JP2024077124A - ブロナンセリン含有貼付剤 - Google Patents

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千尋 小松▲崎▼
Chihiro Komatsuzaki
尚志 内田
Hisashi Uchida
智史 天野
Satoshi Amano
篤郎 高見
Atsuo Takami
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Abstract

【課題】ブロナンセリンの皮膚透過性に優れる、ブロナンセリン及びゴム系粘着基剤を含有する貼付剤の提供。【解決手段】支持体上に粘着剤層を備える貼付剤であって、上記粘着剤層が、ブロナンセリン又はその薬学的に許容可能な塩と、ゴム系粘着基剤と、酢酸と、酢酸塩と、流動パラフィンと、を含有し、上記粘着剤層において下記式:{酢酸の含有量(質量%)×酢酸塩の含有量(質量%)}/ブロナンセリンの含有量(質量%)で算出される値が0.02~30である、貼付剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ブロナンセリン含有貼付剤に関する。
2-(4-エチル-1-ピペラジニル)-4-(4-フルオロフェニル)-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[b]ピリジン(以下、ブロナンセリン)は、統合失調症の治療薬として臨床現場で使用されており、最近では貼付剤(商品名:ロナセン(登録商標)テープ)としても販売されている。
ブロナンセリンを含有する貼付剤の特性について研究されてきた。特許文献1には、ブロナンセリン及びアクリル系粘着剤を含有する貼付剤は、代謝体の生成が抑制され、持続的に血中薬物濃度を維持できることが記載されている。特許文献2には、ブロナンセリン、アクリル系ポリマー、乳酸及び所定の安定化剤を含有する貼付剤は、ブロナンセリンの薬効が発揮されるのに十分な血中濃度が維持され、保存安定性にも優れることが記載されている。特許文献3には、ブロナンセリン、乳酸及び特定の添加剤を含有する貼付剤は、ブロナンセリンの皮膚透過性に優れることが記載されている。
これまで研究されてきたブロナンセリン含有貼付剤は、その多くがアクリル系粘着基剤を含有する貼付剤であり、ゴム系粘着基剤を含有した貼付剤での研究は不十分であった。
国際公開2007/142295号公報 特開2016-130269号公報 国際公開2012/105624号公報
本発明者らは、ブロナンセリン及びゴム系粘着基剤を含有する貼付剤において、ブロナンセリンの皮膚透過性について検討を行ったところ、皮膚透過性が不十分となる場合があることを見出した。したがって、本発明の目的は、ブロナンセリンの皮膚透過性に優れる、ブロナンセリン及びゴム系粘着基剤を含有する貼付剤を提供することにある。
本発明者らが鋭意研究を進めたところ、酢酸、酢酸塩、及び流動パラフィンを含有し、粘着剤層中における、酢酸、酢酸塩及びブロナンセリンの含有量が所定の関係を満たす貼付剤は、ブロナンセリンの皮膚透過性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]~[4]を含む。
[1]支持体上に粘着剤層を備える貼付剤であって、
上記粘着剤層が、ブロナンセリン又はその薬学的に許容可能な塩と、ゴム系粘着基剤と、酢酸と、酢酸塩と、流動パラフィンと、を含有し、
上記粘着剤層において下記式:
{酢酸の含有量(質量%)×酢酸塩の含有量(質量%)}/ブロナンセリンの含有量(質量%)
で算出される値が0.02~30である、貼付剤。
[2]上記粘着剤層が乳酸を含有しない、[1]に記載の貼付剤。
[3]上記酢酸塩が酢酸ナトリウムである、[1]又は[2]に記載の貼付剤。
[4]上記ゴム系粘着基剤が、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、又はこれらの組み合わせである、[1]~[3]のいずれかに記載の貼付剤。
本発明によれば、ブロナンセリンの皮膚透過性に優れる、ブロナンセリン及びゴム系粘着基剤を含有する貼付剤を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態を示して、本発明を詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る貼付剤は、支持体上に粘着剤層を備え、上記粘着剤層が、ブロナンセリン又はその薬学的に許容可能な塩と、ゴム系粘着基剤と、酢酸と、酢酸塩と、流動パラフィンと、を含有し、上記粘着剤層において下記式:{酢酸の含有量(質量%)×酢酸塩の含有量(質量%)}/ブロナンセリンの含有量(質量%)で算出される値が0.02~30である。ここで各成分の含有量(質量%)は、粘着剤層の総質量を基準とする。粘着剤層中にブロナンセリンの薬学的に許容可能な塩が含まれる貼付剤である場合、「ブロナンセリンの含有量(質量%)」は、ブロナンセリンのフリー体換算の質量%を意味する。
支持体は、貼付剤、特に粘着剤層の形状を維持し得るものであればよい。支持体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン-塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ナイロン等のポリアミド、ポリエステル、セルロース誘導体、ポリウレタン等の合成樹脂が挙げられる。支持体の性状は、例えば、フィルム、シート、シート状多孔質体、シート状発泡体、織布、編布、不織布等の布、及びこれらの積層体等である。支持体の厚さは、特に制限されないが、通常、2μm~3000μm程度であることが好ましい。
粘着剤層は、ブロナンセリン又はその薬学的に許容可能な塩と、ゴム系粘着基剤と、酢酸と、酢酸塩と、流動パラフィンと、後述する任意成分と、を混和して得られる粘着剤組成物から形成される。粘着剤層の単位面積当たりの質量は、特に制限されず、30g/m~400g/mとすることができ、40g/m~300g/m、40g/m~200g/m、又は60g/m~180g/mであってもよい。粘着剤層の単位面積当たりの質量が400g/mを超えると、被服の着脱時等に貼付剤が脱落しやすくなる。粘着剤層の単位面積当たりの質量が30g/m未満であると貼付剤の付着性が低下しやすくなる。
ブロナンセリンの薬学的に許容可能な塩は、ブロナンセリンの酸付加塩のうち、医薬として利用可能なものを意味する。有機酸として、例えば、ギ酸、酢酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。無機酸として、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。ブロナンセリン又はその薬学的に許容可能な塩は、無水物であってもよく、水和物であってもよい。
ブロナンセリンの含有量は、粘着剤層の総質量を基準として、1質量%~20質量%とすることができ、3質量%~20質量%、3質量%~15質量%、3質量%~11質量%、3質量%~7質量%又は6質量%~10質量%であってもよい。なお、上記質量%は、粘着剤層中にブロナンセリンの薬学的に許容可能な塩が含まれる貼付剤である場合、ブロナンセリンのフリー体換算の質量%を意味する。
ゴム系粘着基剤としては、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレン、アルキルビニルエーテル(共)重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体等が挙げられる。ゴム系粘着基剤は、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、本実施形態に係るゴム系粘着基剤としては、粘着剤層のより十分な粘着力を発揮することができる傾向にあるという観点から、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。
スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の具体例としては、Quintac(登録商標)3570C(商品名、日本ゼオン株式会社製)、SIS5002、SIS5229、SIS5505、SIS5505P(商品名、JSR株式会社製)、SIBSTAR(登録商標)T102(商品名、株式会社カネカ製)等が挙げられ、また、ポリイソブチレンには、いわゆるブチルゴム(イソブチレン-イソプレンゴム)も含まれ、具体例としては、Oppanol(登録商標)N50、N80、N100、N150、B11、B12、B50、B80、B100、B120、B150、B220(商品名、BASF社製)、JSR(登録商標)Butyl065、268、365(商品名、JSR株式会社製)、X_Butyl(登録商標)RB100、101-3、301、402(商品名、ARLANXEO社製)、Exxon(登録商標)Butyl065、065S、068、068S、268、268S、365、365S(商品名、Exxon Mobile社製)、Butyl065、268、365(商品名、日本ブチル株式会社製)等が挙げられる。
ゴム系粘着基剤の含有量は、粘着剤層の総質量を基準として、10質量%~90質量%とすることができ、15質量%~60質量%、15質量%~40質量%、又は15質量%~30質量%であってもよい。
粘着剤層が、流動パラフィンとともに酢酸及び酢酸塩を含有することで、ブロナンセリンの皮膚透過性に優れる。酢酸塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム及び酢酸カリウム等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましい酢酸塩は酢酸ナトリウムである。
酢酸の含有量は、粘着剤層の総質量を基準として、0.1質量%~10質量%とすることができ、0.2質量%~10質量%、0.4質量%~10質量%、0.2質量%~6質量%、0.5質量%~4.5質量%、又は1.5質量%~4.5質量%であってもよい。酢酸塩の含有量は、粘着剤層の総質量を基準として、0.1質量%~10質量%とすることができ、0.2質量%~10質量%、0.4質量%~10質量%、0.2質量%~6質量%、0.4質量%~4.5質量%、又は1.4質量%~4.5質量%であってもよい。
優れたブロナンセリンの皮膚透過性のため、上記粘着剤層において下記式:{酢酸の含有量(質量%)×酢酸塩の含有量(質量%)}/ブロナンセリンの含有量(質量%)で算出される値が0.02~30であり、0.3~30としてもよく、好ましくは0.02~13であり、より好ましくは0.15~3であり、特に好ましくは、0.3~3である。
粘着剤層が、酢酸及び酢酸塩とともに流動パラフィンを含有することで、ブロナンセリンの皮膚透過性に優れる。流動パラフィンの具体例としては、ハイコールM-222、ハイコールM-352(商品名、カネダ株式会社製)、Hydrobrite HV、Hydrobrite 1000(商品名、ソネボーン社製)等が挙げられる。粘着剤層が流動パラフィンを含有する場合、流動パラフィンの含有量は、粘着剤層の総質量を基準として、例えば、3質量%~50質量%であり、好ましくは、5質量%~50質量%であり、より好ましくは6質量%~45質量%であり、特に好ましくは13質量%~41質量%である。
乳酸及びゴム系粘着基剤を含有する貼付剤は、ブロナンセリンの皮膚透過性が低下する傾向があるため、粘着剤層は乳酸を含有しないことが好ましい。
粘着剤層は、任意に、その他の添加剤をさらに含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、粘着付与樹脂、可塑剤(流動パラフィンを除く)、吸収促進剤、溶解剤、安定化剤、充填剤、香料等が挙げられる。
粘着付与樹脂は、粘着剤層の粘着性を調整する成分である。粘着付与樹脂としては、例えば、石油系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂及びキシレン系樹脂等が挙げられる。石油系樹脂としては、例えば、脂環族系石油樹脂(脂環族飽和炭化水素樹脂等)、脂肪族系石油樹脂(脂肪族炭化水素樹脂等)、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、より具体的には、アルコンP-70、アルコンP-85、アルコンP-90、アルコンP-100、アルコンP-115、アルコンP-125、アルコンM-70、アルコンM-85、アルコンM-90、アルコンM-100、アルコンM-115、アルコンM-125(以上、商品名、荒川化学工業株式会社製)、エスコレッツ8000(商品名、エッソ石油化学株式会社製)等が挙げられる。テルペン系樹脂としては、例えば、ピネン重合体(α-ピネン重合体、β-ピネン重合体等)、テルペン重合体、ジペンテン重合体、テルペン-フェノール重合体、芳香族変性テルペン重合体、ピネン-フェノール共重合体が挙げられ、より具体的には、YSレジン(YSレジンPXN(1150N、300N)、YSレジンPX1000、YSレジンTO125、YSレジンTO105等)、クリアロンP105、クリアロンM115、クリアロンK100(以上、商品名、ヤスハラケミカル株式会社製)、タマノル901(商品名、荒川化学工業株式会社製)が挙げられる。ロジン系樹脂としては、例えば、水素添加ロジングリセリンエステル、超淡色ロジン、超淡色ロジンエステル、酸変性超淡色ロジンが挙げられ、より具体的には、パインクリスタル(KE-311、PE-590、KE-359、KE-100等)(商品名、荒川化学工業株式会社製)等が挙げられる。粘着付与樹脂は、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン系樹脂、水素添加ロジングリセリンエステル又はこれらの組み合わせであることが好ましく、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン系樹脂又はこれらの組み合わせであることがより好ましい。粘着剤層が粘着付与樹脂を含有する場合、粘着付与樹脂の含有量は、粘着剤層の総質量を基準として、15質量%~80質量%とすることができ、30質量%~65質量%であってもよい。
流動パラフィン以外の可塑剤としては、例えば、軽質流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、植物油類(オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油、ラッカセイ油、スペアミント油、ユーカリ油、ホホバ油、樟脳白油、ヒマワリ油、オレンジ油等)、油脂類(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、及び液状ゴム(液状ポリブテン、液状イソプレンゴム等)等が挙げられる。粘着剤層が流動パラフィン以外の可塑剤を含有する場合、その含有量は、粘着剤層の総質量を基準として、例えば、3質量%~50質量%、5質量%~30質量%、又は7質量%~20質量%である。
吸収促進剤は、従来、経皮吸収促進作用を有することが知られている化合物であればよい。吸収促進剤としては、例えば、有機酸エステル(例えば、脂肪酸エステル、ケイ皮酸エステル)、有機酸アミド(例えば、脂肪酸アミド)、脂肪族アルコール、多価アルコール、エーテル(例えば、脂肪族エーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)等が挙げられる。これらの吸収促進剤は、不飽和結合を有していてもよく、環状、直鎖状又は分枝状の化学構造であってもよい。また、吸収促進剤は、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、及び植物油(例えば、オリーブ油)であってもよい。これらの吸収促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機酸エステルとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、乳酸セチル、乳酸ラウリル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、ケイ皮酸メチル、脂肪酸エステルが挙げられる。脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチルが挙げられる。脂肪酸エステルは、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であってもよい。脂肪酸エステルの具体例としては、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレエー卜、ソルビタンモノラウレート、ショ糖モノラウレート、ポリソルベート20、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、Span40、Span60、Span80、Span120(商品名、クローダジャパン株式会社製)、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)21、Tween(登録商標)40、Tween(登録商標)60、Tween(登録商標)80、NIKKOL(登録商標)HCO-60(商品名、日光ケミカルズ株式会社製)が挙げられる。
有機酸アミドとしては、例えば、脂肪酸アミド(例えば、ラウリン酸ジエタノールアミド)、ヘキサヒドロ-1-ドデシル-2H-アゼピン-2-オン(Azoneともいう。)及びその誘導体、ピロチオデカンが挙げられる。
脂肪族アルコールとは、炭素原子数6~20の脂肪族アルコールを意味する。脂肪族アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコールが挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコールが挙げられる。
脂肪族エーテルとは、炭素原子数6~20の脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基)を有するエーテルを意味する。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
モノテルペン系化合物としては、例えば、ゲラニオール、チモール、テルピネオール、l-メントール、ボルネオール、d-リモネン、イソボルネオール、ネロール、dl-カンフルが挙げられる。モノテルペン系化合物として、ハッカ油を使用してもよい。
粘着剤層が吸収促進剤を含有する場合、吸収促進剤の含有量は、粘着剤層の総質量を基準として、2質量%~40質量%とすることができる。
溶解剤は、ブロナンセリン又はその薬学的に許容可能な塩を粘着剤組成物中に溶解させやすくする成分である。溶解剤としては、例えば、脂肪酸アルキルエステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル)、脂肪酸多価アルコールエステル(例えば、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、モノラウリン酸ソルビタン)、脂肪酸アミド(例えば、ラウリン酸ジエタノールアミド)、脂肪族アルコール(例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ピロリドン誘導体(例えば、N-メチル-2-ピロリドン)が挙げられる。粘着剤層が溶解剤を含有する場合、溶解剤の含有量は、粘着剤層の総質量を基準として、2質量%~40質量%とすることができる。
安定化剤は、紫外線等の光線、熱又は活性化学種の作用により発生するフリーラジカルの生成及びその連鎖反応の進行を抑制できるものであればよい。安定化剤としては、例えば、トコフェロール及びそのエステル誘導体、アスコルビン酸及びそのエステル誘導体、2,6-ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2-メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。安定化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。粘着剤層が安定化剤を含有する場合、安定化剤の含有量は、粘着剤層の総質量を基準として、0.05質量%~3質量%とすることができ、0.05質量%~1質量%、0.05質量%~0.25質量%、又は0.1質量%~0.25質量%であってもよい。
充填剤としては、例えば、金属化合物(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム等)、セラミクス(タルク、クレー、カオリン、シリカ、ハイドロキシアパタイト、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)又は有機化合物(セルロース粉末、ステアリン酸塩等)の、粉末又はこれらを含む樹脂の短繊維が挙げられる。粘着剤層が充填剤を含有する場合、充填剤の含有量は、粘着剤層の総質量を基準として、0.1質量%~20質量%とすることができる。
貼付剤は、さらに剥離ライナーを備えていてもよい。剥離ライナーは、粘着剤層に対して、支持体と反対側の面に積層される。剥離ライナーを備えていると、保管時において、粘着剤層へのゴミ等の付着を低減することができる傾向がある。剥離ライナーの粘着剤層と接する面は、シリコーン又はフッ素化ポリオレフィン等により離型処理されていることが好ましい。
剥離ライナーの素材としては、特に限定されず、当業者に一般的に知られているライナーを用いることができる。剥離ライナーとしては、例えば、紙;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、アルミニウム等のフィルムが挙げられる。剥離ライナーは、上質紙とポリオレフィンとのラミネートフィルムであってもよい。剥離ライナーの材質としては、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレート製のフィルムが好ましい。
貼付剤は、例えば、次の方法により製造することができるが、これに限定されず、公知の方法を使用することができる。まず、粘着剤層を構成する各成分を所定の割合で混合して均一な溶解物(粘着剤組成物)を得る。次に、剥離可能なフィルム(剥離ライナー)上に粘着剤組成物を所定の単位面積あたりの質量で展延して粘着剤層を形成する。さらに、粘着剤層が剥離ライナーと支持体とに挟まれるように、粘着剤層に支持体を圧着する。最後に、所望の形状及び寸法に裁断することにより、貼付剤を得ることができる。この場合、剥離ライナーは、貼付剤の適用時に除去される。貼付剤の面積は、1~200cmであってよく、5~100cmであってよく、30~80cmであってよい。貼付剤の形状及び寸法は、例えば、短辺が3~14cmかつ長辺が7~20cmの矩形、又は直径が1~10cmの円形であってもよい。
試験例1:ゴム系粘着基剤を含有する貼付剤における乳酸の有無の評価
1.貼付剤の製造
下記表1に従って、各成分を混合し粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を剥離ライナー(離型処理が施されたポリエチレンテレフタレート製フィルム)上に、単位面積当たりの質量が80g/mになるように展延し、溶媒を乾燥除去して粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の前記反対の面上に支持体層(ポリエチレンテレフタレート製フィルム)を積層し、支持体層/粘着剤層/剥離ライナーの順に積層された貼付剤を得た。
2.ヘアレスマウス皮膚透過性試験
製造した貼付剤を2cmに打ち抜き、摘出したヘアレスマウス皮膚の脂肪を除去し、表皮側に剥離ライナーを除去した貼付剤を貼付した。これを真皮側がレセプター側に接するようにフロースルータイプのフランツ型透過試験セルにセットし、前記セルにレセプター溶液(生理食塩水)を満たした。次いで、レセプター溶液が32℃に保温されるように、温めた循環水を外周部に循環させながらレセプター溶液を送液し、2時間毎に24時間までレセプター溶液を採取した。採取したレセプター溶液中のブロナンセリンの濃度を高速液体クロマトグラフ法により測定し、貼付開始から24時間までのブロナンセリンの累積皮膚透過量(μg/cm)及び最大皮膚透過速度(μg/cm/hr)を算出した。
<分析条件>
カラム:TSK gel ODS-80TsQA 5μm(4.6mmI.D.×150mm)
移動相:0.5%リン酸:アセトニトリル=73:27
測定波長:248nm
流速:1ml/min
カラム温度:40℃
Figure 2024077124000001
乳酸を含有する比較例2の貼付剤は、乳酸を含有しない比較例1の貼付剤と比較して、ブロナンセリンの皮膚透過性が極めて低いことが確認された。
試験例2:酢酸及び酢酸ナトリウムを含有する貼付剤の評価(1)
試験例1と同様に、下記表2の組成に従って貼付剤を製造し、ヘアレスマウス皮膚透過性試験を行った。
実施例1~5({酢酸の含有量(質量%)×酢酸塩の含有量(質量%)}/ブロナンセリンの含有量(質量%)で算出される値が0.022~2.842の貼付剤)の貼付剤は、皮膚透過性に優れることが確認された。
試験例3:粘着付与樹脂として脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン系樹脂、水素添加ロジングリセリンエステルを含有する貼付剤の評価
試験例1と同様に、下記表3の組成に従って貼付剤を製造し、ヘアレスマウス皮膚透過性試験を行った。ただし、本試験例では2.5cmに打ち抜いた貼付剤をマウスに貼付した。
Figure 2024077124000003
実施例6~8の貼付剤は、ブロナンセリンの皮膚透過性に優れることが確認された。
試験例4:流動パラフィンを含有する貼付剤の評価
試験例1と同様に、下記表4の組成に従って貼付剤を製造し、ヘアレスマウス皮膚透過性試験を行った。ただし、本試験例では2.5cmに打ち抜いた貼付剤をマウスに貼付した。
Figure 2024077124000004
実施例9~12(流動パラフィンを含有する貼付剤)の貼付剤は、ブロナンセリンの皮膚透過性に優れることが確認された。
試験例5:酢酸及び酢酸ナトリウムを含有する貼付剤の評価(2)
試験例1と同様に、下記表5の組成に従って貼付剤を製造し、ヘアレスマウス皮膚透過性試験を行った。
Figure 2024077124000005
比較例6({酢酸の含有量(質量%)×酢酸塩の含有量(質量%)}/ブロナンセリンの含有量(質量%)で算出される値が0.003の貼付剤)の貼付剤では、酢酸、酢酸ナトリウム及び流動パラフィンを含有するにも関わらず、{酢酸の含有量(質量%)×酢酸塩の含有量(質量%)}/ブロナンセリンの含有量(質量%)で算出される値が、本発明の貼付剤における値の範囲外であるため、比較例7(流動パラフィン不含の貼付剤)の貼付剤と比較しても、ブロナンセリンの皮膚透過性が低いことが確認された。実施例13~14({酢酸の含有量(質量%)×酢酸塩の含有量(質量%)}/ブロナンセリンの含有量(質量%)で算出される値が12.968~29.118の貼付剤)の貼付剤は、比較例5~7の貼付剤と比較してブロナンセリンの皮膚透過性に優れることが確認された。

Claims (4)

  1. 支持体上に粘着剤層を備える貼付剤であって、
    前記粘着剤層が、ブロナンセリン又はその薬学的に許容可能な塩と、ゴム系粘着基剤と、酢酸と、酢酸塩と、流動パラフィンと、を含有し、
    前記粘着剤層において下記式:
    {酢酸の含有量(質量%)×酢酸塩の含有量(質量%)}/ブロナンセリンの含有量(質量%)
    で算出される値が0.02~30である、貼付剤。
  2. 前記粘着剤層が乳酸を含有しない、請求項1に記載の貼付剤。
  3. 前記酢酸塩が酢酸ナトリウムである、請求項1又は2に記載の貼付剤。
  4. 前記ゴム系粘着基剤が、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、又はこれらの組み合わせである、請求項1又は2に記載の貼付剤。

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