JP2024081269A - 生産間作業実績作成装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産間作業時間の短縮を図ることができるようにする。【解決手段】飲食品生産装置は,生産間作業のときに配管の流路が複数に分割され,分割された複数の流路のそれぞれが別個独立に処理される。上流経路,下流経路およびこれらに挟まれるアセプティック・サージタンクの3つに分割された場合,これらのそれぞれについて生産間作業が実行された時間帯データ,およびその内容を示すデータが計測装置から送信される。計測データに基づいて,上流経路,下流経路およびこれらに挟まれるアセプティック・サージタンクに対して生産間作業が実行された時間帯が,同じ時間軸の下,生産間作業が実行された時間長に比例する長さを持つバー21a,21bによって表示画面に表示される。【選択図】図2
Description
この発明は生産間作業実績作成装置および方法に関する。
食品または飲料は一般に複数の生産設備を含む生産装置によって生産される。複数の生産設備を順番に経ることによって食品または飲料は最終的に容器に詰められ,出荷される。
生産装置は常に同じ食品または飲料を生産するために用いられるとは限らない。供給材料を異ならせることによって,同じ生産装置を異なる種類の食品または飲料を生産するために用いることができる。
たとえば一の飲料の生産から別の種類の飲料の生産に切り換える場合,切り換え時に,生産間作業,典型的には生産装置全体の洗浄および殺菌(滅菌)が行われる(特許文献1参照)。生産間作業中(洗浄殺菌工程中)は食品または飲料を生産することができず,できるだけ短時間のうちに終了させる必要がある。
この発明は,生産間作業時間の短縮を図ることができるようにすることを目的とする。
この発明による生産間作業実績作成装置は,複数の生産設備と生産設備間を接続する流路を備える配管とを備え,上記配管の流路を通じて搬送される飲食品を上記生産設備において順次処理する飲食品生産装置に対する生産間作業の実績を作成する装置であって,上記飲食品生産装置は,上記生産間作業のときに上記配管の流路が複数に分割され,分割された複数の流路のそれぞれ(流路に含まれる生産設備も含む)が別個独立に処理されるものであり,分割された流路のそれぞれについて,生産間作業が実行された時間帯データ,およびその内容を示すデータを含む計測データを受信する受信手段,ならびに上記受信手段によって受信された計測データに基づいて,上記複数の流路のそれぞれに対して生産間作業が実行された時間帯を,同じ時間軸の下,生産間作業が実行された時間長に比例する長さを持つバーによって表示画面に表示するための表示データを作成する表示データ作成手段を備えている。
この発明は,生産間作業実績を表示する方法も提供する。この発明による生産間作業実績を表示する方法は,複数の生産設備と生産設備間を接続する流路を備える配管とを備え,上記配管の流路を通じて搬送される飲食品を上記生産設備において順次処理する飲食品生産装置に対する生産間作業の実績を作成する方法であって,上記飲食品生産装置は,上記生産間作業のときに上記配管の流路が複数に分割され,分割された複数の流路のそれぞれが別個独立に処理されるものであり,受信手段によって,分割された流路のそれぞれについて,生産間作業が実行された時間帯データ,およびその内容を示すデータを含む計測データを受信し,表示データ作成手段によって,上記受信した計測データに基づいて,上記複数の流路のそれぞれに対して生産間作業が実行された時間帯を,同じ時間軸の下,生産間作業が実行された時間長に比例する長さを持つバーによって表示画面に表示するための表示データを作成するものである。
「生産間作業」とは,典型的には,飲食品生産装置によって生産される飲食品の種類を切り替えるときに実行される作業を意味する。飲食品生産装置は常に同一種類の飲食品の生産に用いられるとは限らず,原料を切り替えることによって様々な種類の飲食品の生産に用いられる。生産する飲食物を切り替えるときに生産間作業は行われる。
典型的な生産間作業は「洗浄」である。配管の流路,流路中に設けられるタンク,飲食品を容器に詰める充填機等を洗浄することによって,生産間作業前に生産されていた飲食品の残留物が洗い流される。水を用いた洗浄(すすぎ),温水を用いた洗浄,酸性洗浄液を用いた洗浄,アルカリ性洗浄液を用いた洗浄など,複数種類の洗浄処理が実行されることもある。
飲食品生産装置では清潔な飲食品を清潔な容器に詰めることが必要とされることが多い。一般には「洗浄」に加えて「殺菌」(または滅菌)も生産間作業には含まれる。昇温させたアルカリ性洗浄液を用いた殺菌,蒸気を用いた殺菌,熱水を用いた殺菌などが行われる。
飲食品生産装置は複数の生産設備と生産設備間を接続する流路を備える配管とを備える。配管を上流側から下流側に向けて搬送される飲食品が,生産設備において順次処理される。生産設備には,たとえば搬送される飲食品を殺菌(滅菌)する加熱冷却装置,殺菌された飲食品を一時的に貯蔵するタンク,殺菌された飲食品を容器に詰める充填機等が含まれる。
飲食品生産装置は,上記生産間作業のときに上記配管の流路が複数に分割され,分割された複数の流路(およびそれらの流路に含まれる生産設備)のそれぞれが別個独立に処理される。すなわち,飲食品生産に用いられているときの飲食品生産装置の配管は上流から下流まで連続し,配管の流路を搬送される飲食品に対して経路上に設けられた生産設備による処理が順次行われる。他方,生産間作業に用いられているときの飲食品生産装置の配管は,最も簡単には上流側と下流側の2つに分割される。配管を上流側および下流側の2つに分割することによって上流側配管および下流側配管のそれぞれに対して同時に生産間作業を実行することができ,生産間作業時間の短縮を図ることができる。
この発明によると,分割された流路のそれぞれについて,生産間作業が実行された時間帯データ,およびその内容を示すデータを含む計測データに基づいて,上記複数の流路のそれぞれに対して生産間作業が実行された時間帯が,同じ時間軸の下,生産間作業が実行された時間長に比例する長さを持つバーによって表示画面に表示される。複数の流路(流路に含まれる生産設備を含む)のそれぞれに対して別個独立に実行された生産間作業の相互の時間的関係を一目で把握することができる。生産間作業の無駄を見つけやすく,生産間作業のさらなる短縮を図ることができる。
一実施態様では,上述したように上記生産間作業が洗浄作業および殺菌作業を含む。他の実施態様では,上記生産間作業が上記洗浄作業および殺菌作業の後に行われる,次に生産される飲食品の生産準備作業を含む。さらに他の実施態様では,上記生産間作業が上記洗浄作業および殺菌作業の前に行われる,生産を終えた飲食品の廃棄作業を含む。
好ましくは,上記表示データ作成手段によって作成される表示データによって表示されるバー中に生産間作業の内容を表す文字が示される。生産間作業が実行された時間帯は実行された時間長に比例する長さを持つバーによって表示され,このバー中に生産間作業の内容を表す文字が示されるので,たとえば無駄に長い時間を使って行われた生産間作業の内容を把握しやすくなり,生産間作業時間の短縮を図りやすくすることができる。
好ましい実施態様では,上記複数の流路のそれぞれに対して生産間作業が実行された時間帯を,同じ時間軸の下,生産間作業が実行された時間長に比例する長さを持つバーによって表示画面に表示するのに加えて,飲食品を容器に充填する充填機についても,上記充填機に対して生産間作業が実行された時間帯を,同じ時間軸の下,生産間作業が実行された時間長に比例する長さを持つバーによって表示画面に表示してもよい。この実施態様による生産間作業実績作成装置は,上記飲食品生産装置が飲食品を容器に充填する充填機を含み,上記生産間作業のときに,上記充填機は,上記分割された複数の流路と別個独立に処理されるものであり,上記受信手段は,上記充填機について,生産間作業が実行された時間帯データ,およびその内容を示すデータを含む計測データをさらに受信するものであり,上記表示データ作成手段は,上記充填機に対して生産間作業が実行された時間帯を,同じ時間軸の下,生産間作業が実行された時間長に比例する長さを持つバーによって表示画面に表示するための表示データをさらに作成するものである。複数の流路(流路に含まれる生産設備を含む)のそれぞれに対して別個独立に実行された生産間作業の相互の時間的関係を一目で把握できるのみならず,充填機に対して実行された生産間作業の時間的関係も一目で把握することができるので,充填機を含む装置全体について生産間作業における時間的無駄を発見しやすくなり,生産間作業のさらなる短縮につなげることができる。
図1は無菌充填装置を概略的に示すブロック図である。
無菌充填装置は,調合装置1,バランスタンク2,アセプティック・サージタンク4,ヘッドタンク5,充填機6およびコントローラ10を備えている。調合装置1から充填機6まで配管8によって接続されており,配管8を通じて調合装置1から充填機6へ飲料が送られる。飲料をボトル詰めする充填機6は無菌チャンバー7によってその周囲が覆われており,飲料のボトル詰めは無菌雰囲気下において行われる。
無菌充填装置は,図1において図示を省略する複数のバルブ,複数の駆動装置,複数の計測装置等も含む。バルブの開閉制御,駆動装置の駆動制御,計測装置によって計測される各種データはコントローラ10において集中管理される。後述する無菌充填装置を用いた飲料の生産(ボトル詰め)工程と無菌充填装置の洗浄殺菌工程(生産間作業)の切り替えもコントローラ10によって制御される。
調合装置1において茶飲料,果実飲料,コーヒー飲料,その他の種類の飲料を生産するための材料が調合される。調合装置1において調合される材料およびその割合によってボトル詰めされる飲料の種類が決定される。
調合装置1において材料が調合されることによって生産された飲料はバランスタンク2に一時的に貯蔵される。
バランスタンク2とアセプティック・サージタンク4の間の配管8に加熱冷却装置3が設けられている。加熱冷却装置3は配管8を通る飲料を目標温度にまで加熱しその後に徐々に冷却するもので,加熱冷却装置3が設けられている部分の配管8を通るときに飲料は殺菌(または滅菌)される。加熱冷却装置3には,たとえば配管8の周囲に供給される熱水によって配管8を通る飲料を加熱し,配管8の周囲に供給される冷水によって飲料を冷却する熱交換器を用いることができる。加熱冷却装置3は後述する洗浄殺菌工程において洗浄液を昇温するために用いることもできる。
加熱されることで殺菌された飲料は次にアセプティック・サージタンク4に一時的に貯蔵され,その後ヘッドタンク5を経由して充填機6に送られる。充填機6は複数の充填ノズルを備えるもので,殺菌されたボトルに殺菌された飲料が充填ノズルから充填され,これにより飲料がボトル詰めされる。上述したように充填機6は無菌チャンバー7によってその周囲が覆われており,ボトル詰めは無菌雰囲気下で行われる。
無菌充填装置は,一の種類の飲料の生産に用いられるのみならず,他の種類の飲料の生産にも用いられる。生産する飲料の種類を切り替えるときに,次の種類の飲料の生産に先立って無菌充填装置の洗浄殺菌等が行われる。無菌充填装置が長期間にわたって一の種類の飲料生産に用いられている場合には洗浄殺菌等を定期的に行ってもよい。
配管8の流路を複数に分割(分離)し,分割した複数の流路のそれぞれに対して別個独立に洗浄殺菌等することができる。たとえば,アセプティック・サージタンク4の入口側および出口側のそれぞれにマニホールドバルブ9A,9Bを設けておくことによって,配管8の流路を,バランスタンク2から加熱殺菌装置3を経てマニホールドバルブ9Aに至る上流経路と,マニホールドバルブ9Bからヘッドタンク5を経て充填機6に至る下流経路とに分けることができる。さらに,マニホールドバルブ9Aからバランスタンク2に戻る帰還配管8A(破線で示す)を設けておくことによって上流経路を循環路とすることもできる。同様にして充填装置6の充填ノズルに装着されるカップ(図示略)からマニホールドバルブ9Bに戻る帰還経路8B(破線で示す)を設けておくことによって下流経路を循環路とすることもできる。さらに,マニホールドバルブ9A,9Bを接続する帰還配管8C(破線で示す)を設けておくことによって,アセプティック・サージタンク4の入口と出口をつなぐ循環路(図示略)を形成することもできる。帰還経路8A,8B,8Cは飲料生産に用いられず,洗浄殺菌工程において用いられる。これらの帰還経路8A,8B,8Cには洗浄殺菌工程用設備(たとえばヒータ,ボイラ等)(図示略)を接続してもよい。配管8の流路を複数の流路に分割可能に構成し,かつ循環路を用意しておくことによって,無菌充填装置を構成する各種生産設備および配管8を部分的にかつ同時に洗浄殺菌等することができる。無菌充填装置における配管8の流路の分割数および分割箇所は任意に設計することができる。
無菌充填装置の洗浄工程はCIP(Cleaning in Place)(定置洗浄)とも呼ばれ,水または無菌水によるすすぎ,酸性洗浄液の循環,アルカリ性洗浄液の循環等が行われる。CIPを経ることで無菌充填装置から飲料残留物等が除去される。
無菌充填装置の殺菌工程はSIP(Sterilizing in Place)(定置殺菌)とも呼ばれ,洗浄液,蒸気,熱水等の循環,蒸気吹き付け等が行われる。SIPを経ることで無菌充填装置が殺菌される。
図2は無菌充填装置の生産間作業(ある種類の飲料生産終了から他の種類の飲料生産開始までの間の洗浄殺菌を含む各種処理)の実績チャート20を示している。図2に示す作業実績チャート20は無菌充填装置が備えるコントローラ10によって作成される表示データに基づいてコンピュータ装置(たとえばパーソナルコンピュータ)の表示画面に表示することができる。もちろん,プリンタから排出される紙に作業実績チャート20を印刷してもよい。
図2に示す作業実績チャート20は,無菌充填装置の配管8の流路が「上流経路」,「アセプティック・サージタンク」および「下流経路」の3つの部分に分割されており,そのそれぞれを別個独立に洗浄殺菌等した場合の各種処理の実行結果を,同一の時間軸を用いてまとめたものである。上述したように「上流経路」はバランスタンク2から加熱殺菌装置3を経てマニホールドバルブ9Aに至る経路を,「アセプティック・サージタンク」は2つのマニホールドバルブ9A,9Bによって挟まれるアセプティック・サージタンク4を,「下流経路」はマニホールドバルブ9Bからヘッドタンク8を経て充填機6に至る経路を,それぞれ意味する。作業実績チャート20では1列目に処理対象部分が示されている。
作業実績チャート20はさらに,洗浄殺菌等の処理が実行された時間帯を表す時間軸が示される。時間軸は5分の時間幅によって区切られており,時間軸によって生産間作業開始時(切り換え前飲料の生産終了時)から生産間作業終了時(切り換え後飲料の生産開始時)までの経過時間が示される。時間幅は必ずしも5分でなくてもよく,より短い時間幅,たとえば1分等であってもよい。
処理対象部分「上流経路」に着目して作業実績チャート20を説明する。処理対象部分「上流経路」は,「プロセス」,「CIP工程」および「SIP工程」の3つの欄に区分されている。
上流経路の「プロセス」には,飲料自体に対する処理が行われた時間帯および処理の内容が示される。具体的には,生産間作業開始から105~115分後に次の種類の飲料のバランスタンク2への受入れ(BT受入)が行われたことが横向きのバー21aによって,生産間作業開始から125分後にバランスタンク2からの送液が開始され,生産間作業の残りの時間にわたって送液が継続されたことが横向きのバー21bによって,それぞれ示されている。バー21aおよびバー21bは「BT受入」処理および「送液」処理が実行された時間長に比例する長さで示される。
次の種類の飲料のバランスタンク2への受入が行われた時間帯(開始タイミングおよび終了タイミング),バランスタンク2からの送液が行われた時間帯は,無菌充填装置の各所に設けられる計測装置のうち,バランスタンク2への飲料の受入れを計測する計測装置,バランスタンク2からの送液を計測する計測装置によって計測(検知)される。バランスタンク2への飲料の受入れが行われた時間帯は,たとえばバランスタンク2の入口側流路に流量計を設けておくことによって計測される。バランスタンク2からの送液が行われた時間帯については,バランスタンク2の出口側の流路に流量計を設けておくことによって計測される。計測装置(上述の例では流量計)によって計測される計測データは少なくとも時間帯データ(開始タイミングおよび終了タイミング)および生産間作業の内容を特定するデータを含み,計測データがコントローラ10に送信される。計測データを受信することによってコントローラ10は作業実績チャート20の上流経路のプロセス欄にバー21a,21bを表示する(表示のためのデータを作成する)。このことは,以下に説明する他の種類の生産間作業についても同様である。
バー21a,21bのみならず,作業実績チャート20に示されるすべてのバーは処理時間長に比例する長さ(横幅)を持つ。またすべてのバー中には生産間作業の内容が文字表示される。たとえば,バー21aについて「BT受入」の文字が,バー21bについて「送液」の文字が表示される。バー中に表示される文字も計測装置からコントローラ10に送信される計測データ(計測データに含まれる生産間作業の内容を特定するデータ)に基づく。いずれの生産間作業がいずれの時間帯にどの程度の時間をかけて実行されたのかを,作業実績チャート20に示されるバーに基づいて把握することができる。
たとえば,何らかの不具合によって次の種類の飲料のバランスタンク2への受入処理(BT受入)に長い時間を要したとする。この場合,作業実績チャート20では「BT受入」が実行された時間帯および時間長を表すバー21aの長さが長くなる。作業実績チャート20に示されるバー21aの長さによって,次の種類の飲料のバランスタンク2への受入に不具合が生じていることを一目で把握することができる。作業実績チャート20は無菌充填装置に生じている不具合およびその箇所を発見するために用いることができる。
「送液」処理は「BT受入」処理が実行された後に行われる(たとえばバランスタンク2の入口側バルブおよび出口側バルブの開閉タイミングがそのようにプログラムされる)。たとえば「BT受入」処理が実行される時間長を短くすることで,その後に行われる「送液」処理の開始タイミングを早めることができ,結果的に生産間作業に要する全体時間を短くできる可能性が生じる。作業実績チャート20は生産間作業のさらなる短縮を図るためにも用いることができる。
次に処理対象部分「上流経路」の「CIP工程」を参照して,ここには上流経路に対する洗浄工程の生産間作業が示される。生産間作業開始から15分後まで上流経路に水が供給されることで上流経路のすすぎが行われたこと(生産間作業「すすぎ」),15~20分後に熱水が供給されかつ加熱冷却装置3が稼働されることで水の昇温(熱水生成)が行われたこと(生産間作業「昇温」),20~40分後にかけて水に酸(たとえば次亜塩素酸)を添加することで酸性洗浄液の循環が行われたこと(生産間作業「酸循環20分」),40~50分後に水が供給されたことですすぎが行われたこと(生産間作業「すすぎ」),50~55分後に水の昇温が行われたこと(生産間作業「すすぎ」),55~85分後に水にアルカリ剤を添加することでアルカリ洗浄液の循環が行われたこと(生産間作業「AL循環30分」),85~95分後に水が供給されたことですすぎが行われたこと(生産間作業「すすぎ」),95~105分後に水循環が行われたこと(生産間作業「水循環」)が,処理対象部分「上流経路」のCIP工程中のバーおよびバー中の文字によって示されている。酸循環,AL循環および水循環のときには上述した帰還路8Aが上流経路に接続され,上流経路は循環路を形成する。
上流経路の「CIP工程」において実行される複数の生産間作業の内容(順番を含む)はあらかじめコントローラ10においてプログラムされる。コントローラ10はプログラムにしたがって上述の複数の生産間作業を実行するように無菌充填装置を制御する。コントローラ10は,生産間作業開始時にマニホールドバルブ9A,9Bを制御して配管8の流路を分割し,上流経路に対する水供給を開始する(すすぎ)。15分後に上流経路に対する水供給を停止し,同時にアセプティック・サージタンクおよび下流経路に対する水供給(すすぎ)を開始する,といった制御を実行する。
上流経路の「CIP工程」欄に表示される複数のバーも上述した「プロセス」欄に表示されるバー21a,21bと同様に,無菌充填装置に設けられる計測装置によって計測される時間帯(開始タイミングおよび終了タイミング)に基づくものであり,処理時間長に比例する長さ(横幅)を持ち,バー中に生産間作業の内容を表す文字が表示される。CIP工程についても,いずれの生産間作業がいずれの時間帯にどの程度の時間をかけて実行されたのかを,作業実績チャート20から把握することができる。バーの長さに基づいてCIP工程における不具合を発見することができ,生産間作業のさらなる短縮を図ることができる。
次に上流経路の「SIP工程」を参照する。これは上流経路の殺菌工程である。上流経路のSIP工程はCIP工程において用いられるアルカリ洗浄液を加熱冷却装置3によって昇温し,昇温温度を所定時間にわたって維持しながら,昇温状態のアルカリ洗浄液を循環することで行われ,これにより上流経路が殺菌される。具体的には65~75分後にアルカリ洗浄液の昇温処理が行われ,75~85分後まで温度状態が維持され,85~105分後にすすぎおよび水循環が行われることで上流経路の温度安定化が図られる。
一般にはCIP工程を終えた後にSIP工程は実行される(処理対象部分「アセプティック・サージタンク」におけるCIP工程およびSIP工程,処理対象部分「下流経路」におけるCIP工程およびSIP工程を参照)。しかしながら,上流経路におけるSIP工程は,上述したように,CIP工程において実行されるアルカリ洗浄液の循環を利用し,循環されるアルカリ洗浄液を昇温することで温度が高められたアルカリ洗浄液を循環することによって行われる。すなわち,CIP工程の後にSIP工程を実行するのではなく,CIP工程の一部を利用してSIP工程を実行しておりこれによって生産間作業の短縮を図ったものである。このような生産間作業の短縮化の検討に作業実績チャート20を有効利用することができる。
「SIP工程」において実行される各種の生産間作業(順番を含む)もあらかじめコントローラ10においてプログラムされる。上流経路の「SIP工程」欄に表示される複数のバーも,無菌充填装置に設けられる計測装置によって計測される時間帯(開始タイミングおよび終了タイミング)に基づくものであり,処理時間長に比例する長さ(横幅)を持ち,バー中に生産間作業の内容を表す文字が表示される。SIP工程についても,いずれの生産間作業がいずれの時間帯にどの程度の時間をかけて実行されたのかを,作業実績チャート20から把握することができる。バーの長さに基づいてSIP工程における不具合を発見することができ,生産間作業のさらなる短縮を図るために作業実績チャート20を用いることができる。
作業実績チャート20の処理対象部分「アセプティック・サージタンク」および「下流経路」についても,処理対象部分「上流経路」と同様に「プロセス」,「CIP工程」および「SIP工程」の3つの欄に区分されており,そのそれぞれに生産間作業の内容,生産間作業が実行された時間帯および時間長を表す複数のバーが表示される。
処理対象部分「アセプティック・サージタンク」の「プロセス」には,アセプティック・サージタンク4に残っている生産を終えた飲料の廃棄処理が行われたこと(生産間作業開始時から15分後),130分後から新たな飲料の受入れが開始されたことが示されている。
処理対象部分「アセプティック・サージタンク」の「SIP工程」は,処理対象部分「上流経路」のSIP工程と異なり,ボイラ(図示略)において作られる蒸気のアセプティック・サージタンク4内への吹き付けが行われ,これによってアセプティック・サージタンク4内の殺菌が行われる。処理対象部分「下流経路」の「SIP工程」も同様であり,ボイラにおいて作られる蒸気を配管8に流すことによって下流経路(マニホールドバルブ9Bからヘッドタンク8を経て充填機6に至る経路)が殺菌される。
処理対象部分「下流経路」の「CIP工程」および「SIP工程」中の「CUP」で示される生産間作業は,充填機6の充填ノズルの先端に洗浄液を受けるためのカップを装着する作業を意味する。
図2に示す作業実績チャート20は,コントローラ10に接続された表示装置(図示略)に表示することができる。無菌充填装置の配管8の流路を上述のように上流経路,アセプティック・サージタンクおよび下流経路の3つの部分に分割し,別個独立に洗浄殺菌等を含む生産間作業を行う場合,図2に示すように分割された部分のそれぞれに対して実行された生産間作業を同じ時間軸のもとで一つにまとめることによって,上述のように,無菌充填装置に発生している不具合,および生産間作業における時間的無駄を発見しやすくなり,生産間作業のさらなる短縮につなげることができる。
図3は変形例の作業実績チャート20Aを示すもので,図2に示す作業実績チャート20とは充填機6に関する生産間作業がさらに追加されている点が異なる。充填機6に対しては,上述した上流経路,アセプティック・サージタンクおよび下流経路とはさらに別個独立に,洗浄殺菌等の生産間作業が行われる。
図3に示す作業実績チャート20Aに含まれる充填機6に関する生産間作業は「チャンバー」,「コンプレッサエア」および「無菌水殺菌」の3つに分割されている。チャンバー欄についてはさらに,「フィラ・キャッパ」欄と「それ以外」欄の2つにさらに区分されている。
「チャンバー」は上述した無菌チャンバー7を意味する。「フィラ」は充填機構を意味し,「キャッパ」はボトル口部にキャップをねじ込む装置を意味する。「それ以外」にはボトル滅菌機,リンサー(ボトル洗浄装置)などが含まれる。
チャンバーに関する生産間作業に示されている「全チャン」はチャンバー内部の全体を洗浄する工程を,「NaOH」は苛性ソーダによる洗浄を,「H2O2」は過酸化水素ガスを充填して滅菌する工程を,「PAA」は過酢酸による滅菌を,それぞれ意味する。
「コンプレッサエア」はコンプレッサエアの流路を意味する。コンプレッサエアに関する生産間作業に示されている「SIP」は過酸化水素ガスによるコンプレッサエアの流路の滅菌を意味する。
「無菌水殺菌」は無菌水を供給する配管を洗浄または滅菌するための工程を意味する。
液処理部分(複数の流路)についての洗浄殺菌等の生産間作業(作業実績)に加えて,図3に示すように充填機6に対する洗浄殺菌等の生産間作業も同じ時間軸のもとで一つにまとめて表示することによって,充填機6に対する生産間作業を含めて,生産間作業における時間的無駄を発見しやすくなり,装置全体の生産間作業のさらなる短縮につなげることができる。
1 調合装置
2 バランスタンク
3 加熱冷却装置
4 アセプティック・サージタンク
5 ヘッドタンク
6 充填機
7 無菌チャンバー
8 配管
10 コントローラ
20,20A 作業実績チャート
21a,21b バー
2 バランスタンク
3 加熱冷却装置
4 アセプティック・サージタンク
5 ヘッドタンク
6 充填機
7 無菌チャンバー
8 配管
10 コントローラ
20,20A 作業実績チャート
21a,21b バー
Claims (7)
- 複数の生産設備と生産設備間を接続する流路を備える配管とを備え,上記配管の流路を通じて搬送される飲食品を上記生産設備において順次処理する飲食品生産装置に対する生産間作業の実績を作成する装置であって,
上記飲食品生産装置は,上記生産間作業のときに上記配管の流路が複数に分割され,分割された複数の流路のそれぞれが別個独立に処理されるものであり,
分割された流路のそれぞれについて,生産間作業が実行された時間帯データ,およびその内容を示すデータを含む計測データを受信する受信手段,ならびに
上記受信手段によって受信された計測データに基づいて,上記複数の流路のそれぞれに対して生産間作業が実行された時間帯を,同じ時間軸の下,生産間作業が実行された時間長に比例する長さを持つバーによって表示画面に表示するための表示データを作成する表示データ作成手段を備えている,
生産間作業実績作成装置。 - 上記生産間作業が洗浄作業および殺菌作業を含む,
請求項1に記載の生産間作業実績作成装置。 - 上記生産間作業が,上記洗浄作業および殺菌作業の後に行われる,次に生産される飲食品の生産準備作業を含む,
請求項2に記載の生産間作業実績作成装置。 - 上記生産間作業が,上記洗浄作業および殺菌作業の前に行われる,生産を終えた飲食品の廃棄作業を含む,
請求項2に記載の生産間作業実績作成装置。 - 上記表示データ作成手段によって作成される表示データによって表示されるバー中に生産間作業の内容を表す文字が示される,
請求項1に記載の生産間作業実績表示装置。 - 上記飲食品生産装置が飲食品を容器に充填する充填機を含み,
上記生産間作業のときに,上記充填機は,上記分割された複数の流路と別個独立に処理されるものであり,
上記受信手段は,上記充填機について,生産間作業が実行された時間帯データ,およびその内容を示すデータを含む計測データをさらに受信するものであり,
上記表示データ作成手段は,上記充填機に対して生産間作業が実行された時間帯を,同じ時間軸の下,生産間作業が実行された時間長に比例する長さを持つバーによって表示画面に表示するための表示データをさらに作成するものである,
請求項1に記載の生産間作業実績作成装置。 - 複数の生産設備と生産設備間を接続する流路を備える配管とを備え,上記配管の流路を通じて搬送される飲食品を上記生産設備において順次処理する飲食品生産装置に対する生産間作業の実績を表示する方法であって,
上記飲食品生産装置は,上記生産間作業のときに上記配管の流路が複数に分割され,分割された複数の流路のそれぞれが別個独立に処理されるものであり,
受信手段によって,分割された流路のそれぞれについて,生産間作業が実行された時間帯データ,およびその内容を示すデータを含む計測データを受信し,
表示データ作成手段によって,上記受信した計測データに基づいて,上記複数の流路のそれぞれに対して生産間作業が実行された時間帯を,同じ時間軸の下,生産間作業が実行された時間長に比例する長さを持つバーによって表示画面に表示するための表示データを作成する,
生産間作業実績表示方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022194769A JP2024081269A (ja) | 2022-12-06 | 2022-12-06 | 生産間作業実績作成装置および方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022194769A JP2024081269A (ja) | 2022-12-06 | 2022-12-06 | 生産間作業実績作成装置および方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2024081269A true JP2024081269A (ja) | 2024-06-18 |
Family
ID=91486825
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022194769A Pending JP2024081269A (ja) | 2022-12-06 | 2022-12-06 | 生産間作業実績作成装置および方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2024081269A (ja) |
-
2022
- 2022-12-06 JP JP2022194769A patent/JP2024081269A/ja active Pending
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