JP2024072700A - 防カビ用組成物およびカビ等の付着抑制方法 - Google Patents

防カビ用組成物およびカビ等の付着抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防カビ性能に優れた防カビ用組成物、および樹脂表面等へのカビ等の付着を抑制する方法を提供することを目的とする。【解決手段】カチオン性防カビ剤と、水溶性の変性シリコーンオイル、非イオン系界面活性剤、及びキトサンまたはその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含有する防カビ用組成物、および当該防カビ用組成物を樹脂表面に処理する、樹脂表面へのカビまたはカビ胞子の付着を抑制する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、防カビ用組成物およびカビ等の付着抑制方法に関し、特に、樹脂表面へのカビ等の付着を抑制するために用いる防カビ用組成物、および樹脂表面へのカビ等の付着を抑制する方法に関する。
住環境において、水分が多い湿潤な場所では、カビに由来する汚染(以下、「カビ汚染」ともいう)が問題となりやすい。このような場所は、結露や流水等で頻繁に水にさらされているためカビ汚染が速やかに進行する。
カビ汚染は、生活者に不快感をもたらし、またアレルギー等の健康被害の原因ともなる。そのため、カビの発生を効率的に抑制する方法が求められてきた。
一般家庭において使用可能な防カビ剤として、水に曝されやすい浴室や洗面所等でも防カビ効果を持続できる親油性の防カビ剤が報告されている。例えば特許文献1には、撥水性のアルキルアルコキシシランをノニオン性乳化剤およびアニオン性乳化剤の存在下で水性乳化してなる水系浸透性吸収防止剤に、防カビ剤を配合したことを特徴とする防カビ処理材が提案されている。
特開平11-158418号公報
一方、エアコンや冷蔵庫等の電気機器においても、結露によるカビ汚染が発生しやすい。特にエアコンの場合、エアコンを切った後、エアコン内部に露がたまり、高湿度状態になりやすいため、カビ汚染により不衛生となりやすい。
このようなエアコン等の電気機器におけるカビ汚染に対しては、洗浄剤を用いて一時的にカビを除去しても、しばらくすると再汚染が生じるという問題がある。再汚染の原因として、電気機器の表面は樹脂等の硬質部材であることが多く静電気が生じやすいため、カビを一時的に除去しても、カビ胞子が再度樹脂等の表面に付着することが考えられる。そしてカビ胞子は一度付着すると疎水的な作用によって樹脂等の表面に固着し、これが再汚染のきっかけとなることが考えられる。
そこで本発明は、防カビ効果に優れた防カビ用組成物、および樹脂表面へのカビ等の付着を抑制する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、カチオン性の防カビ剤と、カビ等の付着を抑制する特定の成分とを併用することにより、樹脂表面等の被処理面に対して優れた防カビ効果を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の(1)~(3)を特徴とする。
(1)カチオン性防カビ剤と、
水溶性の変性シリコーンオイル、非イオン系界面活性剤、及びキトサンまたはその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
を含有する、防カビ用組成物。
(2)樹脂表面へのカビまたはカビ胞子の付着を抑制するために用いる、上記(1)に記載の防カビ用組成物。
(3)上記(1)または(2)に記載の防カビ用組成物を樹脂表面に処理する、樹脂表面へのカビまたはカビ胞子の付着を抑制する方法。
本発明に係る防カビ用組成物によれば、樹脂表面等の被処理面に対して優れた防カビ効果を付与することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施できる。また、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書において「カビ等」とは、カビ菌糸体及びカビ胞子を意味する。
また、本明細書において「防カビ」とは、カビの増殖を抑制または防止する効果全般を意味し、カビを殺すこと、カビの増殖を抑制または防止すること、カビ及びカビ胞子が対象物に付着するのを抑制または防止すること、カビ胞子の形成を阻害することを含むものとする。なお、カビ及びカビ胞子が対象物に付着するのを抑制または防止するとは、カビ及びカビ胞子の対象物への付着自体を抑制または防止する意味の他、付着したカビ及びカビ胞子が対象物に残存するのを抑制または防止する意味も含むものとする。
<防カビ用組成物>
本発明の実施形態に係る防カビ用組成物(以下、「防カビ用組成物」ともいう)は、カチオン性防カビ剤と、水溶性の変性シリコーンオイル、非イオン系界面活性剤、及びキトサンまたはその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含有することを特徴とする。
カチオン性防カビ剤と、対象物の表面へのカビ等の付着を抑制する成分である、水溶性の変性シリコーンオイル、非イオン系界面活性剤、及びキトサンまたはその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を併用することにより、樹脂表面等の被処理面に対して優れた防カビ性能を付与できる。
本実施形態に係る防カビ用組成物は高い防カビ効果を有し、なかでもカビ及びカビ胞子が対象物、特に樹脂表面等の硬質部材に付着するのを抑制または防止する効果に優れる。そのため、防カビ用組成物は、樹脂表面へのカビまたはカビ胞子の付着を抑制するために好適に用いることができる。この場合、本実施形態に係る防カビ用組成物は、カビ及びカビ胞子付着抑制用組成物ともいう。
以下、防カビ用組成物の各成分について詳細に説明する。
(カチオン性防カビ剤)
本実施形態におけるカチオン性防カビ剤は高い防カビ効果を有し、特にカビ及びカビ胞子が対象物に付着するのを抑制または防止する効果に優れる。
当該防カビ剤はカチオン性であることにより、電気的に樹脂等の硬質部材に付着しやすいため、被処理面において優れた防カビ性能を発揮できる。また、防カビ用組成物を対象物に処理すると、被処理面の疎水領域がコーティングされるが、仮に防カビ剤がノニオン性の防カビ剤であるとすると、上記疎水領域のコーティングによってノニオン性に起因する疎水的相互作用による吸着が生じなくなるため、結露水等の発生により流去しやすくなる。一方、本実施形態においては防カビ剤がカチオン性であるため、上記のような問題は生じない。
本実施形態におけるカチオン性防カビ剤は、具体的には、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、サッカリン酸ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、プロピオン酸ジデシルジメチルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート、ポリヘキサメチレンビグアニド、1,4-ビス(3,3’-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
なかでも、防カビ効果に優れる観点から、第4級アンモニウム塩が好ましく、第4級アンモニウム塩の中でも塩化セチルピリジニウム及び塩化ベンザルコニウムがより好ましく、塩化セチルピリジニウムがさらに好ましい。
塩化セチルピリジニウムとしては、例えば、メルクパフォーマンスマテリアルズ社製のRonaCare(登録商標)CPC、富士フイルム和光純薬製等を使用できる。
防カビ用組成物におけるカチオン性防カビ剤の含有量は、防カビ効果が得られる限り特に限定されないが、防カビ効果をより発揮する点から0.01w/w%以上が好ましく、0.05w/w%以上がより好ましく、0.1w/w%以上がさらに好ましい。また、使用時の安全性や塗布の容易性という点から3w/w%以下が好ましく、1w/w%以下がより好ましく、0.5w/w%以下がさらに好ましい。
本実施形態に係る防カビ用組成物は、上記カチオン性防カビ剤と併用して、カチオン性防カビ剤以外の他の防カビ剤も使用することができる。他の防カビ剤としては例えば、3-メチル-4-イソプロピル-フェノール、チモール、メチルイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン、ベンズイソチアゾリノン、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ジヨードメチルパラトリルスルホン等が挙げられる。なかでも、固着したカビ汚れ内部への薬剤の浸透しやすさの観点から、3-メチル-4-イソプロピル-フェノール、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルが好ましい。
防カビ用組成物が他の防カビ剤を含有する場合、その含有量は、防カビ効果をより発揮する点から0.0001w/w%以上が好ましく、0.001w/w%以上がより好ましく、0.01w/w%以上がさらに好ましい。また、使用時の安全性という点から1w/w%以下が好ましく、0.5w/w%以下がより好ましく、0.1w/w%以下がさらに好ましい。
(水溶性の変性シリコーンオイル)
本実施形態における水溶性の変性シリコーンオイルは、対象物の表面へのカビ等の付着を抑制する成分の一つであり、対象物の表面を親水化することで、カビ等の付着を抑制する。ここで、変性シリコーンオイルとは、シリコーンオイルにおけるポリシロキサンの側鎖に各種有機基を導入して、種々の機能を付加したものであり、有機基の種類により、水溶性の付与の他、各種有機物との相溶性や反応性、潤滑性など様々な特性が付与される。
シリコーンオイルへの有機基の導入形態としては、例えば、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入した側鎖型や、ポリシロキサンの片末端に有機基を導入した片末端型や、ポリシロキサンの両末端に有機基を導入した両末端型や、ポリシロキサンの側鎖と両末端の両方に有機基を導入した側鎖両末端型等が挙げられる。
本実施形態における水溶性の変性シリコーンオイルは、ポリエーテル基を導入し変性したシリコーンオイルである。ポリエーテル変性シリコーンオイルは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体を付加しており、ポリシロキサンとEO(エチレンオキシド)、PO(プロピレンオキシド)の比を調整することにより、水への溶解性を得ることができる。さらに、ポリエーテル基に加えて異なる官能基を導入し、その特性を変化させることができる。具体的には、アミノ基、エポキシ基、フェニル基、アルキル基、ポリグリコシド基等を導入する方法が挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
なかでも、対象物の表面を親水化することでカビ等の付着をより抑制できるという観点からは、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリエーテル基を導入したフェニル変性シリコーンオイル等が好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、例えば、信越化学工業株式会社のKF6011、KF6043、旭化成ワッカーシリコーン社のBELSIL DMC6031、BELSIL OW1500等を使用できる。ポリエーテル基を導入したフェニル変性シリコーンオイルとしては、例えば、旭化成ワッカーシリコーン社製のBELSIL PF200等を使用できる。
防カビ用組成物における水溶性の変性シリコーンオイルの含有量は、防カビ効果が得られる限り特に限定されないが、防カビ効果をより発揮する点から0.005w/w%以上が好ましく、0.01w/w%以上がより好ましく、0.05w/w%以上がさらに好ましい。また、薄くのばして塗布しやすいという点から3w/w%以下が好ましく、1w/w%以下がより好ましく、0.5w/w%以下がさらに好ましい。
(非イオン系界面活性剤)
本実施形態における非イオン系界面活性剤は、対象物の表面へのカビ等の付着を抑制する成分の一つであり、対象物の表面を親水化することで、カビ等の付着を抑制する。
非イオン系界面活性剤としては、処理表面をより親水化しやすくするため、HLB値は9以上が好ましく、10以上がより好ましい。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルグルコシド、アルキルアミンオキサイド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルサッカライド、及びアルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
なかでも、対象物の表面を親水化することでカビ等の付着をより抑制できるという観点、および、対象の樹脂表面の劣化が生じにくいという観点から、アルキルグルコシド、及びアルキルアミンオキサイドが好ましい。
アルキルグルコシドはアルコールとグルコースの縮合によって得られ、アルコールの炭素数、すなわちアルキルグルコシドにおけるアルキル基の炭素数は、対象物の表面を親水化することでカビ等の付着をより抑制できるという観点から、8~16が好ましく、8~13がより好ましく、9~11がさらに好ましい。
アルキルグルコシドとしては、例えば、花王社製のマイドール10、マイドール12等が挙げられる。
アルキルアミンオキサイドとしては、例えば、日油社製のユニセーフA-LM、ユニセーフA-LMR、ユニセーフA-SM、等が挙げられる。
防カビ用組成物における非イオン系界面活性剤の含有量は、防カビ効果が得られる限り特に限定されないが、防カビ効果をより発揮する点から0.01w/w%以上が好ましく、0.05w/w%以上がより好ましく、0.1w/w%以上がさらに好ましい。また、薄く均一に塗布しやすいという点から3.0w/w%以下が好ましく、1.0w/w%以下がより好ましく、0.5w/w%以下がさらに好ましい。
(キトサンまたはその誘導体)
本実施形態におけるキトサンまたはその誘導体は、対象物の表面へのカビ等の付着を抑制する成分の一つであり、電気的に樹脂等の硬質部材に付着することで、カビ等の付着を抑制する。
キトサンまたはその誘導体としては、例えば、加水分解キトサン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシメチルキトサンサクシナミド、カルボキシメチルキトサンミリスタミド、カルボキシメチルキトサンラウラミドナトリウム、ヒドロキシエチルキトサン、ヒドロキシプロピルキトサン、キトサンラウロイルグリシン、キトサンサクシナミド、キトサン(ラウラミド/サクシナミド)、キトサンPCA、キトサンPCA(パルミタミド/サクシナミド)、キトサンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
なかでも、電気的に樹脂等の硬質部材に付着しやすく、カビ等の付着をより抑制できるという観点から、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシエチルキトサンが好ましい。
ヒドロキシプロピルキトサンとしては、例えば、一丸ファルコス社製のキトフィルマー、キトフィルマー10、キトフィルマーHV等を使用できる。
防カビ用組成物におけるキトサンまたはその誘導体の含有量は、防カビ効果が得られる限り特に限定されないが、防カビ効果をより発揮する点から0.001/w%以上が好ましく、0.005w/w%以上がより好ましく、0.01w/w%以上がさらに好ましい。また、安定に配合できるという点から1w/w%以下が好ましく、0.5w/w%以下がより好ましく、0.1w/w%以下がさらに好ましい。
本実施形態に係る防カビ用組成物において、カチオン性防カビ剤に対する、水溶性の変性シリコーンオイル、非イオン系界面活性剤、及びキトサンまたはその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有比率(後者/前者)は、質量比で、0.004~700が好ましく、0.05~50がより好ましく、0.3~10がさらに好ましい。上記範囲であることにより、より優れた防カビ効果が得られる。
防カビ用組成物は、上述した、水溶性の変性シリコーンオイル、非イオン系界面活性剤、及びキトサンまたはその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することにより、カチオン性防カビ剤とともに、対象物の表面へのカビ等の付着を抑制する効果を奏する。
防カビ用組成物において、カチオン性の防カビ剤と、上記の対象物の表面へのカビ等の付着を抑制する成分とを併用することで、樹脂表面等の被処理面に優れた防カビ性能を付与できる理由は明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、樹脂等の硬質部材に対するカビやカビ胞子の初期付着は、疎水的相互作用により生じる。本実施形態に係る防カビ用組成物は、電気的に硬質部材に付着しやすい成分(カチオン性防カビ剤、キトサンまたはその誘導体)や、対象物表面の親水化に寄与する成分(水溶性の変性シリコーンオイル、非イオン系界面活性剤)が配合されている。それらが樹脂表面等の被処理面に残存することで、疎水的表面を改質し、カビやカビ胞子付着の防止効果を発現し、防カビ性能を付与したものと考えられる。なお、本発明は、当該作用機序に限定されるものではない。
(その他成分)
防カビ用組成物における任意成分としては、例えば、上記非イオン系界面活性剤以外の界面活性剤、消臭剤、香料、pH調整剤、防錆剤、安定化剤、色素等が挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
非イオン系界面活性剤以外の界面活性剤としては、両性界面活性剤を用いることができる。両性界面活性剤としては、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる
消臭剤としては、例えば、メタクリル酸ラウリル、ゲラニルクロリネート、カテキン、ポリフェノール、炭、植物抽出物等が挙げられる。
香料としては、様々な植物や動物から抽出された天然香料や、化学的に合成される合成香料、さらにはこれらの香料成分を多数混合して作られる調合香料等が挙げられる。
香料は様々な文献、例えば、「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1960)、「香りの百科」,日本香料協会編,朝倉書店(1989)、「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Pajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)、「Perfume and Flavor Chemicals(aroma chemicals)」,Vols.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「香料と調香の基礎知識」,中島基貴編著,産業図書(1995)、「合成香料 化学と商品知識」,印藤元一著,化学工業日報社(1996)、「香りの百科事典」,谷田貝光克編,丸善(2005)に記載の香料が使用できる。それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。以下に香料の代表例を具体的に挙げるが、これらに限定されるものではない。
天然香料としては、例えば、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ラバンジン油、ベルガモット油、パチュリ油、シダーウッド油、ペパーミント油等の天然精油等が挙げられる。
合成香料としては、例えば、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、p-サイメン、ターピノレン、α-ターピネン、γ-ターピネン、α-フェランドレン、ミルセン、カンフェン、オシメン等の炭化水素テルペン;ヘプタナール、オクタナール、デカナール、ベンズアルデヒド、サリシリックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シトロネラール、ハイドロキシシトロネラール、ハイドロトロピックアルデヒド、リグストラール、シトラール、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、リリアール、シクラメンアルデヒド、リラール、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン等のアルデヒド類;エチルフォーメート、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルプロピオネート、メチルイソブチレート、エチルイソブチレート、エチルブチレート、プロピルブチレート、イソブチルアセテート、イソブチルイソブチレート、イソブチルブチレート、イソブチルイソバレレート、エチル-2-メチルバレレート、イソアミルアセテート、テルピニルアセテート、イソアミルプロピオネート、アミルプロピオネート、アミルイソブチレート、アミルブチレート、アミルイソバレレート、アリルヘキサノエート、エチルアセトアセテート、エチルヘプチレート、ヘプチルアセテート、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、エチルオクチレート、スチラリルアセテート、ベンジルアセテート、ノニルアセテート、ボルニルアセテート、リナリルアセテート、オルト-ter-ブチルシクロヘキシルアセテート、安息香酸リナリル、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、エチルシンナメート、メチルサリシレート、ヘキシルサリシレート、ヘキシルアセテート、ヘキシルブチレート、メンチルアセテート、ターピニルアセテート、アニシルアセテート、フェニルエチルイソブチレート、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、エチレンブラシレート、γ-ウンデカラクトン、γ-ノニルラクトン、シクロペンタデカノライド、クマリン等のエステル・ラクトン類;アニソール、p-クレジルメチルエーテル、ジメチルハイドロキノン、メチルオイゲノール、β-ナフトールメチルエーテル、β-ナフトールエチルエーテル、アネトール、ジフェニルオキサイド、ローズオキサイド、ガラクソリド、アンブロックス等のエーテル類;イソプロピルアルコール、cis-3-ヘキセノール、ヘプタノール、2-オクタノール、ジメトール、ジヒドロミルセノール、リナロール、ベンジルアルコール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、ターピネオール、テトラハイドロゲラニオール、l-メントール、セドロール、サンタロール、アニスアルコール、フェニルエチルアルコール、ヘキサノール等のアルコール類;ジアセチル、メントン、イソメントン、チオメントン、アセトフェノン、α-又はβ-ダマスコン、α-又はβ-ダマセノン、α-、β-又はγ-ヨノン、α-、β-又はγ-メチルヨノン、メチル-β-ナフチルケトン、ベンゾフェノン、テンタローム、アセチルセドレン、α-又はβ-イソメチルヨノン、α-、β-又はγ-イロン、マルトール、エチルマルトール、cis-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、l-カルボン、ジヒドロカルボン、メチルアミルケトン等のケトン類、カンファー、1,8-シネオール、アリルアミルグリコレート、イソプレゴール、アリルカプロエートなどが挙げられる。これらの香料は、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて、調合香料として使用することもできる。さらに、香料は香料成分、溶剤、香料安定化剤などを含有する混合物(香料組成物)として使用することもできる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸及びそれらの塩等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール、アスコルビン酸やその塩等が挙げられる。
本実施形態に係る防カビ用組成物を含む防カビ製剤の形態は、ウェットシート剤、スプレー剤、エアゾール剤等特に限定されないが、施用量を制御しやすく、また被処理面へ処理した後の拭き取りを別途行う必要がない点等からウェットシート剤が好ましい。
ウェットシート剤へ防カビ用組成物を保持させる方法としては、点滴や塗工、浸漬等が挙げられる。
また、本実施形態に係る防カビ用組成物は、エアコン等の空調機の送風口等の狭い隙間にも処理できるよう、例えば特開2021-74042号等に記載された清掃用器具における清掃部材として用いてもよい。換言すれば、樹脂等の対象物の表面に防カビ用組成物を処理する処理部材が着脱可能に装着され、可撓性を有する処理部材保持部と、処理部材保持部に接続する把持部と、を備える防カビ用器具を用いて、本実施形態に係る防カビ用組成物を対象物の表面に処理してもよい。
本実施形態に係る防カビ用組成物により防カビ効果を発揮できるカビとしては、例えば、クラドスポリウム(Cladosporium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ペニシリウム(Penicillium)属、アルテルナリア(Alternaria)属、アースリニウム(Arthrinium)、フザリウム(Fusarium)属、エキソフィアラ(Exophiala)属、アクレニモニウム(Acremonium)属、ロードトルラ(Rhodotorula)属、ムコール(Mucor)属、モルティエレラ(Mortierella)属、コニディオボラス(Conidiobolus)属、フィチウム(Pythium)属、フィトフトラ(Phytophthora)属、エントモフトラ(Entomophthora)属、エキノスポランジウム(Echinosporangium)属、サプロレグニア(Saprolegnia)属等のカビが挙げられる。
なかでも、クラドスポリウム(Cladosporium)属のカビに対して好適であり、クラドスポリウム(Cladosporium)属のカビとしては、C.cladosporioides、C.cucumerinum、C.halotolerans、C.herbarum、C.oxysporum、C.sphaerospermum等が挙げられ、特に、C.cladosporioides、C.sphaerospermumに対して好適である。C.sphaerospermumとしては、例えば、C.sphaerospermum NBRC 6348が挙げられる。
本実施形態に係る防カビ用組成物を処理する対象物としては、樹脂等の硬質材料が好ましい。樹脂の種類は特に制限されず、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)共重合合成樹脂)、FRP樹脂(Fiber Reinforced Plastics)、PP樹脂(Polypropylene)、PE樹脂(Polyethylene)、ポリカーボネート樹脂(Polycarbonate)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂(Polyesters)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(Polymethyl methacrylate)等が挙げられる。なかでも、防カビ効果が特に得られるという点で、ABS樹脂、FRP樹脂、及びPP樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂が好ましい。
(カビ等付着抑制方法)
本発明は上記防カビ用組成物を樹脂表面に処理する、樹脂表面へのカビまたはカビ胞子の付着を抑制する方法にも関する。すなわち、上記防カビ用組成物を含む防カビ製剤を用いて、樹脂表面に防カビ処理を施す。例えば、防カビ用組成物を保持させたウェットシート剤で樹脂表面を拭くことにより、前記樹脂表面に防カビ処理を施すことが好ましい。
この他にも、スプレー剤やエアゾール剤等で樹脂表面に塗布して防カビ処理を施すことができる。
また樹脂の材料に本実施形態に係る防カビ用組成物を含侵したり、混合することで含有させて防カビ処理を施すこともできる。この時に本実施形態に係る防カビ用組成物が樹脂表面に滲み出やすくするようにブリード作用のある物質を併用してもよい。
防カビ用組成物が、上述した、水溶性の変性シリコーンオイル、非イオン系界面活性剤、及びキトサンまたはその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することにより、カチオン性防カビ剤とともに、対象物の表面へのカビ等の付着を抑制する効果を奏し、防カビ効果を発揮することが可能となる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明は下記例に何ら制限されるものではない。
(実施例1)
下記表1に示す検体処方に従い、防カビ用組成物(薬液)を得た。
表1に示す各成分としては下記のものを用いた。
・塩化セチルピリジニウム:メルクパフォーマンスマテリアルズ社製、RonaCare(登録商標)CPC
・フェニル変性シリコーン:旭化成ワッカーシリコーン社製、BELSIL(登録商標)PF200
・アルキル(C9-11)グルコシド:花王社製、マイドール10、40%溶液
・ヒドロキシプロピルキトサン:一丸ファルコス社製、キトフィルマー、4%溶液
つづいて、下記の樹脂板を50mm×50mmの大きさに切り出し、試験片とした。
・ABS:ABS(N)、標準試験板(日本テストパネル株式会社)
・FRP:FRP(白)、標準試験板(日本テストパネル株式会社)
・PP:PP(N)、標準試験板(日本テストパネル株式会社)
切り出した試験片を、調製した上記防カビ用組成物(薬液)を十分に含侵した不織布(ポリエステル100%、目付量60g/m)で拭き、風乾した。その後、水で軽くすすいで乾かし、試験検体とした。なお、精製水を含侵した不織布を対照検体とした。
Cladosporium sphaerospermum NBRC 6348をポテトデキストロース寒天培地に接種し、25℃で7日間培養した。生成したカビ胞子を精製水で洗い出し、ボルテックスミキサーで撹拌し、試験用カビ胞子液とした(10cfu/ml)。
試験用カビ胞子液に、上記試験検体または対照検体を浸漬し、1分間緩やかに振盪した後、引き上げた。浸漬後の検体を垂直に立て、ポンプスプレー(100μL/プッシュ)を用いて精製水2mLを噴霧し、検体表面のカビ胞子を洗い落とした。洗浄後の検体の表面を、デジタルマイクロスコープVHX-900で観察し、任意に選定した4箇所の3mm×3mmエリアについて、エリア内の付着カビ胞子数をそれぞれカウントし、その平均値を求めた。
付着カビ胞子数の測定結果を下記表2に示す。
表2の結果から、樹脂の材質によらず、本実施形態の防カビ用組成物を処理することで、樹脂に付着するカビ胞子数を減少できることが確認された。
以上の通り、本実施形態の防カビ用組成物により、樹脂等の硬質材料に高い防カビ性能を付与できることが示された。特に、カビ及びカビ胞子が樹脂表面に付着するのを抑制または防止できることが示された。
なお、以下に本実施形態の防カビ用組成物の処方例を記載する。

Claims (3)

  1. カチオン性防カビ剤と、
    水溶性の変性シリコーンオイル、非イオン系界面活性剤、及びキトサンまたはその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
    を含有する、防カビ用組成物。
  2. 樹脂表面へのカビまたはカビ胞子の付着を抑制するために用いる、請求項1に記載の防カビ用組成物。
  3. 請求項1または2に記載の防カビ用組成物を樹脂表面に処理する、樹脂表面へのカビまたはカビ胞子の付着を抑制する方法。
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