JP2024079791A - 変位計測装置及び表示方法 - Google Patents

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誠 櫻井
Makoto Sakurai
正義 轟原
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Abstract

【課題】被計測物の所定の部位の座標を検出可能な変位計測装置を提供すること。【解決手段】被計測物の所定の部位の第1の部分に配置されている第1の慣性センサーから出力される信号に基づく第1の信号と、前記所定の部位の第2の部分に配置されている第2の慣性センサーから出力される信号に基づく第2の信号と、を取得するセンサー信号取得部と、前記第1の慣性センサーの変位及び前記第2の慣性センサーの変位を算出する変位算出部と、前記第1の慣性センサーの方位及び前記第2の慣性センサーの方位を算出する方位算出部と、前記第1の慣性センサーの前記変位及び前記方位に基づいて、前記第1の部分の座標を算出し、前記第2の慣性センサーの前記変位及び前記方位に基づいて、前記第2の部分の座標を算出する座標算出部と、を含む、変位計測装置。【選択図】図4

Description

本発明は、変位計測装置及び表示方法に関する。
特許文献1には、走行中の競技車両の速度、エンジン回転数、スロットル開度、加速度等のデータを時系列に測定する機能と、これ等のデータを時系列に表示する機能を備えた競技車両用データロガーにおいて、ラップ別のデータを比較するデータ比較手段と、サーキットの走行位置におけるデータを表示する表示手段と、車体の傾斜角とコーナリング半径を検出するデータ検出手段と、を有するデータロガーが記載されている。特許文献1に記載のデータロガーによれば、競技車両の周回別の各種情報を重ね合わせて表示することができ、且つ、距離系列のデータ表示を可能にして、サーキット上での走行位置の特定を可能にすると共に、車体傾斜角とコーナリング半径を正確に検出することができる。
特開2004-318216号公報
しかしながら、特許文献1に記載のデータロガーでは、競技車両の各部位の座標を検出することはできない。
本発明に係る変位計測装置の一態様は、
被計測物の所定の部位の第1の部分に配置されている第1の慣性センサーから出力される信号に基づく第1の信号と、前記所定の部位の前記第1の部分とは異なる第2の部分に配置されている第2の慣性センサーから出力される信号に基づく第2の信号と、を取得するセンサー信号取得部と、
前記第1の信号に基づく第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの変位を算出し、前記第2の信号に基づく第4の信号に基づいて前記第2の慣性センサーの変位を算出する変位算出部と、
前記第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの方位を算出し、前記第4の信号に基づいて前記第2の慣性センサーの方位を算出する方位算出部と、
前記第1の慣性センサーの前記変位と前記第1の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第1の部分の座標を算出し、前記第2の慣性センサーの前記変位と前記第2の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第2の部分の座標を算出する座標算出部と、
を含む。
本発明に係る表示方法の一態様は、
被計測物の所定の部位の第1の部分に配置されている第1の慣性センサーから出力される信号に基づく第1の信号と、前記所定の部位の前記第1の部分とは異なる第2の部分に配置されている第2の慣性センサーから出力される信号に基づく第2の信号と、を取得するセンサー信号取得工程と、
前記第1の信号に基づく第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの変位を算出し、前記第2の信号に基づく第4の信号に基づいて前記第2の慣性センサーの変位を算出する変位算出工程と、
前記第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの方位を算出し、前記第4の信号に
基づいて前記第2の慣性センサーの方位を算出する方位算出工程と、
前記第1の慣性センサーの前記変位と前記第1の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第1の部分の座標を算出し、前記第2の慣性センサーの前記変位と前記第2の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第2の部分の座標を算出する座標算出工程と、
前記第1の部分の前記座標と、前記第2の部分の前記座標と、に基づいて、前記第1の部分に対する前記第2の部分の相対変位量を算出する相対変位量算出工程と、
前記相対変位量に基づくオブジェクトを表示する表示工程と、
を含む。
被計測物の変位計測システムの概要を説明するための図。 複数の慣性センサー3の配置例を示す図。 複数の慣性センサー3の配置例を示す図。 第1実施形態の変位計測装置の構成例を示す図。 慣性センサーのローカル座標系、仮想センサーのローカル座標系及びシステム座標系の関係を示す図。 基準座標データの一例を示す図。 回転行列データの一例を示す図。 センサーデータの一例を示す図。 仮想センサーデータの一例を示す図。 変位データの一例を示す図。 方位データの一例を示す図。 座標データの一例を示す図。 第1実施形態の変位計測装置による変位計測の手順を示すフローチャート図。 第1実施形態の変位計測装置による変位計測の他の手順を示すフローチャート図。 オフライン解析の手順を示すフローチャート図。 第2実施形態の変位計測装置による変位計測の手順を示すフローチャート図。 オンライン解析の手順を示すフローチャート図。 表示システムの構成例を示す図。 表示システムに含まれる変位計測装置の構成を示す図。 本実施形態の表示方法の手順を示すフローチャート図。 表示情報生成工程の手順を示すフローチャート図。 車両に搭載される変位計測装置、複数の慣性センサー、撮像部及び車両情報収集装置の配置例を示す図。 表示情報の一例を示す図。 表示情報の一例を示す図。 表示情報の一例を示す図。 表示情報の一例を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.変位計測装置
1-1.第1実施形態
1-1-1.変位計測装置を用いた変位計測システムの概要
図1は、本実施形態の変位計測装置1を用いた被計測物の変位計測システムの概要を説明するための図である。
図1では、被計測物4である車両4aは、レーシングカーである。ただし、被計測物4は、車両4a以外の移動体、例えば、航空機や船舶等であってもよいし、橋梁やビル等の静止構造物であってもよい。
図1に示すように、車両4aには、変位計測装置1及び複数の慣性センサー3が搭載されている。
本実施形態では、慣性センサー3は、加速度センサー及び角速度センサーを有する慣性計測ユニット(IMU:Inertial Measurement Unit)である。ただし、慣性センサー3は、例えば、加速度センサーであってもよいし、角速度センサーであってもよい。
変位計測装置1は、複数の慣性センサー3のうちの車両4aの所定の部位の第1の部分に配置されている第1の慣性センサーから出力される信号に基づく第1の信号と、複数の慣性センサー3のうちの当該所定部位の第1の部分とは異なる第2の部分に配置されている第2の慣性センサーから出力される信号に基づく第2の信号と、を取得する。例えば、第1の信号は、第1の慣性センサーから出力されるデジタル信号であってもよいし、第1の慣性センサーから出力されるアナログ信号が増幅処理やA/D(Analog to Digital)変換処理されたデジタル信号であってもよい。同様に、例えば、第2の信号は、第2の慣性センサーから出力されるデジタル信号であってもよいし、第2の慣性センサーから出力されるアナログ信号が増幅処理やA/D変換処理されたデジタル信号であってもよい。
所定の部位は、例えば、フロントサスペンションFS、リアサスペンションRS、フロントウィングFW、リアウィングRW等であってもよい。また、所定の部位は、図1では不図示のフロアパネル、パワーユニット、トランスミッション等であってもよい。
また、変位計測装置1は、取得した第1の信号に基づいて第1の慣性センサーの変位を算出し、取得した第2の信号に基づいて第2の慣性センサーの変位を算出する。また、変位計測装置1は、第1の信号に基づいて第1の慣性センサーの方位を算出し、第2の信号に基づいて第2の慣性センサーの方位を算出する。そして、変位計測装置1は、第1の慣性センサーの変位と前記第1の慣性センサーの方位とに基づいて、第1の部分の座標を算出し、第2の慣性センサーの変位と第2の慣性センサーの方位とに基づいて、第2の部分の座標を算出する。
特に、本実施形態では、変位計測装置1は、車両4aの走行中の所定の期間に第1の信号及び第2の信号を取得し、当該所定の期間が終了した後に、第1の慣性センサーの変位及び第2の慣性センサーの変位を算出し、また、第1の慣性センサーの方位及び第2の慣性センサーの方位を算出し、さらに、第1の部分の座標及び第2の部分の座標を算出する。
また、変位計測装置1は、第1の部分の座標と、第2の部分の座標と、に基づいて、第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出してもよい。この相対変位量は、車両4aの所定の部位の変形量に相当する。
さらに、変位計測装置1は、算出した車両4aの各部位の相対変位量に基づいて、車両4aの走行状況に関する情報である走行状況情報を生成してもよい。走行状況情報は、例えば、車両4aの各部位の変形量の分布を示す変形量ヒストグラムや車両4aの各部位の累積疲労度等の情報を含んでもよい。
図2は、フロントサスペンションFSに対する複数の慣性センサー3の配置例を示す図であり、フロントサスペンションFSを上方から視た斜視図である。図2の例では、フロントサスペンションFSには、12個の慣性センサー3である慣性センサー3a~3lが配置されている。
慣性センサー3aは、フロントサスペンションFSの右側アッパーアームの根元付近の部分に配置され、慣性センサー3b,3cは、右側アッパーアームの2つの先端付近の部分にそれぞれ配置されている。
慣性センサー3dは、フロントサスペンションFSの右側ロアアームの根元付近の部分に配置され、慣性センサー3e,3fは、右側ロアアームの2つの先端付近の部分にそれぞれ配置されている。
慣性センサー3gは、フロントサスペンションFSの左側アッパーアームの根元付近の部分に配置され、慣性センサー3h,3iは、左側アッパーアームの2つの先端付近の部分にそれぞれ配置されている。
慣性センサー3jは、フロントサスペンションFSの左側ロアアームの根元付近の部分に配置され、慣性センサー3k,3lは、左側ロアアームの2つの先端付近の部分にそれぞれ配置されている。
変位計測装置1は、所定の期間に12個の慣性センサー3a~3lの各々から出力される信号を取得する。そして、変位計測装置1は、所定の期間が終了した後に、12個の慣性センサー3a~3lの各々の座標を算出する。例えば、変位計測装置1は、慣性センサー3aから出力される信号に基づいて、慣性センサー3aの変位及び方位を算出し、算出した慣性センサー3aの変位及び方位に基づいて、慣性センサー3aが配置されている部分の座標を算出する。同様に、変位計測装置1は、慣性センサー3bから出力される信号に基づいて、慣性センサー3bの変位及び方位を算出し、算出した慣性センサー3bの変位及び方位に基づいて、慣性センサー3bが配置されている部分の座標を算出する。同様に、変位計測装置1は、慣性センサー3cから出力される信号に基づいて、慣性センサー3cの変位及び方位を算出し、算出した慣性センサー3cの変位及び方位に基づいて、慣性センサー3cが配置されている部分の座標を算出する。
同様に、変位計測装置1は、慣性センサー3d~3lの各々から出力される信号に基づいて、慣性センサー3d~3lの各々の変位及び方位を算出し、算出した慣性センサー3d~3lの各々の変位及び方位に基づいて、慣性センサー3d~3lの各々が配置されている部分の座標を算出する。
さらに、変位計測装置1は、慣性センサー3aが配置されている部分の座標と、慣性センサー3bが配置されている部分の座標と、に基づいて、基準となる慣性センサー3aが配置されている部分に対する慣性センサー3bが配置されている部分の相対変位量を算出してもよい。この相対変位量は、右側アッパーアームの前側のアームの変形量に相当する。同様に、変位計測装置1は、慣性センサー3aが配置されている部分の座標と、慣性センサー3cが配置されている部分の座標と、に基づいて、基準となる慣性センサー3aが配置されている部分に対する慣性センサー3cが配置されている部分の相対変位量を算出してもよい。この相対変位量は、右側アッパーアームの後側のアームの変形量に相当する。
同様に、変位計測装置1は、慣性センサー3dが配置されている部分の座標と、慣性セ
ンサー3e,3fの各々が配置されている部分の座標と、に基づいて、基準となる慣性センサー3dが配置されている部分に対する慣性センサー3e,3fの各々が配置されている部分の相対変位量を算出してもよい。これらの相対変位量は、右側ロアアームの前側のアームの変形量及び後側のアームの変形量に相当する。
同様に、変位計測装置1は、慣性センサー3gが配置されている部分の座標と、慣性センサー3h,3iの各々が配置されている部分の座標と、に基づいて、基準となる慣性センサー3gが配置されている部分に対する慣性センサー3h,3iの各々が配置されている部分の相対変位量を算出してもよい。これらの相対変位量は、左側アッパーアームの前側のアームの変形量及び後側のアームの変形量に相当する。
同様に、変位計測装置1は、慣性センサー3jが配置されている部分の座標と、慣性センサー3k,3lの各々が配置されている部分の座標と、に基づいて、基準となる慣性センサー3jが配置されている部分に対する慣性センサー3k,3lの各々が配置されている部分の相対変位量を算出してもよい。これらの相対変位量は、左側ロアアームの前側のアームの変形量及び後側のアームの変形量に相当する。
なお、フロントサスペンションFSは「所定の部位」の一例である。また、慣性センサー3aは「第1の慣性センサー」の一例であり、2つの慣性センサー3b,3cはそれぞれ「第2の慣性センサー」の一例である。また、慣性センサー3aが配置されている部分は「第1の部分」の一例であり、2つの慣性センサー3b,3cがそれぞれ配置されている部分は「第2の部分」の一例である。
また、慣性センサー3dは「第1の慣性センサー」の他の一例であり、2つの慣性センサー3e,3fはそれぞれ「第2の慣性センサー」の他の一例である。また、慣性センサー3dが配置されている部分は「第1の部分」の他の一例であり、2つの慣性センサー3e,3fがそれぞれ配置されている部分は「第2の部分」の他の一例である。
また、慣性センサー3gは「第1の慣性センサー」の他の一例であり、2つの慣性センサー3h,3iはそれぞれ「第2の慣性センサー」の他の一例である。また、慣性センサー3gが配置されている部分は「第1の部分」の他の一例であり、2つの慣性センサー3h,3iがそれぞれ配置されている部分は「第2の部分」の他の一例である。
また、慣性センサー3jは「第1の慣性センサー」の他の一例であり、2つの慣性センサー3k,3lはそれぞれ「第2の慣性センサー」の他の一例である。また、慣性センサー3jが配置されている部分は「第1の部分」の他の一例であり、2つの慣性センサー3k,3lがそれぞれ配置されている部分は「第2の部分」の他の一例である。
図3は、リアサスペンションRSに対する複数の慣性センサー3の配置例を示す図であり、リアサスペンションRSを下方から視た平面図である。図3の例では、リアサスペンションRSには、12個の慣性センサー3である慣性センサー3m~3xが配置されている。
慣性センサー3mは、リアサスペンションRSの右側アッパーアームの根元付近の部分に配置され、慣性センサー3n,3oは、右側アッパーアームの2つの先端付近の部分にそれぞれ配置されている。
慣性センサー3pは、リアサスペンションRSの右側ロアアームの根元付近の部分に配置され、慣性センサー3q,3rは、右側ロアアームの2つの先端付近の部分にそれぞれ配置されている。
慣性センサー3sは、リアサスペンションRSの左側アッパーアームの根元付近の部分に配置され、慣性センサー3t,3uは、左側アッパーアームの2つの先端付近の部分にそれぞれ配置されている。
慣性センサー3vは、リアサスペンションRSの左側ロアアームの根元付近の部分に配置され、慣性センサー3w,3xは、左側ロアアームの2つの先端付近の部分にそれぞれ配置されている。
図2で説明したのと同様であるため、説明を省略するが、変位計測装置1は、慣性センサー3m~3xの各々が配置されている部分の座標を算出する。
さらに、変位計測装置1は、慣性センサー3mが配置されている部分の座標と、慣性センサー3nが配置されている部分の座標と、に基づいて、基準となる慣性センサー3mが配置されている部分に対する慣性センサー3nが配置されている部分の相対変位量を算出してもよい。この相対変位量は、右側アッパーアームの前側のアームの変形量に相当する。同様に、変位計測装置1は、慣性センサー3mが配置されている部分の座標と、慣性センサー3oが配置されている部分の座標と、に基づいて、基準となる慣性センサー3mが配置されている部分に対する慣性センサー3oが配置されている部分の相対変位量を算出してもよい。この相対変位量は、右側アッパーアームの後側のアームの変形量に相当する。
同様に、変位計測装置1は、慣性センサー3pが配置されている部分の座標と、慣性センサー3q,3rの各々が配置されている部分の座標と、に基づいて、基準となる慣性センサー3pが配置されている部分に対する慣性センサー3q,3rの各々が配置されている部分の相対変位量を算出してもよい。これらの相対変位量は、右側ロアアームの前側のアームの変形量及び後側のアームの変形量に相当する。
同様に、変位計測装置1は、慣性センサー3sが配置されている部分の座標と、慣性センサー3t,3uの各々が配置されている部分の座標と、に基づいて、基準となる慣性センサー3sが配置されている部分に対する慣性センサー3t,3uの各々が配置されている部分の相対変位量を算出してもよい。これらの相対変位量は、左側アッパーアームの前側のアームの変形量及び後側のアームの変形量に相当する。
同様に、変位計測装置1は、慣性センサー3vが配置されている部分の座標と、慣性センサー3w,3xの各々が配置されている部分の座標と、に基づいて、基準となる慣性センサー3vが配置されている部分に対する慣性センサー3w,3xの各々が配置されている部分の相対変位量を算出してもよい。これらの相対変位量は、左側ロアアームの前側のアームの変形量及び後側のアームの変形量に相当する。
なお、リアサスペンションRSは「所定の部位」の一例である。また、慣性センサー3mは「第1の慣性センサー」の一例であり、2つの慣性センサー3n,3oはそれぞれ「第2の慣性センサー」の一例である。また、慣性センサー3mが配置されている部分は「第1の部分」の一例であり、2つの慣性センサー3n,3oがそれぞれ配置されている部分は「第2の部分」の一例である。
また、慣性センサー3pは「第1の慣性センサー」の他の一例であり、2つの慣性センサー3q,3rはそれぞれ「第2の慣性センサー」の他の一例である。また、慣性センサー3pが配置されている部分は「第1の部分」の他の一例であり、2つの慣性センサー3q,3rがそれぞれ配置されている部分は「第2の部分」の他の一例である。
また、慣性センサー3sは「第1の慣性センサー」の他の一例であり、2つの慣性センサー3t,3uはそれぞれ「第2の慣性センサー」の他の一例である。また、慣性センサー3sが配置されている部分は「第1の部分」の他の一例であり、2つの慣性センサー3t,3uがそれぞれ配置されている部分は「第2の部分」の他の一例である。
また、慣性センサー3vは「第1の慣性センサー」の他の一例であり、2つの慣性センサー3w,3xはそれぞれ「第2の慣性センサー」の他の一例である。また、慣性センサー3vが配置されている部分は「第1の部分」の他の一例であり、2つの慣性センサー3w,3xがそれぞれ配置されている部分は「第2の部分」の他の一例である。
1-1-2.変位計測装置の構成
図4は、第1実施形態の変位計測装置1の構成例を示す図である。図4に示すように、変位計測装置1は、処理回路100、記憶回路110、N個のアナログフロントエンド(AFE:Analog Front End)120、操作部130、及び通信部140を含む。Nは2以上の所定の整数である。なお、変位計測装置1は、図4の構成要素の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
N個の慣性センサー3の各々から出力される信号は、N個のアナログフロントエンド120の各々に入力される。アナログフロントエンド120は、慣性センサー3から出力される信号に対して増幅処理やA/D変換処理を行ってデジタル信号を出力する。
処理回路100は、記憶回路110に記憶されている変位計測プログラム111を実行し、N個のアナログフロントエンド120の各々から出力されるデジタル信号を取得し、取得したデジタル信号に基づいて被計測物4の各部位の第1の部分及び第2の部分の各座標や第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出する処理を行う。また、処理回路100は、各部位の相対変位量に基づいて、車両4aの走行状況に関する走行状況情報を生成してもよい。その他、処理回路100は、操作部130からの操作信号に応じた各種の処理、外部装置5とデータ通信を行うために通信部140を制御する処理等を行う。処理回路100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)によって実現される。
処理回路100は、変位計測プログラム111を実行することにより、センサー信号取得部101、キャリブレーション部102、変位算出部103、方位算出部104、座標算出部105、相対変位量算出部106及び走行状況情報生成部107として機能する。すなわち、変位計測装置1は、センサー信号取得部101、キャリブレーション部102、変位算出部103、方位算出部104、座標算出部105、相対変位量算出部106及び走行状況情報生成部107を含む。
センサー信号取得部101は、N個のアナログフロントエンド120から出力されるN個のデジタル信号を取得する。
キャリブレーション部102は、N個の回転行列R~Rを用いて、センサー信号取得部101が取得したN個のデジタル信号の各々を、N個の仮想センサーの各々から出力される信号に換算する。
図5は、第nの慣性センサー3のローカル座標系、第nの仮想センサーのローカル座標系及びシステム座標系の関係を示す図である。nは、1以上N以下の任意の整数である。図5に示すように、第nの慣性センサー3のローカル座標系はx軸、y軸及びz軸で定義される。また、第nの仮想センサーのローカル座標系は、ximg軸、yimg軸及びz
img軸で定義される。また、システム座標系は、地表に対して向きが変わらない絶対座標系であり、X軸、Y軸及びZ軸で定義される。そして、変位計測装置1の初期状態において、すなわち計測開始時である時刻t=0において、第nの仮想センサーの位置は第nの慣性センサー3の位置と一致する。換言すれば、時刻t=0において、システム座標系での第nの慣性センサー3及び第nの仮想センサーの座標は一致し、ともに(Xn(0),Yn(0),Zn(0))である。また、時刻t=0において、第nの仮想センサーのローカル座量系はシステム座標系と一致する。すなわち、ximg軸の方向はX軸の方向と一致し、yimg軸の方向はY軸の方向と一致し、zimg軸の方向はZ軸の方向と一致する。
時刻tの経過によって第nの慣性センサー3の座標や方位が変化すると、第nの仮想センサーのローカル座量系の座標や方位も変化するが、時刻tによらず、第nの慣性センサー3のローカル座標と第nの仮想センサーのローカル座標との関係は一定の回転行列Rによって規定される。すなわち、キャリブレーション部102は、任意の時刻tにおいて第nの慣性センサー3から出力される信号に基づくデジタル信号を、当該デジタル信号に回転行列Rを掛けることで、時刻tにおいて第nの仮想センサーから出力される信号に基づくデジタル信号に変換する。
図4に戻り、変位算出部103は、キャリブレーション部102によって換算されたN個のデジタル信号の各々に基づいて、N個の慣性センサー3の各々の変位を算出する。具体的には、1以上N以下の任意の整数nに対して、変位算出部103は、第nのデジタル信号に含まれる加速度信号を2重積分して第nの慣性センサー3の変位である第nの変位ベクトルを算出する。
方位算出部104は、キャリブレーション部102によって換算されたN個のデジタル信号の各々に基づいて、N個の慣性センサー3の各々の方位を算出する。具体的には、1以上N以下の任意の整数nに対して、方位算出部104は、第nのデジタル信号に含まれる角速度信号を積分して第nの慣性センサー3の方位の差分である第nの方位差分ベクトルを算出し、第nの方位差分ベクトルに基づいて第nの慣性センサー3の方位である第nの方位ベクトルを算出する。例えば、方位算出部104は、時刻tにおける第nの方位ベクトルと時刻t+Δtにおける第nの方位差分ベクトルとを用いて、時刻t+Δtにおける第nの方位ベクトルを算出する。第nの方位ベクトルは、システム座標系における第nの仮想センサーの方位を示す単位ベクトルである。
座標算出部105は、1以上N以下の任意の整数nに対して、変位算出部103が算出した第nの変位ベクトルと、方位算出部104が算出した第nの方位ベクトルとに基づいて、システム座標系における第nの慣性センサー3が配置されている部分の座標を算出する。
相対変位量算出部106は、座標算出部105が算出したN個の慣性センサー3が配置されている部分の座標に基づいて、車両4aの1又は複数の所定の部位の第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出する。例えば、相対変位量算出部106は、時刻tにおける第2の部分の座標と時刻t+Δtにおける第2の部分の座標との差と、時刻tにおける第1の部分の座標と時刻t+Δtにおける第1の部分の座標との差との差分又は比を、第1の部分に対する第2の部分の相対変位量としても算出してもよい。
例えば、車両4aの所定の部位の第1の部分に第1の慣性センサー3が配置され、当該所定の部位の第1の部分とは異なる第2の部分に第2の慣性センサー3が配置されている場合において、処理回路100は、第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を次のように算出する。
まず、センサー信号取得部101が、第1の慣性センサー3から出力される信号に基づく第1の信号と、第2の部分に配置されている第2の慣性センサー3から出力される信号に基づく第2の信号と、を取得する。第1の信号は第1のアナログフロントエンド120から出力されるデジタル信号であり、第2の信号は第2のアナログフロントエンド120から出力されるデジタル信号である。
次に、キャリブレーション部102が、第1の回転行列Rを用いて、第1の信号を第1の仮想センサーから出力される第3の信号に換算し、第2の回転行列Rを用いて、第2の信号を第2の仮想センサーから出力される第4の信号に換算する。第3の信号は第1の信号に基づく信号であり、第4の信号は第2の信号に基づく信号である。変位計測装置1の初期状態において、第1の仮想センサーの位置は第1の慣性センサー3の位置と一致し、かつ、第1の仮想センサーのローカル座量系はシステム座標系と一致する。また、変位計測装置1の初期状態において、第2の仮想センサーの位置は第2の慣性センサー3の位置と一致し、かつ、第2の仮想センサーのローカル座量系はシステム座標系と一致する。
次に、変位算出部103が、第3の信号に基づいて第1の慣性センサー3の変位を算出し、第4の信号に基づいて第2の慣性センサー3の変位を算出する。具体的には、変位算出部103は、第3の信号に含まれる加速度信号を2重積分して第1の慣性センサー3の変位である第1の変位ベクトルを算出する。また、変位算出部103は、第4の信号に含まれる加速度信号を2重積分して第2の慣性センサー3の変位である第2の変位ベクトルを算出する。
次に、方位算出部104が、第3の信号に基づいて第1の慣性センサー3の方位を算出し、第4の信号に基づいて第2の慣性センサー3の方位を算出する。具体的には、方位算出部104は、第3の信号に含まれる角速度信号を積分して第1の慣性センサー3の方位の差分である第1の方位差分ベクトルを算出し、当該方位の差分である第1の方位差分ベクトルに基づいて第1の慣性センサー3の方位である第1の方位ベクトルを算出する。また、方位算出部104は、第4の信号に含まれる角速度信号を積分して第2の慣性センサー3の方位の差分である第2の方位差分ベクトルを算出し、当該方位の差分である第2の方位差分ベクトルに基づいて第2の慣性センサー3の方位である第2の方位ベクトルを算出する。
次に、座標算出部105は、第1の慣性センサー3の変位である第1の変位ベクトルと第1の慣性センサー3の方位である第1の方位ベクトルとに基づいて、所定の部位の第1の部分の座標を算出する。また、座標算出部105は、第2の慣性センサー3の変位である第2の変位ベクトルと第2の慣性センサー3の方位である第2の方位ベクトルとに基づいて、所定の部位の第2の部分の座標を算出する。
最後に、相対変位量算出部106が、第1の部分の座標と、第2の部分の座標と、に基づいて、所定の部位の第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出する。
特に、本実施形態では、センサー信号取得部101は、所定の期間に第1の信号及び第2の信号を取得する。そして、当該所定の期間が終了した後に、キャリブレーション部102が、第1の信号を第3の信号に換算し、第2の信号を第4の信号に換算し、変位算出部103が、第1の慣性センサー3の変位及び第2の慣性センサー3の変位を算出し、方位算出部104が、第1の慣性センサー3の方位及び第2の慣性センサー3の方位を算出し、座標算出部105が第1の部分の座標及び第2の部分の座標を算出し、相対変位量算出部106が第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出する。
走行状況情報生成部107は、相対変位量算出部106が算出した車両4aの各部位の相対変位量に基づいて、車両4aの走行状況に関する情報である走行状況情報を生成してもよい。走行状況情報は、例えば、車両4aの各部位の変形量の分布を示す変形量ヒストグラムや車両4aの各部位の累積疲労度等の情報を含んでもよい。
走行状況情報生成部107は、例えば、車両4aの各部位に対して、複数の慣性センサー3の位置をメッシュの格子点とする弾性体モデルを定義し、メッシュの各格子点の相対変位量を示す変形量ヒストグラムを生成してもよい。各格子点の相対変位量は、例えば、相対変位量算出部106が算出した各部位の相対変位量である。また、走行状況情報生成部107は、各格子点の相対変位量から変位エネルギーを求め、変位エネルギーをk乗した値を積分することで、各部位の累積疲労度を計算してもよい。
記憶回路110は、不図示のROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有している。ROMは、変位計測プログラム111等の各種プログラムやあらかじめ決められたデータを記憶し、RAMは、処理回路100の作業領域として用いられ、ROMから読み出されたプログラムやデータ、操作部130から入力されたデータ、処理回路100が生成したデータ等を記憶する。
本実施形態では、記憶回路110には、変位計測プログラム111、基準座標データ112、回転行列データ113、センサーデータ114、仮想センサーデータ115、変位データ116、方位データ117、座標データ118等が記憶される。
基準座標データ112は、N個の慣性センサー3が配置されている車両4aの部分の初期座標を有するデータである。図6に、基準座標データ112の一例を示す。図6に示すように、基準座標データ112は、1以上N以下の各整数nに対して、第nの慣性センサー3が配置されている車両4aの部分の時刻t=0におけるX座標X(0)、Y座標Y(0)及びZ座標Z(0)を有する。
回転行列データ113は、N個の慣性センサー3のローカル座標系をN個の仮想センサーのローカル座標系に変換するN個の回転行列R~Rを有するデータである。図7に、回転行列データ113の一例を示す。図7に示すように、回転行列データ113は、1以上N以下の各整数nに対して、第nの慣性センサー3のローカル座標系を第nの仮想センサーのローカル座標系に変換する回転行列Rを有する。
センサーデータ114は、センサー信号取得部101によって取得された、N個のアナログフロントエンド120から出力されるN個のデジタル信号の時系列データである。図8に、センサーデータ114の一例を示す。図8に示すように、センサーデータ114は、1以上N以下の各整数nに対して、第nのデジタル信号に含まれる加速度データa’(t)及び角速度データg’(t)の時刻t=0~tendの時系列データを含む。時刻tにおける加速度データa’(t)は、x軸加速度値ax’(t)、y軸加速度値ay’(t)、z軸加速度値az’(t)を有し、時刻tにおける角速度データg’(t)は、x軸角速度値gx’(t)、y軸角速度値gy’(t)及びz軸角速度値gz’(t)を有する。
仮想センサーデータ115は、キャリブレーション部102によって換算されたN個のデジタル信号の時系列データである。図9に、仮想センサーデータ115の一例を示す。図9に示すように、仮想センサーデータ115は、1以上N以下の各整数nに対して、換算された第nのデジタル信号に含まれる加速度データa(t)及び角速度データg(t)の時刻t=0~tendの時系列データを含む。時刻tにおける加速度データa
t)は、x軸加速度値ax(t)、y軸加速度値ay(t)、z軸加速度値az(t)を有し、時刻tにおける角速度データg(t)は、x軸角速度値gx(t)、y軸角速度値gy(t)及びz軸角速度値gz(t)を有する。
変位データ116は、変位算出部103によって算出された、N個の慣性センサー3の変位の時系列データである。図10に、変位データ116の一例を示す。図10に示すように、変位データ116は、1以上N以下の各整数nに対して、第nの慣性センサー3の変位である変位ベクトルd(t)の時刻t=0~tend+Δtの時系列データを含む。時刻tにおける変位ベクトルd(t)は、ximg軸方向の変位dx(t)、yimg軸方向の変位dy(t)、zimg軸方向の変位dz(t)を有する。
方位データ117は、方位算出部104によって算出された、N個の慣性センサー3の方位の時系列データである。図11に、方位データ117の一例を示す。図11に示すように、方位データ117は、1以上N以下の各整数nに対して、第nの慣性センサー3の方位である方位ベクトルr(t)の時刻t=0~tend+Δtの時系列データを含む。時刻tにおける方位ベクトルr(t)は、X軸方向の方位rX(t)、Y軸方向の方位rY(t)、Z軸方向の方位rZ(t)を有する。
座標データ118は、座標算出部105によって算出された、N個の慣性センサー3が配置されている車両4aの部分の座標の時系列データである。図12に、座標データ118の一例を示す。図12に示すように、座標データ118は、1以上N以下の各整数nに対して、第nの慣性センサー3が配置されている車両4aの部分のX座標X(t)、Y座標Y(t)及びZ座標Z(t)の時刻t=0~tend+Δtの時系列データを含む。
操作部130は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号を処理回路100に出力する。
通信部140は、処理回路100と外部装置5との間のデータ通信を成立させるための各種制御を行う。例えば、通信部140は、処理回路100が生成した走行状況情報を外部装置5に送信し、外部装置5は、走行状況情報を受信して表示部に表示してもよい。
なお、処理回路100の少なくとも一部が、専用のハードウエアで実現されてもよい。また、変位計測装置1は、単体の装置であってもよいし、複数の装置によって構成されてもよい。
1-1-3.変位計測の手順
図13は、第1実施形態の変位計測装置1による変位計測の手順を示すフローチャート図である。
図13に示すように、まず、工程S1において、変位計測装置1は、基準座標データ112を取得し、記憶回路110に記憶させる。例えば、変位計測装置1は、所望の計測機器がN個の慣性センサー3の位置を実測して生成した基準座標データ112を取得してもよい。
また、工程S2において、変位計測装置1は、回転行列データ113を取得し、記憶回路110に記憶させる。例えば、変位計測装置1は、所望の計測機器がN個の慣性センサー3の方位を実測して生成した回転行列データ113を取得してもよい。
次に、工程S3において、変位計測装置1は、時刻t=0に設定する。
次に、センサー信号取得工程S4において、センサー信号取得部101が、N個の慣性センサー3から信号を取得し、センサーデータ114の一部として記憶回路110に記憶させる。
時刻tがtend以上になるまで(工程S5のN)、変位計測装置1は、時刻t=t+Δtに設定し(工程S6)、工程S3,S4を繰り返し行う。
そして、時刻tがtend以上になると(工程S5のY)、工程S7において、変位計測装置1は、時刻t=0~tendの期間に取得したN個の慣性センサー3のデータを有するセンサーデータ114を用いてオフライン解析を行う。
図14は、第1実施形態の変位計測装置1による変位計測の他の手順を示すフローチャート図である。図14において、図13と同じ工程には同じ符号が付されている。図13に示す手順では、変位計測装置1は、N個の慣性センサー3のデータを取得する時刻t=0~tendの期間の前に工程S1,S2を行うのに対して、図14に示す手順では、変位計測装置1は、N個の慣性センサー3のデータを取得する時刻t=0~tendの期間の後に工程S1,S2を行う。図14に示す手順の工程S1~S7の各処理は、図13に示す手順の工程S1~S7の各処理と同じであるため、その説明を省略する。
図15は、図13又は図14の工程S7のオフライン解析の手順を示すフローチャート図である。図15に示すように、まず、工程S101において、変位計測装置1は、時刻t=0、番号n=1に設定する。
次に、工程S102において、方位算出部104は、方位ベクトルr(0)を初期化する。例えば、方位算出部104は、方位ベクトルr(0)=(rX(0),rY(0),rZ(0))をX軸方向の単位ベクトル(1,0,0)に初期化し、方位データ117を更新する。
次に、キャリブレーショ工程S103において、キャリブレーション部102は、回転行列Rを用いて、加速度データa’(t)及び角速度データg’(t)を加速度データa(t)及び角速度データg(t)に変換する。
次に、変位算出工程S104において、変位算出部103は、加速度データa(t)を2重積分して変位ベクトルd(t+Δt)を算出する。
次に、方位算出工程S105において、方位算出部104は、角速度データg(t)を積分して方位差分ベクトルΔr(t+Δt)を算出し、方位ベクトルr(t)に方位差分ベクトルΔr(t+Δt)を加算して方位ベクトルr(t+Δt)を算出する。
次に、座標算出工程S106において、座標算出部105は、座標(X(t),Y(t),Z(t))、変位ベクトルd(t+Δt)及び方位ベクトルr(t+Δt)を用いて、座標(X(t+Δt),Y(t+Δt),Z(t+Δt))を算出する。
時刻tがtend以上になるまで(工程S107のN)、変位計測装置1は、時刻t=t+Δtに設定し(工程S108)、工程S103~S106を繰り返し行う。
時刻tがtend以上になると(工程S107のY)、番号nがNでなければ(工程S
109のN)、工程S110において、変位計測装置1は、時刻t=0、番号n=n+1に設定し、工程S102~S108を再び行う。
そして、番号nがNになると(工程S109のY)、相対変位量算出工程S111において、相対変位量算出部106は、座標データ118を用いて車両4aの各部位の第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出する。
最後に、走行状況情報生成工程S112において、走行状況情報生成部107は、車両4aの各部位の相対変位量を用いて走行状況情報を生成する。
1-1-4.作用効果
以上に説明したように、第1実施形態の変位計測装置1は、第1の慣性センサー3から出力される信号に基づいて、第1の慣性センサー3の変位及び方位を算出し、第2の慣性センサー3から出力される信号に基づいて、第2の慣性センサー3の変位及び方位を算出する。そして、第1の慣性センサー3は車両4aの所定の部位の第1の部分に配置され、第2の慣性センサー3は当該所定の部位の第2の部分に配置されている。したがって、第1実施形態の変位計測装置1によれば、第1の慣性センサー3の変位及び方位に基づいて当該所定の部位の第1の部分の座標を算出し、第2の慣性センサー3の変位及び方位に基づいて当該所定の部位の第2の部分の座標を算出することができる。さらに、第1実施形態の変位計測装置1によれば、当該所定の部位の第1の部分の座標だけでなく第2の部分の座標も算出するので、当該所定の部位の位置を精度よく算出することができる。
また、第1実施形態の変位計測装置1によれば、車両4aの所定の部位の第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出することにより、当該所定の部位の変形量を算出することができる。
また、第1実施形態の変位計測装置1によれば、初期状態において各慣性センサー3のローカル座標系を仮想的にシステム座標系と一致させることにより、システム座標系における座標を算出することができる。
また、第1実施形態の変位計測装置1によれば、各慣性センサー3の出力信号を取得する所定の期間が終了した後に座標を算出するので、座標の算出に必要な演算をバッチ処理することができ、計測時の演算負荷を軽減することができる。
1-2.第2実施形態
以下、第2実施形態の変位計測装置1について、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態と重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態と異なる内容について説明する。
第2実施形態の変位計測装置1の構成は、図4と同様であるため、その図示を省略する。
第2実施形態の変位計測装置1は、車両4aの走行中の所定の期間に、第1の信号及び第2の信号を取得し、当該所定の期間が終了する前に、第1の慣性センサーの変位及び第2の慣性センサーの変位を算出し、また、第1の慣性センサーの方位及び第2の慣性センサーの方位を算出し、さらに、車両4aの所定の部位の第1の部分の座標及び第2の部分の座標を算出する。
具体的には、センサー信号取得部101は、所定の期間に第1の信号及び第2の信号を取得する。そして、当該所定の期間が終了する前に、キャリブレーション部102が、第
1の信号を第3の信号に換算し、第2の信号を第4の信号に換算し、変位算出部103が、第1の慣性センサー3の変位及び第2の慣性センサー3の変位を算出し、方位算出部104が、第1の慣性センサー3の方位及び第2の慣性センサー3の方位を算出し、座標算出部105が第1の部分の座標及び第2の部分の座標を算出し、相対変位量算出部106が第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出する。
第2実施形態の変位計測装置1のその他の構成及び機能は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
図16は、第2実施形態の変位計測装置1による変位計測の手順を示すフローチャート図である。
図16に示すように、まず、工程S11において、変位計測装置1は、基準座標データ112を取得し、記憶回路110に記憶させる。例えば、変位計測装置1は、所望の計測機器がN個の慣性センサー3の位置を実測して生成した基準座標データ112を取得してもよい。
また、工程S12において、変位計測装置1は、回転行列データ113を取得し、記憶回路110に記憶させる。例えば、変位計測装置1は、所望の計測機器がN個の慣性センサー3の方位を実測して生成した回転行列データ113を取得してもよい。
次に、工程S13において、変位計測装置1は、時刻t=0に設定する。
次に、工程S14において、方位算出部104は、方位ベクトルr(0)を初期化する。例えば、方位算出部104は、方位ベクトルr(0)=(rX(0),rY(0),rZ(0))をX軸方向の単位ベクトル(1,0,0)に初期化し、方位データ117を更新する。
次に、センサー信号取得工程S15において、センサー信号取得部101が、N個の慣性センサー3から信号を取得し、センサーデータ114の一部として記憶回路110に記憶させる。
次に、工程S16において、変位計測装置1は、工程S15で取得したN個の慣性センサー3のデータを用いてオンライン解析を行う。
時刻tがtend以上になるまで(工程S17のN)、変位計測装置1は、時刻t=t+Δtに設定し(工程S18)、工程S15,S16を繰り返し行う。
図17は、図16の工程S16のオンライン解析の手順を示すフローチャート図である。図17に示すように、まず、工程S201において、変位計測装置1は、番号n=1に設定する。
次に、キャリブレーショ工程S202において、キャリブレーション部102は、回転行列Rを用いて、加速度データa’(t)及び角速度データg’(t)を加速度データa(t)及び角速度データg(t)に変換する。
次に、変位算出工程S203において、変位算出部103は、加速度データa(t)を2重積分して変位ベクトルd(t+Δt)を算出する。
次に、方位算出工程S204において、方位算出部104は、角速度データg(t)
を積分して方位差分ベクトルΔr(t+Δt)を算出し、方位ベクトルr(t)に方位差分ベクトルΔr(t+Δt)を加算して方位ベクトルr(t+Δt)を算出する。
次に、座標算出工程S205において、座標算出部105は、座標(X(t),Y(t),Z(t))、変位ベクトルd(t+Δt)及び方位ベクトルr(t+Δt)を用いて、座標(X(t+Δt),Y(t+Δt),Z(t+Δt))を算出する。
番号nがNでなければ(工程S206のN)、工程S207において、変位計測装置1は、番号n=n+1に設定し、工程S202~S205を再び行う。
そして、番号nがNになると(工程S206のY)、相対変位量算出工程S208において、相対変位量算出部106は、座標データ118を用いて車両4aの各部位の第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出する。
最後に、走行状況情報生成工程S209において、走行状況情報生成部107は、車両4aの各部位の相対変位量を用いて走行状況情報を生成する。
以上に説明した第2実施形態の変位計測装置1によれば、各慣性センサー3の出力信号を取得する所定の期間に、リアルタイムに座標を算出することができる。第2実施形態の変位計測装置1は、その他、第1実施形態の変位計測装置1と同様の効果を奏する。
2.表示方法
以下、本実施形態の表示方法について、上記の各実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付して説明する。
2-1.表示システムの構成
図18は、本実施形態の表示方法を行うための表示システムの構成例を示す図である。図18の例では、表示システム200では、複数の被計測物4である車両4aの各々に、変位計測装置1、複数の慣性センサー3及び撮像部7が搭載されている。また、複数の車両4aの各々に、車両情報収集装置8が搭載されていてもよい。
変位計測装置1は、車両4aの走行中に、複数の慣性センサー3から出力される信号を取得する。そして、変位計測装置1は、取得した信号に基づいて車両4aの各部位の第1の部位の第2の部分の相対変位量を算出し、車両4aの各部位の相対変位量に基づいて各種の指標の値を算出する。また、変位計測装置1は、車両情報収集装置8が車両4aの走行中に収集した車両情報に基づいて指標値を算出してもよい。また、変位計測装置1は、車両4aの走行中に、撮像部7が撮影した映像を取得してもよい。そして、変位計測装置1は、算出した各種の指標値や取得した映像を表示情報生成装置210に送信する。
表示情報生成装置210は、各車両4aに搭載された変位計測装置1から各種の指標値や映像を取得し、少なくとも1つの指標値を示すオブジェクトを含む表示情報を生成する。指標値は車両4aの変位量に基づいて算出されるので、指標値を示すオブジェクトは、車両4aの所定の部位の相対変位量に基づくオブジェクトである。
また、表示情報生成装置210は、当該オブジェクトを、いずれかの車両4aに搭載された変位計測装置1から取得した映像に重ねた表示情報を生成してもよい。そして、表示情報生成装置210は、生成した表示情報を表示装置220に送信する。表示装置220は、表示情報を受信して不図示の表示部に表示する。
なお、各車両4aに搭載される変位計測装置1、複数の慣性センサー3、撮像部7及び車両情報収集装置8のそれぞれの数は特に限定されない。
図19は、表示システム200に含まれる変位計測装置1の構成を示す図である。図19において、図4と同様の構成要素には同じ符号が付されている。図19に示すように、前述の第1実施形態又は第2実施形態と同様、変位計測装置1は、処理回路100、記憶回路110、複数のアナログフロントエンド120、操作部130及び通信部140を含む。なお、変位計測装置1は、図19の構成要素の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
本実施形態では、処理回路100は、記憶回路110に記憶されている変位計測プログラム111を実行することにより、センサー信号取得部101、キャリブレーション部102、変位算出部103、方位算出部104、座標算出部105、相対変位量算出部106、走行状況情報生成部107、映像取得部151、車両情報取得部152及び指標値算出部153として機能する。すなわち、変位計測装置1は、センサー信号取得部101、キャリブレーション部102、変位算出部103、方位算出部104、座標算出部105、相対変位量算出部106、走行状況情報生成部107、映像取得部151、車両情報取得部152及び指標値算出部153を含む。
センサー信号取得部101、キャリブレーション部102、変位算出部103、方位算出部104、座標算出部105、相対変位量算出部106及び走行状況情報生成部107の機能は、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
映像取得部151は、撮像部7から映像を取得する。
車両情報取得部152は、車両情報収集装置8から車両4aの走行速度やエンジンの回転数等の車両情報を取得する。
指標値算出部153は、相対変位量算出部106が算出した車両4aの各部位の相対変位量に基づいて各種の指標の値を算出する。また、指標値算出部153は、車両情報取得部152が取得した車両情報に基づいて指標値を算出してもよい。
記憶回路110、複数のアナログフロントエンド120、操作部130及び通信部140の機能は、前述の第1実施形態又は第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。特に、本実施形態では、通信部140は、指標値算出部153が生成した各種の指標値を表示情報生成装置210に送信する。
なお、処理回路100の少なくとも一部が、専用のハードウエアで実現されてもよい。また、変位計測装置1は、単体の装置であってもよいし、複数の装置によって構成されてもよい。
2-2.表示方法の手順
図20は、本実施形態の表示方法の手順を示すフローチャート図である。
図20に示すように、まず、工程S21において、各車両4aに搭載された変位計測装置1が、基準座標データ112を取得し、記憶回路110に記憶させる。例えば、変位計測装置1は、所望の計測機器がN個の慣性センサー3の位置を実測して生成した基準座標データ112を取得してもよい。
また、工程S22において、各車両4aに搭載された変位計測装置1が、回転行列データ113を取得し、記憶回路110に記憶させる。例えば、変位計測装置1は、所望の計測機器がN個の慣性センサー3の方位を実測して生成した回転行列データ113を取得してもよい。
次に、工程S23において、各車両4aに搭載された変位計測装置1が、時刻t=0に設定する。
次に、工程S24において、各車両4aに搭載された変位計測装置1の方位算出部104が、方位ベクトルr(0)を初期化する。例えば、方位算出部104は、方位ベクトルr(0)=(rX(0),rY(0),rZ(0))をX軸方向の単位ベクトル(1,0,0)に初期化し、方位データ117を更新する。
次に、センサー信号取得工程S25において、各車両4aに搭載された変位計測装置1のセンサー信号取得部101が、N個の慣性センサー3から信号を取得し、センサーデータ114の一部として記憶回路110に記憶させる。
次に、工程S26において、各車両4aに搭載された変位計測装置1の変位計測装置1が、工程S25で取得したN個の慣性センサー3のデータを用いてオンライン解析を行う。オンライン解析の手順は、図17と同様である。
次に、映像取得工程S27において、各車両4aに搭載された変位計測装置1の映像取得部151が、撮像部7が撮影した映像を取得する。
次に、車両情報取得工程S28において、各車両4aに搭載された変位計測装置1の車両情報取得部152が、車両情報収集装置8が収集した車両情報を取得する。
次に、指標値算出工程S29において、各車両4aに搭載された変位計測装置1の指標値算出部153が、工程S26において相対変位量算出部106が算出した各部位の相対変位量及び工程S28において車両情報取得部152が収集した車両情報に基づいて、各種の指標の値を算出する。
次に、表示情報生成工程S30において、表示情報生成装置210が、各車両4aに搭載された変位計測装置1から各種の指標値及び映像を取得し、各指標値を示すオブジェクトを含む表示情報や各指標値を示すオブジェクトを映像に重ねた表示情報を生成し、生成した表示情報を表示装置220に送信する。
次に、表示工程S31において、表示装置220が表示情報を受信して表示部に表示する。
時刻tがtend以上になるまで(工程S32のN)、各車両4aに搭載された変位計測装置1は、時刻t=t+Δtに設定し(工程S33)、工程S25~S29を繰り返し行い、表示情報生成装置210は工程S30を繰り返し行い、表示装置220は工程S31を繰り返し行う。
図21は、図20の表示情報生成工程S180の手順を示すフローチャート図である。図21に示すように、まず、工程S301において、表示情報生成装置210は、各車両4aに搭載された変位計測装置1から各種の指標値及び映像を取得する。
次に、工程S302において、表示情報生成装置210は、工程S301で取得した少
なくとも1つの指標値を示すオブジェクトを含む表示情報を生成する。工程S302において、対象となる指標値は、表示情報生成装置210の不図示の操作部から入力される信号に基づいて選択されてもよいし、表示装置220からの選択信号に基づいて選択されてもよい。
また、工程S303において、表示情報生成装置210は、工程S301で取得した少なくとも1つの指標値と工程S301で取得したいずれかの映像を同期させ、当該指標値を当該映像に重ねた表示情報を生成する。例えば、指標値は車両4aの変位量に基づいて算出されるので、工程S303は、車両4aの変位量と映像とを同期させる同期工程である。工程S303において、対象となる指標値及び映像は、表示情報生成装置210の不図示の操作部から入力される信号に基づいて選択されてもよいし、表示装置220からの選択信号に基づいて選択されてもよい。
最後に、工程S304において、表示情報生成装置210は、工程S302,S303で生成した表示情報を表示装置220に送信する。
2-3.具体例
以下に示すように、本実施形態の表示方法としては、例えば、複数の車両4aによるレースにおいて視聴者やピットのクルーに各種の情報を表示する表示方法が挙げられる。
図22は、車両4aに搭載される変位計測装置1、複数の慣性センサー3、撮像部7及び車両情報収集装置8の配置例を示す図である。
図22の例では、被計測物4である車両4aは、レーシングカーであり、変位計測装置1、複数の慣性センサー3、撮像部7及び車両情報収集装置8が車両4aに搭載されている。複数の慣性センサー3の配置は図1と同じであるため、その説明を省略する。
撮像部7は、オンボードカメラであり、例えば、エンジンカバーECの右側面に設置され、車両4aの前方を撮影する。したがって、車両4aの走行中は、撮像部7は、車両4aの前方のコースの映像を生成する。なお、撮像部7は、車両4aの前方及び後方を撮影してもよい。撮像部7は、撮影して生成した映像を変位計測装置1に送信する。
車両情報収集装置8は、走行中の車両4aの速度やエンジン回転数等の各種の情報である車両情報を収集し、変位計測装置1に送信する。
変位計測装置1は、複数の慣性センサー3の各々から出力される信号を取得し、取得した信号に基づいて、前述の変位計測方法により、複数の慣性センサー3の各々が配置された車両4aの部位の相対変位量を算出する。すなわち、変位計測装置1は、フロントウィングFW、リアウィングRW、フロントサスペンションFS及びリアサスペンションRSの各部位の相対変位量を算出する。
そして、変位計測装置1は、車両4aの各部位の相対変位量に基づいて、各種の指標の値を算出し、時刻情報を付して各種の指標値を表示情報生成装置210に送信する。例えば、変位計測装置1の指標値算出部153は、フロントウィングFW及びリアウィングRWの相対変位量から推定されるダウンフォースに基づいて、指標値として車両4aの重心の変位量を算出することができる。また、指標値算出部153は、フロントサスペンションFS及びリアサスペンションRSの相対変位量の時系列から、指標値として、右フロントタイヤRFT、左フロントタイヤLFT、右リアタイヤRRT及び左リアタイヤLRTの摩耗状況を算出することができる。
指標値算出部153は、タイヤの摩耗状況をより正確に算出するために、車両4aの各部位の相対変位量とともに、他の情報を用いてもよい。例えば、指標値算出部153は、タイヤの摩耗状況をより正確に算出するために、車両4aの各部位の相対変位量と、各タイヤの温度、各タイヤの内圧、路面温度、各タイヤのスリップ回数、ブレーキロック回数、及び各タイヤを装着している間の車両4aの移動距離のうち少なくとも何れかと、に基づいて、タイヤの摩耗状況を算出してもよい。
例えば、各タイヤの内側のカーカスに搭載されている赤外線温度センサーが各タイヤの温度を検出し、各タイヤの温度を車両情報収集装置8に送信する。また、各タイヤの内側のカーカスに搭載されている空気圧センサーが各タイヤの内圧を検出し、各タイヤの内圧を車両情報収集装置8に送信する。また、車両4aのフロアパネルの下面等に搭載されている赤外線温度センサーが路面温度を検出し、路面温度を車両情報収集装置8に送信する。指標値算出部153は、車両情報収集装置8から各タイヤの温度、各タイヤの内圧及び路面温度を取得する。
スリップ率=(車体速度-車輪速度)/車体速度×100(%)であり、タイヤロックは、スリップ率が100%、すなわち、車輪速が0の状態で発生し、このとき操舵性に寄与するコーナリングフォースはほぼ0である。各リアタイヤがロックした場合は車両4aが不安定なり、各フロントタイヤがロックした場合には操舵が効かなくなる。タイヤの横滑り、すなわち、横方向スリップは、車両4aが進行方向に動いている時に横方向にスライドする状態である。各サスペンションに搭載された慣性センサー3aが横方向の加速度を検出し、指標値算出部153は、各慣性センサー3aが検出した横方向の加速度に基づいて、各タイヤのスリップを検出することができる。
また、車輪速センサーがブレーキローターの回転速度を計測し、ブレーキローターの回転速度を車両情報収集装置8に送信する。車輪速センサーは、各タイヤとともに回転するブレーキローターの磁界の変化を検出する非接触型センサーである。指標値算出部153は、車両情報収集装置8から取得したブレーキローターの回転速度に基づいて、ブレーキロックを検出することができる。
変位計測装置1は、車両情報収集装置8から車両情報を取得し、取得した車両情報に基づいて各種の指標の値を算出し、時刻情報を付して各種の指標値を表示情報生成装置210に送信してもよい。例えば、変位計測装置1の指標値算出部153は、車両情報に含まれるエンジンの回転数等の情報から、指標値として、車両4aのエンジンモードの情報を算出することができる。エンジンモードは、例えば、クルージングモード、ローパワーモード、エコモード、ハイパワーモード、オーバーレブモードの5つのモードのいずれかであってもよい。
また、変位計測装置1は、撮像部7から映像を取得し、時刻情報を付して映像を表示情報生成装置210に送信してもよい。例えば、映像は、車両4aが走行するコースを含む映像であってもよい。
表示情報生成装置210は、各車両4aに搭載された変位計測装置1から各種の指標値を取得し、車両4aの所定の部位の相対変位量に基づくオブジェクトや車両情報に基づくオブジェクトとしての各種の指標値を示すオブジェクトを含む表示情報を生成する。
表示情報は、車両4aのフロントウィングFW及びリアウィングRWの相対変位量に基づくオブジェクトとして、指標値である車両4aの重心の変位量を示すオブジェクトを含んでもよい。
また、表示情報は、車両4aのフロントサスペンションFS及びリアサスペンションRSの相対変位量に基づくオブジェクトとして、指標値である車両4aの4つのタイヤの摩耗状況を示すオブジェクトを含んでもよい。
また、表示情報は、車両4aの車両情報に基づくオブジェクトとして、指標値であるエンジンモードを示すオブジェクトを含んでもよい。
また、表示情報生成装置210は、各車両4aに搭載された変位計測装置1から映像を取得し、時刻情報に基づいて、いずれかの指標値といずれかの映像とを同期させ、各指標値を示すオブジェクトを当該映像に重ねた表示情報を生成してもよい。例えば、映像は、車両4aが走行するコースを含む映像であってもよい。図23は、指標値に映像を重ねた表示情報の一例を示す図である。図23に示す表示情報では、車両4aが走行するコースを含む映像VDに2つの車両4aの重心の変位量を示すオブジェクトOB1,OB2が重なっている。映像VDは、左車線を走行する車両4aに搭載された撮像部7が撮影した映像である。
また、表示情報は、車両4aの所定の部位の相対変位量に基づくオブジェクトとして、車両4aの変位量に基づく複数の指標値を有するレーダーチャートを含んでもよい。図24は、レーダーチャートを含む表示情報の一例を示す図である。図24に示す表示情報では、レーダーチャートのオブジェクトOB3は、車両4aの変位量に基づく指標値として、車両4aの重心の変位量、右フロントタイヤRFTの摩耗状況、左フロントタイヤLFTの摩耗状況、右リアタイヤRRTの摩耗状況及び左リアタイヤLRTの摩耗状況を有する。また、オブジェクトOB3は、車両情報に基づく指標値として、車両4aのエンジンモードを有している。
また、表示情報は、各車両4aのドライバーを示すオブジェクトと、当該車両4aに関するレーダーチャートのオブジェクトと、を含んでもよい。図25は、ドライバーを示すオブジェクトとレーダーチャートのオブジェクトとを含む表示情報の一例を示す図である。図25に示す表示情報は、車両4aのドライバーを示すオブジェクトOB4と、その右側に配置された当該車両4aに関するレーダーチャートのオブジェクトOB7とを含む。また、当該表示情報は、他の車両4aのドライバーを示すオブジェクトOB5と、その右側に配置された当該車両4aに関するレーダーチャートのオブジェクトOB8とを含む。また、当該表示情報は、他の車両4aのドライバーを示すオブジェクトOB6と、その右側に配置された当該車両4aに関するレーダーチャートのオブジェクトOB9とを含む。例えば、図26に示すように、図25に示す表示情報において、6つの指標値を有するレーダーチャートのオブジェクトOB7,OB8,OB9を、6つの指標値を示すレベルメーターのオブジェクトOB10,OB11,OB12に置き換えてもよい。
表示情報生成装置210は、生成した表示情報を表示装置220に送信し、表示装置220は、表示情報を不図示の表示部に表示する。表示装置220は、例えば、レースの放送業者のパーソナルコンピューターであってもよいし、各車両4aのチームのピットに設置されたパーソナルコンピューターであってもよい。また、表示装置220は、レースの放送を受信する機器であってもよいし、ピットに設置されたスクリーンであってもよい。表示装置220の表示部には、例えば、図23~図26の表示情報が表示される。視聴者やピットクルーは、図23の表示情報によって、例えば、各車両4aの性能や各ドライバーの技量を把握しながらレースの観戦や分析を行うことができる。また、視聴者やピットクルーは、図24の表示情報によって、例えば、車両4aの安定度や性能を把握し、あるいは、ピットインの時期を予想しながら、レースの観戦や分析を行うことができる。また、視聴者やピットクルーは、図25又は図26の表示情報によって、例えば、各車両4aの性能や各ドライバーの技量を比較してレース展開を予想しながら、レースの観戦や分析
を行うことができる。
なお、表示情報生成装置210は表示装置220と兼用されてもよい。例えば、各車両4aのチームのピットに設置されたパーソナルコンピューターが、表示情報生成装置210及び表示装置220として兼用されてもよい。
また、車両4aがレーシングカーである例を挙げたが、車両4aの種類は特に限定されない。例えば、車両4aは乗用車やバイク等の車両であってもよい。また、被計測物4が車両4aである例を挙げたが、被計測物4は車両4a以外の移動体、例えば、航空機や船舶等であってもよいし、橋梁やビル等の静止構造物であってもよい。
以上に説明した本実施形態の表示方法では、変位計測装置1が、第1の慣性センサー3から出力される信号に基づいて、第1の慣性センサー3の変位及び方位を算出し、第2の慣性センサー3から出力される信号に基づいて、第2の慣性センサー3の変位及び方位を算出する。そして、第1の慣性センサー3は車両4aの所定の部位の第1の部分に配置され、第2の慣性センサー3は当該所定の部位の第2の部分に配置されている。したがって、この表示方法によれば、変位計測装置1が、第1の慣性センサー3の変位及び方位に基づいて当該所定の部位の第1の部分の座標を算出し、第2の慣性センサー3の変位及び方位に基づいて当該所定の部位の第2の部分の座標を算出することができる。さらに、この表示方法によれば、変位計測装置1が、当該所定の部位の第1の部分の座標だけでなく第2の部分の座標も算出するので、当該所定の部位の位置を精度よく算出することができる。また、この表示方法によれば、変位計測装置1が、車両4a所定の部位の第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出することにより、当該所定の部位の変形量を算出することができる。そして、この表示方法では、表示情報生成装置210が、車両4aの各部位の相対変位量に基づくオブジェクトを含む表示情報を生成し、表示装置220が表示情報を表示するので、視聴者は走行中の車両4aの状態を視覚的に把握することができる。
また、本実施形態の表示方法では、表示情報生成装置210が、車両4aの各部位の相対変位量と車両4aが走行するコースを含む映像とを同期させて、当該映像に車両4aの各部位の相対変位量に基づくオブジェクトを重ねて表示する表示情報を生成し、表示装置220が表示情報を表示するので、視聴者は、走行中の車両4aの映像とともに車両4aの状態を視覚的に把握することができる。
また、本実施形態の表示方法によれば、視聴者は、例えば、車両4aの性能やドライバーの技量を視覚的に把握することができる。
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
変位計測装置の一態様は、
被計測物の所定の部位の第1の部分に配置されている第1の慣性センサーから出力される信号に基づく第1の信号と、前記所定の部位の前記第1の部分とは異なる第2の部分に配置されている第2の慣性センサーから出力される信号に基づく第2の信号と、を取得するセンサー信号取得部と、
前記第1の信号に基づく第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの変位を算出し、前記第2の信号に基づく第4の信号に基づいて前記第2の慣性センサーの変位を算出する変位算出部と、
前記第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの方位を算出し、前記第4の信号に基づいて前記第2の慣性センサーの方位を算出する方位算出部と、
前記第1の慣性センサーの前記変位と前記第1の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第1の部分の座標を算出し、前記第2の慣性センサーの前記変位と前記第2の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第2の部分の座標を算出する座標算出部と、
を含む。
この変位計測装置は、第1の慣性センサーから出力される信号に基づいて、第1の慣性センサーの変位及び方位を算出し、第2の慣性センサーから出力される信号に基づいて、第2の慣性センサーの変位及び方位を算出する。そして、第1の慣性センサーは被計測物の所定の部位の第1の部分に配置され、第2の慣性センサーは当該所定の部位の第2の部分に配置されている。したがって、この変位計測装置によれば、第1の慣性センサーの変位及び方位に基づいて当該所定の部位の第1の部分の座標を算出し、第2の慣性センサーの変位及び方位に基づいて当該所定の部位の第2の部分の座標を算出することができる。さらに、この変位計測装置によれば、当該所定の部位の第1の部分の座標だけでなく第2の部分の座標も算出するので、当該所定の部位の位置を精度よく算出することができる。
前記変位計測装置の一態様は、
前記第1の部分の前記座標と、前記第2の部分の前記座標と、に基づいて、前記第1の部分に対する前記第2の部分の相対変位量を算出する相対変位量算出部を含んでもよい。
この変位計測装置によれば、被計測物の所定の部位の第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出することにより、当該所定の部位の変形量を算出することができる。
前記変位計測装置の一態様において、
第1の回転行列を用いて、前記第1の信号を第1の仮想センサーから出力される前記第3の信号に換算し、第2の回転行列を用いて、前記第2の信号を第2の仮想センサーから出力される前記第4の信号に換算するキャリブレーション部を含み、
初期状態において、
前記第1の仮想センサーの位置は前記第1の慣性センサーの位置と一致し、かつ、前記第1の仮想センサーのローカル座量系はシステム座標系と一致し、
前記第2の仮想センサーの位置は前記第2の慣性センサーの位置と一致し、かつ、前記第2の仮想センサーのローカル座量系は前記システム座標系と一致し、
前記変位算出部は、
前記第3の信号に含まれる加速度信号を2重積分して前記第1の慣性センサーの前記変位を算出し、
前記第4の信号に含まれる加速度信号を2重積分して前記第2の慣性センサーの前記変位を算出し、
前記方位算出部は、
前記第3の信号に含まれる角速度信号を積分して前記第1の慣性センサーの方位の差分
を算出し、当該方位の差分に基づいて前記第1の慣性センサーの前記方位を算出し、
前記第4の信号に含まれる角速度信号を積分して前記第2の慣性センサーの方位の差分を算出し、当該方位の差分に基づいて前記第2の慣性センサーの前記方位を算出してもよい。
この変位計測装置によれば、初期状態において各慣性センサーのローカル座標系を仮想的にシステム座標系と一致させることにより、システム座標系における座標を算出することができる。
前記変位計測装置の一態様において、
前記センサー信号取得部は、
所定の期間に前記第1の信号及び前記第2の信号を取得し、
前記所定の期間が終了した後に、
前記変位算出部が、前記第1の慣性センサーの前記変位及び前記第2の慣性センサーの前記変位を算出し、
前記方位算出部が、前記第1の慣性センサーの前記方位及び前記第2の慣性センサーの前記方位を算出し、
前記座標算出部が前記第1の部分の前記座標及び前記第2の部分の前記座標を算出してもよい。
この変位計測装置によれば、座標の算出に必要な演算をバッチ処理することができ、計測時の演算負荷を軽減することができる。
前記変位計測装置の一態様において、
前記センサー信号取得部は、
所定の期間に前記第1の信号及び前記第2の信号を取得し、
前記所定の期間が終了する前に、
前記変位算出部が、前記第1の慣性センサーの前記変位及び前記第2の慣性センサーの前記変位を算出し、
前記方位算出部が、前記第1の慣性センサーの前記方位及び前記第2の慣性センサーの前記方位を算出し、
前記座標算出部が前記第1の部分の前記座標及び前記第2の部分の前記座標を算出してもよい。
この変位計測装置によれば、リアルタイムに座標を算出することができる。
表示方法の一態様は、
被計測物の所定の部位の第1の部分に配置されている第1の慣性センサーから出力される信号に基づく第1の信号と、前記所定の部位の前記第1の部分とは異なる第2の部分に配置されている第2の慣性センサーから出力される信号に基づく第2の信号と、を取得するセンサー信号取得工程と、
前記第1の信号に基づく第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの変位を算出し、前記第2の信号に基づく第4の信号に基づいて前記第2の慣性センサーの変位を算出する変位算出工程と、
前記第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの方位を算出し、前記第4の信号に基づいて前記第2の慣性センサーの方位を算出する方位算出工程と、
前記第1の慣性センサーの前記変位と前記第1の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第1の部分の座標を算出し、前記第2の慣性センサーの前記変位と前記第2の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第2の部分の座標を算出する座標算出工程と、
前記第1の部分の前記座標と、前記第2の部分の前記座標と、に基づいて、前記第1の
部分に対する前記第2の部分の相対変位量を算出する相対変位量算出工程と、
前記相対変位量に基づくオブジェクトを表示する表示工程と、
を含む。
この表示方法では、第1の慣性センサーから出力される信号に基づいて、第1の慣性センサーの変位及び方位を算出し、第2の慣性センサーから出力される信号に基づいて、第2の慣性センサーの変位及び方位を算出する。そして、第1の慣性センサーは被計測物の所定の部位の第1の部分に配置され、第2の慣性センサーは当該所定の部位の第2の部分に配置されている。したがって、この表示方法によれば、第1の慣性センサーの変位及び方位に基づいて当該所定の部位の第1の部分の座標を算出し、第2の慣性センサーの変位及び方位に基づいて当該所定の部位の第2の部分の座標を算出することができる。さらに、この表示方法によれば、当該所定の部位の第1の部分の座標だけでなく第2の部分の座標も算出するので、当該所定の部位の位置を精度よく算出することができる。また、この表示方法によれば、被計測物の所定の部位の第1の部分に対する第2の部分の相対変位量を算出することにより、当該所定の部位の変形量を算出することができる。そして、この表示方法では、被計測物の所定の部位の相対変位量に基づくオブジェクトを表示するので、視聴者は被計測物の状態を視覚的に把握することができる。
前記表示方法の一態様は、
前記被計測物に搭載されている第2の撮像部が撮影した前記被計測物が走行するコースを含む映像を取得する映像取得工程と、
前記相対変位量と前記映像とを同期させる同期工程と、
を含み、
前記表示工程において、
前記映像に前記オブジェクトを重ねて表示してもよい。
この表示方法によれば、視聴者は、走行中の被計測物の映像とともに被計測物の状態を視覚的に把握することができる。
前記表示方法の一態様において、
前記オブジェクトは、前記被計測物の重心の変位量の情報を含んでもよい。
前記表示方法の一態様において、
前記相対変位量は、前記被計測物のサスペンションの変位量を含んでもよい。
前記表示方法の一態様において、
前記相対変位量は、前記被計測物のフロントウィングの変位量を含んでもよい。
前記表示方法の一態様において、
前記相対変位量は、前記被計測物のリアウィングの変位量を含んでもよい。
前記表示方法の一態様において、
前記オブジェクトは、前記被計測物のタイヤの摩耗の情報を含んでもよい。
前記表示方法の一態様において、
前記オブジェクトは、前記相対変位量に基づく複数の指標値を有するレーダーチャートを含んでもよい。
これらの表示方法によれば、視聴者は、例えば、被計測物の性能等を視覚的に把握することができる。
1…変位計測装置、3,3a~3x…慣性センサー、4…被計測物、4a…車両、5…外部装置、7…撮像部、8…車両情報収集装置、100…処理回路、101…センサー信号取得部、102…キャリブレーション部、103…変位算出部、104…方位算出部、105…座標算出部、106…相対変位量算出部、107…走行状況情報生成部、110…記憶回路、111…変位計測プログラム、112…基準座標データ、113…回転行列データ、114…センサーデータ、115…仮想センサーデータ、116…変位データ、117…方位データ、118…座標データ、120…アナログフロントエンド、130…操作部、140…通信部、151…映像取得部、152…車両情報取得部、153…指標値算出部、200…表示システム、210…表示情報生成装置、220…表示装置

Claims (13)

  1. 被計測物の所定の部位の第1の部分に配置されている第1の慣性センサーから出力される信号に基づく第1の信号と、前記所定の部位の前記第1の部分とは異なる第2の部分に配置されている第2の慣性センサーから出力される信号に基づく第2の信号と、を取得するセンサー信号取得部と、
    前記第1の信号に基づく第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの変位を算出し、前記第2の信号に基づく第4の信号に基づいて前記第2の慣性センサーの変位を算出する変位算出部と、
    前記第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの方位を算出し、前記第4の信号に基づいて前記第2の慣性センサーの方位を算出する方位算出部と、
    前記第1の慣性センサーの前記変位と前記第1の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第1の部分の座標を算出し、前記第2の慣性センサーの前記変位と前記第2の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第2の部分の座標を算出する座標算出部と、
    を含む、変位計測装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1の部分の前記座標と、前記第2の部分の前記座標と、に基づいて、前記第1の部分に対する前記第2の部分の相対変位量を算出する相対変位量算出部を含む、変位計測装置。
  3. 請求項1又は2において、
    第1の回転行列を用いて、前記第1の信号を第1の仮想センサーから出力される前記第3の信号に換算し、第2の回転行列を用いて、前記第2の信号を第2の仮想センサーから出力される前記第4の信号に換算するキャリブレーション部を含み、
    初期状態において、
    前記第1の仮想センサーの位置は前記第1の慣性センサーの位置と一致し、かつ、前記第1の仮想センサーのローカル座量系はシステム座標系と一致し、
    前記第2の仮想センサーの位置は前記第2の慣性センサーの位置と一致し、かつ、前記第2の仮想センサーのローカル座量系は前記システム座標系と一致し、
    前記変位算出部は、
    前記第3の信号に含まれる加速度信号を2重積分して前記第1の慣性センサーの前記変位を算出し、
    前記第4の信号に含まれる加速度信号を2重積分して前記第2の慣性センサーの前記変位を算出し、
    前記方位算出部は、
    前記第3の信号に含まれる角速度信号を積分して前記第1の慣性センサーの方位の差分を算出し、当該方位の差分に基づいて前記第1の慣性センサーの前記方位を算出し、
    前記第4の信号に含まれる角速度信号を積分して前記第2の慣性センサーの方位の差分を算出し、当該方位の差分に基づいて前記第2の慣性センサーの前記方位を算出する、変位計測装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記センサー信号取得部は、
    所定の期間に前記第1の信号及び前記第2の信号を取得し、
    前記所定の期間が終了した後に、
    前記変位算出部が、前記第1の慣性センサーの前記変位及び前記第2の慣性センサーの前記変位を算出し、
    前記方位算出部が、前記第1の慣性センサーの前記方位及び前記第2の慣性センサーの前記方位を算出し、
    前記座標算出部が前記第1の部分の前記座標及び前記第2の部分の前記座標を算出する、変位計測装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記センサー信号取得部は、
    所定の期間に前記第1の信号及び前記第2の信号を取得し、
    前記所定の期間が終了する前に、
    前記変位算出部が、前記第1の慣性センサーの前記変位及び前記第2の慣性センサーの前記変位を算出し、
    前記方位算出部が、前記第1の慣性センサーの前記方位及び前記第2の慣性センサーの前記方位を算出し、
    前記座標算出部が前記第1の部分の前記座標及び前記第2の部分の前記座標を算出する、変位計測装置。
  6. 被計測物の所定の部位の第1の部分に配置されている第1の慣性センサーから出力される信号に基づく第1の信号と、前記所定の部位の前記第1の部分とは異なる第2の部分に配置されている第2の慣性センサーから出力される信号に基づく第2の信号と、を取得するセンサー信号取得工程と、
    前記第1の信号に基づく第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの変位を算出し、前記第2の信号に基づく第4の信号に基づいて前記第2の慣性センサーの変位を算出する変位算出工程と、
    前記第3の信号に基づいて前記第1の慣性センサーの方位を算出し、前記第4の信号に基づいて前記第2の慣性センサーの方位を算出する方位算出工程と、
    前記第1の慣性センサーの前記変位と前記第1の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第1の部分の座標を算出し、前記第2の慣性センサーの前記変位と前記第2の慣性センサーの前記方位とに基づいて、前記第2の部分の座標を算出する座標算出工程と、
    前記第1の部分の前記座標と、前記第2の部分の前記座標と、に基づいて、前記第1の部分に対する前記第2の部分の相対変位量を算出する相対変位量算出工程と、
    前記相対変位量に基づくオブジェクトを表示する表示工程と、
    を含む、表示方法。
  7. 請求項6において、
    前記被計測物に搭載されている第2の撮像部が撮影した前記被計測物が走行するコースを含む映像を取得する映像取得工程と、
    前記相対変位量と前記映像とを同期させる同期工程と、
    を含み、
    前記表示工程において、
    前記映像に前記オブジェクトを重ねて表示する、表示方法。
  8. 請求項6又は7において、
    前記オブジェクトは、前記被計測物の重心の変位量の情報を含む、表示方法。
  9. 請求項6乃至8のいずれか一項において、
    前記相対変位量は、前記被計測物のサスペンションの変位量を含む、表示方法。
  10. 請求項6乃至9のいずれか一項において、
    前記相対変位量は、前記被計測物のフロントウィングの変位量を含む、表示方法。
  11. 請求項6乃至10のいずれか一項において、
    前記相対変位量は、前記被計測物のリアウィングの変位量を含む、表示方法。
  12. 請求項6乃至11のいずれか一項において、
    前記オブジェクトは、前記被計測物のタイヤの摩耗の情報を含む、表示方法。
  13. 請求項6乃至12のいずれか一項において、
    前記オブジェクトは、前記相対変位量に基づく複数の指標値を有するレーダーチャートを含む、表示方法。
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