JP2024075901A - 圧電素子、圧電アクチュエーター - Google Patents

圧電素子、圧電アクチュエーター Download PDF

Info

Publication number
JP2024075901A
JP2024075901A JP2022187155A JP2022187155A JP2024075901A JP 2024075901 A JP2024075901 A JP 2024075901A JP 2022187155 A JP2022187155 A JP 2022187155A JP 2022187155 A JP2022187155 A JP 2022187155A JP 2024075901 A JP2024075901 A JP 2024075901A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
piezoelectric
plane
peak intensity
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022187155A
Other languages
English (en)
Inventor
朋裕 酒井
Tomohiro Sakai
雅夫 中山
Masao Nakayama
和也 北田
Kazuya Kitada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2022187155A priority Critical patent/JP2024075901A/ja
Priority to CN202311561489.5A priority patent/CN118076208A/zh
Priority to US18/517,015 priority patent/US20240173976A1/en
Publication of JP2024075901A publication Critical patent/JP2024075901A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/80Constructional details
    • H10N30/85Piezoelectric or electrostrictive active materials
    • H10N30/853Ceramic compositions
    • H10N30/8542Alkali metal based oxides, e.g. lithium, sodium or potassium niobates
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14201Structure of print heads with piezoelectric elements
    • B41J2/14233Structure of print heads with piezoelectric elements of film type, deformed by bending and disposed on a diaphragm
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/01Manufacture or treatment
    • H10N30/07Forming of piezoelectric or electrostrictive parts or bodies on an electrical element or another base
    • H10N30/074Forming of piezoelectric or electrostrictive parts or bodies on an electrical element or another base by depositing piezoelectric or electrostrictive layers, e.g. aerosol or screen printing
    • H10N30/076Forming of piezoelectric or electrostrictive parts or bodies on an electrical element or another base by depositing piezoelectric or electrostrictive layers, e.g. aerosol or screen printing by vapour phase deposition
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/20Piezoelectric or electrostrictive devices with electrical input and mechanical output, e.g. functioning as actuators or vibrators
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/20Piezoelectric or electrostrictive devices with electrical input and mechanical output, e.g. functioning as actuators or vibrators
    • H10N30/204Piezoelectric or electrostrictive devices with electrical input and mechanical output, e.g. functioning as actuators or vibrators using bending displacement, e.g. unimorph, bimorph or multimorph cantilever or membrane benders
    • H10N30/2047Membrane type
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/704Piezoelectric or electrostrictive devices based on piezoelectric or electrostrictive films or coatings

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】 圧電特性と耐久性に優れる圧電素子を提供する。【解決手段】基板と、第1電極と、カリウムとナトリウムとニオブとを含む薄膜圧電体と、第2電極と、を備える圧電素子。薄膜圧電体を成膜方向に対して二等分し、第1電極側を第1領域、第2電極側を第2領域とするとき、第1領域において(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値を、(100)面のXRDピーク強度と(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値で除した値Aが、薄膜圧電体において(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値を、(100)面のXRDピーク強度と(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値で除した値Bよりも小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、圧電素子、圧電アクチュエーターに関する。
従来から、圧電素子の圧電体層の材料の1つとして、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN;(K,Na)NbO)が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2016-178253号公報
KNN膜からなるKNN圧電体層は、(100)面の結晶配向度を高めることで、歪量を大きくできる。そのため、KNN圧電体層を用いた圧電素子の開発では、通常、(100)面に結晶配向したKNN膜が用いられる。しかし、(100)面に結晶配向したKNN膜は、(111)面または(110)面に結晶配向したKNN膜と比較して、KNN膜上に形成される電極との密着強度が低くなる課題があった。そのため、KNN圧電体層の変位量が大きくなると、電極とKNN膜との界面において剥離が発生するおそれがあった。
本発明の1つの態様によれば、基板と、前記基板上に成膜される第1電極と、前記第1電極上に成膜され、カリウムとナトリウムとニオブとを含む薄膜圧電体と、前記薄膜圧電体上に成膜される第2電極と、を備える。圧電素子が提供される。前記薄膜圧電体を成膜方向に対して二等分し、前記第1電極側を第1領域、前記第2電極側を第2領域とするとき、前記第1領域において(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値を、(100)面のXRDピーク強度と(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値で除した値Aが、前記薄膜圧電体において(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値を、(100)面のXRDピーク強度と(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値で除した値Bよりも小さい。
本発明の1つの態様によれば、振動板と、前記振動板上に成膜される第1電極と、前記第1電極上に成膜され、カリウムとナトリウムとニオブとを含む薄膜圧電体と、前記薄膜圧電体上に成膜される第2電極と、を備える圧電アクチュエーターが提供される。前記薄膜圧電体を成膜方向に対して二等分し、前記第1電極側を第1領域、前記第2電極側を第2領域とするとき、前記第1圧電体領域において(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値を、(100)面のXRDピーク強度と(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値で除した値Aが、前記薄膜圧電体において(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値を、(100)面のXRDピーク強度と(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値で除した値Bよりも小さい。
図1は、圧電素子300を模式的に示す断面図である。 図2は、インクジェット式記録装置の概略構成を示す斜視図である。 図3は、インクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 図4は、インクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す平面図である。 図5は、図4のA-A′線断面図である、また、それぞれ記録ヘッド1の構成の一部を示したものであり。 図6は、実施例と比較例のKNN薄膜表面のAFM像である。 図7は、実施例と比較例のφ=0°におけるXRD測定結果である。 図8は、実施例と比較例のφ=54.74°におけるXRD測定結果である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更可能である。なお、各図面において同じ符号を付したものは同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。参照符号を構成する文字の後の数字は、同じ文字を含んだ参照符号によって参照され、且つ同様の構成を有する要素同士を区別するために使用される。同じ文字を含んだ参照符号で示される要素を相互に区別する必要がない場合、これらの要素はそれぞれ文字のみを含んだ参照符号により参照される。
各図面においてX,YおよびZは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向を、それぞれ第1の方向X(X方向)、第2の方向Y(Y方向)および第3の方向Z(Z方向)とし、各図の矢印の向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。X方向およびY方向は、板、層および膜の面内方向を表し、Z方向は、板、層および膜の厚さ方向又は積層方向を表す。
また、各図面において示す構成要素、即ち、各部の形状や大きさ、板、層および膜の厚さ、相対的な位置関係、繰り返し単位等は、本発明を説明する上で誇張して示されている場合がある。更に、本明細書の「上」という用語は、構成要素の位置関係が「直上」であることを限定するものではない。例えば、後述する「基板上の第1電極」や「第1電極上の圧電体層」という表現は、基板と第1電極との間や、第1電極と圧電体層との間に、他の構成要素を含むものを除外しない。
(圧電素子)
まず、本実施形態の圧電素子300の構成について、図面を参照して説明する。図1は、圧電素子300を模式的に示す断面図であり、図5のB-B′線拡大断面図である。
圧電素子300は、図示するように、基板2と、第1電極60と、圧電体層(薄膜圧電体)70と、第2電極80と、を含む。圧電素子300は、基板2の上方に設けられている。図示の例では、圧電素子300は、基板2上に設けられている。なお、図中に挙げた各要素の厚さはいずれも一例であり、本発明の要旨を変更しない範囲内で変更可能である。
基板2は、例えば、半導体、絶縁体などで形成された平板である。基板2は、単層であっても、複数の層が積層された構造であってもよい。基板2は、上面が平面的な形状であれば内部の構造は限定されず、内部に空間などが形成された構造であってもよい。
基板2は、例えば、圧電体層70の動作によって変形することのできる振動板50を有している。すなわち、本実施形態において、圧電素子300は、振動板50を備える圧電アクチュエーターである。図示の例では、振動板50は、酸化シリコン層51と、酸化シリコン層51上に設けられた酸化物層52と、を有している。図示の例では、基板2は、シリコン基板10を有し、振動板50は、シリコン基板10上に設けられている。
酸化シリコン層51は、シリコンと酸素とを含む層であり、例えば、シリカ(SiO)層である。酸化シリコン層51は、弾性膜としての機能を有してよい。振動板50は、酸化シリコン層51を有していなくてもよい。
酸化物層52は、例えば、酸化ジルコニウム層である。酸化ジルコニウム(ZrO)からなる酸化物層52は、拡散抑制層として機能する。酸化物層52は、圧電体層70に含まれるアルカリ金属のシリコン基板10側への拡散するを抑制する。酸化物層52は、酸化ジルコニウム以外の酸化物を含んでいてもよい。酸化物層52は、酸化ジルコニウム以外の金属酸化物からなる層とすることもできる。
第1電極60は、基板2(図1では振動板50)上に形成されている。第1電極60の形状は、例えば、層状または薄膜状である。第1電極60の厚さは、例えば、10nm以上200nm以下である。Z軸方向から見た第1電極60の平面形状は、第2電極80が対向して配置されたときに両者の間に圧電体層70を配置できる形状であれば、特に限定されない。
第1電極60の材質としては、例えば、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、ストロンチウムとルテニウムとの複合酸化物(SrRuOx:SRO)、ランタンとニッケルとの複合酸化物(LaNiOx:LNO)が挙げられる。第1電極60は、上記に例示した材料の単層構造でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
第1電極60は、第2電極80と一対になって、圧電体層70に電圧を印加するための一方の電極(例えば、圧電体層70の下方に形成された下部電極)を構成する。
第2電極80は、圧電体層70上に形成されている。第2電極80は、圧電体層70を介して、第1電極60と対向して配置されている。第2電極80の形状は、例えば、層状または薄膜状の形状である。第2電極80の厚さは、例えば、10nm以上200nm以下である。第2電極80の平面形状は、第1電極60に対向して配置されたときに両者の間に圧電体層70を配置できる形状であれば、特に限定されない。
第2電極80の材質としては、例えば、第1電極60の材質として上記に列挙したものを適用することができる。ただし、第2電極80のヤング率に対する圧電体層70のヤング率の比が上記範囲を満足するためには、第2電極80の材質として、白金(Pt)またはイリジウム(Ir)を用いることが好ましい。
第2電極80は、第1電極60と一対になって、圧電体層70に電圧を印加するための他方の電極(例えば、圧電体層70の上方に形成された上部電極)を構成する。
第1電極60および第2電極80の材料は、白金(Pt)やイリジウム(Ir)等の貴金属やこれらの酸化物が好適である。第1電極60の材料および第2電極80の材料は、導電性を有する材料であればよい。第1電極60の材料と第2電極80との材料は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
第1電極60と酸化物層52との間には、密着層(不図示)が設けられてもよい。密着層は、例えば、酸化チタン(TiO)、チタン(Ti)、窒化シリコン(SiN)等からなり、圧電体層70と振動板50との密着性を向上させる機能を有する。また密着層として、酸化チタン(TiO)層、チタン(Ti)層、又は窒化シリコン(SiN)層を用いた場合、密着層は、圧電体層70を形成する際に、圧電体層70の構成元素であるカリウムおよびナトリウムが第1電極60を透過してシリコン基板10に到達するのを防ぐストッパーとしての機能も有する。なお、密着層は省略可能である。
第1電極60と圧電体層70との間に、例えばシード層(不図示)を設けることが好ましい。シード層は、圧電体層70を構成する圧電体の結晶の配向性を制御する配向制御層としての機能を有する。すなわち、第1電極60上にシード層を設けることで、圧電体層70を構成する圧電体の結晶を、所定の面方位(例えば、(100)面)に優先配向させることができる。圧電体層の結晶配向性を高めることで、ドメイン回転を効率よく利用し、変位特性を向上させることが可能である。シード層の材質としては、例えば、チタン、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの酸化物や、ビスマス、鉄、チタン、鉛などを含む化合物が挙げられる。
圧電体層70は、第1電極60上に、第1電極60を覆うように形成されている。圧電体層70は、一般式ABOで示されるペロブスカイト構造の複合酸化物を含む。本実施形態では、圧電体層70は、式(K,Na1-X)NbO(0.1≦X≦0.9)で表されるKNN系の複合酸化物からなる圧電材料を含む。
上記式で表される複合酸化物は、いわゆるKNN系の複合酸化物である。KNN系の複合酸化物は、鉛(Pb)等の含有量を抑えた非鉛系圧電材料であるため、生体適合性に優れ、また環境負荷も少ない。しかも、KNN系の複合酸化物は、非鉛系圧電材料の中でも圧電特性に優れているため、各種の特性向上に有利である。
また、本実施形態の圧電素子300は、圧電体層70のXRD(X-Ray Diffraction)測定により得られるプロファイルデータから取得されるピーク強度が、下記の関係を満たす。各々のXRDピーク強度は、XRDのプロファイルデータをピーク分離することで取得する。
圧電体層70を成膜方向において2等分して、第1電極60側を第1領域X1、第2電極80側を第2領域X2とした場合、第1領域X1において(111)面のXRDピーク強度I(111)と(110)面のXRDピーク強度I(110)との合計値を、(100)面のXRDピーク強度I(100)と(111)面のXRDピーク強度I(111)と(110)面のXRDピーク強度I(110)との合計値で除した値Aが、圧電体層70において(111)面のXRDピーク強度I(111)と(110)面のXRDピーク強度I(110)との合計値を、(100)面のXRDピーク強度I(100)と(111)面のXRDピーク強度I(111)と(110)面のXRDピーク強度I(110)との合計値で除した値Bよりも小さい。
すなわち、第1領域X1の値Aと、圧電体層70全体の値Bは、下記関係式を満たす。
[式1] A={I(111)+I(110)}/{I(100)+I(111)+I(110)}
[式2] 値B={I(111)+I(110)}/{I(100)+I(111)+I(110)}
[式3] A<B
本実施形態の圧電素子300では、下層側の第1領域X1における(111)面または(110)面に配向したKNN結晶の割合が、圧電体層70全体における(111)面または(110)面に配向したKNN結晶の割合よりも大きい。すなわち、圧電体層70のうちの第2電極80側の部分である第2領域X2は、第1領域X1よりも(111)面または(110)面に配向したKNN結晶の割合が大きい。
このような構成とすることで、圧電体層70第2領域X2と第2電極80との密着性を向上させることができる。後述の実施例において詳細に説明するように、KNN膜の表面は、膜表面に位置する結晶粒の方位によって算術平均高さ(面粗さ)が異なる。具体的には、(111)面または(110)面に配向したKNN結晶は、(100)面に配向したKNN結晶よりも表面における凹凸高さが大きい。したがって、(111)面または(110)面に配向したKNN結晶を多く含む第2領域X2の表面は、(111)面または(110)面に配向したKNN結晶が少ない膜の表面と比較して、算術平均高さが大きくなる。
第2電極80は、算術平均高さの大きい第2領域X2の表面に成膜されるため、表面の凹凸によるアンカー効果によって、圧電体層70の表面に強固に密着する。これにより、圧電体層70の変位量が大きくなった場合でも、圧電体層70と第2電極80との界面で膜が剥がれにくくなる。
本実施形態において、圧電体層70の第2電極80との界面における算術平均高さ(Sa)は、0.0032nm以上0.0080nm以下であることが好ましい。圧電体層70の算術平均高さ(面粗さ)を上記範囲とすることで、圧電体層70と第2電極80との界面において良好な密着性が得られる。算術平均高さ(Sa)が0.0022nm未満であると、圧電体層70と第2電極80との密着性が不足する場合がある。算術平均高さが0.020nmを超えると、圧電体層70の厚さのばらつきが大きいために、圧電素子300の圧電特性のばらつきが大きくなりやすく、圧電体層70にクラックが発生しやすくなる。
また、本実施形態の圧電体層70では、下層側の第1領域X1は、(111)面または(110)面に配向したKNN結晶の割合が小さく、(100)面に配向したKNN結晶の割合が大きい。KNN圧電体は、(100)面に配向させることで良好な圧電特性を得られやすくなる。
本実施形態によれば、圧電体層70の第1領域X1では良好な圧電特性が得られ、第2領域X2では、第2電極80との良好な密着性が得られる。圧電体層70の変位量を大きくしても薄膜界面での膜剥がれを抑制できる。本実施形態によれば、圧電特性と耐久性を兼ね備える圧電素子300を得ることができる。
さらに、圧電体層70全体の値Bは、第1領域X1の値Aの4倍以上であることが好ましい。この構成によれば、第1領域X1と第2領域X2との間で、(111)面および(110)面に配向したKNN結晶の割合の差を大きくできる。第1領域X1では、圧電特性に優れる(100)面に配向したKNN結晶の割合を大きく、第2領域X2では、密着性に優れる(111)面または(110)面に配向したKNN結晶の割合を大きくできる。圧電素子300における圧電特性と耐久性をさらなる向上を図れる。
圧電素子300において、圧電体層70の算術平均高さ、および結晶配向は、以下の方法により測定できる。
(1)圧電素子300を王水でウェットエッチングし、例えば白金からなる第2電極80をを除去する。圧電体層70のKNN膜は王水ではエッチングされにくいため、成膜時の表面状態をほぼ維持したまま、露出させることができる。
(2)露出させた圧電体層70(KNN膜)の表面をAFM(Atomic Force Microscopy)で測定し、算術平均高さ(Sa)を算出する。また、圧電体層70をXRDで測定し、結晶配向を算出する。
(3)エッチング溶液でウェットエッチングを実施した後にアルゴンでイオンミリングを実施し、圧電体層70を上側から部分的に除去する。膜厚がおよそ半分になったところで、イオンミリングを停止する。
(4)膜厚が半減したKNN膜の表面をXRDで測定し、結晶配向を算出する。
以上、圧電素子300について説明してきたが、圧電体層70を構成する圧電材料は、KNN系の複合酸化物であればよく、上記式(1)で表される組成に限定されない。たとえば、ニオブ酸カリウムナトリウムのAサイトやBサイトに、他の金属元素(添加物)が含まれていてもよい。このような添加物の例としては、マンガン(Mn)、リチウム(Li)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タンタル(Ta)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)および銅(Cu)等が挙げられる。これら添加物は、1つ以上含んでいてもよい。添加物を利用することにより、各種特性を向上させて構成や機能の多様化を図りやすくなる。これら他の元素を含む複合酸化物である場合も、ABO型ペロブスカイト構造を有するように構成されることが好ましい。
また、本明細書において「K、NaおよびNbを含むペロブスカイト型の複合酸化物」は、「K、NaおよびNbを含むABO型ペロブスカイト構造の複合酸化物」であり、K、NaおよびNbを含むABO型ペロブスカイト構造の複合酸化物のみに限定されない。すなわち、本明細書において「K、NaおよびNbを含むペロブスカイト型の複合酸化物」は、K、NaおよびNbを含むABO型ペロブスカイト構造の複合酸化物(例えば、上記に例示したKNN系の複合酸化物)と、ABO型ペロブスカイト構造を有する他の複合酸化物と、を含む混晶として表される圧電材料を含む。
他の複合酸化物は、本実施形態の範囲で限定されないが、鉛(Pb)を含有しない非鉛系圧電材料であることが好ましい。これらによれば、生体適合性に優れ、また環境負荷も少ない圧電素子300となる。
(圧電素子の製造方法)
次に、図1に示す圧電素子300(圧電アクチュエーター)の製造方法の一例について、説明する。なお、以下では、圧電体層70を化学溶液法(湿式法)により製造する場合について説明しているが、圧電体層70の製法としては湿式法に限定されず、気相法であっても構わない。
まず、シリコン基板10を準備し、シリコン基板10を熱酸化することによって、その表面に、二酸化シリコン(SiO)からなる酸化シリコン層51を形成する。
次に、酸化シリコン層51上に、原子層堆積法(ALD)にて酸化アルミニウム(Al)もしくは酸化タンタル(Ta)からなる酸化物層52を成膜する。成膜温度は例えば250~350℃である。なお、酸化物層52は、ALD他にも、スパッタリング法や蒸着法等でも形成できる。例えばまず、スパッタリング法もしくは蒸着法によって、酸化シリコン層51上にアルミニウム膜もしくはタンタル膜を形成し、これを熱酸化することによって、酸化アルミニウム(Al)もしくは酸化タンタル(Ta)からなる酸化物層52を得る。このようにして、シリコン基板10上に、酸化シリコン層51と酸化物層52とからなる振動板50を形成する。
次いで、酸化物層52上に、金属チタン(Ti)からなる密着層を形成する。密着層は、スパッタリング法等により形成することができる。次いで、密着層上に、白金(Pt)からなる第1電極60を形成する。第1電極60は、電極材料に応じて適宜選択することができ、例えばスパッタリング法、真空蒸着法(PVD法)、レーザーアブレーション法等の気相成膜、スピンコート法等の液相成膜等により形成することができる。
次いで、第1電極60上に、図示しないシード層(配向制御層)を形成する。シード層は、例えば、金属錯体を含む溶液(前駆体溶液)を塗布乾燥し、更に高温で焼成することで金属酸化物を得る化学溶液法(湿式法)により形成することができる。シード層の材質としては、例えば、チタン、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの酸化物が挙げられる。
次いで、第1電極60上に所定形状のレジストをマスクとして形成し、密着層、第1電極60およびシード層を、同時にパターニングする。密着層、第1電極60およびシード層のパターニングは、例えば、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)、イオンミリング等のドライエッチングや、エッチング液を用いたウェットエッチングにより行うことができる。なお、密着層、第1電極60およびシード層のパターニングにおける形状は、特に限定されない。
次に、第1電極60上に圧電体膜を複数層形成する。
圧電体層70は、これら複数層の圧電体膜によって構成される。圧電体層70は、例えば、金属錯体を含む溶液(前駆体溶液)を塗布乾燥し、更に高温で焼成することで金属酸化物を得る化学溶液法(湿式法)により形成することができる。その他、レーザーアブレーション法、スパッタリング法、パルス・レーザー・デポジション法(PLD法)、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、エアロゾル・デポジション法等によっても形成することができる。
ここで、湿式法(液相法)とは、MOD法やゾル-ゲル法等の化学溶液法等により成膜する方法であり、スパッタリング法等の気相法と区別される概念である。本実施形態では、酸化アルミニウムおよび/または酸化タンタルを含む圧電体層70を形成できるものであれば、気相法を用いてもよい。
例えば、湿式法(液相法)によって形成された圧電体層70は、前駆体溶液を塗布して前駆体膜を形成する工程(塗布工程)、前駆体膜を乾燥する工程(乾燥工程)、乾燥した前駆体膜を加熱して脱脂する工程(脱脂工程)、および、脱脂した前駆体膜を焼成する工程(焼成工程)までの一連の工程によって形成された複数層の圧電体膜を有する。すなわち、圧電体層70は、塗布工程から焼成工程までの一連の工程を複数回繰り返すことによって形成される。なお、上述した一連の工程において、塗布工程から脱脂工程までを複数回繰り返した後に、焼成工程を実施してもよい。
圧電体層70を湿式法(液相法)で形成する場合の具体的な手順は、例えば次のとおりである。
まず、所定の金属錯体を含む前駆体溶液を調製する。前駆体溶液は、焼成によりK、NaおよびNbを含む複合酸化物を形成しうる金属錯体を、有機溶媒に溶解又は分散させたものである。このとき、Mn、Li、Cu等の添加物を含む金属錯体を更に混合してもよい。前駆体溶液にMn、LiまたはCuを含む金属錯体を混合させることで、得られる圧電体層70の絶縁性をより高めることができる。
カリウム(K)を含む金属錯体としては、2-エチルヘキサン酸カリウム、酢酸カリウム等が挙げられる。ナトリウム(Na)を含む金属錯体としては、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。ニオブ(Nb)を含む金属錯体としては、2-エチルヘキサン酸ニオブ、ペンタエトキシニオブ等が挙げられる。添加物としてMnを加える場合、Mnを含む金属錯体としては、2-エチルヘキサン酸マンガン等が挙げられる。添加物としてLiを加える場合、Liを含む金属錯体としては、2-エチルヘキサン酸リチウム等が挙げられる。このとき、2種以上の金属錯体を併用してもよい。例えば、カリウム(K)を含む金属錯体として、2-エチルへキサン酸カリウムと酢酸カリウムとを併用してもよい。溶媒としては、2-nブトキシエタノール若しくはn-オクタン又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。前駆体溶液は、K、Na、Nbを含む金属錯体の分散を安定化する添加剤を含んでもよい。このような添加剤としては、2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。
そして、酸化シリコン層51、酸化物層52、および第1電極60が形成されたシリコン基板10上に、上記の前駆体溶液を塗布して、前駆体膜を形成する(塗布工程)。
次いで、この前駆体膜を所定温度、例えば130℃~250℃程度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。
次に、乾燥させた前駆体膜を所定温度、例えば250℃~450℃に加熱し、この温度で一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。
次に、脱脂後の前駆体膜を所定温度、例えば750℃~850℃に加熱し、この温度で3~7分間保持することで焼成し、圧電体膜を形成する(焼成工程)。
乾燥工程、脱脂工程および焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置やホットプレート等が挙げられる。上記の工程を複数回繰り返して、複数層の圧電体膜からなる圧電体層70を形成する。尚、塗布工程から焼成工程までの一連の工程において、塗布工程から脱脂工程までを複数回繰り返した後に、焼成工程を実施してもよい。
本実施形態の圧電体層70は、先に述べたように、第1領域X1と、第2領域X2とで、KNN結晶のミクロな結晶方位の分布が異なる。このような圧電体層70は、例えば、積層する圧電体膜の一層あたりの厚さを制御することにより、作製することができる。液相法により形成されるKNN膜は、塗布条件を調整することで、焼成後の圧電体膜の一層あたりの厚さを制御できる。圧電体膜の一層あたりの膜厚を薄くすると、(100)面に配向するKNN結晶の割合が増加し、圧電体膜の一層あたりの膜厚を厚くすると、(011)面または(111)面に配向するKNN結晶の割合が増加する。これを利用して、圧電体層70の下層側(第1電極60側)と、上層側(第2電極80側)とで、KNN結晶の結晶方位の分布を異ならせることができる。
すなわち、圧電体層70の成膜工程において、圧電体層70の第1領域X1となる部分を形成する工程では、圧電体膜の一層あたりの平均膜厚を、圧電体層70の第2領域X2となる部分を形成する工程における圧電体膜の一層あたりの平均膜厚よりも小さくする。これにより、第1領域X1と第2領域X2とで結晶方位の分布が異なる圧電体層70を成膜できる。
一層あたりの膜厚を異ならせた2種類の圧電体膜のうち、(011)面または(111)面に配向するKNN結晶を多く含む圧電体膜は、第2領域X2のうちでも、圧電体層70の最表層に位置することが好ましい。これにより、第2電極80との界面となる圧電体層70の表面において、所望の算術平均高さ(面粗さ)を得やすくなる。また、(011)面または(111)面に配向するKNN結晶を多く含む圧電体膜は、(100)面に配向するKNN結晶を多く含む圧電体膜よりも圧電特性に劣る。(011)面または(111)面に配向するKNN結晶を多く含む圧電体膜を圧電体層70の最表層に配置することで、それよりも下層側を(100)面に配向するKNN結晶を多く含む圧電体膜で構成できるため、圧電体層70全体の圧電特性を高めやすくなる。
(011)面または(111)面に配向するKNN結晶を多く含む圧電体膜は、圧電体層70の表面に凹凸を付与し、第2電極80との密着性を向上させる膜であるため、圧電体層70と第2電極80との良好な密着性が得られる範囲で、可能な限り薄くすることが好ましい。例えば、(011)面または(111)面に配向するKNN結晶を多く含む圧電体膜の膜厚は、圧電体層70全体の膜厚の5%~15%の範囲としてもよい。(100)面に配向するKNN結晶を多く含む圧電体膜の割合を高めることができ、圧電体層70の圧電特性を高めることができる。
また、圧電体層70上に第2電極80を形成する前後で、必要に応じて600℃~800℃の温度域で再加熱処理(ポストアニール)を行ってもよい。このようにポストアニールを行うことで、圧電体層70と第1電極との良好な界面、および圧電体層70と第2電極80との良好な界面を形成することができる。また、圧電体層70の結晶性を改善することができ、圧電体層70の絶縁性をより高めることができる。
焼成工程の後、複数の圧電体膜からなる圧電体層70を、所望の形状にパターニングする。パターニングは、反応性イオンエッチングやイオンミリング等のドライエッチングや、エッチング液を用いたウェットエッチングによって行うことができる。
その後、圧電体層70上に第2電極80を形成する。第2電極80は、第1電極60と同様の方法により形成できる。
以上の工程により、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とを備えた圧電素子300が製造される。
(圧電素子応用デバイス)
次に、本実施形態に係る圧電素子応用デバイスの一例である、記録ヘッドを備えた液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置について、図面を参照して説明する。図2は、インクジェット式記録装置の概略構成を示す斜視図である。
図2に示すように、インクジェット式記録装置(記録装置)Iでは、インクジェット式記録ヘッドユニット(ヘッドユニット)IIが、カートリッジ2A,2Bに着脱可能に設けられている。カートリッジ2A,2Bは、インク供給手段を構成している。ヘッドユニットIIは、複数のインクジェット式記録ヘッド(記録ヘッド)1(図3等参照)を有しており、キャリッジ3に搭載されている。キャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に、軸方向に対して移動自在に設けられている。これらのヘッドユニットIIやキャリッジ3は、例えば、それぞれブラックインク組成物およびカラーインク組成物を吐出可能に構成されている。
そして、駆動モーター6の駆動力が、図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達され、ヘッドユニットIIを搭載したキャリッジ3が、キャリッジ軸5に沿って移動されるようになっている。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体(メディア)である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
記録ヘッド(ヘッドチップ)1には、圧電アクチュエーター装置として、圧電素子300(図1参照)が用いられている。圧電素子300を用いることによって、記録装置Iにおける各種特性(圧電特性、耐久性およびインク噴射特性等)の低下を抑制することができる。本実施形態の圧電素子応用デバイスは、圧電素子300を適用することにより、特に、圧電特性と耐久性を向上させることができる。
次に、液体噴射装置に搭載されるヘッドチップの一例である記録ヘッド(ヘッドチップ)1について、図面を参照して説明する。図3は、インクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。図4は、インクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す平面図である。図5は、図4のA-A′線断面図である。なお、図3から図5は、それぞれ記録ヘッド1の構成の一部を示したものであり適宜省略されている。
図示するように、記録ヘッド(ヘッドチップ)1は、液滴を吐出するノズル開口21を備えるノズルプレート20と、ノズル開口21と連通する圧力発生室12と、ノズルプレート20上に設けられ、圧力発生室12を形成する隔壁11と、圧力発生室12の壁面の一部を形成する流路形成基板(シリコン基板)10と、シリコン基板10上に設けられる、圧電素子300と、圧電素子300に電圧を印加するリード電極(電圧印加部)90と、を備える。
シリコン基板10には、複数の隔壁11が形成されている。隔壁11によって、複数の圧力発生室12が区画されている。すなわち、シリコン基板10には、X方向(同じ色のインクを吐出するノズル開口21が並設される方向)に沿って圧力発生室12が並設されている。このような構成により、圧電素子300の可動部が形成される。シリコン基板10としては、例えば、シリコン単結晶基板を用いることができる。
シリコン基板10のうち、圧力発生室12の一端部側(+Y方向側)には、インク供給路13と連通路14とが形成されている。インク供給路13は、圧力発生室12の一端部側の開口の面積が小さくなるように構成されている。また、連通路14は、+X方向において、圧力発生室12と略同じ幅を有している。連通路14の外側(+Y方向側)には、連通部15が形成されている。連通部15は、マニホールド100の一部を構成する。マニホールド100は、各圧力発生室12の共通のインク室となる。このように、シリコン基板10には、圧力発生室12、インク供給路13、連通路14および連通部15からなる液体流路が形成されている。
シリコン基板10の一方の面(-Z方向側の面)上には、例えばSUS製のノズルプレート20が接合されている。ノズルプレート20には、+X方向に沿ってノズル開口21が並設されている。ノズル開口21は、各圧力発生室12に連通している。ノズルプレート20は、接着剤や熱溶着フィルム等によってシリコン基板10に接合することができる。
シリコン基板10の他方の面(+Z方向側の面)上には、振動板50が形成されている。振動板50は、例えば、シリコン基板10上に形成された酸化シリコン層51と、酸化シリコン層51上に形成された酸化物層52とにより構成されている。酸化シリコン層51は、例えば二酸化シリコン(SiO)からなり、酸化物層52は、例えば、酸化アルミニウム(Al)もしくは酸化タンタル(Ta)からなる。酸化シリコン層51は、シリコン基板10とは別部材でなくてもよい。シリコン基板10の一部を薄く加工し、これを酸化シリコン層51として使用してもよい。酸化物層52は、後述する圧電体層70を形成する際に、圧電体層70の構成元素であるカリウムおよびナトリウムが第1電極60を透過してシリコン基板10に到達するのを防ぐストッパーとしての機能を有する。
第1電極60は、圧力発生室12毎に設けられている。つまり、第1電極60は、圧力発生室12毎に独立する個別電極として構成されている。第1電極60は、±X方向において、圧力発生室12の幅よりも小さく形成されている。また、第1電極60は、±Y方向において、圧力発生室12の幅よりも広く形成されている。即ち、±Y方向において、第1電極60の両端部は、振動板50上の圧力発生室12に対向する領域より外側まで形成されている。第1電極60の一端部側(連通路14とは反対側)には、圧電素子300に電圧を印加するリード電極(電圧印加部)90が接続されている。
圧電体層70は、第1電極60と第2電極80との間に設けられている。圧電体層70は、薄膜の圧電体である。圧電体層70は、±X方向において、第1電極60の幅よりも広い幅で形成されている。また、圧電体層70は、±Y方向において、圧力発生室12の±Y方向の長さよりも広い幅で形成されている。圧電体層70のインク供給路13側(+Y方向側)の端部は、第1電極60の+Y方向側の端部よりも外側まで形成されている。
つまり、第1電極60の+Y方向側の端部は、圧電体層70によって覆われている。一方、圧電体層70のリード電極90側(-Y方向側)の端部は、第1電極60の-Y方向側の端部よりも内側(+Y方向側)にある。つまり、第1電極60の-Y方向側の端部は、圧電体層70によって覆われていない。
第2電極80は、+X方向に亘って、圧電体層70および振動板50上に連続して設けられている。つまり、第2電極80は、複数の圧電体層70に共通する共通電極として構成されている。本実施形態では、第1電極60が圧力発生室12に対応して独立して設けられた個別電極を構成し、第2電極80が圧力発生室12の並設方向に亘って連続的に設けられた共通電極を構成しているが、第1電極60が共通電極を構成し、第2電極80が個別電極を構成してもよい。
本実施形態では、電気機械変換特性を有する圧電体層70の変位によって、振動板50および第1電極60が変位する。即ち、振動板50および第1電極60が、実質的に振動板としての機能を有している。ただし、実際には、圧電体層70の変位によって第2電極80も変位しているので、振動板50、第1電極60、圧電体層70および第2電極80が順次積層された領域が、圧電素子300の可動部(振動部ともいう)として機能する。
圧電素子300が形成されたシリコン基板10(振動板50)上には、保護基板30が接着剤35により接合されている。保護基板30は、マニホールド部32を有している。マニホールド部32により、マニホールド100の少なくとも一部が構成されている。本実施形態のマニホールド部32は、保護基板30を厚さ方向(Z方向)に貫通しており、更に圧力発生室12の幅方向(+X方向)に亘って形成されている。そして、マニホールド部32は、シリコン基板10の連通部15と連通している。これらの構成により、各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100が構成されている。
保護基板30には、圧電素子300を含む領域に、圧電素子保持部31が形成されている。圧電素子保持部31は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有している。この空間は、密封されていても密封されていなくてもよい。保護基板30には、保護基板30を厚さ方向(Z方向)に貫通する貫通孔33が設けられている。貫通孔33内には、リード電極90の端部が露出している。
保護基板30の材料としては、例えば、Si、SOI、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、シリコン基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましい。
保護基板30上には、信号処理部として機能する駆動回路120が固定されている。駆動回路120は、例えば回路基板や半導体集積回路(IC:Integrated Circuit)を用いることができる。駆動回路120およびリード電極90は、貫通孔33を挿通させたボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。駆動回路120は、プリンターコントローラー200(図2参照)に電気的に接続可能である。このような駆動回路120が、圧電アクチュエーター装置(圧電素子300)の制御手段として機能する。
また、保護基板30上には、封止膜41および固定板42からなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低い材料からなり、固定板42は、金属等の硬質の材料で構成することができる。固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向(Z方向)に完全に除去された開口部43となっている。マニホールド100の一方の面(+Z方向側の面)は、可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような記録ヘッド1は、次のような動作で、インク滴を吐出する。
まず、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、圧電素子300を撓み変形させる。これにより、各圧力発生室12内の圧力が高まり、ノズル開口21からインク滴が吐出される。
上記の実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、液体噴射ヘッド全般に適用可能であり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等がある。
また、本発明は、液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子に限られず、他の圧電素子応用デバイスに搭載される圧電素子にも適用することができる。圧電素子応用デバイスの一例としては、超音波デバイス、モーター、圧力センサ、焦電素子、強誘電体素子などが挙げられる。また、これらの圧電素子応用デバイスを利用した完成体、たとえば、上記液体等噴射ヘッドを利用した液体等噴射装置、上記超音波デバイスを利用した超音波センサ、上記モーターを駆動源として利用したロボット、上記焦電素子を利用したIRセンサ、強誘電体素子を利用した強誘電体メモリーなども、圧電素子応用デバイスに含まれる。
特に、本発明の圧電素子は、センサに搭載される圧電素子として好適である。センサとしては、例えば、ジャイロセンサ、超音波センサ、圧カセンサ、速度・加速度センサなどが挙げられる。本発明の圧電素子をセンサに適用する場合、例えば、第1電極60と第2電極80の間に、圧電素子300から出力された電圧を検知する電圧検知部を設けることでセンサとできる。このようなセンサの場合、圧電素子300が何らかの外的な変化(物理量の変化)に起因して変形されると、その変形に伴って電圧が発生する。この電圧を電圧検知部によって検知することで各種の物理量を検出することができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例)
<溶液作製>
酢酸カリウムと2-エチルヘキサン酸を混合し、加熱攪拌した。その後、上記の混合溶液を室温まで冷却し、n-オクタンを加えることで、2-エチルヘキサン酸カリウム溶液を作製した。同様に、酢酸ナトリウム、ニオブエトキシド、酢酸カルシウム、および酢酸マンガンを使用して、2-エチルヘキサン酸ナトリウム溶液、2-エチルヘキサン酸ニオブ溶液、2-エチルヘキサン酸カルシウム溶液、および2-エチルヘキサン酸マンガン溶液をそれぞれ作製した。作製した上記各溶液に対して、誘導プラズマ発光(ICP)分析を行うことで、溶液の濃度を測定した。後述する前駆体溶液作製工程では、測定した上記濃度に基づいて、カリウム、ナトリウム、ニオブ、およびマンガンを含む前駆体溶液を調製した。
<基板作製>
まず、基板となるシリコン基板(6インチ)の表面を熱酸化し、基板上に膜厚1080nmの二酸化シリコン膜からなる酸化シリコン層を形成した。さらに、酸化シリコン層上に、DLスパッタ法により酸化ジルコニウム膜を400nm成膜した。次に、下部電極(第1電極)として膜厚50nmの白金膜をスパッタ成膜した。
<前駆体溶液作製>
2-エチルヘキサン酸ナトリウム溶液、2-エチルヘキサン酸ニオブ溶液、2-エチルヘキサン酸カルシウム溶液、および2-エチルヘキサン酸マンガン溶液を、下記の成分比率(原子比)となるように混合することで、KNNM前駆体溶液1、およびKNNM前駆体溶液2を調製した。
KNNM前駆体溶液1: K:Na:Nb:Mn = 40: 60:199:1
KNNM前駆体溶液2: K:Na:Nb:Mn = 103:103:199:1
<圧電体層形成>
(実施例)
次に、以下の手順で下部電極上に圧電体層を形成した。
下部電極上に、KNNM前駆体溶液1をスピンコート法で塗布し、前駆体膜1を形成した。次に、前駆体膜1をホットプレート上で180℃に加熱して乾燥させ(乾燥工程)、その後、380℃に加熱して脱脂した(脱脂工程)。次に、脱脂した前駆体膜に対し、RTA(Rapid Thermal Annealing)を使用して、750℃の加熱処理を施し、膜厚75nmのKNNM薄膜を形成した(焼成工程)。
次に、上記KNNM薄膜上に、塗布溶液をKNNM前駆体溶液2に変更した以外は同様の工程にて、38nmのKNNM薄膜2を成膜した。KNNM薄膜2の成膜工程を16回行った。その後、KNNM薄膜2作製時のスピンコート条件を変更することで42nmのKNNM薄膜2を作製した。KNNM薄膜2の成膜工程を2回行うことで、約767nmのKNN薄膜を作製した。
本実施例では、KNN薄膜の成膜途中と、成膜後に、結晶構造解析を実施した。結晶構造解析は、KNNM薄膜2の成膜を9回行った後の膜厚417nmのKNN薄膜の表面に対してと、18回行った後の膜厚767nmのKNN薄膜の表面に対しての2回実施した。
また、KNN薄膜の成膜後に、KNN薄膜表面の表面解析を実施した。
さらに、表面形状を測定後、Ptを50nmスパッタ成膜して第2電極を形成し、圧電素子を得た。その後、テープをPt膜表面に張り付け、KNN薄膜とPt膜の密着力を評価した。
(比較例)
KNNM薄膜2作製時のスピンコート条件を変更することで、1層当たりの膜厚を38nmに変更し、かつ成膜工程を20回とし、約815nmのKNN薄膜を作製した以外は、実施例と同様の工程にて作製、評価した。
<KNN表面解析>
KNN薄膜作製後に、実施例および比較例のKNN薄膜の表面をAFMで測定した。測定結果を図6に示す。図6に示すように、実施例のKNN薄膜の表面には、平坦な領域と凹凸の大きい領域が混在していた。KNN薄膜の表面を電子線後方散乱回折(EBSD)法により評価した結果、平坦な領域のKNN結晶は(100)面に配向しており、凹凸の大きい領域のKNN結晶は(111)面に配向していることわかった。
一方、比較例のKNN薄膜の表面は、実施例のKNN薄膜の表面と比較して、平坦な領域の割合が大きいことがわかった。
<構造解析>
実施例のKNN薄膜の結晶構造および配向性を、Bruker AXS社製のX線回折装置「D8 Discover」(線源CuKα、二次元検出器GADDS)を使用し、φ=0°、54.74°における二次元マッピング画像および回折パターンを測定した。φ=0°の測定では、基板に対してX線が90°の角度で照射される。すなわち、φ=0°の測定は、一般的なXRD測定と同様の測定手法である。KNN薄膜を擬立方晶とみなした場合、φ=0°でXRDを測定すると、(100)配向したKNN薄膜では2θ=21~24°付近に、強い(100)面由来の回折ピークが観測される。以下では、特に注釈がない限り、KNNの構造は擬立方晶として取り扱う。ただし、これは説明を簡略化するための表現であり、本明細書におけるKNNが正方晶や斜方晶のような対称性の低い結晶構造であることを否定するものではない。加えて、仮に本明細書におけるKNNがより対称性の低い構造であったとしても、特に矛盾をきたすものではない。
実施例および比較例のKNN薄膜を、φ=0°の測定条件でXRD測定した結果を図7に示す。図7の各図には、最終膜厚の約半分の膜厚で測定した結果と、最終膜厚で測定した結果が表示されている。図7の各グラフでは、2つのプロファイルを比較のために縦方向に並べて表示しており、縦軸のピーク強度の数値と、プロファイルのピーク位置は必ずしも一致しない。
図7に示す4つのプロファイルの全てにおいて、2θ=22°~23°の位置に(100)配向起因のピークが観測された。また、実施例の最終膜厚で測定したプロファイルでは、2θ=32°~33°の位置に(110)配向起因のピークが観測された。
KNN薄膜は、φ=0°のXRD測定における(111)配向起因のピーク強度が非常に弱い。そのため、基板を54.74°傾けた状態でXRD測定を実施した。実施例および比較例のKNN薄膜を、φ=54、74°の測定条件でXRD測定した結果を図8に示す。図8の各図には、最終膜厚の約半分の膜厚で測定した結果と、最終膜厚で測定した結果が表示されている。図8においても、2つのプロファイルを比較のために縦方向に並べて表示しており、縦軸のピーク強度の数値と、プロファイルのピーク位置は必ずしも一致しない。
φ=54.74°のXRD測定では、2θ=21~24°付近に、(111)配向したKNNの(100)由来の回折ピークが観測される。これは、(100)面と(111)面の成す角度が約54.74°であり、かつスピンコート法で成膜したKNN薄膜は基板面内に結晶方位の回転自由度を持つため、(111)の面内方位に依存せずに(111)配向起因の回折ピークが観測されるためである。
図8に示すように、実施例の最終膜厚で測定したプロファイルにおいて、2θ=21°~24°の位置に(100)配向起因のピークが観測された。このことから、実施例のKNN薄膜には、面直方位に(111)配向した成分が存在することがわかった。
実施例および比較例の最終膜厚(全膜厚)および最終膜厚の約半分の膜厚(半膜厚)におけるピーク強度の一覧を表1に示す。表1における「強度比」および「全/半」は、下記式により算出した値である。
(強度比)={I(110)+I(111)}/ {I(100)+I(110)+I(111)}
(全/半)={(強度比)全膜厚}/{(強度比)半膜厚}
圧電素子の特性では必要とされる歪量は、(100)面に配向したKNN結晶において大きくなることが知られている。表1に示すように、実施例のKNN薄膜では、比較例よりは低いものの、(100)配向の高いピーク強度が得られており、十分な圧電特性を有するKNN薄膜であることが確認された。算術平均高さ(Sa)の測定範囲は、KNN薄膜における一辺が1μmの正方形の領域である。算術平均高さ(Sa)の測定箇所は、5カ所測定し、各測定箇所における算術平均高さ(Sa)の値の最小値の平均値と各測定箇所における算術平均高さ(Sa)の値の最大値の平均とを算出した。実施例の算術平均高さは0.0032nm以上0.008nm以下であり、比較例の算術平均高さに比べて大きい。
Figure 2024075901000002
<電極の密着試験>
表2に、実施例と比較例について、電極の密着試験を行った結果を示す。実施例では、KNN薄膜上に成膜したPt膜が剥がれなかったのに対して、比較例では、Pt膜が剥がれた。実施例では、凹凸の大きい(110)配向および(111)配向の結晶粒が多く存在しており、その凹凸によってPt膜の密着性が向上した。表1に示すように、実施例のKNN薄膜では、全膜厚の強度比(B)が、半膜厚の強度比(A)の4倍以上であり、比較例と比べて顕著に大きかった。
Figure 2024075901000003
2…基板、50…振動板、60…第1電極、70…圧電体層(薄膜圧電体)、80…第2電極、300…圧電素子、X1…第1領域、X2…第2領域

Claims (6)

  1. 基板と、
    前記基板上に成膜される第1電極と、
    前記第1電極上に成膜され、カリウムとナトリウムとニオブとを含む薄膜圧電体と、
    前記薄膜圧電体上に成膜される第2電極と、
    を備え、
    前記薄膜圧電体を成膜方向に対して二等分し、前記第1電極側を第1領域、前記第2電極側を第2領域とするとき、
    前記第1領域において(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値を、(100)面のXRDピーク強度と(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値で除した値Aが、前記薄膜圧電体において(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値を、(100)面のXRDピーク強度と(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値で除した値Bよりも小さい、
    圧電素子。
  2. 前記値Bは、前記値Aの4倍以上である、
    請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記薄膜圧電体の算術平均高さが、0.0032nm以上0.008nm以下である、
    請求項1に記載の圧電素子。
  4. 振動板と、
    前記振動板上に成膜される第1電極と、
    前記第1電極上に成膜され、カリウムとナトリウムとニオブとを含む薄膜圧電体と、
    前記薄膜圧電体上に成膜される第2電極と、
    を備え、
    前記薄膜圧電体を成膜方向に対して二等分し、前記第1電極側を第1領域、前記第2電極側を第2領域とするとき、
    前記第1圧電体領域において(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値を、(100)面のXRDピーク強度と(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値で除した値Aが、前記薄膜圧電体において(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値を、(100)面のXRDピーク強度と(111)面のXRDピーク強度と(011)面のXRDピーク強度との合計値で除した値Bよりも小さい、
    圧電アクチュエーター。
  5. 前記値Bは、前記値Aの4倍以上である、
    請求項4に記載の圧電アクチュエーター。
  6. 前記薄膜圧電体の算術平均高さが、0.0032nm以上0.008nm以下である、
    請求項4に記載の圧電アクチュエーター。
JP2022187155A 2022-11-24 2022-11-24 圧電素子、圧電アクチュエーター Pending JP2024075901A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022187155A JP2024075901A (ja) 2022-11-24 2022-11-24 圧電素子、圧電アクチュエーター
CN202311561489.5A CN118076208A (zh) 2022-11-24 2023-11-21 压电元件、压电致动器
US18/517,015 US20240173976A1 (en) 2022-11-24 2023-11-22 Piezoelectric Element And Piezoelectric Actuator

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022187155A JP2024075901A (ja) 2022-11-24 2022-11-24 圧電素子、圧電アクチュエーター

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024075901A true JP2024075901A (ja) 2024-06-05

Family

ID=91108609

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022187155A Pending JP2024075901A (ja) 2022-11-24 2022-11-24 圧電素子、圧電アクチュエーター

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20240173976A1 (ja)
JP (1) JP2024075901A (ja)
CN (1) CN118076208A (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
US20240173976A1 (en) 2024-05-30
CN118076208A (zh) 2024-05-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11417828B2 (en) Piezoelectric element, piezoelectric element application device, and method of manufacturing piezoelectric element
JP5825466B2 (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子
EP3413362B1 (en) Piezoelectric element and piezoelectric element applied device
JP2016225422A (ja) 圧電素子及び圧電素子応用デバイス
JP6519735B2 (ja) 圧電素子及び圧電素子応用デバイス
JP2016082104A (ja) 圧電素子及びその製造方法並びに圧電素子応用デバイス
EP3382766B1 (en) Piezoelectric film element
JP5668473B2 (ja) 圧電素子及びその製造方法、液体噴射ヘッド、液体噴射装置、超音波センサー、並びに赤外線センサー
US10181555B2 (en) Piezoelectric element and piezoelectric element applied device
JP2017050352A (ja) 圧電素子、及び圧電素子応用デバイス
JP2016192511A (ja) 圧電素子及び圧電素子応用デバイス
JP6597957B2 (ja) 圧電素子、及び圧電素子応用デバイス
JP2012139919A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射装置、及び圧電素子の製造方法
US20180138394A1 (en) Piezoelectric element, piezoelectric element application device, and method of manufacturing piezoelectric element
US8783836B2 (en) Piezoelectric element, liquid ejecting head, and liquid ejecting apparatus
JP2023149376A (ja) 圧電素子、および圧電素子応用デバイス
JP2024075901A (ja) 圧電素子、圧電アクチュエーター
JP2018160535A (ja) 圧電素子、及び圧電素子応用デバイス
JP5790922B2 (ja) 圧電素子、液体噴射ヘッド、液体噴射装置、超音波デバイス及びセンサー
JP2024053204A (ja) 圧電基板、圧電素子および圧電素子応用デバイス
JP2024044431A (ja) 圧電素子および圧電素子応用デバイス
JP2024126254A (ja) 圧電素子応用デバイス
JP2023150058A (ja) 圧電素子、および圧電素子応用デバイス
JP2023150222A (ja) 圧電素子、ヘッドチップ、液体噴射装置およびセンサ
JP2013102113A (ja) 圧電素子の製造方法、液体噴射ヘッドの製造方法、及び、液体噴射装置の製造方法