JP2024071882A - 羽ばたき装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で高機動力の飛行が可能な羽ばたき飛行ロボットを提供すること。【解決手段】羽ばたき装置1は、羽根2,2と、羽根2,2のそれぞれに対応して設けられた駆動部3とを有し、駆動部3は、駆動源30と、駆動源30により第1回動軸線周りに回動する従動部10と、従動部10の回動方向とは逆に従動部10を付勢する第1付勢部材40と、制御部60とを備える。羽根2は、所定の軸線方向に延びると共に、一端側において従動部10に対して接続され、第1回動軸線に対して交差する第2回動軸線周り方向に回動可能に接続された第1羽根軸20と、第1羽根軸20に対して交差する方向に延びると共に、一端側において従動部10に対して直接的又は間接的に接続され、第1回動軸線周り方向に回動可能に接続された第2羽根軸21と、第1羽根軸20及び第2羽根軸21に亘って設けられた羽根本体22と、を有するものであることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、羽根を揺動させることによって浮上力を得る羽ばたき装置に関する。
従来、上空からの監視、撮影、各種の点検等に羽ばたき装置が利用されている。上述した羽ばたき装置として、DCモータにより、直接的に羽ばたき翼(羽根に相当)を駆動する羽ばたき翼超小型飛行機システム(以下、単に羽ばたき装置と称する)が知られている(例えば、特許文献1)。
ところで、近年、羽ばたき装置は、利用の多様化に伴い、玩具等にも利用されている。また、狭いスペースでの調査や補修、あるいは、撮影等においては、小型で多様な飛行態様での飛行が可能な羽ばたき装置が求められている。ここで、羽に及ぼされる浮上力は、羽の長さ×羽ばたき周波数に依存するため、小型の羽ばたき飛行ロボットが十分な浮上力を得るには羽ばたき周波数の向上が欠かせないものとされている。しかしながら上述した特許文献1の構成では、羽ばたき周波数は固有振動数(2*π*√(K/I))の近傍となる(但しKは当該トーションバネのバネ定数、Iはシステム全体の回転慣性)。このためIをなるべく小さくすることを重視して特許文献1においてはインランナー型ブラシレスDCモータやブラシ型DCモータが用いられている。一方でこれらのモータはパワーウェイトレシオが低く、また前者は高価であり、後者は寿命が短いという欠点がある。このため、Iが大きくなるため大きなK、すなわちより重いトーションバネとの組み合わせを求められるが、より低価格でパワーウェイトレシオの高いアウトランナー型のブラシレスDCモータを用いる構成の実現が、低コスト化には必須である。また、Iが大きい事は、空力負荷変動が羽ばたき運動に及ぼす影響が相対的に小さくなるため羽ばたき運動が安定し、これによる姿勢制御を安定的に行うことができるというメリットにもつながる。そこで、小型の羽ばたきロボットにアウトランナー型のブラシレスDCモータの利用が検討されている。
しかしながら、羽ばたき周波数を下げることなくアウトランナー型モータを利用する場合は、大きなモータイナーシャに伴いKが大きくなるため、バネも大型化し質量が増大する。したがって、アウトランナー型モータを利用する場合は、この大きなバネの復元力に抗わなければならないため、オフセット電圧を大きくする必要があった。そのため、オフセットを掛ける際に、より大きなモータパワーが必要となる懸念があった。このように、アウトランナー型モータの利用は、安価で構成でき、パワーウェイトレシオを高めることが可能であるもののオフセットを掛ける際にモータパワーが必要となる懸念がある。したがって、安価で、パワーウェイトレシオを高めることが可能で小型に構成できる羽ばたき装置が求められている。
そこで、本発明は、低コストで構成でき、パワーウェイトレシオを高めることが可能で小型に構成可能な羽ばたき装置を提供することを目的とする。また、本発明は、玩具等にも利用可能な低コストで実現可能な羽ばたき装置を提供することを目的とする。
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の羽ばたき装置は、一対の羽根と、一対の前記羽根のそれぞれに対応して設けられた駆動部と、を有し、前記駆動部は、駆動源と、前記駆動源から出力された動力を受けて第1回動軸線周りに回動する従動部と、前記従動部の回動に伴って、前記従動部の回動方向とは逆方向への付勢力を前記従動部に対して付与する第1付勢部材と、前記駆動源による駆動力の出力制御を行う制御部と、を備えたものであり、前記羽根は、所定の軸線方向に延びると共に、一端側において前記従動部に対して接続され、前記第1回動軸線に対して交差する第2回動軸線周り方向に回動可能に接続された第1羽根軸と、前記第1羽根軸に対して交差する方向に延びると共に、一端側において前記従動部に対して直接的又は間接的に接続され、前記第1回動軸線周り方向に回動可能に接続された第2羽根軸と、前記第1羽根軸及び前記第2羽根軸に亘って設けられた羽根本体と、を有するものであること、を特徴とするものである。
上述した羽ばたき装置は、第1付勢部材による付勢により、第1羽根軸を、第1回動軸線周り方向に励振することができる。したがって、上述した羽ばたき装置は、一対の羽根の羽ばたき周波数を励振により増幅できるので、一対の羽根を高速で駆動できる。そのため、強い浮上力を得ることができる。なお、上述した第1付勢部材には、例えば、トーションバネ等の捩り方向にトルクを付勢できるものが好ましく利用できる。
また、上述した羽ばたき装置は、一対の駆動源をそれぞれ独立して駆動制御することができるので、様々な方向への飛行が可能となる。ここで、駆動源には、各種のモータ等が利用できるが、正逆回転が容易でありパワーウェイトレシオの高いブラシレスDCモータが好ましく利用できる。これにより、バッテリ駆動が容易になり、制御も容易に行うことができる。
ここで、羽ばたき周波数を向上させるには、例えば、第1付勢部材に用いられるトーションバネ等のバネ定数を上げることが考えられる。しかしながら、第1付勢部材(例えば、トーションバネ)のバネ定数を上げた場合は、復元力も強くなるため、羽ばたき振幅中心をオフセットさせるのにより大きなモータパワーを必要とするという課題があった。
すなわち、羽ばたき装置にピッチ(機首上げ/下げ)方向の姿勢制御トルクを付与するには、第1付勢部材の振幅中心を、第1回動軸線周り方向の一方側又は他方側(以下、前後方向とも称する)にオフセットする必要がある。しかしながら、第1付勢部材の振幅中心を第1回動軸線周り方向の前後方向にオフセットさせる場合は、第1付勢部材の復元力によりオフセットが困難になる問題があった。また、第1付勢部材のバネ定数を上げる場合は、より一層復元力が強くなるため、前記オフセットがより困難となる問題があった。そのため、羽ばたき周波数を向上させつつ、駆動部の制御の際のパワー低減を図ることが可能な羽ばたき装置が求められている。
(2)そこで、上述した課題を解決すべく提供される本発明の羽ばたき装置は、一対の羽根と、一対の前記羽根のそれぞれに対応して設けられた駆動部と、を有し、前記駆動部は、駆動源と、前記駆動源から出力された動力を受けて第1回動軸線周りに回動する従動部と、前記従動部の回動に伴って、前記従動部の回動方向とは逆方向への付勢力を前記従動部に対して付与する第1付勢部材と、前記駆動源による駆動力の出力制御を行う制御部と、を備えたものであり、前記羽根は、所定の軸線方向に延びると共に、一端側において前記従動部に対して接続され、前記第1回動軸線に対して交差する第2回動軸線周り方向に回動可能に接続された第1羽根軸と、前記第1羽根軸に対して交差する方向に延びると共に、一端側において前記従動部に対して直接的又は間接的に接続され、前記第1回動軸線周り方向に回動可能に接続された第2羽根軸と、前記第1羽根軸及び前記第2羽根軸に亘って設けられた羽根本体と、を有するものであり、前記第1付勢部材は、一端側において前記従動部に対して接続され、他端側において前記第1羽根軸に対して直接的又は間接的に接続されていること、を特徴とするものである。
上述した羽ばたき装置は、第1付勢部材の一端側が従動部に接続され、他端側が第1羽根軸に直接的又は間接的に接続されている。すなわち、第1付勢部材は、一端側が、羽ばたき装置を構成する躯体に固定されるのではなく、従動部に固定されている。言い換えると、第1付勢部材は、一端側が自由端をなしている。
上述した羽ばたき装置は、第1付勢部材の一端側が自由端とされているので、第1付勢部材の復元力に抗うことなく、上記の羽ばたき振幅中心にオフセットを加えることができる。したがって、上述した羽ばたき装置によれば、第1付勢部材のバネ定数を上げても、これに影響されることなく羽ばたき振幅中心にオフセットを加えることが可能になるので、羽ばたき周波数を向上させることと、制御の際に要求されるパワーを抑えることと、を両立させることができる。
また、上述した羽ばたき装置は、第2羽根軸が、第1回動軸線周りに回動可能とされているので、第1羽根軸を、駆動源により駆動することで、風を受けた羽根のストローク角が、受動的に羽根の迎え角として規定される。これにより、上述した羽ばたき装置は、羽根本体で柔軟に風を受け止めることができ、効率良く浮上力を得ることができる。上述した駆動源には、各種のモータ等が利用できるが、正逆転が容易でありパワーウェイトレシオの高いブラシレスDCモータが好ましく利用できる。これにより、バッテリ駆動が容易になり、制御も容易に行うことができる。
ここで、駆動源としてインランナーモータを使用する場合は、モータのロータによるイナーシャが小さいため、羽の姿勢(迎え角)変化にともなう、羽根軸に加わる羽根のイナーシャ変化の影響が相対的に大きくなる。これに伴い共振周波数も大きく変化し、さらに共振係数(羽根振幅の増幅率)も大きく変化するため、羽根の制御に羽根振幅の変化を考慮する必要があり、制御が複雑となる問題があった。そこで、発明者等がさらに鋭意検討を進めた結果、インランナーモータに比べて、ロータによるイナーシャが大きいアウトランナーモータを用いれば、羽根の姿勢変化に伴う第1羽根軸のイナーシャの変化量は、アウトランナーモータのロータの有する大きなイナーシャに比べれば相対的に小さいため、共振系の共振周波数変化、ないしは羽根振幅の変化も小さくなり、制御が容易になるという知見が得られた。
(3)そこで、上述した本発明の羽ばたき装置は、前記駆動源が、DCモータにおけるアウトランナーモータで構成されていること、を特徴とするとよい。
上述した羽ばたき装置は、インランナーモータに比べて安価なアウトランナーモータを使用することにより、駆動源のコストを低減できる。したがって、上述した羽ばたき装置は、一対の駆動源の2基をアウトランナーモータに置き換えることにより、より一層のコスト低減が期待できる。また、上述した羽ばたき装置は、アウトランナーモータを使用することにより、共振系の共振周波数変化、及び羽根振幅の変化を小さくできるため、より一層の制御の安定化が期待できる。
ここで、発明者等が鋭意検討した結果、上述した羽ばたき装置においては、羽根の往復運動における折り返し(往動と復動との切り替え)の際に駆動部(例えば、モータ)における電気及び機械の変換効率が低下する傾向にあるという知見が得られた。また、上述した羽ばたき装置においては、第1付勢部材の復元力により、羽根の往復運動における折り返し端において、自律的に往復運動の切り返しが行われるものとされている。そのため、羽根の往復運動における折り返し端において、モータを停止させ、羽ばたき中央付近の羽の角速度が大きい領域でのみで励振を行うようにすれば、モータの効率が向上するものと考えられる。
(4)そこで、上述した羽ばたき装置において、前記制御部は、前記駆動源の正転又は逆転の切り替えにおいて前記駆動源の回転数がゼロとなる所定時間前に前記駆動源の駆動力の出力を停止させる制御を行うと共に、前記第1付勢部材の復元力により、前記羽根における往動又は復動が切り替わった所定時間より後に、前記駆動源による駆動力の出力を再開させる制御を行うこと、を特徴とするとよい。
上述した羽ばたき装置は、駆動源の正転又は逆転の切り替えにおいて駆動源の回転数がゼロとなる所定時間前に前記駆動源の駆動を停止させる制御を行うものとされている。これにより、前記駆動源の効率が低下する部分での前記駆動源による駆動を停止できるので、前記駆動源の出力による無駄を低減でき、駆動バッテリの電費の向上が期待できる。このように、上述した羽ばたき装置は、効率的に羽根を往復運動させることができる。また、上述した羽ばたき装置は、第1付勢部材の復元力により、一対の羽根における往動又は復動が切り替わった所定時間より後に、駆動源の駆動を再開させる制御を行うものとされている。これにより、上述した羽ばたき装置は、羽ばたき中央付近の羽根の角速度が大きい領域で羽根の励振を行うことができる。また、上述した羽ばたき装置は、駆動源の容量を大きくせずとも、羽ばたき運動を効率的に行うことができる。そのため、上述した羽ばたき装置の小型化が期待できる。
(5)上述した本発明の羽ばたき装置において、前記制御部は、前記第1付勢部材の振幅中心を、前記第1回動軸線周りの一方側又は他方側に所定量でオフセットするオフセット制御を実行可能であり、前記オフセット制御は、前記駆動源における駆動電圧波形に所定量のオフセットを付与することで実行されること、を特徴とするものである。
上述した羽ばたき装置は、駆動源における駆動電圧波形に所定量のオフセットを付与することで、容易にオフセット制御を実行することができる。そのため、上述した羽ばたき装置によれば、高精度な制御を行いつつ制御の安定化が期待できる。
ここで、上述した羽ばたき装置においては、羽根をストロークさせた場合に、浮上力を効率的に発生させるために羽根の進行方向に向く法線ベクトルの鉛直成分が下向きとなるように羽根を傾斜させることが望ましい。
(6)そこで、上述した本発明の羽ばたき装置は、前記羽根が、当該羽根の運動と周囲流体との相対速度差により生じる風圧による抵抗力を受けることにより、進行方向に向く羽根面の法線ベクトルの鉛直成分が下向きとなるように所定の角度での傾斜を維持するための回転リミッターを有すること、を特徴とするとよい。
上述した羽ばたき装置は、かかる構成とすることにより、効率良く浮上力を発生させることができる。
ここで、上述したオフセット制御においては、第1付勢部材における一端側が、自由端とされている場合、オフセット後の付勢部材の振幅中心が、付勢部材の励振に伴い、予定振幅中心(基準位置とも称する)からずれる懸念がある。すなわち、第1付勢部材における一端側が自由端とされている場合は、振幅中心が筐体固定ではないのでメカニカルに定まらない問題がある。そのため、振幅中心を基準位置に戻すための、フィードバック制御を掛ける必要がある。
(7)そこで、上述した本発明の羽ばたき装置は、前記駆動部を支持する躯体と、前記従動部の回動に伴って、前記従動部の回動方向とは逆方向への付勢力を前記従動部に対して付与する第2付勢部材と、を有しており、前記第2付勢部材は、一端側において前記躯体に対して接続されると共に、他端側において、前記第1羽根軸に直接的又は間接的に接続されており、前記第2付勢部材は、前記第1付勢部材における付勢力よりも小さい付勢力を発揮可能、かつ、前記第1付勢部材における振幅中心を基準位置に戻すことが可能な付勢力を発揮可能に形成されていること、を特徴とするとよい。
上述した羽ばたき装置は、かかる構成とすることにより、第1付勢部材の一端側が、自由端とされていても、第1付勢部材における振幅中心を、基準位置(予定振幅中心)に戻すことができる。すなわち、上述した羽ばたき装置は、第1付勢部材が自由端として構成されていてメカニカルに振幅中心を定めることができる。そのため、上述した羽ばたき装置によれば、より一層の制御の高精度化と安定化が期待できる。
ここで、駆動源にアウトランナーモータを使用する場合は、外周部分の回転子が回転する関係上、回転子と各部が干渉する懸念がある。
(8)そこで、上述した本発明の羽ばたき装置は、前記駆動部を支持する躯体を有しており、前記躯体は、間隔を空けて配された一対の支持部を有しており、前記駆動源が、前記一対の支持部の外側に配されており、前記第1付勢部材及び前記従動部が、前記一対の支持部の間に配されていること、を特徴とするとよい。
上述した羽ばたき装置は、かかる構成とすることにより、一対の駆動源と、第1付勢部材、及び従動部とが、干渉しない。そのため、上述した羽ばたき装置は、例えば、駆動源にアウトランナーモータを使用する場合において、アウトランナーモータの回転子が、第1付勢部材及び従動部に干渉することを抑制できる。このように、上述した羽ばたき装置は、アウトランナーモータのように回転子が露出する場合であっても、装置が大型化することを抑制できる。
ここで、上述した本発明の羽ばたき装置において、前記羽根が、当該羽根の運動と周囲流体との相対速度差により生じる風圧により、進行方向に向く羽根面の法線ベクトルの鉛直成分が下向きとなるように所定の角度で傾斜するものとした場合、第1羽根軸を駆動しながら、風による抵抗力に応じて前記羽根を傾斜させる必要がある。そのためには、第2羽根軸を第1羽根軸に追従して第1回動軸線周りに回動可能とすると共に、第1羽根軸に対して傾斜させる必要がある。
(9)そこで、上述した本発明の羽ばたき装置は、前記第1回動軸線の一端側において前記第1回動軸線方向に延びるように延長部が形成されており、前記第2羽根軸が、一端側において前記延長部に向けて延びるように形成された懸架部を有しており、前記懸架部は、一端側において前記延長部に接続されると共に、前記延長部と一体的に前記第1回動軸線周り方向に回動が可能であること、を特徴とするとよい。
上述した羽ばたき装置は、かかる構成とすることにより、第2羽根軸が、第1羽根軸に対して傾斜する場合(例えば、羽根が扇形状に形成されている場合)であっても、傾斜方向に合わせて、第2羽根軸を第1回動軸線周りに回動可能に支持できる。これにより、上述した羽ばたき装置は、羽根が、風による抵抗力を受けた場合に、前記羽根を進行方向に向く羽根面の法線ベクトルの鉛直成分が下向きとなるように所定の角度での傾斜を維持させることができる。また、羽根の設計の自由度と空力特性の向上と、が期待できる。
本発明によれば、低コストで構成でき、パワーウェイトレシオを高めることが可能で小型に構成可能な羽ばたき装置を提供することができる。また、本発明によれば、玩具等にも利用可能な低コストで実現可能な羽ばたき装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の第一実施形態に係る羽ばたき装置1の詳細を説明する。なお、これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付していることに留意されたい。また、図1に示すように、図示上下方向をZ方向、左右方向をX方向、図示奥行き方向をY方向とし、Z軸周り方向への回動をヨー方向、X軸周り方向への回動をピッチ方向、Y軸周り方向への回動をロール方向と称することがある。
≪第一実施形態≫
図1~図3に示すように、羽ばたき装置1は、一対の羽根2,2と、一対の羽根2,2のそれぞれに対して設けられた駆動部3,3と、を有している。駆動部3,3は、それぞれ躯体7に支持されている。本実施形態における羽ばたき装置1は、一対の羽根2,2を水平方向(図示、紙面の前後方向)に往復駆動することにより、上方側への浮上力を得るものとされている。なお、一対の羽根2,2、及び一対の駆動部3,3は、左右対称に配されているので、以下の説明では、特に区別する必要がない場合は、左右一方側(右側)について説明し、他方側(左側)の説明は省略する。また、図1~図3において、図示上方側を上方側(U側)、図示下方側を下方側(D側)として説明する場合があることに留意されたい。
図1~図3に示すように、羽ばたき装置1は、一対の羽根2,2と、一対の羽根2,2のそれぞれに対して設けられた駆動部3,3と、を有している。駆動部3,3は、それぞれ躯体7に支持されている。本実施形態における羽ばたき装置1は、一対の羽根2,2を水平方向(図示、紙面の前後方向)に往復駆動することにより、上方側への浮上力を得るものとされている。なお、一対の羽根2,2、及び一対の駆動部3,3は、左右対称に配されているので、以下の説明では、特に区別する必要がない場合は、左右一方側(右側)について説明し、他方側(左側)の説明は省略する。また、図1~図3において、図示上方側を上方側(U側)、図示下方側を下方側(D側)として説明する場合があることに留意されたい。
躯体7は、上下方向に間隔を空けて配された一対の支持部70U,70Dを備えている。本実施形態では、支持部70U,70Dが、それぞれ板状部材で形成されている。
駆動部3は、駆動源30と、従動部10と、第1付勢部材40等を備えている。また、駆動部3には、駆動源30を駆動制御する制御部60が接続されている。本実施形態では、駆動源30が、DCモータにおけるアウトランナーモータで構成されている。なお、駆動源30を駆動するための電源(バッテリ)は、図示及び説明を省略する。
駆動源30は、上部側に位置する支持部70Uの外側面に、台座31を介して支持されている。本実施形態では、一対の駆動源30,30が、中心線C(図3参照)に対して左右対称となるように配されている。
図3に示すように、駆動源30の駆動軸32は、適宜の軸受(図示せず)を介して支持部70Uに対して回動可能に支持されている。また、駆動軸32の先端側は、適宜の軸受(図示せず)を介して支持部70Dに対して回動可能に支持されている。また、駆動軸32の中間部には、ピニオンギヤとしての駆動ギヤ15が外嵌されている。
図1及び図2に示すように、従動部10は、一部が切り欠かれたスパーギヤ(平歯車)で形成されている。従動部10の切り欠かれた部分は、羽根2等との干渉を抑制するために形成されている。従動部10は、支持部70Uに対して第1回動軸11の軸線周り方向に回動可能に支持されている。具体的には、本実施形態では、第1回動軸11が、支持部70U及び支持部70Dに対して回動可能に支持されており、従動部10が第1回動軸11に圧入等で固定されている。また、本実施形態では、従動部10が、支持部70D側寄りに配されている。従動部10は、駆動ギヤ15と噛合っており、駆動源30から出力された動力を受けて第1回動軸11(図5参照)の軸線周り方向(第1回動軸線周り方向とも称する)に回動可能である。
第1回動軸11は、支持部70U及び支持部70Dに回動可能に支持されると共に、一端側において、第1回動軸線方向に沿って延びるように延長部11Aが形成されている。具体的には、延長部11Aは、第1回動軸11の一端側が、支持部70Dを突き抜けて外側に向けて延長されることにより形成されている。延長部11Aの一端側(後端側)には、後述する懸架部21Aが接続されている。
従動部10には、後述する第1羽根軸20を保持するための羽根軸保持部50が支持されている。羽根軸保持部50は、従動部10と一体的に第1回動軸線周り方向に回動するものとされている。
また、羽根軸保持部50には、従動部10の径方向外側を向くようにベアリング51が支持されている。言い換えると、ベアリング51は、第1回動軸11と交差する方向(本実施形態では直交する方向、以下、第2軸線周り方向とも称する)に向けて、従動部10に支持されている。ベアリング51には、後述する第1羽根軸20が第2軸線周り方向に回動可能なように支持されている。
図1~図3に示すように、第1付勢部材40は、トーションバネで形成され、支持部70Uと従動部10との間に配されている。また、第1付勢部材40は、第1回動軸11の軸線周りに配されている。第1付勢部材40は、従動部10の回動に伴って、従動部10の回動方向とは逆方向への付勢力を従動部10に対して付与するものとされている。具体的には、第1付勢部材40は、一端側(前端側)が、支持部70Uに接続されており、他端側(後方側)が、従動部10に接続されている。したがって、第1付勢部材40は、従動部10の回動に伴って、従動部10の回動方向とは逆方向に付勢力を付与することができる。
羽根2は、第1羽根軸20と、第2羽根軸21と、羽根本体22等を有している。
第1羽根軸20は、所定の軸線方向(本実施形態では、第1回動軸11の径方向)に延びるように形成されている。第1羽根軸20は、一端側において従動部10に対して接続され、第1回動軸11の軸線に対して交差する第2回動軸線周り方向に回動可能に接続されている。具体的には、第1羽根軸20は、一端側において、羽根軸保持部50のベアリング51に回動可能に支持されている。したがって、第1羽根軸20は、第1回動軸線周り方向及び第2回動軸線周り方向への回動が可能である。また、第1羽根軸20は、従動部10の回動に伴って、回動方向とは逆方向に第1付勢部材40による付勢力が付与される。これにより、第1羽根軸20が従動部10の回動方向(第1回動軸線周り方向)に励振される。
第2羽根軸21は、所定の軸線方向(本実施形態では、第1羽根軸20に対して所定の傾斜角で傾斜する方向)に延びるように形成されている。第2羽根軸21は、一端側において延長部11Aに向けて延びるように形成された懸架部21Aを有している。
懸架部21Aは、例えば、一定の可撓性がある樹脂等を素材として形成されている。懸架部21Aは、一端側が第2羽根軸21に接続されており、他端側が、湾曲しながら延長部11Aの下端側に接続されている。すなわち、懸架部21Aは、延長部11Aと一体的に第1回動軸線周り方向に回動が可能なものとされている。したがって、第2羽根軸21は、懸架部21Aと一体的に第1回動軸線周り方向への回動が可能なものとされている。また、懸架部21Aは、第2羽根軸21が所定角度以上に傾斜しないように維持する後述の回転リミッター23としての機能も有している。
これにより、上述した羽ばたき装置1は、第2羽根軸21が、第1羽根軸20に対して傾斜する場合(例えば、羽根2が扇形状に形成されている場合)であっても、傾斜方向に合わせて、第2羽根軸21を第1回動軸線周りに回動可能に支持できる。これにより、上述した羽ばたき装置1は、羽根2が、当該羽根2の運動と周囲流体との相対速度差により生じる風圧による抵抗力を受けた場合に、羽根2を進行方向に向く羽根面の法線ベクトルの鉛直成分が下向きとなるように所定の角度で傾斜させることができる。また、羽根2の設計の自由度と空力特性の向上と、が期待できる。
また、第2羽根軸21は、従動部10の回動に伴って、第1羽根軸20と共に、回動方向とは逆方向に第1付勢部材40による付勢力が付与される。これにより、第2羽根軸21が従動部10の回動方向(第1回動軸線周り方向)に励振される。
羽根本体22は、第1羽根軸20及び第2羽根軸21に亘って設けられている。羽根本体22は、本実施形態では、略扇形状に形成されている。羽根本体22は、駆動源30の駆動により、往復揺動し、浮上力を発生させることができる。
制御部60は、駆動源30による駆動力の出力制御を行うものとされている。すなわち、駆動源30による駆動力の出力制御を行うことで、羽根2に往復運動が付与される。
図4は、制御部60により、駆動源30を所定の出力で駆動制御を行った場合の羽根2の動きを表した説明図である。図4における例示は、羽根2を前進(下方側)方向にストロークさせた場合(図示上段)と、羽根2を後退(上方側)方向にストロークさせた場合(図示下段)との羽根2の傾斜状態の変化を模式化して描いたものである。なお、図示において、丸マークは、第1羽根軸20を表し、三角マークは、羽根2の動きを制限する回転リミッター23(本実施形態では、懸架部21Aに相当)を表すものである。なお、回転リミッター23は、第1回動軸11の回動を制限するものなど、各種の手段を採用できる。
羽根2は、前進方向又は後退方向にストロークさせた場合において、羽根本体22が受ける抵抗力(風力)により、受動的に迎え角を形成するように傾斜するものとされている。具体的には、羽根2は、当該羽根2の運動と周囲流体との相対速度差により生じる風圧による抵抗力を受けた場合に、進行方向に向く前記羽面の法線ベクトルの鉛直成分が下向きとなるように所定の角度(例えば、30度)で傾斜するものとされている。また、羽根2は、回転リミッター23により、所定の角度での傾斜が維持される。これにより、上述した羽ばたき装置1は、効率良く浮上力を発生させることができる。なお、羽根2の傾斜角度は、飛行態様に応じて回転リミッター23の設定を変更するなどして適宜変更すればよい。
ここで、制御部60は、例えば、一対の羽根2,2の振幅を同じだけ増減するように駆動源30の出力を制御することで、浮上力を増減させることができる。また、制御部60は、例えば、一対の羽根2,2の振幅に差を設けるように駆動源30,30の出力を制御することで、左右の浮上力の差により、ロール方向のトルク(駆動力)を発生させることができる。
また、制御部60は、第1付勢部材40の振幅中心を、第1回動軸線周りの一方側又は他方側に所定量でオフセットするオフセット制御を実行可能なものとされている。
図6(a)は、第1付勢部材40の振幅中心をオフセットさせる場合の説明図である。なお、図6(a)において、第1付勢部材40の振幅中心をオフセットさせた角度は、理解を容易にするため誇張して描いていることに留意されたい。前記オフセット制御は、第1付勢部材40の振幅中心を前後方向(本実施形態では前方側の実線位置)にオフセットさせるものとされている。すなわち、前記オフセット制御は、前後方向(本実施形態では前方側)に浮上力の中心を偏らせるものとされている。
具体的には、図6(b)に示すように、前記オフセット制御は、駆動源30の駆動電圧波形(出力波形とも称する)に所定量Tのオフセットを付与することにより、実行することができる。駆動電圧波形へのオフセットの付与は、例えば、前進方向への駆動電圧の出力と、後退方向への駆動電圧の出力と、に差を設けることで、実行することができる。なお、実際にモータ制御にて多用されているPWM制御においては、往路及び復路でのモータ駆動デューティー比に差異を設けることと読み替えればよい。すなわち、第1付勢部材40の振幅中心が、オフセットされる(図6(a)参照)。これにより、制御部60は、ピッチ方向のトルクを発生させることができる。ここで、第1付勢部材40の振幅中心をオフセットさせる角度は、例えば、5~10度とするとよい。なお、第一実施形態における羽ばたき装置1では、上述したオフセットをさせる場合、第1付勢部材40に抗して、駆動源30の出力を上げる必要がある。また、羽ばたき装置1の飛行態様に応じて、一対の駆動源30,30のオフセット量は、それぞれ同一のもの、あるいは、互いに異なるものとしてもよい。
また、制御部60は、例えば、往復運動における前後方向の速度に差を設けるように駆動源30,30の出力の制御を行うと共に、左右の羽根2,2の速度差を逆向きとするように駆動源30,30の出力の制御を行うことにより、ヨー方向へのトルクを発生させることができる。
図5は、駆動源30における出力特性、及び本発明の羽ばたき装置1で利用されるの出力領域の説明図である。図示のように、駆動源30にモータ(本実施形態では、アウトランナーモータ)を使用する場合は、羽根2の往復運動における折り返し(往動と復動との切り替え)の際に駆動源30における電気及び機械の変換効率が低下する傾向にある。また、上述した羽ばたき装置1においては、第1付勢部材40の復元力により、羽根2の往復運動における折り返し端において、自律的に往復運動の切り返しが行われる。
そこで、本実施形態において、制御部60は、駆動源30の正転又は逆転の切り替えにおいて駆動源30の回転数がゼロとなる所定時間前に駆動源30の駆動力の出力を停止させる制御を行っている。ここで、前記所定時間は、使用する駆動源30の特性(例えば、出力の効率)に応じて、任意に設定することができる。また、制御部60は、上記と共に、第1付勢部材40の復元力により、羽根2における往動又は復動が切り替わった所定時間より後に、駆動源30による駆動力の出力を再開させる制御を行うものとされている。
これらにより、駆動源30の効率が低下する部分での駆動源30による駆動を停止できるので、駆動源30の出力による無駄を低減でき、駆動バッテリの電費の向上が期待できる。このように、上述した羽ばたき装置1は、効率的に羽根2を往復運動させることができる。また、上述した羽ばたき装置1は、第1付勢部材40の復元力により、一対の羽根2,2における往動又は復動が切り替わった時点で、駆動源30の駆動を再開させる制御を行うものとされている。これにより、上述した羽ばたき装置1は、羽ばたき中央付近の羽根2の角速度が大きい領域で羽根2の励振を行うことができる。また、上述した羽ばたき装置1は、駆動源30の容量を大きくせずとも、羽ばたき運動を効率的に行うことができる。そのため、上述した羽ばたき装置1の小型化が期待できる。
以上が、本発明の第一実施形態に係る羽ばたき装置1の構成である。なお、上述において、左右対称に配されている部分の構成は、同様であるので説明を省略する。次に、本発明の一実施形態に係る羽ばたき装置1の作用効果について、以下に説明する。
上述した羽ばたき装置1は、第1付勢部材40による付勢により、第1羽根軸20を、第1回動軸線周り方向に励振することができる。したがって、上述した羽ばたき装置1は、一対の羽根2,2の羽ばたき周波数を励振により増幅できるので、一対の羽根2,2を高速で駆動できる。そのため、強い浮上力を得ることができる。なお、上述した第1付勢部材40には、例えば、トーションバネ等の捩り方向にトルクを付勢できるものが好ましく利用できる。
また、上述した羽ばたき装置1は、一対の駆動源30,30をそれぞれ独立して駆動制御することができるので、様々な方向への飛行が可能となる。ここで、駆動源30には、各種のモータ等が利用できるが、正逆回転が容易でありパワーウェイトレシオの高いブラシレスDCモータが好ましく利用できる。これにより、バッテリ駆動が容易になり、制御も容易に行うことができる。
また、本実施形態において、上述した羽ばたき装置1は、駆動源30が、DCモータにおけるアウトランナーモータで構成されている。そのため、上述した羽ばたき装置1は、モータを構成するロータによるイナーシャを大きくできる。これにより、上述した羽ばたき装置1は、共振系の共振周波数変化、及び羽根振幅の変化を小さくできるので、制御が安定する。したがって、上述した羽ばたき装置1は羽ばたき装置1が受ける外乱(例えば、気流)による影響を軽減でき、より一層の制御の安定化が期待できる。
また、上述した羽ばたき装置1は、インランナーモータに比べて安価なアウトランナーモータを使用することにより、駆動源30のコストを低減できる。したがって、上述した羽ばたき装置1は、左右一対の駆動源30,30をアウトランナーモータに置き換えることにより、より一層のコスト低減が期待できる。
また、上述した羽ばたき装置1は、駆動源30を支持する躯体7を有しており、躯体7は、間隔を空けて配された一対の支持部70U,70Dを有している。また、駆動源30が、一対の支持部70U,70Dの外側に配されており、第1付勢部材40及び従動部10が、一対の支持部70U,70Dの間に配されている。
これにより、上述した羽ばたき装置1は、駆動源30と、第1付勢部材40、及び従動部10とが、干渉しない。そのため、上述した羽ばたき装置1は、例えば、駆動源30にアウトランナーモータを使用する場合において、アウトランナーモータのロータが、第1付勢部材40及び従動部10に干渉することを抑制できる。このように、上述した羽ばたき装置1は、アウトランナーモータのようにロータが露出する場合であっても、装置が大型化することを抑制できる。
以上が、本発明の第一実施形態に係る羽ばたき装置1の構成及び作用効果であり、次に、本発明の第二実施形態に係る羽ばたき装置100についての詳細を説明する。なお、第二実施形態に係る羽ばたき装置100は、上述した羽ばたき装置1と第1付勢部材40の接続の仕方と、各部品の配置とが一部異なる以外の構成は同様であるので、同様部分の説明は省略する。また、上述した羽ばたき装置1と同一の部材については、同一の符号を用いていることに留意されたい。また、羽ばたき装置100は、左右対称に構成されているので、一方側について説明し、他方側の説明を省略する。
ところで、上述した第一実施形態に係る羽ばたき装置1では、第1付勢部材40の一方側が支持部70Uに接続され、他方側が、従動部10に接続されている。ここで、外乱の影響を低減するために羽ばたき装置1における羽ばたき周波数を向上させるには、例えば、第1付勢部材40に用いられるトーションバネ等のバネ定数Kを上げることが考えられる。しかしながら、第1付勢部材40のバネ定数Kを上げた場合は、復元力も強くなるため、負荷が大きくなり、第1羽根軸20及び第2羽根軸21をストロークさせにくくなる懸念があった。その結果、浮上力が低下する懸念があった。そこで、第二実施形態では、第一実施形態に係る懸念を抑制することで、更なる浮上力の向上と、制御の安定化が可能な羽ばたき装置100を提供することを目的としている。
≪第二実施形態≫
図7~図9に示すように、第二実施形態に係る羽ばたき装置100は、一対の羽根2,2と、一対の羽根2,2のそれぞれに対応して設けられた駆動部3,3と、を備えている。また、駆動部3は、駆動源30と、従動部10と、第1付勢部材40等を備えている。また、駆動部3には、駆動源30を駆動制御する制御部60が接続されている。
図7~図9に示すように、第二実施形態に係る羽ばたき装置100は、一対の羽根2,2と、一対の羽根2,2のそれぞれに対応して設けられた駆動部3,3と、を備えている。また、駆動部3は、駆動源30と、従動部10と、第1付勢部材40等を備えている。また、駆動部3には、駆動源30を駆動制御する制御部60が接続されている。
羽ばたき装置100における第1付勢部材40は、一端側において従動部10に対して接続され、他端側において第1羽根軸20に対して直接的又は間接的に接続されている。具体的に説明すると、第1付勢部材40は、一端側において従動部10に対して接続され、他端側において羽根軸保持部50に対して接続されている。すなわち、第1付勢部材40は、一端側が、羽ばたき装置100を構成する躯体7に固定されるのではなく、従動部10に固定されている。言い換えると、第1付勢部材40は、一端側が自由端をなしている。また、第二実施形態では、従動部10が、第1回動軸11に対して回動可能に支持されている。
以上が、本発明の第二実施形態に係る羽ばたき装置100の構成であるが、羽ばたき装置100は、第一実施形態と同様に第1付勢部材40の振幅中心をオフセットさせることができる。すなわち、第二実施形態に係る羽ばたき装置100は、上述したオフセット制御を実行できる。
図10に示すように、前記オフセット制御は、駆動源30における駆動電圧波形(出力波形)に所定量Tのオフセットを付与することで実行することができる。なお、羽ばたき装置100の飛行態様に応じて、駆動源30のオフセット量は、適宜、変更することが可能である。
このように、上述した羽ばたき装置100は、駆動源30における駆動電圧波形に所定量Tのオフセットを付与することで、容易にオフセット制御を実行することができる。そのため、上述した羽ばたき装置100によれば、高精度な制御を行いつつ制御の安定化が期待できる。また、第二実施形態に係る羽ばたき装置100は、第1付勢部材40における一端側が自由端をなしているので、第1付勢部材40の復元力に抗うことなく、羽ばたき振幅中心にオフセットを容易に付与することができる。すなわち、第1付勢部材40のバネ定数Kがより大きく復元力がより大きい構成においても、羽ばたき振幅中心にオフセットを加える際に大きなモータパワーを必要としないため、高い羽ばたき周波数と、制御を行う際のモータパワー低減を両立する事ができる。
以上が、本発明の第二実施形態に係る羽ばたき装置100の構成であり、次に、羽ばたき装置100の作用効果についての詳細を説明する。
上述したように羽ばたき装置100は、第1付勢部材40にトルク(付勢力)を加えた場合であっても、第1付勢部材40の復元力による影響を受けずに第1羽根軸20を励振することができる。すなわち、上述した羽ばたき装置100は、第1羽根軸20に対して直接的にトルクを付与できる。これにより、駆動源30の出力制御の安定化が期待できる。なお、上述した第1付勢部材40には、例えば、トーションバネ等の捩り方向にトルクを付勢できるものが好ましく利用できる。
また、上述した羽ばたき装置100は、第2羽根軸21が、第1回動軸線周りに回動可能とされているので、第1羽根軸20を、駆動源30により駆動することで、風を受けた羽根2のストローク角が、受動的に羽根2の迎え角として規定される。これにより、上述した羽ばたき装置100は、羽根本体22で柔軟に風を受け止めることができ、効率良く浮上力を得ることができる。上述した駆動源30には、各種のモータ等が利用できるが、正逆転が容易でありパワーウェイトレシオの高いブラシレスDCモータが好ましく利用できる。これにより、バッテリ駆動が容易になり、制御も容易に行うことができる。
ここで、上述したオフセット制御においては、第1付勢部材40における一端側が、自由端とされている。そのため、オフセット後の第1付勢部材40の振幅中心が、第1付勢部材40の励振に伴い、予定振幅中心(基準位置とも称する)からずれる懸念がある。そこで、第三実施形態に係る羽ばたき装置200は、図11に示すように、さらに第2付勢部材41を設け、オフセット後の第1付勢部材40の振幅中心を、基準位置に戻すようにしている。以下、第三実施形態に係る羽ばたき装置200についての詳細を説明する。なお、第三実施形態に係る羽ばたき装置200は、第二実施形態に係る羽ばたき装置100に対して、第2付勢部材41を設けたものであるので、第二実施形態に係る羽ばたき装置100と同様の部分についての説明は省略する。また、第三実施形態に係る羽ばたき装置200は、左右対称に構成されているため、一方側の説明を行い、他方側の説明は省略する。
≪第三実施形態≫
図11に示すように、第三実施形態に係る羽ばたき装置200は、第二実施形態に係る羽ばたき装置100(図9参照)の構成に加えて、第2付勢部材41を有している。
図11に示すように、第三実施形態に係る羽ばたき装置200は、第二実施形態に係る羽ばたき装置100(図9参照)の構成に加えて、第2付勢部材41を有している。
第2付勢部材41には、例えば、トーションバネが用いられている。第2付勢部材41は、従動部10の回動に伴って、従動部10の回動方向とは逆方向への付勢力を従動部10に対して付与するものとされている。具体的には、第2付勢部材41は、一端側において躯体7(本実施形態では、支持部70D)に対して接続されると共に、他端側において、従動部10に接続されている。
また、第2付勢部材41は、第1付勢部材40における付勢力よりも小さい付勢力を発揮可能、かつ、第1付勢部材40における振幅中心を基準位置に戻すことが可能な付勢力を発揮可能なものとされている。例えば、第2付勢部材41には、第1付勢部材40よりもバネ係数が小さいトーションバネが用いられている。そのため、第2付勢部材41が第1付勢部材40に及ぼす影響は限定的なものとされている。
ここで、第2付勢部材41におけるバネ係数は、第1付勢部材40における振幅中心を基準位置に戻すことが可能な付勢力を発揮可能な各種のものを利用できる。また、第2付勢部材41におけるバネ係数は、第1付勢部材40に及ぼす影響と、振幅中心を基準位置に戻すための付勢力とのバランスを考慮し、決定するとよい。
このように、第三実施形態に係る羽ばたき装置200は、第1付勢部材40の一端側が、自由端とされていても、第1付勢部材40における振幅中心を、基準位置(予定振幅中心)に戻すことができる。そのため、上述した羽ばたき装置200によれば、より一層の制御の高精度化と安定化が期待できる。
以上が、本発明の第一実施形態~第三実施形態に係る羽ばたき装置1,100,200の構成及び作用効果であるが、本発明の羽ばたき装置1,100,200は、上記実施形態には限定されず、各種の変形を行うことができる。
例えば、一対の羽根2,2は、各種の形状や大きさに形成することができる。また、本実施形態では、一対の羽根2,2が設けられているが、羽根2は、例えば、二対のものなど、設ける数量を適宜、変更することが可能である。かかる場合は、羽根2に対応して駆動源30を増設すればよい。また、第1羽根軸20、第2羽根軸21、及び羽根本体22は、各種の形状や大きさに形成することができ、形成方向も適宜変更することが可能である。
また、本実施形態では、駆動源30,30にDCモータにおけるアウトランナーモータを利用する場合を例示したが、駆動源30,30には、駆動力を発揮可能な各種のモータ等が利用できる。例えば、駆動源30,30が、DCモータにおけるインランナーモータで構成されていてもよい。
また、本実施形態では、従動部10にスパーギヤ(平歯車)を用い、これらをピニオンギヤである駆動ギヤ15で駆動するようにしているが、本発明は、これには限定されない。従動部10には、各種の形態のものが利用できる。例えば、従動部10が、プーリ等で形成され、ベルト等で駆動されるようにしてもよい。また、従動部10の態様に合わせて、駆動ギヤ15もギヤだけではなく、各種の態様のものが利用できる。
また、本実施形態では、第1付勢部材40及び第2付勢部材41としてトーションバネが用いられているが、これには限定されない。第1付勢部材40及び第2付勢部材41は、トーションバネに限定されるものではなく、各種のものが利用できる。また、本実施形態では、第1付勢部材40及び第2付勢部材41として同種のトーションバネが用いられているが、それぞれ異種の付勢部材を用いることも可能である。また、第1付勢部材40及び第2付勢部材41の配置は、本発明の範囲内で、各種の変更を行うことができる。また、本実施形態では、単一の制御部60によって統合的に制御を行うようにしているが、制御部60は、機能毎に制御を分けるなど、複数で構成されていてもよい。
また、本実施形態では、第2羽根軸21が、懸架部21A及び延長部11Aを介して第1回動軸11に対して接続されているが、第2羽根軸21は、懸架部21A及び延長部11Aを介して接続されるものだけではなく、第1回動軸11に直接的又は間接的に接続される各種の態様で接続することができる。また、懸架部21A及び延長部11Aは、第2羽根軸21の形成方向に応じて、各種の形状や大きさに形成できる。
また、本実施形態では、駆動源30の回転数がゼロとなる所定時間前に駆動源30の駆動力の出力を停止させる制御を行うものとしたが、出力を停止させるタイミングは、使用するモータ等の特性に応じて、適宜変更することが可能である。また、本実施形態では、第1付勢部材40の復元力により、羽根2における往動又は復動が切り替わった時点で、駆動源30による駆動力の出力を再開させる制御を行うものとしたが、駆動力の出力を再開させるタイミングも、使用するモータ等の特性に応じて、適宜変更することが可能である。また、制御部60によるオフセット制御におけるオフセット量は、羽ばたき装置1,100,200の飛行態様に応じて、各種のオフセット量を設定することができる。
また、本実施形態では、制御部60において、羽根2の羽根面(羽根本体22)が受ける抗力に応じて進行方向に向く羽根面の法線ベクトルの鉛直成分が下向きとなるように所定の角度で羽根2が傾斜するものとされているが、羽根2を傾斜させる角度は、飛行態様や飛行環境等に応じて、回転リミッター23の設定を変更することにより各種の角度に設定できる。羽根2を傾斜させる角度は、例えば、懸架部21Aの形状や大きさ、あるいは材質等を変更することで調製すればよい。また、羽根2の制御は、上述した実施形態のものには限定されず、飛行態様等に応じて、各種の制御を行うことが可能である。
以上が、本発明に係る羽ばたき装置の各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
本発明の羽ばたき装置は、空中における各種の調査や補修、撮影等に利用することができる。
1 :羽ばたき装置
2 :羽根
3 :駆動部
7 :躯体
10 :従動部
11 :第1回動軸
11A:延長部
20 :第1羽根軸
21 :第2羽根軸
21A:懸架部
22 :羽根本体
23 :回転リミッター
30 :駆動源
40 :第1付勢部材
41 :第2付勢部材
60 :制御部
70U:支持部
70D:支持部
100 :羽ばたき装置
200 :羽ばたき装置
2 :羽根
3 :駆動部
7 :躯体
10 :従動部
11 :第1回動軸
11A:延長部
20 :第1羽根軸
21 :第2羽根軸
21A:懸架部
22 :羽根本体
23 :回転リミッター
30 :駆動源
40 :第1付勢部材
41 :第2付勢部材
60 :制御部
70U:支持部
70D:支持部
100 :羽ばたき装置
200 :羽ばたき装置
Claims (9)
- 一対の羽根と、
一対の前記羽根のそれぞれに対応して設けられた駆動部と、
を有し、
前記駆動部は、
駆動源と、
前記駆動源から出力された動力を受けて第1回動軸線周りに回動する従動部と、
前記従動部の回動に伴って、前記従動部の回動方向とは逆方向への付勢力を前記従動部に対して付与する第1付勢部材と、
前記駆動源による駆動力の出力制御を行う制御部と、
を備えたものであり、
前記羽根は、
所定の軸線方向に延びると共に、一端側において前記従動部に対して接続され、前記第1回動軸線に対して交差する第2回動軸線周り方向に回動可能に接続された第1羽根軸と、
前記第1羽根軸に対して交差する方向に延びると共に、一端側において前記従動部に対して直接的又は間接的に接続され、前記第1回動軸線周り方向に回動可能に接続された第2羽根軸と、
前記第1羽根軸及び前記第2羽根軸に亘って設けられた羽根本体と、
を有するものであること、
を特徴とする羽ばたき装置。 - 一対の羽根と、
一対の前記羽根のそれぞれに対応して設けられた駆動部と、
を有し、
前記駆動部は、
駆動源と、
前記駆動源から出力された動力を受けて第1回動軸線周りに回動する従動部と、
前記従動部の回動に伴って、前記従動部の回動方向とは逆方向への付勢力を前記従動部に対して付与する第1付勢部材と、
前記駆動源による駆動力の出力制御を行う制御部と、
を備えたものであり、
前記羽根は、
所定の軸線方向に延びると共に、一端側において前記従動部に対して接続され、前記第1回動軸線に対して交差する第2回動軸線周り方向に回動可能に接続された第1羽根軸と、
前記第1羽根軸に対して交差する方向に延びると共に、一端側において前記従動部に対して直接的又は間接的に接続され、前記第1回動軸線周り方向に回動可能に接続された第2羽根軸と、
前記第1羽根軸及び前記第2羽根軸に亘って設けられた羽根本体と、
を有するものであり、
前記第1付勢部材は、
一端側において前記従動部に対して接続され、他端側において前記第1羽根軸に対して直接的又は間接的に接続されていること、
を特徴とする羽ばたき装置。 - 前記駆動源が、DCモータにおけるアウトランナーモータで構成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の羽ばたき装置。
- 前記制御部は、
前記駆動源の正転又は逆転の切り替えにおいて前記駆動源の回転数がゼロとなる所定時間前に前記駆動源の駆動力の出力を停止させる制御を行うと共に、前記第1付勢部材の復元力により、前記羽根における往動又は復動が切り替わった所定時間より後に、前記駆動源による駆動力の出力を再開させる制御を行うこと、を特徴とする請求項1又は2に記載の羽ばたき装置。 - 前記制御部は、
前記第1付勢部材の振幅中心を、前記第1回動軸線周りの一方側又は他方側に所定量でオフセットするオフセット制御を実行可能であり、
前記オフセット制御は、前記駆動源における駆動電圧波形に所定量のオフセットを付与することで実行されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の羽ばたき装置。 - 前記羽根が、当該羽根の運動と周囲流体との相対速度差により生じる風圧による抵抗力を受けることにより、進行方向に向く羽根面の法線ベクトルの鉛直成分が下向きとなるように所定の角度での傾斜を維持するための回転リミッターを有すること、を特徴とする請求項1又は2に記載の羽ばたき装置。
- 前記駆動部を支持する躯体と、
前記従動部の回動に伴って、前記従動部の回動方向とは逆方向への付勢力を前記従動部に対して付与する第2付勢部材と、
を有しており、
前記第2付勢部材は、
一端側において前記躯体に対して接続されると共に、他端側において、前記第1羽根軸に直接的又は間接的に接続されており、
前記第2付勢部材は、前記第1付勢部材における付勢力よりも小さい付勢力を発揮可能、かつ、前記第1付勢部材における振幅中心を基準位置に戻すことが可能な付勢力を発揮可能に形成されていること、を特徴とする請求項2に記載の羽ばたき装置。 - 前記駆動部を支持する躯体を有しており、
前記躯体は、間隔を空けて配された一対の支持部を有しており、
前記駆動源が、前記一対の支持部の外側に配されており、
前記第1付勢部材及び前記従動部が、前記一対の支持部の間に配されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の羽ばたき装置。 - 前記第1回動軸線の一端側において前記第1回動軸線方向に延びるように延長部が形成されており、
前記第2羽根軸が、一端側において前記延長部に向けて延びるように形成された懸架部を有しており、
前記懸架部は、一端側において前記延長部に接続されると共に、前記延長部と一体的に前記第1回動軸線周り方向に回動が可能であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の羽ばたき装置。
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JP2022182370A JP2024071882A (ja) | 2022-11-15 | 2022-11-15 | 羽ばたき装置 |
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2022
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