JP2024076784A - 積層電子部品 - Google Patents

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信人 森ケ▲崎▼
琢磨 有泉
義崇 永島
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Abstract

Figure 2024076784000001
【課題】耐湿性を向上させることと、高電圧印加時におけるクラックの発生を低減させることと、を両立させることができる積層電子部品を提供すること。
【解決手段】内側誘電体層と内部電極層とが交互に積層された内装領域と、前記内装領域の積層方向の外側に位置する外装領域と、を有する素子本体と、素子本体の表面に内部電極層と接続される一対の外部電極と、を有する積層電子部品であって、内装領域の積層方向の中心の第3領域におけるREの中で最もモル比の高い元素をRAとし、外装領域の積層方向の中心の第1領域におけるREの中で最もモル比の高い元素をRBとし、RAとRBとは異なる元素であり、DRAa、DRAbおよびDRAcはDRAa<DRAb<DRAcの関係を満たし、DRBa、DRBbおよびDRBcはDRBa>DRBb>DRBcの関係を満たす積層電子部品。
【選択図】図1A

Description

本発明は、積層電子部品に関する。
特許文献1には、積層セラミックコンデンサの積層体の第1外層の表面の色彩と内層部の表面の色彩とが異なることにより、積層セラミックコンデンサの外観から内部電極の積層方向を確認でき、基板と積層セラミックコンデンサの内部電極の位置関係を考慮して積層セラミックコンデンサを実装し易くする技術が開示されている。
一方、昨今、市場からは、耐湿性を向上させることと、高電圧印加時におけるクラックの発生を低減させることとを両立させることが要求されている。
国際公開第2014/148133号公報
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、その目的は、耐湿性を向上させることと、高電圧印加時におけるクラックの発生を低減させることと、を両立させることができる積層電子部品を提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明に係る積層電子部品は、
内側誘電体層と内部電極層とが交互に積層された内装領域と、前記内装領域の積層方向の外側に位置する外装領域と、を有する素子本体と、
前記素子本体の表面に前記内部電極層と接続される一対の外部電極と、を有する積層電子部品であって、
前記内側誘電体層および前記外装領域の外側誘電体層は、主相粒子が一般式ABO3で表されるペロブスカイト型結晶構造を有する主成分を含み、
前記内側誘電体層および前記外側誘電体層は、RE、MおよびSiを含む副成分を含み、
AはBa、SrおよびCaから選択される少なくとも1種であり、
BはTi、ZrおよびHfから選択される少なくとも1種であり、
REはYb、Y、Ho、Dy、Tb、GdおよびEuから選択される少なくとも1種であり、
MはMg、Mn、VおよびCrから選択される少なくとも2種であり、
前記内装領域の積層方向の中心の第3領域の前記内側誘電体層におけるREの中で最もモル比の高い元素をRAとし、
前記外装領域の積層方向の中心の第1領域におけるREの中で最もモル比の高い元素をRBとし、
RAとRBとは異なる元素であり、
前記第1領域における前記主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAaとし、
前記内装領域の内部の積層方向の外側の第2領域の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAbとし、
前記第3領域の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAcとし、
前記第1領域における前記主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBaとし、
前記第2領域の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBbとし、
前記第3領域の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBcとしたとき、
RAa、DRAbおよびDRAcはDRAa<DRAb<DRAcの関係を満たし、
RBa、DRBbおよびDRBcはDRBa>DRBb>DRBcの関係を満たす。
本発明に係る積層電子部品によれば、耐湿性を向上させ、なおかつ高電圧印加時におけるクラック(以下では、「電歪クラック」と記載することがある)を低減させることができる。
具体的には、本発明に係る積層電子部品では、内側誘電体層および外側誘電体層の組成、特にREの種類および含有量を上記の条件に沿うようにすることで、外装領域が十分に焼成されるため、外装領域の空隙率を低減して外装領域の緻密化を図ることができ、その結果、耐湿性を向上させることができる。
また、外装領域から内装領域にかけてRAの濃度およびRBの濃度が徐々に変化していることにより、外装領域から内装領域にかけて焼結挙動が徐々に変化することから、外装領域および内装領域における応力差分を低減することができ、その結果、電歪クラックを低減させることができる。
前記第1領域を100質量部としたときの前記第1領域におけるREのRE23換算での含有量をCREaとし、
前記第3領域の前記内側誘電体層を100質量部としたときの前記第3領域の前記内側誘電体層におけるREのRE23換算での含有量をCREcとしたとき、
REaおよびCREcはCREc>CREaの関係を満たすことが好ましい。
REc>CREaの関係を満たすようにして、外装領域に含まれるREの含有量を少なくすることにより、外装領域の空隙率をより低減することができ、その結果、外部の湿度が高い場合でも故障をより抑制することができ、耐湿性をより向上させることができる。
前記第1領域における前記主成分100モル部に対するRE23換算でのRBの含有量DRBaは0.7モル部以上であることが好ましく、
前記第3領域における前記主成分100モル部に対するRE23換算でのRAの含有量DRAcは0.7モル部以上であることが好ましく、
RAcおよびDRAaはDRAc/DRAa≧3の関係を満たすことが好ましい。
これにより、外装領域の空隙率をより低減することができ、その結果、外部の湿度が高い場合でも故障をより抑制することができ、耐湿性をより向上させることができる。また、内層誘電体層において主相粒子へのRAの固溶量を十分に確保できることから、抵抗がより高くなるため、高電界下で局所的に電流密度が高くなることを防ぎ、その結果、高湿度環境下での信頼性をより担保することができる。
前記内側誘電体層の最外層を1層目とし、
積層方向のn層目の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAnとし、
積層方向のn層目の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBnとし、
積層方向のn層目におけるDRBnに対するDRAnの比率(DRAn/DRBn)をrnとしたとき、
nが1であるr1、nが2であるr2、nが3であるr3、nが4であるr4およびnが5であるr5はr1<r2<r3<r4<r5の関係を満たし、
r1およびr5はr5/r1>2.0の関係を満たすことが好ましい。
これにより、耐湿性をより向上させ、なおかつ電歪クラックをより低減させることができる。内側誘電体層の1層目から5層目にかけてRAの濃度およびRBの濃度が徐々に変化することにより、内装領域および外装領域での応力差分をさらに低減することができ、電歪クラックをより低減させることができる。
図1Aは、積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図1Bは、図1AのIB-IB線に沿う積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2Aは、実施例3のYのマッピング画像である。 図2Bは、図2AのYの含有量の変化を示すグラフである。 図3Aは、実施例3のDyのマッピング画像である。 図3Bは、図3AのDyの含有量の変化を示すグラフである。
1.積層セラミックコンデンサ
1.1 積層セラミックコンデンサの全体構成
本実施形態に係る積層電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ2が図1Aおよび図1Bに示される。積層セラミックコンデンサ2は、素子本体4を有し、素子本体4は内装領域13と、外装領域15とを有する。内装領域13は、X軸およびY軸を含む平面に実質的に平行な内側誘電体層10と内部電極層12とを有し、内側誘電体層10と、内部電極層12と、がZ軸方向に交互に積層された構成である。外装領域15は内装領域13の積層方向(Z軸方向)の外側に位置する。
ここで、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に垂直である。
また、「内側」は、積層セラミックコンデンサ2の中心により近い側を意味し、「外側」は、積層セラミックコンデンサ2の中心からより離れた側を意味する。
さらに、「実質的に平行」とは、ほとんどの部分が平行であるが、多少平行ではない部分を有していてもよいことを意味し、内側誘電体層10と内部電極層12とは、多少、凹凸があったり、傾いていたりしてもよい。
また、図1Aによれば、素子本体4のX軸方向の端面は、平面であり、言い換えると、内側誘電体層10と内部電極層12とが面一となるように積層されている。しかし、素子本体4のX軸方向の端面は、平面ではない部分を有していてもよい。また、内側誘電体層10と内部電極層12とが面一とはならずに、たとえば内側誘電体層10の一部が削れていたり、内部電極層12の一部が突き出た状態で積層されていてもよい。
外装領域15は外側誘電体層11により構成されている。外装領域15は一層の外側誘電体層11のみによる単層構造であってもよいし、複数の外側誘電体層11が積層された積層構造であってもよい。
素子本体4の両端部には、素子本体4の内部で交互に配置された内部電極層12と各々導通する一対の外部電極6が形成してある。素子本体4の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、素子本体4の寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。
本実施形態では、素子本体4の縦寸法L0(図1A参照)は、7.5~0.4mmであってもよい。素子本体4の幅寸法W0(図1B参照)は、6.3~0.2mmであってもよい。素子本体4の高さ寸法H0(図1B参照)は、6.3~0.2mmであってもよい。
素子本体4の具体的なサイズとしては、L0×W0が(7.5±0.4)mm×(6.3±0.4)mm、(5.7±0.4)mm×(5.0±0.4)mm、(4.5±0.4)mm×(3.2±0.4)mm、(3.2±0.3)mm×(2.5±0.2)mm、(3.2±0.3)mm×(1.6±0.2)mm、(2.0±0.2)mm×(1.2±0.1)mm、(1.6±0.2)mm×(0.8±0.1)mm、(1.0±0.1)mm×(0.5±0.05)mm、(0.6±0.06)mm×(0.3±0.03)mm、(0.4±0.04)mm×(0.2±0.02)mmの場合等が挙げられる。また、H0は特に限定されず、たとえばW0と同等以下程度である。
1.2 内部電極層
本実施形態では、内部電極層12は、各端部が素子本体4の対向する二端面の表面に交互に露出するように積層してある。
内部電極層12に含有される導電材としては特に限定されない。導電材として用いられる貴金属としては、たとえばPd、Pt、Ag-Pd合金等が挙げられる。導電材として用いられる卑金属としては、たとえばNi、Ni系合金、Cu、Cu系合金等が挙げられる。なお、Ni、Ni系合金、CuまたはCu系合金中には、Pおよび/またはS等の各種微量成分が0.1質量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層12は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層12の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
1.3 外部電極
外部電極6に含有される導電材は特に限定されない。たとえばNi、Cu、Sn、Ag、Pd、Pt、Auあるいはこれらの合金、導電性樹脂等公知の導電材を用いればよい。外部電極6の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
1.4 誘電体層
本実施形態では、「内側誘電体層10」および「外側誘電体層11」をまとめて「誘電体層」と記載することがある。
内側誘電体層10の1層あたりの厚み(層間厚み)は特に限定されず、所望の特性や用途等に応じて任意に設定することができる。通常は、層間厚みは20μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。また、内側誘電体層10の積層数は10層以上であることが望ましく、たとえば50層以上であってもよく、100層以上であってもよく、200層以上であってもよい。
外側誘電体層11の1層あたりの厚み(層間厚み)は特に限定されず、たとえば内側誘電体層10の層間厚みと同等とすることができる。本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2によれば、外側誘電体層11の厚みを薄くしたとしても、耐湿性を有し、なおかつ高電圧印加時のクラックを抑制することができる。また、外側誘電体層11の積層数は特に限定されず、たとえば5層以上であってもよく、20層以上であってもよい。
本実施形態に係る誘電体層(内側誘電体層10および外側誘電体層11)は、主相粒子(誘電体粒子)を含む。
本実施形態の主相粒子はABO3で表されるペロブスカイト型結晶構造を有する化合物を主成分として含む。なお、主相粒子の主成分とは、主相粒子100質量部に対して、80~100質量部を占める成分であり、好ましくは、90~100質量部を占める成分である。なお、主相粒子が上記の主成分以外の成分を含有してもよい。たとえばバリウム(Ba)化合物などを含有してもよい。
ABO3のA、すなわちAサイト元素はBa、ストロンチウム(Sr)およびカルシウム(Ca)から選択される少なくとも1種であり、AはBaおよびSrから選択される少なくとも1種であってもよい。A100モル部に対して80モル部以上のBaを含んでもよく、A100モル部に対して90モル部以上のBaを含んでもよい。AはBaのみであってもよい。
ABO3のB、すなわちBサイト元素はチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)から選択される少なくとも1種である。BはTiおよびZrから選択される少なくとも1種であってもよい。B100モル部に対して70モル部以上のTiを含んでもよく、B100モル部に対して80モル部以上のTiを含んでもよい。BはTiのみであってもよい。
AはBa、SrおよびCaから選択される少なくとも1種、BはTiおよびZrから選択される少なくとも1種であるとして、主成分の組成を具体的に記載すれば{Ba1-x-yCaxSry}O}u(Ti1-zZrzv2である。
xは好ましくは0≦x≦0.10、さらに好ましくは0≦x≦0.05である。yは好ましくは0≦y≦0.10、さらに好ましくは0≦y≦0.05である。zは好ましくは0≦z≦0.30、さらに好ましくは0≦z≦0.15である。u/vは好ましくは1.000≦u/v≦1.030、さらに好ましくは1.000≦u/v≦1.015である。u/vが上記の範囲内である場合には、上記の範囲を上回る場合に比べて十分に焼結させることができるため、誘電体組成物の比誘電率及び信頼性が向上する傾向にある。u/vが上記の範囲内である場合には、上記の範囲を下回る場合に比べて焼結安定性が悪化しにくく、積層セラミックコンデンサ2の比誘電率、信頼性および温度特性がより向上する傾向となる。
誘電体層は、副成分としてRE、Mおよびケイ素(Si)を含む。なお、副成分としては、上記の他、Fe、Alおよび/またはZrを含んでいてもよい。
上記の通り、副成分は主相粒子に固溶して存在してもよい。副成分は主相粒子に固溶してコアシェル構造のシェル部を形成していてもよいし、主相粒子に全固溶して全固溶主相粒子を形成していてもよい。この他、副成分は、偏析粒子を形成したり、主相粒子の粒界に存在していてもよい。
REはイッテルビウム(Yb)、イットリウム(Y)、ホルミウム(Ho)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)、ガドリニウム(Gd)およびユウロピウム(Eu)から選択される少なくとも1種であり、好ましくはDy、Ho、Ybおよび/またはYである。
Dy、Tb、GdおよびEuは上記希土類元素中において比較的イオン半径が大きい。一方、Yb、YおよびHoは上記希土類元素中において比較的イオン半径が小さい。REのイオン半径が大きいほど、REは主相粒子に固溶し易い傾向がある。
また、比較的イオン半径が大きいREが主相粒子に固溶する場合には、REは主成分のうち主にAサイト元素を置換する傾向がある。一方、比較的イオン半径が小さいREが主相粒子に固溶する場合には、主成分のうち主にBサイト元素を置換する傾向がある。
そして、比較的イオン半径が大きいREが主相粒子に多く固溶するほど高温負荷寿命が向上する傾向がある。一方、比較的イオン半径が小さいREが主相粒子に多く固溶するほど抵抗が上昇する傾向がある。
Mはマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)およびクロム(Cr)から選択される少なくとも2種である。Mは主にMの酸化物として誘電体層に含まれる。また、Mが主成分のうちBサイト元素を置換する場合もある。
内側誘電体層10を構成する主相粒子の主成分の組成の範囲と、外側誘電体層11を構成する主相粒子の主成分の組成の範囲とは、同一であっても異なっていてもよい。また、内側誘電体層10のREを除く副成分の組成の範囲と、外側誘電体層11のREを除く副成分の組成の範囲とは、同一であっても異なっていてもよい。
図1に示すように、内部電極層12の最外層の外表面120から素子本体4の外表面40、すなわち外装領域15の外表面までの距離をTdeとする。なお、素子本体4の外表面40は積層方向に垂直な面である。Tdeは特に限定されないが、10μm以上500μm以下である。
外装領域15の積層方向の中心を第1領域15aとする。第1領域15aの範囲は特に制限されないが、たとえば「内部電極層12の最外層12の外表面120と素子本体4の外表面40との中間地点」から内部電極層12の最外層の外表面120に向かってTde×0.1の距離または「内部電極層12の最外層の外表面120と素子本体4の外表面40との中間地点」から素子本体4の外表面40に向かってTde×0.1の距離の範囲とすることができる。
内装領域13の内部の積層方向の外側を第2領域13bとする。すなわち、第3領域13bとは内装領域13に含まれる領域である。第2領域13bの範囲は特に限定されないが、たとえば内側誘電体層10の1層目から5層目までの領域であることが好ましい。なお、本実施形態では、内側誘電体層10の最外層、すなわち積層方向の最も外側の内側誘電体層10を1層目とし、積層方向の内側に向かうにしたがって、2層目、3層目・・・と数える。したがって、積層方向の最も外側の一の内側誘電体層10が「1層目」となると共に、積層方向の最も外側の他の内側誘電体層10も「1層目」となる。
また、第2領域13bは内部電極層12も含む領域である。
内装領域13の積層方向の中心を第3領域13cとする。第3領域13cの範囲は特に制限されないが、たとえば「素子本体4の一の外表面40と対向する素子本体4の他の外表面40との中間地点」から素子本体4の一の外表面40に向かってTde×0.1の距離または「素子本体4の一の外表面40と対向する素子本体4の他の外表面40との中間地点」から素子本体4の他の外表面40に向かってTde×0.1の距離の範囲とすることができる。
また、第3領域13cは内部電極層12も含む領域である。
第3領域13cの内側誘電体層10におけるREの中で最もモル比の高い元素をRAとし、第1領域15aにおけるREの中で最もモル比の高い元素をRBとする。
RAとRBとは異なる元素である。
第1領域15aにおける主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAaとする。1.0モル部以下であることが好ましい。
第2領域13bの内側誘電体層10における主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAbとする。DRAbは0.4モル部以上7.0モル部以下であることが好ましい。
第3領域13cの内側誘電体層10における主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAcとする。DRAcは0.4モル部以上7.0モル部以下であることが好ましい。
第1領域15aにおける主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBaとする。DRBaは0.4モル部以上7.0モル部以下であることが好ましい。
第2領域13bの内側誘電体層10における主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBbとする。1.0モル部以下であることが好ましい。
第3領域13cの内側誘電体層10における主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBcとする。1.0モル部以下であることが好ましい。
RAa、DRAbおよびDRAcはDRAa<DRAb<DRAcの関係を満たす。
また、DRBa、DRBbおよびDRBcはDRBa>DRBb>DRBcの関係を満たす。
すなわち、本実施形態では、外装領域15から内装領域13にかけてRAの濃度およびRBの濃度が徐々に変化している。なお、内装領域13では、内側誘電体層10が内部電極層12に挟まれているため、内装領域13ではRAの濃度およびRBの濃度が連続的には変化していない場合がある。したがって、内装領域13ではRAの濃度およびRBの濃度が断続的に、または階段状に変化しているとも言える。ただし、内装領域13の内側誘電体層10にだけ着目すればRAの濃度およびRBの濃度が連続的に変化していることが好ましい。
第1領域15aを100質量部としたときの第1領域15aにおける「RE」のRE23換算での含有量をCREaとする。上記の通り、本実施形態では「RE」とはすなわち、Yb、Y、Ho、Dy、Tb、GdおよびEuから選択される少なくとも1種である。したがって、「RE」には、RAおよびRBの両方が含まれることがある。CREaは0.4質量部以上7.0質量部以下であることが好ましい。
第3領域13cの内側誘電体層を100質量部としたときの第3領域13cの内側誘電体層10におけるREのRE23換算での含有量をCREcとする。CREcは0.6質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
REaおよびCREcは好ましくはCREc>CREaの関係を満たし、CREaに対するCREcの比(CREc/CREa)は1.1以上3.0以下であることが好ましい。
第1領域15aにおける主成分100モル部に対するRE23換算でのRBの含有量DRBaは好ましくは0.7モル部以上である。
第3領域13cにおける主成分100モル部に対するRE23換算でのRAの含有量DRAcは好ましくは0.7モル部以上である。
RAcおよびDRAaはDRAc/DRAa≧3の関係を満たすことが好ましい。
積層方向のn層目(nは整数である)の内側誘電体層10における主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAnとし、積層方向のn層目の内側誘電体層10における主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBnとし、積層方向のn層目におけるDRBnに対するDRAnの比率(DRAn/DRBn)をrnとしたとき、nが1であるr1、nが2であるr2、nが3であるr3、nが4であるr4およびnが5であるr5はr1<r2<r3<r4<r5の関係を満たすことが好ましく、r1およびr5はr5/r1>2.0の関係を満たすことが好ましい。
2.積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、図1Aに示す積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例について以下に説明する。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ2は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、外側誘電体層11を形成するための誘電体原料を準備し、これを塗料化して、外側誘電体層用ペーストを調製する。
誘電体原料として、主成分であるABO3の原料と、その他の各種酸化物の原料と、を準備する。これらの原料としては、上記した成分の酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。
主成分であるABO3の原料粉末の粒径は特に限定されないが、たとえば150~300nmである。
本実施形態では、上記した成分の酸化物等を主成分に対して均一に分散させた混合物を用いることが好ましいが、主成分が上記した成分で被覆された誘電体原料を用いてもよい。さらに、主成分の原料以外には、例えば、REの酸化物、Mの酸化物およびSiの化合物を用いてもよい。
なお、主成分であるABO3の原料は、いわゆる固相法の他、各種液相法(たとえば、シュウ酸塩法、水熱合成法、アルコキシド法、ゾルゲル法など)により製造されたものなど、種々の方法で製造されたものを用いることができる。
さらに、外側誘電体層11に、上記した成分以外の成分が含有される場合には、該成分の原料として、それらの成分の酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができる。また、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物を用いることができる。
焼成後にRBとなる化合物のRE23換算の含有量は、焼成後にRB以外のREとなる化合物のRE23換算の含有量よりも多くなるようにする。
外側誘電体原料中のRE以外の元素の各化合物の含有量は、焼成後に上述した誘電体層の組成となるように決定すればよい。
また、BaCO3粉末を、主成分100モル部に対してBaCO3換算で0.1モル部以上2.0モル部以下含有させてもよい。
上記のその他の各種酸化物の原料のうち任意の2種類以上を主成分と混合する前に混合させ、仮焼してもよい。例えば、RE酸化物の原料、Si酸化物の原料および主成分とは別に含まれるAの酸化物の原料(例えばBa酸化物の原料)を事前に混合させ、仮焼してもよい。仮焼温度は1100℃未満とする。そして仮焼して得られた化合物粉末と主成分と仮焼しなかった各種酸化物の原料とを混合させてもよい。このようにすることで、REの主相粒子への固溶し易さが変化する。
外側誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。バインダおよび溶剤は、公知のものを用いればよい。
また、外側誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水溶性バインダは特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
続いて、内側の内側誘電体層用ペーストを準備する。内側の内側誘電体層用ペーストでは、「焼成後にRAとなる化合物のRE23換算の含有量」が、「焼成後にRA以外のREとなる化合物のRE23換算の含有量」よりも多くなるようにする以外は外側誘電体層用ペーストと同様にして作製することができる。
続いて、外側の内側誘電体層用ペーストを準備する。外側の内側誘電体層用ペーストでは、「焼成後にRBとなる化合物のRE23換算の含有量」が外側誘電体層用ペーストに含まれる「焼成後にRBとなる化合物のRE23換算の含有量」と同じ、もしくは少なく、「焼成後にRAとなる化合物のRE23換算の含有量」が内側の内側誘電体層用ペーストに含まれる「焼成後にRAとなる化合物のRE23換算の含有量」と同じ、もしくは少なくなるようにする以外は外側誘電体層用ペーストと同様にして作製することができる。なお、外側の内側誘電体層用ペーストは外側誘電体層用ペーストと同じであってもよく、内側の内側誘電体層用ペーストと同じであってもよい。
内部電極層用ペーストは、上記したNiやNi合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記したNiやNi合金となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製すればよい。また、内部電極層用ペーストには、共材が含まれていてもよい。共材としては特に制限されないが、主成分と同様の組成を有していてもよい。
外部電極用ペーストは、無機成分として上記したCuやCu合金からなる導電材等を用いて上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、たとえば、バインダは1~15質量%程度、溶剤は10~60質量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10質量%以下としてもよい。
PET等の基板上に外側誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、基板から剥離したグリーンシートを複数枚積層して、積層方向に加圧して外装領域グリーン積層体を得る。外側誘電体層用グリーンシートは一層のみでもよいし、複数層であってもよい。
次に、基板上に外側の内側誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストにより内部電極パターン層を形成して、基板からグリーンシートを剥離することで内部電極パターン層を有する外側の内側誘電体層用グリーンシートを作製する。
次に、基板上に内側の内側誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストにより内部電極パターン層を形成して、基板からグリーンシートを剥離することで内部電極パターン層を有する内側の内側誘電体層用グリーンシートを作製する。
内部電極パターン層の形成方法としては、特に限定されず、印刷法、転写法の他、蒸着、スパッタリングなどの薄膜形成方法により形成されていてもよい。
次いで、外装領域グリーン積層体の上に内部電極パターン層を有する外側の内側誘電体層グリーンシートを複数枚積層し、その上に、内部電極パターン層を有する内側の内側誘電体層グリーンシートを複数枚積層し、その上に、内部電極パターン層を有する外側の内側誘電体層グリーンシートを複数枚積層し、必要に応じて加圧接着することにより内装領域グリーン積層体を得る。
次いで、内装領域グリーン積層体の上に、さらに外側誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、基板から剥離したグリーンシートを複数枚積層して、積層方向に加圧して素子本体4のグリーン積層体を得る。外側誘電体層用グリーンシートは一層のみでもよいし、複数層であってもよい。
素子本体4のグリーン積層体を所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5~300℃/時間、脱バインダ温度を好ましくは180~900℃、保持時間を好ましくは0.5~48時間とする。また、脱バインダ処理における雰囲気は、空気もしくは還元性雰囲気(例えば加湿したN2ガス雰囲気もしくは、加湿したN2+H2混合ガス雰囲気)とする。
脱バインダ後、グリーンチップを焼成する。たとえば、昇温速度を200~20000℃/時間、焼成温度を1150~1350℃、保持時間を0.1~10時間としてもよい。
焼成時の雰囲気も特に限定されない。空気または還元性雰囲気としてもよい。還元性雰囲気とする場合の雰囲気ガスとしては、たとえば、N2とH2との混合ガスを加湿して用いることができる。また、酸素分圧を1.0×10-14~1.0×10-9MPaとしてもよい。
本実施形態では、焼成後の素子本体4に対し、アニール処理(誘電体層の酸化処理)を行うことが好ましい。具体的には、アニール温度は、950~1100℃としてもよい。保持時間は、0.1~20時間としてもよい。酸化処理時の雰囲気は、加湿したN2ガス(酸素分圧:1.0×10-9~1.0×10-6MPa)としてもよい。
上記した脱バインダ処理、焼成およびアニール処理において、N2ガスや混合ガス等を加湿する場合には、たとえばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5~75℃程度が好ましい。
脱バインダ処理、焼成およびアニール処理は、連続して行っても、独立に行ってもよい。
上記のようにして得られた素子本体4に、たとえばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、外部電極6を形成する。そして、必要に応じて、外部電極6の表面に、めっき等により被覆層を形成する。
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサ2は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
従来の積層セラミックコンデンサでは、内装領域に比べて外装領域には空隙が生じ易い傾向があった。その理由としては、内装領域には熱伝導率の高い内部電極層が含まれているのに対して、外装領域には内部電極層が含まれていないため、外装領域で焼結が進行しにくい傾向があるためであると考えられる。
これに対して、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、内側誘電体層および外側誘電体層の組成、特にREの種類および含有量を上記の条件に沿うようにすることで、外装領域15を十分に焼成することができ、外装領域15の空隙率を低減して外装領域15の緻密化を図ることができ、その結果、耐湿性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、DRAa<DRAb<DRAcの関係を満たし、なおかつDRBa>DRBb>DRBcの関係を満たすように外装領域15から内装領域13にかけてRAの濃度およびRBの濃度が徐々に変化している。これにより、外装領域15から内装領域13にかけて焼結挙動が徐々に変化することから、外装領域15および内装領域13における応力差分を低減することができ、その結果、電歪クラックを低減させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変してもよい。
たとえば、上記の内側の内側誘電体層用ペーストおよび外側の内側誘電体層用ペーストではRAの含有量が異なる旨を記載したが、内側の内側誘電体層用ペーストおよび外側の内側誘電体層用ペーストではRAの含有量が同じであってもよい。
また、内部電極層用ペーストの無機成分の一部をRAまたはRBに置換してもよい。内部電極層用ペースト中にRAまたはRBの成分が多過ぎない程度に含まれていることにより、内装領域13の内側誘電体層10に含まれるRAおよびRBの含有量を制御することができ、DRAa<DRAb<DRAcおよびDRBa>DRBb>DRBcの関係を満たし易くすることができる。
変形例
上述した実施形態では、本発明に係る積層電子部品が積層セラミックコンデンサである場合について説明したが、本発明に係る積層電子部品は、積層セラミックコンデンサに限定されず、上述した構成を有する積層電子部品であればよい。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実験1>
実験1は表1Aおよび表1Bに記載の実施例または比較例に関する。
(製造方法1)
製造方法1は比較例1、実施例1~実施例4、実施例6および実施例7に関する。
外側誘電体層用ペーストを下記の通り準備した。
主成分の原料粉末として、BaTiO3粉末を準備した。BaTiO3粉末のBa/Tiは1.000であった。
また、表1Aに記載のREの酸化物の原料粉末を準備した。
また、Mの酸化物の原料粉末としてMgO粉末、MnCO3粉末およびV25粉末を準備した。なお、MnCO3は焼成後にMnOとして誘電体層中に含有されることとなる。
また、Siの酸化物の原料粉末としてSiO2粉末を準備した。
さらに、Baの酸化物の原料粉末としてBaCO3粉末を準備した。なお、BaCO3は焼成後にBaOとして誘電体層中に含有されることとなる。
次に、上記で準備した各原料粉末を、主成分100モル部に対して各酸化物換算でSiO2を1.0モル部、BaCO3を1.0モル部、MgO粉末・MnCO3粉末・V25粉末を混合したもの0.7モル部となるように秤量した。また、REの原料粉末を、主成分100モル部に対して酸化物換算で表1Aに記載の通りとなるように秤量した。秤量された各原料粉末をボールミルで20時間湿式混合・粉砕し、乾燥して、誘電体原料を得た。
次に、誘電体原料100質量部に対してポリビニルブチラール樹脂10質量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP)5質量部と、溶媒としてのアルコール100質量部とをボールミルで混合してペースト化し、外側誘電体層用ペーストを得た。
REの酸化物の原料粉末の種類と含有量を表1Aに記載の通り変えた以外は外側誘電体層用ペーストと同様にして外側の内側誘電体層用ペーストおよび内側の内側誘電体層用ペーストを得た。
Ni粉末、テルピネオール、エチルセルロースおよびベンゾトリアゾールを、質量比が44.6:52.0:3.0:0.4となるように準備した。そして、これらを3本ロールにより混練し、ペースト化して内部電極層用ペーストを作製した。
上記にて作製した外側誘電体層用ペーストを用いて、PETフィルム上に、乾燥後の厚みが6.0μmとなるように外側誘電体層用グリーンシートを形成し、積層方向に加圧して外装領域グリーン積層体を得た。
次いで、上記にて作製した外側の内側誘電体層用ペーストを用いて、乾燥後の厚みが4.0μmとなるようにグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを用いて、電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、内部電極パターン層を有する外側の内側誘電体層用グリーンシートを作製した。
また、上記にて作製した内側の内側誘電体層用ペーストを用いて、乾燥後の厚みが4.0μmとなるようにグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを用いて、電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、内部電極パターン層を有する内側の内側誘電体層用グリーンシートを作製した。
次いで、上記の外装領域グリーン積層体の上に外側の内側誘電体層用グリーンシートを5枚積層し、その上に内側の内側誘電体層用グリーンシートを20枚積層し、さらにその上に外側の内側誘電体層用グリーンシートを5枚積層し、加圧接着することにより積層体を得た。
次いで、前記積層体の上に、さらに外側誘電体層用ペーストを使用して、複数枚の外側誘電体層用グリーンシートを形成し、積層方向に加圧して素子本体4のグリーン積層体を得た。このグリーン積層体を所定サイズに切断することにより、グリーンチップを得た。
次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成および酸化処理を行い、焼結体である素子本体を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度を25℃/時間、脱バインダ温度を235℃、保持時間を8時間、雰囲気を空気中とした。
焼成条件は昇温速度を200℃/時間、保持温度を1280℃、保持時間を2時間、降温速度を200℃/時間とした。雰囲気は加湿したN2+H2混合ガス雰囲気とした。酸素分圧は5.0×10-11MPa程度とした。
酸化処理条件は、昇温速度および降温速度を200℃/時間、酸化処理温度を1050℃、保持時間を3時間、雰囲気を加湿したN2ガス雰囲気とし、酸素分圧は1.0×10-7MPaとした。
焼成および酸化処理時の雰囲気の加湿にはウェッターを用いた。
次いで、得られた素子本体の端面をバレル研磨した後、外部電極としてCuペーストを塗布し、還元雰囲気にて焼付け処理を行い、図1Aに示す積層セラミックコンデンサの試料を得た。得られたコンデンサ試料のサイズは、3.2mm×1.6mm×0.7mmであり、内側誘電体層の厚みが3.0μm、内部電極層の厚みが1.0μm、外装領域の厚み(Tde)が270μmであった。また、内側誘電体層の数は40層とした。
(製造方法2)
製造方法2は比較例2、実施例5および実施例8に関する。
製造方法2の比較例2では、Ni粉末、RB23粉末、テルピネオール、エチルセルロースおよびベンゾトリアゾールを、質量比が42.4:2.2:52.0:3.0:0.4となるように準備した以外は、実施例2と同様にして内部電極層用ペーストを作製して、積層セラミックコンデンサ試料を作製した。
製造方法2の実施例5および実施例8では、Ni粉末、RA23粉末、テルピネオール、エチルセルロースおよびベンゾトリアゾールを、質量比が42.4:2.2:52.0:3.0:0.4となるように準備した以外は、実施例2と同様にして内部電極層用ペーストを作製して、積層セラミックコンデンサ試料を作製した。
(製造方法3)
製造方法3は比較例3に関する。
製造方法3では、外側誘電体層用ペースト、外側の内側誘電体層用ペーストおよび内側の内側誘電体層用ペーストを下記の通り作製した以外は比較例1と同様にして積層セラミックコンデンサ試料を作製した。
製造方法3では、外側誘電体層用ペーストに含まれるMgO粉末の含有量を比較例1の外側誘電体層用ペーストに含まれるMgO粉末の含有量の3倍の含有量として、MnCO3粉末およびV25粉末の含有量を減らして、主成分100モル部に対して各酸化物換算でMgO粉末・MnCO3粉末・V25粉末を混合したものが1.0モル部となるように秤量した以外は比較例1の外側誘電体層用ペーストと同様にして外側誘電体層用ペーストを得た。
製造方法3では、外側の内側誘電体層用ペーストに含まれるMnCO3粉末の含有量を比較例1の外側の内側誘電体層用ペーストに含まれるMnCO3粉末の含有量の3倍の含有量として、MgO粉末およびV25粉末の含有量を減らして、主成分100モル部に対して各酸化物換算でMgO粉末・MnCO3粉末・V25粉末を混合したものが1.0モル部となるように秤量した以外は比較例1の外側の内側誘電体層用ペーストと同様にして外側の内側誘電体層用ペーストを得た。
製造方法3では、製造方法3の外側の内側誘電体層用ペーストを内側の内側誘電体層用ペーストとした。
(DRAa、DRBa、DRAb、DRBb、DRAcおよびDRBcの算出方法)
素子本体4を積層方向に沿って切断し、その切断面を研磨して研磨面を得た。その後、その研磨面について収束イオンビーム(FIB)を使用し薄片化処理を行った。薄片化処理した測定サンプルについてエネルギー分散型X線分析装置(EDS)を取り付けた走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いてマッピング分析を行った。以下、EDSを取り付けたSTEMのことをSTEM-EDSと呼ぶ。第1領域において1視野の面積が50μm^2となるように測定範囲を設定しマッピング画像を得た。
上記のSTEM-EDSにより得られたマッピング画像を0.027μm/pixelのドットに分割し、個々のドットでの各REのコントラスト強度を数値化した。具体的にはコントラスト強度が最も小さいもの(検出なし)を0とし、最も大きいものを90として、コントラスト強度を0~90までの91段階に分類した。得られた視野中における平均のコントラス強度を算出した。
主相粒子(主成分)に対する各REの濃度を変えた3つの焼結体を準備しそれぞれコントラスト強度を算出し、それを基に検量線を作成した。その検量線を基に第1領域のDRAaおよびDRBaを算出した。
測定範囲を第1領域に変えて第2領域とした以外は第1領域のDRAaおよびDRBaと同様にして第2領域のDRAbおよびDRBbを算出した。また、測定範囲を第1領域に変えて第3領域とした以外は第1領域のDRAaおよびDRBaと同様にして第3領域のDRAcおよびDRBcを算出した。
なお、第2領域のDRAbおよびDRBbならびに第3領域のDRAcおよびDRBcを算出する際には、測定範囲中の内部電極層が含まれない領域、すなわち測定範囲中の内側誘電体層における平均のコントラスト強度を算出した。
表1B、表2B、表3Bおよび表4Bでは、「DRAa<DRAb<DRAc」の関係を満たす場合については「OK」と記しており、「DRAa<DRAb<DRAc」の関係を満たさない場合については「NG」と記している。
表1B、表2B、表3Bおよび表4Bでは、「DRBa>DRBb>DRBc」の関係を満たす場合については「OK」と記しており、「DRBa>DRBb>DRBc」の関係を満たさない場合については「NG」と記している。
また、実施例2、実施例6および実施例7では、「DRAc/DRAa」を算出した。結果を表3Bに示す。
(DRBaおよびDRAcの算出方法)
実施例2、実施例6および実施例7では、上記で算出したDRBaおよびDRAcについて結果を表3Bに示す。
実施例1、実施例2および実施例8では、上記のDRAa等と同様にしてDRAnおよびDRBnを算出し、n=1~5におけるrn(DRAn/DRBn)すなわちr1~r5を算出した。
表4Bでは、「r1<r2<r3<r4<r5かつr5/r1>2.0」を満たす場合については「OK」と記しており、「r1<r2<r3<r4<r5かつr5/r1>2.0」を満たさない場合については「NG」と記している。
(CREc>CREaの評価)
実施例1、実施例4および実施例5ではCREc>CREaの関係を満たすか否か確認した。素子本体4を積層方向に沿って切断し、その切断面を研磨して研磨面を得た。得られた断面の第1領域および第3領域についてLA-ICP(Laser Abration Inductively Coupled Plasma)測定を行い誘電体領域全体を100質量部としたときに、各希土類元素のRE23換算の含有量を質量部として算出した。その後含有される全希土類元素の含有量を合計することによりCREaおよびCREcを算出した。なお、CREcを算出する際には内部電極層の影響をうける。含まれる希土類元素が1種類のみである比較例1で作製した積層セラミックコンデンサ試料の第3領域のREの測定結果を基にして補正値を決定し、実施例1、実施例4および実施例5におけるCREcを算出した。
表2Bでは、「CREc>CREa」の関係を満たす場合については「OK」と記しており、「CREc>CREa」の関係を満たさない場合については「NG」と記している。
(耐電圧判定)
得られた積層セラミックコンデンサ試料へ直流電圧を印加し、印加電圧を上げた時にショートした電圧を耐電圧とした。VBが150未満の試料を「NG」、耐電圧が150V以上200V未満の試料を「B」、耐電圧が200V以上の試料を「A」と評価した。耐電圧が高いほど、電歪クラックを低減させる効果が高いと判断することができる。結果を表1C、表2C、表3Cおよび表4Cに示す。
(高湿・高温負荷寿命(PCBT))
125℃、湿度95%の環境下において、200個のサンプルに対して20V/μmの電圧を印加し50時間後と100時間後のIRを測定し、投入前のIRと比較して1桁以上落ちている試料を不良とみなした。不良が発生した時間が50時間未満である試料を「NG」とし、不良が発生した時間が50時間以上100時間未満である試料を「B」とし、100時間後において不良が発生しなかった試料を「A」と評価した。結果を表1C、表2C、表3Cおよび表4Cに示す。
(総合判定)
「耐電圧」および「高湿・高温負荷寿命」のうち1つでも「NG」と評価された積層セラミックコンデンサ試料(比較例)を「NG」と評価した。
「耐電圧」が「B」と評価され、「高湿・高温負荷寿命」が「B」と評価された積層セラミックコンデンサ試料(実施例)を「A」と評価した。
「耐電圧」が「B」と評価され、「高湿・高温負荷寿命」が「A」と評価された積層セラミックコンデンサ試料(実施例)を「AA」と評価した。
「耐電圧」および「高湿・高温負荷寿命」が「A」と評価された積層セラミックコンデンサ試料(実施例)を「AAA」と評価した。
総合判定の結果を表1C、表2C、表3Cおよび表4Cに示す。
Figure 2024076784000002
Figure 2024076784000003
Figure 2024076784000004
Figure 2024076784000005
Figure 2024076784000006
Figure 2024076784000007
Figure 2024076784000008
Figure 2024076784000009
Figure 2024076784000010
Figure 2024076784000011
Figure 2024076784000012
Figure 2024076784000013
表1Bおよび表1Cより、RAとRBとでは類種が異なり、DRAa、DRAbおよびDRAcはDRAa<DRAb<DRAcの関係を満たし、DRBa、DRBbおよびDRBcはDRBa>DRBb>DRBcの関係を満たす場合(実施例1~実施例3)は、耐電圧判定および高湿・高温負荷寿命が良好であることが確認できた。
なお、図2A、図2B、図3Aおよび図3Bは実施例3に関する。
具体的には、図2Aは外装領域15および第2領域13bを含む視野についてSTEM-EDSにより得られたYのマッピング画像である。また、図2Aのs点からe点に沿うコントラスト強度の変化を図2Bに示す。図2Bにおいて、x軸はコントラスト強度を示し、y軸はs点からの距離を示す。y軸の単位はμmである。
図3Aは図2Aと同じ視野についてSTEM-EDSにより得られたDyのマッピング画像である。また、図3Aのs点からe点に沿うコントラスト強度の変化を図3Bに示す。図3Bにおいて、x軸はコントラスト強度を示し、y軸はs点からの距離を示す。y軸の単位はμmである。
図2A、図2B、図3Aおよび図3Bより、実施例3では、DRAa<DRAb<DRAcの関係を満たし、なおかつDRBa>DRBb>DRBcの関係を満たすように外装領域15から内装領域13にかけてRA(Dy)の濃度およびRB(Y)の濃度が徐々に変化していることが確認できた。より具体的には、実施例3では、DRAa<DRAb<DRAcの関係を満たし、なおかつDRBa>DRBb>DRBcの関係を満たすように外装領域15から内装領域13にかけてRA(Dy)の濃度およびRB(Y)の濃度が、内部電極層12を介して、断続的に徐々に変化していることが確認できた。これにより、実施例3では、外装領域15から内装領域13にかけて焼結挙動が徐々に変化することから、外装領域15および内装領域13における応力差分を低減することができ、その結果、耐電圧判定が良好であり、すなわち電歪クラックを低減させることができたと考えられる。
比較例1では、RAに該当する元素種もRBに該当する元素種もともにDyであった。比較例1では、これにより外装領域から内装領域にかけてRAおよびRBの濃度勾配が形成されず外装領域と内装領域の焼結挙動差を低減することが出来ないため、チップ内部に応力が残留することにより耐電圧判定が「NG」となったと考えられる。
なお、比較例2では、内部電極層用ペーストに含まれるRB23粉末の含有量が多過ぎたため、DRBa、DRBbおよびDRBcはDRBa>DRBb>DRBcの関係を満たさなかったと考えられる。比較例2では、内装領域のRB含有量が外装領域のRB含有量に比べ多くなったことにより、内装領域の焼結が進まず耐電圧判定、高湿・高温負荷寿命ともにNGとなったと考えられる。
また、比較例3では、RAに該当する元素種およびRBに該当する元素種が共通しており、外側誘電体層に含まれるMの中で最も比率が高い元素がMgであり、内側誘電体層に含まれるMの中で最も比率が高い元素がMnであった。比較例3では、これにより外装領域から内装領域にかけてMgおよびMnの濃度勾配が確認された。一方で比較例3の構成では、総合判定がNGとなったことから、あくまでもREのRAおよびRBがそれぞれ所定の分布であることが必要であることが確認できた。その理由としては下記の事項が考えられる。RE以外では元素種によって主相粒子の焼結性や固溶量が大きく変動する傾向がある。一方、REはイオン半径の大きさによって主相粒子の固溶度合が多少変わるものの、その差はRE以外の元素に比べると小さい。したがって、外装領域から内装領域にかけて所定のRAの濃度勾配および所定のRBの濃度勾配が形成されることにより、焼結挙動が徐々に変化し易いことから、内部応力の応力差分を低減して電歪クラックを低減させ易いと共に、外装領域の空隙を低減して緻密化を図り耐湿性を向上させ易い。
表2Bおよび表2Cより、CREc>CREaの関係を満たす場合(実施例4および実施例5)は、CREc>CREaの関係を満たさない場合(実施例1)に比べて高湿・高温負荷寿命がより良好であることが確認できた。
実施例4および実施例5ではCREc>CREaの関係を満たす。実施例4および実施例5では、内装領域に比べ外装領域では主相粒子に対する副成分の重量比率が低く、これにより、実施例1に比べて主相粒子の焼結が進行し易く、外装領域における空隙の生成を抑制できることが確認された。実施例4および実施例5は実施例1に比べて、高湿下において素子本体内部に水分が侵入しにくいことにより実施例4および実施例5の高湿・高温負荷寿命が実施例1に比べて良好となったと考えられる。
表3Bおよび表3Cより、DRBaが0.7モル部以上であり、DRAcが0.7モル部以上である場合(実施例2)は、DRBaが0.6モル部であり、DRAcが0.6モル部である場合(実施例6)に比べて耐電圧判定および高湿・高温負荷寿命がより良好であることが確認できた。
実施例2ではDRBaおよびDRAcが0.7モル部以上であった。実施例2では、これにより多くの主相粒子に対して希土類元素が十分に固溶していることが確認された。主相粒子に希土類元素が固溶した領域では高温・高電圧下で生成される酸素欠陥の移動を抑制する効果があり、これにより、実施例2ではDRBaおよびDRAcが0.7モル部以下である場合(実施例5)に比べて高湿・高温負荷寿命が向上したものと考えられる。
表3Bおよび表3Cより、DRAc/DRAa≧3の関係を満たす場合(実施例2)は、DRAc/DRAaが3.0未満の場合(実施例7)に比べて耐電圧判定および高湿・高温負荷寿命がより良好であることが確認できた。
実施例2ではDRAc/DRAa≧3の関係を満たしている。前記の理由により内装領域に比べ外装領域では空隙が生じやすい傾向にあるが、実施例2では、外装領域に比べて内装領域のRA元素含有量が多いため外装領域の主相粒子の焼結が進行しやすく空隙量が低減された。また、実施例2では、内層誘電体層において主相粒子へのRAの固溶量を十分に確保することが可能となった。これにより、実施例2では、DRAc/DRAaが3.0未満の場合(実施例7)に比べて高湿・高温負荷寿命が向上したものと考えられる。
表4Bおよび表4Cより、「r1<r2<r3<r4<r5」かつ「r5/r1>2.0」の関係を満たす場合(実施例2および実施例8)は、「r1<r2<r3<r4<r5」かつ「r5/r1>2.0」の関係を満たさない場合(実施例1)に比べて耐電圧判定および高湿・高温負荷寿命がより良好であることが確認できた。
実施例2および実施例8では「r1<r2<r3<r4<r5」かつ「r5/r1>2.0」の関係を満たしている。実施例2および実施例8では、内装領域と外装領域の接合面にあたる内層の1層目から5層目においてRAの濃度およびRBの濃度が徐々に変化することにより、内装領域および外装領域での応力差分をさらに低減することができた。これにより、実施例2および実施例8では、「r1<r2<r3<r4<r5」かつ「r5/r1>2.0」の関係を満たさない場合(実施例1)に比べて耐電圧判定および高湿・高温負荷寿命が向上したものと考えられる。
2… 積層セラミックコンデンサ
4… 素子本体
13… 内装領域
10… 内側誘電体層
12… 内部電極層
13b… 第2領域
13c… 第3領域
15… 外装領域
11… 外側誘電体層
15a… 第1領域
6… 外部電極

Claims (4)

  1. 内側誘電体層と内部電極層とが交互に積層された内装領域と、前記内装領域の積層方向の外側に位置する外装領域と、を有する素子本体と、
    前記素子本体の表面に前記内部電極層と接続される一対の外部電極と、を有する積層電子部品であって、
    前記内側誘電体層および前記外装領域の外側誘電体層は、主相粒子が一般式ABO3で表されるペロブスカイト型結晶構造を有する主成分を含み、
    前記内側誘電体層および前記外側誘電体層は、RE、MおよびSiを含む副成分を含み、
    AはBa、SrおよびCaから選択される少なくとも1種であり、
    BはTi、ZrおよびHfから選択される少なくとも1種であり、
    REはYb、Y、Ho、Dy、Tb、GdおよびEuから選択される少なくとも1種であり、
    MはMg、Mn、VおよびCrから選択される少なくとも2種であり、
    前記内装領域の積層方向の中心の第3領域の前記内側誘電体層におけるREの中で最もモル比の高い元素をRAとし、
    前記外装領域の積層方向の中心の第1領域におけるREの中で最もモル比の高い元素をRBとし、
    RAとRBとは異なる元素であり、
    前記第1領域における前記主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAaとし、
    前記内装領域の内部の積層方向の外側の第2領域の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAbとし、
    前記第3領域の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAcとし、
    前記第1領域における前記主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBaとし、
    前記第2領域の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBbとし、
    前記第3領域の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBcとしたとき、
    RAa、DRAbおよびDRAcはDRAa<DRAb<DRAcの関係を満たし、
    RBa、DRBbおよびDRBcはDRBa>DRBb>DRBcの関係を満たす積層電子部品。
  2. 前記第1領域を100質量部としたときの前記第1領域におけるREの元素換算での含有量をCREaとし、
    前記第3領域の前記内側誘電体層を100質量部としたときの前記第3領域の前記内側誘電体層におけるREのRE23換算での含有量をCREcとしたとき、
    REaおよびCREcはCREc>CREaの関係を満たす請求項1に記載の積層電子部品。
  3. 前記第1領域における前記主成分100モル部に対するRE23換算でのRBの含有量DRBaは0.7モル部以上であり、
    前記第3領域における前記主成分100モル部に対するRE23換算でのRAの含有量DRAcは0.7モル部以上であり、
    RAcおよびDRAaはDRAc/DRAa≧3の関係を満たす請求項1に記載の積層電子部品。
  4. 前記内側誘電体層の最外層を1層目とし、
    積層方向のn層目の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRA23換算でのRAの含有量をDRAnとし、
    積層方向のn層目の前記内側誘電体層における前記主成分100モル部に対するRB23換算でのRBの含有量をDRBnとし、
    積層方向のn層目におけるDRBnに対するDRAnの比率(DRAn/DRBn)をrnとしたとき、
    nが1であるr1、nが2であるr2、nが3であるr3、nが4であるr4およびnが5であるr5はr1<r2<r3<r4<r5の関係を満たし、
    r1およびr5はr5/r1>2.0の関係を満たす請求項1~3のいずれかに記載の積層電子部品。
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