JP2024077834A - 路面の水膜厚さの推定装置、推定方法及び推定プログラム - Google Patents

路面の水膜厚さの推定装置、推定方法及び推定プログラム Download PDF

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直樹 守田
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Abstract

【課題】簡易な構成で、車両が走行する路面の水膜の厚さを推定することが可能な推定装置等を提供する。
【解決手段】推定装置は、データ取得部と、推定部とを備える。
データ取得部は、車両の走行中に、前記車両の駆動源が出力する駆動力を表す駆動力データと、前記車両の前後加速度を表す加速度データとのデータセットを順次取得する。
推定部は、前記データセットに基づいて、前記車両が走行する路面に存在する水膜の厚さを推定する。推定部は、前記車両の速度と、前記データセットに基づいて算出される前記水膜により前記車両が受ける流体抵抗との関係に基づいて、前記水膜の厚さを推定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、車両が走行する路面の水膜厚さを推定する推定装置、推定方法及び推定プログラムに関する。
特許文献1は、走行する車両のタイヤと路面との間に存在する水膜の有無及びその量を検出する装置を開示する。特許文献1によれば、タイヤに水膜センサ(電極対)を埋め込むことにより水膜の存在を検知したり、タイヤに複数の圧力センサを埋め込むことにより水膜量を検知したりすることができる。
特開2001-099779号公報
特許文献1に開示される装置では、電極対や圧力センサが、その少なくとも一部が表面に露出するように埋め込まれたタイヤを使用することが必要である。このため、車両に装着できるタイヤが限られるのに加えて、このようなタイヤを取得するコストが余計に掛かる。そこで、新しいセンサや特別な装備を必要とせずに、車両が走行する路面の水膜量を推定することができる技術が望まれていた。
本発明は、簡易な構成で、車両が走行する路面の水膜の厚さを推定することが可能な推定装置、推定方法及び推定プログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1観点に係る路面の水膜厚さの推定装置は、データ取得部と、推定部とを備える。
データ取得部は、車両の走行中に、前記車両の駆動源が出力する駆動力を表す駆動力データと、前記車両の前後加速度を表す加速度データとのデータセットを順次取得する。
推定部は、前記データセットに基づいて、前記車両が走行する路面に存在する水膜の厚さを推定する。
前記推定部は、前記車両の速度と、前記データセットに基づいて算出される前記水膜により前記車両が受ける流体抵抗との関係に基づいて、前記水膜の厚さを推定する。
第2観点に係る推定装置は、第1観点に係る推定装置であって、前記推定部は、前記車両の速度の二乗と、前記流体抵抗との回帰直線の傾きに基づいて、前記水膜の厚さを推定する。
第3観点に係る推定装置は、第1観点または第2観点に係る推定装置であって、前記推定部は、前記車両の速度が所定の速度以上である、または所定の速度を超える場合の前記データセットに基づいて前記水膜の厚さを推定する。
第4観点に係る推定装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る推定装置であって、前記データ取得部は、前記車両の車輪の車輪速を表す車輪速データを取得する。
第5観点に係る路面の水膜厚さの推定方法は、1または複数のコンピュータにより実行される水膜厚さの推定方法であって、以下のことを含む。
・車両の走行中に、前記車両の駆動源が出力する駆動力を表す駆動力データと、前記車両の前後加速度を表す加速度データとのデータセットを順次取得すること
・前記データセットに基づいて、前記車両が走行する路面に存在する水膜の厚さを推定すること
そして、前記推定することは、前記データセットに基づいて、前記水膜により前記車両が受ける流体抵抗を算出することと、前記算出された流体抵抗と、前記車両の速度との関係に基づいて、前記水膜の厚さを推定することとを含む。
第6観点に係る路面の水膜厚さの推定プログラムは、以下のことを1または複数のコンピュータに実行させる。
・車両の走行中に、前記車両の駆動源が出力する駆動力を表す駆動力データと、前記車両の前後加速度を表す加速度データとのデータセットを順次取得すること
・前記データセットに基づいて、前記車両が走行する路面に存在する水膜の厚さを推定すること
そして、前記推定することは、前記データセットに基づいて、前記水膜により前記車両が受ける流体抵抗を算出することと、前記算出された流体抵抗と、前記車両の速度との関係に基づいて、前記水膜の厚さを推定することとを含む。
上記観点によれば、追加のセンサや特別な装備を必要とせず、車両に通常備わっている設備から取得できるデータに基づいて、当該車両が走行する水膜の厚さを推定することができる。
一実施形態に係る推定装置としての制御ユニットが車両に搭載された様子を示す模式図。 一実施形態に係る制御ユニットの電気的構成を示すブロック図。 前後加速度と駆動力との関係を説明する図。 車速の二乗と流体抵抗とをプロットしたグラフ。 実施形態に係る推定処理の流れを示すフローチャート。 スリップ率-駆動力のチャート。 車速の二乗と従来のタイヤグリップ力指標とをプロットしたグラフ。 ハイドロプレーニング発生度判定処理の流れを示すフローチャート。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る推定装置、方法及びプログラムについて説明する。
<1.推定装置の構成>
図1は、本実施形態に係る推定装置としての制御ユニット2が車両1に搭載された様子を示す模式図である。車両1は、四輪車両であり、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL及び右後輪RRを備えている。車輪FL,FR,RL,RRには、それぞれ、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRが装着されている。本実施形態の車両1は、駆動源としてエンジンを備え、車輪FL,FRを駆動輪、車輪RL,RRを従動輪とする前輪駆動車である。車両1はこれに限られず、後輪駆動車であってもよいし、4輪全てが駆動輪である4WD車であってもよい。車両1は、駆動源として、エンジンに加えてまたはこれに代えて、電動機を備えていてもよい。
制御ユニット2は、走行の制御のため、車両1が通常備えているセンサや設備から出力されるデータに基づいて、車両1が走行する路面の水膜の厚さd(d=0、すなわち路面に水膜が存在しない場合も含む)を推定する。水膜の厚さdの情報は、例えば、車両の走行を制御する各種制御や、路面の状態についての道路マップの作成等に用いることができる。車両の走行を制御する各種制御には、例えば、ハイドロプレーニング等についてのドライバーへの警報、ブレーキシステムの制御、車間距離の制御等が含まれる。本実施形態では、ドライバーへの警報を行うために、推定された水膜の厚さdに加え、後述する指標が併せて用いられる。
車両1のタイヤTFL,TFR,TRL,TRR(より正確には、車輪FL,FR,RL,RR)には、各々、車輪速センサ6が取り付けられており、車輪速センサ6は、自身の取り付けられた車輪に装着されたタイヤの車輪速を表す車輪速データを検出する。車輪速センサ6としては、走行中の車輪FL,FR,RL,RRの車輪速を検出できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。例えば、電磁ピックアップの出力信号から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできるし、ダイナモのように回転を利用して発電を行い、このときの電圧から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできる。車輪速センサ6の取り付け位置も、特に限定されず、車輪速の検出が可能である限り、センサの種類に応じて、適宜、選択することができる。車輪速センサ6は、制御ユニット2に通信線5を介して接続されている。車輪速センサ6で検出された回転速度V1~V4の情報は、リアルタイムに制御ユニット2に送信される。
また、車両1には、車両1のホイールトルクWTを検出するホイールトルクセンサ4(以下、単にトルクセンサ4とも称する)が取り付けられている。トルクセンサ4としては、車両1のホイールトルクWTを検出することができる限り、その構造も取り付け位置も特に限定されない。トルクセンサ4は、制御ユニット2に通信線5を介して接続されている。トルクセンサ4で検出されたホイールトルクWTの情報は、回転速度V1~V4の情報と同様、リアルタイムに制御ユニット2に送信される。トルクセンサ4で検出されたホイールトルクWTの情報は、本発明の「駆動力を表す駆動力データ」の一例である。
さらに、車両1には、車両1の前後加速度αを検出する加速度センサ7が取り付けられている。加速度センサ7としては、車両1の前後加速度αを検出することができる限り、その構造も取り付け位置も特に限定されない。加速度センサ7は、制御ユニット2に通信線5を介して接続されている。加速度センサ7で検出された前後加速度αの情報は、回転速度V1~V4の情報と同様、リアルタイムに制御ユニット2に送信される。加速度センサ7で検出された前後加速度αの情報は、本発明の「前後加速度を表す加速度データ」の一例である。
図2は、制御ユニット2の電気的構成を示すブロック図である。制御ユニット2は、車両1に搭載されており、図2に示されるとおり、通信インターフェース10、I/Oインターフェース11、CPU12、ROM13、RAM14、及び不揮発性で書き換え可能な記憶装置15を備えている。通信インターフェース10は、インターネット等、車両1の外部のネットワークへの接続を可能にするための通信モジュールである。I/Oインターフェース11は、各種の車載センサ、モーターやエンジン等の駆動源、後述する表示器3等の車載装置とのデータ入出力を行うための装置である。ROM13には、車両1の各部の動作を制御するためのプログラム9が格納されている。CPU12は、ROM13からプログラム9を読み出して実行することにより、仮想的にデータ取得部21、データ判定部22、推定部23、判定部24、及び警報出力部25として動作する。各部21~25の動作の詳細は、後述する。記憶装置15は、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成される。なお、プログラム9の格納場所は、ROM13ではなく、記憶装置15であってもよい。RAM14及び記憶装置15は、CPU12の演算に適宜使用される。
表示器3は、ユーザ(主として、ドライバー)に警報を含む各種情報を出力することができ、例えば、液晶表示素子、液晶モニター、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等、任意の態様で実現することができる。表示器3の取り付け位置は、適宜選択することができるが、例えば、インストルメントパネル上等、ドライバーに分かりやすい位置に設けることが好ましい。制御ユニット2がカーナビゲーションシステムに接続される場合には、カーナビゲーション用のモニターを表示器3として使用することも可能である。表示器3としてモニターが使用される場合、警報はモニター上に表示されるアイコンや文字情報とすることができる。
<2.水膜の厚さの推定原理>
ドライ路面における車両1の走行は、理想的には以下の運動方程式に従うと考えることができる。式中、Fは車両1の駆動源により出力される駆動力、Mは車両1の質量、αは車両1の前後加速度、Rは車両1が一定速度で勾配がないドライ路面を直進する場合に受ける走行抵抗である。なお、「ドライ路面」には、乾燥した路面以外にも、水膜が存在しない路面も含まれるものとする。この関係は、図3に示すように、前後加速度αを横軸とし、駆動力(制動力)Fを縦軸とする平面における、傾きM、切片Rの直線L1で表される。
F=Mα+R
路面に水膜が存在すると、車両1は、走行抵抗Rに加え、水膜による流体抵抗Rwaterを受ける。この場合の上記運動方程式は、以下のように書き換えることができ、図3における直線L2を表す式となる。すなわち、流体抵抗Rwaterが車両1に加わる分、ドライ路面における前後加速度αと同じ大きさの前後加速度αを出力するには、より大きな駆動力Fが必要となる。
F=Mα+R+Rwater
以上のことにより、前後加速度αのデータと、駆動力Fのデータとの多数のデータセットに基づき、車両1の質量Mと、ドライ路面におけるRとが特定できれば、αとFとのデータセットにより、Rwaterを推定することができる。
一方、流体抵抗Rwaterは、車両1の速度である車速Vの二乗(V2)に比例する。この比例関係は、図4に示すように、V2を横軸とし、流体抵抗Rwaterを縦軸とする平面における直線で表すことができる。本発明者らは、様々な水膜の厚さdの条件下におけるV2と流体抵抗Rwaterのデータを収集し、これを検討することにより、V2-Rwaterの回帰直線の傾きCは、水膜の厚さdの大きさに応じて大きくなることを見出した。すなわち、水膜の厚さdが判明している場合のV2及びRwaterの多数のデータセットに基づいて回帰を行い、厚さdと傾きCとの関係を予め特定しておけば、車両1の走行中に取得される車速V及び流体抵抗Rwaterのデータセットに基づいて特定される傾きCにより、水膜の厚さdを推定することができる。本実施形態では、厚さdと傾きCとはd=C/C0で表される比例関係にあると仮定し、厚さd及び傾きCの多数のデータセットに基づいて回帰を行うことにより、係数C0を予め特定する。回帰の方法は特に限定されないが、最小二乗法や、逐次最小二乗法等により行うことができる。
ところで、(Mα+R)は、詳細には、空気抵抗R1、加速抵抗R2、転がり抵抗R3及び勾配抵抗R4が合算された走行抵抗である。この走行抵抗をRsumとする。走行抵抗Rsumは、車両1が路面を実際に走行する場合には、車速V、前後加速度α及び路面の勾配の条件等に応じて変化する。すなわち、走行中の車両1のデータに基づいて流体抵抗Rwaterを推定するには、駆動力Fのデータから、抵抗R1~R4をキャンセルすることが必要となる。このため、本実施形態では、係数C0と同様に、ドライ路面走行時に取得されたデータセットに基づいて、抵抗R1~R3を算出するための係数C1~C3が予め特定される。これにより、車両の走行中の抵抗R1~R3が算出されると、これらの抵抗R1~R3と駆動力Fとから、勾配抵抗R4も算出することができる。以下、各抵抗R1~R3に対応して、本実施形態で特定される係数C1~C3、及び勾配抵抗R4について説明する。
[空気抵抗]
空気抵抗R1は、車速の二乗V2に比例する抵抗であり、空気抵抗係数C1は、車速Vのデータに基づいて空気抵抗R1を算出するための係数である。空気抵抗係数C1は、駆動力Fと車速の二乗V2との関係F=C12+c(cは定数)を仮定し、ドライ路面走行時の駆動力Fと車速Vとの多数のデータセットに基づき、回帰を行うことにより特定することができる。回帰の方法は特に限定されないが、最小二乗法や、逐次最小二乗法等により行うことができる。
[加速抵抗]
加速抵抗R2は、前後加速度αに比例する抵抗であり、加速抵抗係数C2は、前後加速度αのデータに基づいて加速抵抗R2を算出するための係数である。加速抵抗係数C2は、駆動力Fから上記空気抵抗R1を減算した駆動力F1と、前後加速度αとの関係F1=C2α+C3を仮定し、ドライ路面走行時の駆動力F1と前後加速度αとの多数のデータセットに基づき、回帰を行うことにより特定することができる。回帰の方法は特に限定されないが、最小二乗法や、逐次最小二乗法等により行うことができる。
[転がり抵抗]
転がり抵抗R3は、質量Mに比例する抵抗である。勾配がないドライ路面走行時の転がり抵抗R3は、上記F1=C2α+C3における係数C3で表され、図3の直線L1の切片Rに対応する。つまり、係数C3自体を、転がり抵抗R3と考えることができる。
[勾配抵抗]
勾配抵抗R4は、車両1が走行する路面の勾配に応じて車両1に加わる抵抗である。勾配抵抗R4により、勾配の上りでは図3の直線L1の切片Rが大きくなり、勾配の下りでは切片Rが小さくなる。勾配抵抗R4は、車両1が現在走行する路面がドライ路面であるときの条件下で、駆動力F1から、加速抵抗R2及び転がり抵抗R3をさらに減算した駆動力F3とすることができる。なお、車両1の前後加速度αを検出することができる加速度センサにより前後加速度αを取得する場合には、勾配抵抗R4の影響を考慮しなくてもよい。その他の場合、例えば車速Vを時間微分することにより前後加速度αを取得する場合、及びGPS等の衛星測位システムから車両1の時系列の位置情報を取得し、これに基づいて前後加速度αを算出する場合等には、勾配抵抗R4の影響を考慮することが好ましい。これらの方法により取得される前後加速度αの情報も、本発明の「前後加速度を表す加速度データ」の一例である。
以上の係数C1~C3は、車両1の走行の開始後、後述する推定処理を実行する前であって、車両1がドライ路面を走行していると判断されるときに取得された車速V、駆動力F、及び前後加速度αのデータセットに基づいて特定され、推定装置2に保存されることが好ましい。車両1がドライ路面を走行しているか否かの判断は、例えば車両1の走行中に取得される多数の前後加速度α及び駆動力Fのデータセットのプロット点が、α―F平面において特定の領域に概ね集束するか否かに基づいて判断することができる。つまり、上記プロット点が特定の領域に概ね集束する場合は、ドライ路面を走行していると判断し、上記プロット点が特定の領域から外れることが多い場合は、ドライ路面を走行していないと判断する。なお、係数C0及び係数C1の値は、車両1において一度特定されれば、その後同じ値を使用してもよいが、係数C0の値は、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRが交換された場合に、例えばネットワーク通信を介して、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの種類に応じてその都度更新されてもよい。係数C2及びC3については、例えば、車両1が一定時間以上停車し、その後走行を開始した場合等、車両1の乗員や荷重が変化したと考えられる場合に、その都度特定されることが好ましい。
<3.水膜の厚さの推定処理>
図5は、推定装置2の動作の流れを示すフローチャートである。以下、図5を参照しつつ、推定装置2が実行する、水膜の厚さの推定処理について説明する。この推定処理は、車両1の電気系統に電源が投入されている間、繰り返し実行することができる。
ステップS1では、データ取得部21が、車両1の車速Vを取得する。データ取得部21は、所定のサンプリング周期における車輪速センサ6からの出力信号(車輪速データ)を取得し、これをタイヤTFL,TFR,TRL,TRRの車輪速V1~V4に換算し、さらに車輪速V1~V4に基づいて車速Vを算出する。車輪速V1~V4に基づく車速Vの算出方法は特に限定されないが、本実施形態では、従動輪タイヤであるタイヤTRL,TRRの車輪速V3、V4の平均値に、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの半径rを乗じたものを車速Vとする。半径rは、予め推定装置2に保存されているものとする。
ステップS2では、データ取得部21が、車両1の前後加速度αを取得する。データ取得部21は、所定のサンプリング周期における加速度センサ7からの出力信号を受信し、これを車両1の前後加速度αに換算する。
ステップS3では、データ取得部21が、車両1の駆動力Fを取得する。データ取得部21は、所定のサンプリング周期におけるトルクセンサ4からの出力信号を受信し、これを駆動輪1輪当たりのホイールトルクWTに換算する。データ取得部21は、換算されたホイールトルクWTから、車両1の駆動力Fを算出する。駆動力Fは、例えばホイールトルクWTをタイヤの半径rで除したものを、全ての駆動輪について合算することにより算出することができる。
ステップS4では、データ取得部21が、ギア比GRを取得する。ギア比GRは、例えばエンジンの回転数をタイヤの回転数で除することにより算出することができる。タイヤの回転数は、これに限られないが、従動輪タイヤであるタイヤTRL,TRRの車輪速V3、V4の平均値とすることができる。本実施形態のデータ取得部21は、エンジンの制御機構から出力される信号を取得することによりエンジンの回転数を取得し、これと、車輪速V3、V4についての車輪速センサ6からの出力信号とに基づいてギア比GRを算出する。ギア比GRは、後述するデータ判定のために使用される。
ステップS5では、データ取得部21が、ブレーキ情報を取得する。ブレーキ情報とは、ブレーキパッドの操作がなされているか(すなわち、ブレーキがONであるか)否か(すなわち、ブレーキがOFFであるか)を示す情報である。データ取得部21は、例えばブレーキの制御機構から出力される、ブレーキパッドの圧力を示す信号を取得することにより、ブレーキのON/OFFを示すブレーキ情報を取得する。ブレーキ情報は、ギア比GRと同様に、後述するデータ判定のために使用される。
ステップS1~ステップS5が実行される順序は、上述した順序に限定されず、適宜変更することができる。なお、車速V、前後加速度α、駆動力F、ギア比GR及びブレーキ情報のデータのサンプリング周期は、特に限定されないが、例えば40msとすることができる。
ステップS1~S5で、同時刻または概ね同時刻に取得された車速V、前後加速度α、駆動力F、ギア比GR及びブレーキ情報のデータは、同時刻におけるデータセットとして扱われ、順次RAM14または記憶装置15に保存される。ステップS1~S5の処理は、これらのデータセットが所定の数以上取得され、RAM14または記憶装置15に蓄積するまで繰り返される。すなわち、ステップS1~S5の処理を繰り返すことにより、時系列のデータセットがRAM14または記憶装置15に複数蓄積される。
ステップS6では、データ判定部22が、これまでに取得した車速V、前後加速度α、及び駆動力Fに対し、測定誤差を除去するためのフィルタリングを行う。フィルタリングの方法は特に限定されないが、例えば、ステップS1~S3で取得された車速V、前後加速度α、及び駆動力Fの複数の時系列データのそれぞれに対し、所定のデータ数での移動平均値算出による平滑化を行うことができる。また、後述するステップS15のため、車輪速V1~V4についても同様にフィルタリングを行うことが好ましい。
次のステップS7~S10では、データ判定部22によるデータセットの判定が行われる。データセットの判定は、これまでに蓄積されたデータセットが、ステップS11以降で、水膜の厚さdを推定するのに好ましいか否かを判定する処理である。ステップS7~S10のいずれかで、データセットが好ましくない(NO)と判定される場合、蓄積されたデータセットはRAM14または記憶装置15から全て削除され、厚さdの推定には使用されない(つまり、リジェクトされる)。その後、ステップS1~S5の処理が再開する。ステップS7~S10の各ステップで、データセットが好ましい(YES)と判定される場合は、次のステップが実行される。ステップS7~S10を実行する順序は、以下で説明する順序に限定されず、適宜変更することができる。
ステップS7では、データ判定部22が、車速Vが所定の値以上である(YES)か否(NO)かを判定する。所定の値は、実験またはシミュレーションにより、予め定められた車速Vの閾値である。データ判定部22は、車速Vが所定の値以上である場合に、蓄積されたデータセットが水膜の厚さdの推定に好ましいと判定し、次のステップS8を実行する。一方、データ判定部22は、車速Vが所定の値未満である場合に、蓄積されたデータセットが水膜の厚さdの推定に好ましくないと判定し、蓄積されたデータセットをリジェクトする。これは、後のステップで算出される水膜の厚さdのばらつきを抑制するためである。ステップS7の処理により、厚さdのばらつきを抑制することができる理由については、後述する。なお、データ判定部22は、車速Vが所定の値を超えている(YES)か否(NO)かを判定し、車速Vが所定の値を超えている場合(YES)にステップS8を実行し、車速Vが所定の値以下である場合(NO)に蓄積されたデータセットをリジェクトしてもよい。
ステップS8では、データ判定部22が、前後加速度αの絶対値が所定の値以下である(YES)か否(NO)かを判定する。所定の値は、実験またはシミュレーションにより、予め定められた前後加速度αの絶対値の閾値である。データ判定部22は、前後加速度αの絶対値が所定の値以下である場合に、蓄積されたデータセットが水膜の厚さdの推定に好ましいと判定し、次のステップS9を実行する。一方、データ判定部22は、前後加速度αの絶対値が所定の値を超える場合に、蓄積されたデータセットが水膜の厚さdの推定に好ましくないと判定し、蓄積されたデータセットをリジェクトする。本発明者らの検討によれば、前後加速度αの絶対値によりデータセットを選別すると、水膜の厚さdの推定精度が向上する。なお、データ判定部22は、前後加速度αの絶対値が所定の値未満である(YES)か否(NO)かを判定し、前後加速度αの絶対値が所定の値未満である場合(YES)にステップS9を実行し、前後加速度αの絶対値が所定の値以上である場合(NO)に蓄積されたデータセットをリジェクトしてもよい。
ステップS9では、データ判定部22が、蓄積されたデータセットが、ブレーキ操作がされていないときのデータセットである(YES)か否(NO)かを判定する。データ判定部22は、蓄積されたデータセットが、ブレーキ操作がされていないときのデータセットであると判定される場合に、次のステップS10を実行する。一方、データ判定部22は、蓄積されたデータセットが、ブレーキ操作中に取得されたデータセットであると判定される場合に、蓄積されたデータセットをリジェクトする。ブレーキ操作中に取得されたデータセットでは、前後加速度αに対し、駆動力Fが本来よりも大きな値として取得され、水膜の厚さdの推定に好ましくない影響を及ぼすためである。
ステップS10では、データ判定部22が、ギア比GRの所定の時間における変化量ΔGRの絶対値が、所定の値以下である(YES)か否(NO)かを判定する。所定の値は、実験またはシミュレーションにより、予め定められたΔGRの絶対値の閾値である。データ判定部22は、ΔGRの絶対値が所定の値以下である場合に、蓄積されたデータセットが水膜の厚さdの推定に好ましいと判定し、次のステップS11を実行する。一方、データ判定部22は、ΔGRの絶対値が所定の値を超える場合に、蓄積されたデータセットが水膜の厚さdの推定に好ましくないと判定し、蓄積されたデータセットをリジェクトする。ギア比GRがある程度以上変化するときに取得されたデータセットでは、前後加速度αに対し、駆動力Fが本来よりも大きな値として取得される傾向があり、水膜の厚さdの推定に好ましくない影響を及ぼすためである。なお、データ判定部22は、変化量ΔGRの絶対値が所定の値未満である(YES)か否(NO)かを判定し、変化量ΔGRの絶対値が所定の値未満である場合(YES)にステップS11を実行し、変化量ΔGRの絶対値が所定の値以上である場合(NO)に蓄積されたデータセットをリジェクトしてもよい。
ステップS11では、推定部23が、ステップS6のフィルタリングを経た駆動力F及び車速Vから、空気抵抗R1の影響が除去された駆動力F1を算出する。駆動力F1は、空気抵抗係数C1を用いて、以下の式に従って算出することができる。
1=F-C12
ステップS12では、推定部23が、ステップS11で算出された駆動力F1及びステップS6のフィルタリングを経た前後加速度αから、加速抵抗R2の影響が除去された駆動力F2を算出する。駆動力F2は、加速抵抗係数C2を用いて、以下の式に従って算出することができる。
2=F1-C2α
ステップS13では、推定部23が、ステップS12で算出された駆動力F2から、転がり抵抗R3の影響が除去された駆動力F3を算出する。駆動力F3は、係数C3を用いて、以下の式に従って算出することができる。
3=F2-C3
ステップS14では、推定部23が、ステップS13で算出された駆動力F3から、勾配抵抗R4の影響が除去された駆動力F4を算出する。勾配抵抗R4は、上述した通り、走行条件が同じであって、路面がドライ路面であると仮定した場合に算出される値である。駆動力F4は、以下の式に従って算出することができる。なお、本実施形態では、ステップS14は省略される。
4=F3-R4
駆動力Fから抵抗R1~R4の影響が除去されると、流体抵抗Rwaterが残る。すなわち、ステップS14で算出された駆動力F4(本実施形態では、ステップS13で算出された駆動力F3)は、流体抵抗Rwaterと等価である。ステップS15では、推定部23が、駆動力F3または駆動力F4、係数C0、及び車速Vに基づいて、水膜の厚さdを推定する。推定厚さdは、以下の式に従って算出することができる。式中のF4/V2は、V2-Rwater回帰直線の傾きCに対応する。
ここで、駆動力F4が車速Vによらないばらつきを持っているとすると、上式より、水膜の厚さdにおいて、車速Vが小さくなるほど駆動力F4のばらつきの影響が大きくなることが分かる。つまり、車速Vが小さいときに取得されたデータセットを用いて、水膜の厚さdを推定すると、厚さdがばらつき易く、結果、厚さdの推定精度が低下するおそれがある。反対に、車速Vがある程度大きいときに取得されたデータセットを用いて、水膜の厚さdを推定すれば、駆動力F4のばらつきの影響を低減することができる。これが、上述したステップS7が実行されることにより、推定される厚さdのばらつきが抑制される理由である。
以上のステップS1~S15により、車両1が走行する路面の水膜の厚さdが推定される。この情報は、車両1が衛星測位システムに接続されている場合、水膜の厚さdが推定された位置の位置情報と関連付けられてもよい。そして、位置情報と関連付けられた水膜の厚さdは、ネットワークを介して、推定装置2からサーバー装置100に送信されてもよい。サーバー装置100は、例えばCPU、ROM、RAM、通信モジュール及び不揮発性で書き換え可能な記憶装置を備える汎用のコンピュータで構成することができる。サーバー装置100は、複数の推定装置2から、様々な位置における水膜の厚さdを受信し、これを集約することにより、より広域における水膜の情報を取得する。サーバー装置100は、例えば、所定の時間内に、複数の推定装置2から送信されてきた情報に基づいて、水膜の厚さdを示すマップを作成し、ネットワークを介して接続される各種のコンピュータに、これを提供することができる。
ところで、水膜の厚さdの情報のみでは、車両1の走行する路面が、ハイドロプレーニングが発生し易い状態となっているか否かを判定することが困難である。このため、本実施形態では、ステップS15の後、推定された水膜の厚さdと併せて、ハイドロプレーニングの発生し易さを表す、ハイドロプレーニング発生度を判定する処理がさらに実行される。
<4.ハイドロプレーニング発生度判定処理>
図6は、スリップ率SRと、駆動力(制動力)Fとの関係を表すSR-Fチャートである。図6に示す網掛けの領域Nは、車両1がドライ路面で通常の走行を行う場合に、スリップ率SRと駆動力Fとのプロット点が概ね収束する領域である。領域Nでは、スリップ率SRと駆動力Fとの間に、F=b1×SRで表される、近似的な線形関係が成立しているとみなすことができる。ところが、路面が冠水する等し、路面に対するタイヤのグリップ力が低下すると、スリップ率SRと駆動力Fとの近似的な線形関係は、直線L3に近付いていく。すなわち、スリップ率SRと駆動力Fとの関係が、ドライ路面の走行時よりも、傾きb1が小さくなる方向に変化していく。この変化は、当該路面でスリップが発生し易いことを示している。つまり、傾きb1は、路面に対するタイヤのグリップ力を表す指標として機能する。
本出願人は、先行技術文献(例えば、特開2001-253334号公報、及び特開2002-362345号公報等)において、上記のことを利用して、スリップ率SRと駆動力Fとの回帰直線の傾きb1の変化に基づき、路面のスリップのし易さを判定する技術を提案している。ただ、本発明者らの検討によれば、図7に示すように、車速の二乗V2と傾きb1とを用いては、水膜の厚さdを直接推定することはできなかった。しかしながら、水膜の厚さdに応じた上記SR-Fチャートを作成することで、上述した方法により推定された水膜の厚さdに応じてハイドロプレーニング発生度を判断することができ、ハイドロプレーニングについての警報をより高い信頼度で発生させることができる。水膜の厚さdに応じたSR-Fチャートは、例えば種々の厚さの水膜が存在する路面で、車両1を様々な車速Vで走行させ、車輪速V1~V4と駆動力Fとのデータセットを多数取得することにより作成することができる。作成された複数のSR-Fチャートに基づき、水膜の厚さdごとに、ハイドロプレーニング発生度が高いと判定する傾きb1の閾値を適宜設定する。設定された閾値は、水膜の厚さdと関連付けられ、推定装置2に保存される。
図8は、図5のステップS15から引き続き行われる、推定装置2の動作の流れを示すフローチャートである。ステップS16では、判定部24が、ステップS6でフィルタリングされた後の車輪速V1~V4及び車速Vのデータに基づいて、スリップ率SRを算出する。スリップ率は、一般に、(タイヤの回転速度-車速)/車速で定義される。例えば、本実施形態では、駆動輪タイヤであるタイヤTFL,TFRの車輪速V1、V2の平均値Vdを用いて、以下の式に従って算出することができる。
SR={(rVd-V)}/V
ステップS17では、判定部24が、スリップ率SRと、フィルタリングされた後の駆動力Fとの複数のデータセットに基づいて、SR-F直線の傾きb1を算出する。傾きb1の算出方法は特に限定されないが、最小二乗法や、逐次最小二乗法等を用いることができる。
ステップS18では、判定部24が、ステップS17で算出された傾きb1に基づいて、ハイドロプレーニング発生度が高い(YES)か低い(NO)かを判定する。判定部24は、ステップS15で算出された水膜の厚さdに最も近い水膜の厚さdに応じた傾きb1の閾値をROM13または記憶装置15から読み出し、ステップS17で算出された傾きb1と比較する。その結果、傾きb1が閾値以下である場合にハイドロプレーニング発生度が高い(YES)と判定し、傾きb1が閾値を超える場合にハイドロプレーニング発生度が低い(NO)と判定することができる。あるいは、判定部24は、傾きb1が閾値未満である場合にハイドロプレーニング発生度が高いと判定し、傾きb1が閾値以上である場合にハイドロプレーニング発生度が低いと判定してもよい。
ステップS18でハイドロプレーニング発生度が低い(NO)と判定された場合、上述のステップS1~S18が再び繰り返される。一方、ステップS18でハイドロプレーニング発生度が高い(YES)と判定された場合、ステップS19が実行される。
ステップS19では、警報出力部25が、ハイドロプレーニングが発生し易くなっていることを車両1のドライバーに報知する警報を生成し、これを出力する。警報を出力する態様は特に限定されない。例えば、警報出力部25は、表示器3に、ハイドロプレーニングが発生し易くなっている旨を表す文字情報やアイコン等を表示させてもよいし、これに加えてまたはこれに代えて、車両1のスピーカーから警報音や音声による警報を出力させてもよい。その後、上述のステップS1~S18が再び繰り返される。警報は、以降のステップS18で、ハイドロプレーニングが発生度が低いと判定されるまで、繰り返し出力されてもよい。
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
(1)車両1の駆動源が出力する駆動力を表す駆動力データは、トルクセンサ4の出力信号に限定されない。例えば、エンジントルクを表すエンジントルク信号や、駆動源であるモーターのトルクを表すモータートルク信号等、上記実施形態の駆動力Fに換算可能なセンシングデータが上記駆動力データに含まれる。この場合、車両1はトルクセンサ4を備えていなくてもよい。また、トルクセンサ4からの出力は、駆動力に換算されずに、駆動輪1輪当たりのホイールトルクのまま扱ってもよい。ただし、その場合は、抵抗R1~R4をタイヤごとのトルクに換算する必要がある。
(2)ステップS4~S10及びステップS15~S19の処理は、省略されてもよい。また、スリップ率SRを算出するタイミングは、車輪速V1~V4及び車速Vの取得後であれば、特に限定されない。
(3)上述したように、前後加速度αは、車速Vに基づいても算出することができる。この場合、車両1は、加速度センサ7を備えていなくてもよい。なお、車速Vに基づいて前後加速度αを取得する場合、そのタイミングは、車速Vの取得後であれば特に限定されない。加えて、車両1は、通信インターフェース10を備えていなくてもよい。
(4)ステップS1~S19の少なくとも一部は、推定装置2ではなく、推定装置2とデータ通信が可能な車両1の外部の1または複数のコンピュータによって行われてもよい。例えば、推定装置2は、データ取得部21において取得したデータセットを、順次サーバー装置100に送信し、サーバー装置100またはこれに接続される1または複数のコンピュータにおいて、ステップS1~S18の少なくとも一部が実行されてもよい。さらに、係数C0~C3の少なくとも一部は、推定装置2によって特定されずに、車両1の外部の1または複数のコンピュータによって特定されてもよいし、車両1の走行中に、サーバー装置100によって特定されてもよい。ステップS1~S19の少なくとも一部を実行する1または複数のコンピュータには、プログラム9がインストールされてよい。
(5)水膜の厚さdは、流体抵抗Rwater(駆動力F3または駆動力F4)、係数C0、及び車速Vに基づく式によらず推定されてもよい。例えば、実験により取得された車速V、流体抵抗Rwater及び水膜の厚さdの多数のデータセットに基づき、図4のようなV2-Rwater平面を、(一定の幅を有する)水膜の厚さに応じて領域分割したマップを予め作成しておき、車両1の走行中に算出されたV2及び流体抵抗Rwaterのプロット点が、マップ上のどの領域に位置するかに基づいて、水膜の厚さ範囲を予測してもよい。
(6)ハイドロプレーニング発生度の判定は、「高い」か「低い」かの二水準を判定する態様に限られず、三水準以上を判定する態様で行われてもよい。
1 車両
2 制御ユニット(推定装置)
3 表示器
4 ホイールトルクセンサ
6 車輪速センサ
9 プログラム
21 データ取得部
22 データ判定部
23 推定部
24 判定部
25 警報出力部
FL 左前輪
FR 右前輪
RL 左後輪
RR 右後輪

Claims (6)

  1. 車両の走行中に、前記車両の駆動源が出力する駆動力を表す駆動力データと、前記車両の前後加速度を表す加速度データとのデータセットを順次取得するデータ取得部と、
    前記データセットに基づいて、前記車両が走行する路面に存在する水膜の厚さを推定する推定部と
    を備え、
    前記推定部は、前記車両の速度と、前記データセットに基づいて算出される前記水膜により前記車両が受ける流体抵抗との関係に基づいて、前記水膜の厚さを推定する、
    路面の水膜厚さの推定装置。
  2. 前記推定部は、前記車両の速度の二乗と、前記流体抵抗との回帰直線の傾きに基づいて、前記水膜の厚さを推定する、
    請求項1に記載の路面の水膜厚さの推定装置。
  3. 前記推定部は、前記車両の速度が所定の速度以上である、または所定の速度を超える場合の前記データセットに基づいて前記水膜の厚さを推定する、
    請求項1または2に記載の路面の水膜厚さの推定装置。
  4. 前記データ取得部は、前記車両の車輪の車輪速を表す車輪速データを取得する、
    請求項1または2に記載の路面の水膜厚さの推定装置。
  5. 1または複数のコンピュータにより実行される水膜厚さの推定方法であって、
    車両の走行中に、前記車両の駆動源が出力する駆動力を表す駆動力データと、前記車両の前後加速度を表す加速度データとのデータセットを順次取得することと、
    前記データセットに基づいて、前記車両が走行する路面に存在する水膜の厚さを推定することと
    を含み、
    前記推定することは、前記データセットに基づいて、前記水膜により前記車両が受ける流体抵抗を算出することと、前記算出された流体抵抗と、前記車両の速度との関係に基づいて、前記水膜の厚さを推定することとを含む、
    水膜厚さの推定方法。
  6. 車両の走行中に、前記車両の駆動源が出力する駆動力を表す駆動力データと、前記車両の前後加速度を表す加速度データとのデータセットを順次取得することと、
    前記データセットに基づいて、前記車両が走行する路面に存在する水膜の厚さを推定することと
    を1または複数のコンピュータに実行させ、
    前記推定することは、前記データセットに基づいて、前記水膜により前記車両が受ける流体抵抗を算出することと、前記算出された流体抵抗と、前記車両の速度との関係に基づいて、前記水膜の厚さを推定することとを含む、
    水膜厚さの推定プログラム。
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