を透過して露光部へ入射するが、遮光部を透過できないので未露光部へは入射できない。よって、透光部及び遮光部に対応した露光部及び未露光部を感光性樹脂組成物層に形成することができる。マスクは、感光性樹脂組成物層に密着させてもよく(接触露光法)、密着させずに平行光線を使用して露光を行ってもよい(非接触露光法)。
一般に、マスクの遮光部は、絶縁層に形成すべき開口部に対応した平面形状を有するように形成される。「平面形状」とは、別に断らない限り、厚み方向から見た形状を表す。また、絶縁層の開口部に対応した平面形状を有する遮光部を、以下「マスクパターン」ということがある。一例において、マスクパターンとして、丸穴パターン等のビアパターンを採用してもよい。
感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合、その支持体を通して露光を行ってもよく、支持体を剥離した後で露光を行ってもよい。
(工程(III))
本実施形態に係る回路基板の製造方法は、工程(II)の後に、感光性樹脂組成物層を現像する工程(III)を含む。現像によれば、工程(II)において露光されなかった未露光部を除去して、開口部を形成することができる。現像は、通常、感光性樹脂組成物層と現像液とを接触させるウエット現像法によって行う。現像液としては、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等が挙げられる。上述した感光性樹脂組成物はアルカリ性の現像液(アルカリ現像液)に対して特に優れた現像性を有するので、アルカリ性水溶液が好ましい。
現像液としてのアルカリ性水溶液としては、例えば、アルカリ金属化合物の水溶液が挙げられる。アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の、アルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の、アルカリ金属の炭酸塩又は重炭酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の、アルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等の、アルカリ金属ピロリン酸塩、などが挙げられる。また、アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム等の、金属イオンを含有しない有機塩基の水溶液が挙げられる。アルカリ性水溶液は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、金属イオンを含有せず、半導体チップに対する影響が小さい点で、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液が好ましい。アルカリ性水溶液のpHは、例えば、8~14の範囲であることが好ましく、8~12の範囲であることがより好ましく、9~11の範囲であることが更に好ましい。また、上記アルカリ性水溶液の塩基濃度は、0.1質量%~10質量%であることが好ましい。
現像液としての有機溶剤としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素原子数1~4のアルコキシ基を有するアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。有機溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。有機溶剤の濃度は、現像液全量に対して、通常2質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。現像液は、100質量%が有機溶剤であってもよい。単独で用いうる有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1-トリクロロエタン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ-ブチロラクトンが挙げられる。
現像液は、必要に応じて、現像作用の向上のために、界面活性剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。
現像時間は、10秒~5分が好ましい。現像時の現像液の温度は、特に定めるものではないが、好ましくは20℃以上であり、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下である。
現像方式としては、例えば、パドル法、スプレー法、浸漬法、ブラッシング法、スラッピング法、超音波法等が挙げられる。中でも、スプレー法が好ましく、解像性を良好にする観点から高圧スプレー法がより好ましい。スプレー圧としては、0.05MPa~0.3MPaが好ましい。
現像液を用いた現像後、更に、感光性樹脂組成物層のリンスを行ってもよい。リンスは、現像液とは異なる溶剤で行うことが好ましい。例えば、感光性樹脂組成物に含まれるのと同じ種類の溶剤を用いて、リンスしてもよい。リンス時間は、5秒~1分が好ましい。
(工程(IV))
本実施形態に係る回路基板の製造方法によれば、上述した工程(I)~(III)により、感光性樹脂組成物層の硬化物を含む絶縁層を形成して、回路基板を得ることができる。この回路基板の製造方法は、前記の工程(I)~(III)に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
例えば、回路基板の製造方法は、工程(III)の後に、感光性樹脂組成物層に更に露光する工程(IV)を含んでいてもよい。工程(IV)での露光により、感光性樹脂組成物層の硬化を更に進行させて、機械的強度に優れる絶縁層を得ることができる。工程(IV)における露光に用いる活性光線としては、工程(II)における露光で用いたのと同じ活性光線を用いうる。
工程(IV)における活性光線の照射量は、所望の開口部を形成できるように設定することが好ましい。一例において、具体的な照射量の範囲は、好ましくは50mJ/cm以上、より好ましくは100mJ/cm以上、特に好ましくは500mJ/cm以上であり、好ましくは10,000mJ/cm以下、より好ましくは8,000mJ/cm以下、特に好ましくは6,000mJ/cm以下である。
(工程(V))
回路基板の製造方法は、工程(III)の後に、感光性樹脂組成物層に熱処理を施す工程(V)を含んでいてもよい。回路基板の製造方法が工程(IV)を含む場合、工程(V)は、工程(IV)の後に行うことが好ましい。工程(V)での熱処理により、感光性樹脂組成物層の硬化を更に進行させて、機械的強度に優れる絶縁層を得ることができる。
熱処理は、例えば、クリーンオーブン等の加熱装置を用いて行いうる。熱処理時の雰囲気は、空気中であってもよく、窒素などの不活性気体雰囲気下であってもよい。また、熱処理の条件は、感光性樹脂組成物中の樹脂成分の種類及び量に応じて選択してもよく、好ましくは150℃~250℃で20分間~180分間の範囲、より好ましくは160℃~230℃で30分間~120分間の範囲でありうる。
(工程(VI))
回路基板の製造方法は、工程(III)の後に、絶縁層に粗化処理を施す工程(VI)を含んでいてもよい。粗化処理によって絶縁層の表面を粗化することにより、当該絶縁層の表面に形成される導体層の密着性を高めることができる。また、絶縁層にスミア(樹脂残渣)がある場合、通常は、粗化処理によってスミアの除去も行われる。よって、粗化処理は「デスミア処理」と呼ばれることがある。
粗化処理の手順、条件は特に限定されない。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して、絶縁層に粗化処理することができる。
膨潤液としては、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。
酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を1分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は、5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
(工程(VII))
回路基板の製造方法は、絶縁層上に導体層を形成する工程(VII)を含んでいてもよい。回路基板の製造方法が工程(VI)を含む場合、工程(VII)における導体層の形成は、工程(VI)よりも後に行うことが好ましい。
導体層に使用する導体材料は、特に限定されない。例えば、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であってもよく、合金層であってもよい。合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、及びパターニングの容易性の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造を有していてもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層を2層以上備える複層構造を有していてもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、回路基板のデザインによるが、通常3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
一例において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の形成方法により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法が好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
(任意の工程)
回路基板の製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、回路基板の製造方法は、絶縁層に穴あけする工程を含んでいてもよい。形成される穴は、絶縁層を貫通しないトレンチでもよく、絶縁層のみを貫通するビアホールでもよく、回路基板全体を貫通するスルーホールでもよい。穴あけは、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の方法によって行いうる。
また、回路基板の製造方法は、製造した回路基板をダイシングする工程を含んでいてもよい。
さらに、回路基板の製造方法は、上述した工程を繰り返し行ってもよい。例えば、工程(I)~(VII)を繰り返し行って、多層プリント配線板等の、絶縁層と導体層とを交互に備える多層構造の回路基板を製造してもよい。
[半導体装置]
前記の回路基板は、半導体装置の製造に用いうる。半導体装置は、回路基板を備え、例えば、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧(23℃1気圧)大気中で行った。
<合成例1:樹脂溶液(A1)の製造>
ナスフラスコに「A-TMM-3LM-N」(新中村工業社製、式(C’-1)に示すペンタエリスリトールトリアクリレート及び式(C-1)に示すペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、ペンタエリスリトールトリアクリレートが57%)522.8部、プロピレングリコールモノメチルエーテルを674部、「2E4MZ」(四国化成社製、2-エチル-4-メチルイミダゾール)6.7部、及び、テトラヒドロフタル酸無水物152部を加え、80℃で8時間反応させ、冷却した。
その後、前記の反応による生成物(下記化合物A-1)を、分液操作にて抽出した。具体的には、反応液をトルエン700gで希釈した後、5%炭酸ナトリウム水溶液500gを加え、静置分液し、上層を棄却した。得られた水層をトルエン700gで2回洗浄した。さらに、水層にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えた後、適量のリン酸二水素ナトリウム水溶液を発泡に注意しながら加え酸性にし、静置分液し、下層を棄却した。得られた上層を水で2回洗浄した後、適量の無水硫酸マグネシウムで脱水し、精密ろ過を行うことにより、下記式(A-1)で表される化合物A-1を含む樹脂溶液(A1)(不揮発成分50%、不揮発成分の酸価が121mgKOH/g)を得た。
Figure 2024087722000016
<合成例2:樹脂溶液(A2)の製造>
「A-TMM-3LM-N」を「A-9570W」(新中村工業社製、式(C-2)に示すジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び式(C’-2)に示すジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)598.1gに変えたこと以外は合成例1と同じ方法により、下記の式(A-2)で表される化合物A-2を含む樹脂溶液(A2)(不揮発分50%、不揮発成分の酸価が80mgKOH/g)を得た。
Figure 2024087722000017
<合成例3:樹脂溶液(D1)の製造>
ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN-475V」、下記の式(d-1)に示す樹脂、エポキシ当量325g/eq.)325部を、ガス導入管、撹拌装置、冷却管及び温度計を備えたフラスコに入れ、カルビトールアセテート340部を加え、加熱溶解し、ハイドロキノン0.46部及びトリフェニルホスフィン1部を加えた。この混合物を95℃~105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を、80℃~90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物146部を加え、8時間反応させ、冷却させた。このようにして、樹脂溶液(D1)(不揮発成分70%、不揮発成分の酸価が98mgKOH/g)を得た。樹脂溶液(D1)は、少なくとも下記式(d-2)に示す構造を含有する樹脂を含むことが確認された。
Figure 2024087722000018
(式(d-1)において、Zは、グリシジル基(G)又は炭素数1~8の炭化水素基(R)を表し、R/Gの比率が0.05~2.0である。また、nは平均値として1から6までの数を示す。)
Figure 2024087722000019
<製造例1~7:樹脂ワニスの製造>
下記の表1に示す量で材料を配合し、高速回転ミキサーを使用して攪拌して、樹脂ワニスを得た。表1において、各成分の量の単位は質量部である。また、表1において、各成分の割合は、樹脂ワニス中の不揮発成分100質量%に対する割合(質量%)を表す。
Figure 2024087722000020
表中の略語は、以下のとおりである。
(A)成分:
・A1:合成例1で製造した樹脂溶液(A1)、不揮発成分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液。
・A2:合成例2の製造した樹脂溶液(A2)、不揮発成分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液。
(B)成分:
・Omnirad819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、BASF社製。
(C)成分、(C’)成分:
・A-TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学工業社製
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬社製
・A-TMM-3LM-N:ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、ペンタエリスリトールトリアクリレートが57%、新中村工業社製。
(D)成分:
・CCR-1791H:クレゾールノボラック骨格含有酸変性エポキシアクリレート、日本化薬社製、EDGAcカット、不揮発成分70質量%
・D1:合成例3で製造した樹脂溶液(D1)、不揮発成分70%のカルビトールアセテート溶液。
(E)成分:
・UFP-20:球形シリカ(デンカ社製、平均粒径0.15μm)にアミノシラン化合物で表面処理したもの。
・B-34:硫酸バリウム(堺化学社製、平均粒径0.4μm)
(F)成分:
・HP4032:ナフタレン型エポキシ樹脂、DIC社製、エポキシ当量144g/eq.。
・ESN-475V:ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、日鉄ケミカル&マテリアル社製、エポキシ当量約325g/eq.。
・NC3000H:ビフェニル型エポキシ樹脂、日本化薬社製、エポキシ当量約272g/eq.。
(G)成分:
・CB-3060:多官能カルボキシル基含有アクリルポリマー(綜研化学社製、重量平均分子量3000、酸価60mgKOH/g、Tg:-70℃)
・RA-4101:多官能カルボキシル基含有アクリルポリマー(根上工業社製、重量平均分子量40000、酸価60mgKOH/g、Tg:190℃)
(H)成分:
・1B2PZ:2-フェニル-1-ベンジル-1H-イミダゾール、四国化成社製。
(J)成分:
・EDGAc:エチルジグリコールアセテート(カルビトールアセテート)、ダイセル社製、沸点217.4℃
・MEK:メチルエチルケトン、純正化学社製、沸点79.6℃
<実施例1~9及び比較例1>
(感光性フィルムの製造)
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL-5」)で離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラーT6AM」、厚み38μm、軟化点130℃、以下「離型PET」ということがある。)を用意した。表2に示す製造例で製造した樹脂ワニスを、かかる離型PETにダイコーターにて均一に塗布し、80℃から110℃(最高温度110℃)で6分間乾燥して、表2に示す乾燥厚みの感光性樹脂組成物層を得た。
次に、保護フィルムとしてのカバーフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム、王子エフテックス社製「MA-411」)を、感光性樹脂組成物層の表面に載せ、80℃でラミネートを行うことで、「離型PET/感光性樹脂組成物層/カバーフィルム」の三層構成を有する感光性フィルムを得た。
(アンジュレーションを評価するための評価用積層板の製造)
次に、内層基板(IPC MULTI-PURPOSE TESTBOARD No.IPC-B-25、0.8mm厚)を用意した。この内層基板は、表面に、回路幅180μm、回路間の間隔170μm、厚み18μmの回路状に形成された導体層を備えていた。感光性フィルムのカバーフィルムを剥離した後、内層基板の両面に感光性フィルムをラミネートした。前記のラミネートは、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、VP160)を用いて、感光性樹脂組成物層が内層基板と接合するように行った。また、前記のラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、90℃、圧力0.7MPaにて30秒間圧着することにより実施した。次いで、90℃、圧力0.5MPaにて60秒間、感光性フィルムに熱プレスを行って、「支持体/感光性樹脂組成物層/内層基板/感光性樹脂組成物層/支持体」の層構成を有する中間積層体を得た。
該中間積層体を室温で30分以上静置し、支持体を通して感光性樹脂組成物層に、石英ガラスを用いて、200mJの紫外線で全面露光を行った。室温にて30分間静置した後、前記中間積層体から支持体を剥がし取った。該積層板の感光性樹脂組成物層の全面に、現像液として30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.2MPaにて2分間のスプレーをして、現像を行った。スプレー現像後、感光性樹脂組成物層に1J/cmの紫外線照射を行い、さらに180℃、30分間の加熱処理を行って、アンジュレーションを評価するための評価用積層体を得た。この評価用積層体は、「絶縁層/内層基板/絶縁層」の層構成を有していた。
(開口性を評価するための評価用積層板の製造)
内層基板として、厚さ18μmの銅層をパターニングした回路が形成されているガラスエポキシ基板(銅張積層板)を用意した。この内層基板の銅層に対して、有機酸を含む表面処理剤(CZ8100、メック社製)による処理にて粗化を施した。感光性フィルムのカバーフィルムを剥離した後、先の(アンジュレーションを評価するための評価用積層板の製造)で説明したラミネートと同じ条件で、内層基板の両面に感光性フィルムをラミネートして、「支持体/感光性樹脂組成物層/内層基板/感光性樹脂組成物層/支持体」の層構成を有する中間積層体を得た。
該中間積層体を室温で30分以上静置した。支持体を通して感光性樹脂組成物層に、マスク及びパターン形成装置を用いて、200mJの条件で紫外線で全面露光を行った。前記のマスクとしては、円形の開口部(丸穴、ビアホール)を描画させる円形の遮光部(丸穴のパターン)を有する、石英ガラスマスクを使用した。また、マスクには、円形の遮光部として、開口径(直径)50μmの開口部を描画させる複数個の遮光部、開口径(直径)40μmの開口部を描画させる複数個の遮光部、開口径(直径)30μmの開口部を描画させる複数個の遮光部、及び、開口径(直径)20μmの開口部を描画させる複数個の遮光部が、それぞれ設けられていた。室温にて30分間静置した後、前記中間積層体から支持体を剥がし取った。該積層板の感光性樹脂組成物層の全面に、現像液として30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.2MPaにて2分間のスプレーをして、現像を行った。スプレー現像後、感光性樹脂組成物層に1J/cmの紫外線照射を行い、さらに180℃、30分間の加熱処理を行って、開口性を評価するための評価用積層体を得た。この評価用積層体は、「絶縁層/内層基板/絶縁層」の層構成を有していた。また、評価用積層体の絶縁層には、マスクのパターンに応じた開口部が形成されていた。
<比較例2~5>
実施例1~9及び比較例1で用いたのと同じ内層基板の両面に、表2に示す製造例で製造した樹脂ワニスを、ダイコーターにて均一に塗布し、80℃から110℃(最高温度110℃)で6分間乾燥して、乾燥厚み20μmの感光性樹脂組成物層を形成した。これにより、「感光性樹脂組成物層/内層基板/感光性樹脂組成物層」の層構成を有する中間積層体を得た。
該中間積層体に、実施例1~9及び比較例1の工程(アンジュレーションを評価するための評価用積層板の製造)と同じ方法によって露光、現像、紫外線照射及び加熱処理を行って、「絶縁層/内層基板/絶縁層」の層構成を有するアンジュレーションを評価するための評価用積層体を得た。
また、別途用意した前記の中間積層体に、実施例1~9及び比較例1の工程(開口性を評価するための評価用積層板の製造)と同じ方法によって露光、現像、紫外線照射及び加熱処理を行って、「絶縁層/内層基板/絶縁層」の層構成を有する開口性を評価するための評価用積層体を得た。
<試験例1:アンジュレーションの評価>
アンジュレーションを評価するための評価基板(内層基板(IPC MULTI-PURPOSE TESTBOARD No.IPC-B-25、0.8mm厚)を用いて作製した評価用積層体)の絶縁層の導体層上の部分の表面高さと、絶縁層の当該部分(導体層上の部分)以外の部分の表面高さとの差の最大値(Rt:最大のpeak-to-valley)を、絶縁層のアンジュレーションとして求めた。絶縁層のアンジュレーションは、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIモード、10倍レンズにより、測定範囲を1.2mm×0.91mmとして測定した。
アンジュレーションが2.0μm以下の場合を「〇」と評価し、アンジュレーションが2.0μmより大きい場合を「×」と評価した。
<試験例2:最小ビア径の評価及び開口部のバラつきの評価>
開口性を評価するための評価用積層体(厚さ18μmの銅層をパターニングした回路が形成されているガラスエポキシ基板を用いて作製した評価用積層体)の絶縁層に形成された丸穴状の開口部(ビアホール)を、走査型電子顕微鏡(SEM、倍率1000倍~2000倍)で観察し、最小ビア径を測定した。最小ビア径とは、(i)絶縁層を貫通し、(ii)残渣が無く、且つ(iii)剥離が無い開口部(ビアホール)のうちで、最小の開口径を有する開口部に対応したマスクの遮光部の直径を表す。ここで「剥離」とは、開口部の周囲において絶縁層が内層基板から剥がれる現象をいう。最小ビア径については、下記の基準で評価した。最小ビア径が小さいほど、限界解像性に優れることを表す。
◎:開口径20μmで開口できている(最小ビア径が20μm)。
〇:開口径30μmで開口できている(最小ビア径が30μm)。
△:開口径40μmで開口できている(最小ビア径が40μm)。
×:開口径40μmで開口できていない。
最小ビア径が測定された開口部と同じ開口径となるように形成された別の開口部4個を観察した。これら異なる位置に形成された合計5個の開口部の観察結果に基づいて、開口部のバラつきを、下記の基準で評価した。
〇:同じ開口径となるよう形成された5個の開口部の全てが開口し、開口径及び開口形状が同じである。さらに、5個の開口部の全てで、残渣及び剥離が無い。
△:同じ開口径となるよう形成された5個の開口部の全てが開口し、開口形状が同じである。しかし、一部の開口部の底に、残渣又は剥離がある。
×:同じ開口径となるよう形成された5個の開口部であっても、開口径及び形状にばらつきがある。
<試験例3:開口部の断面形状の評価>
評価用積層体の絶縁層に形成された開口径40μmの円形の開口部において、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察を行った。断面のトップ半径(最上部の半径、単位μm)Tとボトム半径(底部の半径、単位μm)Bとを測定し、その差T-Bを求めた。この差T-Bが小さいほど、開口部の断面形状を良好が良好であることを表す。開口径40μmの開口部を形成できていない場合は「×」とした。
<結果>
上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表2に示す。下記の表において、略称の意味は、下記の通りである。
形態の欄で「F」:感光性フィルム
形態の欄で「I」:液状の樹脂ワニス。
Figure 2024087722000021
各実施例において、(C)~(H)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの、上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。
10 ベース基板
11 表面
20 絶縁層
30 開口部
31 開口
32 底
40 感光性樹脂組成物層
41 表面
41H 感光性樹脂組成物層の表面の最も高い点
41L 感光性樹脂組成物層の表面の最も低い点
D31 開口径
トップ半径
ボトム半径
U40 アンジュレーション

Claims (11)

  1. 感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を備える感光性フィルムであって、
    感光性樹脂組成物が、(A)下記式(1)で表される第一化合物、及び、(B)光重合開始剤、を含む、感光性フィルム。
    Figure 2024087722000022
    (式(1)において、
    11は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
    12は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1以上6以下の1価の有機基を表し、
    13は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
    14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示すか、或いはR14及びR15が一緒になって結合し、置換基を有していてもよい炭化水素環を形成し、
    11は、炭素原子数1の1+m11価の有機基を表し、
    12は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m12価の有機基を表し、
    m11は、2又は3を表し、
    m12は、1又は2を表し、
    n1は、0以上2以下の整数を表す。)
  2. 感光性樹脂組成物が、(C)下記式(2)で表される第二化合物を含む、請求項1に記載の感光性フィルム。
    Figure 2024087722000023
    (式(2)において、
    21は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
    22は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1以上6以下の1価の有機基を表し、
    23は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
    21は、炭素原子数1の1+m21価の有機基を表し、
    22は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m22価の有機基を表し、
    m21は、2又は3を表し、
    m22は、1又は2を表し、
    n2は、0以上2以下の整数を表す。)
  3. 感光性樹脂組成物に含まれる(A)第一化合物の質量Wと(C)第二化合物の質量Wとの比W/Wが、0.2以上5.0以下である、請求項2に記載の感光性フィルム。
  4. (A)第一化合物以外に、更に(D)カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート樹脂を含む、請求項1に記載の感光性フィルム。
  5. (D)カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート樹脂が、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂である、請求項4に記載の感光性フィルム。
  6. (E)無機充填材を含む、請求項1に記載の感光性フィルム。
  7. (F)エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の感光性フィルム。
  8. 支持体と、該支持体上に設けられた前記感光性樹脂組成物層と、を備える請求項1に記載の感光性フィルム。
  9. 感光性樹脂組成物層の硬化物を含む絶縁層を備える回路基板であって、
    前記絶縁層のアンジュレーションが、2μm以下であり、
    前記感光性樹脂組成物層が、(A)下記式(1)で表される第一化合物、及び、(B)光重合開始剤、を含む感光性樹脂組成物を含む、回路基板。
    Figure 2024087722000024
    (式(1)において、
    11は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
    12は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素原子数1以上6以下の1価の有機基を表し、
    13は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素原子数1以上6以下の2価の有機基を表し、
    14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示すか、或いはR14及びR15が一緒になって結合し、置換基を有していてもよい炭化水素環を形成し、
    11は、炭素原子数1の1+m11価の有機基を表し、
    12は、それぞれ独立に、炭素原子数1の2+m12価の有機基を表し、
    m11は、2又は3を表し、
    m12は、1又は2を表し、
    n1は、0以上2以下の整数を表す。)
  10. 請求項9に記載の回路基板を備える、半導体装置。
  11. (I)ベース基板上に、請求項1~8のいずれか一項に記載の感光性フィルムの感光性樹脂組成物層を積層する工程、
    (II)感光性樹脂組成物層に露光する工程、及び、
    (III)感光性樹脂組成物層を現像する工程、
    をこの順に含む、回路基板の製造方法。
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