JP6308290B2 - 殺菌処理の移行方法および製品充填装置 - Google Patents

殺菌処理の移行方法および製品充填装置 Download PDF

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Description

本発明は、PETボトル等の容器に製品である飲料などを充填する装置の殺菌処理の移行方法およびこの殺菌処理の移行方法を行う製品充填装置に関する。
無菌飲料充填装置により飲料をボトル等の容器に充填する場合、飲料自体を殺菌して無菌状態にする製品殺菌処理をしておかなければならないことはもちろんのこと、無菌飲料充填装置におけるサージタンク、送液管、充填ノズル等を備えた飲料供給系配管内も予め洗浄し、殺菌して無菌状態にしておかなければならない。
従来、飲料充填経路内を通る飲料自体については、その飲料の殺菌値であるF値を測定し、その履歴情報に基づいて飲料の品質が保証できる程度に殺菌されているか否かを確認することが行われている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、無菌飲料充填装置の飲料供給系配管については、定期的にあるいは飲料の種類を切り替える際に、CIP(Cleaning in Place)処理をし、さらに、SIP(Sterilizing in Place)処理をしている(例えば、特許文献3参照)。
製品殺菌処理は、飲料充填経路に配置された加熱殺菌部(UHT:Ultra High−temperature)によって飲料が加熱、殺菌されることで行われる。これにより、滅菌された飲料をボトルなどの容器へ充填することができる。
CIPは、飲料充填経路の管路内から充填機の充填ノズルに至るまでの流路に、例えば水に苛性ソーダ等のアルカリ性薬剤を添加した洗浄液を流した後に、水に酸性薬剤を添加した洗浄液を流すことにより行われる。これにより、飲料充填経路内に付着した前回の飲料の残留物等が除去される(例えば、特許文献3参照)。
SIPは、飲料の充填作業に入る前に、予め上記飲料供給系配管内を殺菌するための処理であり、例えば、上記CIPで洗浄した飲料充填経路内に加熱蒸気又は熱水を流すことによって行われる。これにより、飲料充填経路内が殺菌処理され無菌状態とされる(例えば、特許文献3参照)。
これらのCIP、SIP及び製品殺菌処理は、いずれも時間がかかる処理であることから、これらの時間短縮のための方法は種々の方法が知られている。例えば、下記特許文献に記載されているように、殺菌温度と流量から殺菌強度(F値)を求めることで製品殺菌処理を行う方法が知られている。
実開昭61−50596号公報 特開2007−215893号公報 特開2007−22600号公報
上述した方法で製品殺菌処理を行うことで、飲料の品質が保証できるレベルであるか否かを正確かつ迅速に確認することができる。
しかし、CIP、SIP及び製品殺菌処理と異なる処理を続けて行う場合、各処理毎の設定に非常に時間がかかり、各処理の段取り時間を短縮することが難しいという課題を有していた。
例えば、SIPの後、飲料の充填作業のために製品殺菌処理へと移行する場合、製造時の殺菌条件に移行するために、無菌状態を維持したまま、SIPのために加熱したUHTを所望の設定温度まで上げ下げしたり、飲料供給系配管を流れる飲料の流量を充填するボトルに応じた流量に上げ下げして変更する温度安定化工程を行う必要がある。このとき、温度安定化工程では、温度あるいは流量が規定の上下限値を逸脱しないように時間をかけながら制御を行っていた。これは、温度を急激に下げることで規定の上下限値を逸脱しないために行われており、規定の上下限値を逸脱してしまうと、SIPによって無菌となった飲料供給系配管の無菌状態を維持できなくなることから、各温度や流量の調整は慎重に少しずつ温度を下げていく必要があった。具体的には、流量を調整した後、UHTの各段の加熱部又は冷却部を一か所ずつ慎重に温度を下げるという作業を行っているので、各段ごとに設定時間が長くなり、このように温度安定化工程では、この設定作業に多くの時間を要していた。また、規定の上下限値を逸脱してしまった場合は、機器殺菌不良となって、再度SIPを実施する必要が生じる。
ところが、近年の省エネルギ化の進展に伴い、SIPから製品殺菌処理への移行時の温度安定化工程で消費される熱エネルギの大きさが問題視されるようになってきた。また、各処理への移行に要する時間の長さも飲料の生産効率の面から問題視されるようになってきた。
本発明はこのような問題点を解決することができる殺菌処理の移行方法及び飲料充填装置を提供することを目的とする。
本発明者は無菌充填装置の飲料供給系配管におけるSIPから製品殺菌処理の切り替えに要する熱エネルギや切り替えに要する殺菌時間について見直しを行うべく、F値の管理について検討したところ、単に所望の温度への到達後の時間だけでなく、F値での積算で滅菌効果をリアルタイムに管理すれば、所望の設定条件への設定変更を迅速に行うことができることを見出した。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、次のような構成を具備することを特徴とする。
すなわち、本発明に係る殺菌処理の移行方法は、加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る製品供給系配管を備えた製品充填装置内について製品の充填作業前に予め前記製品供給系配管を殺菌するSIP処理から充填する製品を殺菌する製品殺菌処理に切り替える殺菌処理への移行方法であって、前記製品供給系配管の前記SIP処理後の冷却を行うために前記製品供給系配管に無菌エアを送り、タンク温度が110℃を下回った後に無菌水を送り込むことを特徴とする。
また、一実施形態に係る発明は、加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る製品供給系配管を備えた製品充填装置内について製品の充填作業前に予め前記製品供給系配管を殺菌するSIP処理から充填する製品を殺菌する製品殺菌処理に切り替える殺菌処理への移行方法であって、所定時間毎に前記製品充填装置内の任意の位置に設置された複数の温度センサと流量計から得られた温度データと、前記加熱殺菌部を流れる流体の流量データからF値を演算し、該F値が所定の値を下回らないように前記製品充填装置内の所定の複数の位置の温度及び流量の少なくとも2以上を前記SIP処理の設定温度及び設定流量から前記製品殺菌処理の設定温度及び設定流量に調整することを特徴とする。
また、本発明に係る殺菌処理の移行方法において、前記無菌水は、前記SIP処理が完了し水運転で待機中の製品殺菌機から送液されると好適である。
また、一実施形態に係る発明は、前記加熱殺菌部を通過する前記製品の圧力が前記加熱殺菌部を加熱又は冷却する熱源又は冷媒の圧力よりも大きいと好適である。
また、本発明に係る殺菌処理の移行方法において、ボトルリンサーで使用する無菌水をマニホルドバルブから受け入れると好適である。
また、一実施形態に係る発明は、F値は次式
Figure 0006308290
を用いて演算することも可能である。
また、本発明に係る製品充填装置は、加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る製品供給系配管を備えた製品充填装置内について製品の充填作業前に予め前記製品供給系配管を殺菌するSIP処理から充填する製品を殺菌する製品殺菌処理に切り替える殺菌処理の移行装置を有する製品充填装置であって、前記製品供給系配管の前記SIP処理後の冷却を行うために、前記製品供給系配管に無菌エアを送り、タンク温度が110℃を下回った後に無菌水を送り込む無菌エア供給手段及び無菌水供給手段を備えたことを特徴とする。
また、一実施形態に係る発明は、加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る製品供給系配管を備えた飲料充填装置内について製品の充填作業前に予め前記製品供給系配管を殺菌するSIP処理から充填する製品を殺菌する製品殺菌処理に切り替える殺菌処理の移行装置を有する製品充填装置であって、所定時間毎に前記製品充填装置内の任意の位置に設置された複数の温度センサと流量計から得られた温度データと、前記加熱殺菌部を流れる流体の流量データからF値を演算し、該F値が所定の値を下回らないように前記製品充填装置内の所定の複数の位置の温度及び流量の少なくとも2以上を前記SIP処理の設定温度及び設定流量から前記製品殺菌処理のいずれか一つの設定温度及び設定流量に調整するコントローラを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、製品充填装置の製品供給系配管のSIPから製品殺菌処理への切り替えについて、リアルタイムにF値の積算を行い、F値が所定の値を下回らないように管理しながら製品充填装置内の所定の複数の位置の温度及び流量の少なくとも2以上を次の処理となる製品殺菌処理の設定温度及び設定流量に調整しているので、製品充填装置の製品供給系配管のSIPから製品殺菌処理への移行を従来よりも正確かつ迅速に達成することができ、製品の充填作業に早期に着手することができ、製品の切り替えの際の生産間時間を短縮し、生産効率を向上させることができる。
本発明に係る飲料充填装置のブロック図である。 製品充填装置における製品供給系配管で加熱殺菌部からアセプティックサージタンク(ACT)手前までのSIPを行っている状態を示すブロック図である。 製品充填装置における製品供給系配管でアセプティックサージタンク(ACT)以降から充填ノズルまでの下流側配管部に対しSIPを行っている状態を示すブロック図である。 製品のボトル詰め製品を生産している状態を示すブロック図である。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
最初に、製品充填装置の構造について説明し、その次に、この装置の殺菌方法および、各処理の切り替え方法について説明する。
図1に示すように、製品充填装置は、製品である飲料の調合装置1と、飲料をボトル4に充填する充填機2とを具備する。調合装置1と充填機2内の充填ノズル2aとの間は、製品供給系配管7で結ばれている。また、充填機2は無菌チャンバ3で囲まれている。
調合装置1は、例えば茶飲料、果実飲料等の飲料を各々所望の配合割合で調合するためのものであって、公知の装置であるからその詳細な説明は省略する。
充填機2は、多数の充填ノズル2aを水平面内で高速回転するホイール(図示せず)の回りに配置してなるもので、ホイールの回転と共に充填ノズル2aを旋回運動させつつ、充填ノズル2aの下をホイールの周速度に同調して走行する各ボトル4に、充填ノズル2aから飲料を定量充填するための機械である。この充填機2も公知の装置であるからその詳細な説明は省略する。
この製品充填装置の製品供給系配管7は、その調合装置1から充填機2に至る管路中に、飲料の流れから見て上流側から下流側へと順に、バランスタンク5、加熱殺菌部(UHT:Ultra High−temperature)18、マニホルドバルブ8、アセプティックサージタンク19、ヘッドタンク11を備える。
UHT18は、その内部に第一段加熱部12、第二段加熱部13、ホールディングチューブ14、第一段冷却部15、第二段冷却部16等を備え、バランスタンク5から供給される飲料又は水を第一段加熱部12から第二段加熱部13へと送りながら徐々に加熱し、ホールディングチューブ14内で目標温度まで加熱し、その後、第一段冷却部15、第二段冷却部16へと送って徐々に冷却するものである。加熱部や冷却部の段数は必要に応じて増減される。
その他、バランスタンク5、マニホルドバルブ8、アセプティックサージタンク19、ヘッドタンク11は共に公知の装置であるから、その詳細な説明は省略する。
図2中太線で示すように、上記製品供給系配管7のうち、バランスタンク5とUHT18を経てマニホルドバルブ8に至る上流側配管部7aに対し帰還路6が設けられることによって、SIPを行うための循環路が形成される。
また、上流側配管部7aには、その中に熱水等が供給された際に温度が上昇しにくい箇所を含む各箇所において温度センサ10が配置される。この温度センサ10が配置される箇所としては、例えばUHT18内の第一段加熱部12からマニホルドバルブ8へと向かう管路のうち、UHT18内の各部間と、第二段冷却部16を出た箇所、マニホルドバルブ8の手前の箇所を挙げることができ、これらの箇所に温度センサ10が各々配置される。これらの温度センサ10によって各々測定された温度の情報はコントローラ17へ送信される。
図3中太線で示すように、上記製品供給系配管7のうち、上記上流側配管部7aより下流側のマニホルドバルブ8から、アセプティックサージタンク19と、ヘッドタンク11とを経由して充填機2内に至る下流側配管部7bに対しても、その中に加熱蒸気等が供給された際に温度が上昇しにくい箇所を含む各箇所において温度センサ10が配置される。この温度センサ10が配置される箇所としては、例えばアセプティックサージタンク19から充填ノズル2aに向かう管路のうち、アセプティックサージタンク19の出口近傍、途中の屈曲部、ヘッドタンク11の入口近傍と出口近傍、充填機2内のマニホルド2bと充填ノズル2aとの間を挙げることができ、これらの管路に温度センサ10が各々配置される。これらの温度センサ10により各々測定された温度の情報はコントローラ17へ送信される。また、下流側配管部7bのうち、アセプティックサージタンク19とヘッドタ
ンク11を経てマニホルドバルブ8に至る帰還路6aが設けられることによって、SIPを行うための循環路が形成される。
また、下流側配管部7bに対しては、SIPのために充填機2の各充填ノズル2aの開口に対して各々接離可能なカップ9が配置される。SIPを行う際に各カップ9が図示しないアクチュエータによって充填機2の充填ノズル2aの先端の開口に被せられることで、ドレン管20の始端が、充填ノズル2aの開口に接続される。
なお、上記製品供給系配管7には、上記マニホルドバルブ8、図示しないアクチュエータのほか、各種切換え弁、ポンプ等が設けられ、これらも上記コントローラ17からの出力によって制御される。
次に、上記製品充填装置の殺菌方法およびSIPから製品殺菌処理への移行方法について、図2乃至図4に基づいて説明する。
(1)コントローラ17の図示しないパネル上の操作ボタンが操作されると、製品供給系配管7の上流側配管部7aと下流側配管部7bについてSIPが各々所定の手順で実行される(図2及び図3参照)。SIPの開始に際してはマニホルドバルブ8によって上流側配管部7aと下流側配管部7bとの間が遮断される。
上流側配管部7aのSIPと下流側配管部7bのSIPは互いに順を追って又は並行して行うことが可能である。
(2)まず、図示しない水供給源から水がバランスタンク5を経て循環路内に送られ、この水がUHT18により加熱され殺菌されつつ循環路内を循環する。これにより、上流側配管部7a内が殺菌される。
(3)この上流側配管部7a内を熱水が流れる際、上流側配管部7aの各所に配置された温度センサ10からコントローラ17に温度情報が一定時間間隔で送られる。この実施の形態では、ボトルbに充填する製品液である飲料のpHが4.6以上とされ、基準温度Trが121.1℃、Z値が10℃とされる。
熱水による加熱により昇温した各箇所の温度が121.1℃に達すると、その時点から各箇所のF値がコントローラ17によって演算される。演算式は次のとおりである。
Figure 0006308290
上記演算式に基づいて演算された各F値のうち、最小のF値が目標値に到達したところで、上流側配管部7aは殺菌完了となり、第一段冷却部15、第二段冷却部16に、冷却水が供給され、熱水は冷却されて、循環し、飲料の殺菌開始まで連続循環待機となる。
次に、SIP処理の完了後、温度安定化工程によって飲料の製品殺菌処理を行う状態に製品供給系配管の温度及び流量の設定を行う。
温度安定化工程では、UHT18の各部位の殺菌温度とホールディングチューブ14を通過した時間を一秒ずつ記録する。この温度データ及び流量データはコントローラ17に送られて蓄積される。これらの温度データ及び流量データは、ホールディングチューブ14の通過時間(例えば60秒)の3〜4倍の時間分を記録できると好適である(例えば200秒分)。
コントローラ17は、この通過時間とUHT18の殺菌温度(チューブ出口温度)を用いて殺菌価(F値)をリアルタイムで算出している。この算出したF値を監視しながら各部(第一段加熱部12から第二段冷却部16)の温度及び流量を製品殺菌処理での設定値まで上げ下げして調整を行う。なお、第一段加熱部12から第二段冷却部16までの温度及び流量について、全ての箇所を同時に調整しても構わないし、例えば第一段加熱部12から第二段冷却部16までのうち、少なくとも二箇所以上を同時に調整しても構わない。
このとき、UHT18を通過する飲料の圧力がUHT18を加熱又は冷却する熱源又は冷媒の圧力よりも小さい場合、殺菌不良の可能性があるため、このような安全背圧を考慮して、UHT18を通過する飲料の圧力は、UHT18を加熱又は冷却する熱源又は冷媒の圧力よりも大きくなるように調整・設定される。
この移行方法によれば、例えば瞬間的に殺菌温度が下限を逸脱した場合であっても、実際の殺菌価(F値)が確保されているので、殺菌不良とならず、製品殺菌処理への移行を正確かつ迅速に行うことができる。
なお、上記F値の演算式において、製品液である飲料の種類に応じて基準温度Tr、Z値は変更可能である。
例えば、製品液のpHが4〜4.6未満のときは基準温度Tr=85℃、Z値=7.8℃とすることができ、製品液のpHが4未満のときは基準温度Tr=65℃、Z値=5℃とすることができる。
また、緑茶飲料、ミネラルウォーター、チルド飲料等、製品液の微生物発育特性、流通温度等に合わせて上記演算式に代入する値を適宜変更することも可能である。
(4)この後、調合装置1からバランスタンク5に飲料が送られ、飲料が殺菌され始める。水から飲料におき換わったところで、上流側配管部7aと帰還路との間が遮断され、アセプティックサージタンク19に滅菌された飲料がたまっていく。
(5)上記上流側配管部7aに対するSIPの開始と同時に、又は先立ってアセプティックサージタンク19も含めて、下流側配管部7bのSIPが開始される。
まず、カップ9が充填ノズル2aの開口にあてがわれ、充填ノズル2aにドレン管20が接続された後、アセプティックサージタンク19及びヘッドタンク11内へと加熱蒸気が図示しない加熱蒸気供給源から供給される。
この加熱蒸気は、アセプティックサージタンク19から、下流側配管部7b内を充填ノズル2a側へと流れ、各部を加熱した後にドレン管20から充填機2外へ排出される。また、SIPを上流側配管部7aと同様に水で行う場合には、図示しない水供給源から水がアセプティックサージタンク19を経て循環路内に送られ、この水が加熱装置21により
加熱され殺菌されつつ帰還路6aを介して循環路内を循環する。これにより、下流側配管部7b内が温水又は熱水で殺菌される。なお、F値を用いた殺菌方法については、上流側配管部7aと同様の方法で行うため、詳細な説明は省略する。
(6)この下流側配管部7b内を加熱蒸気が流れる際、下流側配管部7bの各所に配置された温度センサ10からコントローラ17に温度情報が一定時間間隔で送られる。
加熱蒸気による加熱により昇温した各箇所の温度が121.1℃に達すると、その時点から各箇所のF値がコントローラ17によって上記演算式により演算される。
演算された各F値のうち、最小のF値が目標値に到達したところで、上記加熱蒸気はアセプティックサージタンク19やの下流側配管部7b内への供給が停止される。下流側配管部7b内のSIP時間についても、従来のSIP時間に比べ大幅に短縮される。
(7)この後、下流側配管部7b内に無菌エア又は無菌水が送り込まれ、下流側配管部7b内が例えば常温まで冷却される。そして、ドレン管20が遮断される。さらに、図示しないアクチュエータによって各充填ノズル2aの開口からカップ9が外される。無菌水は、SIPが完了し水運転で待機中の製品殺菌機から送液してもよいが、ボトルリンサーで使用する無菌水(図示なし)をマニホルドバルブ8から受け入れ、冷却に用いても構わない。無菌水での冷却を開始するタイミングは、SIPの後のタンク温度が110℃を下回るまで無菌エアで行い、それ以降に行うと良い。無菌水を供給する動作は間歇タイマーを用い、タンクが急冷により減圧しないように無菌エアを供給しながら行う。タンクの温度が30〜90℃程度まで冷却され、冷却が完了した後、陽圧を維持したまま無菌エアでタンク及び配管内に溜まった無菌水をブローし、製品を受け入れる。無菌水を加えた冷却は、エアに比べて短時間に冷却することが可能である。
(8)アセプティックサージタンク19以降、下流側配管部7bのSIPが終了した後、加熱殺菌部18から上流側配管部7aを通ってアセプティックサージタンク19に飲料が貯められ、そこから飲料が下流側配管部7bを通って、ボトル4内への飲料の充填作業が開始される。
なお下流側配管部7bについても上述した上流側配管部7aと同様の温度安定化工程を行うことで、SIPから製品殺菌処理への正確かつ迅速な移行を実施することができる。
図4中、太線で示したごとく調合装置1で調合された飲料が殺菌処理された製品供給系配管7の上流側配管部7aと下流側配管部7bを通って充填機2内に至り、充填機2の充填ノズル2aから容器であるボトル4に充填される。飲料が充填されたボトル4は、図示しないキャッパによりキャッピングされた後、充填機2の外に送り出される。
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。また、マニホルド8を設けず、殺菌機からフィラーまでを同時にCIP及びSIPを施し、上述した温度安定化工程の制御を行ってもよい。あるいは、殺菌温度を満たしたアルカリや酸でCIPすると同時にSIPを行い、次製品の規定の殺菌価以上の無菌水で配管内を洗浄し、次製造へ移行しても良い。さらに、本明細書において、本発明はUHT(加熱殺菌部)の形態は、シェル&チューブ式熱交換器の例を説明したが、UHTの形態はこれに限られず、例えば、プレート式熱交換器を用いても構わない。また、これらの間接加熱法に限らず、直接加熱法を適用しても構わない。またさらに、本発明は、製品として飲料を充填する飲料充填装置について説明を行ったが、製品は飲料に限らず、例えば、医薬品、食品、流動食及び固形物入りの飲料を充填することも可能である。
また、F値を測定、積算する時間間隔は、1分間隔のほか、1から5秒間隔であってもよく、その間隔は計測器の能力等に応じて種々変更可能である。
2…充填機
6…帰還路
7…製品供給系配管
7a…上流側配管部
7b…下流側配管部
18…加熱殺菌部

Claims (4)

  1. 加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る製品供給系配管を備えた製品充填装置内について製品の充填作業前に予め前記製品供給系配管を殺菌するSIP処理から充填する製品を殺菌する製品殺菌処理に切り替える殺菌処理への移行方法であって、
    前記製品供給系配管の前記SIP処理後の冷却を行うために前記製品供給系配管に無菌エアを送り、タンク温度が110℃を下回った後に無菌水を送り込むことを特徴とする殺菌処理の移行方法。
  2. 請求項1に記載の殺菌処理の移行方法において、
    前記無菌水は、前記SIP処理が完了し水運転で待機中の製品殺菌機から送液されることを特徴とする殺菌処理の移行方法。
  3. 請求項1に記載の殺菌処理の移行方法において、
    ボトルリンサーで使用する無菌水をマニホルドバルブから受け入れることを特徴とする殺菌処理の移行方法。
  4. 加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る製品供給系配管を備えた製品充填装置内について製品の充填作業前に予め前記製品供給系配管を殺菌するSIP処理から充填する製品を殺菌する製品殺菌処理に切り替える殺菌処理の移行装置を有する製品充填装置であって、
    前記製品供給系配管の前記SIP処理後の冷却を行うために、前記製品供給系配管に無菌エアを送り、タンク温度が110℃を下回った後に無菌水を送り込む無菌エア供給手段及び無菌水供給手段を備えたことを特徴とする製品充填装置。
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