JP2024072587A - 電解液分析用試験片および電解液分析装置 - Google Patents

電解液分析用試験片および電解液分析装置 Download PDF

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茉耶 岩城(巻田)
Iwaki, (Makita) Maya
達矢 小林
Tatsuya Kobayashi
英之 山下
Hideyuki Yamashita
和也 喜多山
Kazuya Kitayama
誠治 福永
Seiji Fukunaga
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Abstract

【課題】電解液に含まれたイオンの濃度を測定するための電解液分析用試験片であって、イオン選択膜の剥がれの有無をユーザが容易に判別できるものを提供すること。【解決手段】本発明の電解液分析用試験片30は、基板31と、基板31の一方の主面31aにおいて、一方向に関して一端31eの側の特定領域に設けられたベース部43a,44a、および、このベース部から他端31fの側へ延在する延在部43b,44bを含む、電極層43,44を備える。ベース部43a,44aを覆うように設けられたイオン選択膜41i,42iを備える。主面31aに対して垂直な厚さ方向に見られた平面視で、ベース部の外周縁とイオン選択膜の外周縁とが環状領域AR1,AR2を画定している。環状領域AR1,AR2に、イオン選択膜に覆われるように設けられた、水と接触したとき元の色から変色する性質を有する水検知材47,48を備える。【選択図】図2

Description

この発明は電解液分析用試験片に関し、より詳しくは、電解液に含まれたイオンの濃度を測定するための試験片に関する。また、この発明は、そのような電解液分析用試験片を備えて、上記イオンの濃度を測定する電解液分析装置に関する。
従来、この種の電解液分析用試験片としては、例えば特許文献1(特許第6127460号明細書)に開示されているセンサヘッドが知られている。上記センサヘッドは、基板上に、第1のイオン種を選択して、その第1のイオン種の濃度に応じた電位を発生させる第1のイオン選択電極と、第2のイオン種を選択して、その第2のイオン種の濃度に応じた電位を発生させる第2のイオン選択電極とを有する。
上記第1のイオン選択電極は、導電性を有する第1の電極層と、この第1の電極層を覆うように第1の電極層に接して設けられた第1のイオン選択膜とからなっている。上記第2のイオン選択電極は、導電性を有する第2の電極層と、この第2の電極層を覆うように第2の電極層に接して設けられた第2のイオン選択膜とからなっている。典型例では、上記第1のイオン選択膜は、水分を通さず、第1イオンとしてのナトリウムイオン(Na+)を選択的に透過する性質を有している。上記第2のイオン選択膜は、水分を通さず、第2イオンとしてのカリウムイオン(K+)を選択的に透過する性質を有している。上記第1、第2のイオン選択膜は、それぞれ特定の有機材料を含む溶液を、それぞれ第1、第2の電極層上に滴下し、それぞれ自然乾燥させて形成されている。
特許第6127460号明細書
ところで、ユーザが上記センサヘッドに対して不適切な取り扱いを行った場合(例えば、上記第1、第2のイオン選択膜をこすった場合)などには、上記第1、第2のイオン選択膜の一部または全部が上記第1、第2の電極層から剥がれてしまう、という事態が起こり得る。
ここで、通常、上記第1、第2のイオン選択膜の色は透明になっている。また、上記センサヘッドは、使い捨てされることを予定して小型に構成されており、特許文献1では、上記第1、第2のイオン選択膜の直径は数mm程度に設定されている。このため、上記第1、第2のイオン選択膜が上記第1、第2の電極層から剥がれているか否かをユーザが判別し難い、という問題がある。このように上記第1、第2のイオン選択膜が剥がれているか否か不明な状態で測定された場合、測定結果の信頼度に疑問が生ずる。
そこで、この発明の課題は、電解液に含まれたイオンの濃度を測定するための電解液分析用試験片であって、上記イオン選択膜の剥がれの有無をユーザが容易に判別できるものを提供することにある。また、この発明の課題は、そのような電解液分析用試験片を備えて、上記イオンの濃度を測定する電解液分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この開示の電解液分析用試験片は、
電解液に含まれたイオンの濃度を測定するための電解液分析用試験片であって、
一端から他端まで一方向に延在する基板と、
上記基板の一対の主面のうち一方の主面において、上記一方向に関して上記一端の側の特定領域に設けられたベース部、および、このベース部から上記他端の側へ延在する延在部を含む、電極層と、
上記一方の主面において、上記ベース部を覆うように上記ベース部よりも広い領域にわたって設けられた、上記イオンを選択的に透過する性質を有するイオン選択膜と
を備え、
上記一方の主面に対して垂直な厚さ方向に見られた平面視で、上記ベース部の外周縁と上記イオン選択膜の外周縁とが環状領域を画定しており、
上記環状領域に、上記イオン選択膜に覆われるように設けられた、水と接触したとき元の色から変色する性質を有する水検知材
を備えたことを特徴とする。
本明細書で、「電解液」は、少なくとも1つのイオン種を含む液を広く指す。
基板の「主面」とは、空間的に広がる板面を指し、端面とは異なる。
「一端の側」とは、上記一方向に関して一端と他端のうち上記一端に近い側を指す。また、「他端の側」とは、上記一方向に関して一端と他端のうち上記他端に近い側を指す。
「水検知材」は、上記「環状領域」の全域に設けられる必要は無く、上記「環状領域」の一部領域に設けられていてもよい。
「水」は、電解液に含まれた水であってもよい。
「色」は、広義に解釈し、有彩色、または、白色、灰色、黒色などの無彩色を含み、さらに、透明または半透明である場合を含む。
「変色」とは、広義に、元の色(上記のように、有彩色、または、白色、灰色、黒色などの無彩色を含み、さらに、透明または半透明である場合を含む。)から別の色へ変わることを意味する。変色は、水に接触している間だけ一時的に起こってもよい(すなわち、水が取り去られると水検知材は元の色に戻ってもよい。)。
上記電解液分析用試験片(特に、上記水検知材)に水を「接触」させるには、ユーザ(典型的には、被験者)が、上記電解液分析用試験片の上記一端の側を一体に覆うように水または電解液を振り掛けてもよいし、水または電解液に上記電解液分析用試験片の上記一端の側を浸漬してもよい。
この開示の電解液分析用試験片では、イオン選択膜の剥がれが無い場合は、例えばユーザによる使用(電解液に含まれたイオンの濃度の測定)に際して、上記電解液分析用試験片の上記一端の側が水(例えば、電解液に含まれた水)に接触されたとき、上記環状領域に設けられた水検知材が元の色のままになっている。したがって、ユーザは、上記電解液分析用試験片における上記水検知材が元の色のままであるのを視認することによって、上記イオン選択膜の剥がれが無いことを判別できる。この場合、ユーザは、通常通り、上記ベース部と上記イオン選択膜(これらを併せて「イオン感応電極」と呼ぶ。)によって電解液に含まれたイオンの濃度の測定を行うことができる。一方、上記電解液分析用試験片においてイオン選択膜の剥がれが有る場合は、ユーザによる使用に際して、上記電解液分析用試験片の上記一端の側が水(例えば、電解液に含まれた水)に接触されたとき、上記水検知材が元の色から変色する。したがって、ユーザは、上記電解液分析用試験片における上記水検知材が変色しているのを視認することによって、上記イオン選択膜の剥がれが有ることを判別できる。この場合、ユーザは、上記膜剥がれが有る電解液分析用試験片を新たな電解液分析用試験片に交換して、上記新たな電解液分析用試験片を用いてイオンの濃度の測定を試みることができる。
このように、この電解液分析用試験片では、上記イオン選択膜の剥がれの有無をユーザが容易に判別できる。したがって、上記イオン選択膜の剥がれが無いとユーザが判別した状態で、電解液に含まれたイオンの濃度が測定され得る。これにより、測定結果の信頼度が高まる。
一実施形態の電解液分析用試験片では、
上記水検知材は、上記平面視で、上記環状領域において、上記ベース部の外周縁と上記イオン選択膜の外周縁に沿って延在する、環状または円弧の輪郭を有する
ことを特徴とする。
「環状」は、円環状に限られず、例えば、丸角の長方形(正方形を含む)であってもよい。
この一実施形態の電解液分析用試験片では、上記水検知材は、上記平面視で、上記環状領域において、上記ベース部の外周縁と上記イオン選択膜の外周縁に沿って延在する、環状または円弧の輪郭を有する。したがって、上記水検知材が上記環状領域の全周のうち例えば一方位のみに相当する部分に限定して設けられている場合に比して、上記イオン選択膜の剥がれの有無を検知可能な方位(範囲)が広がる。
一実施形態の電解液分析用試験片では、
上記水検知材は上記円弧の輪郭を有し、上記円弧の端部同士の間に隙間があり、
上記平面視で、上記円弧の端部同士の間の上記隙間を、上記電極層の上記延在部が通っている
ことを特徴とする。
この一実施形態の電解液分析用試験片では、上記平面視で、上記円弧の端部同士の間の上記隙間を、上記電極層の上記延在部が通っている。したがって、上記円弧を上記電極層の上記延在部が横切っている場合に比して、上記一方の主面上において段差が少なくなる。これにより、この電解液分析用試験片の使用段階で、この電解液分析用試験片の露出面(特に、段差の部分)が、この電解液分析用試験片の外部からの接触によって容易に傷つくような事態が防止される。
一実施形態の電解液分析用試験片では、
上記水検知材は、上記厚さ方向に関して上記一方の主面と上記ベース部との間に設けられ、上記平面視で、上記ベース部と重なった領域から上記環状領域内まで連続的に延在している
ことを特徴とする。
この一実施形態の電解液分析用試験片では、上記水検知材は、上記厚さ方向に関して上記一方の主面と上記ベース部との間に設けられている。典型的には、この電解液分析用試験片の作製段階では、上記基板の上記一方の主面上に上記水検知材を設けた後、上記ベース部を含む上記電極層が形成される。ここで、上記水検知材は、上記平面視で、上記ベース部と重なった領域(すなわち、上記ベース部の直下の領域)から上記環状領域内まで連続的に延在している。したがって、上記一方の主面上において、上記水検知材の輪郭は単純な形状であればよい。これにより、上記一方の主面上に上記水検知材を容易に設けることができる。
また、この電解液分析用試験片の作製後に、上記水検知材は、上記平面視で、上記ベース部と重なった領域(すなわち、上記ベース部の直下の領域)から上記環状領域内まで連続的に延在している。したがって、上記環状領域内で上記水検知材が上記ベース部の外周縁から離間している場合に比して、上記水検知材のうち上記環状領域に存在する部分の径方向寸法(周方向に対して垂直な方向の幅)を中心向きに拡大できる。その結果、上記イオン選択膜の剥がれの有無をユーザが容易に判別できる。
一実施形態の電解液分析用試験片では、
上記基板の上記一方の主面上に設けられた絶縁性を有する保護層を備え、
上記保護層は、上記電極層の上記延在部を覆う一方、上記ベース部と上記水検知材を露出させる開口を有する
ことを特徴とする。
この一実施形態の電解液分析用試験片では、上記保護層は、上記電極層の上記延在部を覆っている。したがって、上記電極層の上記延在部が保護される。なお、上記保護層は、上記一方の主面の上記他端の側で、上記電極層の上記延在部を露出させていてもよい。これにより、上記電極層の上記延在部が電極パッド部として、後述の本体のコネクタと電気的に接続されるようになっていてもよい。一方、上記保護層は、上記ベース部と上記水検知材を露出させる開口を有している。したがって、上記水検知材は、水と接触したとき元の色から変色する上記機能が損なわれることが無い。
一実施形態の電解液分析用試験片では、
上記平面視で、上記基板の上記一端の側の、上記ベース部、上記イオン選択膜および上記水検知材が設けられた内部領域をなす基板部分は、上記内部領域の周りを取り囲む周囲領域をなす基板部分に対して、上記厚さ方向に凹状に窪んでいる
ことを特徴とする。
この一実施形態の電解液分析用試験片では、上記平面視で、上記基板の上記一端の側の、上記ベース部、上記イオン選択膜および上記水検知材が設けられた内部領域をなす基板部分は、上記内部領域の周りを取り囲む周囲領域をなす基板部分に対して、上記厚さ方向に凹状に窪んでいる。したがって、上記内部領域に設けられた上記ベース部、上記イオン選択膜および上記水検知材(特に、上記イオン選択膜)が、この電解液分析用試験片の外部からの接触によって剥がれたり、傷ついたりするような事態が防止される。また、ユーザが上記電解液分析用試験片の上記一端の側に電解液を接触させる際に、上記基板の上記一端の側に形成された凹状の窪みに上記電解液を溜めることによって、上記イオン選択膜に上記電解液を容易に接触させることができる。
一実施形態の電解液分析用試験片では、
上記電解液は、互いに異なる第1のイオン種と第2のイオン種を含み、
上記特定領域は、上記一方の主面において、上記一方向に関して上記一端の側に、互いに離間して設定された第1、第2の特定領域を含み、
上記電極層は、上記基板の上記一方の主面において、
上記第1の特定領域に設けられた第1のベース部、および、この第1のベース部から上記他端の側へ延在する第1の延在部を含むとともに、
上記第2の特定領域に設けられた第2のベース部、および、この第2のベース部から上記他端の側へ延在する第2の延在部を含み、
上記第1のベース部と上記第1の延在部は上記第2のベース部と上記第2の延在部から離間して配置されており、
上記イオン選択膜は、
上記第1の特定領域において、上記第1のベース部を覆うように上記第1のベース部に接して設けられた、上記第1のイオン種を選択的に透過する性質を有する第1のイオン選択膜と、
上記第2の特定領域において、上記第2のベース部を覆うように上記第2のベース部に接して設けられた、上記第2のイオン種を選択的に透過する性質を有する第2のイオン選択膜とを含み、
上記一方の主面に対して垂直な厚さ方向に見られた平面視で、上記第1のベース部の外周縁と上記第1のイオン選択膜の外周縁とが第1の環状領域を画定するとともに、上記第2のベース部の外周縁と上記第2のイオン選択膜の外周縁とが第2の環状領域を画定しており、
上記第1の環状領域に、上記第1のイオン選択膜に覆われるように設けられた、水と接触したとき元の色から変色する性質を有する第1の水検知材を備え、かつ、
上記第2の環状領域に、上記第2のイオン選択膜に覆われるように設けられた、水と接触したとき元の色から変色する性質を有する第2の水検知材を備えた
ことを特徴とする。
この一実施形態の電解液分析用試験片では、上記第1、第2のイオン選択膜の剥がれがいずれも無い場合は、例えばユーザによる使用に際して、上記電解液分析用試験片の上記一端の側が水(例えば、電解液に含まれた水)に接触されたとき、上記第1、第2の環状領域に設けられた第1、第2の水検知材がいずれも元の色のままになっている。したがって、ユーザは、上記電解液分析用試験片における上記第1、第2の水検知材がいずれも元の色のままであるのを視認することによって、上記第1、第2のイオン選択膜の剥がれが無いことを判別できる。この場合、ユーザは、通常通り、上記第1のベース部と上記第1のイオン選択膜(これらを併せて「第1のイオン感応電極」と呼ぶ。)、および、上記第2のベース部と上記第2のイオン選択膜(これらを併せて「第2のイオン感応電極」と呼ぶ。)によって電解液に含まれた第1、第2のイオンの濃度(典型的には、第1のイオンと第2のイオンとの間の濃度比)の測定を行うことができる。一方、上記電解液分析用試験片において上記第1または第2のイオン選択膜の剥がれが有る場合は、ユーザによる使用に際して、上記電解液分析用試験片の上記一端の側が水(例えば、電解液に含まれた水)に接触されたとき、上記第1または第2の水検知材が元の色から変色する。したがって、ユーザは、上記電解液分析用試験片における上記第1または第2の水検知材が変色しているのを視認することによって、上記第1または第2のイオン選択膜の剥がれが有ることを判別できる。この場合、ユーザは、上記イオン選択膜の剥がれが有る電解液分析用試験片を新たな電解液分析用試験片に交換して、上記新たな電解液分析用試験片を用いて第1、第2のイオンの濃度の測定を試みることになる。
このように、この電解液分析用試験片では、上記第1、第2のイオン選択膜の剥がれの有無をユーザが容易に判別できる。したがって、上記第1、第2のイオン選択膜の剥がれがいずれも無いと判定された状態で、電解液に含まれたイオンの濃度(典型的には、上記第1のイオンと上記第2のイオンとの間の濃度比)が測定され得る。これにより、測定結果の信頼度が高まる。
上記第1のイオンと上記第2のイオンとの間の濃度比を測定する場合、上記電解液分析用試験片の上記一端の側に設けられた上記第1のイオン選択膜と上記第2のイオン選択膜が一体として測定対象としての電解液に接触される。この状態で、上記第1のイオン感応電極が発生した電位(これを「第1の電位」と呼ぶ。)、上記第2のイオン感応電極が発生した電位(これを「第2の電位」と呼ぶ。)が、それぞれ上記第1の延在部、上記第2の延在部を通して検出される。そして、上記第1の電位と上記第2の電位との間の電位差に基づいて、上記電解液に含まれた上記第1のイオンと上記第2のイオンとの間の濃度比が測定され得る。
別の局面では、この開示の電解液分析装置は、
電解液に含まれた第1のイオン種と第2のイオン種との間の濃度比を測定する電解液分析装置であって、
上記電解液分析用試験片と、
本体とを備え、
上記本体は、
上記電解液分析用試験片の上記他端の側が挿入され、上記第1の延在部、上記第2の延在部にそれぞれ接触する第1の接触電極、第2の接触電極を有するコネクタと、
上記電解液分析用試験片の上記第1および第2のイオン選択膜と上記電解液とが接触したとき、上記コネクタの上記第1の接触電極を通して得られた第1の電位と上記第2の接触電極を通して得られた第2の電位との間の電位差に基づいて、上記電解液に含まれた上記第1のイオン種と上記第2のイオン種との間の濃度比を算出する演算部とを
搭載していることを特徴とする。
この開示の電解液分析装置では、上記電解液分析用試験片の使用段階で、上記電解液分析用試験片の上記他端の側が上記コネクタに挿入される。上記コネクタの第1の接触電極、第2の接触電極は、上記第1の延在部、上記第2の延在部にそれぞれ接触する。この状態で、ユーザが上記電解液分析用試験片の上記一端の側に電解液(例えば、校正のための標準液)に接触させるものとする。これにより、上記第1のイオン感応電極(上記第1のベース部と上記第1のイオン選択膜)が発生した第1の電位、上記第2のイオン感応電極(上記第2のベース部と上記第2のイオン選択膜)が発生した第2の電位が、それぞれ上記第1の接触電極、上記第2の接触電極に得られる。また、上述のように、上記電解液分析用試験片によれば、上記イオン選択膜の剥がれの有無をユーザが容易に判別できる。したがって、上記イオン選択膜の剥がれが無いとユーザが判別した状態で、電解液に含まれたイオンの濃度が測定され得る。すなわち、演算部は、上記第1の電位と上記第2の電位との間の電位差に基づいて、上記電解液に含まれた上記第1のイオン種と上記第2のイオン種との間の濃度比を算出する。このようにして、上記電解液に含まれた第1のイオン種と第2のイオン種との間の濃度比が測定され得る。これにより、測定結果の信頼度が高まる。
一実施形態の電解液分析装置では、
上記電解液による校正および/または上記濃度比の算出の開始指示を入力するための操作部と、
上記電解液による校正および/または上記濃度比の算出の開始前に、上記電解液分析用試験片の上記第1または第2の水検知材が上記元の色から変色しているか否かの視認をユーザに求める視認要求を行う視認要求部と、
上記視認要求が行われた状態で上記操作部を介して上記開始指示が入力されたことをトリガとして、上記校正および/または上記濃度比の算出を開始する制御を行う制御部と
を備えたことを特徴とする。
この一実施形態の電解液分析装置では、上記電解液分析用試験片の使用段階で、例えばユーザが、上記電解液分析用試験片の上記他端の側を上記コネクタに挿入した状態で、上記電解液分析用試験片の上記一端の側に電解液(例えば、校正のための標準液)に接触させるものとする。ここで、上記視認要求部は、上記電解液による校正および/または上記濃度比の算出の開始前に、上記電解液分析用試験片の上記第1または第2の水検知材が上記元の色から変色しているか否かの視認をユーザに求める視認要求を行う。ユーザは、この視認要求によって、上記第1または第2の水検知材が上記元の色から変色しているか否か視認することを促される。上記第1または第2の水検知材が上記元の色から変色しているときは、ユーザは、上記第1または第2のイオン選択膜の剥がれが有ることを判別できる。この場合、ユーザは、上記イオン選択膜の剥がれが有る電解液分析用試験片を新たな電解液分析用試験片に交換して、上記新たな電解液分析用試験片を用いてイオンの濃度の測定を試みることができる。一方、上記第1および第2の水検知材がいずれも上記元の色のままであるときは、ユーザは、上記第1または第2のイオン選択膜の剥がれが無いことを判別できる。この場合、ユーザは、上記操作部を介して上記開始指示を行う。上記制御部は、上記視認要求表示が行われた状態で上記操作部を介して上記開始指示が入力されたことをトリガとして、上記校正および/または上記濃度比の算出を開始する制御を行う。つまり、上記第1または第2のイオン選択膜の剥がれが無いとユーザが判別した状態で、上記電解液による校正および/または上記濃度比の算出の処理が行われる。したがって、測定結果の信頼度が高まる。
以上より明らかなように、この開示の電解液分析用試験片によれば、上記イオン選択膜の剥がれの有無をユーザが容易に判別できる。また、この開示の電解液分析装置によれば、上記イオン選択膜の剥がれが無いとユーザが判別した状態で、上記イオンの濃度を測定することができる。
図1(A)は、この発明の一実施形態の電解液分析装置としての電気化学的センサの概略構成を示す図である。図1(B)は、上記電気化学的センサの本体を斜めから見たところを模式的に示す図である。 図2(A)は、上記電気化学的センサが含む電解液分析用試験片の平面レイアウトを示す図である。図2(B)は、図2(A)における電解液分析用試験片のB-B線矢視断面を部分的に拡大または省略して模式的に示す図である。 図3(A)~図3(D)は、上記電解液分析用試験片の作製手順を示す図である。 図4(A)~図4(C)は、上記電解液分析用試験片が含み得る水検知材の一例を示す図である。 図5(A)、図5(B)は、上記電解液分析用試験片が含み得る水検知材の別の例を示す図である。 図6(A)、図6(B)は、上記電解液分析用試験片が含み得る水検知材のさらに別の例を示す図である。 図7(A)、図7(B)は、上記電解液分析用試験片が含むイオン選択膜の作製の仕方の一例を示す図である。 上記電解液分析用試験片が含むイオン選択膜の作製の仕方の別の例を示す図である。 上記電気化学的センサのブロック構成を示す図である。 ユーザとしての被験者が、上記電気化学的センサを用いて、電解液としての尿中におけるナトリウムイオン、カリウムイオンの間の濃度比を測定する電解液分析方法のフローを示す図である。 図11(A)は、上記電解液分析用試験片にイオン選択膜の剥がれが無い場合に、その試験片の一端の側を覆うように標準液が接触された態様を示す図である。図11(B)は、上記電解液分析用試験片にNa膜剥がれが有る(一方、K膜剥がれは無い)場合に、その試験片の一端の側を覆うように標準液が接触された態様を示す図である。 上記電解液分析方法のフローにおいて、標準液による校正開始から尿測定完了までの、ナトリウムイオン感応電極とカリウムイオン感応電極との間の電位差の変化を例示する図である。 図13(A)は、図2(A)の電解液分析用試験片を変形した変形例の電解液分析用試験片の平面レイアウトを示す図である。図13(B)は、図13(A)における電解液分析用試験片のB-B線矢視断面を部分的に拡大または省略して模式的に示す図である。 図14(A)~図14(D)は、上記変形例の電解液分析用試験片の作製手順を示す図である。 図15(A)は、上記変形例の電解液分析用試験片にイオン選択膜の剥がれが無い場合に、その試験片の一端の側を覆うように標準液が接触された態様を示す図である。図15(B)は、上記変形例の電解液分析用試験片にK膜剥がれが有る(一方、Na膜剥がれは無い)場合に、その試験片の一端の側を覆うように標準液が接触された態様を示す図である。を示す図である。 上記電解液分析用試験片が含み得る水検知材の別の態様を示す図である。 上記電解液分析用試験片が含み得る水検知材のさらに別の態様を示す図である。 図18(A)は、図2(A)の電解液分析用試験片を変形したさらに別の変形例の電解液分析用試験片の平面レイアウトを示す図である。図18(B)は、図18(A)における電解液分析用試験片のB-B線矢視断面を部分的に拡大して模式的に示す図である。
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(電気化学的センサの概略構成)
図1(A)は、この発明の一実施形態の電解液分析装置としての電気化学的センサ90の概略構成を示している。なお、理解の容易のために、図1(A)に加えて、後述の図1(B)、図2(A)、図2(B)、図13(A)、図13(B)では、XYZ直交座標系が併せて図示されている。
この電気化学的センサ90は、大別して、電解液分析用試験片(以下、単に「試験片」と呼ぶ。)30と、この試験片30が装着されるべき本体10とを備えている。この試験片30は、測定対象の電解液に含まれた第1のイオン種と第2のイオン種との間の濃度比を測定するために用いられる。この例では、測定対象の電解液は尿であり、第1のイオン種はナトリウムイオンであり、また、第2のイオン種はカリウムイオンであるものとする。また、校正のための電解液として、ナトリウムイオンとカリウムイオンとを予め定められた濃度比(すなわち、Na/K比)で含む標準液が用いられる。
(試験片の構成)
図2(A)は、基板31の表面31aに対して垂直な厚さ方向に見られた平面視で、試験片30の平面レイアウトを示している。また、図2(B)は、図2(A)におけるB-B線矢視断面、特にカリウムイオン感応電極部分の断面を模式的に示している。これらの図によって分かるように、試験片30は、一方向としてのX方向に一端31eから他端31fまで細長く延在する1枚の平板状の基板31と、基板31の一方の主面である表面31aにおいて、X方向に関して一端31eの側の円形の第1の特定領域51w1に設けられた第1のイオン感応電極としてのナトリウムイオン感応電極41と、第1の特定領域51w1よりも一端31eに近い円形の第2の特定領域51w2に設けられた第2のイオン感応電極としてのカリウムイオン感応電極42と、これらのナトリウムイオン感応電極41、カリウムイオン感応電極42から他端31fの側へそれぞれ延在する第1、第2の電極層43,44とを備えている。
なお、「一端31eの側」とは、X方向に関して一端31eと他端31fのうち一端31eに近い側を指す。また、「他端31fの側」とは、X方向に関して一端31eと他端31fのうち他端31fに近い側を指す。
第1の電極層43は、第1の特定領域51w1に設けられた第1のベース部としての円形のベース部43aと、このベース部43aから他端31fの側へ細長く延在するリード部43bと、このリード部43bに連なって他端31fの側に設けられた、リード部43bよりも幅広の電極パッド部43cとを有している。リード部43bと電極パッド部43cとは、第1の延在部を構成している。第2の電極層44は、第2の特定領域51w2に設けられた第2のベース部としての円形のベース部44aと、このベース部44aから他端31fの側へ細長く延在するリード部44bと、このリード部44bに連なって他端31fの側に設けられた、リード部44bよりも幅広の電極パッド部44cとを有している。リード部44bと電極パッド部44cとは、第2の延在部を構成している。第1の電極層43と第2の電極層44とは、互いに離間して配置されている。これに対応して、基板31の他端31fに沿って、電極パッド部43c,44cが互いに離間して並んでいる。この例では、ナトリウムイオン感応電極41、カリウムイオン感応電極42の有効な領域(機能する領域)を画定するベース部43a,44aの直径は、いずれも約4mmに設定されている。
図2(B)によって分かるように、カリウムイオン感応電極42は、第2の電極層44のベース部44aと、このベース部44aを覆うようにベース部44aに接して設けられた、第2のイオン選択膜としての円形の平面形状を有するカリウムイオン選択膜42iとを備えている。図2(B)では図示が省略されているが、図2(A)に示すように、ナトリウムイオン感応電極41も同様に、第1の電極層43のベース部43aと、このベース部43aを覆うようにベース部43aに接して設けられた、第1のイオン選択膜としてのナトリウムイオン選択膜41iとを備えている。ナトリウムイオン感応電極41、カリウムイオン感応電極42は、測定対象の電解液(この例では、尿)と接触して、それぞれナトリウムイオンの濃度に応じた第1の電位(これをE1とする。)、カリウムイオンの濃度に応じた第2の電位(これをE2とする。)を発生させる。この例では、ナトリウムイオン選択膜41i、カリウムイオン選択膜42iの直径は、いずれも約10mmに設定されている。
図2(A)の平面視で、カリウムイオン感応電極42では、ベース部44aの外周縁44aoとイオン選択膜42iの外周縁42ioとが円環状の第2の環状領域AR2を画定している。この環状領域AR2に、イオン選択膜42iに覆われるように、水と接触したとき元の色から変色する性質を有する第2の水検知材48が設けられている。図2(A)の平面視で、水検知材48は、環状領域AR2において、ベース部44aの外周縁44aoとイオン選択膜42iの外周縁42ioに沿って、より詳しくはベース部44aの外周縁44aoとイオン選択膜42iの外周縁42ioとの両方から離間して、略全周にわたって延在する円弧の輪郭を有している。同様に、ナトリウムイオン感応電極41では、ベース部43aの外周縁43aoとイオン選択膜41iの外周縁41ioとが第1の環状領域AR1を画定している。この環状領域AR1に、イオン選択膜41i覆われるように、水と接触したとき元の色から変色する性質を有する第1の水検知材47が設けられている。図2(A)の平面視で、水検知材47は、環状領域AR1において、ベース部43aの外周縁43aoとイオン選択膜41iの外周縁41ioに沿って、より詳しくはベース部43aの外周縁43aoとイオン選択膜41iの外周縁41ioとの両方から離間して、略全周にわたって延在する円弧の輪郭を有している。このように水検知材47,48は、環状領域AR1,AR2において、それぞれイオン選択膜41iの外周縁41io、イオン選択膜42iの外周縁42ioから離間している。したがって、イオン選択膜41i,42iが正常に存在すれば(剥がれが無ければ)、水検知材47,48は、それぞれイオン選択膜41i,42iによって確実に覆われた状態にある。また、水検知材47,48は環状領域AR1,AR2の略全周にわたる円弧の輪郭を有しているので、水検知材47,48が環状領域AR1,AR2の全周のうち例えば一方位のみに相当する部分に限定して設けられている場合に比して、それぞれイオン選択膜41i,42iの剥がれの有無を検知可能な方位(範囲)が広がる。この例では、水検知材47,48の内径はいずれも約5mmに設定され、水検知材47,48の外径(外周縁の直径)はいずれも約8mmに設定されている。
基板31の表面31aには、保護層としての絶縁膜51が設けられている。絶縁膜51は、X方向に関して、一端31eから、概ね電極パッド部43c,44cに達するところまでを覆っている。したがって、リード部43b,44bは、それぞれ絶縁膜51によって保護されている。一方、電極パッド部43c,44cは、絶縁膜51から露出しており、後述の本体のコネクタと電気的に接続されるようになっている。
基板31の表面31a上で、絶縁膜51は、この例ではそれぞれ上述の第1の特定領域51w1、第2の特定領域51w2を画定する、厚さ方向(Z方向)に貫通した2つの円形の開口(それぞれが画定する領域と同じ符号51w1,51w2で表す。)を有している。この例では、開口51w1,51w2の直径は、いずれも約9mmに設定されている。したがって、開口51w1内に、ベース部43aと、水検知材47とが露出している。また、開口51w2内に、ベース部44aと、水検知材48とが露出している。
基板31は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ガラス、シリコン、ポリイミドフィルム、ガラスエポキシ、ポリカーボネートまたはアクリルなどの絶縁性材料からなっている。したがって、表面31a(および裏面31b)も、絶縁性をもつ。基板31のサイズとして、この例では、X方向(長手方向)寸法が60~100mm程度、Y方向(幅方向)寸法が15~30mm程度、Z方向(厚さ方向)寸法が200μm程度に設定されている。
第1の電極層43、第2の電極層44は、Pt、Ag、Au、Ir、CまたはIrO2などの、互いに同じ導電性材料からなっている。第1の電極層43、第2の電極層44の厚さは、いずれも10μm程度になっている。
絶縁膜51は、光硬化型若しくは熱硬化型の絶縁性レジスト、または、絶縁性を有するシール、シート、テープなどからなっている。絶縁膜51の厚さは、30μm~100μm程度になっている。
水検知材47,48は、この例では、図4(A)に示すように水との接触前には白色Wであるが、図4(B)に示すように水との接触状態(吸水状態)では青色Bに発色するハイドロクロミックインクからなっている(なお、図2(A)、図2(B)を含む本願の添付図では、理解の容易のために、水検知材47,48が占める範囲が格子模様で描かれている。)。このようなハイドロクロミックインク自体は、公知であり、市販されている(例えば、パイロットインキ株式会社製「水発色カラー」、[令和4年9月9日検索]、インターネット< URL :https://www.pilotink.co.jp/metamo/ink/water.html>)。
ナトリウムイオン選択膜41i形成のための材料液として、この例では、Bis(12-corwn-4)、ポリ塩化ビニル(PVC)、2-ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)、テトラキス(4-クロロフェニル)ほう酸カリウム(K-TCPB)を、テトラヒドロフラン(THF)に溶解してなる溶液が用いられる。カリウムイオン選択膜42i形成のための材料液として、この例では、Bis(benzo-15-crown-5)、PVC、NPOE、K-TCPBをTHFに溶解してなる溶液が用いられる。これらの材料液は、それぞれ、例えば図7(A)に示すように、製造段階でシャーレなどの広口の容器180に入れられ、乾燥されて硬化される。そして、シート状のイオン選択膜、例えばナトリウムイオン選択膜141が得られたら、図7(B)に示すように、目的のサイズ(この例では、直径約10mm)にカットして、矢印C1で示すように取り出す。これにより、円形のナトリウムイオン選択膜41iが得られる。カリウムイオン選択膜42iについても同様に作製される。それに代えて、図8中に示すように、試験片30が有するイオン選択膜の1片ずつに対応した複数の凹部191,191,…を有する成形型190を用意してもよい。この場合、複数の凹部191,191,…にそれぞれイオン選択膜の材料液が入れられ、乾燥されて硬化される。そして、円形のイオン選択膜、例えばナトリウムイオン選択膜41iが得られたら、矢印C2で示すように取り出す。カリウムイオン選択膜42iについても同様に作製される。
(試験片の作製手順)
試験片30の作製手順は、例えば次のようなものである。まず、図3(A)に示すように、基板31の表面31a上に、例えばスクリーン印刷法によって、第1の電極層43、第2の電極層44を同時に形成する。
次に、図3(B)に示すように、例えばスクリーン印刷法によって、第1の電極層43のベース部43aの周りに、水検知材47として、この例では上述のハイドロクロミックインクを、ベース部43aと同心の円弧状の輪郭を有し、格子模様をなすように印刷する。これとともに、第2の電極層44のベース部44aの周りに、水検知材48として、この例では上述のハイドロクロミックインクを、ベース部44aと同心の円弧状の輪郭を有し、格子模様をなすように印刷する。このとき、水検知材47の端部47e,47f同士の隙間を第1の電極層43のリード部43bが通るように、ベース部43aの周りで水検知材47の方位を設定する。同様に、水検知材48の端部48e,48f同士の隙間を第2の電極層44のリード部44bが通るように、ベース部44aの周りで水検知材48の方位を設定する。これにより、水検知材47,48の円弧をリード部43b,44bが横切っている場合に比して、基板31の表面31a上において段差が少なくなる。これにより、この試験片30の使用段階で、この試験片30の露出面(特に、段差の部分)が、この試験片30の外部からの接触によって容易に傷つくような事態が防止される。
次に、図3(C)に示すように、その上に、例えばスクリーン印刷法によって、絶縁膜51を形成する。このとき、絶縁膜51は、電極パッド部43c,44cを露出させるとともに、2つの開口51w1,51w2を有する状態に形成される。開口51w1には、第1の電極層43のベース部43aと、水検知材47とが同心状態で露出する。開口51w2には、第2の電極層44のベース部44aと、水検知材48とが同心状態で露出する。この例では、開口51w1,51w2の径方向寸法(約9mm)は水検知材47,48の外周縁の径方向寸法(約8mm)よりも大きく設定されている。したがって、この試験片30の使用段階で、水検知材47,48は、水と接触したとき元の色から変色する機能が損なわれることが無い。
なお、図3(B)に示した水溶性のインクの印刷工程と図3(C)に示した絶縁膜の印刷工程との順序を入れ替えてもよい。
次に、図3(D)に示すように、この例では、基板31の表面31aの開口51w1に、予め円形に形成したナトリウムイオン選択膜41iを、同心に貼り付ける。この貼り付けの際には、ナトリウムイオン選択膜41iの円形の外周部を、THF(テトラヒドロフラン)または既述のナトリウムイオン選択膜41i形成のための材料液を用いて溶解しながら、水検知材47の周りを取り囲む領域に貼り付ける。これにより、ベース部43aとナトリウムイオン選択膜41iとで、ナトリウムイオン感応電極41が構成される。これとともに、基板31の表面31aの開口51w2に、予め円形に形成したカリウムイオン選択膜42iを、同心に貼り付ける。この貼り付けの際には、カリウムイオン選択膜42iの円形の外周部を、THF(テトラヒドロフラン)または既述のカリウムイオン選択膜42i形成のための材料液を用いて溶解しながら、水検知材48の周りを取り囲む領域に貼り付ける。これにより、ベース部44aとカリウムイオン選択膜42iとで、カリウムイオン感応電極42が構成される。貼り付けられたナトリウムイオン選択膜41i、カリウムイオン選択膜42iの色は透明になっている。これにより、試験片30の作製を完了する。
(本体の構成と濃度比の演算)
図1(B)は、電気化学的センサ90の本体10を斜めから見たところを模式的に示している。本体10は、この例では、ユーザの手で把持されるべき細長い角柱状の外形を有している。この結果、この電気化学的センサ90は、ユーザが本体10を手に持って使用する手持ちタイプの装置として構成されている。
本体10は、略角柱状の外周壁をなす筐体10sと、この筐体10sの前面(+Z側の面)10fの略中央に設けられた表示画面としての表示部20と、前面10f上で表示部20よりも+X側の位置に設けられた操作部13と、筐体10sの-X側の端面10tに設けられたコネクタ21とを備えている。表示部20は、この例ではLCD(液晶表示素子)からなり、後述の制御部11(図9参照)による演算結果などの各種情報を表示する。操作部13は、この例では3つの押しボタンスイッチ、すなわち、電気化学的センサ90の電源をオン、オフするための電源スイッチ13aと、ナトリウムイオン、カリウムイオンの間の既知の濃度比をもつ電解液(標準液)による校正開始の指示を入力するための校正スイッチ13bと、測定対象液としての尿中のナトリウムイオン、カリウムイオンの間の濃度比の算出開始の指示を入力するための測定スイッチ13cとを含んでいる。
コネクタ21は、試験片30を着脱可能に受け入れるために-X側に向かって開いたスロット22を有している。スロット22内には、試験片30の電極パッド部43c,44cにそれぞれ対応する位置に、L字状に屈曲した板ばねからなる2つの接触電極21a,21bが設けられている。これらの接触電極を、適宜、第1の接触電極21a、第2の接触電極21bと呼ぶ。図1(A)中に示すように、ユーザが試験片30の他端31fを矢印X1で示す向きにスロット22内に挿入すると、電極パッド部43c,44cがそれぞれ対応する接触電極21a,21bと接触して導通する。この結果、試験片30のナトリウムイオン感応電極41が発生した第1の電位E1、カリウムイオン感応電極42が発生した第2の電位E2が、それぞれ第1、第2の電極層43,44を介して第1、第2の接触電極21a,21bに伝わり、本体10に入力され得る。
図9に示すように、本体10には、上述の表示部20、操作部13、コネクタ21に加えて、制御部11と、電位差計測部12と、記憶部18と、通信部19と、電源部25とが搭載されて収容されている。制御部11は、ソフトウェアによって動作するCPU(Central Processing Unit)を含むMCU(Micro Controller Unit)からなり、後述するように電気化学的センサ90全体の動作を制御する。記憶部18は、半導体メモリからなり、電気化学的センサ90を制御するためのプログラムのデータ、電気化学的センサ90の各種機能を設定するための設定データ、および測定値のデータなどを記憶する。また、記憶部18は、プログラムが実行されるときのワークメモリなどとして用いられる。通信部19は、制御部11からの情報(この例では、測定値データ)を、ネットワーク900を介して他の装置(例えば、サーバ)へ送信する。また、他の装置からの情報を、ネットワーク900を介して受信して制御部11に受け渡す。電源部25は、制御部11、表示部20、電位差計測部12、記憶部18、通信部19、その他の本体10内の各部に電力を供給する。
電位差計測部12は、コネクタ21の第1、第2の接触電極21a,21bにそれぞれ配線71a,71bを介して接続された2つの入力部12a,12bを有している。電位差計測部12は、ナトリウムイオン感応電極41が発生する第1の電位E1を入力部12aに受けるとともに、カリウムイオン感応電極42が発生する第2の電位E2を入力部12bに受けて、第1の電位E1と第2の電位E2との間の電位差(これをΔEとする。)を増幅することができる。電位差計測部12は、電位差ΔEを増幅して制御部11に入力する。
また、制御部11は演算部として働いて、電位差計測部12によって増幅された電位差ΔEを用いて、測定対象の電解液(この例では、尿)に含まれたナトリウムイオンの濃度C1とカリウムイオンの濃度C2と間の濃度比(C1/C2)を算出することができる。
この電気化学的センサ90では、測定対象液に含まれたナトリウムイオンの濃度C1と、カリウムイオンの濃度C2と間の濃度比(C1/C2)が、次のような原理によって求められる。ここで、ナトリウムイオン感応電極41の感度S1、選択性k1を、それぞれカリウムイオン感応電極42の感度S2、選択性k2と揃えたものとする。つまり、S1-S2≒0であり、かつ、k1-k2≒0とする。その場合、特許文献1(特許第6127460号公報)に開示されているように、ナトリウムイオン感応電極41とカリウムイオン感応電極42との間の電位差ΔEは、次式(Eq.1)のように簡略化して表される。
ΔE=E1 0-E2 0+S1log(C1/C2) …(Eq.1)
ここで、E1 0-E2 0は定数であり、予め求められているものとする。したがって、ナトリウムイオン、カリウムイオンの間の既知の濃度比Mrをもつ電解液(標準液)についてΔEを測定して、パラメータとしての感度S1を求めれば、測定対象の電解液(この例では、尿)について電位差ΔEを測定することにより、式(Eq.1)に基づいて測定対象の電解液におけるナトリウムイオン、カリウムイオンの間の濃度比Ms(=C1/C2)を算出できる。
(電解液分析方法)
図10は、ユーザとしての被験者が、電気化学的センサ90を用いて、電解液としての尿中におけるナトリウムイオン、カリウムイオンの間の濃度比を測定する電解液分析方法のフローを示している。
予め、ユーザは、図1中に示したように、本体10のスロット22に矢印X1で示すように試験片30の他端31fを挿入して、本体10に試験片30を装着しているものとする。この状態を「装着状態」と呼ぶ。既述のように、この装着状態では、試験片30の電極パッド部43c,44cがそれぞれコネクタ21の接触電極21a,21bと接触して導通している。
次に、この装着状態で、ユーザは、本体10の電源スイッチ13aを押下してオンする(図10のステップS101)。すると、図9中に示した電源部25が本体10内の各部へ電力供給を開始する。この例では、制御部11は、表示部20に、電源がオンされたことを示す文字列として「ON」を表示させる。
次に、図10のステップS102で、ユーザは、試験片30(基板31)の一端31eの側(例えば、図11(A)、図11(B)中に破線で示す領域A1)を覆うように、電解液としての標準液を接触させる。ここで、この例では、ナトリウムイオン感応電極41、カリウムイオン感応電極42がいずれも基板31の表面31aに設けられているので、ユーザは、基板31の表面31aの領域A1を覆うように標準液を接触させれば足りる(それにより、後続の処理が可能となる。)。なお、領域A1を覆うように標準液を接触させる操作は、例えば、試験片30の一端31eの側に標準液を振りかけてもよいし、容器(図示せず)に入っている標準液に試験片30の一端31eの側を浸漬してもよい。
次に、図10のステップS103で、制御部11は視認要求部として働いて、試験片30の第1または第2の水検知材47,48が元の色から変色しているか否かの視認をユーザに求める視認要求を行う。この例では、制御部11は、表示部20に、視認要求表示として「変色あり?」という文字列を表示させる。この視認要求表示の開始のタイミングは、例えば、本体10に試験片30が装着されて、コネクタ21の接触電極21a,21b間に何らかの電位差ΔE12が現れた時点、つまり、後述の校正および/または濃度比算出の開始前とすることができる。ユーザは、この視認要求表示を見て、装着されている試験片30の第1または第2の水検知材47,48が元の色から変色しているか否か、この例では白色Wから青色Bに変色しているか否か視認することを促される。この例では、この視認要求表示は、ユーザによる何らかの操作(例えば、ステップS104における電源オフ、または、ステップS106における校正開始指示)がなされるまで継続される。
なお、視認要求としては、上記視認要求表示に加えて、または、上記視認要求表示に代えて、例えばスピーカ、ブザーなどを備えて、水検知材47,48が元の色から変色しているか否かの視認を求めることを表すメッセージ音、ブザー音などの、音を発生させてもよい。
ここで、第1または第2の水検知材47,48が元の色から変色しているときは、ユーザは、第1または第2のイオン選択膜41i,42iの剥がれが有ることを容易に判別できる。例えば、図11(B)に示すように、第1の水検知材47が青色Bに変色していることによって、第1のイオン選択膜41iの剥がれ(Na膜剥がれ)が有ることを判別できる。なお、図11(B)の例では、第2の水検知材48は元の白色Wのままであるから、第2のイオン選択膜42iの剥がれ(K膜剥がれ)は無い。このようなNa膜剥がれ(またはK膜剥がれ)がある場合、図10のステップS104に示すように、ユーザは、本体10の電源スイッチ13aをもう一度押下して、本体10の電源をオフする。そして、ステップS105に示すように、イオン選択膜41i,42iの剥がれが有る試験片30を新たな試験片30に交換して、新たな試験片30を用いてイオンの濃度の測定を試みることができる。
一方、図11(A)に示すように、装着されている試験片30の第1および第2の水検知材47,48がいずれも元の色のまま(この例では、白色W)であるときは、ユーザは、第1または第2のイオン選択膜41i,42iの剥がれが無いことを判別できる。この場合、ステップS106へ進んで、ユーザは、校正スイッチ13bを押下してオンする。これにより、校正の開始を指示する。すると、制御部11は、視認要求表示が行われた状態で校正スイッチ13bを介して校正の開始指示が入力されたことをトリガとして、校正を開始する制御を行う。
この例では、制御部11は校正処理部として働いて、校正処理を開始する。具体的には、制御部11は、電位差計測部12によって増幅された第1の電位E1と第2の電位E2との間の電位差ΔEを取得し(ステップS107)、標準液についての電位差ΔEの値が収束するのを待つ(ステップS108)。ここで、図12中の「校正中」の期間に示すように、電位差ΔEは、標準液が有するナトリウムイオン、カリウムイオンの間の濃度比Mrに応じた値(この例では、Er)に収束する(例えば、5秒間で2mV以内の変動となる)。この例では、図12中に示す時刻t1に電位差ΔEがErに収束したものとする。制御部11は、電位差ΔEがErに収束すると(図10のステップS108でYES)、標準液についての電位差ΔEをErとして決定し、この電位差Erと、濃度比Mrとを用いて、既述の式(Eq.1)に基づいて、感度S1を求める(校正完了)。そして、校正が完了した旨をユーザに報知する。この例では、制御部11は、表示部20に、校正が完了した旨を表す文字列として「CAL_OK」を表示させる(図10のステップS109)。
この校正が完了した旨を表す表示を見て、ユーザは、領域A1を一体に覆うように接触している電解液を、標準液から測定対象液としての尿に置換する操作を行う(図10のステップS110)。ここで、領域A1に接触している電解液を、標準液から尿に置換する操作は、例えば、試験片30の一端31eの側に尿を振りかけてもよいし、容器(図示せず)に溜めた尿に試験片30の一端31eの側を浸漬してもよい。
このとき、ナトリウムイオン感応電極41、カリウムイオン感応電極42は、尿と接触して、それぞれナトリウムイオンの濃度に応じた第1の電位E1、カリウムイオンの濃度に応じた第2の電位E2を発生させる。
次に、ユーザは、測定スイッチ13cを押下して、尿中のナトリウムイオン、カリウムイオンの間の濃度比Ms(=C1/C2)の測定開始を指示する(図10のステップS111)。すると、制御部11は、尿測定処理を開始する。すなわち、制御部11は演算部として働いて、電位差計測部12を介して、試験片30のナトリウムイオン感応電極41とカリウムイオン感応電極42との間の電位差ΔE(=E1-E2)を観測する(ステップS112)。ここで、図12中の「尿測定待ち」の期間に示すように、電位差ΔEは、電解液の置換に伴って一旦(この例では、時刻t2前後で)変動する。しかし、電位差ΔEは、一旦変動した後、図12中の「尿測定中」の期間に示すように、次第に尿が有するナトリウムイオン、カリウムイオンの間の濃度比に応じた値(この例では、Es)に再び収束する(例えば、5秒間で2mV以内の変動となる)。この例では、図12中に示す時刻t3に電位差ΔEがEsに収束したものとする。制御部11は、電位差ΔEがEsに収束すると(図10のステップS113でYES)、尿についての電位差ΔEをEsとして決定する(図10のステップS114)。
続いて、制御部11は演算部として働いて、図10のステップS109で求めた感度S1と、この電位差Esとを用いて、既述の式(Eq.1)に基づいて、尿についての濃度比Ms(=C1/C2)(すなわち、Na/K比)を算出する(図10のステップS115)。
続いて、制御部11は、表示部20に、測定結果(この例では、Na/K比)を表示させる(図10のステップS116)。例えば、測定結果としてのNa/K比が4.0であったものとする。その場合、表示部20に、測定結果を表す文字列として「Na/K=4.0」を表示させる。これとともに、この例では、制御部11は、通信部19を動作させて、測定値データ(すなわち、Na/K比)を表す情報を、ネットワーク900を介して他の装置(この例では、サーバ)へ送信する。
この後、制御部11は、ユーザによって操作部13を介して何らかの指示が入力されるのを待つ(図10のステップS117)。指示が入力されないまま所定時間(この例では、3分間)が経過したら(ステップS117でYES)、制御部11は、電気化学的センサ90の電源を自動的にオフする(ステップS118)。
このように、この電気化学的センサ90による電解液分析方法のフローでは、第1または第2のイオン選択膜41i,42iの剥がれが無いとユーザが判別した状態で、校正および/またはNa/K比の算出の処理が行われる。したがって、測定結果(この例では、Na/K比)の信頼度が高まる。
また、この電気化学的センサ90では、試験片30と、試験片30が着脱可能に装着される本体10とを備えているので、或る試験片30が使用された後、使い捨てされ、新たな試験片が本体10に装着される、という使用態様が可能となる。
上の例では、第1、第2のイオン種としてナトリウムイオンとカリウムイオンとの間の濃度比を測定する場合について説明したが、それに限られるものではない。この電気化学的センサ90は、ナトリウムイオン、カリウムイオン以外に、例えばカルシウムイオン、塩化物イオン、リチウムイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、ヨウ化物イオン、マグネシウムイオン、臭化物イオン、過塩素酸イオン、水素イオンなどの、様々なイオンの間の濃度比を測定するのに適用できる。
(変形例1)
上の例では、水検知材47,48は、元(水との接触前)の色は白色Wであり、水との接触後に青色Bに変化するハイドロクロミックインクからなるものとした。しかしながら、これに限られるものではない。例えば、水検知材47,48としては、ハイドロクロミックインクであって、白色Wから緑色に変化するもの、白色Wから黒色に変化するもの、黄色から橙色に変化するもの、青色から紫色に変化するもの、ピンク色から紫色に変化するものなどであってもよい。
また、ハイドロクロミックインクとしては、元の色(例えば、白色W)から、水と接触して一旦変色した後、乾燥すると、再び元の色に戻るタイプ(可逆タイプ)と、元の色(例えば、白色W)から、水と接触して例えば青色Bに変色した後、乾燥すると、図5(C)に示すように、例えばピンク色Pkに変色してそのピンク色Pkを保持するタイプとが市販されている。試験片30の水検知材47,48としては、膜剥がれが有る試験片30の誤使用を防ぐという観点から、後者のタイプであってもよい。
(変形例2)
上の例では、水検知材47,48は、ハイドロクロミックインクからなるものとしたが、これに限られるものではなく、水溶性インクからなるものとしてもよい。このような水溶性インク自体は、公知であり、市販されている。このような水溶性インクとしては、例えば図5(A)に示すように、水との接触前には赤色Rの水玉模様であったインク(この例では、縦5mm×横5mmの範囲内に印刷されている)が、水に濡れると溶けて滲むようになっているものがある。これにより、水との接触後には、図5(B)に示すように、インクが不可逆に広がって、略均一な無地の中間色(この例では、赤色と白地Wとの中間色であるピンク色Pk)になる。
試験片30の水検知材47,48として、ハイドロクロミックインクに代えて、水溶性インクを印刷した場合であっても、イオン選択膜41i,42iの剥がれの有無をユーザが容易に判別できるという作用効果が得られる。すなわち、イオン選択膜41i,42iの剥がれが無い場合は、例えばユーザによる使用(電解液に含まれたイオンの濃度の測定)に際して、試験片30の一端の側が水(例えば、電解液に含まれた水)に接触されたとき、環状領域AR1,AR2に設けられた水検知材47,48が元の色および模様のままになっている。したがって、ユーザは、試験片30における水検知材47,48が元の色および模様のままであるのを視認することによって、イオン選択膜41i,42iの剥がれが無いことを判別できる。この場合、ユーザは、イオン感応電極41,42によって電解液に含まれたイオンの濃度の測定を行うことができる。一方、試験片30においてイオン選択膜41i,42iの剥がれが有る場合は、ユーザによる使用に際して、試験片30の一端の側が水(例えば、電解液に含まれた水)に接触されたとき、水検知材47,48が元の色および模様から略均一な無地の中間色(上の例では、ピンク色Pk)に変色する。したがって、ユーザは、試験片30における水検知材47,48が略均一な無地の中間色に変色しているのを視認することによって、イオン選択膜41i,42iの剥がれが有ることを判別できる。この場合、ユーザは、膜剥がれが有る試験片30を新たな試験片30に交換して、新たな試験片30を用いてイオンの濃度の測定を試みることができる。
(変形例3)
上の例では、水検知材47,48は、ハイドロクロミックインクまたは水溶性インクであるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、水検知材47,48は、図6(A)に示すように水との接触前には黄色Yであるが、図6(B)に示すように水に接触すると、水に接触した部分が濃青色DBに不可逆に変色するタイプの、公知の感水紙であってもよい。水検知材47,48としてこのタイプの感水紙を用いる場合、試験片30を作製する際に、図3(B)に示した水検知材47,48を設ける工程で、インクの印刷に代えて、例えば市販の感水紙(シールタイプ)を円弧状にカットして、基板31の表面31aに貼り付ける。それ以外の工程は、図3(A)~図3(D)によって説明したのと同様に行う。これにより、水検知材47,48としてこのタイプの感水紙を備えた試験片30を作製できる。水検知材47,48としてこのタイプの感水紙を備えた場合であっても、イオン選択膜41i,42iの剥がれの有無をユーザが容易に判別できるという作用効果が得られる。
(変形例4)
上の例では、図2(A)の平面視で、第1および第2の水検知材47,48は、それぞれ環状領域AR1,AR2において略全周にわたって延在する円弧の輪郭を有するものとした。しかしながら、これに限られるものではない。例えば、第1および第2の水検知材は、図16中に示す水検知材47hのように、略半周にわたって延在する1/2円弧の輪郭を有してもよい。また、第1および第2の水検知材は、図16中に示す水検知材48q1,48q2,48q3,48q4のように、それぞれ略1/4周にわたって延在する1/4円弧の輪郭を有してもよい。これらの場合も、ユーザは、試験片30の一端の側に電解液を接触させた状態で、水検知材47h,48q1,48q2,48q3,48q4が元の色から変色しているか否かを視認することによって、イオン選択膜41i,42iの剥がれの有無を容易に判別できる。
なお、第1および第2の水検知材47,48が、それぞれ環状領域AR1,AR2において略全周にわたって延在する円弧の輪郭を有する態様では、水検知材47,48のうち一方位のみに相当する部分でも変色があれば、その試験片を使用不可とするのが望ましい。同様に、1つのイオン選択膜当たりに複数個の水検知材(例えば、図16中に示す水検知材48q1,48q2,48q3,48q4)を互いに離間して設ける態様では、1個の水検知材でも変色があれば、その試験片を使用不可とするのが望ましい。その理由は、試験片30のイオン選択膜41i,42iが一部でも剥がれていれば、そのような試験片30による測定結果は信頼性が乏しい、と言えるからである。
図16では、簡単のため、保護層としての絶縁膜51の図示が省略されているが、実際には、保護層としての絶縁膜51が設けられて、電極層43,44のリード部43b,44bの間を絶縁するのが望ましい。
(変形例5)
上の例では、図2(A)の平面視で、第1の水検知材47は、環状領域AR1において、ベース部43aの外周縁43aoとイオン選択膜41iの外周縁41ioに沿って、より詳しくはベース部43aの外周縁43aoとイオン選択膜41iの外周縁41ioとの両方から離間して円弧の輪郭を有するものとした。同様に、第2の水検知材48は、環状領域AR2において、ベース部44aの外周縁44aoとイオン選択膜42iの外周縁42ioに沿って、より詳しくはベース部44aの外周縁44aoとイオン選択膜42iの外周縁42ioとの両方から離間して円弧の輪郭を有するものとした。しかしながら、これに限られるものではない。水検知材は、それぞれ厚さ方向(Z方向)に関して基板31の表面31aとベース部43a,44aとの間に設けられ、上記平面視で、それぞれベース部43a,44aと重なった領域から環状領域AR1,AR2内まで連続的に延在していてもよい。
図13(A)は、基板31の表面31aに対して垂直な厚さ方向に見られた平面視で、そのように変形した試験片(符号30′で示す)の平面レイアウトを示している。また、図13(B)は、図13(A)におけるB-B線矢視断面、特にカリウムイオン感応電極部分の断面を模式的に示している。これらの図13(A)、図13(B)において、図2(A)、図2(B)におけるのと同一の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この試験片30′では、第1の水検知材47′は、厚さ方向(Z方向)に関して基板31の表面31aとベース部43aとの間に設けられ、上記平面視で、ベース部43aと重なった領域から環状領域AR1内まで連続的に延在している。同様に、第2の水検知材48′は、厚さ方向(Z方向)に関して基板31の表面31aとベース部44aとの間に設けられ、上記平面視で、ベース部44aと重なった領域から環状領域AR2内まで連続的に延在している。この結果、上記平面視で、水検知材47′,48′は、いずれも円環状の輪郭を有している。この例では、水検知材47′,48′の外径(外周縁の直径)は、試験片30におけるのと同様に、いずれも約8mmに設定されている。
この試験片30′では、絶縁膜51の開口51w1′,51w2′の直径は、絶縁膜51が水検知材47′,48′の外周縁とオーバラップするように、いずれも約7mmに設定されている。
試験片30′の作製手順は、例えば次のようなものである。まず、図14(A)に示すように、基板31の表面31aにおいて、X方向に関して一端31eの側の円形の第1の特定領域に、水検知材47′として、この例ではハイドロクロミックインク(水との接触前には白色Wであるが、水との接触状態では青色Bに発色するもの)を、円形の輪郭をなすように印刷する。これとともに、基板31の表面31aにおいて、X方向に関して水検知材47′よりも一端31eに近い円形の第2の特定領域に、水検知材48′として、この例ではハイドロクロミックインク(水との接触前には白色Wであるが、水との接触状態では青色Bに発色するもの)を、円形の輪郭をなすように印刷する。ここで、表面31a上において、水検知材47′,48′の輪郭は、既述の例に比して、単純な形状(この例では、円形)であればよい。これにより、表面31a上に水検知材47,48を容易に設けることができる。なお、この例では、第1、第2の特定領域は、それぞれ水検知材47′,48′が占める領域に相当する。
次に、図14(B)に示すように、水検知材47′,48′が設けられた基板31の表面31a上に、例えばスクリーン印刷法によって、第1の電極層43、第2の電極層44を同時に形成する。このとき、第1の電極層43のベース部43aは、水検知材47′上に同心に重ねて形成される。リード部43bは、このベース部43aから水検知材47′上を通り、他端31fの側へ細長く延在する。同様に、第2の電極層44のベース部44aは、水検知材48′上に同心に重ねて形成される。リード部44bは、このベース部44aから水検知材48′上を通り、他端31fの側へ細長く延在する。ここで、水検知材47′,48′は、図14(B)の平面視で、ベース部43a,44aと重なった領域(すなわち、ベース部43a,44aの直下の領域)から環状領域AR1,AR2(図13(A)、図14(B)参照)内まで連続的に延在している。
次に、図14(C)に示すように、その上に、例えばスクリーン印刷法によって、絶縁膜51を形成する。このとき、絶縁膜51は、電極パッド部43c,44cを露出させるとともに、2つの開口51w1′,51w2′を有する状態に形成される。開口51w1′には、第1の電極層43のベース部43aと、水検知材47′とが同心状態で露出する。開口51w2′には、第2の電極層44のベース部44aと、水検知材48′とが同心状態で露出する。この例では、開口51w1′,51w2′の径方向寸法(約7mm)は水検知材47′,48′の外周縁の径方向寸法(8mm)よりも小さく設定されている。しかし、この例では、先の例(図2(A)、図2(B)参照)に比して、水検知材47′,48′のうち環状領域AR1,AR2に存在する部分の径方向寸法(周方向に対して垂直な方向の幅)が中心向きに拡大されている。したがって、この試験片30の使用段階で、水検知材47′,48′は、水と接触したとき元の色から変色する機能が損なわれることが無い。
次に、図14(D)に示すように、この例では、基板31の表面31aの開口51w1′に、予め円形に形成したナトリウムイオン選択膜41iを、同心に貼り付ける。この貼り付けの際には、ナトリウムイオン選択膜41iの円形の外周部を、THF(テトラヒドロフラン)または既述のナトリウムイオン選択膜41i形成のための材料液を用いて溶解しながら、水検知材47′の周りを取り囲む領域に貼り付ける。これにより、ベース部43aとナトリウムイオン選択膜41iとで、ナトリウムイオン感応電極41が構成される。これとともに、基板31の表面31aの開口51w2′に、予め円形に形成したカリウムイオン選択膜42iを、同心に貼り付ける。この貼り付けの際には、カリウムイオン選択膜42iの円形の外周部を、THF(テトラヒドロフラン)または既述のカリウムイオン選択膜42i形成のための材料液を用いて溶解しながら、水検知材48′の周りを取り囲む領域に貼り付ける。これにより、ベース部44aとカリウムイオン選択膜42iとで、カリウムイオン感応電極42が構成される。貼り付けられたナトリウムイオン選択膜41i、カリウムイオン選択膜42iの色は透明になっている。これにより、試験片30の作製を完了する。この例では、ナトリウムイオン選択膜41i、カリウムイオン選択膜42iの直径は、先の例と同様にいずれも約10mmに設定されているが、先の例よりも小さく、約9mmに設定されてもよい。
この試験片30′では、水検知材47′,48′のうち環状領域AR1,AR2に存在する部分の径方向寸法(周方向に対して垂直な方向の幅)が、先の例(図2(A)、図2(B)参照)に比して、中心向きに拡大されている。したがって、ユーザは、試験片30′の一端の側(例えば、図15(A)、図15(B)中に破線で示す領域A1)に電解液を接触させた状態で、水検知材47′,48′が元の色から変色しているか否かを視認することによって、イオン選択膜41i,42iの剥がれの有無を容易に判別できる。例えば、図15(B)に示すように、第2の水検知材47′が青色Bに変色していることによって、第2のイオン選択膜42iの剥がれ(K膜剥がれ)が有ることを判別できる。なお、図15(B)の例では、第1の水検知材47′は元の白色Wのままであるから、第1のイオン選択膜41iの剥がれ(Na膜剥がれ)は無い。一方、図15(A)に示すように、装着されている試験片30の第1および第2の水検知材47′,48′がいずれも元の白色Wであるときは、ユーザは、第1または第2のイオン選択膜41i,42iの剥がれが無いことを判別できる。
(変形例6)
上の変形例5では、水検知材47′,48′の輪郭はそれぞれ円形としたが、これに限られるものではない。例えば、図17に示すように、基板31の表面31aのうち、電極パッド部43c,44cが設けられるべき他端31fの側を除く略全域に、一体に水検知材49を設けてもよい。この水検知材49としては、例えば変形例3(図6(A)、図6(B)参照)で説明したような市販の感水紙(シールタイプ)を用い、基板31の表面31aに貼り付けてもよい。これにより、基板31の表面31a上に水検知材49をさらに容易に設けることができる。
(変形例7)
上の例では、試験片30は、ナトリウムイオン感応電極41とカリウムイオン感応電極42との2つのイオン感応電極を備えるものとした。しかしながら、これに限られるものではなく、1つのイオン感応電極のみを備えるものとしてもよい。具体的には、例えば図2(A)、図2(B)において、カリウムイオン選択膜42iと第2の水検知材48を省略して、第2の電極層44のベース部44aを、参照電極として構成してもよい。その場合、使用に際して、試験片30の一端31eの側に設けられたナトリウムイオン感応電極41と参照電極としてのベース部44aが一体として電解液に接触される。この状態で、ナトリウムイオン選択膜41iの剥がれ(Na膜剥がれ)が有る場合は、水検知材47が元の白色Wから青色Bに変色する。したがって、ユーザは、試験片30における水検知材47が青色Bに変色しているのを視認することによって、Na膜剥がれが有ることを判別できる。一方、Na膜剥がれが無い場合は、水検知材47が元の白色Wのままになっている。したがって、ユーザは、試験片30における水検知材47が元の白色Wのままであるのを視認することによって、Na膜剥がれが無いことを判別できる。この場合、ナトリウムイオン感応電極41と参照電極としてのベース部44aとの間の電位差に基づいて、上記電解液に含まれたナトリウムイオンの濃度が測定され得る。
また、その逆に、例えば図2(A)、図2(B)において、ナトリウムイオン選択膜41iと第1の水検知材47を省略して、第1の電極層43のベース部43aを、参照電極として構成してもよい。その場合、使用に際して、試験片30の一端31eの側に設けられたカリウムイオン感応電極42と参照電極としてのベース部43aが一体として電解液に接触される。この状態で、カリウムイオン選択膜42iの剥がれ(K膜剥がれ)が有る場合は、水検知材48が元の白色Wから青色Bに変色する。したがって、ユーザは、試験片30における水検知材48が青色Bに変色しているのを視認することによって、K膜剥がれが有ることを判別できる。一方、K膜剥がれが無い場合は、水検知材48が元の白色Wのままになっている。したがって、ユーザは、試験片30における水検知材48が元の白色Wのままであるのを視認することによって、K膜剥がれが無いことを判別できる。この場合、カリウムイオン感応電極42と参照電極としてのベース部43aとの間の電位差に基づいて、上記電解液に含まれたカリウムイオンの濃度が測定され得る。
(変形例8)
上の例では、基板31は平板状であるとしたが、これに限られるものではない。図18(A)は、図2(A)の試験片30を変形したさらに別の変形例の試験片(符号30″で示す)の平面レイアウトを示している。図18(B)は、図18(A)における試験片30″のB-B線矢視断面を部分的に拡大して模式的に示している。この変形例では、基板31の一端31eの側の、ナトリウムイオン感応電極41とカリウムイオン感応電極42とが設けられた略矩形の内部領域Ciをなす基板部分31iは、内部領域Ciの周りを取り囲む周囲領域Cr(この例では、図18(A)中に斜線を施して示す。周囲領域Crは、4辺Cr1,Cr2,Cr3,Cr4を含む。)をなす基板部分31rに対して、例えばスプーンのように、厚さ方向(-Z方向)に凹状に窪んでいる。これにより、凹状の窪み31o(図18(B)中に示す)が形成されている。このような窪み31oは、例えば、既述の図14(A)~図14(D)に示した作製工程で、図14(C)に示す絶縁膜51の形成まで完了した後、図14(D)に示すナトリウムイオン選択膜41i、カリウムイオン選択膜42iの貼り付けの前に、基板31の一端31eの側をプレス加工することによって形成され得る。
この試験片30″によれば、内部領域Ciに設けられたナトリウムイオン感応電極41(特に、ナトリウムイオン選択膜41i)とカリウムイオン感応電極42(特に、カリウムイオン選択膜42i)が、この試験片30″の外部からの接触によって剥がれたり、傷ついたりするような事態が防止される。また、ユーザが試験片30″の一端31eの側に電解液を接触させる際に、基板31の一端31eの側に形成された凹状の窪み31o(図18(B)に示す)に電解液を溜めることによって、ナトリウムイオン感応電極41とカリウムイオン感応電極42に電解液を容易に接触させることができる。
なお、図18(A)、図18(B)では、基板31の一端31eの側の、内部領域Ciをなす基板部分31iは、周囲領域Crをなす基板部分31rに対して、階段状に窪んでいるように描かれているが、これに限られるものではなく、滑らかに湾曲して窪んでいてもよい。また、基板31の一端31eの側の平面的な輪郭は、丸角になっていてもよい。
また、図2(A)の試験片30に限らず、図13(A)の試験片30′においても、基板31の一端31eの側の、ナトリウムイオン感応電極41とカリウムイオン感応電極42とが設けられた内部領域をなす基板部分が、その内部領域の周りを取り囲む周囲領域をなす基板部分に対して、厚さ方向(-Z方向)に凹状に窪んでいるものとしてもよい。その場合も、試験片30″におけるのと同様な利点が得られる。
以上の実施形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。上述した複数の実施の形態は、それぞれ単独で成立し得るものであるが、実施の形態同士の組みあわせも可能である。また、異なる実施の形態の中の種々の特徴も、それぞれ単独で成立し得るものであるが、異なる実施の形態の中の特徴同士の組みあわせも可能である。
10 本体
21 コネクタ
30,30′,30″ 電解液分析用試験片
41 ナトリウムイオン感応電極
41i ナトリウムイオン選択膜
42 カリウムイオン感応電極
42i カリウムイオン選択膜
47,47′ 第1の水検知材
48,48′ 第2の水検知材
47h,48q1,48q2,48q3,48q4,49 水検知材
90 電気化学的センサ

Claims (9)

  1. 電解液に含まれたイオンの濃度を測定するための電解液分析用試験片であって、
    一端から他端まで一方向に延在する基板と、
    上記基板の一対の主面のうち一方の主面において、上記一方向に関して上記一端の側の特定領域に設けられたベース部、および、このベース部から上記他端の側へ延在する延在部を含む、電極層と、
    上記一方の主面において、上記ベース部を覆うように上記ベース部よりも広い領域にわたって設けられた、上記イオンを選択的に透過する性質を有するイオン選択膜と
    を備え、
    上記一方の主面に対して垂直な厚さ方向に見られた平面視で、上記ベース部の外周縁と上記イオン選択膜の外周縁とが環状領域を画定しており、
    上記環状領域に、上記イオン選択膜に覆われるように設けられた、水と接触したとき元の色から変色する性質を有する水検知材
    を備えたことを特徴とする電解液分析用試験片。
  2. 請求項1に記載の電解液分析用試験片において、
    上記水検知材は、上記平面視で、上記環状領域において、上記ベース部の外周縁と上記イオン選択膜の外周縁に沿って延在する、環状または円弧の輪郭を有する
    ことを特徴とする電解液分析用試験片。
  3. 請求項2に記載の電解液分析用試験片において、
    上記水検知材は上記円弧の輪郭を有し、上記円弧の端部同士の間に隙間があり、
    上記平面視で、上記円弧の端部同士の間の上記隙間を、上記電極層の上記延在部が通っている
    ことを特徴とする電解液分析用試験片。
  4. 請求項1から3までのいずれか一つに記載の電解液分析用試験片において、
    上記水検知材は、上記厚さ方向に関して上記一方の主面と上記ベース部との間に設けられ、上記平面視で、上記ベース部と重なった領域から上記環状領域内まで連続的に延在している
    ことを特徴とする電解液分析用試験片。
  5. 請求項1から3までのいずれか一つに記載の電解液分析用試験片において、
    上記基板の上記一方の主面上に設けられた絶縁性を有する保護層を備え、
    上記保護層は、上記電極層の上記延在部を覆う一方、上記ベース部と上記水検知材を露出させる開口を有する
    ことを特徴とする電解液分析用試験片。
  6. 請求項1から3までのいずれか一つに記載の電解液分析用試験片において、
    上記平面視で、上記基板の上記一端の側の、上記ベース部、上記イオン選択膜および上記水検知材が設けられた内部領域をなす基板部分は、上記内部領域の周りを取り囲む周囲領域をなす基板部分に対して、上記厚さ方向に凹状に窪んでいる
    ことを特徴とする電解液分析用試験片。
  7. 請求項1から3までのいずれか一つに記載の電解液分析用試験片において、
    上記電解液は、互いに異なる第1のイオン種と第2のイオン種を含み、
    上記特定領域は、上記一方の主面において、上記一方向に関して上記一端の側に、互いに離間して設定された第1、第2の特定領域を含み、
    上記電極層は、上記基板の上記一方の主面において、
    上記第1の特定領域に設けられた第1のベース部、および、この第1のベース部から上記他端の側へ延在する第1の延在部を含むとともに、
    上記第2の特定領域に設けられた第2のベース部、および、この第2のベース部から上記他端の側へ延在する第2の延在部を含み、
    上記第1のベース部と上記第1の延在部は上記第2のベース部と上記第2の延在部から離間して配置されており、
    上記イオン選択膜は、
    上記第1の特定領域において、上記第1のベース部を覆うように上記第1のベース部に接して設けられた、上記第1のイオン種を選択的に透過する性質を有する第1のイオン選択膜と、
    上記第2の特定領域において、上記第2のベース部を覆うように上記第2のベース部に接して設けられた、上記第2のイオン種を選択的に透過する性質を有する第2のイオン選択膜とを含み、
    上記一方の主面に対して垂直な厚さ方向に見られた平面視で、上記第1のベース部の外周縁と上記第1のイオン選択膜の外周縁とが第1の環状領域を画定するとともに、上記第2のベース部の外周縁と上記第2のイオン選択膜の外周縁とが第2の環状領域を画定しており、
    上記第1の環状領域に、上記第1のイオン選択膜に覆われるように設けられた、水と接触したとき元の色から変色する性質を有する第1の水検知材を備え、かつ、
    上記第2の環状領域に、上記第2のイオン選択膜に覆われるように設けられた、水と接触したとき元の色から変色する性質を有する第2の水検知材を備えた
    ことを特徴とする電解液分析用試験片。
  8. 電解液に含まれた第1のイオン種と第2のイオン種との間の濃度比を測定する電解液分析装置であって、
    請求項7に記載の電解液分析用試験片と、
    本体とを備え、
    上記本体は、
    上記電解液分析用試験片の上記他端の側が挿入され、上記第1の延在部、上記第2の延在部にそれぞれ接触する第1の接触電極、第2の接触電極を有するコネクタと、
    上記電解液分析用試験片の上記第1および第2のイオン選択膜と上記電解液とが接触したとき、上記コネクタの上記第1の接触電極を通して得られた第1の電位と上記第2の接触電極を通して得られた第2の電位との間の電位差に基づいて、上記電解液に含まれた上記第1のイオン種と上記第2のイオン種との間の濃度比を算出する演算部とを
    搭載していることを特徴とする電解液分析装置。
  9. 請求項8に記載の電解液分析装置において、
    上記電解液による校正および/または上記濃度比の算出の開始指示を入力するための操作部と、
    上記電解液による校正および/または上記濃度比の算出の開始前に、上記電解液分析用試験片の上記第1または第2の水検知材が上記元の色から変色しているか否かの視認をユーザに求める視認要求を行う視認要求部と、
    上記視認要求が行われた状態で上記操作部を介して上記開始指示が入力されたことをトリガとして、上記校正および/または上記濃度比の算出を開始する制御を行う制御部と
    を備えたことを特徴とする電解液分析装置。
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