JP2024078902A - 推定装置、蓄電装置、推定方法及び推定プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、推定装置、蓄電装置、推定方法及び推定プログラムに関する。
リチウムイオン二次電池等の蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の車両用の電源として用いられている。
蓄電素子は、充放電を繰り返すことで内部抵抗が増加することが知られている。使用開始後のある時点におけるリチウムイオン電池の内部抵抗は、主に、正極電荷抵抗成分、負極電荷抵抗成分、オーム性抵抗成分(電解液抵抗成分)及び輸送拡散抵抗成分に分類できる。内部抵抗成分毎の内部抵抗値を推定することに対するニーズがある。
特許文献1に開示される電池の診断方法は、交流インピーダンス法を用いて事前に電解液抵抗成分及び負極電荷抵抗成分が現れる時間を決定し、さらに、電圧の上昇が曲線状から直線状に変化する変化点を特定する。診断方法は、定電流充放電時の電池の電圧を計測して、電圧上昇分を、電解液抵抗成分及び負極電荷抵抗成分と、正極電荷抵抗成分と、輸送拡散抵抗成分とに分離する。
特許文献1に記載の診断方法は、事前に交流インピーダンス法を行う必要があり、内部抵抗成分毎の内部抵抗値を容易に推定するという観点において改善の余地がある。
本開示の目的は、内部抵抗成分毎の内部抵抗値を容易に推定する技術を提供することである。
本開示の一態様に係る推定装置は、蓄電素子を一方向の定電流で通電した際の前記蓄電素子の電圧の時系列データを取得する取得部と、取得した前記蓄電素子の電圧の時系列データと、一方向の定電流通電により予め求められた、複数種の内部抵抗成分の発現期間とに基づき、内部抵抗成分毎の内部抵抗値を推定する推定部とを備える。
本開示によれば、内部抵抗成分毎の内部抵抗値を容易に推定することができる。
(1)本開示の一態様に係る推定装置は、蓄電素子を一方向の定電流で通電した際の前記蓄電素子の電圧の時系列データを取得する取得部と、取得した前記蓄電素子の電圧の時系列データと、一方向の定電流通電により予め求められた、複数種の内部抵抗成分の発現期間とに基づき、内部抵抗成分毎の内部抵抗値を推定する推定部とを備える。
ここで「一方向」とは、蓄電素子の放電方向であってもよいが、それに限定はされず、蓄電素子の充電方向であってもよい。
本明細書において、「定電流」は、リップルノイズ等の影響によりある程度の変動を含む電流であってもよい。
ここで「一方向」とは、蓄電素子の放電方向であってもよいが、それに限定はされず、蓄電素子の充電方向であってもよい。
本明細書において、「定電流」は、リップルノイズ等の影響によりある程度の変動を含む電流であってもよい。
上記(1)に記載の推定装置によれば、推定対象の蓄電素子について、既知の内部抵抗成分の発現期間に基づいて、容易に内部抵抗成分毎の内部抵抗値を推定できる。内部抵抗の推定は、例えば、蓄電素子を定電流で放電した際の蓄電素子の電圧挙動を用いて行われる。そのため、例えば車載蓄電素子に関し、通常の使用環境下で内部抵抗を推定できる。内部抵抗の推定のために交流電流を使用しないため、推定が容易となる。推定装置は、内部抵抗成分毎の内部抵抗値に加え、蓄電素子の電力供給性能(SOF:State Of Function)を推定してもよい。つまり、内部抵抗成分毎の内部抵抗値に基づいて、SOFや、内部抵抗成分毎の蓄電容量の劣化量など、その他の状態やパラメータが推定されてもよい。
推定には、既知の内部抵抗成分の発現期間の境界点を用いることができる。境界点は、例えば、車両等の移動体や定置用蓄電池設備に搭載される前の蓄電素子の定電流放電試験により予め求められる。一般的に、交流インピーダンス測定装置の出力電流は5アンペア(A)程度以下に限られる。これに対し、蓄電素子からの定電流放電(直流)であれば数100Aまでの高出力が可能である。そのため、交流インピーダンス法を用いた場合に比べて、幅広い電流範囲の境界点を求めることができる。交流の場合には、電流が正弦波状に時々刻々と変化するため、電流の振幅が数100Aのように大きくなると、電圧の変化する境界点の位置が一意に定まりにくい。直流の場合には、電流が正弦波状でなく一定であるため、境界点の位置が一意に定まり易く、内部抵抗を精度よく各抵抗成分に分離できる。
正極の材料にリン酸鉄リチウムを含むと共に負極の材料にグラファイトを含むLFP-Gr系のリチウムイオン電池は、定電流通電時に、複数種の内部抵抗成分の発現するタイミングが時間的に離れる傾向がある。特に、LFP-Gr系のリチウムイオン電池と同様な傾向を持つ蓄電素子に対し、境界点の特定が容易であり、本推定手法を好適に使用できる。
(2)上記(1)に記載の推定装置において、前記推定部は、前記蓄電素子の定電流通電により得られる内部抵抗-時間特性に基づき求められる内部抵抗成分の発現期間の境界点を用いて、前記内部抵抗成分毎の内部抵抗値を推定してもよい。
上記(2)に記載の推定装置によれば、内部抵抗-時間特性の変化に基づいて、境界点を容易且つ精度よく高頻度で特定できる。境界点は、例えば内部抵抗-時間特性の傾きの変化に基づき求められてもよい。内部抵抗値が小さい場合には、内部抵抗値自体に基づき境界点を特定することが困難であるが、内部抵抗-時間特性の傾きの変化を用いることで、内部抵抗値が小さい場合であっても境界点を適正に特定できる。複数種の内部抵抗成分
を、内部抵抗-時間特性の変化に基づき精度よく推定できる。
を、内部抵抗-時間特性の変化に基づき精度よく推定できる。
(3)上記(1)又は(2)に記載の推定装置において、前記内部抵抗成分は、第1抵抗成分及び第2抵抗成分を含み、前記発現期間の境界点は、前記第1抵抗成分に対応する第1境界点及び前記第2抵抗成分に対応する第2境界点を含んでもよい。さらに、前記内部抵抗成分が第3抵抗成分を含み、前記発現期間の境界点が前記第3抵抗成分に対応する第3境界点を含んでもよい。前記推定部は、前記蓄電素子の通電を開始してから前記第1境界点までの前記蓄電素子の電圧の変化量に基づき、前記第1抵抗成分の内部抵抗値を推定し、前記第1抵抗成分の内部抵抗値を推定した後、前記第2境界点までの前記蓄電素子の電圧の変化量に基づき、前記第2抵抗成分の内部抵抗値を推定してもよい。前記推定部はさらに、前記第2抵抗成分の内部抵抗値を推定した後、前記第3境界点までの前記蓄電素子の電圧の変化量に基づき、前記第3抵抗成分の内部抵抗値を推定してもよい。
上記(3)に記載の推定装置によれば、各抵抗成分の内部抵抗値を順次推定できる。各抵抗成分に対応する境界点で対象の抵抗成分を推定できるため、ある時点でまとめて抵抗成分毎の内部抵抗値を推定する場合に比べて、分散処理が可能で計算負荷が軽い。また、より早い段階から抵抗成分毎の内部抵抗値を把握できる。
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載の推定装置において、前記発現期間の境界点は、前記蓄電素子に通電される電流又は前記蓄電素子の温度に対応して求められてもよい。
上記(4)に記載の推定装置によれば、蓄電素子の電流又は温度、すなわち蓄電素子の使用環境を考慮して各抵抗成分の内部抵抗値を推定できる。多様な電流条件下又は温度条件下で使用される可能性のある蓄電素子に関し、精度よく内部抵抗を推定できる。前記発現期間の境界点は蓄電素子の電流及び温度毎に求められてもよい。蓄電素子の電流及び温度の両方を考慮することで、内部抵抗の推定精度をより向上できる。
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載の推定装置において、蓄電素子の電流と前記発現期間の境界点との関係性を示すデータテーブルを用いて、前記取得部で取得した蓄電素子の電流に応じた前記境界点を導出する導出部を備えてもよい。
上記(5)に記載の推定装置によれば、電流と境界点との関係性を示すデータテーブルを用いて、容易且つ精度よく境界点を特定できる。境界点は、蓄電素子の電流に対応して求められる。推定装置の取得部は、蓄電素子の温度をさらに取得し、導出部は、電流及び温度と境界点との関係性を示すデータテーブルを用いて、前記取得部で取得した前記蓄電素子の電流及び温度に対応した前記発現期間の境界点を導出してもよい。多様な電流又は電流及び温度の条件下で使用される可能性のある蓄電素子に関し、精度よく境界点を導出し、内部抵抗を推定できる。
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載の推定装置において、前記内部抵抗成分は、オーム性抵抗成分と負極電荷移動抵抗成分との合計成分、正極電荷抵抗成分及び輸送拡散抵抗成分を含んでもよい。
上記(6)に記載の推定装置によれば、蓄電素子の内部抵抗を、オーム性抵抗成分と負極電荷移動抵抗成分との合計成分、正極電荷抵抗成分及び輸送拡散抵抗成分それぞれに分離し、各内部抵抗値を推定できる。
(7)本開示の一態様に係る蓄電装置は、上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の推定装置と、蓄電素子とを備える。
上記(7)に記載の蓄電装置によれば、蓄電装置内で、内部抵抗の各内部抵抗成分への分離を行うことができる。上位装置(例えば、車両のECU(Electronic Control Unit)や、離れて設置される監視装置、クラウドサーバ等)との通信をせずに、短時間でローカル的に処理を行うことで、応答性を向上できる。内部抵抗成分毎の内部抵抗値に加え、SOFやその他の状態・パラメータを蓄電装置で推定するエッジコンピューティングにより、蓄電装置が搭載される移動体又は設備が、蓄電装置をより安全かつ安定的に使用できる。
(8)上記(7)に記載の蓄電装置は、12Vバッテリー又は48Vバッテリーであってもよい。
上記(8)に記載の蓄電装置によれば、例えば車両などの移動体用途に蓄電装置を好適に使用できる。近年、移動体には、自動運転機能が求められている。上位装置に対し、蓄電装置がSOF等の状態情報を出力する(つまり、蓄電装置の過度な電圧低下を生じることなく所定時間にわたり所定電力を供給できるか否かを出力する)ことで、自動運転機能を実現できる。
(9)本開示の一態様に係る推定方法は、蓄電素子を一方向の定電流で通電した際の前記蓄電素子の電圧の時系列データを取得し、取得した前記蓄電素子の電圧の時系列データと、一方向の定電流通電により予め求められた、複数種の内部抵抗成分の発現期間とに基づき、内部抵抗成分毎の内部抵抗値を推定する処理をコンピュータが実行する。
(10)本開示の一態様に係る推定プログラムは、蓄電素子を一方向の定電流で通電した際の前記蓄電素子の電圧の時系列データを取得し、取得した前記蓄電素子の電圧の時系列データと、一方向の定電流通電により予め求められた、複数種の内部抵抗成分の発現期間とに基づき、内部抵抗成分毎の内部抵抗値を推定する処理をコンピュータに実行させる。
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
図1は、推定装置3を備える蓄電装置1の構成例を示す斜視図である。蓄電装置1は、複数の蓄電素子2(例えば、複数の蓄電セル)と、推定装置3とを備える。蓄電素子2及び推定装置3は、例えば不図示の収容ケースに収容されている。
蓄電素子2は、充電、放電ができる二次電池であり、例えば電解質が液体のリチウムイオン電池である。蓄電素子2は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金等からなる長尺帯状の正極基材箔上に正極活物質層が形成された正極と、例えば銅又は銅合金等からなる長尺帯状の負極基材箔上に負極活物質層が形成された負極とを有する。正極活物質層に用いられる正極活物質又は負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質又は負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。後述する境界点を容易に特定する観点から、蓄電素子2は、正極活物質にリン酸鉄リチウムを含み、且つ負極活物質にグラファイトを含むLFP-Gr系セルであることが好ましい。
代替的に、蓄電素子(セル)2は、ラミネートタイプ(パウチ型)のリチウムイオン電池、電解質がゲル状のリチウムイオン電池、全固体リチウムイオン電池、バイポーラ型リチウムイオン電池(電極が電気的直列に接続された電池)、亜鉛空気電池、ナトリウムイオン電池、又はその他の電気化学セルであってもよい。蓄電装置1は、単一のセルを有してもよいし、複数のセルを直列及び/又は並列に接続したモジュール、複数のモジュール
を直列に接続したバンク、又は複数のバンクを並列に接続したドメインを有してもよい。
を直列に接続したバンク、又は複数のバンクを並列に接続したドメインを有してもよい。
本実施形態の蓄電装置1は、内燃機関(エンジン)を走行駆動源として有するエンジン車両や、EV、HEV、又はPHEVに搭載される。蓄電装置1は、12ボルト(V)バッテリー又は48Vバッテリーである。12Vバッテリーは、例えば、LFP-Gr系セル2を4個直列に接続した組電池、又は、2個のLFP-Gr系セル2を並列接続したセルユニットを4個直列に接続した組電池を用いることができる。さらに代替的に、3個のLFP-Gr系セル2を並列接続したセルユニットを4個直列に接続した組電池が用いられてもよい。蓄電装置1は、車両ECUや、エンジン始動用のスターターモータ、電装品等の電気負荷に接続されている。スターターモータを回転する場合や車両を起動する場合、蓄電装置1は放電して電気負荷に対して電力供給を行う。
推定装置3は、例えば電池管理システム(BMS:Battery Management system)である。推定装置3は、蓄電素子2及び蓄電装置1の電圧、並びに蓄電素子2に流れる電流を含む計測データを取得し、取得した計測データに基づいて、蓄電素子2及び蓄電装置1の内部抵抗を内部抵抗成分毎に推定する。
図1の例では、推定装置3は、蓄電装置1の上面に設置された平板状の回路基板である。代替的に、推定装置3は、蓄電装置1の側面等に設置されてもよく、蓄電装置1から離隔して設置されてもよい。推定装置3は、蓄電装置1から離れた場所にあって、BMSと通信接続されるサーバ装置や、車両ECUを含んでもよい。この場合、蓄電装置1に関して計測される計測データは、通信によりサーバ装置等へ送信されるとよい。
図2は、推定装置3の構成例を示すブロック図である。推定装置3は、制御部31、記憶部32、入力部33及び出力部34を備える。本実施形態では、推定装置3は回路基板で実現されるが、代替的に、推定装置3は複数台のコンピュータで構成し分散処理する構成でもよく、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されてもよく、クラウドサーバを用いて実現されてもよい。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える演算回路である。制御部31が備えるCPU又はGPUは、ROMや記憶部32に格納された各種コンピュータプログラムを実行し、上述したハードウェア各部の動作を制御する。制御部31は、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ、日時情報を出力するクロック等の機能を備えてもよい。
記憶部32は、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性記憶装置を備える。記憶部32は、制御部31が参照する各種コンピュータプログラム及びデータ等を記憶する。記憶部32は、推定装置3に接続された外部記憶装置であってもよい。
本実施形態の記憶部32は、内部抵抗の推定に関する処理をコンピュータに実行させるための推定プログラム321と、推定プログラム321の実行に必要なデータとしての境界点情報322とを記憶している。境界点情報322は、複数種の内部抵抗成分の発現期間の境界となる境界点に関する情報を格納する。境界点情報322の詳細は後述する。
推定プログラム321を含むコンピュータプログラム(プログラム製品)は、当該コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体3Aにより提供されてもよい。記録媒体3Aは、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の可搬型メモリである。制御部31は、図示しない読取装置を用いて、記録媒体3Aから所望のコン
ピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムを記憶部32に記憶させる。代替的に、上記コンピュータプログラムは通信により提供されてもよい。推定プログラム321は、単一のコンピュータプログラムでも複数のコンピュータプログラムにより構成されるものでもよく、また、単一のコンピュータ上で実行されても通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
ピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムを記憶部32に記憶させる。代替的に、上記コンピュータプログラムは通信により提供されてもよい。推定プログラム321は、単一のコンピュータプログラムでも複数のコンピュータプログラムにより構成されるものでもよく、また、単一のコンピュータ上で実行されても通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
入力部33は、各種センサを接続するためのインタフェースを備える。入力部33に接続されるセンサは、例えば電流センサ41、電圧センサ42、及び温度センサ43を含む。
電流センサ41は、例えばシャント抵抗、変流器、ホール効果型電流センサなどであり、蓄電素子2に流れる電流の大きさと向き(充電方向か放電方向か)を時系列的に計測する。電圧センサ42は、蓄電素子(セル)2の端子電圧を時系列的に検出する。温度センサ43は、例えば熱電対、サーミスタなどであり、蓄電素子2の温度を時系列的に計測する。制御部31は、入力部33を通じて、電流センサ41により計測される電流のデータ、電圧センサ42により計測される電圧のデータ、及び温度センサ43により計測される温度のデータを随時取得する。温度センサ43による計測値を用いて蓄電素子2の温度を時系列的に推定する温度推定部が、推定装置3により実現されてもよい。
出力部34は、表示装置5を接続するためのインタフェースを備えてもよい。表示装置5の一例は、液晶ディスプレイ装置である。
代替的に、出力部34は、外部装置と通信する通信インタフェースを備えてもよい。出力部34に通信可能に接続される外部装置は、上位装置(例えば車両ECU)であってもよい。制御部31は、推定結果が得られた場合、推定結果に基づく情報を出力部34から外部装置へ送信する。外部装置は、例えば出力部34より送信される情報を受信し、受信した情報に基づき自装置のディスプレイに推定結果を表示させる。
本実施形態の内部抵抗の推定方法について説明する。
発明者は、直流の定電流を蓄電素子2に通電した場合の電圧挙動に基づいて、内部抵抗を解析することについて検討した。蓄電素子2の内部抵抗は、複数種の内部抵抗成分を含む。本実施形態では、蓄電素子2の内部抵抗を第1抵抗成分、第2抵抗成分及び第3抵抗成分に分類する。第1抵抗成分は、オーム性抵抗成分及び負極電荷抵抗成分の合成成分である。第2抵抗成分は、正極電荷抵抗成分である。第3抵抗成分は、輸送拡散抵抗成分である。蓄電素子2を所定時間に亘り放電させる場合、通常、正極電荷抵抗よりも負極電荷抵抗が早く現れ、輸送拡散抵抗は最も遅く現れる(第1抵抗成分、第2抵抗成分、第3抵抗成分の順に現れる)と推察される。
発明者は、直流の定電流を蓄電素子2に通電した場合の電圧挙動に基づいて、内部抵抗を解析することについて検討した。蓄電素子2の内部抵抗は、複数種の内部抵抗成分を含む。本実施形態では、蓄電素子2の内部抵抗を第1抵抗成分、第2抵抗成分及び第3抵抗成分に分類する。第1抵抗成分は、オーム性抵抗成分及び負極電荷抵抗成分の合成成分である。第2抵抗成分は、正極電荷抵抗成分である。第3抵抗成分は、輸送拡散抵抗成分である。蓄電素子2を所定時間に亘り放電させる場合、通常、正極電荷抵抗よりも負極電荷抵抗が早く現れ、輸送拡散抵抗は最も遅く現れる(第1抵抗成分、第2抵抗成分、第3抵抗成分の順に現れる)と推察される。
蓄電素子2の内部抵抗-時間特性について説明する。内部抵抗-時間特性は、蓄電素子2における内部抵抗と時間との関係性を表す、曲線で示される特性(プロファイル)であってもよい。発明者は、内部抵抗-時間特性における傾きが変化する点を特定することで、内部抵抗を各内部抵抗成分に分離できると考えた。傾きが変化する点とは、内部抵抗-時間特性の傾きが予め定められた閾値以上変化する点であってもよい。傾きが変化する点は、境界点に相当する。境界点は、各内部抵抗の発現する発現期間の境界である。内部抵抗-時間特性において、境界点の前後で内部抵抗成分の種類が変化する。本実施形態では、境界点に対応する時間により境界点を表し、以下では境界点を境界時間とも称する。境界点、境界時間は、ある程度の幅を有してもよい。
図3に示すような内部抵抗-時間特性に基づいて、放電開始後、最初に傾きが変化する点の時間である第1境界時間T1と、次に傾きが変化する点の時間である第2境界時間T
2と、その次に傾きが変化する点の時間である第3境界時間T3とを特定できる。放電開始から第1境界時間T1までに現れる内部抵抗を第1抵抗成分、第1境界時間T1から第2境界時間T2までに現れる内部抵抗を第2抵抗成分、第2境界時間T2から第3境界時間T3までに現れる内部抵抗を第3抵抗成分、と内部抵抗を各抵抗成分に分離できる。第3境界時間T3以降は、内部抵抗は殆ど増加せず、ほぼ一定となる。
2と、その次に傾きが変化する点の時間である第3境界時間T3とを特定できる。放電開始から第1境界時間T1までに現れる内部抵抗を第1抵抗成分、第1境界時間T1から第2境界時間T2までに現れる内部抵抗を第2抵抗成分、第2境界時間T2から第3境界時間T3までに現れる内部抵抗を第3抵抗成分、と内部抵抗を各抵抗成分に分離できる。第3境界時間T3以降は、内部抵抗は殆ど増加せず、ほぼ一定となる。
発明者は、第1境界時間T1、第2境界時間T2及び第3境界時間T3が比較的離れる(各境界時間の間隔が比較的広い)LFP-Gr系のリチウムイオン電池について、多様な条件下で定電流放電試験を行い、境界時間に影響を与える因子について検討した。
図3は、リチウムイオン電池初期品とリチウムイオン電池劣化品との、内部抵抗-時間特性を示す片対数グラフである。以下で説明する図3~図6は、LFP-Gr系の試験セル(蓄電素子)を用いた定電流放電試験の結果を示す。図3~図6に示すグラフの縦軸は内部抵抗(DCR、単位はmΩ)、横軸は放電開始から経過した時間(単位はs)の対数である。内部抵抗(R)は、所定の定電流放電後に計測されたセル端子電圧から放電開始前のセル端子電圧(開回路電圧:OCV)を減算した値(ΔV)を、電流(I)で除算した値である。図3~図6は、内部抵抗-時間特性に対応付けて、内部抵抗-時間特性の傾きから特定した第1境界時間T1、第2境界時間T2及び第3境界時間T3を示す。
図3に示す上側のグラフは劣化品の特性、下側のグラフは初期品の特性を示す。充放電を繰り返し行っていない初期の蓄電素子と、充放電を繰り返し行った劣化後の蓄電素子との各境界時間を比較したところ、各内部抵抗成分の現れる時間はほぼ同じであることが分かった。第1境界時間T1、第2境界時間T2及び第3境界時間T3のいずれも、新規品と劣化品とでほぼ同じであり、各境界時間は、蓄電素子2の劣化度には依存しない。
図4は、内部抵抗-時間の相関関係を多様な電流について示す片対数グラフである。グラフの上から、5A、10A、15A、30A、60A、150Aの直流電流を放電した場合の試験セルの特性を示す。図4から明らかなように、蓄電素子2に流れる電流の大きさにより、各内部抵抗成分の現れる時間が変化する。電流が大きい程、第1境界時間T1、第2境界時間T2及び第3境界時間T3が減少する。
図5は、内部抵抗-時間の相関関係を多様な温度について示す片対数グラフである。グラフの上から、-30℃、-20℃、-10℃、0℃、25℃の温度下で、同一の直流電流を放電した場合の試験セルの特性を示す。図5から明らかなように、蓄電素子2の温度により、各内部抵抗成分の現れる時間が変化する。温度が高い程、第1境界時間T1、第2境界時間T2及び第3境界時間T3が減少する。
図6は、内部抵抗-時間の相関関係を多様なSOC(State Of Charge)について示す片対数グラフである。グラフの上から、SOC10%、SOC30%、SOC70%、SOC90%から、同一の直流電流を放電した場合の試験セルの特性を示す。図6から明らかなように、各内部抵抗成分の現れる時間はほぼ同じであり、各境界時間は、放電開始時の蓄電素子2のSOCには依存しない。
以上の特性を考慮して、本実施形態では、予め蓄電素子2の電流及び温度別に、上述の第1境界時間T1、第2境界時間T2及び第3境界時間T3を特定した境界点情報322を生成しておく。得られた境界点情報322を用いて、使用環境下の蓄電素子2の内部抵抗を推定する。以下、本実施形態の推定方法を具体的に説明する。
図7は、境界点情報322の内容例を示す図である。境界点情報322は、蓄電素子2の電流及び温度と、境界時間との関係性を示す情報である。本実施形態では、境界点情報
322は、第1境界時間テーブル3221、第2境界時間テーブル3222及び第3境界時間テーブル3223を含み、電流及び温度と、境界時間との関係性をデータテーブル形式で記憶する。
322は、第1境界時間テーブル3221、第2境界時間テーブル3222及び第3境界時間テーブル3223を含み、電流及び温度と、境界時間との関係性をデータテーブル形式で記憶する。
第1境界時間テーブル3221は、例えば2次元テーブルであり、温度と電流とに対応付けた第1境界時間T1を示す。第1境界時間T1は、電流の所定間隔毎に、複数の温度に応じて複数記憶されている。同様に、第2境界時間テーブル3222は、温度と電流とに対応付けた第2境界時間T2を示す。第3境界時間テーブル3223は、温度と電流とに対応付けた第3境界時間T3を示す。
第1境界時間テーブル3221、第2境界時間テーブル3222及び第3境界時間テーブル3223はさらに、SOC別に境界時間を記憶するものであってもよい。例えば境界時間がSOC依存性を有する蓄電素子2の場合、温度及び電流に加え、SOCを考慮して境界時間を設定することで、内部抵抗成分の分離の精度が向上する。
図7に示す境界点情報322は、一例であり、この例に限定はされない。境界点情報322は、関数式、グラフ等により電流及び温度と境界点との関係性を記憶してもよい。境界時間は、電流(アンペア)に代えて、放電レート(Cレート)により示されてもよい。境界点情報322は、電流及び温度の少なくとも一方と、境界時間との関係性を示す情報であってもよい。
境界点情報322は、事前に定電流放電試験を行うことで生成できる。試験セルを放電した際の電圧-時間特性(放電曲線)から、内部抵抗-時間特性のグラフを生成する。内部抵抗-時間特性は、例えば図3~図6に例示した通り、縦軸を内部抵抗、横軸を時間の対数とする片対数グラフである。代替的に、内部抵抗-時間特性は、縦軸を内部抵抗、横軸を時間とするグラフであってもよい。
生成した内部抵抗-時間特性に基づいて、内部抵抗の傾きが変化する点(傾きが変化する時間)を求めることで、第1境界時間T1、第2境界時間T2及び第3境界時間T3が得られる。グラフの傾きの変化点の求め方は特に限定されないが、例えば、グラフ形状(波形)を解析することにより、グラフの傾きがその前後で予め定められた閾値以上変化する点を特定することで求められる。傾きの変化点は、その他の公知のグラフ解析、フィッティング等の手法を用いて求めてもよい。異なる電流及び温度の元で試験を行い、電流及び温度別に各境界時間を特定することで、図7に示すような境界点情報322が得られる。
境界点情報322は、内部抵抗の推定対象となる蓄電素子2と同じ試験セル、又は蓄電素子2に類似する構造、種類、組成等を有する試験セルを用いて生成されてもよい。
推定装置3は、例えば外部サーバとの通信により境界点情報322を取得し、取得した境界点情報322を記憶部32に記憶しておく。境界点情報322は、蓄電装置1の製造時点又は工場出荷時点等の段階で推定装置3に書き込まれてもよい。
図8は、推定装置3が実行する推定方法を説明する図である。図8の上側のグラフにおける縦軸は、下方向に向かうほど大電流で放電していることを表す。図8は、時間0までは蓄電素子2から小電流の(例えば10Aの)放電がされ、時間0を過ぎた時点で大電流の(例えば110Aの)放電がされることを示す。図8に示すように、時間0を過ぎた時点からの放電により、蓄電素子2の端子電圧が経時的に低下する。放電を開始してから第1境界時間T1(図8ではt1)が経過するまでは、第1抵抗成分に起因した電圧挙動の現れる第1抵抗成分区間となる。第1境界時間T1よりも後、第2境界時間T2(図8で
はt2)が経過するまでは、第2抵抗成分に起因した電圧挙動の現れる第2抵抗成分区間となる。第2境界時間T2よりも後、第3境界時間T3(図8ではt3)が経過するまでは、第3抵抗成分に起因した電圧挙動の現れる第3抵抗成分区間となる。
はt2)が経過するまでは、第2抵抗成分に起因した電圧挙動の現れる第2抵抗成分区間となる。第2境界時間T2よりも後、第3境界時間T3(図8ではt3)が経過するまでは、第3抵抗成分に起因した電圧挙動の現れる第3抵抗成分区間となる。
推定装置3は、各種センサを通じて蓄電素子2の放電電流、電圧及び温度の計測データを取得する。推定装置3は、取得した計測データを記憶部32に記憶する。推定装置3は、所定の又は適宜の間隔で計測データの取得を繰り返し実行し、時系列順に記憶部32に記憶する。これにより図8に示すように、電流、電圧及び温度の時系列データが得られる。
推定装置3は、新たな計測データを取得した場合、内部抵抗を推定するか否かを判定する。推定装置3は、電流変動ΔIが予め設定される変動閾値以上であるか否かを判定することにより、内部抵抗を推定するか否かを判定してもよい。電流変動ΔIとは、判定時点の電流と、判定時点よりも1つ前の計測時点の電流との差分であってもよい。本明細書において、「差分」とは、差分の絶対値を意味する。
電流変動ΔIが予め設定される変動閾値以上である場合、推定装置3は、内部抵抗の推定を行う。電流変動ΔIが予め設定される変動閾値未満である場合、推定装置3は、内部抵抗の推定を行わない。推定装置3は、得られた電流の正負に基づいて通電方向を判定し、放電であると判定した場合にのみ、内部抵抗の推定を行ってもよい。推定装置3は、蓄電素子2の電流が所定時間以上に亘りほぼ一定であった(電流変動が所定時間以上に亘り略ゼロであった)後、上述の電流変動ΔIを検出した場合に、内部抵抗の推定を行ってもよい。
変動閾値は、例えば、蓄電装置1がエンジン車両に搭載される場合、スターターモータによりエンジンのクランク軸を回転させてエンジンを始動させるクランキング時の電流値を考慮して設定してもよい。変動閾値は、蓄電装置1がEVに搭載される場合、高電圧システム起動時の電流値を考慮して設定してもよい。
代替的に、推定装置3は、電流の変動値に関わらず、電流変動ΔIが発生した場合、又は上位装置からの指示を受けた場合に、内部抵抗の推定を行ってもよい。推定装置3は、判定時点の電流(電流の絶対値)が予め設定される電流閾値以上である場合、内部抵抗の推定を行ってもよい。
内部抵抗の推定を行うと判定した場合、推定装置3は、内部抵抗の推定を行うと判定した判定時点の電流及び温度と、境界点情報322の第1境界時間テーブル3221とに基づいて、内部抵抗の推定基準となる第1境界時間T1を導出する。推定装置3は、第1境界時間テーブル3221に記憶する情報に基づいて、判定時点の電流及び温度に対応する第1境界時間T1(例えばt1)を読み出す。
推定装置3は、第1境界時間t1が経過するまで待機する。経過時間の計測を開始する基準点(t=0)は、例えば、電流変動が検出される直前の時点、すなわち内部抵抗の推定を行うと判定した判定時点よりも1つ前の計測時点としてもよい。第1境界時間t1が経過した後、推定装置3は、第1抵抗成分の内部抵抗値R1を算出する。
第1抵抗成分の内部抵抗値R1は、基準点から、第1境界時間t1が経過した時点(以下、第1時点とも記載する)までの電圧の変化量ΔV1を、電流変動ΔIで除算することで算出される。電圧の変化量ΔV1は、基準点の電圧と、第1時点の電圧との差分を算出することで求められる。電流変動ΔIは、微小な電流変化を考慮するため、基準点よりも後の第1時点以前における各計測時点の電流の平均値と、基準点の電流(変動前の電流)
との差分を算出することで求めてもよい。
との差分を算出することで求めてもよい。
同様に推定装置3は、第1時点の電流及び温度と、境界点情報322の第2境界時間テーブル3222とに基づいて、第2境界時間T2を導出する。推定装置3は、第2境界時間テーブル3222に記憶する情報に基づいて、第1時点の電流及び温度に対応する第2境界時間T2(例えばt2)を読み出す。
推定装置3は、第2境界時間t2が経過するまで待機する。経過時間の計測を開始する基準点は、第1境界時間t1の基準点と同じであってもよい。第2境界時間t2が経過した後、推定装置3は、第2抵抗成分の内部抵抗値R2を算出する。第2抵抗成分の内部抵抗値R2は、第1時点から、第2境界時間t2が経過した時点(以下、第2時点とも記載する)までの電圧の変化量ΔV2を、電流変動ΔIで除算することで算出される。電圧の変化量ΔV2は、第2時点の電圧と、第1時点の電圧との差分を算出することで求められる。電流変動ΔIは、第1時点よりも後の第2時点以前における各計測時点の電流の平均値と、基準点の電流との差分であってもよい。
推定装置3は、第2時点の電流及び温度と、境界点情報322の第3境界時間テーブル3223とに基づいて、第3境界時間T3を導出する。推定装置3は、第3境界時間テーブル3223に記憶する情報に基づいて、第2時点の電流及び温度に対応する第3境界時間T3(例えばt3)を読み出す。
推定装置3は、第3境界時間t3が経過するまで待機する。経過時間の計測を開始する基準点は、第1境界時間t1の基準点と同じであってもよい。第3境界時間t3が経過した後、推定装置3は、第3抵抗成分の内部抵抗値R3を算出する。第3抵抗成分の内部抵抗値R3は、第2時点から、第3境界時間t3が経過した時点(以下、第3時点とも記載する)までの電圧の変化量ΔV3を、電流変動ΔIで除算することで算出される。電圧の変化量ΔV3は、第3時点の電圧と、第2時点の電圧との差分を算出することで求められる。電流変動ΔIは、第2時点よりも後の第3時点以前における各計測時点の電流の平均値と、基準点の電流との差分であってもよい。
上記では、各時点の温度を用いて各境界時間を特定した。代替的に、温度変化が比較的少ない環境下で蓄電素子2が使用されると推察される場合、共通する時点の温度を使用して各境界時間を特定してもよい。共通する時点の温度は、例えば基準点の温度であってもよい。
上記では、基準点、第1時点及び第2時点で順次、第1境界時間T1、第2境界時間T2及び第3境界時間T3を特定した。各時点の電流を考慮することで、境界時間をより正確に特定できるが、代替的に、境界時間の特定を同一のタイミングで行ってもよい。推定装置3は、例えば、境界点情報322の各テーブルを参照し、基準点の電流及び温度に基づいて、第1境界時間T1、第2境界時間T2及び第3境界時間T3を特定してもよい。
推定装置3は、同一のタイミング(例えば第3時点)で、第1抵抗成分、第2抵抗成分及び第3抵抗成分をまとめて推定してもよい。推定装置3は、第1時点以降の任意の時点で第1抵抗成分を推定してもよく、第2時点以降の任意の時点で第2抵抗成分を推定してもよく、第3時点以降の任意の時点で第3抵抗成分を推定してもよい。
図9は、推定装置3が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。以下のフローチャートにおける処理は、推定装置3の記憶部32に記憶する推定プログラム321に従って制御部31により実行されてもよく、制御部31に備えられた専用のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)により実現されてもよく、それらの組合せによっ
て実現されてもよい。推定装置3は、例えば所定の又は適宜の間隔で以下の処理を繰り返し実行する。
て実現されてもよい。推定装置3は、例えば所定の又は適宜の間隔で以下の処理を繰り返し実行する。
推定装置3の制御部31は、取得部としての機能により、蓄電素子2の電流、電圧及び温度を取得する(ステップS11)。制御部31は、所定の又は適宜の間隔で電流、電圧及び温度の取得を繰り返し実行することで、電流、電圧及び温度の時系列データを取得してもよい。制御部31は、入力部33を通じて、蓄電素子2の電流、電圧及び温度の計測データを時系列で受け付けることにより、電流、電圧及び温度の時系列データを取得してもよい。制御部31は、記憶部32に記憶した時系列データを読み出してもよい。
制御部31は、内部抵抗を推定するか否かを判定する(ステップS12)。例えば電流変動ΔIが予め設定される変動閾値未満であることにより、内部抵抗を推定しないと判定した場合(ステップS12:NO)、制御部31は、処理をステップS12に戻し、電流変動ΔIが変動閾値以上となるまで待機する。
電流変動ΔIが予め設定される変動閾値以上であることにより、内部抵抗を推定すると判定した場合(ステップS12:YES)、制御部31は、第1境界時間T1を導出する(ステップS13)。制御部31は、内部抵抗の推定を行うと判定した判定時点の電流及び温度と、第1境界時間テーブル3221とに基づいて、判定時点の電流及び温度に対応する第1境界時間T1を特定する。
制御部31は、基準点からの経過時間に基づいて、第1境界時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS14)。第1境界時間T1が経過していないと判定した場合(ステップS14:NO)、制御部31は、処理をステップS14に戻し、第1境界時間T1が経過するまで待機する。
第1境界時間T1が経過したと判定した場合(ステップS14:YES)、制御部31は、推定部としての機能により、第1抵抗成分の内部抵抗値R1を推定する(ステップS15)。制御部31は、基準点から第1時点までの電圧の変化量ΔV1を電流変動ΔIで除算して、第1抵抗成分の内部抵抗値R1を求める。
制御部31は、第2境界時間T2を導出する(ステップS16)。制御部31は、第1時点の電流及び温度と、第2境界時間テーブル3222とに基づいて、第1時点の電流及び温度に対応する第2境界時間T2を特定する。
制御部31は、基準点からの経過時間に基づいて、第2境界時間T2が経過したか否かを判定する(ステップS17)。第2境界時間T2が経過していないと判定した場合(ステップS17:NO)、制御部31は、処理をステップS17に戻し、第2境界時間T2が経過するまで待機する。
第2境界時間T2が経過したと判定した場合(ステップS17:YES)、制御部31は、推定部としての機能により、第2抵抗成分の内部抵抗値R2を推定する(ステップS18)。制御部31は、第1時点から第2時点までの電圧の変化量ΔV2を電流変動ΔIで除算して、第2抵抗成分の内部抵抗値R2を求める。
制御部31は、第3境界時間T3を導出する(ステップS19)。制御部31は、第2時点の電流及び温度と、第3境界時間テーブル3223とに基づいて、第2時点の電流及び温度に対応する第3境界時間T3を特定する。
制御部31は、基準点からの経過時間に基づいて、第3境界時間T3が経過したか否か
を判定する(ステップS20)。第3境界時間T3が経過していないと判定した場合(ステップS20:NO)、制御部31は、処理をステップS20に戻し、第3境界時間T3が経過するまで待機する。
を判定する(ステップS20)。第3境界時間T3が経過していないと判定した場合(ステップS20:NO)、制御部31は、処理をステップS20に戻し、第3境界時間T3が経過するまで待機する。
第3境界時間T3が経過したと判定した場合(ステップS20:YES)、制御部31は、推定部としての機能により、第3抵抗成分の内部抵抗値R3を推定する(ステップS21)。制御部31は、第2時点から第3時点までの電圧の変化量ΔV3を電流変動ΔIで除算して、第3抵抗成分の内部抵抗値R3を求める。
制御部31は、推定した第1抵抗成分の内部抵抗値R1、第2抵抗成分の内部抵抗値R2及び第3抵抗成分の内部抵抗値R3を含む内部抵抗の推定結果を上位装置へ出力し(ステップS22)、一連の処理を終了する。上位装置は、例えば車両ECUであってもよい。
推定装置3又は上位装置は、内部抵抗の推定結果に基づいて、蓄電素子2又は蓄電装置1の電力供給性能(例えば充電受入性能、放電性能等)を判定してもよい。推定装置3又は上位装置は、例えば蓄電素子2の電圧挙動を模擬する等価回路モデルに、推定した第1抵抗成分、第2抵抗成分及び第3抵抗成分それぞれの内部抵抗値を与えることで、蓄電素子2の電圧挙動を推定し、充放電の可否を判定してもよい。蓄電素子2の実際の電流及び温度に対応した内部抵抗値を用いることで、電力供給性能の判定精度を向上できる。
本実施形態によれば、予め用意される境界点情報322を用いて、内部抵抗成分毎に分離して内部抵抗値を容易且つ精度よく推定できる。境界点情報322は、電流及び温度別に設定されるため、蓄電素子2の使用される電流及び温度を加味して境界時間を特定できる。特定時点毎の電流及び温度に基づき各境界時点を特定することで、蓄電素子2の実際の使用状態に対応した内部抵抗を精度よく推定できる。
内部抵抗の推定開始タイミングを、電流変動ΔIが変動閾値以上となった場合とすることで、内部抵抗の推定処理の実行タイミングを調整することができる。例えばクランキング時、高電圧システム起動時等、内部抵抗の推定に好適な電流量が流れるタイミング、または、内部抵抗の推定に好適なサイクルで繰り返される動作のタイミングで内部抵抗の推定を実行させることができ、必要十分な推定が可能となる。
推定装置、推定方法及び推定プログラムは、車両以外の用途にも適用可能であり、航空機、フライイングビークル、HAPS(High Altitude Platform Station)等の飛行体に適用されてもよいし、船舶や潜水艦に適用されてもよい。推定装置、推定方法及び推定プログラムは、高度な安全性が求められる(リアルタイム計算が求められる)移動体に適用することが好ましいが、移動体に限らず、定置用蓄電装置に適用されてもよい。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
各実施形態に示すシーケンスは限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各処理手順はその順序を変更して実行されてもよく、また並行して複数の処理が実行されてもよい。各処理の処理主体は限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各装置の処理を他の装置が実行してもよい。
各実施形態に示すシーケンスは限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各処理手順はその順序を変更して実行されてもよく、また並行して複数の処理が実行されてもよい。各処理の処理主体は限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各装置の処理を他の装置が実行してもよい。
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合
わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
1 蓄電装置
2 蓄電素子
3 推定装置
31 制御部
32 記憶部
33 入力部
34 出力部
321 推定プログラム
322 境界点情報
3221 第1境界時間テーブル
3222 第2境界時間テーブル
3223 第3境界時間テーブル
3A 記録媒体
2 蓄電素子
3 推定装置
31 制御部
32 記憶部
33 入力部
34 出力部
321 推定プログラム
322 境界点情報
3221 第1境界時間テーブル
3222 第2境界時間テーブル
3223 第3境界時間テーブル
3A 記録媒体
Claims (7)
- 蓄電素子を一方向の定電流で通電した際の前記蓄電素子の電圧の時系列データを取得する取得部と、
取得した前記蓄電素子の電圧の時系列データと、一方向の定電流通電により予め求められた、複数種の内部抵抗成分の発現期間とに基づき、内部抵抗成分毎の内部抵抗値を推定する推定部と
を備える推定装置。 - 前記推定部は、前記蓄電素子の定電流通電により得られる内部抵抗-時間特性に基づき求められる内部抵抗成分の発現期間の境界点を用いて、前記内部抵抗成分毎の内部抵抗値を推定する
請求項1に記載の推定装置。 - 前記内部抵抗成分は、第1抵抗成分及び第2抵抗成分を含み、
前記発現期間の境界点は、前記第1抵抗成分に対応する第1境界点及び前記第2抵抗成分に対応する第2境界点を含み、
前記推定部は、
前記蓄電素子の通電を開始してから前記第1境界点までの前記蓄電素子の電圧の変化量に基づき、前記第1抵抗成分の内部抵抗値を推定し、
前記第1抵抗成分の内部抵抗値を推定した後、前記第2境界点までの前記蓄電素子の電圧の変化量に基づき、前記第2抵抗成分の内部抵抗値を推定する
請求項1又は請求項2に記載の推定装置。 - 前記発現期間は、前記蓄電素子に通電される電流又は前記蓄電素子の温度に対応して求められる
請求項1又は請求項2に記載の推定装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の推定装置と、
蓄電素子と
を備える蓄電装置。 - 蓄電素子を一方向の定電流で通電した際の前記蓄電素子の電圧の時系列データを取得し、
取得した前記蓄電素子の電圧の時系列データと、一方向の定電流通電により予め求められた、複数種の内部抵抗成分の発現期間とに基づき、内部抵抗成分毎の内部抵抗値を推定する
処理をコンピュータが実行する推定方法。 - 蓄電素子を一方向の定電流で通電した際の前記蓄電素子の電圧の時系列データを取得し、
取得した前記蓄電素子の電圧の時系列データと、一方向の定電流通電により予め求められた、複数種の内部抵抗成分の発現期間とに基づき、内部抵抗成分毎の内部抵抗値を推定する
処理をコンピュータに実行させる推定プログラム。
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Legal Events
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| A621 | Written request for application examination |
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