JP2024076293A - 着床式洋上架台の構築方法、着床式洋上架台、及び洋上風力発電装置 - Google Patents

着床式洋上架台の構築方法、着床式洋上架台、及び洋上風力発電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】台風等の強風に晒される環境においても支柱部を安定して自立姿勢に支持する。【解決手段】着床式洋上架台9は、海底に配置されて粒状錘5が積載される鋼鉄製の土台部1と、下端が土台部1に連結されて、上端を洋上に突出させるように上下姿勢で海中に配置される鋼管で形成された支柱部2と、支柱部2の揺動を抑制する係留機構7とを備える。土台部1は、底板部11とソケット筒部12と複数の固定壁部13と内側に粒状錘5の収容部4を形成する周壁部14と複数の固定壁部16とを備え、収容部4に積載される粒状錘5によって定位置に保持され、ソケット筒部12に連結された支柱部2を鉛直姿勢に保持する。係留機構7は、平面視放射状に延長されて土台部1の外周部に連結された複数の索体70と、索体70の張力を調整する張力調整機構71とを備え、支柱部2と土台部1との間に張設された複数の索体70により支柱部2の揺動を抑制している。【選択図】図2

Description

本発明は、洋上に設置される着床式洋上架台とその構築方法、及び洋上風力発電装置に関し、とくに、水深を40m~120mとする海域に好適に構築されて、台風等による強風下においても安定して自立姿勢を維持できる着床式洋上架台とその構築方法、及び着床式洋上架台を備える洋上風力発電装置に関する。
近年の石油資源の枯渇に伴い、太陽エネルギーに代表される再生可能エネルギーが注目されている。しかしながら、太陽光発電は、天気による変動が大きく、また、夜間には発電できないため、これに代わる再生可能エネルギーとして風力発電が注目されている。風力発電は、民家近くでは低周波騒音などの問題が指摘されているため、これを回避するため、洋上に風力発電設備を設置することに注目されている。
洋上風力発電装置は、風力発電機を設置する洋上架台システムの設置方法として、浮体式と固定式(着床式)に大別される(特許文献1ないし3参照)。
浮体式の架台システムを備える洋上風力発電装置は、所定の深さ以上、例えば100m以上の水深を有する海域で設置可能であり、海面に浮かせた状態で使用するため、風力発電装置を同じ規格として多量生産が可能である。ただ、浮体式の風力発電装置の場合、架台システム自体も大型化する必要があって、個々の製造単価が高くなるため、採算が悪くなる問題点があった。また、浮体式の風力発電装置の場合、水深100m以下の海域に設置することは難しい。
これに対して、固定式の架台システムを備える洋上風力発電装置は、土台となる部分を海底に設置するので風力発電装置を安定して支持できる特長があるが、一方で、装置を設置する海域の水深によって、使用する架台システムのタイプによる種々の問題点がある。例えば、水深35m以下の海域では、モノパイルタイプの架台を備える風力発電装置が好適に採用されている。モノパイルタイプの架台は、1本の金属管の下端を海底に固定し、海面上に突出する上端側に風力発電機を配置して支持するので、製造コストを低減できる。ただ、モノパイルタイプの架台は、水深が35m以上になると、製造コストが高くなるため、採算が悪くなる問題点がある。
このため、水深が40m以上の海域では、鉄骨を組み立てたタワー(鉄塔)からなるジャケットタイプの架台を備える風力発電装置が好適に採用されている。このように、鉄塔からなるジャケットタイプの架台システムは、波の影響を受けにくくできる特長がある。また、ジャケットタイプの架台は、石油の採掘等に使用される鉄塔のように、その製造技術が確立されているため、水深がある程度深く(例えば40m以上)なっても、これに対応して製造することができる。ただ、石油の採掘に比べて風力発電では収益が少なく、採算が悪くなる問題点がある。とくに、ジャケットタイプの架台は、鉄塔の下端を海底に固定するために、太くて長いアンカーを地下深くに打設する必要があり、設置コストが極めて大きくなる。また、ジャケットタイプの架台は、鉄骨で製造されるので耐用年数が約25年と短く、長期間にわたって使用できないため、風力発電装置を維持するためには、このジャケットを交換する必要があり、さらに採算が悪化してしまう。
特開2016-113996号公報 特開2005-180239号公報 特開2003-206852号公報 特開2017-203305号公報
さらに、着床式の基礎として特許文献4に、洋上施設の基礎が開示される。この公報に記載される洋上施設の基礎は、海底に設置される底版部と、底版部と一体に定着される鋼製桁部材を有する桁部と、底版部と分離自在に底板部上に配置される中詰材と、底版部から立ち上がる鋼管支柱であって、鋼管支柱の上端部に洋上施設のタワーの下端部が接続され、鋼管支柱の下方側面に鋼製桁部材の一端が接合される鋼管支柱と、底版部から外周側に一体に立設する側壁部とを備えている。この構造の基礎は、鋼製桁部材を介して鋼管支柱に一体的に固定された底版部の周囲に立設する側壁部を備えており、この底版部を海底に設置した状態で、底版部上に分離自在に配設される中詰材を充填して海底に設置する状態で鋼管支柱の上端を洋上に配置する構造としている。
ただ、以上の構造の基礎は、底版部を鉄筋コンクリート製とするため、底版部の製造に時間がかかる欠点がある。それは、型枠を設置した状態でコンクリートを打設した後、コンクリートが硬化するのに時間を要するからである。このため、この基礎は、短期間で構築することができず、構築にかかるコストを低減できない問題点がある。また、この公報には、底版部として鋼製であっても良い旨が記載される。ところが、底版部を鋼製とすると、全体の重量が軽くなるため、水深の深い海底に沈降できない問題点がある。とくに、この底版部は、鋼管支柱の下端を重り部として底版部に一体的連結しているので、鋼管支柱の内部には中空部が形成される構造となっている。この構造の基礎を海底に沈めようとすると、水深が浅い場合には沈降できるが、水深が深くなると、中空状の支柱にはたらく浮力が大きくなるため、スムーズに海底に沈降できない問題点がある。とくに、底版部を鋼製とすると、ますます重量が軽くなって水深の深い海底に沈降できなくなる。このため、この公報に記載される基礎は、水深が40m以下の海域においては実施できても、水深を40m以上とする海域においては有効に活用できなくなる。
特に、近年では風力発電機として発電電力が10MW以上のものが主流となりつつ有り、このような大型の風力発電機を支持する基礎としては、鋼管支柱の外径を大きくする必要がある。困ったことに外径の大きな鋼管支柱では、さらに浮力が大きくなるため、ますます水深の深い海域では利用が困難になってしまう問題点がある。
以上のように、水深が40m~120mの海域においては、風力発電装置の架台として未だ有効な技術が確立されていないのが現状である。とくに、海岸線が長く、急深な沿岸域の多い日本においては、風況に適した海域として中水域の海域も多く、これらの海域における経済性の高い方式の実用化・普及が急務となっている。
さらに、近年、主流となりつつある発電電力が10MW以上の大型の風力発電機を備える洋上風力発電装置においては、水面上に突出する洋上架台の上に高さ100m~150mもの大型の風力発電機を設置するため、このような大型の風力発電機を洋上架台で安定して支持する必要がある。特に、海中に設置される洋上架台は海のうねりや潮流に影響を受けるばかりか、台風接近時においては風速20mを越える強風や強い波浪に晒されることもある。特に近年では台風の勢力が大きくなる傾向に有り、時には風速40mを越える強風が吹くこともあり、洋上に設置される大型の風力発電機に悪影響を与えることも考えられる。したがって、洋上風力発電装置は、海面上に設置される大型の風力発電機が台風等による強風や波浪を受ける状態においても安定して所定の姿勢を維持できるように設計されることが大切である。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、水深が40m~120mの海域においても構築可能であって、工期を短縮して製造コストと設置コストを低減しながら、台風等による強風に晒される環境においても支柱部を安定して自立姿勢に支持できる着床式洋上架台とその構築方法、及び洋上発電装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明のある態様に係る着床式洋上架台は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台であって、全体が水没する状態で海底に配置されて粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部と、下端が土台部に連結されて、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長された姿勢で海中に配置される円筒状の鋼管で形成された支柱部と、支柱部の揺動を抑制する係留機構とを備えている。土台部は、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に粒状錘の収容部を形成する周壁部と、周壁部の内側面と底板部の上面に固定されて、周壁部を底板部に固定する複数の固定壁部とを備えている。土台部は、収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、ソケット筒部に連結された支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成している。係留機構は、支柱部の上端部から平面視放射状に延長されて、先端を土台部の外周部に連結してなる複数の索体と、索体の張力を調整する張力調整機構とを備えており、支柱部と土台部との間に張設された複数の索体により支柱部の揺動を抑制している。
上記構成によれば、海底に配置される土台部に対して支柱部を鉛直姿勢で配置しながら、台風等による強風に晒される環境においても支柱部を安定して自立姿勢に支持できる特長がある。それは、以上の着床式洋上架台が、支柱部の揺動を抑制する係留機構として、支柱部の上端部から平面視放射状に延長されて、先端を土台部の外周部に連結してなる複数の索体と、索体の張力を調整する張力調整機構とを備えており、支柱部と土台部との間に張設された複数の索体により支柱部の揺動を抑制しているからである。このように、複数の索体を平面視放射状に配置して、支柱部の上端部と土台部の外周部との間に張設してなる構造は、支柱部が一方向に傾動する状態で、反対方向に配設された索体に作用する張力により支柱部の傾動が抑制される。したがって、台風等による強風に晒される環境においても支柱部を安定して自立姿勢に支持できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、係留機構が、支柱部の上端部に配置されて索体を巻き取る巻取機を備えて、この巻取機を張力調整機構とすることができる。上記構成によると、巻取機の巻き取り状態を調整することで、簡単に索体の張力を調整できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、係留機構が、土台部の周壁部に固定されて索体の先端部が連結される固定部を備えて、この固定部を、周壁部から外側に突出する突出片とすることができる。上記構成によると、土台部の周壁部から外側に突出して設けた突出片に索体の先端を連結するので、土台部と索体との連結部を支柱部から離れた位置に配置して、鉛直方向に対する索体の傾斜角度を大きくして索体の張力を効果的に支柱部に対して作用させることができる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、係留機構が、支柱部の側面に固定されて、索体の中間部が案内される中間ローラを備えて、中間ローラより上方に配置される索体を支柱部の側面に沿う姿勢で配置し、中間ローラより下方に配置される索体を支柱部から離れる傾斜姿勢で配置することができる。上記構成によると、支柱部の上端部において側面に設けた中間ローラに索体の中間部を案内する状態で索体を張設するので、中間ローラよりも上方においては索体を支柱部に接近させて配置することで、海面付近における支柱部の周囲における安全性を確保しながら、中間ローラよりも下方においては索体を支柱部から離す傾斜姿勢で土台部に連結することで、鉛直方向に対する索体の傾斜角度を大きくして索体の張力を効果的に支柱部に対して作用させることができる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、係留機構が、索体の張力を調整するサブ張力調整機構を備えて、このサブ張力調整機構が、土台部の外周部に一端が連結されて、垂直面内で傾動自在に配置されると共に、支柱部から離れる方向に延長された他端側に索体の先端が連結された傾動アームと、傾動アームの他端側に固定された錘部とを備えることができる。このサブ張力調整機構は、支柱部が鉛直姿勢の状態では、錘部の自重により降下姿勢にある傾動アームを介して索体を所定の張力で張設し、支柱部が垂直姿勢から任意の方向に傾動する状態では、支柱部の傾動方向と反対側に配置された索体が傾動アームを引っ張って、傾動アームを錘部の自重に逆らって上昇姿勢に傾動させることができる。さらに、傾動アームは、所定の上昇姿勢において傾動が停止されるストッパを備えて、傾動アームが所定の上昇姿勢まで傾動するとストッパを介して傾動アームを停止させて、支柱部の傾動を阻止することができる。
本発明のある態様に係る着床式洋上架台の構築方法は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台の構築方法である。この構築方法は、全体が水没する状態で海底に設置されて粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部であって、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に粒状錘の収容部を形成する周壁部と、周壁部の内側面と底板部の上面に固定されて、周壁部を底板部に固定する複数の固定壁部とを備える土台部と、円筒状の鋼管で形成されて、海底に設置された土台部に下端を連結した状態で上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部と、収容部に積載される所定量の粒状錘と、支柱部の揺動を抑制する係留機構であって、支柱部の上端部から平面視放射状に延長されて、先端を土台部の外周部に連結してなる複数の索体と、索体の張力を調整する張力調整機構とを備える係留機構と、を準備する準備工程と、土台部と支柱部と粒状錘と係留機構を着床式洋上架台の構築領域の洋上に運搬する運搬工程と、構築領域の海底面に、上面が整地された基礎部を形成する基礎部形成工程と、土台部を海底に沈めて基礎部の上に設置する土台部設置工程と、支柱部を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された土台部のソケット筒部に支柱部の下端部を挿入して連結する支柱部設置工程と、土台部の収容部に粒状錘を積載する積載工程とを含んでいる。さらに、土台部設置工程においては、複数の索体を介して土台部を吊り下げた状態で索体を繰り出して土台部を海底に沈降させるようにしている。
上記方法によれば、土台部を海底に設置する土台設置工程において、係留機構の複数の索体を利用して土台部を吊り下げた状態とし、索体を繰り出すことで土台部を海底に沈降させるので、土台部を安全かつ確実に沈降させて、しかも基礎部の正確な位置に設置できる特長がある。すなわち、支柱部の揺動を抑制する係留機構の索体を有効利用することで、土台部を海底の定位置に確実に沈降させることができる。このように、土台部を沈降させる際に索体を利用する方法は、土台部を沈降させる前工程で、予め索体の先端を土台部に連結するので、海底に配置される土台部に対して簡単かつ確実に索体を連結して固定できる。
本発明のある態様に係る着床式洋上架台を備える洋上風力発電装置は、以上のいずれかに記載の着床式洋上架台と、支柱部の上端に設置された風力発電機とを備えている。
本発明の実施形態1に係る洋上風力発電装置の一部断面概略正面図である。 図1に示す洋上風力発電装置の着床式洋上架台の一部断面概略正面図である。 図2に示す着床式洋上架台の拡大断面図である。 図3に示す着床式洋上架台の拡大断面斜視図である。 図3に示す着床式洋上架台の土台部の斜視図である。 土台部の他の一例を示す斜視図である。 土台部の他の一例を示す斜視図である。 固定部の一例を示す斜視図である。 図8に示す固定部の正面図である。 巻取機の一例を示す正面図である。 中間ローラの一例を示す側面図である。 図11に示す中間ローラの一部断面平面図である。 係留機構の他の一例を示す一部断面正面図である。 サブ張力調整機構の一例を示す一部断面側面図であって傾動アームの降下位置を示す図である。 サブ張力調整機構の一例を示す一部断面側面図であって傾動アームの上昇位置を示す図である。 本発明の一実施形態にかかる着床式洋上架台の構築方法を示す工程図である。
本発明者は、本発明に先立って、水深が40m~120mの海域においても構築可能であって、工期を短縮して製造コストと設置コストを低減できる着床式洋上架台とその構築方法を開発した。この着床式洋上架台は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台であって、水深40m~120mの海底に全体が水没する状態で配置される鋼鉄製の土台部と、内部に海水を流入させる状態で海中に沈められて、海底において下端が土台部に連結されて、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長された姿勢で海中に配置される円筒状の鋼管で形成された全長を50m以上とする支柱部と、土台部に積載される粒状錘を収容するための収容部とを備えている。土台部は、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に収容部を形成する周壁部とを備えている。土台部は、収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、ソケット筒部に連結された支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成している。
また、着床式洋上架台の構築方法は、水深40m~120mの海底に全体が水没する状態で設置された状態で粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部であって、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に粒状錘の収容部を形成する周壁部と、を備える土台部と、円筒状の鋼管で形成されて、海底に設置された土台部に下端を連結した状態で、上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部と、収容部に積載される所定量の粒状錘と、を準備する準備工程と、土台部と支柱部と粒状錘とを着床式洋上架台の構築領域の洋上に運搬する運搬工程と、構築領域の海底面に、上面が水平面状に整地された基礎部を形成する基礎部形成工程と、土台部を海底に沈めて基礎部の上に設置する土台部設置工程と、支柱部を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された土台部のソケット筒部に支柱部の下端部を挿入して連結する支柱部設置工程と、土台部の収容部に粒状錘を積載する積載工程とを含んでいる。
以上の着床式洋上架台は、海底に配置される土台部が、鋼管で形成される支柱部の下端部が挿入されるソケット筒部を底板部の中央部に備え、支柱部の下端部をソケット筒部に挿入して支柱部と土台部とを連結するので、土台部と支柱部とを別々に製造して運搬でき、製造コストと輸送コストを低減できる。また、設置時においては、構築海域の水深による悪影響を抑制しながら、土台部と支柱部とを別々に海中に沈めて連結できるので設置作業を容易にして、工期を短縮できると共に、構築にかかる費用を低減できる特長が実現できる。また、土台部を鋼鉄製とすることで、従来のように、コンクリートで基礎を構築する構造に比べて、土台部の製造に係る手間と時間を低減して、土台部の製造コストを大幅に削減できる。さらにまた、土台部は、底板部の外周に沿って立設した周壁部の内側に形成された収容部に粒状錘を積載することにより粒状錘の重量で定位置に保持されて支柱部を垂直姿勢に保持するので、土台部と粒状錘とを別々に運搬することで、運搬にかかるコストを低減しながら、多量の粒状錘であっても、容易に運搬して積載できる特長が実現できる。
また、以上の構築方法によれば、底板部の中央部にソケット筒部を備える土台部を海底に設置した後、鋼管で形成された支柱部を海中に沈めて、支柱部の下端部をソケット筒部に挿入して土台部に連結するので、土台部と支柱部とを別工程で海中に沈めることで、構築海域の水深に起因する悪影響を抑制しながら、土台部と支柱部を速やかに沈降させて定位置に設置できる。とくに、土台部と支柱部とを別部材として製造することで、製造や運搬にかかる時間と費用を低減でき、構築にかかる工期を短縮してコストを削減できる。また、土台部を鋼鉄製とすることで、従来のように、コンクリートで基礎を構築する構造に比べて、土台部の製造にかかる手間と時間を低減して、土台部の製造コストを大幅に削減できる。さらにまた、土台部は、周壁部の内側に形成された収容部に粒状錘を積載することにより粒状錘の重量で定位置に保持されて支柱部を垂直姿勢に保持するので、土台部と粒状錘とを別々に運搬することで、運搬にかかるコストを低減しながら、多量の粒状錘であっても、容易に運搬して積載できる特徴が実現できる。
以上の着床式洋上架台とその構築方法によると、水深が40m~120mの海域においても構築可能であって、工期を短縮して製造コストと設置コストを低減できる特徴が実現できる。ただ、この種の着床式洋上架台においては、発電電力が10MW以上で、高さが100m~150mと大型の風力発電機が設置されるため、このような大型の風力発電機を洋上架台で安定して支持することが重要となる。特に、海中に設置される洋上架台は海のうねりや潮流に影響を受けるばかりか、台風接近時においては風速20mを越える強風に晒されることもある。したがって、このような海面上に設置される大型の風力発電機が台風等による強風を受ける状態においても安定して所定の姿勢を維持できるように設計されることが大切である。本願発明は、このような問題点を解決するために開発されたものである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下に特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部品を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
本発明の着床式洋上架台は、風力発電を行う風力発電機を洋上に設置するための架台であって、主として、水深を40m~120mとする海洋上に風力発電機を設置するための架台である。ただ、着床式洋上架台は、風力発電用の風況データの計測を行う風況観測機を設置することもできる。
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る着床式洋上架台9の上に風力発電機6を設置した洋上風力発電装置100の設置状態を示す一部断面概略正面図である。図2ないし図5は、図1に示す洋上風力発電装置100の着床式洋上架台9を示す図であって、図2は一部断面概略正面図を、図3及び図4は土台部1と支柱部2との連結構造を示す拡大断面図と拡大断面斜視図を、図5は土台部1の斜視図をそれぞれ示している。これらの図に示す着床式洋上架台9は、海底に配置されて粒状錘5が積載される土台部1と、下端を土台部1に連結して、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長されてなる支柱部2と、支柱部2の揺動を抑制する係留機構7とを備えている。
(土台部1)
土台部1は、海底に設置される底板部11と、底板部11の中央部に固定されて、支柱部2の下端部2Bが挿入されて連結されるソケット筒部12と、ソケット筒部12の側面と底板部11の上面に固定されて、ソケット筒部12を底板部11に固定する複数の固定壁部13と、底板部11の外周に沿って立設されて、内側に粒状錘5を収容するための収容部4を形成する周壁部14と、周壁部14の内側面と底板部11の上面に固定されて、周壁部14を底板部11に固定する複数の固定壁部16とを備えている。土台部1は、底板部11、ソケット筒部12、固定壁部13、16、及び周壁部14を鋼鉄製としている。具体的には、鋼鉄製の複数の板材を切断、接合することで所定の形状に形成している。このように、土台部1を鋼鉄製とする構造は、土台部の製造にコンクリートを使用する従来の構造に比較して、製造にかかる時間を大幅に短縮して、製造コストを低減できる特長がある。
底板部11は、所定の面積を有する鋼鉄製の平板である。底板部11は、例えば、複数枚の鋼板を連結して所定の面積、形状としている。底板部11は、海底に形成される基礎部3の上面に設置されて定位置に配置される。底板部11は、水深40m~120mの海底に設置された状態で、中心部に垂直姿勢で連結される支柱部2を起立姿勢で支持できるように十分に大きな面積に形成される。底板部11は、例えば、最大外径を25m以上であって、好ましくは30m以上として、支柱部2を安定して支持できる。ただ、底板部11は、大きすぎると製造コストや運搬コストが高くなると共に、海底に形成される基礎部3を広くする必要があるので、最大外径を65m以下であって、好ましくは50m以下とする。また、底板部11は、十分な強度を有するように、鋼板の厚さを1~5cmであって、たとえば、2~3cmとする。
図5に示す底板部11は、一辺を30m~45mとする方形状であって、外形を正方形状としている。ただ、底板部11は、長方形とすることも、図6に示すように、円形状とすることも、図7に示すように多角形状とすることもできる。図7に示す底板部11は、正八角形状としている。なお、円形状の底板部11においては、直径が最大外径であり、多角形状の底板部11においては、最大の対角線を最大外径とする。
ソケット筒部12は、略円筒状に形成された鋼鉄製の周壁12Aで形成されており、底板部11の上面の中央部に上方開口の姿勢で固定されている。ソケット筒部12は、内側に支柱部2の下端部2Bを挿入できるように、支柱部2の下端部2Bの外周面に沿う内面形状としている。図に示すソケット筒部12は、上方に向かって内形が次第に大きくなるテーパー部12Xを備える形状、すなわち、テーパー部12Xの内面形状を逆円錐台の側面に沿う形状としており、支柱部2の下端部2Bを下端に向かって外形が次第に小さくなるテーパー形状として、この形状の支柱部2を挿入しやすくしている。とくに、図3に示すソケット筒部12は、支柱部2の下端部2Bをテーパー部12Xに挿入して、支柱部2の下端が底板部11に当接する状態で、支柱部2の下端部2Bの外周面がソケット筒部12の内周面に密着する嵌合構造で連結されるようにしている。このように、ソケット筒部12の内形を、支柱部2の下端部2Bの外形に沿う形状として、互いに嵌合状態で連結される構造とすることで、支柱部2の下端部2Bを簡単かつ確実にソケット筒部12に案内しながら、隙間なく連結できる特長がある。ただ、ソケット筒部と支柱部の下端部は必ずしも嵌合するテーパー形状とする必要はなく、互いに嵌合する円筒状とすることもできる。
ソケット筒部12は、円筒状の支柱部2の下端部2Bを内側に挿入した状態で、支柱部2を安定して支持できるように、周壁12Aの厚さを3cm~10cm、好ましくは4cm~8cmとする。また、ソケット筒部12は、周壁12Aの高さを支柱部2の外径よりも大きく、例えば、支柱部2の外径の1.2倍~2倍とする。ソケット筒部12は、周壁12Aの高さを高くして周壁12Aを厚くすることで、安定して支柱部2を支持できる。ただ、ソケット筒部12は、周壁12Aを高くして厚くすると製造コストが高くなるので、好ましくは前述の範囲とする。
ソケット筒部12は、複数の固定壁部13を介して底板部11に固定される。図に示す固定壁部13は、鋼板を所定の形状、図においては略台形状の四角形に切断したもので、底辺を底板部11の上面に固定すると共に、一方の側縁をソケット筒部12の側面である周壁12Aの外周面に固定してソケット筒部12を底板部11の定位置に固定している。ソケット筒部12の側面に固定される側縁は、ソケット筒部12の軸方向に延長して固定されており、固定壁部13を底板部11に対して垂直な起立姿勢となるように固定している。図に示す土台部1は、底板部11の中心部に配置されるソケット筒部12の外周面から放射状に延びる複数の固定壁部13を介して、底板部11にソケット筒部12を固定している。このように、ソケット筒部12から放射状に配置された複数の固定壁部13を介してソケット筒部12を底板部11に固定する構造は、支柱部2からソケット筒部12に作用する力を分散させることができ、優れた強度を実現できる。
固定壁部13は、好ましくは、溶接により底板部11とソケット筒部12に接合される。固定壁部13は、その面積を大きくして、底板部11との接合部を長くし、ソケット筒部12との接合部を長くすることで、ソケット筒部12と底板部11との連結強度を強くでき、固定壁部13の厚さを厚くすることで、荷重や応力に対する強度を強くできる。固定壁部13は、例えば、その厚さを1cm~3cmとし、底板部11との接合長さを底板部11の最大外径の1/5以上、好ましくは1/4以上とし、ソケット筒部12との接合長さをソケット筒部12の高さの1/3以上、好ましくは1/2以上とする。
周壁部14は、底板部11の外周に沿って立設されて、その内側に粒状錘5を積載するための収容部4を形成している。図5~図7に示す土台部1は、底板部11の外周縁部に沿って、底板部11の外形に等しい平面形状を有する周壁部14を設けている。図5に示す周壁部14は、所定の高さを有する周壁であって平面視を正方形状としている。平面視を正方形状とする周壁部14は、所定の長さと幅を有する複数枚の鋼板を長さ方向に接合すると共にコーナー部で直角に接合して所定の形状に形成される。図6に示す周壁部14は、所定の高さを有する周壁の平面形所を円形状としている。平面視を円形状とする周壁部14は、所定の長さと幅を有する複数枚の鋼板を所定の曲率半径で湾曲すると共に、複数の鋼板を互いに接合して連結することで円形状に形成される。図8に示す周壁部14は、所定の高さを有する周壁であって平面視を正八角形状としている。平面視を正八角形状とする周壁部14は、所定の長さと幅を有する複数枚の鋼板をコーナー部で所定の角度に接合して所定の形状に形成される。
周壁部14の高さは、内側に形成される収容部4の容積を決定するので、土台部1に要求される重量を考慮して、言い換えると、収容部4に充填される粒状錘5の総重量が最適な重量となるようにその高さが決定される。周壁部14は、例えば、ソケット筒部12の高さ以下であって、例えば、4m~10m、好ましくは5m~8mとする。ただ、収容部に充填して積載される粒状錘の総重量は、収容部の容積だけではなく、粒状錘の密度によっても変化するので、これらのことも考慮して周壁部14の高さを決定する。
図5~図7に示す土台部1は、底板部11の外周に沿って立設された周壁部14を溶接して底板部11に固定している。図5~図7に示す土台部1は、底板部11の外形を周壁部14の外形よりも一回り大きくして、外側に突出するフランジ部15を設けている。これにより、周壁部14は、例えば、下端縁の内側と外側の両方の境界部分を底板部11に溶接して底板部11に対して強固に接合できる。このように、周壁部14を全周にわたって底板部11に溶接する構造は、周壁部14と底板部11とを水密に連結して、土台部1全体の外観を上方開口の箱形とすることができる。この構造の土台部1は、工場で製造された後、構築領域に運搬する際には、土台部1全体を海面上に浮かせた状態で曳航して運搬できる。したがって、運搬にかかる手間や時間、運搬コストを低減できる特長がある。
さらに、図5~図7に示す周壁部14は、内側に沿って配設された複数の固定壁部16を介して底板部11に固定している。これにより、周壁部14を垂直姿勢として底板部11に対してより強固に固定できる。固定壁部16は、好ましくは、溶接により周壁部14と底板部11に接合される。固定壁部16は、その面積を大きくして、周壁部14との接合部を長くし、底板部11との接合部を長くすることで、周壁部14と底板部11との連結強度を強くでき、固定壁部16の厚さを厚くすることで、後述する係留機構7の索体70の張力よる荷重や応力に対する強度を強くできる。したがって、周壁部14に固定される固定壁部16は、後述する索体70を連結するために周部壁14の外周面に固定される固定部25と対向する位置を含む複数箇所に設ける。固定壁部16は、例えば、その厚さを1cm~3cmとし、周壁部14との接合長さを周壁部14の高さの1/2以上、好ましくは2/3以上とし、底板部11との接合長さを周壁部14の高さの1/2以上、好ましくは2/3以上とする。
以上のように、ソケット筒部12の周囲に放射状に複数の固定壁部13を設け、あるいは周壁部14の内側に、内側に向かって突出する複数の固定壁部16を設ける構造は、固定壁部13、16によって収容部4を複数の区画領域4Aに分割して、収容部4に積載される粒状錘5がソケット筒部12の周囲や周壁部14の内周に沿って移動するのを抑制して、粒状錘5を安定して定位置に保持できる特長がある。ここで、図7に示す土台部1は、底板部11にソケット筒部12を固定するための固定壁部13と、周壁部14を底板部11に固定するための固定壁部16とを一体構造として1枚の固定プレート17としている。このように、固定壁部13と固定壁部16とを一体構造とする土台部1は、周壁部14全体を底板部11に対して、さらに強固に固定できる。また、ソケット筒部12と周壁部14とを連結する複数の固定プレート17により、収容部4を確実に複数の区画領域4Aに区画できる。さらにまた、図7においては、多角形状の周壁部14の対角線方向に延びる8枚の固定プレート17の先端を周壁部14のコーナー部の内周面まで延長することで、これらの固定プレート17を介して周壁部14を位置決めしながら定位置に配置できるようにしている。
さらに、図7に示す土台部1は、ソケット筒部12から放射状に延びる固定プレート17の中間部に中間壁部18を設けている。図に示す土台部1は、ソケット筒部12と周壁部14との間に平面視リング状に中間壁部18を設けており、ソケット筒部12と周壁部14と隣接する固定プレート17とで囲まれた区画領域4Aをさらに内側と外側の2つの分割領域4Bに区画している。この構造は、周壁部14の内側に形成された区画領域4Aをさらに複数の分割領域4Bに区画することで、区画領域4A内において粒状錘5が支柱部2の半径方向に移動するのを抑制して、収容部4に収納される粒状錘5を安定して定位置に保持できる特長がある。図示しないが、図5や図6に示す土台部1においても、ソケット筒部12と周壁部14との間に中間壁部18を設けることができる。この中間壁部は、隣接する固定壁部13同士を連結し、あるいは、隣接する固定壁部16同士を連結する状態で固定される。
海底に配置される土台部1は、収容部4に積載される粒状錘5によって定位置に保持されるが、海中に配置される粒状錘5は潮流の影響を受け、あるいは地震の揺れの影響を受けることもある。仮に、潮流や地震等の影響を受けて粒状錘5が移動し、収容部4に積載される粒状錘5全体のバランスが崩れると、土台部1が安定して支柱部2を支持できなくなる虞もある。これに対して、収容部4を固定壁部13、16(固定プレート17)や中間壁部19で複数の領域に区画する構造は、収容部4の内部における粒状錘5の移動を抑制して、土台部1を長期間にわたって安定して保持できる特長が実現できる。
(支柱部2)
支柱部2は、図1及び図2に示すように、上下方向に延長された柱状であって、下端を海底50に設置された土台部1に連結すると共に、上端を洋上に突出させる鉛直姿勢として海中に配置している。支柱部2は、円筒状の鋼管で形成されており、下端が海底に設置された土台部1に連結された状態で、上端が洋上に突出する全長を有している。図1と図2に示す支柱部2は、海中に配置される本体部2Aの下端部2Bを土台部1を連結し、海面上に突出する突出部2Cの上端に風力発電機6を固定している。支柱部2は、上端を海面から10m~15m突出させる姿勢で配置している。したがって、支柱部2の全長は、設置場所の水深よりも10m~15m長くなるようにしている。例えば、水深を80mとする海域に設置される着床式洋上架台9においては、支柱部2の全長を90m~95mとして、上端部を海面上に10m~15m突出させる。
支柱部2は、上端に設置される風力発電機6を安定して支持するために要求される強度を考慮して最適な外径に設計される。支柱部2の外径は、支柱部2の上に設置する浮力発電機6の規格や、着床式洋上架台9を設置する海域の水深によっても変更される。例えば、図1に示すように、水深40m~120mの海域に設置されて、発電量を10MW~15MWとするサイズの風力発電機6を支持する支柱部2は、外径を大きくすることで安定して支持できる。一例として、水深50m~100mの海域に設置される着床式洋上架台9においては、支柱部2の外径を5m~15m、好ましくは6~12mとすることができる。さらに、支柱部2の厚さは、例えば、これを構成する鋼管の厚さであって、例えば、3cm~10cm、好ましくは4cm~8cmとする。
図1及び図2に示す支柱部2は、所定の外径を有する円筒状の鋼管で形成されている。円筒状の鋼管で形成される支柱部2は、図示しないが、複数本の鋼管を連結して所定の長さに形成される。支柱部2は、たとえば、長さを10m~数十mとする鋼管を複数本連結して、所定の全長としている。各々の鋼管は、対向する端縁同士を溶接して連結し、あるいは端縁に沿って外側に突出するフランジ部を設けて、対向するフランジ部同士を連結具を介して連結することで、複数の鋼管を直線状に連結して所定の全長としている。ただ、使用する鋼管の長さや連結する本数は、種々に設計変更することができる。このように、支柱部2を複数の鋼管で形成する構造は、既成の鋼管を使用することで、製造コストを低減しながら、簡単かつ容易に製造できる特長がある。複数の鋼管で形成される支柱部2は、鋼管の内部全体を一つの空洞として、支柱部2を海中に沈める際には、内部に海水を浸入させる構造とする。これにより、構築領域の水深に関係なく、全長の長い支柱部2であっても速やかに沈降させて海中に設置できる。
海中に垂直姿勢で沈降される支柱部2は、海底に設置された土台部1のソケット筒部12に下端部が挿入されて連結される。図3と図4に示すソケット筒部12は、前述のように、上方に向かって内形が次第に大きくなるテーパー部12Xを設けているので、支柱部2の下端部2Bは、下端に向かって外形が次第に小さくなるテーパー形状として、その外周面の形状を逆円錐台の側面に沿う形状としている。とくに、図3に示す支柱部2は、下端部2Bをソケット筒部12に挿入して、下端が底板部11に当接する状態で、支柱部2の下端部2Bの外周面がソケット筒部12の内周面に密着する嵌合構造で連結されるようにしている。このように、支柱部2の下端部2Bの外形を、ソケット筒部12の内形に沿う形状として、互いに嵌合状態で連結される構造とすることで、支柱部2の下端部2Bを簡単かつ確実にソケット筒部12に案内しながら、隙間なく連結できる特長がある。ただ、支柱部の下端部をテーパー形状とすることなく円筒状として、円筒状のソケット筒部に挿入することもできる。
以上のように、土台部1が海底に設置された状態で、下端部2Bがソケット筒部12に挿入される支柱部2は、外周面がソケット筒部12の内周面に密着することで安定して連結されるが、さらに、支柱部2とソケット筒部12の連結部には、図3に示すように、水中コンクリート20を充填して固定することもできる。ここで、支柱部2は、海中においてソケット筒部12に連結されるので、支柱部2の内部には海水が充満している。したがって、ソケット筒部12と支柱部2との連結部の内部に充填するコンクリートには、水中コンクリート20を使用する。水中コンクリート20は、例えば、洋上からパイプを介して圧送されて、支柱部2の下端部2Bの内部に充填される。
図3と図4は、支柱部2の下端部2Bと土台部1のソケット筒部12との連結部を示す図であって、図3は支柱部2の下端部2Bの内側に水中コンクリート20を充填した状態を示す断面図を、図4は互いに連結される支柱部2とソケット筒部12の内部構造を示す分解断面斜視図をそれぞれ示している。これらの図に示す土台部1と支柱部2は、水中コンクリート20に埋設される第1のアンカー部21と第2のアンカー部22とを備えており、水中コンクリート20に埋設される第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22を介して土台部1と支柱部2とをより強固に固定している。
土台部1は、ソケット筒部12の中央部に水中コンクリート20に埋設される第1のアンカー部21を設けている。第1のアンカー部21は、ソケット筒部12の中央部において、底板部11から上方に突出する姿勢で設けられている。図の第1のアンカー部21は、複数の鉄骨を井形に組み合わせると共に、支持材となる鉄骨を介して底板部11の上面から所定の高さに突出するように底板部11に固定されている。この第1のアンカー部21は、ソケット筒部12に挿入される支柱部2の下端部2Bに干渉しない位置に設けている。
支柱部2は、下端部2Bの内側に水中コンクリート20に埋設される第2のアンカー部22を設けている。第2のアンカー部21は、支柱部2の下端部2Bにおいて、内面から内側に突出する姿勢で設けられている。図の第2のアンカー部21は、支柱部2の下端部の対向する内面を互いに連結してなる複数の鉄骨を井形に組み合わせたもので、上下に複数段に設けている。この第2のアンカー部22も、支柱部2の下端部2Bをソケット筒部12に挿入する状態で、ソケット筒部12の内側に設けた第1のアンカー部21に干渉しない位置に設けている。以上の構造によると、ソケット筒部12に支柱部2の下端部2Bが挿入された状態で内部に充填される水中コンクリート20に第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22を埋設することで、土台部1と支柱部2の下端部2Bとを確実に固定できる。さらに、支柱部2の下端部2Bの内側に水中コンクリート20を充填する構造は、水中コンクリート20を重り部として支柱部2の重心を下方に配置して、支柱部2をより安定して鉛直姿勢に保持できる特長もある。
図に示す第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22は、その一例であって、以上の構造に特定しない。第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22は、水中コンクリート20に埋設されて土台部1や支柱部2を水中コンクレート20に固定できる他の全て構造とすることができる。さらに、第1のアンカー部21と第2のアンカー部22は、両方またはいずれか一方に鉄筋を配設し、鉄筋コンクリートとしてより強固に土台部1と支柱部2とを固定することもできる。
さらに、支柱部2は、垂直姿勢に安定して保持するために、一部を中空状とすることもできる。円筒状の鋼管で構成される支柱部2は、海中に配置される本体部2Aにおいて、内部を中空とする領域を設けて中空部23を形成することができる。支柱部2は、例えば、海中に配置される本体部2Aの上部において内部の海水を排水することで、支柱部2の上部に中空部23を設けることができる。この構造は、支柱部2に充満された海水の一部をポンプ等の吸引機構で吸い上げて排水することで、支柱部2の上部に簡単に中空部23を設けることができる。このように中空部23を備える支柱部2は、内部を中空状とすることで、浮力に対する重量を少なくして、実質的に浮力を大きくできるので、土台部1にはたらく荷重を低減できる。例えば、厚さを6cm、外形を約6mとする鋼管からなる支柱部2においては、海面から20m分の海水を排水することで、500t以上の荷重を低減することができる。さらに、支柱部2の上部に中空部23を設けることで、支柱部2にはたらく浮力の中心である浮心に対して、支柱部2の重心を低い位置に配置することができ、上下方向に延長して配置される支柱部2を安定して鉛直姿勢に保持できる特長がある。
(粒状錘5)
以上のように、海底に設置された土台部1は、支柱部2の下端部がソケット筒部12に挿入されて連結されると共に、粒状錘5が積載されて定位置に保持される。土台部1は、周壁部14の内側に、粒状錘5を収容する収容部4を形成している。収容部4に充填される粒状錘5は、所定の大きさの粒状に形成された錘であって、例えば、砂利、砕石、鉱石、スラグ等が使用できる。粒状錘5は、好ましくは鉄鉱石またはスラグとする。粒状錘5を鉄鉱石とする場合、比重が約3.4と高いので容積を少なくしながら十分な重量を確保することができる。また、鉄鉱石から流出する鉄分が海藻の養分となるため、周囲における生物の生育環境を改善できる効果もある。また、粒状錘をスラグとする場合、廃棄物として多量に発生するスラグを有効利用しながら、製造コストを低減できる。
粒状錘5は、その外径を100mm以下であって、好ましくは、60mm以下とする。粒状錘5は、砂利、砕石、鉱石、スラグのいずれかとし、とくに、砕石、鉱石、スラグについては以上の外径とすることで、収容部4内への充填を容易にできる特長がある。また、粒状錘5を除去する際には、サクションや水中サンドポンプ等の吸引装置を使用して効率よく吸引して除去できる。とくに、吸引装置は、水搬工法によりスラリー輸送することで、外径を数cmとする粒状の砂利や砕石、鉱石、スラグ等であっても容易に吸引して運搬することができる。
(プラットホーム24)
プラットホーム24は、風力発電機6を洋上の所定の位置に配置するための設置台であって、上端部を洋上に突出させるように配置された支柱部2の上端に水平な姿勢で固定されている。水平姿勢で配置されるプラットホーム24は、上面に風力発電機6が設置される。さらに、プラットホーム24は、風力発電機6に加えて、各種監視装置や各種観測装置を設置することもできる。このような装置として、例えば、バードレーダーや監視カメラ、気象観測用の気象レーダ、あるいは風向計、風量計、風力計等の風況観測機が挙げられる。
(係留機構7)
係留機構7は、支柱部2の上端部から平面視放射状に延長されて、先端を土台部1の外周部14に連結してなる複数の索体70と、これらの索体70の張力を調整する張力調整機構71とを備えている。
(索体70)
索体70には、ワイヤー、ロープ、チェーン等の線材が使用される。索体70に使用される線材には、支柱部1が台風等の影響で強風や荒波を受けた際に、支柱部1を牽引する状態においても破断されない強度を有するものが使用される。このような索体70として、高強度ワイヤー、合成繊維ロープ、金属チェーン等が使用できる。係留機構7は、あらゆる方向への支柱部2の傾動を抑制するために複数の索体70を平面視放射状に配置している。各索体70は、支柱部2の上端部と土台部1の外周部の間に張設されて、その張力により支柱部2の上部を外側方向に牽引して支柱部2を鉛直姿勢に保持する。放射状に配置される複数の索体70は、等間隔に配置されると共に張力が均等になるように張設されて任意の方向への傾動が抑制される。図に示す係留機構は、4本の索体を等間隔で四方に向けて延長して配置している。ただ、複数の索体70は、3~16本、好ましくは3~8本とすることができる。
(固定部25)
係留機構7は、土台部1の周壁部14に固定されて索体70の先端部が連結される固定部25を備えている。固定部25は、周壁部14から外側に突出する突出片25Aを備えている。土台部1の外周部に連結される索体70は、先端が突出片25Aに連結されて土台部1に連結される。このように、土台部1の外周面から外側方向に突出する突出片25Aに索体70を連結する構造は、索体70の連結位置を支柱部2から離すことで効果的に支柱部2を牽引できると共に、収容部4に積載される粒状錘5と索体70の連結部とが干渉するのを有効に防止できる特長がある。
図5に示す土台部1は、平面視正方形状の周壁部14の対角線方向に延びるように、四隅のコーナー部の外周面に垂直姿勢の突出片25Aを固定して固定部25としている。また、図7に示す土台部1は、平面視正八角形状の周壁部14の対角線方向に延びるように、8箇所のコーナー部の外周面に垂直姿勢の突出片25Aを固定して固定部25としている。このように、平面視多角形状の土台部1において対角線方向に突出片25Aを設ける構造は、最大外径が最も大きくなる対角線方向に固定部25を配置することができるので、索体70の先端を支柱部2から最も離れた位置に連結して、支柱部2を効果的に牽引できる特長がある。ここで、平面視を円形状とする土台部1においては、周壁部14の外周面に4個以上の突出片25Aを等間隔に固定する。図6に示す土台部1は、6個の突出片25Aを垂直姿勢で等間隔に固定している。さらに、周壁部14に固定される固定部25は、好ましくは、周壁部14の内側に固定された固定壁部16と対向する位置に固定される。それは、固定部25に作用する索体70の張力に対して周壁部14を安定して保持できるからである。
図に示す突出片25Aは平板状の金属板で、この金属板を垂直姿勢で周壁部14の外周面に固定している。このように金属板からなる突出片25Aを垂直姿勢で配置する固定部25は、連結された索体70に牽引される状態で索体70の張力に対して安定して支持できる特長がある。図に示す突出片25Aは、貫通孔25aを開口すると共に、この貫通孔25aに固定された金属製の連結具26を介して索体70の先端を固定している。図8及び図9に示す連結具26は、一例として、U字状金具26Aと、U字状金具26Aの対向する先端部を連結する連結ピン26Bで構成している。ただ、連結具には、索体の先端を突出片に連結できる他の全ての部材が使用できる。
図5~図9に示す固定部25は、垂直姿勢の突出片25Aの両側に固定片25Bを備えており、この固定片25Bが周壁部14の外周面に固定されて突出片25Aを定位置に配置している。固定片25Bは、溶接して周壁部14に固定され、あるいは図8及び図9に示すように、複数の固定具27を介して周壁部14に固定される。このような固定具27として、例えばボルトとナットが使用される。固定具27を介して連結される周壁部14と固定片25Bは、予め対向する位置に開口された貫通孔にボルトが挿通されると共に、ボルトの先端にナットがねじ込まれて定位置に固定される。
(張力調整機構71)
張力調整機構71は、支柱部2の上端部と土台部1の外周部とに跨がって配置された索体70にテンションを掛けて所定の張力で張設する。張力調整機構71は、支柱部2の上端部に配置されて、索体70を巻き取る巻取機72とすることができる。図10に示す張力調整機構71は、先端が土台部1の外周部に固定された索体70の後端側を巻き取る巻取機72としている。図10に示す巻取機72は、索体70として高強度ワイヤーを使用し、この高強度ワイヤーを巻取ドラム73に巻き取って張力を調整する構造としている。図に示す巻取機72は、索体70を巻き取る巻取ドラム73と、巻取ドラム73を回転させる駆動モータ74と、駆動モータ74の回転を変速して大きなトルクとして巻取ドラム73を回転させる変速機75とを備えている。巻取機72は、例えば、プラットホーム24に設置されて、索体70を下方に繰り出す構造としている。このように、巻取機72をプラットホーム24に固定することで、索体70に作用する張力を安定して調整できる。
(中間ローラ76)
さらに、係留機構7は、図2に示すように、支柱部2の側面に固定されて、索体70の中間部が案内される中間ローラ76を備えている。図に示す係留機構7は、中間ローラ76より上方に配置される索体70を支柱部2の側面に沿う略垂直姿勢で配置し、中間ローラ76より下方に配置される索体70を支柱部2から離れる傾斜姿勢で配置している。この構造は、支柱部2の上端部において側面に設けた中間ローラ76に索体70の中間部を案内する状態で、張力調整機構71により索体70を牽引して張設する。このとき、中間ローラ76よりも上方においては、索体70を支柱部2に接近させて配置して、海面付近における支柱部2の周囲における安全性を確保できる。また、中間ローラ76よりも下方においては、索体70を支柱部2から離す傾斜姿勢で土台部1に連結することにより、鉛直方向に対する索体70の傾斜角度を大きくして、索体70の張力を効果的に支柱部2に対して作用させることができる。
図11と図12に示す中間ローラ76は、支柱部2の側面に固定された固定リブ28に固定されて定位置に配置される。図の中間ローラ76は、支柱部2の側面から離れた位置に回転自在に配置されたローラ部材77と、このローラ部材77を回転自在に配置する一対の連結プレート78と、一対の連結プレート78を固定リブ28に固定するための連結具79とを備えている。以上の中間ローラ76は、連結具79を介して一対の連結プレート78が固定リブ28に固定されて、支柱部2の定位置に所定の姿勢で配置される。ローラ部材77は、回転軸が水平姿勢であって、支柱部2の接線方向となるように配置されて、索体70を上下方向に移動できる状態で回転する。以上の中間ローラ76は、支柱部2に対して着脱自在に連結される。したがって、索体70を張設する係留工程においては、先端が土台部1の外周部に固定されて、後端が支柱部2の上端のプラットホーム24に配置された巻取機72に巻かれた状態で、索体70の中間部を中間ローラ76に案内しながら、中間ローラ76を支柱部2に固定することができる。
以上の係留機構7は、平面視放射状に支柱部2の上端部と土台部1の外周部との間に跨がって配置された複数の索体70を所定の張力となるように張設することにより支柱部2の揺動を抑制する。ここで、係留機構7は、図1に示すように、支柱部2が鉛直方向に対して傾動する傾斜角(θ)が所定の角度よりも大きくならないように揺動を抑制する。係留機構7は、支柱部2の傾斜角(θ)の限界値を例えば5度とすることができる。したがって、係留機構7は、支柱部2が鉛直方向に対して5度傾いた状態で、傾動方向とは逆側にある索体70がピンと張った状態となって、それ以上支柱部2が傾動しないように張力調整機構71により張力を調整する。
さらに、係留機構7は、通常時と台風が接近する非常時において索体70の張力を変更することもできる。例えば、通常時においては、張力調整機構71による索体70の張力を弱く設定して、すなわち、索体70をピンと張った状態とすることなく、多少弛んだ状態となるように張設してある程度の揺動を許容しながら、台風が接近する非常時においては張力調整機構71による索体70の張力を大きく設定して、支柱部2の揺動を抑制することもできる。この場合、非常時においては、強風やうねりによって支柱部2が傾動しても、前述の傾斜角(θ)の限界値まで傾動しないように張力を強くする。張力調整機構71は、例えば、遠隔操作や無線制御によって索体70の張力を調整可能とすることができる。これにより、台風が接近する状況であっても、プラットホームに昇ることなく安全に索体70の張力を調整することができる。
(サブ張力調整機構81)
さらに、図13~図15に示す係留機構7は、索体70の張力を調整するサブ張力調整機構81を備えている。図に示すサブ張力調整機構81は、土台部1の外周部に一端が連結されて垂直面内で傾動自在に配置された傾動アーム82と、傾動アーム82の他端側に固定された錘部83とを備えている。傾動アーム82は、前述の固定部25を介して一端が土台部1の周壁部14に固定されると共に、支柱部1から離れる方向に延長された他端側であって中間部に索体70の先端が連結されている。
サブ張力調整機構81は、支柱部2が鉛直姿勢の状態では、錘部83の自重により降下姿勢(図14参照)にある傾動アーム82を介して索体70が所定の張力で張設され、支柱部2が垂直姿勢から任意の方向に傾動する状態では、支柱部1の傾動方向と反対側に配置された索体70が傾動アーム82を引っ張って、傾動アーム82を錘部83の自重に逆らって上昇姿勢(図15参照)に傾動させるようにしている。さらに、傾動アーム82は、所定の上昇姿勢において傾動が停止されるストッパ84を備えており、傾動アーム82が所定の傾動姿勢まで上昇するとストッパ84を介して傾動アーム82の上昇を停止させて、支柱部2の傾動を阻止するようにしている。図に示すストッパ84は、傾動アーム82の後端部に固定されたカム部材であって、カム面を土台部1の周壁部14に当接させて傾動アーム82の傾動を停止させるようにしている。さらに、図に示す傾動アーム82は、所定の降下姿勢においても傾動を停止させる第2ストッパ85を備えており、傾動アーム82が所定の傾動姿勢まで降下するとストッパ85を介して傾動アーム82の降下を停止させるようにしている。図に示す第2ストッパ85も、傾動アーム82の後端部に固定されたカム部材で、カム面を土台部1の周壁部14に当接させて傾動アーム82の傾動を停止させるようにしている。
以上の係留機構7は、索体70にはたらく張力を、支柱部2の上端部に設けた巻取機71だけでなく、土台部1に設けたサブ張力調整機構81によっても調整可能としている。サブ張力調整機構81は、傾動アーム82の先端に設けた第1連結部87に錘部83を連結すると共に、傾動アーム82の中間に設けた第2連結部88に索体70の先端部を連結している。索体70は、前述の連結具26を介して第2連結部88に連結することができる。この構造のサブ張力調整機構81は、傾動アーム82の先端に連結した錘部83の重量(W)によって索体70に働く張力(T)を調整できる。さらに、図に示すサブ張力調整機構81は、傾動アーム82の傾動軸86から第1連結部87までの長さ(L1)と、傾動アーム82の傾動軸86から第2連結部88までの長さ(L2)との比を調整することで、テコの原理により索体70にはたらく張力を調整することができる。
このサブ張力調整機構81は、巻取機72による引張り力と、傾動アーム82のテコ比と錘部83の重量(W)によって特定される張力(T)が索体70にはたらくことで支柱部2の傾動を抑制しながら、さらに大きな外力が支柱部1に加わって支柱部2が傾動しようとすると、傾動アーム82が降下姿勢(図14)から上昇姿勢(図15)に傾動し、傾動アーム82が限界位置まで上昇すると、ストッパ84により傾動アーム82の上昇が停止されて、支柱部2の傾動を抑止する。傾動アーム82のストッパ84は、例えば、支柱部2の傾斜角(θ)が前述の限界値となるまで支柱部2が傾動しないように停止位置を特定することで支柱部2の揺動を有効に抑制できる。
以上のサブ張力調整機構81は、例えば、図13の実線で示すように、傾動アーム82が降下姿勢の状態では、索体70をピンと張った状態とすることなく、多少弛んだ状態となるように張設してある程度の揺動を許容し、支柱部2がいずれかの方向に傾動する状態では支柱部1の傾動方向と反対側に配置された索体70がピンと張った状態となって支柱部2の傾動を抑制することができる。さらにこの状態から支柱部2が傾動すると、索体70に引っ張られる傾動アーム82が降下姿勢から上昇姿勢に傾動し、図13の鎖線で示すように、支柱部2の傾斜角(θ)が前述の限界値になるまで支柱部2が傾動すると、ストッパ84により傾動アーム82の上昇を停止して、ピンと張った状態の索体70による張力を最大として支柱部2の傾動を効果的に抑止することができる。
以上のように、係留機構7は、索体70の張力を調整することによって、支柱部2のある程度の揺動を許容しつつも、支柱部2の傾斜角(θ)が限界となる角度までに支柱部2が傾動する状態では、索体70がピンと張った状態となって、支柱部2の傾動を確実に抑止する構造とすることもできる。
以上の構造の着床式洋上架台9は、図1に示すように、支柱部2の上端に風力発電機6が設置されて洋上風力発電装置100として使用される。図示しないが、着床式洋上架台9は、支柱部2の上端に風況観測機を設置して、洋上風況観測装置として使用することもできる。
(風力発電機6)
風力発電機6は、図1に示すように、風力を受けて回転する風車60と、回転する風車60の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機(図示せず)と、発電機を収納しているナセル63と、ナセル63を所定の高さに配置するためのタワー64とを備えている。風車60は、複数のブレード61を備えており、中心に設けたハブ62に複数のブレード61を等間隔で固定している。風力発電機6は、タワー64の基部が支柱部2の上端に固定されて、着床式洋上架台9の上に所定の姿勢で設置される。図に示す洋上風力発電装置100は、タワー64の基部であって、支柱部2の上端の外周に沿って作業用のプラットホーム24を設けている。
以上の着床式洋上架台9は、以下の工程で構築される。
[準備工程]
この工程では、海底に配置される鋼鉄製の土台部1と、円筒状の鋼管で形成されて、下端を土台部1に連結した状態で上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部2と、土台部1の収容部4に積載される所定量の粒状錘5と、係留機構7を構成する複数の索体70と、索体70の張力を調整する張力調整機構71とを準備する。鋼鉄製の土台部1は、図3~図5に示すように、海底に設置される底板部11と、底板部11の中央部に固定されて、支柱部2の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部12と、ソケット筒部12の側面と底板部11の上面に固定されて、ソケット筒部12を底板部11に固定する複数の固定壁部13と、底板部11の外周に沿って立設されて、内側に収容部4を形成する周壁部14と、周壁部14の内側面と底板部11の上面に固定されて、周壁部14を底板部11に固定する複数の固定壁部16とを備える構造に製造される。粒状錘5は、収容部4に積載される所定量であって、収容部4に充填された状態で、土台部1及び支柱部2を定位置に保持できる重量となる量を準備する。粒状錘5には、例えば、所定の大きさに粉砕された鉄鉱石を使用する。以上の準備工程では、土台部1及び支柱部2は、工場にて製造される。
[運搬工程]
準備工程で準備された土台部1と支柱部2と粒状錘5とを着床式洋上架台9が構築される構築領域の洋上に運搬する。このとき、準備工程で製造された土台部1であって、底板部11の外周に沿って立設される周壁部14を底板部11に水密に連結して、全体を上方開口の箱形に形成してなる土台部1は、運搬工程において、土台部1を海面上に浮かせた状態で曳航して構築領域の洋上まで運搬することができる。さらに、鉄鉱石である粒状錘5は、砕石運搬船で運搬する。
[基礎部形成工程]
図16の(A)で示すように、着床式洋上架台9を構築する領域の海底において、土台部1を設置するための基礎部3を形成する。基礎部3は、土台部1が設置される海底の表面状態を良好にして、その上面に土台部1を安定して載置するために海底面50に形成される。基礎部3は、例えば、基礎捨石層31の外形を、土台部1の外形よりも1~10m、好ましくは3~5m大きくなるように形成する。基礎部3は、土台部1を水平姿勢で載置できるように、上面を水平面状に整地する。基礎部3は、図2及び図3に示すように、土台部1が設置される領域全体を海底面50に対して所定の深さに掘削し、一段低く形成された掘削部30に捨石32を敷設して設けた基礎捨石層31と、基礎捨石層31の上面に配置された被覆部材33とを備えている。基礎捨石層31は、掘削部30に敷設される多数の捨石32を所定の厚さとなるように積層すると共に、上面を均して平面状としている。平面状に均された基礎捨石層31の上面には、被覆部材33を敷設している。被覆部材33は、津波による押し波や引き波で基礎捨石層31を構成する捨石32や砂、土砂が流出しないように、基礎捨石層31を上から押圧する重量を有する板状ないしシート状の部材であって、基礎捨石層31の上面全体を被覆している。このような被覆部材33として、アスファルトマット33Aが使用できる。アスファルトマット33Aは、アスファルトを所定の厚さのマット状に成形したものであって、激しい潮流によっても流されない比重と、基礎捨石層31の表面に沿って変形可能な柔軟性とを備えている。アスファルトマット33Aからなる被覆部材33は、基礎捨石層31の上面に密着状態で敷設されて、その自重で基礎捨石層31を上面から押圧する。これにより、基礎捨石層31を構成する多量の捨石32が激しい潮流や津波により流出して基礎部3が変形するのを有効に防止している。ただ、被覆部材は、高炉徐冷スラグを所定の厚さになるように敷設した被覆層とすることもできる。図16の(A)で示す基礎部形成工程では、基礎部3の上面全体を水平面状に整地するが、基礎部3は、図示しないが、土台部1が設置される領域である中央部を外周部よりも一段低く形成することもできる。この形状に整地された基礎部3は、土台部設置工程において、一段下がった中央部に土台部1を設置する。
さらに、被覆部材にはコンクリートパネルを使用することもできる。この基礎部は、複数枚のコンクリートパネルを基礎捨石層の上面に敷き詰めることで、基礎捨石層を構成する捨石の流出を防止できる。さらに、基礎部2は、基礎捨石層31の上面に敷設されたアスファルトマット33Aの上に、コンクリートブロックやコンクリートパネルを配置することもできる。
[土台部設置工程]
この工程では、図16の(B)で示すように、運搬工程で構築領域の洋上まで運搬された土台部1を海底に沈めて基礎部3の上に設置する。土台部1を沈める際には、複数の索体70を介して土台部1を吊り下げた状態で、索体70を繰り出して土台部1を海底に沈降させる。複数の索体70は、例えば、ドラム等に巻き取られた状態でその先端が土台部1の外周に設けた固定部25に連結される。複数の索体70で土台部1を吊り下げた状態で土台部1を海中に沈めると共に、ドラムから索体70を繰り出すことで土台部1を自重により降下させて海底に沈降させる。このとき、水中カメラ等で設置位置を確認しながら索体70を繰り出すことで、土台部1を基礎部3の正確な位置に設置することができる。
[支柱部設置工程]
この工程では、図16の(C)で示すように、運搬工程で構築領域の洋上まで運搬された支柱部2を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された土台部1に下端を連結する。支柱部2は、図16の(C)に示すように、垂直姿勢として海水中に沈める状態で、円筒状の鋼管の内部に海水を浸入させながら沈降するので、構築海域の水深に関係なく、支柱部2の自重により、支柱部2をスムーズに海水中に沈降させることができる。海底まで沈降する支柱部2は、図3と図4に示すように、下端部2Bが、土台部1に設けたソケット筒部12に挿入されて定位置に連結される。この工程においても、水中カメラ等で支柱部2の下端部2Bの位置を確認しながら、支柱部2をソケット筒部12に対して正確に挿入することができる。
[コンクリート充填工程]
この工程では、図16の(D)で示すように、ソケット筒部12に挿入された支柱部2の下端部2Bの内部に水中コンクリート20を充填して、土台部1と支柱部2とを固定する。水中コンクリート20は、例えば、洋上からパイプを介して圧送して、支柱部2の下端部2Bの内部に充填する。支柱部2の下端部2Bに充填される水中コンクリート20は、図3に示すように、土台部1に設けた第1のアンカー部21と支柱部2に設けた第2のアンカー部22とを埋設する状態で充填される。これにより、水中コンクリート20が硬化した状態では、埋設される第1のアンカー部21と第2のアンカー部22とを介して土台部1と支柱部2とが強固に固定される。
[積載工程]
この工程では、土台部1の収容部4に所定量の粒状錘5を積載して充填する。図16の(E)では、底面が開閉可能な収納容器51を使用して定量の粒状錘5を海底まで吊り下げ、収容部4の上方において収納容器51の底を開いて粒状錘5を沈降させて収容部4に充填する例を示している。この方法は、簡単かつ確実に粒状錘5を収容部4の所定の位置に積載することができる。ただ、粒状錘5は、海面から散布して沈降させることもできる。
図16の(E)は、支柱部2の下端部2Bを土台部1に連結した後に、所定量の粒状錘5を収容部4に積載して充填する例を示している。ただ、本発明は、粒状錘5を収容部4に充填するタイミングを、以上のタイミング、すなわち、支柱部2を土台部1に連結した後工程には特定しない。粒状錘5は、種々のタイミングにおいて収容部4に積載することもできる。
積載工程は、例えば、土台部設置工程の前工程として、または土台部設置工程において、収容部4に粒状錘5を積載する第1積載工程と、土台部設置工程の後工程として、収容部4に粒状錘を積載する第2積載工程とに分割して粒状錘5を収容部4に充填することもできる。この方法では、土台部1を海底に沈める前、または、土台部1を海底に沈める途中において、第1積載工程として収容部4にある程度の粒状錘5を積載する。とくに、第1積載工程では、洋上もしくは海面近くの水中において収容部4に粒状錘5を積載できるので、能率良く、しかも正確に多量の粒状錘5を積載できる。このようにある程度の粒状錘5を収容部4に積載して全体の重量を重くした状態で土台部1を海底に沈降させることで、潮流等の影響を抑制しながら土台部1を直下に降下させて正確な位置に速やかに設置できる。土台部1を海底に沈めて定位置に設置した後、第2積載工程として収容部4に残りの粒状錘5を積載する。
[係留工程]
図16の(F)で示すように、先端が土台部1の外周部に連結された複数の索体70の後端側を、支柱部2の上端であってプラットホーム24に設置された巻取機72で巻き取って、索体70を支柱部2の先端部と土台部1の外周部との間に張設する。張力調整機構71である巻取機72は、巻取ドラム73に索体70を巻き取る回転トルクで張力を調整する。複数の索体70は、中間部が支柱部2の上端部の側面に配置された中間ローラ76に案内された状態で巻取機72により巻き取られて所定の張力で張設される。複数の索体70は、放射状に張設された状態でバランス良く張設されるように巻き取りトルクが調整されながら張設される。
以上のように積載工程で、土台部1の収容部4に所定量の粒状錘5が充填されることで、多量の粒状錘5の荷重により、土台部1が定位置に保持されると共に、土台部1のソケット筒部12に連結された支柱部2が垂直姿勢に保持される。以上のようにして、土台部1に連結された支柱部2は、上端部が海面上に突出する状態で配置される。
さらに、粒状錘5は、網材や通水性のある袋体等に充填した集合体の状態で沈降させることもできる。この場合もクレーン等で吊り下げて正確に充填できる。さらに、図の鎖線で示すように、土台部1の周壁部14の周囲にも錘体55を設置することができる。この構造は。この錘体55により、土台部1が水平方向に位置ずれするのを確実に防止できる。このような錘体55として、前述の粒状錘5を袋体に充填した集合体とすることも、コンクリートブロック等とすることもできる。
このとき、土台部1の周壁部14の周囲に配置される錘体55は、好ましくは、固定部を設けていない領域に配置される。例えば、図13~図15に示すように、支柱部2の傾動を制限するサブ張力調整機構81を備える場合には、サブ張力調整機構81を設けた位置に錘体55を配置しないことで、サブ張力調整機構81の正常な動作を実現できる。ただし、この錘体は、設置場所の環境によって省略することができる。
以上のようにして構築された着床式洋上架台9の支柱部2の上端に、図1に示すように風力発電機4を設置して洋上風力発電装置100が構築される。
[発電機設置工程]
以上のようにして構築された着床式洋上架台9の支柱部2の上端に、図1に示すように風力発電機4を設置して洋上風力発電装置100が構築される。
本発明は、洋上に風力発電機を配置する着床式洋上架台として、水深40m~120mの海域においても好適に構築できる。
100…洋上風力発電装置
1…土台部
2…支柱部
2A…本体部
2B…下端部
2C…突出部
3…基礎部
4…収容部
4A…区画領域
4B…分割領域
5…粒状錘
6…風力発電機
7…係留機構
9…着床式洋上架台
11…底板部
12…ソケット筒部
12X…テーパー部
12A…周壁
13…固定壁部
14…周壁部
15…フランジ部
16…固定壁部
17…固定プレート
18…中間壁部
20…水中コンクリート
21…第1のアンカー部
22…第2のアンカー部
23…中空部
24…プラットホーム
25…固定部
25A…突出片
25a…貫通孔
25B…固定片
26…連結具
26A…U字状金具
26B…連結ピン
27…固定具
28…固定リブ
30…掘削部
31…基礎捨石層
32…捨石
33…被覆部材
33A…アスファルトマット
50…海底面
51…収納容器
55…錘体
60…風車
61…ブレード
62…ハブ
63…ナセル
64…タワー
70…索体
71…張力調整機構
72…巻取機
73…巻取ドラム
74…駆動モータ
75…変速機
76…中間ローラ
77…ローラ部材
78…連結プレート
79…連結具
81…サブ張力調整機構
82…傾動アーム
83…錘部
84…ストッパ
85…第2ストッパ
86…傾動軸
87…第1連結部
88…第2連結部
本発明のある態様に係る着床式洋上架台は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台であって、全体が水没する状態で海底に配置されて粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部と、下端が土台部に連結されて、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長された姿勢で海中に配置される円筒状の鋼管で形成された支柱部と、支柱部の揺動を抑制する係留機構とを備えている。土台部は、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に粒状錘の収容部を形成する周壁部と、周壁部の内側面と底板部の上面に固定されて、周壁部を底板部に固定する複数の固定壁部とを備えている。土台部は、収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、ソケット筒部に連結された支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成している。係留機構は、支柱部の上端部から平面視放射状に延長されて、先端を土台部の外周部に連結してなる複数の索体と、索体の張力を調整する張力調整機構とを備えており、支柱部と土台部との間に張設された複数の索体により支柱部の揺動を抑制しており、係留機構が、支柱部の上端部に配置されて索体を巻き取る巻取機を備えており、巻取機を張力調整機構としている。
また上記構成によると、巻取機の巻き取り状態を調整することで、簡単に索体の張力を調整できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台であって、全体が水没する状態で海底に配置されて粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部と、下端が土台部に連結されて、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長された姿勢で海中に配置される円筒状の鋼管で形成された支柱部と、支柱部の揺動を抑制する係留機構とを備えている。土台部は、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に粒状錘の収容部を形成する周壁部と、周壁部の内側面と底板部の上面に固定されて、周壁部を底板部に固定する複数の固定壁部とを備えている。土台部は、収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、ソケット筒部に連結された支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成している。係留機構は、支柱部の上端部から平面視放射状に延長されて、先端を土台部の外周部に連結してなる複数の索体と、索体の張力を調整する張力調整機構とを備えており、支柱部と土台部との間に張設された複数の索体により支柱部の揺動を抑制しており、係留機構が、支柱部の側面に固定されて、索体の中間部が案内される中間ローラを備えて、中間ローラより上方に配置される索体を支柱部の側面に沿う姿勢で配置し、中間ローラより下方に配置される索体を支柱部から離れる傾斜姿勢で配置することができる。上記構成によると、支柱部の上端部において側面に設けた中間ローラに索体の中間部を案内する状態で索体を張設するので、中間ローラよりも上方においては索体を支柱部に接近させて配置することで、海面付近における支柱部の周囲における安全性を確保しながら、中間ローラよりも下方においては索体を支柱部から離す傾斜姿勢で土台部に連結することで、鉛直方向に対する索体の傾斜角度を大きくして索体の張力を効果的に支柱部に対して作用させることができる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台であって、全体が水没する状態で海底に配置されて粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部と、下端が土台部に連結されて、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長された姿勢で海中に配置される円筒状の鋼管で形成された支柱部と、支柱部の揺動を抑制する係留機構とを備えている。土台部は、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に粒状錘の収容部を形成する周壁部と、周壁部の内側面と底板部の上面に固定されて、周壁部を底板部に固定する複数の固定壁部とを備えている。土台部は、収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、ソケット筒部に連結された支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成している。係留機構は、支柱部の上端部から平面視放射状に延長されて、先端を土台部の外周部に連結してなる複数の索体と、索体の張力を調整する張力調整機構とを備えており、支柱部と土台部との間に張設された複数の索体により支柱部の揺動を抑制しており、係留機構が、索体の張力を調整するサブ張力調整機構を備えて、このサブ張力調整機構が、土台部の外周部に一端が連結されて、垂直面内で傾動自在に配置されると共に、支柱部から離れる方向に延長された他端側に索体の先端が連結された傾動アームと、傾動アームの他端側に固定された錘部とを備えることができる。このサブ張力調整機構は、支柱部が鉛直姿勢の状態では、錘部の自重により降下姿勢にある傾動アームを介して索体を所定の張力で張設し、支柱部が垂直姿勢から任意の方向に傾動する状態では、支柱部の傾動方向と反対側に配置された索体が傾動アームを引っ張って、傾動アームを錘部の自重に逆らって上昇姿勢に傾動させることができる。さらに、傾動アームは、所定の上昇姿勢において傾動が停止されるストッパを備えて、傾動アームが所定の上昇姿勢まで傾動するとストッパを介して傾動アームを停止させて、支柱部の傾動を阻止することができる。
本発明のある態様に係る着床式洋上架台の構築方法は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台の構築方法である。この構築方法は、全体が水没する状態で海底に設置されて粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部であって、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に粒状錘の収容部を形成する周壁部と、周壁部の内側面と底板部の上面に固定されて、周壁部を底板部に固定する複数の固定壁部とを備える土台部と、円筒状の鋼管で形成されて、海底に設置された土台部に下端を連結した状態で上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部と、収容部に積載される所定量の粒状錘と、支柱部の揺動を抑制する係留機構であって、支柱部の上端部から平面視放射状に延長されて、先端を土台部の外周部に連結してなる複数の索体と、索体の張力を調整する張力調整機構として、前記支柱部の上端部に配置されて前記索体を巻き取る巻取機とを備える係留機構と、を準備する準備工程と、土台部と支柱部と粒状錘と係留機構を着床式洋上架台の構築領域の洋上に運搬する運搬工程と、構築領域の海底面に、上面が整地された基礎部を形成する基礎部形成工程と、土台部を海底に沈めて基礎部の上に設置する土台部設置工程と、支柱部を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された土台部のソケット筒部に支柱部の下端部を挿入して連結する支柱部設置工程と、土台部の収容部に粒状錘を積載する積載工程とを含んでいる。さらに、土台部設置工程においては、複数の索体を介して土台部を吊り下げた状態で索体を繰り出して土台部を海底に沈降させるようにしている。

Claims (7)

  1. 風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台であって、
    全体が水没する状態で海底に配置されて粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部と、
    下端が前記土台部に連結されて、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長された姿勢で海中に配置される円筒状の鋼管で形成された支柱部と、
    前記支柱部の揺動を抑制する係留機構と、
    を備え、
    前記土台部は、
    海底に設置される底板部と、
    前記底板部の中央部に固定されて、前記支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、
    前記ソケット筒部の側面と前記底板部の上面に固定されて、前記ソケット筒部を前記底板部に固定する複数の固定壁部と、
    前記底板部の外周に沿って立設されて、内側に前記粒状錘の収容部を形成する周壁部と、
    前記周壁部の内側面と前記底板部の上面に固定されて、前記周壁部を前記底板部に固定する複数の固定壁部と、
    を備え、
    前記土台部は、前記収容部に積載される前記粒状錘によって定位置に保持されると共に、前記ソケット筒部に連結された前記支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成されており、
    前記係留機構は、
    前記支柱部の上端部から平面視放射状に延長されて、先端を前記土台部の外周部に連結してなる複数の索体と、
    前記索体の張力を調整する張力調整機構とを備え、
    前記支柱部と前記土台部との間に張設された前記複数の索体により前記支柱部の揺動を抑制してなる着床式洋上架台。
  2. 請求項1に記載される着床式洋上架台であって、
    前記係留機構が、前記支柱部の上端部に配置されて前記索体を巻き取る巻取機を備えており、前記巻取機を前記張力調整機構としてなる着床式洋上架台。
  3. 請求項1に記載される着床式洋上架台であって、
    前記係留機構が、前記土台部の前記周壁部に固定されて前記索体の先端部が連結される固定部を備えており、
    前記固定部が、前記周壁部から外側に突出する突出片である着床式洋上架台。
  4. 請求項1に記載される着床式洋上架台であって、
    前記係留機構が、前記支柱部の側面に固定されて、前記索体の中間部が案内される中間ローラを備えており、
    前記中間ローラより上方に配置される前記索体を前記支柱部の側面に沿う姿勢で配置し、
    前記中間ローラより下方に配置される前記索体を前記支柱部から前記土台部に向かって離れる傾斜姿勢で配置してなる着床式洋上架台。
  5. 請求項1に記載される着床式洋上架台であって、
    前記係留機構が、前記索体の張力を調整するサブ張力調整機構を備えており、
    前記サブ張力調整機構が、
    前記土台部の外周部に一端が連結されて、垂直面内で傾動自在に配置されると共に、前記支柱部から離れる方向に延長された他端側に前記索体の先端が連結された傾動アームと、
    前記傾動アームの他端側に固定された錘部とを備え、
    前記支柱部が鉛直姿勢の状態では、前記錘部の自重により降下姿勢にある前記傾動アームを介して前記索体が所定の張力で張設されており、
    前記支柱部が鉛直姿勢から任意の方向に傾動する状態では、前記支柱部の傾動方向と反対側に配置された前記索体が前記傾動アームを引っ張って、当該傾動アームを前記錘部の自重に逆らって上昇姿勢に傾動させるようにしてなり、
    さらに、前記傾動アームは、所定の上昇姿勢において傾動が停止されるストッパを備えており、前記傾動アームが所定の上昇姿勢まで傾動すると前記ストッパを介して前記傾動アームの傾動が停止されて、前記支柱部の傾動を抑制するようにしてなる着床式洋上架台。
  6. 風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台の構築方法であって、
    全体が水没する状態で海底に設置されて粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部であって、
    海底に設置される底板部と、
    前記底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、
    前記ソケット筒部の側面と前記底板部の上面に固定されて、前記ソケット筒部を前記底板部に固定する複数の固定壁部と、
    前記底板部の外周に沿って立設されて、内側に前記粒状錘の収容部を形成する周壁部と、
    前記周壁部の内側面と前記底板部の上面に固定されて、前記周壁部を前記底板部に固定する複数の固定壁部と、
    を備える土台部と、
    円筒状の鋼管で形成されて、海底に設置された前記土台部に下端を連結した状態で上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部と、
    前記収容部に積載される所定量の前記粒状錘と、
    前記支柱部の揺動を抑制する係留機構であって、
    前記支柱部の上端部から平面視放射状に延長されて、先端が前記土台部の外周部に連結される複数の索体と、
    前記索体の張力を調整する張力調整機構と、
    を備える係留機構と、
    を準備する準備工程と、
    前記土台部と前記支柱部と前記粒状錘と前記係留機構を着床式洋上架台の構築領域の洋上に運搬する運搬工程と、
    構築領域の海底面に、上面が整地された基礎部を形成する基礎部形成工程と、
    前記土台部を海底に沈めて前記基礎部の上に設置する土台部設置工程と、
    前記支柱部を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された前記土台部の前記ソケット筒部に前記支柱部の下端部を挿入して連結する支柱部設置工程と、
    前記土台部の前記収容部に前記粒状錘を積載する積載工程と、
    前記複数の索体を前記支柱部の上端部と前記土台部の外周部との間に張設する係留工程と、
    を含み、
    前記土台部設置工程において、前記複数の索体を介して前記土台部を吊り下げた状態で前記索体を繰り出して前記土台部を海底に沈降させる着床式洋上架台の構築方法。
  7. 着床式洋上架台を備える洋上風力発電装置であって、
    請求項1ないし5のいずれかに記載する前記着床式洋上架台と、
    前記支柱部の上端に設置された風力発電機と、
    を備える洋上風力発電装置。
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