JP2024078334A - 記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 吐出状態の検査時間を短縮することを目的とする。【解決手段】 一度の吐出信号内に複数の判定タイミングを設けることで正常、ヨレ、不良吐出の3状態が判定可能になる。【選択図】 図3
Description
本発明は記録装置に関する。
インクジェット記録方式の記録ヘッドは、異物や粘度が増加したインクなどによるノズルの目詰まり、インク供給経路やノズル内に混入した気泡、あるいはノズル表面の濡れ性の変化などの原因により、インク吐出不良が発生することがある。
特許文献1には、閾値として第1の閾値を設定し、検査手段による検査を第1のタイミングで実行する第1のモードと、閾値として第1の閾値とは異なる第2の閾値を設定し、検査手段による検査を前記第1のタイミングとは異なる第2のタイミングで実行する第2のモードとの少なくともいずれかを実行させることが開示されている。
特許文献1の方法では、インクを正常に吐出するノズル、インクの吐出不良が発生したノズル、インクの不吐出が発生したノズルを判定するためには、対象となるノズルを2回吐出、それぞれ判定を行う必要があり、時間がかかる。
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、吐出状態の検査時間を短縮することを目的とする。
本発明は、インクを吐出する複数のノズルと、該複数のノズルに対応して設けられた複数の記録素子と、前記記録素子に対向する領域である圧力室、前記圧力室のインクの状態に関する信号を出力する出力手段と、を備えた記録ヘッドと、前記記録ヘッドに備えられる前記複数のノズルからインクの吐出状態を検査する対象となるノズルを選択する選択手段と、前記選択手段により選択されたノズルの吐出状態を判定するための閾値を設定する閾値設定手段と、前記選択されたノズルの吐出状態を判定するタイミングを複数設定するタイミング設定手段と、前記パルスを印加して前記記録ヘッドからインクを吐出させたときの前記出力手段が出力した信号における前記設定されたタイミングでの信号と、前記閾値とに基づき、設定されたタイミングそれぞれにおける結果を検査する検査手段と、前記検査手段が検査した結果に基づき、前記選択されたノズルの吐出状態を判断する判断手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、吐出状態の検査時間を短縮することができる。
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施の形態を示す。特に図示あるいは記述をしない構成や工程には、当該技術分野の周知技術または公知技術を適用することが可能である。また、重複する説明は省略する場合がある。
以下、本発明の実施の形態を示す。特に図示あるいは記述をしない構成や工程には、当該技術分野の周知技術または公知技術を適用することが可能である。また、重複する説明は省略する場合がある。
さらに、「インク」とは、記録媒体上に付与されることにより、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路であり、「記録素子は」吐出口に対応して設けられ、インク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を指すものとして用いる。例えば、吐出口と対向する位置に記録素子が設けられることがある。
以下に用いる記録ヘッド用の素子基板(ヘッド基板)とは、シリコン半導体からなる単なる基体を指し示すものではなく、各素子や配線等が設けられた構成を差し示すものである。
さらに、基板上とは、単に素子基板の上を指し示すだけでなく、素子基板の表面、表面近傍の素子基板内部側をも示すものである。また、本実施形態でいう「作り込み(built-in)」とは、別体の各素子を単に基体表面上に別体として配置することを指し示している言葉ではなく、各素子を半導体回路の製造工程等によって素子板上に一体的に形成、製造することを示すものである。
(1)回路構成
図1に本実施形態の吐出検知回路の全体構成を示す。吐出検知回路はノズルから液体を吐出して記録媒体に画像を記録する記録ヘッドに設けられている。記録ヘッドは複数のノズルと、各ノズルに対応して設けられる複数の記録素子、センサを有している。記録素子がエネルギーを発生させることによってノズルから液体が吐出される。記録素子としては、ヒータやピエゾ素子を用いることができる。第1の実施形態では記録素子がヒータであるとして説明を行う。記録素子がヒータの場合には、センサは温度検知素子である。
図1に本実施形態の吐出検知回路の全体構成を示す。吐出検知回路はノズルから液体を吐出して記録媒体に画像を記録する記録ヘッドに設けられている。記録ヘッドは複数のノズルと、各ノズルに対応して設けられる複数の記録素子、センサを有している。記録素子がエネルギーを発生させることによってノズルから液体が吐出される。記録素子としては、ヒータやピエゾ素子を用いることができる。第1の実施形態では記録素子がヒータであるとして説明を行う。記録素子がヒータの場合には、センサは温度検知素子である。
第一に、検知したい任意の記録素子の温度(ヒータ温度)を検知するために薄膜抵抗体からなるセンサを選択しセンサ電流11(Iref)をソースする。
第二に、選択したセンサ12と同一のノズルを駆動しインクを吐出する。
第三に、センサの両端電圧を信号増幅回路で増幅する。
第四に、信号処理回路内のフィルタ回路により、ノイズをカットするとともに傾き成分を強調する。
第五に、信号処理回路内のフィルタ通過後の信号を反転及び増幅する。
第六に、増幅した信号を判定タイミング1(13)で判定閾値電圧と比較した結果をS/Rにセットする。
第七に、増幅した信号を判定タイミング2(14)で判定閾値電圧と比較した結果をS/Rにセットする。
第八に、S/Rにセットした結果からインクの吐出状態を判定する。
(2)温度検知素子の構成
図5はシリコン基板に形成された記録素子近傍の多層配線構造を示す図である。
図5はシリコン基板に形成された記録素子近傍の多層配線構造を示す図である。
図5(a)は温度検知素子306を記録素子309の下層に層間絶縁膜307を介してシート状に配置した上面図である。図5(b)は図5(a)に示した上面図における破線x-x’に沿った断面図であり、図5(c)は図5(a)に示した破線y-y’に沿った断面図である。
図5(b)に示すx-x’断面図と図5(c)に示すy-y’断面図において、シリコン基板上に積層した絶縁膜302の上にアルミニウム等からなる配線303が形成され、さらに配線303の上に層間絶縁膜304が形成される。配線303と、チタン及び窒化チタン積層膜等からなる薄膜抵抗体の温度検知素子306とが層間絶縁膜304に埋め込まれたタングステン等からなる導電プラグ305を介して電気的に接続される。
次に、温度検知素子306の下側に層間絶縁膜307が形成される。そして、配線303と、タンタル窒化珪素膜等からなる発熱抵抗体の記録素子309とが、層間絶縁膜304及び層間絶縁膜307を貫通するタングステン等からなる導電プラグ308を介して電気的に接続される。
記録素子309にパルスが印加されて記録素子309が熱エネルギーを発生させることにより、記録素子と対向する位置の領域である圧力室313内にあるインクが吐出される。
なお、下層の導電プラグと上層の導電プラグを接続する際は、中間の配線層からなるスペーサを挟んで接続されるのが一般的である。この実施例に適用する場合、中間の配線層となる温度検知素子の膜厚が数10nm程度の薄膜のため、ビアホール工程の際、スペーサとなる温度検知素子膜に対するオーバエッチ制御の精度が求められる。また、温度検知素子層のパターンの微細化に不利にもなる。このような事情を鑑み、この実施例では層間絶縁膜304及び層間絶縁膜307を貫通させた導電プラグを採用している。
また、プラグの深さに応じて導通の信頼性を確保するために、この実施例では層間絶縁膜が一層の導電プラグ305は口径0.4μmとし、層間絶縁膜が二層を貫通する導電プラグ308ではより大きい口径0.6μmにしている。
(3)正常吐出、ヨレ吐出、不良吐出の電圧波形比較
図2に、正常吐出、ヨレ吐出、不良吐出のセンサ出力値の微分値の波形(図2(a))及び微分値の二値化した波形(図2(b)を示す。
図2に、正常吐出、ヨレ吐出、不良吐出のセンサ出力値の微分値の波形(図2(a))及び微分値の二値化した波形(図2(b)を示す。
図2(a)の判定タイミング1に相当する時間(13)で、正常吐出の波形21が最初に電圧変化量が急激に上昇し、判定タイミング2に相当する時間(14)で、ヨレ吐出の波形22の電圧変化量が急激に上昇していることが確認できる。不良吐出の波形23は最後まで出力値が一定の傾きで変化していることが確認できる。
微分値を二値化すると、図2(b)に示す0、1で表現されるグラフになる。正常吐出とヨレ吐出では、1になるタイミングが異なる。判定タイミング1と判定タイミング2それぞれで二値化した値をS/Rに格納する。
このように本実施形態では、判定閾値25のみで、複数の判定タイミング設定を行うことで一度の吐出でインクの吐出状態を判定することが可能である。
(4)インク状態判定フロー
図3に、本実施形態のインクの吐出状態判定フローを示す。図3に示す吐出検査処理は任意のタイミング、例えば装置が設置され始めて使用する時や、電源がONされたとき、定期的なタイミング、等で実行され、処理実行時点の各ノズルの吐出状態を判定する。
図3に、本実施形態のインクの吐出状態判定フローを示す。図3に示す吐出検査処理は任意のタイミング、例えば装置が設置され始めて使用する時や、電源がONされたとき、定期的なタイミング、等で実行され、処理実行時点の各ノズルの吐出状態を判定する。
まずステップ31において、検査対象となる選択ノズルをASICから指示し、この指示に従って検査対象ノズルを選択する。選択した検査対象ノズルに対応するセンサを選択する信号41を、図4に示すヘッド制御を担うロジックIC(ASIC)から転送し、センサ電流をソースする。
ステップ32においてASIC内で生成された、選択されたノズルの現在の検査結果変化点に基づく判定用の吐出検査閾値電圧(TH)である閾値電圧42と判定タイミング43をヘッドに転送する。吐出検査閾値はノズルそれぞれ、又はノズル群ごとに閾値設定することができる。吐出検査閾値電圧(TH)は、予め保持している正常吐出時の各ノズルの温度変化信号のピーク値Drefの値に対して所定量低い電圧を設定する。吐出検査閾値電圧は吐出検査毎に設定可能な構成である。各吐出検査モード毎の吐出検査閾値電圧の設定値は後述する。
また、正常吐出時の温度変化信号のピーク値Drefは記録装置の使用状況に応じて変化する可能性があるため、所定タイミング毎に更新するのが望ましい。所定タイミングとは、通紙枚数、記録ドット数、時刻、前回検査からの経過期間、印刷ジョブ毎、印刷ページ毎、記録ヘッドの交換時、記録ヘッドの回復処理時などであり、システムに応じて適切に設定する。
次に、ステップ33で検査するノズルからインクを吐出したときにセンサで取得した波形と、ステップ32で設定した吐出検査閾値電圧(TH)を用いて、判定タイミング1、判定タイミング2でそれぞれ吐出状態の判定を行う。判定はASIC内で判定テーブルにて行う。
ステップ34で、選択ノズルの判定結果を示す情報をASICに転送し、ASIC内のメモリに記憶する。
判定結果 =(判定タイミング2、判定タイミング1)の結果を2ビットで構成し、
判定結果 = “01” 正常吐出
判定結果 = “10” ヨレ吐出
判定結果 = “00” 不良吐出
の判定結果をASICに転送する。
判定結果 =(判定タイミング2、判定タイミング1)の結果を2ビットで構成し、
判定結果 = “01” 正常吐出
判定結果 = “10” ヨレ吐出
判定結果 = “00” 不良吐出
の判定結果をASICに転送する。
ステップ35では、対象となるノズルの検査が全て終了したかどうかを調べる。ここで、検査続行と判断されると、処理はステップS31に戻り、別の検査対象ノズルを選択し、ステップS32以降の処理を実行する。検査の対象となるノズルは、記録ヘッドの全てのノズルでも良いし、いくつか抜き出したノズルを検査対象としても良い。
ステップ35で検査終了と判断されると、ステップ36で、各吐出検査結果に応じて所定の処理を実行する。所定の処理として、前記記録ヘッドの吐出状態を回復するための回復処理を選択して実行することができる。回復処理としては、前記記録ヘッドの画像の記録ではない吐出である予備吐出、前記記録ヘッドの吐出口面のワイピング、ノズル内のごみや泡を吸い出すためのノズルの吸引、前記記録ヘッド内のインクの循環等がある。例えば、ヨレの数が所定数以上であればワイピングを行ったり、不良吐出の数が所定数以上であれば吸引とワイピングを行ったり、といった回復処理を行うことができる。そして、判定結果から、ASICが所定の回復処理を実施した信号41を転送して、処理を終了する。また、所定の処理として、ヨレ吐出、不良吐出であると判断されたノズルは、画像の記録を行うときに吐出させないようにし、代わりに別のノズルで吐出する不吐補完を行うように設定を行ってもよい。
以上の処理によって、一度のインクの吐出で、正常吐出、ヨレ吐出、不良吐出の3つの吐出状態を判定することができる。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、センサ温度検知素子を用いた吐出判定処理に関して、吐出判定を複数タイミングで実行した判定結果信号から最適な処理を実行するための処理を説明した。本実施形態ではパルスの印加によってインクを吐出する記録素子としてピエゾ素子を用いる。この場合、記録素子はセンサの役割も担い、インクの振幅を検知するためのピエゾ膜からなるセンサでもある。
第1の実施形態では、センサ温度検知素子を用いた吐出判定処理に関して、吐出判定を複数タイミングで実行した判定結果信号から最適な処理を実行するための処理を説明した。本実施形態ではパルスの印加によってインクを吐出する記録素子としてピエゾ素子を用いる。この場合、記録素子はセンサの役割も担い、インクの振幅を検知するためのピエゾ膜からなるセンサでもある。
センサをピエゾ膜からなるセンサとした場合には、インクを吐出した際のセンサの振動を検知し、振動波形に対して、判定用の閾値と判定タイミングを用いて吐出検知を行う。そのため温度検知素子が「インクの振幅を検知するためのピエゾ膜からなるセンサ」に代わった場合でも、第1の実施形態と同様に図3と同じ処理によって正常吐出、ヨレ吐出、不良吐出の3つの吐出状態の判定が可能である。
12 センサ
15 吐出部
15 吐出部
Claims (9)
- インクを吐出する複数のノズルと、該複数のノズルに対応して設けられた複数の記録素子と、前記記録素子に対向する領域である圧力室、前記圧力室のインクの状態に関する信号を出力する出力手段と、を備えた記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに備えられる前記複数のノズルからインクの吐出状態を検査する対象となるノズルを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択されたノズルの吐出状態を判定するための閾値を設定する閾値設定手段と、
前記選択されたノズルの吐出状態を判定するタイミングを複数、設定するタイミング設定手段と、
パルスを印加して前記記録ヘッドからインクを吐出させたときの前記出力手段が出力した信号における前記設定されたタイミングでの信号と、前記閾値とに基づき、設定されたタイミングそれぞれにおける結果を検査する検査手段と、
前記検査手段が検査した結果に基づき、前記選択されたノズルの吐出状態を判断する判断手段と、
を有することを特徴とする記録装置。 - 前記検査手段は、前記選択されたノズルからの一度の吐出に基づく前記出力手段の出力に基づいて、前記判断手段は前記選択されたノズルの吐出状態を判断することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記判断手段による判断の結果に基づいて、前記記録ヘッドの吐出状態を回復するための回復処理を行う処理手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記処理手段が行う回復処理は、前記記録ヘッドの予備吐出、前記記録ヘッドの吐出口面のワイピング、前記記録ヘッドのノズルの吸引、前記記録ヘッド内のインクの循環のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
- 前記判断手段による判断の結果に基づいて、吐出状態が正常と判断されなかったノズルからインクを吐出させずに画像を記録するように代わりに別のノズルで吐出する不吐補完を行う処理手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記判断手段による判断の結果に基づいて、前記吐出状態を示す情報を記憶する記憶手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記閾値は、前記複数のノズルそれぞれ、又は、ノズル群ごとに設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記記録素子は発熱抵抗体であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記記録素子はピエゾ素子であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
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