JP2024078402A - 硬化性組成物、膜形成方法、および物品製造方法 - Google Patents

硬化性組成物、膜形成方法、および物品製造方法 Download PDF

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俊樹 伊藤
彩乃 増田
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Abstract

【課題】硬化性組成物に関する新たな技術を提供する。【解決手段】重合性化合物(a)と光重合開始剤(b)と溶剤(d)とを少なくとも含む硬化性組成物は、前記硬化性組成物の23℃における粘度が1.3~60mPa・sであり、前記硬化性組成物の全体に対する前記溶剤(d)の含有量が5体積%より大きく95体積%以下であり、前記溶剤(d)の沸点が250℃未満であり、前記溶剤(d)が除かれた状態の前記硬化性組成物の23℃における表面張力をγ1(mN/m)、前記溶剤(d)の23℃における表面張力をγ2(mN/m)としたとき、γ1がγ2よりも大きい。【選択図】図1

Description

本発明は、硬化性組成物、膜形成方法、および物品製造方法に関する。
半導体デバイスやMEMSなどでは、微細化の要求が高まり、微細加工技術として、インプリント技術(光インプリント技術)が注目されている。インプリント技術では、微細な凹凸パターンが表面に形成された型(モールド)を、基板上に供給(塗布)された硬化性組成物に接触させた状態で、硬化性組成物を硬化させる。これにより、モールドのパターンを硬化性組成物の硬化膜に転写し、パターンを基板上に形成する。インプリント技術によれば、基板上に数ナノメートルオーダーの微細なパターン(構造体)を形成することができる(特許文献1参照)。
インプリント技術を利用したパターン形成方法の一例として、ジェット・アンド・フラッシュ・インプリントリソグラフィ技術(JFIL)を説明する。まず、基板上のパターン形成領域に液状の硬化性硬化物を離散的に滴下(配置)する。パターン形成領域に配置された硬化性組成物の液滴は、基板上で拡がる。この現象は、プレスプレッドと呼ばれうる。次いで、基板上の硬化性組成物に対して、型を接触させる(押し当てる)。これにより、硬化性組成物の液滴は、毛細管現象によって、基板と型との隙間の全域に拡がる。この現象は、スプレッドと呼ばれうる。また、硬化性組成物は、毛細管現象によって、型のパターンを構成する凹部に充填される。この現象は、フィリングと呼ばれうる。なお、スプレッド及びフィリングが完了するまでの時間は、充填時間と呼ばれる。硬化性組成物の充填が完了すると、硬化性組成物に対して光を照射して、硬化性組成物を硬化させる。そして、基板上の硬化した硬化性組成物から型を引き離す。これらの工程を実施することによって、型のパターンが基板上の硬化性組成物に転写され、硬化性組成物のパターンが形成される。ここで、基板上に形成される硬化性組成物のパターンは残膜を含みうる。残膜とは、硬化性組成物の硬化膜の凹部(モールドパターンの凸部)と基板との間に残存する硬化膜のことをさす。
また、半導体デバイスを製造するためのフォトリソグラフィ工程においては、基板を平坦化することも必要とされる。例えば、近年注目されているフォトリソグラフィ技術である極端紫外線露光技術(EUV)では、微細化に伴って投影像が結像される焦点深度が浅くなるため、硬化性組成物が供給される基板の表面の凹凸は、数十nm以下に抑えなければならない。インプリント技術においても、硬化性組成物の充填性や線幅精度の向上のために、EUVと同程度の平坦性が要求される(非特許文献1参照)。平坦化技術として、凹凸を有する基板上に、凹凸に対応する分量の硬化性組成物の液滴を離散的に滴下し、平坦面を有する型を接触させた状態で硬化性組成物を硬化させることで、平坦な表面を得る技術が知られている(特許文献2及び3参照)。
上述したようなJFILに基づくパターン形成方法や平坦化技術では、基板上に滴下された液滴同士が互いに接触していない状態で型を接触させるので、型と基板と硬化性組成物との間に必然的に気泡を巻き込む。従って、かかる気泡が型や基板に拡散して消失するまでに長時間を要し、生産性(スループット)を低下させる要因の1つとなっている。JFILのスループットを向上させるために、特許文献4に示すように、型を接触させる前に硬化性組成物の液滴同士を結合させる、という技術が知られている。
特許第6584578号公報 特開2019-140394号公報 米国特許出願公開第2020/0286740号明細書 特表2010-530641号公報 特開2022-99271号公報
Proc. SPIE 11324-11 (2020) J. Electrochem. Soc., 130,p143(1983)
しかしながら、特許文献4に記載のJFIL技術においては、硬化性組成物が溶剤を含有するため、型が接触する前に溶剤を揮発させ、さらに液滴同士が結合するまで待機する工程が必要である。この待機工程によって生産性が低くなる、という課題があった。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、硬化性組成物に関する新たな技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての硬化性組成物は、重合性化合物(a)と光重合開始剤(b)と溶剤(d)とを少なくとも含む硬化性組成物であって、前記硬化性組成物の23℃における粘度が1.3~60mPa・sであり、前記硬化性組成物の全体に対する前記溶剤(d)の含有量が5体積%より大きく95体積%以下であり、前記溶剤(d)の沸点が250℃未満であり、前記溶剤(d)が除かれた状態の前記硬化性組成物の23℃における表面張力をγ1(mN/m)、前記溶剤(d)の23℃における表面張力をγ2(mN/m)としたとき、γ1がγ2よりも大きい、ことを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、硬化性組成物に関する新たな技術を提供することができる。
一実施形態のパターン形成方法(膜形成方法)を説明するための図 滴下後の液滴の挙動を説明するための図 マランゴニ効果により液滴の流れが誘起された場合の液滴の形状を説明するための図 硬化性組成物の液滴の待機工程中の流動挙動を説明するための図 従来技術における接触工程と一実施形態における接触工程との比較を示す図 液滴半径の時間変化を示す図 Δγに対する液滴の最大半径の依存性を示す図 Δγに対する液滴の揮発時間の依存性を示す図
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。更に、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
本発明者らは、硬化性組成物に関する新たな技術を提供するにあたって、基板上に離散的に滴下(配置)された硬化性組成物の液滴同士が速やかに結合し、かつ、同硬化性組成物が含有する溶剤が速やかに揮発する硬化性組成物及びそのプロセス条件を見出した。
[硬化性組成物]
本発明に係る一実施形態の硬化性組成物(A)は、インクジェット用の硬化性組成物である。一実施形態の硬化性組成物(A)は、少なくとも、重合性化合物である成分(a)と、光重合開始剤である成分(b)と、溶剤である成分(d)とを含む組成物である。
また、本明細書において、硬化膜とは、基板上で硬化性組成物を重合させて硬化させた膜を意味する。なお、硬化膜の形状は、特に限定されるものではなく、表面にパターン形状を有していてもよい。
<成分(a):重合性化合物>
成分(a)は、重合性化合物である。本明細書において、重合性化合物は、光重合開始剤(成分(b))から発生した重合因子(ラジカルなど)と反応し、連鎖反応(重合反応)によって高分子化合物からなる膜を形成する化合物である。
このような重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物が挙げられる。成分(a)である重合性化合物は、1種類の重合性化合物のみで構成されていてもよいし、複数種類(1種類以上)の重合性化合物で構成されていてもよい。
ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリル系化合物、スチレン系化合物、ビニル系化合物、アリル系化合物、フマル系化合物、マレイル系化合物が挙げられる。
(メタ)アクリル系化合物とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ以上有する化合物のことである。アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p-クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2-ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4-ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、t-オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、1-又は2-ナフチル(メタ)アクリレート、1-又は2-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、3-又は4-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、シノアベンジル(メタ)アクリレート、ナフタレンメチル(メタ)アクリレート
上述した単官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アロニックス(登録商標)M101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO-1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成製)、MEDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、MMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、LA、IBXA、2-MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレートBO-A、EC-A、DMP-A、THF-A、HOP-A、HOA-MPE、HOA-MPL、PO-A、P-200A、NP-4EA、NP-8EA、エポキシエステルM-600A、POB-A、OPP-EA(以上、共栄社化学製)、KAYARAD(登録商標) TC110S、R-564、R-128H(以上、日本化薬製)、NKエステルAMP-10G、AMP-20G、A-LEN-10(以上、新中村化学工業製)、FA-511A、512A、513A(以上、日立化成製)、PHE、CEA、PHE-2、PHE-4、BR-31、BR-31M、BR-32(以上、第一工業製薬製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人製)、HRD-01(以上、日本触媒製)
また、アクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、PO変性2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、EO,PO変性2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、o-、m-又はp-ベンゼンジ(メタ)アクリレート、o-、m-又はp-キシリレンジ(メタ)アクリレート
上述した多官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ユピマー(登録商標)UV SA1002、SA2007(以上、三菱化学製)、ビスコート#195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#360、#700、GPT、3PA(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレート4EG-A、9EG-A、NP-A、DCP-A、BP-4EA、BP-4PA、TMP-A、PE-3A、PE-4A、DPE-6A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD(登録商標) PET-30、TMPTA、R-604、DPHA、DPCA-20、-30、-60、-120、HX-620、D-310、D-330(以上、日本化薬製)、アロニックス(登録商標)M208、M210、M215、M220、M240、M305、M309、M310、M315、M325、M400(以上、東亞合成製)、リポキシ(登録商標)VR-77、VR-60、VR-90(以上、昭和高分子製)、オグソールEA-0200、オグソールEA-0300(以上、大阪ガスケミカル製)、SR295,SR355(以上、サートマー製)
なお、上述した化合物群において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はそれと同等のアルコール残基を有するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はそれと同等のアルコール残基を有するメタクリロイル基を意味する。EOは、エチレンオキサイドを示し、EO変性化合物Aとは、化合物Aの(メタ)アクリル酸残基とアルコール残基とが、エチレンオキサイド基のブロック構造を介して結合している化合物を示す。また、POは、プロピレンオキサイドを示し、PO変性化合物Bとは、化合物Bの(メタ)アクリル酸残基とアルコール残基とが、プロピレンオキサイド基のブロック構造を介して結合している化合物を示す。
スチレン系化合物の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
スチレン、2,4-ジメチル-α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、2,6-ジメチルスチレン、3,4-ジメチルスチレン、3,5-ジメチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、2,4,5-トリメチルスチレン、ペンタメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン及びオクチルスチレンなどのアルキルスチレン;フロロスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、o-ブロモスチレン、m-ブロモスチレン、p-ブロモスチレン、ジブロモスチレン及びヨードスチレンなどのハロゲン化スチレン;ニトロスチレン、アセチルスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレ、o-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシスチレン、2-ビニルビフェニル、3-ビニルビフェニル、4-ビニルビフェニル、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、4-ビニル-p-ターフェニル、1-ビニルアントラセン、α-メチルスチレン、o-イソプロペニルトルエン、m-イソプロペニルトルエン、p-イソプロペニルトルエン、2,3-ジメチル-α-メチルスチレン、3,5-ジメチル-α-メチルスチレン、p-イソプロピル-α-メチルスチレン、α-エチルスチレン、α-クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、ジビニルビフェニルなど、スチリル基を重合性官能基として有する化合物
ビニル系化合物の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、酢酸ビニル及びアクリロニトリル;ブタジエン、イソプレン及びクロロプレンなどの共役ジエンモノマー;塩化ビニル及び臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン、有機カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、アジピン酸ジビニル等、(メタ)アクリロニトリルなど、ビニル基を重合性官能基として有する化合物
なお、本明細書において、(メタ)アクリロニトリルとは、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとの総称である。
アクリル系化合物の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
酢酸アリル、安息香酸アリル、アジピン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル
フマル系化合物の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ-sec-ブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジ-n-ブチル、フマル酸ジ-2-エチルヘキシル、フマル酸ジベンジル
マレイル系化合物の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジ-sec-ブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジ-n-ブチル、マレイン酸ジ-2-エチルヘキシル、マレイン酸ジベンジル
その他のラジカル重合性化合物としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イタコン酸のジアルキルエステル及びその誘導体(イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピル、イタコン酸ジ-sec-ブチル、イタコン酸ジイソブチル、イタコン酸ジ-n-ブチル、イタコン酸ジ-2-エチルヘキシル、イタコン酸ジベンジルなど)、有機カルボン酸のN-ビニルアミド誘導体(N-メチル-N-ビニルアセトアミドなど)、マレイミド及びその誘導体(N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなど)
成分(a)が、重合性官能基を1つ以上有する複数種類の化合物で構成される場合には、単官能重合性化合物と多官能重合性化合物の両方を含むことが好ましい。成分(a)のうち、多官能重合性化合物の比率は、20重量%以上を占めることが好ましく、25重量%以上を占めることがさらに好ましく、40重量%以上を占めることが特に好ましい。これは、単官能化合物と多官能化合物とを組み合わせることで、機械的強度が強い、ドライエッチング耐性が高い、耐熱性が高いなど、性能のバランスに優れた硬化膜が得られるからである。
本発明に係る一実施形態の膜形成方法においては、基板上に離散的に配置された硬化性組成物(A)の液滴同士が結合して実質的に連続的な液膜を形成するまでに数ミリ秒から数百秒を要するため、後述する待機工程が必要となる。待機工程では、溶剤(d)を揮発させる一方で、重合性化合物(a)は揮発してはならない。従って、重合性化合物(a)に含まれうる1種類以上の重合性化合物のそれぞれの常圧下における沸点は、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることが更に好ましい。また、硬化性組成物(A)の硬化膜において、高いドライエッチング耐性や高い耐熱性を得るために、芳香族構造、芳香族複素環構造又は脂環式構造などの環構造を有する化合物を少なくとも含むことが好ましい。なお、常圧とは1気圧(大気圧)でありうる。
重合性化合物(a)の沸点は、概ね分子量と相関がある。このため、重合性化合物(a)に含まれうる1種類以上の重合性化合物のそれぞれの分子量は、200以上であることが好ましく、240以上であることがより好ましく、250以上であることが更に好ましい。但し、分子量が200以下であっても、沸点が250℃以上であれば、本発明に係る一実施形態の重合性化合物(a)として好ましく用いることができる。即ち、重合性化合物(a)に含まれる1種類以上の重合性化合物のそれぞれの常圧下での沸点が、250℃以上であるとよい。
また、重合性化合物(a)の80℃における蒸気圧は、0.001mmHg以下であることが好ましい。重合性化合物(a)が1種類以上の重合性化合物を含む場合、当該1種類以上の重合性化合物のそれぞれの80℃における蒸気圧が0.001mmHg以下であるとよい。後述する溶剤(d)の揮発を加速するために加熱することが好ましいが、加熱の際に重合性化合物(a)の揮発を抑制するためである。
なお、常圧下における各種有機化合物の沸点および蒸気圧は、Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)5thEdition.5.3.04 などにより計算することができる。
<成分(a)のオオニシパラメータ(OP)>
有機化合物のドライエッチング速度V、有機化合物中の全原子数N、組成物中の全炭素原子数N、及び組成物中の全酸素原子数Nは、下記式(1)の関係にあることが知られている(非特許文献2)。
V∝N/(N-N) 式(1)
ここで、N/(N-N)は通称“オオニシパラメータ”(以下、OP)と呼ばれている。例えば特許文献3には、OPが小さい重合性化合物成分を用いることで、ドライエッチング耐性の高い光硬化性組成物を得る技術が記載されている。
上記式(1)によれば、分子中に酸素原子が多い、あるいは、芳香環構造や脂環構造が少ない有機化合物ほどOPが大きく、ドライエッチング速度が速いことが示唆される。
本発明に係る一実施形態の硬化性組成物(A)は、成分(a)のOPを1.80以上4.00以下とする。成分(a)のOPは、2.00以上3.50以下がさらに好ましく、2.40以上3.00以下が特に好ましい。成分(a)のOPを4.00以下とすることで、硬化性組成物(A)の硬化膜は高いドライエッチング耐性を有する。成分(a)のOPを1.80以上とすることで、硬化性組成物(A)の硬化膜でその下地層を加工した後に、硬化性組成物(A)の硬化膜を除去するのが容易となる。成分(a)が複数種類の重合性化合物a、a、・・・、aで構成される場合には、下記式(2)のように、モル分率に基づく加重平均値(モル分率加重平均値)としてOPを算出することができる。即ち、成分(a)が1種類以上の重合性化合物を含む場合、成分(a)のOPは、当該1種類以上の重合性化合物のそれぞれの分子のN/(N-N)値のモル分率加重平均値として算出されうる。
ここで、OPは、成分aのOPであり、nは、成分aの成分(a)全体に占めるモル分率である。
成分(a)のOPを1.80以上2.70以下とするためには、環状構造を2つ以上有し、少なくとも1つが芳香族または芳香族複素環構造である化合物(a-1)を少なくとも成分(a)として含むことが好ましい。
<化合物(a-1):芳香族構造、芳香族複素環構造又は脂環式構造を有する重合性化合物>
本発明に係る一実施形態の重合性化合物(a)は、芳香族構造、芳香族複素環構造又は脂環式構造を有する重合性化合物(a-1)を含んでいてもよい。更に、成分(a)のうち、成分(a-1)の比率は、65重量%以上を占めることが好ましい。65重量%以上とすることで、OPを2.70以下に抑えることが可能となる。
環状構造としては、芳香族構造、芳香族複素環構造又は脂環式構造が挙げられる。
芳香族構造としては、炭素数は、6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい。芳香族環の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フェナレン環、フルオレン環、ベンゾシクロオクテン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、インデン環、インダン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、ペリレン環、テトラヒドロナフタレン環
なお、上述した芳香族環のうち、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。芳香族環は、複数が連結した構造を有していてもよく、例えば、ビフェニル環やビスフェニル環が挙げられる。
芳香族複素環構造としては、炭素数は、1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~5が更に好ましい。芳香族複素環の具体例としては、以下のものが挙げられる。
チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、イソインドール環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環
脂環式構造としては、炭素数は、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、6以上が更に好ましい。また、脂環式構造としては、炭素数は、22以下が好ましく、18以下がより好ましく、6以下が更に好ましく、5以下が一層好ましい。その具体例としては、以下のものが挙げられる。
シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロブテン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ジシクロペンタジエン環、スピロデカン環、スピロノナン環、テトラヒドロジシクロペンタジエン環、オクタヒドロナフタレン環、デカヒドロナフタレン環、ヘキサヒドロインダン環、ボルナン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、イソボルナン環、トリシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、アダマンタン環
250℃以上の沸点を有する重合性化合物(a-1)の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
3-フェノキシベンジルアクリレート(mPhOBzA、OP2.54、沸点367.4℃、80℃蒸気圧0.0004mmHg、分子量254.3)、
1-ナフチルアクリレート(NaA、OP2.27、沸点317℃、80℃蒸気圧0.0422mmHg、分子量198)、
2-フェニルフェノキシエチルアクリレート(PhPhOEA、OP2.57、沸点364.2℃、80℃蒸気圧0.0006mmHg、分子量268.3)
1-ナフチルメチルアクリレート(Na1MA、OP2.33、沸点342.1℃、80℃蒸気圧0.042mmHg、分子量212.2)
2-ナフチルメチルアクリレート(Na2MA、OP2.33、沸点342.1℃、80℃蒸気圧0.042mmHg、分子量212.2)
下記式に示すDPhPA(OP2.38、沸点354.5℃、80℃蒸気圧0.0022mmHg、分子量266.3)
下記式に示すPhBzA(OP2.29、沸点350.4℃、80℃蒸気圧0.0022mmHg、分子量238.3)
下記式に示すFLMA(OP2.20、沸点349.3℃、80℃蒸気圧0.0018mmHg、分子量250.3)
下記式に示すATMA(OP2.13、沸点414.9℃、80℃蒸気圧0.0001mmHg、分子量262.3)
下記式に示すDNaMA(OP2.00、沸点489.4℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量338.4)
下記式に示すBPh44DA(OP2.63、沸点444℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量322.3)
下記式に示すBPh43DA(OP2.63、沸点439.5℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量322.3)
下記式に示すDPhEDA(OP2.63、沸点410℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量322.3)
下記式に示すBPMDA(OP2.68、沸点465.7℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量364.4)
下記式に示すNa13MDA(OP2.71、沸点438.8℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量296.3)
下記式(a-1-1)(OP2.40、沸点333.4℃、80℃蒸気圧0.0181mmHg、分子量199.2)
下記式(a-1-2)(OP2.40、沸点333.4℃、80℃蒸気圧0.0181mmHg、分子量199.2)
下記式(a-1-3)(OP1.86、沸点369.5℃、80℃蒸気圧0.0053mmHg、分子量193.3)
下記式(a-1-4)(OP2.85、沸点438.8℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量296.3)
下記式(a-1-5)(OP2.71、沸点438.8℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量296.3)
下記式(a-1-6)(OP2.87、沸点421.0℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量338.4)
下記式(a-1-7)(OP2.87、沸点465.2℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量338.4)
下記式(a-1-8)(OP2.68、沸点465.7℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量364.4)
下記式(a-1-9)(OP2.50、沸点433.1℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量320.3)
下記式(a-1-10)(OP2.64、沸点468.1℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量326.4)
下記式(a-1-11)(OP3.25、沸点553.4℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量358.4)
下記式(a-1-12)(OP2.63、沸点443.9℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量322.4)
下記式(a-1-13)(OP2.89、沸点509.3℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量406.4)
下記式(a-1-14)(OP2.63、沸点450.0℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量322.4)
下記式(a-1-15)(OP3.00、沸点476.5℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量366.4)
下記式(a-1-16)(OP2.68、沸点447.4℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量364.4)
下記式(a-1-17)(OP2.36、沸点543.8℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量398.5)
下記式(a-1-18)(OP3.27、沸点526.9℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量396.4)
下記式(a-1-19)(OP2.71、沸点333.7℃、80℃蒸気圧0.0302mmHg、分子量244.3)
下記式(a-1-20)(OP2.73、沸点333.7℃、80℃蒸気圧0.0134mmHg、分子量258.3)
下記式(a-1-21)(OP2.71、沸点319.2℃、80℃蒸気圧0.0566mmHg、分子量262.3)
下記式(a-1-22)(OP2.71、沸点336.9℃、80℃蒸気圧0.0055mmHg、分子量244.3)
下記式(a-1-23)(OP3.00、沸点370.9℃、80℃蒸気圧0.0021mmHg、分子量274.4)
下記式(a-1-24)(OP3.00、沸点376.4℃、80℃蒸気圧0.0005mmHg、分子量274.4)
下記式(a-1-25)(OP3.00、沸点379.4℃、80℃蒸気圧0.0002mmHg、分子量288.4)
下記式(a-1-26)(OP2.33、沸点360.8℃、80℃蒸気圧0.0006mmHg、分子量252.3)
下記式(a-1-27)(OP2.54、沸点371.5℃、80℃蒸気圧0.0003mmHg、分子量254.3)
下記式(a-1-28)(OP2.57、沸点381.2℃、80℃蒸気圧0.0001mmHg、分子量268.3)
下記式(a-1-29)(OP2.57、沸点381.8℃、80℃蒸気圧0.0004mmHg、分子量268.3)
下記式(a-1-30)(OP2.50、沸点487.4℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量374.4)
下記式(a-1-31)(OP2.67、沸点417.2℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量268.3)
下記式(a-1-32)(OP2.67、沸点417.2℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量268.3)
下記式(a-1-33)(OP2.67、沸点417.2℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量268.3)
下記式(a-1-34)(OP2.67、沸点417.2℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量268.3)
下記式(a-1-35)(OP2.71、沸点438.8℃、80℃蒸気圧<0.0001mmHg、分子量296.3)
<化合物(a-2):Si原子を少なくとも含む重合性化合物>
本発明に係る一実施形態の重合性化合物(a)は、Si原子を少なくとも含む重合性化合物(a-2)を含んでいてもよい。更に、重合性化合物(a-2)を含む場合には、溶剤(d)が除かれた状態の硬化性組成物(A)が、当該硬化性組成物(A)の全体に対して10重量%以上のSi原子を含むことが好ましい。
Si原子を少なくとも含む重合性化合物(a-2)の一例としては、直鎖状であっても分岐状であってもかまわない。例えば、環状シロキサン化合物など以下のような構造が挙げられる。重合性官能基を有する基Qにおける重合性官能基とは、例えばラジカル重合性官能基が挙げられる。ラジカル重合性官能基としては、具体的には(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルベンゼン基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、マレイミド基である。重合性官能基を有する基Qとは、上記重合性官能基を有する基であればよい。
重合性化合物(a-2)の一例として、その他にも、例えば、以下の化学式(I)のようなシルセスキオキサン骨格や、以下の化学式(II)のようなシリコーン骨格が挙げられる。ここで、化学式(I)中、m+n=8(8≧m≧1)、Rは2価の有機基である。また、化学式(II)中、A、B、R、Rは独立に炭素数1~6のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、水酸基であり、tは1~3の整数であり、AおよびBのうち少なくともいずれか一つは重合性官能基である。
重合性官能基を有する基Q、A、Bにおける重合性官能基とは、例えばラジカル重合性官能基が挙げられる。ラジカル重合性官能基としては、具体的には(メタ)アクリレート系化合物、(メタ)アクリルアミド系化合物、ビニルベンゼン系化合物、アリルエーテル系化合物、ビニルエーテル系化合物、マレイミド系化合物である。重合性官能基を有する基Qとは、上記重合性官能基を有する基であればよい。
シリコン含有(メタ)アクリレート系化合物とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ以上有する化合物のことである。シリコン含有のアクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(2-アクリロイルエトキシ)トリメチルシラン、
N-(3-アクリロイル-2-ヒドロキシプロピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、
アクリロキシメチルトリメトキシシラン、
(アクリロキシメチル)フェネチルトリメトキシシラン、
アクリロキシメチルトリメチルシラン、
(3-アクリロキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、
(3-アクリロキシプロピル)メチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、
(3-アクリロキシプロピル)メチルジクロロシラン 、
(3-アクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、
(3-アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、
(3-アクリロキシプロピル)トリクロロシラン、
(3-アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、
(3-アクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、
アクリロキシトリイソプロピルシラン、
アクリロキシトリメチルシラン、
メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、
O-(メタクリロキシエトキシ)カルバモイルプロピルメチルジメトキシシラン、
(メタクリロキシメチル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、
N-(3-メタクリロイル-2-ヒドロキシプロピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、
(メタクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、
(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、
メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
メタクリロイルプロピルトリイソプロポキシシラン、
O-(メタクリロキシエチル)-N-(トリエトキシシリルプロピル)カルバメート、
メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、
メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、
(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシラン、
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
メタクリロキシプロピルシラトラン、
メタクリロキシペンタメチルジシロキサン、
(メタクリロキシメチル)フェニルジメチルシラン、
メタクリロキシトリメチルシラン、
メタクリロキシメチルトリメチルシラン、
(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシプロピル)メチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、
メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、
O-(メタクリロキシエチル)-3-[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピルカルバメート、
メタクリロキシメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、
メタクリロキシエトキシトリメチルシラン、
(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシプロピル)メチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、
メタクリロキシプロピルトリス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、
メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、
3-メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、
メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、
メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、
3-メタクルロキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、
3-メタクルロキシプロピルジメチルクロロシラン、
O-メタクリロキシ(ポリエチレンオキシ)トリメチルシラン、
ポリ(メタクルロキシプロピルシルセスキオキサン)、
メタクリロキシプロピルヘプタイソブチル-T8-シルセスキオキサン、
メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
上述したシリコン含有単官能(メタ)アクリレート系化合物の市販品としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
SIA0160.0、SIA0180.0、SIA0182.0、SIA0184.0、SIA0186.0、SIA0190.0、SIA0194.0、SIA0196.0、SIA0197.0、SIA0198.0、SIA0199.0、SIA0200.0、SIA0200.A1、SIA0210.0、SIA0315.0、SIA0320.0、SIM6483.0、SIM6487.5、SIM6480.76、SIM6481.2、SIM6486.1、SIM6481.1、SIM6481.46、SIM6481.43、
SIM6482.0、SIM6487.4、SIM6487.35、SIM6480.8、SIM6486.9、SIM6486.8、SIM6486.5、SIM6486.4、SIM6481.3、SIM6487.3、SIM6487.1、SIM6487.6、SIM6486.14、SIM6481.48、SIM6481.5、SIM6491.0、SIM6485.6、SIM6481.15、SIM6487.0、SIM6481.05、SIM6485.8、SIM6481.0、SIM6487.4LI、SIM6481.16、SIM6487.8、SIM6487.6HP、SIM6487.17、SIM6486.7、SIM6487.2、SIM6486.0、SIM6486.2、SIM6487.6-06、SIM6487.6-20、SIM6485.9、SST-R8C42、SLT-3R01、SIM6486.65(以上、GELEST製)、TM-0701T、FM-0711、FM-0721、FM-0725(以上、JNC製)
シリコン含有(メタ)アクリルアミド系化合物とは、アクリルアミド基又はメタクリルアミド基を1つ以上有する化合物のことである。シリコン含有のアクリルアミド基又はメタクリルアミド基を1つ有する単官能(メタ)アクリルアミド系化合物としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
3-アクリルアミドプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルアミドプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
上述したシリコン含有単官能(メタ)アクルアミド系化合物の市販品としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
SIA0146.0、SIA0150.0(以上、GELEST製)
また、アクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
両末端をアクリロキシプロピル基で修飾された直鎖状ポリジメチルシロキサン
両末端をメタクリロキシプロピル基で修飾された直鎖状ポリジメチルシロキサン
複数のアクリロキシプロピル基で修飾された環状シロキサン
複数のメタクリロキシプロピル基で修飾された環状シロキサン
複数のアクリロキシプロピル基で修飾されたシルセスキオキサン
複数のメタクリロキシプロピル基で修飾されたシルセスキオキサン
上述したシリコン含有多官能(メタ)アクリレート系化合物の市販品としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
SIA0200.2、SIA0200.3、SIM6487.42、DMS-R11、DMS-R05、DMS-R22、DMS-R18、DMS-R31
(以上、GELEST製)、FM-7711、FM-7721、FM-7725(以上、JNC製)、X-22-2445(信越化学)、
AC-SQ TA-100 、MAC-SQ TM-100、AC-SQSI-20、MAC-SQ SI-20(以上、東亜合成製)
また、公知の文献(例えば、Ogawaらによる”Ultraviolet curable branchedsiloxanes as low-k dielectrics for imprintlithography”(https;//doi.org/10.1116/1.4770051))により、以下のものを合成および/または入手することができる。
両末端をメタクリロキシプロピル基で修飾された直鎖状変性ポリジメチルシロキサン(MA-Si-12)、
4つのメタクリロキシプロピル基で修飾された8員環シロキサン(8-ring)、
5つのメタクリロキシプロピル基で修飾された10員環シロキサン(10-ring)
硬化性組成物(A)における成分(a)の配合割合は、成分(a)と、後述する成分(b)と、後述する成分(c)との合成、即ち、溶剤(d)を除く全成分の合計質量に対して、40重量%以上99重量%以下であることが好ましい。また、50重量%以上95重量%以下であることがより好ましく、60重量%以上90重量%以下であることが更に好ましい。成分(a)の配合割合を40重量%以上にすることによって、硬化性組成物の硬化膜の機械強度が高くなる。また、成分(a)の配合割合を99重量%以下にすることによって、成分(b)や成分(c)の配合割合を高くすることができ、速い光重合速度などの特性を得ることができる。
1種類以上の重合性化合物を含みうる成分(a)の少なくとも一部は、重合性官能基を有するポリマーであってもよい。かかるポリマーは、芳香族構造、芳香族複素環構造又は脂環式構造などの環構造を少なくとも含むことが好ましい。例えば、以下の化学式(1)~(6)のいずれかで表される構成単位の少なくとも1種を含むことが好ましい。
式(1)~式(6)において、置換基Rは、それぞれ独立に芳香環を含む部分構造を含む置換基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。本明細書において、化学式(1)~(6)で表される構成単位中、R以外の部分を特定のポリマーの主鎖とする。置換基Rの式量は、80以上であり、100以上であることが好ましく、130以上であることがより好ましく、150以上であることが更に好ましい。置換基Rの式量の上限は、500以下であることが実際的である。
重合性官能基を有するポリマーは、通常、重量平均分子量が500以上の化合物であり、1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましい。重量平均分子量の上限は、特に定めるものではないが、例えば、50,000以下が好ましい。重量平均分子量を上述した下限値以上とすることにより、沸点を250℃以上とすることができ、硬化後の機械物性をより向上させることができる。また、重量平均分子量を上述した上限値以下とすることにより、溶剤への溶解性が高く、粘度が高すぎずに離散的に配置される液滴の流動性が維持され、液膜平面の平坦性をより向上させることができる。なお、重量平均分子量(Mw)は、特に述べない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したものをいう。
ポリマーが有する重合性官能基の具体例としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、メチロール基、メチロールエーテル基、ビニルエーテル基などが挙げられる。重合容易性の観点から、特に、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
成分(a)の少なくとも一部として重合性官能基を有するポリマーを添加する場合、その配合割合は、後述する粘度規定に収まる範囲であれば自由に設定することができる。例えば、溶剤(d)を除く全成分の合計質量に対して、0.1重量%以上60重量%以下であることが好ましく、1重量%以上50重量%以下であることがより好ましく、10重量%以上40重量%以下であることが更に好ましい。重合性官能基を有するポリマーの配合割合を0.1重量%以上とすることで、耐熱性、ドライエッチング耐性、機械強度や低揮発性を向上させることができる。また、重合性官能基を有するポリマーの配合割合を60重量%以下とすることで、後述する粘度の上限規定に収めることができる。
<成分(b):光重合開始剤>
成分(b)は、光重合開始剤である。本明細書において、光重合開始剤は、所定の波長の光を感知して、上述した重合因子(ラジカル)を発生させる化合物である。具体的には、光重合開始剤は、光(赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線などの荷電粒子線、放射線)によりラジカルを発生する重合開始剤(ラジカル発生剤)である。成分(b)は、1種類の光重合開始剤のみで構成されていてもよいし、複数種類の光重合開始剤で構成されていてもよい。
ラジカル発生剤としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-又はp-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体などの置換基を有してもよい2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノ-プロパン-1-オンなどのα―アミノ芳香族ケトン誘導体;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-t-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナンタラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノンなどのキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル誘導体;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、プロピルベンゾインなどのベンゾイン誘導体;ベンジルジメチルケタールなどのベンジル誘導体;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン誘導体;N-フェニルグリシンなどのN-フェニルグリシン誘導体;アセトフェノン、3-メチルアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体;チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどのチオキサントン誘導体;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド誘導体;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)などのオキシムエステル誘導体;キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン
上述したラジカル発生剤の市販品としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Irgacure 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI-1700、-1750、-1850、CG24-61、Darocur 1116、1173、Lucirin(登録商標) TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)
上述したラジカル発生剤のうち、成分(b)は、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤であることが好ましい。なお、上述したラジカル発生剤のうち、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤は、以下のものである。
2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド化合物
硬化性組成物(A)における成分(b)の配合割合は、成分(a)と、成分(b)と、後述する成分(c)との合計、即ち、溶剤(d)を除く全成分の合計質量に対して、0.1重量%以上50重量%以下であることが好ましい。また、硬化性組成物(A)における成分(b)の配合割合は、溶剤(d)を除く全成分の合計質量に対して、0.1重量%以上20重量%以下であることがより好ましく、1重量%以上20重量%以下であることが更に好ましい。成分(b)の配合割合を0.1重量%以上にすることによって、組成物の硬化速度が速くなり、反応効率を向上させることができる。また、成分(b)の配合割合を50重量%以下にすることによって、ある程度の機械的強度を有する硬化膜を得ることができる。
<成分(c):非重合性化合物>
本発明に係る一実施形態の硬化性組成物(A)は、上述した成分(a)及び成分(b)の他に、種々の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において、成分(c)として、非重合性化合物を更に含むことができる。このような成分(c)としては、(メタ)アクリロイル基などの重合性官能基を有さず、且つ、所定の波長の光を感知して、上述した重合因子(ラジカル)を発生させる能力を有していない化合物が挙げられる。非重合性化合物としては、例えば、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、酸化防止剤、ポリマー成分、その他の添加剤などが挙げられる。成分(c)として、上述した化合物を複数種類含んでいてもよい。
増感剤は、重合反応促進や反応転化率の向上を目的として、適宜添加される化合物である。増感剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
増感剤としては、例えば、増感色素などが挙げられる。増感色素は、特定の波長の光を吸収することで励起され、成分(b)である光重合開始剤と相互作用する化合物である。ここで、相互作用とは、励起状態の増感色素から成分(b)である光重合開始剤へのエネルギー移動や電子移動などである。増感色素の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、キサントン誘導体、クマリン誘導体、フェノチアジン誘導体、カンファキノン誘導体、アクリジン系色素、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム塩系色素
水素供与体は、成分(b)である光重合開始剤から発生した開始ラジカルや重合生長末端のラジカルと反応し、より反応性が高いラジカルを発生する化合物である。成分(b)である光重合開始剤が光ラジカル発生剤である場合に、水素供与体を添加することが好ましい。
このような水素供与体の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルアミン、トリ-n-ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s-ベンジルイソチウロニウム-p-トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’-ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、トリエタノールアミン、N-フェニルグリシンなどのアミン化合物、2-メルカプト-N-フェニルベンゾイミダゾール、メルカプトプロピオン酸エステルなどのメルカプト化合物
水素供与体は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、水素供与体は、増感剤としての機能を有していてもよい。
型と硬化性組成物との間の界面結合力の低減、即ち、後述する離型工程における離型力の低減を目的として、硬化性組成物に内添型離型剤を添加することができる。本明細書において、内添型とは、硬化性組成物の配置工程の前に、予め硬化性組成物に添加されていることを意味する。内添型離型剤としては、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及び炭化水素系界面活性剤などの界面活性剤などを使用することができる。但し、本発明に係る一実施形態のフッ素系界面活性剤では、後述するように、添加量に制限がある。なお、本発明に係る一実施形態の内添型離型剤は、重合性を有していないものとする。内添型離型剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
フッ素系界面活性剤としては、以下のものが含まれる。
パーフルオロアルキル基を有するアルコールのポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなど)付加物、パーフルオロポリエーテルのポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなど)付加物
なお、フッ素系界面活性剤は、分子構造の一部(例えば、末端基)に、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、アミノ基、チオール基などを有していてもよい。例えば、ペンタデカエチレングリコールモノ1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルエーテルなどが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、市販品を使用してもよい。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、以下のものが挙げられる。
メガファック(登録商標)F-444、TF-2066、TF-2067、TF-2068、略称DEO-15(以上、DIC製)、フロラードFC-430、FC-431(以上、住友スリーエム製)、サーフロン(登録商標)S-382(AGC製)、EFTOP EF-122A、122B、122C、EF-121、EF-126、EF-127、MF-100(以上、トーケムプロダクツ製)、PF-636、PF-6320、PF-656、PF-6520(以上、OMNOVA Solutions製)、ユニダイン(登録商標)DS-401、DS-403、DS-451(以上、ダイキン工業製)、フタージェント(登録商標)250、251、222F、208G(以上、ネオス製)
また、内添型離型剤は、炭化水素系界面活性剤であってもよい。炭化水素系界面活性剤としては、炭素数1~50のアルキルアルコールに炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加した、アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物やポリアルキレンオキサイドなどが含まれる。
アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物としては、以下のものが挙げられる。
メチルアルコールエチレンオキサイド付加物、デシルアルコールエチレンオキサイド付加物、ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物、セチルアルコールエチレンオキサイド付加物、ステアリルアルコールエチレンオキサイド付加物、ステアリルアルコールエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物
なお、アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物の末端基は、単純に、アルキルアルコールにポリアルキレンオキサイドを付加して製造できるヒドロキシル基に限定されるものではない。かかるヒドロキシル基が、その他の置換基、例えば、カルボキシル基、アミノ基、ピリジル基、チオール基、シラノール基などの極性官能基やアルキル基、アルコキシ基などの疎水性官能基に置換されていてもよい。
ポリアルキレンオキサイドとしては、以下のものが挙げられる。
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、これらのモノ又はジメチルエーテル、モノまたはジオクチルエーテル、モノ又はジノニルエーテル、モノ又はジデシルエーテル、モノアジピン酸エステル、モノオレイン酸エステル、モノステアリン酸エステル、モノコハク酸エステル
アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物は、市販品を使用してもよい。アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物の市販品としては、例えば、以下のものが挙げられる。
青木油脂工業製のポリオキシエチレンメチルエーテル(メチルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON MP-400、MP-550、MP-1000)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンデシルエーテル(デシルアルコールエチレンオキサイド付加物)(FINESURF D-1303、D-1305、D-1307、D-1310)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンラウリルエーテル(ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON EL-1505)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンセチルエーテル(セチルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON CH-305、CH-310)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンステアリルエーテル(ステアリルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON SR-705、SR-707、SR-715、SR-720、SR-730、SR-750)、青木油脂工業製のランダム重合型ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(BLAUNON SA-50/50 1000R、SA-30/70 2000R)、BASF製のポリオキシエチレンメチルエーテル(Pluriol(登録商標)A760E)、花王製のポリオキシエチレンアルキルエーテル(エマルゲンシリーズ)
また、ポリアルキレンオキサイドは、市販品を使用してもよく、例えば、BASF製のエチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合物(Pluronic PE6400)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、優れた離型力低減効果を示すため、内添型離型剤として有効である。硬化性組成物(A)におけるフッ素系界面活性剤を除いた成分(c)の配合割合は、成分(a)と、成分(b)と、成分(c)との合計、即ち、溶剤(d)を除く全成分の合計質量に対して、0重量%以上50重量%以下であることが好ましい。また、硬化性組成物(A)におけるフッ素系界面活性剤を除いた成分(c)の配合割合は、溶剤(d)を除く全成分の合計質量に対して、0.1重量%以上50重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以上20重量%以下であることが更に好ましい。フッ素系界面活性剤を除いた成分(c)の配合割合を50重量%以下にすることによって、ある程度の機械的強度を有する硬化膜を得ることができる。
<成分(d):溶剤>
本発明に係る一実施形態の硬化性組成物は、成分(d)として、常圧下において、沸点が100℃以上250℃未満の溶剤を含む。成分(d)としては、成分(a)、成分(b)及び成分(c)が溶解する溶剤、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、含窒素系溶媒などが挙げられる。成分(d)は、1種類を単独で、或いは、2種類以上を組み合わせて用いることができる。成分(d)の常圧下における沸点は、100℃以上とし、140℃以上であることが好ましく、150℃以上であることが特に好ましい。成分(d)の常圧下における沸点は、250℃未満とし、200℃未満であることが好ましい。成分(d)の常圧下における沸点が100℃未満であると、後述する待機工程における揮発速度が速すぎるため、硬化性組成物(A)の液滴同士が結合する前に成分(d)が揮発し、硬化性組成物(A)の液滴同士が結合しない可能性がある。また、成分(d)の常圧下における沸点が250℃以上であると、後述する待機工程において、成分(d)の揮発が不十分となり、硬化性組成物(A)の硬化物に成分(d)が残存する可能性がある。ここで、成分(d)は、1種類以上の溶剤を含む場合、1種類以上の溶剤のそれぞれの常圧下における沸点が、100℃以上250℃未満(例えば100℃以上200℃未満)であるとよい。
アルコール系溶媒としては、例えば、以下のものが挙げられる。
メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、iso-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、iso-ペンタノール、2-メチルブタノール、sec-ペンタノール、tert-ペンタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、sec-ヘキサノール、2-エチルブタノール、sec-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、sec-オクタノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチルヘプタノール-4、n-デカノール、sec-ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec-テトラデシルアルコール、sec-ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾールなどのモノアルコール系溶媒、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール系溶媒
ケトン系溶媒としては、例えば、以下のものが挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-iso-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-iso-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン
エーテル系溶媒としては、例えば、以下のものが挙げられる。
エチルエーテル、iso-プロピルエーテル、n-ブチルエーテル、n-ヘキシルエーテル、2-エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、エチレングリコールジエチルエーテル、2-n-ブトキシエタノール、2-n-ヘキソキシエタノール、2-フェノキシエタノール、2-(2-エチルブトキシ)エタノール、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、1-n-ブトキシ-2-プロパノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン
エステル系溶媒としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミルγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、酢酸n-プロピル、酢酸iso-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸iso-ブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸n-ペンチル、酢酸sec-ペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n-ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸iso-アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ-n-ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル、乳酸n-アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル
含窒素系溶媒としては、例えば、例えば、以下のものが挙げられる。
N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド、N-メチルピロリドン
上述した溶媒のうち、エーテル系溶媒及びエステル系溶媒が好ましい。なお、成膜性に優れる観点から、より好ましいものとして、グリコール構造を有するエーテル系溶媒、エステル系溶媒が挙げられる。
また、更に好ましいものとして、以下のものが挙げられる。
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル
さらに、特に好ましいものとして、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。なお、エチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなども挙げられる。
一実施形態において、好ましい溶剤は、エステル構造、ケトン構造、水酸基、エーテル構造のいずれかを少なくとも1つ有する溶剤である。具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、乳酸エチルから選ばれる単独又はこれらの混合溶剤である。
一実施形態では、溶剤(d)が除かれた状態の硬化性組成物の23℃での表面張力をγ1(mN/m)、溶剤(d)の23℃での表面張力をγ2(mN/m)、Δγ=γ1-γ2としたとき、Δγがゼロよりも大きくなるように硬化性組成物が構成される。具体的には、Δγがゼロよりも大きくなるように溶剤(d)が選ばれる。Δγがゼロよりも大きい場合、後述する待機工程において、マランゴニ効果により硬化性組成物の液滴の拡がりが加速され、速やかに液滴同士が結合され、連続的な液膜が形成される。また、速やかな液滴の拡がりによって溶剤の揮発が加速されるため、後述する待機工程が短時間で完了したり、ベーク工程の条件が緩和あるいは省略されたり、といった効果が得られる。Δγは0.1以上が好ましく、1.0以上が特に好ましく、2.0以上がさらに好ましい。なお、γ1およびγ2は、それぞれ常圧下での表面張力である。
また、一実施形態において、成分(d)として、常圧下において沸点が80℃以上250℃未満である重合性化合物を用いることもできる。常圧下において沸点が80℃以上250℃未満である重合性化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
シクロヘキシルアクリレート(198℃)、ベンジルアクリレート(229℃)、イソボルニルアクリレート(245℃)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(202℃)、トリメチルシクロヘキシルアクリレート(232℃)、イソオクチルアクリレート(217℃)、n-オクチルアクリレート(228℃)、エトキシエトキシエチルアクリレート(沸点230℃)、ジビニルベンゼン(193℃)、1,3-ジイソプロペニルベンゼン(218℃)、スチレン(145℃)、α―メチルスチレン(165℃)
一実施形態では、硬化性組成物(A)の全体を100体積%とした場合、溶剤(d)の含有量を、5体積%以上95体積%以下とし、好ましくは15体積%以上85体積%以下とし、更に好ましくは50体積%以上80体積%以下とする。一例として、溶剤(d)の含有量は、50体積%以上85体積%以下でありうる。溶剤(d)の含有量が5体積%よりも少ないと、実質的に連続的な液膜が得られる条件において、溶剤(d)の揮発後に薄い膜を得ることができない。また、溶剤(d)の含有量が95体積%よりも多いと、インクジェット法により最密に液滴を滴下したとしても、溶剤(d)の揮発後に厚い膜を得ることができない。
<硬化性組成物の配合時の温度>
一実施形態の硬化性組成物(A)を調製する際には、少なくとも、成分(a)、成分(b)、成分(d)を所定の温度条件下で混合・溶解させる。所定の温度条件は、具体的には、0℃以上100℃以下の範囲とする。なお、硬化性組成物(A)が成分(c)を含む場合も同様である。
<硬化性組成物の粘度>
一実施形態の硬化性組成物(A)は、液体とする。これは、後述する配置工程において、硬化性組成物(A)の液滴をインクジェット法により基板上に離散的に滴下するためである。一実施形態の硬化性組成物(A)の粘度は、23℃において、1.3mPa・s以上60mPa・s以下とし、2mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上15mPa・s以下であることが更に好ましい。硬化性組成物(A)の粘度が2mPa・s未満であると、インクジェット法による液滴の吐出性が不安定になる。また、硬化性組成物(A)の粘度が60mPa・sよりも大きいと、一実施形態において好ましい1.0~3.0pL程度の体積の液滴を形成することができない。
硬化性組成物(A)から溶剤(d)が揮発した後の状態、即ち、硬化性組成物(A)のうち溶剤(d)を除く成分の混合物の23℃での粘度は、30mPa・s以上10,000mPa・s以下である。硬化性組成物(A)のうち溶剤(d)を除く成分の混合物の23℃での粘度は、90mPa・s以上2,000mPa・s以下、例えば、120mPa・s以上1000mPa・s以下であることが好ましい。150mPa・s以上500mPa・s以下であることが更に好ましい。硬化性組成物(A)のうち溶剤(d)を除く成分の粘度を1000mPa・s以下にすることによって、硬化性組成物(A)と型とを接触させる際に、スプレッド及びフィルが速やかに完了する。従って、本発明に係る一実施形態の硬化性組成物(A)を用いることで、インプリント処理を高いスループットで実施することができるとともに、充填不良によるパターン欠陥を抑制することができる。また、硬化性組成物(A)のうち溶剤(d)を除く成分の粘度を1mPa・s以上にすることによって、溶剤(d)が揮発した後の硬化性組成物(A)の液滴の不要な流動を防止することができる。更に、硬化性組成物(A)と型とを接触させる際に、型の端部から硬化性組成物(A)が流出しにくくなる。
<硬化性組成物の表面張力>
本発明に係る一実施形態の硬化性組成物(A)から溶剤(d)が揮発した後の状態の表面張力γ1に関しては、23℃での表面張力において5mN/m以上70mN/m以下であることが好ましい。また、溶剤(成分(d))を除く成分の組成物について、23℃での表面張力が、7mN/m以上50mN/m以下であることがより好ましく、10mN/m以上40mN/m以下であることが更に好ましい。なお、表面張力が高いほど、例えば、5mN/m以上であると、毛細管力が強く働くため、硬化性組成物(A)と型とを接触させた際に、充填(スプレッド及びフィル)が短時間で完了する。また、表面張力を70mN/m以下にすることによって、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化膜が、表面平滑性を有する硬化膜となる。
<硬化性組成物の接触角>
本発明に係る一実施形態の硬化性組成物(A)の接触角に関しては、溶剤(成分(d))を除く成分の組成物について、基板の表面及び型の表面の双方に対して0°以上90°以下であることが好ましく、0°以上10°以下であることが特に好ましい。接触角が90°よりも大きいと、型のパターンの内部や基板と型との間隙において、毛細管力が負の方向(型と硬化性組成物との接触界面を収縮させる方向)に働き、硬化性組成物(A)が型に充填しない可能性がある。接触角が小さいほど、毛細管力が強く働くため、充填速度が速くなる。
<硬化性組成物に混入している不純物>
本発明に係る一実施形態の硬化性組成物(A)は、可能な限り、不純物を含まないことが好ましい。なお、不純物とは、上述した成分(a)、成分(b)、成分(c)及び成分(d)以外のものを意味する。従って、本発明に係る一実施形態の硬化性組成物(A)は、精製工程を経て得られたものであることが好ましい。このような精製工程としては、フィルタを用いた濾過などが好ましい。
フィルタを用いた濾過としては、上述した成分(a)、成分(b)及び成分(c)を混合した後、例えば、孔径0.001μm以上5.0μm以下のフィルタで濾過することが好ましい。フィルタを用いた濾過を行う際には、多段階で行ったり、多数回繰り返したりすること(循環濾過)が更に好ましい。また、フィルタで濾過した液体を再度濾過してもよいし、孔径の異なる複数のフィルタを用いて濾過してもよい。濾過に用いるフィルタとしては、ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製、フッ素樹脂製、ナイロン樹脂製などのフィルタが挙げられるが、特に限定されるものではない。このような精製工程を経ることで、硬化性組成物に混入したパーティクルなどの不純物を取り除くことができる。これにより、硬化性組成物に混入した不純物によって、硬化性組成物を硬化させた後に得られる硬化膜に不用意に凹凸が生じてパターンの欠陥となることを防止することができる。
<硬化性組成物の硬化後のガラス転移温度>
ガラス転移温度が離型時の温度よりも十分に高いと、離型時の硬化物が強固なガラス状態、つまり高い機械強度を示す。このため、離型の衝撃によるパターンの倒れや破壊が生じにくい。従って、離型工程を室温で実施する場合、硬化物のガラス転移温度は70℃以上が好ましく、より好ましくは100℃以上、特に好ましくは150℃以上であればよい。
硬化物(光硬化物)のガラス転移温度を測定する方法としては、示差走査熱量分析(DSC)あるいは動的粘弾性装置などを用いて測定することが可能である。例えばDSCを用いて測定を行う場合、硬化物のDSC曲線の低温側のベースライン(試験片に転移および反応を生じない温度領域のDSC曲線部分)を高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線とを得る。そして、当該直線と当該接線との交点から、補外ガラス転移開始温度(Tig)を求め、これをガラス転移温度として求めることができる。主な装置としてSTA-6000(Perkin Eimer製)などが挙げられる。一方、動的粘弾性装置を用いて測定を行う場合、硬化物の損失正接(tanδ)が極大となる温度がガラス転移温度として定義される。動的粘弾性を測定できる主な装置として、MCR301(Anton Paar社製)などが挙げられる。
なお、本発明に係る一実施形態の硬化性組成物を、半導体集積回路を製造するために使用する場合、製品の動作を阻害しないようにするため、金属原子を含む不純物(金属不純物)が硬化性組成物に混入することを極力避けることが好ましい。硬化性組成物に含まれる金属不純物の濃度は、10ppm以下であることが好ましく、100ppb以下であることが更に好ましい。
[基板]
本明細書では、硬化性組成物(A)の液滴が離散的に滴下される部材は、基板として説明される。
基板は、被加工基板であって、通常、シリコンウエハが用いられる。基板は、表面に被加工層を有していてもよい。基板は、被加工層の下に更に他の層が形成されていてもよい。また、基板として石英基板を用いれば、インプリント用の型のレプリカ(レプリカモールド)を作製することができる。但し、基板は、シリコンウエハや石英基板に限定されるものではない。基板は、アルミニウム、チタン-タングステン合金、アルミニウム-ケイ素合金、アルミニウム-銅-ケイ素合金、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの半導体デバイス用基板として知られているものから任意に選択することができる。なお、基板又は被加工層の表面は、シランカップリング処理、シラザン処理、有機薄膜の成膜などの表面処理によって、硬化性組成物(A)との密着性を向上させておくとよい。表面処理として成膜される前記有機薄膜の具体例としては、例えば、特許文献4に記載される密着層を用いることができる。
[膜形成方法]
図1[1]~図1[7]を参照して、一実施形態の膜形成方法について説明する。本実施形態の膜形成方法は、光インプリント法を利用して、型と基板との間の空間に硬化性組成物の膜を形成する。但し、硬化性組成物は、その他のエネルギー(例えば、熱、電磁波)によって硬化されてもよい。本実施形態の膜形成方法は、パターンを有する膜を形成する方法、即ち、パターン形成方法として実施されてもよいし、パターンを有しない膜(例えば、平坦化膜)を形成する方法、即ち、平坦化膜形成方法として実施されてもよい。
本実施形態のパターン形成方法によって形成される硬化膜は、1nm以上10mm以下のサイズのパターンを有する膜であることが好ましく、10nm以上100μm以下のサイズのパターンを有する膜であることがより好ましい。一般的に、光を利用してナノサイズ(1nm以上100nm以下)のパターン(凹凸構造)を有する膜を形成する膜形成方法は、光インプリント法と呼ばれている。
以下、本実施形態の膜形成方法としてパターン形成方法が適用される例について説明する。パターン形成方法は、例えば、形成工程と、配置工程と、待機工程と、接触工程と、硬化工程と、離型工程とを含む。形成工程は、下地層を形成する工程である。配置工程は、下地層の上に硬化性組成物(A)の液滴を離散的に配置する工程である。待機工程は、硬化性組成物(A)の液滴同士が結合し、且つ、溶剤(d)が揮発するまで待機する工程である。接触工程は、硬化性組成物(A)と型とを接触させる工程である。硬化工程は、硬化性組成物(A)を硬化させる工程である。離型工程は、硬化性組成物(A)の硬化膜から型を引き離す工程である。配置工程は、形成工程の後に実施され、待機工程は、配置工程の後に実施され、接触工程は、待機工程の後に実施され、硬化工程は、接触工程の後に実施され、離型工程は、硬化工程の後に実施される。
<配置工程>
配置工程では、図1[1]に模式的に示されるように、基板上に硬化性組成物(A)の液滴が離散的に配置される。配置工程では、1.0pL以上の体積を有する硬化性組成物(A)の液滴が80個/mm以上の密度で配置されうる。基板としては、下地層が積層されている基板を用いてもよい。また、基板の表面は、シランカップリング処理、シラザン処理、有機薄膜の成膜などの表面処理によって、硬化性組成物(A)との密着性が向上されていてもよい。
基板上に硬化性組成物(A)の液滴を配置する配置方法としては、インクジェット法が特に好ましい。硬化性組成物(A)の液滴は、モールド(型)のパターンを構成する凹部が密に存在する領域に対向する基板の領域の上には密に、モールドのパターンを構成する凹部が疎に存在する領域に対向する基板の領域の上には疎に配置されることが好ましい。これにより、基板の上に形成される後述する硬化性組成物(A)の膜(残膜)は、モールドのパターンの疎密にかかわらず、均一な厚さに制御される。
配置すべき硬化性組成物(A)の体積を規定するために、平均残存液膜厚という指標を定義する。平均残存液膜厚は、配置工程において配置される硬化性組成物(A)(溶剤(d)を除く)の体積をモールドの膜形成領域の面積で除した値である。硬化性組成物(A)(溶剤(d)を除く)の体積は、硬化性組成物(A)の個々の液滴の、溶剤(d)が揮発した後の体積の総和である。この定義によれば、基板表面に凹凸がある場合にも、凹凸状態によらずに平均残存液膜厚を規定することができる。ここで、平均残存液膜厚は、後述する待機工程後に残存する硬化性組成物(A)の他軌跡をモールドの膜形成領域の面積で除した値として理解されてもよく、20nm以下であるとよい。
<待機工程>
本発明に係る一実施形態においては、配置工程の後、接触工程の前の間に、待機工程を設けている。ここで、1回のパターン形成で滴下される硬化性組成物(A)の液滴の総体積を、1回のパターン形成でパターンが形成される領域(パターン形成領域)の全面積で除した値を平均初期液膜厚と定義する。待機工程において、硬化性組成物(A)の液滴は、図1[2]に模式的に示されるように、基板の上で拡がる。これにより、基板のパターン形成領域は、全域にわたって、硬化性組成物(A)に被覆される。一実施形態においては、溶剤(d)が除かれた状態の硬化性組成物の表面張力をγ1(mN/m)、溶剤(d)の表面張力をγ2(mN/m)としたとき、γ1がγ2よりも大きいように硬化性組成物が構成される。具体的には、γ1がγ2よりも大きいように溶剤(d)が選択される。このように溶剤(d)を選択すると、滴下した液滴が大きく拡がる(即ち、滴下した液滴の拡がり速度が増加する)。その要因について以下で説明する。
一実施形態では、滴下された液滴には揮発成分が含まれているため、滴下後の揮発により揮発成分の濃度が変化する。揮発成分の表面張力γ2よりも、不揮発成分の表面張力γ1の方が大きいため、揮発に伴って揮発成分の濃度が低くなると表面張力は大きくなる。
また、一般に、滴下された液滴が次第に拡がった後、静止接触角で液滴の拡がりが停止するが、液滴端部における基板との接触角が静止接触角とかけ離れていたほうが拡がり速度が大きい。
また、一実施形態では、液滴の半径に比べて、硬化膜の厚みが非常に薄く、半径方向の濃度拡散は厚み方向の濃度拡散に比べて非常に遅い。
以下、滴下後の液滴の挙動について図2を用いて説明する。図2は、基板上に滴下された液滴が拡がる様子を示しており、301は基板、302は基板上に滴下された液滴を示している。前述したとおり、液滴が拡がる途中においても溶剤成分の揮発は進行する。揮発速度は液滴の表面積に大きく依存するため、液滴の中央部(点線の四角で表される領域303)と液滴の端部(点線の四角で表される領域304)とを比べた場合、液滴の端部の方が、表面積がやや大きく揮発が早い。一方で、液滴の体積は、液滴の端部(領域304)の方が、液滴の中央部(領域303)よりも小さい。このため、液滴の端部(領域304)は、液滴の中央部(領域303)に比べて、揮発が早く且つ体積が小さいため、揮発成分の濃度がより低くなり、表面張力が高くなる。液滴の端部(領域304)の方が液滴の中央部(領域303)よりも表面張力が高いため、マランゴニ効果により液滴の中央部から液滴の端部に向けて力が発生し、液滴の流れが誘起される。
マランゴニ効果により液滴の流れが誘起された場合における液滴の形状は、図3に示すようになる。図3において、301は基板、302は基板上に滴下された液滴である。液滴の端部に向けて液滴の流れが誘起された結果、図3に示されるように、液滴302は、端部が盛り上がった形状となる。この端部の盛り上がりにより、液滴の端部と基板との接触角は、液滴の流れが誘起されない場合に比べて大きくなり、このため液滴の拡がり速度も大きくなる。
後述する実施例によれば、例えば、溶剤(d)が高揮発溶剤で不揮発成分の体積比率20%であり、且つ、液滴ピッチ88μm、即ち平均初期液膜厚が13nm以上である場合が選択される。この場合において、図1[3]に模式的に示されるように、基板上で硬化性組成物(A)の液滴同士が結合して実質的に連続的な液膜になることが数値計算で示された。また、これは、1.0pL以上の体積の硬化性組成物(A)の液滴を、130個/mm以上の密度で配置することを意味している。
次に、図4[1]~図4[4]を参照して、基板上に配置された硬化性組成物(A)の液滴の待機工程中の流動挙動について説明する。硬化性組成物(A)の液滴は、図4[1]に示されるように基板上に離散的に配置され、図4[2]に示されるように各液滴が基板上で徐々に拡がる。そして、図4[3]に示されるように基板上の硬化性組成物(A)の液滴同士が結合し始めて液膜となり、図4[4]に示されるように連続的な液膜となる(基板の表面が硬化性組成物(A)で被覆され、露出面がない状態となる)。図4[4]に示すような硬化性組成物(A)の状態を、以下では「実質的に連続的な液膜」と称することがある。
さらに、待機工程においては、図1[4]に模式的に示されるように、液膜に含まれている溶剤(d)を揮発させる。待機工程の後(例えば、接触工程の開始時)の液膜における溶剤(d)の残存量は、溶剤(d)以外の成分の合計重量を100体積%とすると、10体積%以下とすることが好ましい。溶剤(d)の残存量が10体積%よりも多い場合、硬化膜の機械物性が低くなる可能性がある。
待機工程においては、溶剤(d)の揮発を加速させることを目的として、基板及び硬化性組成物(A)を加熱するベーク工程を実施したり、基板の周囲の雰囲気気体を換気したりしてもよい。加熱は、例えば、30℃以上200℃以下、好ましくは80℃以上150℃以下、特に好ましくは90℃以上110℃で行われる。加熱時間は、10秒以上600秒以下とすることができる。ベーク工程は、ホットプレート、オーブンなどの既知の加熱器を用いて実施することができる。
待機工程は、例えば、0.1秒から600秒とし、好ましくは10秒から300秒とする。待機工程が0.1秒よりも短いと、硬化性組成物(A)の液滴同士の結合が不十分となり、実質的に連続的な液膜が形成されない。待機工程が600秒を超えると、生産性が低下してしまう。そこで、生産性の低下を抑制するために、配置工程が完了した基板を、順次、待機工程に移行させ、複数の基板に対して並列に待機工程を実施し、待機工程が完了した基板を、順次、接触工程に移行させるようにしてもよい。なお、従来技術では、実質的に連続的な液膜が形成されるまで、理論上では、数千秒~数万秒を要するが、実際には、揮発の影響で硬化性組成物の液滴の拡がりが停滞するため、連続的な液膜を形成することができない。
待機工程において、溶剤(d)が揮発すると、成分(a)、成分(b)及び成分(c)からなる実質的に連続的な液膜が残存する。溶剤(d)が揮発した(除去された)実質的に連続的な液膜の平均残存液膜厚は、溶剤(d)が揮発した分だけ、液膜よりも薄くなる。基板のパターン形成領域は、全域にわたって、溶剤(d)が除去された硬化性組成物(A)の実質的に連続的な液膜に被覆された状態が維持される。
<接触工程>
接触工程では、図1[5]に模式的に示されるように、溶剤(d)が除去された硬化性組成物(A)の実質的に連続的な液膜とモールドとを接触させる。接触工程は、硬化性組成物(A)とモールドとが接触していない状態から両者が接触した状態に変更する工程と、両者が接触した状態を維持する工程とを含む。これにより、モールドが表面に有する微細なパターンの凹部に硬化性組成物(A)の液体が充填(フィル)され、かかる液体は、モールドの微細なパターンに充填(フィル)された液膜となる。
本発明に係る一実施形態では、待機工程において、硬化性組成物(A)は、溶剤(d)が除去された実質的に連続的な液膜となるため、モールドと基板との間に巻き込まれる気体の体積が小さくなる。従って、接触工程における硬化性組成物(A)のスプレッドは、速やかに完了する。特許文献1などに開示されている従来技術(従来例)における接触工程と、本実刑体における接触工程との比較(差異)を図5に示す。
接触工程において硬化性組成物(A)のスプレッド及びフィルが速やかに完了すると、モールドを硬化性組成物(A)に接触した状態を維持する時間(接触工程に要する時間)を短くすることができる。そして、接触工程に要する時間を短くすることは、パターンの形成(膜の形成)に要する時間を短縮することにつながるため、生産性の向上をもたらす。接触工程は、0.1秒以上3秒以下であることが好ましく、0.1秒以上1秒以下であることが特に好ましい。接触工程が0.1秒よりも短いと、スプレッド及びフィルが不十分となり、未充填欠陥と呼ばれる欠陥が多発する傾向がある。
モールドとしては、硬化工程が光照射工程を含む場合、これを考慮して光透過性の材料で構成された型が用いられる。モールドを構成する材料の材質としては、具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜などが好ましい。但し、モールドを構成する材料として光透明性樹脂が用いられる場合は、硬化性組成物に含まれる成分に溶解しない樹脂が選択される。石英は、熱膨張係数が小さく、パターン歪みが小さいことから、モールドを構成する材料として好適である。
モールドの表面に形成されるパターンは、例えば、4nm以上200nm以下の高さを有する。モールドのパターンの高さが低いほど、離型工程において、モールドを硬化性組成物の硬化膜から引き離す力、即ち、離型力を小さくすることができ、硬化性組成物のパターンが引きちぎられてモールドに残存する離型欠陥の数を少なくすることができる。また、型を引き離す際の衝撃によって硬化性組成物のパターンが弾性変形し、隣接するパターン要素同士が接触し、癒着、或いは、破損が発生する場合がある。但し、パターン要素の幅に対してパターン要素の高さが2倍程度以下(アスペクト比2以下)であることが、それらの不具合を回避するために有利である。一方、パターン要素の高さが低過ぎると、基板の加工精度が低くなる。
モールドには、硬化性組成物(A)に対するモールドの剥離性を向上させるために、接触工程を実施する前に表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、モールドの表面に離型剤を塗布して離型剤層を形成することが挙げられる。モールドの表面に塗布する離型剤としては、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、炭化水素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤などが挙げられる。例えば、ダイキン工業(株)製のオプツール(登録商標)DSXなどの市販の塗布型離型剤も好適に用いることができる。なお、離型剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。上述した離型剤のうち、フッ素系及び炭化水素系の離型剤が特に好ましい。
接触工程において、モールドを硬化性組成物(A)に接触させる際に、硬化性組成物(A)に加える圧力は、特に限定されるものではなく、例えば、0MPa以上100MPa以下とする。なお、モールドを硬化性組成物(A)に接触させる際に、硬化性組成物(A)に加える圧力は、0MPa以上50MPa以下であることが好ましく、0MPa以上30MPa以下であることがより好ましく、0MPa以上20MPa以下であることが更に好ましい。
接触工程は、大気雰囲気下、減圧雰囲気下、不活性ガス雰囲気下のいずれの条件下でも行うことができるが、酸素や水分による硬化反応への影響を防ぐことができるため、減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。不活性ガス雰囲気下で接触工程を行う場合に用いられる不活性ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、各種フロンガスなど、或いは、これらの混合ガスが挙げられる。二酸化炭素またはヘリウムをモル比率で10%以上含むガスが好ましく、二酸化炭素をモル比率で10%以上含むガスが特に好ましい。ヘリウムガスはモールド、基板、硬化性組成物などに拡散しやすいため、モールドパターン中などに閉じ込められた雰囲気気体が速やかに消失する。二酸化炭素は硬化性組成物や基板上の下地層に溶解しやすいため、モールドパターン中などに閉じ込められた雰囲気気体が速やかに消失する。また、硬化性組成物に対する二酸化炭素の溶解度係数は、0.5kg/m・atm以上10kg/m・atm以下であることが好ましい。これらの詳細については、特開2022-99271号公報(特許文献5)に開示されている。大気雰囲気下を含めて特定のガスの雰囲気下で接触工程を行う場合、好ましい圧力は、0.0001気圧以上10気圧以下である。
<硬化工程>
硬化工程では、図1[6]に模式的に示されるように、硬化用エネルギーとしての照射光を硬化性組成物(A)に照射することによって、硬化性組成物(A)を硬化させて硬化膜を形成する。硬化工程では、例えば、硬化性組成物(A)に対して、モールドを介して照射光が照射される。より詳細には、モールドの微細なパターンに充填された硬化性組成物(A)に対して、モールドを介して照射光が照射される。これにより、モールドの微細なパターンに充填された硬化性組成物(A)が硬化して、パターンを有する硬化膜となる。
照射光は、硬化性組成物(A)の感度波長に応じて選択される。具体的には、照射光は、150nm以上400nm以下の波長の紫外光、X線、又は、電子線などから適宜選択される。なお、照射光は、紫外光であることが特に好ましい。これは、硬化助剤(光重合開始剤)として市販されているものは、紫外光に感度を有する化合物が多いからである。紫外光を発する光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、Deep-UVランプ、炭素アーク灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、Fレーザなどが挙げられる。但し、紫外光を発する光源としては、超高圧水銀灯が特に好ましい。光源の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、型の微細なパターンに充填された硬化性組成物(A)の全域に対して光を照射してもよいし、一部の領域のみに対して(領域を限定して)光を照射してもよい。また、光の照射は、基板の全領域に対して断続的に複数回にわたって行ってもよいし、基板の全領域に対して連続的に行ってもよい。更に、第2照射過程で基板の第1領域に対して光を照射し、第2照射過程で基板の第1領域とは異なる第2領域に対して光を照射してもよい。
<離型工程>
離型工程では、図1[7]に模式的に示されるように、硬化膜からモールドが引き離される。パターンを有する硬化膜とモールドとを引き離すことで、モールドの微細なパターンを反転させたパターンを有する硬化膜が自立した状態で得られる。ここで、パターンを有する硬化膜の凹部にも硬化膜が残存する。かかる膜は、残膜と呼ばれる。
パターンを有する硬化膜からモールドを引き離す手法としては、引き離す際にパターンを有する硬化膜の一部が物理的に破損しなければよく、各種条件なども特に限定されない。例えば、基板を固定して、モールドを基板から遠ざけるように移動させてもよい。また、モールドを固定して、基板をモールドから遠ざけるように移動させてもよい。モールド及び基板の両方を正反対の方向に移動させることで、パターンを有する硬化膜からモールドを引き離してもよい。
<繰り返し>
上述した配置工程から離型工程を、この順で有する一連の工程(製造プロセス)によって、所望の凹凸パターン形状(モールドの凹凸形状に倣ったパターン形状)を、所望の位置に有する硬化膜を得ることができる。
以上のパターン形成方法では、配置工程から離型工程までの繰り返し単位(ショット)を、同一基板上で繰り返して複数回行うことができ、基板の所望の位置に複数の所望のパターンを有する硬化膜を得ることができる。
[平坦化膜形成方法]
以下、本発明に係る一実施形態の膜形成方法が平坦化膜形成方法に適用された例について説明する。平坦化膜形成方法は、例えば、配置工程と、待機工程と、接触工程と、硬化工程と、離型工程とを含む。配置工程は、基板上に硬化性組成物(A)の液滴を配置する工程である。待機工程は、硬化性組成物(A)の液滴同士が結合し、且つ、溶剤(d)が揮発するまで待機する工程である。接触工程は、硬化性組成物(A)と型とを接触させる工程である。硬化工程は、硬化性組成物(A)を硬化させる工程である。離型工程は、硬化性組成物(A)の硬化膜から型を引き離す工程である。平坦化膜形成方法では、基板としては、高低差が10~1,000nm程度の凹凸を有する基板が用いられ、型としては、平坦面を有する型が用いられ、接触工程、硬化工程及び離型工程を経て、型の平坦面に倣った面を有する硬化膜が形成される。配置工程においては、基板の凹部には、硬化性組成物(A)の液滴が密に配置され、基板の凸部には、硬化性組成物(A)が疎に配置される。待機工程は、配置工程の後に実施され、接触工程は、待機工程の後に実施され、硬化工程は、接触工程の後に実施され、離型工程は、硬化工程の後に実施される。
[物品の製造方法]
本実施形態の物品製造方法は、上記の膜形成方法を用いて基板上に硬化性組成物の膜を形成する形成工程と、形成工程で硬化性組成物の膜が形成された基板を加工する加工工程と、加工工程で加工された基板から物品を製造する製造工程と、を含む。膜形成方法は、前述したように、パターン形成方法、或いは平坦化膜形成方法でありうる。
本発明に係る一実施形態のパターン形成方法によって形成されたパターンを有する硬化膜は、各種物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられる。或いは、本発明に係る一実施形態のパターン形成方法によって形成されたパターンを有する硬化膜は、基板(基板が被加工層を有する場合は被加工層)に対するエッチングやイオン注入などのマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程において、エッチングやイオン注入などが行われた後、マスクは除去される。これにより、各種物品を製造することができる。
硬化物パターンの凹部にある硬化物をエッチングにより除去する場合、その具体的な方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えばドライエッチングを用いることができる。ドライエッチングには、従来公知のドライエッチング装置を用いることができる。そして、ドライエッチング時のソースガスは、エッチングに供される硬化物の元素組成によって適宜選択される。当該ソースガスとしては、CF、C、C、CCl、CCl、CBrF、BCl、PCl、SF、Cl等のハロゲン系ガス、O、CO、CO等の酸素原子を含むガス、He、N、Ar等の不活性ガス、H、NHのガス等を使用することができる。なお、これらのガスは混合して用いることもできる。この場合、下地基板を歩留まり良く加工するために、光硬化膜には高いドライエッチング耐性が求められる。
物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型などである。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性又は不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子などが挙げられる。光学素子としては、マイクロレンズ、導光体、導波路、反射防止膜、回折格子、偏光素子、カラーフィルタ、発光素子、ディスプレイ、太陽電池などが挙げられる。MEMSとしては、DMD、マイクロ流路、電気機械変換素子などが挙げられる。記録素子としては、CD、DVDのような光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、磁気ヘッドなどが挙げられる。センサとしては、磁気センサ、光センサ、ジャイロセンサなどが挙げられる。型としては、インプリント用の型などが挙げられる。
また、本発明に係る一実施形態の平坦化膜形成方法によって形成された平坦化膜の上でインプリントリソグラフィ技術や極端紫外線露光技術(EUV)などの既知のフォトリソグラフィ工程を行うことができる。また、スピン・オン・グラス(SOG)膜及び/又は酸化シリコン層を積層し、その上に硬化性組成物を塗布してフォトリソグラフィ工程を行うことができる。これにより、半導体デバイスなどのデバイスを製造することができる。また、そのようなデバイスを含む装置、例えば、ディスプレイ、カメラ、医療装置などの電子機器を形成することもできる。デバイスの例としては、例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D-RDRAM、NANDフラッシュなどが挙げられる。
[実施例]
上述した実施形態を補足するために、より具体的な実施例について説明する。
<実施例1>
本実施例1では、γ1をγ2よりも大きくすると、滴下した液滴が大きく広がること(即ち、液滴の拡がり速度が増加すること)、および、溶剤の揮発が早くなることを、数値計算を用いて示す。なお、前述したように、γ1は、溶剤(d)が除かれた状態の硬化性組成物の23℃における表面張力であり、γ2は、溶剤(d)の23℃での表面張力である。
平坦な基板上に1pLの液滴を接触角90°の初期条件で配置し、液滴が揮発しながら拡がる様子を、自由表面を持つ薄膜近似(潤滑理論)されたナビエ・ストークス方程式を解いて求めた。液滴は不揮発成分、揮発成分の2成分の流体とし、初期条件における不揮発成分の体積比率は20%とした。不揮発成分は、分子量300g/mol、粘度150cP、表面張力(γ1)35mN/mとした。揮発成分は、125g/mol、粘度1.1cPとし、表面張力(γ2)は30、34、34.9、35mN/mの値でそれぞれ計算した。硬化性組成物の粘度および表面張力は、揮発が進むにつれて変化するが、不揮発成分の体積比率の関数として、粘度は指数関数、表面張力は線形関数で補間して用いることとした。また、揮発が完了した時点で計算を終了することとした。
液滴の拡がりに際しては、先行して薄膜が存在することを仮定することとし、先行薄膜の不揮発成分の体積比率は液滴端部と同一であると仮定した。
揮発は、液滴の高さ関数の時間変化のソース項として考慮されており、揮発成分のモル分率に比例し、空間方向は一様な分布としてモデル化されている。比例係数は10-8m/secを用いた。不揮発成分の濃度拡散の拡散係数は、Wilke-Changの式によって求め、不揮発成分の濃度依存性は指数関数で補間した。
図6に、液滴半径の時間変化を示す。横軸は経過時間[sec]であり、縦軸は液滴の半径[m]である。それぞれの曲線は、以下の式(3)で定義されるΔγが異なる。501はΔγ=0、502はΔγ=0.1、503はΔγ=1、504はΔγ=5である。この結果によれば、Δγ=0の時よりもΔγ>0の時の方が、液滴の最大半径は大きく、揮発完了に要する時間が短いことがわかる。また、Δγが大きければ大きいほど、液滴の最大半径は大きく、揮発完了に要する時間が短いこともわかる。
Δγ:=γ1-γ2 式(3)
図7に、Δγに対する液滴の最大半径の依存性を示す。横軸はΔγ[mN/m]であり、縦軸はΔr[μm]である。ここでΔrは、以下の式(4)で定義される。式(4)において、rは液滴の最大半径であり、rはΔγ=0の時の液滴の最大半径である。図7にみられるように、Δγの変化とともにΔrも単調に増加することがわかる。Δγ>0.1mN/mならばΔr>1μmとΔγ=0よりも液滴が拡がることがわかり、さらに、Δγ>1mN/mならばΔr>10μmとΔγ=0よりも顕著に液滴が拡がることがわかる。
Δr:=r-r 式(4)
図8に、Δγに対する揮発時間の依存性を示す。横軸はΔγ[mN/m]であり、縦軸はRtである。ここで、Rtは、以下の式(5)で定義される。式(5)において、tは液滴の揮発時間であり、tはΔγ=0の時の液滴の揮発時間である。図8にみられるように、Δγの変化とともにRtも単調に減少することがわかる。Δγ>0.1mN/mならばRt<0.85とΔγ=0よりも揮発完了に要する時間が短いことがわかり、Δγ>1mN/mならばRt<0.6とΔγ=0よりも顕著に揮発完了に要する時間が短いことがわかる。
Rt:=t/t 式(5)
以上の結果から、Δγ=0の時よりも、Δγ>0の時の方が液滴の最大半径が大きく、揮発完了に要する時間が短いことがわかる。また、液滴の最大半径及び揮発完了に要する時間に効果がみられるためには、好ましくはΔγ>0.1mN/mが望ましく、より好ましくはΔγ>1mN/mが望ましいことがわかる。
<実施例2>
本実施例2では、γ1をγ2よりも大きくすると、より薄い硬化膜が作成可能であることを、数値計算を用いて示す。
一般に、配置する液滴の間隔が小さければ、液滴同士が結合して連続的な液膜を形成し、液滴の間隔が大きければ、液滴同士が結合できずに連続的な液膜を形成できない。揮発完了までに連続的な液膜を形成可能な液滴間隔の最大値のことを、以下では液滴臨界ピッチと呼ぶこととする。上記の実施例1で説明したように、Δγ=0の時よりもΔγ>0の時の方が、揮発完了までの液滴の最大半径は大きくなる。このことは、Δγ=0の時よりもΔγ>0の時の方が、液滴臨界ピッチが大きいことを示唆している。
液滴を正方配列で配置した初期条件の下で、上記の実施例1と同様の方法で数値計算を行い、液滴臨界ピッチを調べた。その結果を、以下の表1、表2に示す。それぞれの表では、Δγ=0の時と、Δγ=5の時のそれぞれにおいて、各液滴ピッチで、揮発完了までに連続的な液膜を形成可能かどうかを示している。それぞれの表において「OK」は形成可能であることを示し、「NG」は形成不可能であったことを示す。なお、表1は、揮発の比例係数が5×10-8m/sec程度の高揮発な溶剤の結果を示しており、表2は、揮発の比例係数が7×10-10m/sec程度の低揮発な溶剤の結果を示している。
表1によれば、高揮発な溶剤の場合、Δγ=0の時の液滴臨界ピッチは56μmから63μmの間であることが分かり、Δγ=5の時の液滴臨界ピッチは88μmから94μmの間であることが分かる。このように、Δγ=0の時よりもΔγ>0の時の方が、液滴臨界ピッチが大きいことがわかる。液滴ピッチ56μmは膜厚63nm、液滴ピッチ88μmは膜厚26nmを示しており、Δγ=0の時よりもΔγ>0の時の方が、より薄い硬化膜を作成可能であることがわかる。
表2によれば、低揮発な溶剤の場合、Δγ=0の時の液滴臨界ピッチは88μmから94μmの間であることが分かり、Δγ=5の時の液滴臨界ピッチは119μmから125μmの間であることが分かる。このように、Δγ=0の時よりもΔγ>0の時の方が、液滴臨界ピッチが大きいことがわかる。液滴ピッチ88μmは膜厚26nm、液滴ピッチ119μmは膜厚14nmを示しており、Δγ=0の時よりもΔγ>0の時の方が、より薄い硬化膜を作成可能であることがわかる。
<インクジェット吐出性と充填性の評価>
以下の表3に従って、重合性化合物(a)単官能、重合性化合物(a)多官能、光重合開始剤(b)及び溶剤(d)を、合計100重量%となるように硬化性組成物(A)を混合した。表4における略称、単体の各種物性値を表4、表5に示す。硬化性組成物(A)と溶剤(d)を用いずに混合した硬化性組成物(A)との23℃における粘度を測定した。また、上述の方法を経て溶剤(d)を除去した状態(溶剤除去時)での重合性化合物(a){単官能化合物及び多官能化合物の合計}のOPを算出した。更に、硬化性組成物の硬化後のガラス転移温度を測定した。以上の結果を表6に示す。また、表3で使用した光重合開始剤の詳細を以下に示す。
『光重合開始剤(b)』
Omnirad819:フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(IGM Resin製)
『界面活性剤』
S1:メガファックF-444(DIC(株)製)
S2:アデカプルロニック(登録商標)L-44(ADEKA製)
<インクジェット吐出の評価>
インクジェット吐出評価は、市販の産業用マテリアルプリンターDMP-2850(富士フイルム製)を用いた。表3で得られた実施例3~22、及び、比較例1~6をそれぞれ1pLカートリッジに充填した。そして、吐出している様子を内蔵の吐出観察カメラで観察し、以下の判定基準で評価した。
(評価基準)
AAA:11m/sec以上の飛翔速度で、ヨレがまったく認められなかった。
AA :11m/sec以上の飛翔速度で、実用上影響がないレベルの極わずかなヨレが認められた。
A :10m/sec以上の飛翔速度で、実用上影響がないレベルの極わずかなヨレが認められた。
B :吐出されなかった。
<充填性の評価>
溶剤(d)が揮発する前の液膜の厚さが80nmとなる条件で、実施例3~22、及び、比較例1~6の硬化性組成物(A)をシリコン基板上に離散的に滴下(配置)した。そして、実質的に連続的な液膜を形成されるまでの時間を計測し、以下の判定基準で評価した。
(評価基準)
AAA:100秒未満の時間内に連続的な液膜になった。
AA :100秒以上200秒未満の時間内に連続的な液膜になった。
A :200秒以上300秒未満の時間内に連続的な液膜になった。
B :300秒経過しても連続的な液膜にならなかった。
<パターン倒れの評価>
実施例3~22、及び、比較例1~6の硬化性組成物(A)に対し、深さ50nm、幅20nmのライン・アンド・スペース(L/S)パターンが全領域に形成された石英製モールドを用いて配置工程、待機工程、接触工程、硬化工程、離型工程を実施した。そして、これらの工程を経て得られたパターンを観察し、以下の判定基準で評価した。
(評価基準)
AAA:パターン形成領域のうち0.5%未満の領域にパターン倒れが観察された。
AA :パターン形成領域のうち1%未満の領域にパターン倒れが観察された。
A :パターン形成領域のうち10%未満の領域にパターン倒れが観察された。
B :パターン形成領域のうち10%以上の領域にパターン倒れが観察された。
<ドライエッチング耐性の評価>
実施例3~18、及び、比較例1~6で得られた硬化膜をドライエッチング装置内で酸素プラズマに暴露した。また、実施例19~22で得られた硬化膜をドライエッチング装置内でCFプラズマに暴露した。そして、各実施例で残存した膜の重量変化を測定し、以下の判定基準で評価した。
(評価基準)
AAA:残存した硬化膜の重量がエッチング前の46%以上だった。
AA :残存した硬化膜の重量がエッチング前の42%以上だった。
A :残存した硬化膜の重量がエッチング前の38%以上だった。
B :残存した硬化膜の重量がエッチング前の38%未満だった。
以上の評価結果を表7に示す。硬化性組成物の23℃における粘度が、1.3mPa・s以上60mPa・s以下であればインクジェット吐出が良好であることがわかる。硬化性組成物の23℃における粘度は、好ましくは3mPa・s以上30mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以上15mPa・s以下であると、インクジェット吐出がより良好であることがわかる。溶剤が除去された状態の硬化性組成物の表面張力γ1(mN/m)が溶剤の表面張力γ2よりも大きい方がインクジェット充填性が良好であることが分かる。好ましくはΔγ=γ1-γ2>0.1(mN/m)、さらに好ましくはΔγ=γ1-γ2>1.0(mN/m)、より好ましくはΔγ=γ1-γ2>2.0(mN/m)であることがわかる。
また、硬化後の硬化性組成物のガラス転移温度が130℃以上の場合では、パターン形成領域のうち0.5%未満の領域にパターン倒れが観察された。ガラス転移温度が100℃以上130℃未満の場合では、パターン形成領域のうち1%未満の領域にパターン倒れが観察された。ガラス転移温度が70℃以上100℃未満の場合では、パターン形成領域のうち10%未満の領域にパターン倒れが観察された。ガラス転移温度が70℃未満の場合では、パターン形成領域のうち10%以上の領域にパターン倒れが観察された。但し、いずれの場合においても、パターン倒れの程度は軽微であった。
また、実施例3~18、及び、比較例1~6において、重合性化合物(a)のOPが2.50以上3.00以下であれば、残存した硬化膜の重量はエッチング前の46%以上である。重合性化合物(a)のOPが3.00以上3.50未満であれば42%以上、重合性化合物(a)のOPが3.50以上4.00以下であれば38%以上が硬化膜として残存していた。また、実施例19~22の硬化性組成物(A)は、前記溶剤(d)が除かれた状態において10重量%以上のSi原子を含んでいれば、38%以上が硬化膜として残存していた。
<実施形態のまとめ>
本明細書の開示は、少なくとも以下の硬化性組成物、膜形成方法、および物品製造方法を含む。
(項目1)
重合性化合物(a)と光重合開始剤(b)と溶剤(d)とを少なくとも含む硬化性組成物であって、
前記硬化性組成物の23℃における粘度が1.3mPa・s以上60mPa・s以下であり、
前記硬化性組成物の全体に対する前記溶剤(d)の含有量が5体積%より大きく95体積%以下であり、
前記溶剤(d)の沸点が250℃未満であり、
前記溶剤(d)が除かれた状態の前記硬化性組成物の23℃における表面張力をγ1(mN/m)、前記溶剤(d)の23℃における表面張力をγ2(mN/m)としたとき、γ1がγ2よりも大きい、
ことを特徴とする硬化性組成物。
(項目2)
Δγ=γ1-γ2>0.1(mN/m)である、ことを特徴とする項目1に記載の硬化性組成物。
(項目3)
Δγ=γ1-γ2>1(mN/m)である、ことを特徴とする項目1に記載の硬化性組成物。
(項目4)
前記溶剤(d)が除かれた状態の前記硬化性組成物は、23℃において、30mPa・s以上10,000mPa・s以下の粘度を有する、ことを特徴とする項目1乃至3のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目5)
前記溶剤(d)は、1種類以上の溶剤を含み、前記1種類以上の溶剤のそれぞれの常圧下における沸点は、100℃以上250℃未満である、ことを特徴とする項目1乃至4のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目6)
前記溶剤(d)は、常圧下における沸点が100℃以上250℃未満の重合性化合物を含む、ことを特徴とする項目1乃至5のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目7)
前記溶剤(d)は、1種類以上の溶剤を含み、前記1種類以上の溶剤のそれぞれの常圧下における沸点は、100℃以上200℃未満である、ことを特徴とする項目1乃至6のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目8)
前記硬化性組成物の全体に対する前記溶剤(d)の含有量は、50体積%以上85体積%以下である、ことを特徴とする項目1乃至6のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目9)
前記重合性化合物(a)における多官能重合性化合物の比率が、20重量%以上を占める、ことを特徴とする項目1乃至8のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目10)
前記重合性化合物(a)は、1種類以上の重合性化合物を含み、前記1種類以上の重合性化合物のそれぞれの常圧下における沸点は、250℃以上である、ことを特徴とする項目1乃至9のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目11)
前記重合性化合物(a)は、1種類以上の重合性化合物を含み、前記1種類以上の重合性化合物のそれぞれの分子量は、200以上である、ことを特徴とする項目1乃至10のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目12)
前記重合性化合物(a)として、重合性官能基を有するポリマーを少なくとも含む、ことを特徴とする項目1乃至10のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目13)
前記溶剤(d)が除かれた状態の前記重合性化合物(a)を硬化させることで得られる硬化物のガラス転移温度が70℃以上である、ことを特徴とする項目1乃至12のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目14)
前記重合性化合物(a)は、1種類以上の重合性化合物を含み、前記1種類以上の重合性化合物のそれぞれの80℃における蒸気圧は、0.001mmHg以下である、ことを特徴とする項目1乃至13のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目15)
前記重合性化合物(a)として、芳香族構造、芳香族複素環構造又は脂環式構造を有する化合物(a-1)を少なくとも含む、ことを特徴とする項目1乃至14のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目16)
前記重合性化合物(a)は、1種類以上の重合性化合物を含み、
前記重合性化合物(a)のオオニシパラメータ(OP)は、1.80以上4.00以下であるとともに、前記1種類以上の重合性化合物のそれぞれの分子のN/(NC-NO)値のモル分率加重平均値であり、Nは分子中の全原子数であり、NCは前記分子中の炭素原子数であり、NOは前記分子中の酸素原子数である、ことを特徴とする項目1乃至15のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目17)
前記重合性化合物(a)として、Si原子を少なくとも含む化合物(a-2)を少なくとも含む、ことを特徴とする項目1乃至16のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目18)
前記Si原子を少なくとも含む化合物(a-2)として、シルセスキオキサン骨格または環状シロキサン化合物を有する重合性化合物を少なくとも含む、ことを特徴とする項目17に記載の硬化性組成物。
(項目19)
前記溶剤(d)が除かれた状態の前記硬化性組成物は、10重量%以上のSi原子を含む、ことを特徴とする項目1乃至16のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目20)
前記硬化性組成物は、インクジェット用の硬化性組成物である、ことを特徴とする項目1乃至19のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目21)
前記硬化性組成物に対する二酸化炭素の溶解度係数が0.5kg/m・atm以上10kg/m・atm以下である、ことを特徴とする項目1乃至20のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物。
(項目22)
型と基板との間の空間に硬化性組成物の膜を形成する膜形成方法であって、
前記基板上に、項目1乃至21のうちいずれか1項目に記載の硬化性組成物の複数の液滴を離散的に配置する配置工程と、
前記基板上に離散的に配置された前記複数の液滴が隣接する液滴と結合して前記基板上で連続的な液膜を形成するように待機する待機工程と、
前記待機工程の後、前記型と前記基板上の前記液膜とを接触させる接触工程と、
を有することを特徴とする膜形成方法。
(項目23)
前記待機工程では、前記液膜に含まれる溶剤が揮発して、前記溶剤の含有量が前記液膜の全体に対して10体積%以下になるまで待機する、ことを特徴とする項目22に記載の膜形成方法。
(項目24)
前記待機工程では、30℃以上200℃以下、且つ、10秒以上600秒以下の条件で前記基板を加熱する、ことを特徴とする項目22又は23に記載の膜形成方法。
(項目25)
前記配置工程では、前記基板上に、1.0pL以上の体積を有する前記硬化性組成物の液滴を、80個/mm以上の密度で配置する、ことを特徴とする項目22乃至24のうちいずれか1項目に記載の膜形成方法。
(項目26)
前記待機工程後に残存する前記硬化性組成物の体積を膜形成領域の面積で除した値である平均残存液膜厚が20nm以下である、ことを特徴とする項目22乃至25のうちいずれか1項目に記載の膜形成方法。
(項目27)
前記型は、パターンを含み、
前記接触工程では、前記型の前記パターンと前記基板上の前記液膜とを接触させ、
前記膜形成方法は、前記接触工程の後、前記液膜を硬化させ、前記型の前記パターンに対応するパターンを有する硬化膜を形成する硬化工程を更に有する、
ことを特徴とする項目22乃至26のうちいずれか1項目に記載の膜形成方法。/
(項目28)
前記型は、平坦面を含み、
前記接触工程では、前記型の前記平坦面と前記基板上の前記液膜とを接触させ、
前記膜形成方法は、前記接触工程の後、前記液膜を硬化させ、前記型の前記平坦面に倣った面を有する硬化膜を形成する硬化工程を更に有する、
ことを特徴とする項目22乃至26のうちいずれか1項目に記載の膜形成方法。
(項目29)
前記配置工程では、インクジェット法を用いて、前記基板上に前記複数の液滴を離散的に配置する、ことを特徴とする項目22乃至28のうちいずれか1項目に記載の膜形成方法。
(項目30)
前記接触工程において、前記基板と前記型との間の空間を満たす気体が、モル比率で10%以上の二酸化炭素を含む、ことを特徴とする項目22乃至29のうちいずれか1項目に記載の膜形成方法。
(項目31)
項目22乃至30のいずれか1項目に記載の膜形成方法を用いて、基板上に硬化性組成物の膜を形成する形成工程と、
前記形成工程で前記膜が形成された前記基板を加工する加工工程と、
前記加工工程で加工された前記基板から物品を製造する製造工程と、
を含むことを特徴とする物品製造方法。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。

Claims (31)

  1. 重合性化合物(a)と光重合開始剤(b)と溶剤(d)とを少なくとも含む硬化性組成物であって、
    前記硬化性組成物の23℃における粘度が1.3mPa・s以上60mPa・s以下であり、
    前記硬化性組成物の全体に対する前記溶剤(d)の含有量が5体積%より大きく95体積%以下であり、
    前記溶剤(d)の沸点が250℃未満であり、
    前記溶剤(d)が除かれた状態の前記硬化性組成物の23℃における表面張力をγ1(mN/m)、前記溶剤(d)の23℃における表面張力をγ2(mN/m)としたとき、γ1がγ2よりも大きい、
    ことを特徴とする硬化性組成物。
  2. Δγ=γ1-γ2>0.1(mN/m)である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. Δγ=γ1-γ2>1(mN/m)である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  4. 前記溶剤(d)が除かれた状態の前記硬化性組成物は、23℃において、30mPa・s以上10,000mPa・s以下の粘度を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  5. 前記溶剤(d)は、1種類以上の溶剤を含み、前記1種類以上の溶剤のそれぞれの常圧下における沸点は、100℃以上250℃未満である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  6. 前記溶剤(d)は、常圧下における沸点が100℃以上250℃未満の重合性化合物を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  7. 前記溶剤(d)は、1種類以上の溶剤を含み、前記1種類以上の溶剤のそれぞれの常圧下における沸点は、100℃以上200℃未満である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  8. 前記硬化性組成物の全体に対する前記溶剤(d)の含有量は、50体積%以上85体積%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  9. 前記重合性化合物(a)における多官能重合性化合物の比率が、20重量%以上を占める、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  10. 前記重合性化合物(a)は、1種類以上の重合性化合物を含み、前記1種類以上の重合性化合物のそれぞれの常圧下における沸点は、250℃以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  11. 前記重合性化合物(a)は、1種類以上の重合性化合物を含み、前記1種類以上の重合性化合物のそれぞれの分子量は、200以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  12. 前記重合性化合物(a)として、重合性官能基を有するポリマーを少なくとも含む、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  13. 前記溶剤(d)が除かれた状態の前記重合性化合物(a)を硬化させることで得られる硬化物のガラス転移温度が70℃以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  14. 前記重合性化合物(a)は、1種類以上の重合性化合物を含み、前記1種類以上の重合性化合物のそれぞれの80℃における蒸気圧は、0.001mmHg以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  15. 前記重合性化合物(a)として、芳香族構造、芳香族複素環構造又は脂環式構造を有する化合物(a-1)を少なくとも含む、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  16. 前記重合性化合物(a)は、1種類以上の重合性化合物を含み、
    前記重合性化合物(a)のオオニシパラメータ(OP)は、1.80以上4.00以下であるとともに、前記1種類以上の重合性化合物のそれぞれの分子のN/(N-N)値のモル分率加重平均値であり、Nは分子中の全原子数であり、Nは前記分子中の炭素原子数であり、Nは前記分子中の酸素原子数である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  17. 前記重合性化合物(a)として、Si原子を少なくとも含む化合物(a-2)を少なくとも含む、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  18. 前記Si原子を少なくとも含む化合物(a-2)として、シルセスキオキサン骨格または環状シロキサン化合物を有する重合性化合物を少なくとも含む、ことを特徴とする請求項17に記載の硬化性組成物。
  19. 前記溶剤(d)が除かれた状態の前記硬化性組成物は、10重量%以上のSi原子を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  20. 前記硬化性組成物は、インクジェット用の硬化性組成物である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  21. 前記硬化性組成物に対する二酸化炭素の溶解度係数が0.5kg/m・atm以上10kg/m・atm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  22. 型と基板との間の空間に硬化性組成物の膜を形成する膜形成方法であって、
    前記基板上に、請求項1乃至21のうちいずれか1項に記載の硬化性組成物の複数の液滴を離散的に配置する配置工程と、
    前記基板上に離散的に配置された前記複数の液滴が隣接する液滴と結合して前記基板上で連続的な液膜を形成するように待機する待機工程と、
    前記待機工程の後、前記型と前記基板上の前記液膜とを接触させる接触工程と、
    を有することを特徴とする膜形成方法。
  23. 前記待機工程では、前記液膜に含まれる溶剤が揮発して、前記溶剤の含有量が前記液膜の全体に対して10体積%以下になるまで待機する、ことを特徴とする請求項22に記載の膜形成方法。
  24. 前記待機工程では、30℃以上200℃以下、且つ、10秒以上600秒以下の条件で前記基板を加熱する、ことを特徴とする請求項22に記載の膜形成方法。
  25. 前記配置工程では、前記基板上に、1.0pL以上の体積を有する前記硬化性組成物の液滴を、80個/mm以上の密度で配置する、ことを特徴とする請求項22に記載の膜形成方法。
  26. 前記待機工程後に残存する前記硬化性組成物の体積を膜形成領域の面積で除した値である平均残存液膜厚が20nm以下である、ことを特徴とする請求項22に記載の膜形成方法。
  27. 前記型は、パターンを含み、
    前記接触工程では、前記型の前記パターンと前記基板上の前記液膜とを接触させ、
    前記膜形成方法は、前記接触工程の後、前記液膜を硬化させ、前記型の前記パターンに対応するパターンを有する硬化膜を形成する硬化工程を更に有する、
    ことを特徴とする請求項22に記載の膜形成方法。
  28. 前記型は、平坦面を含み、
    前記接触工程では、前記型の前記平坦面と前記基板上の前記液膜とを接触させ、
    前記膜形成方法は、前記接触工程の後、前記液膜を硬化させ、前記型の前記平坦面に倣った面を有する硬化膜を形成する硬化工程を更に有する、
    ことを特徴とする請求項22に記載の膜形成方法。
  29. 前記配置工程では、インクジェット法を用いて、前記基板上に前記複数の液滴を離散的に配置する、ことを特徴とする請求項22に記載の膜形成方法。
  30. 前記接触工程において、前記基板と前記型との間の空間を満たす気体が、モル比率で10%以上の二酸化炭素を含む、ことを特徴とする請求項22に記載の膜形成方法。
  31. 請求項22に記載の膜形成方法を用いて、基板上に硬化性組成物の膜を形成する形成工程と、
    前記形成工程で前記膜が形成された前記基板を加工する加工工程と、
    前記加工工程で加工された前記基板から物品を製造する製造工程と、
    を含むことを特徴とする物品製造方法。
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