JP2024076422A - 圧電振動片、圧電振動子および発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた振動特性を有する圧電振動片を提供する。【解決手段】圧電振動片3は、基部、および基部から延出する第1振動腕31を有する圧電板30と、圧電板30の外表面に配置された電極膜と、を備える。第1振動腕31は、基部から延出する腕部36、および腕部36の腕部先端36tに接続され、腕部36よりも幅広に形成された錘部37を有する。第1振動腕31には、圧電板30の厚さ方向に凹むとともに腕部36の延在方向に沿って延びる溝部60がさらに形成されている。電極膜は、溝部60の溝内部を覆い、第1振動腕31に電界を発生させる励振電極42を有する。溝部60は、一定の幅で腕部36の延在方向に沿って延びるストレート部61と、ストレート部61の錘部37側の端部から錘部37側の先端方向に拡幅しながら延びる溝部拡幅部63と、を有する。【選択図】図7
Description
本発明は、圧電振動片、圧電振動子および発振器に関するものである。
例えば、携帯電話や携帯情報端末機器等の電子機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等に用いられるデバイスとして、水晶等を利用した圧電振動子が用いられる。この種の圧電振動子として、水晶等の圧電材料により形成された圧電板と、圧電板の外表面に配置され、圧電板に励振用の駆動電圧を印加する2系統の励振電極と、を備えた圧電振動片を、キャビティが形成されたパッケージ内に気密封止したものが知られている。
圧電振動片として、並んで配置された一対の振動腕と、一対の振動腕の基端部同士を連結する基部と、を有する圧電板を備えたものがある。このような圧電振動片では、励振電極が振動腕の外表面に配置され、2系統の励振電極間に駆動電圧が印加されることで、各振動腕が基部との連結部分を起点にして互いに接近・離間する方向に所定の共振周波数で振動する。
さらに、上記構成を有する圧電振動片において、クリスタルインピーダンス(以下、「CI値」という。)を低減させるために、振動腕に溝部が形成されたものが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。この種の圧電振動片では、2系統の励振電極が振動腕の側面と溝部内とに分けて配置され、2系統の励振電極間に駆動電圧が印加された際の振動腕の内部の電界効率を高めている。
ところで、溝部をウェットエッチングなどの異方性エッチングにより形成すると、溝部の長手方向両端部にエッチング残りが形成される場合がある。溝部にエッチング残りが生じると、溝部内に配置された励振電極と、振動腕の側面に配置された励振電極と、による電界が小さくなり、逆圧電効果が低減する。その結果、CI値が上昇する。
また、圧電振動片の小型化を目的とし、振動腕の先端に幅広に形成された錘部を連設することで、全体の長さの短縮を図る場合がある。この場合、振動腕と錘部との結合部の周囲には、振動腕の外表面および錘部の外表面によって2以上の方向から囲まれた空間の隅部が形成される。このような空間の隅部には、溝部の端部と同様にエッチング残りによる異形部が、振動腕の側面から突出するように形成される。これにより、溝部内に配置された励振電極と、振動腕の側面に配置された励振電極と、の間隔が異形部の存在によって広がり、電界効率の低下に伴って逆圧電効果が低減する。その結果、CI値が上昇する。したがって、従来の圧電振動片にあっては、電界効率を高めて振動特性を向上させるという点で改善の余地がある。
そこで本発明は、優れた振動特性を有する圧電振動片、並びにその圧電振動片を備えた圧電振動子および発振器を提供するものである。
本発明の第1の態様に係る圧電振動片は、基部、および前記基部から延出する振動腕を有する圧電板と、圧電板の外表面に配置された電極膜と、を備え、前記振動腕は、前記基部から延出する腕部、および前記腕部の腕部先端に接続され、前記腕部よりも幅広に形成された錘部を有し、前記振動腕には、前記圧電板の厚さ方向に凹むとともに前記腕部の延在方向に沿って延びる溝部がさらに形成され、前記電極膜は、前記溝部の溝内部を覆い、前記振動腕に電界を発生させる励振電極を有し、前記溝部は、一定の幅で前記腕部の前記延在方向に沿って延びるストレート部と、前記ストレート部の前記錘部側の端部から前記錘部側の先端方向に拡幅しながら延びる溝部拡幅部と、を有する。
第1の態様によれば、溝部がその先端まで一定の幅で延びる従来構成と比較して、溝部における錘部側の端部の側面と振動腕の側面との間隔を縮小することができる。これにより、励振電極に駆動電圧を印加した際に振動腕に発生する電界が、溝部の錘部側の先端周辺でエッチング残りによって減少することを緩和できる。すなわち、従来の圧電振動片と比較して、圧電振動片の電界効率を高めて振動特性を向上させることができる。したがって、優れた振動特性を有する圧電振動片を提供できる。
本発明の第2の態様に係る圧電振動片は、上記第1の態様に係る圧電振動片において、前記溝部は、前記腕部から前記錘部まで延設されていてもよい。
第2の態様によれば、溝部のうちエッチング残りが形成されやすい端部が錘部に配置されるので、腕部には溝部のうちエッチング残りが形成されにくい箇所を配置できる。これにより、溝部の周囲のうち電界効率の高い箇所が腕部に位置するので、圧電振動片の振動特性をより一層向上させることができる。
本発明の第3の態様に係る圧電振動片は、上記第1の態様または第2の態様に係る圧電振動片において、前記錘部は、前記腕部先端から拡幅しながら延びるテーパ部と、前記テーパ部から前記テーパ部よりも大きな幅で延びる幅広部と、を有し、前記溝部の前記錘部側の溝部先端は、前記幅広部よりも前記腕部側に位置していてもよい。
第3の態様によれば、幅広部に溝部が形成されて幅広部の体積が減少することを回避できるので、幅広部を設けたことで振動時の慣性モーメントが増大することの効果が低減することを抑制できる。
本発明の第4の態様に係る圧電振動片は、上記第1の態様から第3の態様のいずれかの態様に係る圧電振動片において、前記溝部拡幅部の側面は、曲面であってもよい。
第4の態様によれば、溝部の内側に形成される角部の数や鋭さを低減できる。これにより、溝部内での角部の欠けや、角部に応力集中が発生することを抑制できる。したがって、圧電振動片において不要振動の発生を抑制して所望の振動特性を安定的に確保することができる。
本発明の第5の態様に係る圧電振動片は、上記第1の態様から第4の態様のいずれかの態様に係る圧電振動片において、前記圧電板は、前記腕部の前記錘部側の端部から前記腕部の幅方向に突出しているとともに前記錘部に接続した一対のエッチング残りを有し、前記溝部拡幅部は、平面視で前記ストレート部の中心線に対して非対称に形成され、かつ前記一対のエッチング残りのうち平面視で面積が大きいエッチング残り側に前記中心線に対して大きく形成されていてもよい。
第5の態様によれば、平面視の面積が大きいエッチング残り側で、平面視の面積が小さいエッチング残り側よりも電界が減少しやすいところ、溝部拡幅部がストレート部の中心線に対して面積が大きいエッチング残り側に大きく形成されるので、電界の減少を緩和できる。したがって、一対のエッチング残りが非対称に形成されている場合に、圧電振動片の振動特性を効果的に向上させることができる。
本発明の第6の態様に係る圧電振動片は、上記第1の態様から第5の態様のいずれかの態様に係る圧電振動片において、前記溝部は、前記錘部側に向かうに従い浅くなる浅瀬部を有し、前記溝部拡幅部は、前記浅瀬部に形成されていてもよい。
第6の態様によれば、浅瀬部の形成箇所において溝部の所望の深さを確保できず電界が減少しやすいところ、浅瀬部に溝部拡幅部が形成されることで、電界の減少を緩和できる。したがって、溝部の端部にエッチング残りとして浅瀬部が形成されている場合に、圧電振動片の振動特性を効果的に向上させることができる。
本発明の第7の態様に係る圧電振動子は、上記第1の態様から第6の態様のいずれかの態様に係る圧電振動片と、前記圧電振動片を気密封止するパッケージと、を備える。
第7の態様によれば、優れた振動特性を備える圧電振動子が得られる。
本発明の第8の態様に係る発振器は、上記第7の態様に係る圧電振動子を備え、前記圧電振動子は、発振子として集積回路に電気的に接続されている。
第8の態様によれば、高精度な周波数信号が出力される発振器を得ることができる。
本発明によれば、優れた振動特性を有する圧電振動片、並びにその圧電振動片を備えた圧電振動子および発振器を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
(実施形態の発振器)
図1は、実施形態に係る発振器を示す図である。
図1に示すように、発振器100は、基板101、電子部品102、集積回路103、および圧電振動子1を備える。電子部品102は、例えばキャパシタなどであり、基板101に実装されている。集積回路103は、発振器用であり、基板101に実装されている。集積回路103は、圧電振動子1および電子部品102のそれぞれと、図示略の配線を介して電気的に接続されている。圧電振動子1は、例えば、基板101において集積回路103の近傍に実装される。圧電振動子1は、発振子として機能する。圧電振動子1については後述する。発振器100の少なくとも一部は、適宜、図示しない樹脂によりモールドされていてもよい。
図1は、実施形態に係る発振器を示す図である。
図1に示すように、発振器100は、基板101、電子部品102、集積回路103、および圧電振動子1を備える。電子部品102は、例えばキャパシタなどであり、基板101に実装されている。集積回路103は、発振器用であり、基板101に実装されている。集積回路103は、圧電振動子1および電子部品102のそれぞれと、図示略の配線を介して電気的に接続されている。圧電振動子1は、例えば、基板101において集積回路103の近傍に実装される。圧電振動子1は、発振子として機能する。圧電振動子1については後述する。発振器100の少なくとも一部は、適宜、図示しない樹脂によりモールドされていてもよい。
発振器100は、圧電振動子1に電力が供給されると、圧電振動子1の圧電振動片3(図5参照)が振動する。圧電振動片3の振動は、圧電振動片3が有する圧電特性により、電気信号へ変換される。この電気信号は、圧電振動子1から集積回路103へ出力される。集積回路103は、圧電振動子1から出力された電気信号に各種処理を実行することで、周波数信号を生成する。
発振器100は、例えば、時計用の単機能発振器、コンピューターなどの各種装置の動作タイミングを制御するタイミング制御装置、時刻あるいはカレンダーなどを提供する装置などに応用できる。集積回路103は、発振器100に要求される機能に応じて構成され、いわゆるRTC(リアルタイムクロック)モジュールを含んでいてもよい。
(実施形態の圧電振動子)
図2は、実施形態に係る圧電振動子の外観斜視図である。図3は、封口板を取り外した状態を示す圧電振動子の平面図である。図4は、図3のIV-IV線に相当する断面図である。図5は、実施形態に係る圧電振動子の分解斜視図である。
図2から図5に示すように、圧電振動子1は、いわゆるセラミックパッケージタイプの表面実装型振動子である。圧電振動子1は、内部に気密封止されたキャビティCを有するパッケージ2と、キャビティC内に収容された圧電振動片3と、を備えている。なお、圧電振動子1は、直方体状を呈している。本実施形態では、平面視において圧電振動子1の長手方向を長手方向Lといい、短手方向を幅方向Wといい、これら長手方向Lおよび幅方向Wに対して直交する方向を厚さ方向Tという。
図2は、実施形態に係る圧電振動子の外観斜視図である。図3は、封口板を取り外した状態を示す圧電振動子の平面図である。図4は、図3のIV-IV線に相当する断面図である。図5は、実施形態に係る圧電振動子の分解斜視図である。
図2から図5に示すように、圧電振動子1は、いわゆるセラミックパッケージタイプの表面実装型振動子である。圧電振動子1は、内部に気密封止されたキャビティCを有するパッケージ2と、キャビティC内に収容された圧電振動片3と、を備えている。なお、圧電振動子1は、直方体状を呈している。本実施形態では、平面視において圧電振動子1の長手方向を長手方向Lといい、短手方向を幅方向Wといい、これら長手方向Lおよび幅方向Wに対して直交する方向を厚さ方向Tという。
パッケージ2は、パッケージ本体5と、パッケージ本体5に接合されるとともに、パッケージ本体5との間にキャビティCを形成する封口板6と、を備えている。
パッケージ本体5は、互いに重ね合わされた状態で接合された第1ベース基板10および第2ベース基板11と、第2ベース基板11上に接合されたシールリング12と、を備えている。
パッケージ本体5は、互いに重ね合わされた状態で接合された第1ベース基板10および第2ベース基板11と、第2ベース基板11上に接合されたシールリング12と、を備えている。
第1ベース基板10は、厚さ方向Tから見た平面視で長方形状を呈するセラミックス製の基板とされている。第1ベース基板10の上面は、キャビティCの底部を構成する。第1ベース基板10の下面には、一対の外部電極21A,21Bが長手方向Lに間隔をあけて形成されている。外部電極21A,21Bは、例えば蒸着やスパッタリング等で形成された単一金属による単層膜、または異なる金属が積層された積層膜により構成されている。
第2ベース基板11は、平面視外形が第1ベース基板10と同形状を呈するセラミックス製の基板であって、第1ベース基板10上に重ねられた状態で焼結等によって一体的に接合されている。なお、各ベース基板10,11に用いられるセラミックス材料としては、例えばアルミナ製のHTCC(High Temperature Co-Fired Ceramic)や、ガラスセラミックス製のLTCC(Low Temperature Co-Fired Ceramic)等を用いることが可能である。
図3から図5に示すように、第2ベース基板11には、第2ベース基板11を厚さ方向Tに貫通する貫通部11aが形成されている。貫通部11aは、平面視で角丸長方形状を呈している。貫通部11aの内側面において、幅方向Wの両側に位置する部分には、幅方向Wの内側に向けて突出する実装部14A,14Bが各別に形成されている。なお、実装部14A,14Bは、第2ベース基板11における長手方向Lの中央部分に位置している。
実装部14A,14B上には、圧電振動片3との接続電極である一対の電極パッド20A,20Bが形成されている。電極パッド20A,20Bは、上述した外部電極21A,21Bと同様に、例えば蒸着やスパッタリング等で形成された単一金属による単層膜、または異なる金属が積層された積層膜により構成されている。電極パッド20A,20Bおよび外部電極21A,21Bは、各ベース基板10,11を厚さ方向Tで貫通する図示しない貫通配線を介して互いにそれぞれ導通している。
各ベース基板10,11の四隅には、平面視1/4円弧状の切欠部15が、両ベース基板10,11の厚さ方向Tの全体に亘って形成されている。各ベース基板10,11は、例えばウエハ状のセラミックス基板を2枚重ねて接合した後、両セラミックス基板を貫通する複数のスルーホールを行列状に形成し、各スルーホールを基準としながら両セラミックス基板を格子状に切断することで作製される。その際、スルーホールが4分割されることで、上述した切欠部15が構成される。
シールリング12は、各ベース基板10,11の外形よりも一回り小さい導電性の枠状部材であって、第2ベース基板11の上面に接合されている。具体的に、シールリング12は、銀ロウ等のロウ材やはんだ材等による焼付けによって第2ベース基板11上に接合、または第2ベース基板11上に形成された金属接合層に対する溶着等によって接合されている。シールリング12は、第2ベース基板11(貫通部11a)の内側面とともにキャビティCの側壁を構成する。なお、図示の例において、シールリング12の内側面は、第2ベース基板11の内側面と面一に配置されている。
シールリング12の材料としては、例えばニッケル基合金等が挙げられ、具体的にはコバール、エリンバー、インバー、42-アロイ等から選択すれば良い。特に、シールリング12の材料としては、セラミックス製とされている各ベース基板10,11に対して熱膨張係数が近いものを選択することが好ましい。例えば、ベース基板10,11として熱膨張係数6.8×10-6/℃のアルミナを用いる場合には、シールリング12として熱膨張係数5.2×10-6/℃のコバールや、熱膨張係数4.5~6.5×10-6/℃の42-アロイを用いることが好ましい。
封口板6は、導電性基板からなり、シールリング12上に接合されてパッケージ本体5内を気密に封止している。そして、シールリング12、封口板6、および各ベース基板10,11により画成された空間は、気密封止されたキャビティCを構成する。
圧電振動片3は、気密封止されたパッケージ2のキャビティC内に収容されている。圧電振動片3は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された圧電板30を備える。圧電板30は、一対の振動腕31,32および一対の支持腕33,34を有する。圧電振動片3は、キャビティC内において、導電性接着剤により支持腕33,34がパッケージ2の実装部14A,14Bに支持されることで、パッケージ2に実装されている。これにより、圧電振動片3は、キャビティC内において振動腕31,32がベース基板10,11から浮いた状態で支持される。振動腕31,32の外表面には、所定の電圧が印加されたときに一対の振動腕31,32を振動させる2系統の励振電極41,42(図6参照)が配置されている。
圧電振動子1を作動させるには、外部電極21A,21B(図2参照)に所定の電圧が印加する。すると、励振電極41,42に電流が流れ、励振電極41,42間に電界が発生する。各振動腕31,32は、励振電極41,42間に発生する電界による逆圧電効果によって例えば互いに接近・離間する方向に所定の共振周波数で振動する。そして、各振動腕31,32の振動は、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等に用いられる。
(第1実施形態の圧電振動片)
第1実施形態の圧電振動片3について詳述する。
図6は、第1実施形態に係る圧電振動片の平面図である。なお図6では、電極膜40の一部を破断して図示している。
図6に示すように、圧電振動片3は、圧電板30と、圧電板30の外表面に配置された電極膜40と、を備える。
第1実施形態の圧電振動片3について詳述する。
図6は、第1実施形態に係る圧電振動片の平面図である。なお図6では、電極膜40の一部を破断して図示している。
図6に示すように、圧電振動片3は、圧電板30と、圧電板30の外表面に配置された電極膜40と、を備える。
圧電板30は、水晶のランバート原石を、水晶結晶軸として互いに直交するX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)、Z軸(光学軸)に対して所定の角度でスライスしてウエハとし、このウエハをエッチングにより成形することで形成されている。以下の説明において、圧電振動片3の構成を説明する際には、X軸、Y′軸およびZ′軸が互いに直交する座標系を用いる。Z′軸は、Z軸をX軸回りに-5°~+10°の範囲内で回転させた軸である。Y′軸は、X軸を回転軸としてZ軸およびY軸を含む平面内でZ軸と同じ角度でY軸を回転させたときの軸である。X軸方向、Y′軸方向およびZ′軸方向は、図中矢印方向を+側とし、矢印とは反対の方向を-側として説明する。そして、本実施形態の圧電板では、Z′軸方向が圧電板30の厚さ方向に一致している。なお以下の説明において用いる「幅」の用語について、Z′軸方向から見た平面視で任意の方向に延びる部分において、平面視で前記任意の方向に直交する方向の大きさを意味する。
圧電板30は、基部35と、基部35からY′軸方向の+側に延出する一対の振動腕31,32(第1振動腕31および第2振動腕32)と、基部35に対してX軸方向の+側および-側に位置する一対の支持腕33,34(第1支持腕33および第2支持腕34)と、を備えている。圧電板30は、後述するエッチング残りを除き、表裏対称、かつ平面視でY′軸方向に延びる仮想線に対して線対称に形成されている。
第1振動腕31および第2振動腕32は、X軸方向に並んで平行に配置されている。各振動腕31,32は、基部35側の基端を固定端とし、先端を自由端として互いに接近・離間する方向に振動する。振動腕31,32のそれぞれは、基部35から延出する腕部36と、腕部36の腕部先端36t(図7参照)に接続され、腕部36の少なくとも一部よりも幅広に形成された錘部37と、を有する。腕部36は、腕部先端36tから振動腕31,32の基端に向けて一定の幅でY′軸方向の-側に延びている。本実施形態では、腕部36の基端部は、基部35との接続部からY′軸方向の中途部までY′軸方向の+側に向かうに従い幅を狭めながら延びている。ただし、腕部36は、腕部先端36tから基端まで全長にわたって一定の幅で延びていてもよい。
錘部37は、振動腕31,32の先端に位置する。錘部37は、各腕部先端36tからY′軸方向の+側に延びている。錘部37は、腕部36の幅の中心を通る中心線CL1,CL2に対して、平面視で線対称に形成されている。錘部37の全体は、腕部先端36tよりもX軸方向の両側に大きく形成されている。
図7は、第1実施形態に係る圧電板の一部を示す拡大平面図である。なお図7では、電極膜40の一部である励振電極41,42を仮想線で示している。
図6および図7に示すように、錘部37は、腕部36の少なくとも一部(本実施形態では腕部36の全体)よりも大きい一定の幅でY′軸方向に延びる幅広部38と、腕部先端36tと幅広部38とを接続する連結部39(テーパ部)と、を備える。幅広部38は、連結部39よりも大きな幅でY′軸方向に延びている。連結部39は、腕部先端36tから幅広部38に向かって拡幅しながらY′軸方向の+側に延びている。このように、各腕部36の腕部先端36tに錘部37を連設することで、振動腕31,32の質量および振動時の慣性モーメントを増大させることができ、錘部を有しない圧電振動片と比較して各振動腕31,32の長さを短縮できる。
図6および図7に示すように、錘部37は、腕部36の少なくとも一部(本実施形態では腕部36の全体)よりも大きい一定の幅でY′軸方向に延びる幅広部38と、腕部先端36tと幅広部38とを接続する連結部39(テーパ部)と、を備える。幅広部38は、連結部39よりも大きな幅でY′軸方向に延びている。連結部39は、腕部先端36tから幅広部38に向かって拡幅しながらY′軸方向の+側に延びている。このように、各腕部36の腕部先端36tに錘部37を連設することで、振動腕31,32の質量および振動時の慣性モーメントを増大させることができ、錘部を有しない圧電振動片と比較して各振動腕31,32の長さを短縮できる。
図7に示すように、腕部36の腕部先端36tに腕部36よりも幅広の錘部37が連接されていることで、腕部先端36tのX軸方向外側には、腕部36の側面36sと、錘部37の側面と、によって画成された空間の隅部50が形成されている。圧電板30は、平面視で隅部50を埋めるように配置された突出部51をさらに有する。突出部51は、圧電板30を異方性エッチング(ウェットエッチング)により形成する際に生じるエッチング残りである。突出部51は、各腕部36の錘部37側の端部を挟んでX軸方向の両側に一対形成されている。突出部51は、腕部36の錘部37側の端部の側面からX軸方向の外側に突出している。突出部51は、錘部37に接続している。突出部51は、腕部36および錘部37から離れるに従いZ′軸方向の厚みが薄くなるように形成されている。突出部51は、腕部36の側面からX軸方向の外側かつ錘部37側に延びる端縁51aを有しており、Z′軸方向に沿う任意断面の形状が端縁51aを頂点とする二等辺三角形となるように形成されている。突出部51の外表面は、水晶結晶の自然結晶面である。各腕部36に接続する一対の突出部51は、平面視で腕部36の中心線CL1,CL2に対して非対称に形成されている。一対の突出部51のうちX軸方向の+側の突出部51の平面視の面積は、一対の突出部51のうちX軸方向の-側の突出部51の平面視の面積よりも大きい。
図6に示すように、各支持腕33,34は、平面視でL字状を呈し、基部35および振動腕31,32をX軸方向の外側から囲んでいる。具体的に、各支持腕33,34は、基部35におけるX軸方向の両端面からX軸方向の外側に向けて突設された後、Y′軸方向の+側に延びている。第1支持腕33は、第1振動腕31に対して第2振動腕32の反対側に配置されている。第2支持腕34は、第2振動腕32に対して第1振動腕31の反対側に配置されている。
図8は、図6のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図6および図8に示すように、各振動腕31,32には、溝部60が形成されている。溝部60は、圧電板30のZ′軸方向を向く両主面上において、Z′軸方向に凹んでいる。溝部60は、腕部36の基端近傍から振動腕31,32の先端に向けてY′軸方向の+側に延びている。
図6および図8に示すように、各振動腕31,32には、溝部60が形成されている。溝部60は、圧電板30のZ′軸方向を向く両主面上において、Z′軸方向に凹んでいる。溝部60は、腕部36の基端近傍から振動腕31,32の先端に向けてY′軸方向の+側に延びている。
図7に示すように、溝部60は、腕部36から錘部37まで延びている。溝部60における錘部37側の溝部先端60tは、錘部37の幅広部38よりも腕部36側位置する。図示の例では、溝部60の溝部先端60tは、錘部37の連結部39と幅広部38との境界上に設けられている。ただし、例えば、溝部60の溝部先端60tは、錘部37の連結部39に位置していてもよい。
図6および図7に示すように、溝部60は、一定の幅でY′軸方向に沿って延びるストレート部61と、ストレート部61の錘部37側の端部から溝部60の溝部先端60tに向かって拡幅しながら延びる溝部拡幅部63と、を有する。ストレート部61は、溝部60のうちY′軸方向の中途部60mから基部35側の端部まで設けられている。なお、溝部60における基部35側の端部は、平面視で丸みを帯びていてもよい。ストレート部61は、その幅の中心を通る中心線が腕部36の中心線CL1,CL2と一致するように延びている。
溝部拡幅部63は、中途部60mから溝部先端60tにわたって設けられている。溝部拡幅部63は、平面視でストレート部61の中心線に対して線対称に形成されている。溝部拡幅部63をX軸方向の外側から画成する一対の側面63sは、平面である。溝部拡幅部63の全体は、錘部37の連結部39に形成されている。溝部拡幅部63のY′軸方向の+側の端部は、錘部37の連結部39と幅広部38との境界上に設けられている。溝部拡幅部63のY′軸方向の-側の端部は、腕部36と錘部37との境界上に設けられている。ただし、溝部拡幅部63のY′軸方向の-側の端部は、錘部37の連結部39に設けられていてもよい。溝部拡幅部63のY′軸方向の-側の端部は、ストレート部61と溝部拡幅部63との接続部であって、溝部60の中途部60mである。なお、溝部拡幅部63は、連結部39から腕部36にわたって設けられていてもよい。溝部拡幅部63の側面63sは、連結部39の隣り合う側面39sと平行に延びている。
図9は、図6のIX-IX線に沿う断面図である。
図6、図7および図9に示すように、溝部60は、両端部に設けられた浅瀬部65を有する。浅瀬部65は、Y′軸方向の外側に向かうに従い浅くなる。浅瀬部65を画成する底面65bは、異方性エッチングにより形成された結晶面であり、平面状に形成されている。なお浅瀬部65を画成する底面65bは、1つの傾斜面によって構成されていてもよいし、複数の傾斜面によって形成されていてもよい。溝部60の錘部37側の端部に設けられた先端側の浅瀬部65には、溝部拡幅部63が形成されている。図示の例では、溝部拡幅部63の全体が先端側の浅瀬部65に形成されている。ただし、先端側の浅瀬部65の全体が溝部拡幅部63に形成されていてもよい。
図6、図7および図9に示すように、溝部60は、両端部に設けられた浅瀬部65を有する。浅瀬部65は、Y′軸方向の外側に向かうに従い浅くなる。浅瀬部65を画成する底面65bは、異方性エッチングにより形成された結晶面であり、平面状に形成されている。なお浅瀬部65を画成する底面65bは、1つの傾斜面によって構成されていてもよいし、複数の傾斜面によって形成されていてもよい。溝部60の錘部37側の端部に設けられた先端側の浅瀬部65には、溝部拡幅部63が形成されている。図示の例では、溝部拡幅部63の全体が先端側の浅瀬部65に形成されている。ただし、先端側の浅瀬部65の全体が溝部拡幅部63に形成されていてもよい。
図6に示すように、電極膜40は、例えば、クロム(Cr)と金(Au)との積層膜であり、水晶と密着性の良いクロム膜を下地として成膜した後に、クロム膜上に金の薄膜を積層したものである。ただし、電極膜40の膜構成はこれに限定されず、例えば、クロムとニクロム(NiCr)との積層膜上にさらに金の薄膜を積層しても構わないし、クロムやニッケル、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)等の単層膜でも構わない。
電極膜40は、励振電極41,42と、マウント電極43,44と、接続配線45A,45Bと、を備える。
図6から図8に示すように、励振電極41,42は、振動腕31,32の外表面上に2系統設けられている。各励振電極41,42は、互いに電気的に絶縁されるようにパターニングされている。励振電極41,42は、第1励振電極41および第2励振電極42を有する。第1励振電極41は、第1振動腕31のX軸方向を向く両側面上と、第2振動腕32の溝部60の溝内部と、に形成されている。第1励振電極41は、第1振動腕31の腕部36から連結部39にわたる部分に設けられている。第1励振電極41は、第1振動腕31に設けられた一対の突出部51の全体を覆っている。第1励振電極41は、第2振動腕32の溝部60を画成する面の全体を覆っている。第2励振電極42は、第1振動腕31の溝部60の溝内部と、第2振動腕32の両側面上と、に形成されている。第2励振電極42は、第2振動腕32の腕部36から連結部39にわたる部分に設けられている。第2励振電極42は、第2振動腕32に設けられた一対の突出部51の全体を覆っている。第2励振電極42は、第1振動腕31の溝部60を画成する面の全体を覆っている。励振電極41,42は、励振電極41,42間に所定の駆動電圧が印加されたときに、各振動腕31,32に電界を発生させて、各振動腕31,32をX軸方向に振動させる。
図6から図8に示すように、励振電極41,42は、振動腕31,32の外表面上に2系統設けられている。各励振電極41,42は、互いに電気的に絶縁されるようにパターニングされている。励振電極41,42は、第1励振電極41および第2励振電極42を有する。第1励振電極41は、第1振動腕31のX軸方向を向く両側面上と、第2振動腕32の溝部60の溝内部と、に形成されている。第1励振電極41は、第1振動腕31の腕部36から連結部39にわたる部分に設けられている。第1励振電極41は、第1振動腕31に設けられた一対の突出部51の全体を覆っている。第1励振電極41は、第2振動腕32の溝部60を画成する面の全体を覆っている。第2励振電極42は、第1振動腕31の溝部60の溝内部と、第2振動腕32の両側面上と、に形成されている。第2励振電極42は、第2振動腕32の腕部36から連結部39にわたる部分に設けられている。第2励振電極42は、第2振動腕32に設けられた一対の突出部51の全体を覆っている。第2励振電極42は、第1振動腕31の溝部60を画成する面の全体を覆っている。励振電極41,42は、励振電極41,42間に所定の駆動電圧が印加されたときに、各振動腕31,32に電界を発生させて、各振動腕31,32をX軸方向に振動させる。
図6に示すように、マウント電極43,44は、圧電振動片3をパッケージ2に実装する際のマウント部として設けられている。マウント電極43,44は、支持腕33,34の先端部における主面(裏面)上に設けられている。具体的に、マウント電極43,44は、第1支持腕33に配置された第1マウント電極43と、第2支持腕34に配置された第2マウント電極44と、を備える。第1マウント電極43は、第1励振電極41に電気的に接続されている。第2マウント電極44は、第2励振電極42に電気的に接続されている。マウント電極43,44は、導電性接着剤を介してパッケージ2の電極パッド20A,20Bに電気的に接続される。
接続配線45A,45Bは、振動腕31,32の先端側で励振電極41同士または励振電極42同士を接続している。接続配線45A,45Bは、第1励振電極41に接続された第1接続配線45Aと、第2励振電極42に接続された第2接続配線45Bと、を有する。第1接続配線45Aは、第1振動腕31における溝部60よりも先端側で、第1振動腕31の両側面上の第1励振電極41同士を電気的に接続している。第2接続配線45Bは、第2振動腕32における溝部60よりも先端側で、第2振動腕32の両側面上の第2励振電極42同士を電気的に接続している。
以上に説明したように、本実施形態の圧電振動片3は、溝部60が一定の幅でY′軸方向に延びるストレート部61と、ストレート部61の錘部37側の端部から錘部37側の溝部先端60tの方向に拡幅しながら延びる溝部拡幅部63と、を有するように形成されている。この構成によれば、溝部がその先端まで一定の幅で延びる従来構成と比較して、溝部60を画成する側面のうち溝部60の錘部37側の端部の側面(溝部拡幅部63の側面63s)と振動腕31,32の側面との間隔を縮小することができる。これにより、励振電極41,42に駆動電圧を印加した際に振動腕31,32に発生する電界が、溝部先端60tの周辺でエッチング残りによって減少することを緩和できる。すなわち、従来の圧電振動片と比較して、圧電振動片3の電界効率を高めて振動特性を向上させることができる。したがって、優れた振動特性を有する圧電振動片3を提供できる。
また、溝部60の開口面積が溝部拡幅部63において拡大されるので、溝部60をウェットエッチングにより形成する際にエッチング液が溝部60の溝部拡幅部63に入り込みやすくなる。これにより、溝部60の錘部37側の端部内にエッチング残りが形成されにくくなる。したがって、振動腕31,32に発生する電界がエッチング残りによって減少することを抑制できる。
また、溝部60は、振動腕31,32それぞれの腕部36から錘部37まで延設されている。この構成によれば、溝部60のうちエッチング残りが形成されやすい端部が錘部37に配置されるので、腕部36には溝部60のうちエッチング残りが形成されにくい箇所を配置できる。これにより、溝部60の周囲のうち電界効率の高い箇所が腕部36に位置するので、圧電振動片3の振動特性をより一層向上させることができる。
溝部先端60tは、錘部37の幅広部38よりも腕部36側に位置する。この構成によれば、幅広部38に溝部が形成されて幅広部38の体積が減少することを回避できるので、幅広部38を設けたことで振動時の慣性モーメントが増大することの効果が低減することを抑制できる。
溝部60は、錘部37側に向かうに従い浅くなる浅瀬部65を有し、溝部拡幅部63は浅瀬部65に形成されている。この構成によれば、浅瀬部65の形成箇所において溝部60の所望の深さを確保できず電界が減少しやすいところ、浅瀬部65に溝部拡幅部63が形成されることで、電界の減少を緩和できる。したがって、溝部60の端部にエッチング残りとして浅瀬部65が形成されている場合に、圧電振動片3の振動特性を効果的に向上させることができる。
(第2実施形態の圧電振動片)
第2実施形態の圧電振動片3について説明する。
図10は、第2実施形態に係る圧電板の一部を示す拡大平面図であって、図7に相当する図である。
第1実施形態では、溝部拡幅部63の側面63sが平面である。これに対して第2実施形態では、溝部拡幅部63Aの側面63Asが凸曲面である点で、第1実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態の圧電振動片3について説明する。
図10は、第2実施形態に係る圧電板の一部を示す拡大平面図であって、図7に相当する図である。
第1実施形態では、溝部拡幅部63の側面63sが平面である。これに対して第2実施形態では、溝部拡幅部63Aの側面63Asが凸曲面である点で、第1実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図10に示すように、溝部60Aは、第1実施形態の溝部拡幅部63に代えて、溝部拡幅部63Aを有する。溝部拡幅部63Aは、平面視でストレート部61の中心線に対して、平面視で略対称に形成されている。溝部拡幅部63AのY′軸方向の-側の端部は、腕部36に設けられている。溝部拡幅部63AをX軸方向の外側から画成する側面63Asは、溝部60Aの内側に膨出した凸曲面である。具体的に、溝部拡幅部63Aの側面63Asは、Z′軸方向に一様に延びる柱面である。溝部拡幅部63Aの側面63Asは、平面視で円弧状に延びている。ただし溝部拡幅部63Aの側面63Asの平面視形状は特に限定されない。溝部拡幅部63Aの側面63Asは、ストレート部61の側面に対して接線が連続するように接続している。これにより、溝部拡幅部63Aの側面63Asとストレート部61の側面との接続部に尖った角部が形成されていない。ただし、溝部拡幅部63Aの側面63Asは、ストレート部61の側面に対して接線が不連続となるように接続していてもよい。
本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を奏する。これに加え本実施形態では、溝部拡幅部63Aの側面63Asが凸曲面であるので、溝部60Aの内側に形成される角部の数や鋭さを低減できる。これにより、溝部60A内での角部の欠けや、角部に応力集中が発生することを抑制できる。したがって、圧電振動片3において不要振動の発生を抑制して所望の振動特性を安定的に確保することができる。
(第3実施形態の圧電振動片)
第3実施形態の圧電振動片3について説明する。
図11は、第3実施形態に係る圧電板の一部を示す拡大平面図であって、図7に相当する図である。
第1実施形態では、溝部拡幅部63が平面視で腕部36の中心線CL1,CL2に対して略対称に形成されている。これに対して第3実施形態では、溝部拡幅部63Bが平面視で腕部36の中心線CL1,CL2に対して非対称に形成されている点で、第1実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
第3実施形態の圧電振動片3について説明する。
図11は、第3実施形態に係る圧電板の一部を示す拡大平面図であって、図7に相当する図である。
第1実施形態では、溝部拡幅部63が平面視で腕部36の中心線CL1,CL2に対して略対称に形成されている。これに対して第3実施形態では、溝部拡幅部63Bが平面視で腕部36の中心線CL1,CL2に対して非対称に形成されている点で、第1実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図11に示すように、溝部60Bは、第1実施形態の溝部拡幅部63に代えて、溝部拡幅部63Bを有する。溝部拡幅部63Bは、平面視でストレート部61の中心線(腕部36の中心線CL1,CL2)に対して、一対の突出部51のうち平面視の面積が大きい突出部51側(X軸方向の+側)により大きく拡幅するように形成されている。これにより、溝部拡幅部63Bは、ストレート部61に対してX軸方向の-側よりも+側に大きく突出している。溝部拡幅部63BをX軸方向の外側から画成する一対の側面63Bsのうち少なくともいずれか一方は、連結部39の隣り合う側面39sに対して傾斜して延びている。具体的に、溝部拡幅部63BのX軸方向の+側の側面63Bsは、連結部39のX軸方向の+側の側面39sに対して錘部37側に向かうに従い近付くように延びている。一方で、溝部拡幅部63BのX軸方向の-側の側面63Bsは、連結部39のX軸方向の-側の側面39sと平行に延びている。ただし、溝部拡幅部63BのX軸方向の-側の側面63Bsは、連結部39のX軸方向の-側の側面39sに対して錘部37側に向かうに従い離れるように延びていてもよい。この場合、溝部拡幅部63BのX軸方向の+側の側面63Bsは、連結部39のX軸方向の+側の側面39sと平行に延びていてもよい。
本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を奏する。これに加え本実施形態では、溝部拡幅部63Bが平面視でストレート部61の中心線に対して非対称に形成され、かつ一対の突出部51のうち平面視で面積が大きい突出部51側にストレート部61の中心線に対して大きく形成されている。この構成によれば、平面視の面積が大きい突出部51側で、平面視の面積が小さい突出部51側よりも電界が減少しやすいところ、溝部60Bの溝部拡幅部63Bがストレート部61の中心線に対して面積が大きい突出部51側に大きく形成されるので、電界の減少を緩和できる。したがって、一対の突出部51が非対称に形成されている場合に、圧電振動片3の振動特性を効果的に向上させることができる。
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、圧電振動片3は、各支持腕33,34が各振動腕31,32の外側に配置された、いわゆるサイドアーム型の振動片であった。しかしながらこの構成に限定されず、圧電振動片は、例えば1つの支持腕が一対の振動腕の間に配置された、いわゆるセンターアーム型の振動片や、支持腕を備えていない振動片であってもよい。
例えば、上記実施形態では、圧電振動片3は、各支持腕33,34が各振動腕31,32の外側に配置された、いわゆるサイドアーム型の振動片であった。しかしながらこの構成に限定されず、圧電振動片は、例えば1つの支持腕が一対の振動腕の間に配置された、いわゆるセンターアーム型の振動片や、支持腕を備えていない振動片であってもよい。
また、上記第1実施形態では、溝部先端60tが錘部37の連結部39と幅広部38との境界上に位置しているが、この構成に限定されない。溝部先端は、錘部37の連結部39と幅広部38との境界よりも腕部36側(Y′軸方向の-側)に位置していてもよい。すなわち、溝部先端は、連結部39に位置していてもよいし、腕部36に位置していてもよい。また、溝部先端は、錘部37の幅広部38に位置していてもよい。第2実施形態および第3実施形態についても同様である。
また、上記実施形態では、溝部60,60A,60Bが浅瀬部65を有しているが、溝部に浅瀬部が形成されていなくてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態および第3実施形態を組み合わせて、側面が凸曲面状に形成された溝部拡幅部を、ストレート部の中心線に対して非対称に形成してもよい。
1…圧電振動子 2…パッケージ 3…圧電振動片 30…圧電板 31…第1振動腕(振動腕) 32…第2振動腕(振動腕) 35…基部 36…腕部 36t…腕部先端 37…錘部 38…幅広部 39…連結部(テーパ部) 40…電極膜 41…第1励振電極(励振電極) 42…第2励振電極(励振電極) 60,60A,60B…溝部 60t…溝部先端 61…ストレート部 63,63A,63B…溝部拡幅部 63s,63As,63Bs…溝部拡幅部の側面 65…浅瀬部 100…発振器 103…集積回路 CL1,CL2…中心線
Claims (8)
- 基部、および前記基部から延出する振動腕を有する圧電板と、
圧電板の外表面に配置された電極膜と、
を備え、
前記振動腕は、前記基部から延出する腕部、および前記腕部の腕部先端に接続され、前記腕部よりも幅広に形成された錘部を有し、
前記振動腕には、前記圧電板の厚さ方向に凹むとともに前記腕部の延在方向に沿って延びる溝部がさらに形成され、
前記電極膜は、前記溝部の溝内部を覆い、前記振動腕に電界を発生させる励振電極を有し、
前記溝部は、
一定の幅で前記腕部の前記延在方向に沿って延びるストレート部と、
前記ストレート部の前記錘部側の端部から前記錘部側の先端方向に拡幅しながら延びる溝部拡幅部と、
を有する、
圧電振動片。 - 前記溝部は、前記腕部から前記錘部まで延設されている、
請求項1に記載の圧電振動片。 - 前記錘部は、
前記腕部先端から拡幅しながら延びるテーパ部と、
前記テーパ部から前記テーパ部よりも大きな幅で延びる幅広部と、
を有し、
前記溝部の前記錘部側の溝部先端は、前記幅広部よりも前記腕部側に位置する、
請求項1または請求項2に記載の圧電振動片。 - 前記溝部拡幅部の側面は、曲面である、
請求項1または請求項2に記載の圧電振動片。 - 前記圧電板は、前記腕部の前記錘部側の端部から前記腕部の幅方向に突出しているとともに前記錘部に接続した一対のエッチング残りを有し、
前記溝部拡幅部は、平面視で前記ストレート部の中心線に対して非対称に形成され、かつ前記一対のエッチング残りのうち平面視で面積が大きいエッチング残り側に前記中心線に対して大きく形成されている、
請求項1または請求項2に記載の圧電振動片。 - 前記溝部は、前記錘部側に向かうに従い浅くなる浅瀬部を有し、
前記溝部拡幅部は、前記浅瀬部に形成されている、
請求項1または請求項2に記載の圧電振動片。 - 請求項1または請求項2に記載の圧電振動片と、
前記圧電振動片を気密封止するパッケージと、
を備える圧電振動子。 - 請求項7に記載の圧電振動子を備え、
前記圧電振動子は、発振子として集積回路に電気的に接続されている、
発振器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022187903A JP2024076422A (ja) | 2022-11-25 | 2022-11-25 | 圧電振動片、圧電振動子および発振器 |
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JP2022187903A Pending JP2024076422A (ja) | 2022-11-25 | 2022-11-25 | 圧電振動片、圧電振動子および発振器 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2024076422A (ja) |
-
2022
- 2022-11-25 JP JP2022187903A patent/JP2024076422A/ja active Pending
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